(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による波力発電システムに含まれる波力発電機1の原理的構成を示す図である。
図1において、この波力発電機1は、海中に搖動自在に設けられ、波Wのエネルギーを交流電力に変換する。
【0012】
波力発電機1は、出力端子T1a,T1b、励磁端子T2a,T2b、発電コイル2、励磁コイル3、ガイド筒4、およびフロート磁石5を含む。発電コイル2(第1のコイル)は出力端子T1a,T1b間に接続され、励磁コイル3(第2のコイル)は励磁端子T2a,T2b間に接続されている。発電コイル2の中心軸と励磁コイル3の中心軸とは一致している。コイル2,3の各々は、絶縁部材で被覆された導電線を含む。
【0013】
ガイド筒4は、樹脂のような非磁性体材料を用いて、両端が閉じられた円筒状に形成されている。ガイド筒4には、水が流通するように、多数の小孔が形成されている。ガイド筒4は、コイル2,3内に挿入されている。ガイド筒4の中心軸は、コイル2,3の中心軸と同じ方向に向けられている。コイル2,3は、ガイド筒4の長さ方向の中央部に配置されている。
【0014】
フロート磁石5は、中空の円柱状に形成され、ガイド筒4内に挿入されている。フロート磁石5の中心軸は、ガイド筒4の中心軸と同じ方向に向けられている。フロート磁石5は、ガイド筒4の中心軸に沿って往復動自在に設けられている。フロート磁石5の一方端部および他方端部の各々は、水の抵抗を減少させるために半円状に突出している。フロート磁石5の一方端および他方端は、それぞれN極およびS極に着磁されている。フロート磁石5のN極およびS極は、ガイド筒4の中心軸が延在する方向に向けられている。コイル2,3内に複数組のガイド筒4およびフロート磁石5が設けられていても構わない。
【0015】
波Wによって波力発電機1が傾けられ、ガイド筒4の一方端が他方端よりも高くなると、浮力によってフロート磁石5がガイド筒4の一方端側に移動する。逆に、ガイド筒4の他方端が一方端よりも高くなると、浮力によってフロート磁石5がガイド筒4の他方端側に移動する。フロート磁石5がガイド筒4内で往復動すると、電磁誘導現象によって発電コイル2の端子間に交流電圧VAC0が発生する。
【0016】
また、フロート磁石5の磁力が低下した場合には、励磁コイル3に直流電流を流して励磁コイル3内にフロート磁石5と同じ方向の磁界を発生させ、フロート磁石5の磁力を回復させる。
【0017】
図2は、波力発電機1を備えた波力発電システムの構成を示す回路ブロック図である。
図2では、図面および説明の簡単化のため、交流電力を供給する配線を1本線で示すとともに、直流電力を供給する配線を1本線で示している。
図2において、この波力発電システムは、波力発電機1、パワーコンディショナ10、バッテリ31、および遮断器32を備える。
【0018】
波力発電機1の構成は、
図1に示した通りである。
図2では、図面および説明の簡単化のため、2つの出力端子T1a,T1bを1つの出力端子T1で示し、2つの励磁端子T2a,T2bを1つの励磁端子T2で示している。波力発電機1は、海中に搖動自在に設けられ、波Wのエネルギーを交流電力に変換する。
【0019】
波力発電機1を搖動自在に設ける方法としては、格子状の筐体を海底に固定し、その筐体内に波力発電機1を設ける方法がある。また、筏、ブイなどからワイヤなどを用いて波力発電機1を海中に吊るしてもよい。
【0020】
パワーコンディショナ10は、入力端子T11、励磁端子T12、バッテリ端子T13、バイパス端子T14、および出力端子T15を含む。入力端子T11および励磁端子T12は、それぞれ波力発電機1の出力端子T1および励磁端子T2に接続される。バッテリ端子T13は、バッテリ31に接続される。バッテリ31(電力貯蔵装置)は、直流電力を蓄える。バッテリ31の代わりにコンデンサが設けられていても構わない。
【0021】
