特許第6875254号(P6875254)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6875254ブレーキ制御装置およびブレーキシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875254
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ブレーキ制御装置およびブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/12 20060101AFI20210510BHJP
   B60T 13/74 20060101ALI20210510BHJP
   B62L 1/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   B60T7/12 B
   B60T7/12 F
   B60T13/74 E
   B60T7/12 C
   B62L1/00 A
【請求項の数】27
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-213198(P2017-213198)
(22)【出願日】2017年11月2日
(65)【公開番号】特開2019-84895(P2019-84895A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2019年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西野 高史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 利彦
(72)【発明者】
【氏名】名合 大輔
(72)【発明者】
【氏名】高山 仁志
(72)【発明者】
【氏名】中倉 正裕
【審査官】 羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−088155(JP,A)
【文献】 特開平11−070863(JP,A)
【文献】 特開2001−347981(JP,A)
【文献】 特開平09−240565(JP,A)
【文献】 特開昭59−208232(JP,A)
【文献】 特開2016−185235(JP,A)
【文献】 実開昭58−065436(JP,U)
【文献】 特開2003−335290(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0311491(US,A1)
【文献】 特表2017−516713(JP,A)
【文献】 特開2016−147669(JP,A)
【文献】 特開平01−136857(JP,A)
【文献】 特開2016−025798(JP,A)
【文献】 特開2017−013524(JP,A)
【文献】 特開2012−224232(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0281828(US,A1)
【文献】 特開2016−203932(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/105718(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12−8/1769
B60T 8/32−8/96
B60T 13/00−13/74
B62M 1/00−29/02
F16D 49/00−71/04
B60L 1/00−3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
B62L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面の傾斜を除く人力駆動車の走行に関する第1情報に基づいて、前記人力駆動車の回転体を制動部が挟持して制動するように前記制動部を自動的に制御し、
前記第1情報は、前記人力駆動車の走行速度に関する情報を含み、
前記第1情報に基づく前記走行速度が所定速度以上の場合、前記制動部を自動的に制御し、
前記所定速度を設定する設定部を含み、
前記設定部は、ユーザによって操作される入力部からの入力に基づいて、前記人力駆動車の位置とは無関係に前記所定速度を設定する、ブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記第1情報に基づく前記走行速度が前記所定速度以上の場合、前記走行速度が前記所定速度未満となるように、前記制動部を自動的に制御する、請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記第1情報とは別の前記人力駆動車の走行に関する第2情報に基づいて、前記所定速度を設定する、請求項1または2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項4】
前記第1情報とは別の前記人力駆動車の走行に関する第2情報に基づいて、前記制動部の自動的な制動の態様を決定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項5】
路面の傾斜を除く人力駆動車の走行に関する第1情報に基づいて、前記人力駆動車の回転体を制動部が制動するように前記制動部を自動的に制御し、
前記第1情報は、前記人力駆動車の走行速度に関する情報を含み、
前記第1情報に基づく前記走行速度が所定速度以上の場合、前記制動部を自動的に制御し、
前記所定速度を設定する設定部を含み、
前記設定部は、前記第1情報とは別の情報であり、前記人力駆動車の位置とは異なる前記人力駆動車の走行に関する第2情報に基づいて、前記所定速度を設定する、ブレーキ制御装置。
【請求項6】
前記第1情報とは別の前記人力駆動車の走行に関する第2情報に基づいて、前記制動部の自動的な制動の態様を決定する、請求項5に記載のブレーキ制御装置。
【請求項7】
路面の傾斜を除く人力駆動車の走行に関する第1情報に基づいて、前記人力駆動車の回転体を制動部が挟持して制動するように前記制動部を自動的に制御し、
前記第1情報は、前記人力駆動車の走行速度に関する情報を含み、
前記第1情報に基づく前記走行速度が所定速度以上の場合、前記制動部を自動的に制御し、
前記所定速度を設定する設定部を含み、
