(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875388
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】セグメント化されたブラシレス固定子の配線系
(51)【国際特許分類】
H02K 3/52 20060101AFI20210517BHJP
H02K 3/50 20060101ALI20210517BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20210517BHJP
H02K 1/18 20060101ALI20210517BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20210517BHJP
【FI】
H02K3/52 E
H02K3/50 Z
H02K15/02 D
H02K1/18 C
H02K11/33
【請求項の数】22
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-518436(P2018-518436)
(86)(22)【出願日】2016年10月7日
(65)【公表番号】特表2018-530302(P2018-530302A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】US2016056079
(87)【国際公開番号】WO2017062824
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2019年10月4日
(31)【優先権主張番号】62/239,370
(32)【優先日】2015年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513075135
【氏名又は名称】コルモーゲン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】KOLLMORGEN CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドーソン、スコット
(72)【発明者】
【氏名】ノッジ、アントニー
【審査官】
末續 礼子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−116032(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0019592(US,A1)
【文献】
特開2016−077141(JP,A)
【文献】
特開2000−348789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/52
H02K 1/18
H02K 3/50
H02K 11/33
H02K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータの固定子であって、
各セグメントが透磁性材料を有するティースと、前記ティースの周りを囲む電気コイルと、少なくとも一つの絶縁体とを含む複数のセグメントと、
各コネクタが、前記電気コイルの電線の絶縁被覆を貫通して当該電線と電気的に接続する二つのアームを備える第一端子と、細長い部材を備える第二端子と、を含み、前記第一端子および前記第二端子は導電性材料から一体的に作られている複数のコネクタと、
入力電力線に結合されて、前記複数のコネクタの前記第二端子を圧入によって収容する開口を含む回路基板と、を備え、
前記回路基板は、複数の前記第二端子が前記開口に収容され、前記複数のセグメントの各々にある前記電気コイルに結合されている
ことを特徴とする固定子。
【請求項2】
前記複数のセグメントの全てにある前記電気コイルは、同じ方向に巻回される
ことを特徴とする、請求項1に記載の固定子。
【請求項3】
前記複数のセグメントの全てにある前記電気コイルは、糸巻き状に巻回される
ことを特徴とする、請求項2に記載の固定子。
【請求項4】
前記複数のコネクタの前記第二端子は、ばね部材を含む
ことを特徴とする、請求項1に記載の固定子。
【請求項5】
前記ばね部材は、前記回路基板の開口部に挿入されると圧縮して、前記コネクタと前記回路基板とを機械的および電気的に堅固に接続するようになっている
ことを特徴とする、請求項4に記載の固定子。
【請求項6】
前記回路基板は、前記入力電力線を前記複数のセグメントにある前記電気コイルのうち特定のものに接続して転流を行う回路を備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の固定子。
