特許第6875382号(P6875382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

特許6875382発火感度を低減させたポリマーコーティング組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875382
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】発火感度を低減させたポリマーコーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20210517BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20210517BHJP
   C08J 7/04 20200101ALI20210517BHJP
【FI】
   C08J3/12 ACES
   C08J3/20 B
   C08J7/04 J
【請求項の数】10
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2018-513619(P2018-513619)
(86)(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公表番号】特表2018-529009(P2018-529009A)
(43)【公表日】2018年10月4日
(86)【国際出願番号】US2016052099
(87)【国際公開番号】WO2017049064
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2019年9月4日
(31)【優先権主張番号】62/219,929
(32)【優先日】2015年9月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】シュリカント・ドーダプカー
(72)【発明者】
【氏名】レミ・エイ・トロッティア
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ベルエアー
(72)【発明者】
【氏名】コナヌー・マンジュナス
(72)【発明者】
【氏名】プラディープ・ジャイン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ディー・ターナー
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−265706(JP,A)
【文献】 特開昭48−055227(JP,A)
【文献】 特表2003−507513(JP,A)
【文献】 特表2014−515770(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0155523(US,A1)
【文献】 特開2001−200060(JP,A)
【文献】 特開昭59−041256(JP,A)
【文献】 米国特許第03803065(US,A)
【文献】 米国特許第06852787(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J3/00−3/28;99/00
C08J7/04−7/06
B29B7/00−15/06
B29C31/00−71/02
C08K3/00−13/08
C08L1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リマー粒子の総表面の少なくとも一部へのコーティングを含む、少なくともポリマー粒子を含む組成物であって、前記コーティングが、
少なくとも1つの無機粉体と、
ステアリン酸金属塩から選択される少なくとも1つの有機粉体と
を含む粉体組成物から形成され、
前記無機粉体の総量の前記有機粉体の総量に対する重量比が、3.0〜50.0であり
前記無機粉体がタルクを含み、前記粉体組成物が該粉体組成物の総重量を基準として少なくとも50重量%のタルクを含む、組成物。
【請求項2】
前記粉体組成物が該粉体組成物の総重量を基準として少なくとも80重量%のタルクを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマー粒子が、オレフィン系ポリマーを含むポリマー組成物から形成される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマー組成物が、前記ポリマー組成物の重量を基準として、95重量%を超える前記オレフィン系ポリマーを含む、請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、バインダーを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記バインダーが、シリコーン流体である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記無機粉体がさらに、以下マイカ、炭酸カルシウム、微細シリカ、ヒュームドシリカ、石英、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物から形成される、少なくとも1つの構成要素を含む物品。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物を形成するための方法であって、前記ポリマー粒子と前記粉体組成物を接触させることを含む、方法。
【請求項10】
少なくとも以下
少なくとも1つの無機粉体と、
ステアリン酸金属塩から選択される少なくとも1つの有機粉体と
を含む粉体組成物であって、
無機粉体の総量の有機粉体の総量に対する重量比が、3.0〜50.0であり、
無機粉体の総量及び有機粉体の総量が、前記粉体組成物の重量を基準として、95重量%以上を構成し、
前記無機粉体がタルクを含み、前記粉体組成物が該粉体組成物の総重量を基準として少なくとも50重量%のタルクを含む、粉体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2015年9月17日に出願された米国仮出願第62/219,929号の利益を主張し、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
エラストマーのペレットは、塊になる問題を軽減する特定のブロッキング防止対策が講じられない限り、ブロッキングする傾向がある。ブロッキングとは、袋、箱、または貨車におけるポリマーペレットの輸送においてしばしば観察されるポリマー粒子の塊状の外観を指す。いくつかの状況において、ポリマー粒子の質量全体が、単一の塊または圧密化されたペレットのブロックを形成することがある。このことは、輸送中の応力、温度、及び経過時間に関係なく、自由流動性のままであるポリマー粒子と対比され得る。
【0003】
ステアリン酸カルシウム(CaSt)及び他のステアリン酸金属塩が、ブロッキング防止剤として使用されてきた。しかしながら、空気中での取り扱いに際し、CaStは可燃性である。このことは、CaStコーティングされた粒子の取り扱いに関連して重大なリスクをもたらし、このようなリスクを軽減するために、高価な工学制御(例えば、不活性物質で覆う)を必要とする、さらに、最終使用者もまた、取り扱いリスクを軽減するために、工学制御を使用しなければならない。発火閾値感度を低減させた、良好なブロッキング防止特性を有するコーティング組成物が必要である。コーティングされたポリマーの組成物は、以下の参考文献、米国特許第6,852,787号、米国特許第7,101,926号、及び米国特許第5,366,645号に記述されている。しかしながら、発火感度を低減させた、改善されたブロッキング防止特性を有する新規な組成物が依然必要である。これらの必要性は、以下の発明によって満たされた。
【発明の概要】
【0004】
少なくとも以下の、ポリマー粒子の総表面の少なくとも一部へのコーティングを含むポリマー粒子を含む組成物が提供され、コーティングは、少なくとも1つの無機粉体と、ステアリン酸金属塩及び/またはポリマー粉体から選択される少なくとも1つの有機粉体とを含む粉体組成物から形成され、無機粉体の総量の有機粉体の総量に対する重量比は、3.0〜50.0である。
【0005】
少なくとも以下の、少なくとも1つの無機粉体と、ステアリン酸金属塩及び/またはポリマー粉体から選択される少なくとも1つの有機粉体とを含む粉体組成物もまた提供され、無機粉体の総量の有機粉体の総量に対する重量比は、3.0〜50.0であり、無機粉体の総量及び有機粉体の総量は、粉体組成物の重量を基準として、95重量%以上を構成する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ペレット状で同じ粉塵投入に関して優れたブロッキング特性を有する、発火感度を低減させた組成物が見出された。次いで、混合物は、追加の工学制御の必要性なしで、既存のプロセスにおいて、ペレットに適用することができる。
【0007】
上述のように、少なくとも以下の、ポリマー粒子の総表面の少なくとも一部へのコーティングを含むポリマー粒子を含む組成物が提供され、コーティングは、少なくとも1つの無機粉体と、ステアリン酸金属塩及び/またはポリマー粉体から選択される少なくとも1つの有機粉体とを含む粉体組成物から形成され、無機粉体の総量の有機粉体の総量に対する重量比は、3.0〜50.0である。
【0008】
少なくとも以下の、少なくとも1つの無機粉体と、ステアリン酸金属塩及び/またはポリマー粉体から選択される少なくとも1つの有機粉体とを含む粉体組成物もまた提供され、無機粉体の総量の有機粉体の総量に対する重量比は、3.0〜50.0であり、無機粉体の総量及び有機粉体の総量は、粉体組成物の重量を基準として(または、「粉体組成物の重量の」)、95重量%以上を構成する。
【0009】
本発明の組成物は、本明細書で記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。
【0010】
本発明の粉体組成物は、本明細書で記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。
【0011】
以下の実施形態は、本発明の組成物及び本発明の粉体組成物の両方に適用される。
【0012】
一実施形態において、無機粉体の総量の有機粉体の総量に対する重量比は、3.0〜45.0、または3.0〜40.0、または3.0〜35.0、または3.0〜25.0、または3.0〜20.0である。
【0013】
一実施形態において、無機粉体の総量の有機粉体の総量に対する重量比は、3.0〜15.0、または3.0〜12.0、または3.0〜9.0である。
【0014】
一実施形態において、有機粉体はステアリン酸金属塩、及びさらにはステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛、及びさらにはステアリン酸カルシウムである。
【0015】
一実施形態において、少なくとも1つの無機粉体が、以下の、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、微細シリカ、ヒュームドシリカ、石英、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。一実施形態において、少なくとも1つの無機粉体が、以下の、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、及びこれらの組み合わせ、またはタルク、マイカ、もしくはこれらの組み合わせからなる群から選択される。一実施形態において、無機粉体はタルクである。
【0016】
本発明はまた、本発明の粉体組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品も提供する。
【0017】