前記設定部は、前記第1情報とは別の情報であり、前記人力駆動車の位置とは異なる前記人力駆動車の走行に関する第2情報に基づいて、前記制動部の自動的な制動の態様を決定する、ブレーキ制御装置。
【請求項8】
前記第1情報に基づく前記走行速度が前記所定速度以上の場合、前記走行速度が前記所定速度未満となるように、前記制動部を自動的に制御する、請求項5〜7のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項9】
前記第2情報は、前記人力駆動車に搭載される操作装置の操作に関する情報を含む、請求項3〜のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項10】
前記第2情報は、路面状態に関する情報を含む、請求項3〜のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項11】
前記路面状態に関する情報は、路面の傾斜に関する情報を含む、請求項10に記載のブレーキ制御装置。
【請求項12】
前記路面状態に関する情報は、路面の凹凸に関する情報を含む、請求項10または11に記載のブレーキ制御装置。
【請求項13】
前記路面状態に関する情報は、路面の摩擦抵抗に関する情報を含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項14】
前記第2情報は、前記人力駆動車の傾き角度に関する情報を含む、請求項3〜13のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項15】
前記傾き角度に関する情報は、前記人力駆動車の前後方向における傾き角度に関する情報を含む、請求項14に記載のブレーキ制御装置。
【請求項16】
前記傾き角度に関する情報は、前記人力駆動車の左右方向における傾き角度に関する情報を含む、請求項14または15に記載のブレーキ制御装置。
【請求項17】
前記第2情報は、前記人力駆動車のクランクの回転状態に関する情報を含む、請求項3〜16のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項18】
前記回転状態に関する情報は、前記クランクの回転方向に関する情報を含む、請求項17に記載のブレーキ制御装置。
【請求項19】
前記回転状態に関する情報は、前記クランクの回転数に関する情報を含む、請求項17または18に記載のブレーキ制御装置。
【請求項20】
前記第2情報は、前記人力駆動車への荷重に関する情報を含む、請求項3〜19のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項21】
前記荷重に関する情報は、前記人力駆動車のサドルへの荷重に関する情報を含む、請求項20に記載のブレーキ制御装置。
【請求項22】
前記荷重に関する情報は、前記人力駆動車のペダルへの荷重に関する情報を含む、請求項20または21に記載のブレーキ制御装置。
【請求項23】
前記荷重に関する情報は、前記人力駆動車のハンドルへの荷重に関する情報を含む、請求項20〜22のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項24】
前記第2情報は、前記人力駆動車の振動に関する情報を含む、請求項3〜23のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項25】
前記第2情報は、前記人力駆動車の駆動輪のトラクションに関する情報を含む、請求項3〜24のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置と、
前記制動部と、
前記制動部を駆動する電動駆動部と、を含むブレーキシステム。
【請求項27】
前記電動駆動部は、電気モータを含む、請求項26に記載のブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ制御装置およびブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
人力駆動車に適用されるブレーキシステムとして、例えば、特許文献1のブレーキシステムが知られている。このブレーキシステムは、人力駆動車の回転体を制動する制動部と、制動部を駆動する電動駆動部と、電動駆動部を制御するブレーキ制御装置と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−30395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人力駆動車の回転体を好適に制動できることが好ましい。
本発明の目的は、人力駆動車の回転体を好適に制動できるブレーキ制御装置およびブレーキシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従うブレーキ制御装置は、路面の傾斜を除く人力駆動車の走行に関する第1情報に基づいて、前記人力駆動車の回転体を制動部が制動するように前記制動部を自動的に制御する。
前記第1側面のブレーキ制御装置によれば、人力駆動車の回転体を第1情報に応じて好適に制動できる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面のブレーキ制御装置において、前記第1情報は、前記人力駆動車の走行速度に関する情報を含む。
前記第2側面のブレーキ制御装置によれば、人力駆動車の回転体を走行速度に関する情報に応じて好適に制動できる。
【0007】
前記第2側面に従う第3側面のブレーキ制御装置において、前記第1情報に基づく前記走行速度が所定速度以上の場合、前記制動部を自動的に制御する。
前記第3側面のブレーキ制御装置によれば、人力駆動車の速度を好適に制御できる。
【0008】
前記第3側面に従う第4側面のブレーキ制御装置において、前記第1情報に基づく前記走行速度が前記所定速度以上の場合、前記走行速度が前記所定速度未満となるように、前記制動部を自動的に制御する。
前記第4側面のブレーキ制御装置によれば、人力駆動車の速度を好適に制御できる。
【0009】
前記第3または第4側面に従う第5側面のブレーキ制御装置において、前記所定速度を設定する設定部を含む。
前記第5側面のブレーキ制御装置によれば、人力駆動車の速度を好適に制御できる。
【0010】
