特許第6875384号(P6875384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6875384ガス状流体をサンプリングする装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875384
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】ガス状流体をサンプリングする装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/22 20060101AFI20210517BHJP
   G01N 27/62 20210101ALI20210517BHJP
   G01N 1/02 20060101ALI20210517BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   G01N1/22 B
   G01N27/62 F
   G01N1/22 A
   G01N1/02 A
   G01N1/00 101R
【請求項の数】31
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-516440(P2018-516440)
(86)(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公表番号】特表2018-535399(P2018-535399A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】GB2016053055
(87)【国際公開番号】WO2017055870
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年9月26日
(31)【優先権主張番号】1517310.7
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507235789
【氏名又は名称】スミスズ ディテクション−ワトフォード リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】オリバー カークビー
(72)【発明者】
【氏名】アラステア クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ブルース アレック コリン グラント
【審査官】 高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/143426(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0227073(US,A1)
【文献】 特表2014−518386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 − 1/44
G01N 27/60 −27/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関心対象物質を検出する分析装置にサンプルを供給する検出器入口であって
ンプリング容積部を有して、ガス状流体のフローを通過させるためのプレナムと、
前記プレナム内に配置され、該サンプリング容積部からガス状流体のサンプルを収集して、このサンプルを分析装置に供給するよう構成されるピンホール入口を有するサンプリング入口であって、前記フローが粒子を搬送する、該サンプリング入口と
記サンプリング入口を取り囲むようプレナムの周りにガス状流体の循環フローを生じ、これにより流体が搬送する粒子の空間的分布を変化させ、サンプリング容積部に進入することなくサンプリング入口を通り越して搬送される粒子の相対的比率を増加させるよう構成されるフロー導向器と、を備えている、検出器入口。
【請求項2】
請求項1記載の検出器入口において、前記プレナムは、前記流体フローをフロー方向に導向させ、またこれにより循環フローが前記フロー方向に交差する回転軸線周りに循環するよう構成されている、検出器入口。
【請求項3】
請求項2記載の検出器入口において、前記フロー導向器は、前記プレナムへのフロー入口と、前記プレナムからのフロー出口であって、前記フロー入口から前記プレナムへのフロー方向に交差する方向にフローを搬送する向きに整列する、該フロー出口とを有する、検出器入口。
【請求項4】
請求項3記載の検出器入口において、前記フロー入口は前記フロー出口よりも小さい断面積を有する、検出器入口。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項記載の検出器入口において、前記フロー導向器は、前記プレナムの湾曲した壁であって、前記循環フローが前記プレナムの湾曲した壁の内面に追随するよう構成されている、該湾曲した壁を有する、検出器入口。
【請求項6】
請求項5記載の検出器入口において、前記フローが搬送する粒子の空間的分布を変化させることは、前記プレナムの前記湾曲した壁からの距離に従って、前記フローが搬送する粒子の相対比率を減少することを含む、検出器入口。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか一項記載の検出器入口において、前記プレナムは、前記ガス状流体のフローをフロー方向に導向させるよう配列し、また前記循環フローが前記フロー方向に整列する回転軸線周りに循環するよう構成されている、検出器入口。
【請求項8】
