特許第6875391号(P6875391)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6875391-ポリウレタン/尿素物質 図000061
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875391
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】ポリウレタン/尿素物質
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/61 20060101AFI20210517BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20210517BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20210517BHJP
   C08G 18/69 20060101ALI20210517BHJP
   C08G 18/65 20060101ALI20210517BHJP
   C08G 18/72 20060101ALI20210517BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20210517BHJP
   A61F 2/24 20060101ALI20210517BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   C08G18/61
   C08G18/40 009
   C08G18/48 058
   C08G18/69
   C08G18/65
   C08G18/72
   C08G18/32
   A61F2/24
   A61L27/18
【請求項の数】34
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2018-522051(P2018-522051)
(86)(22)【出願日】2016年10月28日
(65)【公表番号】特表2018-536050(P2018-536050A)
(43)【公表日】2018年12月6日
(86)【国際出願番号】AU2016051019
(87)【国際公開番号】WO2017070743
(87)【国際公開日】20170504
【審査請求日】2019年10月25日
(31)【優先権主張番号】2015904428
(32)【優先日】2015年10月29日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】317002869
【氏名又は名称】コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】パシラジャ アラキチラーゲ グナティルレイク
(72)【発明者】
【氏名】マーク ボウン
(72)【発明者】
【氏名】ラジュ アドヒカリ
【審査官】 西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−528667(JP,A)
【文献】 特開2008−101194(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/204146(WO,A1)
【文献】 特表2007−512398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00−18/87
C08G 71/00−71/04
A61F 2/24
A61L 27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質のための、式1のブロック共重合体マクロモノマーである共重合体セグメント:
【化1】
(式中、
1は、ヒドロキシル又はアミン基からなる群から場合により選ばれる、エンドキャッピング基であり;
2は、水素又はエンドキャッピング基であって、ヒドロキシル又はアミン基からなる群から場合により選ばれるエンドキャッピング基であり;
1及びY2の各々は、独立して、ポリシロキサンマクロジオール、ポリシロキサンマクロジアミン、ポリエーテルマクロジオール、ポリカーボネートマクロジオール、ポリエステルマクロジオール、及びポリ炭化水素マクロジオールから選択され;
1及びL2の各々は、ウレタン、尿素及びホスホネートから独立して選択された、二価の連結基であり;
nは、1〜5の整数であり;
tは、0〜5の整数であり;並びに
Qは、式A又は式Bの部分から選択される:
【化2】
(式中、
1、R2、R3、及びR4は、各々独立して、水素、並びに任意に置換された直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカルから選択され;
5及びR6は、各々独立して、O、N及びSから独立して選択された1又は複数のヘテロ原子により任意に介在された、直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカルから選択され;
mは、2〜50の整数である);又は
【化3】
(式中、
Xは、OC(O)O、C(O)O及びOから選択された基であり;
qは、1〜50の整数であり;並びに
rは、2〜50の整数である)
ここで、「任意に置換され」は、酸素、窒素、硫黄、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、カルボキシ、ベンジルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、アジド、アミノ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ベンジルアミノ、アシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールアシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルデヒド、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロキシ、ヘテロシクリルアミノ、ハロヘテロシクリル、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、カルボアルコキシ、カルボアリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、及びアシルチオ基から独立して選ばれる1又は複数の置換基で場合により置換されることを意味する)。
【請求項2】
前記ポリエーテルマクロジオールが、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)(PHMO)、ポリ(ヘプタメチレンオキシド)、ポリ(オクタメチレンオキシド)(POMO)及びポリ(デカメチレンオキシド)(PDMO)から選択される、請求項1に記載の共重合体セグメント。
【請求項3】
前記ポリシロキサンマクロジオールが、ポリジメチルシロキサン(PDMS)ジオールである、請求項1に記載の共重合体セグメント。
【請求項4】
前記ポリ炭化水素マクロジオールが、ポリ(イソブチレン)ジオール、ポリ(ブタジエン)ジオール及び水素化されたポリ(ブタジエンジオール)から選択される、請求項1に記載の共重合体セグメント。
【請求項5】
前記Y1及びY2が、各々独立して、式A’又は式B’の部分から選択される、請求項1に記載の共重合体セグメント:
【化4】
(式中、
7、R8、R9、及びR10は、各々独立して、水素、並びに任意に置換された直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカルから選択され;並びに
11及びR12は、各々独立して、O、N及びSから独立して選択された1又は複数のヘテロ原子により任意に介在された、直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカルから選択され;
uは、1〜50の整数である);又は
【化5】
(式中、
1は、OC(O)O、C(O)O及びOから選択された基であり;
vは、1〜50の整数であり;及び
wは、2〜50の整数である)。
【請求項6】
前記R7、R8、R9、及びR10が、各々メチルであり、並びにR11、R12及びuが、請求項5に定義されたものである、請求項5に記載の共重合体セグメント。
【請求項7】
前記L1及びL2が同じである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の共重合体セグメント。
【請求項8】
前記Y1及びY2が同じである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の共重合体セグメント。
【請求項9】
前記A1及びA2が、各々独立して、ヒドロキシル及びアミンから選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の共重合体セグメント。
【請求項10】
前記R1、R2、R3、及びR4が、各々メチルであり、並びにR5、R6及びmが、請求項1に定義されたものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の共重合体セグメント。
【請求項11】
前記R5及びR6の少なくとも一方が、式D’の部分から、独立して選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の共重合体セグメント:
【化6】
(式中、c’は、1〜6の整数であり;及び、d’は、1〜6の整数である。)。
【請求項12】
前記共重合体セグメントが、式1Aのブロック共重合体セグメントである、請求項1に記載の共重合体セグメント:
【化7】
(式中、A1、A2、Y1、L1、L2、Y2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、m、n及びtの各々は、請求項1に定義されたものである)。
【請求項13】
前記R1、R2、R3、及びR4は、各々メチルであり、並びにR5、R6及びmは、請求項1に定義されたものである、請求項12に記載の共重合体セグメント。
【請求項14】
前記共重合体セグメントが、式1A(ii)のセグメントである、請求項1に記載の共重合体セグメント:
【化8】
(式中、A1、A2、L1、L2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、X、m、n、q、r及びtの各々は、請求項1に定義されたものである)。
【請求項15】
前記共重合体セグメントが、式1Bのブロック共重合体セグメントである、請求項1に記載の共重合体セグメント:
【化9】
(式中、A1、A2、Y1、L1、L2、Y2、X、n、r、t、及びqの各々は、請求項1に定義されたものである)。
【請求項16】
前記共重合体セグメントが、式1B(ii)のブロック共重合体セグメントである、請求項1に記載の共重合体セグメント:
【化10】
(式中、A1、A2、L1、L2、X、n、q、r及びtの各々は、請求項1に定義されたものであり、並びにR7、R8、R9、R10、R11、R12及びuの各出現は、各々独立して、請求項5に従い定義される)。
【請求項17】
前記式1の総共重合体セグメントについて分子量範囲が、00〜6000ある、請求項1〜16のいずれか一項に記載の共重合体セグメント。
【請求項18】
複数の軟セグメント及び硬セグメントを含む、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質であり、ここで複数の軟セグメントが、請求項1〜17のいずれか一項記載の式1の共重合体セグメントの少なくとも1種及び任意に追加のポリオール又はポリアミンを有するマクロモノマーから各々由来し、ただしポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質が架橋されていない、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質。
【請求項19】
前記複数の軟セグメントが、請求項1〜17のいずれか一項記載の式1の共重合体セグメントの2種の個別の混合物及び任意に追加のポリオール又はポリアミンから各々由来する、請求項18に記載の熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質。
【請求項20】
下記の反応生成物:
i. 請求項1〜17のいずれか一項に記載の式1の共重合体セグメントの少なくとも1種;
ii. ジイソシアナート;
iii. 1又は複数の鎖延長剤;並びに
iv. 任意に追加のポリオール又はポリアミン:
を含有する、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質であって、ただし前記熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質が架橋されていない、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質。
【請求項21】
前述のii)に関するジイソシアナートが、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアナート(H12MDI)、p−フェニレンジイソシアナート(p−PDI)、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート(CHDI)又はそのcis及びtrans異性体の混合物、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)もしくはその異性体又はそれらの混合物、p−テトラメチルキシレンジイソシアナート(p−TMXDI)、イソホロンジイソシアナート、又はm−テトラメチルキシレンジイソシアナート(m−TMXDI)から選択される、請求項20に記載の熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー質。
【請求項22】
前記1又は複数の鎖延長剤が、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,12−ドデカンジオール、1,3−ビス−(4−ヒドロキシブチル)1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ブタンジアミン、プロパンジアミン、1,3−ビス−(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、又は1,3−ビス−(3−アミノブチル)テトラメチルジシロキサンから選択される、請求項20又は21に記載の熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー質。
【請求項23】
請求項18〜2のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー質で全体的又は部分的に構成される、製品。
【請求項24】
前記製品が、人造皮革、靴底、ケーブル外装、ワニス、コーティング、ポンプ又は車両の構造部材、採掘鉱石篩、コンベヤベルト、積層用コンパウンド、ファイバー、編織物、隔膜、シーラント、又は接着剤成分から選択される、請求項23に記載の製品。
【請求項25】
請求項18〜22のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー質で全体的又は部分的に構成される医療器具。
【請求項26】
前記医療器具が、インプラントである、請求項25に記載の医療器具。
【請求項27】
前記医療器具が、心ペースメーカー、除細動器、カテーテル、心臓弁、心臓補助装置、血管グラフト又は埋植可能なプロテーゼからなる群から選ばれる、請求項25又は26に記載の医療器具。
【請求項28】
前記医療器具が、カニューレ、体外装置、人工臓器、ペースメーカーリード線、除細動器リード線、血液ポンプ、バルーンポンプ、A−Vシャント、バイオセンサー、細胞封入のためのメンブレン、薬物送達装置、創傷包帯、人工関節、整形外科用インプラント、及び軟組織代用品からなる群から選ばれる、請求項25〜27のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項29】
患者にインプラント可能なバルブであって、当該バルブが、以下の:
・複数のバルブリーフレット;及び
・サポート構造
を含み、ここで1又は複数のバルブリーフレットが、請求項18〜22のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質から全体的に又は部分的に構成される、前記バルブ。
【請求項30】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の式1の共重合体セグメントの調製方法であって、当該方法が、
i. 少なくとも1種のマクロジオール;又は
ii. 少なくとも1種のマクロジアミン;又は
iii. 少なくとも1種のマクロジオールと少なくとも1種のマクロジアミンの混合物
を、二価の連結化合物と一緒にする工程を含む、前記方法。
【請求項31】
前記二価の連結化合物が、ジイソシアナートである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の式1の共重合体セグメントを含む、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質の調製方法であって、この方法
i. 請求項1〜17のいずれか一項記載の式1の共重合体セグメントを提供するか、又は請求項30もしくは31に記載の方法を使用し、式1の共重合体セグメントを調製する工程;
