(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、染料インクや顔料インクの液滴をノズルから吐出し、記録用紙上に付着させることによってドットを形成し、記録を行う方式である。近年、インクジェットプリンタ、インクジェットプリンタ用インク、記録媒体の技術的進歩によって、インクジェット印字品質の高い記録が可能になってきている。
【0003】
このようなインクジェットプリンタは一般家庭にも普及しており、一般家庭においてインクジェットプリンタを用いて、葉書、写真などを印字することが増えてきており、よりインクジェット印字品位の高いインクジェット記録用紙が求められている。インクジェットプリンタには、顔料インクを用いるもの、染料インクを用いるもの、顔料インクと染料インクを共に用いるものがあり、いずれのインクを用いた場合でも良好な印字が可能となるインクジェット記録用紙が求められている。
【0004】
顔料インクを用いた場合のインクジェット記録用紙のインクジェット適性を改善するためには、顔料インク粒子を紙表面の近傍に均一に定着させるとよく、それにより、印字濃度が高く、画像ムラのない良好なインクジェット適性を得ることができる。近年、画像の高精細化、発色性改善を目的に顔料インク粒子径の微細化が進んでいる。顔料インク粒子径を微細化することで高精細かつ発色性に優れた画像が得られるが、顔料インク粒子がインク受容層や紙中に入り込みやすくなり、印字濃度が低下しやすく画像ムラが発生しやすいという問題があった。インク受理性を改善させるために添加されるカチオン系のインク定着剤は、一般的に染料インクに用いられ、顔料インクに対してはその定着効果が低く、印字濃度の工場や画像ムラ抑制に十分な効果が得られない場合がある。そのため、顔料インクを凝集させる効果のある金属塩をインク受容層や紙中に含有させることで、顔料インク粒子をインク受容層や紙中に定着させる必要がある。しかし金属塩をインク受容層や紙中に含有させた場合でも、凝集させる効果が強すぎる場合は画像の発色性が低下する恐れがあり、凝集させる効果が弱すぎると画像ムラが発生する恐れがある。したがって、インクジェット印字適性をより改善するために顔料インクの凝集を適切にコントロールする必要があった。
【0005】
一方で染料インクは、一般的に染料インクに用いられるカチオン系のインク定着剤がインク吸収層に存在している場合は、速やかにインク定着剤と反応してインク吸収層に定着する。しかし金属塩がインク受容層に含有されている場合は画像ムラが発生しやすいという問題があった。
【0006】
顔料インクに対して高いインクジェット印字適性を得るために、特許文献1には、インク受理層にマグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩などの金属塩を含有させるインクジェット記録用紙が記載されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1のインクジェット用紙は、染料インクに対しては高いインクジェット印字適性を得ることができないという問題がある。
【0008】
染料インクは金属塩が存在すると不溶化してインク受容層、紙中に定着するが、金属塩と染料インクの種類の組み合わせによっては、印字部に画像ムラが発生するなどして、高いインクジェット適性を得られないという問題があった。顔料インクは金属塩が存在すると速やかに凝集してインク受容層、紙中に定着するが、顔料インクを凝集させる効果が強すぎると印字濃度が低下する恐れがあり、高いインクジェット適性を得られないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述の技術的な問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、染料インクと顔料インクのどちらを用いた場合でも、良好なインクジェット印字耐水性とインクジェット印字適性を有するインクジェット記録用紙の製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的および作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、鋭意検討した結果、次の構成によってこれらの課題を解決できることを見出し本発明に至った。すなわち、本発明に係るインクジェット記録用紙は、少なくとも片面に顔料とバインダとを含むインク受容層を有し、前記インク受容層に有機酸と亜鉛塩を含むことを特徴とする。さらに、本発明に係るインクジェット記録用紙を製造方法は、少なくとも顔料とバインダと有機酸と亜鉛塩とを混合してインク受容層用塗料を調製する工程と、支持体の少なくとも一方の面に、前記インク受容層用塗料を塗工、乾燥してインク受容層を設ける工程とを有することを特徴とする。
【0013】
そして、このような構成によれば、染料インクと顔料インクのどちらを用いた場合でも、良好なインクジェット印字適性を有するインクジェット記録用紙の製造方法を提供することができる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態においては、前記亜鉛塩が、水溶性亜鉛塩である。