請求項7記載の検出器入口において、前記プレナムはシリンダを有し、前記回転軸線は前記シリンダの長手方向軸線に整列する、検出器入口。
【請求項9】
請求項7又は8記載の検出器入口において、前記フロー導向器は、前記プレナムへのフロー入口と、前記プレナムからのフロー出口と有し、また前記フロー入口及び前記フロー出口は前記フロー方向に離間している、検出器入口。
【請求項10】
請求項1〜9のうちいずれか一項記載の検出器入口において、前記フロー導向器は、前記プレナム内で螺旋状経路に整列する構造を有し、例えば、前記構造は、前記プレナムの前記壁におけるフィン、又は溝を有する、検出器入口。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか一項記載の検出器入口において、前記フロー導向器は、前記循環フロー周りにガス状流体を移動させるよう配置したムーバーを有し、例えば、前記ムーバーは、ガス状流体のジェットを前記プレナムの壁の内面周りに吹き込むよう配列されている、検出器入口。
【請求項12】
請求項1〜11のうちいずれか一項記載の検出器入口において、さらに、前記フロー通路内の前記ガス状流体を加熱するヒータを備える、検出器入口。
【請求項13】
請求項1〜12のうちいずれか一項記載の検出器入口において、さらに、前記循環フローを生成するよう前記フローに付加的ガス状流体を導向させるよう構成された付加的流体経路を備える、検出器入口。
【請求項14】
関心対象物質を検出する分析装置と、ガス状流体のサンプルを前記分析装置に供給するよう配置された請求項1〜13のうちいずれか一項記載の検出器入口とを備える、検出器入口。
【請求項15】
関心対象物質を検出する分析装置に対してサンプルを供給する検出器入口において、
ガス状流体の吸入フローをフロー方向に搬送するフロー通路と、
前記フロー通路周りの前記ガス状流体の循環フローを生成するよう配列されたフロー導向器であって、前記循環フローは、前記フロー方向に整列する回転軸線を有し、これにより前記流体が搬送する粒子の空間的分布を変化させるものである、該フロー導向器と、
前記循環フローによって取り囲まれるサンプリング容積部から前記流体のサンプルを収集し得るピンホールを有するサンプリング入口と、を備える、検出器入口。
【請求項16】
請求項15記載の検出器入口において、前記フロー導向器は、前記循環フローを生成するよう前記ガス状流体のフローの方向を変化させるよう構成された表面を有し、例えば、前記表面は溝又はフィンを有するものである、検出器入口。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の検出器入口において、前記フロー導向器は、前記吸入したフローにガス状流体の付加的フローを送給して前記循環フローを生成させるよう構成された付加的流体経路を有する、検出器入口。
【請求項18】
請求項15〜1のうちいずれか一項記載の検出器入口において、前記フロー導向器は、前記フロー通路へのフロー入口と、及び前記フロー通路からのフロー出口とを有し、また前記フロー入口及び前記フロー出口は前記回転軸線の方向に沿って離間している、検出器入口。
【請求項19】
請求項1記載の検出器入口において、前記フロー出口は、第1フロー出口及び第2フロー出口を有し、またサンプリング入口が前記第1フロー出口と前記第2フロー出口との間に配置されている、検出器入口。
【請求項20】
請求項19記載の検出器入口において、前記第1フロー出口及び前記第2フロー出口は、少なくとも部分的に前記フロー方向に整列する、検出器入口。
【請求項21】
関心対象物質を検出する方法において、
フロー通路に沿ってガス状流体のフローをフロー方向に供給する供給ステップであって、前記フロー通路はサンプリング容積部を含むものである、該供給ステップと、
前記フロー通路周りに前記ガス状流体の循環フローを誘発するステップと、
前記サンプリング容積部からピンホールを有するサンプリング入口を介して前記ガス状流体のサンプルを採取する採取ステップであって、前記循環フローは前記サンプリング容積部を取り囲むものである、該採取ステップと
記関心対象物質を検出する検出器に記サンプルを供給するステップとを備える、方法。
【請求項22】
請求項2記載の方法において、前記フロー通路は湾曲した壁を有するプレナムを備え、前記ガス状流体の前記循環フローは、前記湾曲した壁の内面に追随する、方法。
【請求項23】
請求項2記載の方法において、前記循環フローは、前記フローが搬送する粒子の空間的分布を変化させ、これにより前記プレナム周りに前記フローによって搬送される粒子の相対比率が、前記プレナムの前記湾曲した壁からの距離に伴って減少する、方法。
【請求項24】
請求項2又は2記載の方法において、前記湾曲した壁は前記ガス状流体のフローをフロー方向に導向させ、また前記循環フローは前記フロー方向に整列する回転軸線周りに循環する、方法。
【請求項25】
請求項2記載の方法において、前記プレナムはシリンダを有し、前記回転軸線は前記シリンダの長手方向軸線に整列する、方法。
【請求項26】
請求項2又は2記載の方法において、前記ガス状流体のフローはフロー入口からフロー出口に流動し、また前記フロー入口及び前記フロー出口は、前記シリンダの長手方向軸線の方向に離間する、方法。
【請求項27】
請求項2記載の方法において、前記流体のフローはフロー方向に流動し、また前記循環フローは前記フロー方向に交差する回転軸線周りに循環する、方法。
【請求項28】
請求項2記載の方法において、前記流体のフローはフロー入口からフロー出口に流動し、また前記フロー出口は、前記フロー入口からのフロー方向に交差する方向にフローを搬送する、方法。
