(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記親指インターフェイスが前記管係合部と結合していることによって、ユーザの親指が前記親指インターフェイスを移動させるのに応じて、前記経路内で前記気管内チューブが移動する、請求項2又は3に記載の挿管装置。
前記親指インターフェイスは対向する第一、第二方向に移動可能で、これにより、前記親指インターフェイスが前記第一方向に移動すると、前記気管内チューブが前進し、前記親指インターフェイスが前記第二方向に移動すると、前記気管内チューブが後退する、請求項4に記載の挿管装置。
前記親指インターフェイスが前記管係合部と機械的に結合していることによって、前記親指インターフェイスの移動が機械的に前記気管内チューブの対応する移動に変換される、請求項4または5に記載の挿管装置。
前記親指インターフェイスが親指スライダを有し、ユーザが親指で前記親指スライダをスライドするように移動させることで前記親指インターフェイスを動作させるように構成されている、請求項6に記載の挿管装置。
前記管移動機構は、前記親指インターフェイスの親指移動距離分の移動が、親指の移動距離より大きい管移動距離分の前記気管内チューブの移動に変換されるように構成されている、請求項6又は7に記載の挿管装置。
前記管移動機構が前記気管内チューブを移動させるアクチュエータを有し、前記アクチュエータは前記親指インターフェイスの動作に応じて作動する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の挿管装置。
前記親指インターフェイスが押ボタンを有し、ユーザの親指によって前記押ボタンが押されると、制御入力が前記アクチュエータに与えられるように構成されている、請求項12に記載の挿管装置。
前記親指インターフェイスが複数の押ボタンを有し、ユーザの親指によって押されると、それぞれ異なる制御入力が前記アクチュエータに与えられるように構成されている、請求項13に記載の挿管装置。
前記喉頭鏡ブレードは組織係合ブレード前面と対向ブレード後面とを有し、前記ハンドルは前記対向ブレード後面から延びるハンドル後面を有し、前記ブレード経路部及び前記ハンドル経路部が、それぞれ、前記対向ブレード後面および前記ハンドル後面に画定されている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の挿管装置。
前記ハンドル後面と前記対向ブレード後面とが一緒になって前記挿管装置の連続的な湾曲後面を画定し、前記湾曲後面に前記経路が画定されている、請求項16に記載の挿管装置。
前記挿管装置が、前記気管内チューブを前記経路内で保持する、前記経路の細長開口部の複数部分を部分的に覆う複数の保持タブを有する、請求項1〜22のいずれか1項に記載の挿管装置。
前記保持タブが、前記気管内チューブが能動的にユーザによって取り外されない限り、前記気管内チューブが前記経路から外れるのを防ぐように構成されている、請求項23に記載の挿管装置。
前記挿管装置が、前記喉頭鏡ブレードの前記先端近傍に吸引出口を有する吸引経路を有し、前記吸引経路が、前記吸引出口において吸引可能に吸引管を支持するように構成されている、請求項1〜27のいずれか1項に記載の挿管装置。
前記喉頭鏡ブレードが、前記ハンドルとヒンジ式に接続されていることによって、作動位置と折りたたみ位置との間で移動可能に構成されている、請求項1〜30のいずれか1項に記載の挿管装置。
前記ハンドルが、前記ハンドル内の前記気管内チューブの一部にユーザがアクセスできるようにする、前記経路と関連付けられた一または複数の開口を有する、請求項1〜32のいずれか1項に記載の挿管装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
WO2003047673は、生体内に挿入可能な挿入可能要素と、物理的に操作可能要素と結合され、生体内で物理的表面に沿うように構成された、表面追従要素と、挿入可能要素を少なくとも一部自動で物理的表面に沿うように向けるように構成された駆動サブシステムと、記憶した参照経路に沿った表面追従要素の認識された位置に少なくとも部分的に基づいて、前記駆動サブシステムを制御するように構成された、ナビゲーションサブシステムとを有する、自動操作可能な医療挿入装置および方法を開示している。しかし、この装置の自動操作は、従来の喉頭鏡とは著しく異なる形状での、ハードウェアの複雑な配置を要するため、従来の喉頭鏡と比べて大きく、高価な装置となる。
【0011】
US5184603は、患者の喉に挿入して気管内挿管用に咽頭の開口を露出させるのに適した、丸みを帯びた遠心端を有する咽頭鏡ブレードと、前記ブレードと一体に形成され、気管内チューブ用の長い通路を形成する側壁と、器具の挿入と操作の間にチューブを咽頭鏡ブレード内に保持するように構成され、遠心端を越えてチューブを前進させるように構成された、前記通路と、対応する第一クイック接続継ぎ手を有する、前記ブレードの近接端と、前記ブレードを支持する支持ハンドル筐体と、支持ハンドル筐体の最下部に位置する第一クイック接続継ぎ手と結合可能な第二クイック接続継ぎ手であって、第一クイック接続継ぎ手と第二クイック接続継ぎ手とが機械的に係合して前記ブレードを前記ハンドル筐体に所定の角度関係でロックする、第二クイック接続継ぎ手と、ハンドル筐体に設けられた気管内チューブドライバと、ハンドル筐体およびブレードと関連付けられ、前記通路内の気管内チューブの近接端と係合するように設けられ、前記チューブをブレードの遠心端を越えて移動させることでチューブの遠心端を気管に導入する、チューブドライバと、ハンドル筐体に設けられ、チューブドライバの動作を開始するように構成された、指で起動するトリガーとを有し、声門開口部の露出と気管内チューブの挿入が、ハンドル筐体を保持する手によって行うことができる、挿管器具を開示している。しかし、この文献が開示する器具は、従来の喉頭鏡とは著しく形状が異なる。特に、チューブドライバが器具のエルゴノミクス的に問題のある位置にあり、処置中にオペレータの動きまたは解剖学的構造に干渉する可能性がある。
【0012】
US5776052は、気管支鏡の可撓性光ファイバー管に係合し前進させる機構を有するハンドルを有する、喉頭鏡を開示している。この機構はハンドルを把持する手で操作される。前記喉頭鏡はブレードを有し、このブレードは、ハンドルから延びる表面を画定するハンドルからブレードの遠心端まで延びる。この機構は、前記表面の上に位置して、その中の光ファイバー管がブレードの遠心端まで前進する経路を画定するガイドを有する。前記機構は、前記経路内を可撓性光ファイバー管が前進するように配置される。前記機構はまた、前記ガイドを前記表面から移動させて、喉頭鏡を可撓性光ファイバー管から取り外す。しかし、この文献が開示する喉頭鏡は、気管内チューブではなく、光ファイバー管を前進させる機構のみを提供している。
【0013】
WO2011119521は、声帯の可視化と、可視化による気管内チューブの気管への自動配置とを可能にする、光ファイバー挿管装置を開示している。この装置は、筐体と、筐体から延びるハンドルと、長軸とほぼ平行な遠心端から延びる、伸縮自在のスタイレットとを有する。前記装置は、筐体上に配置され、筐体に対して気管内チューブを支持するように構成され、筐体に対して長手方向に選択的に移動可能な、支持部材をさらに有する。前記装置は、トリガーが作動すると、筐体に対して前記スタイレットを自動的に移動させるように構成されている。スタイレットが声帯に対して位置決めされると、前記装置はトリガーのさらなる作動により気管内チューブを気管内に配置する。しかし、この文献が開示する器具は、喉頭鏡ブレードを有さず、従来の喉頭鏡とは著しく形状および操作的エルゴノミクスが異なる。
【0014】
本明細書における従来の開示(および派生する情報)または既知の事項の引用は、本明細書が属する技術分野における技術常識の一部を従来の開示(および派生する情報)または既知の事項が構成していることを認める、自認する、またはいかなる形においても示唆するものではなく、そのように捉えられるべきでない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
広い意味において、本発明は、気管内挿管処置に使用する挿管装置を提供しようとするものであり、前記挿管装置は、
a)先端と基部とを有する喉頭鏡ブレードと、
b)喉頭鏡ブレードの基部に取り付けられて、挿管装置をユーザが手で持つことができるようにするハンドルと、
c)気管内チューブを支持する経路とを有し、前記経路は、
i)実質的に先端から基部まで前記喉頭鏡ブレードに沿って延び、且つ、先端近傍に設けられた出口であって、その出口から気管内チューブの遠心端が前進できるように構成された出口を有するブレード経路部と、
ii)前記ブレード経路部からハンドルの一部に沿って延びるハンドル経路部とを有し、挿管装置はさらに、
d)ハンドル内に設けられ、気管内チューブを経路内で移動させて気管内チューブを前進させる管移動機構であって、挿管装置を保持する手の親指を使ってユーザが管移動機構を操作できるようにして、これによって気管内挿管処置においてユーザが挿管装置を保持して気管内チューブを片手で前進させることができるようにする親指インターフェイスを有する管移動機構を有する。