【0015】
このような構成によれば、染料インクと顔料インクのどちらを用いた場合でも、より良好なインクジェット印字適性を得ることができる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態においては、前記水溶性亜鉛塩が、炭素数2以下のカルボン酸との亜鉛塩である。
【0017】
このような構成によれば、染料インクと顔料インクのどちらを用いた場合でも、より良好なインクジェット印字適性を得ることができる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態においては、前記有機酸が、炭素数3以上のカルボン酸である。
【0019】
このような構成によれば、染料インクと顔料インクのどちらを用いた場合でも、良好なインクジェット印字適性を得ることができる。
【0020】
本発明の好ましい実施形態においては、前記亜鉛塩が、水不溶性亜鉛塩である。
【0021】
このような構成によれば、染料インクと顔料インクのどちらを用いた場合でも、良好なインクジェット印字適性を得ることができる。
【0022】
本発明の好ましい実施形態においては、水不溶性亜鉛塩と組み合わせられる前記有機酸が、少なくとも2種類以上である。
【0023】
このような構成によれば、染料インクと顔料インクのどちらを用いた場合でも、良好なインクジェット印字適性を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、染料インクと顔料インクのどちらを用いた場合でも、良好なインクジェット印字適性を有するインクジェット記録用紙を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0026】
本発明に係るインクジェット記録用紙は、少なくとも片面に顔料とバインダとを含むインク受容層を有し、前記インク受容層に有機酸と亜鉛塩を含むことを特徴とする。さらに、本発明に係るインクジェット記録用紙の製造方法は、少なくとも顔料とバインダと有機酸と亜鉛塩とを混合してインク受容層用塗料を調製する工程と、支持体の少なくとも一方の面に、前記インク受容層用塗料を塗工、乾燥してインク受容層を設ける工程とを有することを特徴とする。
【0027】
(亜鉛塩、有機酸)
先にも述べたように、本発明に係るインクジェット記録用紙は、インク受容層に有機酸と亜鉛塩を含むことを特徴とし、さらに、本発明に係るインクジェット記録用紙の製造方法は、少なくとも顔料とバインダと有機酸と亜鉛塩とを混合してインク受容層用塗料を調製する工程を有する。ここで用いる亜鉛塩とは亜鉛と有機酸、無機酸との化合物、亜鉛の酸化物をいう。
【0028】
顔料インクは金属塩が存在すると速やかに凝集してインク受容層、紙中に定着する。一般的に価数が高く、解離定数が大きく、分子構造が小さい金属塩ほど凝集させる効果が強いと考えられる。凝集させる効果が強すぎると、インク受容層に不均一に定着し、画像ムラが発生する場合がある。凝集させる効果が小さすぎると、インク受容層に定着しにくくなり、画像ムラが発生する場合がある。
【0029】
本発明者らは鋭意研究の結果、有機酸と亜鉛塩を添加することで顔料インクの画像ムラが良好となることを見出した。本発明においては、有機酸と亜鉛塩を添加することで、顔料インクの凝集が好適にコントロールされ、顔料インクの画像ムラを防止することができる。有機酸と亜鉛塩はインク受容層中では結合して、平衡定数に従って有機酸の亜鉛塩としても存在すると考えられ、インク受容層中では平衡定数に従って少なくとも1種類以上の亜鉛塩と有機酸が存在していると考えられる。
顔料インクが紙面に接触すると、インクと紙面の界面で亜鉛塩および有機酸が解離・遊離して、顔料インクを凝集させ、画像ムラの原因となる。ここで、亜鉛塩はイオンに解離し、カチオン性の亜鉛イオンが、一般的にアニオン性である顔料インクを凝集させる。それに対して、有機酸はインク受容層から遊離することで、顔料インクの溶媒pHを変えることで凝集させる。亜鉛塩と有機酸では、顔料インクを凝集させるメカニズムが異なるため、顔料インクの凝集状態、凝集される効果の大小が異なると考えらえる。両者を好適に添加することで、顔料インクの凝集を好適にコントロールされ顔料インクの画像ムラの発生を一定以上の割合で防止することができる。
好ましくは、亜鉛塩が水溶性亜鉛塩である。水溶性であることで、顔料インクの溶媒中に解離して、より顔料インクの凝集を好適にコントロールされ顔料インクの画像ムラをより防止することができる。さらに好ましくは、水溶性亜鉛塩が炭素数2以下のカルボン酸との亜鉛塩であり、前記有機酸が炭素数3以上のカルボン酸である。例えば、水溶性亜鉛塩として炭素数が1また2のカルボン酸との亜鉛塩と、有機酸として炭素数が3〜7のカルボン酸もしくは炭素数が3〜6のカルボン酸を組み合わせることができる。炭素数の異なるカルボン酸とカルボン酸塩であることで、より顔料インクの凝集を好適にコントロールされ顔料インクの画像ムラの発生をさらに防止できる。
【0030】
