特許第6875327号(P6875327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875327
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B60R 3/00 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   B60R3/00
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-117262(P2018-117262)
(22)【出願日】2018年6月20日
(65)【公開番号】特開2019-217922(P2019-217922A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2020年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】樫本 龍幸
(72)【発明者】
【氏名】犬伏 豊
(72)【発明者】
【氏名】黒住 優
(72)【発明者】
【氏名】松田 真一郎
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−022344(JP,U)
【文献】 実開昭61−100642(JP,U)
【文献】 特開2015−181359(JP,A)
【文献】 特開2008−195348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の足が置かれる本体ステップを有する運転部と、
前記運転部への乗降用の補助ステップと、
前記運転部の下側に配置され、原動部を有する車体本体と、を有する作業機であって、
前記本体ステップ、前記補助ステップ及び前記車体本体を互いに連結する連結部材を備え、
前記連結部材は、
前記車体本体と接続される第1接続部と、
前記補助ステップと接続される第2接続部と、
前記本体ステップと接続される第3接続部と、
前記第1接続部、前記第2接続部及び前記第3接続部を連結する板状の支持プレートと、
前記支持プレートと前記本体ステップの間に配置された弾性部材と、を有する、作業機。
【請求項2】
前記第1接続部は、前記車体本体の側面に接続されている、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記支持プレートは、前記第1接続部を有する第1プレートと、前記第2接続部を有する第2プレートと、前記第3接続部を有する第3プレートと、を有し、
少なくとも前記第2プレートは、前記作業機の上下方向に延びている、請求項1又は請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記第1プレート、前記第2プレート及び前記第3プレートのうち、少なくとも2つのプレートは、互いに直交しており、
前記第1プレート、前記第2プレート及び前記第3プレートは、連結手段によって一体化されている、請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
前記第2プレートの一面と前記車体本体とを連結する第4プレートを有し、
前記第1プレートは、前記第2プレートにおける前記一面と反対側である反対面に連結されている、請求項3又は4に記載の作業機。
【請求項6】
前記補助ステップは、運転者が足を載せる横長の踏み部と、
前記踏み部の横方向の一端から延出する第1延出部と、
前記踏み部の前記横方向の他端から延出する第2延出部と、を有し、
前記第1延出部は、前記第2プレートに連なっており、
前記第2延出部は、前記車体本体に接続されている、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項7】
前記本体ステップは、
前記連結部材が連結されるベース部材と、
前記ベース部材の上面を覆う弾性カバー部材と、を有し、
前記弾性カバー部材は、前記ベース部材の上面と当接するカバー部と、前記カバー部から突出し、かつ前記ベース部材の穴部に係合する突出部と、を有し、
前記突出部は、前記穴部の径よりも大きい大径部と、前記大径部よりも小径の小径部と、を有し、
前記大径部は、前記小径部よりも前記突出部の先端側に配置されており、前記穴部を貫通した状態で前記ベース部材の下面に係合する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項8】