本発明はまた、本発明の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品も提供する。
【0018】
以下の実施形態は、本発明の組成物に適用される。
【0019】
一実施形態において、ポリマー粒子は、ポリマー粒子の総表面の少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%へのコーティングを含む。さらなる実施形態において、コーティングは粉体組成物である。
【0020】
一実施形態において、ポリマー粒子は、ポリマー粒子の総表面の少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%へのコーティングを含む。さらなる実施形態において、コーティングは粉体組成物である。
【0021】
ポリマー粒子の総表面積は、粒子(例えば、ペレット)の平均ペレット寸法、及び粒子のグラムあたりの重量から、またはBET分析によって(例えば、Micromeriticsから入手可能であるBET測定器ASAP2420を使用して)算出することができる。粉体組成物でコーティングされたポリマー粒子の表面積の量は、目視検査によって、典型的には拡大鏡の使用によって決定することができる。
【0022】
一実施形態において、ポリマー粒子は、オレフィン系ポリマー、またはオレフィン系インターポリマー、またはオレフィン系コポリマーを含むポリマー組成物から形成される。さらなる実施形態において、オレフィン系ポリマー、インターポリマー、またはコポリマーは、ポリマー組成物の>90重量%、または>95重量%、または>98重量%を構成する。
【0023】
一実施形態において、オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマー、またはエチレン系インターポリマー、またはエチレン系コポリマーである。
【0024】
一実施形態において、オレフィン系ポリマーは、エチレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンコポリマーである。さらなる実施形態において、αオレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンからなる群から選択される。
【0025】
一実施形態において、オレフィン系ポリマーはエチレン系ポリマーであり、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の重量を基準として、>90重量%、または>95重量%、または>98重量%のエチレン系ポリマーを含む。さらなる実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンコポリマーである。さらなる実施形態において、αオレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンからなる群から選択される。
【0026】
一実施形態において、ポリマー組成物は、オレフィン系ポリマー及び少なくとも1つの他の熱可塑性ポリマーを含む。さらなる実施形態において、少なくとも1つの他の熱可塑性ポリマーは、ポリスチレンホモポリマー、ポリエチレンホモポリマー、及びポリプロピレンホモポリマーからなる群から選択される。
【0027】
一実施形態において、組成物はバインダーをさらに含む。下記のバインダーの考察を参照されたい。一実施形態において、バインダーの少なくとも一部は、ポリマー粒子の総表面の少なくとも一部をコーティングし、バインダーコーティングを形成する。それにより、バインダーコーティングは、ポリマー粒子と粉体組成物から形成されるコーティングの間に位置する。
【0028】
一実施形態において、バインダーは、以下の、ポリエーテルポリオール;脂肪族炭化水素油;7〜18個の炭素原子を有し、任意選択でOH、COH、またはエステルで置換されたアルカン;7〜18個の炭素原子を有し、任意選択でOH、COH、またはエステルで置換されたアルケン;天然油;ナフテン油;パラフィン油;芳香油;シリコーン油(またはシリコーン流体);可塑剤;粘着付与剤;ならびに前記油、可塑剤、及び粘着付与剤のエステル、アルコール、及び酸;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0029】
一実施形態において、バインダーは、以下の、ポリエーテルポリオール;脂肪族炭化水素油;7n〜18個の炭素原子を有し、任意選択でOH、COH、またはエステルで置換されたアルカン;7〜18個の炭素原子を有し、任意選択でOH、COH、またはエステルで置換されたアルケン;天然油;ナフテン油;パラフィン油;芳香油;シリコーン油(またはシリコーン流体);可塑剤;粘着付与剤;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0030】
一実施形態において、バインダーは、以下の、ポリエーテルポリオール;脂肪族炭化水素油;7〜18個の炭素原子を有し、任意選択でOH、COH、またはエステルで置換されたアルカン;7〜18個の炭素原子を有し、任意選択でOH、COH、またはエステルで置換されたアルケン;天然油;ナフテン油;パラフィン油;芳香油;シリコーン油(またはシリコーン流体);及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0031】
一実施形態において、バインダーはシリコーン油(またはシリコーン流体)である。
【0032】
一実施形態において、組成物は、組成物の総重量を基準として、0.01〜1.0重量パーセント、または0.02〜0.5重量パーセントのバインダーを含む。
【0033】
一実施形態において、バインダーは、構造式−Si(R)−O−(式中、R基はC−C18のヒドロカルビル基である)を有するシロキサンポリマーである。さらなる実施形態において、Rは、脂肪族基及び芳香族基から選択される。さらなる実施形態において、Rはメチルである。
【0034】
一実施形態において、バインダーは、200〜2000cSt、または250〜1800cSt、または300〜1600cSt、または350〜1200cStの25℃での粘度を有する。
【0035】
一実施形態において、組成物は、組成物の重量を基準として、0.02〜3.00重量パーセント、または0.04〜2.50重量パーセント、または0.06〜2.00重量パーセント、または0.08〜1.50重量パーセントの粉体組成物を含む。
【0036】
一実施形態において、組成物は、組成物の重量を基準として、0.10〜3.00重量パーセント、または0.20〜2.50重量パーセント、または0.30〜2.00重量パーセント、または0.30〜1.50重量パーセント、または0.40〜1.50重量パーセントの粉体組成物を含む。
【0037】
一実施形態において、組成物は、組成物の重量を基準として、0.02〜5.00重量パーセント、または0.04〜4.50重量パーセント、または0.06〜3.50重量パーセント、または0.08〜3.00重量パーセントの粉体組成物を含む。
【0038】
一実施形態において、組成物は、組成物の重量を基準として、0.10〜5.00重量パーセント、または0.20〜4.50重量パーセント、または0.30〜3.50重量パーセント、または0.40〜3.00重量パーセント、または0.40〜2.50重量パーセントの粉体組成物を含む。
【0039】
一実施形態において、組成物は、コーティングされていないポリマー粒子の重量を基準として、0.02〜3.00重量パーセント、または0.04〜2.50重量パーセント、または0.06〜2.00重量パーセント、または0.08〜1.50重量パーセントの粉体組成物を含む。
【0040】
一実施形態において、組成物は、コーティングされていないポリマー粒子の重量を基準として、0.10〜3.00重量パーセント、または0.20〜2.50重量パーセント、または0.30〜2.00重量パーセント、または0.30〜1.50重量パーセント、または0.40〜1.50重量パーセントの粉体組成物を含む。
【0041】
一実施形態において、組成物は、コーティングされていないポリマー粒子の重量を基準として、0.02〜5.00重量パーセント、または0.04〜4.50重量パーセント、または0.06〜3.50重量パーセント、または0.08〜3.00重量パーセントの粉体組成物を含む。
【0042】
一実施形態において、組成物は、コーティングされていないポリマー粒子の重量を基準として、0.10〜5.00重量パーセント、または0.20〜4.50重量パーセント、または0.30〜3.50重量パーセント、または0.40〜3.00重量パーセント、または0.50〜2.50重量パーセントの粉体組成物を含む。
【0043】
一実施形態において、有機粉体の総量と無機粉体の総量の合計は、粉体組成物の総重量の≧90重量%、または≧95重量%、または≧98重量%、または≧99重量%を構成する。
【0044】
一実施形態において、組成物は、≦1600lb/ft、さらに≦1500lb/ft、さらに≦1400lb/ft、さらに≦1300lb/ft、さらに≦1200lb/ftの0℃での単軸崩壊応力を有する。一実施形態において、組成物は、≦1100lb/ft、さらに≦1000lb/ft、さらに≦900lb/ftの0℃での単軸崩壊応力を有する。
【0045】
一実施形態において、組成物は、≦900lb/ft、さらに≦880lb/ft、さらに≦860lb/ftの0℃での単軸崩壊応力を有する。一実施形態において、組成物は、≦840lb/ft、さらに≦820lb/ft、さらに≦800lb/ftの0℃での単軸崩壊応力を有する。一実施形態において、組成物は、≦780lb/ft、さらに≦760lb/ft、さらに≦740lb/ftの単軸崩壊応力を有する。
【0046】
一実施形態において、組成物は、≧240mJ、さらに≧300mJ、さらに≧400mJ、さらに≧500mJ、さらに≧600mJ、さらに≧700mJ、さらに≧800mJ、さらに≧900mJ、さらに≧1000mJのインダクタンスなしの最小発火エネルギー(MIE)を有する。
【0047】
一実施形態において、組成物は、≧240mJ、さらに≧300mJ、さらに≧400mJ、さらに≧500mJ、さらに≧600mJ、さらに≧700mJ、さらに≧800mJ、さらに≧900mJ、さらに≧1000mJのインダクタンスありの最小発火エネルギー(MIE)を有する。
【0048】
本発明はまた、本発明の組成物を形成するプロセスも提供し、前記プロセスは、本明細書に記載されるように、ポリマー粒子と粉体組成物を接触させることを含む。さらなる実施形態において、前記プロセスは、ポリマー粒子とバインダーを接触させ、バインダーがコーティングされた粒子を形成させることと、本明細書に記載されるように、バインダーがコーティングされた粒子と粉体組成物を接触させることと、を含む。
【0049】
一実施形態において、ポリマー粒子は、初めにバインダーと接触し、次いで粉体組成物と接触する。
【0050】
一実施形態において、バインダー及び粉体組成物は、同時にポリマー粒子と接触する。
【0051】
一実施形態において、ポリマー粒子は、バインダーと接触し、次いで本明細書に記載されるように、粉体組成物と接触し、次いでさらにバインダー、粉体組成物と接触、またはバイダー及び粉体組成物の両方と接触する。
【0052】
また、本発明の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品も提供される。
【0053】
また、本発明の組成物を形成するためのプロセスも提供され、前記プロセスは、(例えば、前記粒子を加熱することによって)ポリマー粒子を軟化させること、次いで本明細書に記載されるように、前記ポリマー粒子と粉体コーティングを接触させることを含み、それにより、粉体組成物の少なくとも一部が、ポリマー粒子に機械的に付着する。さらなる実施形態において、粉体組成物は、ポリマー粒子の総表面の少なくとも約50パーセントに付着する。
【0054】