好ましくは、亜鉛塩が水不溶性亜鉛塩であっても良い。水不溶性亜鉛は顔料インクの溶媒中では解離しないが、インク受容層中では有機酸と反応することで有機酸との亜鉛塩として存在していると考えられる。インク受容層中では平衡定数に従って少なくとも1種類以上の亜鉛塩と有機酸が存在していると考えられる。効果は水溶性亜鉛塩と同じあると考えられる。好ましくは有機酸が少なくとも2種類以上である。有機酸を2種類以上含むことで、インク受容層中では平衡定数に従って2種類以上の亜鉛塩と有機酸が存在していると考えられる。より顔料インクの凝集を好適にコントロールされ顔料インクの画像ムラが良好になる。
【0031】
染料インクは金属塩が存在すると不溶化してインク受容層、紙中に定着するが、金属塩と染料インクの種類の組み合わせによっては、印字部にムラが発生するなどして、高いインクジェット適性を得られないことがある。特にマグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩は、染料インクの種類によっては印字部にムラが発生する恐れがある。本発明者らは鋭意研究の結果、インク受容層の塗工液に有機酸と亜鉛塩を添加することで、染料インクの印字部にムラが発生しないことを見出した。原因は不明だが、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩などの他の金属に比べて、染料インクとの反応が緩やかであるためと思われる。
【0032】
亜鉛塩の添加量は、顔料100質量部当り無水物換算で0.05〜5.0質量部、例えば、0.1〜4.0質量部であることが好ましい。より好ましくは0.5〜3.0質量部である。0.05質量部未満では効果が充分でない場合があり、顔料インクの凝集が好適にコントロールされない恐れがあり、顔料インクの画像ムラが発生する恐れがある。5.0質量部を超えると効果が強くなり過ぎる場合があり、染料インクの画像ムラが発生する恐れがある。
【0033】
有機酸の添加量は、顔料100質量部当り0.05〜5.0質量部、例えば、0.1〜4.0質量部であることが好ましい。より好ましくは0.5〜3.0質量部である。0.05質量部未満では効果が充分でない場合があり、顔料インクの凝集が好適にコントロールされない恐れがあり、顔料インクの画像ムラが発生する恐れがある。5.0質量部を超えると効果が強くなり過ぎる場合があり、染料インクの画像ムラが発生する恐れがある。
【0034】
亜鉛塩は水溶性、水不溶性のいずれであっても良い。ここでいう水溶性とは溶解度が水温20℃の水100gに対して溶解度が1(g/100g−水)以上のことをいい、水不溶性は溶解度が1(g/100g−水)以下のことをいう。
【0035】
水溶性亜鉛塩としては、例えばギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛などが公知の水溶性亜鉛塩が挙げられる。水不溶性亜鉛塩としては酸化亜鉛、炭酸亜鉛、シュウ酸亜鉛など公知の水不溶性亜鉛が挙げられる。これらの中でも、より高いインクジェット適性を得ることができることから、酢酸亜鉛、ギ酸亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛を用いることが好ましい。
【0036】
有機酸としては、例えば酢酸、ギ酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、グルコン酸などの公知の有機酸が挙げられる。これらの中でもギ酸、リンゴ酸、クエン酸を用いることが好ましい。
【0037】
インク受容層中の有機酸、亜鉛塩の含有量、種類、含有比率の分析方法としては、例えばJISP8133−1「紙、板紙およびパルプ−水抽出液pHの試験方法−第1部:冷水抽出」に記載の方法で抽出を行い、イオンクロマトグラフィ−、フレーム原子吸光法などにより有機酸、水溶性亜鉛塩の含有量、種類、含有比率を分析することができる。水不溶性亜鉛塩は酸処理後に抽出を行い、イオンクロマトグラフィ−、フレーム原子吸光法などにより含有量、種類、含有比率を分析することができる。
【0038】
(支持体)
本発明において、支持体の材質は特に限定されないが、パルプを主成分とする紙支持体であることが好ましい。紙支持体に使用するパルプは、LBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)若しくはNBKP(針葉樹さらしクラフトパルプ)などの化学パルプ、GP(砕木パルプ)、PGW(加圧式砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、CMP(ケミメカニカルパルプ)若しくはCGP(ケミグランドパルプ)などの機械パルプ、DIP(脱インキパルプ)などの木材パルプを使用することができる。例えば、全パルプ中85質量%以上がLBKPであるパルプを使用すればよい。必要に応じて、木材パルプ以外に、非木材パルプ、合成パルプ、合成繊維などを適宜用いてもよいが、褪色性、インクジェット適性及びコストの観点から、その量は20質量%以下が好ましく、10質量%以下であればより好ましい。パルプのカナディアンスタンダードフリーネスは特に限定するものではないが、400mlcsf〜600mlcsf、450mlcsf〜550mlcsfとすることが特に好ましい。
