(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875281
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/135 20160101AFI20210510BHJP
A61K 35/747 20150101ALI20210510BHJP
A23C 9/127 20060101ALI20210510BHJP
A23C 9/133 20060101ALI20210510BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20210510BHJP
A61K 35/741 20150101ALI20210510BHJP
A61K 31/7008 20060101ALI20210510BHJP
A61K 31/715 20060101ALI20210510BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20210510BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20210510BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20210510BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20210510BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20210510BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20210510BHJP
A61K 31/736 20060101ALI20210510BHJP
A61K 31/702 20060101ALI20210510BHJP
A61K 31/733 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
A23L33/135
A61K35/747
A23C9/127
A23C9/133
A61K45/06
A61K35/741
A61K31/7008
A61K31/715
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
A61P9/12
A61P9/00
A61P43/00 121
A61K31/736
A61K31/702
A61K31/733
【請求項の数】22
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2017-542362(P2017-542362)
(86)(22)【出願日】2015年11月5日
(65)【公表番号】特表2017-534685(P2017-534685A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】GB2015053350
(87)【国際公開番号】WO2016071693
(87)【国際公開日】20160512
【審査請求日】2018年8月23日
(31)【優先権主張番号】PCT/GB2014/053288
(32)【優先日】2014年11月5日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1502355.9
(32)【優先日】2015年2月12日
(33)【優先権主張国】GB
【微生物の受託番号】CBS CBS139099
【微生物の受託番号】CBS CBS139100
(73)【特許権者】
【識別番号】517156517
【氏名又は名称】オプティバイオティックス リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン パトリック オハラ
【審査官】
山村 周平
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第101438738(CN,A)
【文献】
独国実用新案第202014103285(DE,U1)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0079173(KR,A)
【文献】
特開2007−330124(JP,A)
【文献】
特表2002−509891(JP,A)
【文献】
米国特許第06565847(US,B1)
【文献】
特表2016−537018(JP,A)
【文献】
Applied and Environmental Microbiology,2004年,Vol.70, No.2,pp.900-912
【文献】
Applied and Environmental Microbiology,2006年,Vol.72, No.6,pp.4431-4435
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00−35/00
A23C 9/00−9/20
A61K 31/00−51/12
A61P 1/00−43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構成成分:
a)プレバイオティクス;
b)食物繊維;および
c)クロム、
のうちの2つ以上を含み、かつ、以下の:
d)寄託番号CBS139100のストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)微生物株および寄託番号CBS139099のラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)微生物株;
e)菌体外多糖類を、一緒にまたは個別に、分泌するストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)とラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の微生物株の組み合わせ、ここで、前記多糖類は、分泌された菌体外多糖類の全重に基づいて、20〜23%のガラクトサミン、50〜55%のガラクトース、および23〜28%のグルコースを含む;または
f)以下の:
i.20〜23%のガラクトサミン;
ii.50〜55%のガラクトース;および
iii.23〜28%のグルコース、
から形成される多糖類、
のうちの少なくとも1つを含む、組成物。
【請求項2】
前記組成物がd)を含み、前記微生物株が菌体外多糖類を分泌し、そして、前記多糖類が、分泌された菌体外多糖類の全重に基づいて、最高25%のガラクトサミン、最高60%のガラクトース、および最高30%のグルコースを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物がd)を含み、そして、前記微生物株が菌体外多糖類を分泌し、そして、前記多糖類が、分泌された菌体外多糖類の全重に基づいて、45〜60%のガラクトース、20〜30%のグルコース、および15〜25%のガラクトサミンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物がe)またはf)を含み、そして、寄託番号CBS139100のストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)微生物株および寄託番号CBS139099のラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)微生物株をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記食物繊維がグルコマンナンを含み、および/またはプレバイオティクスが:イヌリン、フルクトオリゴ糖(FOS)、ガラクトオリゴ糖(GOS)、α−グルコ−オリゴ糖、およびその組み合わせから選択される1つまたは複数を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、0.5〜15gの範囲で食物繊維を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、50〜1000μgの範囲でクロムを含む、請求項5または6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、3〜30gの範囲でプレバイオティクスを含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が:
(a)グルコマンナンおよびクロム、
(b)グルコマンナン、FOSおよびクロム、または
(c)グルコマンナンおよびFOS、
の組み合わせを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、乳製品基質で培養され、および/または乳製品基質または製品の一部として形成されるか、あるいは発酵または発酵可能な乳製品食品と共に使用するための構成要素または添加剤として使用される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記発酵または発酵可能な乳製品食品が、次の:ヨーグルト、チーズ、生クリーム、サワークリーム、バターミルク、ケフィア、乳酸菌牛乳、乳酒、フィルミョルク、およびヴィリ、のうちの1以上から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が:甘味料、安定化剤、酸性調節剤、水、着香料、脂肪、乳化剤、植物および/または野菜抽出物、ビタミン、ミネラル、植物性化学物質、抗酸化剤、およびその組み合わせから選択される1若しくは複数の構成要素をさらに含む、請求項10または11に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、以下の:
a)寄託番号CBS139100のストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)微生物株および寄託番号CBS139099のラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)微生物株を含む、および/またはそれらを使用して発酵させた、50〜90%の発酵または発酵可能な乳製品食品;
b)1〜10%の甘味料;
c)5〜20%のGOS;
d)最高1.5%のグルコマンナン;
e)最高0.010%の塩化クロム;および任意選択で
f)5〜30%の果実調理品、
を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、肥満、高コレステロール、糖尿病、高血圧または心臓病の処置または管理に使用するためのものである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