バイパス端子T14は、遮断器32を介して商用交流電源(電力系統)33に接続される。遮断器32は、波力発電システムの運転時にオンされる。商用交流電源33とパワーコンディショナ10との間に過電流が流れた場合には、遮断器32はオフされ、商用交流電源33および波力発電システムが過電流から保護される。商用交流電源33と波力発電システムは、商用周波数の交流電力を授受する。出力端子T15は、負荷34に接続される。負荷34は、パワーコンディショナ10から供給される商用周波数の交流電力によって駆動される。
【0022】
パワーコンディショナ10は、さらに、コンバータ11、直流ライン12、スイッチ13,14,21,22、励磁回路15、電流検出器16,24、昇圧チョッパ17、コンデンサ18、インバータ19、交流フィルタ20、半導体スイッチ23、および制御装置25を含む。コンバータ11、励磁回路15、昇圧チョッパ17、およびインバータ19の各々は、互いに逆並列に接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)およびダイオードを含む。
【0023】
コンバータ11の入力ノードは入力端子T11に接続され、コンバータ11の出力ノードは直流ライン12を介して昇圧チョッパ17に接続される。コンバータ11は、制御装置25によって制御され、波力発電機1から入力端子T11を介して供給される交流電力を直流電力に変換して直流ライン12に出力する。制御装置25は、直流ライン12の直流電圧VDC1が目標電圧VDC1tになるようにコンバータ11を制御する。
【0024】
スイッチ13は、直流ライン12とバッテリ端子T13との間に接続される。スイッチ13は、制御装置25によって制御され、波力発電システムの運転時にオンされ、バッテリ31などのメンテナンス時にオフされる。
【0025】
スイッチ14は、直流ライン12と励磁回路15の入力ノードとの間に接続される。スイッチ14は、制御装置25によって制御され、フロート磁石5(
図1)の磁力を回復させる励磁モード時にはオンされ、励磁モード時以外の期間にはオフされる。
【0026】
励磁回路15の出力ノードは、励磁端子T12に接続される。電流検出器16は、励磁回路15の出力ノードから励磁端子T12に流れる直流電流の瞬時値を検出し、その検出値を示す信号を制御装置25に出力する。
【0027】
励磁回路15は、制御装置25によって制御され、励磁モード時に励磁端子T12を介して波力発電機1の励磁コイル3に一定の直流電流を流し、フロート磁石5の磁力を回復させる。制御装置25は、電流検出器16によって検出される直流電流が所定値になるように励磁回路15を制御する。
【0028】
昇圧チョッパ17は、制御装置25によって制御され、直流ライン12の直流電圧VDC1を昇圧して、商用交流電圧と同レベルの交流電圧を生成するために必要なレベルの直流電圧VDC2を出力する。制御装置25は、直流電圧VDC2が目標電圧VDC2tになるように昇圧チョッパ17を制御する。コンデンサ18は、昇圧チョッパ17の直流出力電圧VDC2を平滑化および安定化させる。なお、直流電圧VDC2は、商用交流電圧VAC2の(2√2)/(√3)≒1.63倍に設定される。
【0029】
インバータ19は、制御装置25によって制御され、昇圧チョッパ17からの直流電圧VDC2を商用周波数の交流電圧に変換する。インバータ19の出力ノードは交流フィルタ20を介してスイッチ21の一方端子に接続され、スイッチ21の他方端子(ノードN1)は出力端子T15に接続される。
【0030】
交流フィルタ20は、リアクトルL1,L2およびコンデンサC1を含む。交流フィルタ20は、低域通過フィルタであり、インバータ19によって生成された商用周波数の交流電力を通過させ、インバータ19で発生するスイッチング周波数の信号を遮断する。換言すると、交流フィルタ20は、インバータ19の出力電圧を正弦波状の交流電圧VAC1に変換する。インバータ19および交流フィルタ20は、逆変換器を構成する。
【0031】
スイッチ21は、制御装置25によって制御され、インバータ19によって生成された交流電力を負荷34に供給するインバータ給電モード時にオンされ、商用交流電源33からの交流電力を負荷34に供給するバイパス給電モード時にオフされ、波力発電機1を商用交流電源33に系統連系させる系統連系モード時にオンされる。