【0039】
本発明において、紙支持体には填料を配合することが好ましい。紙支持体に使用する填料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、焼成クレー、二酸化チタン又は水酸化アルミニウムなどの公知の填料を併用することができる。
【0040】
また、本発明において紙支持体には、パルプ及び填料以外に、内添サイズ剤、湿潤紙力増強剤などの内添紙力増強剤、嵩高剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、蛍光消色剤又はピッチコントロール剤などの各種助剤を、各製品に合わせて好適に配合することができる。内添サイズ剤は、各種公知のものが使用でき、特に限定されず、例えば、強化ロジンサイズ剤、酸性ロジンサイズ剤、弱酸性ロジンサイズ剤、AKD(アルキルケテンダイマー)又はASA(アルケニル無水コハク酸)である。内添紙力増強剤としては、従来公知の紙力増強剤を使用することが可能であり、例えば、澱粉系紙力増強剤、ポリアクリルアミド系紙力増強剤又はポリビニルアルコール系紙力増強剤である。
【0041】
紙支持体を抄紙する方法としては特に限定されるものではなく、長網抄紙機、長網多層抄紙機、円網抄紙機、円網多層抄紙機、長網円網コンビ多層抄紙機又はツインワイヤー抄紙機などの各種装置で製造できる。
【0042】
また、紙支持体には、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤を塗布する場合には他の塗工層やインク受容層等の下に設ける。ここで用いることができる表面サイズ剤としては特に限定しないが、例えばアルキルケテンダイマーサイズ剤、アルケニル無水コハク酸サイズ剤、ロジン系サイズ剤、ワックス系サイズ剤等が挙げられる。また、紙支持体の坪量は、特に限定されないが、通常150〜250g/m
2であることが好ましい。
【0043】
(インク受容層)
本発明においては、少なくとも片面に顔料とバインダとを含むインク受容層を設け、前記インク受容層の塗工液が、少なくとも水に顔料、バインダ、有機酸、亜鉛塩とを添加することで製造される。インク受容層の塗工液には添加する顔料としては、例えば合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、カオリン、タルクなど公知の顔料1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。これらの中でも、より高いインクジェット適性を得ることができることから、非晶質シリカを用いることが好ましい。
【0044】
また、インク受容層の塗工液に添加するバインダとしては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルビロリドン、ポリエチレン酢酸ビニル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアマイドなど公知のバインダ1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。本発明においては、インク受容層に用いるバインダは、顔料100質量部に対して30〜70質量部、好ましくは40〜60質量部含まれると良い。例えば、より高いインクジェット適性を得るために、顔料100質量部に対してポリビニルアルコールを10〜20質量部とポリエチレン酢酸ビニルを30〜40質量部を組み合わせて使用することが好ましい。
【0045】
本発明においてインク受容層の塗工液には、必要に応じてインク定着剤、分散剤、消泡剤、pH調整剤、湿潤剤、架橋剤、増粘剤、離型剤、防腐剤、柔軟剤、蛍光増白剤、着色顔料、着色染料などの各種助剤を必要に応じて適宜配合してもよい。本発明においては、インク受理性を改善するためにインク定着剤を配合することができる。インク定着剤としては、特に染料インクの画像ムラを制御できるカチオン性のインク定着剤を使用すればよく、例えば、ポリジアリルアミン系、ポリアルキルアミン系、ポリビニルアミジン系のカチオン性インク定着剤を使用することができる。本発明においては、インク受容層に用いるインク定着剤は、顔料100質量部に対して5〜25質量部、好ましくは、10〜20質量部使用すればよい。
【0046】
インク受容層を塗工する方式としては、特に限定することはなく、一般に使用されている塗工装置が使用される。例えばエアナイフコータ、ブレードコータ、グラビアコータ、ロッドブレードコータ、ロールコータ、リバースロールコータ、バーコータ、カーテンコータ、ダイスロットコータ、チャンプレックスコータ、メータリングブレード式のサイズプレスコータ、ショートドウェルコータ、スプレーコータ又はゲートロールコータ、リップコータなどの公知の各種塗工装置を用いることができる。
【0047】
本発明においてインク受容層の乾燥塗工量は、5〜15g/m
2であることが好ましい。乾燥塗工量が5g/m
2に満たないと、インク受容層が支持体表面を完全に覆うことが難しく、被覆不良により良好なインクジェット印字適性が得られないおそれがある。一方、乾燥塗工量が15g/m