【請求項7】
前記回路は、前記入力電力線を前記複数のセグメントにある前記電気コイルのうち特定のものに結合して三相モータを転流する
ことを特徴とする、請求項6に記載の固定子。
【請求項8】
前記回路基板は、環状である
ことを特徴とする、請求項1に記載の固定子。
【請求項9】
前記複数のセグメントの前記少なくとも一つの絶縁体は、前記複数のコネクタの前記第一端子を収容するポケットを備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の固定子。
【請求項10】
前記複数のコネクタの前記第一端子は、前記複数のセグメントの前記電気コイルに切り込みを入れて電気的接続を形成するようになっている尖頭部を含む
ことを特徴とする、請求項1に記載の固定子。
【請求項11】
各セグメントが巻回された複数の電気コイルを有する複数のセグメントを備えるモータ固定子を組み立てる方法であって、前記方法は、
組立てに際して前記複数のセグメントを空間的に配置することと、
前記セグメント毎に少なくとも一つのコネクタが結合されて、各コネクタが、前記電気コイルの絶縁被覆を貫通して当該電気コイルと電気的に接続するように構成された二つのアームを備える第一端子と、細長い部材を備える第二端子と、を含み、前記第一端子および前記第二端子は導電性材料から一体的に作られている複数の前記コネクタを前記複数のセグメントに結合することと、
前記複数のセグメントの前記電気コイルを前記複数のコネクタを介して入力電力線に結合する回路基板を前記複数のコネクタの第二端子上に圧入することと、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記複数のセグメントの全てにある前記電気コイルを同じ方向に巻回することを、さらに含む
ことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電気コイルは糸巻き状に巻回される
ことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記回路基板は、前記複数のコネクタの前記第二端子を収容する開口を備える
ことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のコネクタの前記第二端子は、ばね部材から成る
ことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のコネクタの前記第一端子を、前記複数のセグメント上の絶縁体に形成されたポケットに挿入することを、さらに含む
ことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のコネクタの前記第一端子を前記絶縁体の前記ポケットに挿入することによって前記複数のセグメントの前記電気コイルに切り込みを入れて、前記切り込みが前記電気コイルと前記複数のコネクタとを電気的に接続する
ことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記回路基板は、前記入力電力線を前記複数のセグメントにある前記電気コイルのうち特定のものに接続して転流を行う回路を備える
ことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記固定子の複数のセグメントは、薄板状の部分から成る
ことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のセグメントにある前記ティースは、薄板状の部分から成る
ことを特徴とする、請求項1に記載の固定子。
【請求項21】
電線の絶縁被覆を貫通して当該電線と電気的に接続するように構成された二つのアームを備える第一端子と、
導電性の収容体に圧入できるように構成された細長い部材を備える第二端子と、を含み、
前記第一端子および前記第二端子は導電性材料から一体的に作られている
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項22】
前記第一端子は絶縁体に挿入されるように構成され、前記絶縁体は前記電線を支持するように構成された開口を備える