【0032】
スイッチ22はノードN1とバイパス端子T14の間に接続され、半導体スイッチ23はスイッチ22に並列接続される。半導体スイッチ23は、逆並列に接続された1対のサイリスタを含む。
【0033】
スイッチ22は、制御装置25によって制御され、インバータ19によって生成された交流電力を負荷34に供給するインバータ給電モード時にオフされ、商用交流電源33からの交流電力を負荷34に供給するバイパス給電モード時にオンされ、波力発電機1を商用交流電源33に系統連系させる系統連系モード時にオンされる。
【0034】
半導体スイッチ23は、インバータ給電モードからバイパス給電モードに移行する際に瞬時にオンし、商用交流電源33から負荷34に交流電力を供給する。温度上昇による半導体スイッチ23の破損を防止するため、半導体スイッチ23は所定の短時間だけオンされる。
【0035】
電流検出器24は、ノードN1と出力端子T15の間に流れる負荷電流ILを検出し、その検出値を示す信号を制御装置25に供給する。制御装置25は、負荷電流ILが所定値になるように、インバータ19を制御する。
【0036】
制御装置25は、波力発電機1の交流出力電圧VAC0、直流ライン12の直流電圧VDC1、昇圧チョッパ17の直流出力電圧VDC2、交流電圧VAC1、商用交流電源33からの交流電圧VDC2、電流検出器16,24の出力信号などに基づいて、パワーコンディショナ10全体を制御する。
【0037】
図3は、パワーコンディショナ10の要部を示す回路ブロック図である。
図3では、交流電力を供給する配線を2本線で示すとともに、直流電力を供給する配線を2本線で示している。
図3において、入力端子T11a,T11bは、入力端子T1(
図2)に対応しており、それぞれ波力発電機1の出力端子T1a,T1bに接続されている。
【0038】
励磁端子T12a,T12bは、励磁端子T2(
図2)に対応しており、それぞれ波力発電機1の励磁端子T2a,T2bに接続されている。バッテリ端子T13a,T13bは、バッテリ端子T13(
図2)に対応しており、それぞれバッテリ31の正極および負極に接続されている。直流ライン12a,12bは、直流ライン12(
図2)に対応している。
【0039】
入力端子T11a,T11bは、それぞれコンバータ11の入力ノード11a,11bに接続される。コンバータ11の出力ノード11c,11dは、それぞれ直流ライン12a,12bの一方端に接続される。直流ライン12a,12bの他方端は、それぞれ昇圧チョッパ17の入力ノード17a,17bに接続される。昇圧チョッパ17の出力ノード17c,17dは、インバータ19に接続される。コンデンサ18は、出力ノード17c,17d間に接続される。
【0040】
コンバータ11は、波力発電機1から入力ノード11a,11bに与えられた低周波数の交流電圧VAC0を直流電圧VDC1に変換して出力ノード11b,11c間に出力する。昇圧チョッパ17は、入力ノード17a,17b間の直流電圧VDC1を昇圧して出力ノード17c,17d間に出力する。コンデンサ18は、出力ノード17c,17d間の直流電圧VDC2を平滑化および安定化させる。
【0041】
スイッチ13a,13bは、スイッチ13(
図2)に対応している。スイッチ13aは、直流ライン12aとバッテリ端子T13aの間に接続される。スイッチ13bは、直流ライン12bとバッテリ端子T13bの間に接続される。スイッチ13a,13bは、通常はオンされている。スイッチ13a,13bがオンされると、バッテリ31の正極および負極がそれぞれ直流ライン12a,12bに接続される。
【0042】
スイッチ14a,14bは、スイッチ14(
図2)に対応している。スイッチ14aは、直流ライン12aと励磁回路15の入力ノード15aとの間に接続される。スイッチ14bは、直流ライン12bと励磁回路15の入力ノード15bとの間に接続される。励磁回路15の出力ノード15c,15dは、それぞれ励磁端子T12a,T12bに接続される。