組成物を生成する方法であって、以下の構成成分:
a)プレバイオティクス;
b)食物繊維;および
c)クロム、
のうちの2つ以上を含み、かつ、以下の:
d)寄託番号CBS139100のストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)微生物株および寄託番号CBS139099のラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)微生物株;
e)菌体外多糖類を、一緒にまたは個別に、分泌するストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の微生物株の組み合わせ、ここで、前記多糖類は、分泌された菌体外多糖類の全重に基づいて、20〜23%のガラクトサミン、50〜55%のガラクトース、および23〜28%のグルコースを含む;
f)以下の:
i)20〜23%のガラクトサミン;
ii)50〜55%のガラクトース;および
iii)23〜28%のグルコース、
から形成される多糖類、
のうちの少なくとも1つを含む組成物を調製し、そして、
混合物を形成するように、d)、e)またはf)のいずれかと一緒にa)〜c)から選択された構成成分を混合すること、
を含む方法。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物を生成するための、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
乳製品を生成する方法であって、以下のステップ:
a)発酵乳製品基質を形成するために、以下の:
i)寄託番号CBS139100のストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)微生物株および寄託番号CBS139099のラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)微生物株;または
ii)菌体外多糖類を、一緒にまたは個別に、分泌するストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の微生物株の組み合わせ、ここで、前記多糖類は、分泌された菌体外多糖類の全重に基づいて、20〜23%のガラクトサミン、50〜55%のガラクトース、および23〜28%のグルコースを含む、
を含む培養物を使用して最初の乳製品基質を発酵させ;
b)以下の構成成分:プレバイオティクス;食物繊維;およびクロム、のうちの2つ以上を提供し、さらに、混合物を形成するために、それらを一緒に混合し;そして
c)以下の:
i)発酵乳製品基質中に混合物を分散させるかまたは懸濁させ;
ii)発酵乳製品基質中に混合物を混合するか;または
iii)発酵乳製品基質に隣接して混合物を配置すること、
によって乳製品を形成すること、
を含む方法。
【請求項18】
前記ステップb)が、発酵乳製品基質および/または混合物にプロバイオティクス培養物を提供または添加することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記食物繊維が、グルコマンナンを含み;前記プレバイオティクスが、イヌリン、フルクトオリゴ糖(FOS)、ガラクトオリゴ糖(GOS)、α−グルコ−オリゴ糖、およびその組み合わせ、から選択される、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が:甘味料、安定化剤、酸性調節剤、水、着香料、脂肪、乳化剤、植物および/または野菜抽出物、ビタミン、ミネラル、植物性化学物質、抗酸化剤、およびその組み合わせから選択される1若しくは複数の構成要素を添加することをさらに含む、請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記乳製品が、次の:ヨーグルト、チーズ、生クリーム、サワークリーム、バターミルク、ケフィア、乳酸菌牛乳、乳酒、フィルミョルク、およびヴィリ、のうちの1つを含む、請求項17〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物を形成するのに使用される、請求項17〜21のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体重を管理するための食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
体重過多および肥満は、健康を損なうおそれがある異常なまたは過度の脂肪蓄積と定義される状態である。体重過多および肥満は、エネルギーの摂取、消費および貯蔵の身体調節の不均衡から生じる。
【0003】
肥満は、21世紀における最大の公衆健康上の困難の1つである。肥満は、複合的な状態であり、重大な社会的および心理学的側面を有する状態であり、事実上、先進国および発展途上国の両方におけるあらゆる年齢層および社会経済的群に影響を及ぼす。肥満が健康に及ぼす結果は、時期尚早に死亡する危険性の増大から、全体的な生活の質を低下させる重篤な慢性条件にまで及ぶ。過剰の体重は、世界的に5番目に主要な死亡危険性となっている。少なくとも2.8百万の成人が、体重過多または肥満の結果、毎年死亡している。さらに、糖尿病の負担の44%、虚血性心疾患の負担の23%およびある特定のがんの負担の7%〜41%が、体重過多状態または肥満に起因している。
【0004】
肥満の劇的な増加をもたらした理由には、エネルギー豊富であるが、それ以外では栄養価(ビタミン、ミネラル、微量栄養素)が少ない、高脂肪、高塩分量および高精糖分量の食物の摂取の増大と併せて、日常生活で座位状態が増大し、身体活動が劇的に少なくなっていることが含まれる。
【0005】
プレバイオティクスは、肥満および関連する代謝性障害を制御するための候補化合物として関心を集めてきた。動物試験では、プレバイオティクスは、食品摂取を調節し、体重増加を防止し、脂質代謝を有益に変更し、肥満に関係する炎症を低減することが示されている。今までほとんどの研究は、単に、食事にイヌリンおよびフラクトオリゴ糖(FOS)を補助することに焦点を合わせるものであった。
【0006】
プレバイオティクスは、乳酸桿菌またはビフィドバクテリウム属などの有益な常在性腸内微生物叢を選択的に増強することができる食事性成分であり、食品部門への適用がかなり高いことが見出されている。プレバイオティクスは、非消化性食品成分であり、大腸細菌によって選択的に代謝され、それによって健康の改善に寄与する。したがってプレバイオティクスを使用すると、常在性腸微生物の環境内の有益な変化を促進することができ、したがってプロバイオティクスの生存を助けることができる。プレバイオティクスは、腸内で選択的に代謝されないペクチン、セルロース、キシランなどのほとんどの食物繊維とは明確に異なる。プレバイオティクスとしての分類基準は、胃酸性度、哺乳動物の酵素による加水分解および胃腸管による吸収に抵抗しなければならないこと、腸管ミクロフローラによって発酵されること、ならびに健康および良好な状態と関連する腸管細菌の増殖および/または活性を選択的に刺激することである。
【0007】
大腸微生物叢の第1の機能の1つは、複合巨大分子の初期加水分解に関与し、その巨大分子を、腸内微生物叢の他のメンバーによって利用され得るより小さい断片に破壊することによって、上部胃腸管で消化されなかった食事性材料から、エネルギーを再利用することである。宿主の1日の総エネルギー必要量の約7%〜10%が、大腸細菌の発酵から導出されると想定される。ヒトには、植物ポリサッカライドを異化するために必要な酵素がないので、腸内の微生物による発酵がない状態では、このエネルギー寄与は、宿主では喪失され、老廃物として生物から排出され得る。したがって、腸内微生物叢が存在することによって、食事性ポリサッカライドの発酵を介してエネルギー再利用が直接的に増大し得ると思われる。
【0008】
肥満は、エネルギー消費の増大と適合しない過剰のカロリー摂取によって引き起こされるが、個体間の腸内微生物叢の組成および活性の差異も、エネルギー恒常性に影響を及ぼす重要な寄与因子となり得る。このことは、肥満個体の腸内微生物叢が、痩身の個体の微生物叢と比較して、特定の食事からより効率的にエネルギーを再利用し、かつ/または貯蔵できることを暗示し得る。
【0009】
ある種の食物繊維は、水性環境に曝露されると粘性ゲルを形成することができ、それらのゲル化特性は、胃排出を遅延させ、腸内通過時間を緩徐させ、食後のインスリンおよびグルコースの急上昇(surges)を鈍化することによって、体重減少を促進する効果の原因になり得る。
【0010】
ヨーグルトの食感は、菌体外多糖を産生する乳酸菌株を使用することによって改変され得る。菌体外多糖は、ヨーグルトを含む発酵乳製品の粘性、とろみ、安定性、およびゲルの堅さを増強できる。菌体外多糖は、乳タンパク質と相互作用することによって発酵乳製品の粘性を増強し得る。乳酸培養による菌体外多糖の産生は、発酵乳製品の粘性を増強するための生物学的増粘剤または追加の脂肪の必要性を軽減できる。植物起源のハイドロコロイドは、ヨーグルトのゲル構造を安定させるために使用された。これらのハイドロコロイドの多くが、化学的に修飾されるか、または様々な化学物質を使用して抽出される。それらの使用はいくつかの国で制限されているので、代替の食感修飾剤を同定する必要がある。
【0011】
消費者はますます、脂肪および/または糖の含有量を削減し、そして、最小限の添加物しか含まない製品を求めている。所望の菌体外多糖を分泌する菌株を使用することで、発酵乳製品の粘性を増強するための追加の脂肪を添加する必要性が低減する。細胞外多糖類産生菌はまた、追加の糖、安定化剤、および増粘剤を加える必要性も低減する。望ましい官能的性質を達成するのに必要とされる追加要素が少ないので、生産コストを削減することができる。
【0012】
消費者の満腹感を高めるために食品の粘性を増強する動機もある。高い満腹感は、カロリー栄養制限食事療法を採用している人の手助けとなり得る。とろみのある食感を有する食品はまた、胃腸管を通ってよりゆっくりと通過し、従って、満腹感を長引かせることもできる。さらに、消化通過中に複合体も形成するかまたは食品の消化を妨害する食品もまた、満腹感を増強すると考えられる。満腹感は、食物摂取を制御する上で重要な要素であり、多量すぎる食料の、および/またはあまりに何度もの食事を思いとどまらせるために体重管理に使用できる。
【0013】
とろみのある食感を有する食品もまた、食品中に追加成分の懸濁または取り込みに有用であり得る。これは多くの場合、低粘度の粘稠性または低い脂肪含有量を有する食料を用いて達成することが難しい。