【請求項29】
請求項2記載の方法において、前記フロー入口での前記流体のフローは、前記フロー出口での前記流体のフローよりも速いものである、方法。
【請求項30】
請求項229のうちいずれか一項記載の方法において、さらに、前記フロー通路におけるサンプルを加熱するステップを備える、方法。
【請求項31】
請求項2〜3のうちいずれか一項記載の方法において、さらに、前記循環フローを生成するよう前記フロー通路にガス状流体の付加的フローを供給するステップを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検出方法及び装置に関し、またより具体的には、検出器用のサンプルを採取するための方法及び装置に関し、さらにより具体的には、粒子が存在する蒸気のサンプルを採取する方法及び装置に関し、これら方法及び装置は、分光分析、例えばイオン移動度分光分析(Ion mobility spectrometry)及び質量分光分析(mass spectrometry)に特別な用途を見出すことができる。
【背景技術】
【0002】
幾つかの検出器は、分析装置で空気のような流体の流れを検出器入口内に「吸入」し、その空気をサンプリングし、関心対象物質を検出することによって動作する。その吸入空気の流れは、ピンホール、毛細管又は薄膜入口のようなサンプリング入口を用いて検出器入口からサンプリングすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
携帯型又は可搬式デバイスが、例えば、軍事及びセキュリティ要員の使用のためにしばしば必要となり得る。これら要員は、多量の砂塵及び他の粒子物質が存在する厳しい環境内で活動することがよくある。このような粒子は、サンプリング入口を閉塞させるか、そうでない場合、検出器にダメージを与えかねない。幾つかのケースにおいて、空気の流れに搬送される粒子には、検出器が敏感性を示す物質を含む場合があり得る。これら粒子が検出器又は入口内に溜まる場合、検出器を汚染し、また復旧時間問題を引き起こしかねない。
【0004】
本発明の態様及び実施形態は、関連する技術的問題に対処することを目的とする。
【0005】
本発明の実施形態を以下に例としてのみ添付図面につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1a】検出器入口の概略図を示す。
図1b図1aに示すライン「A」に沿う粒子の空間的分布を示す。
図1c】検出器入口の概略図を示す。
図2図1aの検出器入口の断面図である。
図3a】円筒形フロー通路を有する検出器入口の概略図を示す。
図3b図3aに示すライン「B」に沿う粒子の空間的分布を示す。
図4図3aに示すライン「B」における検出器入口の断面図を示す。
図5図1aの検出器入口を有する検出器の実施形態を示す。
図6図3aの検出器入口を有する検出器の実施形態を示す。
図7図1aの検出器入口を有する検出器の他の実施形態を示す。
図8図3aの検出器入口を有する検出器の他の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面において、同様の参照符号は同様の素子を示すのに使用する。
【0008】
本発明の実施形態は、関心対象サンプルを検出する分析装置にサンプルを供給する検出器入口に関する。このような検出器は、先ず粒子を搬送する空気、蒸気及びエアロゾルのようなガス状流体のフローを吸入することによってサンプルを採取することができる。次に、このフローからサンプルを取り込むことができる。例えば、ピンホール入口を用いて、これらサンプルを取り込み、また関心対象物質を検出することができる検出器に供給し得る。
【0009】
このような吸入フロー内に同伴される粒子は、吸入フロー全体にわたり空間的に均一に分布し得る。このような粒子の存在は、検出器汚染又はサンプリング入口の閉塞をもたらしかねない。本発明の実施形態は、蒸気のサンプリングを可能にするとともに、粒子がサンプリング入口に進入する又は詰まらせるのを抑止することを目的とする。このことは、サンプルを採取する(例えば、検出器のサンプリング入口によって)ことができる領域を取り囲む(包囲する)循環フローを誘導することによって達成することができる。この領域において粒子の相対数が激減し、これはすなわち、そうでない場合に相当均一な空間的分布となるものがこの循環フローの遠心効果によって変更されるからである。
【0010】
本発明の明細書は、このことを達成する多数のやり方を説明する。図1aはこのように動作するよう構成される検出器入口を示す。
【0011】
図1aは、フロー入口2、フロー出口4及びプレナム11を備える検出器入口1を示す。プレナム11は、内面12を有する壁8からなる。プレナムにおけるサンプリング容積部10からサンプルを採取するピンホールのようなサンプリング入口14を配置する。図2図1aの検出器入口の断面図を示す。図2からは、サンプリング入口をプレナム11の中心領域からガス状流体のサンプルを収集するよう構成できることが分かる。例えば、図1において、プレナムは、吸入したフローの経路が図面の平面に整列する平面図で示される。この図において、プレナム11は、丸みがある形状、例えば円形の形状を有する。サンプリング入口は、この丸みがある形状のプレナムの中央に又はその近傍に配置することができる。
【0012】