ことを特徴とする、請求項21に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第111条(a)の下で出願され、2015年10月9日に出願された米国仮特許出願番号62/239,370号に対し米国特許法第119条(e)の下で優先権の利益を主張するものであって、いかなる目的のためであれ、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示される主題は、一般的にはモータ技術に関するものであって、より具体的にはモータのセグメント化された固定子を組み立てる配線系および配線方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ブラシレス回転モータでは、典型的に、回転子は「極」と呼ばれる拡張部分に配置された永久磁石材料を備える。モータの固定子は、分散した複数のセグメント(「ティース」と呼ぶ)から成り、各セグメントがワイヤでできたコイルで巻回されていることが多い。固定子セグメントのコイルは、電流によって通電し電磁界を発生する。固定子のコイルに発生した電磁界は、回転子の永久磁石と相互作用して、回転子のトルクおよび回転動作を誘起する。固定子のティースのコイルに発生する電流の極性を制御することによって、回転子を連続的に回転させることができる。
【0004】
固定子は、単一ティースである薄板状セグメントの複数個で構成されることが多い。各セグメントは個別に絶縁されてから巻回されることが多い。同様に巻回されたセグメントは、通常、完全な電機子固定子として円形に組み立てられる。組立て物は、モータ筐体内に設置されるとこの円形状のまま不可逆的に保持されることが多い。
【0005】
筐体内に設置する前に、組み立てられた固定子は、電気的な配線が行われる間は機械的なクランプまたは固定具によって一時的に保持されることが多い。典型的には、各固定子セグメントに巻回されたコイルは、ワイヤ開始端およびワイヤ終了端(まとめて「コイル端子」と称する)を有する。コイル端子は、組み立てられた固定子内の具体的なセグメント位置に応じ他のコイルと直列または並列な状態で、中性リード線または電源リード線に接続される。
【0006】
コイル端子の配線は、適切な動作を発生させるために、固定子に発生する電磁界の極性が時間的に規則正しく交互に入れ替わるという事実によって複雑なものとなる。配線が複雑であると、コイルを固定子セグメント上に巻回する方式に影響を及ぼす。一般に、各固定子セグメントの配線は個別に行われ、均一で一貫したやり方では行われない。個別の配線は、最終的なモータ製品の複雑さおよびコストの増加につながり、性能パラメータにも影響を及ぼす。特に、現在の配線方法を用いては、固定子セグメント間の空隙に位置する銅の量である銅充填量を最適化するのは困難である。
【0007】
必要となるのは、組立て効率を向上させ銅充填を最適化することができる、ブラシレスモータのセグメント化された固定子のコイルの配線系および配線方法である。
【発明の概要】
【0008】
一実施形態では、電動モータの固定子が提供される。前記固定子は、各セグメントが透磁性材料を有するティースと、前記ティースの周りを囲む電気コイルと、少なくとも一つの絶縁体とを含む複数のセグメントと、各コネクタが第一端子および第二端子を含み、第一端子は前記少なくとも一つの絶縁体に挿入されて前記複数のセグメントの各々にある前記電気コイルに結合するようになっている複数のコネクタと、入力電力線に結合されて、前記複数のコネクタの前記第二端子を収容するようになっている開口を含む回路基板と、を備える。前記回路基板は、複数の前記第二端子が前記開口に収容されると、前記複数のセグメントの各々にある前記電気コイルに結合される。
【0009】
前記複数のセグメントの全てにある前記電気コイルは、同じ方向に巻回されてもよい。前記複数のセグメントの全てにある前記電気コイルは、糸巻き状に巻回されてもよい。また、前記複数のコネクタの前記第二端子は、ばね部材から成ってもよい。前記ばね部材は、前記回路基板の開口部に挿入されると圧縮して、前記コネクタと前記回路基板とを機械的および電気的に堅固に接続するようになっていてもよい。前記回路基板は、前記入力電力線を前記複数のセグメントにある前記電気コイルのうち特定のものに接続して転流を行う回路を備えてもよい。特に、前記回路は、前記入力電力線を前記複数のセグメントにある前記電気コイルのうち特定のものに結合して三相モータを転流してもよい。前記回路基板は、環状であってもよい。前記複数のセグメントの前記少なくとも一つの絶縁体は、前記複数のコネクタの前記第一端子を収容するポケットを備えてもよい。前記複数のコネクタの前記第一端子は、前記複数のセグメントの前記電気コイルに切り込みを入れて電気的接続を形成するようになっている尖頭部を含んでいてもよい。前記固定子の前記複数のセグメントにある前記ティースは、薄板状の部分から成ってもよい。
【0010】