前記ベース部材の前記穴部は、前記穴部の縁が前記弾性カバー部材側に突出したバーリング穴である、請求項7に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体ステップと、当該本体ステップに対する乗降用の補助ステップと、を有する作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機の一例としてのトラクタにおいて、操舵用のステアリング、運転座席、及びこれらの下方に敷設された本体ステップを有する運転部が設けられている(例えば、特許文献1)。特許文献1の作業機は、本体ステップに対する乗降用の補助ステップを有する。補助ステップは、本体ステップの側面に配置された延出部に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−24485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
補助ステップは、乗降時に繰り返し荷重がかかる箇所であり、高い連結強度が求められている。特許文献1の作業機において、更に連結強度を高めようとすると、鋼管材等の高強度の部材によって補助ステップを構成し、エンジンを含む原動部と本体ステップとのそれぞれに対して補助ステップを固定することが考えられる。しかし、鋼管材等の高強度の部材からなる補助ステップを原動部と本体ステップに固定すると、エンジンの振動によって補助ステップが振動し、かつ当該振動が本体ステップに伝達する。よって、運転者の乗り心地が悪化するおそれがある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑み、運転者の乗り心地の悪化を抑制しつつ、補助ステップの連結強度を高めることができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る作業機は、運転者の足が置かれる本体ステップを有する運転部と、前記運転部への乗降用の補助ステップと、前記運転部の下側に配置され、原動部を有する車体本体と、を有する作業機であって、前記本体ステップ、前記補助ステップ及び前記車体本体を互いに連結する連結部材を備え、前記連結部材は、前記車体本体と接続される第1接続部と、前記補助ステップと接続される第2接続部と、前記本体ステップと接続される第3接続部と、前記第1接続部、前記第2接続部及び前記第3接続部を連結する板状の支持プレートと、前記支持プレートと前記本体ステップの間に配置された弾性部材と、を有する。
【0007】
車体本体、本体ステップ、及び補助ステップを板状の支持プレートによって互いに連結できる。車体本体、本体ステップ、及び補助ステップをそれぞれ別々の部材によって連結せずに、一体化して連結することによって連結強度を高めることができる。よって、鋼管材のような高強度かつ高価な部材を用いずに、板状の支持プレートによっても補助ステップを安定して支持できる。また、支持プレートと本体ステップの間に弾性部材が配置されているため、車体本体の振動によって補助ステップが振動した際に、当該補助ステップの振動が支持プレートを介して本体ステップに伝わることを抑制できる。よって、運転者の乗り心地の悪化を抑制しつつ、補助ステップの連結強度を高めることができる。
【0008】
好ましい一態様によれば、前記第1接続部は、前記車体本体の側面と接続されている。
【0009】
本態様によれば、車体本体の側面に対して第1接続部を介して連結部材が接続される。車体本体の下面に対して連結部材が接続される構成と比較して、地面の畦や木に連結部材が接触し難い。よって、補助ステップをより安定して支持できる。
【0010】
好ましい一態様によれば、前記支持プレートは、前記第1接続部を有する第1プレートと、前記第2接続部を有する第2プレートと、前記第3接続部を有する第3プレートと、を有し、少なくとも前記第2プレートは、前記作業機の上下方向に延びている。
【0011】
本態様によれば、補助ステップは、運転者等の乗降によって地面側に向けて荷重がかかり、下方向への負荷がかかる。当該負荷方向に対して平行に第2プレートを配置することにより、補助ステップの負荷に対して対抗でき、補助ステップの強度を確保できる。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記第1プレート、前記第2プレート及び前記第3プレートのうち、少なくとも2つのプレートは、互いに直交しており、前記第1プレート、前記第2プレート及び前記第3プレートは、連結手段によって一体化されている。
【0013】
