特許第6875383号(P6875383)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6875383高温環境で使用されるコンベヤローラ組立体、トルク伝達及び支持手段、並びにコンベヤローラ組立体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875383
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】高温環境で使用されるコンベヤローラ組立体、トルク伝達及び支持手段、並びにコンベヤローラ組立体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 39/02 20060101AFI20210517BHJP
   F27B 9/24 20060101ALI20210517BHJP
   C21D 1/00 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   B65G39/02 Z
   F27B9/24 R
   C21D1/00 115A
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-514401(P2018-514401)
(86)(22)【出願日】2016年9月15日
(65)【公表番号】特表2018-535164(P2018-535164A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】EP2016071842
(87)【国際公開番号】WO2017046253
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2019年8月1日
(31)【優先権主張番号】15185842.0
(32)【優先日】2015年9月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】317003752
【氏名又は名称】ベスビウス フランス ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100162204
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 学
(72)【発明者】
【氏名】ローラン デュボア
(72)【発明者】
【氏名】エティエンヌ シャバイリ
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−275990(JP,A)
【文献】 特表2003−517537(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102011077361(DE,A1)
【文献】 特開2012−207245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 39/00−39/20
B65G 13/00−13/12
C21D 1/00
F27B 9/24
F16C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温で使用するためのコンベヤローラ組立体(1)であって、
a)少なくとも15MPaの曲げ強さ及び外径Dを有する中実のセラミックスプール(2)であって、前記セラミックスプールの少なくとも1つの端部は、直径d、及び深さDd≧1.5dである軸方向の、中央に配置されたボアを有する、セラミックスプール(2)と、
b)略円筒状形状の、長手方向軸線を有するトルク伝達及び支持手段(3)であって、前記セラミックスプール(2)の少なくとも前記ボア内に付与され、
本体と、
b1.実質的に変形せず、スプールを内部から支持する機能を果たし、少なくとも2つの円筒状支持面(10)を備える、支持部と、
b2.前記セラミックスプール内への前記トルク伝達及び支持手段の挿入によって機械的及び弾性的に変形される接続部と、
を備える、トルク伝達及び支持手段(3)と、
を備え、
前記接続部は、前記トルク伝達及び支持手段が前記セラミックスプールから取り出されたとき、前記接続部の本来の形状に戻ることができ、