【0016】
典型的には、前記管移動機構は、ハンドル経路部に位置する気管内チューブの近接端と係合し、親指インターフェイスの操作に応じて気管内チューブが経路内を移動するようにする管係合部を有する。
【0017】
典型的には、前記親指インターフェイスが管係合部と結合していることによって、ユーザの親指が親指インターフェイスを移動させるのに応じて、前記経路内で気管内チューブが移動する。
【0018】
典型的には、前記親指インターフェイスは対向する第一、第二方向に移動可能で、これにより、親指インターフェイスが第一方向に移動すると、気管内チューブが前進し、親指インターフェイスが第二方向に移動すると、気管内チューブが後退する。
【0019】
典型的には、前記親指インターフェイスが管移動機構と機械的に結合していることによって、親指インターフェイスの移動が機械的に気管内チューブの対応する移動に変換される。
【0020】
典型的には、前記管移動機構は、親指インターフェイスの親指移動距離分の移動が、親指の移動距離より大きい管移動距離分の気管内チューブの移動に変換されるように構成されている。
【0021】
典型的には、前記管移動距離は、管移動機構の機械的利益によって与えられる増倍率によって親指移動距離と関連している。
【0022】
典型的には、前記管移動機構は、レバー装置及び歯車列のうちの少なくとも一つを有する。
【0023】
典型的には、前記管移動機構が気管内チューブを移動させるアクチュエータを有し、前記アクチュエータは親指インターフェイスの動作に応じて作動する。
【0024】
典型的には、親指インターフェイスの動作によって、アクチュエータの作動を制御する制御入力がアクチュエータに与えられる。
【0025】
典型的には、前記親指インターフェイスが押ボタンを有し、ユーザの親指によって押ボタンが押されると、制御入力がアクチュエータに与えられるように構成されている。
【0026】
典型的には、前記親指インターフェイスが複数の押ボタンを有し、ユーザの親指によって押されると、それぞれ異なる制御入力がアクチュエータに与えられるように構成されている。
【0027】
典型的には、アクチュエータは電池から電力を得る。
【0028】
典型的には、前記親指インターフェイスが親指スライダを有し、ユーザが親指で親指スライダをスライドするように移動させることで親指インターフェイスを動作させるように構成されている。
【0029】
典型的には、前記親指インターフェイスが親指ホイールを有し、ユーザが親指で親指ホイールを回転させることで親指インターフェイスを動作させるように構成されている。
【0030】
典型的には、前記ブレードが組織係合ブレード前面と対向ブレード後面とを有し、前記ハンドルはブレード後面から延びるハンドル後面を有し、前記ブレード経路部及び前記ハンドル経路部が、それぞれ、ブレード後面およびハンドル後面に画定されている。
【0031】
典型的には、前記ハンドル後面とブレード後面とが一緒になって挿管装置の連続的な湾曲後面を画定し、前記湾曲後面に前記経路が画定されている。
【0032】
典型的には、前記湾曲後面がブレードおよびハンドルに沿って丸みを帯びている。
【0033】
典型的には、前記経路が前記湾曲後面に沿って延びる細長開口部を有する。
【0034】
典型的には、前記ブレード経路部及び前記ハンドル経路部が、それぞれ、横ブレード面および横ハンドル面に画定されている。
【0035】
典型的には、前記経路は、前記横ブレード面と前記横ハンドル面とに沿って延びる細長開口部を有する。
【0036】
典型的には、前記経路が前記気管内チューブを支持する湾曲通路を画定している。
【0037】
典型的には、前記挿管装置が、気管内チューブを経路内で保持する、前記経路の細長開口部の複数部分を部分的に覆う複数の保持タブを有する。
【0038】
典型的には、前記保持タブが、気管内チューブが能動的にユーザによって取り外されない限り、気管内チューブが経路から外れるのを防ぐように構成されている。
【0039】
典型的には、前記挿管装置は、ブレードの先端近傍に位置する光源を有する。
【0040】
典型的には、前記挿管装置は、光ファイバー観察装置を有する。
【0041】
典型的には、前記挿管装置がブレードの先端近傍に位置するビデオカメラを有する。
【0042】
典型的には、前記挿管装置が、ブレードの先端近傍に吸引出口を有する吸引経路を有し、前記吸引経路が、吸引出口において吸引可能に吸引管を支持するように構成されている。
【0043】
典型的には、前記ブレードがハンドルから取り外し可能である。
【0044】
典型的には、前記挿管装置が、気管内挿管処置の要求に応じて、異なる形状及びサイズのブレードの取付けを可能にしている。
【0045】
典型的には、前記ブレードは、ハンドルとヒンジ式に接続されていることによって、作動位置と折りたたみ位置との間で移動可能に構成されている。
【0046】
典型的には、前記挿管装置は、前記経路の少なくとも一部を密閉する、一つ以上の取外し可能なシールを有する。
【0047】
典型的には、前記ハンドルが、ハンドル内の気管内チューブの一部にユーザがアクセスできるようにする、前記経路と関連付けられた一または複数の開口を有する。
【0048】
別の広い意味において、本発明は、気管内挿管処置に使用する挿管装置を提供しようとするものであり、前記挿管装置は、
a)先端と基部とを有する喉頭鏡ブレードと、
b)ブレードの基部に取り付けられて、挿管装置をユーザが手で持つことができるようにするハンドルと、
c)気管内チューブを支持する経路とを有し、前記経路は、
i)実質的に先端から基部まで前記ブレードに沿って延び、且つ、先端近傍に設けられた出口であって、その出口から気管内チューブの遠心端が前進できるように構成された出口を有するブレード経路部と、
ii)前記ブレード経路部からハンドルの一部に沿って延びるハンドル経路部とを有し、挿管装置はさらに、
d)ハンドル内に設けられ、気管内チューブを経路内で移動させて気管内チューブを前進させる管移動機構であって、挿管装置を保持する手の一つ以上の指を使ってユーザが管移動機構を操作できるようにして、これによって気管内挿管処置においてユーザが挿管装置を保持して気管内チューブを片手で前進させることができるようにする指インターフェイスを有する管移動機構を有する。
【0049】
挿管装置を保持する前記手の一つ以上の指が、
a)親指、及び、
b)親指以外の指
のうちの少なくとも1つを含む。
【0050】
別の広い意味において、本発明は、ブジーを用いた気管内挿管処置に使用する挿管装置を提供しようとするものであり、前記挿管装置は、
a)先端と基部とを有する喉頭鏡ブレードと、
b)ブレードの基部に取り付けられて、挿管装置をユーザが手で持つことができるようにするハンドルと、
c)ブジーを支持する経路とを有し、前記経路は、
i)実質的に先端から基部まで前記ブレードに沿って延び、且つ、先端近傍に設けられた出口であって、その出口からブジーの遠心端が前進できるように構成された出口を有するブレード経路部と、
ii)前記ブレード経路部からハンドルの一部に沿って延びるハンドル経路部とを有し、挿管装置はさらに、
d)ハンドル内に設けられ、ブジーを経路内で移動させてブジーを前進させる管移動機構であって、挿管装置を保持する手の親指を使ってユーザが管移動機構を操作できるようにして、これによって気管内挿管処置においてユーザが挿管装置を保持してブジーを片手で前進させることができるようにする親指インターフェイスを有する管移動機構を有する。
【発明を実施するための形態】
【0052】
気管内挿管処置に用いられる挿管装置100の一例を、
図2A〜2Gを参照して説明する。
【0053】
図2Aに示すように、挿管装置100は、先端111と基部112とを有する喉頭鏡ブレード110を有する。ハンドル120は、ブレード110の基部112に取り付けられて、挿管装置100をユーザが手で持つことができるようにする。
【0054】
挿管装置100は、
図2Bに示すように、気管内チューブ210を支持する経路101をさらに有する。経路101は、実質的に先端111から基部112までブレードに沿って延びるブレード経路部113と、前記ブレード経路部113からハンドル120の一部に沿って延びるハンドル経路部123とを有する。ブレード経路部113は、
図2Cに示すように、先端111に近接して、気管内チューブ210の遠心端211をそこから前進可能にする出口114を有する。
【0055】
挿管装置100は、ハンドル120に設けられ、気管内チューブ210を経路101内で移動させることで気管内チューブ210を前進させる管移動機構130をさらに有する。管移動機構130は、ユーザが、挿管装置100を(
図2B〜2Fが示すように)保持する手の親指201を用いて管移動機構130を操作し、これによって、気管内挿管処置において片手で挿管装置100を保持しつつ気管内チューブ210を前進させることを可能にする親指インターフェイス131を有する。
【0056】
