(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンタクトセンタにおける過去の問い合わせ対応の内容を示す事例データと、前記事例データが示す所定事項と対応付けて問い合わせの緊急度を規定したオペレータ必要度データと、を保持する記憶装置と、
所定顧客の端末から受信した問い合わせの内容に基づき、前記事例データから前記顧客への自動応答用の回答を検索し、回答を特定できなかった場合、前記問い合わせの内容が示す所定事項を前記オペレータ必要度データに照合して、前記問い合わせに関する緊急度を特定し、当該緊急度に基づいてオペレータ必要度を算出する処理と、前記オペレータ必要度が所定の閾値以上である場合、前記問い合わせに関する所定情報をオペレータ向け情報として所定オペレータの端末に出力する処理と、前記顧客の端末と前記オペレータの端末との間の通信を確立する処理と、を実行する演算装置と、
を備えることを特徴とする自動応答装置。
コンタクトセンタにおける過去の問い合わせ対応の内容を示す事例データと、前記事例データが示す所定事項と対応付けて問い合わせの緊急度を規定したオペレータ必要度データと、を保持する記憶装置を備えた情報処理装置が、
所定顧客の端末から受信した問い合わせの内容に基づき、前記事例データから前記顧客への自動応答用の回答を検索し、回答を特定できなかった場合、前記問い合わせの内容が示す所定事項を前記オペレータ必要度データに照合して、前記問い合わせに関する緊急度を特定し、当該緊急度に基づいてオペレータ必要度を算出する処理と、前記オペレータ必要度が所定の閾値以上である場合、前記問い合わせに関する所定情報をオペレータ向け情報として所定オペレータの端末に出力する処理と、前記顧客の端末と前記オペレータの端末との間の通信を確立する処理と、
を実行することを特徴とする自動応答方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
−−−第1実施例−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施例における自動応答装置100を含むネットワーク構成例を示す図である。
図1に示す自動応答装置100は、自動応答を行うコンタクトセンタにおいて、オペレータ対応が必要となる問い合わせに関する処理効率を良好なものとするコンピュータ装置である。
【0012】
コンタクトセンタは、商品やサービスなどに関してその顧客からの問い合わせを受け付けて、これに適切な回答を行うための施設である。よって、自動応答装置100は、こうしたコンタクトセンタにおいて顧客向けに自動応答サービスを提供する装置となる。ただし本発明の自動応答装置100は、自動応答を行うのみならず、問い合わせ内容等に基づく自動応答の可否に応じて、当該顧客の端末(以後、顧客端末)を無駄なくオペレータの端末(以後、オペレータ端末)に接続する機能を有している。
【0013】
こうした自動応答装置100は、インターネットなどの適宜なネットワーク1を介し、上述の顧客端末200と通信可能に接続されている。同様に、自動応答装置100は、社内LANなど適宜なネットワーク2を介してオペレータ端末300と通信可能に接続されている。顧客端末200およびオペレータ端末300は、一般的なPCやスマートフォン、タブレット端末などを想定できる。
【0014】
また自動応答装置100は、受付部10、自然言語処理部20、オペレータ必要度算出部30、記憶部40、呼出部50、通信部60、および、入出力部70、の各構成を備えている。なお、これら各構成は、後述するハードウェア構成(
図2)における演算装置104が記憶装置101のプログラム102をメモリ103に読み出して実行し、必要に応じて入力装置105、出力装置106、通信装置107を制御するなどして実装される。
【0015】
上述のうち受付部10は、顧客端末200からの問い合わせを通信部60経由で受信し、これを問い合わせデータ保持領域11に格納する。また、当該問い合わせの内容からは適切な応答内容を過去事例から特定出来なかった場合に、問い合わせ内容を絞り込むべく当該顧客を誘導する絞り込み文章(絞り込み用文章)を、問い合わせ絞り込み文章データ保持領域12に保持している。この絞り込み文章は、上述の自然言語処理部20の問い合わせ絞り込み文章生成部24が生成したものとなる。
【0016】
また、自然言語処理部20は、テキスト解析部21、構文解析部22、検索部23、問い合わせ絞り込み文章生成部24、および、統計演算処理部25を備えている。このうちテキスト解析部21は、顧客端末200から受付部10が受信した問い合わせデータを取得し、この問い合わせデータが示す文章(以下、問い合わせ文)に対して統計的テキスト解析を行い、例えば形態素解析によって当該問い合わせ文から未知語を含む、主語、述語、修飾語などの品詞情報を持つ単語に分割する。
また、構文解析部22は、構文解析によって、上述の問い合わせ文を文節に区切り、係り受け関係から重要な単語を抽出する。
【0017】
また、検索部23は、当該問い合わせ文と上述のテキスト解析部21や構文解析部22が抽出した単語とを検索キーとして、記憶部40の事例データ記憶領域41にて検索を行い、当該顧客の問い合わせに対して自律的に自動応答可能か判定する。検索の結果、問い合わせ文と一致する事例データがあれば、自律的に自動応答可能と判定し、その検索結果を受付部10に送信することとなる。
【0018】
また、問い合わせ絞り込み文章生成部24は、詳細については後述するが、顧客端末200から得た問い合わせの内容からは適切な応答内容を過去事例(事例データ)から特定出来なかった場合に、問い合わせ内容を絞り込むべく当該顧客を誘導する絞り込み文章を生成する。
【0019】
また、統計演算処理部25は、詳細については後述するが、例えば、事例データ記憶領域41の問い合わせ事例データ411が更新された場合に、所定の演算処理を実行して緊急度を算定・更新する。
【0020】