前記第5側面に従う第6側面のブレーキ制御装置において、前記設定部は、ユーザによって操作される入力部からの入力に基づいて、前記所定速度を設定する。
前記第6側面のブレーキ制御装置によれば、ユーザの好みに応じて人力駆動車の速度を好適に制御できる。
【0011】
前記第5側面に従う第7側面のブレーキ制御装置において、前記設定部は、前記第1情報とは別の前記人力駆動車の走行に関する第2情報に基づいて、前記所定速度を設定する。
前記第7側面のブレーキ制御装置によれば、人力駆動車の速度をより好適に制御できる。
【0012】
前記第1〜第7側面のいずれか1つに従う第8側面のブレーキ制御装置において、前記第1情報とは別の前記人力駆動車の走行に関する第2情報に基づいて、前記制動部の自動的な制動の態様を決定する。
前記第8側面のブレーキ制御装置によれば、第2情報に基づいて制動部の自動的な制動の態様を決定することによって、搭乗者に自然な乗車感覚を与えることができる。
【0013】
前記第7または第8側面に従う第9側面のブレーキ制御装置において、前記第2情報は、前記人力駆動車に搭載される操作装置への操作に関する情報を含む。
前記第9側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0014】
前記第7〜第9側面のいずれか1つに従う第10側面のブレーキ制御装置において、前記第2情報は、路面状態に関する情報を含む。
前記第10側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0015】
前記第10側面に従う第11側面のブレーキ制御装置において、前記路面状態に関する情報は、路面の傾斜に関する情報を含む。
前記第11側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0016】
前記第10または第11側面に従う第12側面のブレーキ制御装置において、前記路面状態に関する情報は、路面の凹凸に関する情報を含む。
前記第12側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0017】
前記第10〜第12側面のいずれか1つに従う第13側面のブレーキ制御装置において、前記路面状態に関する情報は、路面の摩擦抵抗に関する情報を含む。
前記第13側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0018】
前記第7〜第13側面のいずれか1つに従う第14側面のブレーキ制御装置において、前記第2情報は、前記人力駆動車の傾き角度に関する情報を含む。
前記第14側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0019】
前記第14側面に従う第15側面のブレーキ制御装置において、前記傾き角度に関する情報は、前記人力駆動車の前後方向における傾き角度に関する情報を含む。
前記第15側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0020】
前記第14または第15側面に従う第16側面のブレーキ制御装置において、前記傾き角度に関する情報は、前記人力駆動車の左右方向における傾き角度に関する情報を含む。
前記第16側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0021】
前記第7〜第16側面のいずれか1つに従う第17側面のブレーキ制御装置において、前記第2情報は、前記人力駆動車のクランクの回転状態に関する情報を含む。
前記第17側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0022】
前記第17側面に従う第18側面のブレーキ制御装置において、前記回転状態に関する情報は、前記クランクの回転方向に関する情報を含む。
前記第18側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0023】
前記第17または第18側面に従う第19側面のブレーキ制御装置において、前記回転状態に関する情報は、前記クランクの回転数に関する情報を含む。
前記第19側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0024】
前記第7〜第19側面のいずれか1つに従う第20側面のブレーキ制御装置において、前記第2情報は、前記人力駆動車への荷重に関する情報を含む。
前記第20側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0025】
前記第20側面に従う第21側面のブレーキ制御装置において、前記荷重に関する情報は、前記人力駆動車のサドルへの荷重に関する情報を含む。
前記第21側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0026】
前記第20または第21側面に従う第22側面のブレーキ制御装置において、前記荷重に関する情報は、前記人力駆動車のペダルへの荷重に関する情報を含む。
前記第22側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0027】
前記第20〜第22側面のいずれか1つに従う第23側面のブレーキ制御装置において、前記荷重に関する情報は、前記人力駆動車のハンドルへの荷重に関する情報を含む。
前記第23側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0028】
前記第7〜第23側面のいずれか1つに従う第24側面のブレーキ制御装置において、前記第2情報は、前記人力駆動車の振動に関する情報を含む。
前記第24側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0029】
前記第7〜第24側面のいずれか1つに従う第25側面のブレーキ制御装置において、前記第2情報は、前記人力駆動車の駆動輪のトラクションに関する情報を含む。
前記第25側面のブレーキ制御装置によれば、搭乗者により自然な乗車感覚を与えることができる。
【0030】
本発明の第26側面に従うブレーキシステムは、前記ブレーキ制御装置と、前記制動部と、前記制動部を駆動する電動駆動部と、を含む。