図3Aから、ユーザが、手301によりハンドル120で挿管装置100を保持し、その手の親指201が親指インターフェイス131を操作する位置にあることが分かる。ユーザは、ハンドル120を用いて患者310の中咽頭経路内の解剖学的構造に対してブレード110を操作して、ブレード110の先端111を気管内チューブ210を前進させる位置に動かすことができる。先端111が適切に配置されると、ユーザは親指インターフェイス131を操作して、管移動機構に気管内チューブ210を経路101内で移動させ、気管内チューブ210を患者310の気管内に前進させる。
【0057】
ハンドル120を介してブレード110を位置決めし、気管内チューブ210を前進させる、挿管装置100の片手での操作を可能にすることで、気管内挿管処置中に、必要に応じて、他の用途、例えば、吸込み装置303等の他の装置を用いた気道の清掃や、鉗子などの他の装置を用いた解剖学的構造および/または気管内チューブ210の操作などを行えるように、ユーザのもう片方の手302は自由な状態になっている。片手のみを用いることにより、処置中に、従来の方法で気管内チューブを手で前進させる際のように視界が遮られることを回避することができる。
【0058】
ブレード110とハンドル120の基本構成は、従来の喉頭鏡での気管内挿管処置を経験しているユーザには親しみやすいもので、適切な技能を有するユーザであれば、ハンドル120を通じた一般的な処置において、ハンドル120を保持してブレード110を操作することを直感的に行うことができる。ハンドル120内の管移動機構130は、親指インターフェイス131を操作するだけで気管内チューブ210を前進させる機能をさらにユーザに与える。適切に構成、配置された親指インターフェイス131により、ユーザは、従来の喉頭鏡に似たグリップを有するハンドル120によって挿管装置100を保持しつつ、処置中に気管内チューブ210を直感的な親指の動きによって前進させることができる。
【0059】
よって、従来の喉頭鏡に習熟したユーザは、気管内挿管処置中に従来の喉頭鏡を保持、操作する方法から大きな変化を必要とすることなく、挿管装置100を使用することができる。処置の実行における主な相違点は、従来技術のようにもう片方の手により手動で気管内チューブ210を前進させる点ではなく、気管内チューブ210を前進させるために、ハンドル120を保持している手の親指で親指インターフェイス131を操作する点にある。
【0060】
しかし、挿管装置100のユーザは、親指で操作する管移動機構130を使用することなく、挿管装置100を用いて完全に従来の方法で気管内挿管処置を行うことも可能である。例えば、ユーザが経路101ではなくブレード110に沿って気管内チューブ210を手動で前進させる、より慣れた手法を好むことがあるが、挿管装置100はこの手法を許容するように構成されている。これは、ユーザが親指インターフェイス131と管移動機構130を用いて気管内チューブ210をうまく配置することができないような、難しい挿管において有用である。ユーザは、経路101から気管内チューブ210を抜いて、その気管内チューブ210をブレード110の表面にガイドされるように手動で挿入することができる。また、より切迫した場面では、ユーザはブレード110に沿って第二の気管内チューブ210を同様に手動で挿入することもできる。
【0061】
実施形態によっては、挿管装置100は、親指インターフェイス131と管移動機構130の使用による気管内チューブ210の前進から、必要であれば気管内チューブ210の手動による前進に、直ちに切替可能に構成されていてもよい。例えば、気管内チューブ210の近接端部が経路101から変位して、ユーザが気管内チューブ210を手動で前進させるべく、経路101に沿ってもう片方の手で気管内チューブ210を移動させられるようにしてもよい。例えば、気管内チューブ210の近接端部のハンドル経路部123からの変位を可能にしつつ、気管内チューブ210の別の部分がブレード経路部113に留まるように、経路101を構成することによって、前記構成を容易にしてもよい。
【0062】
いずれにしろ、手動での前進が選択可能で挿管装置100を従来の喉頭鏡と同様に使用することができることで、ユーザは従来の喉頭鏡に代わって挿管装置100を自信を持って使用することができる。とはいえ、使用の簡単さと、もう片方の手を別の用途に使えるようにする、片手操作の大きな利点とから、ユーザは親指操作の管移動機構130を歓迎するであろう。
【0063】
管移動機構130とその親指インターフェイス131は、要求に応じて異なる形態をとる。ある形態では、管移動機構130は親指インターフェイス131と直接結合して、親指インターフェイス131の移動に対応して気管内チューブ210が経路101において移動する。別の形態では、管移動機構130が、親指インターフェイス131の移動を気管内チューブ210のより長い移動に変換するように構成される。場合によっては、管移動機構130は親指インターフェイス131によって制御されるアクチュエータを有する。
【0064】
経路101をブレード110に沿って、またハンドル120の一部に沿って延びるように構成することで、気管内チューブ210の近接端212がハンドル経路部123内に位置する。よって、近接端212を、ハンドル120において、ハンドル120に設けられた管移動機構130に近接して配置してもよい。これにより、管移動機構130が完全にハンドル120に内蔵され、気管内チューブ210の近接端212と係合して、処置中に解剖学的構造またはユーザの移動を妨げることなく、ハンドル120またはブレード110からの突出部を必要とせずに気管内チューブ210を経路101において移動させる構成が可能となる。よって、挿管装置100の好適な形態により、ユーザは、装置の構造に干渉されることなく、従来の喉頭鏡を使用するのと同様に、ハンドル120を保持する手を同じように動かすことができる。ハンドル経路部123を含む経路101の構成とハンドル120内の移動機構130の配置とにより、挿管装置100を従来の喉頭鏡に習熟したユーザにとってさらに親しみやすいものにすることができる。
【0065】
図2Aに示す挿管装置100の例に戻り、他の任意に選択可能な特徴を記述する。
【0066】
ブレード110は、
図1に示すような従来の喉頭鏡ブレードと全体的に似た形状であってもよい。従来の喉頭鏡ブレードと同様に、患者の異なる年齢、大きさ、体型に合わせ、また異なる中咽頭の解剖学的形状や処置における選択肢の違いに応じて、ブレード110は異なる大きさ及び形状であってもよい(例えば直線状または湾曲したブレード110、異なる湾曲度を有するブレード110、直線状または湾曲した先端111を有するブレード110)。ブレード110は、伝統的な湾曲した喉頭鏡ブレード(「マッキントッシュ型」ブレード等)の形状でもよいし、直線状の喉頭鏡ブレード(「ミラー型」ブレード等)の形状であってもよい。
【0067】
場合によって、ブレード110はハンドル120から取り外し可能であってもよい。これにより、単一のハンドル120およびその中の管移動機構130を用いつつ、必要に応じて異なるブレード110を用いることができる。よって、ハンドル120の第一端121は、ブレード110の基部112をハンドル120と係合または離脱させる、結合機構を有していてもよい。前記挿管装置は、気管内挿管処置の要求に応じて、異なる形状やサイズのブレード110の取付けを可能にしていてもよい。
【0068】
これにより、患者とユーザが選択した処置上の選択肢とに適した形状を有するブレード110を装着することで、挿管装置100を様々な状況下で使用することができる。結合機構は、従来の喉頭鏡に習熟したユーザに親しみやすい方式でブレードを脱着可能なように、従来の喉頭鏡に似た結合法式となっていてもよい。例えば、ブレード110とハンドル120とは、補足的な差し込み結合インターフェイスを有していてもよく、また他の適切な結合インターフェイスを有していてもよい。これに関して、ブレード110がハンドル120に取り付けられる際にブレード経路部113とハンドル経路123とが適切に対応して、連続した効果的な経路101が形成されるように、結合機構は構成されなければならない。
【0069】
ブレード110とハンドル120は、医療機器に用いられるいかなる材料からなっていてもよい。場合によって、ブレード110とハンドル120は、比較的安価に製造可能なプラスチック成形部品からなっていてもよい。ブレード110および/またはハンドル120は、処置後の消毒の必要性をなくすべく、使い捨ての部品であってもよい。このような場合、管移動機構130の部品を単純で低コストなものにすることが好ましい。しかし、再利用可能なハンドルのほうがより洗練された管移動機構130を構築可能であり、患者に触れるブレード110のみを使い捨てにしてもよい。または、従来の喉頭鏡のようにブレード110およびハンドル120に再利用可能な金属部品を用いてもよい。
【0070】
親指インターフェイス131は、ハンドル120を握る際にユーザの手に対して適切に配置されるように、ハンドル120の第二端122の近辺に搭載されてもよい。この場合、ハンドル120は、使用時にユーザが快適かつ確実にハンドル120を保持できるように、エルゴノミックグリップ124を有する。
【0071】