本発明のプロセスは、本明細書で記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。本発明の組成物は、本明細書で記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。本発明の粉体組成物は、本明細書で記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。
【0055】
ポリマー粒子
本明細書で使用される場合、粉体組成物、もしくはバインダー、またはバインダーと粉体組成物とで、コーティングされた粒子に関連して、「ポリマー粒子」という用語は、典型的にはポリマーペレットを指すが、またポリマービーズ、フレーク、または粉体を指してもよい。ポリマー粒子のD50値は、粉体組成物のD50値よりも大きく、ポリマー粒子のD50値は、本明細書に記載される粉体組成物のD50値の2倍よりも大きく、さらに5倍よりも大きく、さらに10倍よりも大きいことが好ましい。典型的なポリマー粒子は、一般に、実質的に血小板状、球状、円筒状、または棒状である。ポリマー次第で断面積は様々であり得るが、ポリマー粒子の断面積は、3×10−3平方インチ(1.93×10−2平方センチメートル)〜0.2平方インチ(1.29平方センチメートル)が好ましい、すなわち、断面が例えば円形の場合、直径は、1/16インチ(0.15875cm)〜1/2インチ(1.27cm)である。一実施形態において、粒子は、0.01平方インチ(6.45×10−2平方センチメートル)〜0.05平方インチ(0.322平方センチメートル)の断面積を有する、すなわち、断面が例えば円形の場合、直径は、0.125インチ(0.3175cm)〜0.375インチ(0.9525cm)である。一実施形態において、粒子は0.25cm〜0.40cmの直径である。
【0056】
上述のように、ポリマー粒子は、微粒子固体の形態であり、粉体からペレットのサイズの範囲である。ペレットは、微粒子固体であり、限定するものではないが、一般に押出成形及び造粒プロセスを通して、2mm超、典型的には2mm〜10mm、さらに2mm〜6mm、及びさらに2mm〜4mmの典型的な平均粒径(長径の平均)で、形成される。マイクロペレットは、典型的には、標準ペレットよりも小さく、一般の商業用ダイの能力から生成される平均粒径よりも依然として大きい平均粒径を有する。マイクロペレットの平均粒径は、典型的には200マイクロメートル〜2mmの範囲である。マイクロペレットは、一般に半球形状を示す。
【0057】
ポリマー粒子は、任意のポリマー、例えばオレフィン系ポリマーを含むポリマー組成物から形成することができる。例示的なオレフィン系ポリマーとしては、これらに限定されないが、エチレンホモポリマー、ならびにエチレンと、C−C10αモノオレフィン、C−C20モノカルボン酸のC−C12アルキルエステル、不飽和C−C20モノまたはジカルボンン酸、不飽和C−Cジカルボン酸の無水物、及び飽和C−C18カルボン酸のビニルエステルからなる群から選択される、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーとのインターポリマーまたはコポリマーが挙げられる。
【0058】
例示的なオレフィン系ポリマーとしては、これらに限定されないが、プロピレンホモポリマー、ならびにプロピレンと、C及びC−C10αモノオレフィン、C−C20モノカルボン酸のC−C12アルキルエステル、不飽和C−C20モノまたはジカルボンン酸、不飽和C−Cジカルボン酸の無水物、及び飽和C−C18カルボン酸のビニルエステルからなる群から選択される、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーのインターポリマーまたはコポリマーがさらに挙げられる。
【0059】
一実施形態において、ポリマー粒子は、オレフィン系ポリマー、さらにオレフィン系インターポリマー、さらにオレフィン系コポリマーを含むポリマー組成物から形成される。
【0060】
一実施形態において、ポリマー粒子は、オレフィン系ポリマーを含むポリマー組成物から形成される。さらなる実施形態において、オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマー、及びさらにエチレン系インターポリマーである。適切なエチレン系インターポリマーとしては、これらに限定されないが、エチレン/αオレフィンインターポリマー、またはコポリマー、例えばエチレン/C−Cαオレフィンインターポリマーまたはコポリマーが挙げられる。
【0061】
一実施形態において、ポリマー粒子は、オレフィン系ポリマーを含むポリマー組成物から形成される。さらなる実施形態において、オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィン/ジエンターポリマー、例えばエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーである。
【0062】
一実施形態において、ポリマー粒子は、オレフィン系ポリマーを含むポリマー組成物から形成される。さらなる実施形態において、オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマー、及びプロピレン系ポリマーからなる群から選択される。
【0063】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン系インターポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、3〜8個の炭素原子を有するもの、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。
【0064】
一実施形態において、ポリマー粒子は、以下の特性、密度、Mn、Mw、MWD、コモノマー種、及び/またはコモノマー含量の1つ以上において異なる、少なくとも2つのオレフィン系ポリマーを含むポリマー組成物から形成される。
【0065】
一実施形態において、ポリマー粒子は、エチレン系ポリマー、さらにエチレン系インターポリマー、及びさらにエチレン系コポリマーを含むポリマー組成物から形成される。
【0066】
一実施形態において、エチレン系ポリマー、及びさらにエチレン系インターポリマーは、0.850〜0.920g/cc、または0.852〜0.910g/cc、または0.854〜0.900g/cc、または0.856〜0.890g/cc、または0.858〜0.880g/cc(1cc=1cm)の密度を有する。さらなる実施形態において、エチレン系インターポリマーは、エチレン/αオレフィンインターポリマー、及びまたはエチレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、3〜8個の炭素原子を有するもの、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。
【0067】
一実施形態において、エチレン系ポリマー、及びさらにエチレン系インターポリマーは、0.860〜0.920g/cc、または0.865〜0.910g/cc、または0.870〜0.900g/cc(1cc=1cm)の密度を有する。さらなる実施形態において、エチレン系インターポリマーは、エチレン/αオレフィンインターポリマー、及びまたはエチレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、3〜8個の炭素原子を有するもの、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。
【0068】
一実施形態において、エチレン系ポリマー、及びさらにエチレン系インターポリマーは、0.1〜50g/10分、または0.5〜40g/10分、または0.8〜30g/10分のメルトインデックス(I2、190℃及び2.16kg)を有する。さらなる実施形態において、エチレン系インターポリマーは、エチレン/αオレフィンインターポリマー、及びまたはエチレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、3〜8個の炭素原子を有するもの、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。
【0069】
一実施形態において、エチレン系ポリマー、及びさらにエチレン系インターポリマーは、0.1〜10g/10分、または0.5〜8.0g/10分、または0.8〜6.0g/10分のメルトインデックス(I2、190℃及び2,16kg)を有する。さらなる実施形態において、エチレン系インターポリマーは、エチレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、3〜8個の炭素原子を有するもの、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。
【0070】
一実施形態において、エチレン系ポリマー、及びさらにエチレン系インターポリマーは、0.1〜5.0g/10分、または0.2〜4.5g/10分、または0.3〜4.0g/10分、または0.4〜3.5g/10分、または0.5〜3.0g/10分、または0.6〜2.5g/10分、または0.6〜2.0g/10分、のメルトインデックス(I2、190℃及び2,16kg)を有する。さらなる実施形態において、エチレン系インターポリマーは、エチレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、3〜8個の炭素原子を有するもの、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。
【0071】
一実施形態において、エチレン系ポリマー、及びさらにエチレン系インターポリマーは、1.7〜3.5、または1.8〜3.0、または1.8〜2.8、または1.8〜2.5の分子量分布(MWD)を有する。さらなる実施形態において、エチレン系インターポリマーは、エチレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、3〜8個の炭素原子を有するもの、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。
【0072】
エチレン系ポリマーは、本明細書で記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。エチレン系インターポリマーは、本明細書で記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。エチレン系コポリマーは、本明細書で記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。
【0073】
一実施形態において、ポリマー粒子は、プロピレン系ポリマー、さらにプロピレン系インターポリマー、及びさらにプロピレン系コポリマーを含むポリマー組成物から形成される。
【0074】
一実施形態において、プロピレン系ポリマー、及びさらにプロピレン系インターポリマーは、0.1〜50g/10分、または0.5〜40g/10分、または1.0〜30g/10分のメルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg重量)を有する。さらなる実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにプロピレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、4〜8個の炭素原子を有するもの、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマー、及びさらにプロピレン/エチレンコポリマーである。
【0075】
