(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。
【0016】
1.検査装置10の構造
図1〜
図3に示すように、実施形態の検査装置10は、クリーニングブレード1を保持する治具40と、その治具40をクリーニングブレード1の長手方向に移動させるアクチュエータ42とを備える。また、検査装置10は、治具40の移動経路を挟んで、一方側に第1カメラ20、第2カメラ60、及び変位計62を有する検出機器群を、他方側に第1カメラ20に向かって光を照射する照明30を備える。
【0017】
ここで、第1カメラ20はクリーニングブレード1のブレード本体2の接触端4における欠陥の有無を検査するためのものである。また、第2カメラ60はクリーニングブレード1における後述する所定部分の寸法について検査するためのものである。また、変位計62は、支持部材3の基底面7からブレード本体2の接触端4までの高さh(
図16(b)参照)(以下、この高さhのことを「エッジ位置」とする)及びブレード本体2と支持部材3との平行度(以下、単に「平行度」とする)を検査するためのものである。実施形態の検査対象のクリーニングブレード1は背景技術で説明したものと同じである。
【0018】
図1及び
図2に示すように、治具40は、クリーニングブレード1を水平面に対して傾斜させて下方から保持する。治具40に保持されたクリーニングブレード1は、支持部材3が下方でブレード本体2が上方になり、かつ水平面に対して傾斜する。そして、ブレード本体2の接触端4が治具40よりも上方に突出する。また、治具40に保持されたクリーニングブレード1の長手方向は、平面視で第1カメラ20と照明30とを結ぶ線(
図2及び
図3に二点鎖線L1で示す)に直行する方向となる。図示しないが、治具40は、保持しているクリーニングブレード1の高さを調節する高さ調節装置を備えていても良い。
【0019】
治具40は、アクチュエータ42によって、クリーニングブレード1を保持したままクリーニングブレード1の長手方向(従って平面視で第1カメラ20と照明30とを結ぶ線L1に直行する方向)に移動可能となっている。
【0020】
本実施形態におけるアクチュエータ42は移動台45を備える。移動台45には治具40が固定される。
図1及び
図2に示すように、移動台45には、移動台45をその延長方向に貫通するネジ孔46と、ネジ孔46と平行に形成され移動台45を貫通するガイド孔47とが形成されている。さらに、
図3に示すように、アクチュエータ42は、移動台45のネジ孔46に螺合された送りネジ43と、移動台45のガイド孔47に摺動自在に挿入されたガイド棒48と、送りネジ43を回転させるモータ44とを備える。この構造のため、モータ44が駆動して送りネジ43が回転すると、移動台45がガイド棒48にガイドされつつ送りネジ43の延長方向へ移動する。そして、移動台45が移動することにより、クリーニングブレード1を保持する治具40がクリーニングブレード1の長手方向に移動する。
【0021】
もっとも、アクチュエータ42は、治具40をクリーニングブレード1の長手方向に移動させることができるものであれば良く、その具体的な構造は本実施形態のものに限定されない。
【0022】
第1カメラ20及び第2カメラ60としては、例えばCCDカメラのような、撮影された画像をデータとして取り込むことができるものが用いられる。
【0023】
第1カメラ20及び第2カメラ60は
図1に示すカメラ保持装置21に保持されている。カメラ保持装置21は、水平面に配置されたXYZ軸ステージ22と、XYZ軸ステージ22に保持されたゴニオステージ24とを備える。
【0024】
XYZ軸ステージ22は、公知の構造のもので、保持したゴニオステージ24を治具40の移動方向(X方向)、上下方向(Y方向)、及び治具40の移動経路に対して近接及び離隔する方向(Z方向)に移動させることができる。
【0025】