この場合の挿管装置100では、前記親指インターフェイス131は親指スライダの形状を有し、ユーザが親指で親指スライダをスライドするように移動させることで親指インターフェイス131を動作させるように構成されている。親指インターフェイス131の親指スライダは、ハンドル120に形成されたスロット125に沿ってスライドし、親指インターフェイス131はスロット125を介してハンドル120内の管移動機構130の内部部品と機械的に結合される。管移動機構130と親指インターフェイス131の動作とについては、対応する使用例とともに後で詳述する。
【0072】
図2Aに示す構成以外の親指インターフェイス131の構成を用いてもよい。例えば、
図4は、親指インターフェイス131として押ボタン431、432を有する挿管装置400の例を示し、
図5は、親指インターフェイス131として親指ホイール531を有する別の挿管装置500の例を示す。後で示すように、異なるタイプの親指インターフェイス131が管移動機構130と異なる方式で結合するように構成されていてもよい。
【0073】
本例では、経路101は、ブレード110とハンドル120との後面に沿うように画定されている。ブレード110は、組織係合ブレード前面(図示されるカーブした形状のブレード110における湾曲の内側の面)と対向ブレード後面とを有し、ハンドル120は、ブレード後面から延びるハンドル後面を有していてもよい。ブレード経路部113とハンドル経路部123は、それぞれ、ブレード後面およびハンドル後面に画定されていてもよい。これにより、経路101は、ブレード110とハンドル120との後面に沿って延びる細長開口部を有する。気管内チューブ210が挿管装置100を用いて配置されると、気管内チューブ210を挿管装置100に対して外方向に、この場合では後側に引くことで、気管内チューブ210が細長開口部101から取り外されてもよい。
【0074】
別の例では、経路101は、後面に隣接する、ブレード110とハンドル120との横面に沿うように画定されていてもよい。よって、経路101がブレード110とハンドル120の後面の形状に従う一方、経路101の細長開口部は、挿管装置100の横にオフセットする。この構成により、気管内チューブ210を挿管装置100に対して外方向に、この場合では横に引くことで、気管内チューブ210が細長開口部101から取り外される。この経路の細長開口部の横配置により、ユーザは、一方の手でハンドル120を保持し続けつつ、もう片方の手で気管内チューブ210を挿管装置100から取り外すことができる。
【0075】
図示の形態の挿管装置100において、前記ハンドル後面とブレード後面とが一緒になって挿管装置100の連続的な湾曲後面を画定し、前記湾曲後面に前記経路101が画定されている(別の実施形態では、経路101はこのカーブした後面に隣接する横面に画定されていてもよい)。この場合、前記湾曲後面は、ブレード110およびハンドル120それぞれに沿って丸みを帯びている。しかし、この構成は必須ではなく、ブレード110とハンドル120それぞれの後面が、直線型の喉頭鏡ブレードを有するブレード110のように、直線部分を有していてもよい。
【0076】
経路101は、気管内チューブ120を支持する湾曲通路を画定していてもよい。経路101を湾曲後面の中にまたは隣接して形成することで、経路101は、前記後面に対して一定の深さを維持しつつ、適切な通路を設けることができる。一方、経路101が深さに変化があるように形成されていて、湾曲していないまたは丸みを帯びていない形状寸法の後面に対して適切に湾曲した通路を有する気管内チューブ120を提供するように構成されてもよい。
【0077】
挿管装置100は、気管内チューブ210を経路101内で保持する経路101の細長開口部の複数部分を部分的に覆う複数の保持タブ115、116、117、126を有していてもよい。保持タブ115、116、117、126は、経路101の細長開口部にまたがる前記複数の面の延長であってもよく、気管内チューブ210の意図しない脱離を防止する働きをしていてもよい。保持タブ115、116、117、126の数、形状、位置は、挿管装置の寸法形状や使用時の要求によって変わってよいが、本例では、三つの保持タブ115、116、117がブレード経路部113用に設けられ、一つの保持タブ126がハンドル経路部123用に設けられている。
【0078】
保持タブ115、116、117、126は、好ましくは、気管内チューブ210が能動的にユーザによって取り外されない限り、気管内チューブ210が経路101から外れるのを防ぐように構成されている。気管内チューブ210は一般的に可撓性のある材料で形成されるので、保持タブ115、116、117、126は、気管内チューブ210を経路に配置する際または気管内チューブ210を経路から取り外す際に、気管内チューブ210の多少の変形を必要とするように構成されていてもよい。
【0079】
保持タブ115、116、117、126は、一般的に、顕著な径方向への移動を許容することなく、経路101内に気管内チューブ210を保持することができなければならない。ブレード110とハンドル120の後面に画定された経路101に対して、図示の例のように、ユーザが積極的に気管内チューブ210を挿管装置100から外向きに後ろ方向に引っ張って取り外さない限り、保持タブ115、116、117、126は、挿管装置100の通常の移動の場合は気管内チューブ210が経路101から外向きに変位することを防止しなければならない。ブレード110とハンドル120の横面に画定された経路101を有する別の例では、ユーザが積極的に気管内チューブ210を取り外す動きをしない限り、保持タブ115、116、117、126は、気管内チューブ210が経路101から外向きに横方向に変位することを防止しなければならない。
【0080】
気管内チューブ210が事前に湾曲した形状を有して、保持タブ115、116、117、126が気管内チューブ210に顕著な保持力をかけることがなくても、ブレード110およびハンドル120に気管内チューブ210が押し付けられて、経路101内に簡単に配置されるようになっていてもよい。
【0081】
挿管装置100は、処置中に明るさをもたらすように、ブレード110の先端111近傍に位置する光源140をさらに有していてもよい。
【0082】
場合によっては、挿管装置100は、ユーザが直接視認せずに患者の体内の解剖学的構造を観察できるように、光ファイバー観察装置をさらに有していてもよい。光ファイバー観察装置は、ブレード110の先端111に近い一方端に配置されたレンズと、他方端に配置された接眼レンズとを有する可撓性光ファイバー束を有していてもよい。光ファイバー束は、ブレード110に沿って設けられハンドル120に達していてもよい。接眼レンズは、ユーザが処置中に接眼レンズを覗き込むことができるように、ハンドル120上またはハンドル120に適切に設けられた突起上に配置されてもよい。
【0083】
他の例では、挿管装置100は、処置中に患者の体内の解剖学的構造を撮影するために、ブレード110の先端111近傍に位置するビデオカメラを有していてもよい。これにより、上記の光ファイバー観察装置と比較してよりフレキシブルな視認機能を提供することができる。前記ビデオカメラは、処置中にビデオカメラからの映像をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで表示する、表示装置と接続されていてもよい。小さい表示装置であれば挿管装置100と一体化されてもよいが、解剖学的構造を拡大表示してよりユーザが位置を見やすくするために、別体の大型表示装置を設けるのが望ましい。表示装置との接続は、挿管装置100から延びるケーブルか、またはケーブルがユーザの移動の邪魔になることを避けるべく無線通信で行なわれる。
【0084】
実施形態によっては、挿管装置100は、ブレード110の先端111に近い吸引出口を有する吸引経路を有していてもよい。前記吸引経路は、吸引出口において吸引可能に吸引管を支持するように構成されている。これにより、ユーザが挿管装置100を使用しつつもう片方の手で別体の吸込み装置を使用する必要がなくなる。
【0085】
図2Aの挿管装置100の一例の動作を、続く
図2B〜2Gを参照してさらに詳しく説明する。
【0086】
図2Bが示すように、気管内チューブ210の遠心端211がブレード110の先端111に近い経路101の出口114に位置するように、気管内チューブ210を経路101に配置することで、挿管装置100に気管内チューブ210を装着してもよい。気管内チューブ210の近接端212は、ハンドル120内でブレード経路部123の端部近傍に配置される。気管内チューブ210を保持タブ115、116、117、126を通り越して経路101の細長開口部に、経路101がどのように画定されているかに応じて挿管装置100に対して後ろ方向または横方向から押し込むことで、気管内チューブ210を経路101に装着してもよい。気管内チューブ210を出口114を通じて挿入して経路101に沿わせることもできるが、これは、気管内チューブ210の近接端に管取付具220が設けられていない場合にのみ可能である。いずれにしても、気管内チューブ210は、
図2Bが示すように、経路101の実質的に内側に配置されなければならない。
【0087】
管移動機構130は、ハンドル経路部123に配置された気管内チューブ210の近接端212と係合し、親指インターフェイス131の操作に応じて気管内チューブ210に経路101内を移動させる管係合部132(