一実施形態において、プロピレン系ポリマー、及びさらにプロピレン系インターポリマーは、0.1〜10g/10分、または0.5〜8.0g/10分、または1.0〜6.0g/10分のメルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg重量)を有する。さらなる実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにプロピレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、4〜8個の炭素原子を有するもの、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマー、及びさらにプロピレン/エチレンコポリマーである。
【0076】
一実施形態において、プロピレン系ポリマー、及びさらにプロピレン系インターポリマーは、0.860〜0.920g/cc、または0.865〜0.910g/cc、または0.870〜0.900g/cc(1cc=1cm)の密度を有する。さらなる実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにプロピレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、4〜8個の炭素原子を有するもの、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマー、及びさらにプロピレン/エチレンコポリマーである。
【0077】
一実施形態において、プロピレン系ポリマー、及びさらにプロピレン系インターポリマーは、3.5以下、または3.0以下、または1.8〜3.5、または1.8〜3.0の分子量分布(MWD)を有する。さらなる実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにプロピレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、4〜8個の炭素原子を有するもの、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマー、及びさらにプロピレン/エチレンコポリマーである。
【0078】
このようなプロピレン/αオレフィンインターポリマー及びコポリマー、ならびにプロピレン/エチレンインターポリマーまたはコポリマーの例は、米国特許第6,960,635号及び同第6,525,157号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。適切なコポリマーは、The Dow Chemical CompanyからVERSIFYの商標で、ExxonMobil Chemical CompanyからVISTAMAXXの商標で市販されている。
【0079】
プロピレン系ポリマーは、本明細書で記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。プロピレン系インターポリマーは、本明細書で記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。プロピレン系コポリマーは、本明細書で記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。
【0080】
一実施形態において、上述のように、ポリマー粒子は、オレフィン系ポリマーを含むポリマー組成物から形成される。
【0081】
一実施形態において、オレフィン系ポリマーは、0.854〜0.945、または0.860〜0.940g/cc、または0.865〜0.930g/cc、または0.870〜0.920g/cc(1cc=1cm)の密度を有する。さらなる実施形態において、オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、3〜8個の炭素原子を有するもの、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。別の実施形態において、オレフィン系ポリマーは、プロピレン系ポリマー、及びさらにプロピレン系インターポリマーである。さらなる実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにプロピレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、4〜8個の炭素原子を有するもの、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマー、及びさらにプロピレン/エチレンコポリマーである。
【0082】
一実施形態において、オレフィン系ポリマーは、50パーセント未満、または5〜35パーセント、または7〜20パーセントの結晶化度を有する。さらなる実施形態において、オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、3〜8個の炭素原子を有するもの、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。別の実施形態において、オレフィン系ポリマーは、プロピレン系ポリマー、及びさらにプロピレン系インターポリマーである。さらなる実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにプロピレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、4〜8個の炭素原子を有するもの、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマー、及びさらにプロピレン/エチレンコポリマーである。
【0083】
一実施形態において、オレフィン系ポリマーは、110℃未満、または25〜100℃、または40〜90℃の融点を有する。さらなる実施形態において、オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、3〜8個の炭素原子を有するもの、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。別の実施形態において、オレフィン系ポリマーは、プロピレン系ポリマー、及びさらにプロピレン系インターポリマーである。さらなる実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにプロピレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、4〜8個の炭素原子を有するもの、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマー、及びさらにプロピレン/エチレンコポリマーである。
【0084】
一実施形態において、オレフィン系ポリマーは、20,000g/モル超、または20,000〜1,000,000g/モル、または50,000〜500,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。さらなる実施形態において、オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、3〜8個の炭素原子を有するもの、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。別の実施形態において、オレフィン系ポリマーは、プロピレン系ポリマー、及びさらにプロピレン系インターポリマーである。さらなる実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにプロピレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、4〜8個の炭素原子を有するもの、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマー、及びさらにプロピレン/エチレンコポリマーである。
【0085】
一実施形態において、オレフィン系ポリマーは、10,000g/モル超、または10,000〜200,000g/モル、または20,000〜100,000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する。さらなる実施形態において、オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、3〜8個の炭素原子を有するもの、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。別の実施形態において、オレフィン系ポリマーは、プロピレン系ポリマー、及びさらにプロピレン系インターポリマーである。さらなる実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/αオレフィンインターポリマー、及びさらにプロピレン/αオレフィンコポリマーである。好ましいαオレフィンは、4〜8個の炭素原子を有するもの、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンである。別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマー、及びさらにプロピレン/エチレンコポリマーである。
【0086】
一実施形態において、オレフィン系ポリマーは、Elstonによって発行された米国特許第3,645,992号において記載されている均質のポリマー、Andersonによって発行された米国特許第4,076,698号において記載されている高密度ポリエチレン(HDPE)、不均質に分岐した直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、不均質に分岐した超直鎖状低密度ポリエチレン(ULDPE)、均質に分岐した直鎖状エチレン/αオレフィンコポリマー、例えば米国特許第5,272,236号及び同第5,278,272号において記載されているプロセスによって調製することができる、その開示は参照により本明細書に組み込まれる、均質に分岐した実質的直鎖状エチレン/αオレフィンポリマー、及び高圧、フリーラジカル重合したエチレンポリマー及びコポリマー、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)から選択される。
【0087】
一実施形態において、オレフィン系ポリマーは、オレフィンブロックコポリマー、例えばエチレンマルチブロックコポリマー、例えば国際特許公開第WO2005/090427号、及び米国特許公開第2006/0199930号において記載されるものである。
【0088】
一実施形態において、オレフィン系ポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)である。さらなる実施形態において、LDPEは、0.910〜0.925g/ccの密度、及び0.1〜100g/10分のメルトインデックス(I2、190℃、2.16kg重量)を有する。
【0089】
一実施形態において、オレフィン系ポリマーは、エチレン酢酸ビニル(EVA)である。別の実施形態において、オレフィン系ポリマーは、エチレンメチルアクリレート(EMA)である。
【0090】
一実施形態において、オレフィン系ポリマーは、エチレンアクリル酸(EAA)コポリマー、またはエチレンメタクリル酸コポリマーである。
【0091】
一実施形態において、ポリマー組成物は、1つ以上の添加剤を含む。添加剤としては、これらに限定されないが、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤(例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、及び顔料)、粘度調整剤、ブロッキング防止剤、離型剤、摩擦係数(COF)調整剤、熱安定化剤、臭気調整剤/吸収剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0092】