【0043】
励磁モード時にスイッチ14a,14bがオンされると、バッテリ31の正極および負極がスイッチ13a,13bおよびスイッチ14a,14bを介して励磁回路15の入力ノード15a,15bに接続される。励磁回路15は、バッテリ31の直流電力によって駆動され、波力発電機1の励磁コイル3に一定の直流電流を流し、フロート磁石5の磁力を回復させる。
【0044】
図4は、昇圧チョッパ17の構成を示す回路図である。
図4において、昇圧チョッパ17は、リアクトルX1、IGBTQ1、およびダイオードD1,D2を含む。リアクトルX1の一方端子は入力ノード17aに接続され、その他方端子はノードN2に接続される。IGBTQ1のコレクタはノードN2に接続され、そのエミッタは入力ノード17bおよび出力ノード17dに接続される。ダイオードD1は、IGBTQ1に逆並列に接続される。ダイオードD2のアノードはノードN2に接続され、そのカソードは低電圧側ノード17cに接続される。
【0045】
IGBTQ1は、制御装置25からのゲート信号G1によって制御される。ゲート信号G1は、一定周波数で「H」レベルおよび「L」レベルにされる。ゲート信号G1が「H」レベルにされるとIGBTQ1がオンし、ゲート信号G1が「L」レベルにされるとIGBTQ1がオフする。
【0046】
IGBTQ1がオンされると、入力ノード17aからリアクトルX1およびIGBTQ1を介して入力ノード17bに電流が流れ、リアクトルX1に電磁エネルギーが蓄えられる。IGBTQ1がオフされると、リアクトルX1からIGBTQ1に流れていた電流がリアクトルX1からダイオードD2に転流され、コンデンサ18を介して出力ノード17cに流れ、コンデンサ18が充電されるとともに、リアクトルX1の電磁エネルギーが放出される。
【0047】
ゲート信号G1が「H」レベルにされる時間(パルス幅)と1周期(1/fH)との比は、デューティ比と呼ばれる。ゲート信号G1のデューティ比を調整することにより、コンデンサ18の端子間電圧VDC2を所定の目標電圧VDC2tに調整することが可能となっている。直流ライン12a,12b間の直流電圧VDC1は昇圧されてコンデンサ18の端子間に与えられ、VDC1<VDC2となる。
【0048】
昇圧チョッパ17は変圧器のように鉄損および銅損を生じないので、昇圧チョッパ17を使用することにより、波力発電システムの効率を高めることができる。また、昇圧チョッパ17は、変圧器に比べて、軽量かつ小型である。
【0049】
次に、
図1〜
図4に示した波力発電システムの動作について説明する。インバータ給電モードが選択され、スイッチ13,21がオンされ、スイッチ14,22,23がオフされ、遮断器32がオンされているものとする。
【0050】
波Wによって波力発電機1が搖動されると、ガイド筒4(
図1)内でフロート磁石5が往復動し、発電コイル2の端子間に低周波数の交流電力が発生する。発電コイル2の端子間に発生した交流電力は、コンバータ11によって直流電力に変換され、バッテリ31に蓄えられるとともに、昇圧チョッパ17に与えられる。
【0051】
コンバータ11の直流出力電圧VDC1は、昇圧チョッパ17によって昇圧される。昇圧チョッパ17の直流出力電圧VDC2は、インバータ19および交流フィルタ20によって商用周波数の交流電圧VAC1に変換され、スイッチ21を介して負荷34に供給され、負荷34が運転される。
【0052】
波Wが弱く、波力発電機1によって生成される交流電力が不足する場合には、不足分の電力がバッテリ31から直流ライン12に供給される。したがって、波Wが弱い場合や波Wがない場合でも、バッテリ31に直流電力が蓄えられている期間は、負荷34の運転を継続することができる。
【0053】
フロート磁石5の磁力は時間の経過とともに徐々に低下するので、定期的に励磁モードが実行される。励磁モードでは、スイッチ14がオンされ、バッテリ31の直流電力がスイッチ13,14を介して励磁回路15に供給される。励磁回路15は、バッテリ31からの直流電力によって駆動され、励磁コイル3に一定の直流電流を流して励磁コイル2内に磁界を発生させ、フロート磁石5の磁力を回復させる。