また、オペレータ必要度算出部30は、緊急度算出部31、閾値算出部32、および、統計演算処理部33を備える。オペレータ必要度算出部30は、上述の検索部23による検索の結果、問い合わせ文と一致する事例データがなかった場合、事例データ記憶領域41にて、最も問い合わせ文と類似度が高い事例データに基づいて、オペレータ必要度記憶領域42に格納された緊急度等に応じたオペレータ必要度を算出し、また、閾値算出部32により算定したオペレータ必要度の閾値と照合することで、オペレータ接続の要否を判定する。この際、統計演算処理部33が、上述のように算出したオペレータ必要度と、その閾値とに基づいて、適宜な統計演算処理を実行する。
【0021】
また記憶部40は、過去の問い合わせ対応の内容を示す事例データ記憶領域41、事例データ記憶領域41に基づいて問い合わせの緊急度を示すオペレータ必要度記憶領域42が保持されている。
また、呼出部50は、上述のオペレータ必要度が閾値以上の場合に、オペレータ呼出を実行する。
【0022】
また、通信部60は、上述の呼出部50による呼出に対して当該オペレータが対応可能であった場合、顧客端末200とオペレータ端末300との通信を確立する。
また、入出力部70は、上述の各部が顧客端末200やオペレータ端末300との間で授受するデータの入出力処理を実行する。
【0023】
また、本実施例における自動応答装置100のハードウェア構成は以下の如くとなる。
図2に、第1実施例における自動応答装置100のハードウェア構成例を示す。自動応答装置100は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される記憶装置101、RAMなど揮発性記憶素子で構成されるメモリ103、記憶装置101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUなどの演算装置104、キーボード等の入力装置105、ディスプレイやスピーカー等の出力装置106、および、ネットワーク1、2と接続し他装置との通信処理を担う通信装置107、を備える。
【0024】
なお、記憶装置101内には、本実施形例の自動応答装置100として必要な機能を実装する為のプログラム102に加えて、問い合わせ事例データ411、キーワード情報データ421、顧客情報データ422、製品情報データ423、および、オペレータ情報データ424が少なくとも記憶されている。
続いて、本実施例の自動応答装置100が用いるテーブル類について説明する。
図3に、第1実施例における問い合わせ事例データ411の構成例を示す。
【0025】
この問い合わせ事例データ411は、事例データ記憶領域41が保持するものであり、コンタクトセンタにて過去に行われた問い合わせ対応の内容たる事例データを蓄積したテーブルである。
【0026】
具体的には、この問い合わせ事例データ411は、事例データを識別する事例ID402、当該事例データの生成契機となった問い合わせを顧客端末200から受信した日時を識別する事例登録日403、問い合わせ者たる顧客を識別する顧客ID404、問い合わせ内容を示す問い合わせ405、当該問い合わせに対してなされた回答406、当該問い合わせの質問タイプ407、上述の問い合わせ405および回答406に関連するキーを集めた関連コード408、および、当該問い合わせに対応したオペレータを識別する対応オペレータID409を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0027】
なお、この問い合わせ事例データ411におけるレコードは、上述の回答406にて、テキスト形式、音声形式、および、動画形式、の各コンテンツの少なくともいずれかまたはそれらの組み合わせであるコンテンツの情報(例:コンテンツデータ自体または格納先のアドレス)を、回答に伴い供するコンテンツの情報として含むものである(すなわちコンテンツ群)。
【0028】
続いて、オペレータ必要度記憶領域42にて保持するデータの例について、
図4〜6を用いて説明する。
図4は、第1実施例におけるキーワード情報データ421の構成例を示す図である。また
図5は、第1実施例における顧客情報データ422の構成例を示す図である。また
図6は、第1実施例における製品情報データ423の構成例を示す図である。
【0029】
本実施例におけるオペレータ必要度記憶領域42は、少なくとも、キーワード情報データ421、顧客情報データ422、および、製品情報データ423、を格納している。こうしたそれぞれのデータは、過去に行われた問い合わせ対応の内容にもとづいて予め設定された、緊急度(後述)を保持する。
【0030】
具体的には、キーワード情報データ421は、少なくとも、キーワードを識別するキーワードID502、キーワード503、一定期間におけるキーワード503の出現頻度504、および、緊急度505を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0031】
上述のキーワード503は、顧客による問い合わせ文が当該キーワードを含む場合、その問い合わせに関してはオペレータ対応の必要性が相応に高いと判断するキーワードである。また、上述の緊急度505は、少なくとも、キーワード情報データ421における出現頻度504に基づいて算出される。
【0032】
また、顧客情報データ422は、少なくとも、問い合わせ者たる顧客を識別する顧客ID522、当該問い合わせ者の名を識別する顧客名523、一定期間における当該顧客からの問い合わせ回数524、一定期間における当該顧客からの問い合わせ頻度525、および、緊急度526を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0033】
上述の顧客ID522および顧客名523が示す顧客から問い合わせを受けた場合、その問い合わせに関してはオペレータ対応の必要性が相応に高いと判断することとなる。また、上述の緊急度526は、少なくとも、顧客情報データ422における問い合わせ回数524と問い合わせ頻度526とに基づいて、算出される。