2を超えると、インク受容層と支持体間の界面強度が実用に耐えられないレベルとなるおそれがある。
【0048】
また、インク受容層の塗工後の乾燥方式としては、公知の乾燥機、例えば熱風乾燥、赤外乾燥、ドラム乾燥などを使用することができる。
【0049】
本発明においては、支持体上にインク受容層を塗工、乾燥した後にキャレンダー処理を行うことが好ましい。キャレンダー処理装置としては、通常のスーパーキャレンダー、グロスキャレンダー、シューニップキャレンダー又はソフトキャレンダーなどが用いられる。その際の加圧装置形態、加圧ニップ数及び温度条件などの処理条件を適宜調節して処理することができる。
【実施例】
【0050】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、特に断らないかぎり、部および%はそれぞれ質量部、質量%を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
【0051】
(実施例1)
(紙支持体の作製)
カナディアンスタンダードフリーネス500mlcsfの広葉樹さらしクラフトパルプ100部、タルク5部、カチオン澱粉1部及び酸性ロジンサイズ(商品名:AL1212、星光PMC社製)0.5部に水を加えて紙料を調製し、これを用いて、長網多筒式抄紙機を用いて紙支持体(坪量190g/m
2)を作製した。この紙支持体に、ポリアクリルアミド系紙力剤(商品名:ST5017、星光PMC社製)を乾燥塗工量が片面当り1g/m
2となるようにサイズプレスで塗布し、シリンダードライヤーで乾燥し、その後にスチールカレンダーを用いて線圧40kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行った。
【0052】
(インク受容層塗工液の調製)
顔料として、合成非晶質シリカ(商品名:ニップジェルBY400、東ソーシリカ社製)100部と水を混合して、カウレス分散機にて分散して固形分濃度22%の顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに、ポリビニルアルコール15部(商品名:PVA−117、クラレ社製)、ポリエチレン酢酸ビニルバインダ35部(商品名:スミカフレックス400HQ、住友化学社製)、及びインク定着剤15部(商品名:ハイマックスSC−700L、ハイモ社製)、亜鉛塩としてギ酸亜鉛(2水和物)を無水和物換算で2.0部、有機酸としてリンゴ酸2.0部を添加し、更に水を添加して撹拌して固形分濃度が20%のインク受容層用塗工液を得た。
(インク受容層の形成)
得られたインク受容層用塗工液を紙支持体の一方の面(通信面となるべき面)に乾燥塗工量が10g/m
2となるようにエアナイフコータで塗工し、エアドライヤーで熱風乾燥した後に、ソフトカレンダーを用いて線圧30kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行いインクジェット記録用紙を作製した。
【0053】
(実施例2)
インク受容層塗工液の調製において、ギ酸亜鉛(2水和物)の添加部数を無水和物換算で4.0部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0054】
(実施例3)
インク受容層塗工液の調製において、ギ酸亜鉛(2水和物)の添加部数を無水和物換算で3.0部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0055】
(実施例4)
インク受容層塗工液の調製において、ギ酸亜鉛(2水和物)の添加部数を無水和物換算で1.5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0056】
(実施例5)
インク受容層塗工液の調製において、ギ酸亜鉛(2水和物)の添加部数を無水和物換算で0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0057】
(実施例6)
インク受容層塗工液の調製において、ギ酸亜鉛(2水和物)の添加部数を無水和物換算で0.1部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0058】
(実施例7)
インク受容層塗工液の調製において、リンゴ酸の添加部数を4.0部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0059】
(実施例8)
インク受容層塗工液の調製において、リンゴ酸の添加部数を3.0部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0060】
(実施例9)
インク受容層塗工液の調製において、リンゴ酸の添加部数を1.5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0061】
(実施例10)
インク受容層塗工液の調製において、リンゴ酸の添加部数を0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0062】