ii. 任意に、工程iの物質を、二価の化合物、及び;少なくとも1種のマクロジオール;少なくとも1種のマクロジアミン;又は、少なくとも1種のマクロジオールと少なくとも1種のマクロジアミンの混合物と反応させる工程;並びに
iii. 工程i、又は工程iiの共重合体セグメントを、鎖延長剤又は鎖延長剤の混合物と反応させ、ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマーを形成する工程:を含む、方法。
【請求項33】
1又は複数のバルブリーフレットが、請求項18に記載のポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質から全体的に又は部分的に構成され、ここで
tは、0であり;
Qは、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)であり;
2は、ウレタンを含み;
2は、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)であり;
場合により追加のポリオール又はポリアミンが、以下の:
α,ω−ビス−(6‐ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチル−シロキサンを含み;
複数の硬セグメントが、二価の架橋基を介して、軟セグメントに共有結合する鎖延長剤を含み;及び
前記鎖延長剤が、1,2−エチレンジアミン及び1,3−ビス−(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを含む、請求項29に記載のバルブ。
【請求項34】
1又は複数のバルブリーフレットが、請求項20に記載のポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質から全体的に又は部分的に構成され、ここで
tは、0であり;
Qは、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)であり;
2は、ウレタンを含み;
2は、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)であり;
場合により追加のポリオール又はポリアミンが、以下の:
α,ω−ビス−(6‐ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチル−シロキサンを含み;
前記ジイソシアナートが、MDIであり;そして
前記鎖延長剤が、1,2−エチレンジアミン及び1,3−ビス−(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを含む、請求項29に記載のバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年10月29日に出願された、オーストラリア特許仮出願第2015904428号の優先権を主張するものであり、この仮出願の内容は引用により本明細書中に組み込まれている。
【0002】
(技術分野)
本開示は、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質のための軟ブロック共重合体セグメント、並びに、ジイソシアナート、鎖延長剤及び任意の追加のポリオールもしくはポリアミンなどの二価の化合物との、それらの反応生成物に関連している。また軟ブロック共重合体セグメント及び反応生成物の製造方法、並びにインプラントのような医療器具を含む製品のための、生体物質などの物質の製造におけるこれらの成分の使用も開示されている。
【背景技術】
【0003】
(背景)
これまで、化学的に異なる2種又はそれよりも多いマクロジオールベースのポリウレタンが報告されている。これは、ポリウレタンを製造するためにマクロジオールの混合物又は配合物を使用し、並びに一工程又は二工程重合手順のいずれかを利用することにより達成される。このアプローチは、以下を含む、数多くの欠点を有する:
・マクロジオールが混和されない場合、生じるポリウレタンは、組成的に不均一である;
・限定された数のマクロジオールの組合せのみを、良好な力学特性を伴うポリウレタンを作製するために使用することができ、各マクロジオールからのセグメントは、ポリウレタン鎖内に無作為に分散される(貧弱な力学特性を伴うポリウレタンが生じることが多い);並びに
・比較的高分子量のマクロジオール又はマクロジアミンの混入は、ポリエーテル、ポリエステル又はポリカーボネートなどのポリオールに限定される。
【0004】
広範な力学特性を示す様々なポリマー製品を調製するために、ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質において使用する、交互ブロック共重合体を同定する必要性が存在する。交互ブロック共重合体は、先行するアプローチの1又は複数の欠点に対処することができる。
【0005】
本明細書に含まれている文書、行為、物質、装置、製品又は類似のものの任意の考察は、これらの内容のいずれか又は全ては、先行技術の基礎の一部を形成するか、或いは本出願の各請求の優先日以前に存在したような、本開示に関連する分野の共通の一般知識であったことの承認として考えられるものではない。
【発明の概要】
【0006】
(要約)
本開示は、ポリマー主鎖内の1又は複数の化学的に個別の部分を含むように、化学的に連結されたマクロジオール及びマクロジアミン(連結された−マクロジオール又はマクロジアミン)に関する。これらのマクロジオール及びマクロジアミンは、生物医学的用途及び非生物医学的用途のためのポリウレタン/尿素を配合する際に、有用であることができる。
【0007】
第一の態様において、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質のための、式1のブロック共重合体セグメントが、提供される:
【化1】
(式中、
1は、エンドキャッピング基であり;
2は、水素又はエンドキャッピング基であり;
1及びY2の各々は、独立して、ポリシロキサンマクロジオール、ポリシロキサンマクロジアミン、ポリエーテルマクロジオール、ポリカーボネートマクロジオール、ポリエステルマクロジオール、及びポリ炭化水素マクロジオールから選択され;
1及びL2の各々は、ウレタン、尿素カーボネート、アミド、エステル、及びホスホ1ネートから独立して選択された、二価の連結基であり;
nは、1〜5の整数であり;
tは、0〜5の整数であり;並びに
Qは、式A又は式Bの部分から選択され:
【化2】
(式中、
1、R2、R3、及びR4は、各々独立して、水素、並びに任意に置換された直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカルから選択され;
5及びR6は、各々独立して、O、N及びSから独立して選択された1又は複数のヘテロ原子により任意に介在された(interrupted)、直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカルから選択され;
mは、1〜50の整数である);又は
【化3】
(式中、
Xは、OC(O)O、C(O)O及びOから選択された基であり;
qは、1〜50の整数であり;並びに
rは、2〜50の整数である))。
【0008】
第二の態様において、複数の軟セグメント及び硬セグメントを含む、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質が提供され、ここで、複数の軟セグメントは、各々、第一の態様、又は本明細書記載のそれらの任意の実施態様に従う式1のブロック共重合体セグメントの少なくとも1種、及び任意に追加のポリオール又はポリアミンに由来する。
【0009】
第三の態様において、以下の反応生成物を含む、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質が提供される:
i. 第一の態様、又は本明細書記載のそれらの任意の実施態様に従う、式1のブロック共重合体セグメントの少なくとも1種;
ii. ジイソシアナート;
iii. 1又は複数の鎖延長剤;並びに
vi. 任意に追加のポリオール又はポリアミン。
【0010】
第四の態様において、第二もしくは第三の態様、又は本明細書記載のそれらの任意の実施態様に従うポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー系物質で全体的又は部分的に構成されている製品が提供される。
【0011】
第五の態様において、第二もしくは第三の態様、又は本明細書記載のそれらの任意の実施態様に従うポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー系物質で全体的又は部分的に構成されている医療器具である製品が提供される。
【0012】
第六の態様において、第一の態様、又は本明細書記載のそれらの任意の実施態様に従う式1のブロック共重合体セグメントを調製するプロセスが提供され、これにより、本プロセスは:
i. 少なくとも1種のマクロジオール;又は
ii. 少なくとも1種のマクロジアミン;又は
iii. 少なくとも1種のマクロジオールと少なくとも1種のマクロジアミンの混合物:を、二価の連結化合物と一緒にする工程を含む。
【0013】
第七の態様において、第一の態様、又は本明細書記載のそれらの任意の実施態様に従う式1のケイ素ベースのブロック共重合体セグメントを含む、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマーを調製するプロセスが提供され、これによりこのプロセスは:
i. 第一の態様、もしくは本明細書記載のそれらの任意の実施態様に従う式1のブロック共重合体セグメントを提供するか、又は第六の態様、もしくは本明細書記載のそれらの任意の実施態様に従うプロセスを使用し、式1のブロック共重合体セグメントを調製する工程;
ii. 任意に、工程iの組成物を、二価の化合物、及び;少なくとも1種のマクロジオール;少なくとも1種のマクロジアミン;又は、少なくとも1種のマクロジオールと少なくとも1種のマクロジアミンの混合物と反応させる工程;並びに
iii. 工程i、又は工程iiのブロック共重合体セグメントを、鎖延長剤又は鎖延長剤の混合物と反応させ、ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマーを形成する工程:を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本明細書に開示されたポリマーを混入している、人工心臓弁の例証的実施態様の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施態様の説明)
本開示は、ポリウレタン/尿素物質及びそれらのポリマー製品における使用のための、交互ブロック共重合体セグメントを同定するために採用された研究に関連している、以下の様々な非限定的実施態様を説明する。
【0016】
驚くべきことに、本明細書に開示されたブロック共重合体セグメントは、ポリウレタン/尿素熱可塑性ポリマーにおける増強された軟セグメント特性を含む、数多くの利点を提供し得ることがわかった。増強された軟セグメント特性は、硬セグメントとの改善された混和性及び増加した分子間水素結合を含む。
【0017】
少なくともいくつかの本明細書記載の実施態様に従い、ブロック共重合体、ポリウレタン/尿素物質及びそれらのポリマー製品は、以下の利点を提供することができる:
・「マクロ−モノマー」として作用する、大量の異なる連結されたマクロジオールを製造するために、互いに混和性ではないものを含む広範なマクロジオールを連結させることが可能であること;
・心臓血管医療用インプラントで使用するための、低いモジュラス、高い弾力性及び高い引裂強さを伴うポリウレタンの配合;
・特定のリンカー分子を利用することにより、連結されたマクロジオールの合成は、任意の精製工程に関与することなく、ポリウレタン/ポリウレタン尿素合成の前に、調製することができること;並びに
・2種又はそれのよりも多いマクロジオール又はジアミン分子を連結することによる、「マクロ−モノマー」の分子量を増加する能力は、「軟」セグメント(例えば、マクロジオールもしくはマクロジアミン由来のセグメント)、及び硬セグメント(例えば、ジイソシアナート及び任意の鎖延長剤由来のセグメント)の関連する特性の変動により、広範な力学特性を伴う物質の配合が可能になること。
【0018】
(用語)
本明細書に提供される定義に関して、別に言及しないか、又は文脈から暗示されない限りは、これらの定義された用語及び語句は、提供された意味を含む。別に明確に言及されないか、又は文脈から明らかでない限りは、以下の用語及び語句は、この用語又は語句が、当業者により習得されている意味を除外するものではない。これらの定義は、特定の実施態様の説明を補助するために提供され、及び本発明の範囲は、請求項によってのみ限定されるので、請求される本発明を限定することを意図するものではない。更に、別に文脈が必要としない限りは、単数の用語は、複数を含み、及び複数の用語は、単数を含むこととする。
【0019】
本明細書において、用語「ポリウレタン」は、モノマー単位又は「マクロ−モノマー」単位を接続する、ウレタン(カルバメート、−NH−COO−)連結を含むポリマー鎖に関する。ポリウレタンは、最低2個のイソシアナート官能基を含む分子の、少なくとも2個のアルコール(ヒドロキシル)基を含む他の分子との反応を介して、生成することができる。
【0020】
本明細書において、用語「ポリ尿素」は、モノマー単位又は「マクロ−モノマー」単位を接続する、尿素連結(−NH−CO−NH−)を含むポリマー鎖を指す。ポリ尿素は、最低2個のイソシアナート基を含む分子の、少なくとも2個のアミン基を含む他の分子との反応を介して、生成することができる。
【0021】
本明細書において、用語「ポリウレタン尿素」は、ウレタン連結基及び尿素連結基の両方を含むポリマー鎖に関する。
【0022】
本明細書において、用語「マクロジオール」は、2個のヒドロキシル基を含む、ポリマー系物質を指す。例えば、式1のブロック共重合体セグメントは、2個のヒドロキシル基を持っている。
【0023】
本明細書において、用語「マクロジアミン」は、2個のアミン基を含む、ポリマー系物質を指す。例えば、式1のブロック共重合体セグメントは、2個のアミン基を持っている。
【0024】
本明細書において、用語「ポリ炭化水素マクロジオール」は、水素及び炭素、並びに2個のヒドロキシル基から全体がなるポリマー主鎖を持つポリマー系物質を指す。例としては、ポリ(イソブチレン)ジオール、ポリ(ブタジエン)ジオール及び水素化されたポリ(ブタジエンジオール)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0025】
用語「マクロ−モノマー」とは、別の化合物、例えばジイソシアナートと反応することが可能である、少なくとも1種の重合可能な基、例えばヒドロキシル基を持つ、ポリマー系物質を指す。
【0026】
本明細書を通じて、本発明の様々な態様及び成分は、範囲の形式で提示され得る。範囲の形式は、便宜上含まれており、且つ本発明の範囲における確固たる制限として理解されるべきではない。従って、範囲の説明は、具体的に指定されない限りは、具体的に開示された全ての、可能性のある部分範囲、並びにその範囲内の個別の数値を有すると考えられるべきである。例えば、1〜5のような範囲の説明は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜5、3〜5など、具体的に開示された部分範囲、並びに言及された範囲内の個別の及び一部分の数値(整数が必要とされる場合を除き)、例えば、1、2、3、4、5、5.5及び6を有すると考えられるべきである。これは、開示された範囲の幅とは関わりなく、適用する。特定の数値が必要とされる場合、これらは本明細書において指定されるであろう。
【0027】
本明細書において、用語「炭化水素ラジカル」とは、任意に置換された直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカルを指す。炭化水素ラジカル(例えば、置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及び/又はR12について)は、任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロシクリルラジカルを含む。
【0028】
用語「アルキル」は、直鎖、分岐した又は単環式もしくは多環式のアルキル、例えば、C1-18アルキル又はC3-8シクロアルキルを意味する。「C1-18アルキル」及び「C3-8シクロアルキル」とは、炭素原子1〜18個を有するアルキル基、又は炭素原子3〜8個を有するシクロアルキル基を指す。
【0029】