別の実施形態では、各セグメントが巻回された複数の電気コイルを有する複数のセグメントを備えるモータ固定子を組み立てる方法が提供される。前記方法は、組立てに際して前記複数のセグメントを空間的に配置することと、セグメント毎に少なくとも一つのコネクタが結合されて、各コネクタが、結合先である、各々の前記セグメントの前記電気コイルとの電気的接続を形成する複数のコネクタの第一端子を前記複数のセグメントに結合することと、前記複数のセグメントの前記電気コイルを前記複数のコネクタを介して入力電力線に結合する回路基板を前記複数のコネクタの第二端子上に圧入することと、を含む。
【0011】
前記方法は、前記複数のセグメントの全てにある前記電気コイルを同じ方向に巻回することを含んでもよい。例えば、前記電気コイルは糸巻き状に巻回されてもよい。前記回路基板は、前記複数のコネクタの前記第二端子を収容する開口を備えてもよい。前記複数のコネクタの前記第二端子は、ばね部材から成ってもよい。前記方法は、前記複数のコネクタの前記第一端子を、前記複数のセグメント上の絶縁体に形成されたポケットに挿入することをさらに含んでもよい。前記複数のコネクタの前記第一端子を前記絶縁体の前記ポケットに挿入することによって前記複数のセグメントの前記電気コイルに切り込みを入れて、前記切り込みが前記電気コイルと前記複数のコネクタとを電気的に接続することができる。前記回路基板は、前記入力電力線を前記複数のセグメントにある前記電気コイルのうち特定のものに接続して転流を行う回路を備えてもよい。
【0012】
本明細書に開示された、ブラシレスDCモータ用のセグメント化された固定子は、広範囲の用途および設置物におけるモータに展開することができる。そうした設置物には、食品・飲料加工、包装加工、製剤工程、材料成形、医療検査自動化、ロボット工学、印刷、ラベリング、航空宇宙、タイヤおよびゴム、郵便物の仕分、自動運転車両、および石油・ガス産業のいずれも含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の特徴および利点は、添付する以下の図面を参照しながら行う説明によって明らかになる。
【
図1】本明細書の教示に係る典型的なセグメント化された固定子および組立て系の分解図である。
【
図2】本明細書の教示に係る、組み立てられた形態の固定子の斜視図である。
【
図3】本発明の教示に係る、絶縁体のポケット内に挿入される典型的な絶縁変位コネクタ(IDC)の断面図である。
【
図4A】本明細書の教示に係る、端子を開口に挿入する前の、IDC端子および圧入PCBの開口の断面図である。
【
図4B】本明細書の教示に係る、端子を開口に挿入した後の、IDC端子および圧入PCBの開口の断面図である。
【
図5】本明細書の教示に係る、固定子のセグメントおよび圧入PCBの典型的な電気回路を示す概略図である。
【
図6A】本明細書の教示に係る圧入PCB130の上面図であって、開口への電気的接続の典型的な構成を示している。
【
図6B】圧入PCB130の上面図であって、
図6Aに示されたものとは異なる配向の、
図6Aの圧入PCBを示している。
【
図7】本明細書の教示に係る、セグメント化されたモータを組み立てる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書では、ブラシレスDC(直流)モータの固定子およびそれに付随する固定子組立て方法が開示される。当該組立て方法では、固定子の個別に巻回されたセグメントが、圧入プリント配線回路基板(圧入PCB)を使用して互いに電気的に接続されて固定子回路を完成させる。圧入PCBの特に有利な点は、組立てが単純化されるので、手間と時間とコストが低減されることである。圧入PCBを使用すれば、固定子コイル端子の複数の接続部をはんだ付けする必要がなくなるようにできる。また、破損接合部やコールドジョイントなどのはんだ付けに付随する品質問題も低減させるか、解消することができる。
【0015】
図1を参照すると、固定子100および組立て系の分解図が示されている。固定子100は、セグメント102およびセグメント104等の分散した複数のセグメントを含む。