また、ゴニオステージ24は、公知の構造のもので、固定ステージ25と可動ステージ26とを備える。固定ステージ25は、上下方向の断面が円弧状である凹状の湾曲面を有し、その湾曲面がクリーニングブレード1の方を向くようにしてXYZ軸ステージ22に固定されている。可動ステージ26は、上下方向の断面が円弧状である凸状の湾曲面を有し、その湾曲面が固定ステージ25の前記湾曲面と摺動可能に設けられている。
【0026】
可動ステージ26には、延長部材27を介して、クリーニングブレード1の方を向く第1カメラ20が固定されている。この構造のため、可動ステージ26が固定ステージ25に対して摺動することにより、第1カメラ20の撮影角度が変更可能となっている。従って、ゴニオステージ24は第1カメラ20の撮影角度を変更する角度変更装置として機能する。なお、ゴニオステージ24は、クリーニングブレード1の移動方向(治具40の移動方向)と直交する面内で、第1カメラ20の撮影角度を変更する。
【0027】
一方、固定ステージ25には延長部材28を介して第2カメラ60が固定されている。第2カメラ60は第1カメラ20の上方に配置されている。第2カメラ60は治具40が保持するクリーニングブレード1の方向を向いている。第2カメラ60のこの撮影角度はゴニオステージ24によって変更できない。図示しないが、第2カメラ60に隣接して、第2カメラ60によるクリーニングブレード1の撮影時にクリーニングブレード1を照らす照明が設けられていても良い。
【0028】
カメラ保持装置21の隣には、変位計62を保持したXY軸ステージ64が水平面上に配置されている。カメラ保持装置21とXY軸ステージ64とは治具40の移動方向に並んでいる。XY軸ステージ64は、公知の構造のもので、保持した変位計62を上記のX方向及びY方向へ移動させることができる。
【0029】
変位計62は、治具40が保持するクリーニングブレード1の面に垂直な方向を向けて設けられており、クリーニングブレード1までの距離を測定することができる。そのような変位計62として例えば非接触の反射型の変位計が用いられ、また非接触の反射型の変位計として例えばレーザー光を照射して反射面までの距離を測定する二次元レーザー変位計が用いられる。
【0030】
照明30は、第1カメラ20と対向し第1カメラ20に向かって光を照射する。それにより、クリーニングブレード1の接触端4を強調させ、第1カメラ20で欠陥を検出しやすくする。照明30としては、LED照明のような、可視光を照射できる様々なものが用いられる。
【0031】
照明30は
図1に示す照明保持装置31に保持されている。照明保持装置31は、水平面に配置されたXYZ軸ステージ32と、XYZ軸ステージ32に保持されたゴニオステージ34とを備える。
【0032】
XYZ軸ステージ32は、公知の構造のもので、保持したゴニオステージ34を上記のX方向、Y方向、及びZ方向に移動させることができる。
【0033】
また、ゴニオステージ34は、公知の構造のもので、固定ステージ35と可動ステージ36とを備える。固定ステージ35は、上下方向の断面が円弧状である凹状の湾曲面を有し、その湾曲面がクリーニングブレード1の方を向くようにしてXYZ軸ステージ32に固定されている。可動ステージ36は、上下方向の断面が円弧状である凸状の湾曲面を有し、その湾曲面が固定ステージ35の前記湾曲面と摺動可能に設けられている。
【0034】
可動ステージ36には、延長部材37を介して、クリーニングブレード1の方を向く照明30が固定されている。この構造のため、可動ステージ36が固定ステージ35に対して摺動することにより、照明30の照射角度が変更可能となっている。従って、ゴニオステージ34は照明30の照射角度を変更する角度変更装置として機能する。なお、ゴニオステージ34は、クリーニングブレード1の移動方向(治具40の移動方向)と直交する面内で、照明30の照射角度を変更する。
【0035】
なお、第1カメラ20の撮影角度を変更する角度変更装置及び照明30の照射角度を変更する角度変更装置として、ゴニオステージ以外の装置が用いられても良い。