【0034】
また、製品情報データ423は、少なくとも、製品を識別する製品ID542、当該製品の名を識別する製品名543、当該製品の発売時期を識別する製品登録日544、一定期間における当該製品に関する問い合わせ回数545、一定期間における当該製品に関する問い合わせ頻度546、および、緊急度547を有する。
【0035】
上述の製品ID542および製品名543が示す製品に関して問い合わせを受けた場合、その問い合わせに関してはオペレータ対応の必要性が相応に高いと判断することとなる。また、上述の緊急度547は、少なくとも、製品情報データ423における問い合わせ回数524と問い合わせ頻度526とに基づいて、算出される。
【0036】
なお、上述の「一定期間」とは、基準となる日時と現在日時との差分であり、問い合わせ対応すなわち事例データの集計範囲を示す。また集計範囲とは、少なくとも、24時間、1週間、1ヶ月間、半年間、1年間と、それ以上の期間を含む期間である。
【0037】
例えば、
図4で例示するキーワード情報データ421は、問い合わせ事例データ411
の事例登録日403が最も古い日時までを集計範囲とする。また、顧客情報データ422は、問い合わせ事例データ411の事例登録日403が最も新しい日時から1ヶ月間を集計範囲とする。また、製品情報データ423は、問い合わせ事例データ411の事例登録日403が最も新しい日時から5年間を集計範囲とする。こうした集計範囲は、自動応答装置100に予め設定されているものとする(コンタクトセンタの管理者やオペレータ、或いは顧客が指定してもよい)。
【0038】
また、上述の各緊急度505、526、547は、問い合わせ事例データ411が更新された場合、自然言語処理部20における統計演算処理部25が演算処理を実行し、記憶部40に追記するものとする。具体的には、例えば、キーワード情報データ421における各レコードを、その出現頻度504の小さい順で5段階に分類し、それぞれ段階ごとの1〜5の緊急度を割り振る、といった演算処理が想定できる(顧客情報データ422、製品情報データ423でも同様)。あるいは、特段の演算処理を行わず、対応オペレータID409のオペレータが設定した値、質問タイプ407に応じた所定値、または、必ずオペレータが必要であることを示す最緊急値「99」を設定するとしてもよい。
【0039】
続いて、本実施例における自動応答方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明する自動応答方法に対応する各種動作は、自動応答装置100がメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
図7は、本実施形態における自動応答方法のフロー例1を示す図であり、具体的には、自動応答装置100における基本処理を示すフローチャートである。
【0040】
この場合、自動応答装置100の受付部10は、例えば、テキスト形式の問い合わせデータを、顧客端末200から受信し(S101)、これを自然言語処理部20に送信する。
【0041】
また、自動応答装置100の自然言語処理部20は、上述の受付部10から問い合わせデータを受信し、この問い合わせデータに関する解析処理を行う(S102)。具体的には、テキスト解析部21が、上述の問い合わせデータが示す文章すなわち問い合わせ文に対して形態素解析などの適宜な統計的テキスト解析を行い、例えば、未知語を含む、主語、述語、修飾語などの品詞情報を持つ単語に分割する。あるいは、構文解析部22が、上述の問い合わせ文に対して構文解析を行い、当該問い合わせ文を文節に区切り、係り受け関係から重要な単語を抽出する処理を行う。
【0042】
次に、自動応答装置100における、自然言語処理部20の検索部23は、上述の問い合わせ文とS102で抽出した単語とを検索キーとし、記憶部40の事例データ記憶領域41の問い合わせ事例データ411にて検索を行う(S103)。例えば、問い合わせ文の文頭や語尾から判定できる質問タイプ(例:“なぜ”であれば“Why”、“分からない”であれば“How”、など)が質問タイプ407と一致し、上述で抽出した単語(例:“再起動”、“新製品”、など)が問い合わせ405のテキストに含まれる確率が所定の基準より高いレコードを検索する。
【0043】
また、自動応答装置100における、自然言語処理部20の検索部23は、上述の問い合わせに対して自律的に自動応答可能か判定する(S104)。この判定に際し、検索部23は、上述のS103での検索により、問い合わせ文と一致する事例データを特定できた場合、当該問い合わせに対して自律的に自動応答可能と判定し(S104:Yes)、S103での検索結果、すなわち問い合わせ事例データの該当レコード(のうち少なくとも回答406の値)を受付部10に送信する(S109)。
【0044】
他方、上述の検索の結果、問い合わせ文と一致する事例データを特定できなかった場合(S104:No)、自動応答装置100のオペレータ必要度算出部30が、上述のS103の検索の結果、(一致はしないものの)問い合わせ文との類似度が最も高い事例データのレコードに基づいて、オペレータ必要度記憶領域42に格納されたデータd1、d2、・・・、dNと、該当データの重み係数w1、w2、・・・、wNと、顧客からの問い合わせ形式係数μと、を用いてオペレータ必要度を算出する(S105)。
上述のオペレータ必要度Χは、例えば式(1)によって算出される。
Χ=μ×(Σ(w1×d1+w2×w2+・・・+wN×dN)) ・・・(1)
ここで、オペレータ必要度の算出手順詳細について
図8に基づき説明する。
図8は、本実施例におけるオペレータ必要度算出処理のフロー例を示す図である。
【0045】