前記第26側面のブレーキシステムによれば、人力駆動車の回転体を好適に制動できる。
【0031】
前記第26側面に従う第27側面のブレーキシステムにおいて、前記電動駆動部は、電気モータを含む。
前記第27側面のブレーキシステムによれば、人力駆動車の回転体を好適に制動できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明のブレーキ制御装置およびブレーキシステムによれば、人力駆動車の回転体を好適に制動できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施形態のブレーキシステムを搭載した人力駆動車の側面図。
図2図1のブレーキシステムのブロック図。
図3図2のブレーキ制御装置が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(実施形態)
図1を参照して、この発明の一実施形態のブレーキシステム10を含む人力駆動車Aについて説明する。
ここで、人力駆動車は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両を意味し、電動で人力を補助する車両を含む。人力以外の原動力のみを用いる車両は、人力駆動車には含まれない。特に、内燃機関のみを原動力に用いる車両は、人力駆動車には含まれない。通常、人力駆動車には、小型軽車両が想定され、公道での運転に免許を要しない車両が想定される。図示される人力駆動車Aは、電気エネルギーを用いて人力駆動車Aの推進を補助する電動補助ユニットEを含む自転車(e−bike)である。より具体的には、図示される人力駆動車Aは、シティサイクルである。人力駆動車Aは、フレームA1、フロントフォークA2、前輪A3、後輪A4、ハンドルA5、および、ドライブトレインBをさらに含む。
【0035】
ドライブトレインBは、チェーンドライブタイプに構成される。ドライブトレインBは、クランクC、フロントスプロケットD1、リアスプロケットD2、および、チェーンD3を含む。クランクCは、フレームA1に回転可能に支持されるクランク軸C1、および、クランク軸C1の両端部にそれぞれ設けられる一対のクランクアームC2を含む。各クランクアームC2の先端には、ペダルC3が回転可能に取り付けられる。なお、ドライブトレインBは、任意のタイプから選択でき、ベルトドライブタイプ、または、シャフトドライブタイプであってもよい。
【0036】
フロントスプロケットD1は、クランク軸C1と一体に回転するようにクランクCに設けられる。リアスプロケットD2は、後輪A4のハブA6に設けられる。チェーンD3は、フロントスプロケットD1およびリアスプロケットD2に巻き掛けられる。人力駆動車Aの搭乗者によってペダルC3に加えられる駆動力は、フロントスプロケットD1、チェーンD3、および、リアスプロケットD2を介して後輪A4に伝達される。本実施形態では、後輪A4が人力駆動車Aの駆動輪A7として構成される。前輪A3が人力駆動車Aの駆動輪A7として構成されてもよい。
【0037】
人力駆動車Aは、電動補助ユニットEをさらに含む。電動補助ユニットEは、人力駆動車Aの推進力がアシストされるように動作する。電動補助ユニットEは、例えばペダルC3に加えられる駆動力に応じて動作する。電動補助ユニットEは、電気モータE1を含む。電動補助ユニットEは、人力駆動車Aに搭載されるバッテリBTから供給される電力によって駆動される。人力駆動車Aは、電動補助ユニットEを省略してもよい。
【0038】
ブレーキシステム10は、車輪の数に対応する数のブレーキ装置12を含む。本実施形態では、前輪A3に対応するブレーキ装置12、および、後輪A4に対応するブレーキ装置12がブレーキシステム10に設けられる。一対のブレーキ装置12は、互いに同じ構成を有する。本実施形態では、ブレーキ装置12は、人力駆動車Aの回転体Fを制動するディスクブレーキ装置である。回転体Fは、人力駆動車Aの前輪A3および後輪A4のそれぞれに設けられるディスクブレーキロータF1である。ブレーキ装置12は、リムブレーキ装置であってもよい。この場合、回転体FはリムF2である。
【0039】
ブレーキシステム10は、人力駆動車Aの回転体Fを制動する制動部14と、制動部14を駆動する電動駆動部16と、をさらに含む。本実施形態では、ブレーキ装置12に、制動部14および電動駆動部16が含まれる。制動部14は、回転体Fを挟持するキャリパを含む。制動部14は、電動駆動部16により電気的に駆動されることによって回転体Fを制動する。電動駆動部16は、電気モータ16Aを含む。電気モータ16Aは、電動補助ユニットEの電気モータE1とは異なる。電動駆動部16は、例えばバッテリBTから供給される電力によって駆動される。本実施形態では、電動駆動部16は、制動部14の筐体に設けられる。他の例では、電動駆動部16は、制動部14とは別に設けられる。具体的には、電動駆動部16は、フレームA1、フロントフォークA2、および、ハンドルA5等の任意に場所に設けられる。この場合、電動駆動部16は、作動油等の流体を制動部14に供給するように構成される。
【0040】
ブレーキシステム10は、ブレーキ操作装置18をさらに含む。ブレーキ操作装置18は、人力駆動車Aの中心平面に対して、ハンドルA5の左側、および、ハンドルA5の右側にそれぞれ設けられる。一対のブレーキ操作装置18は、それぞれレバー18Aを含む。一方のブレーキ操作装置18のレバー18Aの操作に応じて一方のブレーキ装置12が駆動され、他方のブレーキ操作装置18のレバー18Aの操作に応じて他方のブレーキ装置12が駆動される。また、一対のブレーキ操作装置18のそれぞれの操作に応じて各ブレーキ装置12(本実施形態では2つのブレーキ装置12)を動作させてもよい。この場合、一方のブレーキ操作装置18における各ブレーキ装置12の制動力の比率と、他方のブレーキ操作装置18の操作における各ブレーキ装置12の制動力の比率とを異ならせるようにしてもよい。
【0041】
図2に示されるように、ブレーキシステム10は、ブレーキ制御装置20をさらに含む。ブレーキ制御装置20は、例えばバッテリBTから供給される電力によって駆動される。ブレーキ制御装置20は、路面の傾斜を除く人力駆動車Aの走行に関する第1情報I1に基づいて、人力駆動車Aの回転体Fを制動部14が制動するように制動部14を自動的に制御する。第1情報I1は、人力駆動車Aの走行速度TSに関する情報を含む。走行速度TSに関する情報は、走行速度TS、前輪A3または後輪A4の回転数、および、クランクCの回転数CRとギヤレシオとの組合せの少なくとも1つを含む。本実施形態では、走行速度TSに関する情報は、走行速度TSを含む。