【0036】
また検査装置10は制御用コンピュータ56を備える。
図4に示すように、制御用コンピュータ56は、アクチュエータ42のモータ44、ゴニオステージ24、34、及びXYZ軸ステージ22、32と電気的に接続されており、これらを制御可能となっている。従って、制御用コンピュータ56は、アクチュエータ42に取り付けられた治具40及び治具40に保持されたクリーニングブレード1を移動させることができ、また、ゴニオステージ24に取り付けられた第1カメラ20の撮影角度及びゴニオステージ34に取り付けられた照明30の照射角度を変更することができ、さらに必要であればXYZ軸ステージ22、32を制御することができる。
【0037】
また、
図4に示すように、検査装置10は、検査結果等を表示する表示装置66及び検査に関する指示を入力する入力装置67を備える。また、図示しないが、検査装置10には、クリーニングブレード1に規格外の欠陥がある場合等にその旨を報知する報知手段が設けられていても良い。報知手段としては、音声又はブザー音を鳴らすスピーカやパトランプ等が挙げられる。
【0038】
また検査装置10はコンピュータ50を備える。
図4に示すように、コンピュータ50は処理装置52と記憶装置54とを含む。コンピュータ50は、第1カメラ20、第2カメラ60、変位計62、照明30、表示装置66、入力装置67、及び制御用コンピュータ56と電気的に接続されており、これらを制御可能となっている。
【0039】
2.検査装置10を用いた検査方法
(1)ブレード本体2の接触端4における欠陥の有無の検査方法
ブレード本体2の接触端4における欠陥の有無の検査は、制御用コンピュータ56がクリーニングブレード1をその長手方向に停止させることなく連続的に移動させているときに行われる。その移動中に照明30がブレード本体2の接触端4を照射し続け、第1カメラ20が接触端4を撮影し続ける。撮影は、ブレード本体2の移動方向の一端から他端まで行われる。コンピュータ50の処理装置52は、撮影された画像に
図5(a)に示すような所定以上の大きさの欠陥8がある場合は不合格と判定し、
図5(b)に示すようにそのような欠陥が無い場合は合格と判定する。
【0040】
(2)エッジ位置の検査方法
エッジ位置とは、
図15(b)に示す、クリーニングブレード1における支持部材3の基底面7からのブレード本体2の接触端4の高さhのことである。ここで基底面7とは、支持部材3におけるブレード本体2との接着部5側の面とは反対側の面のことで、検査時に治具40と接触する面である。検査ではこのエッジ位置が規格内に収まっているか調べる。
【0041】
エッジ位置の検査は、制御用コンピュータ56がクリーニングブレード1をその長手方向に停止させることなく連続的に移動させているときに行われる。その移動中に、変位計62が、クリーニングブレード1の移動方向の所定間隔(例えば10mm)おきに測定を行う。変位計62は、変位計62からブレード本体2の接触端4近傍(例えば接触端4から1mmだけ内側の位置)までの距離を測定する。この検査における変位計62による測定位置を
図6に黒点(符号P1で示す点)で示す。
【0042】
検査対象となるクリーニングブレード1の測定の前に、基準となるマスターゲージの測定が上記の方法で行われ、その結果が記憶装置54に記憶される。ここでマスターゲージとは、検査対象となるクリーニングブレード1と同じ形状及び大きさのもので、支持部材とブレード本体とからなり、欠陥が無く、各検査項目に関して合格の基準となるものである。
【0043】
マスターゲージの測定の後、検査対象となるクリーニングブレード1の測定が上記の方法で行われる。そして、処理装置52が、検査対象のクリーニングブレード1の測定結果と、マスターゲージの測定結果とを比較する。
【0044】