【0054】
インバータ給電モード中にインバータ19が故障した場合には、半導体スイッチ23が瞬時にオンされ、商用交流電源33から遮断器32および半導体スイッチ23を介して負荷34に交流電力が供給され、負荷34の運転が継続される。また、スイッチ22がオンされとともにスイッチ21がオフされる。
【0055】
所定時間経過後に半導体スイッチ23がオフされ、インバータ給電モードからバイパス給電モードへの切換が完了する。バイパス給電モードでは、商用交流電源33から遮断器32およびスイッチ22を介して負荷34に交流電力が供給され、負荷34が運転される。
【0056】
また、系統連系モードが選択された場合には、スイッチ13,21,22がオンされ、スイッチ14,23がオフされ、遮断器32がオンされる。波Wが強く、波力発電機1からの交流電力が十分に大きい場合には、逆変換器(インバータ19および交流フィルタ20)の交流出力電圧VAC1のレベルが商用交流電源33の交流電圧VAC2のレベルよりも高く設定される。これにより、逆変換器によって生成された交流電力は、スイッチ21を介して負荷34に供給されるとともに、スイッチ21,22および遮断器32を介して商用交流電源(電力系統)33に供給される。
【0057】
波Wが弱く、波力発電機1からの交流電力が不足する場合には、逆変換器(インバータ19および交流フィルタ20)の交流出力電圧VAC1のレベルが商用交流電源33の交流電圧VAC2のレベル以下に設定される。この場合は、逆変換器からの交流電力がスイッチ21を介して負荷34に供給されるとともに、商用交流電源33からの交流電力が遮断器32およびスイッチ22を介して負荷34に供給され、負荷34が駆動される。
【0058】
以上のように、この実施の形態1では、波力発電機1によって生成された交流電力をコンバータ11によって直流電力に変換し、コンバータ11の直流出力電圧VDC1を昇圧チョッパ17によって昇圧し、昇圧チョッパ17の直流出力電圧VDC2を逆変換器(インバータ19および交流フィルタ20)によって交流電圧VAC1に変換する。したがって、逆変換器の交流出力電圧を変圧器によって昇圧する場合に比べ、発電効率が高く、小型で軽量の波力発電システムを実現することができる。
【0059】
[実施の形態2]
図5は、この発明の実施の形態2による波力発電システムの構成を示す回路ブロック図であって、
図2と対比される図である。
図5を参照して、この波力発電システムが
図2の波力発電システムと異なる点は、パワーコンディショナ10がパワーコンディショナ40で置換されている点である。
【0060】
パワーコンディショナ40は、パワーコンディショナ10にスイッチ41,42および交流フィルタ43を追加したものである。スイッチ41は、入力端子T11とコンバータ11の入力ノードとの間に接続される。スイッチ41は、制御装置25によって制御され、通常はオンされ、波力発電機1のフロート磁石5(
図1)の磁力を回復させる励磁モード時にはオフされる。
【0061】
スイッチ42の一方端子はコンバータ11の入力ノードに接続され、その他方端子は交流フィルタ43を介してバイパス端子T14に接続される。スイッチ41は、制御装置25によって制御され、通常はオフされ、励磁モード時にはオンされる。
【0062】
交流フィルタ43は、リアクトルL3,L4およびコンデンサC2を含む。交流フィルタ43は、低域通過フィルタであり、商用交流電源33からの商用周波数の交流電力を通過させ、コンバータ11で発生するスイッチング周波数の信号を遮断する。
【0063】
図6は、パワーコンディショナ40の要部を示す回路ブロック図である。
図6では、交流電力を供給する配線を2本線で示すとともに、直流電力を供給する配線を2本線で示している。
図6において、スイッチ41a,41bは、スイッチ41(
図5)に対応している。スイッチ41aは、入力端子T11aとコンバータ11の入力ノード11aとの間に接続される。スイッチ41bは、入力端子T11bとコンバータ11の入力ノード11bとの間に接続される。スイッチ41a,41bは、制御装置25によって制御され、通常はオンされ、励磁モード時にはオフされる。