【0042】
ブレーキ制御装置20は、電動駆動部16を制御することによって制動部14を制御する制御部22を含む。制御部22は、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)である。制御部22は、制動部14に設けられる。詳しくは、制御部22は、制動部14の筐体に取り付けられる。制御部22は、第1情報I1に基づく走行速度TSが所定速度PS以上の場合、制動部14を自動的に制御する。制御部22は、第1情報I1に基づく走行速度TSが所定速度PS以上の場合、走行速度TSが所定速度PS未満となるように、制動部14を自動的に制御する。つまり、制御部22は、人力駆動車Aの走行速度TSに基づいて制動部14の自動制御を実行する。所定速度PSは、40km〜60kmの範囲に含まれることが好ましい。
【0043】
ブレーキ制御装置20は、所定速度PSを設定する設定部24をさらに含む。設定部24は、以下の第1例および第2例のいずれかに従って所定速度PSを設定する。第1例では、設定部24は、搭乗者、製造者、および、整備者を含むユーザによって操作される入力部26からの入力に基づいて、所定速度PSを設定する。入力部26は、ハンドルA5に設けられる(図1参照)。本実施形態では、ハンドルA5に搭載されるサイクルコンピュータが入力部26としても機能する。入力部26は、外部装置(図示略)であってもよい。第2例では、設定部24は、第1情報I1とは別の人力駆動車Aの走行に関する第2情報I2に基づいて、所定速度PSを設定する。この場合、所定速度PSは、設定部24によって自動的に設定される。本実施形態では、制御部22を構成するCPUまたはMPUが設定部24としても機能する。なお、設定部24は、制御部22のCPUまたはMPUとは別のCPUまたはMPUによって構成されてもよい。
【0044】
制御部22は、第1情報I1とは別の人力駆動車Aに関する第2情報I2に基づいて、制動部14の自動的な制動の態様を決定する。本実施形態では、制御部22は、第2情報I2が所定条件を満たしていない場合、第1情報I1に関わらず制動部14の自動制御を実行しないように構成される。所定条件は、第2情報I2に応じて設定される。制御部22は、第2情報I2が所定条件を満たさない場合、例えばブレーキ操作装置18の操作量Sに応じて制動部14を制御する。なお、制御部22は、第2情報I2が所定条件を満たす場合、第2情報I2が所定条件を満たさない場合とは制動強度が異なるように、制動部14の自動制御を実行してもよい。また、ブレーキ制御装置20は、制動部14の自動制御をオン・オフするスイッチ(図示略)を含んでいてもよい。
【0045】
第2情報I2は、人力駆動車Aに搭載される操作装置の操作に関する情報を含む。操作装置は、ブレーキ装置12を動作させるブレーキ操作装置18を含む。本実施形態では、制御部22は、ブレーキ操作装置18に入力がない場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。つまり、本実施形態では、制御部22は、能動的なブレーキの意思が搭乗者にないと推定される場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。
【0046】
第2情報I2は、路面状態RSに関する情報を含む。路面状態RSに関する情報は、路面の傾斜RIに関する情報を含む。制御部22は、路面の傾斜RIが所定傾斜以上の場合、または、路面の傾斜RIが所定傾斜未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。本実施形態では、制御部22は、路面の傾斜RIが所定傾斜以上の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。つまり、本実施形態では、制御部22は、人力駆動車Aが所定傾斜以上の下り坂を走行していると推定される場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。路面状態RSに関する情報は、路面の凹凸RUに関する情報を含む。制御部22は、路面の凹凸RUが所定凹凸以上の場合、または、路面の凹凸RUが所定凹凸未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。本実施形態では、制御部22は、路面の凹凸RUが所定凹凸未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。つまり、本実施形態では、制御部22は、人力駆動車Aが安定して走行していると推定される場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。路面状態RSに関する情報は、路面の摩擦抵抗RFに関する情報を含む。制御部22は、路面の摩擦抵抗RFが所定摩擦抵抗以上の場合、または、路面の摩擦抵抗RFが所定摩擦抵抗未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。本実施形態では、制御部22は、路面の摩擦抵抗RFが所定摩擦抵抗以上の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。つまり、本実施形態では、制御部22は、路面が滑りやすくないと推定される場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。
【0047】