ここで、クリーニングブレード1、マスターゲージ共に、測定の際には支持部材3の基底面7が治具40に接触するように固定されているため、検査対象のクリーニングブレード1のエッジ位置がマスターゲージのエッジ位置と異なれば、上記の比較の結果に差が出ることになる。そこで、処理装置52は、上記の測定結果に所定の差がある場合はエッジ位置について不合格と判定し、そのような差が無い場合はエッジ位置について合格と判定する。
【0045】
(3)平行度の検査方法
ブレード本体2と支持部材3とは
図15(b)に示すように平行に接着されていることが求められるが、
図7に示すようにブレード本体2が支持部材3に対して傾いて接着されていることがある。そこで平行度の検査では、
図7に示すようにブレード本体2と支持部材3とが傾いて接着されていないか検査する。
【0046】
平行度の検査は、制御用コンピュータ56がクリーニングブレード1をその長手方向に停止させることなく連続的に移動させているときに行われる。その移動中に、クリーニングブレード1の移動方向の所定間隔(例えば10mm)おきに、変位計62が測定を行う。変位計62は、変位計62からブレード本体2の接触端4近傍(例えば接触端4から1mmだけ内側の位置)までの距離(以下、「接触端4近傍までの距離」)と、変位計62からブレード本体2の接着部5近傍(例えば支持部材3の端部から1mmだけ接触端4側の位置)までの距離(以下、「接着部5近傍までの距離」)とを測定する。つまり、変位計62は、ブレード本体2の長手方向に平行に延びる2本の直線上の測定点までの距離を測定する。
図8にこの検査における変位計62による測定位置を黒点(符号P2で示す点)で示す。処理装置52は、測定された接触端4近傍までの距離と接着部5近傍までの距離とを比較する。
【0047】
ここで、
図7に示すようにブレード本体2と支持部材3とが平行でない場合は、接触端4近傍までの距離と接着部5近傍までの距離とに差が生じる。そこで、処理装置52は、接触端4近傍までの距離と接着部5近傍までの距離とに所定の差がある場合は平行度について不合格と判定し、そのような差が無い場合は平行度について合格と判定する。
【0048】
(4)クリーニングブレード1における所定部分の寸法の検査方法
寸法の検査では、
図9に示す、支持部材3の基準孔6の中心からブレード本体2の長手方向の左端部までの左右方向の寸法A、基準孔6の中心からブレード本体2の長手方向の右端部までの左右方向の寸法B、及び基準孔6の中心からブレード本体2の接触端4までの上下方向の寸法Cが規格内に収まっているか検査する。ここで寸法Cについてはブレード本体2の長手方向の両端部近傍及び中央部で検査する。なお、基準孔6は支持部材3の長手方向の右端部近傍に設けられた孔である。基準孔6はクリーニングブレード1を電子複写機に取り付けるための孔であっても良い。
【0049】
寸法の検査では、まず、マスターゲージの撮影が行われる。マスターゲージの撮影では、制御用コンピュータ56が、マスターゲージをその長手方向に移動させ、マスターゲージのブレード本体の長手方向の両端部及び中央部が第2カメラ60と対向する位置に到達したときにそれぞれマスターゲージを停止させる。そしてコンピュータ50は、マスターゲージの各停止位置での停止中に、第2カメラ60でマスターゲージのブレード本体を撮影する。
【0050】
具体例としては、最初は、基準孔6が第2カメラ60の撮影位置に来るように、マスターゲージが配置される(
図13(b)参照、
図13ではマスターゲージの代わりにクリーニングブレード1が描かれていることに留意)。次に、制御用コンピュータ56がマスターゲージを距離D1だけ移動させて、ブレード本体の右端部を第2カメラ60の撮影位置に持って来る(
図13(c)参照)。そして第2カメラ60がブレード本体の右端部の撮影を行う。次に、制御用コンピュータ56が、マスターゲージを距離D2だけ移動させて、ブレード本体の中央部を第2カメラ60の撮影位置に持って来る(