(実施例11)
インク受容層塗工液の調製において、リンゴ酸の添加部数を0.1部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0063】
(実施例12)
インク受容層塗工液の調製において、ギ酸亜鉛(2水和物)をクエン酸亜鉛(2水和物)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0064】
(実施例13)
インク受容層塗工液の調製において、ギ酸亜鉛(2水和物)を硫酸亜鉛(7水和物)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0065】
(
参考例14)
インク受容層塗工液の調製において、リンゴ酸をギ酸に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0066】
(実施例15)
インク受容層塗工液の調製において、リンゴ酸をクエン酸に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0067】
(実施例16)
インク受容層塗工液の調製において、ギ酸亜鉛(2水和物)を酸化亜鉛に変更し、更にギ酸を2.0部添加するとした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0068】
(実施例17)
インク受容層塗工液の調製において、ギ酸亜鉛(2水和物)を酸化亜鉛に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0069】
(比較例1)
インク受容層塗工液の調製において、ギ酸亜鉛(2水和物)を添加しないとした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0070】
(比較例2)
インク受容層塗工液の調製において、リンゴ酸を添加しないとした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0071】
(比較例3)
インク受容層塗工液の調製において、ギ酸亜鉛(2水和物)とリンゴ酸を添加しないとした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0072】
(比較例4)
インク受容層塗工液の調製において、塩化カルシウム2.0部を添加するとした以外は、比較例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
【0073】
各実施例及び比較例で得られたインクジェット記録用紙について、その組成と各物性の評価を表1示す。なお、各物性の評価については、以下に示す方法で行った。
【0074】
(1)染料インクのインクジェットプリンタ印字画像ムラ
家庭用インクジェットプリンタ(EP−805A、EPSON社製)を用い、CMYKカラーモデルの各インクを用いて、CMYKの各染料インクのベタ(100%濃度)及び文字並びにRGB(Red−Green−Blue)の各染料インクのベタ(100%濃度)及び文字を得られたインクジェット記録用紙に印字した。ベタ部の各色の画像ムラ程度を目視によって評価した。
6点:画像ムラがなく、実用上問題ない。
5点:画像ムラが発生しているが、実用上問題ない。
4点:画像ムラが発生しているが、実用上問題ない。
3点:画像ムラが発生しているが、実用上問題ない。
2点:画像ムラが発生し、実用不可レベル。
1点:画像ムラが著しく発生し、実用不可レベル。
【0075】
(2)顔料インクのインクジェットプリンタ印字画像ムラ
家庭用インクジェットプリンタ(PX−G930、EPSON社製)を用いて宛名面となるべき面に、フォントサイズ7ポイント(JISZ8305)の住所、郵便番号のテストパターンを顔料インクにより印字して、文字の滲みを目視で評価した。を用い、CMYKの各インクを用いて、CMYKの各顔料インクのベタ(100%濃度)及び文字並びにRGB(Red−Green−Blue)の各顔料インクのベタ(100%濃度)及び文字を得られたインクジェット記録用紙に印字した。ベタ部の各色の画像ムラ程度を目視によって評価した。
6点:画像ムラがなく、実用上問題ない。
5点:画像ムラが発生しているが、実用上問題ない。
4点:画像ムラが発生しているが、実用上問題ない。
3点:画像ムラが発生しているが、実用上問題ない。
2点:画像ムラが発生し、実用不可レベル。
1点:画像ムラが著しく発生し、実用不可レベル。
【0076】
【表1】
【0077】
表1から明らかなように、実施例1〜
13および15〜17、参考例14で得られたインクジェット記録用紙はいずれも染料インクのインクジェットプリンタ印字画像ムラ、顔料インクのインクジェットプリンタ印字画像ムラの評価に優れるものであった。
【0078】
これに対して比較例1〜4で得られたインクジェット記録用紙は、いずれも染料インクのインクジェットプリンタ印字画像ムラ、もしくは顔料インクのインクジェットプリンタ印字画像ムラの評価に劣った。これはインク受容層の塗工液に有機酸と亜鉛塩を添加しなかったことが原因であると考えられる。