この場合、自動応答装置100におけるオペレータ必要度算出部30の緊急度算出部31は、上述のS102での解析処理の結果すなわち上述の問い合わせ文から抽出した単語を自然言語処理部20から受信し、これをキーに事例データ記憶領域41の問い合わせ事例データ411にて検索処理を実行する(S301)。この検索処理は、S103にて自然言語処理部20の検索部23が実行するものと同様である。
【0046】
次に、緊急度算出部31は、上述のS301で得た問い合わせ事例データのレコードから、顧客ID404および関連コード408の各値を参照し、これらの値に基づいてオペレータ必要度記憶領域42にて検索処理を実行する(S302)。
【0047】
例えば、顧客ID404が“B002”、関連コード408が“A001”、“C001”であった場合、上述の検索処理により、顧客情報データ422から顧客ID“B002”に関する緊急度526の値として“5”、関連コード408“A001”すなわちキーワードIDに関する緊急度505の値として“4”、関連コード408“C001”すなわち製品IDに関する緊急度547の値として“3”、を検索できる。
【0048】
続いて緊急度算出部31は、予め保持する問い合わせ形式係数μと変化量換算係数w1、w2、・・・、wNと、上述のS302の検索処理で得た緊急度の値とを、上述の式(1)に設定してオペレータ必要度Χを算出する(S303)。
【0049】
例えば、μ、w1、w2、・・・、wNが全て1であり、問い合わせ文と類似度が最も高い問い合わせ事例データ411が
図3の3番目のレコードであったとする。この場合、オペレータ必要度記憶領域42の検索キーは、問い合わせ事例データ411の3番目のレコードの顧客ID404“B002”と関連コード408“A001”、“C001”であり、顧客情報データ422の2番目のレコードから緊急度「5」と、キーワード情報データ421の1番目のレコードから緊急度「4」と、製品情報データ423の1番目のレコードから緊急度「3」を取得し、これらを式(1)に設定して計算することで、オペレータ必要度Χが「12」であると算定できる。
【0050】
ただし、上記のオペレータ必要度の算出方法は一例であり、上記以外の方法を採用するとしてもよい。例えば、問い合わせ事例データ411の各レコードにおいて、問い合わせ405のデータ形式が更に対応付けされているとする。その場合、緊急度算出部31は、S301で得た問い合わせ事例データが示す、問い合わせ405のデータ形式に応じて、問い合わせ形式係数μを所定ルールで決定するとしてもよい(例:データ形式がテキストならμ=1、音声ならμ=2、など)。
【0051】
次に、オペレータ必要度算出部30の閾値算出部32は、オペレータ必要度の閾値tを算出する(S304)。具体的には、閾値算出部32は、キーワード情報データ421の各レコードのうち、緊急度505の値が最大のもの以外のレコード全ての中央値と、顧客
情報データ422の各レコードのうち、緊急度526の値が最大のもの以外のレコード全ての中央値と、製品情報データ423の各レコードのうち、緊急度547の値が最大のもの以外のレコード全ての中央値と、を合算して閾値tを算出する。
【0052】
上記の算出方法によれば、
図4のキーワード情報データ421の3番目までのレコードと、顧客情報データ422の3番目までのレコードと、製品情報データ423の3番目までのレコードから算出される閾値tは「11」となる。
【0053】
ただし、上記の算出方法は一例であり、上記以外の方法を採用するとしてもよい。例えば、中央値の合算ではなく平均値を合算して閾値算出を行う方法、またはそれぞれの中央値に重みを付与してから合算して閾値算出部を行う方法、などを採用することもできる。
【0054】
次に、オペレータ必要度算出部30の統計演算処理部33は、上述のS303とS304で算出した、オペレータ必要度Χおよび閾値tに基づいて、所定の統計演算処理を実行し(S305)、S105の処理を終了する。
【0055】
ここで、
図7のフロー例の説明に戻る。上述のS105の後、オペレータ必要度算出部30は、今回の問い合わせについて、オペレータ必要度が閾値以上か判定する(S106)。
【0056】
上述の判定の結果、オペレータ必要度が閾値より低い場合(S106:No)、オペレータ必要度算出部30は、自然言語処理部20にS105の算出結果を送信して、問い合わせ内容の具体化と回答候補を絞り込むための問い合わせ内容絞り込み文章の生成を行わせる(S107)。このS107の詳細については後述する。
【0057】
一方、上述の判定の結果、オペレータ必要度が閾値以上の場合(S106:Yes)、オペレータ必要度算出部30は、呼出部50にS105の算出結果を送信し、呼出部50によるオペレータ呼出を実行させる(S110)。この時、オペレータ必要度算出部30は、自然言語処理部20にも上述の算出結果を送信するものとする。
次に、上述のS107の詳細について
図9を用いて説明する。
図9は、本実施例における、問い合わせ絞り込み文章の生成処理例を示すフローチャートである。
【0058】
この場合、自然言語処理部20の検索部23は、上述のS102で抽出した単語を検索キーとして問い合わせ事例データ411にて検索を実行し、問い合わせ文と最も類似度が高いレコードを特定し、当該レコードからデータを抽出する(S601)。なお、上述の類似度の判定方法は、例えば、上述のS105と同じ方法でもよく、検索キーたる単語と、問い合わせ事例データ411の各レコードの問い合わせ405および回答406のいずれか1つ、または任意の文章とのtf-idfやコサイン類似度から判定してもよい。
次に、検索部23は、上述のS601の結果を、問い合わせ絞り込み文章生成部24に送信する(S602)。
【0059】
また、問い合わせ絞り込み文章生成部24は、上述のS602で検索部23から受信した結果に基づいて、問い合わせ絞り込み文章が生成できるか判定する(S603)。この判定では、上述の結果が抽出データを含むことを示すものである場合、問い合わせ絞り込み文章の生成可能と判定し、他方、上述の結果が抽出データを含まないことを示すものである場合、問い合わせ絞り込み文章の生成不可と判定することとなる。
