【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の抗体L1−OV52.24が有する幾つかの
特徴が一部既に開示されているとしても(例えば[非特許文献6])、抗体自身、又は、本発明の抗体の相補性決定領域(CDR)の配列は、非公表であり公開されてはいない。
多くの治療
に有効な薬剤は、細胞内でのみ効果を発揮する。
これは、治療
に有効な薬剤が未修飾の形態で細胞内に入ることができない場合に
問題となる。
したがって、腫瘍細胞内に効率的に
内部移行し、結合
剤と
結合した薬剤
を腫瘍細胞に導入できるモノクローナル抗体類、或いは、これら抗体類の抗原結合性
フラグメント類などの結合
剤が求められている。
本発明者らは、驚くべきことに、モノクローナル抗体L1−OV52.24が、L1−
保有哺乳類細胞内に、迅速且つ効率的に
内部移行することを見出した。この発見は、実施例に示すように、それぞれ40、60、70又は90分間、L1−OV52.24と培養した細胞を、顕微鏡的に分析、並びにイメージングフローサイトメトリーで同定したものである。
【0009】
従って、このような
モノクローナル抗体、または、L1と結合し、L1−OV52.24によって認識される同じL1エピトープと結合す
るその他結
合分子類は、生物工学的研究、診断又は治療の分野において、驚くべき利点を有する。特に、
内部移行によって細胞内に取り込まれる本発明の結
合分子と、
有効薬剤とを
結合させてもよい。こうすることで、これら
有効薬剤は、細胞毒性効果又は細胞増殖抑制効果などの所望の効果を細胞内で発揮できる。
ある実施形態中、本発明は、モノクローナル抗体L1−OV52.24により認識される同じL1エピトープと結合できる、L1と結合する結
合分子に係る。L1−OV52.24の軽鎖の可変部は、好適にはSEQ ID No.1の配列をもつか、又は、前記軽鎖はSEQ ID No.3によってコードされることを特徴とする。また、L1−OV52.24の重鎖の可変部は、好適にはSEQ ID No.2の配列をもつか、又は、前記重鎖はSEQ ID No.4によってコードされることを特徴とする。
【0010】
SEQ ID No.1はVJドメイン、つまり、L1−OV52.24の軽鎖の可変部に係る。前記軽鎖の定常ドメインは当技術分野で公知であり、そのマウスcDNA配列を以下に記載する。
また、SEQ ID No.2はV
DJドメイン、つまり、L1−OV52.24の重鎖の可変部に係る。前記重鎖の定常ドメインは当技術分野で公知であり、そのマウスcDNA配列を以下に記載する。
L1或いはL1CAMとして知られるものは、膜貫通タンパク質であり、神経細胞接着分子であり、L1タンパク質ファミリーの一員であり、200−220kDaを有し、治療抵抗性癌と密接に関係する軸索誘導や細胞移動に関与する。本発明によれば、L1は哺乳類L1タンパク質として理解されることが好ましく、ヒト又はマウスL1タンパク質として理解されることがより好ましい。ヒトL1タンパク質のジェンバンク登録は、NP_000416であり、マウスL1タンパク質のジェンバンク登録は、NP_032504である。L1CAMは、CD171とも称される。
【0011】
また、エピトープとは、抗体又は関連する結
合分子によって認識される抗原の一部のことである。例えば、エピトープは、抗体が結合する、抗原の特定部分である。また、エピトープ類は、
立体構造エピトープ又は線型エピトープに分けられる。
立体構造エピトープは、抗原のアミノ酸配列の不連続部分から構成される。このようなエピトープ類は、抗原の三次元的表面構造及び形状、又は、三次構造に基づいてパラトープと相互作用する。なお、エピトープ類において、構造エピトープが占める割合は知られていない。
【0012】
L1−OV52.24が、L1のフィブロネクチンIII4−5ドメイン内部のエピトープと結合して認識することを、実施例において示した。結
合分子
により結合され認識されるエピトープを
決定する方法は、先行技術(Wolterink等、Cancer Res.(2010),70,2504−2515)及び実施例に記載される。実施例で示したように、認識されたエピトープは、各々異なるIgドメインを
有する、L1−Fcタンパク質
シリーズを構成することにより、好適に
決定されることができる。実施例の
ファインマッピング用に、例えば、Gouveia等(Protein Expr.Purif.(2007),52,182−193)に記載されるように、
V5タグ付き組み替えL1
フラグメントを使用することができる。この組換タンパク質を、エピトープマッピング用に、ELISA又はウエスタンブロット分析において使用できる。
モノクローナル抗体L1−OV52.24は、L1の4−5FNIIIドメインと反応する。通常、目的とす
る抗体のエピトープを
決定する方法は当技術分野で知られており、目的とする領域の合成線型ペプチドを調製し、続いて、このペプチドに抗体が結合するか否かを試験することを含む(エピトープマッピング、実用方法、オクスフォード大学出版社、2001、Olwyn Westwood及びFrank Hay編集)。
或いは、目的の領域をカバーする様々な組換タンパク質を調製し、抗体との結合性を試験する(Oleszewski,M.,P.von der Lieth,W.Rauch,U.,Altevogt,P.L1−ニューロカン結合部位の分析。L1−L1同種親和性結合の意味。J.Biol.Chem. 275;34478−34485(2000))。
【0013】
また、別の実施形態中、本発明はL1と結合するモノクローナル抗体L1−OV52.24と拮抗する結
合分子に係る。L1−OV52.24の軽鎖の可変部は、好適にはSEQ ID No.1の配列をもつか、又は、前記軽鎖はSEQ ID No.3によりコードされる。一方、L1−OV52.24の重鎖の可変部は、好適にはSEQ ID No.2の配列をもつか、又は、前記重鎖はSEQ ID No.4によりコードされる。
なお、拮抗性は、
競合結合アッセイなど、当業者に周知の試験により測定できる。
【0014】
L1−OV52.24の軽鎖(定常ドメインを除くVJドメイン、つまり、可変
領域)のタンパク質配列は以下の通りである。
1 DIVMTQSQKF MSTSVGDRVS VTC
KASQNVG TNVAWYQQKP GHSPKALIY
S
51
TSYRYSGVPD RFTGSGSGTD FTLTIRNVQS EDLAEYFC
QQ YNTYPYTFGG
101 GTKLEIK (SEQ ID No: 1)
また、
KabatによるL1−OV52.24の軽鎖(VJドメイン)のCDR類の配列は以下の通りである。
CDR-L1 (or LCDR1): KASQNVGTNVA (SEQ ID No: 5)
CDR-L2 (or LCDR2): STSYRYS (SEQ ID No: 6)
CDR-L2 (or LCDR2): STSYRYS (SEQ ID No: 6)
さらに、L1−OV52.24の重鎖(定常ドメインを除くV
DJドメイン、つまり、可変
領域)のタンパク質配列は以下の通りである。
1 EVQLQQSGAE LVRPGALVKL SCKASG
FNIK DYYMQWVKQR PEQGLEWIG
W
51
IDPENGKTVF DPKFRGKASI SADTSSNTAY LQLSSLTSED TAVYYCAR
WN
101
PLAFWGQGTL VTVSS (SEQ ID No: 2)
なお、
KabatによるCDR類の配列を下線で示す。
次に、
KabatによるL1−OV52.24の重鎖(V
DJドメイン)のタCDR類の配列は以下の通りである。
CDR-H1 (or HCDR1): FNIKDYYMQ (SEQ ID No: 8)
CDR-H2 (or HCDR2): WIDPENGKTVFDPKFRG(SEQ ID No: 9)
CDR-H3 (or HCDR3: WNPLAF (SEQ ID No: 10)
【0015】
L1−OV52.24モノクローナル抗体の免疫グロブリン遺伝子のcDNA配列は以下の通りである。
コード:5’UTR(一部、つまり配列している限り)、
リーダー:IGKV/IGKJ or IGHV/IGHD/IGHJ, IGKC or IGHC
(重鎖)