ポリマー粒子は、本明細書で記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。ポリマー組成物は、本明細書で記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。
【0093】
オレフィン系ポリマーは、本明細書で記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。オレフィン系インターポリマーは、本明細書で記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。オレフィン系コポリマーは、本明細書で記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。
【0094】
粉体組成物
本明細書に記載される粉体組成物は、このような組成物がポリマー粒子の表面に十分な量が物理的にコーティングされる場合、ポリマー粒子ブロッキング、すなわち、ケーキング、凝塊、凝集、及び/または粘着を低減させるのを促進するために使用されることが見出された。したがって、ポリマー粒子は、もしそうしなければ、ケーキングまたは凝塊を促進し得る温度、保存時間、及び圧縮下においても、実質的に自由流動性のままである。
【0095】
無機粉体としては、これらに限定されないが、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、石英、超微粒子状またはヒュームドシリカ、アルミナ三水和物、大理石粉塵、セメント粉塵、粘土、長石、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、チタネート、及びチョークが挙げられる。
【0096】
一実施形態において、無機粉体は、約100未満、または約50未満、または約20マイクロメートル未満のD50値を有する。一実施形態において、無機粉体は、0.5マイクロメートル超、1マイクロメートル超、または2マイクロメートル超のD50値を有する。
【0097】
本発明に有用な有機粉体としては、ステアリン酸金属塩、ポリマー粉体、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ポリマー粉体の例としては、粉体エチレン系ポリマー(例えば、粉体ポリエチレンホモポリマー)、粉体ポリスチレン、及び粉体プロピレン系ポリマー(例えば、粉体ポリプロピレンホモポリマー)が挙げられる。
【0098】
一実施形態において、有機粉体は、約100マイクロメートル未満、または約50マイクロメートル未満、または約20マイクロメートル未満のD50値を有する。一実施形態において、有機粉体は、0.5マイクロメートル超、1マイクロメートル超、または2マイクロメートル超のD50値を有する。
【0099】
粉体組成物は、典型的には有効量が用いられる。有効量は、しばしば様々であり、ブロッキング防止剤、ポリマー、用途のプロセス、及び組成物の他の成分次第である。典型的には、粉体組成物の有効量は、粉体組成物でコーティングされたポリマー粒子を含む組成物の単軸崩壊応力を、コーティングされていないポリマー粒子を含むことを除いて、すべての点で同様である組成物の単軸崩壊応力と比較して、少なくとも約20パーセント、好ましくは少なくとも約30パーセント減少させる量である。多くの実例において、単軸崩壊応力は、50パーセント超、または100パーセント超、またはさらに500パーセント以上減少し得る。
【0100】
一般に、粉体組成物の最大有効量は、ポリマー粒子の所望の最終使用用途において、ポリマーの物理的特性が悪影響を受けない、粉体組成物の最大量である。一般に、粉体組成物の量は、組成物の総重量を基準として、約5.0重量パーセント未満、または約4.0重量パーセント未満、または約3.0重量パーセント未満である。
【0101】
一実施形態において、粉体組成物の量は、組成物の総重量を基準として、少なくとも0.05重量パーセント、または少なくとも約0.10重量パーセント、または少なくとも0.20重量パーセントである。一実施形態において、粉体組成物の量は、組成物の総重量を基準として、少なくとも0.25重量パーセント、または少なくとも約0.30重量パーセント、または少なくとも0.35重量パーセント、または少なくとも約0.40重量パーセント、または少なくとも0.45重量パーセントである。
【0102】
バインダー
バインダーは、粉体組成物をポリマー粒子に固定し、定着させる薬剤であり、それにより、通常の取り扱い及び輸送条件で、粉体組成物の大部分がポリマー粒子上に留まる。いくつかの粉体組成物はまた、バインダーそのものとして機能し得るが、ほとんどの実例において、バインダーは、粉体組成物と異なる。
【0103】
バインダーの種類、及びその有効量は、様々であり、粉体組成物、ポリマー、及び組成物の他の成分次第である。好ましいバインダーは、粘度があまり高くないものであり、それにより、バインダーは塗布するのが難しい。一方では、粘度は、低すぎてはならず、粉体組成物からの過度の粉塵が生じる。一般に、25℃で、50〜60,000センチストークス、または100〜10,000センチストークスの範囲の粘度を有する油が有用である。
【0104】
一実施形態において、バインダーは、以下の、シリコーン油(またはシリコーン流体)、ポリエーテルポリオール、脂肪族炭化水素油、例えば鉱物油、及び1つ以上の炭素が任意選択でOH、COH、またはエステルで置換された、7〜18個の炭素原子を有するアルカンまたはアルケンからなる群から選択される。バインダーとしてはまた、天然油、例えばカスター、トウモロコシ、綿実、オリーブ、菜種、大豆、ヒマワリ、他の植物及び動物油、ならびにナフテン系、パラフィン系、芳香族系、及びシリコーン油(またはシリコーン流体)、及びエステル、アルコール、及び前記油の酸またはそれらのエマルジョンが挙げられる。可塑剤または粘着付与剤としてしばしば用いられる物質もまた、バインダーとして有用であり得る。
【0105】
一実施形態において、バインダーは、現実には熱可塑性ではない。
【0106】
一実施形態において、バインダーは、構造式−Si(R)−O−(式中、R基はC−C18のヒドロカルビル基である)を有するシロキサンポリマーである。詳細には、好ましいヒドロカルビル基としては、脂肪族及び芳香族基が挙げられる。Rに関して特に好ましい基は、メチル基である。これらの材料は、Dow Corningから市販されている。
【0107】
バインダーは、精製された形態、溶液、エマルジョン、または混合物で用いることができる。粉体組成物及びポリマー粒子を混合することは、特に非熱可塑性バインダーを使用する場合には、最小限にしておく必要がある。過度の混合は、表面凝離をもたらすことがあり、非均質層をもたらす。
【0108】
発明のプロセス
一実施形態において、バインダーは、粉体組成物をポリマー粒子に結合させるために使用される。別の実施形態において、粉体組成物は、バインダーの使用なしに、ポリマー粒子に結合する。
【0109】
一実施形態において、本発明の組成物を形成するプロセスは、ポリマー粒子をバインダー及び粉体組成物と接触させることを含む。ポリマー粒子は、バインダーの前、後、または同時に、粉体組成物と接触することができる。いかなる場合においても、バインダー及び粉体組成は、ポリマー粒子が、所望の薬剤で十分に、物理的にコーティングされ得るような条件下で、ポリマー粒子と接触する必要がある。
【0110】
このような接触は、バインダーの一部またはすべてのポリマー粒子への第1の液体給液、またはポリマー粒子をバインダーの一部またはすべてに浸漬することによって実施されることが好ましい。粉体組成物は、次いでバインダーでプレコーティングされたポリマー粒子に散布される。ポリマー粒子が粉体組成物で十分にコーティングされる限り、接触及び散布手段は様々であってもよく、それにより、粉体組成物がポリマー粒子の表面に付着し、所望の単軸崩壊応力を有する粒子が得られる。通常は、プロセスは、表面コーティングの平均量がポリマー粒子の総表面積を基準として、約50パーセント超、及び好ましくは約60パーセント超、または80パーセント超である限り、十分である。
【0111】
一実施形態において、粉体組成物から形成されるコーティングの厚さは、1.0マイクロメートル〜150マイクロメートル、または5.0マイクロメートル〜100マイクロメートル、または10マイクロメートル〜50マイクロメートルである。値はまた、ポリマー粒子(例えば、ペレット)の平均径のパーセント増加に関連して表されてもよい。このパーセント増加は、一般に、粉体組成物の量、及び適用するために使用される方法、及びプロセス、コーティング次第で、0.01パーセント〜15パーセントである。
【0112】
配合する装置/プロセスの例としては、ポリマー粒子を揺り動かす任意の機械的手段、例えば広口瓶の単純な混転、または円錐形回転容器内での配合、リボンブレンダー、ドラムタンブラー、パドルブレンダー、凝塊パン、及び流動床操作などが挙げられる。一実施形態において、コーティングプロセスとしては、空気または不活性ガス下での空気コンベヤーの使用が挙げられる。適度な撹拌、振とう、またはさらにスクリューコンベヤー内での短い距離の運搬は、このような適切な薬剤の散布に関して十分であり得る。用いられる接触の種類は、ポリマー粒子が、バインダー剤及び粉体組成物と別々の時間に接触する場合、バインダー及び粉体組成に関して、同じであっても異なっていてもよい。
【0113】
薬剤(バインダー及び/または粉体組成物)とポリマー粒子の接触は、薬剤が、蒸発、凝固、高粘度化、またはポリマー粒子との顕著な反応をしない、任意の温度で実施することができる。このような温度はしばしば組成物の成分次第で様々であるが、典型的には、−10℃〜150℃、さらに0℃〜60℃、または5℃〜35℃である。
【0114】
いくつかの状況において、バインダーを用いることは望ましくないかもしれない。このような状況としては、例えば、バインダーがポリマー粒子の最終使用用途を妨げるようになる場合が挙げられる。いくつかの状況において、粉体組成物の量を最小化することも望ましいことがある。この方法において、(粉体組成物からの)関連のない環境粉塵は、最小化することができる。例えば、フィルムが最終組成物から作製され、光学特性が重要である場合も、粉体組成物の量を低減することは有利である。
【0115】
バインダーを必要としない組成物は、上述と同じ種類のポリマー粒子及び粉体組成物を用いる。一実施形態において、粉体組成物の量は、組成物の3.0未満、または2.0未満、または約1.5未満、または約0.5未満、または約0.3重量パーセント未満に低減することができる。対応して、粉体組成物の有効量は、典型的には、組成物の少なくとも0.08、または少なくとも約0.1、または少なくとも約0.15重量パーセントである。
【0116】
一実施形態において、粉体組成物は、機械的にポリマー粒子に付着される。一実施形態において、プロセスは、粉体組成物の有効量を、ポリマー粒子の約40パーセント超、さらに約50パーセント超、さらに約60パーセント超に機械的に付着させることを含む。この方法において、付着した粉体組成物の有効量を有するポリマー粒子は、付着した粉体組成物の有効量を有さない多数のポリマー粒子が、凝塊またはブロッキングすることを防止するための障壁として機能するようになる。粒子が埋め込まれている深さ、及び粉体組成物の量は、ポリマー粒子上の粉体組成物の厚さを決定するようになる。この厚さもまた、もちろん様々であり、単軸崩壊応力によって決定されるように、ポリマーの種類、ポリマーのサイズ、粉体組成物の種類、及び粉体組成物の所望の量次第である。これらのコーティング形体は、例えば走査電子顕微鏡検査法(SEM)によって測定することができる。