【0060】
上述の判定の結果、問い合わせ絞り込み文章の生成可能と判定した場合(S603:Yes)、問い合わせ絞り込み文章生成部24は、問い合わせ絞り込み文章の生成処理(S605)を行う。
【0061】
他方、上述の判定の結果、問い合わせ絞り込み文章の生成不可と判定した場合(S603:No)、問い合わせ絞り込み文章生成部24は、所定の例外処理(S604)を実行し、データ抽出がなされるまでS601〜S603の処理を繰り返す。なお、上述の例外処理とは、具体的には、S601での類似判定の方法を予め定めた別の方法に変更する処理となる。
【0062】
S605における問い合わせ絞り込み文章生成部24は、上述のS602にて得られた抽出データの、少なくとも関連コード408を用いて、問い合わせ絞り込み文章生成を生成する。
【0063】
具体的には、例えば、抽出データが示すキーワード503“新製品”を、所定の雛形文章“もしかして、○○のことですか?”、の“○○”部分に設定して、「もしかして、新製品のことですか?」といった文章を問い合わせ絞り込み文章として生成する。
【0064】
或いは、抽出データが示す製品名543“aaa”を、所定の雛形文章“もしかして、製品○○のことですか?”の“○○”部分に設定して、「もしかして、製品aaaのことですか?」といった文章を問い合わせ絞り込み文章として生成する。
【0065】
なお、問い合わせ絞り込み文章生成部24は、「より詳しい情報を教えてください。」などといった、次の問い合わせの入力を顧客に促す所定の定型文を、上述の問い合わせ絞り込み文章と組み合わせ、最終的な問い合わせ絞り込み文章とする。
【0066】
また、問い合わせ絞り込み文章生成部24が生成する文章は、少なくとも1つ以上で、関連コード408の参照先の数だけ生成してもよい。また、関連コード408の参照先がない場合、問い合わせ絞り込み文章生成部24は、例えば、「回答を絞り込むために、追加情報が必要です。」などといった定型文(予め保持)を出力するとしてもよい。
【0067】
続いて、自動応答装置100の問い合わせ絞り込み文章生成部24は、ここまでで生成した問い合わせ絞り込み文章を受付部10に出力し、S107の処理を終了する。
【0068】
ここで
図7のフロー例の説明に戻る。自動応答装置100の受付部10は、上述のS107における問い合わせ絞り込み文章の出力を受けて、これを顧客端末200に配信し、当該顧客端末200から、N次問い合わせを受け付ける(S108)。上述のS101で受け付けた問い合わせを1回目の問い合わせとし、この問い合わせに関して当該顧客端末200から2回目の問い合わせを受けた場合、これを2次問い合わせ、3回目の問い合わせなら3次問い合わせ、とする。
【0069】
ここで、当該顧客の顧客端末200からN次問い合わせがあった場合(S108:Yes)、受付部10は、処理をS101に戻す。他方、N次問い合わせがない場合(S108:No)、自動応答装置100は処理を終了する。
【0070】
一方、上述のS106の判定の結果、オペレータ必要度が閾値より高い場合(S106:Yes)、オペレータ必要度算出部30は、呼出部50に対してオペレータ呼出の処理を通知し、オペレータ呼出を実行させる(S110)。
【0071】
この場合、呼出部50は、コンタクトセンタのオペレータ端末300それぞれのアドレスを予め保持しており、これに基づいて、それぞれのオペレータ端末300に対して、例えば所定の構内交換機等を介して架電するなど所定の呼出処理を実行する。
【0072】
こうしたオペレータ端末300の呼出処理を実行し、いずれかのオペレータ端末300から応答(例:上述の架電に対して応答)があった場合(S111:Yes)、呼出部50は、当該オペレータのオペレータ端末300と上述の顧客端末200との通信を通信部60に確立させ、接続先を自動応答装置100から当該オペレータ端末300に切り替える(S112)。また、この場合の呼出部50は、オペレータ向けデータ保持領域51からオペレータ向け問い合わせ情報を当該オペレータ端末300に出力する。
【0073】
なお、上述のS112で通信を確立した顧客端末200とオペレータ端末300との通信が終了した場合、すなわち顧客対応が終了した場合、自動応答装置100は処理を終了する。
【0074】
また、上述の顧客端末200とオペレータ端末300との通信が確立している間、顧客端末200の表示部102とオペレータ端末300の表示部202は、オペレータ向け問い合わせ情報に基づいた通信画面を表示させてもよい。その詳細を
図10、
図11で説明する。
【0075】
図10に、本実施例の顧客端末200の表示部102にて表示される画面701の一例を示す。こうした顧客端末200の画面701は、出力情報として、少なくとも、問い合わせ内容702、問い合わせ内容絞り込み情報721、回答候補741を表示するように構成される。顧客は、顧客端末200の入出力部101を用いた操作によって、上述の画面701での情報閲覧や、それに応じたN次問い合わせの入力が可能である。
【0076】
図10における画面701は、顧客の問い合わせ702に対して、自動応答装置100がオペレータ呼出を実行して呼出に失敗したため、自動応答装置アイコン720が問い合わせ絞り込み文章721を顧客に出力している状況を示している。またこの際、当該顧客は問い合わせ絞り込み文章721に応じて2次問い合わせ703を入力している。
【0077】
この2次問い合わせ703に関して、自動応答装置100は自律的な自動応答は不可と判定してオペレータ呼出を行い、これに成功したため、オペレータアイコン740と当該オペレータによるオペレータ回答741、742を出力している。
【0078】
顧客が入出力部101を用いた操作で通信の終了を選択することで、当該顧客端末200とオペレータ端末300との通信は終了する。その結果は、新たな事例データにおける問い合わせ内容として受付部10の通信データ保持領域13から記憶部40に送信され、問い合わせ事例データ411などに格納される。また、オペレータ必要度記憶領域42の各テーブルにおける緊急度の更新根拠ともなる。