図2C〜2Gに図示)を有していてもよい。前記親指インターフェイス131は、管係合部132と結合することで、親指インターフェイス131のユーザの親指による移動により、前記経路内で気管内チューブ210が対応して移動するように構成されてもよい。
【0088】
単純な形態では、管係合部132は、ハンドル経路部内で管係合部132を押すことで管移動機構130が気管内チューブ210を移動させるように、気管内チューブ210の近接端212に隣接する部材として単に設けられてもよい。しかし、このような管係合部132の配置は、気管内チューブ210を前進させる方向の気管内チューブ210の移動のみを可能にする。
【0089】
従って、図示の実施形態の挿管装置100では、管係合部132は二方向の移動を可能にし、これによって気管内チューブ210は前進および後退を行うことができる。親指インターフェイス131は、対向する第一、第二方向に移動可能で、これにより、親指インターフェイス131が第一方向に移動すると、気管内チューブ210が前進し、親指インターフェイス131が第二方向に移動すると、気管内チューブ210が後退するように構成されてもよい。
【0090】
この例では、管係合部132は、気管内チューブ210の近接端212に押す力と引く力とが掛けられるようなクリップ形状をとる。管係合部132の別の特徴については、以降の図面に基づいて後で説明する。
【0091】
いずれにしても、親指インターフェイス131は、管係合部132と結合することで、親指インターフェイス131のユーザの親指による移動により、管経路101内で気管内チューブ210が対応して移動するように構成されてもよい。
【0092】
図2Cは、矢印202が示す方向にユーザの親指201によって親指インターフェイス131が移動した後の、挿管装置100と気管内チューブ210とを示す。この親指インターフェイス131の移動により、矢印203が示すように、管係合部132、続いて気管内チューブ210が対応して移動する。結果として、気管内チューブ210の遠心端211は、矢印204が示すように、出口114から前進する。
【0093】
図2D、2Eは、ハンドル120と、管移動機構130とハンドル経路部123内の気管内チューブ210の近接端212との間のインターフェイスとを、漸次近づいて詳細に示している。この例では、管係合部132は、気管内チューブ210の近接端212に取り付けられた管取付具220と係合する。管取付具220は、挿管装置100専用に設計されてもよいが、管取付具220が一般的な管コネクタであり、管係合部132が適切なインターフェイスを提供するように構成される方が望ましい。
【0094】
図2Eを詳細に見ると、管取付具220が、気管内チューブ210の近接端212に接続された第一コネクタ端221と、呼吸補助装置等にさらに管で結合するのに用いられる、第二コネクタ端222とを有することが分かる。この例では、管取付具220は一般的な気管内チューブコネクタ取付部によく見られるように、第一、第二コネクタ端222の間に設けられた、フランジ223をさらに有する。
【0095】
本実施形態の挿管装置100の管係合部132は、フランジ223とのインターフェイスとして機能して、気管内チューブ210の移動を促進するように構成されている。特に、管係合部132はフランジ223にクリップ止めされて、管係合部132が親指インターフェイスの操作に応じて移動する際に、管係合部132がフランジ223を押すまたは引くように構成される。一方で、別の形態の管係合部132を用いることも可能である。
【0096】
図2Fは、親指インターフェイス131が、スロット125が許容する最大の距離を矢印205の方向に移動した後の状態を、
図2Eと同様に示す。この図は、本例の管移動機構130を用いた気管内チューブが最大限に前進した状態を表している。この状態では、管係合部132はハンドル経路部123内で最大限に伸長しており、管係合部132のクリップが、ワイヤや他の適切な剛性を有する材料で形成され、管係合部132の負荷を移動させるリンク133によって、ハンドル内で管機構130に取り付けられていることが分かる。
【0097】
この例では、親指インターフェイス131は、管移動機構130と機械的に結合することで、親指インターフェイス131の移動が機械的に気管内チューブ210の対応する移動に変換される。単純な形態の管移動機構130では、例えば親指インターフェイス131の親指スライダと管係合部132とをリンク133で接続することで、管係合部132が直接親指インターフェイス131と結合していてもよい。これにより、気管内チューブ210の移動量が、親指インターフェイスの移動量と同等になる。しかしこの場合、気管内挿管処置を完了するのに、大きな範囲での親指の移動が必要となる可能性がある。
【0098】
よって、別の例において、管移動機構130は、親指インターフェイス131の親指移動距離分の移動が、親指の移動距離より大きい管移動距離分の気管内チューブ210の移動に変換されるように構成される。言い換えると、挿管装置は、比較的少ない親指の移動が管の大きな移動に変換されるように構成されてもよい。
【0099】
親指の動きと結果としての管の動きとの間には、一般的に比例関係が成立する。前記管移動距離は、管移動機構の機械的利益によって与えられる増倍率によって親指移動距離と関連していてもよい。例えば、管移動機構は、親指インターフェイス131の移動を増加させるように構成された、レバー装置又は歯車列を有していてもよい。これにより、気管内チューブ210を前進させるための親指の動きを少ない範囲に留めることができる。挿管処置における親指の疲労の防止、または単純に快適な操作がこれによって達成される。
【0100】
機械的な管移動機構130は、親指インターフェイス131の移動の気管内チューブ210の移動への変換を、比較的単純かつ低コストに実現するが、別の形態の管移動機構130は、気管内チューブ210を移動させる(図示しない)アクチュエータを有し、このアクチュエータが親指インターフェイス131の動作に応じて作動するように構成されてもよい。例えば、アクチュエータは、ラックピニオン等によって適切な管係合部132と結合し、気管内チューブ210を直線的に移動させる電気モータであってもよい。アクチュエータは、アクチュエータおよび他の管移動機構130の部品とともにハンドル内に内蔵される電池から電力の供給を受けてもよい。
【0101】
アクチュエータを含む挿管装置100の場合、親指インターフェイス131の動作によって、アクチュエータの作動を制御する制御入力がアクチュエータに与えられるように、管移動機構130が構成されてもよい。
【0102】
よって、アクチュエータの使用により、ユーザの親指から異なる形で入力を受ける、異なるスタイルの親指インターフェイスを使用することが可能となる。例えば、親指インターフェイスが押ボタンを有し、ユーザの親指によって押ボタンが押されると、制御入力がアクチュエータに与えられるように構成されていてもよい。別の例として、親指インターフェイスが複数の押ボタンを有し、ユーザの親指によって押されると、それぞれ異なる制御入力がアクチュエータに与えられるように構成されていてもよい。
図4に示す別の挿管装置400は、それぞれ気管内チューブ120を前進、後退させる、二つの押ボタン431、432が設けられた一例である。
【0103】
別の形態の親指インターフェイス131の一例において、
図5のさらに別の挿管装置500は、前記親指インターフェイス131が親指ホイール531を有し、ユーザが親指で親指ホイールを回転させることで親指インターフェイスを動作させる例を示す。親指ホイール531は、歯車列、ベルト機構等によって機械的に管係合部532と結合するか、親指ホイールが回転すると制御入力を生成する適切なセンサと接続されていてもよい。
【0104】
図2Gに戻って、本例の管係合部132は、気管内チューブ210が適切に前進した後で、気管内チューブ210の近接端212との係合を解くように構成される。特に、ユーザは、親指201と指206とでフランジ223を掴んで、管コネクタ220を矢印207の方向に移動することで、フランジを管係合部132のクリップから取り外してもよい。
【0105】
図3Bの断面図が示すように、ユーザは次に、気管内チューブ210を経路101から取り外し、保持タブ115、116、117、126を越えて移動させることができ、これによって、気管内チューブ210を患者の気管312内の位置に残したまま、挿管装置100が患者310の口311から取り外すことができる。
【0106】
本例の気管内チューブ210は、挿管を行って気管内チューブ210周辺の気管流路を密封した後で膨らますことができる、バルーン213を有する。気管内チューブ210は、バルーン213が膨らむことを可能にする膨張配管320をさらに有する。経路101とその出口114は、気管内チューブ210のバルーン213、膨張配管320、及びその他の付加的な部材を収納するのに適した大きさを有さなければならない。
【0107】
以下では、挿管装置100の適切な実施形態について、その使用の適切な方法および付随する利点と共に、さらに説明する。
【0108】
