(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センスアンプモジュール内に設けられた複数の前記第5トランジスタのゲート電極は、前記ゲート電極が設けられた配線層において、前記第1リージョンと前記第2リージョンとの間で絶縁され、前記第1セグメントと前記第2セグメントとの間で絶縁される、
請求項10に記載の半導体記憶装置。
前記第3トランジスタと前記第1セグメント内の前記第1リージョンにおける前記センスアンプとの間を接続する配線は、前記第1セグメント内の前記第2リージョンにおける前記センスアンプから絶縁され、
前記第4トランジスタと前記第2セグメント内の前記第2リージョンにおける前記センスアンプとの間を接続する配線は、前記第2セグメント内の前記第1リージョンにおける前記センスアンプから絶縁される、
請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の半導体記憶装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。図面は模式的なものである。尚、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。参照符号を構成する文字の後の数字、及び参照符号を構成する数字の後の文字は、同じ文字及び数字を含んだ参照符号によって参照され、且つ同様の構成を有する要素同士を区別するために用いられている。同じ文字及び数字を含んだ参照符号で示される要素を相互に区別する必要がない場合、これらの要素は同じ文字及び数字のみを含んだ参照符号により参照される。
【0008】
[1]第1実施形態
以下に、第1実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
【0009】
[1−1]構成
[1−1−1]半導体記憶装置10の全体構成
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10の全体構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように半導体記憶装置10は、メモリセルアレイ11、ロウデコーダモジュール12A及び12B、センスアンプモジュール13、入出力回路14、レジスタ15、ロジックコントローラ16、シーケンサ17、レディ/ビジー制御回路18、並びに電圧生成回路19を備えている。
【0010】
メモリセルアレイ11は、ブロックBLK0〜BLKn(nは1以上の整数)を含んでいる。ブロックBLKは、ビット線及びワード線に関連付けられた複数の不揮発性メモリセルの集合であり、例えばデータの消去単位となる。半導体記憶装置10は、例えばMLC(Multi-Level Cell)方式を適用することにより、各メモリセルに2ビット以上のデータを記憶させることが出来る。
【0011】
ロウデコーダモジュール12A及び12Bは、アドレスレジスタ15Bに保持されたブロックアドレスに基づいて、各種動作を実行する対象のブロックBLKを選択することが出来る。そしてロウデコーダモジュール12A及び12Bは、電圧生成回路19から供給された電圧を、選択したブロックBLKに転送することが出来る。ロウデコーダモジュール12A及び12Bの詳細については後述する。
【0012】
センスアンプモジュール13は、メモリセルアレイ11から読み出したデータDATを、入出力回路14を介して外部のコントローラに出力することが出来る。また、センスアンプモジュール13は、外部のコントローラから入出力回路14を介して受け取った書き込みデータDATを、メモリセルアレイ11に転送することが出来る。
【0013】
入出力回路14は、例えば8ビット幅の入出力信号I/O(I/O1〜I/O8)を、外部のコントローラとの間で送受信することが出来る。例えば入出力回路14は、外部のコントローラから受信した入出力信号I/Oに含まれた書き込みデータDATをセンスアンプモジュール13に転送し、センスアンプモジュール13から転送された読み出しデータDATを入出力信号I/Oとして外部のコントローラに送信する。
【0014】
レジスタ15は、ステータスレジスタ15A、アドレスレジスタ15B、コマンドレジスタ15Cを含んでいる。ステータスレジスタ15Aは、例えばシーケンサ17のステータス情報STSを保持し、このステータス情報STSをシーケンサ17の指示に基づいて入出力回路14に転送する。アドレスレジスタ15Bは、入出力回路14から転送されたアドレス情報ADDを保持する。アドレス情報ADDに含まれたブロックアドレス、カラムアドレス、及びページアドレスは、例えばそれぞれロウデコーダモジュール12、センスアンプモジュール13、及びシーケンサ17で使用される。コマンドレジスタ15Cは、入出力回路14から転送されたコマンドCMDを保持する。
【0015】
ロジックコントローラ16は、外部のコントローラから受信した各種制御信号に基づいて、入出力回路14及びシーケンサ17を制御することが出来る。各種制御信号としては、例えばチップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号/RE、及びライトプロテクト信号/WPが使用される。信号/CEは、半導体記憶装置10をイネーブルにするための信号である。信号CLEは、半導体記憶装置10に入力される信号がコマンドCMDであることを入出力回路14に通知する信号である。信号ALEは、半導体記憶装置10に入力される信号がアドレス情報ADDであることを入出力回路14に通知する信号である。信号/WE及び/REはそれぞれ、例えば入出力信号I/Oの入力及び出力を入出力回路14に対して命令する信号である。信号/WPは、例えば電源のオンオフ時に半導体記憶装置10を保護状態にするための信号である。
【0016】
シーケンサ17は、アドレスレジスタ15Bに保持されたアドレス情報ADD、及びコマンドレジスタ15Cに保持されたコマンドCMDに基づいて、半導体記憶装置10全体の動作を制御することが出来る。例えば、シーケンサ17は、ロウデコーダモジュール12、センスアンプモジュール13、電圧生成回路19等を制御して、書き込み動作や読み出し動作等の各種動作を実行する。
【0017】
レディ/ビジー制御回路18は、シーケンサ17の動作状態に基づいてレディ/ビジー信号RBnを生成することが出来る。信号RBnは、半導体記憶装置10が外部のコントローラからの命令を受け付けるレディ状態であるか、命令を受け付けないビジー状態であるかを、外部のコントローラに通知する信号である。
【0018】
電圧生成回路19は、シーケンサ17の制御に基づいて所望の電圧を生成し、生成した電圧をメモリセルアレイ11、ロウデコーダモジュール12、センスアンプモジュール13等に供給することが出来る。例えば電圧生成回路19は、ページアドレスに応じて選択ワード線に対応する信号線、及び非選択ワード線に対応する信号線に対してそれぞれ所望の電圧を印加する。
【0019】
[1−1−2]メモリセルアレイ11の構成
図2は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10に含まれたメモリセルアレイ11の構成例を示す回路図であり、メモリセルアレイ11内の1つのブロックBLKにおける詳細な回路構成の一例を示している。
図2に示すようにブロックBLKは、例えば4つのストリングユニットSU0〜SU3を含んでいる。
【0020】
各ストリングユニットSUは、ビット線BL0〜BLm(mは1以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含んでいる。各NANDストリングNSは、例えばメモリセルトランジスタMT0〜MT7並びに選択トランジスタST1及びST2を含んでいる。
【0021】
メモリセルトランジスタMTは、制御ゲート及び電荷蓄積層を備え、データを不揮発に記憶することが出来る。各NANDストリングNSに含まれたメモリセルトランジスタMT0〜MT7は、選択トランジスタST1のソースと選択トランジスタST2のドレインとの間に直列接続されている。同一のブロックBLKに含まれたメモリセルトランジスタMT0〜MT7の制御ゲートは、それぞれワード線WL0〜WL7に共通接続されている。尚、以下の説明では、ストリングユニットSU毎に共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTが記憶する1ビットデータの集合のことを“ページ”と称する。従って、1つのメモリセルトランジスタMTに2ビットデータが記憶される場合、1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTの集合は、2ページ分のデータを記憶する。
【0022】
選択トランジスタST1及びST2は、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。同一のカラムアドレスに対応するNANDストリングNSに含まれた選択トランジスタST1のドレインは、対応するビット線BLに共通接続されている。ストリングユニットSU0〜SU3のそれぞれに含まれた選択トランジスタST1のゲートは、それぞれセレクトゲート線SGD0〜SGD3に共通接続されている。同一のブロックBLKにおいて、選択トランジスタST2のソースはソース線SLに共通接続され、選択トランジスタST2のゲートはセレクトゲート線SGSに共通接続されている。
【0023】
以上で説明したメモリセルアレイ11の回路構成において、ワード線WL0〜WL7は、ブロックBLK毎に設けられている。ビット線BL0〜BLmは、複数のブロックBLK間で共有されている。ソース線SLは、複数のブロックBLK間で共有されている。尚、各ブロックBLKが含むストリングユニットSUの個数と、各NANDストリングNSが含むメモリセルトランジスタMT並びに選択トランジスタST1及びST2の個数とはあくまで一例であり、任意の個数に設計することが出来る。ワード線WL並びにセレクトゲート線SGD及びSGSの本数は、メモリセルトランジスタMT並びに選択トランジスタST1及びST2の個数に基づいて変更される。
【0024】
また、以上で説明したメモリセルアレイ11の回路構成において、1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTの閾値電圧によって形成される閾値分布の一例が、
図3に示されている。
図3は、1つのメモリセルトランジスタMTが2ビットデータを記憶する場合の閾値分布、読み出し電圧、及びデータの割り付けの一例を示し、縦軸がメモリセルトランジスタMTの個数に対応し、横軸がメモリセルトランジスタMTの閾値電圧Vthに対応している。
【0025】
図3に示すように複数のメモリセルトランジスタMTは、記憶する2ビットデータに基づいて4つの閾値分布を形成する。この4個の閾値分布のことを、閾値電圧の低いものから順に“ER”レベル、“A”レベル、“B”レベル、“C”レベルと称する。MLC方式では、例えば“ER”レベル、“A”レベル、“B”レベル、及び“C”レベルにそれぞれ“10(Lower、Upper)”データ、“11”データ、“01”データ、及び“00”データが割り当てられる。
【0026】
そして、以上で説明した閾値分布において、隣り合う閾値分布の間にそれぞれ読み出し電圧が設定される。例えば、読み出し電圧ARは、“ER”レベルにおける最大の閾値電圧と“A”レベルにおける最小の閾値電圧との間に設定され、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が“ER”レベルの閾値分布に含まれるのか“A”レベル以上の閾値分布に含まれるのかを判定する動作に使用される。その他の読み出し電圧BR及びCRも、読み出し電圧ARと同様に設定される。読み出し電圧BRは、“A”レベルの閾値分布と“B”レベルの閾値分布との間に設定され、読み出し電圧CRは、“B”レベルの閾値分布と“C”レベルの閾値分布との間に設定される。メモリセルトランジスタMTに読み出し電圧BRが印加されると、“ER”及び“A”レベルに対応するメモリセルトランジスタがオン状態になり、“B”レベル及び“C”レベルに対応するメモリセルトランジスタがオフ状態になる。メモリセルトランジスタMTに読み出し電圧CRが印加されると、“ER”レベル、“A”レベル、及び“B”レベルに対応するメモリセルトランジスタがオン状態になり、“C”レベルに対応するメモリセルトランジスタがオフ状態になる。最も高い閾値分布における最大の閾値電圧よりも高い電圧には、読み出しパス電圧Vreadが設定される。読み出しパス電圧Vreadがゲートに印加されたメモリセルトランジスタMTは、記憶するデータに依らずにオン状態になる。
【0027】
尚、以上で説明した1つのメモリセルトランジスタMTに記憶するデータのビット数と、メモリセルトランジスタMTの閾値分布に対するデータの割り当てとはあくまで一例であり、これに限定されない。例えば、1ビット又は3ビット以上のデータが1つのメモリセルトランジスタMTに記憶されても良いし、その他の様々なデータの割り当てが各閾値分布に対して適用されても良い。
【0028】
[1−1−3]ロウデコーダモジュール12の構成
図4は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10に含まれたロウデコーダモジュール12A及び12Bの詳細な構成例を示すブロック図であり、メモリセルアレイ11に含まれた各ブロックBLKとロウデコーダモジュール12A及び12Bとの関係を示している。
図4に示すように、ロウデコーダモジュール12Aは複数のロウデコーダRDAを含み、ロウデコーダモジュール12Bは複数のロウデコーダRDBを含んでいる。
【0029】
複数のロウデコーダRDAは、偶数ブロック(例えばBLK0、BLK2、…)にそれぞれ対応して設けられ、複数のロウデコーダRDBは、奇数ブロック(例えばBLK1、BLK3、…)にそれぞれ対応して設けられている。具体的には、例えばブロックBLK0及びBLK2にはそれぞれ異なるロウデコーダRDAが関連付けられ、ブロックBLK1及びBLK3にはそれぞれ異なるロウデコーダRDBが関連付けられている。
【0030】
各ブロックBLKには、ロウデコーダRDA及びRDBのいずれか一方を介して電圧生成回路19から供給された電圧が印加される。ロウデコーダRDAは、偶数ブロックのワード線WLに対してワード線WLの延伸方向の一方側から電圧を印加し、ロウデコーダRDBは、奇数ブロックのワード線WLに対してワード線WLの延伸方向の他方側から電圧を印加する。そして、
図4に示すように、以上で説明した構成に対して領域AR1及びAR2が定義されている。
【0031】
領域AR1及びAR2は、ワード線WLの延伸方向(ブロックBLKの延伸方向)においてメモリセルアレイ11を分割して定義された領域であり、領域AR1がワード線WLの延伸方向の一方側の領域に対応し、領域AR2がワード線WLの延伸方向の他方側の領域に対応している。メモリセルアレイ11は、領域AR1においてロウデコーダモジュール12Aが接続され、領域AR2においてロウデコーダモジュール12Bが接続されている。以下の説明では、各ブロックBLKに対応するロウデコーダRDA又はRDBが接続された領域から近い領域を“Near”、遠い領域を“Far”と称する。つまり、例えばブロックBLK0では、領域AR1がNear側に対応し、領域AR2がFar側に対応する。同様に、ブロックBLK1では、領域AR2がNear側に対応し、領域AR1がFar側に対応する。
【0032】
[1−1−4]センスアンプモジュール13及び電圧生成回路19の構成
図5は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10に含まれたセンスアンプモジュール13及び電圧生成回路19の詳細な構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、センスアンプモジュール13は複数のセンスアンプグループSAG並びにトランジスタTL、TR、及びTDを含み、電圧生成回路19はBLCドライバDRを含んでいる。
【0033】
複数のセンスアンプグループSAGは、例えばワード線WLの延伸方向に配列している。各センスアンプグループSAGは、例えばビット線BLの延伸方向に配列した8つのセンスアンプユニットSAU0〜SAU7を含んでいる。各センスアンプユニットSAUには、それぞれ1本のビット線BLが接続されている。センスアンプモジュール13全体に含まれたセンスアンプユニットSAUの個数は、例えばビット線BLの本数に対応している。
【0034】
また、複数のセンスアンプグループSAGは、領域AR1に設けられたメモリセルに接続されたビット線BLに対応するものと、領域AR2に設けられたメモリセルに接続されたビット線BLに対応するものとを含んでいる。例えば、読み出し動作において、偶数ブロックが選択された場合、領域AR1に対応するセンスアンプユニットSAUが選択ブロックのNear側に設けられたメモリセルのデータを読み出し、領域AR2に対応するセンスアンプユニットSAUが選択ブロックのFar側に設けられたメモリセルのデータを読み出す。同様に、奇数ブロックが選択された場合、領域AR1に対応するセンスアンプユニットSAUが選択ブロックのFar側に設けられたメモリセルのデータを読み出し、領域AR2に対応するセンスアンプユニットSAUが選択ブロックのNear側に設けられたメモリセルのデータを読み出す。
【0035】