図1に示した典型的な固定子100は12個のセグメントを含むが、他の数のセグメントを使用してもよい。説明を容易にするために、各セグメントの構成要素は、単一のセグメント102に関して説明することにする。セグメント102は、透磁性材料からなるティース状部材(ティース)106を含む。ティース106は、熱損失を低減するために薄板状の材料部分で作成されてもよい。ティース106の上端には上部絶縁体110が被せられ、ティース106の下端には下部絶縁体112が被せられる。絶縁体110、112は、射出成形または同様の組立て技術によってティース106上に形成されてもよい。上部絶縁体110および下部絶縁体112の両者によって、ワイヤ115から成るコイルがティース106の周りに巻回され得る空間となる凹部が画定される。ワイヤから成るコイルは、通常は、巻回された銅でできているが、他の金属、合金、導電性材料を用いてもよいし、追加してもよい。さらに、上部絶縁体110は、両方とも絶縁変位コネクタ(IDC)端子を収容するようになっているポケット116、118を含む。説明を容易にするために、典型的な絶縁変位コネクタ(IDC)122、124は、それぞれのポケット116、118の上方に浮かせた状態で示してある。図示したように、IDC122の第一端子は、上部絶縁体110のポケット116内に収容されるようになっており、IDC124の第一端子は、上部絶縁体110のポケット118に収容されるようになっている。コイル115の開始ワイヤ(図示せず)は、IDC端子122まで配線され、コイル115の終了ワイヤ(図示せず)は、IDC端子124まで配線される。
【0016】
環状の圧入プリント配線回路基板(以下、「圧入PCB」)130は、固定子100の上方に浮かせた状態に示してある。圧入PCB130は、組み立てられた状態では固定子100の形状に対応するように設計されており、
図1に示した例では円形である。圧入PCB130は、IDC122およびIDC124の第二端子を収容するようになっている開口、例えば開口132、134を含む。すなわち、IDC122およびIDCは、第一端子で固定子セグメント102に、および、第二端子で圧入PCB130に結合されるので、固定子セグメント102を圧入PCB130と相互接続するようになっている。一般に、圧入PCB130は、固定子100の全てのセグメントに結合されたIDCを収容するために、上記以外にも開口を備える。開口132、134などの開口は、導電性材料を含む内部面を有する。
【0017】
以下に詳細に説明するように、IDC122やIDC124等のIDCの第二端子は、適合するばね形状で構成されていてもよい。圧入PCB130は、電力および制御信号を固定子100に供給する入力電気リード線142、144、146に開口132、134を接続する内部回路を含む。なお、互換性のある他のタイプの端子を使用してもよいし、圧入PCB130は、端子の要件および/または固定子のサイズと形状に適合するように、必要に応じて変更してもよい。
【0018】
図2は、組み立てられた形態の固定子100の斜視図である。組立て時に、圧入PCB130を一回の動作で複数の絶縁変位コネクタ(IDC)の端子上に圧入してもよい。
図2に示すように、固定子セグメント152は、圧入PCB130のそれぞれの開口162、164を貫通して伸びる端子156、158を有するIDCを含む。圧入PCB130が端子156、158上まで下方に圧入されるので、端子156、158が挿入し、開口162、164の壁によって横方向に圧縮される。開口162、164内の端子156、158の圧縮によって、電気的な接触および機械的な保持が堅固に行われる。端子162、164および圧入PCB130の機械的特性の組合せにより堅固な電気的接触が行われることによって、個々の接点をはんだ付けする必要性をなくすことができる。また、圧入PCB130を複数の固定子セグメントおよび複数のIDCの上に取り付けるのは、複数の接続部をはんだ付けするよりも少ない作業時間で済み、破損接合部やコールドジョイントなどのはんだ付けに付随する品質問題を解消できる。圧入PCB130は、必要に応じて、固定子が筐体内に配置される前または後のいずれのタイミングで設置されてもよい。
【0019】
また、ハンダ付けされた接続部がなくなると、他の組立てオプションも単純化することができる。例えば、銅製ワイヤを用いる場合、個々の固定子セグメント全てのワイヤを「糸巻き」状にすることができ、同一の巻回処理を用いて全てのセグメントのコイルを同じ方向(時計回り方向または反時計回り方向のいずれか)に巻回し得ることを意味する。糸巻き状巻回を行えば、「スロット間隔」と呼ばれる、固定子セグメント間の空隙をより大きな「銅充填」に利用できる。所与のスロット間隔に対し、糸巻き状巻回にすれば、それ以外の場合に実現可能な直径よりも大きな直径の銅製ワイヤを使用できるようになる。ワイヤの直径が大きいほど、スロット間隔における銅製コイルの全体的な体積が増加する。銅充填が増加すれば、電流単位当たりのコイル温度の上昇が少なくなるのと同様に、所与の量の電流またはトルクに対してコイルの一巻当たりの抵抗が低下するので、全体的なモータ性能を改善させられる。したがって、銅充填が増加すれば、所与のレベルのモータトルクに対してコイル加熱を低減でき、または逆に、所与のレベルのコイル加熱に対してモータトルクをより大きくできる。