本態様によれば、互いに直交するプレートによって連結部材全体の強度を高め、補助ステップの車体本体に対する連結強度を更に高めることができる。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記第2プレートの一面と前記車体本体とを連結する第4プレートを有し、前記第1プレートは、前記第2プレートにおける前記一面と反対側である反対面に連結されている。
【0015】
本態様によれば、第2プレートの一面は、第4プレートによって車体本体に接続され、第2プレートの反対面は、第1プレートを介して車体本体に接続される。補助ステップに接続される第2プレートの強度を高め、補助ステップの車体本体に対する連結強度を更に高めることができる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記補助ステップは、運転者が足を載せる横長の踏み部と、前記踏み部の横方向の一端から延出する第1延出部と、前記踏み部の横方向の他端から延出する第2延出部と、を有し、前記第1延出部は、前記第2プレートに連なっており、前記第2延出部は、前記車体本体に接続されている。
【0017】
本態様によれば、補助ステップの横方向の一端は、第2プレートを介して車体本体に接続され、補助ステップの横方向の他端は、第2延出部を介して車体本体に接続される。荷重がかかる踏み部の両端を車体本体によって支持でき、補助ステップの連結強度を更に高めることができる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記本体ステップは、前記連結部材が連結されるベース部材と、前記ベース部材の上面を覆う弾性カバー部材と、を有し、前記弾性カバー部材は、前記ベース部材の上面と当接するカバー部と、前記カバー部から突出し、かつ前記ベース部材の穴部に係合する突出部と、を有し、前記突出部は、前記穴部の径よりも大きい大径部と、前記大径部よりも小径の小径部と、を有し、前記大径部は、前記小径部よりも前記突出部の先端側に配置されており、前記穴部を貫通した状態で前記ベース部材の下面に係合する。
【0019】
本態様によれば、弾性カバー部材の突出部の大径部をベース部材の穴部に貫通させることによって、ベース部材と弾性カバー部材とが嵌合する。弾性カバー部材の突出部とベース部材の穴部との嵌め合いによって互いが係合するため、別途の連結部材が不要となる。よって、部品点数の減少及び作業工数の削減を図ることができる。
【0020】
好ましい一態様によれば、前記ベース部材の前記穴部は、前記穴部の縁が前記弾性カバー部材側に突出したバーリング穴である。
【0021】
本態様によれば、ベース部材の穴部がバーリング穴部であるため、当該縁によって弾性カバー部材とベース部材が嵌合し易く、かつ嵌合状態がより外れ難くなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、運転者の乗り心地の悪化を抑制しつつ、補助ステップの連結強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施形態に係る作業機の全体斜視図である。
図2図2は、本体ステップ、補助ステップ及び連結部材の平面図である。
図3図3は、本体ステップ、補助ステップ及び連結部材の下方から見た斜視図である。
図4図4は、上方から見た状態における本体ステップ及び補助ステップの分解斜視図である。
図5図5は、下方から見た状態における本体ステップ及び補助ステップの分解斜視図である。
図6図6は、左下方から視認した状態の本体ステップ、補助ステップ及び連結部材の斜視図である。
図7図7は、本体ステップの上下方向に沿った断面を模式的に示した図である。
図8図8は、作業機の後面を示す斜視図である。
図9図9は、保護フレームの斜視図である。
図10図10は、3点リンク機構の斜視図である。
図11図11は、トップリンクの支持態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かなお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0025】
(1)作業機の全体概略構成