【0014】
多くの研究が、細菌によって分泌される菌体外多糖の量および特性が菌株に依存していることを示した。ラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)およびストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)から得られた菌体外多糖は、組成物、荷電、空間配列、固縮、およびタンパク質と相互作用する能力に関して幅広いバリエーションを示した。食品に関して細胞外多糖類の濃度と粘性との間の相関関係の定義は、未だに確立されていない。
【0015】
本発明の一目的は、−食料素材として食料に含まれるかまたは食料に添加されるかのいずれであろうと−体重管理に使用できる配合物を提供することである。本発明のさらなる一目的は、体重増加を低下しまたはモジュレートするために、個体に対して相乗効果を有する構成成分を有する配合物を提供することである。このような配合物が、体重管理の2つ以上の領域において有効であること、例えば脂肪の代謝を改変し、大腸細菌の発酵によるエネルギー獲得を低下することが好ましいと思われる。満腹感を高める配合物が提供されることがさらに好ましいと思われる。配合物は、製造食料品または食料に添加できる添加剤のいずれかとして容易に消費され得ることも好ましいと思われる。
【発明の概要】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、以下の構成成分:
a)ミクロビオーム改変構成成分;
b)満腹改変構成成分;および
c)代謝改変構成成分、
のうちの2つ以上を含み、かつ、以下の:
d)ストレプトコッカス・サーモフィルスCBS139100およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスCBS139099微生物株、あるいは、その突然変異株、断片または画分;
e)乳製品基質で培養したときに、高レベルのガラクトサミンを含み、かつ、低レベルかまたはまったくラムノースおよびグルクロン酸を含まない多糖類を、一緒にまたは個別に、分泌できるストレプトコッカス・サーモフィルスとラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス微生物株の組み合わせ;または
f)以下の:
i.15〜25%のガラクトサミン;
ii.45〜60%のガラクトース;および
iii.20〜30%のグルコース、
から形成される多糖類、
のうちの少なくとも1つを含む、組成物を提供する。
【0017】
組成物がd)またはe)を含む場合には、そのときそれは、高レベルのガラクトサミンを含み、かつ、低レベルかまたはまったくラムノースとグルクロン酸を含まない多糖類をさらに含み得る。組成物がd)またはe)を含む場合には、そのとき微生物株は、分泌された菌体外多糖類の全重に基づいて45〜60%のガラクトース、20〜30%のグルコース、および15〜25%のガラクトサミンの範囲で含む多糖類を分泌する。組成物がe)またはf)を含む場合には、ストレプトコッカス・サーモフィルスCBS139100およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスCBS139099微生物株、またはその突然変異株をさらに含む。
好ましくは、組成物は構成成分a)〜c)のすべてを含む。
【0018】
「乳製品基質」という用語は、少なくともいくつかの乳固形分を含む食品素材を意味することを意図する。
本出願の範囲内の「突然変異株」という用語は、開示した菌株から直接得られるいずれかの菌株であるが、(遺伝子工学または選択によるかにかかわらず)1若しくは複数の遺伝子変異の導入による表現型上の相違が存在することを意味することを意図する。
【0019】
d)およびe)のストレプトコッカス・サーモフィルスおよびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス微生物株は、好ましくは分泌された菌体外多糖類の全重に基づいて、最高25%のガラクトサミン、最高60%のガラクトース、および/または最高30%のグルコースを含む多糖類を分泌する。より好ましくは、微生物株は、分泌された菌体外多糖類の全重に基づいて、最高23%のガラクトサミン、最高55%のガラクトース、および/または最高28%のグルコースを含む多糖類を分泌し得る。最も好ましくは、微生物株は、分泌された菌体外多糖類の全重に基づいて、最高約22%のガラクトサミン、最高約52%のガラクトース、および/または最高約26%のグルコースを含む多糖類を分泌する。
あるいは、d)およびe)のストレプトコッカス・サーモフィルスおよびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス微生物株は、好ましくは分泌された菌体外多糖類の全重に基づいて、15〜25%のガラクトサミン、45〜60%のガラクトース、および/または20〜30%のグルコースの範囲で含む多糖類を分泌する。より好ましくは、微生物株は、分泌された菌体外多糖類の全重に基づいて、20〜23%のガラクトサミン、50〜55%のガラクトース、および/または23〜28%のグルコースの範囲で含む多糖類を分泌する。最も好ましくは、微生物株は、分泌された菌体外多糖類の全重に基づいて、約22%のガラクトサミン、約52%のガラクトース、および/または約26%のグルコースを含む多糖類を分泌する。
【0020】
好ましくは、f)の多糖類は、最高25%のガラクトサミン、最高60%のガラクトース、および/または最高30%のグルコースを含む。より好ましくは、食料安定化および/または増粘組成物は、最高23%のガラクトサミン、最高55%のガラクトース、および/または最高28%のグルコースを含んでもよい。最も好ましくは、食料安定化および/または増粘組成物は、最高約22%のガラクトサミン、最高約52%のガラクトースおよび/または最高約26%のグルコースを含む。
【0021】
好ましくは、f)の多糖類は、20〜23%のガラクトサミン、50〜55%のガラクトース、23〜28%のグルコース、および/または0〜1%のマンノースを含む。より好ましくは、食料安定化組成物は、約22%のガラクトサミン、約52%のガラクトース、および/または約26%のグルコースを含む。
【0022】
組成物がf)を含む場合には、それは、ストレプトコッカス・サーモフィルスおよびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス微生物株、あるいはその断片または画分をさらに含んでもよい。斯かる菌株は、好ましくはストレプトコッカス・サーモフィルスCBS139100およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスCBS139099微生物株、またはその突然変異株を含む。
【0023】
ミクロビオーム改変構成成分は、1若しくは複数の追加の微生物株をさらに含んでもよい。斯かる追加の微生物株は、細菌であってもよく、その範囲に含まれるものは、一般的に「プロバイオティクス」であるとみなされる。技能を有する受容者もまた、ストレプトコッカス・サーモフィルスおよびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスもまた「プロバイオティクス」細菌であると一般的に理解されることも認識する。しかしながら、また、プロバイオティクスの追加の菌株および/または種が、組成物の中に利用されてもよい。ミクロビオーム改変構成成分は、少なくとも1種類の所望の微生物株のための増殖培地を含み得るかまたはさらに含み得る−これらの菌株は、個体に既に存在している場合があり、または組成物の一部として含まれ得る。
【0024】
ミクロビオーム改変構成成分はまた、選択的な微生物増殖阻害剤および/または殺微生物化合物も含むことができる。したがって、個体に既に存在している微生物株は、増殖を促進し、増殖を阻害し、または活性に死滅させることによって操作することもできる。このような操作によって、所望の微生物集団を、それらの関連する健康上の利益を提供するために選択することができる。
【0025】
ミクロビオーム改変構成成分は、好ましくは、プレバイオティクスをさらに含む。所望に応じて、プレバイオティクスは、プロバイオティクス細菌株によって逆酵素反応により生成することができる。満腹改変構成成分は、好ましくは、機構的に食欲を抑制するように作用する。代謝改変構成成分は、好ましくは、代謝を増大し、かつ/またはインスリン感受性を改変するように作用する。
【0026】
満腹改変構成成分は、食物繊維を含むことができ、代謝改変構成成分は、クロムを含むことができる。
【0027】
用語「食物繊維」は、可溶性繊維および不溶性繊維を含む植物から導出された食品の不消化部分を意味するものとする。
【0028】
用語「クロム」は、塩化クロムに加えて、食物および水に微量で天然に存在する三価クロム(Cr(III)またはCr
3+)を含むすべての食事性クロムを包含する。クロムは、インスリン作用を全身的に増強し、代謝速度を増大し、炭水化物、脂質およびタンパク質の代謝に影響を及ぼし、グルコースレベルを維持するように作用する。
【0029】
用語「プレバイオティクス」は、宿主の良好な状態および健康に利益を付与する胃腸管ミクロフローラ細菌叢の組成および/または活性の両方に特定の変化を生じさせる、選択的に発酵させた成分を意味するものとする。プレバイオティクスは、結腸において作用し、微生物細菌叢に変化をもたらし、それによって、エネルギー代謝、および飽食に関与する腸ペプチド(GLP1、GLP2)に影響を及ぼす。これらは、長時間作用効果を有する。
【0030】
好ましくは、食物繊維は、グルコマンナンを含む。グルコマンナンは、主に、胃内のゲル形成によって食欲を抑制し、膨満感を引き起こし、満腹増大および膨満のシグナルを伝える機械受容器を活性化することによって、胃内で作用する。
【0031】
好ましくは、プレバイオティクスは、イヌリン、フラクトオリゴ糖(FOS)、ガラクトオリゴ糖(GOS)、α−グルコ−オリゴ糖、ガス生成が少ないプレバイオティクス、およびそれらの組み合わせから選択される1つまたは複数を含む。
【0032】
食物繊維は、0.5〜15gの範囲の日用量を提供するのに十分な量で存在し得る。食物繊維用量(dietary dose)は、1日1g〜3gの範囲であり得る。より好ましくは、食物繊維用量は、1日1.5g〜2.5gの範囲であり得る。クロムは、50〜1000μgの範囲の日用量を提供するのに十分な量で存在し得る。クロムは、1日100〜750μgの範囲の用量であり得る。より好ましくは、クロムは、1日200〜500gの範囲の用量であり得る。