CTGCCtCATGAATATGcAAACATGAGtCTGTGATTATAAATACAgagATATCCAtACCAAACAACtTATGAgCACTGTTTTCTCTACAGTCACTGAATCTCAAgGTCCTTACA
ATGcAATGCAGCTGGGTCATCTTCTTCCTGATGGCAGTGGTTACAGGGGTCAATTCAGAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGGGCTGAGCTTGTGAGGCCAGGGGCCTTAGTCAAGTTGTCCTGCAAAGCTTCTGGCTTCAACATTAAAGACTACTATATGCAGTGGGTGAAGCAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGATGGATTGATCCTGAGAATGGTAAAACAGTTTTTGACCCGAAGTTCCGGGGCAAGGCCAGTATATCAGCGGACACATCCTCCAACACAGCCTACCTGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCCGTCTATTACTGTGCTAGATGGAACCCCCTTGCCT
TCTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCAGCCAAAACGACACCCCCATCTGTCTATCCACTGGCCCCTGGATCTGCTGCCCAAACTAACTCCATGGTGACCCTGGGATGCCTGGTCAAGGGCTATTTCCCTGAGCCAGTGACAGTGACCTGGAACTCTGGATCCCTGTCCAGCGGTGTGCACACCTTCCCAGCTGTCCTGGAGTCTGACCTCTACACTCTGAGCAGCTCAGTGACTGTCCCCTCCAGCCCTCGGCCCAGCGAGACCGTCACCTGCAACGTTGCCCACCCGGCCAGCAGCACCAAGGTGGACAAGAAAATTGTGCCCAGGGATTGTGGTTGTAAGCCTTGCATATGTACAGTCCCAGAAGTATCATCTGTCTTCATCTTCCCCCCAAAGCCCAAGGATGTGCTCACCATTACTCTGACTCCTAAGGTCACGTGTGTTGTGGTAGACATCAGCAAGGATGATCCCGAGGTCCAGTTCAGCTGGTTTGTAGATGATGTGGAGGTGCACACAGCTCAGACGCAACCCCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACTTTCCGCTCAGTCAGTGAACTTCCCATCATGCACCAGGACTGGCTCAATGGCAAGGAGTTCAAATGCAGGGTCAACAGTGCAGCTTTCCCTGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAACCAAAGGCAGACCGAAGGCTCCACAGGTGTACACCATTCCACCTCCCAAGGAGCAGATGGCCAAGGATAAAGTCAGTCTGACCTGCATGATAACAGACTTCTTCCCTGAAGACATTACTGTGGAGTGGCAGTGGAATGGGCAGCCAGCGGAGAACTACAAGAACACTCAGCCCATCATGAACACGAATGGCTCTTACTTCGTCTACAGCAAGCTCAATGTGCAGAAGAGCAACTGGGAGGCAGGAAATACTTTCACCTGCTCTGTGTTACATGAGGGCCTGCACAACCACCATACTGAGAAGAGCCTCTCCCACTCTCCTGGTAAATGA (SEQ ID No: 4)
(軽鎖)
TTTGATGACTGCTTTGCATAGATCCCTAGAGGCCAGCCCAGCTGCCCATGATTTATAAACCAGGTCTTTGCAGTGAGATCTGAAATACATCAGATCAGCATGGGCATCAAG
ATGGAGTCACAGACTCAGGTCTTTGTATACATGTTGCTGTGGTTGTCTGGTGTTGATGGAGACATTGTGATGACCCAGTCTCAAAAATTCATGTCCACATCAGTAGGAGACAGGGTCAGCGTCACCTGCAAGGCCAGTCAGAATGTGGGTACTAATGTGGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGTCACTCTCCTAAAGCACTGATTTACTCGACATCCTACCGGTACAGTGGAGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCCGCAATGTGCAGTCTGAAGACTTGGCAGAGTACTTCTGTCAGCAATATAACACCTATCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAACGGGCTGATGCTGCACCAACTGTATCCATCTTCCCACCATCCAGTGAGCAGTTAACATCTGGAGGTGCCTCAGTCGTGTGCTTCTTGAACAACTTCTACCCCAAAGACATCAATGTCAAGTGGAAGATTGATGGCAGTGAACGACAAAATGGCGTCCTGAACAGTTGGACTGATCAGGACAGCAAAGACAGCACCTACAGCATGAGCAGCACCCTCACGTTGACCAAGGACGAGTATGAACGACATAACAGCTATACCTGTGAGGCCACTCACAAGACATCAACTTCACCCATTGTCAAGAGCTTCAACAGGAATGAGTGTTAG (SEQ ID No: 3)
【0016】
好適な実施形態では、結
合分子は抗L1−モノクローナル抗体、又は前記抗体の抗原結合性
フラグメントである。
ここで、結
合分子とは、目的の標的と特異的に結合するポリペプチドであると理解できる。本発明によれば、標的はL1タンパク質である。従って、本発明の結
合分子類は、特異的にL1と結合する。好適には、結
合分子は、免疫グロブリン含有分子である。つまり、少なくとも1個のIgドメイン、又は抗L1抗体を有するものである。
なお、「特異的結合」とは、ウエスタンブロットやELISAなどで測定したとき、
結合分子のL1への結合が、アルブミンなどの
コントロールタンパク質との結合よりも、少なくとも50倍、好適には少なくとも100倍強いこと、として理解できる。
また、本明細書中使用する「抗L1抗体」の用語は、天然に存在する抗体と類似な構造をもち、L1と結合可能な任意のポリペプチドを意味する。なお、結合特異性は、前記ポリペプチドのCDR類によって
決定される。したがって、「抗L1抗体」は、L1と結合する免疫グロブリン由来の構造を
意図する。また、抗原結合性
フラグメントとは、完全長の抗体の少なくとも一個の抗原結合性
フラグメントを有するポリペプチドとして理解される。なお、抗原結合性
フラグメントは、重鎖の可変ドメインおよび軽鎖の可変ドメインとから少なくとも構成され、両ドメインともに特定の抗原と結合できるように配置される。
【0017】
モノクローナル抗体類は、
全てが一つの親細胞のクローンである一種類の免疫細胞
により生産
されるため、同一の単一特異
性抗体である。「モノクローナル抗体」及びモノクローナル抗体の生産は、最先端分野に属する。一般に、モノクローナル抗体は、例えば、公知のWinter及びMilstein法(Winter,G及びMilstein,C(1991) Nature,349,293−299)に従って生産できる。或いは、モノクローナル抗体分泌
ハイブリドーマを
用意する代わりに、目的のポリペプチド
で組換
コンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージ
ディスプレイライブラリー)をスクリーニングすることで、本発明のポリペプチドに対するモノクローナル抗体を、同定
し単離することができる。ファージ
