特許第6875397号(P6875397)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6875397天然材料の粒子および抽出物を含むナノ懸濁液
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875397
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】天然材料の粒子および抽出物を含むナノ懸濁液
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/9066 20060101AFI20210517BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20210517BHJP
   A61K 36/00 20060101ALI20210517BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20210517BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20210517BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20210517BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20210517BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20210517BHJP
   A61K 47/30 20060101ALI20210517BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20210517BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20210517BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20210517BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20210517BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20210517BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20210517BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20210517BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20210517BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20210517BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210517BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   A61K36/9066
   A61K9/10
   A61K36/00
   A61K47/02
   A61K47/10
   A61K47/12
   A61K47/24
   A61K47/26
   A61K47/30
   A61K47/38
   A61P1/04
   A61P17/00
   A61P17/06
   A61P19/02
   A61P25/00
   A61P29/00
   A61P29/00 101
   A61P31/12
   A61P31/18
   A61P35/00
   A61P37/06
【請求項の数】11
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-525810(P2018-525810)
(86)(22)【出願日】2016年8月4日
(65)【公表番号】特表2018-522073(P2018-522073A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(86)【国際出願番号】EP2016068644
(87)【国際公開番号】WO2017021491
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2018年3月23日
【審判番号】不服2020-3334(P2020-3334/J1)
【審判請求日】2020年3月11日
(31)【優先権主張番号】15179748.7
(32)【優先日】2015年8月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518039419
【氏名又は名称】アプラノ ライフ サイエンシズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ブランド,ウェーナー
【合議体】
【審判長】 井上 典之
【審判官】 渕野 留香
【審判官】 穴吹 智子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/168437(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0244134(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/081018(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第1824255(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第1416846(CN,A)
【文献】 特開2009−263638(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/114164(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00-47/69
A23L2/00-35/00
A61P1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの天然材料のナノ粒子および少なくとも1つの天然材料の抽出物を含むナノ懸濁液を調製するための方法であって、
a1.320μm未満の粒径(D100)を有する少なくとも1つの天然材料の粒子を用意するステップと、
a2.少なくとも1つの天然材料の抽出物を用意するステップと、
b.ステップa1.の前記少なくとも1つの天然材料の粒子およびステップa2.の前記少なくとも1つの天然材料の抽出物を溶媒中に分散させるステップと、
c.ステップb.の分散液を摩砕して粒径(D90)を1000nm未満(D90<1000nm)とするステップと、
d.安定剤を添加するステップと
を含み、
ステップa1.の前記天然材料が、自然界に存在するままの新鮮な状態で、もしくはその乾燥状態で、または特定の含水率を含んだ状態で用意され、
前記少なくとも1つの天然材料が、植物、シアノバクテリア、藻類および菌類からなる群から選択され、前記菌類が、アクラシオ亜門、変形菌類、不等毛植物亜門、および真菌門からなる群より選択され、
前記安定剤が、リン脂質、ポリソルベート、ホモポリマー、ブロックおよびグラフトコポリマー、非イオン性トリブロックコポリマー、コポリビニルピロリドン、Labrasol(登録商標)、Gelucire(登録商標)、ゼラチン、レシチン(ホスファチド)、アカシアガム、ローカストビーンガム、コレステロール、トラガカント、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカスター油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンステアレート、モノおよびジグリセリド、コロイド状二酸化ケイ素、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、グリセロールモノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、短鎖および中鎖アルコール、Labrafil(登録商標)、Purol−oleique(登録商標)、プロパン−1,2,3−トリオール、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(DOSS)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、方法。