【0033】
プレバイオティクスは、3〜30gの範囲の日用量を提供するのに十分な量で存在し得る。プレバイオティクスは、1日5〜25gの用量であり得る。より好ましくは、プレバイオティクスは、1日10〜20gの用量であり得る。
【0034】
組成物は、
(a)グルコマンナンおよびクロム、
(b)グルコマンナン、FOSおよびクロム、
(c)グルコマンナンおよびFOS、または
(d)グルコマンナンおよびガス生成が少ないプレバイオティクス
の組み合わせを含むことができる。
【0035】
当業者には、組成物が、容易に消化できる食料品または食品添加物の形態であってもよい。組成物は、例えば食物/飲料とブレンドされるか、または食物/飲料と一緒に消費される栄養補助食品として使用することができる。組成物は、乳製品基質で培養されてもよく、および/または乳製品基質または製品の一部として形成されるか、あるいは発酵または発酵可能な乳製品食品と共に使用するための構成要素または添加剤として使用される。好ましくは、組成物は、ヨーグルトなどの発酵または発酵可能な乳製品食品として配合されてもよい。発酵または発酵可能な乳製品食品は、次の:ヨーグルト、チーズ、生クリーム、サワークリーム、バターミルク、ケフィア、乳酸菌牛乳、乳酒、フィルミョルク(filmjolk)、およびヴィリ(viili)、のうちの1以上から選択され得る。発酵乳製品食品は、プレバイオティクスまたはプロバイオティクスとして使用される発酵乳飲料を含んでもよい。
【0036】
あるいは、組成物は、発酵または発酵可能な乳製品食品のための添加剤、構成要素またはスターター培養物として配合されてもよい。
組成物は:甘味料、安定化剤、酸性調節剤、水、着香料、脂肪、乳化剤、植物および/または野菜抽出物、ビタミン、ミネラル、植物性化学物質、抗酸化剤、およびその組み合わせから選択される1若しくは複数の構成要素をさらに含んでもよい。
糖、アスパルテーム、フルクトース、グルコース−フルクトースシロップおよびその組み合わせなどの甘味料が利用されてもよい。
【0037】
アルギン酸、カラゲナン、ゼラチン、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、改変トウモロコシデンプン、マルトデキストリン、デンプンおよびその組み合わせなどの安定化剤が利用され得る。しかしながら、ストレプトコッカス・サーモフィルスCBS139100およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスCBS139099微生物株の組み合わせは有利なことに、優れたゲル様特性を食品に付与することがわかったことに注意しなければならない。ゲル様特性は、液体の粘性を増強するだけではなく、経時的に液体の滑らかさを維持することも実証された。これは、ヨーグルトなどの発酵または発酵可能乳製品にとって特に有利であることがわかった。改良されたゲル様特性が特定の菌体外多糖類の分泌(または、実際には分泌の不足)の結果であると考えられる。先に述べたように、菌体外多糖類は、ヨーグルトなどの発酵乳製品の粘性、とろみ、安定性、ゲルの堅さを増強し、さらに、菌体外多糖類は、乳タンパク質と相互作用することによって発酵乳製品の粘性を増強し得る。本願発明の菌株による菌体外多糖類の産生は、発酵乳製品の粘性を増強するための生物学的増粘剤または追加脂肪分の必要性を低減する。より大量のラムノース、マンノース、およびグルクロン酸を生成する他の菌株とは対照的に、これらの特定の菌株が、より大量のガラクトサミン、ガラクトース、およびグルコースを生成することがわかった。組成物が液体の形態で配合される場合、一般的に使用される安定化剤が、よりわずかな量で含まれるか、または本発明の組成物中に含まれた菌株の使用によって所望されるのであれば、同時に取り除かれる。さらに、粘性を増強するためにより高い脂肪含量がもう必要とされないとき、低脂肪の配合物もまた調製され得る。
【0038】
ゲル様特性および粘度の増大に貢献するように、菌株に代わって、微生物株によって分泌された多糖類の混合物が本発明に関連して使用され得ることに注意する。菌体外多糖類のみが独立して使用されることが望ましい菌株自体の物理的およびその他の性能を置換するために、界面活性剤などの追加の構成成分(または、実際には微生物株の断片、画分または構成成分)が組成物において利用されてもよい。
【0039】
例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウムおよびその組み合わせなどの酸性調節剤を使用することが望まれ得る。
例えば水、着香料、ココア粉、果物、ココナッツミルクおよびその組み合わせなどの追加の構成要素が加えられてもよい。
【0040】
ビタミンには、脂溶性ビタミン、例えばビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミン、ならびにそれらの組み合わせが含まれ得る。一部の実施形態では、ビタミンには、水溶性ビタミン、例えばビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンB(チアミンまたはB1、リボフラビン(riboflavoin)またはB25ナイアシンまたはB3、ピリドキシンまたはB6、葉酸またはB9、シアノコバラミン(cyanocobalimin)またはB12、パントテン酸、ビオチン)、およびそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0041】
ミネラルには、ナトリウム、マグネシウム、クロム、ヨウ素、鉄、マンガン、カルシウム、銅、フッ化物、カリウム、亜リン酸、モリブデン、セレン、亜鉛、およびそれらの組み合わせが含まれ得るが、それらに限定されない。
【0042】
抗酸化剤には、アスコルビン酸、クエン酸、ローズマリー油、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンEリン酸塩、トコフェロール、ジ−アルファ−トコフェリルリン酸塩、トコトリエノール、アルファリポ酸、ジヒドロリポ酸、キサントフィル、ベータクリプトキサンチン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ベータ−カロテン、カロテン、混合カロテノイド、ポリフェノール、フラボノイド(fiavonoid)、およびそれらの組み合わせが含まれ得るが、それらに限定されない。
【0043】
植物性化学物質には、カロテノイド(cartotenoid)、葉緑素、クロロフィリン、繊維、フラバノイド、アントシアニン(anthocyamn)、シアニジン(cyaniding)、デルフィニジン、マルビジン、ペラルゴニジン、ペオニジン、ペツニジン、フラバノール、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン(epigailocatechingallate)、テアフラビン、テラルビシン(thearubigin)、プロアントシアニジン(proanthocyanin)、フラボノール、ケルセチン、ケンフェロール、ミリセチン、イソラムネチン、フラボノンスヘスペレチン(flavononeshesperetin)、ナリンゲニン、エリオジクチオール、タンゲレチン、フラボン、アピゲニン、ルテオリン、リグナン、フィトエストロゲン、レスベラトロール、イソフラボン、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン、ダイズイソフラボン、およびそれらの組み合わせが含まれ得るが、それらに限定されない。
【0044】
組成物は、以下の:
a)ストレプトコッカス・サーモフィルスCBS139100およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスCBS139099を含む、および/またはそれらを使用して発酵させた、50〜90%の発酵または発酵可能な乳製品食品;
b)1〜10%の甘味料;
c)5〜20%のGOS;
d)最高1.5%のグルコマンナン;
e)最高0.010%の塩化クロム;および任意選択で
f)5〜30%の果実調理品、
を含み得る。
好ましくは、組成物は、0.2〜1.5%のグルコマンナンおよび0.005〜0.010%の塩化クロムを含む。
【0045】
組成物は、好ましくは、個体における体重管理(質量全体の低減を含む)のために使用される。組成物は、規定食プランに従って使用されるか、あるいは、個体の食事の特定の食事成分の補足または置換として使用される場合がある。さらに、組成物は、それが予定された処方計画により消費され得るように、さまざまな異なった製品に配合される場合がある。
【0046】
組成物は、肥満、高コレステロール、糖尿病、高血圧または心臓病の処置または管理に使用するために存在し得る。
本発明の以下の態様は、本明細書中で先に記載した組成物を生成する方法に関する。
【0047】
斯かる更なる一態様において、組成物を生成する方法であって、以下の構成成分:
a)ミクロビオーム改変構成成分;
b)満腹改変構成成分;および
c)代謝改変構成成分、
のうちの2つ以上を含み、かつ、以下の:
d)ストレプトコッカス・サーモフィルスCBS139100およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスCBS139099微生物株、あるいは、その突然変異株、断片または画分;
e)乳製品基質で培養したときに、高レベルのガラクトサミンを含み、かつ、低レベルかまたはまったくラムノースおよびグルクロン酸を含まない多糖類を、一緒にまたは個別に、分泌できるストレプトコッカス・サーモフィルスおよびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス微生物株の組み合わせ;または
f)以下の:
i.15〜25%のガラクトサミン;
ii.45〜60%のガラクトース;および
iii.20〜30%のグルコース、
から形成される多糖類、
のうちの少なくとも1つを含む組成物を調製し、そして、
混合物を形成するように、d)、e)またはf)のいずれかと一緒にa)〜c)からの選択された構成成分を混合すること、
を含む方法を提供する。
【0048】
さらなる斯かる態様によれば、乳製品を生成する方法であって、以下のステップ:
a)発酵乳製品基質を形成するために、以下の:
i.ストレプトコッカス・サーモフィルスCBS139100およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスCBS139099;または