ディスプレイライブラリーの作製用及びスクリーニング用キットは市販されている(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System, カタログ番号27−9400−01;及びStratagene SurfZAP Phage Display
Kit,カタログ番号240612)。さらに、抗体
ディスプレイライブラリーの作製用及びスクリーニング用に使用するに特に適した方法及び試薬の具体例は、例えば、米国特許第5,223,409号;WO92/18619:WO91/17271;WO92/20791;WO92/15679;WO93/01288;WO92/01047;WO92/09690;WO90/02809;Fuchs等、1991、Bio/Technology9:1370−1372;Hay等、1992、Hum.Antibod.Hybridomas 3:81−85;Huse等、1989、Science 246:1275−1281;Griffiths等、1993、EMBO J.12:725−734に見出すことができる。
【0018】
「完全長」又は「完全」抗体とは、ジスルフィド結合で相互に結合した2個の重鎖(H)及び2個の軽鎖(L)を有するタンパク質を表す。前記タンパク質は、(1)重鎖については、可変領域、並びにC
H1、C
H2及びC
H3の3個のドメインを有する重鎖定常領域を有し、(2)軽鎖については、軽鎖可変領域、並びに、C
Lの1領域を有する軽鎖定常領域を有する。また、「完全抗体」の用語については、変異、欠損又は挿入などの
修飾を各ドメインが有していたとしても、全体のドメイン構造は変化しておらず、天然型抗体(つまり、3又は4個の定常ドメインからなる重鎖と、1個の定常ドメインとともにそれぞれの可変ドメインとからなる軽鎖とを有する)の典型的な全ドメイン構造をもつ任意の抗体のことを意味する。例えば、mAb L1−OV52.24は、完全長抗体である。
【0019】
モノクローナル抗体の「抗原結合性
フラグメント」とは、前記
フラグメントが由来する完全モノクローナル抗体と同じ機能と特異性を本質的に示す、モノクローナル抗体の
フラグメントのことである。パパインを用いる限定的タンパク質分解によって、Igプロトタイプを3個の
フラグメントに切断する。同一アミノ酸末端をもつ2個の
フラグメントは、各々が1個の完全なL鎖と約半分のH鎖を有
しており、抗原結合性
フラグメントである(Fab)。一方、第3のフラグメントは、同様の大きさ
であり、鎖間ジスルフィド結合を
有する2個の重鎖
のカルボン酸末端を
含み、結晶性
フラグメント(Fc)である。このFcは炭水化物、相補的結合部位及びFcR結合部位を含有する。ペプシンの限定的分解によって、Fab
フラグメント及びヒンジ領域の両方を有し、H−H鎖間ジスルフィド結合をもつ一個のF(ab’)
2フラグメントを産生する。F(ab’)
2は抗原結合において二価である。F(ab’)
2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために開裂される。また、重鎖及び軽鎖の可変領域は共に結合し、
一本鎖可変領域フラグメントを形成する(scFv)。
【0020】
完全な大きさの抗体である第一世代抗体には幾つかの問題点があったために、多くの第二世代抗体は抗体のフラグメントだけを有している。可変領域(Fvs)はVL1個とVH1個とからなる完全な抗体結合性ドメインをもつ最小の断片である。こうした断片は結合ドメインだけを有するが、酵素的手段を用い、又は、微生物細胞や真核性細胞で関連する遺伝子断片を発現させるなどして生産できる。様々な手段を使用できるが、例えば、FV
フラグメント単独、又は、FVに加えて第1定常ドメインを有する“Y”の上腕部分の1つをもつ‘Fab’
フラグメントの何れか一方を使用できる。2つの鎖の間にポリペプチド
結合を導入することで一本鎖Fv(scFv)が生産され、このような
フラグメントは通常安定する。或いは、ジスルフィド
結合したFv(dsFv)
フラグメントを使用し
てもよい。完全長抗体を生産するために、
フラグメントの結合ドメインを、任意の定常ドメインと結合、又は、その他のタンパク質及びポリペプチドと融合してもよい。
【0021】
組換抗体の
フラグメントは、一本鎖Fv(scFv)
フラグメントである。通常、前記
フラグメントは抗原に高い親和力をもち、多様なホストで発現できる。こうした特性及びその他の特性により、scFV
フラグメントは医薬に応用できるばかりか、生物工学的応用
も可能である。上記したように、scFv
フラグメント中、V
H及びV
Lドメインは親水的で柔軟な
ペプチドリンカーと結合しており、これによって発現効率及び折りたたみ効率が向上する。通常、約15個のアミノ酸からなる
リンカーが使用されるが、そのうち、(Gly
4Ser)
3リンカーが最も頻繁に使用される。使用する
リンカーに応じて、scFv分子は容易にタンパク分解してしまう。遺伝子工学技術の発達によって、機能と安定性の改善に焦点を当てた研究から、このような制約は実際に克服できるであろう。例えば、V
H−V
L二量体が鎖間ジスルフィド結合によって安定化したジスルフィド安定化(つまりジスルフィド
結合)Fv
フラグメントの生産例が挙げられる。V
LドメインとV
Hドメインとの間の界面に、システイン類を導入し、これら2個のドメインを一緒に固定するジスルフィド架橋を形成する。
scFvが解離すると、モノマーのscFvとなり、二量体(
ジアボディ、
diabody)、三量体(
トリアボディ、
triabody)、又は、タンダブ(TandAb)やフレキシボディ(Flexibody)などのより大きな集合体に
なることができる。
【0022】
結合ドメインをもつ抗体は、2個のscFv
を単純なポリペプチド
結合で結合させる((scFv)
2)、或いは2個の単量体の二量化(
ジアボディ)の何れかにより生産できる。最も単純な設計物は、同一、類似(
二価のジアボディ)、又は別個の抗原
へ特異性を有する(二重特異性
ジアボディ)、これら何れか一つである2個の機能的抗原結合ドメインを有する
ジアボディである。
他方、重鎖
の4個の可変ドメインと、軽鎖
の4個の可変ドメインとを有する抗体構成物の開発が行われてきた。こうした具体例には、
四価の二重特異
性抗体が挙げられる(TandAb及びFlexibody、Affirmed Therapeutics AG、ハイデルベルグ、ドイツ)。二重特異性
ジアボディとは
対照的に、二重特異
性TandAbは、1個のポリペプチドだけで構成されたホモ二量体である。2個の異なる鎖があるために、
ジアボディは3個の異なる二量体を構築でき、この3個の内1個だけが機能する
二量体を構築できる。従って、この同種産物を生産し、精製することが簡単かつ安価である。また通常、TandAbは、より良い結合特性(結合部位数
の二倍所持)及びより良いインビボ安定性を示す。Flexibody類は、scFvと
ジアボディの多量体モチーフとの組み合わせなので、この結果、細胞表面
で互いに非常に離れた場所に位置する2個の分子を結合させる高い柔軟性をもつ多価分子
となる。仮に、3個以上の機能性抗原結合性ドメイン類が存在し、これらドメイン類が別個の
抗原に対して特異性を有する場合、このような抗体は多特異性である。
【0023】
以上まとめると、特定の開示配列あるいは
代替物が挿入された特異的免疫グロブリンは、本発明の具体的実施形態を構成する次のような結合分子類の必須部分を形成する。本発明の具体的実施形態を構成する結合分子は、これに限定するものではないが、Fab(
軽鎖可変領域(V
L)、
重鎖可変領域(V
H)、
軽鎖定常領域(C
L)及び
重鎖定常領域(CH))を有する一価のフラグメント);F(ab’)2(ジスルフィド架橋で又はヒンジ領域で
結合された2個のFab
フラグメントを有する二価のフラグメント);Fv(V
L及びV
Hドメイン);scFv(V
LとV
Hとがリンカー、例えば、ペプチド
リンカーで結合した一本鎖Fv);二重
特異性抗体分子(抗体又は受容体リガンドなどの別のペプチド又はタンパク質を含む、抗体とは異なる結合特異性をもつ第2機能性部位
に結合した、本明細書に開示されるポリペプチドを含む抗体分子);二重特異
性一本鎖Fv二量体;
ジアボディ、
トリアボディ、
テトラボディ、ミニボデ
ィ(C
H3に結合したscFv)等
である。
【0024】
限定されないが、Fv、scFv、