【請求項2】
前記ナノ懸濁液が、少なくとも2つの天然材料のナノ粒子の混合物および/または少なくとも2つの天然材料の抽出物の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップa1.で用意される前記天然材料が、15%未満(w<15%)の含水率wを有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒が水、または水とエタノールの混合物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記分散ステップb.または前記摩砕ステップc.が安定剤の添加を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップc.の前記摩砕がウェットボールアジテーターミルにおいて実施される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
摩砕ステップc.が、ウェットボールミル中で直径0.4〜0.5mmの粉砕ボールを用いる第1の摩砕ステップc.1、およびウェットボールミル中で直径0.05〜0.2mmの粉砕ボールを用いる第2の摩砕ステップc.2を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記安定剤が、ポリソルベート80、ポリソルベート20、Kolliphor(登録商標)P407およびポロキサマー188からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ナノ懸濁液がステップc.の後に、および任意選択でコロイデーター中でのコロイド化ステップe.の前または後で濾過される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップb.の前記分散液が、動的光散乱またはレーザー回折アナライザーによって測定される粒径(D100)が500nm未満(D100<500nm)まで摩砕される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの天然材料が、を超える溶解度因子をもたらす濃度で前記ナノ懸濁液中に存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、少なくとも1つの天然材料のナノ粒子および少なくとも1つの天然材料の抽出物を含むナノ懸濁液を調製するための方法、前記方法によって調製されたナノ懸濁液、ならびに医薬および/または栄養補助食品の調製のためのそのようなナノ懸濁液の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
植物、シアノバクテリア、藻類または菌類等の天然材料は、疾患を治療する可能性を有する活性剤を含んでいる。天然材料からこれらの活性剤を溶出させるために、水性もしくはアルコールによる浸透または浸軟、錠剤もしくはカプセルの形態の乾燥した粉末抽出物、または注射用投与製剤等の種々の薬学的調製物が知られている。しかし、これらの種類の投与には、関連する多くの難点がある。成分の多くは胃腸管内で分解されるか、肝臓で初回通過代謝を受ける。さらに、集団の一部は丸剤を飲み込むことが困難であるか、そもそも固体を受け付けることができない。さらに、天然材料の活性剤の多くは水に難溶性である。したがって、多くの天然材料の活性剤の能力および治療効果には限界がある。
【0003】
疾患はヒト体内における生化学的プロセスによって引き起こされることが多い。これらのプロセスの多くは、たとえば炎症経路等の酵素によって調節されている。薬学的活性剤は治療用途のためにこれらの酵素に影響を与え得るが、その阻害または活性化はアンタゴニスト剤またはアゴニスト剤の能力に依存する。活性剤の能力が低ければ、その効果を高めるためには濃度を高くしなければならない。したがって、薬学製剤において活性剤の有効濃度を高めることが常に目的となる。
【0004】
しかし、ナノ懸濁液を調製するための従来技術の方法には、天然材料から全てのニーズを満たし得るナノ懸濁液を調製するための方法が含まれていない。したがって、天然材料からナノ懸濁液を調製するための方法に対するニーズがまだ存在している。このナノ懸濁液は疾患の治療または予防において有利に用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本開示の1つの目的は、大量の天然材料、即ち高濃度の天然材料、特に活性剤を有する天然材料の抽出物と組み合わせた、天然材料の全体または一部からのナノ懸濁液を調製するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本開示は請求項1に開示するナノ懸濁液の調製するための方法を提供する。
【0007】
別の態様において、本開示は第1の態様の方法によって得られるナノ懸濁液を提供する。
【0008】
別の態様において、本開示は動物、好ましくはヒトへの頬側、局所的もしくは口腔内適用のための医薬の調製における使用のため、または非経口、髄腔内、静脈内、経皮、または経粘膜適用、好ましくは動物、好ましくはヒトへの頬側、局所的もしくは口腔内適用のための医薬の調製における使用のための、第1の態様のナノ懸濁液を提供する。
【0009】
別の態様において、本開示は癌、炎症性腸疾患(IBD)、関節炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、その他のウイルス性疾患、神経皮膚炎もしくは乾癬等の皮膚疾患、または多発性硬化症等の自己免疫疾患の治療または予防における使用のための、第1の態様のナノ懸濁液を提供する。
【0010】
さらに別の態様において、本開示は医薬の調製のための第1の態様のナノ懸濁液の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】コロイデーター(colloidator)の概略図である。
図2】実施例1の湿潤摩砕の間の比エネルギー[kWh/t]のインプットに応じた粒径D90[μm]を示すグラフである。
図3】実施例2の湿潤摩砕の間の比エネルギー[kWh/t]のインプットに応じた粒径D90[μm]を示すグラフである。
図4】実施例2によるナノ懸濁液のゼータ電位の分布を示す図である。
図5】低い水溶性を有する活性剤の含量[mg/ml]、および実施例3によるナノ懸濁液における物質の増大した溶解性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は少なくとも1つの天然材料のナノ粒子および少なくとも1つの天然材料の抽出物を含むナノ懸濁液を調製するための方法であって、
a1.320μm未満の粒径(D100)を有する少なくとも1つの天然材料の粒子を用意するステップと、
a2.少なくとも1つの天然材料の抽出物を用意するステップと、
b.ステップa1.の前記少なくとも1つの天然材料の粒子およびステップa2.の前記少なくとも1つの天然材料の抽出物を溶媒中に分散させるステップと、
c.ステップb.の分散液を摩砕して粒径(D90)を1000nm未満(D90<1000nm)とするステップと、
d.安定剤を添加するステップと
を含む方法に関する。
【0013】
いかなる理論にも縛られるものではないが、ナノ粒子形態の天然材料と天然材料の抽出物との特定の組合せによって両方の効率が増大する、即ち相乗効果が存在すると考えられる。一方では、抽出物を加えることによって、活性剤の有効濃度が増大する。他方、天然材料が存在すると、(全体の)天然材料によって潜在的に有用な添加物が供給され、活性剤の再吸収または安定性等の活性剤の効果が補助される。それに加えて、本明細書に開示する方法に従って調製したナノ粒子状物を用いることによって、水および/またはエタノール等の薬学的に許容される溶媒への溶解性が増大し得る。さらに、本開示のナノ懸濁液のナノ粒子を医薬として適用すれば、他の製剤と比較してより速く、かつより多い量で吸収されると考えられる。最後に、本明細書に開示する方法によって、天然材料中に含まれる活性剤の利用性も増大する。
【0014】
本発明は、以下に説明的に記述するように、本明細書に具体的に開示していない任意の要素(単数または複数)、限定(単数または複数)なしに好適に実施することができる。本発明を特定の実施形態に関して、またある図面を参照して記述するが、本発明はそれらに限定されず、特許請求の範囲のみによって限定される。これ以降説明する用語は、その他に指示しない限り、一般にその一般的意味において理解されるべきである。