第2情報I2は、人力駆動車Aの傾き角度IAに関する情報を含む。傾き角度IAは、路面の勾配と相関する。傾き角度IAに関する情報は、人力駆動車Aの前後方向における傾き角度(以下、「第1傾き角度IA1」)に関する情報を含む。制御部22は、第1傾き角度IA1が第1所定角度以上の場合、または、第1傾き角度IA1が第1所定角度未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。本実施形態では、制御部22は、第1傾き角度IA1が第1所定角度以上の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。つまり、本実施形態では、制御部22は、人力駆動車Aが所定傾斜以上の下り坂を走行していると推定される場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。傾き角度IAに関する情報は、人力駆動車Aの左右方向における傾き角度(以下、「第2傾き角度IA2」)に関する情報を含む。制御部22は、第2傾き角度IA2が第2所定角度以上の場合、または、第2傾き角度IA2が第2所定角度未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。本実施形態では、制御部22は、第2傾き角度IA2が第2所定角度未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。つまり、本実施形態では、制御部22は、人力駆動車Aが直進していると推定される場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。
【0048】
第2情報I2は、人力駆動車AのクランクCの回転状態CSに関する情報を含む。回転状態CSに関する情報は、クランクCの回転方向CDに関する情報を含む。制御部22は、回転方向CDが所定回転方向の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。本実施形態では、制御部22は、クランクCの回転方向CDが駆動輪A7を駆動するための回転方向の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていないと判定する。つまり、本実施形態では、制御部22は、搭乗者が走行駆動のためにクランクCを回転させている場合、第2情報I2が所定条件を満たしていないと判定する。回転状態CSに関する情報は、クランクCの回転数CRに関する情報を含む。制御部22は、回転数CRが所定回転数以上の場合、または、回転数CRが所定回転数未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。本実施形態では、制御部22は、回転数CRが所定回転数未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。つまり、本実施形態では、制御部22は、搭乗者が走行駆動のためにクランクCを所定回転数以上で回転させていない場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。
【0049】
第2情報I2は、人力駆動車Aへの荷重Lに関する情報を含む。荷重Lは、搭乗者が人力駆動車Aに与える荷重を含み、搭乗者の姿勢を反映する。荷重Lに関する情報は、人力駆動車AのサドルA8(図1参照)への荷重(以下、「第1荷重L1」)に関する情報を含む。制御部22は、第1荷重L1が第1所定荷重以上の場合、または、第1荷重L1が第1所定荷重未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。本実施形態では、制御部22は、第1荷重L1が第1所定荷重以上の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。つまり、本実施形態では、制御部22は、搭乗者がサドルA8に安定して着座していると推定される場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。荷重Lに関する情報は、人力駆動車AのペダルC3への荷重(以下、「第2荷重L2」)に関する情報を含む。制御部22は、第2荷重L2が第2所定荷重以上の場合、または、第2荷重L2が第2所定荷重未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。本実施形態では、制御部22は、第2荷重L2が第2所定荷重未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。つまり、本実施形態では、制御部22は、搭乗者がペダルC3を踏み込んでいないと推定される場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。荷重Lに関する情報は、人力駆動車AのハンドルA5への荷重(以下、「第3荷重L3」)に関する情報を含む。制御部22は、第3荷重L3が第3所定荷重以上の場合、または、第3荷重L3が第3所定荷重未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。本実施形態では、制御部22は、第3荷重L3が第3所定荷重未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。つまり、本実施形態では、制御部22は、搭乗者が前傾荷重になっていないと推定される場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。
【0050】
第2情報I2は、人力駆動車Aの振動Vに関する情報を含む。制御部22は、振動Vが所定振動以上の場合、または、振動Vが所定振動未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。本実施形態では、制御部22は、振動Vが所定振動未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。つまり、本実施形態では、制御部22は、人力駆動車Aが安定して走行していると推定される場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。
【0051】
第2情報I2は、人力駆動車Aの駆動輪A7のトラクションTに関する情報を含む。制御部22は、トラクションTが所定トラクション以上の場合、または、トラクションTが所定トラクション未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。本実施形態では、制御部22は、トラクションTが所定トラクション未満の場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。つまり、本実施形態では、制御部22は、走行駆動のための能動的な意思が搭乗者にないと推定される場合、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定する。