【0079】
図11に、本実施例のオペレータ端末300の表示部202にて表示される画面801の一例を示す。こうしたオペレータ端末300の画面801は、出力情報として、少なくとも、問い合わせ内容811、問い合わせ内容絞り込み情報812、回答候補823を表示するように構成される。オペレータは、オペレータ端末300の入出力部201を用いた操作によって、上述の画面801での情報閲覧や、記憶部40の事例データ記憶領域41での検索を行える。
【0080】
図11における画面801は、問い合わせを行ってきた顧客を示す顧客アイコン810と、当該顧客による1次問い合わせ811、および、問い合わせ絞り込み文章による2次問い合わせで絞り込んだ問い合わせ絞り込み812を含んでいる。また、こうした問い合わせに対して情報を提示する自動応答装置100の自動応答装置アイコン820と、当該自動応答装置100上述の問い合わせに関してオペレータ呼出を実行した理由821、822と、回答候補823とを、オペレータ向け情報824として含んでいる。また、画面
801は、上述の問い合わせやオペレータ向け情報824を踏まえた、オペレータの回答831も含んでいる。
【0081】
オペレータがオペレータ端末300の入出力部201を用いた操作で通信の終了を選択することで、上述の顧客端末200とオペレータ端末300との通信が終了する。その結果は、新たな事例データにおける回答として受付部10の通信データ保持領域13から記憶部40に送信され、問い合わせ事例データ411などに格納される。
【0082】
−−−第2実施例−−−
図12は、第2実施例における自動応答装置100の構成例を示すブロック図である。続いて、第2実施例について、上述した第1実施例との違いについて説明する。第2実施例における自動応答装置100は、メディア変換部80を有する。
【0083】
このメディア変換部80は、顧客端末200またはオペレータ端末300から、音声形式および動画形式の各データの少なくともいずれかまたはそれらの組み合わせを受信した場合、当該データに対し、所定の音声認識および画像認識の各アルゴリズムの少なくともいずれかを適用してテキストデータに変換する機能と、顧客端末200またはオペレータ端末300に情報を出力するに際し、当該情報が含むテキストデータに基づき、当該テキストデータが示す事項と所定の関係性を有する、テキスト形式、音声形式、および、動画形式、の各コンテンツの少なくともいずれかまたはそれらの組み合わせを、記憶装置で予め保持しているコンテンツ群から読み出し、上述の情報と合わせて出力する機能とを有している。
【0084】
例えば、上述した第1実施例の
図7におけるS101において、受付部10が、音声および画像(静止画像と動画像いずれでもよい)の組み合わせとなっている問い合わせを顧客端末200から受信した場合、上述のように音声認識および画像認識の各アルゴリズムを適用して、音声データが示す顧客の会話内容に該当するテキスト(例:或る製品に関する不具合について質問する会話文)、および、画像データが示す所定物(例:上述の顧客がスマートフォン等で撮影した製品の画像データと、画像認識アルゴリズムが予め保持する製品ごとの画像データとのマッチングで特定された製品)の名称、といったデータに変換する。受付部10は、こうして得たデータを自然言語処理部20に出力する。
【0085】
また例えば、上述した第1実施例の
図7におけるS107において、自然言語処理部20が問い合わせ絞り込み文章を出力した場合、メディア変換部80はその問い合わせ絞り込み文章のテキストデータに基づいて、テキスト、音声、および、画像(静止画像と動画像いずれでもよい)のコンテンツの少なくともいずれかまたはそれらの組み合わせを、当該テキストデータが示す事項(例:製品名、製品ID)と所定の関係性(例:一致)を有することを条件に、例えば、問い合わせ事例データ411の各レコードの回答406欄(コンテンツ群)から読み出し、適宜に組み合わせて顧客端末200ないしオペレータ端末300に出力する。
図10の画面701では、新製品の“ccc”に関して、オペレータ回答742でそのマニュアル動画のコンテンツが顧客端末200に出力された例を示している。
【0086】
同様に、上述した第1実施例の
図7におけるS109において、自然言語処理部20が回答を出力した場合、そのテキストデータに基づいて、テキスト、音声、画像のコンテンツの少なくともいずれかまたはそれらの組み合わせを、当該テキストデータが示す事項(例:製品名、製品ID)と所定の関係性(例:一致)を有することを条件に、例えば、問い合わせ事例データ411の各レコードの回答406欄(コンテンツ群)から読み出し、適宜に組み合わせて顧客端末200ないしオペレータ端末300に出力する。
【0087】
また、上述した第1実施例の
図7におけるS112において、呼出部50がオペレータ向け情報を出力する場合、そのテキストデータに基づいて、テキスト、音声、画像のコンテンツの少なくともいずれかまたはそれらの組み合わせを、当該テキストデータが示す事項(例:製品名、製品ID)と所定の関係性(例:一致)を有することを条件に、例えば、問い合わせ事例データ411の各レコードの回答406欄(コンテンツ群)から読み出し、適宜に組み合わせてオペレータ端末300に出力する。
【0088】
−−−第3実施例−−−
本実施例について、上述した第1実施例乃至第2実施例との違いを説明する。この場合、自動応答装置100の受付部10は、通信部60が顧客端末200とオペレータ端末30との通信を確立した場合、その通信が終了するまで当該顧客端末200とオペレータ端末300との間で生じた通信データを保持し、これを自然言語処理部20に出力する。
【0089】