【0015】
定義
本明細書および特許請求の範囲において「含む(comprising)」という用語を用いる場合、これはその他の要素を排除しない。本発明の目的のため、「からなる(consisting of)」という用語は、用語「含む(comprising)」の好ましい実施形態であると考えられる。これ以降、あるグループが少なくともある数の実施形態を含むと定義された場合、これは好ましくはこれらの実施形態のみからなるグループを開示しているとも理解されるべきである。
【0016】
単数の名詞、たとえば「a」、「an」または「the」を指す不定冠詞または定冠詞を用いる場合、具体的に他に記述しない限り、これはその名詞の複数を含む。
【0017】
「得られる(obtainable)」または「定義される(definable)」および「得られた(obtained)」または「定義された(defined)」という用語は、相互交換可能に用いられる。たとえばこれは、「得られた」または「定義された」という用語にはそのような限定された理解が好ましい実施形態として常に含まれるとしても、文脈による別段の明記がない限り、たとえばある実施形態がたとえば「得られた」という用語にかかる一連のステップによって得られなければならないということを示す意図はないという意味である。
【0018】
本明細書において用いる「ナノ懸濁液」は、たとえば水、エタノール、またはそれらの混合物等の溶媒中のナノ粒子の懸濁液を指す。ナノ懸濁液は追加的に安定剤、またはその他の化合物を含んでもよい。ナノ懸濁液は溶媒中に懸濁したナノ粒子の形態で水難溶性または非水溶性化合物を含む。そのようなナノ懸濁液は、溶媒(水またはエタノール等)、脂質媒体、またはその両方に難溶性または不溶性の化合物の「溶解度」(または分散性)を高めるために用いられる。「溶解度」が増大した結果として、難溶性化合物の血漿中濃度が高くなり、前記化合物の最大血漿中濃度への到達が速くなり得る。
【0019】
本明細書において用いる「少なくとも1つの天然材料の粒子」という用語は、1つの天然材料の粒子、または2つ以上の天然材料の粒子の混合物を指す。1つの天然材料の粒子を指す場合には、天然材料の異なる部分または全体を用いることができる。同様に、2つ以上の天然材料の粒子を指す場合には、異なる天然材料の異なる部分をも用いることができる。「少なくとも1つの天然材料の粒子」という用語は、以下の「粒子」をも指す。
【0020】
本明細書において用いる「ナノ粒子」は1000nm未満の粒径を有する粒子である。溶媒中の複合ナノ粒子は一次粒子であってもよく、小粒子から構成される凝集した粒子であってもよい。ナノ懸濁液中の粒径はレーザー回折アナライザー(たとえばBeckman Coulter LS13320またはHoriba LA−950)によって測定することができる。
【0021】
本開示において用いる天然材料の「溶解度」または「溶解度限界」という用語は、溶媒中に溶解できる天然材料の最大量に関する。本開示の目的のため、特定の溶媒中における天然材料の溶解度は以下のように決定することができる。粒径D100が320μm未満の乾燥した天然材料を用いこれを最初の量として、5%または10%(w/w)の濃度で、蒸留水等の溶媒中の前記天然材料の懸濁液を調製する。前記懸濁液の調製のため、天然材料を60分間、30℃の温度で溶媒中に懸濁する。得られた懸濁液を次いで1500gで30分間遠心分離し、上清から沈殿を分離して、対照とするために秤量する。上清を60℃で24時間乾燥し、上清中に溶解した天然材料(乾燥ベース)を得て、秤量する。溶解度は以下の式:
溶解度(%)=上清の質量(乾燥ベース)×100/最初の天然材料粉末の質量(乾燥ベース)
を用いて計算される。
【0022】
本開示において用いる「溶解度因子」という用語は、ナノ懸濁液を調製するために用いた溶媒中における天然材料の溶解度または溶解度限界に対する、本開示によるナノ懸濁液中の前記天然材料の量に関する。溶解度因子はナノ懸濁液中に存在する天然材料の全量(%(w/w)で表わす)を、用いた溶媒中における前記天然材料の溶解度で割った値である。言い換えれば、溶解度因子を1とすれば、前記溶媒中における天然材料の溶解度限界に到達する。溶解度因子が1未満であればナノ懸濁液中の天然材料の量は溶解度限界未満であり、1を超える溶解度因子は前記溶媒に溶解できる天然材料の量を超える量の天然材料がナノ懸濁液中に存在していること、即ちナノ懸濁液中の天然材料の濃度がその溶解度限界を超えていることを示す。
【0023】
ナノ懸濁液中に含まれる「天然材料の全量」は、乾燥質量の量、即ち溶媒または安定剤を何ら含まない乾燥天然材料の質量を指す。したがってナノ懸濁液の乾燥質量は、少なくとも1つの天然材料の粒子と少なくとも1つの天然材料の抽出物の乾燥質量の合計である。これはナノ懸濁液の固形物をも意味する。乾燥材料の含水率は8%未満(w<8%)、好ましくは5%未満(w<5%)、さらに好ましくは2%(w<2%)である。
【0024】
本開示において用いる「セルロース繊維」という用語は、数百から1万を超えるβ−1,4−D−グルコース単位の直鎖を有する多糖からなり、1μmを超える繊維長を有する植物繊維(特に木材繊維)に関する。したがってセルロース繊維は直径1μm未満の球状または半軸1μm未満の楕円状の幾何形状を有するβ−1,3/1,6−グルカンからなっていない。
【0025】
「少なくとも1つの天然材料の抽出物」という用語は、1つの天然材料の抽出物、または2つ以上の天然材料の抽出物を指す。本明細書において後者は2つ以上の天然材料の同時抽出によって調製された2つ以上の天然材料の抽出物、または天然材料の2つ以上の抽出物の混合物もしくは組合せ、即ちそれぞれ1つの天然材料のいくつかの抽出物の組合せもしくは混合物を指すために用いられる。「少なくとも1つの天然材料の抽出物」という用語は、以下の「抽出物」をも意味し得る。
【0026】
「抽出物」という用語は、これは参照により本明細書に組み込まれる、欧州薬局方5.0(出版社:Council of Europe、第5版、2004年7月、ISBN 9287152810)、570〜572頁に記載されているように定義される。したがって、液体抽出物は薬草等の天然材料を抽出するための好適な濃度のエタノールまたは水を用いて調製される。同じ文脈で、乾燥抽出物は液体抽出物の調製に用いられる溶媒の蒸発によって得られる固体製剤である。乾燥抽出物は通常、5%(m/m)を超えない乾燥減量または含水率を有する。
【0027】
天然材料の抽出物
本開示によれば、組成物は少なくとも1つの天然材料の抽出物を含む。水性抽出物が特に好ましい。植物および藻類等の天然材料の抽出物の活性成分の濃度は天然産品の供給源および抽出媒体の量に大きく依存することが理解される。本開示による好ましい抽出媒体は蒸留水である。少なくとも1つの天然材料の抽出物は、前記天然材料の一部または全体、好ましくは前記天然材料の全体から調製され得る。本開示の方法は任意の天然材料について全体として、またはその一部として用いることができる。例として、根、種、茎、葉、果実、花、その他の植物の一部のみが、天然材料の種類に応じて用いることができる。
【0028】
天然材料は水、好ましくは蒸留水を用いて20〜60℃、好ましくは25〜50℃の範囲の温度で抽出され得る。乾燥したまたは新鮮な(即ち乾燥されていない)天然材料の上から水を注ぎ、次いで1分〜72時間、好ましくは5分〜120分等の適した時間、浸漬しまたは抽出し得る。最後に、抽出された天然材料を濾過または遠心して天然材料の抽出物を含む濾液を得る。
【0029】
あるいは、対応する天然材料の市販の抽出物を本開示に従って用いてもよい。
【0030】
好ましい実施形態においては、本開示の天然材料は水性抽出媒体、好ましくは水、より好ましくは蒸留水を用いて抽出され、植物または藻類等の天然材料の水性抽出物が得られる。しかし他の抽出媒体も用いられ得る。他の抽出媒体の例には、これらだけに限らないが、アルコール、好ましくはメタノール、エタノールおよびプロパノール、酢酸、酢酸エステル、アセチルアセトン等の有機溶媒、およびそれらの混合物、ならびに水との混合物が含まれる。特に好ましい抽出媒体には水およびエタノールが含まれる。
【0031】
抽出物はステップb.において、およびステップc.の前に、液体または乾燥状態で添加され得る。通常、天然材料の抽出物は前記天然材料の粒子をも含んでいる。抽出物中の粒子の大きさは小さいが、約100μm未満、または50μm未満の粒径(D100)をなお有している。摩砕ステップc.の前に抽出物を添加すれば、抽出物中に含まれる粒子も大きさが減少し、1000nm未満(即ち1μm未満)の粒径(D90)を有するナノ懸濁液が得られる。