以上により、挿管装置100は、ほぼ従来の大きさ及び形状を有する喉頭鏡に似た装置として設けられてもよい。
【0109】
例示の挿管装置100と従来の喉頭鏡との形状の違いの一つは、挿管装置の後面が、典型的には、ハンドル120とブレード110とに沿って湾曲または丸みを帯びている点である。特に、挿管装置100は、直線状ではなく湾曲または丸みを帯びた後面形状の点で従来の喉頭鏡と外見的に異なるハンドル120を有していてもよい。この湾曲または丸みを帯びた面は、従来の喉頭鏡と同様にハンドル120に取り付けられた、ブレード110の後面に連なっている。両方の湾曲または丸みを帯びた面、すなわちハンドル120とブレード110の後面は、連続的に屈曲した部分を形成してもよい。実施形態によっては、この連続的に湾曲した部分は、連続的な半円の形状でもよい。
【0110】
この湾曲したまたは丸みを帯びた後面に沿って、気管内チューブ210が対象の気管に挿入される前に前記気管内チューブが配置されるように、経路101が画定されている。経路101の両側に沿って不完全な境界を形成する保持タブ115、116、117、126は、ユーザの積極的な操作により横方向に手動で取り外されるまで(一般的に遠心端211が気管312内に配置されるまで)、気管内チューブ210の経路101からの横方向の変位を防止してもよい。これらの境界は、気管内チューブ210をその前進時には経路101内に維持するが、横方向には部分的にのみ経路101を閉鎖しているため、気管内チューブ210の横方向の取り外しは阻止しない。
【0111】
場合によっては、気管内チューブ210はハンドル120内で経路101の上部に設けられたピンで把持されてもよく、このピンは、挿管装置100を保持する手の親指で起動する機械式スイッチとしての親指インターフェイス131と接続されていてもよい。親指をスイッチ上で上げ下げすることで、気管内チューブ210が経路101内を上下に移動する。親指インターフェイス131は、典型的には、ハンドル120の丸みを帯びた後面上に、好ましくはハンドルの上部に配置されるので、挿管装置100を保持する手の親指が親指インターフェイス131に簡単に届くことができる。
【0112】
挿管装置100の他の特徴は、従来の喉頭鏡の特徴と共通であってもよい。例えば、挿管装置100がブレード110の先端111に電源と光源140とを有する実施形態であってもよい。ブレード110はハンドル120と別に形成されてもよく、差し込み式で交換可能に構成されて、患者の解剖学的構造やオペレータの好みによって異なる大きさやタイプのブレードを使用可能になっていてもよい。
【0113】
気管内チューブ210の先端211を
図3Bに示すように喉頭の入口と直線状に並ぶように配置し、挿管装置100を保持する手の親指で挿管装置100内の経路101を通じて気管内チューブ210を前進させることで、気管内チューブ210を気管内に導入することができる。ユーザは挿管装置100を従来の喉頭鏡と同様に使用して、舌を抑えて喉頭入口をよりよく見えるようにする。
【0114】
これが達成されると、ユーザは気管内チューブ210の先端211を喉頭入口と直線状に並ぶようにして、これにより気管内チューブ210が同じ手の親指の移動によって導入可能になる。この方法では従来の気管内挿管処置と異なって一つの手しか必要とせず、ユーザのもう片方の手を、障害物を取り除き、気管への気管内チューブを補助することを可能にする。
【0115】
ユーザは、親指インターフェイス131のスイッチ上で親指を逆に動かすことで気管内チューブ210を逆方向に移動させることができ、これにより、気管内チューブ210の前進の失敗を修正して、気管内チューブ210の気管312への正しい配置が成功するまで操作をやり直すことができる。
【0116】
気管内チューブ210の先端が声帯を通じて喉頭に挿入されて気管312まで達すると、気管内チューブ210の近接端212が保持用のピンから取り外され、続いて挿管装置のハンドル120とブレード110に沿って気管内チューブ210全体が経路101から取り外される。次に、従来の処置と同様に、気管内チューブ210を所望の位置に残しつつ、挿管装置100が患者の口と咽頭から取り外される。
【0117】
もう片方の手が自由になることは大きな利点であり、喉頭へのアクセスを阻害(impend)しがちな解剖学的構造を操作するのにその空いた手を用いることができる。そのような障害物を見ることができるのはユーザのみであることが多く、挿管装置100により、ユーザは障害物を操作して気管内挿管処置を促進することができる。これにより、気管内挿管の技術が著しく向上し、この困難な処置の成功率が顕著に向上する。
【0118】
図示の実施形態の挿管装置100は、湾曲または丸みを帯びた後面と気管内チューブ210用の経路100を除いて、意図的に従来の喉頭鏡と同様の大きさおよび形状を有するように構成される。その他の点では従来の喉頭鏡に類似していることにより、このような従来の喉頭鏡に慣れたユーザは、気管内チューブ210の挿入までの一般的処理に完全に習熟しており、どの時点においても装置を通常の喉頭鏡として用いて従来の方法で挿管を行うことができることを知っていることで、新しい装置および方法を安全に使い始めることができる。
【0119】
この点について、挿管装置100は、所望の場合に手動での前進を助けるために、ユーザが管移動機構130から気管内チューブ210の近接端212の係合を解き、経路101から近接端212に近い気管内チューブ210の少なくとも一部を取り外すことができるように構成されることが望ましい。これは、保持タブ115、116、117、126、特にハンドル経路部123の保持タブ126を適切に配置することによって可能になる。
【0120】
挿管装置600の別の例を、
図6A〜6Gを参照して説明する。前述の例の挿管装置100と同様の特徴については、それぞれ前述の参照番号に500を足した番号を付す。
【0121】
まず
図6Aを参照すると、挿管装置600が全体的に前記の挿管装置と似た構成を有していることが分かる。挿管装置600は、先端611と基部612とを有する喉頭鏡ブレード610を有する。ハンドル620は、基部612に取り付けられて、挿管装置600をユーザが手で持つことができるようにする。
【0122】
前記の例と同様に、挿管装置600は、
図6Fに示すように、気管内チューブ210を支持する経路601をさらに有する。前記経路601は、実質的に先端611から基部612までブレード610に沿って延びるブレード経路部613と、前記ブレード経路部613からハンドル620の一部に沿って延びるハンドル経路部623とを有する。前記ブレード経路部613は、
図6Gに示すように、先端611に近接して、気管内チューブ210の遠心端211を出口114から前進可能にする出口614を有する。本例では、ブレード経路部613及びハンドル経路部623は、それぞれ、横ブレード面及び横ハンドル面に画定され、これによって経路601は、横ブレード面と横ハンドル面とに沿って延びる細長開口部を有する。
【0123】
挿管装置600は、ハンドル620に設けられ、気管内チューブ210を経路601内で移動させることで気管内チューブ210を前進させる管移動機構630をさらに有する。前記管移動機構630は、ユーザが、挿管装置600を保持する手の親指を用いて管移動機構630を操作し、これによって、前述のように、気管内挿管処置において片手で挿管装置600を保持しつつ気管内チューブ210を前進させることを可能にする複数の親指インターフェイス631を有する。
【0124】
本例の挿管装置600は、前記の例で示した付加的な特徴をさらに備えていてもよい。例えば、挿管装置600は、
図6Eが最もよく図示するように、処置中に明るさをもたらすように光源640をさらに有していてもよい。
【0125】
本例では、挿管装置600は、
図6Cの展開図に示す部品の組立体として形成されている。この組立体は、それぞれ別の部品として、キャップ650および電池挿入部660とともに、ブレード610、ハンドル620、管移動機構630を有する。ブレード610の基部621は、ハンドル620の第一端621でハンドル620に取り付けられる。管移動機構630は、ハンドル620の第二端622に挿入されて、ハンドル620の第二端622から延びるスロット625に配置される。キャップ650はハンドル620の第二端622を閉じ、ボール止め構造を用いて固定されていてもよい。ボール651は
図2Cに示され、移動止め624は
図6Eに示される。ハンドル620に対してキャップ650を配置する方法として、ネジ山を有する適切な締結部を設けるなど別の方法を採用してもよい。
【0126】
電池挿入部660は、電力を光源640に供給する電池670を収納し、その電池との電気的接続を実現する。本例では、電池挿入部660は
図6Aに示すようにボタン型電池670を収納し、ハンドル620内に適切に設けられた容器に挿入可能である。
図6Aは、ハンドル620の容器に挿入された後の電池挿入部660の位置を示す。電池挿入部660はハンドル620内に画定された開口602を通じて挿入される。後で述べるように、この開口602は、挿管装置600に気管内チューブ120を装着し、挿管装置600から気管内チューブ120を取り外す際にも使われる。電池挿入部660は、電池挿入部660が容器に挿入されている場合にハンドルの外側から視認可能な、低バッテリー警告灯663をさらに有していてもよい。