【0052】
本実施形態では、第2情報I2は、操作装置の操作に関する情報、路面状態RSに関する情報、傾き角度IAに関する情報、回転状態CSに関する情報、荷重Lに関する情報、振動Vに関する情報、および、トラクションTに関する情報の少なくとも1つを含む。操作装置に関する情報は、上述のように、ブレーキ操作装置18の操作に関する情報を含む。路面状態RSに関する情報は、上述のように、路面の傾斜RIに関する情報、路面の凹凸RUに関する情報、および、摩擦抵抗RFに関する情報を含む。傾き角度IAに関する情報は、上述のように、第1傾き角度IA1に関する情報、および、第2傾き角度IA2に関する情報を含む。回転状態CSに関する情報は、上述のように、回転方向CDに関する情報、および、回転数CRに関する情報を含む。荷重Lに関する情報は、上述のように、第1荷重L1に関する情報、第2荷重L2に関する情報、および、第3荷重L3に関する情報を含む。制御部22は、これら全ての情報を第2情報I2として用いてもよいし、これらの情報のうち任意の情報のみを第2情報I2として用いてもよい。ブレーキ制御装置20は、これらの情報のうち任意の情報を第2情報I2として選択できるように構成されてもよい。
【0053】
ブレーキ制御装置20は、記憶部28をさらに含む。記憶部28は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。記憶部28は、各種の制御プログラムおよび各種の演算処理に用いられる情報を記憶する。具体的には、記憶部28は、制動部14の自動制御に関する情報を記憶する。
【0054】
人力駆動車Aは、人力駆動車Aに関する状態を検出する検出装置30をさらに含む。検出装置30は、例えば検出した各種の情報をブレーキ制御装置20に出力する。検出装置30は、第1検出部30A、第2検出部30B、第3検出部30C、第4検出部30D、第5検出部30E、第6検出部30F、第7検出部30G、および、第8検出部30Hの少なくとも1つを含む。
【0055】
第1検出部30Aは、ブレーキ操作装置18の操作量Sを検出する。操作量Sは、例えばレバー18Aが操作されていない初期状態に対するレバー18Aの回転量、レバー18Aの回転速度、レバー18Aの回転加速度、レバー18Aへの入力荷重、および、これらの組合せから任意に選択できる。第1検出部30Aは、例えばレバー18Aの回転量、レバー18Aの回転速度、レバー18Aの回転加速度、および、レバー18Aへの入力荷重の少なくとも1つを検出するセンサ(図示略)を含む。本実施形態では、第1検出部30Aは、各ブレーキ操作装置18のそれぞれに設けられる。なお、図2には、一方の第1検出部30Aのみが示される。制御部22は、第1検出部30Aの検出結果に基づいて、ブレーキ操作装置18の操作量S、および、ブレーキ操作装置18の操作に関する情報を取得できる。
【0056】
第2検出部30Bは、人力駆動車Aの走行速度TSを検出する。第2検出部30Bは、例えば前輪A3のスポークSP1(図1参照)に設けられる磁石(図示略)を検出する第1磁気センサ(図示略)を含む。本実施形態では、第2検出部30Bは、フロントフォークA2に設けられる。第2検出部30Bが磁石を検出することによって前輪A3の回転速度が検出され、人力駆動車Aの走行速度TSが検出される。制御部22は、第2検出部30Bの検出結果に基づいて、走行速度TSに関する情報を取得できる。
【0057】
第3検出部30Cは、路面状態RSを検出する。第3検出部30Cは、例えば路面状態RSを直接的に検出するカメラ(図示略)を含む。本実施形態では、第3検出部30Cは、フレームA1またはハンドルA5に設けられる。制御部22は、第3検出部30Cの検出結果に基づいて、路面状態RSに関する情報を取得できる。第3検出部30Cは、路面の傾斜RIを検出するために人力駆動車Aの傾きを検出する傾斜センサ(図示略)、路面の凹凸RUを検出するために人力駆動車Aの振動を検出する振動センサ(図示略)、および、路面の摩擦抵抗RFを検出するために天気に関する情報を外部から検出する受信機(図示略)の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0058】
第4検出部30Dは、人力駆動車Aの傾き角度IAを検出する。第4検出部30Dは、例えば水平面に対する人力駆動車Aの傾きを検出する傾斜センサ(図示略)を含む。本実施形態では、第4検出部30Dは、フレームA1に設けられる。傾斜センサは、例えば加速度センサ等によって実現される。制御部22は、第4検出部30Dの検出結果に基づいて、傾き角度IAに関する情報を取得できる。具体的には、制御部22は、第4検出部30Dの検出結果に基づいて、第1傾き角度IA1に関する情報、および、第2傾き角度IA2に関する情報を取得できる。
【0059】
第5検出部30Eは、クランクCの回転状態CSを検出する。第5検出部30Eは、例えばフレームA1等に設けられる磁石(図示略)を検出する第2磁気センサ(図示略)を含む。本実施形態では、第5検出部30Eは、一方のクランクアームC2に設けられる。制御部22は、第5検出部30Eの検出結果に基づいて、クランクCの回転状態CSに関する情報を取得できる。具体的には、制御部22は、第5検出部30Eの検出結果に基づいてクランクCの回転数CRに関する情報を取得でき、第2検出部30Bおよび第5検出部30Eの検出結果に基づいてクランクCの回転方向CDに関する情報を取得できる。
【0060】
第6検出部30Fは、人力駆動車Aへの荷重Lを検出する。第6検出部30Fは、例えば第1荷重L1を検出する第1荷重センサ(図示略)、第2荷重L2を検出する第2荷重センサ(図示略)、および、第3荷重L3を検出する第3荷重センサ(図示略)を含む。本実施形態では、第1荷重センサがサドルA8に設けられ、第2荷重センサがペダルC3に設けられ、第3荷重センサがハンドルA5に設けられる。制御部22は、第6検出部30Fの検出結果に基づいて、荷重Lに関する情報を取得できる。
【0061】
第7検出部30Gは、人力駆動車Aの振動Vを検出する。第7検出部30Gは、例えば人力駆動車Aが地面から受ける振動を検出する振動センサ(図示略)を含む。本実施形態では、第7検出部30Gは、フレームA1に設けられる。制御部22は、第7検出部30Gの検出結果に基づいて、振動Vに関する情報を取得できる。
【0062】