本発明に係る作業機を、作業機の一例であるトラクタに適応した実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態にかかる作業機の斜視図である。尚、図面に記載した符号Fの矢印が指し示す方向がトラクタの前側であり、符号Lの矢印が指し示す方向がトラクタの左側であり、符号Uの矢印が指し示す方向がトラクタの上側である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態で例示するトラクタは、車体の前半部に位置する原動部1、原動部1を支持する前部フレーム2、後部フレームを兼ねるハウジングユニット3、車体の後半部に位置する搭乗式の運転部4、原動部1の左右に位置する左右の前輪5、運転部4の左右に位置する左右の後輪6、及び、左右の後輪6を覆う左右のリアフェンダ7等を備えている。
【0027】
図1に示すように、原動部1は、原動部1の後部に位置するエンジン8、エンジン8の前方に位置する冷却ファン(図示せず)、冷却ファンの前方に位置するラジエータ(図示せず)、ラジエータの前方に位置するバッテリ(図示せず)、これらを覆う揺動開閉式のボンネット12等を備えている。
【0028】
前部フレーム2は、左右の前輪5を支持する左右向きの前輪支持部材13をローリング可能に支持している。ハウジングユニット3は、その後部に、作業装置連結用のリンク機構(図示せず)、リンク機構を介して作業装置(図示せず)を昇降駆動する電子油圧制御式の昇降ユニット(図示せず)、及び、作業装置への作業動力の取り出しを可能にするPTO軸(図示せず)等を備えている。原動部1、前部フレーム2及びハウジングユニット3は、本発明の車体本体10を構成する。
【0029】
運転部4は、前輪操舵用のステアリングホイール23、変速レバー24、及び、左右のリアフェンダ7の間に位置する運転座席28、運転者の足が置かれる本体ステップ50と、運転部4への乗降用の補助ステップ60と、を有する。運転部4の後部には、前後方向視で逆U字状に形成した保護フレーム22、及び車体の後部に上下揺動可能に連結された3点リンク機構40(図8参照)が設けられている。保護フレーム22及び3点リンク機構40については、後述にて詳細に説明する。
【0030】
(2)本体ステップ、補助ステップ及び連結部材の詳細構造
次いで、図2から図6に基づいて、本体ステップ、補助ステップ及び連結部材について詳細に説明する。図2から図5は、本体ステップ、補助ステップ及び連結部材のみを示しており、その他の部品を省略している。図2は、本体ステップ、補助ステップ及び連結部材の平面図であり、図3は、本体ステップ、補助ステップ及び連結部材を前下側から見た斜視図である。
【0031】
本体ステップ50の前部側の左右両端部は、左右のリアフェンダ7の前方に位置している。本体ステップ50の後部側は、左右のリアフェンダ7の間に入り込んでいる。本体ステップ50は、左右方向の中央に位置する左右中央部50cと、左右中央部50cよりも左右方向の外側に位置する左右側部50dと、を有する。左右中央部50cは、左右側部50dに対して上方に膨出する膨出部を有している。左右中央部50cは、膨出部において上側に膨らむ屈曲形成されている。この形状によって、左右中央部50cでの保形強度を高めている。
【0032】
図4及び図5に示すように、本体ステップ50は、ベース部材51と弾性カバー部材52を有する。図4及び図5は、本体ステップ50の弾性カバー部材52を分離した分解斜視図である。図4は、上方かつ左前側から見た状態の図であり、図5は、下方かつ左後側から見た状態の図である。ベース部材51は、金属製であり、弾性カバー部材52は、ゴムなどの弾性体によって構成されている。弾性カバー部材52は、ベース部材51の上面を覆っている。よって、本体ステップ50の上面50aは、弾性カバー部材52の上面52aによって構成され、本体ステップ50の下面50bは、ベース部材51の下面51bによって構成されている。ベース部材51の下面51bには、連結部材70が接続される。
【0033】
本体ステップ50の左右側部50dのうち少なくとも一方には、補助ステップ60が連結される。本実施の形態の補助ステップ60は、作業機の左右方向の側部に位置する左右側部50dに連結されている。補助ステップ60は、本体ステップ50の下面に連結されている。補助ステップ60は、図2に示す平面視にて、本体ステップ50の左側に延出し、かつ本体ステップ50の前側に延出している。補助ステップ60は、運転者が足を載せる横長の踏み部63と、踏み部63の横方向Yの一端63aから延びる第1延出部61と、踏み部63の横方向Yの他端63bから延びる第2延出部62と、を有する。踏み部63は、平面視にて横方向Yの長さが長い矩形状である。踏み部63には、厚さ方向に貫通する穴部63xが複数形成されている。
【0034】