フロー入口2及びフロー出口4は、それぞれ材料ブロックを切削しかつ材料で囲まれるチャンネル、又はパイプ若しくはチューブのような導管から構成することができる。図1に示すフロー入口及びフロー出口は異なる方向に整列する。フロー入口2及びフロー出口4は双方ともにプレナム11に接合し、したがって、検出器入口1を通過する流体の経路における湾曲部に存在する。プレナム11において、ガス状流体のフローは、ガス状流体がフロー入口2からプレナム11を経てフロー出口4に流れるとき方向転換を受ける。
【0013】
プレナム11は、壁8の内面12によって区切られる内側容積部を有する。図示のように、壁8の内面12は湾曲し、例えば、壁8の内面12の曲率は、フロー入口2からフロー出口4への吸入フローの経路に湾曲部を生ずるよう構成することができる。図2に示すように、プレナムのフロー断面はフロー入口2のフロー断面よりも大きい。この状況において、フロー断面は、ガス状流体のフロー方向に交差する方向の面積を意味する。例えば、プレナム11は、フロー入口2がプレナム11に合流するフロー経路の拡開を生ずることができる。このことは、ガス状流体がプレナム11に進入するときにガス状流体のフローを遅くするよう作用し得る。図2の図示において、フロー出口4は、フロー出口4よりも大きいフロー断面を有する平面で示す。このことは、フロー出口4においてプレナムから流出するガス状流体により遅いフロー速度を付与する1つの方法である。出口でフロー速度をより遅くすることは、プレナムを巡る循環フローの生成を促すことができる。
【0014】
上述したように、フロー入口2は、ガス状流体をプレナム11に導き入れるよう構成する。プレナム11は、プレナム11によってサンプリング入口の一方の側を通り越して設けられる湾曲部の外側周りの第1フロー経路と、及びサンプル入口の他方の側を通り越して設けられる湾曲部の内側周りの第2フロー経路とを有する。このようにして、プレナム11の中央に又はその近傍にサンプリング入口を位置決めすることによって、サンプリング入口14を取り囲む流体の循環フローを誘発することができる。この循環フローは、流体が搬送する粒子の空間的分布を変化させて、サンプリング入口14がサンプルを採取するサンプリング容積部10に進入することなくサンプリング入口14を通り越して搬送される粒子の相対的比率を増加させることができる。フロー出口4は、ガス状流体がフロー入口2から流入するよりも遅い速度でガス状流体のフローがプレナム11から流出するよう構成することができる。例えば、フロー出口4は、より広いフロー断面にして、フロー出口14を経由するガス状流体の体積流量率がフロー入口2を経由するのと同一体積流量率と同一であるが、より遅い線速度で流れることができるようにする。このことは、ガス状流体が湾曲部の内側でサンプリング入口を通り越して戻るよう流れる傾向を増長することができる。例えば、流体がプレナム11内に流入することができるこのような実施形態において、フローは流入後にサンプリング入口における一方の側の周りに湾曲し、フロー出口4における遅く流れる流体によってフロー出口4に全面的に進入するのを阻止され、また少なくとも部分的にサンプリング入口14の他方の側でサンプリング入口を通り越して戻るよう流れることによってプレナムを循環する。
【0015】
図1aの装置の動作において、ガス状流体のフローは、吸入されてフロー入口2からプレナム11を経てフロー出口4に移動する。プレナム11は吸入されたガス状流体におけるこのフローの方向を変化させる、例えば、フロー入口2からのフロー方向を曲げる。この曲げの外側は、内方に湾曲するプレナムの壁8によって生ずる。このことは吸入された流体のフロー方向を変化させ、また流体がプレナム11を経て流れるとき流体フローをサンプリング入口の周りに曲げる。流体がフロー出口4に達するとき、幾らかのガス状流体は出口4を経てプレナム11から退出するが、幾らかのガス状流体は、フロー出口4を通り越して流れにおける渦流のように湾曲部13の内側13でサンプリング入口の他方の側を通り越して戻る方向に案内され、プレナム11に留まる。サンプリング入口を通り越して戻る方向に流れて再びフロー入口2に復帰したとき、この逆流フローは、フロー入口でプレナム11に到達する他のフローに再合流することができる。これと同一のサイクルが再開して、この再合流フローのうち幾分かが再循環するとともに、幾分かは出口4から退出する。したがって、ガス状流体フローのうち少なくとも一部に関して、このような実施形態は、一定断面の真直ぐなパイプに沿う同一フローと比較すると、サンプリング入口周りにおけるガス状流体の滞留(ドウェル)時間を増大させることができる。
【0016】
したがって、流体の少なくとも一部分は、プレナム内周りでサンプリング入口を包囲する湾曲した、例えば少なくとも部分的に円形のフロー経路を流れてからフロー出口4からプレナムを抜け出ることができる。この循環フローは、入口2及び出口4を通過するガス状流体のバルクフロー方向に交差する、例えば直交する回転軸線の周りに循環することが図2から分かる。
【0017】
この循環フローは、サンプリング入口周りの遠心効果をもたらすことができ、この遠心効果は、フローが搬送する粒子をプレナムの壁に向けて、例えば、サンプリング入口から遠ざかる移動をさせようとする。このことは、循環フローの回転軸線に向かう領域であって、ガス状流体における粒子比率がガス状流体フロー他の領域、例えば、プレナム11の壁により近接する流体フロー領域に比べて低減される領域を生ずる。しかし、フローによって搬送される蒸気は、プレナム11周りに自由に拡散し、この低減領域内に留まる。したがって、本発明方法は、この低減領域からガス状流体のサンプルを収集して、サンプリング入口を詰まらせる又はこのサンプリング入口に進入して検出器を汚染することがあり得る粒子の数を減らすステップを備える。