【0117】
粉体組成物は、任意の方法でポリマー粒子に機械的に付着させることができる。これは、粒子形成と同時に、または続いて達成することができる。これが達成され得る1つの方法は、例えば、ポリマー粒子をインパクトコーティングすることにより、その結果、粉体組成物の所望の量が、ポリマー粒子の所望の量に付着する。これは、蒸気の使用によって促進することができる。
【0118】
粉体組成物を機械的に付着させる別の方法は、ポリマー粒子と粉体組成物とを接触させる前に、と同時に、または後に、ポリマー粒子を軟化させることである。軟化は、表面が十分に軟化して、粉体組成物の有効量をポリマー粒子の外側表面に付着させる限り、任意の方法で行うことができる。しかしながら、ポリマー粒子は過度に軟化されてはならず、
もはや別個の粒子でなく、すなわち、ポリマー粒子は溶融または互いに付着してはならない。一般に、ポリマー粒子の表面がやや粘着性になり、コーティングの準備ができていることは、通常観察(例えば、目視観察)することができる。これが発生する点は、用いられるポリマー及び粉体組成物の種類によって様々である。軟化方法の選択は様々であり、ポリマーの種類、粉体組成物の種類、及び所望の結果次第である。一般に、熱風による加熱、放射(UV、IR、可視)、接触加熱、またはこれらの組み合わせを用いることができる。一般に、ポリマー粒子の表面がやや粘着性になり、コーティングの準備ができているようになるので、粒子が十分に加熱された場合、通常観察することができる。述べたように、これが発生する点は、用いられるポリマーの種類、粒子のサイズ、及び粉体組成物の種類によって様々である。
【0119】
物品
本発明はまた、本発明の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品も提供する。物品としては、これらに限定されないが、射出成型物品、熱成形物品、及び発泡体が挙げられる。追加的な物品としては、医療用装置(例えば、圧力計腕帯及び安定化装置)、ふくらませて使う物品(例えば、玩具、船舶、クッション材、及び家具)、シート材料(例えば、日よけ、バナー、標識、テント、防水シート、及びプール、池、または埋立地のライナー)、製本、及び担体(例えば、スポーツバッグ、及びバックパック)が挙げられる。追加的な物品としては、自動車部品が挙げられる。
【0120】
定義
反対に、文脈から黙示的に、または当該技術分野において慣習的に規定されない限り、すべての部及びパーセンテージは、重量に基づき、すべての試験方法は、本開示の出願日の時点で最新のものである。
【0121】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、材料の混合物を含み、それは、組成物、ならびに組成物の材料から形成される反応生成物及び分解生成物を含む。任意の反応生成物または分解生成物は、典型的には、微量または残量で存在する。
【0122】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、同じ種類または異なる種類にかかわらず、モノマーを重合させることによって調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、以下で定義されるホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下で、1種類のモノマーのみから調製されるポリマーを指すために用いられる)、及びインターポリマーという用語を包含する。触媒残留物などの微量の不純物は、ポリマーに組み込まれてもよく、かつ/またはポリマー内にあってもよい。
【0123】
本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、インターポリマーという用語は、コポリマーという用語(2つの異なるモノマーの種類から調製されるポリマーを指すために用いられる)、及び3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0124】
本明細書で使用される場合、「オレフィン系ポリマー」という用語は、ポリマー形態で、(ポリマーの重量を基準として)過半量のオレフィンモノマー、例えばエチレン、またはプロピレンなどを含み、及び任意選択で1つ以上のコモノマーを含むことができる、ポリマーを指す。
【0125】
本明細書で使用される場合、「オレフィン系インターポリマー」という用語は、ポリマー形態で、(インターポリマーの重量を基準として)過半量のオレフィンモノマー、例えばエチレン、またはプロピレン、及び1つ以上のコモノマーを含む、インターポリマーを指す。
【0126】
本明細書で使用される場合、「オレフィン系コポリマー」という用語は、ポリマー形態で、(コポリマーの重量を基準として)過半量のオレフィンモノマー、例えばエチレン、またはプロピレン、及び1つのコモノマーを含む、2つのモノマーの種類のみとしての、コポリマーを指す。
【0127】
本明細書で使用される場合、「エチレン系ポリマー」という用語は、ポリマー形態で、(ポリマーの重量を基準として)過半量のエチレンモノマーを含み、及び任意選択で1つ以上のコモノマーを含むことができる、ポリマーを指す。
【0128】
本明細書で使用される場合、「エチレン系インターポリマー」という用語は、ポリマー形態で、(インターポリマーの重量を基準として)過半量のエチレンモノマー、及び1つ以上のコモノマーを含む、インターポリマーを指す。
【0129】
本明細書で使用される場合、「エチレン/αオレフィンインターポリマー」という用語は、ポリマー形態で、(インターポリマーの重量を基準として)過半量のエチレンモノマー、及び少なくとも1つのαオレフィンを含むインターポリマーを指す。
【0130】
本明細書で使用される場合、「エチレン系コポリマー」という用語は、ポリマー形態で、(コポリマーの重量を基準として)過半量のエチレンモノマー、及び1つのコモノマーを含む、2つのモノマーの種類のみとしての、コポリマーを指す。
【0131】
本明細書で使用される場合、「エチレン/αオレフィンコポリマー」という用語は、ポリマー形態で、(コポリマーの重量を基準として)過半量のエチレンモノマー、及びαオレフィンを含み、2つのモノマーの種類のみとしての、コポリマーを指す。
【0132】
本明細書で使用される場合、「エチレン/αオレフィン/ジエンインターポリマー」という用語は、ポリマー形態で、エチレンモノマー、αオレフィン、及びジエンを含むインターポリマーを指す。典型的には、「エチレン/αオレフィン/ジエンインターポリマー」は、ポリマー形態で、インターポリマーの重量を基準として、過半量のエチレンポリマーを含む。
【0133】
本明細書で使用される場合、「プロピレン系ポリマー」という用語は、ポリマー形態で、(ポリマーの重量を基準として)過半量のプロピレンモノマーを含み、及び任意選択で1つ以上のコモノマーを含むことができる、ポリマーを指す。
【0134】
本明細書で使用される場合、「プロピレン系インターポリマー」という用語は、ポリマー形態の、(インターポリマーの重量を基準として)過半量のプロピレンモノマー、及び1つ以上のコモノマーを含む、インターポリマーを指す。
【0135】
本明細書で使用される場合、「プロピレン系コポリマー」という用語は、ポリマー形態で、(コポリマーの重量を基準として)過半量のプロピレンモノマー、及び1つのコモノマーを含む、2つのモノマーの種類のみとしての、コポリマーを指す。
【0136】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/αオレフィンインターポリマー」という用語は、ポリマー形態で、(インターポリマーの重量を基準として)過半量のプロピレンモノマー、及び少なくとも1つのαオレフィンを含むインターポリマーを指す。
【0137】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/αオレフィンコポリマー」という用語は、ポリマー形態で、(コポリマーの重量を基準として)過半量のプロピレンモノマー、及びαオレフィンを含み、2つのモノマーの種類のみとしての、コポリマーを指す。
【0138】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/エチレンインターポリマー」という用語は、ポリマー形態で、(インターポリマーの重量を基準として)過半量のプロピレンモノマー、及び少なくともエチレンを含むインターポリマーを指す。
【0139】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/エチレンコポリマー」という用語は、ポリマー形態で、(コポリマーの重量を基準として)過半量のプロピレンモノマー、及びエチレンを含む、2つのモノマーの種類のみとしての、コポリマーを指す。
【0140】
本明細書で使用される場合、「無機粉体」という用語は、炭素の酸化物、例えば炭酸カルシウム、及び炭素の硫化物、例えば二硫化炭素を除いて、炭素元素を含まない化学化合物を指す。
【0141】
本明細書で使用される場合、「有機粉体」という用語は、炭素の酸化物、例えば炭酸カルシウム、及び炭素の硫化物、例えば二硫化炭素を除いて、炭素元素を含む化学化合物を指す。
【0142】
本明細書で使用される場合、粉体組成物に関連する「ポリマー粉体」という用語は、ポリマー粒子のD50値より小さいD50値を有する微細ポリマー粒子を指す。典型的には、ポリマー粉体は、≦200マイクロメートルのD50値、さらに≦150マイクロメートルのD50値、さらに≦100マイクロメートルのD50値を有する。
【0143】
本明細書で使用される場合、「機械的に付着させる」という用語は、粉体組成物の粒子のポリマー粒子への物理的な結合を指す。例えば、粉体組成物の粒子が、ポリマー粒子の表面に埋め込まれている。
【0144】
「備えること」、「含むこと」、「有すること」という用語、及びそれらの派生語は、任意の追加の成分、ステップ、または手順の存在を、それらが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、除外するよう意図していない。いかなる疑いも回避するために、「備えること」という用語の使用によって特許請求されるすべての組成物は、反対の記述がない限り、ポリマーかまたはそうでないかにかかわらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対称的に、「から本質的になること」という用語は、実施可能性にとって必須ではないものを除いて、任意の他の成分、ステップ、または手順を、任意の連続的な列挙の範囲から除外する。「からなること」という用語は、具体的に記述または列挙されない任意の成分、ステップ、または手順を除外する。
【0145】
試験方法
密度は、ASTM D792(ASTM D4703、A1 Proc C、1時間以内の試験)に準拠して測定される。
【0146】
エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I)は、ASTM D−1238に準拠して、190℃、2.16kg荷重下で測定される。メルトインデックス(I)は、ASTM D−1238に準拠して、190℃、5kg荷重下で測定される。メルトインデックス(I10)は、ASTM D−1238に準拠して、190℃、10kg荷重下で測定される。メルトインデックス(I21)は、ASTM D−1238に準拠して、190℃、21.6kg荷重下で測定される。プロピレン系ポリマーのメルトフローレート(MFR)は、ASTM D−1238に準拠して、230℃/2.16kg条件で、測定される。
【0147】
粒径分布(D50、D10、D90)