当業者により理解されるように、用語「C1-18アルキル」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17もしくは18個の炭素原子、又はこれらの整数のいずれか2つを含む範囲であり:1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、1〜6、1〜7、1〜8、1〜9、1〜10、1〜11、1〜12、1〜13、1〜14、1〜15、1〜16、1〜17、又は1〜18個の炭素原子を有する、アルキル基を意味する。直鎖及び分岐したアルキル基の例は、任意に置換された以下のものを含む:メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、アミル、イソアミル、sec−アミル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、ペンチル、ヘキシル、4−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル(dinethylbutyl)、1,2,2−トリメチルプロピル、又は1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、5−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,1,2−トリメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、オクチル、6−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル及び1,1,3,3−テトラメチルブチル基、ノニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−メチルオクチル、1−、2−、3−、4−もしくは5−エチルヘプチル、1−、2−もしくは3−プロピルヘキシル、デシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−メチルノニル、1−、2−、3−、4−、5−もしくは6−エチルオクチル、1−、2−、3−、もしくは4−プロピルヘプチル、ウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−メチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−エチルノニル、1−、2−、3−、4−もしくは5−プロピルオクチル、1−、2−もしくは3−ブチルヘプチル、1−ペンチルヘキシル、ドデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−もしくは10−メチルウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−エチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−もしくは6−プロピルノニル、1−、2−、3−もしくは4−ブチルオクチル、1,2−ペンチルヘプチル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、又はオクタデシル基。
【0030】
当業者により理解されるように、用語「C3-8シクロアルキル」は、3、4、5、6、7もしくは8個の炭素原子、又はこれらの整数のいずれか2つを含む範囲であり:3〜4、3〜5、3〜6、3〜7、3〜8、4〜5、4〜6、4〜7、4〜8、5〜6、5〜7、5〜8、6〜7、6〜8、又は7〜8個の炭素原子を有する、シクロアルキル基を意味する。環式アルキル基の例は、任意に置換された:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル基を含む。
【0031】
用語「アルケニル」は、先に定義されたような、エチレン性モノ−もしくはポリ−不飽和のアルキルもしくはシクロアルキル基を含む、直鎖、分岐した又は単環式もしくは多環式アルケンから形成された基、例えば、C2-18アルケニル又はC3-8シクロアルケニルに関する。「C2-18アルケニル」又は「C3-8シクロアルケニル」とは、各々、炭素原子2〜18個又は炭素原子3〜8個を有する、アルケニル基又はシクロアルケニル基を指す。
【0032】
当業者により理解されるように、用語「C2-18アルケニル」は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17もしくは18個の炭素原子、又はこれらの整数のいずれか2つを含む範囲であり:2〜3、2〜4、2〜5、2〜6、2〜7、2〜8、2〜9、2〜10、2〜11、2〜12、2〜13、2〜14、2〜15、2〜16、2〜17、もしくは2〜18個の炭素原子を含む、アルケニル基を意味する。当業者により理解されるように、用語「C3-8シクロアルケニル」は、3、4、5、6、7もしくは8個の炭素原子、又はこれらの整数のいずれか2つを含む範囲であり:3〜4、3〜5、3〜6、3〜7、3〜8、4〜5、4〜6、4〜7、4〜8、5〜6、5〜7、5〜8、6〜7、6〜8もしくは7〜8個の炭素原子を含む、シクロアルケニル基を意味する。アルケニル基及びシクロアルケニル基の例は、任意に置換された:ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、iso−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニル及び1,3,5,7−シクロオクタテトラエニル基を含む。
【0033】
用語「アルキニル」は、直鎖、分岐した、又は単環式もしくは多環式アルキンから形成された基、例えば、C2-18アルキニル又はC3-8シクロアルキニルを意味する。アルキニル基の例は、任意に置換された:エチニル、1−プロピニル、1及び2−ブチニル、2−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル基、10−ウンデシニル、4−エチル−1−オクチニ−3−イル、7−ドデシニル、9−ドデシニル、10−ドデシニル、3−メチル−2−ドデシニ−3−イル、2−トリデシニル、11−トリデシニル、3−テトラデシニル、7−ヘキサデシニル及び3−オクタデシニルを含む。
【0034】
用語「アリール」は、芳香族炭化水素の単核、多核のコンジュゲートした及び融合した残基を意味する。アリール基の例は、任意に置換された:フェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、フェノキシフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンズアントラセニル、ジベンズアントラセニル及びフェナントレニル基を含む。
【0035】
用語「ヘテロシクリル」は、窒素、硫黄及び酸素から選択されたヘテロ原子を少なくとも1個含む、単環式もしくは多環式ヘテロシクリル基を意味する。好適なヘテロシクリル基は、任意に置換された:N−含有する複素環式基、例えば1〜4個の窒素原子を含む、不飽和の3〜6員の複素単環基、例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル又はテトラゾリル;1〜4個の窒素原子を含む、飽和された3〜6−員の複素単環基、例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノ又はピペラジニル;1〜5個の窒素原子を含む、不飽和の縮合された複素環式基、例えば、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル又はテトラゾロピリダジニル;酸素原子を含む、不飽和の3〜6−員の複素単環基、例えば、ピラニル又はフリル;1〜2個の硫黄原子を含む、不飽和の3〜6−員の複素単環基、例えば、チエニル;1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含む、不飽和の3〜6−員の複素単環基、例えば、オキサゾリル、イソアゾリル又はオキサジアゾリル;1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含む、飽和された3〜6−員の複素単環基、例えば、モルホリニル;1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含む、不飽和の縮合された複素環式基、例えば、ベンゾオキサゾリル又はベンゾオキサジアゾリル;1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含む、不飽和の3〜6−員の複素単環基、例えば、チアゾリル又はチアジアゾリル;1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含む、飽和された3〜6−員の複素単環基、例えば、チアジアゾリル;並びに、1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含む、不飽和の縮合した複素環式基、例えば、ベンゾチアゾリル又はベンゾチアジアゾリル基を含む。
【0036】
本明細書において、「任意に置換された」は、基が、以下のものから選択される1又は複数の基により、更に置換されても置換されなくともよいことを意味する:酸素、窒素、硫黄、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、カルボキシ、ベンジルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、アジド、アミノ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ベンジルアミノ、アシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールアシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルデヒド、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ハロヘテロシクリル、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、カルボアルコキシ、カルボアリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、又はアシルチオ基。用語「任意に置換された」はまた、「置換又は非置換の」としても言及されてよいことは明らかであろう。
【0037】
ブロック共重合体セグメント
本明細書において、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質のための、式1のブロック共重合体セグメントが、提供される:
【化4】
(式中、
1は、エンドキャッピング基であり;
2は、水素又はエンドキャッピング基であり;
1及びY2の各々は、独立して、ポリシロキサンマクロジオール、ポリシロキサンマクロジアミン、ポリエーテルマクロジオール、ポリカーボネートマクロジオール、ポリエステルマクロジオール、及びポリ炭化水素マクロジオールから選択され;
1及びL2の各々は、ウレタン、尿素カーボネート、アミド、エステル、及びホスホネートから独立して選択された、二価の連結基であり;
nは、1〜5の整数であり;
tは、0〜5の整数であり;並びに
Qは、式A又は式Bの部分から選択される:
【化5】
(式中、
1、R2、R3、及びR4は、各々独立して、水素、並びに任意に置換された直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカルから選択され;
5及びR6は、各々独立して、O、N及びSから独立して選択された1又は複数のヘテロ原子により任意に介在された、直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカルから選択され;
mは、1〜50の整数である);又は
【化6】
(式中、
Xは、OC(O)O、C(O)O及びOから選択された基であり;
qは、1〜50の整数であり;並びに
rは、2〜50の整数である)。
【0038】
本ブロック共重合体セグメントは、式1Aのブロック共重合体セグメントであってよい:
【化7】
(式中、A1、A2、Y1、L1、L2、Y2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、m、n及びtの各々は、本明細書に定義されたものである)。
【0039】
本ブロック共重合体セグメントは、式1A(i)のブロック共重合体セグメントである:
【化8】
(式中、A1、A2、L2、Y2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、m及びnの各々は、本明細書に定義されたものである)。
【0040】
本ブロック共重合体セグメントは、式1A(i)(a)のブロック共重合体セグメントであってよい:
【化9】
(式中、A1、A2、L2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、X、m、q及びrの各々は、本明細書に定義されたものである)。
【0041】
本ブロック共重合体セグメントは、式1A(i)(b)のブロック共重合体セグメントであってよい:
【化10】
(式中、A1、A2、L2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、m、n及びuの各々は、本明細書に定義されたものである)。
【0042】
本共重合体セグメントは、式1A(ii)のブロック共重合体セグメントであってよい:
【化11】
(式中、A1、A2、L1、L2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、X、m、q、r及びtの各々は、本明細書に定義されたものである)。
【0043】
本ブロック共重合体セグメントは、式1Bのブロック共重合体セグメントであってよい:
【化12】
(式中、A1、A2、Y1、L1、L2、Y2、X、n、q、r、及びtの各々は、本明細書に定義されたものである)。
【0044】
本ブロック共重合体セグメントは、式1B(i)のブロック共重合体セグメントであってよい:
【化13】
(式中、A1、A2、L2、Y2、X、n、q、及びrの各々は、本明細書に定義されたものである)。
【0045】
本ブロック共重合体セグメントは、式1B(i)(a)のブロック共重合体セグメントであってよい:
【化14】
(式中、
nは、1〜5の整数であり;
1は、エンドキャッピング基であり;
2は、水素又はエンドキャッピング基であり;
X及びX1は、各々独立して、OC(O)O、C(O)O及びOから選択され;
q及びvは、各々独立して、1〜50(5〜20)の整数から選択され;並びに
r及びwは、各々独立して、2〜50の整数から選択される)。
【0046】
本ブロック共重合体セグメントは、式1B(i)(b)のブロック共重合体セグメントであってよい:
【化15】
(式中、A1、A2、q、X、及びrの各々は、請求項1に定義されたものであり、並びに、L2、n、R7、R8、R9、R10、R11、R12及びuは、本明細書に定義されたものである)。
【0047】
本ブロック共重合体セグメントは、式1B(ii)のブロック共重合体セグメントであってよい:
【化16】
(式中、A1、A2、L1、L2、X、n、q、r及びtの各々は、請求項1に定義されたものであり、並びにR7、R8、R9、R10、R11、R12及びuの各々は、本明細書に定義されたものである)。
【0048】
置換基Q
置換基Qは、本明細書記載の式A又は式Bの部分から選択されてよい。
【0049】
置換基Qは、式Aの部分から選択されてよい:
【化17】
(式中、
1、R2、R3、及びR4は、各々独立して、水素、並びに任意に置換された直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカルから選択され;
5及びR6は、各々独立して、O、N及びSから独立して選択された1又は複数のヘテロ原子により任意に介在された、直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカルから選択され;
mは、1〜50の整数である)。
【0050】
置換基Qは、式Bの部分から選択されてよい:
【化18】
(式中、
Xは、OC(O)O、C(O)O及びOから選択された基であり;
qは、1〜50の整数であり;並びに
rは、2〜50の整数である)。
【0051】
一実施態様において、置換基Qは、式Aの部分である。Qは、α,ωビス−(6−ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサンであってよい。別の実施態様において、置換基Qは、式Bの部分である。
【0052】
置換基A1
本明細書において、置換基A1は、「エンドキャッピング基」であり、且つ反応性官能基又は反応性官能基を含有する基を含む。置換基A1に関する好適な反応性官能基の例は、以下のものを含む:ヒドロキシル基、カルボン酸、アルデヒド、ケトン、エステル、酸ハロゲン化物、酸無水物、アミン基、イミン基、チオ基、チオエステル、スルホン酸及びエポキシド。
【0053】
1は、ヒドロキシル又はアミンから選択されてよい。一実施態様において、A1は、ヒドロキシル基である。別の実施態様において、A1は、アミン基である。
【0054】
置換基A2
本明細書において、置換基A2は、水素又は「エンドキャッピング基」であり、且つ反応性官能基又は反応性官能基を含有する基を含む。置換基A2に関する好適な反応性官能基の例は、以下のものを含む:ヒドロキシル基、カルボン酸、アルデヒド、ケトン、エステル、酸ハロゲン化物、酸無水物、アミン基、イミン基、チオ基、チオエステル、スルホン酸及びエポキシド。
【0055】
2は、水素、ヒドロキシル又はアミンから選択されてよい。一実施態様において、A2は、水素である。一実施態様において、A2は、エンドキャッピング基である。別の実施態様において、A2は、ヒドロキシル基である。別の実施態様において、A2は、アミン基である。
【0056】
置換基Y1及びY2
本明細書において、個別の置換基Y1及びY2の各々は、ポリシロキサンマクロジオール、ポリシロキサンマクロジアミン、ポリエーテルマクロジオール、ポリカーボネートマクロジオール、ポリエステルマクロジオール、又はポリ炭化水素マクロジオールから、独立して選択されてよい。
【0057】
1及びY2の少なくとも一方は、ポリシロキサンマクロジオールであってよい。Y1は、ポリシロキサンマクロジオールであってよい。Y2は、ポリシロキサンマクロジオールであってよい。
【0058】
ポリシロキサンマクロジオールの例は、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない:ポリジメチルシロキサンジオール、例えばα,ωビス−(6−ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ωビス−(4−ヒドロキシブチル)ポリジメチルシロキサン、及びα,ωビス−(3−ヒドロキシプロピル)ポリジメチルシロキサンなど。