前記接続部は、前記トルク伝達及び支持手段(3)を前記セラミックスプール(2)に摩擦的に接続する接面を備え、
コンベヤローラ組立体(1)であって、
前記接続部は、2つの円筒状支持面の間に配置されており、前記セラミックスプールの中心ボアの直径は、10mm≦d≦3/4Dであることを特徴とする、
コンベヤローラ組立体(1)。
【請求項2】
前記セラミックスプールの第2端部はエンドキャップを有する、請求項1に記載のコンベヤローラ組立体(1)。
【請求項3】
前記セラミックスプールは溶融石英を含む、請求項1又は2に記載のコンベヤローラ組立体(1)。
【請求項4】
前記本体(6)は、回転駆動手段に接続可能な、前記セラミックスプールから突出している部分を有し、前記接続部は、前記本体と前記セラミックスプールとの間に配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンベヤローラ組立体(1)。
【請求項5】
前記本体(6)と前記接続部は、少なくとも2つの別個の要素を形成している、請求項4に記載のコンベヤローラ組立体(1)。
【請求項6】
前記本体(6)は、複数の周方向に配置された波形構造を有する弾性金属製のオープントレランスリング(7)を少なくとも受け入れるように適合された溝を備える、請求項5に記載のコンベヤローラ組立体(1)。
【請求項7】
前記接続部は、前記トルク伝達及び支持手段(3)の前記長手方向軸線に平行な主軸線を有する長尺状の穴を備え、前記穴は長尺状のストリップを画定し、前記ストリップは、少なくともより厚い部分を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンベヤローラ組立体(1)。
【請求項8】
前記ストリップの前記より厚い部分(5)は半径方向に配置されている、請求項7に記載のコンベヤローラ組立体(1)。
【請求項9】
前記本体の前記支持部は、前記支持部の外径より大きな直径を有するリング(9)によって、駆動手段に接続可能な部分から分離されている、請求項7又は8に記載のコンベヤローラ組立体(1)。
【請求項10】
1)少なくとも15MPaの曲げ強さ及び外径Dを有するセラミックスプール(2)を用意する工程であって、前記セラミックスプール(2)の少なくとも1つの端部は、直径10mm≦d≦3/4D、及び深さDd≧1.5dである軸方向の、中央に配置されたボアを有する、工程と、
2)長手方向軸線を有するトルク伝達及び支持手段(3)であって、b1.少なくとも2つの円筒状支持面(10)を備える支持部と、b2.接続面を備える接続部と、を備える、長手方向軸線を有するトルク伝達及び支持手段(3)を用意する工程と、
3)前記接続部を機械的に及び弾性的に変形させるために、並びに前記トルク伝達及び支持手段(3)を前記セラミックスプール(2)に摩擦的に接続するために、前記セラミックスプール(2)の少なくとも前記ボア内に付与される前記トルク伝達及び支持手段(3)を挿入する工程と、
を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のコンベヤローラ組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤローラ組立体を回転させるための新たな機構を少なくとも一端に有する、高温で使用するためのコンベヤローラ組立体、トルク伝達及び支持手段、ローラとトルク伝達及び支持手段とを組み立てるための方法に関する。
【0002】
高温で使用されるコンベヤローラ組立体は、概して、セラミックスプールを備える。通常、セラミックスプールは溶融石英を含む。セラミック組成物製ローラは、実際、高温環境において金属ローラより優れている。しかしながら、セラミック材料は加工が非常に難しく、脆い。更に、こうしたローラは、ローラを回転させるために必要な駆動機構に直接接続することができない。
【0003】
従来技術では種々のシステムが開発されている。米国特許第4,230,475(A1)号では、圧縮応力がかけられた状態で一対の金属スピンドルの間に係合しているセラミックローラについて開示している。金属スピンドルは、セラミックローラの凹部へと軸方向内側に延びる部分を介してセラミックローラの各端部と位置合わせされている。セラミックローラの端面とスピンドルのヘッド部との間の境界面に摩擦材料が適用されている。この摩擦材料は、セラミックローラを回転させるための、圧縮方向における回転駆動力を向上させる。しかしながら、このシステムは組み立てが困難なことによりすぐに廃れた。