粒径分布は、ユニバーサル液体モジュールを備えた、Beckman Coulter LS 13 320レーザー回折粒径分析器を使用して、測定することができる。この測定器は、粒子によって散乱する光の角度パターンが測定される、光散乱の原理を使用する。次いで、この散乱光パターンは、デコンボリューションアルゴリズムに送り込まれて、径分布を得る。この装置は、物理学の第一原理で作用し、したがって較正されない。散乱パターンは、粒子及び周囲の媒体の複素屈折率によって影響を受け得るので、精度を最大限にするために、粒子及び周囲の媒体の複素屈折率が、モデルによって考慮される。複素屈折率は、実数部と虚数部からなる。実数部は、1つの媒体から他の媒体へ伝播するとき、光の屈曲によって特徴付けられ、虚数部または複素部は、材料の吸収係数を表す。径分布測定において使用される屈折率は、ステアリン酸カルシウムに関しては1.46+0.05iで、タルクに関しては1.57+0.05であった。屈折率の選択の指針は、Beckman Coulter(Florida,USA)によって提供される、LS 13 320取扱説明書において見つけることができる。試料(粒子)は、イソプロピルアルコール中に懸濁され、次いで超音波処理浴(Fisher ScientificモデルFS−14)内で、5分間、超音波処理され、次いで、ポンプ速度50で動作する、ユニバーサル液体モジュール内に注入される。体積メジアン径(D50、典型的にマイクロメートル)は、体積分布の半分がこの点を超えて存在し、半分がこの点未満で存在する粒径として定義される。D10は、体積分布の10%がこの点(D10)未満で存在する粒径として定義される。D90は、体積分布の90%がこの点(D90)未満で存在する粒径として定義される。質量分布は、粒子の密度を用いて掛け算することによって算出することができる。
【0148】
以下の実施例は、本発明を例示するが、本発明の範囲を限定する意図はない。
【実施例】
【0149】
I.材料
ポリマー:The Dow Chemical Companyから入手可能である、ENGAGE7467(I2=1.0〜1.4g/10分、密度=0.859−0.865g/cc)
ポリマー:The Dow Chemical Companyから入手可能である、ENGAGE8842(I2=0.75〜1.25g/10分、密度=0.854〜0.860g/cc)
ポリマー:The Dow Chemical Companyから入手可能である、NORDEL4785(ムーニー粘度(ML1+4、125°C、過半重量%のエチレン))。
無機粉体:タルク:Specialty Mineralsから入手可能である、TALCRON MP10−52。
有機粉体:ステアリン酸カルシウム(CaSt):Valtrusから入手可能である、SYNPRO(商標)CaSt500B。
バインダー:The Dow Chemical Companyから現在入手可能である、ポリジメチルシロキサン(XIAMETER PMX−200シリコーン流体−25℃で350cSt)−PDMS350。
バインダー:The Dow Chemical Companyから現在入手可能である、ポリジメチルシロキサン(XIAMETER PMX−200シリコーン流体−25℃で1000cSt)−PDMS1000。
【0150】
II.粉体組成物
配合方法:2つの粉体(タルク及びCaSt)を、室温にて、容器内で、タービン羽根を備えたハンドヘルドの高速混合器を用いて、少なくとも15分間、乾燥配合して、均質の混合物を形成した。この混合動作は、対流で、かつ高せん断であった。バッチサイズは、100グラムであった。各0.3グラムの重量の、5つの任意の試料の密度を、窒素ピクノメーター(Micro−meriticsのAccuPyc II 1340モデル)を使用して測定した。各試料は下記の等式Aを満たした。粉体組成物を、下記の表1に列挙する。
【0151】
【数1】
【0152】
、式中、W=ステアリン酸カルシウムとタルクの混合物中のタルクの重量%、及びρ=窒素ピクノメーターによって測定される混合物の密度(g/cm)。
【0153】
【表1】
【0154】
III.ポリマーコーティング
A.粉体組成物のみ
コーティングされていない(「そのままの」)ペレット(2500グラム、例えばENGAGE7467)を、大きな袋(5ガロン)の中で、粉体組成物の目標コーティング量の総重量を基準として、粉体組成物の25重量%増分で、粉体組成物の添加分と混合した。袋の内容物を、各添加の間、1分間混合した。袋の中での混合動作は、対流及びせん断混合を用いるパドルミキサーと機械論的に同様であった。コーティング量は、コーティングされていないポリマーペレットの重量を基準として、1000ppm〜20,000ppmの範囲であり得る。組成物を、下記の表2に示す。
【0155】
【表2】
【0156】
B.バインダー及び粉体組成物
ペレット(2500グラム、例えばENGAGE7467)を、初めにポリジメチルシロキサン油(バインダー)でスプレーコーティングし、一方、室温(RPM=8)で、バッチ式ドラムミキサー(25 1/2インチ直径及び6 1/4インチ長さ)内で混転させた。スプレーされたペレットを、ペレットが実質的にバインダーでコーティングされるまで混転させた。次いで、油でコーティングされたペレットを、大きな袋(5ガロン)に移し、粉体組成物の目標コーティング値の総重量を基準として、粉体組成物の25重量%増分で、粉体組成物を添加した。袋の内容物を、各添加の間、1分間混合した。袋の中での混合動作は、対流及びせん断混合を用いるパドルミキサーと機械論的に同様であった。ポリジメチルシロキサン量は、コーティングされていないペレットの重量を基準として、200ppm〜10,000ppmの範囲であってもよく、粉体組成物は、コーティングされていないポリマーペレットの重量を基準として、0ppm(PCなし)から20,000ppmの範囲であってもよい。組成物を、下記の表3に示す。
【0157】
【表3】
【0158】
IV.ブロッキング力
試験方法−単軸崩壊応力
コーティングされたペレット(発明組成物または比較組成物)の十分な量を、コーティングされたペレットの量が、シリンダーの頂部と同一面上になるように(典型的には、100〜120グラムのコーティングされたペレット)、高さ対直径の比が2.5である、2インチ直径(ID)シリンダーに装填した。シリンダーは、ホースクランプによって垂直方向に互いを支える2つの部分から構成された。ペレットは、37℃(静的オーブン、周囲雰囲気)で、195lb/ftの圧密応力を受けた。加速試験のために、42℃のより高い温度設定を使用した。ペレットは、2または4週間、この圧密応力下の状態におかれた。次いで、シリンダーを、オーブンから取り出した。圧密荷重が取り除かれ、(シリンダー内の)ペレットを、環境室で、0℃設定で、周囲雰囲気で一晩冷却して、圧密化されたペレットの最終試料を得た。シリンダーを、INSTRON試験機のプラットホームに置いた。ホースクランプを取り外した後、スピリットシリンダーの2つの部分は分離した。圧密化された試料中のペレットが、完全に自由流動性である場合、ペレットは、シリンダーの形状を保持せずに、単純に積み重なるようになる。ペレットの圧密化された塊が、シリンダーの形状を保持する場合、INSTRON試験機を使用して、シリンダーを圧潰するのに必要な最大の力を測定した。圧密化されたペレットをINSTRON5543フレームを使用して圧潰し、圧密化されたペレットの「シリンダー形状」を破壊するのに必要な最大の力を測定した。圧密化されたペレットを、INSTRONにおいて垂直方向に配置した−より長い寸法が垂直方向である。この試験に、2mm/分の一定歪速度を使用した。データの一貫性を確保するために、各組成物(コーティングされたペレット)を2回測定し、平均を報告した。
【0159】
単軸崩壊応力(UYS)を、以下のように算出した。
UYS=ピーク力/シリンダーの断面積。UYSは、ブロッキング力の表示である(単軸崩壊応力が高ければ、ブロッキング力も高い)。ゼロ値は、自由流動性ペレットに相当する。
【0160】
実施例1−粉体組成物によるコーティングのみ
コーティングされていないペレットENGAGE7467(エチレン/ブテンコポリマー(EB))を、前述のように、粉体組成物「PC2」及び「PC1」でコーティングした。ペレットを、上記で概要を述べた手順を使用して、ペレットブロッキング試験に供した。比較組成物Aに関して、粉体組成物「PC G」を使用したことを除いて同じ方法で、実験を実施した。比較組成物Bに関して、粉体組成物「PC H」を使用したことを除いて同じ方法で、実験を実施した。結果を、表4にまとめる。表4で見られるように、発明の組成物1及び2は、著しく低い「単軸崩壊応力」(UYS)値、したがって、比較組成物A及びBと比較して、より低いブロッキング力を有していた。
【0161】
【表4】
【0162】
実施例2−バインダー及び粉体組成物によるコーティング
コーティングされていないペレットENGAGE7467を、前述のように、最初にバインダー(ポリジメチルシロキサン)、次いで粉体組成物「PC2」でコーティングした。ペレットを、上記で概要を述べた手順を使用して、ペレットブロッキング試験に供した。比較組成物Cに関して、対照として粉体組成物「PC H」を使用したことを除いて、組成物3と同じ方法で、実験を実施した。比較組成物Dに関して、粉体コーティングが加えられなかったことを除いて、組成物3と同じ方法で、実験を実施した。結果を、表5にまとめる。表5で見られるように、発明の組成物3は、著しく低い「単軸崩壊応力」(UYS)値、したがって、比較組成物C及びDと比較して、より低いブロッキング力を有していた。
【0163】
【表5】
【0164】
実施例3−粉体組成物によるコーティングのみ
コーティングされていないペレットENGAGE7467(エチレン/ブテンコポリマー(EB))を、上記で議論された手順を使用して、粉体組成物「PC3」でコーティングした。ペレットを、上記で議論された手順を使用して、ペレットブロッキング試験に供した。比較組成物Bに関して、粉体組成物「PC H」を使用したことを除いて同じ方法で、実験を実施した。結果を、表6にまとめる。表6で見られるように、発明の組成物4は、著しく低い「単軸崩壊応力」(UYS)値、したがって、比較組成物Bと比較して、より低いブロッキング力を有していた。
【0165】
【表6】
【0166】
実施例4−粉体組成物によるコーティングのみ
コーティングされていないペレットNORDEL4785(EPDM)を、上記で議論された手順を使用して、表7で示される粉体組成物でコーティングした。ペレットを、上記で議論された手順を使用して、ペレットブロッキング試験に供した。比較組成物(E、F、及びG)をコーティングし、同じ方法で試験した。表7で見られるように、発明の組成物5、6、7、8、9、及び10は、比較組成物Eよりも低い「単軸崩壊応力」値を有するが、依然として耐発火性を示す。比較例F及びGを、可燃性粉体組成物でコーティングする。
【0167】
【表7】
【0168】
実施例5−バインダー及び粉体組成物によるコーティング
コーティングされていないペレットENGAGE8842(エチレン/オクテンコポリマー(EO))を、上記で議論された手順を使用して、表8で示されるバインダー、次いで粉体組成物でコーティングした。ペレットを、上記で議論された手順を使用して、ペレットブロッキング試験に供した。これらの試験に関して、加速試験条件(42℃のオーブン温度)を選択した。表8で見られるように、発明の組成物11〜17は、比較組成物Hよりも低い「単軸崩壊応力」値を有し、依然として耐発火性を示す。比較組成物I及びJの粉体組成物は、可燃性である。
【0169】
【表8】
【0170】
実施例6−粉体組成物によるコーティングのみ
コーティングされていないペレットENGAGE8842(エチレン/オクテンコポリマー(EO))を、上記で議論された手順を使用して、表9で示される粉体組成物でコーティングした。ペレットを、上記で議論された手順を使用して、ペレットブロッキング試験に供した。表9で見られるように、発明の組成物18〜23は、比較組成物Kよりも低い「単軸崩壊応力」値を有し、依然として耐発火性を示す。比較組成物L及びMの粉体組成物は、可燃性である。