【0059】
一実施態様において、Y1及びY2の少なくとも一方は、ポリジメチルシロキサンジオールである。別の実施態様において、Y1及びY2の両方は、ポリジメチルシロキサンジオールである。別の実施態様において、Y1及びY2の少なくとも一方は、α,ωビス−(6−ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサンである。別の実施態様において、Y1及びY2の両方は、α,ωビス−(6−ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサンである。
【0060】
1及びY2の少なくとも一方は、ポリシロキサンマクロジアミンであってよい。Y1は、ポリシロキサンマクロジアミンであってよい。Y2は、ポリシロキサンマクロジアミンであってよい。
【0061】
ポリシロキサンマクロジアミンの例は、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない:α,ωビス−(アミノメチル)ポリジメチルシロキサン、α,ωビス−(2−アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、α,ωビス−(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ωビス−(4−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、α,ωビス−(5−アミノペンチル)ポリジメチルシロキサン及び同類のもの。
【0062】
1及びY2の少なくとも一方は、ポリエーテルマクロジオールであってよい。Y1は、ポリエーテルマクロジオールであってよい。Y2は、ポリエーテルマクロジオールであってよい。
【0063】
ポリエーテルマクロジオールの例は、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない:ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)、ポリ(ペンチレンオキシド)、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)(PHMO)、ポリ(ヘプタメチレンオキシド)、ポリ(オクタメチレンオキシド)(POMO)、及びポリ(デカメチレンオキシド)(PDMO)。
【0064】
一実施態様において、Y1及びY2の少なくとも一方は、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)(PHMO)である。
【0065】
一実施態様において、Y1及びY2の両方は、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)(PHMO)である。
【0066】
1及びY2の少なくとも一方は、ポリカーボネートマクロジオールであってよい。Y1は、ポリカーボネートマクロジオールであってよい。Y2は、ポリカーボネートマクロジオールであってよい。
【0067】
ポリカーボネートマクロジオールの例は、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない:ポリ(プロピレンカーボネート)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)及びポリカーボネート;並びに、コポリカーボネートマクロジオールは、P. A. Gunatillakeら、Journal of Applied Polymer Science, 69(8) 1621-1633, 1998に説明されたような、エステル交換反応を使用することにより、例えば、エチレンカーボネートなどの炭酸エステルを、ジオールと反応させることにより、調製することができる。好適なジオールは、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない:1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、及びビス(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン。
【0068】
1及びY2の少なくとも一方は、ポリエステルマクロジオールであってよい。Y1は、ポリエステルマクロジオールであってよい。Y2は、ポリエステルマクロジオールであってよい。
【0069】
ポリエステルマクロジオールの例は、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない:ポリ(カプロラクトン)ジオール、ポリ(テトラメチレンアジペート)ジオール、ポリ(D,L−ラクチド)、及びポリ(グリコリド)。
【0070】
1及びY2の少なくとも一方は、ポリ炭化水素マクロジオールであってよい。Y1は、ポリ炭化水素マクロジオールであってよい。Y2は、ポリ炭化水素マクロジオールであってよい。
【0071】
ポリ炭化水素マクロジオールの例は、ポリマー系脂肪族α,ω−ジオールを含む。ポリ炭化水素マクロジオールの具体例は、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない:ポリ(イソブチレン)ジオール、及び水素化されたポリ(ブタジエン)ジオール(完全に水素化されたポリ(ブタジエン)ジオールを含む)のような、ポリ(ブタジエン)ジオール。
【0072】
一実施態様において、Y1及びY2は、各々独立して、式A’又は式B’の部分から選択される:
【化19】
(式中、
7、R8、R9、及びR10は、各々独立して、水素、並びに任意に置換された直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカルから選択され;並びに
11及びR12は、各々独立して、O、N及びSから独立して選択された1又は複数のヘテロ原子により任意に介在された、直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカルから選択され;並びに
uは、1〜50の整数である);又は
【化20】
(式中、
1は、OC(O)O、C(O)O及びOから選択された基であり;
vは、1〜50の整数、例えば5〜20の整数であり;及び
wは、2〜50の整数である)。
【0073】
一実施態様において、Y1及びY2の少なくとも一方は、式A’の部分である。
【0074】
一実施態様において、Y1及びY2の少なくとも一方は、式B’の部分である。
【0075】
別の実施態様において、置換基Y1及びY2は、同じである。
【0076】
更に別の実施態様において、置換基Y1及びY2は、異なっている。Y1及びY2は、同じ個別の式A’内の、異なる基から選択されてよいことは、理解されるであろう。同様に、Y1及びY2は、同じ個別の式B’内の、異なる基から選択されてよいことも理解されるであろう。
【0077】
置換基L1及びL2
本明細書において、置換基L1及びL2は、ウレタン、尿素、尿素カーボネート、アミド、エステル、及びホスホネート連結基から独立して選択された二価の連結基である。
【0078】
1又はL2の少なくとも一方は、ウレタン連結基であってよい。L1は、ウレタン連結基であってよい。L2は、ウレタン連結基であってよい。
【0079】
ウレタン連結基は、マクロジオールのようなヒドロキシル含有化合物を、ジイソシアナートと反応させることにより、調製することができる。好適なジイソシアナートの例は、脂肪族、環式又は芳香族ジイソシアナートを含み、例えば:1,4−ジイソシアナトブタン、1,12−ジイソシアナトドデカン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,8−ジイソシアナトオクタン、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアナート(メチレンビス(シクロヘキシルジイソシアナート)(H12MDI)、p−フェニレンジイソシアナート(p−PDI)、m−フェニレンジイソシアナート(m−PDI)、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート(CHDI)もしくはそのcis及びtrans異性体の混合物、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)もしくはその異性体(例えば、2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI))、又はそれらの混合物、p−テトラメチルキシレンジイソシアナート(p−TMXDI)、イソホロンジイソシアナート又はm−テトラメチルキシレンジイソシアナート(m−TMXDI)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(DICH)、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、又は1,5−ジイソシアナトナフタレン(NDI)などである。
【0080】
一実施態様において、L1又はL2は、独立して、式Eの連結基であってよい:
【化21】
(式中、Raは:
任意に置換された直鎖、分岐した又は環式の、飽和又は不飽和の炭化水素ラジカル(任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロシクリルラジカルを含む)から選択される)。
【0081】
例えば、L1又はL2は、以下のものから選択されてよい:
【化22】
【化23】
【0082】
1又はL2の少なくとも一方は、尿素連結基であってよい。L1は、尿素連結基であってよい。L2は、尿素連結基であってよい。
【0083】
尿素連結基は、マクロジアミンのようなアミン含有化合物を、ジイソシアナートと反応させることにより生成することができる。好適なジイソシアナートの例は、脂肪族、環式又は芳香族ジイソシアナート、例えば:1,4−ジイソシアナトブタン、1,12−ジイソシアナトドデカン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,8−ジイソシアナトオクタン、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルジイソシアナート)(H12MDI)、p−フェニレンジイソシアナート(p−PDI)、m−フェニレンジイソシアナート(m−PDI)、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート(CHDI)又はそのcis及びtrans異性体の混合物、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)もしくはその異性体(例えば、2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI))もしくはそれらの混合物、p−テトラメチルキシレンジイソシアナート(p−TMXDI)、イソホロンジイソシアナート又はm−テトラメチルキシレンジイソシアナート(m−TMXDI)、又は1,5−ジイソシアナトナフタレン(NDI)などを含む。
【0084】
一実施態様において、L1又はL2は、独立して式Fの連結基であってよい:
【化24】
(式中、Rbは:
任意に置換された直鎖、分岐した又は環式の、飽和又は不飽和の炭化水素ラジカル(任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロシクリルラジカルを含む)から選択される)。
【0085】
例えば、L1又はL2は、以下のものから選択されてよい:
【化25】
【化26】
【0086】
1又はL2の少なくとも一方は、カーボネート連結基であってよい。L1は、カーボネート連結基であってよい。L2は、カーボネート連結基であってよい。
【0087】
一実施態様において、L1又はL2は、独立して式Gの連結基であってよい:
【化27】
(式中、Rcは、任意に置換された直鎖、分岐した又は環式の、飽和又は不飽和の炭化水素ラジカル(任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロシクリルラジカルを含む)から選択される)。
【0088】
1又はL2の少なくとも一方は、アミド連結基であってよい。L1は、アミド連結基であってよい。L2は、アミド連結基であってよい。
【0089】
アミド連結基の例は、−C(O)NH−基を含む。
【0090】
1又はL2の少なくとも一方は、エステル連結基であってよい。L1は、エステル連結基であってよい。L2は、エステル連結基であってよい。
【0091】
エステル連結基の例は、アルコールと、脂肪族又は芳香族二酸又は二酸塩化物を含有する化合物の間の反応を通じて形成されるエステルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0092】
1又はL2の少なくとも一方は、ホスホネート連結基であってよい。L1は、ホスホネート連結基であってよい。L2は、ホスホネート連結基であってよい。
【0093】
1又はL2は、独立して式Hの連結基であってよい:
【化28】
(式中:
d及びRfの各々は、以下のものから各々独立して選択され:任意に置換された直鎖、分岐した又は環式の、飽和又は不飽和の炭化水素ラジカル(任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロシクリルラジカルを含む);並びに
eは、以下のものから選択される:水素;又は、任意に置換された直鎖、分岐した又は環式の、飽和又は不飽和の炭化水素ラジカル(任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロシクリルラジカルを含む)。例えば、置換基Reは、任意に置換されたメチル基であってよい。
【0094】
一実施態様において、置換基L1及びL2は、同じである。別の実施態様において、置換基L1及びL2は、異なる。
【0095】
置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12
本明細書において、R1、R2、R3、R4、R7、R8、R9、及びR10は、各々独立して、水素、並びに任意に置換された直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカル(任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロシクリルラジカルを含む)から選択される。
【0096】
本明細書において、R5、R6、R11、及びR12は、各々独立して、O、N及びSから独立して選択された1又は複数のヘテロ原子により任意に介在された、直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカル(任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロシクリルラジカルを含む)から選択される。
【0097】
一実施態様において、R1、R2、R3、及びR4の少なくとも1つは、任意に置換されたメチル、エチル、プロピル又はブチル基を含む、任意に置換されたアルキル基である。例えば、R1、R2、R3、及びR4の少なくとも1つは、メチル基である。
【0098】
一実施態様において、R1、R2、R3、及びR4の各々は、任意に置換されたメチル、エチル、プロピル又はブチル基を含む、任意に置換されたアルキル基である。例えば、R1、R2、R3、及びR4の各々は、メチル基である。
【0099】
一実施態様において、R1、R2、R3、及びR4の少なくとも2つは、同じ置換基である。
【0100】
一実施態様において、R1、R2、R3、及びR4は全て、同じ置換基である。
【0101】
別の実施態様において、R5及びR6の少なくとも一方は、任意に置換されたアルキル又はアルコキシアルキル基である。例えば、R5及びR6の少なくとも一方は、任意に置換された以下のものから、独立して選択されてよい:プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、エトキシプロピル、プロポキシプロピル、及びブトキシプロピル基。
【0102】
別の実施態様において、R5及びR6の両方は、任意に置換されたアルキル又はアルコキシアルキル基である。例えば、R5及びR6の両方は、以下のものから任意に置換されてよい:プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、エトキシプロピル、プロポキシプロピル、及びブトキシプロピル基。例えば、R5及びR6の両方は、エトキシプロピルである。
【0103】
別の実施態様において、R5及びR6の少なくとも一方は、式D’の部分から、独立して選択される:
【化29】
(式中、c’は、1〜6の整数であり;並びに、d’は、1〜6の整数である。)。例えば、c’は2であり、及び/又はd’は3である。
【0104】
一実施態様において、R5及びR6は、同じ置換基である。
【0105】
一実施態様において、R5及びR6は、異なる置換基である。
【0106】
一実施態様において、R7、R8、R9、及びR10の少なくとも1つは、任意に置換されたメチル、エチル、プロピル又はブチル基を含む、任意に置換されたアルキル基である。例えば、R7、R8、R9、及びR10の少なくとも1つは、メチル基である。
【0107】
一実施態様において、R7、R8、R9、及びR10の各々は、任意に置換されたメチル、エチル、プロピル又はブチル基を含む、任意に置換されたアルキル基である。例えば、R7、R8、R9、及びR10の各々は、メチル基である。
【0108】