【0032】
別の好ましい実施形態においては、少なくとも1つの天然材料の抽出物が、ステップa1.に先立ってステップa1.1で乾燥され、好ましくは冷凍乾燥(凍結乾燥)および/または熱乾燥される。次いで抽出物の乾燥粉末がステップb.に添加される。
【0033】
別の好ましい実施形態においては、ナノ懸濁液の調製に用いられ、ステップa2.で提供される天然材料の抽出物は、活性剤の濃度が20%を超え、好ましくは30%を超え、より好ましくは50%を超える、欧州薬局方(上記参照)の定義による抽出物であってよい。
【0034】
別の好ましい実施形態においては、少なくとも1つの天然材料の抽出物は、乾燥粉末、柔軟な抽出物、および液体抽出物から選択され、好ましくは乾燥粉末、水性抽出物、およびアルコール性(エタノール性)抽出物から選択される。
【0035】
天然材料の粒子
本開示の方法においては、少なくとも1つの天然材料の粒子がステップa1.において用意される。本開示のナノ懸濁液の調製のため、少なくとも1つの天然材料の部分または全体が用いられる。天然材料はステップa1.において320μm未満の粒径(D100)を有する粒子の形態で用意される。天然材料、即ち粒子は乾燥状態、新鮮な状態(即ち自然界に存在するまま)または特定の含水率を含んで用意される。天然材料の粉末または粒子は、ステップb.において抽出物とともに記載した任意の形態で溶媒に添加され得る。
【0036】
別の好ましい実施形態においては、ナノ懸濁液の調製において用いる天然材料はステップa1.に先立ってステップa1.1で乾燥され、好ましくは冷凍乾燥(凍結乾燥)および/または熱乾燥される。
【0037】
ナノ懸濁液の調製のために用いる天然材料の粒子の含水率は低いことが好ましい。本開示において用いる「含水率」または「残存水分」という用語は、以下の式:
残存水分含量[%]w=(mres−mdry)/(mwet−mdry)×100%
を用いて、含水または湿潤した材料の質量mwetおよび水を含まない乾燥した材料の質量mdryならびに残存水分を含んだ材料の質量mresから計算される天然材料等の材料の含水率wを指す。
【0038】
別の好ましい実施形態においては、ナノ懸濁液の調製において用いられ、上で開示したように本方法のステップa1.で用意される天然材料は、15%未満(w<15%)、好ましくは12%未満(w<12%)、より好ましくは10%未満(w<10%)、最も好ましくは8%未満(w<8%)の含水率wを有する。
【0039】
ナノ懸濁液を調製する際には、そのような低い含水率が有利であり得る。さらに、天然材料の粒径(D100)を320μm未満にする際にもこれは有益であり得る。天然材料の含水率を低減させるためには当技術分野で公知の様々な方法があり、これらの方法のいずれも本開示と組み合わせて用いることができる。例として、天然材料は凍結乾燥(即ち冷凍乾燥)または熱乾燥することができる。乾燥ステップの前に、天然材料の種類に応じて天然材料を清浄化、皮むき、および/または芯抜きすることが有利であり得る。以下に、乾燥のための2つの例示的な方法を示す。
【0040】
天然材料は凍結乾燥機を用いて、たとえば4ステップのプロセスで以下のようにして凍結乾燥することができる。
・天然材料を天然材料の大きさおよび構造に応じてナイフで約1〜2cmの小片に切断する。
・1〜2cmの小片をナイフミル(たとえばRetsch GmbH、GermanyのGrindomix(登録商標)200または300)に入れ、以下のパラメーターで粉砕する。2000rpmで10秒、続いて5000rpmで10秒、最後に10,000rpmで20秒。
・得られたパルプを−18℃で4時間凍結し、さらに凍結乾燥機に入れ、製品温度が20℃になるまで凍結乾燥する。
【0041】
上記冷凍乾燥プロセスは例示的なものであり、当業者は天然材料の種類に応じてプロセスを適合させ得ることが理解される。例として、シアノバクテリアは前もって粉砕または切断せずに直接冷凍乾燥してよい。同様に、ナイフミル中で小片を切断するパラメーターも必要に応じて調整してよい。
【0042】
天然材料は、残存水分含量が8%もの低さになるまで、天然材料中の化合物の熱感受性に応じて、たとえば36〜45℃の温度で、空気中またはオーブン中で乾燥することもできる。
【0043】
別の好ましい実施形態においては、ナノ懸濁液の調製において用いられ、上で開示した方法のステップa.で用意される天然材料は、ステップa.1の乾燥の前および/または後に、好ましくはナイフミルで予備粉砕され、任意選択で320μm未満の粒径(D100)に篩分けされる。天然材料のそのような粉砕は天然材料をそのまま、即ち前もって切断または乾燥せずに、行なうことができる。あるいは、天然材料を上述のように小片に切断および/または乾燥してもよい。さらに、320μm未満の粒径(D100)を有する天然材料の粉末を得るために天然材料を篩分けしてもよい。
【0044】
冷凍乾燥された天然材料の予備粉砕および篩分けの例示的な方法は下記の通りである。
・冷凍乾燥された粗な天然材料粉末をナイフミル(たとえばRetsch GmbH、GermanyのGrindomix(登録商標)200または300)に入れ、以下のパラメーターで粉砕する。2000rpmで10秒、続いて5000rpmで10秒、最後に10,000rpmで20秒。
・ナイフミルプロセスからの粗な天然材料粉末を、メッシュサイズ320μmの篩で篩分けする。
・320μmより大きな天然材料粒子を再びナイフミルに入れてさらに粉砕し、続いて320μmの篩で篩分けする。第2または第3の粉砕ステップの残留物は廃棄してよい。
【0045】
同様に、熱乾燥された天然材料の予備粉砕および篩分けの例示的な方法は下記の通りである。
・熱乾燥された天然材料をナイフで約1〜2cmの小片に切断する。
・1〜2cmの小片をナイフミル(たとえばRetsch GmbH、GermanyのGrindomix(登録商標)200または300)に入れ、以下のパラメーターで粉砕する。2000rpmで10秒、続いて5000rpmで10秒、最後に10,000rpmで20秒。
・ナイフミルプロセスからの粗な天然材料粉末を、メッシュサイズ320μmの篩で篩分けする。
・320μmより大きな天然材料粒子を再びナイフミルに入れてさらに粉砕し、続いて320μmの篩で篩分けする。第2または第3の粉砕ステップの残留物は廃棄してよい。
【0046】
別の好ましい実施形態においては、少なくとも1つの天然材料の粒子は前記天然材料の一部または全体、好ましくは前記天然材料の全体である。本開示の方法は任意の天然材料について全体として、またはその部分として用いることができる。例として、根、種、茎、葉、果実、花、その他の植物の部分のみを、天然材料の種類に応じて用いることができる。
【0047】
天然材料
天然材料は本開示において天然材料の粒子と関連して、および天然材料の抽出物と関連しても用いられる。両方の目的のため、即ち粒子のためおよび抽出物のための天然材料の選択は相互に独立している。したがって、本開示の好ましい実施形態においては、ステップa1.の天然材料とステップa2.の天然材料とは同一である。本開示の別の好ましい実施形態においては、ステップa1.の天然材料とステップa2.の天然材料とは異なっている。以下において用いられる特定の天然材料が示される場合には、これらの天然材料は異なった指示がなければ粒子または抽出物として用いられる。
【0048】
別の好ましい実施形態においては、少なくとも1つの天然材料の粒子は、本明細書に開示した天然材料から独立に選択された少なくとも2つの異なる天然材料の混合物として用意される。本開示の方法は任意の天然材料について全体として、またはその部分として用いることができる。例として、根等の植物の部分のみを用いることができる。
【0049】
別の好ましい実施形態においては、少なくとも1つの天然材料の抽出物は、本明細書に開示した天然材料から独立に選択された少なくとも2つの異なる天然材料の混合物として用意される。
【0050】
好ましい実施形態においては、少なくとも1つの天然材料の粒子および/または天然材料の抽出物のために用いられる天然材料は、植物、シアノバクテリア、藻類および菌類からなる群から選択される。本明細書において用いる植物はイチョウ綱(イチョウ)、グネツム綱、マツ綱(たとえば針葉樹)、および被子植物(顕花植物)を含んでもよい種子植物を含んでよく、これらはモクレン亜綱、ユリ亜綱(たとえばパイナップル)、キントラノオ目(たとえばセイヨウオトギリソウ、柳皮)、バラ亜綱(たとえばイラクサ)、アブラナ目(たとえばカリーカパパイヤ)、マメ目(たとえばゲンゲ)、シソ目(たとえばオリーブの木およびオリーブ葉)、マツムシソウ目(たとえばニワトコ)等の亜綱をさらに含んでよい。シアノバクテリアはたとえばスピルリナを含んでよい。藻類は紅色植物亜界(たとえば紅藻類、褐藻類および珪藻類)、緑藻類および緑色植物亜界を含んでよい。菌類はアクラシオ亜門、変形菌類、不等毛植物亜門、および真菌門(アガリクス・サブルフェセンス(agaricus subrufescens)等のピラー菌類)を含んでよい。