図13(d)参照)。そして第2カメラ60がブレード本体の中央部の撮影を行う。次に、制御用コンピュータ56が、マスターゲージを距離D3だけ移動させて、ブレード本体の左端部を第2カメラ60の撮影位置に持って来る(
図13(e)参照)。そして第2カメラ60がブレード本体の左端部の撮影を行う。
【0051】
このようなマスターゲージの撮影位置P3−1、P3−2、P3−3と、それぞれの撮影位置で撮影された画像の例P4−1、P4−2、P4−3を
図10に示す。撮影により取得されたマスターゲージのブレード本体の画像データは記憶装置54に記憶される。
【0052】
その後、検査対象であるクリーニングブレード1の撮影が行われる。制御用コンピュータ56は、クリーニングブレード1をその長手方向に移動させながら、クリーニングブレード1のブレード本体2の長手方向の両端部及び中央部が第2カメラ60と対向する位置に到達したときにクリーニングブレード1をそれぞれ停止させる。そしてコンピュータ50は、クリーニングブレード1の各停止位置での停止中に、第2カメラ60でクリーニングブレード1のブレード本体2を撮影する。
【0053】
ここで、制御用コンピュータ56は、クリーニングブレード1の停止位置(検査開始位置を含む)から停止位置までの各移動距離を、マスターゲージの各移動距離と同じにする。つまり、具体例として、最初は、基準孔6が第2カメラ60の撮影位置に来るように、クリーニングブレード1が配置される(
図13(b)参照)。次に、制御用コンピュータ56がクリーニングブレード1を距離D1だけ移動させて、ブレード本体2の右端部を第2カメラ60の撮影位置に持って来る(
図13(c)参照)。そして第2カメラ60がブレード本体2の右端部の撮影を行う。次に、制御用コンピュータ56が、クリーニングブレード1を距離D2だけ移動させて、ブレード本体2の中央部を第2カメラ60の撮影位置に持って来る(
図13(d)参照)。そして第2カメラ60がブレード本体2の中央部の撮影を行う。次に、制御用コンピュータ56が、クリーニングブレード1を距離D3だけ移動させて、ブレード本体2の左端部を第2カメラ60の撮影位置に持って来る(
図13(e)参照)。そして第2カメラ60がブレード本体2の左端部の撮影を行う。
【0054】
検査対象のクリーニングブレード1における寸法A、B、Cがマスターゲージにおける寸法A、B、Cと同じであれば、撮影により取得されたクリーニングブレード1の3箇所の画像のエッジ位置(端部の位置)が、記憶装置54に記憶されているマスターゲージの3箇所の画像のエッジ位置と一致するはずである。そこで処理装置52は、クリーニングブレード1の3箇所の画像のエッジ位置と、マスターゲージの3箇所の画像のエッジ位置とをそれぞれ比較する。そして、処理装置52は、両者のエッジ位置のずれが所定範囲を超えた場合は寸法について不合格と判定し、両者のエッジ位置のずれが所定範囲を超えない場合は寸法について合格と判定する。クリーニングブレード1の画像のエッジ位置CEとマスターゲージの画像のエッジ位置MEとの比較の例を
図11に示す。
【0055】
なお第2カメラ60の撮影部分は3つに限定されない。第2カメラ60の撮影部分が複数あり、その撮影部分の撮影毎にクリーニングブレード1が停止すれば良い。
【0056】
(5)検査全体の流れ
以上の構造の検査装置10で検査を行う場合、まず、作業者が、検査対象のクリーニングブレード1の種類を入力装置67から入力する。クリーニングブレード1の種類毎の理想的な第1カメラ20の撮影角度と照明30の照射角度のデータが記憶装置54に記憶されているため、制御用コンピュータ56はそのデータに基づきゴニオステージ24、34を制御して第1カメラ20の撮影角度と照明30の照射角度とを変更する。
【0057】
例えば、始めに、
図12(a)に示すように、ブレード本体2の断面形状が長方形であるクリーニングブレード1の検査を行っていたものとする。このとき、第1カメラ20と照明30とを結ぶ線L1とブレード本体2の面とのなす角度θ1は、第1カメラ20側と照明30側とで対称となっていた。
【0058】