一実施態様において、R7、R8、R9、及びR10の少なくとも2つは、同じ置換基である。
【0109】
一実施態様において、R7、R8、R9、及びR10の全ては、同じ置換基である。
【0110】
別の実施態様において、R11及びR12の少なくとも一方は、任意に置換されたアルキル又はアルコキシアルキル基である。例えば、R11及びR12の少なくとも一方は、任意に置換された以下のものから独立して選択されてよい:プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、エトキシプロピル、プロポキシプロピル、及びブトキシプロピル基。
【0111】
別の実施態様において、R11及びR12の両方は、任意に置換されたアルキル又はアルコキシアルキル基である。例えば、R11及びR12の両方は、以下のものから任意に置換されてよい:プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、エトキシプロピル、プロポキシプロピル、及びブトキシプロピル基。例えば、R11及びR12の両方は、エトキシプロピルであってよい。
【0112】
一実施態様において、R11及びR12の少なくとも一方は、式Cの部分から独立して選択される:
【化30】
(式中、a’は、1〜6の整数であり;及び、b’は、1〜6の整数である。例えば、a’は2であり、及び/又はb’は3である。
【0113】
一実施態様において、R11及びR12は、同じ置換基である。別の実施態様において、R11及びR12は、異なる置換基である。
【0114】
置換基X及びX1
本明細書において、置換基X及びX1は、OC(O)O、C(O)O及びOから、独立して選択されてよい。
【0115】
Xは、OC(O)Oであってよい。Xは、C(O)Oであってよい。Xは、Oであってよい。X1は、OC(O)Oであってよい。X1は、C(O)Oであってよい。X1は、Oであってよい。X及びX1は、同じであってよい。X及びX1は、異なってよい。
【0116】
整数a’、b’、c’、d’、m、m’、m”、n、q、q’、q”、r、r’、r”、t、u、v及びw
整数a’は、1又は2又は3又は4又は5又は6であってよい。一実施態様において、整数a’は2である。別の実施態様において、整数a’は3である。
【0117】
整数b’は、1又は2又は3又は4又は5又は6であってよい。一実施態様において、整数b’は2である。別の実施態様において、整数b’は3である。
【0118】
整数c’は、1又は2又は3又は4又は5又は6であってよい。一実施態様において、整数c’は2である。別の実施態様において、整数c’は3である。
【0119】
整数d’は、1又は2又は3又は4又は5又は6であってよい。一実施態様において、整数d’は2である。別の実施態様において、整数d’は3である。
【0120】
本明細書において、整数mは、1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47又は48又は49又は50であってよい。
【0121】
本明細書において、整数m’は、1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47又は48又は49又は50であってよい。
【0122】
本明細書において、整数m”は、1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47又は48又は49又は50であってよい。
【0123】
本明細書において、整数nは、1又は2又は3又は4又は5であってよい。
【0124】
本明細書において、整数tは、0又は1又は2又は3又は4又は5であってよい。
【0125】
一実施態様において、整数tは0である。
【0126】
本明細書において、整数qは、1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47又は48又は49又は50であってよい。
【0127】
一実施態様において、整数qは、5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20であってよい。
【0128】
本明細書において、qは、1〜10の範囲内、例えば2〜6の範囲内であってよい。
【0129】
本明細書において、整数q’は、1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47又は48又は49又は50であってよい。
【0130】
一実施態様において、整数q’は、5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20であってよい。
【0131】
本明細書において、q’は、1〜10の範囲内、例えば2〜6の範囲内であってよい。
【0132】
本明細書において、整数q”は、1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47又は48又は49又は50であってよい。
【0133】
一実施態様において、整数q”は、5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20であってよい。
【0134】
本明細書において、q”は、1〜10の範囲内、例えば2〜6の範囲内であってよい。
【0135】
本明細書において、整数rは、2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47又は48又は49又は50であってよい。
【0136】
本明細書において、整数r’は、2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47又は48又は49又は50であってよい。
【0137】
本明細書において、整数r”は、2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47又は48又は49又は50であってよい。
【0138】
本明細書において、整数uは、1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47又は48又は49又は50であってよい。
【0139】
本明細書において、整数vは、1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47又は48又は49又は50であってよい。
【0140】
一実施態様において、整数vは、5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20であってよい。
【0141】
本明細書において、vは、1〜10の範囲内であってよい。
【0142】
本明細書において、整数wは、2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47又は48又は49又は50であってよい。
【0143】
一実施態様において、整数wは、5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20であってよい。
【0144】
本明細書において、wは、2〜10の範囲内であってよい。
【0145】
前記整数の実施態様は、それらの任意の整数の範囲を含むことは理解されるであろう。例えば、ある範囲は、a’、b’、c’、d’、m、m’、m”、n、q、q’、q”、r、r’、r”、t、u、v及びwの先に説明された整数の実施態様の各々から選択された、いずれか2つの整数の間で提供されてよい。
【0146】
先に説明された実施態様のいずれかに従う式1のブロック共重合体セグメントは、分子量範囲約400〜6000、又は約400〜4000、又は約800〜1600を有することができる。別に言及しない限りは、本明細書において語句「分子量」は、特定のポリマーの数平均分子量(Mn)を指す。
【0147】
熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質
複数の軟セグメント及び硬セグメントを含有する、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質であって、ここで複数の軟セグメントは、各々本明細書に定義された式1のブロック共重合体セグメントの少なくとも1種及び任意に追加のポリオール又はポリアミンに由来する物質が、本明細書において明らかにされる。
【0148】
複数の軟セグメント及び硬セグメントを含有する、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質であって、ここで複数の軟セグメントは、各々本明細書に定義された式1のブロック共重合体セグメントから選択された単独の型のブロック共重合体セグメント及び任意に追加のポリオール又はポリアミンに由来する物質が、提供されてよい。
【0149】
同じく、複数の軟セグメント及び硬セグメントを含有する、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質であって、ここで複数の軟セグメントは、各々本明細書に定義された式1のブロック共重合体セグメントの2種の個別の混合物及び任意に追加のポリオール又はポリアミンに由来する物質も、本明細書において明らかにされる。
【0150】
同じく、以下の反応生成物を含有する、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質も本明細書において明らかにされる:
i. 少なくとも1種の本明細書に定義された式1のブロック共重合体セグメント;
ii. ジイソシアナート;
iii. 1又は複数の鎖延長剤;並びに
iv. 任意に追加のポリオール又はポリアミン。
【0151】
本明細書において、本熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質は、引張強さ≧5MPaを有してよい。例えば、本熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質は、以下の引張強さを有してよい:≧7.5MPa、又は≧10MPa、又は≧12.5MPa、又は≧15MPa、又は≧17.5MPa、又は≧20MPa、又は≧22.5MPa、又は≧25MPa、又は≧27.5MPa、又は≧30MPa、又は≧32.5MPa、又は≧35MPa、又は≧37.5MPa、又は≧40MPa、又は≧42.5MPa、又は≧45MPa、又は≧47.5MPa、又は≧50MPa。
【0152】
本明細書において、本熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質は、ヤング率≧10MPaを有してよい。例えば、本熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質は、以下のヤング率を有してよい:≧12.5MPa、又は≧15MPa、又は≧17.5MPa、又は≧20MPa、又は≧22.5MPa、又は≧25MPa、又は≧27.5MPa、又は≧30MPa、又は≧32.5MPa、又は≧35MPa、又は≧37.5MPa、又は≧40MPa、又は≧42.5MPa、又は≧45MPa、又は≧47.5MPa、又は≧50MPa、又は≧52.5MPa、又は≧55MPa、又は≧57.5MPa、又は≧60MPa、又は≧62.5MPa、又は≧65MPa、又は≧67.5MPa、又は≧70MPa、又は≧72.5MPa、又は≧75MPa、又は≧77.5MPa、又は≧80MPa。
【0153】
本明細書において、本熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質は、≧500%の破断点伸びを有してよい。例えば、本熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質は、以下の破断点伸びを有してよい:≧550%、又は≧600%、又は≧650%、又は≧700%、又は≧750%、又は≧800%、又は≧850%、又は≧900%、又は≧950%、又は≧1000%、又は≧1050%、又は≧1100%、又は≧1150%、又は≧1200%、又は≧1250%、又は≧1300%、又は≧1350%、又は≧1400%、又は≧1450%、又は≧1500%、又は≧1550%、又は≧1600%、又は≧1650%、又は≧1700%、又は≧1750%、又は≧1800%、又は≧1850%、又は≧1900%、又は≧1950%、又は≧2000%。
【0154】
これらの引張強さは、標準の工業的方法、例えば、薄手プラスチックシートに関するASTM標準方法から採用される方法(例えば、ASTM D 882−02)を用いて測定されてよいことは理解されるであろう。更なる実施例において、この方法は、ASTM D 882−02試験法を使用し、例えば約200〜300ミクロンの、薄手フィルムに関与してよい。
【0155】
ASTM D 882−02法により、試料の引張強さを測定するのに使用することができる条件の例は:
・長さ75mm、両端での幅13mm、及び中心の狭い区画の幅4mmである(少なくとも長さ15mmにわたり一定の幅を持つ)、ダンベル型の試験片を使用し;並びに
・静荷重セル±100Nで取り付けられたインストロン5565を使用し、且つインストロンブルーヒル2(バージョン2.35)ソフトウェアを使用し計算する。
【0156】
乾燥条件での引張り試験に関して、試験片は以下であってよい:
・グリップ間の間隙が10mmであるような、上側グリップと下側グリップ(例えば、インストロングリップ)の間に固定され;
・フィルムが破断するまで、50mm/分の速度で、フィルムの長さ10mmの区画を伸長し;
・少なくとも3回の反復を、例えば、3、4又は5回の反復を、行う。
【0157】
湿潤条件での、又は医学用途において認められる条件を再現する引張り試験に関して、試験片は以下であってよい:
・プラスチックバッグ内に配置し、且つ37℃に維持された水中に、少なくとも2時間、浸漬し;
・ティッシュペーパーを用いて乾燥させ、且つグリップ間の間隙が10mmであるような、上側グリップと下側グリップ(例えば、インストロングリップ)の間に固定され;
・フィルムが破断するまで、100mm/分の速度で、伸長する。
【0158】
応力、歪み、破壊応力及び破断点伸びは、インストロンブルーヒル2(バージョン2.35)ソフトウェアから、乾燥条件又は湿潤条件のいずれかを用い、得ることができる。これらのパラメータは、試料の引張強さ、ヤング率(曲げ剛性)及び伸び(弾力性)に関する値を得ることを可能にする。
【0159】
本明細書において、本熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質は、多分散度(PDI)≦3.00を有してよい。例えば、本熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質は、PDI≦2.50、≦2.00、又は≦1.50を有してよい。
【0160】
一実施態様において、単独の式1のブロック共重合体セグメントが、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質の配合において使用される。
【0161】
別の実施態様において、2種の異なる式1のブロック共重合体セグメントが、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質の配合において使用される。
熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質の配合において使用される、1もしくは2種の異なる式1のブロック共重合体セグメントの混合物、又は式1のブロック共重合体とマクロジオールの組合せの例は、表1に示されている。ここでセグメント1及び/又はセグメント2は、1又は複数の鎖延長剤、ジイソシアナートと共に、反応混合物へ添加され、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質を製造することができる。これらの実施例において、R5a及びR6aは、両方共−(CH22O(CH24−であってよい。
表1−熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質の製剤において使用される、1もしくは2の異なる式1のブロック共重合体セグメント、又は式1のブロック共重合体とマクロジオールの組合せの例。以下の例において、R5a、R6a、m’及びrは、本明細書に定義されたものである。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0162】
ジイソシアナート
好適なジイソシアナートの例は、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない:脂肪族、環式又は芳香族ジイソシアナート、例えば:1,4−ジイソシアナトブタン、1,12−ジイソシアナトドデカン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,8−ジイソシアナトオクタン、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルジイソシアナート)(H12MDI)、p−フェニレンジイソシアナート(p−PDI)、m−フェニレンジイソシアナート(m−PDI)、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート(CHDI)又はそのcis及びtrans異性体の混合物、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)もしくはその異性体(例えば、2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI))、又はそれらの混合物、p−テトラメチルキシレンジイソシアナート(p−TMXDI)、イソホロンジイソシアナート又はm−テトラメチルキシレンジイソシアナート(m−TMXDI)、又は1,5−ジイソシアナトナフタレン(NDI)など。