ii.乳製品基質で培養したときに、高レベルのガラクトサミンを含み、かつ、低レベルかまたはまったくラムノースおよびグルクロン酸を含まない多糖類を、一緒にまたは個別に、分泌できるストレプトコッカス・サーモフィルスおよびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス微生物株の組み合わせ、
を含む培養物を使用して最初の乳製品基質を発酵させ;
b)以下の構成成分:ミクロビオーム改変構成成分;満腹改変構成成分;および代謝改変構成成分、のうちの2つ以上を提供し、さらに、混合物を形成するために、それらを一緒に混合し;そして
c)以下の:
i)分散液として発酵乳製品基質中に混合物を分散させるか;
ii)発酵乳製品基質中に混合物を混合するか;または
iii)発酵乳製品基質に隣接して混合物を配置すること、
によって乳製品を形成すること、
を含む方法を提供する。
【0049】
ステップb)は、発酵乳製品基質および/または混合物にプロバイオティクス培養物を提供することをさらに含んでもよい。満腹改変構成成分が、グルコマンナンを含んでもよく;ミクロビオーム(micobiome)改変構成成分が:イヌリン、フルクトオリゴ糖(FOS)、ガラクトオリゴ糖(GOS)、α−グルコ−オリゴ糖、ガス生成が少ないプレバイオティクスおよびその組み合わせ、から選択されるプレバイオティクスを含んでもよく、および代謝改変構成成分が、クロムを含んでもよい。
好ましくは、上記の方法は、ミクロビオーム改変構成成分;満腹改変構成成分;および代謝改変構成成分を提供することを含む。
【0050】
前記方法によって生成される乳製品は、次の:ヨーグルト、チーズ、生クリーム、サワークリーム、バターミルク、ケフィア、乳酸菌牛乳、乳酒、フィルミョルク、およびヴィリ、のうちの1つを含み得る。乳製品はヨーグルトを含んでもよい。微生物株および/またはそれらの分泌した菌体外多糖類の優れたゲル様特性のため、発酵乳製品食品は、低脂肪製品であってもよい。「低脂肪」という用語は、発酵乳製品食品の脂肪含量が標準的な食品より低いことを意味することを意図している。典型的には、「低脂肪」は、(食品基準庁によれば)100gの固形食品あたり約3g以下の脂肪または100mlの液状食品あたり1.5g以下の脂肪を含む食品を指す。もちろん、「低脂肪」はまた、「低脂肪」の規定の定義で定められているより高い脂肪含量を含み得る非常に高脂肪の食品の低脂肪バリアントも包含する。発酵乳製品食品は、個体の満腹感を増強し得る。
【0051】
当業者には、本明細書で先に記載した組成物を生成する方法が、本発明の組成上の態様に概説し、記載した組成物(およびその変形)のいずれかを生成するために用いることができることが明らかとなろう。さらに、食料品に組成物を組み込む1つまたは複数の配合ステップなどの追加のステップを、該方法に組み込むことができる。
【0052】
本発明のまたさらなる一態様によれば、本明細書で先に記載した組成物を治療有効量で投与するステップを含む、肥満、コレステロール上昇、糖尿病、高血圧または心疾患を処置または管理する方法が提供される。
【0053】
本発明の別の態様によれば、肥満、コレステロール上昇、糖尿病、高血圧または心疾患を処置するため薬品の製造における、本明細書で先に記載した組成物の使用が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0054】
ここで、本発明の実施形態を、例えば下記の図および実施例を参照することによって、単に例として記載する。
【0055】
本発明の組成物を開発する初期段階では、多数の可能な構成成分をスクリーニングすることに焦点を合わせて、どの構成成分が、体重管理において証明された効果を有するか、および相乗効果または作用機序の組み合わせをもたらすために、どの構成成分が他の構成成分との組み合わせにおいて有用となり得るかを確立した。またこれらの構成成分を、毒性プロファイル、およびヒト消費に安全であることが証明されているかどうかについてスクリーニングした。
【0056】
クロム
クロムは、食物および補助剤に三価の形態で存在する、微量元素である。クロムレベルは、多くの主食において少量であり、良好な供給源は、加工肉、豆類、香辛料および全粒粉である。クロムは、炭水化物および脂肪を代謝する上である役割を果たし、体重減少を促進し得る補助剤として関心を集めてきた。
【0057】
Pittlerら(2003)は、クロムピコリネートおよび体重減少のRCTの一次メタ分析(10回の治験、n=489)を実施した。Pittlerらは、プラセボに対してクロムピコリネートが有利となり、加重平均差異が1.1kg(95%Cl1.8、0.4)であったと報告した。
【0058】
ごく最近、Onakpoyaら(2013)は、体重過多および肥満の成人の体重減少に対するクロム補助効果に関して、メタ分析を実施した。Onakpoyaらの11RCT(n=866)の分析では、プラセボに対してクロムが有利となり、わずかではあるが、−0.5kg(95%Cl−0.96、−0.03)の統計的に有意な平均体重差異があったと報告した。Onakpoyaらはまた、体脂肪百分率はわずかに低下したものの、BMIまたは腰回りとヒップ回りには効果がなかったことを見出した。研究で投与されたクロム用量は、137μg/日〜1000μg/日の範囲であったが、用量応答の明らかな証拠はなかった。結果的に、その著者らは、最小有効用量を決定することが困難であったことを記載しているが、400μg/日の投与量を用いると、RCTで最大体重減少が見出される傾向があったと報告した。
【0059】
クロムは、インスリン感受性を改善し、代謝速度を増大し、食物渇望を低下することが示唆されている(Anderson 1998;Attenburrowら、2002;Onakpoyaら、2013)。
【0060】
Onakpoyaら(2013)は、水様便、回転性めまい、脱力感、悪心、嘔吐、浮動性めまいおよび頭痛を含めたいくつかの有害作用を、参加者において記録した。これらの有害作用は、クロムを停止すると消失し、再導入すると再出現した。他の著者らは、便秘、食欲低下および蕁麻疹を報告している(Yazakiら、2010;Krolら、2011)。
【0061】
クロムに関する栄養摂取基準はないが、COMAは、成人では25μg/日超の摂取が適していると推奨している(DoH、1991)。英国食品基準庁は、食物および/または補助剤からの摂取が1000μg/日まで安全である可能性が高いと助言している。
【0062】
クロムを食物に添加することの感覚的効果に関するデータはほとんどないと思われる。Achantaら(2007)は、クロムを含めた様々なミネラルをヨーグルトに添加することの効果について調査した。Achantaらは、米国のRDAの25%に等しいレベルでクロムを添加することは、ヨーグルトの風味または味に対して全く効果がなかったことを報告した。
【0063】
グルコマンナン
グルコマンナンは、多年生植物であるコンニャク属(Amorphophallus konjac)から導出された可溶性繊維である。グルコマンナンは、β(1,4)−グリコシド結合によって結合した、モル比1.6:1.0のD−マンノースおよびD−グルコースからなる。グルコマンナンは、肥満および心血管の危険性のパラメータに対して様々な有益な効果を及ぼす一因となっている(Doi 1995)。
【0064】
9つの無作為化対照治験のごく近年のメタ分析(RCT;n=379)では、グルコマンナンが、平均期間5.2週間の治験において、少ないが統計的に有意な0.79kg(95%Cl−1.53、−0.05)の体重減少を引き起こすことを報告した(Soodら、2008)。体重減少は、肥満の対象(平均−1.30(−1.69、−0.91)kg)および並行研究設計のRCTにおいて最大であった。研究で使用したグルコマンナンの用量は、1.24g/日〜15.1g/日の範囲であり、低用量は、カプセル剤または錠剤として供給され、より高用量は、グラノーラバーまたはビスケットに組み込まれた。興味深いことに、グルコマンナンをビスケットまたはグラノーラバーで供給した3つの研究では、いかなる有意な体重変化も報告されなかった(Vuskanら、1999;Vuskanら、2000;Yoshidaら、2006)。
【0065】
Salas-Salvadoら(2008)は、4アーム並行設計RCTを実施して、肥満および体重過多の対象における体重減少および代謝変数に対するエネルギー制限食の文脈で、混合繊維補助剤(グルコマンナン1gおよびインドオオバコ(Plantago ovato)穀皮3gを、毎日2回または3回摂取)の効果を調査した。研究は、体重減少を一次エンドポイントとして用いて設計され、適切に作動して、処置群では適度な1.5kg超の体重減少を検出した。またこの研究は、より長期間であった(16週)。研究の最後には、2つの繊維群は、プラセボ群(−3.79(SD0.58)kg)よりも若干多く重量喪失したが(−4.52(SD0.56)および−4.60(SD0.58)kg)、群間の差異は、有意ではなかった(P=0.43)。その著者らは、インドオオバコ(Plantago ovato)およびグルコマンナン繊維補助剤を、エネルギー制限食と組み合わせて摂取しても、体重減少の促進における追加の利益はないと結論付けた。しかし研究は、両方の用量の繊維により、LDLコレステロールが有利に低下したことを実際に実証している。
【0066】
グルコマンナンは、水性環境に曝露されると粘性ゲルを形成する。そのゲル化特性は、胃排出を遅延させ、腸内通過時間を緩徐させ、インスリンにおける食後の糖(surges)およびグルコースを鈍化することによって、高い確率で体重減少を促進する任意の効果の原因となる(Chuaら、2010)。またグルコマンナンは、食欲および体重減少に影響を及ぼし得る大腸において効果を発揮し得ることが可能である。Chenと同僚らは、21日間、4.5g/日のグルコマンナンを補充すると、健康であるが便秘の成人の糞便において、SCFA脂肪酸濃度、ならびに乳酸桿菌およびビフィドバクテリウム属の割合が増大したと報告した(Chenら、2006;Chenら、2008)。
【0067】
コンニャク粉としてのグルコマンナンは、極東では食物に組み込まれてきた長い歴史がある。中毒学的および遺伝毒性研究から得られた限定的なデータでは、グルコマンナン(glucomannon)は安全であることが示されている(Oketaniら、1991;Nihon Bioresearch Inc.1992)。
【0068】
ある研究者は、グルコマンナンをビスケットまたはグラノーラバーに添加した(Vuksanら、1999 & 2000;Yoshidaら、2006)。Yoshidaら(2006)は、グラノーラバーのそれぞれにグルコマンナン3.3gを組み込んだが、体重減少補助剤は、部分当たりグルコマンナン1gを含有する必要がある。1gは、食品の感覚特性に対して3gよりも効果が小さい可能性がある。グルコマンナンは、乳化剤、安定剤および脂肪代替物として広く使用されているが、そのことは、グルコマンナンを食物に上手く組み込むことができることを示している(Chuaら、2010)。