第8検出部30Hは、駆動輪A7のトラクションTに関する情報を含む。第8検出部30Hは、例えば後輪A4のスポークSP2(図1参照)に設けられる磁石(図示略)を検出する第3磁気センサ(図示略)を含む。本実施形態では、第8検出部30Hは、フレームA1のシートステイA9等に設けられる。第8検出部30Hが磁石を検出することによって後輪A4の回転速度が検出される。制御部22は、第2検出部30Bおよび第8検出部30Hの検出結果に基づいて、前輪A3の回転速度と後輪A4の回転速度との差から駆動輪A7のトラクションTに関する情報を取得できる。なお、駆動輪A7の車軸の撓みを検出し、トラクションTに関する情報として利用してもよい。
【0063】
図3を参照して、ブレーキ制御装置20が実行する制動部14の自動制御の一例について説明する。
ブレーキ制御装置20は、ステップS11において、第1情報I1に基づく走行速度TSが所定速度PS以上であるか否かを判定する。ブレーキ制御装置20は、ステップS13において、走行速度TSが所定速度PS未満であると判定した場合、ステップS11の処理を繰り返す。一方、ブレーキ制御装置20は、ステップS11において、走行速度TSが所定速度PS以上であると判定した場合、ステップS12の処理に移行する。
【0064】
ブレーキ制御装置20は、ステップS12において、第2情報I2が所定条件を満たしているか否かを判定する。ブレーキ制御装置20は、ステップS12において、第2情報I2が所定条件を満たしていないと判定した場合、ステップS11に処理を戻す。一方、ブレーキ制御装置20は、ステップS12において、第2情報I2が所定条件を満たしていると判定した場合、ステップS13の処理に移行する。ブレーキ制御装置20は、制動部14の自動制御において、ステップS12の処理の後にステップS11の処理を実行してもよい。
【0065】
ブレーキ制御装置20は、ステップS13において、走行速度TSが所定速度PS未満となるように制動部14を自動的に制御する。ブレーキ制御装置20は、ステップS14において、走行速度TSが所定速度PS未満であるか否かを判定する。ブレーキ制御装置20は、ステップS14において、走行速度TSが所定速度PS以上であると判定した場合、ステップS13に処理を戻す。一方、ブレーキ制御装置20は、ステップS14において、走行速度TSが所定速度PS未満であると判定した場合、ステップS11に処理を戻し、ステップS11〜ステップS14の処理を繰り返す。
【0066】
(変形例)
上記実施形態に関する説明は、本発明に従うブレーキ制御装置およびブレーキシステムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従うブレーキ制御装置およびブレーキシステムは、例えば以下に示される上記実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0067】
・ブレーキ制御装置20が実行する制御内容は、任意に変更可能である。第1例では、ブレーキ制御装置20は、第1情報I1に基づく走行速度TSが所定速度PS以上の場合、走行速度TSが所定速度PSに維持されるように、制動部14を自動的に制御する。第2例では、ブレーキ制御装置20は、第1情報I1に基づく走行速度TSが所定速度PS以上の場合、ブレーキ操作装置18が搭乗者によって操作されるまで、制動部14を自動的に制御する。
【0068】
・ブレーキ制御装置20の構成は、任意に変更可能である。第1例では、設定部24がブレーキ制御装置20から省略される。この例によれば、所定速度PSは、予め設定される速度が用いられる。第2例では、記憶部28がブレーキ制御装置20から省略される。
【0069】
・ブレーキ操作装置18の構成は、任意に変更可能である。一例では、ブレーキ操作装置18は、ボタン(図示略)を含む。ブレーキ操作装置18の操作量Sは、ボタンが操作されていない初期状態に対するボタンの押込量である。この例によれば、第1検出部30Aは、初期状態に対するボタンの変位を検出する変位センサ(図示略)を含む。
【0070】
・ブレーキシステム10の構成は、任意に変更可能である。第1例では、電動駆動部16は、電動補助ユニットEの電気モータE1を含む。電気モータE1は、回生可能に構成される。この例によれば、ブレーキ装置12は、回生ブレーキ装置である。第2例では、ブレーキ装置12は、制動部14、流体によって制動部14を駆動するアクチュエータ(図示略)、および、アクチュエータ(ポンプ)を駆動する電動駆動部16を含む。動力伝達媒体である流体の一例は、作動油である。電動駆動部16によってアクチュエータが駆動され、流体の圧力が制動部14に与えられる。制動部14は、流体の圧力によって人力駆動車Aの回転体Fを制動するように構成される。この例によれば、ブレーキ装置12は、油圧式ブレーキ装置である。第3例では、ブレーキ装置12は、制動部14、ケーブルによって制動部14を駆動するアクチュエータ(図示略)、および、アクチュエータを駆動する電動駆動部16を含む。電動駆動部16が動作することによってアクチュエータが駆動され、ケーブルが引かれる。制動部14は、ケーブルの引きに伴って人力駆動車Aの回転体Fを制動するように構成される。この例によれば、ブレーキ装置12はケーブル式ブレーキ装置である。第2および第3例において、制動部14、電動駆動部16およびアクチュエータ(ポンプ)は、1つの筐体内に配置されてもよいし、それぞれ個別に人力駆動車Aに配置されてもよい。
【0071】
・人力駆動車Aの種類は、任意に変更可能である。第1例では、人力駆動車Aの種類は、ロードバイク、マウンテンバイク、トレッキングバイク、クロスバイク、カーゴバイク、または、リカンベントである。第2例では、人力駆動車Aの種類は、キックスケータである。
【符号の説明】
【0072】
10…ブレーキシステム、14…制動部、16…電動駆動部、16A…電気モータ、18…ブレーキ操作装置(操作装置)、20…ブレーキ制御装置、24…設定部、26…入力部、A…人力駆動車、A5…ハンドル、A7…駆動輪、A8…サドル、C…クランク、C3…ペダル、CD…回転方向、CR…回転数、CS…回転状態、F…回転体、I1…第1情報、I2…第2情報、IA…傾き角度、L…荷重、PS…所定速度、RF…路面の摩擦抵抗、RI…路面の傾斜、RS…路面状態、RU…路面の凹凸、T…トラクション、TS…走行速度、V…振動。
図1
図2
図3