第1延出部61及び第2延出部62は、金属製の板状部材によって構成されている。第1延出部61の一端61aは、踏み部63の一端63aに連結されており、第1延出部61の他端61bは、後述する第2プレート752に連結されている。第2延出部62は、第1延出部61と平行に延びる平行部分62cと、当該平行部分62cに対して屈曲した屈曲部分62dと、を有する。図4に示すように、第2延出部62の一端62aは、平行部分62cに設けられ、踏み部63の他端63bに連結されている。第2延出部62の他端62bは、屈曲部分62dに設けられ、車体本体10に接続されている。
【0035】
踏み部63の横方向Yの一端63aは、第2プレート752を介して車体本体10に接続され、踏み部63の横方向Yの他端63bは、第2延出部62を介して車体本体10に接続される。荷重がかかる踏み部63の両端を車体本体10によって支持でき、補助ステップ60の車体本体に対する連結強度を更に高めることができる。
【0036】
連結部材70は、本体ステップ50、補助ステップ60及び車体本体10を互いに連結する。図6は、連結部材70によって車体本体10に本体ステップ50及び補助ステップ60を連結した状態を示している。なお、図6においては、車体本体10の一部の部材のみを示している。
【0037】
連結部材70は、第1接続部71と、第2接続部72と、第3接続部73と、支持プレート75と、弾性部材77と、を有する。第1接続部71は、車体本体10に接続される部分である。第1接続部71は、具体的には、支持プレート75の第1プレート751に形成された第1穴部と、当該第1穴部及び車体本体10に形成された穴部に係合する締結部材71fと、によって構成されている。
【0038】
第2接続部72は、補助ステップ60と接続される部分である。第2接続部72は、具体的には、支持プレート75の第2プレート752に形成された第2穴部と、当該第2穴部及び補助ステップ60に形成された穴部に係合する締結部材72fと、によって構成されている。
【0039】
第3接続部73は、本体ステップ50と接続される部分である。第3接続部73は、具体的には、支持プレート75の第3プレート753に形成された第3穴部と、当該第3穴部及び本体ステップ50に形成された穴部に係合する締結部材73fと、によって構成されている。
【0040】
支持プレート75は、第1接続部71、第2接続部72及び第3接続部73を連結する。支持プレート75は、金属製の板状部材によって構成されている。車体本体10、本体ステップ50、及び補助ステップ60を板状の支持プレート75によって互いに連結できる。車体本体10、本体ステップ50、及び補助ステップ60をそれぞれ別々の部材によって連結せずに、一体化して連結することによって連結強度を高めることができる。鋼管材のような高強度の部材を用いずに、板状の支持プレート75によっても補助ステップ60を安定して支持できる。
【0041】
弾性部材77は、本体ステップ50と支持プレート75の間に配置されている。具体的には、弾性部材77は、図6に示すように、本体ステップ50のベース部材51と、支持プレート75の第3プレート753と、の間に配置されている。支持プレート75と本体ステップ50の間に弾性部材77が配置されているため、車体本体10の振動、特にエンジン8の振動によって補助ステップ60が振動した際に、当該補助ステップ60の振動が支持プレート75を介して本体ステップ50に伝わることを抑制できる。よって、運転者の乗り心地の悪化を抑制できる。
【0042】
連結部材70の第1接続部71は、車体本体10の側面と接続されている。すなわち、車体本体10の側面に対して、第1接続部71を介して連結部材70が接続される。車体本体10の下面に対して連結部材70が接続される構成と比較して、地面の畦や木に連結部材70が接触し難い。よって、補助ステップ60を安定して支持できる。
【0043】
支持プレート75は、第1プレート751、第2プレート752、第3プレート753が互いに連結されることによって構成されている。なお、第1プレート751から第3プレート753は、互いに間接的に連結されて一体化されていればよく、互いに直に接していなくてもよい。
【0044】
第1プレート751は、第1接続部71を有する。第1プレート751は、略矩形の板状部材によって構成され、その表面は、上下方向及び前後方向に延びている。第1プレート751の一面は、車体本体10の左側面に当接している。第1プレート751の上面は、本体ステップ50の下面に設けられた補強リブに連結されている。
【0045】