【0004】
金属エンドキャップをセラミックローラと共に使用することが主に好まれる。エンドキャップは、駆動手段への簡単な取り付けを可能にする。しかしながら、エンドキャップはスプールにしっかりと接着されているべきであり、それにより、スプールが所望の速度で回転することを可能にする。偏心回転は概して望ましくない。この理由は、偏心回転により、搬送される物品にとって平坦でない支持面が作成されるからである。
【0005】
セラミックスプールと金属エンドキャップの異なる熱膨張により、エンドキャップをスプールにしっかりと固定することが困難になり、偏心回転を生じる場合がある。この困難を克服するために種々の方法が提案されてきた。米国特許第4,242,782号は、ゴム製Oリングを使用してエンドキャップを固定することを提案している。Oリングは高温で柔らかくなって保持力を失う場合があり、スプールの偏心回転及びエンドキャップとスプールとの間の滑りを引き起こす。Oリングがこうした高温に偶然に曝されることがあれば、Oリングは必ずその保持力を失うため、温度がその正常な値に戻った場合でも、滑りは依然として認められる。このため、Oリングを用いたスプールへのエンドキャップの固定は、低温(250℃未満)に限定される。
【0006】
欧州特許第1853866(B1)号では、これら課題を、トレランスリングを有するエンドキャップを設けることによって解決している。このトレランスリングは、エンドキャップとセラミックスプールの端部との間に配置されており、広範な印加温度の範囲内においてエンドキャップをセラミックスプールにしっかりとかつ中央に固定する。エンドキャップは一時的な過熱に耐え、セラミックスプールの寸法が大幅に変化しない一方、エンドキャップ及びトレランスリングは熱的に膨張する。これにより、トレランスリングの固定力は低下し、スプールはエンドキャップ内で滑り始める。温度が正常に戻ると、エンドキャップ及びトレランスリングはその「正常な」寸法に戻り、偏心回転を生じることなく保持力は一体的に回復する。エンドキャップは取り付けも簡単である。コンベヤローラ組立体は、また、ラインの急激な加速又は減速はもとより、一時的な詰まり又は停止に耐えることができる。
【0007】
トレランスリングを有するエンドキャップを使用して得られる伝達トルク範囲は概して広い(数百N.mまで)。しかしながら、高温では、伝達されるトルク値は時間と共に減少する可能性がある。ローラを回転させるためには最小限の伝達トルク値で十分であることが本発明者により立証された。したがって、エンドキャップシステムは、ほとんどの場合、サイズが大きすぎる。
【0008】
加えて、ローラキャップはローラの利用面積を低減し、ローラを駆動手段に接続するために大きなスペースを必要とする。ローラキャップは多数回再使用することができず、多大な製造コストとなる。
【0009】
外部エンドキャップの使用に関連する他の欠点は以下の通りである。
−炉室と外部環境との間における金属キャップの熱橋によるエネルギーの損失。
−高温において、コンベヤローラ組立体の交換のために炉室を開くことができない。
−圧力下又は制御された雰囲気下に炉を置くことができない。
−エンドキャップは設置形状に適合させるために異なる設計を有することから、エンドキャップの標準化ができない。
【0010】
本発明は前述の全ての欠点を低減する。
【0011】
炉内では異なる種類のローラ(中実又は中空)が使用される。ローラが急激な温度変化を受ける場合又はローラのたわみが発生し得る場合、中空ローラが好ましい。したがって、ローラの熱慣性及び重量を低減する必要がある。結果的に、中空ローラの厚みは最大限低減される。したがって、穴の内径は、常にその外径の3/4より大きい。
【0012】
国際公開第99/15305号は、ニッケルアルミナイド合金製のローラ本体と、より安価な金属材料製のトラニオンと、を備える、高温用途のローラ組立体について開示している。トラニオンは、ローラ本体とトラニオンとの間の異なる熱膨張によって、室温では間隙があり、動作温度では間隙が減少する又は閉じるように、ローラ本体に機械的なコネクタを介して取り付けられている。しかしながら、セラミックの引張強さが乏しいこと、及び金属とセラミックとの間の熱膨張係数の差が大きいことによって、この組立体はセラミックローラでは機能することができない。