一方、自然言語処理部20のテキスト解析部21または構文解析部22は、当該通信データを解析し、その解析結果から事例データの各項目に該当する値を抽出してレコードを生成し、これを記憶部40の事例データ記憶領域41に追加する。
【0090】
自然言語処理部20は、記憶部40の事例データ記憶領域41に事例データを追記した場合、オペレータ必要度記憶領域42が保持する各レコードの緊急度を更新する。この緊急度の更新は、上述の追記した事例データを踏まえ、例えば、キーワード情報データ421における各レコード(追記した事例データのレコードも含んでいる)を、その出現頻度504の小さい順で5段階に分類し、それぞれ段階ごとの1〜5の緊急度を割り振る、といった演算処理をあらためて行う。
【0091】
−−第4実施例−−−
本実施例について、上述した第1実施例乃至第3実施例との違いを説明する。この場合、自動応答装置100は、上述した第1実施例の
図7におけるS108において、N次問い合わせがあった場合、N次問い合わせについてS101以降の各処理を繰り返すこととなる。
【0092】
こうした繰り返しにおけるS105において、オペレータ必要度を算出する場合、オペレータ必要度算出部30は、上述した第1実施例の
図9におけるS601において、N次問い合わせ文と最も類似度が高い事例データの類似度が、N−1次問い合わせの類似度より低い場合に、N次の問い合わせ絞り込み文章を修正する。
【0093】
このN次の問い合わせ絞り込み文章の修正方法は、例えば、S601において、N−1次問い合わせ文と2番目に類似度が高い事例データを用いてS602の処理を行う方法を採用できる。ただし、こうした修正方法は一例であり、上記以外の方法でN次問い合わせ絞り込み文章を修正してもよい。
【0094】
−−−第5実施例−−−
続いて、呼出部50によるオペレータ端末300の呼出に際し、オペレータの属性等に基づいて対象とするオペレータの優先順位を考慮する手法について説明する。勿論、本実施例のうち上述した第1実施例乃至第4実施例との違いについて示すものとする。
【0095】
図13に、第5実施例における自動応答装置100の構成例を示す。この場合、呼出部50は、オペレータ優先度算出部52を有している。呼出部50は、オペレータ呼出(S110)を実行する場合、オペレータ優先度算出部52により、呼出先候補のオペレータの、少なくとも、勤続年数、問い合わせへの対応回数、および、空き状況、の少なくともいずれかの属性情報に基づいて、優先順位付けを行う。
【0096】
上述のオペレータの属性情報は、オペレータ必要度記憶領域42にてオペレータ情報データ424として保持されているものとする。このオペレータ情報データ424について
図14を用いて説明する。
【0097】
図14で例示するオペレータ情報データ424は、各オペレータのコンテキストデータと、当該オペレータにより過去に行われた問い合わせ対応の内容を示す事例データとを保持するものであり、具体的には、オペレータを一意に特定するオペレータID1102、当該オペレータのオペレータ名1103、勤続年数1104、問い合わせへの対応回数1105、および、現在の空き状況1106、の各値を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0098】
本実施例における呼出部50が、上述した第1実施例の
図7におけるS110においてオペレータ呼出を実行する場合、オペレータ優先度算出部52は、オペレータ情報データ424を参照し、呼出先となるオペレータの優先順位付けを実行する。
【0099】
上述の優先順位付けの処理は、
図15のフローに示すように、例えば、オペレータ情報データ424の各レコードにおける、対応回数1105の値×空き状況1106の値を算定し(S401)、その値の大きさに応じて高い優先順位を決定する(S402)ものを想定できる。
図14の例であれば、オペレータID1102“D001”、“D002”、“D003”、の優先順位として、“1400”(=20×70)、“0”(=50×0)、“300”(=3×100)と算定される。この場合、優先順位の1位は、オペレータ“D001”となる。したがってこの場合、呼出部50は、オペレータ“D001”のオペレータ端末300に対して、最初に呼出を行う。
【0100】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
こうした本実施形態によれば、自動応答を行うコンタクトセンタにおいて、オペレータ対応が必要となる問い合わせに関する処理効率を良好なものとできる。
【0101】
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態の自動応答装置において、前記演算装置は、前記オペレータ必要度が所定の閾値以上である場合、前記コンタクトセンタにおける所定オペレータの端末に対する所定の呼出処理を行い、これに成功した場合、前記オペレータ向け情報を前記呼出に成功した前記オペレータの端末に出力するものである、としてもよい。
【0102】
これによれば、対応可能なオペレータを確保した上で、当該顧客からの問い合わせに関して情報を提供し、その対応に当たらせることが可能となる。ひいては、自動応答を行うコンタクトセンタにおいて、オペレータ対応が必要となる問い合わせに関する処理効率をより良好なものとできる。
【0103】
また本実施形態の自動応答装置において、前記演算装置は、前記オペレータ必要度が所定の閾値以下、または、前記オペレータ必要度が所定の閾値以上かつ前記呼出処理に失敗した場合、前記問い合わせの内容と最も類似性を示す情報を、前記事例データおよび前記オペレータ必要度データの少なくともいずれかから抽出し、前記抽出した情報を所定雛形文に設定して、問い合わせ内容の絞り込み用文章を生成し、前記絞り込み用文章を前記顧客の端末に出力する処理を更に実行するものである、としてもよい。
【0104】
これによれば、問い合わせを行ってきた顧客に対し、その問い合わせ内容を自動応答にフィットするものに修正することを促すことが可能となる。ひいては、自動応答を行うコ