【0020】
図3を参照すると、固定子絶縁体210のポケット206に挿入された配線変位コネクタ(IDC)の拡大断面図が示されている。IDC202の底部の第一端子212は、導電性材料から作られた、または導電性材料を含む、分離された尖頭214、216を含む。コイル220の端子(開始端、または、終了端)は、尖頭214、216の間に位置している。尖頭214、216の寸法および仕上げは、IDC202をポケット206内に挿入すると、尖頭214、216の縁部が、コイル端子220を覆う絶縁体を貫通してコイル端子220の基礎となっている金属(通常は銅)に所定の深さだけくい込むように設計される。尖頭214、216とコイル220の基礎となっている金属とが接触すると、両者間に電気的接続が形成される。尖頭214、216の貫通動作によって直接的な電気的接続が生じるので、端子212をコイル220に半田付けする接続の必要性がなくなる。この接続技術は、より高速であり、組立て時の再現が容易であって、はんだ付けよりも信頼性が高い。端子212をポケット206内に挿入して余分なワイヤ端を切り落とすことを、組立工程において自動化してもよい。
【0021】
また、IDC202は、圧入PCBの開口に挿入されるようになっている、頂部の第二端子230を含む。端子230は、
図3に示した方向に内側に圧縮可能な、柔軟性を有しばね状の二つのアーム232、234を含む、槍の先端の形状で示したように構成してもよい。端子230の幅は、頂部235(端子の「先端」)において狭く、端子230の中央部236またはその近傍で最大値(W)になるまで増加する。
【0022】
図4Aおよび4Bは、本明細書の教示に係るIDCの頂部端子230を覆う圧入PCB130の開口162を圧入する処理を示した断面図である。
図4Aにおいて、開口162は、圧入PCB130を図示した方向に動かしIDC端子230の上に圧入する時には、端子230の先端235を覆うように位置合わせされることが示されている。なお、図示した上向きの圧入方向は、単に典型的なものであって、様々な実施形態において、圧入PCB130と(固定子に結合された)IDC端子230との方向関係は、図示されたものとは反対側 (PCBが下方に圧入される)、水平方向、または垂直方向か水平方向に角度を成して配向されてもよい。PCB130は端子上に圧入され、先端235が開口162の中に所定の深さまで進入すると、端子の可変幅が作用し始める。中央部236の幅(W)は、開口162の直径よりもわずかに大きくなるように設計されているので、中央部236は、変形しないで開口に嵌合することはできない。端子230に圧入される際にPCB130によって圧力が加えられると、ばね状アーム232、234は内向きに圧縮されて開口162内に嵌合する。
図4Bは、圧入PCB130がIDC端子230の上方で圧入されて設置された後に開口162に挿入されたIDC端子230を示す。
図4Bに示す位置において、端子230は、開口162の空洞部にほぼ完全に挿入されている。アーム232、234の圧縮によって、両アームと開口162の内面とは機械的に堅固に接触する。また、開口の内面には電気的な接点も含まれるので、端子230と圧入PCB130とは、電気的に強固に結合される。
図4Bに示すように、端子の先端235は、開口162から圧入PCB130の反対側に飛び出てもよい。
【0023】
図5は、直線的に並ぶように図示した固定子のセグメントと、入力電力線を固定子セグメントのコイルに接続するための圧入PCBの典型的な電気回路とを示す概略図である。
図5に示す例では、回路は、回転子セグメントのコイルに通電して回転子の反時計回りの回転を誘導するように構成されている。ブラシレスDCモータでは、入力電力線は、順番に交代するパターンで固定子セグメントのコイルを通電する、位相をずらして配置された信号を供給する。通電されたコイルは、回転子の永久磁石と相互作用する電磁磁極を生成し、それによって回転子にトルクを誘起する。