トランジスタTL、TR、及びTDのゲートには、それぞれ制御信号SELL、SELR、及びRPDが入力される。制御信号SELL、SELR、及びRPDは、例えばシーケンサ17によって生成される制御信号である。トランジスタTL、TR、及びTDの一端は、BLCドライバDRの出力ノードに共通接続されている。BLCドライバDRは、図示せぬチャージポンプが生成した電圧に基づいて制御信号BLCを生成し、トランジスタTL、TR、及びTDを介して各センスアンプユニットSAUに制御信号BLCを供給する。制御信号BLCが入力されるトランジスタのゲート電極は、センスアンプモジュール13上をワード線WLと並行に配線される。制御信号BLCをセンスアンプモジュール13に供給する配線の具体的な構造については後述する。
【0036】
図5には、センスアンプユニットSAU0〜SAU7のそれぞれに制御信号BLCを供給する配線が、それぞれ配線L0〜L7として示されている。トランジスタTLの他端は、配線L0〜L7の一端に接続されている。トランジスタTRの他端は、配線L0〜L7の他端に接続されている。トランジスタTDの他端は、配線L0〜L7の一端及び他端間に接続されている。尚、トランジスタTDの他端は、配線L0〜L7の一端及び他端間において複数箇所に接続されていても良い。また、センスアンプモジュール13は、複数のトランジスタTDを含んでいても良い。
【0037】
以上で説明した第1実施形態におけるセンスアンプユニットSAUの回路構成の一例が、
図6に示されている。
図6に示すようにセンスアンプユニットSAUは、互いにデータを送受信可能なように接続されたセンスアンプ部SA、並びにラッチ回路SDL、LDL、UDL、及びXDLを含んでいる。
【0038】
センスアンプ部SAは、例えば読み出し動作において、対応するビット線BLに読み出されたデータをセンスして、読み出したデータが“0”であるか“1”であるかを判定する。センスアンプ部SAは、
図6に示すようにpチャネルMOSトランジスタ20、nチャネルMOSトランジスタ21〜27、及びキャパシタ28を含んでいる。
【0039】
トランジスタ20の一端は電源線に接続され、トランジスタ20のゲートはノードINVに接続されている。トランジスタ21の一端はトランジスタ20の他端に接続され、トランジスタ21の他端はノードCOMに接続され、トランジスタ21のゲートには制御信号BLXが入力される。トランジスタ22の一端はノードCOMに接続され、トランジスタ22の他端は対応するビット線BLに接続され、トランジスタ22のゲートには制御信号BLCが入力される。トランジスタ23の一端はノードCOMに接続され、トランジスタ23の他端はノードSRCに接続され、トランジスタ23のゲートはノードINVに接続されている。トランジスタ24の一端はトランジスタ20の他端に接続され、トランジスタ24の他端はノードSENに接続され、トランジスタ24のゲートには制御信号HLLが入力される。トランジスタ25の一端はノードSENに接続され、トランジスタ25の他端はノードCOMに接続され、トランジスタ25のゲートには制御信号XXLが入力される。トランジスタ26の一端は接地され、トランジスタ26のゲートはノードSENに接続されている。トランジスタ27の一端はトランジスタ26の他端に接続され、トランジスタ27の他端はバスLBUSに接続され、トランジスタ27のゲートには制御信号STBが入力される。キャパシタ28の一端はノードSENに接続され、キャパシタ28の他端にはクロックCLKが入力される。
【0040】
以上で説明した制御信号BLX、HLL、XXL、及びSTBは、例えばシーケンサ17によって生成される。また、トランジスタ20の一端に接続された電源線には、例えば半導体記憶装置10の電源電圧である電圧Vddが印加され、ノードSRCには、例えば半導体記憶装置10の接地電圧である電圧Vssが印加される。
【0041】
ラッチ回路SDL、LDL、UDL、及びXDLは、読み出しデータを一時的に保持することが出来る。ラッチ回路XDLは入出力回路14に接続され、センスアンプユニットSAUと入出力回路14との間のデータの入出力に使用される。ラッチ回路SDLは、
図6に示すようにインバータ30及び31、並びにnチャネルMOSトランジスタ32及び33を備えている。
【0042】
インバータ30の入力ノードはノードLATに接続され、インバータ30の出力ノードはノードINVに接続されている。インバータ31の入力ノードはノードINVに接続され、インバータ31の出力ノードはノードLATに接続されている。トランジスタ32の一端はノードINVに接続され、トランジスタ32の他端はバスLBUSに接続され、トランジスタ32のゲートには制御信号STIが入力される。トランジスタ33の一端はノードLATに接続され、トランジスタ33の他端はバスLBUSに接続され、トランジスタ33のゲートには制御信号STLが入力される。ラッチ回路LDL、UDL、及びXDLの回路構成は、例えばラッチ回路SDLの回路構成と同様のため、説明を省略する。
【0043】
尚、第1実施形態におけるセンスアンプモジュール13の構成は、これに限定されない。例えば、センスアンプユニットSAUが備えるラッチ回路の個数は、任意の個数に設計することが可能である。この場合にラッチ回路の個数は、例えば1つのメモリセルトランジスタMTが保持するデータのビット数に基づいて設計される。また、以上の説明では、センスアンプユニットSAU及びビット線BLが1対1で対応する場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、複数のビット線BLが、セレクタを介して1つのセンスアンプユニットSAUに接続されても良い。
【0044】
[1−1−5]半導体記憶装置10の構造
以下に、第1実施形態に係る半導体記憶装置10に含まれたメモリセルアレイ11、ロウデコーダモジュール12、及びセンスアンプモジュール13の構造について説明する。
【0045】
図7は、第1実施形態におけるメモリセルアレイ11の平面レイアウトの一例を示し、メモリセルアレイ11内の1つのストリングユニットSU0における平面レイアウトの一例を示している。尚、以下の図面では、X軸がワードWLの延伸方向に対応し、Y軸がビット線BLの延伸方向に対応し、Z軸が基板表面に対する鉛直方向に対応している。
【0046】
図7に示すようにストリングユニットSU0は、X方向に延伸し且つY方向に隣り合うコンタクトプラグLI間に設けられる。コンタクトプラグLIは、隣り合うストリングユニットSU間を絶縁するスリット内に設けられる。つまり、メモリセルアレイ11では、図示せぬ領域において複数のコンタクトプラグLIがY方向に配列し、隣り合うコンタクトプラグLI間にそれぞれストリングユニットSUが設けられている。
【0047】
このようなストリングユニットSU0の構成において、X方向において領域CR及びHRが定義されている。領域CRは、実質的なデータ保持領域として機能する領域であり、領域CRには、複数の半導体ピラーMHが設けられている。1つの半導体ピラーMHは、例えば1つのNANDストリングNSに対応している。領域HRは、ストリングユニットSU0に設けられた各種配線と、ロウデコーダモジュール12Aとの間を接続するための領域である。具体的には、ストリングユニットSU0には、例えば選択ゲート線SGSとして機能する導電体41、ワード線WL0〜WL7としてそれぞれ機能する8つの導電体42、及び選択ゲート線SGDとして機能する導電体43が、上層の導電体と重ならない部分を有するように設けられている。そして導電体41〜43の端部は、それぞれ導電性のビアコンタクトVCを介して、ストリングユニットSUの下部に設けられたロウデコーダモジュール12Aに接続される。
【0048】
以上で説明したメモリセルアレイ11の断面構造の一例が、
図8及び
図9に示されている。
図8及び
図9は、メモリセルアレイ11内の1つのストリングユニットSU0についての断面構造の一例を示し、
図8は、
図7のVIII−VIII線に沿った断面を示している。
図9は、
図7のX方向に沿った断面を示し、領域HRにおけるワード線WL0(導電体42)に関連する構造を抽出して示している。尚、以下の図面では層間絶縁膜の図示が省略され、
図9は領域CRにおける半導体ピラーMHの構造を省略して示している。
【0049】
図8に示すようにメモリセルアレイ11には、半導体基板上に形成されたP型ウェル領域50の上方に、ソース線SLとして機能する導電体40が設けられている。導電体40上には、複数のコンタクトプラグLIが設けられている。隣り合うコンタクトプラグLI間且つ導電体40の上方には、Z方向において例えば導電体41、8層の導電体42、導電体43が順に設けられている。
【0050】
導電体40〜43の形状は、X方向及びY方向に広がった板状であり、コンタクトプラグLIの形状は、X方向及びZ方向に広がった板状である。そして、複数の半導体ピラーMHが、導電体41〜43を通過するように設けられている。具体的には、半導体ピラーMHは、導電体43の上面から導電体40の上面に達するように形成されている。
【0051】
半導体ピラーMHは、例えばブロック絶縁膜45、絶縁膜(電荷蓄積層)46、トンネル酸化膜47、及び導電性の半導体材料48を含んでいる。具体的には、半導体材料48の周囲にトンネル酸化膜47が設けられ、トンネル酸化膜47の周囲に絶縁膜46が設けられ、絶縁膜46の周囲にブロック絶縁膜45が設けられている。尚、半導体材料48内には、異なる材料が含まれていても良い。
【0052】
このような構造において、導電体41と半導体ピラーMHとが交差する部分が選択トランジスタST2として機能し、導電体42と半導体ピラーMHとが交差する部分がメモリセルトランジスタMTとして機能し、導電体43と半導体ピラーMHとが交差する部分が選択トランジスタST1として機能する。
【0053】
半導体ピラーMHの半導体材料48上には、導電性のビアコンタクトBCが設けられている。ビアコンタクトBC上には、ビット線BLとして機能する導電体44が、Y方向に延伸して設けられている。各ストリングユニットSUにおいて、1つの導電体44には1つの半導体ピラーMHが接続されている。つまり、各ストリングユニットSUにおいて、例えばX方向に配列する複数の導電体44には、それぞれ異なる半導体ピラーMHが接続される。
【0054】
図9に示すように、領域HRにおいてP型ウェル領域50の表面内には、n
+不純物拡散領域51及び52が形成されている。拡散領域51及び52間、且つP型ウェル領域50上には、図示せぬゲート絶縁膜を介して導電体53が設けられている。この拡散領域51及び52並びに導電体53が、それぞれトランジスタTRのソース、ドレイン、及びゲート電極として機能する。トランジスタTRはロウデコーダモジュール12Aに含まれている。拡散領域51上には、ビアコンタクトVCが設けられている。ビアコンタクトVCは、導電体40〜42を通過して導電体54に接続され、ビアコンタクトVCと導電体40〜42との間は、絶縁膜によって絶縁されている。導電体54は、例えば導電体43が設けられた配線層と導電体44が設けられた配線層との間の配線層に設けられ、導電性のビアコンタクトHUを介してワード線WL0に対応する導電体42に接続される。ビアコンタクトHUと半導体ピラーMHとの間隔は半導体ピラーMHが設けられた領域に応じて異なり、
図4を用いて説明したNear側及びFar側はビアコンタクトHUと半導体ピラーMHとの距離に応じて定義されている。
【0055】
このような構成により、ロウデコーダモジュール12AはトランジスタTRを介してワード線WL0に対応する導電体42に電圧を供給することが出来る。半導体記憶装置10には導電体41〜43に対応して図示せぬ複数のトランジスタTR及び導電体54が設けられ、ロウデコーダモジュール12AはこれらのトランジスタTRを介して各種配線に対応する導電体に電圧を供給する。尚、以下では、トランジスタTRのゲート電極に対応する導電体53が形成される配線層のことを配線層GCと称し、ビット線BLに対応する導電体44が形成される配線層のことを配線層M1と称する。
【0056】
奇数ブロックBLKに対応するストリングユニットSUの平面レイアウトは、例えば
図7に示されたストリングユニットSU0の平面レイアウトがY軸を対称軸として反転したものとなる。つまりセル領域CRは、偶数ブロックに対応する引き出し領域HRと、奇数ブロックに対応する引き出し領域HRとの間に設けられる。奇数ブロックBLKに対応するストリングユニットSUのその他の構造は、偶数ブロックに対応するストリングユニットSUの構造と同様のため、説明を省略する。
【0057】
尚、第1実施形態におけるメモリセルアレイ11の構造は、以上で説明した構造に限定されない。例えば、上記説明においてセレクトゲート線SGS及びSGDは、それぞれ1層の導電体41及び43により構成されているが、セレクトゲート線SGS及びSGDは、複数層の導電体により構成されていても良い。また、1つの半導体ピラーMHが通過する導電体42の個数は、これに限定されない。例えば、1つの半導体ピラーMHが通過する導電体42の個数を9個以上にすることで、1つのNANDストリングNSに含まれたメモリセルトランジスタMTの個数を9個以上にすることが出来る。
【0058】
次に、
図10を用いてセンスアンプモジュール13の配線レイアウトについて説明する。
図10は、センスアンプモジュール13に含まれたトランジスタ22のゲート電極に関連する配線及びビアコンタクトのレイアウトの一例を示している。
図10に示すようにセンスアンプモジュール13の領域には、複数の導電体60、複数のビアコンタクト61A及び61B、導電体62A及び62B、ビアコンタクト63A及び63B、並びに導電体64A及び64Bが設けられている。
【0059】
導電体60は、例えば配線層GCにおいてX方向に延伸して設けられ、センスアンプモジュール13内のトランジスタ22のゲート電極として機能する。例えば、Y方向に配列した8個の導電体60が、それぞれセンスアンプユニットSAU0〜SAU7に対応して設けられている。つまり、
図10に示す8個の導電体60は、それぞれ
図5に示された配線L0〜L7に対応している。尚、導電体60の個数はこれに限定されず、例えばセンスアンプユニットSAUの個数に基づいて設計される。
【0060】
ビアコンタクト61A及び61Bは、例えば配線層GCと配線層M1との間に設けられ、配線層GCと配線層M1とに設けられた導電体間を電気的に接続する。ビアコンタクト61Aは領域AR1側に設けられ、ビアコンタクト61Bは領域AR2側に設けられる。導電体62A及び62Bは、例えば配線層M1において櫛型に設けられ、図示しない領域においてそれぞれトランジスタTL及びTRの他端に接続される。導電体62Aはビアコンタクト61Aを介してX方向における導電体60の一端部分に接続され、導電体62Bはビアコンタクト61Bを介してX方向における導電体60の他端部分に接続される。
【0061】
ビアコンタクト63A及び63Bは、例えば配線層GCと配線層M2との間に設けられ、配線層GCと配線層M2とに設けられた導電体間を電気的に接続する。配線層M2は、配線層M1よりも上層の配線層に対応している。導電体64A及び64Bは、例えば配線層M2において櫛型に設けられ、図示しない領域においてトランジスタTDの他端に接続される。例えば、導電体64Aはビアコンタクト63Aを介して導電体60の中央部分から一端側にずれた領域に接続され、導電体64Bはビアコンタクト63Bを介して導電体60の中央部分から他端側にずれた領域に接続される。この場合に、ビアコンタクト63Aは領域AR1内に設けられ、ビアコンタクト63Bは領域AR2内に設けられている。
【0062】
以上の構成において、BLCドライバDRが生成する制御信号BLCは、導電体62A及びビアコンタクト61Aを介して導電体60の一端部分から供給され、導電体62B及びビアコンタクト61Bを介して導電体60の他端部分から供給され、導電体64及びビアコンタクト63を介して導電体60の中央部分から供給される。つまり、制御信号BLCは、ビアコンタクト61A、61B、63A、及び63Bのうち少なくとも一つを介して導電体60に供給される。
【0063】
また、以上の構成では、例えば配線層GCに設けられた配線(導電体)の抵抗値は配線層M1に設けられた配線の抵抗値よりも高く、配線層M1に設けられた配線の抵抗値は、配線層M2に設けられた配線の抵抗値よりも高い。本明細書において「抵抗値」とは、当該配線の面抵抗のことを示している。配線層GCに設けられる配線の材料としては、例えばタングステンシリサイドWSiが使用される。配線層GCと配線層M1との間の配線層M0に設けられる配線の材料としては、例えばタングステンWが使用される。配線層M1に設けられる配線の材料としては、例えば銅Cuが使用される。配線層M2に設けられる配線の材料としては、例えばアルミニウムAlが使用される。
【0064】
尚、以上の説明では、配線層GC及びM1に設けられた導電体間を接続するビアコンタクトと、配線層GC及びM2に設けられた導電体間を接続するビアコンタクトとが、それぞれ1本のビアコンタクトを介して接続される場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、これらの配線層間は複数のビアコンタクトを介して接続されても良いし、異なる配線層に設けられた導電体を介して接続されても良い。
【0065】
また、以上の説明では、ビアコンタクト63Aを用いて導電体60と導電体64Aとの間を接続し、ビアコンタクト63Bを用いて導電体60と導電体64Bとの間を接続した場合について述べたが、これに限定されない。例えば、導電体64A及び64Bのうちいずれか一方を用いても良く、導電体64の設けられる数は2つに限定されない。