【0163】
一実施態様において、ジイソシアナートはMDIである。
【0164】
鎖延長剤
本明細書において、少なくとも1種の鎖延長剤が、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質の形成において含まれる。鎖延長剤は、1分子につき2つの官能基を有する化合物であり、そのためイソシアナート基と反応することが可能である、例えばジオール又はジアミンなどである。
【0165】
鎖延長剤は、400以下の分子量範囲を有してよい。あるいは、鎖延長剤は、約800〜約1600の分子量範囲を有してよい。別の実施態様において、鎖延長剤は、約400〜約4000の分子量範囲を有してよい。
【0166】
鎖延長剤は、ジオール又はジアミン鎖延長剤から選択されてよい。一実施態様において、少なくとも1種の鎖延長剤は、ジオールである。
【0167】
ジオール鎖延長剤の例は、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない:C1-12アルカンジオール、例えば:1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、及び1,10−デカンジオールなど、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,12−ドデカンジオール、及び1,3−ビス−(4−ヒドロキシブチル)1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン。
【0168】
一実施態様において、少なくとも1種の鎖延長剤は、ジアミンである。好適なジアミン鎖延長剤は、C1-12アルカンジアミン、例えば1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,3ビス−(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、又は1,3ビス−(3−アミノブチル)テトラメチルジシロキサンを含む。
【0169】
熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素中の硬セグメントのwt%(ポリウレタン/ポリウレタン尿素の総重量の割合としての連結化合物(例えば、ジイソシアナート)+鎖延長剤の重量により決定されるwt%)は、約20wt%〜約60wt%の範囲内であってよい。例証的範囲は、以下のものを含む:約30wt%〜約60wt%、又は約40wt%〜約60wt%、約50wt%〜約60wt%、及び約40wt%〜約50wt%。
【0170】
一実施態様において、ただ一つの鎖延長剤が、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質の形成において使用される。
【0171】
一実施態様において、2種の鎖延長剤が、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質の形成において使用される。例えば、1,4−ブタンジオールとエチレンジアミンの組合せである。
【0172】
追加のポリオール又はポリアミン
本明細書において、少なくとも1種の本明細書に定義された式1のブロック共重合体セグメント;ジイソシアナート;及び、1又は複数の鎖延長剤:の反応生成物を含む、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質は、追加のポリオール又はポリアミンを含んでもよい。
【0173】
追加のポリオールは、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)、ポリ(ヘプタメチレンオキシド)、ポリ(オクタメチレンオキシド)(POMO)、ポリ(デカメチレンオキシド)(PDMO)、ポリジメチルシロキサンジオール、ポリ(ブタジエンジオール(butadine diol))、ポリ(カーボネート)ジオール、ポリ(イソブチレン)ジオール、又はそれらの混合物を含んでよい。
【0174】
一実施態様において、追加のポリオールは、少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリジメチルシロキサンポリマー、例えば、α,ωビス−(6−ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサンであってよい。
【0175】
一実施態様において、追加のポリオールは、式Jのポリオールである:
【化31】
(式中:
5a及びR6aは、各々独立して、O、N及びSから独立して選択される1又は複数のヘテロ原子により任意に介在された、直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカルから選択され;並びに
m’は、1〜50の整数である)。
【0176】
5a及びR6aは、任意に置換されたアルキル又はアルコキシアルキル基から独立して選択されてよい。例えば、R5a及びR6aは、任意に置換された以下のものから独立して選択されてよい:プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、エトキシプロピル、プロポキシプロピル、及びブトキシプロピル基。
【0177】
別の実施態様において、R5a及びR6aの両方は、任意に置換されたアルキル又はアルコキシアルキル基である。例えば、R5a及びR6aは、両方共、任意に置換された以下のものから選択されてよい:プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、エトキシプロピル、プロポキシプロピル、及びブトキシプロピル基。例えば、R5a及びR6aの両方は、エトキシプロピルであってよい。
【0178】
5a及びR6aは、両方共、(CH22O(CH23であってよい。
【0179】
別の実施態様において、追加のポリオールは、式K’のポリオールである:
【化32】
(式中:
2は、OC(O)O、C(O)O及びOから選択された基であり;
q’は、1〜50の整数であり、例えば、5〜20の整数を含み;並びに
r’は、1〜50の整数である)。
【0180】
一実施態様において、X2はOである。
【0181】
別の実施態様において、追加のポリオールは、以下のものから選択される:ポリ(ヘキサメチレンオキシド)、ポリ(ヘプタメチレンオキシド)、ポリ(オクタメチレンオキシド)(POMO)、及びポリ(デカメチレンオキシド)(PDMO)。
【0182】
追加のポリアミンは、α,ωビス−(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ωビス−(アミノメチル)ポリジメチルシロキサン、α,ωビス−(2−アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、α,ωビス−(4−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、α,ωビス−(5−アミノペンチル)ポリジメチルシロキサン及び同類のものを含んでよい。
【0183】
追加のポリアミンは、式Lのポリアミンであってよい:
【化33】
(式中:
5b及びR6bは、各々独立して、O、N及びSから独立して選択される1又は複数のヘテロ原子により任意に介在された、直鎖、分岐した又は環式の、飽和及び不飽和の炭化水素ラジカルから選択され;並びに
m”は、1〜50の整数である)。
【0184】
5b及びR6bは、任意に置換されたアルキル又はアルコキシアルキル基から独立して選択されてよい。例えば、R5b及びR6bは、任意に置換された以下のものから独立して選択されてよい:プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、エトキシプロピル、プロポキシプロピル、及びブトキシプロピル基。
【0185】
別の実施態様において、R5b及びR6bの両方は、任意に置換されたアルキル又はアルコキシアルキル基である。例えば、R5b及びR6bは、両方共、任意に置換された以下のものであってよい:プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、エトキシプロピル、プロポキシプロピル、及びブトキシプロピル基。例えば、R5a及びR6aの両方は、エトキシプロピルであってよい。
【0186】
5b及びR6bは、両方共、(CH22O(CH23であってよい。
【0187】
追加のポリアミンは、式M’のポリアミンであってよい:
【化34】
(式中:
3は、OC(O)O、C(O)O及びOから選択される基であり;
q”は、1〜50の整数であり、例えば、5〜20の整数を含み;並びに
r”は、1〜50の整数である。
【0188】
「軟」ブロック共重合体及びポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質の調製プロセス
式1のブロック共重合体セグメントを調製するプロセスが、本明細書において明らかにされており、ここで、本プロセスは:
i. 少なくとも1種のマクロジオール;又は
ii. 少なくとも1種のマクロジアミン;又は
iii. 少なくとも1種のマクロジオールと少なくとも1種のマクロジアミンの混合物を、二価の連結化合物と一緒にする工程を含む。
【0189】
任意の追加工程は、以下の1又は複数を含む:
i. 濾過;
ii. 例えば、減圧下の蒸発による、溶媒(複数可)の除去;及び/又は
iii. 例えば、蒸留(クーゲルロール蒸留装置の使用による蒸留など)による精製。
【0190】
本明細書において、二価の連結化合物は、2つのマクロジオール又は2つのマクロジアミンなどの、2つの成分を連結することができる化合物であり、ここで、二価の化合物は、これら2つの成分の間の連結手段である。二価の連結化合物は、以下のものを作製することができる:本ブロック共重合体セグメント内の、ウレタン、尿素、カーボネート、アミド、エステル、及びホスホネート連結。
【0191】
二価の連結化合物の例は、有機リン化合物又は2個の官能基を含む化合物であり、その2個は以下のものである:イソシアナート、カルボン酸、又は酸ハロゲン化物の官能基。
【0192】
一実施態様において、二価の連結化合物は、ジイソシアナート、例えば:1,4−ジイソシアナトブタン、1,12−ジイソシアナトドデカン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,8−ジイソシアナトオクタン、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルジイソシアナート)(H12MDI)、p−フェニレンジイソシアナート(p−PDI)、m−フェニレンジイソシアナート(m−PDI)、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート(CHDI)又はそれらのcis及びtrans異性体の混合物、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)もしくはその異性体(例えば、2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI))、又はそれらの混合物、p−テトラメチルキシレンジイソシアナート(p−TMXDI)、イソホロンジイソシアナート又はm−テトラメチルキシレンジイソシアナート(m−TMXDI)、1,5−ジイソシアナトナフタレン(NDI)、又はそれらの混合物である。
【0193】
別の実施態様において、二価の連結化合物は、酸ハロゲン化物、例えばホスゲンである。
【0194】
別の実施態様において、この二価の化合物は、有機リン化合物、例えばメチルホスホン酸ジクロリドである。
【0195】
同じく、式1のケイ素ベースのブロック共重合体セグメントを含む、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマーを調製するプロセスも本明細書において明らかにされ、ここで、このプロセスは:
i. 式1のブロック共重合体セグメントを提供するか、又は本明細書記載のプロセスを使用し、式1のブロック共重合体セグメントを調製する工程;
ii. 任意に、工程iの物質を、二価の化合物、及び:
a. 少なくとも1種のマクロジオール;
b. 少なくとも1種のマクロジアミン;又は
c. 少なくとも1種のマクロジオールと少なくとも1種のマクロジアミンの混合物:と、更に反応させる工程;並びに
iii. 工程i又はiiのブロック共重合体セグメントを、鎖延長剤又は鎖延長剤の混合物と反応させ、ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマーを形成する工程:を含む。
【0196】
本明細書において明らかにされた熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー系物質を製造することができる軟セグメントの非限定的例は、スキーム1から4に示されている。これらのスキームにおいて、R5a及びR6aは、両方共、(CH22O(CH24であり:
・ スキーム1−リンカー分子として4,4’−メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)を使用する、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)(PHMO)から、連結されたマクロジオールの調製。
・ スキーム2−リンカー分子としてMDIを使用する、α,ωビス−(6−ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(ここで、R5a及びR6aは、エトキシプロピル基である)からの、連結されたマクロジオールの調製。
・ スキーム3−カーボネートリンカーを使用する、αω−ビス−(6−ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(ここで、R5a及びR6aは、エトキシプロピル基である)からの、連結されたマクロジオールの調製。
・ スキーム4−ホスホネートリンカーを使用する、αω−ビス−(6−ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(ここで、R5a及びR6aは、エトキシプロピル基である)からの、連結されたマクロジオールの調製。
【0197】
非限定的例として、スキーム5は、エチレンジアミンにより延長されたMDI連結されたPHMO及びPDMS鎖から調製されたポリウレタン尿素の、可能性のある反応スキーム及び一般的構造を例示している
【化35】
【化36】
【0198】
材料及び製品
本明細書に定義された熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質を含む物質が、本明細書において明らかにされる。
【0199】
本熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質は、特に、高い引張強さ及び/又は引裂強さを持つ物質が必要とされるような適用のための、織物シート又はファイバーを製造するために、使用することができる。例えば、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質を、例えば高強度及び/又は撥水性メンブレンのような、特別な織物の編み又は織りにおいて用いることができるファイバーを製造するために、使用することができる。加えて、本熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質は、シーラントとして使用されてもよい。シロキサン成分を含有する物質に関して、該シロキサン成分の誘電特性のために、本熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー物質は、電子部品及び電気部品及び絶縁材のために使用されてよい。
【0200】
同じく、本明細書に定義された熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー系物質で全体的又は部分的に構成される製品も、本明細書において明らかにされる。
【0201】
装置又は製品の例は、以下のものを含む:人造皮革、靴底、ケーブル外装、ワニス、コーティング、ポンプ又は車両の構造部材、採掘鉱石篩、コンベヤベルト、積層用コンパウンド、ファイバー、編織物、隔膜、シーラント、又は接着剤成分から選択される。
【0202】
医学用途のための製品
本明細書に定義された熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー系物質は、生体材料として使用されてよい。本明細書において用語「生体材料」は、その最も広範な意味において使用され、且つ生存している動物又はヒトの細胞及び/又は体液と接触するようになる状況において使用される物質を指す。
【0203】
本明細書に定義されたような熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー系物質で、全体的又は部分的に構成されている医療器具である製品が、本明細書において明らかにされる。一実施態様において、医療器具である製品は、インプラントである。
【0204】
医療器具の例は、以下のものを含む:心ペースメーカー、除細動器、カテーテル、心臓弁、心臓補助装置、血管グラフト、埋植可能なプロテーゼ、カニューレ、体外装置、人工臓器、ペースメーカーリード線、除細動器リード線、血液ポンプ、バルーンポンプ、A−Vシャント、バイオセンサー、細胞封入のためのメンブレン、薬物送達装置、創傷包帯、人工関節、整形外科用インプラント、又は軟組織代用品。
【0205】