【0018】
ラインA及びサンプリング容積部10に沿う粒子の分布を図1bにおけるプロットグラフで示す。図1bに示すように、粒子の数(例えば、単位容積当たりの数)は壁の表面からの距離の関数として減少する。例えば、粒子の数は、サンプリング容積部10に向かうにつれて、また湾曲部の内側13から離れるにつれて低下する。上述したように、遠心効果が粒子をプレナムの壁に向う方向に移動させ、またこの運動はサンプリング容積部に向かう壁からの距離とともに粒子の数を変化させる。図1bに示す粒子分布は、壁の表面12とサンプリング容積部10との間における領域に比べて湾曲部の内側13とサンプリング容積部10との間における領域の方が粒子の数がより少ないことを示す。粒子理論に固執したくはないが、壁の表面12とサンプリング容積部10との間における流体の一部が湾曲部の内側13とサンプリング容積部10との間における領域に通過し、したがって、湾曲部の内側13とサンプリング容積部10との間における流体はより大きい遠心効果を受けており、またひいては、より少ない粒子を含むことになり得る。しかし、このような分布は単なる例であることを理解されたい。
【0019】
壁の曲率は、粒子が検出器入口1の内面に衝突するのを減らすよう選択することができる。例えば、壁の曲率半径は、流体フローに対して滑らかな経路を付与するよう壁の異なる部分で相違させることができる。例えば、壁のフロー入口2に隣接する第1部分及び壁のフロー出口4に隣接する第2部分の双方は、壁における第1部分を第2部分に接合する部分よりも大きい曲率半径にする。この曲率半径変化は、吸入ガス状流体のフロー方向に緩やかな変化をもたらす。このことは、ガス状流体によって搬送される粒子及びエアロゾルがプレナムの壁に衝突しまた堆積する傾向を減少することができる。
【0020】
図1cは、図1aにつき上述したような検出器入口の実施例を示す。しかし、この図1cにおいては、フロー入口2はフロー出口4と同一向きに整列する。フロー出口4は、しかし、フロー入口2からはオフセットしている。図1cに示す実施例に関しては、フロー出口4は、フロー入口2から側方に、例えば、流体フローの方向に交差する方向に離間する。この実施例において、流体の少なくとも一部分はサンプリング入口を取り囲むプレナム周りの円として流動してから、フロー入口2に平行な方向にフロー出口4を経由してプレナムから退出することができる。図1cに示す実施例において、フロー出口4は、プレナムのフロー入口2とは反対側8に配置する。したがって、ガス状流体は、フロー入口2からプレナムに流入するのと同一方向にフロー出口4を経由してプレナムから流出することができる。しかし、他の実施形態において、フロー出口4はプレナム8のフロー入口2と同一側に配置することもできる。例えば、プレナムはU字屈曲の曲げ部に配置することができる。これら及び他の実施例は、ガス状流体フローの方向に交差する軸線周りに回転する循環フローを生ずる。
【0021】
検出器入口の他の構成も設けることができる。プレナム内における流体の循環フローはフロー方向に整列する軸線周りに循環することもできる。例えば、プレナムは、流体がシリンダに沿って流動できるよう構成した該シリンダのような導管又はフロー通路32を有することができる。このような構成において、循環フローの回転軸線は、フロー通路の長手方向軸線に整列し得る。このような1つの実施例を図3aに示す。
【0022】
図3aに示す実施例において、検出器入口は、ガス状流体のフロー方向に平行な軸線周りに回転する循環フローを生ずるよう構成したフロー通路32を備える。上述したように、循環フローは、フロー内粒子の空間的分布に変化をもたらし、フロー通路の壁に近づくにつれて比較的より多くの粒子がフローに搬送される。粒子数はフロー通路の壁からの距離の関数としても減少する。
【0023】
より詳細には、図3aは、フロー通路32、フロー入口29、第1フロー出口28、及び第2フロー出口30を備える検出器入口を示す。フロー通路32は、壁33と、フロー通路32の壁33の内面に配列したフィン22の形式であるフロー導向器と、サンプリング容積部24と、及びサンプリング入口14とを有する。図4は、図3aのマークBを付けたラインにおけるフロー通路32の断面を示す。
【0024】
図3a及び図4に示す実施例において、フロー通路32は、材料ブロックを切削しまた材料で囲まれるチャンネル、又はパイプ若しくはチューブのような導管から構成する。フロー通路32はバルクフロー方向を画定する。フロー入口29はこのフロー通路32の一部を構成する。第1フロー出口28及び第2フロー出口30は、フロー通路32に沿ってフロー入口29から離間し、通路の管体軸線から遠ざかる方向に延在する。例えば、フロー出口28、30はフロー通路32から分岐することができる。例えば、フロー通路32に対して角度をなすよう配置することができる。これらフロー出口はフロー通路32に対して交差する(例えば、直交する)よう配列するが、幾つかの実施形態において、フロー通路32の方向に少なくとも部分的に整列することができる。例えば、フロー通路及びフロー出口28,30は、Y字状に配列することができる。図3aに示す実施例において、第1フロー出口28及び第2フロー出口30は管体から異なる方向に延在することができ、例えば、第1フロー出口28は、第2フロー出口30によって搬送される流体フローとは反対方向にガス状流体フローを搬送するよう配列することができる。
【0025】