【0013】
英国特許出願公開第2,129,752(A)号は、軸方向の、中央に配置されたボアと、スプールのボアを閉じるディスクに設けられた2つの直径方向に対向する円形の開口に挿入される、スプールの長手方向軸線に平行な2つのストリップ、を備えるトルクトランスミッションと、を有する中空セラミックスプールを備える、高温で使用するためのコンベヤローラ組立体について開示している。このディスクは、スプールに強制的に挿入された2つの弾性ストリップによって、セラミックスプールに軸方向に及びねじりを伴って固定されている。弾性ストリップの目的はトルクを伝達することであり、ストリップはスプールを支持しない。スプールは、実際、2つのアイドラホイール(スプールの各端部にある)に載置され、回転するピンを介して軸受に接続されている。組立も非常に煩雑である。
【0014】
特開2012−207245号は、焼嵌めによって接続されたセラミックスリーブとスチールシャフトとからなる中空セラミックローラを開示している。スチールシャフトとセラミックとの間の接触部における応力を避けるために、スチールシャフトの形状、特に、シャフトの厚みを薄くして最適化しなければならない。課題は、スチールと耐火材との間の熱膨張の大きな差を考慮に入れて、摩擦によりトルクを伝達することである。シャフト表面はその全面がローラと接触する。ローラの組立は煩雑ではないが、焼嵌めにはローラと接触するシャフト表面の非常に正確な寸法を要し、したがって、製造により費用がかかる。加えて、シャフト表面の計算寸法はローラの性質によって異なる。実際、ムライトの熱挙動は溶融石英の熱挙動と非常に異なる。シャフトとローラとの間の接続は非常に狭い温度範囲において最適化され、従来、冷却を必要とする。特開2012−207245号に記載されている組立体では、外径の3/4を超えるボアの直径を有する、空気により冷却される中空ローラについて述べている。この種の接続は室温では機能せず、組立体の分解が課題であるため再使用できないことに留意すべきである。
【0015】
本発明は、トルク伝達及び支持手段が、冷却の必要なく、広い温度範囲内において様々な材料のローラと共に稼働でき、再使用可能なローラ組立体である。このトルク伝達及び支持手段は、トルクを伝達し、ローラを支持し(外部支持手段の必要はない)、軸受(又は別の駆動手段)への直接接続を可能にし、接続のために必要なスペースを低減する。接続は、トルク伝達及び支持手段をローラのボア内に単に押し込むことによって行われる。焼嵌めは使用されない。トルク伝達は接続部の弾性的機械的変形によりもたらされる一方で、支持は少なくとも支持面の存在によりもたらされる。
【0016】
セラミックスプールのボア内に配置されたトルク伝達及び支持手段とセラミックスプールとの間の摩擦接続は、回転駆動手段からセラミックスプールにトルクを伝達するのに十分である。当業者であれば、通常、セラミック材料の曲げ強さに関する悪評のため、トルク伝達及び支持手段をセラミックスプール内のボア内に配置しようとしないことに留意されたい。また、ローラを駆動して回転させるためには非常に低い伝達トルクで十分であるという事実は、従来技術では立証されていなかったということにも留意されたい。
【0017】
本発明によれば、エンドキャップはもはや必要なく、請求項11〜14に記載されるトルク伝達及び支持手段と置換される。一時的な過熱の場合、セラミックスプール内部に配置されたトルク伝達及び支持手段は、外部環境から幾分隔離されていることで温度変化をあまり受けない。温度が激しく上昇する場合、トルク伝達及び支持手段の熱膨張によって固定力は増加し、プロセスはあらゆる摂動なしに継続するであろう。
【0018】
本発明の他の利点は以下の通りである。
−本発明に一致したトルク伝達及び支持手段の製造は、特に、非常に大きな直径を有するローラ(例えば、LOR)においては、通常のエンドキャップより低コストである。外部エンドキャップはかなりの寸法を有し、非常に費用がかかる。本発明によれば、トルク伝達及び支持手段の外形寸法が大幅に低減される。
−トルク伝達及び支持手段がローラのセラミックによって熱的に隔離されており、炉内における、より高温の用途を考慮に入れることができる。
−非自発的な高伝達トルクの場合、システムはヒューズとして機能する。