ジアボディ、又はドメイン抗体(Domantis)を含む、モノクローナル抗体の結
合分子又は抗原結合性
フラグメントは、
VH及びVLドメインを並べるジスルフィド架橋を組み入れる
ことにより、安定化される。なお、二重特異
性抗体類は、従来技術、
すなわち化学的又はハイブリッド
ハイブリドーマからの生産を含む特殊な方法、
及びその他の技術、すなわちBiTE
TM技術(ペプチド
リンカーをもち異なる特異性の抗原結合性領域をもつ分子)、及びノブ−イントゥ−ホール(knobs−into−holes)技術
等を用いて生産できる。
以上より、モノクローナル抗体の結
合分子又は抗原結合性フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド
結合のFv、scFv、(scFv)
2、二価抗体、二重特異
性抗体、多重特異
性抗体、diabody、triabody、tetrabody、又はミニボディ抗体である。
【0025】
また、別の好適な実施形態では、結
合分子はヒト抗体、キメラ抗体、又はヒト化抗体である。キメラ抗体とは、その免疫原性を下げるために、一つの種の免疫グロブリンの少なくとも一領域が遺伝子工学によって、別の種の免疫グロブリンの別の領域と融合した抗体である。例えば、マウスV
L及びV
H領域を、ヒト免疫グロブリンの残りの部分と融合できる。キメラ抗体の特
有のタイプには、ヒト化抗体がある。ヒト化抗体は、非ヒト抗体のCDRをコードするDNAとヒト抗体産生DNAとを
合体して調製する。こうして
得られたDNA
コンストラクトは、CDRだけが非ヒト
由来であるので、非ヒト非経口抗体又はキメラ抗体
と同じ免疫反応を通常おこさない抗体を発現及び生産するのに使用できる。なお、この抗体はヒト抗体であってもよい。
ヒト抗体又は少なくともヒト化抗体の利用は、ヒトへの用途、例えば、インビボでの予防、治療又は診断などの用途に好適である。
本発明の好適な一実施形態中、結
合分子、特にモノクローナル抗体は、ヒトIgM定常ドメイン、ヒトIgG1定常ドメイン、ヒトIgG2定常ドメイン、ヒトIgG3定常ドメイン、ヒトIgG4定常ドメイン、ヒトIgE定常ドメイン、及びヒトIgA定常ドメインからなる群から選ばれる、重鎖免疫グロブリン定常ドメインを有する。
【0026】
結
合分子、好適には本発明のモノクローナル抗体、の
文脈において
詳しく上記したように、天然型抗体の各重鎖は2つの領域、つまり、定常領域及び可変領域を有する。哺乳類の免疫グロブリン重鎖には、γ、δ、α、μ、及びεの5つのタイプがあり、それぞれ、免疫グロブリンの分類であるIgM、IgD、
IgG、IgA及びIgEを規定する。
なお、ヒトには4つのIgGサブクラス(IgG1、2、3及び4)が存在し、血清中の量の多さの順に命名されている(IgG1が最も多い)。IgGサブ
クラスのFc領域間では約95%の相同性があるが、ヒンジ領域の構造は比較的相違している。
この領域、すなわち、Fabアーム(
抗原が結合するフラグメント)と、
両方の重鎖の2個のカルボキシル末端ドメイ
ンであるCH2及びCH3、との間にある
この領域が、
前記分子の柔軟性を決定
する。上部ヒンジ領域(アミノ末端に向かう)によって、Fabアーム間の角度可変性(Fab−Fab柔軟性)、並びに個々のFabの回転柔軟性が可能となる。一方、下部ヒンジ領域(カルボキシル末端に向かう)の柔軟性によって、Fc領域からのFabアームの位置(Fab−Fc柔軟性)が直接決定される。ヒンジ依存的なFab−Fab柔軟性、及びFab−Fc柔軟性は、相補的な活性化及びFc受容体結合などの作動因子の機能を誘発する上で重要である。つまり、ヒンジ領域の構造によって、4個のIgGサブクラスの各々にユニークな生物学的
特徴が与えられる。
【0027】
ヒンジ領域の長さ及び柔軟性は、IgGサブクラス間で
異なる。IgGのヒンジ領域はアミノ酸216−231を含有し、また、
束縛なく柔軟なので、Fab
フラグメント類は対称軸の周りを回転し、2個の重鎖間ジスルフィド架橋の第1架橋を中心とした球体内で
動く。IgG2は、IgG1よりも短いヒンジを有し、このヒンジは12アミノ酸残基と4個のジスルフィド架橋をもつ。IgG2のヒンジ領域はグリシン残基を欠いており、その長さは比較的短
く、硬くて曲がらないポリプロリン二重らせんを含有し、
追加の重鎖間ジスルフィド架橋によって安定している。こうした特性により、IgG2の柔軟性は制限される。また、IgG3はそのユニークで長く伸びたヒンジ領域(IgG1ヒンジの約4倍の長さ)により、他のIgGサブクラスとは異なっている。前記ヒンジ領域は、62個のアミノ酸を含み(21個のプロリンと11個のシステインを含む)、柔軟性のないポリプロリン二重らせんを形成する。IgG3中のFab
フラグメントはFc
フラグメントから比較的遠く離れて位置し、分子に大きな柔軟性を与えている。また、IgG3の長いヒンジにより、他のIgGサブクラスに比べて、大きな分子量を有する。一方、IgG4のヒンジ領域はIgG1のヒンジ領域よりも短く、
その柔軟性はIgG1とIgG2との中間
である。
従って、より好適な実施形態では、結
合分子は、一本鎖の抗体、scFvの多量体(好適にはscFv及び
ジアボディ、
トリアボディ、又は
テトラボディ)、と、抗体断
片(好適にはFab、Tandab、Flexibody、及び
二重特異性抗体)、
からなるグループから選ばれる。
さらに好適な実施形態では、結
合分子はキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体であるか、或いは、これら抗体の抗原結合性
フラグメントである。
【0028】
また、実施例から分かるように、抗体L1−OV52.24のエピトープは、L1の
フィブロネクチンドメインIII4−5内に存在する。従って、結
合分子のエピトープは、特に本発明のモノクローナル抗体やこれら抗体の抗原結合性断片のエピトープは、L1の
フィブロネクチンドメインIII4−5内に存在することが好ましい。
よって、好適な実施形態では、前記エピトープはL1の
フィブロネクチンドメインIII4−5(FNIII4−5)内に存在する。
L1−OV52.24は以下のCDR配列を有する。つまり、KASQNVGTNVA (LCDR1; SEQ ID No: 5), STSYRYS (LCDR2; SEQ ID No: 6), QQYNTYPYT (LCDR3; SEQ ID No: 7), FNIKDYYMQ (HCDR1; SEQ ID No: 8), WIDPENGKTVFDPKFRG (HCDR2; SEQ ID No: 9), 及び WNPLAF (HCDR3; SEQ ID No: 10)である。
上記した配列は、当技術分野で周知のKabatの方法に従って決定された、モノクローナル抗体L1−OV52.24のCDRである。
従って、好適な実施形態中、結
合分子は、抗L1モノクローナル抗体、又は、前記抗体の抗原結合性
フラグメントである。ここで、前記抗L1モノクローナル抗体、又は、前記抗体の抗原結合性
フラグメントの相補性決定領域類(CDR類)の少なくとも1個は、
a)KASQNVGTNVA (SEQ ID No: 5), STSYRYS (SEQ ID No: 6), QQYNTYPYT (SEQ ID No: 7), FNIKDYYMQ (SEQ ID No: 8), WIDPENGKTVFDPKFRG (SEQ ID No: 9), 及び WNPLAF (SEQID No: 10)から選ばれる配列の1つを有する。或いは、
b)上記a)で記載した配列に比べて、少なくとも一つの
保守的アミノ酸置換を有する。
【0029】
本発明の、このようなモノクローナル抗体やこの抗体の抗体結合性フラグメントは、例えば、CDRグラフト
技術、又は
リコンビナント抗体産生により生産できる。このような方法は本技術分野で周知である(例えば、Queen等、米国特許第5,585,089号、Winter等、米国特許第5,225,539号、Cabilly等、米国特許第4,816,567号参照)。
また、前記CDR類の配列は変更してもよく、
保守的アミノ酸置換になる変更が好ましい。
一般に、
配列の変更は、CDR
領域同様にFRでの変換となり、アミノ酸残基の変換、削除、及び挿入
を含む。また、こうした
変更は、ランダ