その後、
図12(b)に示すブレード本体2の断面形状が平行四辺形であるクリーニングブレード1の検査を行おうとしているとする。その場合、作業者がそのクリーニングブレード1の種類を入力装置67から入力する。すると、制御用コンピュータ56がゴニオステージ24、34を制御して第1カメラ20と照明30とを
図12(a)に矢印で示す方向に移動させる。そして、制御用コンピュータ56は、
図12(b)に示すように、第1カメラ20と照明30とを結ぶ線L2とブレード本体2の面とのなす角度θ2が第1カメラ20側と照明30側とで対称となる位置で、第1カメラ20と照明30とを停止させる。このようにして、第1カメラ20の撮影角度と照明30の照射角度とが、それぞれの理想的な角度となる。
【0059】
このとき必要であれば、XYZ軸ステージ22、32が操作され、第1カメラ20、第2カメラ60、変位計62、及び照明30のクリーニングブレード1の移動経路に対するそれぞれの位置が調整される。
【0060】
次に、作業者が、治具40にマスターゲージを固定する。このとき、作業者は、マスターゲージの支持部材の基底面が治具40に接触するように固定する。そして、変位計62によるマスターゲージのブレード本体のエッジ位置の測定と、第2カメラ60によるブレード本体の上記3箇所の撮影とが行われ、測定結果と取得された画像とが記憶装置54に記憶される。
【0061】
次に、作業者が、マスターゲージをクリーニングブレード1に交換する。このとき、作業者は、クリーニングブレード1の支持部材3の基底面7が治具40に接触するように固定する。
【0062】
次に、制御用コンピュータ56がアクチュエータ42のモータ44を駆動させて治具40に保持されたクリーニングブレード1を往復移動させるとともに、コンピュータ50がブレード本体2の接触端4における欠陥の有無、クリーニングブレード1における所定部分の寸法、エッジ位置、及び平行度を検査する。この検査の様子を
図13に示す。
【0063】
まず往路では、制御用コンピュータ56はクリーニングブレード1を停止させることなく連続的に移動させる(
図13(a))。その移動中に、上記の要領で、欠陥を検出するための第1カメラ20によるブレード本体2の接触端4の撮影と、エッジ位置及び平行度を検査するための変位計62によるブレード本体2までの距離の測定とが行われる。
【0064】
クリーニングブレード1が第1カメラ20及び変位計62の前を通過した後、制御用コンピュータ56はクリーニングブレード1を停止させる。次に、制御用コンピュータ56は、クリーニングブレード1の復路の移動すなわち往路とは逆方向の移動を開始する。
【0065】
復路では、制御用コンピュータ56が、クリーニングブレード1のブレード本体2の長手方向の両端部及び中央部が第2カメラ60と対向する位置に到達したときにそれぞれクリーニングブレード1を停止させる(
図13(c)、(d)、(e))。そしてそれらの停止中に第2カメラ60による撮影が行われる。第2カメラ60による全ての撮影が終わりクリーニングブレード1が第2カメラ60の前を通過すると、制御用コンピュータ56がクリーニングブレード1の移動を停止させ、そのクリーニングブレード1の検査が終了する。
【0066】
処理装置52は、上記の要領で、接触端4の欠陥、エッジ位置、平行度、寸法の合否を判定する。そして、クリーニングブレード1の移動を停止させた後、判定結果を表示装置66に表示する。
【0067】
なお、上記実施形態とは逆に、往路の複数箇所でクリーニングブレード1を停止させて第2カメラ60による撮影を行い、復路でクリーニングブレード1を連続移動させて第1カメラ20による撮影及び変位計62による測定を行っても良い。
【0068】
3.実施形態の効果
本実施形態では、上記の通り第1カメラ20の撮影角度及び照明30の照射角度を変更する角度変更装置としてゴニオステージ24、34が設けられている。そのため、検査対象のクリーニングブレード1のブレード本体2の断面形状が変わったときに、その断面形状に合わせて第1カメラ20の撮影角度及び照明30の照射角度を変更することができ、ブレード本体2の接触端4の欠陥を適切に検出することができる。