図3aにおいて、フロー導向器は、フロー通路32の内壁33から突出するフィン22を有する。フィン22は、フロー通路32の周りにまたフロー通路に沿うねじのねじ山のような螺旋状経路に整列することができる。フロー導向器として作用するため、このフィン(又はこれらフィン)は、フロー通路を流動する流体の少なくとも一部分の経路に存在する。図示の実施例において、フロー導向器はフロー通路32の壁に結合した2つのフィン22の形式とする。単独のフィン又はそれより多い数のフィンを使用することもできる。フィン22は、フロー通路に沿う螺旋状(例えば、コルク栓抜き状)経路の少なくとも一部分に整列する薄く細長い構体を有する限り、連続的である必要はない。このフィン(又はこれらフィン)は、螺旋軸線がフロー通路32に整列する螺旋状経路に沿ってフロー通路の内壁によって担持することができ、例えば、螺旋状経路はフロー通路32と同軸状にすることができる。フィン22は、フロー通路32の壁33に固着することができ、例えば、フロー通路32にはフィン22を一体に形成することができる。フィンはフロー通路32の壁33から少なくとも10ミクロン突出することができる。
【0026】
フロー通路32はフロー入口29からサンプルを受け入れるよう構成する。フロー通路32の壁内面におけるフィン22は、流体のフロー方向を変化させ、フロー通路32のバルクフロー方向に整列する回転軸線を有する循環フロー20で流体が流動するよう構成する。サンプリング入口14はサンプリング容積部24からサンプルを採取するよう配列し、例えば、図3aに示すように、サンプリング入口は、サンプリング容積部の中心に配置することができる。図4図3aのフロー通路32の断面図を示す。図4は、フロー通路32に同軸状であり、また流体フロー20によって取り囲まれるサンプリング容積部を示す。フロー経路20は、図3a及び図4において、壁33の内面を流動しかつフィン22によって反時計方向に導かれる流体の循環フローにより示す。
【0027】
動作にあたり、ガス状流体はフロー入口29から吸入され、フロー通路32を経由して第1フロー出口28及び第2フロー出口30から流出する。フロー通路32の内壁33から突出するフロー導向器は、フロー通路におけるガス状流体フローの方向を変化させる。流体がフロー通路に沿って移動するとき、方向変化が流体に回転を付与し、これにより例えば、銃身に沿って移動する銃弾に回転運動を誘導する銃身旋条痕のように、流体フローはフロー通路の軸線を取り囲む。ガス状流体は、フロー通路の軸線周りに回転し続けるとともに、第1フロー出口28及び第2フロー出口30に向かって移動する。この後、ガス状流体は第1フロー出口28及び第2フロー出口30を経由してフロー通路から退出する。
【0028】
図3a及び図4に示す循環流体フロー経路20はフロー通路に沿うフロー方向に対応する軸線を有する螺旋状フロー経路である。このフロー経路は、フィン22の配列によって付与することができる。図3a及び図4に示す構成において、フィン22は、フロー通路の表面に配列され、フロー通路の軸線に同軸状の軸線を有する螺旋パターンを形成するよう指向性を与えられる。したがって、流体は、フィン22の指向性に追随してフロー通路32に沿う螺旋状経路で導向される。図3a及び図4に示す実施例において、フィンは、流体フローに対して反時計方向の螺旋をなすよう配列され、したがって、流体がフロー通路に沿って流動するとき、流体フィンは流体を反時計方向に回転させる。
【0029】
フロー通路における流体の循環フローは、流体が搬送する粒子の空間的分布を変化させることができる。上述したように、循環フローは、粒子をフロー通路の壁33に向けて移動させる循環フローの遠心効果により、サンプリング容積部24に進入することなくサンプリング入口14を通り越して搬送される粒子の相対的比率を増加させることができる。壁に向かう粒子の運動は、サンプリング容積部における粒子比率をより低下させ、したがって、サンプリング容積部における蒸気の比率を増加させる。
【0030】
図3aに示す実施例において、流体循環フローの性質はフィン22の配列によって決定される。例えば、フロー通路32の所定長さあたりフロー通路32の軸線周りを流体が回転する回数は、フロー通路32の壁33におけるフィン22の位置によって決定される。フロー通路32の長さに沿うより多くの回転数を有するフィン配列、例えば、より小さいピッチの螺旋となるよう配列されるフィンによれば、ガス状流体がフロー通路の長さに沿って移動するとき、フロー通路の軸線周りにより多くの回転サイクルを流体にもたらすことができる。
【0031】
ラインB及びサンプリング容積部24に沿う粒子の分布を図3bにおけるプロットグラフで示す。図3bに示すように、粒子の数はフロー通路の壁33からサンプリング入口に至るまで減少する。上述したように、遠心効果が粒子をプレナムの壁に向って移動させ、またこのことがフロー通路32の軸線付近に位置するサンプリング容積部24における粒子の数を減少させる。
【0032】
サンプリング入口14は検出器入口1に接続し、またサンプリング入口14周りのサンプリング容積部10,24から流体のサンプルを収集し得るようにする。本明細書に記載の実施形態において、ガス状流体のフローからサンプルを取り込むのに使用されるサンプリング入口は、ピンホール入口を有することができる。サンプラー(図示せず)は、サンプリング容積部10,24よりも少量の選択された流体量をサンプリング入口14から吸引して分析装置にサンプルを供給するよう構成する。サンプラーは、蒸気をサンプリング容積部10、24からサンプリング入口14を経由して分析装置に送給するよう構成された電気機械的アクチュエータ、例えばソレノイド駆動アクチュエータ及び/又は機械的ポンプを備えることができる。