ム又は
部位特異的変異導入により誘導されてもよい。また、先に述べたように、抗体ファージディスプレーシステムを、所
望の及び/又は改善した
特徴を有する変異体の
選別に用いてもよい。
好適な実施形態中、本発明の結
合分子は、抗L1モノクローナル抗体、又はこの抗体の抗原結合性
フラグメントであって、
随意1箇所以上の保守的アミノ酸置換が存在する、相補性決定領域(CDR)QQYNTYPYT (SEQ ID No: 7) 及び WNPLAF (SEQ ID No: 10)を有することを特徴とする。
なお、SEQ ID No.7は、L1−OV52.24のLCDR3配列を表し、SEQ ID No.10は、L1−OV52.24のHCDR3配列を表す。LCDR3とHCDR3は、抗体の結合
特性に重要であることが知られている。
【0030】
より好適な実施形態中、本発明の結
合分子は、
結合分子が、抗L1モノクローナル抗体、又はこの抗体の抗原結合性
フラグメントであって、以下の相補性決定領域類(CDR類)
、つまり、KASQNVGTNVA(SEQ ID No: 5), STSYRYS (SEQ ID No: 6), QQYNTYPYT (SEQ ID
No: 7), FNIKDYYMQ (SEQ ID No: 8), WIDPENGKTVFDPKFRG (SEQ ID No: 9), 及び WNPLAF
(SEQ ID No: 10)
を有し、ここで随意一箇所以上の保守的アミノ酸置換が存在する、
ことを特徴とする。
ある好適な実施形態中、保守的アミノ酸置換は存在しない。
さらにより好適な実施形態中、本発明の結合分子は、結合分子が、抗L1モノクローナル抗体、又はこの抗体の抗原結合性フラグメントであって、以下の相補性決定領域類(CDR類)、つまり、KASQNVGTNVA(LCDR1;SEQ ID No: 5), STSYRYS (LCDR2;SEQ ID No: 6),
QQYNTYPYT (LCDR3;SEQ ID No: 7), FNIKDYYMQ (HCDR1;SEQ ID No: 8), WIDPENGKTVFDPKFRG (HCDR2;SEQ ID No: 9), 及び WNPLAF (HCDR3;SEQ ID No: 10)を有し、ここで随意一箇所以上の保守的アミノ酸置換が存在する、ことを特徴とする。
他方、ある好適な実施形態では、
保守的アミノ酸置換が存在しない。
更に又、より好適な実施形態では、前記の抗L1モノクローナル抗体、又はこの抗体の抗原結合性フラグメントは、IgG1抗体又はIgG1抗体の抗原結合性フラグメントである。
【0031】
また、別の好適な実施形態では、本発明の結
合分子は、
a)KASQNVGTNVA (SEQ ID No: 5), STSYRYS (SEQ ID No: 6), QQYNTYPYT (SEQ ID No: 7), FNIKDYYMQ (SEQ ID No: 8), WIDPENGKTVFDPKFRG (SEQ ID No: 9), 及び WNPLAF (SEQID No: 10) から選ばれる配列の少なくとも1個を有するか、或いは
b)上記a)で記載した配列に比べて、
少なくとも一箇所の保守的アミノ酸置換を有する。
更に好適な実施形態では、本発明の結
合分子は、QQYNTYPYT (SEQ ID No: 7) 及び WNPLAF (SEQ ID No: 10) の配列を有し、
随意一箇所以上の保守的アミノ酸置換が存在することを特徴とする。
更により好適な実施形態中、本発明の結
合分子は、KASQNVGTNVA (SEQ ID No: 5), STSYRYS (SEQ ID No: 6), QQYNTYPYT (SEQ ID No: 7), FNIKDYYMQ (SEQ ID No: 8), WIDPENGKTVFDPKFRG (SEQ ID No: 9), 及びWNPLAF (SEQ ID No: 10) の配列を有し、
随意一箇所以上の保守的アミノ酸置換が存在することを特徴とする。
他方、ある好適な実施形態では、
保守的アミノ酸置換が存在しない。
【0032】
また、ある好適な実施形態中、本発明の結
合分子は、KASQNVGTNVA (SEQ ID No: 5), STSYRYS (SEQ ID No: 6), QQYNTYPYT (SEQ ID No: 7), FNIKDYYMQ (SEQ ID No: 8), WIDPENGKTVFDPKFRG (SEQ ID No: 9), 及び WNPLAF (SEQ ID No: 10)からなる相補性決定領域(CDR)を有する抗L1モノクローナル抗体であるか、或いは、その抗体の抗原結合性
フラグメントである。
また、ある好適な実施形態中、本発明の結
合分子は、相補性決定領域類(CDR類)、KASQNVGTNVA (LCDR1; SEQ ID No: 5), STSYRYS (LCDR2; SEQ ID No: 6), QQYNTYPYT (LCDR3; SEQ ID No: 7), FNIKDYYMQ(HCDR1; SEQ ID No: 8), WIDPENGKTVFDPKFRG (HCDR2; SEQ
ID No: 9), 及び WNPLAF (HCDR3; SEQ ID No: 10)を有する抗L1モノクローナル抗体であるか、或いは、前記抗体の抗原結合性
フラグメントである。
【0033】
なお、本発明の結
合分子は、L1に対して強い親和力を示すことが好ましい。L1−OV52.24はL1に対して、KD(M)=2.41
*10
−9の親和力を示すことを見出した。
L1に対する親和力は、本技術分野で周知の方法、例えば、表面プラズモン共鳴法により測定できる。L1−OV52.24の結合性分析は、CM5センサチップを備えたBIAcore3000を用いて行った。簡単に述べると、EDC/NHSでBIAcore
CM5
チップを
活性化し、様々なレベルのL1−Fcを活性表面上で
固定化した。残りの
活性化部位は、エタノールアミン/HClによってブロックした。L1−OV52.24はL1−Fc表面と結合し、経時的に解離
することが可能となる。様々なL1−Fc密度のチップ表面のそれぞれへのそれぞれのインジェクションでの結合相と解離相をカイネティクス解析した。
従って、更に又好適な実施形態中、本発明の結
合分子は、モノクローナル抗体又はこの抗体の抗原結合性
フラグメントであることが好ましく、少なくとも10
−9Mの親和力(KD)、より好適には少なくとも10
−10M又は10
−11Mの親和力(KD)で、L1に結合することが好ましい。
【0034】
驚くべきことに、実施例及び図で示すように、40、60、70又は90分間のインキュベート後、L1−OV52.24はSKOV3ip細胞中に効率的に
内部移行したが、他方、対照とした抗L1モノクローナル抗体9.3は、少ししか
内部移行しないことを見出した。なお、
内部移行は、蛍光化合物などの好適な診断用化合物と
結合させた結
合分子を用いて測定できる。例えば、蛍光色素としてAlexa488を使用した。実施例で述べたように、
内部移行の定量化は顕微鏡
解析及び計数化、又はイメージングフローサイトメトリーの何れかにより行える。両方の方法を用い、9.3抗体よりもL1−OV52.24の方が、測定した各点において少なくとも4倍効率的に
内部移行することを見出した。また、驚くべきことに、市販の抗L1CAMモノクローナル抗体類5G3及びUJ127.11に比べ、60分及び90分の測定時点において、L1−OV52.24はより効率的に
内部移行することを見出した(
図6参照)。実施例で測定した、こうしたL1−OV52.24の優れた,且つ驚くべき
細胞内移行特性を、
図7にまとめた。驚くべきことに、タイムポイント90分でのL1−OV52.24の
内部移行は、従来技術の抗L1CAMモノクローナル抗体、9.3、5G3及びUJ127.11
の内部移行のいずれよりも、それぞれ
p値0.01以下(p
<0.01)
で
有意に多いことを見出した。従って、L1−OV52.24又はその抗原結合性フラグメント、つまり、L1−OV52.24と同じエピトープを認識する結
合分子は、治療
に有効な薬剤の輸送、或いは、画像化を目的とするような診断薬の輸送に特に好適である。
【0035】
また、更に好適な実施形態では、本発明の結
合分子は、L1を発現する哺乳類細胞で