【0069】
グルコマンナンは、体重減少に関してEFSAによって承認されており(EC、2013)、補助剤は、定量化部分当たりグルコマンナン1gを含有する必要があり、消費者には、エネルギー制限食の文脈では、食前に水と共に3×1g用量を毎日摂取すると有益な効果が得られることを告げる必要がある(EC 2013)。また、グルコマンナンが、正常な血中コレステロール濃度の維持を助けるという主張は承認されている。
【0070】
プレバイオティクス
プレバイオティクスによる急性処置が、食欲および食物摂取に影響を及ぼすかどうかについて、少数の研究が調査されている。Archerら(2004)の初期の研究は、24時間にわたる脂肪摂取、総エネルギー摂取および満腹評定に対するイヌリンおよびルピナス穀粒繊維の急性効果を調査した。Archerらは、3ウェイクロスオーバー設計を使用して、参加者(男性33人、平均年齢52歳、BMI27.4(SD4.1))に、朝食に高脂肪分のソーセージパテ、およびイヌリンまたはルピナス穀粒で脂肪の50%を置き換えた低脂肪パテを与えた。イヌリン含有パテによって、試験当日の総脂肪摂取量および総エネルギー摂取量は低く抑えられたが、高脂肪パテと比較して、満腹尺度に対して効果はなかった。ルピナス穀粒繊維を含有するパテも、類似の結果をもたらしたが、朝食の5時間後まで、満腹感を増大した。Petersら(2009)は、食物摂取時のイヌリン、β−グルカン、またはイヌリンとβ−グルカンの組み合わせに富んだシリアルバーの急性効果、および2日間の試験期間にわたる空腹に関する6人の主観的評定について調査した。Petersらは、エネルギー摂取、または処置間の空腹に関する6人の主観的評定のいずれにも、差異を見出さなかった。Hessら(2011)は、3ウェイクロスオーバー研究により、参加者に、短鎖FOS(scFOS)0g、5gおよび8gの2つの別個の用量を与えた。各試験の当日、第1の用量をホットココア飲料に組み込み、朝食と共に消費した。第2の用量を、3つのチョコレート風味のチューズに組み込み、夕食の2時間前に消費した。scFOS処置は、朝食または昼食における満腹感の尺度、および自由な昼食中の食物摂取を変えることができなかった。試験日の残りにわたって、エネルギー摂取は、16g用量を消費した女性について著しく低かった。
【0071】
プレバイオティクスの長期的な補助が、ヒトの肥満症に影響を及ぼすかどうかを記録した研究は、ごくわずかである(Abramsら、2007;Parnell & Reimer 2009;Gentaら、2009)。肥満度指数(BMI)は、青年期に増大し、健康的な年間増分は、0.6〜0.8kg/m2であると考えられる(Maynardら、2001)。無作為化プラセボ対照治験では、12カ月間のFOS(8g/日)の補助は、思春期性成長中の適切なBMIの維持に寄与した(12カ月にわたって↑0.7kg/m2対↑1.2k/m2;n=97)。この効果は、食事性カルシウムを、プレバイオティクス補助と共に習慣的に摂取することによってモジュレートされ、食事性カルシウム摂取≧700mg/日の青年では、より利益が高いことを呈した(Abramsら、2007)。体重過多または肥満の成人(BMI>25kg/m2;n=48)では、21g/日のFOSによる3カ月の介入によって、マルトデキストリン対照と比較して、少ないが有意な体重減少が誘発された(−1.03(SD0.43)kg対+0.45(SD0.31)kg;Parnell & Reimer 2009)。若干の脂質異常症を有する、肥満の閉経前女性(n=35)の研究では、ヤーコンシロップ(10g/日のFOSを提供)を120日間補助すると、体重が著しく喪失し(約15kg)、関連するBMIおよび腰回りも実質的に減少した(Gentaら、2009)。
【0072】
Caniら(2006)は、無作為化単盲検プラセボ対照によるクロスオーバー設計を使用して、総エネルギー摂取および食欲の主観的評定に対する、FOSとマルトデキストリンプラセボ(16g/日×2週)の消費効果を比較した。各補助期間の最後に、参加者は、朝食、昼食および夕食に自由選択のビュッフェ食を消費し、満腹、膨満、空腹および食物摂取願望について、視覚的なアナログ尺度で評定した。FOS処置は、朝食および夕食時の満腹を著しく増大し、夕食時膨満を増大し、夕食時の食物摂取願望を低下した。またFOS処置は、24時間の試験期間にわたって、総エネルギー摂取のわずか5%の低下を誘発した。Caniら(2009)は、類似の実験設計を使用してFOSを2週間補助した後、食欲不振性の腸ペプチド(GLP−1およびPYY)の放出が、マルトデキストリンプラセボと比較して、試験食に応答して一過的に小幅に増大すると報告した。食欲不振誘発性腸ペプチドの増大および/または食欲促進性腸ペプチドの低減は、いくつかの他の研究で実証されている(Parnell & Reimer、2009;Tarini & Wolever 2010;Verhoefら、2011)。
【0073】
近年、Harroldら(2013)は、食欲および食物摂取に対する、生薬(Natural Remedies、UK)および市販のイヌリン補助剤(Fibresure;Proctor&Gamble)単独または組み合わせの急性効果を比較するために、プラセボ対照無作為化クロスオーバー研究を実施した(正常な女性から若干体重過多の女性58人)。生薬は、イェルバ・マテ(Yerbe Mate)、ガラナおよびダミアナ(Damiana)(YGD)を含有していた。YGDおよびイヌリンの両方は、投与の4時間15分後、自由な昼食時の食物摂取およびエネルギー摂取の低下を誘発したが、YGDの効果は、イヌリンの効果よりも大きかった(132.2kcal対89.84kcal)。これらの効果は、YGDおよびイヌリンが組み合わされたときに増強された。またこの組み合わせは、空腹および食欲の有意な低下を誘発した。イヌリン/FOSを他の食物繊維と組み合わせる研究は、制限される。過去に記載されている通り、Petersら(2009)は、食物摂取および空腹評価に対する、イヌリンとβ−グルカンに生じる可能性がある相乗作用を調査したが、いずれの補助も、単独でも組み合わせでも効果がなかったことが見出された。
【0074】
プレバイオティクスが食物摂取を低下する機序(複数可)は、まだ完全には明らかになっていないが、腸ホルモンのモジュレーションが重要となり得る。動物およびヒトの研究では、イヌリンまたはFOSの供給に応答して、食欲不振誘発性腸ホルモンであるGLP−1およびPYYの放出が増大し、食欲促進性腸ホルモンであるグレリンが阻害されたことが報告されている(Caniら、2004;Delzenneら、2005;Caniら、2009;Parnell & Reimer 2009;Tarini & Wolever 2010;Verhoefら、2011)。これらの効果は、大腸によるプレバイオティクスの発酵から生成された短鎖脂肪酸によって少なくとも部分的に導出されると思われる。GLP−1およびPYYは、腸管上皮に存在する腸内分泌L細胞から共に分泌される(Habibら、2013)。L細胞は、SCFAの受容体を含有しており、いくつかの実験的研究では、結腸へのSCFAの注入によって、大腸L細胞からのGLP−1の放出が誘発されることが実証されている(Caniら、2007)。プレバイオティクスがグレリンの放出を抑制し得る機序(複数可)は不明であるが、栄養吸収率または腸管腔の浸透圧を変えることによって生じると思われる(Overduinら、2005)。食欲に対するプレバイオティクスの効果が、ビフィドバクテリウム属の増大ではなくSCFAだけによって導出される場合、難消化性デンプンおよび可溶性繊維の消費から、類似の効果が予測され得る。
【0075】
イヌリンは、食品産業においてエネルギー含量を低下する目的で、アイスクリーム、ヨーグルトおよびマーガリンなどの製品に、脂肪代替物として一般に使用されている。Devereuxら(2003)は、ベーカリー製品および肉製品を含む様々な他の食料品に、イヌリンおよびFOS(4〜13g/100gの範囲)を添加することによる感覚的効果を調査した。すべての製品を、未熟練者による感覚パネルによって許容される通りに評定したが、ほとんどの製品は、食感および味の変化が原因となり、製品の高脂肪対応物よりも低いと評定された。
【0076】
感覚許容性に加えて、食品加工が、イヌリンおよびFOSのプレバイオティクス活性を破壊する可能性が高いかどうかを考慮することが重要である。Huebnerら(2008)は、FOSおよびイヌリンのプレバイオティクス活性に対するpH、熱およびMaillard反応条件の効果を調査した。プレバイオティクス活性は、低pHで加熱すると低下したが、pHだけまたはMaillard反応条件に付された場合には安定であった。Bohmら(2005)は、高温で60分間加熱すると、イヌリンの実質的な分解が引き起こされて、ジ−D−フルクトースジアンヒドリドが形成されることを報告した。制限されたこれらのデータは、最終的な食品におけるプレバイオティクスの量を定量化し、かつ/またはその機能的特性を測定することが重要であると示している。
【0077】
CarabinおよびFlamm(1999)は、動物研究から得た中毒学的データ、ならびにイヌリンおよびFOSの臨床治験から得た有害作用の報告をまとめている。彼らは、処置に関係する毒性、遺伝毒性または発癌性の証拠はないと結論付けた。さらに、ミネラル吸収、脂質代謝または糖血症制御に対する有害な作用の証拠は見出されなかった。有害作用は、GI管に限定され、すなわち腹部膨満、鼓腸および下痢症に限定され、その作用は、>20g/日の単回投与で明らかとなった。GIに関係する少数の有害作用は、プレバイオティクスによるほとんどの介入において報告されており、したがって生じ得るガスが少量である、潜在的に可能な他のプレバイオティクスオリゴ糖に関心が集まっている。市販のα−グルコオリゴ糖(BioEcolians;Solibia)は、pH制御された糞便バッチ培養物中で発酵させられた場合、イヌリンよりも少ないガスを生じることが示されており、したがって、その有効性が実証されたら、体重減少製品に含むための良好な候補となり得る(Sarbiniら、2013)。
【0078】
FOSおよびイヌリンベースのいくつかの体重減少補助剤は、市販されている。例えば、e’lefexir Flat Tummy Plusは、腹部を平らにすることを促進するために販売されているFOSベースの補助剤である。他の製品には、Easyfibre(登録商標)FOS、Jarrow Inulin FOS粉末およびUSN Diet Fuel Ultra Leanが含まれる。後者の製品は、低GI食代替シェイクであり、これは、FOS、カルシウム、N−アセチル−l−カルニチン、ヒドロキシクエン酸および繊維の体重減少用ブレンドを含有している。