【0064】
バイパス端子T14a,T14bは、バイパス端子T14(
図5)に対応している。バイパス端子T14a,T14bは、商用交流電源33からの交流電圧VAC2を受ける。交流フィルタ43Aは、交流フィルタ43(
図5)に対応している。交流フィルタ43Aは、低域通過フィルタであり、たとえば、2組のリアクトルL3,L4およびコンデンサC2(
図5)を含む。
【0065】
スイッチ42a,42bは、スイッチ42(
図5)に対応している。スイッチ42aの一方端子はコンバータ11の入力ノード11aに接続され、その他方端子は交流フィルタ43Aを介してバイパス端子T14aに接続される。スイッチ42bの一方端子はコンバータ11の入力ノード11bに接続され、その他方端子は交流フィルタ43Aを介してバイパス端子T14bに接続される。スイッチ42a,42bは、制御装置25によって制御され、通常はオフされ、励磁モード時にはオンされる。
【0066】
次に、この波力発電システムの動作について説明する。通常時は、スイッチ41a,41bがオンされるとともに、スイッチ42a,42bがオフされる。この場合、パワーコンディショナ40の構成はパワーコンディショナ10(
図1)と同じ構成になる。発電コイル2の端子間に発生した交流電圧VAC0は、スイッチ41a,41bを介してコンバータ11に供給され、直流電圧VDC1に変換される。
【0067】
励磁モード時には、スイッチ41a,41bがオフされるとともに、スイッチ42a,42bがオンされる。これにより、コンバータ11の入力ノード11a,11bが波力発電機1の発電コイル2と電気的に切り離される。また、商用交流電源33から交流フィルタ43Aおよびスイッチ42a,42bを介してコンバータ11の入力ノード11a,11bに交流電力が供給される。
【0068】
商用交流電源33から供給された交流電力は、コンバータ11によって直流電力に変換され、スイッチ13a,13bを介してバッテリ31に蓄えられるとともに、スイッチ14a,14bを介して励磁回路15に供給される。励磁回路15は、コンバータ11からの直流電力によって駆動され、波力発電機1の励磁コイル3に一定の直流電流を流してフロート磁石5の磁力を回復させる。他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0069】
この実施の形態2では、実施の形態1と同じ効果が得られる他、励磁モード時にバッテリ31の直流電力が減少することを防止することができる。
【0070】
[実施の形態3]
図7は、この発明の実施の形態3による波力発電システムの構成を示す図である。
図7において、この波力発電システムが実施の形態1の波力発電システムと異なる点は、波力発電システムが漁船50(船舶)に搭載され、漁船50に搭載されている自家発電機51が商用交流電源33(
図2)の代わりに使用され、夜釣り用の電灯52が負荷34として使用される点である。
【0071】
自家発電機51は、漁船50を推進させるためのエンジン(図示せず)によって駆動され、交流電圧VAC2を生成する。波力発電機1は、網状の袋53に入れられて漁船50から海中に吊るされる。漁船50の船底に袋53を接続しても構わない。
【0072】
漁船50が漁場に到着すると、エンジンが停止され、自家発電機51の運転が停止される。波力発電機1が海中に吊るされ、波力発電が開始される。波力発電機1によって生成された交流電圧はパワーコンディショナ10によって所定周波数および所定電圧の交流電圧に変換されて電灯52に供給され、電灯52が点灯される。電灯52の光によって集められた魚、イカなどは、漁師に釣り上げられる。
【0073】
この実施の形態3でも、実施の形態1と同じ効果が得られる。なお、パワーコンディショナ10の代わりにパワーコンディショナ40を漁船50に搭載しても構わない。
【0074】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。