【0066】
本実施形態において導電体64は、各センスアンプユニットSAUに対応して、ビアコンタクト61A及び61B間に配置されたビアコンタクト63を介して導電体60に接続されていれば良い。尚、ビアコンタクト61A及び61B間とは、Y方向にずれて配置されることも許容し、対応するビアコンタクト63が当該ビアコンタクト61A及び61Bと同じ導電体60上に設けられていれば良い。
【0067】
[1−2]動作
第1実施形態に係る半導体記憶装置10は、読み出し動作においてキック動作を実行する。キック動作とは、ドライバの駆動電圧を一旦目標の電圧値よりも高い値に設定し、一定時間経過後に目標の電圧値に下げる電圧印加方法である。キック動作は、例えばワード線WLや制御信号BLCに対して実行される。例えば、制御信号BLCに対してキック動作が実行された場合、ビット線BLに対する電流の供給量が増加して、ビット線BLが充電される。尚、以下では、キック動作時において、目標の電圧を印加する前に印加される目標の電圧よりも高い電圧のことをキック電圧と称し、目標の電圧とキック電圧との差分のことをキック量と称する。
【0068】
そして、第1実施形態では、制御信号BLCに対するキック動作が実行される場合、偶数ブロックが選択されたか奇数ブロックが選択されたかによって、制御信号SELL及びSELRの制御方法が変化する。言い換えると、領域AR1及びAR2における“Near”及び“Far”の対応関係に基づいて、シーケンサ17は、制御信号SELL及びSELRの制御方法を変更する。例えば、シーケンサ17は、領域AR1及びAR2がそれぞれ“Near”及び“Far”に対応する場合、制御信号SELL及びSELRにそれぞれ“Near”及び“Far”の制御を適用し、領域AR1及びAR2がそれぞれ“Far”及び“Near”に対応する場合、制御信号SELL及びSELRに“Far”及び“Near”の制御を適用する。
【0069】
図11は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作のフローチャートの一例を示している。
図11に示すように、まず半導体記憶装置10は、外部のコントローラから読み出し命令を受信する(ステップS10)。具体的には、半導体記憶装置10は、コントローラから受信したコマンド及びアドレス情報をそれぞれコマンドレジスタ15C及びアドレスレジスタ15Bに格納する。次にシーケンサ17は、格納されたアドレス情報ADDから、選択されたブロックBLKのアドレスを確認し、選択されたブロックBLKが偶数ブロックであるか、奇数ブロックであるかを確認する(ステップS11)。そしてシーケンサ17は、偶数ブロックが選択された場合に、制御信号SELL及びSELRにそれぞれ“Near”及び“Far”の制御を適用し(ステップS12)、読み出し動作を実行する(ステップS14)。一方でシーケンサ17は、奇数ブロックが選択された場合に、制御信号SELL及びSELRにそれぞれ“Far”及び“Near”の制御を適用し(ステップS12)、読み出し動作を実行する(ステップS14)。
【0070】
以下に、偶数ブロックが選択された場合における読み出し動作の詳細について説明する。
図12は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10における読み出し動作の波形の一例を示し、偶数ブロックが選択された場合の当該ブロックBLKにおける選択ワード線WLの波形、並びに制御信号BLC、SELL、SELR、RPD、及びSTBの波形の一例を示している。この場合、制御信号SELLに“Near”の制御が適用され、制御信号SELRに“Far”の制御が適用される。
【0071】
また、
図12は、BLCドライバDRの出力ノードにおける制御信号BLCの波形とセンスアンプ部SA内における制御信号BLCの波形とを示し、ワード線WLの波形と、センスアンプ部SA内における制御信号BLCの波形とにおいて、Near側及びFar側に対応する位置における波形をそれぞれ実線及び破線で示している。また、各種制御信号が入力されるNチャネルMOSトランジスタは、ゲートに“H”レベルの電圧が印加されるとオン状態になり、ゲートに“L”レベルの電圧が印加されるとオフ状態になるものとする。また、以下では、データの読み出し対象であるメモリセルトランジスタMTのことを選択メモリセルと称する。
【0072】
図12に示すように、時刻t0より前の初期状態では、例えばロウデコーダモジュール12Aはワード線WLに電圧Vssを印加し、BLCドライバDRは電圧Vssの制御信号BLCを出力し、シーケンサ17は制御信号SELL、SELR、RPD、及びSTBの電圧を“L”レベルにしている。
【0073】
時刻t0において、読み出し動作が開始すると、シーケンサ17は、制御信号SELL、SELR、及びRPDを“H”レベルにする。すると、トランジスタTR、TL、及びTDがそれぞれオン状態になり、BLCドライバDRとセンスアンプモジュール13との間の電流経路が形成される。
【0074】
時刻t1において、ロウデコーダモジュール12Aは、ワード線WLに例えば読み出しパス電圧Vreadを印加し、BLCドライバDRは、電圧VblcLの制御信号BLCを出力する。このときBLCドライバDRは、トランジスタTR、TL、及びTDを介してセンスアンプ部SAに電圧を供給するため、センスアンプ部SA内における制御信号BLCの波形は、例えばBLCドライバDRの出力ノードにおける波形と同様になる。以下の説明では、トランジスタTR、TL、及びTDがオン状態の場合におけるセンスアンプ部SA内の制御信号BLCの波形は、BLCドライバDRの出力ノードにおける制御信号BLCの波形と同様になるものとする。電圧Vreadが印加されたメモリセルトランジスタMTと、電圧VblcLが印加されたトランジスタ22とはオン状態になり、ビット線BLが充電される。
【0075】
時刻t2において、ロウデコーダモジュール12Aは、選択されたワード線WLの電圧を読み出し電圧ARまで下降させる。
図12に示すようにワード線WLのNear側における電圧は、ワード線WLのFar側における電圧よりも立ち上がり及び立ち下がりが早くなっている。また、時刻t2においてシーケンサ17は、制御信号BLCにおいてキック動作を実行し、BLCドライバDRは、例えばキック電圧Vblc+BLkickの制御信号BLCを出力する。制御信号BLCのキック量BLkickは、任意の値に設定することが可能である。
【0076】
時刻t3において、シーケンサ17は、制御信号SELR及びRPDを“L”レベルにする。するとトランジスタTR及びTDがそれぞれオフ状態になり、BLCドライバDRとセンスアンプモジュール13との間の電流経路が減少する。つまり、制御信号BLCは、トランジスタTLを介して、配線L0〜L7の一端側から各センスアンプユニットSAUに供給される。そしてBLCドライバDRは、制御信号BLCを電圧Vblcまで下降させる。このとき、センスアンプ部SA内における制御信号BLCの電圧は、Near側においてBLCドライバDRの出力電圧と同様となり、Far側においてNear側よりも遅れて電圧Vblcまで下降する。
【0077】
例えば、シーケンサ17は、ワード線WLのNear側における電圧が電圧ARに下降するタイミングと、センスアンプ部SA内のNear側における制御信号BLCが電圧Vblcに下降するタイミングとが揃うように制御し、ワード線WLのFar側における電圧が電圧ARに下降するタイミングと、センスアンプ部SA内のFar側における制御信号BLCが電圧Vblcに下降するタイミングとが揃うように制御する。
【0078】
時刻t4において、シーケンサ17は、制御信号SELR及びRPDを“H”レベルにして、トランジスタTR及びTDをオン状態にする。その後シーケンサ17が制御信号STBを“H”レベルにすると、センスアンプユニットSAUは対応する選択メモリセルの閾値電圧が電圧AR以上であるか否かを判定し、判定結果をセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路に保持する。
【0079】
時刻t5において、ロウデコーダモジュール12Aは、ワード線WLに対してキック動作を実行し、選択されたワード線WLに対してキック電圧CR+CGkickを一時的に印加する。ワード線WLのキック量CGkickは、任意の値に設定することが可能である。
図12に示すようにワード線WLのFar側における電圧は、ワード線WLのNear側における電圧よりも遅れて電圧が上昇している。
【0080】
時刻t6において、シーケンサ17は制御信号BLCにおいてキック動作を実行し、BLCドライバDRは、例えばキック電圧Vblc+BLkickの制御信号BLCを出力する。つまり、シーケンサ17は、選択されたワード線WLにキック電圧が印加されている期間中に、制御信号BLCの電圧を一時的に電圧BLkickだけ上昇させる。そして、ロウデコーダモジュール12Aは、ワード線WLの電圧をキック電圧から読み出し電圧CRに下降させる。
【0081】
時刻t7において、シーケンサ17は、制御信号SELR及びRPDを“L”レベルにする。するとトランジスタTR及びTDがそれぞれオフ状態になり、BLCドライバDRとセンスアンプモジュール13との間の電流経路が減少する。つまり、制御信号BLCは、トランジスタTLを介して、配線L0〜L7の一端側から各センスアンプユニットSAUに供給される。そしてBLCドライバDRは、制御信号BLCを電圧Vblcまで下降させる。このとき、センスアンプ部SA内における制御信号BLCの電圧は、Near側においてBLCドライバDRの出力電圧と同様となり、Far側においてNear側よりも遅れて電圧Vblcまで下降する。尚、時刻t5における動作は、例えばワード線WLのFar側における電圧が、キック電圧によってピークに達するタイミングに基づいて実行される。
【0082】
時刻t8において、シーケンサ17は、制御信号SELR及びRPDを“H”レベルにして、トランジスタTR及びTDをオン状態にする。その後シーケンサ17が制御信号STBを“H”レベルにすると、センスアンプユニットSAUは対応する選択メモリセルの閾値電圧が電圧CR以上であるか否かを判定し、判定結果をセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路に保持する。
【0083】
時刻t9において、ロウデコーダモジュール12A及びBLCドライバDRは、ワード線WL及び制御信号BLCの電圧を初期状態に戻す。
【0084】
時刻t10において、シーケンサ17は、制御信号SELL、SELR、及びRPDを初期状態に戻し、当該ページの読み出し動作を終了する。
【0085】
以上で説明した読み出し動作において、奇数ブロックが選択された場合の動作は、ロウデコーダモジュール12Aの動作をロウデコーダモジュール12Bが実行し、制御信号SELRの動作と制御信号SELLの動作とを入れ替えたものと同様のため、説明を省略する。
【0086】
また、以上の説明において、読み出し動作の開始時及び終了時の制御信号SELL、SELR、及びRPDを“L”レベルにする場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、制御信号SELL、SELR、及びRPDは、半導体記憶装置10の動作状態に応じて、“H”レベルが維持されていても良い。
【0087】
[1−3]第1実施形態の効果
以上で説明した第1実施形態に係る半導体記憶装置10によれば、読み出し動作を高速化することが出来る。以下に、第1実施形態に係る半導体記憶装置10の詳細な効果について説明する。
【0088】
メモリセルが三次元に積層された半導体記憶装置では、例えば
図7及び
図8に示すように、板状に形成された導電体42がワード線WLとして使用される。このような構造のワード線WLはRC遅延量が大きくなる傾向があり、ワード線WLの一端から電圧が印加された場合に、ドライバから近い領域(Near側)と、ドライバ遠い領域(Far側)とで、電圧の上昇速度が異なることがある。尚、本明細書において「RC遅延量」とは、配線に電圧を印加してから当該配線の電圧が目標値に上昇するまでの時間を示すRC遅延時間の長さのことを示している。
【0089】
そこで半導体記憶装置は、電圧上昇の速度が相対的に遅いワード線WLのFar側における電圧上昇を補助するために、例えばキック動作を実行する。しかし、ワード線WLに対するキック動作が実行された場合、Near側に対応するNANDストリングNSに接続されたビット線BLにおいて過放電が発生することがあり、ビット線BLの電位の安定時間を長く設定する必要性が生じるため、読み出し動作の時間が長くなってしまう。
【0090】
これに対して半導体記憶装置は、制御信号BLCに対してキック動作を実行することにより、ビット線BLの過放電を抑制することが出来る。ワード線WLのキック量は、Near側からFar側に向かって減少していくため、制御信号BLCのキック量も同様に、Near側からFar側に向かって減少させることが好ましい。言い換えると、ビット線の過放電を効果的に抑制するためには、何れの位置のメモリセルに対しても、ワード線WL及び制御信号BLCの電圧の時間変動を近づけることが有効であり、Near側とFar側との間におけるワード線WL及び制御信号BLCの伝搬遅延について整合をとることが好ましい。
【0091】
そこで、第1実施形態に係る半導体記憶装置10は、メモリセルアレイ11の両側にロウデコーダモジュール12A及び12Bが設けられた構成において、制御信号BLCをセンスアンプモジュール13内の複数のトランジスタ22に供給する配線を、配線層GCに設ける。これにより、第1実施形態に係る半導体記憶装置10は、制御信号BLCを供給する配線として機能する導電体60のRC遅延量を、ワード線WLとして機能する導電体42のRC遅延量に近づけることが出来る。
【0092】
さらに、第1実施形態に係る半導体記憶装置10は、読み出し動作において、ブロックアドレスに応じて制御信号BLCの駆動方向を切り替えることにより、キック動作時における制御信号BLCとワード線WLの駆動方向を揃える。これにより、第1実施形態に係る半導体記憶装置10は、ワード線WLのNear側からFar側に向かって変化するキック量の変化と、制御信号BLCのNear側からFar側に向かって変化するキック量の変化とを近づけることが出来る。つまり、ワード線WLに対するキック量が大きくなるドライバ近端側では制御信号BLCに対するキック量(電圧振幅)も大きくなり、ワード線WLに対するキック量が小さくなるドライバ遠端側では制御信号BLCに対するキック量も小さくすることが出来る。
【0093】
以上のように、第1実施形態に係る半導体記憶装置10は、制御信号BLCに対するキック動作時における制御信号BLCのキック量の時間変動を、ワード線WLに対するキック動作時におけるワード線WLのキック量の時間変動に近づけることが出来る。従って、第1実施形態に係る半導体記憶装置10は、ワード線WLに対してキック動作を実行した場合におけるビット線BLの安定時間を短くすることが出来るため、読み出し動作を高速化することが出来る。
【0094】
[2]第2実施形態
第2実施形態に係る半導体記憶装置10は、第2実施形態に係る半導体記憶装置10と同様の構成である。第2実施形態では、読み出し動作における各種制御信号の制御方法が、第1実施形態で説明した読み出し動作と異なっている。
【0095】
[2−1]動作
図13は、第2実施形態に係る半導体記憶装置10における読み出し動作の波形の一例を示し、
図12を用いて説明した第1実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作に対して、時刻t5以降の動作が異なっている。
【0096】
具体的には、
図13に示すように、時刻t5においてシーケンサ17は、制御信号SELR及びRPDを“L”レベルにする。すると、トランジスタTR及びTDがそれぞれオフ状態になり、BLCドライバDRとセンスアンプモジュール13との間の電流経路が減少する。また、シーケンサ17は、制御信号BLCにおいてキック動作を実行し、BLCドライバDRは、例えばキック電圧Vblc+BLkickの制御信号BLCを出力する。制御信号BLCのNear側に対してFar側の充電電圧を十分に近づけたい場合、シーケンサ17は、選択されたワード線WLにキック電圧が印加された後に、制御信号BLCの電圧を上昇させることも出来る。このとき、センスアンプ部SA内における制御信号BLCの電圧は、Near側においてBLCドライバDRの出力電圧と同様となり、Far側においてNear側よりも遅く電圧が上昇する。
【0097】
時刻t6においてロウデコーダモジュール12Aは、ワード線WLに対してキック動作を実行し、選択されたワード線WLに対してキック電圧CR+CGkickを一時的に印加する。
図13に示すようにワード線WLのFar側における電圧は、ワード線WLのNear側における電圧よりも遅れて電圧が上昇する。そして、ロウデコーダモジュール12Aは、ワード線WLの電圧をキック電圧から読み出し電圧CRに下降させる。
【0098】
時刻t7において、BLCドライバDRは、制御信号BLCを電圧Vblcまで下降させる。このとき、センスアンプ部SA内における制御信号BLCの電圧は、Near側においてBLCドライバDRの出力電圧と同様となり、Far側においてNear側よりも遅れて電圧Vblcまで下降する。時刻t7における半導体記憶装置10の動作は、例えばワード線WLのFar側における電圧が、キック電圧によってピークに達したタイミングに基づいて実行される。