一実施態様において、心臓血管系用途において使用される医療器具である製品は、例えば、大動脈弁、僧帽弁、肺動脈弁及び/又は三尖弁の1又は複数に関係する製品である。
【0206】
別の実施態様において、本製品は、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)と称される手順により挿入され得る、心臓弁、又は類似の製品であってよい。
【0207】
埋植可能な弁100(手術及び/又はTAVI留置のため)の例を、図1に提示している。弁は、本主題ポリマーから構築された、複数の弁尖110−1、110−2、及び110−3を含む。各弁尖110は、他のものから離散しているか(図示したように)、又は一つの単体の(一体式の)弁尖本体の一部であることができる。弁の支持構造は、平面の又は平坦な上流終端を有することができる、輪状ベース部分102を備えるか、或いは意図された流れに対し下流である、曲がったもしくは貝状の(scalloped)上流終端(図示せず)もしくは輪状ベース部分102から突き出ている外延部104を有することができる。これらの弁尖は、例えば注型(例えば、ディップ注型)又は成形のプロセスを通じて、このベースフレーム102上に一体化されて形成され得る。ディップ注型プロセスの例において、ベースフレーム102は、マンドレル上に配置され、ポリマー中に浸漬され、これはベースフレーム上のポリマー系コーティングにより一体化された弁尖の形成を生じる。一部の実施態様において、弁尖110(本主題のポリマーで形成された)は、縫製のような繋ぎプロセスを通じて、支持構造102へ、物理的に接合され得る。
【0208】
本明細書において、医療器具の製造において使用される熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー系物質は、ヒトなどのレシピエントの表面又は内部において許容されなければならない。例えば、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー系物質は、熟練した医療専門家又は獣医師により確定された妥当なベネフィット/リスク比と釣り合った、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応又は他の可能性のある合併症を伴うことなく、レシピエントの組織と接触することができなければならない。
【0209】
一部の症例において、本明細書に記載されたような熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー系物質は、ヒトのような、レシピエントの表面又は内部での使用のためではないが、医療器具における使用に関して許容し得る物質の調製において利用することができる、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタン尿素エラストマー系物質の調製において有用であることができることは、理解されるであろう。
【0210】
本明細書記載の医療器具のレシピエントは、ヒトの、男性又は女性であることができる。
【0211】
あるいは、本明細書記載の医療器具のレシピエントは、非−ヒト動物であることができる。「非−ヒト動物類」又は「ヒトでない動物」は、ヒトを除く、動物界を指し、且つ脊椎動物及び無脊椎動物、雄又は雌の両方を含み、且つ以下のものを含む:哺乳動物(非限定的に、霊長類、イヌ、ネコ、畜牛、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラット、モルモット、ウマ、又は他のウシ科、ヒツジ科、ウマ科、イヌ科、ネコ科、齧歯類又はマウスの種を含む)を含む、恒温動物、鳥、昆虫、爬虫類、魚類及び両生類。
【0212】
本明細書記載の医療器具のレシピエントは、「患者」、「レシピエント」、「個体」、及び「対象」の互換的用語で本明細書において言及される。これら4種の用語は、互換的に使用され、且つ本明細書に定義されるように、任意のヒト又は非ヒト動物(別に指摘しない限りは)を指す。
【実施例】
【0213】
原材料
以下の実施例を含む、本明細書において言及される特定の化学物質は、表2に示した供給業者から得ることができる。
【表2】
【0214】
装置
ゲル透過クロマトグラフィー:Waters社THFシステム
【0215】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)は、Alliance 2695分離モジュール(一体化された四元(integrated quaternary)溶媒送達、溶媒脱気装置及び自動試料採取システム)、Watersカラムヒーターモジュール、Waters 2414 RDI屈折率検出器、Waters PDA 2996光ダイオードアレイ検出器(1.2nmで、210〜400nm)、並びに各々300mm×7.8mm2であり有効分子質量範囲10〜4×105を提供する4×Agilent PL−ゲルカラム(3×PL−ゲルミックスドCカラム(5μm)及び1×PL−ゲルミックスドEカラム(3μm))を装着した、Waters Allianceシステム上で行った。テトラヒドロフラン(THF)高純度溶媒(HPLC等級)を、0.45μmフィルターにより、活性アルミナ90、中性(70−230メッシュ)を通して、予め充填し、且つ0.1g/L 2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を、阻害剤として添加した。濾過したBHT含有THFを、窒素ガスでゆっくり掃流し、30℃で、流量1mL/分で、溶離液として使用した。数平均分子質量(Mn)及び重量平均分子質量(Mw)を、Waters Empower−3ソフトウェアを用いて評価した。GPCカラムを、低分散度ポリスチレン(PSt)標準(Polymner Laboratories社)により、265〜2,560,000g/molの範囲で検量し、且つ分子質量を、PSt当量として報告した。3次多項式を使用し、logMp、対、時間検量線にフィットさせ、これはこの分子質量範囲全体でほぼ直線であった。
【0216】
ゲル透過クロマトグラフィー:Shimazu−DMAc
【0217】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)は、CMB−20Aコントローラーシステム、SIL−20A HT自動サンプラー、LC−20ATタンデムポンプシステム、DGU−20A脱気ユニット、CTO−20ACカラムオーブン、RDI−10A屈折率検出器、及び4×Waters Styragelカラム(HT2、HT3、HT4、及びHT5、各々300mm×7.8mm2、有効分子質量範囲100〜4×106を提供)を装着した、Shimadzuシステム上で行った。N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(4.34g/L臭化リチウム(LiBr)含有)を、80℃で、流量1mL/分で、溶離液として使用し、且つ数平均分子質量(Mn)及び重量平均分子質量(Mw)を、Shimadzu LC解析ソフトウェアを用いて評価した。GPCカラムを、低分散度ポリスチレン(PSt)標準(Polymner Laboratories社)により、575〜3,242,000g/molの範囲で検量し、且つ分子質量を、PSt当量として報告した。3次多項式を使用し、logMp、対、時間検量線にフィットさせ、これはこの分子質量範囲全体でほぼ直線であった。
【0218】
溶液注型によるフィルム調製及び力学特性試験
サイズ80mm×145mmのポリマーフィルムを、テフロン鋳型中にポリマーの溶液を配置し、その後60℃の窒素循環炉内で、数時間かけてゆっくり溶媒を蒸発させ、引き続き真空下(1torr)で一晩乾燥させることにより、調製した。次にこのフィルムを、室温で、少なくとも24時間平衡化させ、その後これらを引張り特性の測定のために使用した。
【0219】
ポリマーフィルムのダンベル形状の試験片を、ダイ及び手動切断プレス(IDM Instruments社)を使用し、打ち抜いた。これらの試験片は、長さ75mm、各末端の幅13mm、及び中央の狭い区画の幅4mm(少なくとも長さ15mmにわたり一定の幅)の寸法を有した。切り抜いた試験片の厚さは、デジタル厚さゲージ(Mitutoyo社、日本)を用いて測定した。中央の狭い区画中の長さ15mmにわたる厚さの変動が小さい場合は、3つの厚さ値の平均を採用した。静荷重セル±100Nで取り付けられたインストロン5565を初期化し、且つこの荷重を、インストロンブルーヒル2(バージョン2.35)ソフトウェアを使用し検量した。乾燥条件での引張り試験に関して、試験片を、グリップ間の間隙が10mmであるような、上側グリップと下側グリップ(インストロン)間に固定した。フィルムの長さ10mmの区画を、フィルムが破断するまで、50mm/分の速度で伸長した。試験片の少なくとも3回の反復を、各フィルムについて試験した。結果の間に広範な不一致がある場合、5回の試験を実行した。応力、歪み、破壊応力及び破断点伸びは、前記ソフトウェアから得た。これらのパラメータは、試料の引張強さ、ヤング率(曲げ剛性)及び伸び(弾力性)に関する値を得ることを可能にする。
【0220】
湿潤条件(又は医学用途において認められる条件の再現)での引張り試験に関して、既知の厚さの切り抜いた試験片を、プラスチックバッグ内に配置し、且つ37℃に維持された水中に、少なくとも2時間、浸漬した。試験片を、ティッシュペーパーを用いて迅速に乾燥させ、前記グリップ間に固定し、且つフィルムが破断するまで、100mm/分の速度で、伸長した。応力、歪み、破壊応力及び破断点伸びは、前記ソフトウェアから得た。応力値を、歪み(初期値の%)に対してプロットした。
【0221】
略記した用語
表3は、本明細書において使用する一連の略記した用語を列挙している。
【表3】
【0222】
(実施例1−ウレタン連結したポリ(ヘキサメチレンオキシド)(PHMO−u−PHMO)の合成)
ポリ(ヘキサメチレンオキシド)(PHMO)(分子量696.23)を、以下の論文に説明された方法に従い調製した:
・ P. A. Gunatillake、G. F. Meijs、R. C. Chatellier、D. M. McIntosh及びE. Rizzardo、Polym. Int., 7, 275-283, 1992;及び
・ 米国特許第5403912号。
PHMOを、カールフィッシャー滴定により決定される含水量が200ppm未満になるまで、真空下(0.1torr)で、105℃で約15時間乾燥することにより、乾燥させ且つ脱気した。使用したガラス器具は全て、実験で使用する前に、105℃で一晩乾燥した。正確に秤量した溶融した4,4’−メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)(7.18g)を、機械式攪拌装置、添加ロート及び窒素注入口を装着した、丸底フラスコ内に配置した。次にこのフラスコを、80℃の油浴(oil batch)内に配置した。予め乾燥したPHMO(40.00g)を秤量し、20分間の時間をかけて、攪拌しながら、MDIへ添加した。この反応混合物を、イソシアナートが全て消費されるまで、さらに約2時間反応させた。これは、2275cm-1にIR吸収バンドが存在しないことにより確認した。
【0223】
連結前及び連結後のPHMOの特徴決定のデータを、表4に示している。
【表4】
【0224】
連結された−PHMOは、更なる使用のために、窒素下、外界温度で貯蔵した。
【0225】
(実施例2−ウレタン連結したα,ω−ビス−(6−ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(PDMS−u−PDMS)の合成)
α,ω−ビス−(6−ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(分子量928)を、カールフィッシャー滴定により決定される含水量が200ppm未満になるまで、105℃で約15時間、乾燥させ且つ脱気した。使用したガラス器具は全て、実験で使用する前に、105℃で一晩乾燥した。正確に秤量した溶融したMDI(6.74g)を、機械式攪拌装置、添加ロート及び窒素注入口を装着した、丸底フラスコ内に配置した。次にこのフラスコを、80℃の油浴内に配置した。予め乾燥したPDMS(50.0g)を正確に秤量し、20分間の時間をかけて、攪拌しながら、MDIへ添加した。この反応混合物を、イソシアナートが全て消費されるまで、80℃で撹拌しながら、さらに約2時間反応させ、これは、2275cm-1にIR吸収バンドが存在しないことにより確認した。
【0226】
連結前及び連結後のPHMOの特徴決定のデータを、表5に示している。
【表5】
【0227】
これらの結果は、連結反応が巧くいったことを示した。これらの反応後、生成物は、窒素下、外界温度で貯蔵した。
【0228】
(実施例3−カーボネート連結されたPDMS(PDMS−c−PDMS)の合成)
シリカゲル乾燥チューブ、250mL圧力補正滴定ロート、温度計、及び磁気攪拌子を装着した、三首1L丸底フラスコ内に、無水トルエン200ml、及びトルエンを溶媒とするホスゲン20%溶液の49.48gを配置した。このフラスコを、撹拌しながら、0℃まで冷却した。この混合物へ、ピリジン23.62gを、滴下ロートから滴加した。この添加は、15分間かけて行い、この時の温度は、0〜5℃の範囲に維持した。次にα,ω−ビス(ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(分子量928)の270.82gを、この混合液へ、滴下ロートから、少量づつ添加した。この添加は、1時間かけて行い、この間の混合液の温度は、15℃まで上昇し、その後この反応混合液は、15℃で2時間維持した。この期間中に、ピリジン塩酸塩が、反応混合液から沈殿した。この反応混合液を、セライト通して濾過し、ピリジン塩酸塩を除去した。トルエンを、20torrの減圧下、80℃での回転蒸発により除去した。この混合液を、クーゲルロール蒸留装置へ移し、低分子量種を、8×10-2torrの減圧下、150℃でストリップさせ、(PDMS−1000)−c−(PDMS−1000)の202gを無色の油状物(分子量1924)として生じた。
【0229】
(実施例4−ホスフェート連結されたPDMS(PDMS−p−PDMS)の合成)
磁気攪拌子を装着した500ml丸底フラスコ内に、無水エーテル100ml、α,ω−ビス(ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(分子量928)69.82g、及びトリエチルアミン7.61gを配置した。エーテル50ml中のメチルホスホン酸ジクロリド23.62gの溶液を、この混合液へ、滴下ロートから少量づつ添加した。この期間中に、トリエチルアミン塩酸塩が、反応混合液から沈殿した。この反応物を、室温で更に3日間撹拌した。反応混合液を濾過し、ピリジン塩酸塩を除去した。エーテルを、20torrの減圧下、80℃での回転蒸発により除去し、PDMS−1000−P(O)Me−PDMSの72gを無色の油状物として生じた。
【0230】
(実施例5−40%硬セグメントの、連結されたPHMO−u−PHMO、PDMS、BAPDを使用する、ポリウレタン尿素(PUU)の調製)
実施例1に記載の方法に従い調製した正確に秤量した連結されたPHMO−u−PHMO(10.00g)、及びα,ω−ビス(ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(PDMS)(MW973、40.00g)を、フラスコ内で混合し、80℃で、真空下(0.1torr)で2時間脱気した。正確に秤量したMDI(22.94g)を、機械式攪拌装置、添加ロート及び窒素注入口を装着した、丸底フラスコ内へ入れた。次にこのフラスコを、80℃の油浴中に配置した。フラスコ内のMDIへ撹拌しながら、PHMO−u−PHMO及びPDMSの混合物を、添加ロートを使用し、30分間かけて、ゆっくり添加した。この添加が終わった後、反応混合液を、窒素下で、撹拌しながら、80℃で2時間加熱した。その後無水N’N−ジメチルアセトアミド(DMAc、500mL)を、シリンジを用いて、反応混合液へ添加し、透明な溶液が得られるまで、5分間撹拌した。この溶液を、氷浴中で0℃に冷却し、無水DMAc(25mL)中に溶解した1,3ビス−(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(BAPD、10.40g)を、攪拌しながら、フラスコ中のプレ−ポリマー溶液へ滴加した。添加が終わった後、ポリマー溶液を90℃で3時間加熱し、Schottボトルに移した。
【0231】
このポリマー溶液を、脱気させた後、テフロン鋳型に注ぐことにより、薄手フィルムとして注型した。鋳型を、窒素の遅い流れ下の、60℃の炉内に、6時間配置し、溶媒を除去し、引き続きこれを真空下(0.1torr)に更に16時間配置し、あらゆる残存する溶媒を除去した。
【0232】
調製したポリマーに関する特徴決定のデータは、表6に示している。
【0233】
(実施例6−40%硬セグメントの、連結されたPDMS−u−PDMS、PHMO、BAPDを使用する、ポリウレタン尿素(PUU)の調製)
実施例2に記載の方法に従い調製した正確に秤量した連結されたPDMS−u−PDMS(40.00g)、及びPHMO(MW696、10.00g)を、フラスコ内で混合し、80℃で、真空下(0.1torr)で2時間脱気した。正確に秤量したMDI(21.19g)を、機械式攪拌装置、添加ロート及び窒素注入口を装着した、丸底フラスコ内へ入れた。次にこのフラスコを、80℃の油浴中に配置した。フラスコ内のMDIへ撹拌しながら、PDMS−u−PDMS及びPHMOの混合物を、添加ロートを使用し、30分間かけて、ゆっくり添加した。この添加が終わった後、反応混合液を、窒素下で、撹拌しながら、80℃で2時間加熱した。その後無水DMAc(500ml)を、シリンジを用いて、反応混合液へ添加し、その後透明な溶液が得られるまで、5分間撹拌した。この溶液を、氷浴中で0℃に冷却し、無水DMAc(25mL)中に溶解したBAPD(12.14g)を、攪拌しながら、フラスコ中のプレ−ポリマー溶液へ滴加した。添加が終わった後、ポリマー溶液を90℃で3時間加熱し、Schottボトルに移した。