内部移行するものであって、好適には前記細胞はL1発現哺乳類腫瘍細胞であり、より好適にはSKOV3ip細胞であることを特徴とする。
好適な実施形態中、L1発現哺乳類細胞、好適にはSKOV3ip細胞での
内部移行は、顕微鏡
解析と定量、或いは、イメ−ジングフローサイトメトリーによって測定する。こうした測定方法は、実施例で記載したように行うことが好ましい。また、更に好適な実施形態では、WO2008/151819に記載するように、40、60、70又は90分
インキュベーション後に、モノクローナル抗体9.3の
内部移行に比べて、少なくとも2倍、好適には少なくとも4倍、より好適には少なくとも7倍、最も好適には10倍多く
内部移行することが好ましい。また、更に好適な実施形態では、60又は90分インキュベーション後に、モノクローナル抗体5G3の
内部移行に比べて、少なくとも2倍、より好適には少なくとも4倍多く
内部移行することが好ましい。更にまた好適な実施形態では、
培養時間60又は90分後に、モノクローナル抗体UJ127.11の
内部移行に比べて、少なくとも2倍、より好適には少なくとも4倍多く
内部移行することが好ましい。
【0036】
更にまた好適な実施形態では、本発明の結
合分子は、モノクローナル抗体L1−OV52.24
或いはその抗原結合性フラグメントであり、ここで、L1−OV52.24の軽鎖可変
領域が、
好ましくはSEQ ID No.1の配列をもつか、又は、前記軽鎖がSEQ ID No.3でコードされ、他方、L1−OV52.24の重鎖可変領域は、
好ましくはSEQ ID No.2の配列をもつか、又は、前記重鎖がSEQ ID No.3でコードされることを特徴とする。
また、ある好適な実施形態中、L1−OV52.24の軽鎖可変
領域が、
好ましくはSEQ ID No.1の配列をもち、且つ、L1−OV52.24の重鎖可変
領域が
好ましくはSEQ ID No.2の配列をもつことが好ましい。
なお、上記のように、SEQ ID No.1及びSEQ ID No.2の配列は、VJドメイン、つまり、L1−OV52.24の軽鎖可変
領域と、VDJドメイン、つまりL1−OV52.24の重鎖可変
領域に、それぞれに係る。
従って、ある実施形態中、本発明はモノクローナル抗体L1−OV52.24、又は、前記抗体の抗原結合性
フラグメントに係る。モノクローナル抗体L1−OV52.24は、
ここで、前記軽鎖及び重鎖の可変
領域の各配列(それぞれ、SEQ ID No.2及びSEQ ID No.1)によって
明らかにされ、及び/又は、前記重鎖及び軽鎖をコードするcDNAによって
明らかにされる(それぞれ、SEQ ID No.3及びSEQ ID No.4)。
【0037】
特に好適な実施形態では、本発明の結
合分子は
治療に有効な物質と
結合して、
治療に有効な物質の
内部移行を可能にする。
本発明の治療
に有効な物質は、動物、好適には哺乳類、より好適にはヒトにおける治療効果又は予防効果を有する化合物として理解される。
より好適な実施形態中、前記治療
に有効な物質は動物において治療効果又は予防効果を有し、腫瘍性疾患及び/又はL1発現に伴う疾患の治療又は予防に有用である。
ある好適な実施形態中、前記治療
に有効な物質は化学療法に有用な化合物、つまり、化学療法化合物である。また、ある好適な実施形態中、前記治療
に有効な物質は細胞毒性化合物又は細胞増殖抑制化合物である。
従って、一実施形態中、本発明は、治療に有効な物質
に結合された本発明の結合
分子に
関し、
好適には、アルキル化剤、抗悪性腫瘍性抗生物質、
抗代謝剤、及び天然物誘導体から選ばれる化学療法化合物や、細胞毒性化合物、細胞増殖抑制化合物、サイトカイン、
ナノ粒子、或いは放射性核種に
関する。
好適なサイトカイン類は、例えば、TNFアルファ、IL−2及びIL−12である。
また、好適な化学療法化合物は、本技術分野で周知である。こうした化合物は数種類に分類され、例えば、アルキル化剤、抗悪性腫瘍性抗生物質、
抗代謝剤、及び天然物誘導体などに分類される。
【0038】
本発明で使用できるアルキル化剤の例には、ブスルファン、カロプラチン、カルムスチン、クロランブシル、シスプラチン、シクロフォスファミド(つまりシトキサン)、ダカルバジン、イホスファミド、ロムスチン、メクロメタミン、メルファラン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、及びチオテパが挙げられる。
抗悪性腫瘍性抗生物質の例には、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、マイトマイシン(例えば、マイトマイシンC)、マイトキサントロン、ペントスタチン、及びプリカマイシンが挙げられる。
また、
抗代謝剤の例には、フルオロデオキシウリジン、クラドリビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、フルロウラシル、(例えば、5−フルロウラシル(5F
U))、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メルカトプリン、メトトレキセート、及びチオグアニンが挙げられる。
天然物誘導体の例には、ドセタキセル、エトポシド、イリノテカン、タキサン(例えば、パクリタキセル)、テニポシド、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、プレドニソン、及びタモキシフェンが挙げられる。
また、本発明に使用できる化学療法剤の追加例には、アスパラギナーゼ及びミトタンが挙げられる。
更に又、C2セラミドも使用できる。
【0039】
本発明において「
結合した」の用語は、共有結合及び非共有結合の
両方を含むと理解されるが、好適には共有結
合として理解される。共有結合で連結する場合の実施形態中、本発明の結
合分子は、治療
に有効な薬又は診断薬と
直接結合でき、又は、好適な
リンカーを介して
結合される。本発明のより好適な実施形態では、結
合分子は治療
に有効な薬又は診断薬と、
リンカーを介して
結合する。好適
なリンカーは本技術分野で周知である。
従って、
ある好適な実施形態では、結
合分子は治療
に有効な薬及び/又は診断薬と
共有結合し、随意
リンカーを介して共有結
合する。
好適な放射性核種には、
67/64Cu、
131I、
124I又は
90Yが含まれる。こうした放射性核種は錯体形成部分を介して本発明の結
合分子と、また、ヨウ素の場合には直接共有結合で、
結合する。錯体形成部分は、好適には結
合分子と共有結合で、或いは、
リンカーを介して
結合する。
このような抗体複合体は本技術分野で周知である(Wu AM、Senter PD.アーミング抗体:免疫複合体の展望と挑戦、Nature Biotechnol. 23: 1137−1146,2005; Pastan I, Hassan R, FitsGerald DJ, Kreitman RJ, 癌の免疫毒素治療、Annu. Rev.Med. 58:221−237,2007;WO90/12592, WO2007/030642; WO2004/067038; WO2004/003183; US2005/0074426; WO94/04189)。
より好適な実施形態中、治療
に有効な物質は、
化学療法剤、細胞毒性化合物又は細胞増殖抑制化合物であり、細胞増殖抑制化合物は、DNA損傷剤、特にアクチノマイシン−D、ミトマイシンC、シスプラチン、ドキソルビシン、エトポシド、ベラパミル、ポドフィロトキシン、5−FU、天然物誘導体とタキサン、好適にはパクリタキセル及びカルボプラチ
ンから選ばれる。
【0040】
また、本発明の結
合分子を診断薬と
結合することは有利である。
診断薬は直接又は間接的検出によって、シグナルを発することができる化合物である。ある好適な実施形態中、診断薬は哺乳類などの動物、より好適にはヒトへの投与に適する。本実施形態では、
結合した結
合分子はインビトロ及びインビボの両方で好適に使用できる。別の実施形態では、診断薬は哺乳類などの動物、或いはヒトへの投与に適さず、この実施形態では、
結合した結