【0099】
第2実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作における時刻t8以降の動作は、
図12を用いて説明した第1実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作の時刻t8以降の動作と同様のため、説明を省略する。
【0100】
[2−2]第2実施形態の効果
以上で説明した第2実施形態における読み出し動作では、第1実施形態における読み出し動作に対して、キック動作時におけるワード線WLのFar側における電圧のピーク値が異なっている。キック動作時におけるワード線WLのFar側における電圧は、第1実施形態における読み出し動作よりも、第2実施形態における読み出し動作の方が低い。
【0101】
具体的には、キック動作時におけるワード線WLのFar側における電圧は、第1実施形態における読み出し動作ではキック電圧CR+CGkickに近い電圧まで上昇するが、第2実施形態における読み出し動作では読み出し電圧CRよりも高く且つ第1実施形態における読み出し動作よりも低い電圧まで上昇する。これは、選択されたワード線WLのRC遅延量が、第1実施形態よりも第2実施形態の方が大きいことを示している。
【0102】
これに対して、第2実施形態において制御信号BLCは、センスアンプ部SA内のFar側における電圧変化が、ワード線WLのFar側における電圧変化と連動するように設定される。つまり、第2実施形態における読み出し動作において、キック動作時における制御信号BLCのFar側におけるピーク値は、第1実施形態における読み出し動作よりも低くなるように設定される。
【0103】
これにより、第2実施形態に係る半導体記憶装置10は、ワード線WLのRC遅延量が第1実施形態で説明した読み出し動作よりも大きい場合において、制御信号BLCに対するキック動作時における制御信号BLCのキック量の時間変動を、ワード線WLに対するキック動作時におけるワード線WLのキック量の時間変動に近づけることが出来る。従って、第2実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1実施形態と同様に、ワード線WLに対してキック動作を実行した場合におけるビット線BLの安定時間を短くすることが出来るため、読み出し動作を高速化することが出来る。
【0104】
[3]第3実施形態
第3実施形態に係る半導体記憶装置10は、第3実施形態に係る半導体記憶装置10と同様の構成である。第3実施形態では、読み出し動作における各種制御信号の制御方法が、第1及び第2実施形態で説明した読み出し動作と異なっている。
【0105】
[3−1]動作
図14は、第3実施形態に係る半導体記憶装置10における読み出し動作の波形の一例を示し、
図12を用いて説明した第1実施形態に係る読み出し動作に対して、時刻t5以降の動作が異なっている。
【0106】
具体的には、
図14に示すように、時刻t5においてBLCドライバDRは、制御信号BLCを電圧Vblcよりも低くする。この電圧値は、例えば電圧VblcLであり、任意の値に設定することが可能である。
【0107】
時刻t6において、ロウデコーダモジュール12Aは、ワード線WLに対してキック動作を実行し、選択されたワード線WLに対してキック電圧CR+CGkickを一時的に印加する。
図14に示すようにワード線WLのFar側における電圧は、ワード線WLのNear側における電圧よりも遅れて電圧が上昇している。そして、ロウデコーダモジュール12Aは、ワード線WLの電圧をキック電圧から読み出し電圧CRに下降させる。
【0108】
時刻t7において、シーケンサ17は、制御信号SELR及びRPDを“L”レベルにする。すると、トランジスタTR及びTDがそれぞれオフ状態になり、BLCドライバDRとセンスアンプモジュール13との間の電流経路が減少する。また、シーケンサ17は、制御信号BLCにおいてキック動作を実行し、BLCドライバDRは、例えばキック電圧Vblc+BLkickの制御信号BLCを一時的に出力する。
【0109】
つまり、シーケンサ17は、選択されたワード線WLにキック電圧が印加された後に、電圧Vblcよりも低い電圧から制御信号BLCの電圧を上昇させる。このとき、センスアンプ部SA内における制御信号BLCの電圧は、Near側においてBLCドライバDRの出力電圧と同様となり、Far側においてNear側よりも遅れて電圧が上昇する。そしてBLCドライバDRは、制御信号BLCを電圧Vblcまで下降させる。
【0110】
第3実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作における時刻t8以降の動作は、
図12を用いて説明した第1実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作の時刻t8以降の動作と同様のため、説明を省略する。
【0111】
[3−2]第3実施形態の効果
以上で説明した第3実施形態における読み出し動作では、第1及び第2実施形態における読み出し動作に対して、キック動作時におけるワード線WLのFar側における電圧のピーク値が異なっている。キック動作時におけるワード線WLのFar側における電圧は、第2実施形態における読み出し動作よりも、第3実施形態における読み出し動作の方が低い。
【0112】
具体的には、第3実施形態における読み出し動作では、キック動作時におけるワード線WLのFar側における電圧が、読み出し電圧CRを超えない電圧となっている。これは、選択されたワード線WLのRC遅延量が、第2実施形態よりも第3実施形態の方が大きいことを示している。
【0113】
これに対して、第3実施形態において制御信号BLCは、センスアンプ部SA内のFar側における電圧変化が、ワード線WLのFar側における電圧変化と連動するように設定される。つまり、第3実施形態における読み出し動作において、キック動作時における制御信号BLCのFar側におけるピーク値は、第2実施形態における読み出し動作よりも低くなるように設定される。
【0114】
これにより、第3実施形態に係る半導体記憶装置10は、ワード線WLのRC遅延量が第2実施形態で説明した読み出し動作よりも大きい場合において、制御信号BLCに対するキック動作時における制御信号BLCのキック量の時間変動を、ワード線WLに対するキック動作時におけるワード線WLのキック量の時間変動に近づけることが出来る。従って、第3実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1及び第2実施形態と同様に、ワード線WLに対してキック動作を実行した場合におけるビット線BLの安定時間を短くすることが出来るため、読み出し動作を高速化することが出来る。
【0115】
[4]第4実施形態
第4実施形態に係る半導体記憶装置10は、センスアンプモジュール13内に設けられた抵抗部を用いて、ワード線WL及び制御信号BLCのキック動作時における各電圧の時間変動を連動させる。以下に、第4実施形態に係る半導体記憶装置10について、第1〜第3実施形態と異なる点を説明する。
【0116】
[4−1]構成
図15は、第4実施形態に係る半導体記憶装置10に含まれたセンスアンプモジュール13及び電圧生成回路19の詳細な構成例を示すブロック図である。以下では、説明を簡略化するため、1つのセンスアンプグループSAGが含むセンスアンプユニットSAUの個数が4個であると仮定する。
図15に示すようにセンスアンプモジュール13は、例えば抵抗部REG、トランジスタTL及びTR、センスアンプセグメントSEG0〜SEG7、トランジスタTDL0〜TDL3、並びにトランジスタTDR0〜TDR3を含んでいる。
【0117】
抵抗部REGは、ワード線WLの延伸方向に延伸して設けられる。抵抗部REGは、ワード線WLの延伸方向に配列するノードN0〜N7を含み、抵抗部REGの一端部分はトランジスタTLの一端に接続され、抵抗部REGの他端部分はトランジスタTRの一端に接続されている。トランジスタTL及びTRの他端はBLCドライバDRに接続され、トランジスタTL及びTRのゲートにはそれぞれ制御信号SELL及びSELRが入力される。
【0118】
また、抵抗部REGは、例えば一端及び他端間におけるRC遅延量が、ワード線WLに対応する導電体42のRC遅延量と同等になるように設計される。具体的には、例えばBLCドライバDRがトランジスタSELL及びSELRのうち一方を介して抵抗部REGを充放電した場合のRC遅延量が、ワード線WLのRC遅延量と同等になるように、抵抗部REGは設計される。
【0119】
センスアンプセグメントSEG0〜SEG7は、ワード線WLの延伸方向に配列している。各センスアンプセグメントSEGは、例えばワード線WLの延伸方向に配列する複数のセンスアンプグループSAGを含んでいる(図示せず)。セグメントSEG内において、ワード線WLの延伸方向に配列するセンスアンプユニットSAUの組を含む領域が、センスアンプリージョンRGを構成している。例えば、リージョンRG0が複数のセンスアンプユニットSAU0を含み、リージョンRG1が複数のセンスアンプユニットSAU1を含み、リージョンRG2が複数のセンスアンプユニットSAU2を含み、リージョンRG3が複数のセンスアンプユニットSAU3を含んでいる。セグメントSEG0におけるリージョンRG0〜RG3は、抵抗部REGのノードN0に接続され、セグメントSEG1におけるリージョンRG0〜RG3は、抵抗部REGのノードN1に接続されている。以下同様に、セグメントSEG2〜SEG7は、それぞれ抵抗部REGのノードN2〜N7に接続されている。
【0120】
トランジスタTDL0の一端は、セグメントSEG0内のリージョンRG0におけるセンスアンプユニットSAUに接続されている。トランジスタTDL1の一端は、セグメントSEG1内のリージョンRG1におけるセンスアンプユニットSAUに接続されている。トランジスタTDL2の一端は、セグメントSEG2内のリージョンRG2におけるセンスアンプユニットSAUに接続されている。トランジスタTDL3の一端は、セグメントSEG3内のリージョンRG3におけるセンスアンプユニットSAUに接続されている。このように、トランジスタTDL0〜TDL3は、それぞれ異なるセンスアンプセグメントSEG且つ異なるセンスアンプリージョンRGに接続されている。トランジスタTDL0〜TDL3の他端はBLCドライバDRに接続され、トランジスタTDL0〜TDL3のゲートには制御信号RPDが入力される。
【0121】
トランジスタTDR0の一端は、セグメントSEG7内のリージョンRG0におけるセンスアンプユニットSAUに接続されている。トランジスタTDR1の一端は、セグメントSEG6内のリージョンRG1におけるセンスアンプユニットSAUに接続されている。トランジスタTDR2の一端は、セグメントSEG5内のリージョンRG2におけるセンスアンプユニットSAUに接続されている。トランジスタTDR3の一端は、セグメントSEG4内のリージョンRG3におけるセンスアンプユニットSAUに接続されている。このように、トランジスタTDR0〜TDR3は、それぞれ異なるセンスアンプセグメントSEG且つ異なるセンスアンプリージョンRGに接続されている。トランジスタTDR0〜TDR3の他端はBLCドライバDRに接続され、トランジスタTDR0〜TDR3のゲートには制御信号RPDが入力される。
【0122】
以上で説明した構成において、各リージョンRGにトランジスタTDLと抵抗部REGとの両方が接続されている場合、これらの配線は共通接続されている。同様に、各リージョンRGにトランジスタTDRと抵抗部REGとの両方が接続されている場合、これらの配線は共通接続されている。
【0123】
図16は、第4実施形態に係る半導体記憶装置10に含まれたセンスアンプモジュール13の平面レイアウトの一例を示す図であり、
図15に示されたブロック図からセンスアンプセグメントSEG0〜SEG3に対応する領域を抽出して示している。
【0124】
図16に示すようにセンスアンプモジュール13の領域には、複数の導電体60、複数のビアコンタクト61、複数の導電体62、複数のビアコンタクト63、複数の導電体64、及び導電体65が設けられている。
【0125】
導電体60は、例えば配線層GCにおいてX方向に延伸して設けられている。導電体60は、センスアンプリージョンRG毎に設けられ、X方向に配列する複数のトランジスタ22のゲート電極として機能する。また、各セグメントSEG内において、Y方向に配列するトランジスタ22の組が同じセンスアンプグループSAGに対応し、X方向に配列するセンスアンプグループSAGの間には、シャント領域SHTが設けられている。
【0126】
ビアコンタクト61は、例えば配線層GCと配線層M1との間に設けられている。ビアコンタクト61は、例えば各センスアンプリージョンRGのシャント領域SHTにおいて、各導電体60上に少なくとも1つ設けられている。また、ビアコンタクト61は、導電体65上において、少なくともセンスアンプセグメントSEGの個数分設けられている。
【0127】
導電体62は、例えば配線層M1においてY方向に延伸して設けられている。導電体62は、セグメントSEG毎に、ビアコンタクト61を介して当該セグメントSEG内の導電体60及び65に接続されている。
【0128】
ビアコンタクト63は、例えば配線層GCと配線層M2との間に設けられている。ビアコンタクト63は、例えば各センスアンプセグメントSEGのシャント領域SHTにおいて、対応するセンスアンプリージョンRGの導電体60上に少なくとも1つ設けられている。
【0129】
導電体64は、例えば配線層M2においてセグメントSEG0〜SEG3のリージョンRG毎に、X方向に延伸して設けられている。複数の導電体64は、それぞれ異なるセンスアンプセグメントSEG且つ異なるセンスアンプリージョンRG内の導電体60上に設けられたビアコンタクト63に接続され、図示しない領域においてトランジスタTDLの一端に接続されている。具体的には、例えばリージョンRG0上を通過する導電体64は、ビアコンタクト63を介してセグメントSEG0内の導電体60に接続され、リージョンRG3上を通過する導電体64は、ビアコンタクト63を介してセグメントSEG3内の導電体60に接続される。
【0130】
導電体65は、抵抗部REGとして機能し、例えば配線層GCにおいてX方向に延伸して設けられている。導電体65上には、ノードN0〜N3に対応してビアコンタクト61が設けられ、これらのビアコンタクト61を介して、各セグメントSEGに対応する導電体62に電気的に接続されている。また、図示しない領域において導電体65は、X方向の一端部分がトランジスタTLの一端に接続され、X方向の他端部分がトランジスタTRの一端に接続されている。
【0131】
セグメントSEG4〜SEG7における平面レイアウトは、例えば
図15に示すように、セグメントSEG0〜SEG3における平面レイアウトを反転させた構成と同様になる。尚、同一のセンスアンプリージョンRGに対応する導電体64は、例えばセグメントSEG0〜SEG3と、セグメントSEG4〜SEG7との間で別々に設けられる。また、導電体65は、例えばセグメントSEG0〜SEG3に対応する領域と、セグメントSEG4〜SEG7に対応する領域とで別々に設けられ、これらの間が別の配線で接続されるようにしても良い。
【0132】
以上で説明した半導体記憶装置10の構成において、配線層GCに設けられた配線の抵抗値は、配線層M2に設けられた配線の抵抗値よりも小さい。また、同一のリージョンRGに設けられたビアコンタクト61とビアコンタクト63との間隔は、例えばトランジスタTLが接続された導電体65の端部から当該リージョンRGに対応するビアコンタクト61までの間隔よりも狭い。このため、導電体64からビアコンタクト63、導電体60、及びビアコンタクト61を介して導電体62に電流が流れる場合のRC遅延量は、導電体65からビアコンタクト61を介して導電体62に電流が流れる場合のRC遅延量よりも小さくなる。第4実施形態に係る半導体記憶装置10のその他の構成は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10の構成と同様のため、説明を省略する。
【0133】
尚、以上の説明では、ビアコンタクト63が配線層GCと配線層M2との間に設けられる場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、ビアコンタクト63は、配線層M1と配線層M2との間に設けられても良い。この場合にビアコンタクト63は、導電体62と導電体64との間に設けられ、導電体62と導電体64との間を電気的に接続する。
【0134】
[4−2]動作
第4実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1〜第3実施形態でそれぞれ説明した読み出し動作を実行することが出来る。つまり、第4実施形態における読み出し動作の波形は、第1〜第3実施形態でそれぞれ説明した読み出し動作の波形と同様である。
【0135】
第4実施形態におけるセンスアンプモジュール13では、各センスアンプセグメントSEG内のいずれか1つのセンスアンプリージョンRGが、制御信号RPDによって制御されるトランジスタTDL又はTDRに接続される。これにより、第4実施形態の読み出し動作においてトランジスタTDL及びTDRは、第1〜第3実施形態で説明したトランジスタTDと同様に機能し、動作することが出来る。第4実施形態に係る半導体記憶装置10のその他の動作は、第1〜第3実施形態で説明した半導体記憶装置10の動作と同様のため、説明を省略する。