−組立体は自己調心する。実際、セラミックスプールとトルク伝達及び支持手段は常に接触している。
【0019】
本発明には中実のローラが最も好適なため、本発明は温度にほぼ影響されない接続を提供する。これとは逆に、外部組立体は、通常、熱によって緩む。
【0020】
本発明は、請求項1に記載のコンベヤローラ組立体を提案する。
【0021】
木槌を使用するほどに簡単に行うことができるトルク伝達及び支持手段の挿入にスプールが耐えられるように、セラミックスプールは少なくとも15MPaの曲げ強さを有していなければならない。その結果、トルク伝達及び支持手段の接続部は、両要素(手段及びスプール)が機械的に接続されるよう、機械的及び弾性的に変形され、弾性変形された接続部により生じた摩擦によって接続が実現される。トルク伝達及び支持手段の支持部は大幅には変形せず、スプールを内部から支持する機能を果たす。トルク伝達及び支持手段は、この手段がセラミックスプールから取り出されると、その本来の形状に戻る。トルク伝達及び支持手段の外部表面上に配置された接続面によってトルクが伝達されることが認められる。トルク伝達及び支持手段を受け入れる、軸方向の、中央に配置されたボアの直径(d)は、10mm以上、かつ、ローラの外径(D)の3/4よりも小さくなければならない。Dの3/4より直径が大きいとローラの端部が脆くなる一方、有効なトルク伝達及び支持手段を挿入するためには最低10mmの直径が必要である。好ましくは、ボアの直径は外径(D)の1/3以下である。軸方向の、中央に配置されたボアの深さ(Dd)もまた、重要なパラメータである。中空ローラも使用できるが、ほとんどの場合、中実のローラに穴をあける。ボア(d)の直径の少なくとも1.5倍の深さが好適である。この値を下回ると、ローラの端部がやはりより脆くなり、同軸性の課題が起こり得る。
【0022】
本発明の第1の実施形態では、コンベヤローラ組立体は、回転駆動手段に接続可能な、セラミックスプールから突出している部分を有する本体を含むトルク伝達及び支持手段を備え、接続部は、本体とセラミックスプールとの間に配置されている。本体と接続部は、2つの異なる要素である。接続部は、複数の周方向に配置された波形構造を有する弾性金属製のオープントレランスリングであり得る。トレランスリングは、あらゆる軸方向への変位を防ぐため、本体の溝に収められる。トレランスリングを使用することで、その取り付けを容易とすることに加え、内部構成要素及び外部構成要素の直径のわずかな差異に適応することができる。
【0023】
トルク伝達値の増加は、トレランスリングがトルク伝達及び支持手段の本体の周りを自由回転しない場合にも認められた。ピンなどの阻止手段を使用して、トルク伝達及び支持手段の回転を阻止することができる。
【0024】
製造、物流及びコストの理由から、トルク伝達及び支持手段3が一体として作製されるコンベヤローラ組立体が好適である。接続部は、トルク伝達及び支持手段3の長手方向軸線に平行な主軸線を有する長尺状の穴を備える。上記穴は長尺状のストリップを画定し、上記ストリップは、少なくともより厚い部分を備える。
【0025】
別個の接続面であるストリップのより厚い部分5は好ましくは半径方向に配置されている。即ち、より厚い部分は周縁に分配されており、ある角度で分離されている。
【0026】
トルク伝達及び支持手段3は、トルク伝達及び支持手段3をセラミックスプール内に取り付ける際にボアから空気を逃がすために、好ましくは穴などのガス排出部を備える。
【0027】
より厚い部分の数及び構成は、伝達することが必要なトルク値に依存する。
【0028】
これらローラ組立体は低トルク伝達が必要な用途に特に使用されることが観察されている。より高い値が必要な場合、例えば、異なるローラ速度が必要な場合、欧州特許第1853866(B1)号に記載されているようなエンドキャップをセラミックスプールの一端において使用する一方、第2端部のエンドキャップを本トルク伝達及び支持手段3と有利に置換することができる。
【0029】
セラミックスプール2は、概して、溶融石英を含む。
【0030】