合分子はインビトロで好適に使用できる。また、診断薬は直接又は間接的に検出される。直接検出する場合、本発明で好適に使用できる診断薬は、色素原類、蛍光群、化学発光群(例えば、アクリジニウムエステル又はジオキソエタン)、電気化学発光群、触媒、酵素、酵素基質、色素、蛍光色素、(例えば、フルオレセイン、クマリン、ローダミン、オキサジン、レゾルフィン、シアニン、及びこれらの誘導体)、コロイド状金属及び非金属粒子、有機ポリマーラテックス粒子などの、検出可能なマーカー群から選ぶことができる。診断薬の他の例として、ルテニウム又はユーロピウム錯
体などの発光金属錯体
及び放射性同位体が挙げられる。
【0041】
また、間接的検出システムとしては、例えば、
バイオアフィニティ結合対のパートナーが含まれる。好適な結合対の例としては、
ハプテン又は抗原と抗体の対、ビオチン又はアミノビオチン、イミノビオチンやデスチオビオチンのようなビオチン類似体とアビジン又
はストレプトアビジンの対、糖とレクチンの対、核酸や核酸類似体と相補的核酸の対、及びステロイドホルモン受容体とステロイドホルモンのような受容体とリガンドの対、が挙げられる。
よって、更なる実施形態では、本発明は、放射性核種、化学発光化合物、蛍光化合物、色素又は酵素から選ばれることが好ましい診断薬と
結合した、本発明の結
合分子に係る。
実施例に示したように、L1−OV52.24モノクローナル抗体は、蛍光化合物又は蛍光色素、つまりAlexa色素(Alexa488)と良好に
結合した。
また、別の実施形態では、本発明の抗L1モノクローナル抗体を生産する
融合細胞(ハイブリドーマ)に本発明は係る。
【0042】
別の実施形態中、本発明は核酸に係り、この核酸は、
(i)本発明の結
合分子をコードする核酸、及び/又は
(ii)本発明の結
合分子の少なくとも1個の鎖をコードする核酸、及び/又は
(iii)SE
Q ID No.3の配列、及び/又は、SE
Q ID No.4の配列を有する核酸、及び/又は
(iv)KASQNVGTNVA (SEQ ID No: 5), STSYRYS (SEQ ID No: 6), QQYNTYPYT (SEQ ID No: 7), FNIKDYYMQ (SEQ ID No: 8), WIDPENGKTVFDPKFRG (SEQ ID No: 9), 及び WNPLAF (SEQ ID No: 10)から選ばれる少なくとも1個の配列をコードする配列(類)を有する核酸,
である。
更に
ある好適な実施形態では、本発明の核酸はベクターの一部分である。このようなベクターは、大腸菌などのバクテリア、イースト菌細胞、昆虫細胞又は哺乳類細胞における発現用ベクターであることが好ましい。また、本発明の核酸は、好適にはベクター中のプロモーターやエンハンサーなどの好適な制御配列によって制御されるので、ホスト細胞で発現できる。これらベクターは、ホスト細胞中で複製できる配列をもつことが好ましい。
【0043】
また、好適には、診断薬と
結合した結
合分子は、インビトロの診断目的に使用可能であり、生物工学的研究用の重要なツールに係る。例えば、患者の生検又は体標本
一般を、本発明の結
合分子を使用して分析できる。よって、更なる実施形態では、本発明は、インビトロ診断薬又はインビトロ生物工学的試薬として、本発明の結
合分子を用いることに係る。更に又好適な実施形態では、本発明は、インビトロ診断薬又はインビトロ生物工学的試薬として、診断薬と
結合させた本発明の結
合分子の利用方法に係る。また、別の実施形態では、治療
に有効な物質と
結合した本発明の結
合分子を、インビトロ生物工学的試薬として利用する方法に係る。
更に別の実施形態中、本発明は、医薬又は診断薬として利用できる、本発明の結
合分子に係る。
特に好適な実施形態では、医薬
品として使用する結
合分子は、上記のように、治療
に有効な物質と
結合した結
合分子である。前記結
合分子
は、前記治療
に有効な物質
を腫瘍細胞内に輸送
し、この腫瘍細胞中で、
前記結合分子に結合した治療
に有効な物質
が治療効果を発揮できる。
好適な実施形態中、
前記治療に有効な物質は治療有効量
で投与される。
さらに、ある好適な実施形態中、診断用に用いる結
合分子は、診断薬と結合させた結
合分子である。この結果、患者の画像化診断が可能となるので、本発明の結
合分子によって、治療の予後又はモニタリングなどの診断が可能となる。従って、診断薬と
結合させた本発明の結
合分子は、本発明の治療
に有効な物質と
結合させた結
合分子
のためのコンパニオン診断薬であることが好ましい。
【0044】
また、本発明の結
合分子は、薬学的組成物に含まれることが好ましい。
ある化合物が、診断薬及び治療
に有効な物質の両者を兼ね備えることは可能である。例えば、
131Iなどの放射性核種は、インビボの画像化及び腫瘍治療の両方に好適に使用
できる。
一般に、本発明の薬学的組成物は、本発明の結
合化合物を治療有効量有し、1個以上の薬学的に許容な担体を随意含有する。また、特定の実施形態中、「薬学的に許容」の用語は、
動物、より好適にはヒトへの使用が連邦政府又は州政府の規制当局に承認されている、或いは、米国薬局方
又は一般に認められた薬局方に記載され
ていることを意味する。
また、「担体」の用語は、治療剤と一緒に投与される、希釈剤、補助剤、賦形剤、又は、ビークルを表す。こうした薬学的担体には水や油類などの無菌液があり、例えば、石油性、動物性、植物性、合成由来の油類がある。以下に限定されるものではないが、ピーナッツオイル、大豆オイル、鉱油、ごま油などがこれに含まれる。なお、薬学的組成物を経口投与する場合、水が好適な担体となる。一方、薬学的組成物を静注投与する場合、生理食塩水及びブドウ糖水溶液が好適な担体となる。また、生理食塩水、ブドウ糖水溶液及びグリセリン水溶液は、注射液用の液体担体として好適に使用される。好適な薬学的賦形剤としては、でんぷん、ブドウ糖、乳糖、ショ糖、ゼラチン、モルト、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセリンモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセリン、
プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。
【0045】
所望に応じ、前記組成物は、少量の湿潤剤、乳化剤、又はpH調整剤も含有できる。こうした組成物は、溶液、懸濁液、乳化液、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、徐放性製剤などの剤形をとることができる。また、こうした組成物は、従来の結合剤やトリグリセリド類などの担体を用いた坐薬として製剤化できる。経口剤には、医薬品等級のマンニトール、乳糖、でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的担体が含有される。また、好適な薬学的担体の具体例は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Science」に記載される。こうした組成物は、
患者に適切に投与するための形状を提供するように、適した量の担体とともに、好適には精製された形状の、治療に有効な量の治療剤を含む。剤形は投与方法に適した形態であるべきである。
【0046】
ある好適な実施形態では、ヒトへの静注投与に適した薬学的組成物として常法に従って組成物を製剤化する。通常、静注投与用の組成物は、無菌の等張水溶性バッファーの溶液である。必要に応じて、この組成物は、溶解剤と、注射部位の痛みを緩和するためにリドカインなどの局所麻酔剤とを含有してもよい。一般に、薬剤成分は個別に、或いは、単一投与形態中一緒に混合し、の何れかによって供給される。例えば、
有効剤の量を示したアンプルや小袋などの密封容器に入れた凍結乾燥粉末や、水分を含まない濃縮液として提供される。また、組成物を点滴投与する場合、無菌の医薬品等級の水又は生理食塩水を含有する点滴用ボトルを用いて投与する。また、組成物を注射投与する場合、
投与前に成分を混合できるように、注射用無菌水又は生理食塩水のアンプル
を供給することができる。
本発明の治療薬は、そのままの形態又は塩の形態として製剤化できる。薬学的に許容される塩類には、塩酸、リン酸や、酢酸、シュウ酸、酒石酸などの遊離カルボキシ基
で形成される塩類
、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどの遊離アミノ基