【0136】
[4−3]第4実施形態の効果
以上のように第4実施形態に係る半導体記憶装置10では、センスアンプモジュール13が抵抗部REGを含んでいる。そして制御信号BLCが、抵抗部REGを介してセンスアンプモジュール13内の各センスアンプセグメントSEGに供給される。各センスアンプセグメントSEGは、抵抗部REGに接続されている位置が異なる。つまり、センスアンプセグメントSEGに供給される制御信号BLCは、センスアンプセグメントSEGと抵抗部REGとの接続位置に応じて抵抗部REGを通過する距離が変化する。
【0137】
これにより、第4実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1実施形態と同様に、制御信号BLCに対するキック動作時における制御信号BLCのキック量の時間変動を、ワード線WLに対するキック動作時におけるワード線WLのキック量の時間変動に近づけることが出来る。従って、第4実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1実施形態と同様に、ワード線WLに対してキック動作を実行した場合におけるビット線BLの安定時間を短くすることが出来るため、読み出し動作を高速化することが出来る。
【0138】
また、第4実施形態における抵抗部REGは、簡素なデザインで設計することが可能である。例えば、抵抗部REGにおけるRC遅延量を大きくする場合には導電体65の配線幅を細くし、抵抗部REGにおけるRC遅延量を小さくする場合には導電体65の配線幅を太くすることが考えられる。つまり、第4実施形態における抵抗部REGは、ワード線WLの設計に対応してRC遅延量の大きさを容易に調整することが出来るため、センスアンプモジュール13の設計コストを抑制することが出来る。
【0139】
[5]第5実施形態
第5実施形態に係る半導体記憶装置10は、第4実施形態におけるセンスアンプモジュール13に対して複数の抵抗部REGを追加したものである。以下に、第5実施形態に係る半導体記憶装置10について、第1〜第4実施形態と異なる点を説明する。
【0140】
[5−1]構成
図17は、第5実施形態に係る半導体記憶装置10に含まれたセンスアンプモジュール13及び電圧生成回路19の詳細な構成例を示すブロック図である。
図17に示すように第5実施形態におけるセンスアンプモジュール13は、
図15を用いて説明した第4実施形態におけるセンスアンプモジュール13に対して、複数のトランジスタTC、及び複数の抵抗部REGが設けられている。具体的には、第5実施形態におけるセンスアンプモジュール13は、抵抗部REG1及びREG2、トランジスタTC0〜TC7を含んでいる。
【0141】
抵抗部REG1及びREG2は、それぞれワード線WLの延伸方向に延伸して設けられ、ワード線WLの延伸方向に配列するノードN0〜N7を含んでいる。抵抗部REG1のノードN0〜N7は、それぞれセンスアンプセグメントSEG0〜SEG7内のセンスアンプユニットSAUに接続されている。抵抗部REG2のノードN0〜N7は、それぞれトランジスタTC0〜TC7の一端に接続され、トランジスタTC0〜TC7の他端は、抵抗部REG1のノードN0〜N7にそれぞれ接続されている。つまり、抵抗部REG1及びREG2のノードN0〜N7は、ビアコンタクト61を介して、それぞれセグメントSEG0〜SEG7に設けられた導電体62に接続されている。抵抗部REG1の一端部分はトランジスタTL1の一端に接続され、抵抗部REG1の他端部分はトランジスタTR1の一端に接続されている。トランジスタTL及びTRの他端はBLCドライバDRに接続され、トランジスタTL及びTRのゲートにはそれぞれ制御信号SELL及びSELRが入力される。トランジスタTC0〜TC7のゲートには、制御信号SELCが入力される。制御信号SELL、SELR、及びSELCは、例えばシーケンサ17によって生成される。
【0142】
以上のような構成において、抵抗部REG1は、例えば一端及び他端間におけるRC遅延量が、RC遅延量の小さいワード線WLに対応する導電体42と同様になるように設計される。抵抗部REG2は、例えば抵抗部REG1との組み合わせにより、一端部分及び他端部分間におけるRC遅延量が、RC遅延量の大きいワード線WLに対応する導電体42と同様になるように設計される。第5実施形態に係る半導体記憶装置10のその他の構成は、第4実施形態に係る半導体記憶装置10の構成と同様のため、説明を省略する。
【0143】
[5−2]動作
第5実施形態に係る半導体記憶装置10は、第4実施形態で説明した読み出し動作に対して、選択されたワード線WLのアドレスに応じてキック動作時における制御信号SELCの制御を追加することにより、制御信号BLCのキック量を調整する。
【0144】
第5実施形態におけるキック動作の制御方法の一例が、
図18に示されている。以下に説明する動作は、例えば
図12に示された第1実施形態における読み出し動作の時刻t7〜t8間の動作、
図13に示された第2実施形態における読み出し動作の時刻t7〜t8間の動作、又は
図14に示された第3実施形態における読み出し動作の時刻t7〜t8間の動作に対応している。
【0145】
図18に示すように、選択ブロックが偶数ブロック且つキック量を大きくする場合、シーケンサ17は、制御信号SELLを“H”レベルにして、制御信号SELR及びSELCを“L”レベルにする。すると制御信号BLCは、トランジスタTL1と抵抗部REG1を介して、各センスアンプセグメントSEGに供給される。
【0146】
一方で、選択ブロックが偶数ブロック且つキック量を小さくする場合、シーケンサ17は、制御信号SELL及びSELCを“H”レベルにして、制御信号SELRを“L”レベルにする。制御信号SELCが“H”レベルになると、抵抗部REG1と抵抗部REG2との間を接続するトランジスタTC0〜TC7が全てオン状態になり、抵抗部REG1に供給された信号は、トランジスタTCを介して抵抗部REG2も迂回するようになる。これにより制御信号BLCは、トランジスタTLと抵抗部REG1及びREG2とを介して、各センスアンプセグメントSEGに供給される。
【0147】
選択ブロックが奇数ブロック且つキック量を大きくする場合、シーケンサ17は、制御信号SELL及びSELCを“L”レベルにして、制御信号SELRを“H”レベルにする。すると制御信号BLCは、トランジスタTRと抵抗部REG1とを介して、各センスアンプセグメントSEGに供給される。
【0148】
一方で、選択ブロックが奇数ブロック且つキック量を小さくする場合、シーケンサ17は、制御信号SELLを“L”レベルして、制御信号SELR及びSELCを“H”レベルにする。すると制御信号BLCは、トランジスタTRと抵抗部REG1及びREG2とを介して、各センスアンプセグメントSEGに供給される。
第5実施形態に係る半導体記憶装置10のその他の動作は、第4実施形態に係る半導体記憶装置10の動作と同様のため、説明を省略する。
【0149】
[5−3]第5実施形態の効果
以上のように第5実施形態に係る半導体記憶装置10では、センスアンプモジュール13が複数の抵抗部REGを含んでいる。そしてシーケンサ17が、選択されたワード線WLのアドレスに応じて制御信号BLCを供給する抵抗部REGの本数を変更する。
【0150】
具体的には、例えばシーケンサ17が、RC遅延量の大きいワード線WLが選択された場合に、1本の抵抗部REGを介して各センスアンプ部SAに制御信号BLCを供給し、RC遅延量の小さいワード線WLが選択された場合に、2本の抵抗部REGを介して各センスアンプ部SAに制御信号BLCを供給するようにトランジスタTL1、TL2、TR1、及びTR2を制御する。
【0151】
これにより、第5実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1〜第4実施形態と同様に、制御信号BLCに対するキック動作時における制御信号BLCのキック量の時間変動を、ワード線WLに対するキック動作時におけるワード線WLのキック量の時間変動に近づけることが出来る。従って、第5実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1〜第4実施形態と同様に、ワード線WLに対してキック動作を実行した場合におけるビット線BLの安定時間を短くすることが出来るため、読み出し動作を高速化することが出来る。
【0152】
また、第5実施形態に係る半導体記憶装置10は、制御信号BLCのRC遅延量を複数の抵抗部REG並びに複数のトランジスタTL及びTRを使用することにより変更する。つまり、第5実施形態に係る半導体記憶装置10の動作は、さらに第1〜第3実施形態で説明した読み出し動作と組み合わせることによって、より精度高くワード線WLと制御信号BLCとを連動させることが出来る。
【0153】
[6]第6実施形態
第6実施形態に係る半導体記憶装置10は、センスアンプモジュール13が複数の抵抗部REGを含む場合において、各抵抗部REGがそれぞれ異なるセンスアンプセグメントSEGに接続されるものである。以下に、第6実施形態に係る半導体記憶装置10について、第1〜第5実施形態と異なる点を説明する。
【0154】
[6−1]構成
図19は、第6実施形態に係る半導体記憶装置10に含まれたセンスアンプモジュール13及び電圧生成回路19の詳細な構成例を示すブロック図である。
図19に示すように第6実施形態におけるセンスアンプモジュール13は、
図15を用いて説明した第4実施形態におけるセンスアンプモジュール13に対して、複数のトランジスタSELL及びSELR、並びに複数抵抗部REGが設けられ、さらにトランジスタTDL及びTDRと各セグメントSEGとの接続関係が異なっている。具体的には、第6実施形態におけるセンスアンプモジュール13は、センスアンプセグメントSEGa0〜SEGa7、センスアンプセグメントSEGb0〜SEGb7、抵抗部REGa及びREGb、トランジスタSELLa及びSELLb、並びにトランジスタSELRa及びSELRbを含んでいる。
【0155】
センスアンプセグメントSEGaは、例えばセンスアンプリージョンRG0及びRG1を含んでいる。セグメントSEGa0及びSEGa1におけるリージョンRG0内のセンスアンプユニットSAUはトランジスタTDL0の一端に接続され、セグメントSEGa2及びSEGa3におけるリージョンRG1内のセンスアンプユニットSAUはトランジスタTDL1の一端に接続され、セグメントSEGa4及びSEGa5におけるリージョンRG1内のセンスアンプユニットSAUはトランジスタTDR1の一端に接続され、セグメントSEGa6及びSEGa7におけるリージョンRG0内のセンスアンプユニットSAUはトランジスタTDR0の一端に接続されている。トランジスタTDL0、TDL1、TDR0、及びTDR1の他端はBLCドライバDRに接続され、トランジスタTDL0、TDL1、TDR0、及びTDR1のゲートには制御信号RPDaが入力される。
【0156】
センスアンプセグメントSEGbは、例えばセンスアンプリージョンRG2及びRG3を含んでいる。セグメントSEGb0及びSEGb1におけるリージョンRG2内のセンスアンプユニットSAUはトランジスタTDL2の一端に接続され、セグメントSEGb2及びSEGb3におけるリージョンRG3内のセンスアンプユニットSAUはトランジスタTDL3の一端に接続され、セグメントSEGb4及びSEGb5におけるリージョンRG3内のセンスアンプユニットSAUはトランジスタTDR3の一端に接続され、セグメントSEGb6及びSEGb7におけるリージョンRG2内のセンスアンプユニットSAUはトランジスタTDR2の一端に接続されている。トランジスタTDL2、TDL3、TDR2、及びTDR3の他端はBLCドライバDRに接続され、トランジスタTDL2、TDL3、TDR2、及びTDR3のゲートには制御信号RPDbが入力される。
【0157】
抵抗部REGa及びREGbは、それぞれワード線WLの延伸方向に延伸して設けられ、ワード線WLの延伸方向に配列するノードN0〜N7を含んでいる。抵抗部REGaのノードN0〜N7は、それぞれセンスアンプセグメントSEGa0〜SEGa7内のセンスアンプユニットSAUに接続されている。具体的には、抵抗部REGaのノードN0〜N7は、ビアコンタクト61を介して、それぞれセグメントSEGa0〜SEGa7に設けられた導電体62に接続されている。抵抗部REGaの一端部分はトランジスタTLaの一端に接続され、抵抗部REGaの他端部分はトランジスタTRaの一端に接続されている。抵抗部REGbのノードN0〜N7は、それぞれセンスアンプセグメントSEGb0〜SEGb7内のセンスアンプユニットSAUに接続されている。具体的には、抵抗部REGbのノードN0〜N7は、ビアコンタクト61を介して、セグメントSEGb0〜SEGb7に設けられた導電体62に接続されている。抵抗部REGbの一端部分はトランジスタTLbの一端に接続され、抵抗部REGbの他端部分はトランジスタTRbの一端に接続されている。トランジスタTLa、TLb、TRa、及びTRbの他端はBLCドライバDRに接続され、トランジスタTLa、TLb、TRa、及びTRbのゲートにはそれぞれ制御信号SELLa、SELLb、SELRa、及びSELRbが入力される。
【0158】
以上のような構成において、抵抗部REGa及びREGbは、それぞれ例えば一端部分及び他端部分間におけるRC遅延量が、ワード線WLに対応する導電体42のRC遅延量と同様になるように設計される。また、以上で説明した制御信号RPDa、RPDb、SELL1、SELL2、SELR1、及びSELR2は、例えばシーケンサ17によって生成される。また、以上で説明したセンスアンプリージョンRG0及びRG1は、例えば奇数ビット線に接続され、センスアンプリージョンRG2及びRG3は、例えば奇数ビット線に接続される。第6実施形態に係る半導体記憶装置10のその他の構成は、第4実施形態に係る半導体記憶装置10の構成と同様のため、説明を省略する。
【0159】
[6−2]動作
第6実施形態に係る半導体記憶装置10は、例えば選択されたビット線が奇数番目か偶数番目かに応じて、キック動作時における制御信号SELL及びSELRの制御方法を変化させる。第6実施形態におけるキック動作の制御方法の一例が、
図20に示されている。尚、以下に説明する動作は、例えば
図12に示された第1実施形態における読み出し動作の時刻t5〜t6間の動作、
図13に示された第2実施形態における読み出し動作の時刻t5〜t6間の動作、又は
図14に示された第3実施形態における読み出し動作の時刻t5〜t6間の動作に対応している。
【0160】
図20に示すように、選択ブロックが偶数ブロック且つ奇数ビット線が選択された場合、シーケンサ17は、制御信号SELLaを“H”レベルして、制御信号SELLb、SELRa、及びSELRbを“L”レベルにする。すると制御信号BLCは、トランジスタTLaと抵抗部REGaとを介して、各センスアンプセグメントSEGaに供給される。一方で、選択ブロックが偶数ブロック且つ偶数ビット線が選択された場合、シーケンサ17は、制御信号SELLbを“H”レベルして、制御信号SELLa、SELRa、及びSELRbを“L”レベルにする。すると制御信号BLCは、トランジスタTLbと抵抗部REGbとを介して、各センスアンプセグメントSEGbに供給される。
【0161】
選択ブロックが奇数ブロック且つ奇数ビット線が選択された場合、シーケンサ17は、制御信号SELRaを“H”レベルして、制御信号SELLa、SELLb、及びSELRbを“L”レベルにする。すると制御信号BLCは、トランジスタTRaと抵抗部REGaとを介して、各センスアンプセグメントSEGaに供給される。一方で、選択ブロックが奇数ブロック且つ偶数ビット線が選択された場合、シーケンサ17は、制御信号SELRbを“H”レベルして、制御信号SELLa、SELLb、及びSELRaを“L”レベルにする。すると制御信号BLCは、トランジスタTRbと抵抗部REGbとを介して、各センスアンプセグメントSEGbに供給される。第6実施形態に係る半導体記憶装置10のその他の動作は、第4実施形態に係る半導体記憶装置10の動作と同様のため、説明を省略する。
【0162】
[6−3]第6実施形態の効果
以上のように第6実施形態に係る半導体記憶装置10では、センスアンプモジュール13が複数の抵抗部REGを含み、抵抗部REG毎に割り当てられたセンスアンプセグメントSEGを含んでいる。そして、これらの抵抗部REG及びセンスアンプセグメントSEGの組は、例えば奇数ビット線又は偶数ビット線に関連付けられている。
【0163】
これにより、第6実施形態に係る半導体記憶装置10は、奇数ビット線及び偶数ビット線において配線抵抗等が異なる場合において、制御信号BLCのキック量をそれぞれ最適化することが出来る。従って、第6実施形態に係る半導体記憶装置10は、ビット線BLに対するキック量のばらつきを抑制することが出来るため、読み出し動作の信頼性を向上することが出来る。
【0164】
尚、以上の説明では、センスアンプセグメントSEGaが奇数ビット線に関連付けられ、センスアンプセグメントSEGbが偶数ビット線に関連付けられた場合を例に説明したが、これに限定されない。各センスアンプセグメントSEGには、その他の異なる構成を適用しても良い。また、以上の説明では、例えばトランジスタTDL0が複数のセグメントSEGに含まれたセンスアンプリージョンRG0に接続された場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、第6実施形態に係る半導体記憶装置10は、第4実施形態に係る半導体記憶装置10のように、1つのトランジスタTDに対して1つのセグメントSEGに含まれた1つのリージョンRGが接続されるように構成されても良い。