第2プレート752は、第2接続部72を有する。第2プレート752は、略矩形の板状部材によって構成され、その表面は、上下方向に延びている。第2プレート752は、左右方向に延び、かつ前後方向に延びている。第2プレート752の一端は、第1プレート751に連なり、第2プレートの他端は、補助ステップ60の第1延出部61の他端61bに連結されている。第1プレート751と第2プレート752は、平面視にて交差している。
【0046】
図6に示すように、第2プレート752は、作業機の上下方向に延びている。より詳細には、第2プレート752は、上下方向に延びる壁部を構成している。第2プレート752は、補助ステップ60に連結され、補助ステップ60に対する荷重がかかる。補助ステップ60は、運転者等の乗降によって地面側に向けて荷重がかかり、下方向への負荷がかかる。当該負荷方向に平行に第2プレート752を配置することにより、補助ステップ60の負荷に対して対抗でき、補助ステップ60の補強強度を確保できる。なお、本実施の形態の第1プレート751及び第4プレート754は、上下方向に延びる壁部を構成している。よって、第1プレート751及び第4プレート754によっても、地面側に向けてかかる荷重に対抗でき、連結部材の強度を高めることができる。
【0047】
第3プレート753は、第3接続部73を有する。第3プレート753は、略矩形の板状部材によって構成され、その表面は、平面方向(前後方向及び幅方向)に延びている。第3プレート753は、ベース部材51の下面に沿って配置されている。第3プレート753の一端は、第2プレート752に連なり、第3プレートの他端は、第4プレート754に連なっている。第3プレート753の側面と第2プレート752の表面は、直交し、第3プレート753の側面と第4プレート754の表面は、直交している。
【0048】
このように、第1プレート751、第2プレート752及び第3プレート753のうち、少なくとも2つのプレートは、互いに直交しており、第1プレート751、第2プレート752及び第3プレート753は、連結手段によって一体化されている。なお、連結手段は、溶接であってもよいし、ボルト及びナットを有する締結部材であってもよい。互いに直交するプレートによって連結部材70全体の強度を高め、補助ステップ60の連結強度を更に高めることができる。また、他の形態において、第1プレート751、第2プレート752及び第3プレート753は、一枚の板状部材によって構成されていてもよい。
【0049】
支持プレート75は、第4プレート754を有してもよい。第4プレート754は、第2プレート752と車体本体10とを連結する。より詳細には、第2プレート752は、上下方向に延びる壁部を構成する一対の面を有する。一対の面は、一面及び反対面を有する。第2プレート752の一面は、第4プレート754によって車体本体10に連結されている。第2プレート752の反対面は、一面と反対側の面であり、第1プレート751に連結されている。第2プレート752の一面は、第4プレート754によって車体本体10に接続され、第2プレート752の反対面は、第1プレート751を介して車体本体10に接続される。補助ステップ60に接続される第2プレート752が車体本体に連結されることにより、当該第2プレートの強度を高め、補助ステップ60の連結強度を更に高めることができる。
【0050】
第4プレート754、第2プレート752及び第3プレート753は、3点の接続部において互いに連結され、略三角形に配置されている。具体的には、第4プレートは、第2プレート及び第3プレートに連結され、第2プレートは、第3プレート及び第4プレートに連結され、第4プレートは、第3プレート及び第2プレートに連結されている。このような構成によれば、連結部材70の剛性がより高くなり、補助ステップ60の連結強度を更に高めることができる。
【0051】
次いで、本体ステップ50を構成するベース部材51とカバー部材との係合構造について説明する。図7は、本体ステップ50の上下方向に沿った断面を模式的に示した図である。上述のように、本体ステップ50は、連結部材70が連結されるベース部材51と、ベース部材51の上面を覆う弾性カバー部材52と、を有する。弾性カバー部材52は、ベース部材51の上面と当接するカバー部521と、カバー部521から突出し、かつベース部材51の穴部52xに係合する突出部522と、を有する。カバー部521は、ベース部材51に沿って平面方向(前後方向及び左右方向)に延びている。突出部522は、間隔を空けて複数設けられている。突出部522は、ベース部材51の穴部51xに対応する位置に設けられている。
【0052】