【0079】
効果の有効性、味に対して生じる可能性が高い効果、安全性/健康への効果、および相乗効果の潜在可能性に基づく文献のさらにより詳細な分析によって、この構成成分の一覧は、以下の表1に識別されている構成成分まで絞られ、関心を集めることが可能な追加のプレバイオティクスが識別された。
【0081】
基本成分としてグルコマンナンを使用する理論的根拠:グルコマンナンの有効性は、グルコマンナンが適度な体重減少を促進すると結論付けられた、ヒト治験のメタ分析によって支持されている。
【0082】
プレバイオティクスを体重減少配合物に組み込む理論的根拠:プレバイオティクスは、食欲、食物摂取または体重減少のマーカーに好ましい影響を及ぼし得るという証拠がヒト治験から得られ、実質的な証拠が動物研究から得られている。また、任意の潜在的に可能な体重減少促進/食欲抑制効果を補完することができる、他の有益な代謝効果および免疫学的効果のいくつかの証拠がある。フルクタンベースのプレバイオティクスを用いる治験でしばしば記録されている副作用は、軽度の胃腸管の障害/鼓腸である。近年、フルクタンをベースとしないプレバイオティクスは、生じるガスが少量であることを、数人の研究者が報告し始めている。α−グルコオリゴ糖(BioEcolians、Solibia)またはガラクトオリゴ糖(Vivinal GOS)などのこれらのプレバイオティクスの1つを製品に組み込むことは、有益であることが証明され得る。
【0083】
クロムを体重減少配合物に組み込む理論的根拠:ヒト研究の2つのメタ分析では、クロムの補助は、適度な体重減少を促進することが結論付けられた。さらに、クロムは、空腹時血糖濃度および炎症の低下などの他の健康上の利益を有するといういくつかの証拠がある(Abdollahiら、2013;Chenら、2013)。
【0084】
識別された構成成分間の相乗作用の可能性:クロムは、インスリン感受性および代謝速度を増大することによって、またおそらくは食物渇望を低減することによって、体重減少を促進する可能性が高い。これらの効果は、胃腸管外で生じるシグナル伝達経路を介して媒介されると思われる。それとは対照的に、グルコマンナンおよびプレバイオティクスの効果は、腸内で生じる事象に関係すると思われる。
【0085】
クロムおよびプレバイオティクス(イヌリン)を含有する補助剤の、ヒトの体重減少に対する効果を調査する研究が1つだけ存在している(Hoegerら、1998)。この研究では、クロムピコリネート、イヌリン、トウガラシ、L−フェニルアラニン(アミノ酸)および他の明確に定義されていない脂肪動員性栄養分を組み合わせる補助剤は、4週間の有酸素運動プログラムおよびエネルギー制限食の摂取の後、参加者(n=123)において、プラセボ処置よりも多くの体脂肪の喪失、および除脂肪組織の維持を引き起こした(Hoegerら、1998)。
【0086】
ごく最近の研究の1つは、グルコマンナンおよびクロムの組み合わせが、高コレステロール血症の子どもの総コレステロールおよびLDLコレステロールを低下するのに有効であったが、グルコマンナン単独では有効ではなかったことを報告しており、このことは、構成成分が、少なくとも血中コレステロール濃度の制御に関して相乗作用により作用し得ることを示している(Martinoら、2013)。
【0087】
スクリーニングは、グルコマンナン、プレバイオティクスおよびクロムが、体重減少製品に含まれる可能性が最も高い候補であることを示唆した。プレバイオティクスを補助した後の食欲および/または体重減少の阻害を報告する研究では、16〜21g/日で3つの等用量を投与したが、グルコマンナンの有益な効果は、毎日3gを摂取した場合に記録されており、クロムは、μgレベルで有効になり得る。グラム用量のグルコマンナンおよびプレバイオティクスでは、その両方を体重減少カプセル剤に組み込むことは困難になり、2つを組み合わせた製品は、飲料または食品でなければならないことが示唆される。調査される潜在的に可能な媒体は、パンおよび他のシリアル/デンプン製品であることが示唆される。
【0088】
英国におけるパンの平均摂取量は、1日当たり大型パン1つのうち中程度のスライスおよそ2.5個である(これはおよそ90gに等しい)(Batesら、2011)。SHUで実施された過去の試験的な研究に基づくと、プレバイオティクスを、およそ8〜10%の濃度でパンに組み込むことが実行可能であると思われる。したがって、パンの平均摂取量は、1日推奨用量のプレバイオティクスのおよそ50%を提供することができる。したがって、任意の体重減少配合物は、一般に1日を通して消費される、おそらく2食または3食の異なる食品、例えば朝食シリアル、パン、およびパスタなどの別のデンプン主食に組み込むことが必要になり得る結果となる。適切な食品加工技術に対する、グルコマンナン、プレバイオティクスおよびクロムの安定性を調査する必要も生じる。
【0089】
体重減少食品は、平均部分当たりプレバイオティクス5〜7g、グルコマンナン1gおよびクロム130μgを供給することを目的とすべきである。
【0090】
以下の実施例に伴う図は、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【
図1】ヨーグルト16の菌体外多糖類の粘性、レーザー散乱、280nmにおける紫外吸収および示差屈折率を示すグラフである。
【
図2】ヨーグルト14bおよび16に関して時間に対してプロットしたモル質量を示すグラフである。
【
図3】ヨーグルト14bおよび16に関して時間に対してプロットした流体力学半径を示すグラフである。
【
図4】ヨーグルト14bおよび16に関して時間に対してプロットした内因性粘度を示すグラフである。
【
図5】ヨーグルト14bおよび16に関してモル質量に対してプロットした流体力学半径を用いたRh構造プロットを示すグラフである。
【
図6】ヨーグルトの実施例Aに概説したレシピに従って調製したヨーグルトの3本の広口瓶の写真を示す。ここで、(左から右に)、製造したヨーグルト製品は、(1)底部に果物を入れたもの、(2)果物を小片として混合したもの、および(3)果物を均質に混合したものであった。
【実施例】
【0092】
ヨーグルトの形態で体重管理用配合物を調製するために、実験を実施した。実施例1Aは、実施例1Bに概説されている最終的な体重管理ヨーグルトを調製するために次に使用される基礎ヨーグルトの形成を記載する。
【0093】
実施例1A−最初のヨーグルト構成成分
ヨーグルトを、菌株ストレプトコッカス・サーモフィルス(NIZO2274=細胞寄託参照番号:CBS139100)およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス(NIZO2118=細胞寄託参照番号:CBS139099)を使用して調製した。プラセボヨーグルトもまた、菌株ストレプトコッカス・サーモフィルスNIZO115およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスNIZO191;ストレプトコッカス・サーモフィルスNIZO131およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスNIZO191;ならびにストレプトコッカス・サーモフィルスNIZO131およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスNIZO194を使用して調製した。細菌培養によって発酵した構成要素は、96.3%のスキムミルク(w/w)および3.7%のクリーム(w/w)であった。ヨーグルトの形成後に、ヨーグルトのpHおよび粘性を計測した。
【0094】
以下の表2に示したとおり、ストレプトコッカス・サーモフィルスNIZO2274およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスNIZO2118を使用して調製したヨーグルトが、プラセボヨーグルトより高い粘性を有した。ストレプトコッカス・サーモフィルスNIZO2274およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスNIZO2118を使用して調製したヨーグルトもまた、例えばk−カラゲナン、cekol(セルロース・ガム)、グアル(ゴム)およびペクチンなど既知の増粘剤を含んだヨーグルトより高い粘性を有した。
【0095】
【表2】
【0096】
表3に示したとおり、4℃にて5日間保管後に、ストレプトコッカス・サーモフィルスNIZO2274およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスNIZO2118を使用して調製したヨーグルトが、プラセボヨーグルトより高い粘性を有した。プラセボヨーグルトはまた、きめの粗い食感も有したのに対して、ストレプトコッカス・サーモフィルスNIZO2274およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスNIZO2118を使用して調製したヨーグルトは、滑らかな食感を有した。
【0097】
【表3】
【0098】
プラセボ培養物ストレプトコッカス・サーモフィルスNIZO115およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスNIZO191、ならびに菌株ストレプトコッカス・サーモフィルスNIZO2274およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスNIZO2118によって分泌された菌体外多糖類を、特徴づけした。菌株ストレプトコッカス・サーモフィルスNIZO115およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスNIZO191を使用して調製したプラセボヨーグルトを、ヨーグルト14b、SATIN1Aと名づけた。ストレプトコッカス・サーモフィルスNIZO2274およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスNIZO2118を使用して調製したヨーグルトを、ヨーグルト16およびSATIN5Aと名づけた。以下の表4、5および6は、ヨーグルト中の細胞外多糖類の量、パーセンテージ、および比率を示す。
【0099】
表4、5および6は、異なった菌株によって分泌される菌体外多糖類の補体の相違点を示す。ヨーグルト16は、ヨーグルト14bより大量のガラクトサミン、ガラクトース、およびグルコースを含む。ヨーグルト14bは、ヨーグルト16より多くのラムノース、マンノース、およびグルクロン酸を含む。