【0234】
このポリマー溶液を、脱気させた後、テフロン鋳型に注ぐことにより、薄手フィルムとして注型した。鋳型を、窒素の遅い流れ下の、60℃の炉内に、6時間配置し、溶媒を除去し、引き続きこの鋳型を真空下(0.1torr)に16時間配置し、あらゆる残存する溶媒を除去した。
【0235】
調製したポリマーに関する特徴決定のデータは、表6に示している。
【0236】
(実施例7−40%硬セグメントの、連結されたPDMS−c−PDMS、PHMO、BAPDを使用する、ポリウレタン尿素(PUU)の調製)
実施例2に記載の方法に従い調製した正確に秤量した連結されたPDMS−c−PDMS(40.00g)、及びPHMO(分子量696、10.00g)を、フラスコ内で混合し、80℃で、真空下(0.1torr)で2時間脱気した。正確に秤量したMDI(21.42g)を、機械式攪拌装置、添加ロート及び窒素注入口を装着した、丸底フラスコ内へ入れた。次にこのフラスコを、80℃の油浴中に配置した。フラスコ内のMDIへ撹拌しながら、PDMS−c−PDMS及びPHMOの混合物を、添加ロートを使用し、30分間かけて、ゆっくり添加した。この添加が終わった後、反応混合液を、窒素下で、撹拌しながら、80℃で2時間加熱した。その後無水DMAc(500ml)を、シリンジを用いて、反応混合液へ添加し、その後透明な溶液が得られるまで、5分間撹拌した。この溶液を、氷浴中で0℃に冷却し、無水DMAc(25mL)中に溶解したBAPD(11.91g)を、攪拌しながら、フラスコ中のプレ−ポリマー溶液へ滴加した。添加が終わった後、ポリマー溶液を90℃で3時間加熱し、Schottボトルに移した。
【0237】
このポリマー溶液を、脱気させた後、テフロン鋳型に注ぐことにより、薄手フィルムとして注型した。鋳型を、窒素の遅い流れ下の、60℃の炉内に、6時間配置し、DMAcを除去し、引き続き真空下(0.1torr)に16時間配置し、あらゆる残存する溶媒を除去した。
【0238】
調製したポリマーに関する特徴決定のデータは、表6に示している。
【0239】
(実施例8−40%硬セグメントの、連結されたPDMS−u−PDMS及びBAPDを使用し、PHMOを使用しない、ポリウレタン尿素(PUU)の調製)
正確に秤量した連結されたPDMS(40.0g)を、真空下(0.1torr)で、80℃で2時間脱気した。溶融MDI(15.88g)を、機械式攪拌装置、滴下ロート及び窒素注入口を装着した、3つ首フラスコ内に配置した。次にこのフラスコを、70℃の油浴内に配置した。脱気したマクロジオール混合物(50g)を、滴下ロートを通して、30分間かけて、滴加した。添加が終わった後、反応混合液を、窒素下で、撹拌しながら、80℃で2時間加熱した。その後無水DMAc(500ml)を、シリンジを用いて、反応混合液へ添加し、その後透明な溶液が得られるまで、5分間撹拌した。その後この溶液を、氷浴中で0℃に冷却し、無水DMAc(50mL)と混合したBAPD(10.79g)を、先の溶液へ滴加した。添加が終わった後、先のポリマー溶液を90℃で3時間加熱し、Schottボトルに移した。その後このポリマー溶液を、窒素循環炉内で、60℃で脱気し、厚さ0.5mmのフィルムに注型した。
【0240】
このポリマー溶液を、脱気させた後、テフロン鋳型に注ぐことにより、薄手フィルムとして注型した。鋳型を、窒素の遅い流れ下の、60℃の炉内に、6時間配置し、溶媒を除去した。その後鋳型を、真空下(0.1torr)に16時間配置し、あらゆる残存する溶媒を除去した。
【0241】
(実施例9−一工程バルク重合による、40%硬セグメントの、連結されたPDMS−c−PDMSO、BDOを使用する、ポリウレタン尿素(PUU)の調製)
予め乾燥した連結されたPDMS−c−PDMS(20.0g)及び1,4−ブタンジオール(BDO)(2.85g)の混合物を、PP製ビーカー中で秤量し、0.1torrの真空下で、80℃で1時間かけて脱気した。窒素下で真空を開放し、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTL)触媒0.1wt%を添加し、スパチュラにより手で撹拌した。その後、この反応混合液へ溶融したMDI(10.49g)を一気に添加し、十分に粘性となるまで、スパチュラを使用し迅速に撹拌し、その後テフロン製トレーに注ぎ、100℃で18時間硬化させた。このポリマーを次に、力学特性のために、180℃のホットプレスを使用し、フィルムへ圧縮成形した。
【0242】
(実施例10−50%硬セグメントの、連結されたPHMO−u−PHMO、PDMS、BAPDを使用するポリウレタン尿素(PUU)の調製)
このPUUは、実施例5に説明された手順に従い合成した。以下の量の試薬を使用した:
・ 連結されたPHMO−u−PHMO(10.0g);
・ PDMS(40.0g);
・ MDI(31.68g);及び
・ BAPD(18.32g)。
【0243】
調製したPUUに関する特徴決定のデータは、表6に示す。
【0244】
(実施例11−50%硬セグメントの、連結されたPHMO−u−PHMO、PDMS、EDAを使用するポリウレタン尿素(PUU)の調製)
このPUUは、実施例5に説明された手順に従い合成した。以下の量の試薬を使用した:
・ 連結されたPHMO−u−PHMO(10.0g);
・ PDMS(40.0g);
・ MDI(42.94g);及び
・ EDA(7.06g)。
【0245】
調製したPUUに関する特徴決定のデータは、表6に示す。
【0246】
(実施例12−50%硬セグメントの、連結されたPDMS−u−PDMS、PHMO、BAPDを使用するポリウレタン尿素(PUU)の調製)
このPUUは、実施例5に説明された手順に従い合成した。以下の量の試薬を使用した:
・ 連結されたPDMS−u−PDMS(40.0g);
・ PHMO(10.0g);
・ MDI(29.39g);及び
・ BAPD(20.61g)。
【0247】
調製したPUUに関する特徴決定のデータは、表6に示す。
【0248】
(実施例13−50%硬セグメントの、連結されたPHMO−u−PHMO、PDMS、BAPD:EDA(8:2)を使用するポリウレタン尿素(PUU)の調製)
PDMS(40.0g)及びPHMO−u−PHMO(10.0g)の混合物を、真空下(0.1torr)、80℃で2時間脱気した。溶融したMDI(32.91g)を、機械式攪拌装置、滴下ロート及び窒素注入口を装着した、3つ首フラスコ内に配置した。次にフラスコを、70℃の油浴中に配置した。脱気したマクロジオール混合物(50g)を、滴下ロートを通して、30分間かけて、滴加した。添加が終わった後、反応混合液を、窒素下で、撹拌しながら、80℃で2時間加熱した。その後無水DMAc(500ml)を、シリンジを用いて、反応混合液へ添加し、透明な溶液が得られるまで、5分間撹拌した。その後この溶液を、氷浴中で0℃に冷却した。無水DMAc(60mL)中に溶解したエチレンジアミン(0.97g)と混合したBAPD(16.11g)を、先の溶液へ滴加した。添加が終わった後、先のポリマー溶液を90℃で3時間加熱し、Schottボトルに移した。その後このポリマー溶液を、窒素循環炉内で、60℃で脱気し、実施例5に説明したような薄手フィルムに注型した。
【0249】
調製したPUUに関する特徴決定のデータは、表6に示す。
【0250】
(実施例14−45%硬セグメントの、連結されたPHMO−u−PHMO、PDMS、BHTD:EDA(6:4)を使用するポリウレタン尿素(PUU)の調製)
PDMS(40.0g)及びPHMO−u−PHMO(10.0g)の混合物を、真空下(0.1torr)、80℃で2時間脱気した。溶融したMDI(28.65g)を、機械式攪拌装置、滴下ロート及び窒素注入口を装着した、3つ首フラスコ内に配置した。次にフラスコを、70℃の油浴中に配置した。脱気したマクロジオール混合物(50.0g)を、添加ロートを通して、30分間かけて、添加した。添加が終わった後、反応混合液を、窒素下で、撹拌しながら、80℃で2時間加熱した。その後1,1,3,3−ビス−ヒドロキシブチルテトラメチレンジシロキサン(BHTD)(10.72g)を、この反応混合液へ添加し、このシステムを更に2時間反応させた。次にこの反応混合液を、0℃まで冷却し、その後無水DMAc(500mL)を、シリンジを用いて、反応混合液へ添加し、透明な溶液が得られるまで、5分間撹拌した。無水DMAc(60mL)中に溶解したEDA(1.54g)を、先の溶液へ滴加した。添加が終わった後、先のポリマー溶液を90℃で3時間加熱し、その後Schottボトルに移した。その後このポリマー溶液を、窒素循環炉内で、60℃で脱気し、実施例5に説明したような薄手フィルムに注型した。
【0251】
調製したPUUに関する特徴決定のデータは、表6に示す。
【0252】
(実施例15−45%硬セグメントの、連結されたPHMO−u−PHMO、PDMS、BHTD:EDA(4:6)を使用するポリウレタン尿素(PUU)の調製)
このPUUは、実施例14に説明された手順に従い合成した。以下の量の試薬を使用した:
・ 連結されたPHMO−u−PHMO(10.0g);
・ PDMS(40.0g);
・ MDI(30.42g);
・ BHTD(7.93g);及び
・ EDA(2.57g)。
【0253】
調製したPUUに関する特徴決定のデータは、表6に示す。
【0254】
(実施例16−45%硬セグメントの、連結されたPHMO−u−PHMO、PDMS、BDO:EDA(6:4)を使用するポリウレタン尿素(PUU)の調製)
このPUUは、実施例14に説明された手順に従い合成した。以下の量の試薬を使用した:
・ 連結されたPHMO−u−PHMO(10.0g);
・ PDMS(40.0g);
・ MDI(34.19g);
・ BHTD(4.65g);及び
・ BDO(2.07g)。
【0255】
調製したPUUに関する特徴決定のデータは、表6に示す。
【0256】
(実施例17−45%硬セグメントの、連結されたPDMS−u−PDMS、PHMO、BHTD:EDA(6:4)を使用するポリウレタン尿素(PUU)の調製)
このPUUは、実施例14に説明された手順に従い合成した。使用した前駆体の量は、以下である:
・ 連結されたPHMO−u−PHMO(10.0g);
・ PDMS(40.0g);
・ MDI(26.92g);
・ BHTD(12.23g);及び
・ EDA(1.76g)。
【0257】
調製したPUUに関する特徴決定のデータは、表6に示す。
【0258】
(実施例18−45%硬セグメントの、連結されたPDMS−u−PDMS、PHMO−u−PHMO、BHTD:EDA(6:4)を使用するポリウレタン尿素(PUU)の調製)
このPUUは、実施例14に説明された手順に従い合成した。以下の量の試薬を使用した:
・ 連結されたPHMO−u−PHMO(10.0g);
・ PDMS−u−PDMS(40.0g);
・ MDI(26.02g);
・ BHTD(13.02g);及び
・ EDA(1.87g)。
【0259】
調製したPUUに関する特徴決定のデータは、表6に示す。
【0260】
(実施例19−45重量%硬セグメントの、連結されたPHMO−u−PHMO、PDMS、BHTD:EDA(50:50)を使用するポリウレタン尿素(PUU)の調製)
このPUUは、実施例14に説明された手順に従い合成した。以下の量の試薬を使用した:
・ 連結されたPHMO−u−PHMO(20.0g);
・ PDMS(80.0g);
・ MDI(58.33g);
・ BHTD(19.32g);及び
・ EDA(4.17g)。
【0261】
(実施例20−40重量%硬セグメントの、連結されたPHMO−u−PHMO、PDMS、BAPDを使用するポリウレタン尿素(PUU)の調製)
このPUUは、実施例14に説明された手順に従い合成した。以下の量の試薬を使用した:
・ 連結されたPHMO−u−PHMO(10.0g);
・ PDMS(40.0g);
・ MDI(29.32g);及び
・ BAPD(4.02g)。
【0262】
(実施例21−実施例5−7、10及び12−20において生成された物質の引張試験)
引張試験を、実施例5−7、10及び12−20において調製した乾燥したポリウレタン尿素フィルムから打ち抜いたダンベルを用いて行った。引張試験は、インストロンモデル5565万能材料試験機上で実行した。結果は、表6にまとめた。これらの結果は、本発明のポリウレタン尿素ポリマーは、先行技術のポリウレタン尿素ポリマーと比べ、高い引張強さ及び高い伸びを明らかにすることを指摘している。
【0263】
実施例13、17、18及び20において調製したフィルムの引張試験は、表題「装置」の項に説明した手順を用い、インストロンモデル5565万能材料試験機上で実行した。
【0264】
調製したPUUに関する特徴決定のデータは、表6及び表7に示す。
【表6】
【表7】
【0265】
本発明に従い調製したポリウレタン尿素は、表6に示したように、高い引張強さ、低いモジュラス及び高い伸びを示す。特に、実施例15及び16に従い調製したポリウレタン尿素は、破断点伸びが1000%を超える、30MPaを超える引張強さを有した。これらの特性の組合せは、独自であり、且つ先行技術において報告されたものを遙かに超えている。例えば、国際公開公報WO00/64971に明らかにされたポリウレタン尿素は、全ての実施例において説明された物質について500%未満の破断点伸びを有した。
【0266】
(実施例22:異なるジイソシアナートから合成された連結された−PHMO及び連結されたPDMSを使用するポリウレタン尿素の調製)
ジイソシアナートMDI、1,6ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)及びイソホロンジイソシアナート(IPDI)を、この実施例における一連のPUUの調製における、リンカージイソシアナートとして使用した。
【0267】
PHMO及びPDMSは、各々、実施例1及び2に説明したように精製した。各々、Aldrich社及びSilar Lab社から受け取った、鎖延長剤1,2エチレンジアミン(EDA)及び1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(BHTD)は、受け取ったままで使用した。
【0268】
連結したマクロジオールの調製
予め乾燥させたPHMO(分子量713g/mol)100.0gを、磁気攪拌装置及び窒素注入口を装着した、3つ首丸底フラスコ内に配置した。このフラスコを、80℃の油浴内に配置した。溶融MDI(分子量250.25g/mol)17.53gを、添加ロートに入れ、1分間以内に撹拌しながら、PHMOへ添加した。この反応混合液を、更に2時間反応させ、且つ反応の完了を、フーリエ変換赤外分光光度(FTIR)分光計を使ってモニタリングした。
【0269】
同様に、PDMS(分子量998g/mol)を、MDIにより連結した。同様の手順に従い、PHMO及びPDMSを、HDI及びIPDIにより個別に連結した。各マクロジオールカップリングに使用した化合物の量は、表8に一覧としている。全ての連結されたマクロジオールを、真空下(0.1torr)、80℃で15時間脱気し、その後実験に使用した。分子量は、ヒドロキシル基数決定により決定し、且つこれは理論値と一致した。
【表8】
【0270】
ポリウレタン尿素の調製
溶融MDI(7.29g)を、機械式撹拌装置及び窒素注入口を装着した3つ首丸底フラスコへ、秤量した。フラスコを、70℃の油浴内に配置した。予め乾燥させた連結されたPHMO−MDI−PHMO(2.5g)及びPDMS(10.0g)の混合物を、撹拌しながら、添加ロートを用い、MDIへ迅速に添加した。添加の完了後、反応混合液を、80℃まで加熱し、窒素下で連続撹拌しながら、2時間反応させた。
【0271】
調製したプレ−ポリマーは、シリンジを使用しこのプレ−ポリマーへゆっくり添加することにより、2.4154gのBHTDにより第一鎖が伸長され、且つ窒素下で撹拌しながら、2時間反応させた。反応混合液を、0℃まで冷却し、178mLの無水DMAcを添加し、透明な溶液を得た。DMAc 3mL中のEDA 5.212×10-1gを、冷却したBHTDで鎖伸長した反応混合液へ、ゆっくり撹拌しながら滴加した。EDAの添加が完了した後、この混合物を更に30分間反応させ、この反応を完了させた。この溶液の粘性が増大した時点で、撹拌を停止し、反応混合液を80℃まで加熱し、その後このシステムを、溶液が透明になるまで撹拌した。調製したPUUは、窒素下で、ねじ蓋付きガラス製ボトルに移し、室温で貯蔵した。
【0272】
同様の手順に従い、全ての他の連結されたマクロジオールによりPUUを合成した。
【0273】
表9は、試料略語と共に調製したPUUの物質を示している。
【表9】
【0274】
合成したポリウレタン尿素の分子量は、表題「装置」の項に説明した手順を用い、ゲル透過クロマトグラフィーにより決定し、且つ結果を表10にまとめた。
【表10】
【0275】
(実施例23−実施例22で調製した物質の引張り試験)
引張り試験を、実施例22に説明した物質(表9)により、溶液から注型した乾燥したポリウレタン尿素フィルムから打ち抜いたダンベルを用いて行った。引張り試験は、インストロン万能材料試験機上で実行した。結果は、表11にまとめている。
【0276】
これらの結果は、MDI及びIPDIにより連結されたPHMOから調製したポリウレタン尿素は、連結されないPHMOから調製したものと比べ、有意に高い引張強さ及び引裂強さを有することを指摘している。
【表11】
【0277】
本開示の広範な全般的精神から逸脱することなく、先に説明した実施態様に多くの変更及び/又は改変を施すことができることは、当業者には明らかであろう。従って、本実施態様は、全ての点で、限定ではなく例証として考えられるべきである。
図1