【0165】
[7]第7実施形態
第7実施形態に係る半導体記憶装置10は、制御信号BLCを供給する配線の一端側から駆動するドライバと他端側から駆動するドライバとを含み、ワード線WL及び制御信号BLCのキック量の時間変動を近づけた読み出し動作を実行する。以下に、第7実施形態に係る半導体記憶装置10について、第1〜第6実施形態と異なる点を説明する。
【0166】
[7−1]構成
図21は、第7実施形態に係る半導体記憶装置10に含まれたセンスアンプモジュール13及び電圧生成回路19の詳細な構成例を示すブロック図である。
図21に示すように、センスアンプモジュール13は複数のセンスアンプセグメントSEG1及びSEG2を含み、電圧生成回路19はBLCドライバDR1及びDR2を含んでいる。
【0167】
センスアンプセグメントSEG1及びSEG2は、それぞれ複数のセンスアンプグループSAGを含んでいる。セグメントSEG1内のセンスアンプSAUは、領域AR1に設けられたNANDストリングNSに対応するビット線BLに接続され、セグメントSEG2内のセンスアンプSAUは、領域AR2に設けられたNANDストリングNSに対応するビット線BLに接続されている。
【0168】
BLCドライバDR1及びDR2は、図示せぬチャージポンプが生成した電圧に基づいて、それぞれ制御信号BLC1及びBLC2を生成する。BLCドライバDR1は、生成した制御信号BLC1をセグメントSEG1に含まれたセンスアンプユニットSAUに供給し、BLCドライバDR2は、生成した制御信号BLC2をセグメントSEG2に含まれたセンスアンプユニットSAUに供給する。
【0169】
以上で説明した第7実施形態におけるセンスアンプモジュール13では、偶数ブロックが選択された場合に、領域AR1に対応するセンスアンプセグメントSEG1がNear側に対応し、領域AR2に対応するセンスアンプセグメントSEG2がFar側に対応する。同様に、奇数ブロックが選択された場合に、領域AR2に対応するセンスアンプセグメントSEG2がNear側に対応し、領域AR1に対応するセンスアンプセグメントSEG2がFar側に対応する。
【0170】
[7−2]動作
第7実施形態に係る半導体記憶装置10は、読み出し動作において制御信号BLCに対するキック動作を実行する場合、偶数ブロックが選択されたか奇数ブロックが選択されたかによって、BLCドライバDR1及びDR2の制御方法を変化させる。言い換えると、領域AR1及びAR2における“Near”及び“Far”の対応関係に基づいて、シーケンサ17は、制御信号BLC1及びBLC2の制御方法を変更する。
【0171】
例えば、シーケンサ17は、領域AR1及びAR2がそれぞれ“Near”及び“Far”に対応する場合、制御信号BLC1及びBLC2にそれぞれ“Near”及び“Far”の制御を適用し、領域AR1及びAR2がそれぞれ“Far”及び“Near”に対応する場合、制御信号BLC1及びBLC2に“Near”及び“Far”の制御を適用する。
【0172】
図22は、第7実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作のフローチャートの一例を示している。
図22に示すように、まず半導体記憶装置10は、外部のコントローラから読み出し命令を受信する(ステップS10)。次にシーケンサ17は、格納されたアドレス情報ADDから、選択されたブロックBLKのアドレスを確認し、選択されたブロックBLKが偶数ブロックであるか、奇数ブロックであるかを確認する(ステップS11)。そしてシーケンサ17は、偶数ブロックが選択された場合に、制御信号BLC1及びBLC2にそれぞれ“Near”及び“Far”の制御を適用し(ステップS15)、読み出し動作を実行する(ステップS17)。一方でシーケンサ17は、奇数ブロックが選択された場合に、制御信号BLC1及びBLC2にそれぞれ“Far”及び“Near”の制御を適用し(ステップS16)、読み出し動作を実行する(ステップS17)。
【0173】
以下に、偶数ブロックが選択された場合における読み出し動作の詳細について説明する。
図23は、第7実施形態に係る半導体記憶装置10における読み出し動作の波形の一例を示し、偶数ブロックが選択された場合の当該ブロックBLKにおける選択ワード線WLの波形、並びに制御信号BLC及びSTBの波形の一例を示している。また、
図23は、ワード線WLの波形と、制御信号BLCの波形とにおいて、Near側及びFar側に対応する波形をそれぞれ実線及び破線で示している。
【0174】
図23に示すように、第7実施形態における読み出し動作の時刻t0〜t3間における動作は、
図12を用いて説明した第1実施形態における読み出し動作の時刻t1〜t9間における動作に対応している。具体的には、
図23に示されたワード線WL及び制御信号STBの波形は、
図12に示されたワード線WL及び制御信号STBの波形と同様であり、
図23に示された制御信号BLCの波形が、
図23に示された制御信号BLCの波形と異なっている。
【0175】
図23に示すように、時刻t1においてロウデコーダモジュール12Aは、ワード線WLの電圧が電圧ARまで下降させる。また、時刻t1においてBLCドライバDR1及びDR2は、制御信号BLCを例えばキック電圧Vblc+BLkickまで上昇させる。
【0176】
そして、BLCドライバDR1は、ワード線WLのNear側の電圧の時間変動に基づいて制御信号BLC1を制御し、BLCドライバDR2は、ワード線WLのFar側の電圧の時間変動に基づいて制御信号BLC2を制御する。具体的には、BLCドライバDR1は、制御信号BLC1の電圧をワード線WLのNear側における波形に連動させて段階的に下降させ、BLCドライバDR2は、制御信号BLC2の電圧をワード線WLのFar側における波形に連動させて段階的に下降させる。
【0177】
時刻t2においてワード線WLにキック電圧が印加された後に、シーケンサ17は制御信号BLCに対するキック動作を実行し、BLCドライバDR1及びDR2は例えばキック電圧Vblc+BLkickの制御信号BLCを出力する。そして、BLCドライバDR1は、制御信号BLC1の電圧をワード線WLのNear側における波形に連動させて段階的に下降させ、BLCドライバDR2は、制御信号BLC2の電圧をワード線WLのFar側における波形に連動させて段階的に下降させる。第7実施形態における読み出し動作のその他の動作は、第1実施形態における読み出し動作と同様のため、説明を省略する。
【0178】
尚、以上で説明した制御信号BLC1及びBLC2を上昇及び下降させる際に段階的に印加する電圧の数は、図示した数に限定されず、それぞれ任意の数に設定することが可能である。
【0179】
[7−3]第7実施形態の効果
以上のように第7実施形態に係る半導体記憶装置10は、センスアンプモジュール13をワード線方向に2つの領域に分割し、一方の領域に対応するBLCドライバDR1と、他方の領域に対応するBLCドライバDR2とを含んでいる。
【0180】
そして、第7実施形態に係る半導体記憶装置10は、キック動作時において選択されたブロックBLKに応じて、Near側に対応するBLCドライバDRとFar側に対応するBLCドライバDRとで、異なる制御信号BLCを出力させる。具体的には、キック動作時において、Near側に対応するBLCドライバDRがワード線WLのNear側における電圧の時間変動と連動するように制御され、Far側に対応するBLCドライバDRがワード線WLのFar側における電圧の時間変動と連動するように制御される。
【0181】
さらに、第7実施形態においてBLCドライバDRは、キック動作時において制御信号BLCの電圧変化をワード線WLの電圧の時間変動と連動させるために、時間方向で複数種類の電圧を段階的に印加する。時間方向で複数種類の電圧を印加することによってBLCドライバDRは、例えば第1実施形態で説明した読み出し動作のキック動作時におけるNear側及びFar側における波形と似た波形を形成することが出来る。言い換えると、例えばBLCドライバDR1が、ワード線WLのNear側に対するキック動作と連動させた制御信号BLC1を出力し、BLCドライバDR2が、ワード線WLのFar側に対するキック動作と連動させた制御信号BLC2を出力することが出来る。
【0182】
これにより、第7実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1実施形態と同様に、制御信号BLCに対するキック動作時における制御信号BLCのキック量の時間変動を、ワード線WLに対するキック動作時におけるワード線WLのキック量の時間変動に近づけることが出来る。従って、第7実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1実施形態と同様に、ワード線WLに対してキック動作を実行した場合におけるビット線BLの安定時間を短くすることが出来るため、読み出し動作を高速化することが出来る。
【0183】
[8]第8実施形態
第8実施形態に係る半導体記憶装置10は、第7実施形態に係る半導体記憶装置10と同様の構成である。第8実施形態では、読み出し動作における各種制御信号の制御方法が、第7実施形態で説明した読み出し動作と異なっている。
【0184】
[8−1]動作
図24は、第8実施形態に係る半導体記憶装置10における読み出し動作の波形の一例を示している。
図24に示すように、第8実施形態における読み出し動作の時刻t0〜t3間における動作は、
図23を用いて説明した第7実施形態に係る読み出し動作に対して、時刻t2以降の動作が異なっている。
【0185】
具体的には、
図24に示すように、時刻t2においてワード線WLにキック電圧が印加された後に、シーケンサ17は制御信号BLCに対するキック動作を実行し、BLCドライバDR1は例えばキック電圧Vblc+BLkickの制御信号BLCを出力する。一方で、BLCドライバDR2はワード線WLのFar側における電圧がピークに達するタイミングに基づいて、制御信号BLCの電圧をキック電圧Vblc+BLkickよりも低い電圧に段階的に上昇させる。
【0186】
そして、BLCドライバDR1は、制御信号BLC1の電圧をワード線WLのNear側における波形に合わせて段階的に下降させ、BLCドライバDR2は、制御信号BLC2の電圧をワード線WLのFar側における波形に合わせて段階的に下降させる。第8実施形態における読み出し動作のその他の動作は、第7実施形態における読み出し動作と同様のため、説明を省略する。
【0187】
[8−2]第8実施形態の効果
以上で説明した第8実施形態における読み出し動作では、第7実施形態における読み出し動作に対して、キック動作時におけるワード線WLのFar側における電圧のピーク値が異なっている。キック動作時におけるワード線WLのFar側における電圧は、第7実施形態にける読み出し動作よりも、第8実施形態における読み出し動作の方が低い。
【0188】
具体的には、キック動作時におけるワード線WLのFar側における電圧は、第8実施形態における読み出し動作ではキック電圧CR+CGkickに近い電圧まで上昇するが、第8実施形態における読み出し動作では読み出し電圧CRよりも高く且つ第7実施形態における読み出し動作よりも低い電圧まで上昇する。これは、選択されたワード線WLのRC遅延量が、第8実施形態よりも第7実施形態の方が大きいことを示している。
【0189】
これに対して、第8実施形態において制御信号BLCは、センスアンプ部SA内のFar側における電圧変化が、ワード線WLのFar側における電圧変化と連動するように設定される。つまり、第8実施形態における読み出し動作において、キック動作時における制御信号BLCのFar側におけるピーク値は、第7実施形態における読み出し動作よりも低くなるように設定される。
【0190】
これにより、第8実施形態に係る半導体記憶装置10は、ワード線WLのRC遅延量が第7実施形態で説明した読み出し動作よりも大きい場合において、制御信号BLCに対するキック動作時における制御信号BLCのキック量の時間変動を、ワード線WLに対するキック動作時におけるワード線WLのキック量の時間変動に近づけることが出来る。従って、第8実施形態に係る半導体記憶装置10は、第7実施形態と同様に、ワード線WLに対してキック動作を実行した場合におけるビット線BLの安定時間を短くすることが出来るため、読み出し動作を高速化することが出来る。
【0191】
[9]第9実施形態
第9実施形態に係る半導体記憶装置10は、第7実施形態に係る半導体記憶装置10と同様の構成である。第9実施形態では、読み出し動作における各種制御信号の制御方法が、第7及び第8実施形態で説明した読み出し動作と異なっている。
【0192】
[9−1]動作
図25は、第9実施形態に係る半導体記憶装置10における読み出し動作の波形の一例を示している。
図25に示すように、第9実施形態における読み出し動作の時刻t0〜t3間における動作は、
図23を用いて説明した第7実施形態に係る読み出し動作に対して、時刻t2以降の動作が異なっている。
【0193】
具体的には、
図25に示すように、時刻t3においてワード線WLにキック電圧が印加された後に、シーケンサ17は制御信号BLCに対するキック動作を実行し、BLCドライバDR1は例えばキック電圧Vblc+BLkickの制御信号BLC1を出力し、制御信号BLC1の電圧をワード線WLのNear側における波形に合わせて段階的に下降させる。
【0194】
一方で、BLCドライバDR2は、制御信号BLC2の電圧をワード線WLのFar側における波形に合わせて電圧Vblcまで段階的に上昇させる。第9実施形態における読み出し動作のその他の動作は、第7実施形態における読み出し動作と同様のため、説明を省略する。
【0195】
[9−2]第9実施形態の効果
以上で説明した第9実施形態における読み出し動作では、第7及び第8実施形態における読み出し動作に対して、キック動作時におけるワード線WLのFar側における電圧のピーク値が異なっている。キック動作時におけるワード線WLのFar側における電圧は、第8実施形態における読み出し動作よりも、第9実施形態における読み出し動作の方が低い。
【0196】
具体的には、第9実施形態における読み出し動作では、キック動作時におけるワード線WLのFar側における電圧が、読み出し電圧CRを超えない電圧となっている。これは、選択されたワード線WLのRC遅延量が、第8実施形態よりも第9実施形態の方が大きいことを示している。
【0197】
これに対して、第9実施形態において制御信号BLCは、センスアンプ部SA内のFar側における電圧変化が、ワード線WLのFar側における電圧変化と連動するように設定される。つまり、第9実施形態における読み出し動作において、キック動作時における制御信号BLCのFar側におけるピーク値は、第8実施形態における読み出し動作よりも低くなるように設定される。
【0198】
これにより、第9実施形態に係る半導体記憶装置10は、ワード線WLのRC遅延量が第8実施形態で説明した読み出し動作よりも大きい場合において、制御信号BLCに対するキック動作時における制御信号BLCのキック量の時間変動を、ワード線WLに対するキック動作時におけるワード線WLのキック量の時間変動に近づけることが出来る。従って、第9実施形態に係る半導体記憶装置10は、第7及び第8実施形態と同様に、ワード線WLに対してキック動作を実行した場合におけるビット線BLの安定時間を短くすることが出来るため、読み出し動作を高速化することが出来る。
【0199】
[10]第10実施形態
第10実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10と同様の構成である。第10実施形態では、第1実施形態で説明した読み出し動作に対して、印加する読み出し電圧の順番が異なっている。
【0200】
[10−1]動作
図26は、第10実施形態に係る半導体記憶装置10における読み出し動作の波形の一例を示している。
図26に示すように第10実施形態における読み出し動作の波形は、
図12を用いて説明した第1実施形態における読み出し動作に対して、ワード線WLの波形が異なっている。
【0201】
具体的には、
図26に示すように、時刻t1においてロウデコーダモジュール12Aは、ワード線WLに例えば読み出しパス電圧Vreadを印加する。そしてロウデコーダモジュール12Aは、時刻t2よりも前にワード線WLの電圧の下降を開始し、ワード線WLの電圧を読み出し電圧CRまで下降させる。第1実施形態と同様に、ワード線WLのNear側における電圧は、ワード線WLのFar側における電圧よりも立ち上がり及び立ち下がりが早い。
【0202】
このときシーケンサ17は、例えばワード線WLのNear側における電圧が電圧CRに下降するタイミングと、時刻t3の後にセンスアンプ部SA内のNear側における制御信号BLCが電圧Vblcに下降するタイミングとが揃うように制御し、ワード線WLのFar側における電圧が電圧CRに下降するタイミングと、センスアンプ部SA内のFar側における制御信号BLCが電圧Vblcに下降するタイミングとが揃うように制御する。
【0203】
その後シーケンサ17が制御信号STBを“H”レベルにすると、センスアンプユニットSAUは対応する選択メモリセルの閾値電圧が電圧CR以上であるか否かを判定し、判定結果をセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路に保持する。