本発明は、また、略円筒状形状の、長手方向軸線を有する、ローラ内で使用されているトルク伝達及び支持手段3であって、本体と、少なくとも1つの円筒状支持面10を備える支持部と、少なくとも2つの別個の接続面を備える接続部と、を備え、接続部は、トルク伝達及び支持手段3の長手方向軸線に平行な主軸線を有する長尺状の穴を備え、上記穴は長尺状のストリップを画定し、上記ストリップは、少なくともより厚い部分を備える、トルク伝達及び支持手段3に関する。接続部は機械的に及び弾性的に変形可能である。
【0031】
接続部は2つの円筒状支持面10の間に配置されていることが好ましい。円筒状表面の支持機能はその結果最適化される。
【0032】
1つの好適な実施形態は、支持部が、支持部の外径より大きな直径を有するリングによって、駆動手段に接続可能な部分から分離されている、本明細書で上述したトルク伝達及び支持手段3である。リング9の当接面4は、トルク伝達及び支持手段3をセラミックスプール内に挿入する際、容易な位置決めを可能にする。接続部は、セラミックスプールとの摩擦接続を行うために、機械的に及び弾性的に変形可能である。
【0033】
本発明はまた、
−少なくとも15MPaの曲げ強さ及び外径Dを有するセラミックスプールを用意する工程であって、セラミックスプールの少なくとも1つの端部は、直径10mm<d<3/4D、及び深さDd>1.5dである軸方向の、中央に配置されたボアを有する、工程と、
−長手方向軸線を有するトルク伝達及び支持手段3であって、b1.少なくとも1つの円筒状支持面10を備える支持部と、b2.少なくとも2つの別個の接続面を備える接続部と、を備える、長手方向軸線を有するトルク伝達及び支持手段3を用意する工程と、
−セラミックスプール2の少なくとも上記ボア内に付与されるトルク伝達及び支持手段3を挿入する工程と、
を含み、接続部を機械的に及び弾性的に変形させるために、並びにトルク伝達及び支持手段3をセラミックスプール2に摩擦的に接続するために、接続面は、その後、トルク伝達及び支持手段3をセラミックスプール2に摩擦的に接続する、
コンベヤローラ組立体の製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明は、単なる例として記載され、図面を参照して行われる以下の説明を読むことでより良く理解されよう。
図1】本発明の一実施形態によるコンベヤローラの組立体の斜視図である。
図2】本発明の別の実施形態によるコンベヤローラの組立体の斜視図である。
図3】1つの好適な実施形態による、図2のトルク伝達及び支持手段3の斜視図である。
【0035】
図1は、セラミックスプール2とトルク伝達及び支持手段の組立体を示す。トルク伝達及び支持手段は本体6を備え、本体6は、回転駆動手段に接続可能な部分を有し、トレランスリング7などの接続部が本体とセラミックとの間に配置されている。阻止手段8がトレランスリング7の起こりうる回転を阻止する。
【0036】
図2は、セラミックスプール2の外形的特徴を示す。Dは、セラミックスプール2の外径である。dは、セラミックスプール2の軸方向の、中央に配置されたボアの直径を示す。Ddは、セラミックスプール2の軸方向の、中央に配置されたボアの深さを示す。
【0037】
図3は、好適な実施形態によるトルク伝達及び支持手段3を示す。トルク伝達及び支持手段は、一体として作製されており、長手方向軸線を有する略円筒状形状を有する。トルク伝達及び支持手段3は、2つの円筒状支持面10を備える支持部と、少なくとも2つの別個の接続面を備える接続部と、を備える。接続部は、トルク伝達及び支持手段3の長手方向軸線に平行な主軸線を有する長尺状の穴を備え、上記穴は長尺状のストリップを画定し、上記ストリップは、少なくともより厚い部分5を備える。
【0038】
トルク試験を実施した。本発明によるトルク伝達及び支持手段3を使用し、18N.mまでのトルクを伝達することができた。
【0039】
300℃まで加熱した後でも、トルク伝達及び支持手段3は依然として15N.mを超えるトルクを伝達することができた。
【符号の説明】
【0040】
1.セラミックスプールとトルク伝達及び支持手段3との組立体
2.セラミックスプール
3.トルク伝達及び支持手段3
4.リング9の当接面
5.より厚い部分
6.トルク伝達及び支持手段3本体
7.トレランスリング
8.ピン
9.リング
10.支持面
Dは、セラミックスプール2の外径である。
dは、セラミックスプール2の軸方向の、中央に配置されたボアの直径を示す。
Ddは、セラミックスプール2の軸方向の、中央に配置されたボアの深さを示す。
図1
図2
図3