【0051】
別の好ましい実施形態においては、天然材料はチョウセンニンジンおよび/またはセルロース繊維を含まない。さらに好ましい実施形態においては、少なくとも1つの天然材料の粒子はチョウセンニンジンおよび/またはセルロース繊維を含まない。
【0052】
別の好ましい実施形態においては、天然材料はイチョウ、パイナップル、セイヨウオトギリソウ、柳皮、イラクサ、カリーカパパイヤ、ゲンゲ、オリーブ葉、ニワトコ、スピルリナ、クロレラ藻類、紅藻類、褐藻類ならびに珪藻緑色藻類および緑色植物亜門、アガリクス・サブルフェセンス(agaricus subrufescens)、ボスウェリア、イワベンケイ、キナ皮、トコン、ヒヨドリバナ、ブリオニアアニル、ナンバンコマツナギ(anil root)、クルクマ、デビルズクロー、キャッツクロー、ゴジアオイ、アマニ、オオアザミ(ホーリーシスル)、クサノオウ(セランダイン)、カプランペラルゴニア、エキナセアおよびブドウの種からなる群から選択される。
【0053】
別の好ましい実施形態においては、ナノ懸濁液は少なくとも1つの天然材料および同じまたは別の天然材料の抽出物の混合物を含む。したがって、ナノ懸濁液は単一の天然材料、または2つ以上の天然材料、即ち少なくとも2つの天然材料の混合物を含むナノ懸濁液であってよい。ナノ懸濁液はその上、同じ天然材料の異なる部分もしくは天然材料の抽出物、たとえば根の部分および花の部分を含んでよく、および/またはナノ懸濁液は異なる種類の天然材料、たとえば異なる植物または1種の植物およびシアノバクテリアを含んでもよい。
【0054】
分散ステップ
ステップa.で得られる320μm未満の粒径(D100)を有する少なくとも1つの天然材料を、本開示の方法に従ってステップb.で少なくとも1つの天然材料の抽出物とともに溶媒に分散させる。
【0055】
別の好ましい実施形態においては、溶媒は水、好ましくは蒸留水、または水とエタノールの混合物である。
【0056】
溶媒として用いる水は通常水、精製水、蒸留水、2回もしくは3回蒸留水、または脱ミネラル水等、任意の種類の水であってよい。同様に、用いるエタノールも通常のエタノール、または水とエタノールの混合物であってよい。したがって、得られるナノ懸濁液は水性ナノ懸濁液、またはエタノール中のナノ懸濁液、または水とエタノールの混合物もしくは任意のその他の溶媒もしくは溶媒の混合物に基づくナノ懸濁液であってよい。本明細書で用いる「溶媒」という用語は、単一の溶媒または溶媒の混合物を指す。好ましくは、ナノ懸濁液が医薬として用いられる場合には、溶媒は薬学的に許容される溶媒である。
【0057】
別の好ましい実施形態においては、ナノ懸濁液は水性ナノ懸濁液、または水とエタノールの混合物に基づくナノ懸濁液である。
【0058】
ステップb.において少なくとも1つの天然材料の粒子および少なくとも1つの天然材料の抽出物を溶媒中に分散させる際には、天然材料は用いる溶媒の全量に基づいて0.5〜20%(w/w)、好ましくは2〜10%(w/w)、さらに好ましくは2〜5%(w/w)、または5〜10%(w/w)の範囲の濃度を有する。換言すると、少なくとも1つの天然材料の粒子を分散させる場合には、天然材料は用いる溶媒の全量に基づいて0.5〜20%(w/w)、好ましくは2〜10%(w/w)、さらに好ましくは2〜5%(w/w)、または5〜10%(w/w)の範囲の濃度を有し得、またステップb.において少なくとも1つの天然材料の抽出物も、ナノ懸濁液において用いる溶媒の全量に基づいて0.5〜20%(w/w)、好ましくは2〜10%(w/w)、さらに好ましくは2.5〜5%(w/w)、または5〜10%(w/w)の濃度で加えられ得る。
【0059】
本出願の別の好ましい実施形態においては、天然材料は好ましくは最終のナノ懸濁液において、用いる溶媒の全量に基づいて0.5〜70%(w/w)、好ましくは40〜70%(w/w)、または10〜40%(w/w)の範囲の濃度を有する。天然材料の%(w/w)で表した濃度は、ナノ懸濁液を調製するために用いる溶媒の全量に基づいている。例として、溶媒1000gに対して天然材料の粉末(乾燥粒子および乾燥抽出物)50gを用いて、5%(w/w)が調製される。上記所与の濃度範囲内で、懸濁液のナノ懸濁液へのさらなる摩砕が容易になる。少なくとも1つの天然材料の粒子と少なくとも1つの天然材料の抽出物とは、粒子の乾燥質量と抽出物の乾燥質量とに基づいて1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1の範囲の比を有してよい。特に好ましい実施形態においては、比は1:5または1:3である。摩砕に先立って、溶媒と天然材料を抽出物とともに、たとえば磁気撹拌器および/またはUltra Turrax等のホモジナイザーを用いて撹拌することによって分散液を調製することができる。
【0060】
特に好ましい実施形態においては、天然材料の全量、即ち固形分は、0.4を超える、または0.5を超える、または0.8を超える、または1を超える、または1.1をも超える溶解度因子をもたらす所与の濃度でナノ懸濁液中に存在する。
【0061】
さらなる添加物
別の好ましい実施形態においては、分散液は好ましくは鉱物(たとえば亜鉛、マグネシウム、カルシウム)、ビタミン(たとえばビタミンe、ビタミンd、ビタミンc)、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの添加物を追加的に含んでよい。添加物はサプリメントとも称され得る。さらに好ましい実施形態においては、添加物は摩砕ステップc.の前、および/または摩砕ステップc.の後に添加される。
【0062】
ナノ懸濁液は安定剤の使用によって安定化される。好ましい実施形態においては、少なくとも1つの安定剤が加えられる。別の好ましい実施形態においては、安定剤の混合物が加えられる。以下において安定剤に言及する際には、安定剤の組合せまたは混合物も含まれることが理解される。2つ以上の安定剤が用いられる場合には、安定剤は互いに独立に、本明細書に開示した方法の異なるステップ等において添加され得る。安定剤を加える際には、安定剤は本方法の任意の時点で、即ち分散ステップb.における粒子または抽出物の溶媒への添加に先立って、分散ステップb.の間に、分散ステップb.の後に、摩砕ステップc.の間に、摩砕ステップc.の後に、またはステップe.およびf.等の任意選択の追加のステップの間もしくはその後に、添加してよい。
【0063】
そのような安定剤は、リン脂質、ポリソルベート、プロパン−1,2,3−トリオール(グリセリン)、静電的もしくは立体安定剤および界面活性剤からなる群から選択され得る。そのような安定剤はステップb.において、または摩砕ステップc.の間に、または摩砕ステップc.の後でも、分散液に添加され得る。リン脂質、非イオン性界面活性剤および乳化剤、たとえばポリソルベート等のいくつかの安定剤は、分散ステップb.において好ましくはナノ懸濁液に添加される。ポロキサマー等の非イオン性トリブロックコポリマー等のその他の安定剤は、好ましくは摩砕ステップc.の間に添加される。プロパン−1,2,3−トリオールまたはジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(DOSS)等のさらにその他の安定剤は、好ましくは摩砕ステップc.の後に添加される。分散ステップb.において安定剤を添加する場合、特に安定剤がリン脂質である場合には、天然材料の全量に基づいて50%〜200%(w/w)までの量で安定剤を添加することが好ましい。安定剤がポリソルベート等の非イオン性界面活性剤または乳化剤である場合には、これは溶媒の量に基づいて好ましくは1.5%(w/w)までの量で添加される。摩砕ステップc.の間に、2〜10μmまでの範囲の特定の粒径(D90)に達した場合、または摩砕ステップc.の間に粒径(D90)が、たとえば摩砕時間1時間の間に少なくとも4%、さらに低減しない場合、または摩砕ステップc.の間に粒径(D90)が、摩砕時間1時間の間に少なくとも10%増大した場合には、ポロキサマー等の非イオン性トリブロックコポリマー等の安定剤を添加することが好ましい。
【0064】