【0171】
【表9】
【0172】
実施例7−粉体組成物によるコーティングのみ
コーティングされていないペレットENGAGE8842(エチレン/オクテンコポリマー(EO))を、上記で議論された手順を使用して、表10で示される粉体組成物でコーティングした。ペレットを、上記で議論された手順を使用して、ペレットブロッキング試験に供した。表10で見られるように、発明の組成物24〜29は、比較組成物Nよりも低い「単軸崩壊応力」(UYS)値を有し、依然として耐発火性を示す。比較組成物O及びPの粉体組成物は、可燃性である。
【0173】
【表10】
【0174】
実施例8−バインダー及び粉体組成物によるコーティング
コーティングされていないペレットNORDEL4785(EPDM)を、上記で議論された手順を使用して、表11で示されるバインダー、次いで粉体組成物でコーティングした。ペレットを、上記で議論された手順を使用して、ペレットブロッキング試験に供した。これらの試験に関して、加速試験条件(42℃のオーブン温度)を選択した。表11で見られるように、発明の組成物30〜35は、比較組成物Qよりも低い「単軸崩壊応力」値を有し、依然として耐発火性を示す。比較組成物R及びSの粉体組成物は、可燃性である。
【0175】
【表11】
【0176】
V.最小発火エネルギー測定
可燃性粉塵の取り扱いに関連して、規則と指針は、空気中で懸濁した可燃性粉塵を発火するのに十分な電気エネルギー源(「発火源」と称される)を除去する必要性を論じる(NFPA654、NFPA499、OSHA SHIB073105、ATEX Directive94/9/EC)。異なる発火源は、エネルギー放出可能性の様々なレベルを有する。除去されねばならない発火源の種類は、粉塵の発火感度次第である。この発火感度は、最小発火エネルギー、MIEによって定量化することができる。例えば、人による取り扱いからの静電気放電などの、最も一般の発火源の多くは、300mJ未満の発火エネルギーを有する(Britton,L.)。この種の発火源は、完全に除去するのが非常に困難であり得る。より強力な発火源、例えば溶接からの火花、高エネルギー電気放電、裸火、及び大きな高温の熱い表面などは、特定して、防ぐことが非常に容易である。
【0177】
発明の組成物は、発火感度を低減させ、したがってMIEを増大させたことが見出された。本明細書で使用される場合、「発火感度を低減させた」は、300mJを超える、好ましくは600mJを超える、より好ましくは1000mJを超えるMIE値を有する粉塵混合物を指す。
【0178】
可燃性固体粉体の最小発火エネルギー(MIE)は、高圧火花として放出されるとき、空気中で最も容易に発火可能な濃度で、(粉体組成物からの)粉塵雲を発火させるにはちょうど十分である、コンデンサー内に蓄えられた最低の電気エネルギーである。この試験のために、各粉体組成物を、その場で作製した。MIE測定を、粉体試料を圧縮空気と共に分散させて、垂直ガラス管内で行った。一組の電極を管の中心に、調整可能な間隔で位置させ、使用して、特定された、控えめなエネルギー(ミリジュール(mJ))で放電を発生させた。粉塵濃度、放電のエネルギー、及び発火遅延時間(発火時の乱流レベルに影響を及ぼす)は様々であり、このような方法で、空気中の雲を発火することができる最低放電エネルギーを測定する。静電気放電を生成する回路は、現実にはほぼ純粋な容量性の火花を引き起こすが、任意選択で小さなインダクタンスを回路に含むことができる。人体または装置からの通常の静電気放電に関連する危険を評価することに関して慎重である、このような試験「インダクタンスあり」は、より低いMIE値を一般に生成するようになる、しかしながら、このような試験は、誘電放電が発生する可能性がある危険を評価するためにのみ必要である(例えば、モーター、ジェネレーター、長いケーブルなど)。
【0179】
これらのMIEのために、Kuhner A.G.MIKE3「最小発火エネルギー装置」及びMIKE3.4ソフトウェアを使用して、粉体組成物を試験した。MIKE3は、1mJ〜1000mJのMIE値を測定することができる「1.2L変性Hartmann管可燃性装置」である。測定を、インダクタンスあり(インダクタンス試験回路を使用、インダクタンス=1mH)及びインダクタンスなし(インダクタンスなしで同じ試験回路を使用)で、ASTM Test Method E2019によって行った。各粉体組成物に関して、控えめなエネルギーレベル(1、3、10、30、100、300、1000mJ)で、MIE試験を行った。最小発火エネルギー(MIE)は、粉塵−空気混合物を発火するための10回の連続した試行において発火が起こらない、最大エネルギーレベル(MIE上限)と、10回までの連続した試行において少なくとも1回発火が起こる、最小エネルギーレベル(MIE下限)との間にある。この範囲内のMIEを推定するために、MIKE3.4ソフトウェア中に含まれている統計的方法を使用した。推定MIE及び上限及び下限を、表12及び13に報告する。統計的方法に関するさらなる情報は、Cesanaらのセクション1.3.2.において見ることができる。インダクタンスなしのMIEを、ステアリン酸カルシウムとタルクの総重量を基準として、0重量%〜100重量%のステアリン酸カルシウム/タルク混合物の組成物範囲全体にわたって、測定した。この一連の試験において使用されたステアリン酸カルシウムは、SYNPRO CaSt500Bであり、8.54マイクロメートルの測定されたD50を有する。ステアリン酸カルシウム及びタルクの両方を、230メッシュふるい(63マイクロメートル)を通して、配合する前に、効果的に63マイクロメートルより大きい任意の粒子を除去した。試験間の混合組成物のバラツキを回避するために、化学天秤で成分を計量した後、各試験試料(粉体組成物)をその場で配合した。含水量が粉塵質量の5重量%を超える場合、可燃性粉塵のMIEが増大することが示され(Cesanaら)、米国及び欧州MIE標準はいずれも、MIEが測定される粉塵の含水量の報告を要求している(ASTM E2019,EN 13821)。試験の前に、ステアリン酸カルシウム及びタルクの試料中の含水量を熱重量分析(TA Instruments Q500 TGA)によって決定し、粉体組成物の総重量を基準として、それぞれが約3.19重量%及び0.26重量%であった。
【0180】
測定したMIE値を表12(インダクタンスなしのMIE)及び表13(インダクタンス1mHのMIE)にまとめる。試験したステアリン酸カルシウム及びタルクの特定の等級を用いて、MIEが300mJを超える閾値が、インダクタンスなしで75重量%タルクにて、回路内の1mHのインダクタンスで80重量%タルクであった。したがって、より高いタルクの重量%を有する粉体組成物は、発火に対して無感応であると見なされ得る。
【0181】
【表12】
【0182】
【表13】
【0183】
参考文献:
National Fire Protection Association(2013).NFPA 654:Standard for the Prevention of Fire and Dust Explosions from the Manufacturing,Processing,and Handling of Combustible Particulate Solids.
National Fire Protection Association(2013).NFPA 499:Recommended Practice for the Classification of Combustible Dusts and of Hazardous(Classified)Locations for Electrical Installations in Chemical Process Areas.
OSHA SHIB 07−31−2005 Combustible Dust in Industry:Preventing and Mitigating the Effects of Fire and Explosions.
ATEX Directive94/9/EC On the approximation of the laws of Members States concerning equipment and protective systems intended for use in potentially explosive atmospheres ASTM E2019:Minimum Ignition Energy of a Dust Cloud in Air.
European Standard EN 13821:2002Potentially explosive atmospheres−Explosion prevention and protection−Determination of minimum ignition energy of dust/air mixtures.
Britton,L.,Avoiding Static Ignition Hazards in Chemical Operations,AIChE CCPS,1999.
CCPS,Guidelines for Safe Handling of Powders and Bulk Solids,AIChE Center for 4.Chemical Process Safety,2005.
Cesana,C.,Siwek,R.,MIKE Software Manual,Kuhner AG,Dinkelbergstrasse1,CH−4127 Birsfelden,Switzerland.
【0184】
発明の粉体組成物は、発火源に対して無感応であることを見出した。このことは、プロセスの安全性及びプロセス設計の観点から有利である。さらに、発明の組成物(バインダーあり、またはなし)は、比較組成物と比較して、ブロッキング特性を改善したことを見出した。

本願発明の例として以下のものが挙げられる。
[1] 少なくとも以下の、ポリマー粒子の総表面の少なくとも一部へのコーティングを含む前記ポリマー粒子を含む組成物であって、前記コーティングが、少なくとも1つの無機粉体と、ステアリン酸金属塩及び/またはポリマー粉体から選択される少なくとも1つの有機粉体とを含む粉体組成物から形成され、前記無機粉体の総量の前記有機粉体の総量に対する重量比が、3.0〜50.0である、組成物。
[2] 前記有機粉体が、ステアリン酸金属塩である、[1]に記載の組成物。
[3] 前記ポリマー粒子が、オレフィン系ポリマーを含むポリマー組成物から形成される、[1]または[2]に記載の組成物。
[4] 前記ポリマー組成物が、前記ポリマー組成物の重量を基準として、95重量%を超える前記オレフィン系ポリマーを含む、[3]に記載の組成物。
[5] 前記組成物が、バインダーを含む、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の組成物。
[6] 前記バインダーが、シリコーン流体である、[5]に記載の組成物。
[7] 前記無機粉体が、以下の、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、微細シリカ、ヒュームドシリカ、石英、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の組成物から形成される、少なくとも1つの構成要素を含む物品。
[9] [1]〜[8]のいずれか一項に記載の組成物を形成するための方法であって、前記ポリマー粒子と前記粉体組成物を接触させることを含む、方法。
[10] 少なくとも以下の、少なくとも1つの無機粉体と、ステアリン酸金属塩及び/またはポリマー粉体から選択される少なくとも1つの有機粉体とを含む粉体組成物であって、
無機粉体の総量の有機粉体の総量に対する重量比が、3.0〜50.0であり、無機粉体の総量及び有機粉体の総量が、前記粉体組成物の重量を基準として、95重量%以上を構成する、粉体組成物。