ンタクトセンタにおいて、自動応答の確度を高めてオペレータ対応の頻度を抑制し、オペレータ対応が必要となる問い合わせに関する処理効率を良好なものとできる。
【0105】
また本実施形態の自動応答装置において、前記演算装置は、前記絞り込み用文章の出力に応じて、前記顧客の端末から追加の問い合わせを受信し、当該追加の問い合わせに関して、前記自動応答用の回答の検索、および、前記回答を特定できなかった場合の前記オペレータ必要度の算出、の各処理を経て、前記絞り込み用文章の生成を再度行うに際し、前記追加の問い合わせの内容と最も類似性を示す情報を、前記事例データおよび前記オペレータ必要度データの少なくともいずれかから抽出し、当該類似性が、前記追加の問い合わせの前の問い合わせに関するものよりも低い場合、当該前の問い合わせの内容と所定の類似性を示す他の情報を、前記事例データおよび前記オペレータ必要度データの少なくともいずれかから抽出し、前記抽出した情報を所定雛形文に設定して、前記追加の問い合わせ内容の絞り込み用文章を生成するものである、としてもよい。
【0106】
これによれば、追加の問い合わせに関しても、自動応答にフィットするものに修正することを促すことが可能となる。ひいては、自動応答を行うコンタクトセンタにおいて、自動応答の確度をより高めてオペレータ対応の頻度を抑制し、オペレータ対応が必要となる問い合わせに関する処理効率を良好なものとできる。
【0107】
また本実施形態の自動応答装置において、前記演算装置は、前記緊急度の特定に際して前記所定事項の照合対象とした前記オペレータ必要度データにおいて、各事項の緊急度の中央値または平均値の少なくともいずれかを予め定めた所定ルールに従って算定し、当該算定で得た値を前記所定の閾値とする処理を更に実行するものである、としてもよい。
【0108】
これによれば、オペレータ対応が必要な問い合わせを的確に特定し、ひいては、自動応答を行うコンタクトセンタにおいて、オペレータ対応が必要となる問い合わせに関する処理効率をさらに良好なものとできる。
【0109】
また本実施形態の自動応答装置において、前記演算装置は、前記顧客の端末と前記オペレータの端末との間の通信を確立した場合、当該通信が終了するまで当該通信のデータを記憶装置で保持し、当該通信のデータから前記事例データの項目に対応する値を特定して新たな事例データを生成し、当該新たな事例データを前記記憶装置で保持する事例データに追加する処理を更に実行するものである、としてもよい。
【0110】
これによれば、自動応答に伴う回答の精度を向上させ、また、オペレータ対応の必要性についても精度良く特定できることとなる。ひいては、自動応答を行うコンタクトセンタにおいて、オペレータ対応が必要となる問い合わせに関する処理効率をさらに良好なものとできる。
【0111】
また本実施形態の自動応答装置において、前記演算装置は、前記新たな事例データの生成に伴って得た、前記事例データの項目に関する値により、前記記憶装置の前記オペレータ必要度データにおける対応事項の値を更新する処理を更に実行するものである、としてもよい。
【0112】
これによれば、オペレータ対応の必要性についてさらに精度良く特定できることとなる。ひいては、自動応答を行うコンタクトセンタにおいて、オペレータ対応が必要となる問い合わせに関する処理効率をさらに良好なものとできる。
【0113】
また本実施形態の自動応答装置において、前記記憶装置は、前記コンタクトセンタにおけるオペレータそれぞれの情報を更に保持するものであり、前記演算装置は、前記顧客の
端末と前記オペレータの端末との間の通信を確立する処理において、前記記憶装置で保持するオペレータの情報のうち、オペレータとしての経験、実績、および、現在の空き状況の少なくともいずれかについて所定ルールで比較し、前記コンタクトセンタにおける各オペレータの間での前記通信の確立対象としての優先順位を特定し、当該優先順位の高い順に前記通信の確立を実行するものである、としてもよい。
【0114】
これによれば、問い合わせ対応を行うオペレータとして好適な者を精度良く特定し、ひいては、自動応答を行うコンタクトセンタにおいて、オペレータ対応が必要となる問い合わせに関する処理効率をさらに良好なものとできる。
【0115】
また本実施形態の自動応答装置において、前記演算装置は、前記問い合わせに関して前記顧客の端末または前記オペレータの端末から、音声形式および動画形式の各データの少なくともいずれかまたはそれらの組み合わせを受信した場合、前記受信したデータに対し、所定の音声認識および画像認識の各アルゴリズムの少なくともいずれかを適用して、前記受信したデータをテキストデータに変換する処理を更に実行するものである、としてもよい。
【0116】
これによれば、顧客やオペレータから受け取る情報として、そのデータ形式を幅広いものとすることが可能であり、そうしたテキスト形式以外のデータ形式の情報を得た場合でも適宜に処理を進めることが可能となる。ひいては、自動応答を行うコンタクトセンタにおいて、オペレータ対応が必要となる問い合わせに関する処理効率をさらに良好なものとできる。
【0117】
また本実施形態の自動応答装置において、前記演算装置は、前記顧客の端末または前記オペレータの端末に情報を出力するに際し、当該情報が含むテキストデータに基づき、当該テキストデータが示す事項と所定の関係性を有する、テキスト形式、音声形式、および、動画形式、の各コンテンツの少なくともいずれかまたはそれらの組み合わせを、記憶装置で予め保持しているコンテンツ群から読み出し、前記情報と合わせて出力するものである、としてもよい。
【0118】
これによれば、顧客やオペレータに提示する情報として、そのデータ形式を幅広いものとすることが可能であり、そうしたデータ形式の情報も含めて問い合わせ対応に活用できることとなる。ひいては、自動応答を行うコンタクトセンタにおいて、オペレータ対応が必要となる問い合わせに関する処理効率をさらに良好なものとできる。