好ましい実施形態においては、安定剤は、リン脂質、ポリソルベート、ホモポリマー、ブロックおよびグラフトコポリマー(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびポリビニルピロリドン(PVP)等)等のポリマー、ポロキサマー(たとえばKolliphor(登録商標)P407またはポロキサマー188)等の非イオン性トリブロックコポリマー、コポリビニルピロリドン、Labrasol(登録商標)、Gelucire(登録商標)、ゼラチン、レシチン(ホスファチド)、アカシアガム、ローカストビーンガム、コレステロール、トラガカント、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカスター油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンステアレート、モノおよびジグリセリド、コロイド状二酸化ケイ素、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、グリセロールモノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、短鎖および中鎖アルコール、Labrafil(登録商標)、Purol−oleique(登録商標)、プロパン−1,2,3−トリオール、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(DOSS)ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。ポリソルベートの好ましい例はポリソルベート80およびポリソルベート20である。安定剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、Kolliphor(登録商標)P407およびポロキサマー188からなる群から選択されることがさらに好ましい。特に好ましい実施形態においては、安定剤はKolliphor(登録商標)P407またはTween(登録商標)80等のポリソルベート80である。別の好ましい実施形態においては、分散ステップb.は、リン脂質およびポリソルベートからなる群から選択される安定剤の添加を含む。
【0065】
別の好ましい実施形態においては、分散ステップb.は、ナノ懸濁液において用いる溶媒の全量に基づいて0.5〜2%(w/w)の量のポリソルベートの添加を含み、および/またはポリソルベートは、ポリソルベート80およびポリソルベート20からなる群から選択される。
【0066】
別の好ましい実施形態においては、分散ステップb.は、天然材料の量に基づいて100%〜200%(w/w)の量、好ましくは130%〜170%(w/w)の量のリン脂質の添加を含み、好ましくはリン脂質は95(重量)%までのホスファチジルコリン、および20〜30(重量)%のリゾホスファチジルコリンを含む。リン脂質は20〜95%のホスファチジルコリン、好ましくは20〜75%のホスファチジルコリン、および20〜30%のリゾホスファチジルコリン(たとえばLipoid GmbH、GermanyのLipoid P100、P75、R LPC20)を含むことが好ましい。天然材料の全量に基づいてリン脂質を100〜300%(w/w)、より好ましくは50〜200%(w/w)の量で添加することも好ましい。
【0067】
安定剤として立体安定剤を用いる場合には、立体安定剤はナノ粒子の表面に吸着され、または付着して、大きく濃密な立体バリアとなり、これがファンデルワールス引力に打ち勝つことにより、立体安定剤は凝集、集塊、またはさらには粒子の融合を低減する。立体安定剤は好ましくは薬学的に許容される賦形剤であり、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびポリビニルピロリドン(PVP)等のホモポリマー、ブロックおよびグラフトコポリマー等のポリマーから選択され得る。特に好ましい立体安定剤は非イオン性トリブロックコポリマーKolliphor(登録商標)P407である。Kolliphor(登録商標)P407は2つの親水性ポリオキシエチレン鎖(ポリ(エチレンオキシド))に挟まれた中央の疎水性ポリオキシプロピレン鎖(ポリ(プロピレンオキシド))から構成される。立体安定剤は摩砕ステップc.の間に添加することが有利であり得る。したがって、立体安定剤を摩砕ステップc.の間に、さらに好ましくは粒子が5μm未満の粒径(D90)を有する時点で、0.5〜2%(w/w)の量で添加することが好ましい。
【0068】
本開示のプロセスにおいて用いる別の好ましい安定剤はグリセリン(プロパン−1,2,3−トリオール)である。前記グリセリンは好ましくは摩砕ステップc.の後に、さらに好ましくは溶媒の全体積に基づいて10〜100%(v/v)の量で、30〜100%(v/v)または40〜100%(v/v)の量で、さらにより好ましくは20%(v/v)、30%(v/v)、40%(v/v)または50%(v/v)の量で添加される。
【0069】
グリセリンに加えて、またはその代替として、静電的安定剤としてのジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(DOSS)を、好ましくは溶媒の全量に基づいて0.5〜2%(w/w)の量で用いてもよく、好ましくは摩砕ステップc.の後に添加してもよい。
【0070】
少なくとも1つの天然材料および任意選択の酸素に加えて、本開示のナノ懸濁液は、香味料、保存料、界面活性剤および浸透促進剤、たとえばリボフラビンまたはアスコルビン酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含んでもよい。
【0071】
ナノ懸濁液およびその中に含まれる活性剤を安定化させるために、pH緩衝剤を用いることが好ましい。好適なpH緩衝剤は、参照により本明細書に組み込まれる、欧州薬局方5.0(出版社:Council of Europe、第5版、2004年7月、ISBN 9287152810)、430〜435頁に従って選択することができる。本開示の好ましい実施形態においては、pHは2.0〜9.0、好ましくは5.5〜8.5の範囲である。
【0072】
摩砕ステップ
摩砕ステップc.の間に、320μm未満の粒径で天然材料を含む分散液は、1000nm未満の粒径(D90)まで摩砕される。これは任意の好適な摩砕機によって達成することができる。
【0073】
好ましい実施形態においては、前記摩砕ステップc.はウェットボールミル、好ましくはウェットボールアジテーターミルにおいて実施される。
【0074】
さらに好ましい実施形態においては、前記摩砕ステップc.は、ウェットボールミル、好ましくはウェットボールアジテーターミル中における第1の摩砕ステップc.1を含む。天然材料粉末および抽出物の出発時の粒径(D100)が40〜320μmである場合、前記摩砕ステップc.は、ウェットボールミル、好ましくはウェットボールアジテーターミル中で直径0.4〜0.5mmの粉砕ボールを用いる第1の摩砕ステップc.1、およびウェットボールミル、好ましくはウェットボールアジテーターミル中で直径0.1〜0.2mmの粉砕ボールを用いる第2の摩砕ステップc.2を含む。第1の摩砕ステップc.1は粒径(D90)が約2〜6μmに達するまで行ない、第2の摩砕ステップc.2は粒径(D90)が約80〜500nm、好ましくは80〜400nmに達するまで行なうことが好ましい。
【0075】
出発粒径が40μm未満の場合は、ウェットボールミル中で直径0.1〜0.2mmの粉砕ボールを用いる摩砕ステップc.を1回のみ行なう。ミルチャンバー内の温度は25〜36℃、リム速度は10〜14m/s、好ましくは11〜14m/sとすることがさらに好ましい。
【0076】
別の好ましい実施形態においては、摩砕ステップc.は、粒径D90<9μm、好ましくはD90<3μm、より好ましくはD90<800nm、最も好ましくはD90<300nmの時点での安定剤の添加を含み、好ましくは安定剤は静電的および/または立体安定剤である。
【0077】
したがって、好ましい実施形態においては、ステップb.の分散液はステップc.において、動的光散乱またはレーザー回折アナライザーによって測定される粒径(D100)が500nm未満(D100<500nm)、好ましくは300nm未満(D100<300nm)、さらに好ましくは250nm未満(D100<250nm)、最も好ましくは200nm未満(D100<200nm)まで摩砕される。
【0078】
したがって、得られるナノ懸濁液は動的光散乱またはレーザー回折アナライザーによって測定される500nm未満(D100<500nm)、好ましくは300nm未満(D100<300nm)、さらに好ましくは250nm未満(D100<250nm)、最も好ましくは200nm未満(D100<200nm)の粒径(D100)および40nmを超える粒径(D100>40nm)を有し得る。