【0204】
時刻t5においてロウデコーダモジュール12Aは、ワード線WLの電圧を読み出し電圧CRから読み出し電圧ARに下降させる。例えば、シーケンサ17は、ワード線WLのNear側における電圧が電圧ARに下降するタイミングと、時刻t7の後にセンスアンプ部SA内のNear側における制御信号BLCが電圧Vblcに下降するタイミングとが揃うように制御し、ワード線WLのFar側における電圧が電圧ARに下降するタイミングと、センスアンプ部SA内のFar側における制御信号BLCが電圧Vblcに下降するタイミングとが揃うように制御する。
【0205】
その後シーケンサ17が制御信号STBを“H”レベルにすると、センスアンプユニットSAUは対応する選択メモリセルの閾値電圧が電圧AR以上であるか否かを判定し、判定結果をセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路に保持する。
【0206】
第10実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作におけるその他の動作は、
図12を用いて説明した第1実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作と同様のため、説明を省略する。
【0207】
[10−2]第10実施形態の効果
以上のように、第10実施形態における読み出し動作では、第1実施形態における読み出し動作に対して、読み出し電圧が高い方から順番に読み出しを実行している。このような場合においても第10実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10と同様の効果を得ることが出来る。
【0208】
また、読み出し動作において始めにワード線WLの電圧を読み出しパス電圧Vreadに上げる制御がある場合、第10実施形態における読み出し動作では、例えばワード線WLの電圧を段階的に下げる制御のみとなる。
【0209】
これにより、ワード線WLの電圧が高速に遷移することが可能となるため、第10実施形態に係る半導体記憶装置10は、読み出し動作を高速化することが出来る。また、第10実施形態に係る半導体記憶装置10は、読み出し動作における充放電の回数が少なくなるため、充放電に伴う電流の消費量を抑制することが出来る。
【0210】
[11]第11実施形態
第11実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10と同様の構成である。第11実施形態では、第10実施形態で説明した読み出し動作に対して、ワード線WLに印加する電圧の制御方法が異なっている。
【0211】
[11−1]動作
図27は、第11実施形態に係る半導体記憶装置10における読み出し動作の波形の一例を示している。
図27に示すように第11実施形態における読み出し動作の波形は、
図26を用いて説明した第10実施形態における読み出し動作に対して、ワード線WLの波形が異なっている。
【0212】
具体的には、
図27に示すように、時刻t1においてロウデコーダモジュール12Aは、ワード線WLに例えば読み出しパス電圧Vreadを印加する。そしてシーケンサ17は、ワード線WLの電圧を読み出しパス電圧Vreadから読み出し電圧CRまで下降させる際に、キック動作を実行する。
【0213】
第11実施形態におけるワード線WLに対するキック動作は、電圧を小さくする方向に制御される。具体的には、ロウデコーダモジュール12Aは、例えば時刻t3において、選択されたワード線WLに対してキック電圧CR−CGkickを一時的に印加する。尚、ワード線WLのキック量CGkickは、任意の値に設定することが可能であり、キック電圧を印加するタイミングは、時刻t3よりも前又は時刻t3よりも後であっても良い。その後、ロウデコーダモジュール12Aは、ワード線WLに読み出し電圧CRを印加する。
【0214】
このときシーケンサ17は、例えばワード線WLのNear側における電圧が電圧CRに上昇するタイミングと、ワード線WLのFar側における電圧が電圧CRに下降するタイミングとが揃うように制御する。
【0215】
同様に、時刻t5においてロウデコーダモジュール12Aは、ワード線WLの電圧を読み出し電圧CRから読み出し電圧ARまで下降させる際に、キック動作を適用する。具体的には、ロウデコーダモジュール12Aは、例えば時刻t7において、選択されたワード線WLに対してキック電圧AR−CGkickを一時的に印加する。尚、キック電圧を印加するタイミングは、時刻t3よりも前又は時刻t3よりも後であっても良い。その後、ロウデコーダモジュール12Aは、ワード線WLに読み出し電圧ARを印加する。
【0216】
第11実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作におけるその他の動作は、
図26を用いて説明した第10実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作と同様のため、説明を省略する。
【0217】
[11−2]第11実施形態の効果
以上のように、第11実施形態における読み出し動作では、第10実施形態における読み出し動作に対してワード線WLのキック動作を追加している。このような場合においても第11実施形態に係る半導体記憶装置10は、第10実施形態に係る半導体記憶装置10と同様の効果を得ることが出来る。
【0218】
また、第11実施形態における読み出し動作では、ワード線WLに対するキック動作を実行しているため、ワード線WLのFar側における電圧が所望の読み出し電圧に到達するまでの時間が、第10実施形態における読み出し動作よりも速くなる。従って、第11実施形態に係る半導体記憶装置10は、第10実施形態に係る半導体記憶装置10よりも読み出し動作を高速化することが出来る。
【0219】
[12]第12実施形態
第12実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10と同様の構成である。第12実施形態では、第11実施形態で説明した読み出し動作に対して、制御信号BLCの制御方法が異なっている。
【0220】
[12−1]動作
図28は、第12実施形態に係る半導体記憶装置10における読み出し動作の波形の一例を示している。
図28に示すように第12実施形態における読み出し動作の波形は、
図27を用いて説明した第11実施形態における読み出し動作に対して、制御信号BLCの波形が異なっている。
【0221】
第12実施形態における読み出し動作では、シーケンサ17が、例えば時刻t2において制御信号BLCにキック動作を実行し、さらに時刻t3において電圧を小さくする方向にキック動作を実行する。言い換えると、シーケンサ17は、一端制御信号BLC全体を正方向のキック動作を実行した後に、目的の電圧よりも小さくする方向(負方向)のキック動作を実行し、その後に目的の電圧を印加する。
【0222】
具体的には、
図28に示すように、時刻t2においBLCドライバDRは、例えばキック電圧Vblc+BLkickの制御信号BLCを出力する。そして、時刻t3においてBLCドライバDRは、制御信号BLCを一時的に電圧Vblcより低い電圧まで下降させてから、電圧Vblcに上昇させる。
【0223】
このときシーケンサ17は、例えばワード線WLのNear側における電圧が電圧CRに上昇するタイミングと、時刻t3の後にキック動作が実行された制御信号BLCが電圧Vblcになるタイミングとが揃うように制御する。
【0224】
同様に、時刻t6においてBLCドライバDRは、例えばキック電圧Vblc+BLkickの制御信号BLCを出力する。そして、時刻t7においてBLCドライバDRは、制御信号BLCを一時的に電圧Vblcより低い電圧まで下降させてから、電圧Vblcに上昇させる。
【0225】
第12実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作におけるその他の動作は、
図27を用いて説明した第11実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作と同様のため、説明を省略する。
【0226】
[12−2]第12実施形態の効果
以上のように、第12実施形態における読み出し動作では、第11実施形態における読み出し動作に対して、制御信号BLCの正方向のキック動作の後に負方向のキック動作を追加している。このような場合においても第12実施形態に係る半導体記憶装置10は、第11実施形態に係る半導体記憶装置10と同様の効果を得ることが出来る。
【0227】
また、第12実施形態における読み出し動作では、制御信号BLCにおいて負方向のキック動作を実行する。すると、目的の電圧に到達する直前の電圧遷移方向が、ワード線WL及び制御信号BLCの両方共に、Near側は電圧が上昇する方向に、Far側は電圧が下降する方向になる。
【0228】
これにより、第12実施形態に係る半導体記憶装置10は、第11実施形態よりも精度高くワード線WL及び制御信号BLCの変化を近づけることが出来るため、第11実施形態よりも読み出し動作の信頼性を向上することが出来る。
【0229】
[13]第13実施形態
第13実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10において全てのブロックBLKを両側から駆動するものである。以下に、第13実施形態に係る半導体記憶装置10について、第1実施形態に係る半導体記憶装置10と異なる点について説明する。
【0230】
[13−1]構成
図29は、第5実施形態に係る半導体記憶装置10に含まれたメモリセルアレイ11及びロウデコーダモジュール12の構成例を示すブロック図であり、第1実施形態で
図4を用いて説明した構成に対して、ロウデコーダモジュール12A及び12Bの構成が異なっている。
【0231】
具体的には、
図29に示すように第13実施形態におけるロウデコーダモジュール12Aは、ブロックBLK0〜BLKnに対応するロウデコーダRDAを含み、ロウデコーダモジュール12Bは、ブロックBLK0〜BLKnに対応するロウデコーダRDBを含んでいる。つまり、第13実施形態において各ブロックBLKは、ロウデコーダモジュール12A及び12Bによって、ブロックBLKの両側から駆動される構成となっている。例えば、ワード線WLに対応する導電体42の一端側からロウデコーダRDAが電圧を供給し、他端側からロウデコーダRDBが電圧を供給する。
【0232】
また、
図29示すように第13実施形態に係るメモリセルアレイ11は、領域AR1と領域AR2との間に領域AR3が定義されている。領域AR3は、例えば偶数ブロックBLKにおけるロウデコーダRDAからの距離と、奇数ブロックBLKにおけるロウデコーダRDBからの距離とが同様になるように設けられている。つまり、各ブロックBLKにおいて領域AR3の位置は、例えば対応するロウデコーダRDからの距離が“Near”と“Far”との中間の位置を含むように定義される。
【0233】
以下の説明では、各ブロックBLKにおいてロウデコーダRDA及びRDBから近い領域を“Edge”、ブロックBLKの中央部分を含む領域を“Center”と称する。つまり、領域AR1及びAR2がEdge部に対応し、領域AR3がCenter部に対応する。
【0234】
尚、センスアンプモジュール13に含まれた複数のセンスアンプグループSAGは、領域AR1に設けられたメモリセルに接続されたビット線BLに対応するものと、領域AR2に設けられたメモリセルに接続されたビット線BLに対応するものと、領域AR3に設けられたメモリセルに接続されたビット線BLに対応するものとを含んでいる。
【0235】
例えば、読み出し動作において、領域AR1及びAR3に対応するセンスアンプユニットSAUが選択ブロックのEdge部に設けられたメモリセルのデータを読み出し、領域AR3に対応するセンスアンプユニットSAUが選択ブロックに設けられたメモリセルのデータを読み出す。
【0236】
第13実施形態に係る半導体記憶装置10のその他の構成は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10の構成と同様のため、説明を省略する。
【0237】
[13−2]動作
図30は、第13実施形態に係る半導体記憶装置10における読み出し動作の波形の一例を示している。
図30におけるワード線WLの“Edge”及び“Center”に対応する波形は、それぞれ
図12におけるワード線WLの“Near”及び“Far”に対応する波形と同じである。
図30における制御信号BLCの“Edge”及び“Center”に対応する波形は、それぞれ
図12における制御信号BLCの“Near”及び“Far”に対応する波形と同じである。
【0238】
また、第13実施形態の読み出し動作においてシーケンサ17は、時刻t0〜t10の間において、制御信号SELL及びSELRを共に“H”レベルで固定している。つまり第13実施形態においてシーケンサ17は、選択されたブロックBLKのアドレスに依らずに、ワード線WL及び制御信号BLCに対するキック動作を実行する。
【0239】
第13実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作におけるその他の動作は、
図12を用いて説明した第1実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作と同様のため、説明を省略する。
【0240】
[13−3]第13実施形態の効果
以上のように第13実施形態に係る半導体記憶装置10は、ワード線WLをブロックBLKの両側から駆動する構成を有している。このように、ワード線WLを両側から駆動する構成の場合、第1実施形態のように片側から駆動する場合よりも、ワード線WLの電圧の時間変動が早くなる。また、ワード線WLを両側から駆動する構成の場合、ロウデコーダRDからの距離が遠いCenter部における電圧の時間変動は、ロウデコーダRDからの距離が近いEdge部における電圧の時間変動よりも遅くなる。
【0241】
そこで、第13実施形態に係る半導体記憶装置10では、ワード線WL及び制御信号BLCに対して第1実施形態と同様のキック動作を実行し、制御信号SELL及びSELRに対して同じ制御をする。具体的には、読み出し動作において制御信号SELL及びSELRを共に“H”レベルにしてトランジスタTL及びTRをそれぞれオン状態にすることにより、制御信号BLCを両側から駆動する。
【0242】
これにより、第13実施形態に係る半導体記憶装置10は、Edge部におけるワード線WLの電圧の時間変動と、Edge部に対応する制御信号BLCの電圧の時間変動とを近づけることが出来、Center部におけるワード線WLの電圧の時間変動と、Center部に対応する制御信号BLCの電圧の時間変動とを近づけることが出来る。従って、第13実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1実施形態と同様に、ワード線WLに対してキック動作を実行した場合におけるビット線BLの安定時間を短くすることが出来るため、読み出し動作を高速化することが出来る。
【0243】
[14]第14実施形態
第14実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10と同様の構成であり、読み出し動作において、例えば第1〜第3実施形態で説明した読み出し動作を使い分ける。
【0244】
[14−1]動作
ワード線WLのRC遅延量は、例えば
図8に示すように、ワード線WLに対応する導電体42が設けられた層に応じて異なることがある。この場合、例えば上層に設けられたワード線WLのグループと、中層に設けられたワード線WLのグループと、下層に設けられたワード線WLのグループとでRC遅延量が異なる場合がある。
【0245】
第14実施形態に係る半導体記憶装置10では、例えば複数のワード線WLがRC遅延量の小さい方から順に例えば第1〜第3グループに分類する。尚、ワード線WLのグループ分け方法はこれに限定されず、例えばワード線WLと半導体ピラーMHとの接触面積を考慮しても良い。
【0246】
そして、第14実施形態に係る半導体記憶装置10は、選択されたワード線WLのグループに基づいて、実行する読み出し動作を変更する。以下では、第1〜第3実施形態で説明した読み出し動作のことをそれぞれ第1〜第3読み出し動作と呼ぶ。
【0247】
図31は、第14実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作のフローチャートの一例を示している。
図31に示すように、まず半導体記憶装置10は、外部のコントローラから読み出し命令を受信する(ステップS20)。具体的には、半導体記憶装置10は、コントローラから受信したコマンド及びアドレス情報をそれぞれコマンドレジスタ15C及びアドレスレジスタ15Bに格納する。
【0248】
次にシーケンサ17は、格納されたアドレス情報ADDから、選択されたワード線WLのアドレスを確認し、選択されたワード線WLがどのグループに含まれているのかを確認する(ステップS21)。そしてシーケンサ17は、第1グループのワード線WLが選択された場合に第1読み出し動作を実行し(ステップS22)、第2グループのワード線WLが選択された場合に第2読み出し動作を実行し(ステップS23)、第3グループのワード線WLが選択された場合に第3読み出し動作を実行する(ステップS24)。
【0249】