突出部522は、ベース部材51の穴部51xの径よりも大きい大径部522bと、大径部522bよりも小径の小径部522sと、を有する。大径部522bは、小径部522sよりも突出部522の先端側に配置されている。このように構成された弾性カバー部材52の突出部522をベース部材51の穴部51xに係合させる操作としては、例えば、ベース部材51の上面に弾性カバー部材52の突出部522を当接し、弾性カバー部材52をベース部材51側に押圧する。これにより、弾性カバー部材52の突出部522が弾性変形し、大径部522bが穴部51xを挿通する。大径部522bよりもベース部側に位置する小径部522sが穴部内に位置するまで弾性カバー部材52を押圧することにより、大径部522bがベース部材51の下面に係合する。
【0053】
このような構成によれば、弾性カバー部材52の突出部522の大径部522bをベース部材51の穴部51xに貫通させることによって、ベース部材51と弾性カバー部材52とが係合する。弾性カバー部材52の突出部とベース部材51の穴部との嵌め合いによって互いが係合するため、別途の連結部材70が不要となり、部品点数の減少及び作業工数の削減を図ることができる。
【0054】
ベース部材51の穴部51xは、穴部51xの縁が弾性カバー部材52側に突出したバーリング穴であってもよい。ベース部材51の穴部51xがバーリング穴部であるため、穴部51xの縁によって弾性カバー部材52とベース部材51が嵌合し易く、かつ嵌合状態がより外れ難くなる。
【0055】
(3)保護フレームの詳細構造
図8は、作業機の後面を示す斜視図である。図8は、保護フレーム22及び後述する3点リンク機構等の部材を示し、一部の部材を省略して示している。作業機の後面には、保護フレーム22が設けられている。図9は、保護フレーム22の斜視図である。保護フレーム22は、作業機の転倒時等に運転者を保護するための部材である。図8に示すように、保護フレーム22は、一対の後輪6の左右方向の内側、かつ運転座席28の左右方向の外側に設けられている。
【0056】
図9に示すように、保護フレーム22は、上下方向に延びる一対の柱部221と、柱部221間をつなぐ梁部222と、を有する。柱部221は、左右方向に間隔を空けて配置されており、梁部222は、左右方向に延び、一対の柱部221を繋ぐ。一対の柱部221と梁部222によって、正面及び背面視にて逆U字形状を形成している。
【0057】
一対の柱部221のうち一方の柱部221aには、工具を収納するための工具箱223が設けられている。工具箱223は、開閉可能な蓋部224を有する。運転者は、蓋部224を開閉し、工具を出し入れすることができる。また、一対の柱部221のうち他方の柱部221bには、工具としてのレンチを収納する収納治具225が設けられている。収納治具225は、上下方向に間隔を空けて配置されている。収納治具のそれぞれには、上下方向に貫通する穴部225xが形成されている。穴部225xの開口面積は、レンチのグリップの断面形状よりも大きい。穴部225xにレンチのグリップが収納される。穴部225xの左右方向の長さは、レンチの頭部の長さよりも短い。よって、レンチのグリップが穴部225xに収納された際に、レンチの頭部が収納治具225に引っかかり、収納治具225によってレンチを保持できる。収納治具225は、工具箱223のように蓋部の開閉作業等が不要である。よって、運転者は、作業機の外側から容易に工具の収納及び取り出しを行うことができる。
【0058】
より好適には、穴部225xの内面には、ゴムなどの弾性部材を設けることが好ましい。作業機の振動によって収納治具内で工具が振動することを抑制できる。また、穴部の内面に弾性部材を設けることにより、工具と収納治具との衝突を抑制し、意図せずに工具が収納治具から落ちることや衝突音の発生を抑制できる。
【0059】
(4)3点リンク機構の詳細構造
3点リンク機構40は、作業機の後面側に配置されており、牽引式の耕耘装置等の作業装置が取り付けられるように構成されている。図10は、3点リンク機構40の拡大斜視図である。3点リンク機構40は、トップリンク41及び支持体43を有する。支持体43は、トップリンク41の軸部41aを中心とした回転可能にトップリンク41を支持する。本実施の形態の支持体43は、角度が異なる態様でトップリンク41を支持可能に構成されている。支持体43は、一対のブラケット431と、第1係合片433と、第2係合片434と、保持部材435と、を少なくとも有する。一対のブラケット431は、左右方向において間隔をあけて配置されている。一対のブラケット431には、トップリンク41の軸部41aが挿通されるブラケット穴部431xが形成されている。ブラケット穴部431xは、上下方向に間隔を空けて複数設けられている。具体的には、ブラケット穴部431xは、上ブラケット穴部431xa、中ブラケット穴部431xb及び下ブラケット穴部431xcを有する。