図5に示した例では、固定子は12個の固定子ティースを備え、各ティースは巻回するコイルを有している。12個のコイルは、三つのグループであるU1、U2、U3、U4と、V1、V2、V3、V4と、W1、W2、W3、W4と、に番号付けされている。12個のコイルU1−U4、V1−V4、W1−W4の全てが、同一方向に糸巻き状に巻回されていてもよい。コイルU1−U4、V1−V4、W1−W4の各々は、第一端子(「開始」を意味するSで示される)と第二端子(「終わり」を意味するFで示される)とを含む。U、V、Wで示される入力電力線は、圧入PCBとの配線によって決定される特定のパターンでセグメントコイルのS端子およびF端子に結合されている。入力線U、V、W上に送信される信号が互いに位相が120度離れている三相電源が入力線U、V、Wによって提供される。コイルに通電するパターンは、固定子内に八つの電磁極を生成するようになっている。
【0024】
圧入PCBは、回転子に連続的なトルクを発生させることを可能にする、電流方向の変更および電圧入力値の交換である転流を可能にするように、入力線U、V、WをコイルU1−U4、V1−V4およびW1−W4に結合するための回路を含む。
図5に示すように、入力線Uは、コイルU1のF端子およびコイルU3のF端子に接続されている。U1のS端子はU2のF端子に結合され、U3のS端子はU4のF端子に結合されている。U2のS端子およびU4のS端子は、中性基準電圧に結合される。入力線Vは、V1のF端子およびV3のF端子に結合されている。V1のS端子はV2のF端子に結合され、V3のS端子はV4のF端子に結合されている。V2およびV4のS端子は、中性基準電圧に結合されている。同様に、入力線WはW1のF端子およびW3のF端子に接続されている。W1のS端子はW2のF端子に接続され、W3のS端子はW4のF端子に結合されている。W2およびW4のS端子は、中性基準電圧に結合されている。
【0025】
なお、コイルU1−U4、V1−V4、W1−W4は、特定の固定子セグメントまたはコイルに対応しない。全ての固定子コイルが同様に糸巻き状に巻回されている実装では、全てのコイルが圧入PCBに対して等価であるように「見える」。固定子のコイル間の違いおよび関係を生むのは、圧入PCBの回路であり当該入力線への接続部である。
【0026】
図5の下側は、入力線U、V、Wのそれぞれのペアに正電圧および負電圧を印加した場合に、それに対応して固定子のコイルU3、V2、W1が通電する状況を示している。図示したように、動作時には、入力線Uに正電圧を印加し入力線Vに負電圧を印加すると(Wは中性に保たれる)、丸で囲んだ二つの下向き矢印502で表される大きな反時計回り電流がコイルU3に供給される。U3から三つのスロットだけ離れた位置にある(すなわち、三つのスロットは360度に対応し、すぐ隣のスロットは120度離れている)コイルU1、U2、U4にも同じ電流が供給される。通電されたコイルU1、U2、U3、U4は、回転子の永久磁石にトルクを誘起する。回転子が回転するので、回転子のトルクは転流によって維持される。入力線Uに印加されなくなって中性に切り替えられると(三相モータの120度位相シフト)、入力線Vに正電圧が印加され入力線Wに負電圧が印加されて、コイルU1、U2、U3、U4に隣接しているコイルV1、V2、V3、V4には、大きな反時計回り電流504が供給される。同様に、別の120度位相シフトの後に、入力線Vが印加されなくなって中性に切り替えられると、入力線Wに正電圧が印加され入力線Uに負電圧が印加されて、コイルW1、W2、W3、W4には大きな反時計回り電流506が供給される。
図5では、例えば、コイルV2がコイルU3の左側に隣接し、コイルW1がコイルV2の左側に隣接していることがわかる。このように、コイルU1−U4、コイルV1−V4、コイルW1−W4を順次印加することによって、コイルの通電パターンは、右から左に向かい回転子の回転方向に追従する。このようにして、電磁極の極性形成が、回転する回転子の永久磁石極のパターンに同期して維持されるので、回転子に連続的なトルクを付与することができる。
【0027】
図6Aは、圧入PCB130の上面図であり、本明細書の教示に係る、開口への電気的接続の例示的な構成を示す。開口162、164等の各々は、固定子コイルの開始端子または終了端子のいずれかに結合するようになっている。圧入PCB130の外側にある一連の番号(1−12)は、物理的な参照位置を示すのが目的である。例えば、1の位置はほぼ北北東に対応し、V2はほぼ南南西に対応する。圧入PCBが図示のように配向されるようにモータの固定子上に設置されると、1の位置のコイルはコイルV4として作動し、2の位置のコイルはコイルU1として作動し、3の位置のコイルはコイルW4として作動し、4の位置のコイルはコイルV1として作動する、等となる。しかし、
図6Bに示すように、圧入PCB130が異なる配向で設置された場合、様々なコイルの絶対位置は変化するが、(作動状態の)コイルの相対的な位置は変化しない。すなわち、
図6Aと6Bを比較すると、例えば、コイルV4は1の位置(