【0033】
図5はサンプリング入口14を介して検出器入口1に接続した検出器48を示し、また図6はサンプリング入口14を介して検出器入口3に接続した検出器48を示す。検出器48は、サンプリング入口を介して流体のサンプルを採取するよう構成したサンプラー52と、及び分析装置53とを有する。
【0034】
分析装置53は、サンプリング入口から受け入れたサンプルを分析する、例えば、サンプルにおける関心対象の1つ又はそれ以上の化学物質を決定するよう構成する。図5及び図6に示す分析装置53は質量分析装置を有する。質量分析装置は、イオン化装置と、イオン加速器と、ビーム合焦器と、磁石と、及び蒸気のサンプルに対して質量分光分析を行うよう構成されたファラデー捕集器とを有することができる。
【0035】
図示のように、コントローラ50を接続して、分析装置、フロー供給器及びサンプラー52を制御する。コントローラ50は、プロセッサ、及び検出器48を動作させる命令を記憶するメモリを有することができる。
【0036】
図7及び図8は、分析装置がイオン移動度分光分析装置72を有する検出器68を示すが、それ以外は図5及び図6に示す装置と同一である。図7のイオン移動度分光分析装置はサンプリング入口14によって検出器入口1に接続する。サンプラー52は、サンプリング入口14から流体のサンプルを採取し、またイオン移動度分光分析装置72に供給するよう構成される。図5及び図6の実施例と同様に、コントローラ50は、プロセッサ、及び検出器68を動作させる命令を記憶するメモリを有することができる。さらに、図5及び図6の実施例と同様に、サンプラー52は、蒸気をサンプリング容積部10、24(図1a、図1b、図1c、図2図3a、図3b及び図4に示すような)からサンプリング入口14を経由して分析装置に送給するよう構成された電気機械的アクチュエータ、例えばソレノイド駆動アクチュエータ及び/又は機械的ポンプを備えることができる。
【0037】
ゲート電極76は反応領域58をドリフトチャンバ62から分離することができる。ゲート電極76は、ブラッドベリー-ニールセン・ゲートを生ずるよう配列することができる少なくとも2つの電極のアセンブリを有することができる。ドリフトチャンバ62は、ゲート電極76側とは反対側のドリフトチャンバ62の端部近傍に、イオンを検出するためのコレクタ77を有することができる。ドリフトチャンバは、さらに、ドリフトガス入口74と、ドリフトチャンバ62に沿ってイオンコレクタ77からゲート76に向かうドリフトガスのフローを生ずるよう配置されたドリフトガス出口60とを有する。サンプラー52はコントローラ50によって動作して、サンプリング容積部10,24(図1a、図1b、図1c、図2図3a、図3b及び図4に示すような)からサンプリング入口14経由で流体を採取することができる。サンプラー52は、さらに、採取したサンプルを分光分析装置68の反応領域58に供給するよう動作することができる。図7及び図8に示す反応領域は、サンプルをイオン化するイオン化装置56を有する。イオン化装置56は、コロナ放電イオン化装置から構成することができる。ドリフトチャンバ62は、ドリフトチャンバ62に沿って電界を付与し、ドリフトガスのフローに抗してイオンをコレクタ77に向けて移動させるためのドリフト電極64,70を有することができる。図7及び図8の装置は2つのドリフト電極64,70を有するものとして示すが、幾つかの実施形態は2つより多いドリフト電極を有することができる。
【0038】
上述したように、本発明検出器入口は、塵埃及び汚染物質が行き渡っている厳しい環境内で使用できる可搬式デバイスに特別な用途を見出している。これら検出器入口は、図5及び図6の質量分光分析装置、及び図7及び図8のイオン移動度分光分析装置のような種々の分析装置、他の種類のアナライザ、分光分析装置及び/又はクロマトグラフィ装置に使用することができる。さらに、検出器入口1、3は異なる構成を有することができる。
【0039】
上述した幾つかの実施例において、フロー検出器は、単独フロー入口及び単独フロー出口を有する。他の実施例において、フロー検出器は、1つより多いフロー入口及び1つより多いフロー出口を有することができる。一実施例において、フロー検出器は、フロー入口の数よりも多い数のフロー出口を有する。これら入口及び出口のフロー断面積は、フロー出口の総フロー断面積がフロー入口の総フロー断面積よりも大きくなるよう選択することができる。
【0040】
上述した実施例において、フロー検出器1の表面は、流体に循環フローを誘発するよう流体フローを導向させる。フロー検出器1は、さらに、付加的流体をフローに導向させて循環フローを生成するよう構成した付加的流体経路を有することができる。この付加的流体経路は、流体をフロー導向器に導入してガス状流体の循環フローを生成するよう流体のフロー経路を変化させるよう配列した1つ又はそれ以上の流体ジェットを有することができる。
【0041】
図3a及び図4に示す実施例において、フィンはフロー通路の壁に螺旋状構成をなすよう配置し、流体フローがフロー通路に沿って螺旋状経路に存在するようにする。フィンは螺旋状パターン以外のパターンで表面に配置して、流体のフロー通路に沿う螺旋状でない循環運動を誘発することができ、例えば、フィンに少なくとも部分的にテーパを付け、例えば、円錐状スパイラルにすることができる。フィンは流体を反時計方向に導向させるよう配列するが、フィンは、さらに、流体が時計方向螺旋状経路で流動するよう時計方向螺旋状パターンで配列することができる。