【0060】
一対のブラケット431のブラケット穴部431xには、トップリンク41の軸部41aが挿通されている。トップリンク41の軸部41aの左右方向の一方の端縁(本実施の形態においては左端縁)には、第1係合片433が連結されている。トップリンク41の軸部41aの左右方向の他方の端縁には、第1係合片433が連結されてなく、ブラケット穴部431xに対して抜き差し可能である。
【0061】
第1係合片433は、ブラケット穴部431xよりも大きく、ブラケット穴部431xに挿通された軸部41aの軸方向に沿った移動(本実施の形態では、右側への移動)を規制する。第1係合片433は、ブラケット431の側面(左右方向の外側面)に設けられた第2係合片434に係止する。図9に示すように、第1係合片433は、直方体形状であり、第1係合片433側面は、第2係合片434に係止する。
【0062】
第1係合片433は、トップリンク41のアーム部41bを保持する保持部材435に連結されている。トップリンク41に作業装置が連結されると、トップリンク41のアーム部41bは、図10に示すX方向の力がかかる。アーム部41bにX方向の力がかかることにより、保持部材435にも第1係合片433を中心としてX方向に移動する力がかかる。このとき第1係合片433の側面と第2係合片434が接しているため、第1係合片433は、X方向に回転しない。よって、第1係合片433の側面と第2係合片434の側面が係合した状態で、トップリンク41のアーム部41bの角度が維持される。
【0063】
第2係合片434は、上下方向に間隔を空けて複数設けられている。具体的には、第2係合片434は、上第2係合片434a、中第2係合片434b及び下第2係合片434cを有する。上第2係合片434aは、上ブラケット穴部431xaにトップリンク41の軸部41aが挿入された状態で、第1係合片433と係合する。上第2係合片434aは、上ブラケット穴部431xaの前側に配置されている。図11は、トップリンクの支持態様を説明するための図である。図11(a)は、上ブラケット穴部31xaにトップリンク41の軸部41aが挿入された状態で、第1係合片433と上第2係合片434aが係合した状態を示している。
【0064】
中第2係合片434bは、中ブラケット穴部431xbにトップリンク41の軸部41aが挿入された状態で、第1係合片433と係合する。中第2係合片434bは、中ブラケット穴部431xbの下側に配置されている。図11(b)は、中ブラケット穴部431xbにトップリンク41の軸部41aが挿入された状態で、第1係合片433と中第2係合片434bが係合した状態を示している。
【0065】
下第2係合片434cは、下ブラケット穴部431xcにトップリンク41の軸部41aが挿入された状態で、第1係合片433と係合する。図11(c)は、下ブラケット穴部431xcにトップリンク41の軸部41aが挿入された状態で、第1係合片433と下第2係合片434cが係合した状態を示している。下第2係合片434cは、下ブラケット穴部431xcの下後側に配置されている。
【0066】
このように、本実施の形態のトップリンク41の支持体43は、第2係合片434の上下方向の位置及びブラケット穴部431xに対する位置が異なるため、トップリンク41を異なる角度で支持することができる。加えて、第1係合片433の4つの側面のうち、第2係合片434に当接する側面を選択することによっても、トップリンク41を支持する角度を異ならせることができる。
【0067】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0068】
1 :原動部
4 :運転部
10 :車体本体
22 :保護フレーム
28 :運転座席
40 :3点リンク機構
41 :トップリンク
43 :支持体
50 :本体ステップ
51 :ベース部材
52 :弾性カバー部材
521 :カバー部
522 :突出部
522b :大径部
522s :小径部
60 :補助ステップ
61 :第1延出部
62 :第2延出部
63 :踏み部
70 :連結部材
71 :第1接続部
72 :第2接続部
73 :第3接続部
75 :支持プレート
751 :第1プレート
752 :第2プレート
753 :第3プレート
754 :第4プレート
77 :弾性部材
Y :横方向
図1
図2
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図11