第14実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作におけるその他の動作は、第1〜第3実施形態で説明した読み出し動作と同様のため、説明を省略する。尚、以上の説明では、複数のワード線WLを3つのグループに分けた場合について述べたが、これに限定されない。例えば、複数のワード線WLには、より細かいグループ分けが実施されても良い。
【0250】
[14−2]第14実施形態の効果
半導体記憶装置10において、ワード線WLのRC遅延量の大きさは、例えばワード線WLが形成された層の位置に応じて変化することがある。そこで第1実施形態に係る半導体記憶装置10は、ワード線WLをそのRC遅延量の大きさに基づいてグループ分けして、グループ毎に実行する読み出し動作を変更する。
【0251】
そして第1実施形態に係る半導体記憶装置10は、選択されたワード線WLのグループに応じて、例えば
図12〜
図14を用いてそれぞれ説明した第1〜第3実施形態における読み出し動作を使い分ける。この場合に第1実施形態における読み出し動作は、制御信号BLCのFar側における波形が第1グループにおけるワード線WLのFar側における波形に連動するように最適化され、第2実施形態における読み出し動作は、制御信号BLCのFar側における波形が第2グループにおけるワード線WLのFar側における波形に連動するように最適化され、第3実施形態における読み出し動作は、制御信号BLCのFar側における波形が第3グループにおけるワード線WLのFar側における波形に連動するように最適化される。
【0252】
これにより、第14実施形態に係る半導体記憶装置10は、ワード線WLの特性にばらつきがある場合においても、キック動作時における制御信号BLCの波形とワード線WLの波形とを高精度に連動させることが出来る。従って、第14実施形態に係る半導体記憶装置10は、ブロックBLK内の何れのワード線WLを選択した場合においても、ワード線WLに対してキック動作を実行した場合におけるビット線BLの安定時間を短くすることが出来るため、ブロックBLK全体で読み出し動作を高速化することが出来る。
【0253】
尚、以上の説明では、半導体記憶装置10が第1〜第3実施形態における読み出し動作を使い分ける場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、半導体記憶装置10は、第1〜第3実施形態における読み出し動作のうちいずれか1つの読み出し動作を利用しても良いし、複数の読み出し動作を利用しても良い。
【0254】
また、第14実施形態に係る半導体記憶装置10は、その他の実施形態で説明した読み出し動作を利用しても良い。例えば、第14実施形態における読み出し動作に、第10〜第12実施形態で説明した読み出し動作を利用しても良い。また、第14実施形態に係る半導体記憶装置10は、各実施形態における読み出し動作で、異なるキック量を適用したものを利用しても良い。
【0255】
尚、半導体記憶装置10は、第1実施形態のようにワード線WLを片側から駆動する構成と、第13実施形態のようにワード線WLを両側から駆動する構成との両方を含んでいても良い。例えば、半導体記憶装置10が、下層のワード線WLにおいて
図29に示すような両側駆動の構成とされ、上層のワード線WLにおいて
図4に示すような片側駆動の構成とされる場合がある。この場合に第14実施形態に係る半導体記憶装置10は、読み出し動作の使い分けにおいて、
図30を用いて説明した第13実施形態における読み出し動作をさらに利用しても良い。
【0256】
[15]第15実施形態
第15実施形態に係る半導体記憶装置10は、第7実施形態に係る半導体記憶装置10と同様の構成であり、読み出し動作において、例えば第7〜第9実施形態で説明した読み出し動作を使い分ける。
【0257】
[15−1]動作
第15実施形態に係る半導体記憶装置10では、第14実施形態と同様に、例えば複数のワード線WLがRC遅延量の小さい方から順に例えば第1〜第3グループに分類する。そして、第15実施形態に係る半導体記憶装置10は、選択されたワード線WLのグループに基づいて、実行する読み出し動作を変更する。以下では、第7〜第9実施形態で説明した読み出し動作のことをそれぞれ第4〜第6読み出し動作と呼ぶ。
【0258】
図32は、第15実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作のフローチャートの一例を示している。
図32に示すように、まず半導体記憶装置10は、外部のコントローラから読み出し命令を受信する(ステップS20)。
【0259】
次にシーケンサ17は、格納されたアドレス情報ADDから、選択されたワード線WLのアドレスを確認し、選択されたワード線WLがどのグループに含まれているのかを確認する(ステップS21)。そしてシーケンサ17は、第1グループのワード線WLが選択された場合に第4読み出し動作を実行し(ステップS25)、第2グループのワード線WLが選択された場合に第5読み出し動作を実行し(ステップS26)、第3グループのワード線WLが選択された場合に第6読み出し動作を実行する(ステップS27)。
【0260】
第15実施形態に係る半導体記憶装置10の読み出し動作におけるその他の動作は、第7〜第9実施形態で説明した読み出し動作と同様のため、説明を省略する。尚、以上の説明では、複数のワード線WLを3つのグループに分けた場合について述べたが、これに限定されない。例えば、複数のワード線WLには、より細かいグループ分けが実施されても良い。
【0261】
[15−2]第15実施形態の効果
第15実施形態に係る半導体記憶装置10は、第14実施形態と同様に、ワード線WLをそのRC遅延量の大きさに基づいてグループ分けして、グループ毎に実行する読み出し動作を変更する。
【0262】
そして、第15実施形態に係る半導体記憶装置10は、選択されたワード線WLのグループに応じて、例えば
図23〜
図25を用いてそれぞれ説明した第7〜第9実施形態における読み出し動作を使い分ける。この場合に第7実施形態における読み出し動作は、制御信号BLCのFar側における波形が第1グループにおけるワード線WLのFar側における波形に連動するように最適化され、第8実施形態における読み出し動作は、制御信号BLCのFar側における波形が第2グループにおけるワード線WLのFar側における波形に連動するように最適化され、第9実施形態における読み出し動作は、制御信号BLCのFar側における波形が第3グループにおけるワード線WLのFar側における波形に連動するように最適化される。
【0263】
これにより、第15実施形態に係る半導体記憶装置10は、ワード線WLの特性にばらつきがある場合においても、キック動作時における制御信号BLCの波形とワード線WLの波形とを高精度に連動させることが出来る。従って、第15実施形態に係る半導体記憶装置10は、ブロックBLK内の何れのワード線WLを選択した場合においても、ワード線WLに対してキック動作を実行した場合におけるビット線BLの安定時間を短くすることが出来るため、ブロックBLK全体で読み出し動作を高速化することが出来る。
【0264】
尚、以上の説明では、半導体記憶装置10が第7〜第9実施形態における読み出し動作を使い分ける場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、半導体記憶装置10は、第7〜第9実施形態における読み出し動作のうちいずれか1つの読み出し動作を利用しても良いし、複数の読み出し動作を利用しても良い。また、第15実施形態に係る半導体記憶装置10は、各実施形態における読み出し動作で、異なるキック量を適用したものを利用しても良い。
【0265】
[16]変形例等
実施形態の半導体記憶装置10は、第1及び第2導電体と、第1乃至第4ピラーとを含む。第1導電体<
図9、42>は、第1方向に延伸して設けられ、第1ワード線として機能する。第1ピラー<
図8、MH>は、第1導電体を通過して設けられ、第1導電体との交差部分が第1メモリセルとして機能する。第2導電体<
図10、60>は、第1方向に延伸して設けられ、センスアンプ<
図6、SA>に含まれ且つ第1メモリセルに接続された第1トランジスタ<
図6、22>のゲート電極として機能する。第2ピラー<
図10、61A>は、第1方向における第2導電体の一端部分において、第2導電体上に設けられる。第3ピラー<
図10、61B>は、第1方向における第2導電体の他端部分において、第2導電体上に設けられる。第4ピラー<
図10、63>は、第2ピラーと第3ピラーとの間に配置され、第2導電体上に設けられる。これにより、高速に動作することが可能な半導体記憶装置を提供することが出来る。
【0266】
尚、上記実施形態では、Upperページデータの読み出し動作を例に説明したが、これに限定されない。例えば、Lowerページデータの読み出し動作に対しても、上記実施形態で説明した動作を適用することが可能である。また、1つのメモリセルに対して1ビット又は3ビット以上のデータを記憶させた場合における読み出し動作においても同様に、第1〜第6実施形態で説明した動作を適用することが出来る。
【0267】
尚、上記実施形態では、ロウデコーダモジュール12がメモリセルアレイ11下部に設けられている場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、メモリセルアレイ11が半導体基板上に形成され、メモリセルアレイ11を挟むようにロウデコーダモジュール12A及び12Bが配置されても良い。このような場合においても、上記実施形態で説明した動作を実行することが可能である。
【0268】
尚、上記実施形態では、半導体記憶装置10がページ毎にデータを読み出す場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、半導体記憶装置10がメモリセルに記憶された複数ビットのデータを一括で読み出すようにしても良い。このような場合においても、読み出し動作の印加時にキック動作を適用することがあるため、半導体記憶装置10は、上記実施形態で説明した動作を適用することが出来る。
【0269】
尚、上記実施形態において、読み出し動作についてワード線WLの波形を示したタイミングチャートを用いて説明したが、このワード線WLの波形は、例えばロウデコーダモジュール12に電圧を供給する信号線の波形と同様の波形となる。つまり。上記実施形態においてワード線WLに印加される電圧及びワード線WLに電圧が印加されている期間は、対応する信号線の電圧を調べることにより大まかに知ることが出来る。尚、ワード線WLの電圧は、ロウデコーダモジュール12に含まれた転送トランジスタによる電圧降下によって、対応する信号線よりも低くなることもある。
【0270】
尚、上記実施形態において、メモリセルにMONOS膜を使用した場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、フローティングゲートを利用したメモリセルを使用した場合においても、上記実施形態で説明した読み出し動作及び書き込み動作を実行することで、同様の効果を得ることが出来る。
【0271】
尚、上記実施形態では、各導電体42が電気的に接続されるビアコンタクトVCが、当該導電体42を通過する場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、各導電体42に対応するビアコンタクトVCは、異なる配線層の導電体42から導電体40を通過して、対応する拡散領域52に接続されるようにしても良い。また、以上の説明では、ビアコンタクトBC、VC、HU、TRCが、1段のピラーにより形成されている場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、これらのビアコンタクトは、2段以上のピラーを連結して形成されていても良い。また、このように2段以上のピラーを連結する場合に、異なる導電体を介していても良い。
【0272】
尚、上記実施形態において、メモリセルアレイ11の構成はその他の構成であってもよい。その他のメモリセルアレイ11の構成については、例えば“三次元積層不揮発性半導体メモリ”という2009年3月19日に出願された米国特許出願12/407,403号に記載されている。また、“三次元積層不揮発性半導体メモリ”という2009年3月18日に出願された米国特許出願12/406,524号、“不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法”という2010年3月25日に出願された米国特許出願12/679,991号、“半導体メモリ及びその製造方法”という2009年3月23日に出願された米国特許出願12/532,030号に記載されている。これらの特許出願は、その全体が本願明細書において参照により援用されている。
【0273】
尚、上記実施形態では、ブロックBLKがデータの消去単位である場合を例に説明したが、これに限定されない。その他の消去動作については、“不揮発性半導体記憶装置”という2011年9月18日に出願された米国特許出願13/235,389号、“不揮発性半導体記憶装置”という2010年1月27日に出願された米国特許出願12/694,690号に記載されている。これらの特許出願は、その全体が本願明細書において参照により援用されている。
【0274】
尚、本明細書において“接続”とは、電気的に接続されている事を示し、例えば間に別の素子を介することを除外しない。また、本明細書において“遮断”とは、当該スイッチがオフ状態になっていることを示し、例えばトランジスタのリーク電流のような微少な電流が流れることを除外しない。
【0275】
尚、上記各実施形態において、
(1)読み出し動作では、“A”レベルの読み出し動作で選択されたワード線に印加される電圧は、例えば0〜0.55Vの間である。これに限定されることなく、0.1〜0.24V、0.21〜0.31V、0.31〜0.4V、0.4〜0.5V、0.5〜0.55Vのいずれかの間にしても良い。
“B”レベルの読み出し動作で選択されたワード線に印加される電圧は、例えば1.5〜2.3Vの間である。これに限定されることなく、1.65〜1.8V、1.8〜1.95V、1.95〜2.1V、2.1〜2.3Vのいずれかの間にしても良い。
“C”レベルの読み出し動作で選択されたワード線に印加される電圧は、例えば3.0V〜4.0Vの間である。これに限定されることなく、3.0〜3.2V、3.2〜3.4V、3.4〜3.5V、3.5〜3.6V、3.6〜4.0Vのいずれかの間にしても良い。
読み出し動作の時間(tRead)としては、例えば25〜38μs、38〜70μs、70〜80μsの間にしても良い。
【0276】
(2)書き込み動作は、上述した通りプログラム動作とベリファイ動作とを含む。プログラム動作時に選択されたワード線に最初に印加される電圧は、例えば13.7〜14.3Vの間である。これに限定されることなく、例えば13.7〜14.0V、14.0〜14.6Vのいずれかの間にしても良い。プログラム動作時に非選択のワード線に印加される電圧としては、例えば6.0〜7.3Vの間としても良い。この場合に限定されることなく、例えば7.3〜8.4Vの間としても良く、6.0V以下としても良い。
書き込み動作において、奇数番目のワード線を選択した際に、選択されたワード線に最初に印加される電圧と、偶数番目のワード線を選択した際に、選択されたワード線に最初に印加される電圧とは、異なっていても良い。書き込み動作において、非選択のワード線が奇数番目のワード線であるか、偶数番目のワード線であるかで、印加するパス電圧を変えても良い。
プログラム動作をISPP方式(Incremental Step Pulse Program)とした場合における、プログラム電圧のステップアップ幅としては、例えば0.5V程度が挙げられる。
書き込み動作の時間(tProg)としては、例えば1700〜1800μs、1800〜1900μs、1900〜2000μsの間にしても良い。
【0277】
(3)消去動作では、半導体基板上部に形成され、且つ上記メモリセルが上方に配置されたウェルに最初に印加する電圧は、例えば12.0〜13.6Vの間である。この場合に限定されることなく、例えば13.6〜14.8V、14.8〜19.0V、19.0〜19.8V、19.8〜21.0Vの間であっても良い。
消去動作の時間(tErase)としては、例えば3000〜4000μs、4000〜5000μs、4000〜9000μsの間にしても良い。
【0278】
(4)メモリセルの構造は、半導体基板(シリコン基板)上に、膜厚が4〜10nmのトンネル絶縁膜を介して配置された電荷蓄積層を有している。この電荷蓄積層は、膜厚が2〜3nmのSiN又はSiON等の絶縁膜と、膜厚が3〜8nmのポリシリコンとの積層構造にすることが出来る。また、ポリシリコンには、Ru等の金属が添加されていてもよい。電荷蓄積層の上には絶縁膜を有している。この絶縁膜は、例えば、膜厚が3〜10nmの下層High−k膜と、膜厚が3〜10nmの上層High−k膜とに挟まれた、膜厚が4〜10nmのシリコン酸化膜を有している。High−k膜としては、HfO等が挙げられる。また、シリコン酸化膜の膜厚は、High−k膜の膜厚よりも厚くすることが出来る。絶縁膜上には、膜厚が3〜10nmの材料を介して、膜厚が30〜70nmの制御電極が形成されている。ここで材料は、TaO等の金属酸化膜、TaN等の金属窒化膜である。制御電極には、W等を用いることができる。また、メモリセル間には、エアギャップを形成することが出来る。
【0279】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。