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】
屈折指数、UV(280nm、タンパク質、ポリフェノール)、粘性、および多重角レーザー光散乱(MALLS)検出を伴うサイズ排除クロマトグラフィーを、ヨーグルト14bおよび16の濃度、モル質量(Mw)、半径Rh(w)および内因性粘度[n]wを測定するために使用した。使用したカラムは、TSKゲルPWXL Guard+TSKゲルG6000 PWXL+TSKゲルG5000 PWXLであった。溶出液(移動相)は、100mMの硝酸ナトリウム、NaNO
3、+0.02%のアジ化ナトリウム、NaN
3であった。流速は0.500mL/分であった。カラム温度は35℃であった。レーザー散乱、粘性、および屈折率の測定に使用した温度は、35℃であった。注入体積は200μlであった。凍結乾燥サンプル(0.05g)を、20mlボトル内に計り入れ。2.0mlの溶出液をボトルに加え、そして、サンプルを室温にて一晩(16時間)撹拌した。菌体外多糖類を破壊するであろうから、超音波浴を使用しなかった。溶液を、2ml遠心分離チューブ内、20,000gにて10分間遠心分離した。次に、溶液を、0.22μmのフイルター(Millex-GV、低タンパク質結合Durapore、PVDF、カタログ番号:SLGVX13NL(Millipore))を使用して濾過した。次に、200μlの濾過上清を、サイズ排除クロマトグラフィーカラムに注入した。インジェクターの実行時間は131分であった。屈折率の検出は、溶解物質、ミネラル、ラクトース、タンパク質、カゼインミセル、および固体含量を示し得る。
【0104】
図1は、ヨーグルト16の粘性、光散乱、屈折指数、および280nmにおける紫外吸収を示す。
【0105】
図2は、ヨーグルト16がプラセボヨーグルト14bと比較してより大きいモル質量を有することを示す。
図3および表9は、ヨーグルト14b16がプラセボヨーグルト14bと比較してより大きい流体力学半径を有することを示す。
図4および表9は、ヨーグルト16がプラセボヨーグルト14bと比較してより大きい内因性粘度を有することを示す。
【0106】
図5は、ヨーグルト16および14bの流体力学半径とモル質量との相関を示す。
【0107】
図は、菌株ストレプトコッカス・サーモフィルスNIZO2274およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスNIZO2118を使用して調製したヨーグルト16が、プラセボヨーグルトと比較してより高い粘性を有することを示す。これらの図は、菌株ストレプトコッカス・サーモフィルスNIZO2274およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクスNIZO2118によって分泌された菌体外多糖類の量およびタイプが、より粘性なヨーグルトを生成することを実証する。
【0108】
実施例1B−完成したヨーグルト
体重管理用ヨーグルト製品における本発明の組成物の潜在的な使用可能性について調査するために、ヨーグルト製品を調製した。特に、配合、ブレンドおよび感覚受容特性について調査した。
【0109】
パネルにより製品の許容性を評価するために(n=4)、3つのEFSA(欧州食品安全機関)承認成分であるGOSプレバイオティクス、グルコマンナンおよびクロムを、
ストレプトコッカス・サーモフィルス(NIZO2274=NCIMB700859=細胞寄託参照番号:CBS139100)およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス(NIZO2118=細胞寄託参照番号:CBS139099)の独特の菌株の組み合わせを使用して、実施例1Aにおいて先に概説した一般的なヨーグルトプロトコルによって製造したヨーグルトに添加した。異なる配合物を試験し、2つのタイプが、味、食感/粘稠度および口当たりに関して許容されるとみなされた。
【0110】
レシピでは、ヨーグルトを、2種類の菌株:ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)およびラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)を使用して、別個に調製し、そして、これらの2種類の株の組み合わせによって、高粘度のヨーグルトが得られた(69秒posthumus)。
【0111】
標準成分に、GOSプレバイオティクス、グルコマンナンおよびクロムを、果実を介して添加した。一人前の分量150gを使用し、それには一人前の分量当たり、プレバイオティクス6g、グルコマンナン1g、クロム130μgが含有されていた。
【0112】
【表7】
【0113】
これらのレシピでは、同じタイプのヨーグルトを使用した。しかし所望に応じて、ヨーグルトのタンパク質およびスクロース含量を調整して、タンパク質および所望の甘味を最適化することができる。
【0114】
ヨーグルトを、一般のヨーグルトプロトコルを使用して調製した。ヨーグルトに、イチゴ果実調理品を添加した。標準レシピとの比較において、GOSプレバイオティクス、グルコマンナンおよび/またはクロムを、イチゴ果実調理品と問題なく混合した。グルコマンナンに混合した後、イチゴ果実調理品は、30分以内に粘性が非常に高く/濃くなり、したがってそれを使用して、成分を添加した後に3通りのやり方で果実入りヨーグルトを調製した。
− 均質な製品を得るために、果実調理品およびヨーグルトを直接的に混合し、
− 果実調理品を底部に直接添加して硬化させた後、上部にヨーグルトを注ぎ、
− イチゴ調理品を硬化し、ヨーグルトを穏やかに混合して、小片を維持する。
【0115】
図6を参照して、3つのタイプのヨーグルトを調製し、試験した。(1)底部に果物を入れたもの、(2)果物を小片として混ぜ合わせたもの、および(3)果物を均質に混合したものであった。消費者タイプのパネル(n=4)による製品タイプの短い感覚受容評価時には、異なる調理品は、以下の異なる感覚を有することが明らかになった。
− (タイプ1)グルコマンナンを果実に添加することの非常に重要な効果は、グルコマンナンが固いゲルであるという視覚的な印象があっても、実際には非常に滑らかであり、粘性であり、口内で容易に滑らかになるということであった。ヨーグルト風味は、認識できた。
− (タイプ2)果実小片が存在すると(または底部に存在し、ヨーグルト部分と混合されている)、製品の果実感覚がより高まった。ヨーグルト風味は、認識できた。
− (タイプ3)均質な製品は、ねばつく/粘着性のものと評価され、口内はあまり魅力的な風味では覆われなかった。
【0116】
すべてのヨーグルトタイプは、撹拌したヨーグルトタイプに予期される濃厚さを有していた。ヨーグルトタイプの甘味は、異なっていた。ヨーグルトタイプ1は、タイプ3と比較して、甘みが少ないとみなされた。
【0117】
試験したレベルのGOS、グルコマンナン、クロムの組み合わせは、果実調理品を介して添加することによって使用されると、許容される製品を製造できた。果実調理品に成分を含有し、ならびに底部に果実として、および/または製品中に小片として提供される試料(タイプ1およびタイプ2)は、味、食感/粘稠度および口当たりに関して最も良好であり、許容されるとみなされた。
【0118】
実施例2−達成された実施例
以下のヨーグルト製品は、本発明に従って製造され得るヨーグルトの達成された実施例である。
ヨーグルト製品を、実施例1B「完成したヨーグルト製品」として先に詳述した方法に従って製造され得る。しかしながら、果物によって「標準的な構成要素」(GOSプレバイオティクス、グルコマンナンおよびクロム)のすべてを加えるよりむしろ、これらの構成要素のうちの2つだけ(いずれか:GOSプレバイオティクス+グルコマンナン;GOSプレバイオティクス+クロム;またはグルコマンナンおよびクロム)をヨーグルトに加える。
【0119】
達成された実施例の配合物は以下のとおりである:
【表8】
【0120】
【表9】
【0121】
【表10】
【0122】
所望であれば、実施例1Bと共に、ヨーグルトのタンパク質およびスクロース含有量を、タンパク質を最適化するようにおよび所望の甘さとなるように調整してもよい。
【0123】
前述の実施形態は、特許請求の範囲によって与えられる保護範囲を制限するものではなく、本発明を実施することができる実施例を例示する。
【0124】
寄託した生物材料の表示
1若しくは複数の特許出願を出願する目的で、Kernhemseweg2, 6718 ZB EDE, The NetherlandsのNIZO Food Research BVによる生物材料の寄託を、Centraalbureau voor Schimmelcultures, Uppsalalaan8, P.O.Box 85167, 3508AD UTRECHTにておこなった。Centraalbureau voor Schimmelculturesはブダペスト条約下で認証された国際寄託当局(IDA)であるので、生物材料の寄託を条約で定められたものと同じ条件でおこなった。Centraalbureau voor Schimmelculturesにて寄託した菌株のそれぞれには、接頭語「CBS」と併せて数字が付与された。
【0125】
NIZO Food Research BVは、出願人がこの特許出願において寄託生物材料について言及することを認可し、かつ、そこから優先権を主張する続いて出願されるあらゆる特許出願を含め、斯かる特許出願の出願日より公に利用可能になる寄託物に対するそれらの無制限かつ取り消せない承諾を定めた。
【0126】
本出願において言及した寄託生物材料は、以下のとおりである:
名称:Centraalbureau voor Schimmelcultures
所在地:ウップサララーン8、P.O.ボックス85167、3508 AD UTRECHT、オランダ
日付:2014年11月25日
受入番号:CBS139099
記述:ラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリクス
−および−
名称:Centraalbureau voor Schimmelcultures
所在地:ウップサララーン8、P.O.ボックス85167、3508 AD UTRECHT、オランダ
日付:2014年11月25日
受入番号:CBS139100
記述:ストレプトコッカス・サーモフィルス
【0127】
参考文献の一覧
【0128】
【化1】
【0129】
【化2】
【0130】
【化3】
【0131】
【化4】
【0132】
【化5】