【0069】
また、上記の通り、クリーニングブレード1を保持した治具40が往復可能に設けられ、往路ではクリーニングブレード1を停止させることなく連続移動させ、復路では複数回停止させるよう設けられている。そして、検査装置10は、第1カメラ20の他に、寸法検査に用いられる第2カメラ60と、エッジ位置及び平行度の検査に用いられる変位計62とを備え、クリーニングブレード1の連続移動中にできる検査(具体的には欠陥の有無、エッジ位置、及び平行度の検査)が往路で行われ、クリーニングブレード1を停止させなければできない検査(具体的には寸法検査)が復路で行われるよう設けられている。そのため、全ての検査を効率良く行うことができる。
【0070】
4.変更例
次に以上の実施形態の変更例について説明する。
【0071】
(1)変更例1
検査装置10は、治具40に保持されたクリーニングブレード1を認識すると、自動的に第1カメラ20の撮影角度と照明30の照射角度とをそのクリーニングブレード1の検査に適した角度に変更するものであっても良い。
【0072】
例えば、クリーニングブレード1に品番毎に異なるバーコードが貼り付けられている。そして、クリーニングブレード1が治具40にセットされると、上記の第1カメラ20、第2カメラ60又は別のカメラがこのバーコードを撮影し、バーコードのデータをコンピュータ50へ送る。一方、コンピュータ50の記憶装置54には、あらかじめ、バーコード毎の理想的な第1カメラ20の撮影角度と照明30の照射角度が記憶されている。コンピュータ50の処理装置52は、バーコードのデータを受け取ると、記憶されている理想的な角度に基づき、ゴニオステージ24、34を制御して第1カメラ20の撮影角度と照明30の照射角度とをその角度に変更する。
【0073】
(2)変更例2
治具に保持されたクリーニングブレード1に対する第1カメラ20の撮影角度と照明30の照射角度とを変更するにあたり、上記の実施形態のように第1カメラ20及び照明30の角度を変更するのではなく、水平面に対するクリーニングブレード1の傾斜角度を変更しても良い。
【0074】
水平面に対するクリーニングブレード1の傾斜角度を変更するための角度変更装置を備える治具140の例を
図14に示す。
図14の治具140は、クリーニングブレード1に接してこれを保持する保持板142と、保持板142に固定された回転軸144と、回転軸144を回転させる図示しないモータとを備える。モータは制御用コンピュータ56に電気的に接続されている。
【0075】
このような構造において、制御用コンピュータ56がモータを駆動させると、回転軸144が回転して水平面に対する保持板142の傾斜角度が変化し、水平面に対するクリーニングブレード1の傾斜角度が変化する。これにより、第1カメラ20の撮影角度及び照明30の照射角度が変化する。
【0076】
なお、水平面に対するクリーニングブレード1の傾斜角度を変化させた場合は、第2カメラ60の撮影角度及び変位計62の測定角度を変更する必要がある。
【0077】
また、検査装置10は、水平面に対する第1カメラ20及び照明30の角度と、水平面に対するクリーニングブレード1の傾斜角度との両方を変更可能となっていても良い。
【0078】
(3)変更例3
第2カメラ60は、上記実施形態では寸法検査のために用いられたが、クリーニングブレード1を停止させて撮影する必要がある別の検査にも利用可能である。
【0079】
また、変位計62は、上記実施形態ではエッジ位置及び平行度の検査のために用いられたが、移動中のクリーニングブレード1までの距離を測定する必要がある別の検査にも利用可能である。
【0080】
(4)変更例4
以上の実施形態及び変更例の検査装置10は、クリーニングブレード以外にも様々な板状体の検査に用いることができる。