【0079】
別の好ましい実施形態においては、分散ステップb.は、動的光散乱またはレーザー回折アナライザーによって測定される粒径(D100)が110nm〜950nm(110nm<D100<950nm)、好ましくは130nm〜900nm(130nm<D100<900nm)、さらに好ましくは150nm〜800nm(150nm<D100<800nm)、最も好ましくは180nm〜400nm(180nm<D100<400nm)まで摩砕される。
【0080】
したがって、得られるナノ懸濁液は、動的光散乱またはレーザー回折アナライザーによって測定される粒径(D100)が110nm〜950nm(110nm<D100<950nm)、好ましくは130nm〜900nm(130nm<D100<900nm)、さらに好ましくは150nm〜800nm(150nm<D100<800nm)、最も好ましくは180nm〜400nm(180nm<D100<400nm)であり得る。
【0081】
摩砕ステップc.の間に、ある比エネルギーがナノ懸濁液に加えられる。比エネルギーは[kW]で表わしたウェットボールアジテーターミルの正味のエネルギー(全エネルギーからアイドリングドライブパワーを引いたもの)と[h]で表わした摩砕時間の積を[t]で表わしたナノ懸濁液の全量([t]で表わした、溶媒、天然材料粉末および全ての安定剤の量)で割った値である。
【0082】
得られるナノ懸濁液は単峰性懸濁液としての最良の安定性結果によってさらに特徴付けられ、単一モードは300nm未満、好ましくは200nm未満の平均値を有する。そのような単峰性懸濁液は、懸濁液を濾過することによって得ることができる。フィルターによって粒径は450nm未満、好ましくは300nm未満、さらに好ましくは220nm未満の粒径(D90)に、または450nm未満、好ましくは300nm未満、さらに好ましくは220nm未満の粒径(D100)にまで低減することができる。フィルターデバイスとしては任意の最新技術のデバイス、たとえばSartorius Stedim Biotechフィルターを用いることができる。ナノ懸濁液が220nmにまで濾過されれば、そのような濾過は粒径分布の標準偏差をさらにより狭くすることができ、それが安定性に貢献する。代替として、単峰性懸濁液は対応するプロセス手段によっても達成することができる。
【0083】
任意選択のコロイド化
上で開示した安定剤を用いる化学的安定化の代替として、ナノ懸濁液は図1に示すコロイデーター(たとえばLevigata GmbH、Germanyの改良型Kamena)を用いて物理的に安定化することもできる。このプロセスの間、ナノ懸濁液は容器(1)の中で、ローター(4)および支持ローター(5)の回転によって凹形シリンダー(3)の中に、バッフルプレートを介してその上端に、殆ど乱流のない形で導かれる。内部の凹形シリンダー(3)の中で、下向きのナノ懸濁液の流れ(7)は、凹形シリンダーの下端の出口におけるローター(4、5)によって撹拌された、逆回転する上向きのナノ懸濁液の流れと衝突する。ナノ懸濁液の下向きの流れとナノ懸濁液の反対向きの回転流との衝突において、ナノ粒子は摩擦によって帯電する。この静電気または粒子電荷によって、ナノ粒子の分離、したがって物理的安定化引き起こされ得る。その後、ナノ懸濁液は外側の双曲線形のシリンダーを反対方向に上昇する(6)。こうしてナノ懸濁液は上向きおよび下向きに整列した動きに固定される。ここで発生した熱エネルギーは容器(1)の二重壁(2)内に組み込まれた水冷装置によって伝導され、冷媒は二重壁に供給され、二重壁から除かれる(8a、8b、9a、9b)。
【0084】
したがって、好ましい実施形態においては、ナノ懸濁液は摩砕ステップc.の後に、コロイデーター中で好ましくは酸素の添加とともにコロイド化ステップe.にさらに供される。そのようなコロイド化は、さらには安定剤の使用の代わりになることができ、さらなる好ましい実施形態においては、ナノ懸濁液は安定剤を一切含まず、特にプロパン−1,2,3−トリオールを一切含まない。
【0085】
上に詳述したように、本開示のナノ懸濁液は化学的または物理的に安定化することができる。
【0086】
本開示のナノ懸濁液はさらに酸素(O)を含んでよい。本開示については、水に多くの酸素が含有されていれば、酸素は水に物理的または化学的に溶解する等、水に溶解することができ、またはナノ粒子のいずれにも付着することもできる。ナノ懸濁液に過剰量の酸素を含有させるために、上記のコロイデーターを用いることができる。本開示の例示的な方法において、コロイド化プロセスの開始の約1分後に20〜30mg/リットルの酸素がナノ懸濁液中に含まれるまで、酸素を添加してよい。この種のプロセスによって、酸素が圧力によって溶液中に注入される圧力法とは対照的に、いわゆる吸入プロセスによって酸素がナノ懸濁液に添加される。酸素富化デバイスとして、必ずしもこれに制限するものではないが、Levigata Ltd.のウルトラコロイデーターを用いることができる。
【0087】
本開示の好ましい実施形態においては、ナノ懸濁液は20〜30mg/lの酸素濃度を有する。
【0088】
得られるナノ懸濁液は、ゼータサイザー(Malvern Instruments、Germany)で測定される−10mV〜+10mV、より好ましくは−20mV〜+20mV、より好ましくは−40mV〜+40mVのゼータ電位を有してよい。
【0089】
ナノ懸濁液は任意選択でステップc.の後の濾過ステップで、および任意選択でステップe.の前または後で、濾過してもよい。そのような濾過によって、ナノ懸濁液中のナノ粒子の大きさを必要に応じてさらに適合させることができる。例として、ナノ懸濁液の無菌濾過が挙げられる。そのような無菌フィルターによって粒径は450nm未満、好ましくは220nm未満の粒径(D90)に低減することができる。フィルターデバイスとしては標準のMilliporeフィルター等の任意の最新技術のデバイスを用いることができる。ナノ懸濁液が220nmにまで濾過されれば、そのような濾過によって粒径分布の標準偏差がさらにより狭くなり、安定性に寄与することができる。
【0090】
本開示の好ましい実施形態においては、ナノ懸濁液はステップc.の後に、および任意選択でステップe.の前または後で、好ましくは無菌フィルターによって、さらに好ましくは450nm未満、より好ましくは220nm未満の粒径にまで濾過される。
【0091】
ナノ懸濁液の使用の前に、ナノ懸濁液の濃度は必要に応じて適合させることができる。一方、ナノ懸濁液はさらなる溶媒の添加によって希釈してもよい。他方、ナノ懸濁液の濃度はさらなるステップf.において増大させてもよい。濃度の増大は、好ましくは乾燥チャンバー内における溶媒の蒸発によって、さらに好ましくは40℃を超えない温度で、また任意選択で減圧下で達成することができる。次いで最終のナノ懸濁液は好ましくはナノ懸濁液中に存在する溶媒の全量に基づいて10〜40%(w/w)、好ましくは10〜20%(w/w)の範囲の天然材料の濃度を有する。
【0092】
したがって、好ましい実施形態においては、ナノ懸濁液の濃度はさらなるステップf.において、好ましくは乾燥チャンバー内における溶媒の蒸発によって、ナノ懸濁液中に存在する溶媒の全量に基づいて10〜40%(w/w)、好ましくは10〜20%(w/w)の天然材料の濃度まで増大される。
【0093】
ナノ懸濁液およびその使用
ナノ懸濁液の調製のための上述の方法によってナノ懸濁液が得られる。したがって、本開示は本明細書に記載する方法のいずれか1つによって得られるナノ懸濁液にも関する。
【0094】
さらに、本開示のナノ懸濁液は医薬または補助食品等のサプリメントの調製において使用することができる。
【0095】
本開示のナノ懸濁液は動物、好ましくはヒトへの頬側、局所および/または口腔内適用のための医薬の調製において有利に使用できる。
【0096】
天然材料のナノ懸濁液は、経粘膜ルートを経由して投与される可能性を含む際立った利点を提供する。天然材料のナノ懸濁液は単位体積あたりより高い濃度の活性剤および小粒子の非水溶性活性剤を含み、したがって、免疫細胞によって免疫調節性活性剤が取り込まれ、免疫調節性活性剤の粒径が小さいことが必要とされる、免疫調節性薬物の新たな可能性を提供する。さらに、天然材料を1μm未満の粒径に摩砕することは活性剤の放出を助けることにもなり、したがって天然材料中に含まれる活性剤が高濃度で利用でき、またはともかくそのような活性剤が利用できることになると考えられる。
【0097】