図6A)から2の位置(
図6B)に移動したが、コイルU1は時計回りにV4に隣接しているし、コイルW3は反時計回り方向にV4に隣接している。換言すれば、コイル間の関係、および、コイルが入力線によって作動する様式は、固定子に対する圧入PCB130の絶対的な配向によって変わることはない。
【0028】
図7を参照すると、セグメント化されたモータを組み立てる方法のフローチャートが示されている。第一ステップ300で、本方法が開始する。第二ステップ310で、セグメント化された固定子のセグメントは、組立てのために空間的に(例えば、円形状に)配置される。ステップ320で、IDC等のコネクタの第一端子が固定子セグメントにそれぞれ結合される。IDCの第一端子は、各固定子セグメントのコイルと電気的接続を形成する。ステップ330で、回路基板がコネクタの第二端子上に圧入され、第二端子は、回路基板の開口に嵌め込まれる。回路基板は、セグメント化された固定子のコイルにコネクタを介して結合される。ステップ340で、本方法は終了する。
【0029】
本発明の態様、いくつかの追加の特徴、実施形態および考慮事項の紹介は以上を以って説明完了となる。
【0030】
本発明の教示は、任意のセグメント数のブラシレスDC固定子に適用されることを意図している。また、本明細書の典型的な実施形態は三相で実装したものであるが、本明細書における教示は、四相モータのような他の相数の実装にも等しく適用される。
【0031】
なお、ここに記載された専門用語のいくつかは、これより前の関連仮特許出願に記載されている専門用語と、一致しているかもしれないし部分的にしか一致していないかもしれない。当業者であれば、用語が様々に使用されていることを認識して区別することができるであろう。しかし、矛盾が存在する場合には、本開示に記載されている専門用語が優先される。説明を簡単にするために、専門用語のなんらかの修正が行われたと理解すべきである。用語の矛盾と解釈したり推測したりするべきではない。
【0032】
配向の用語は、本明細書では、伝統的表現法および参照のためのものに過ぎず、限定するものとして解釈されるべきではない。
【0033】
性能、材料、組立て、または他のそのようなパラメータについての基準は、設計者、メーカー、ユーザ、所有者、操作者、または他の同様に関心のある関係者によって判断されるべきである。本明細書の開示によって、なんらかの基準について特定の必要条件を暗示したり、推論しようとしたりするものではない。
【0034】
本明細書中にある、本開示の原理、態様、および実施形態について記載した文、およびこれらの特定の例は、これらの構造的および機能的な等価物の両方を包含することを意図している。また、このような等価物は、現在知られている等価物および将来に開発される等価物の両方、つまり、構造にかかわらず同じ機能を発揮するように開発された任意の要素を含むことを意図している。
【0035】
本明細書に教示した態様を提供するために、様々な他の構成要素を含めたり要求したりしてもよい。例えば、追加の材料、材料の組合せを使用したり材料の省略を行ったりして、本明細書の教示の範囲内にある追加の実施形態を提供してもよい。
【0036】
本発明またはその実施形態(複数も可)の構成要素を紹介する際に、冠詞の「a」、「an」、および「the」は、当該の構成要素が一つ以上存在することを意味する意図がある。同様に、「別の」という形容詞を使用して要素を紹介する場合、一つ以上の要素を意味することを意図している。「含む」および「有する」という用語は、列挙した要素以外の追加の要素が存在し得ることを含めたものであることを意図している。「典型的な」という用語の使用は、考えられる多くの実施形態のうち一つを意味するものと解釈するべきである。「典型的な」という用語は、いくつかの例ではあてはまるかもしれないが、必ずしも優れた、または、最高の実施形態を示すものとして解釈されるべきではない。
【0037】
典型的な実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができてその要素を等価物で置換することができることを理解できるであろう。また、当業者であれば、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の機器、状態、または材料を本発明の教示に合わせる多くの変形例を認識するであろう。したがって、本発明は、本発明を実施するために考えられた最良の態様として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に収まる全ての実施形態を含むことになる。