【0127】
挿管装置600は、ブレード610がハンドル620の第一端621とヒンジ式に接続するように構成されている。このヒンジ接続は、ブレード610の基部612に設けられたヒンジピン619を、ハンドル620の第一端621に設けられた対応するヒンジソケット629が支持することにより、構成されている。ブレード610は、
図6Aが示すようにボール止め構造を用いて作動位置で固定され、少なくとも一つのボール628がハンドル620の第一端621に設けられ、少なくとも一つの対応する移動止め618がブレード610の基部612に設けられている。ボール止め構造は、積極的な手動の操作によって結合が解かれ、ブレード610がヒンジピン619周りに搖動して、
図6Bに示す折りたたみ位置に変化することが可能である。
【0128】
さらに、本例では、ブレード610が折りたたみ状態にあるときに、ヒンジピン619をヒンジソケット629から取り外すことで、ブレード610をハンドル620から取り外し可能である。このヒンジ接続による挿管用の取付には、異なる大きさおよび形状のブレード610が利用可能である。よって、同じハンドル620と、管移動機構630、キャップ650、電池挿入部660を含む他の関連する部品とは、患者の解剖学的構造に応じて選択された異なるブレード610とともに挿管処置に用いることができる。例えば、図示の例では湾曲した「マッキントッシュ型」ブレードや直線状の「ミラー型」ブレードが使用されているが、患者の異なる年齢、大きさ、および/または体重に合わせ、異なる大きさのブレードが選択されてもよい。
【0129】
本例では、ブレード経路部613は、ブレード610の先端614から基部612までの湾曲した経路に沿って延び、保持タブ615、617は、
図6F、6Gに示すように、使用中のブレード経路部613内で気管内チューブ210を保持するために設けられており、これらの部材の機能は前述の例の対応する特徴と同様である。
【0130】
ハンドル経路部623は、開口602とハンドル620の第一端621との間に延在し、ハンドル620へブレード経路部613の湾曲した経路をつなぐ。ブレード経路部613とハンドル経路部623は、
図6F、6Gに示すように気管内チューブ210をその中に支持する連続的に湾曲した経路601を、ともに画定している。
【0131】
前記の例のように、気管内チューブ210はユーザが管移動機構630を操作することによって、特に、挿管装置600のハンドル620を保持するのと同じ手の親指で親指インターフェイス631を操作することで、前進する。本例において、管移動機構630は、気管内チューブ210を支持するように管係合部632から延びる長手部材634に沿って、等間隔で設けられた複数の親指インターフェイス631を有する。
【0132】
管係合部632は、前述の例の挿管装置と同様に、気管内チューブ210のフランジ223とのインターフェイスとして機能して、気管内チューブ210の移動を促進するように構成される。
図6Dに示すように、管係合部632は、その間にスロット634を画定している一対の湾曲クリップ633、635を有する。ここで、挿管装置600に搭載され管係合部632が見えるように前進した気管内チューブ210を示す
図6Gを参照すると、フランジ223はスロット634に挿入され、クリップ633、635は気管内チューブ210のコネクタ端221、222とそれぞれ係合する。これにより気管内チューブ210と係合し、気管内チューブ210は、ユーザの親指によって親指インターフェイス631の一つを通じて操作されると、管移動機構630に沿って移動する。
【0133】
本例では、各親指インターフェイス631は、長手部材634から外方向に突出する、ほぼ台形の突出部である。この突出部の形状は要求によって変化してもよい。使用の際には、ユーザは親指を親指インターフェイス631の一つに合わせ、親指インターフェイスを押し込んで、スロットに沿って長手部材634を移動させ、これによって管移動機構630が挿管装置に搭載された気管内チューブ210を移動させる。親指インターフェイス631の面には、ユーザの親指と親指インターフェイス631との間のグリップを強めるためのリブが儲けられてもよいし、その他表面処理が施されていてもよい。
【0134】
複数の親指インターフェイス631の使用により、ユーザが手を再配置したり親指を過度に伸ばしたりすることなく、管移動機構630をより大きな範囲で移動させることが可能となる。親指の移動が限界に達すると、ユーザはより適当な位置の親指インターフェイス631のほうに親指を合わせ、その親指インターフェイス631を使用して管移動機構630の移動を継続する。この処理は、気管内チューブが完全に前進するまで数度繰り返されてもよい。親指インターフェイス631は、処置中に必要に応じて、例えば最初の挿管がうまくいかなかったときに、管移動機構630を逆方向に移動させて、気管内チューブ210を後退させることができる。この後退に引き続き、挿管装置600は患者の解剖学的構造に対して方向を変えるまたは再配置されてもよく、管移動機構630を前進方向に移動して気管内チューブ210を再度前進させてもよい。
【0135】
管移動機構630の長手部材634はスロット625に収容され、親指インターフェイス631に操作に応じてスロット625に沿ってスライドする。スロット625はハンドル620の長手方向に沿って延在してもよく、また
図6F、6Gに示すように、挿管装置600は、管移動機構630がハンドル620の長手方向に沿ってスライドして、親指移動距離を増加させる機械的利益を提供する洗練された機構を必要とすることなく、気管内チューブ210の親指による長距離の前進を可能にする。場合によっては、ハンドル620は、ハンドル620内のスロット625を効果的に延長して、前進方向の管移動機構630の移動距離をさらに伸ばす、ポケットを有していてもよい。
【0136】
多数の親指インターフェイス631を有して、ユーザの親指を過剰に伸ばすことなく管移動機構630の移動範囲を長くする、比較的長い長手部材634が望ましい。しかし、管移動機構630の移動範囲は、スロット625の長さと(設けられていれば)前記ポケットとによって制限される。実施形態によっては、この点は、少なくとも長手部材634(および潜在的には管移動機構630の大部分または全部)を可撓性の材料で形成する、および/またはヒンジ式にして、長手部材634が、スロット625(またはポケット)の端の止め部に隣接した後で、スロット625(またはポケット)内で圧縮されるまたは折りたたまれるようにすることで、ある程度和らげることができる。よって、ユーザは、長手部材634の端がスロット625(またはポケット)の端に到達した後でも、気管内チューブ210の前進を継続することができる。
【0137】
前記のように、開口602は、
図6Gが最もよく示すように、気管内チューブ210を挿管装置600に装着するまたは挿管装置600から取り外すために用いられる。開口602は、典型的には、フランジ223および気管内チューブ210のコネクタ端221、222を収容することができる大きさを有し、これにより、
図6Dおよび6Eに示す前進位置において、前記部品が管移動機構630の管係合部632と係合する。コネクタ端221、222から延びる気管内チューブ210の一部は経路601に配置され、保持タブ615、617がブレード経路部623内で挿管チューブ210を保持する。気管内チューブ210は、次に、
図6Fが示すように管移動機構630を後退位置に移動することで後退させられ、気管内チューブ210の遠心端211がブレード610の出口614の近辺に配置される。
【0138】
この段階では、気管内チューブ210は挿管装置600内に装着されて、気管内挿管処置に直ちに使用可能になっている。この処置中に、ユーザは親指を必要に応じて親指インターフェイス631に置いて、
図6Gに示すように出口114から気管内チューブ210を前進させるように、管移動機構630を操作する。気管内チューブ210が患者体内の適切な位置までうまく前進したとき、フランジ223と気管内チューブ210のコネクタ端221,222は、一般的に開口602と直線状に並び、管係合部632との係合が解かれてもよく、その後は気管内チューブの近接端212がユーザにより開口602から取り外されてもよい。気管内チューブ210の残りの部分は同様に経路601から取り外されて、患者の体内に配置された気管内チューブ210から挿管装置600が取り外し可能となる。
【0139】
ユーザは開口602から単純にもう片方の手で気管内チューブ210の気管内チューブ210の近接端212を引き出すこともできるが、本例では、ハンドル620の開口602と反対側にアクセス孔603が設けられており、ユーザは気管内チューブ210の近接端212に反対側からアクセスして開口602を通じて気管内チューブ210を押すことができる。アクセス孔603は、アクセス孔603を通じてユーザが装置を保持している手の指を延ばして、片手で気管内チューブ210と管係合部632の係合を解くことで、気管内チューブ210の取り外しを容易にするように、設けられていてもよい。例えば、ユーザは、ハンドル620を保持しつつ、アクセス孔603を通じて人差し指を延ばして、気管内チューブ210の近接端212を開口602から押し出してもよい。続いて、ユーザは同じ手の別の指で気管内チューブ210を操作して、気管内チューブ210の係合を解いて経路601から取り外してもよい。