【0042】
図3a及び図4に示す実施例において、フィンはフロー通路32の壁に配列する。螺旋状パターンは螺旋の長さに沿って均一ピッチを有することができる。螺旋は、フロー通路の少なくとも一部、例えば、フロー通路の全部に沿って延在することができる。螺旋状フィンのピッチは、さらに、フロー通路の長さに沿って変化させることができ、例えば、フィンのピッチは、フロー通路の一部分で減少させ、これにより循環フローは、流体がフロー通路の所定長さに対してフロー通路の軸線周りにより多くの回転を受けるものとなるようにすることができる。
【0043】
図3a及び図4に示す実施例において、フロー導向器は、フロー通路32の壁33から突出するフィンを有する。フロー導向器は、さらに、流体を循環経路に導向させるようフロー通路32の壁33に設けた溝を有することができ、例えば、溝は、フロー通路32の壁33における、例えば、ナットにおけるねじ山のような窪み領域とすることができる。
【0044】
図3a及び図4に示す実施例において、フィンはフロー通路32の壁から突出する。フィンは、さらに、フロー通路の他の部分から突出することもでき、例えば、フィンは、フロー入口及び/又はフロー出口からフロー通路内に突入することができる。
【0045】
図3a及び図4に示す実施例において、第1フロー出口28及び第2フロー出口30はフロー通路32を横切るよう配置する。第1フロー出口28及び/又は第2フロー出口30はフロー方向に少なくとも部分的に整列することもでき、例えば、第1フロー出口28及び/又は第2フロー出口30はフロー通路に対して45゜の角度をなす向きに指向させることができる。
【0046】
図3a及び図4に示す実施例において、フロー通路は20mm未満の幅とすることができる。フロー通路は、例えば10mm未満の幅、例えば5mm未満の幅、例えば2mm未満の幅、例えば1.5mm未満の幅、例えば0.75mm未満の幅、例えば0.5mm未満の幅、例えば0.4mm未満の幅、例えば0.3mm未満の幅、例えば0.2mm未満の幅、例えば0.1mm未満の幅とすることができる。
【0047】
図3a及び図4に示す実施例において、フロー通路は、少なくとも10ミクロンの幅、例えば少なくとも0.1mmの幅とすることができる。フロー通路は、例えば少なくとも0.2mmの幅、例えば少なくとも0.3mmの幅、例えば少なくとも0.4mmの幅、例えば少なくとも0.5mmの幅、例えば少なくとも0.75mmの幅、例えば少なくとも1mmの幅、例えば少なくとも1.5mmの幅、例えば少なくとも2mmの幅、例えば少なくとも5mmの幅とすることができる。
【0048】
検出器入口は、さらに、ガス状流体を循環フロー周りに移動させるムーバーを備えることができる。このムーバーは、ジェットのようなガス状流体の付加的フローをフロー通路又はプレナムの壁内面周りに吹き込むよう構成することができる。
【0049】
検出器入口は、さらに、プレナム内のガス状流体を加熱するヒータを備えることができる。このヒータは、流体フロー、例えばガス状流体を加熱してフローが搬送するエアロゾルを気化するよう構成することができる。一実施例において、ヒータはフロー入口、フロー通路及び/又はプレナムに位置決めすることができる。ヒータは、フィラメントヒータのような抵抗ヒータ、例えば、メンブレインヒータとすることができる。ヒータの例としては、赤外線光源もある。
【0050】
図1a及び図3に示す実施例において、フロー入口はフロー出口よりも小さいフロー断面積を有する。さらに、フロー入口はフロー出口と同一のフロー断面積を有することもできる。幾つかの実施例において、フロー入口はフロー出口よりも大きいフロー断面積を有することができる。
【0051】
図1a及び図3に示す実施例において、循環フローはバルクフロー方向に交差する回転軸線周りに循環する。循環フローは、さらに、循環フローはバルクフロー方向に交差する以外の、例えばバルクフロー方向に整列する回転軸線周りに循環することができる。
【0052】
本明細書に記載の検出器入口は、ホース又はパイプのような導管の構成として説明する。しかし、上述したように、チャネル、及び材料ブロックに切削して材料によって囲まれるプレナムによって設けることもできる。このような実施形態において、本明細書に記載のフロー通路及び入口は円形断面を有していないことがあり得る。
【0053】
さらに、当然のことながら、本発明の任意な態様として説明及び規定した様々な特徴の特別な組合せも独立的に実装及び/又は供給及び/又は使用することができる。他の実施例及び変更例も本発明明細書の記載背景から当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0054】
1 検出器入口
2 フロー入口
3 検出器入口
4 フロー出口
8 壁
10 サンプリング容積部
11 プレナム
12 内面
13 湾曲部の内側
14 サンプリング入口
20 フロー経路
22 フィン
28 第1フロー出口
29 フロー入口
30 第2フロー出口
32 導管又はフロー通路
33 (フロー通路32の)壁
48 検出器
50 コントローラ
52 サンプラー
53 分析装置
56 イオン化装置
58 反応領域
60 ドリフトガス出口
62 ドリフトチャンバ
64 ドリフト電極
68 検出器
70 ドリフト電極
72 イオン移動度分光分析装置
74 ドリフトガス入口
76 ゲート電極
77 コレクタ
図1a
図1b
図1c
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8