で形成される塩類、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄などに由来する塩類
、がある。
【0047】
本発明の治療薬の量は、特定の疾患や病状を治療するのに有効であって、前記疾患や病状の性質に応じて、標準的臨床技術によって決定される。また、最適な投与量の範囲を決める一助として、インビトロ試験を随意使用してもよい。
剤形中で使用できる正確な投与量は、投与経路や疾患又は病気の重さにも依存するが、医者の判断並びに個々の患者の状態に応じて決定されるべきものである。しかし、静注投与の好適な投与量の範囲は、一般に、kg体重当たり、
有効成分約20〜約500μgである。また、鼻腔内投与の好適な投与量の範囲は、一般に、体重当たり約0.01pg/kg〜1mg/kgである。なお
、有効投与量は、インビトロ、或いは動物モデルの試験系による、
用量反応曲線から
推定できる。一般に、坐薬は0.5重量%〜10重量%の範囲で
有効成分を含有し、経口剤では10%〜95%の活性成分を含有するのが好ましい。
【0048】
様々な薬物輸送システムが知られており、本発明の治療薬の投与に使用できる。例えば、リポソーム、
マイクロパーティクル、及びマイクロカプセル
での封入;治療薬を発現する組換細胞の
使用;
受容体介在型エンドサイトーシスの
使用(Wu及びWu、1987、J.Biol.Chem.262、4429−4432);レトロウイルス又は他のベクターの一部としての治療用核
酸の構築、などが挙げられる。以下に限定されるものではないが、投与方法としては、皮内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、静脈内投与、皮下投与、鼻腔内投与、硬膜
外投与及び経口投与などが挙げられる。また、薬剤は
任意の使いやすい経路で投与可能であり、例えば、点滴、ボーラス注射、上皮内吸収又は皮膚粘膜内吸収(例えば、口腔、直腸、腸粘膜など)が挙げられ、他の
生理活性薬剤と一緒に投与してもよい。また、全身投与又は局所投与もできる。更に、本発明の薬学的組成物を、任意の好適な経路、
すなわち脳室内及びくも膜下注入など、で中枢神経系に投与してもよい。脳室内注入は脳室内カテーテルで実施でき、例えば、オマヤレザバー(Ommaya reservoir)などのレザバーに装着して実施できる。また肺投与も利用可能であり、例えば、吸入器やネブライザーを用いたり、エアゾール剤を用いた処方も利用できる。
【0049】
具体的な実施形態では、本発明の薬学的組成物を、治療に必要な領域に局所的に投与することが好ましい。例えば、以下に限定されるものではないが、
術中の局所的点滴、局所投与、例えば、術後の創傷被覆材と併せた局所投与、注射による投与、カテーテルによる投与、坐薬による投与、移植片によるものが挙げられる。ここで、移植片は、多孔性、非多孔性又はゼラチン状の材料からなり、シリコン剤の膜や繊維などの膜状物が含まれる。ある実施形態中、悪性腫瘍、新生物性又は
前がん病変部組織の部位(またはその病痕)に直接注入投与してもよい。
別の実施形態では、ベシクル、具体的にはリポソームで治療薬を輸送可能であり(Langer、1990、Science 249:1527−1533)、より具体的には陽イオン性リポソーム(WO98/40052)が挙げられる。
更に又別の実施形態では、
放出制御システムによって治療薬を輸送できる。ある実施形態では、ポンプを用いてもよい(Langer、上記論文)。また、別の実施形態では、治療ターゲットの近傍に
放出制御システムを設置してもよく、この場合、全身投与量の一部だけですむ。
本発明のこの態様において、本発明は、患者の腫瘍疾患を治療又は予防する方法も含んでいる。
この方法は、治療有効量の結
合分子、好適には、本発明のモノクローナル抗体又はこの抗体の抗原結合性
フラグメントを、この患者に投与することを含む。
【0050】
本発明を通して、「有効量」の用語は、与えられた分子又は化合物が所望の治療効果を奏するのに十分量を投与されることを意味する。本発明を通して、2個の化合物が治療有効量で投与された場合、化合物の1個又は各々が、治療量以下の量で投与されることを含む。つまり、各化合物の量は単独で治療効果を発揮するのには十分な量ではないが、化合物を組み合わせることで所望の治療効果を得られることを含む。他方、本発明においては、単独の化合物の各々が治療有効量投与されることも含む。
本発明によれば、「腫瘍性疾患の治療」の用語は、腫瘍細胞を死滅させること、腫瘍細胞の増殖を減少させること(例えば、少なくとも30%、少なくとも50%又は少なくとも90%まで)の両方を意味するのみならず、腫瘍性疾患を患う患者の腫瘍細胞の増殖を完全に阻害することも意味する。更に、前記用語は、腫瘍原性疾患の予防を意味し、例えば、将来腫瘍細胞になる、又はなり易い細胞を死滅させること、並びに腫瘍転移の予防も意味する。
また、本発明において適用される個々の治療が、患者の健康状態や疾患の重症度などに
依存し、このために、ケースバイケースで調整せねばならないことを、当業者は理解するであろう。
また、本発明はモノクローナル抗体又はこの抗体の抗原結合性
フラグメント、或いは本発明の結
合分子からなる薬学的組成物に係る。前記薬学的組成物は、先に述べた実施形態全てに適用される。
【0051】
また、ある実施形態では、本発明は本発明の結
合分子、好適にはモノクローナル抗体又はこの抗体の抗原結合性
フラグメントに係り、腫瘍性疾患の治療又は予防に利用する。好適には、腫瘍性疾患は、上皮腫瘍性疾患、及び/又は、星状細胞腫、
乏突起膠細胞系腫瘍、髄膜腫、神経線維腫、
膠芽腫、上衣腫、シュワン細胞腫、神経線維肉腫、髄芽腫、メラノーマ、膵臓癌、前立腺癌、頭頚部癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、腎癌、神経芽細胞腫、扁平上皮癌、髄芽細胞腫、肝癌、大腸癌、中皮腫、及び
類上皮腫、からなる群から選ばれる疾患、であることを特徴とする。
更に、ある実施形態では、本発明は上記したように、本発明の結
合分子と、随意1個以上の薬学的に許容な担体と、を含有する薬学的組成物に係る。
【0052】
別の実施形態では、本発明は、L1と結合する結
合分子に係り、前記結
合分子は抗L1モノクローナル抗体、又はその抗体の抗原結合性
フラグメントである。前記抗L1モノクローナル抗体、又はこの抗体の抗原結合性
フラグメントの相補性決定領域(CDR)の少なくとも1個は、
(a)KASQNVGTNVA (SEQ ID No: 5), STSYRYS (SEQ ID No: 6), QQYNTYPYT (SEQ ID No: 7), FNIKDYYMQ (SEQ ID No: 8), WIDPENGKTVFDPKFRG (SEQ ID No: 9), 及び WNPLAF (SEQ ID No: 10)から選ばれる配列
の1個を有し、
(b)上記(a)の配列と比較して、少なくとも
一箇所の保守的アミノ酸置換を有することを特徴とする。
また、別の実施形態では、
本発明はL1と結合する結
合分子に係り、前記結
合分子は、
(a)KASQNVGTNVA (SEQ ID No: 5), STSYRYS (SEQ ID No: 6), QQYNTYPYT (SEQ ID No: 7), FNIKDYYMQ (SEQ ID No: 8), WIDPENGKTVFDPKFRG (SEQ ID No: 9), 及び WNPLAF (SEQ ID No: 10)から選ばれる配列の少なくとも1個を有し、
(b)上記(a)の配列と比較して、少なくとも
一箇所の保守的アミノ酸置換を有することを特徴とする。
【0053】
このようなモノクローナル抗体、又はこの抗体の抗原結合性
フラグメント、或いは本発明の結
合分子は、例えば、CDRグラフト
技術又は前記抗体を組換産生することで生産できる。このような方法は、本技術分野で周知である(Queen,米国特許第5,585,089号、及びWinter,米国特許第5,225,539号、Cabilly,米国特許第4,816,567参照)。
ここに記載した本発明の好適な実施形態は、本発明の全ての結
合分子類、モノクローナル抗体類及びこれら抗体類の抗原結合性
フラグメント類に適用される。