【0140】
前記の例の挿管装置600は、ユーザが同じ手で挿管装置600を保持しつつ親指で快適に操作できる、比較的簡単な構造の管移動機構630を使用しながら、気管内チューブ210の大きな範囲での移動を可能にする。この例では、開口602とアクセス孔603とをそれぞれ利用して、気管内チューブ210の装着と取り外しを容易に行うことができる。ブレード210とハンドル220との取外し可能なヒンジ接続により、折りたたんだ状態での保管を柔軟に行うことができ、また多くの種類、大きさのブレードを使用することができる。
【0141】
一例として、挿管装置600の挿入に適した孔を有するマスクから患者に酸素を供給しつつ、挿管処理中に酸素の供給を阻害することなく、患者に挿管を行うように挿管装置600を用いてもよい。この場合、挿管装置600には、経路601と開口602、603の少なくとも一部にまたがって設けられ、挿管装置600を通じマスクから空気が逃げるのを実質的に防止する(図示しない)シールが設けられていてもよい。一例として、このシールは、経路部分613、623と開口602、603にスナップ接続され、挿管の成功後に気管内チューブ210の結合を解くように取り外し可能に構成されてもよい。
【0142】
前記の例では挿管装置を保持するのと同じ手の親指で操作する場合について説明したが、挿管装置は、ユーザの手の、親指やその他の指を含む、いかなる指によって操作されるように構成されてもよい。装置を保持するのと同じ手で気管内チューブを前進させるのに、親指で操作するのが最も自然な動作ではあるが、反対向きのグリップを用いて管移動機構を一本以上の指で操作することも可能であり、また、別の形態の挿管装置が、親指以外の一本以上の指で操作するように再構成された管移動機構を有していてもよい。
【0143】
よって、一例として、気管内挿管処置用に挿管装置が設けられ、この挿管装置が、先端と基部とを有する喉頭鏡ブレードと、ブレードの基部に取り付けられて、挿管装置をユーザが手で持つことができるようにするハンドルと、気管内チューブを支持する経路とを有し、前記経路は、実質的に先端から基部まで前記ブレードに沿って延び、且つ、先端近傍に設けられた出口であって、その出口から気管内チューブの遠心端が前進できるように構成された出口を有するブレード経路部と、前記ブレード経路部からハンドルの一部に沿って延びるハンドル経路部とを有し、挿管装置はさらに、ハンドル内に設けられ、気管内チューブを経路内で移動させて気管内チューブを前進させる管移動機構であって、挿管装置を保持する手の一つ以上の指を使ってユーザが管移動機構を操作できるようにして、これによって気管内挿管処置においてユーザが挿管装置を保持して気管内チューブを片手で前進させることができる、指インターフェイスを有する、管移動機構を有する。
【0144】
装置を保持する手の一つ以上の指で操作する、このような挿管装置の操作は、前記の例と本質的に同様のデザインであってもよいことが分かる。しかし、挿管装置が親指ではなく一つ以上の親指以外の指で操作されるように特に構成されている場合、前記の例の親指インターフェイスと比較して、親指以外の指でのインターフェイスを再構築および/または再配置することが必要なことがある。いずれにしても、片手での操作の基本はほぼ同じである。
【0145】
前記挿管装置600は、ブジーを利用した気管内挿管処置を行うのに用いられてもよい。ブジーは、一般的な気管内チューブ210と比較して径が細く、その遠心端に角度を有する先端を有する可撓性の長い装置であって、患者の解剖学的構造により十分な視認性が得られない場合や、一般的な気管内チューブ210が挿入できない場合等、難しい環境下での気管内挿管を円滑にするために用いられる。
【0146】
従来のブジーを用いた気管内挿管処置では、ブジーは、角度のついた先端がブジーを患者の解剖学的構造内でガイドしつつ、従来の喉頭鏡を用いて患者の気管に挿入される。ブジーが適切に配置されると、喉頭鏡が取り外し可能となり、気管内チューブ210がブジーにネジ止めされて、ブジーに沿って、ブジーが患者の体内に確保した通路をガイドされつつ気管内チューブ210が前進する。気管内チューブ210が適切な位置まで前進すると、ブジーが気管内チューブ210を残して取り外されて、気管内挿管処置が完了する。
【0147】
ブジーを使用する挿管処置においてブジーの挿入を容易にするために、従来の喉頭鏡の代わりに挿管装置600を用いてもよい。これに関し、一般的なブジーに対して、挿管装置600とともに用いるようにするために多少の変更が必要となることもある。このような変更は、挿管装置600の経路601に合うようにブジーを短くすることや、挿管装置600の管移動機構630の管係合部632にブジーが係合するように、角度を有する遠心端とは反対側のブジーの近接端に、適当な管取付具220を設けることを含む。管取付具220が気管内チューブ210で用いられるものと同じ構成を有して、気管内チューブ210の管取付具220と同様に管係合部632がブジーの管取付具220と係合できるようにすることが望ましい。
【0148】
よって、一例として、気管内挿管処置は、ブジーを使用した気管内挿管処置用に挿管装置が設けられ、この挿管装置が、先端と基部とを有する喉頭鏡ブレードと、ブレードの基部に取り付けられて、挿管装置をユーザが手で持つことができるようにするハンドルと、ブジーを支持する経路とを有し、前記経路は、実質的に先端から基部まで前記ブレードに沿って延び、且つ、先端近傍に設けられた出口であって、その出口からブジーの遠心端が前進できるように構成された出口を有するブレード経路部と、前記ブレード経路部からハンドルの一部に沿って延びるハンドル経路部とを有し、挿管装置はさらに、ハンドル内に設けられ、ブジーを経路内で移動させてブジーを前進させる管移動機構であって、挿管装置を保持する親指を使ってユーザが管移動機構を操作できるようにして、これによって気管内挿管処置においてユーザが挿管装置を保持してブジーを片手で前進させることができる親指インターフェイスを有する管移動機構を有していてもよい。
【0149】
ブジーを使用した挿管処置においてブジーを挿入する挿管装置600の使い方は、気管内チューブを用いる前記の標準的な処置と基本的に同じではあるが、気管内チューブ210ではなくブジーが装着されて挿管装置600から前進する点が唯一の相違点である。ブジーがうまく前進して患者の体内で正しい位置に挿入されると、気管内チューブ210をネジ止めして従来の方法でブジーに沿って移動させて、ブジーをガイドとして患者に挿管を行うことができる。気管内チューブ210が適切に配置されると、ブジーは気管内チューブ210の内部配管から取り外し可能となり、気管内チューブ210のみを患者の内部に残す。
【0150】
場合によっては、ブジーを使用した気管内挿管処置用に特に構成された、特殊な挿管装置600を用いてもよい。例えば、経路601はブジーのみを収容する大きさとして、難しい挿管では小さなブレードを利用可能にする。管係合部630は、ブジー用に特に構成された別のタイプの管取付具220と係合する、前記とは別の形状を有していてもよい。とはいえ、気管内挿管処置の状況によって、ブジーでも気管内チューブ210でも同じ挿管装置600を使用可能なことはやはり利点である。もし挿管装置600による気管内チューブ210の挿管処置がうまくいかなかったときに、ユーザは、同じ挿管装置600と、気管内チューブ210の代わりにブジーを用いて、ブジーを用いた気管内挿管処置を試すことができる。
【0151】
要約すると、挿管装置が、片手での挿管を可能にする、従来の喉頭鏡の直接の代替物であってもよい。挿管装置100は、このように新たな挿管方法を実現する。挿管装置の大きさや形状が従来の喉頭鏡に近いことから、新たな挿管方法に親しみを感じ簡単に適応可能であるだけでなく、最小限の違いしか感じずに、従来の挿管と同じように実行することも可能である。
【0152】
気管内挿管が高いリスクを伴う処置であり、新しい処置への変更は安全に行なわれなければならないことから、前記の点は特に大きな利点となる。同じ理由で、従来の装置や処置からの変更が最小限で、さらにはどの時点でも旧来のやり方に切替可能なように新しい装置が設計されているのでなければ、挿管処置のプロフェッショナルが新しい挿管装置100および気管内挿管処置を受け入れることはない。
【0153】
文脈上他の意味に解すべき場合を除き、本明細書および特許請求の範囲を通じて、用語「を含む・備える(comprise)」およびその様々な活用形は、記載された要素(integer)もしくは工程(step)、または記載された要素群もしくは工程群を包含する意味であると理解され、他のいかなる要素または要素群を排除するものではない。
【0154】
多数の変更例や変形例が明白となることは当業者に理解されよう。当業者に明白となる全ての変更例や変形例は、記載されていなくても広義に本発明の趣旨と範囲に含まれるとみなされるべきである。たとえば、上記の複数の例に記載の特徴は、適宜入れ替えて使用してよいことが理解されよう。