溶解性の向上により粒径が低減するので、活性剤の経粘膜吸収が増大し得る。凝集した場合には薬剤の生体利用性は低下する。したがって長期にわたって高い安定性を有するナノ懸濁液を提供することは有利である。有用な安定剤は、たとえば静電的、立体的および物理的安定剤である。活性剤の粒径が400nm未満であれば、これはヒト体内における作用点でより良く吸収され得る。さらに、二次植物化合物の粒径が400nm未満であれば、これは活性剤をより良く安定化し、その全体の効果において活性剤を支持し得る。
【0098】
口腔を通しての物質の取り込み容量には限界があるので、口腔内投与のためには薬物は好ましくは液体であり、低用量で有効である必要がある。さらに、口腔を通して投与される薬物の粒子はナノメートル範囲、たとえば約300nm〜400nm未満である必要があり、そうでなければ口腔を経由する通過は制限される。本開示のナノ懸濁液は400nm未満の粒径D100で提供されるので、ナノ懸濁液は口腔内投与に有利に用いることができる。
【0099】
本開示のナノ懸濁液は、癌、炎症性腸疾患(IBD)、関節炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、その他のウイルス性疾患、神経皮膚炎もしくは乾癬等の皮膚疾患、または多発性硬化症、血管炎、関節リウマチもしくは皮膚筋炎等の自己免疫疾患の治療または予防において使用することができる。
【0100】
本開示のナノ懸濁液は、たとえば天然材料から調製された抽出液と比べて、より長期にわたって、より高い濃度の天然材料の活性剤を血流中に提供するために効果的である。このことは、そのような天然材料に含まれる疎水性化合物について特に当てはまる。さらに、ナノ懸濁液はたとえば抽出液と比べて、ナノメートル範囲の免疫刺激性がより高い粒子をより高い量で含んでおり、これらはそれぞれの免疫サブポピュレーションによってより良く取り込まれ、または認識されるので、天然材料からの免疫調節化合物を含むナノ懸濁液は、より広く、より強い様式で免疫系を刺激する。
【0101】
(実施例)
実験の部
以下、本発明を例としてより詳細に説明する。しかし、保護の範囲は添付した特許請求の範囲によってのみ決定され、以下の実施例のいずれによっても制限されないことが理解される。以下の実施例は発明の理解を助けるために説明され、本明細書に記載し、特許請求する発明を具体的に限定すると解釈すべきではない。現在知られているか、または後に開発される全ての均等物の置換を含めて、当業者の領域内に含まれる本発明の変形、ならびに処方の変更または実験的設計の変更は、本明細書に組み込まれた本発明の範囲内にあると考えるべきである。
【実施例1】
【0102】
3%クルクマ・ロンガ(curcuma longa)およびクルクミンナノ懸濁液の製剤
クルクマ・ロンガ(curcuma longa)粉末(粒径D100<320μm)20gおよび乾燥したクルクミン抽出物(Alfa Aesar GmbH & Co KG)100g(比1:5(w/w))、Lipoid P100(Lipoid GmbH、Germany、7.5%(w/w))300g、ポリソルベートTween(登録商標)80(AppliChem GmbH、Germany、1.5%(w/w))60g、およびジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(Alfa Aesar GmbH & Co KG、Germany、1.5%(w/w))60gをUltra Turrax(T18 digital、IKA−Werke GmbH & CO.KG、Germany)によって再蒸留水1500g中で均一化した。摩砕前に、分散液に再蒸留水を加えて全質量を4000gとした。得られた分散液をイットリウムで安定化された大きさ0.1〜0.2mmのジルコニアボールを用いてウェットボールアジテーターミル(X1型、Buehler AG、Switzerland)で摩砕した。摩砕に用いた比エネルギーの量[kWh/t]が図2から分かる。ナノ懸濁液の粒径(D90)は比エネルギー1552kWh/tで308nmに低下した(図2も参照)。
【実施例2】
【0103】
5%クルクマ・ロンガ(curcuma longa)およびクルクミンナノ懸濁液の製剤
クルクマ・ロンガ(curcuma longa)粉末(粒径D100<320μm)33gおよび乾燥したクルクミン抽出物(Alfa Aesar GmbH & Co KG)167g(比1:5(w/w))、Lipoid P100(Lipoid GmbH、Germany、7.5%(w/w))300gおよびジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(Alfa Aesar GmbH & Co KG、Germany、1.5%(w/w))60gをUltra Turrax(T18 digital、IKA−Werke GmbH & CO.KG、Germany)によって再蒸留水1500g中で均一化した。摩砕前に、分散液に再蒸留水を加えて全質量を4000gとした。分散液をイットリウムで安定化された大きさ0.4〜0.5mmのジルコニアボールを用いてウェットボールアジテーターミル(X1型、Buehler AG、Switzerland)で摩砕した。比エネルギー約2900[kWh/t]で粒径が約25μmに達したところで摩砕ボールを大きさ0.1〜0.2mmに交換した。摩砕の間、Kolliphor(登録商標)P188(1.5%(w/w))60gを加えながら、比エネルギー12534kWh/tで、ナノ懸濁液の粒径(D90)を380nmまで低下させた(図3も参照)。ナノ懸濁液はKolliphor(登録商標)P188を用いる立体的賦形剤およびジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを用いる静電的賦形剤によって安定化される。ゼータ電位(ゼータサイザー、Malvern Instruments、Germany)によって測定)によれば、ナノ懸濁液は主として立体的化合物によって安定化されている(図4も参照)。
【実施例3】
【0104】
クルクミノイドの水溶性の比較
水溶性の低い活性剤の溶解性はナノ懸濁液において高度に増大させることができる。クルクミノイドの水への溶解度は約0.1mg/mlである。クルクマ・ロンガ(curcuma longa)粉末(粒径D100<320μm)50mgおよび乾燥したクルクミン抽出物(Alfa Aesar GmbH & Co KG、粒径D100<40μm)250mgからなる乾燥粉末300mgを用いて水性抽出液を調製した。合わせた乾燥粉末を蒸留水10ml中に懸濁して濃度3%(w/w)とした。懸濁液を25℃で2時間インキュベートし、次いで8000×gで10分遠心した。LC/MSシステム(Nexera XR、Shimadzu、Triple Quad 4500、AB Sciex)を用いて上清中のクルクミノイド含量を測定し、約0.1mg/mlの含量を得た。
【0105】
これとは対照的に、実施例1で調製したナノ懸濁液(3%(w/w))の溶解度は23.1mg/mlである。調製したナノ懸濁液は、同じ濃度のクルクマ・ロンガ(curcuma longa)粉末およびクルクミン抽出物の上記の水抽出物と比べて、遊離クルクミノイドの溶解度が23000%増加したことを示している(図5も参照)。
【0106】
実施形態
本開示は以下の番号を付した実施形態にも関連する。
1.少なくとも1つの天然材料のナノ粒子および少なくとも1つの天然材料の抽出物を含むナノ懸濁液を調製するための方法であって、
a1.320μm未満の粒径(D100)を有する少なくとも1つの天然材料の粒子を用意するステップと、
a2.少なくとも1つの天然材料の抽出物を用意するステップと、
b.ステップa1.の前記少なくとも1つの天然材料の粒子およびステップa2.の前記少なくとも1つの天然材料の抽出物を溶媒中に分散させるステップと、
c.ステップb.の分散液を摩砕して粒径(D90)を1000nm未満(D90<1000nm)とするステップと、
d.安定剤を添加するステップと
を含む方法。
2.ステップa1.の少なくとも1つの天然材料とステップa2.の少なくとも1つの天然材料が同一である、実施形態1に記載の方法。
3.少なくとも1つの天然材料が植物、シアノバクテリア、藻類および菌類からなる群から独立に選択され、ならびに/または天然材料がチョウセンニンジンおよび/またはセルロース繊維を含まない、実施形態1または2に記載の方法。
4.少なくとも1つの天然材料が、前記天然材料の一部または全体、好ましくは前記天然材料の全体である、実施形態1から3のいずれか一項に記載の方法。
5.ナノ懸濁液が、少なくとも2つの天然材料のナノ粒子の混合物および/または少なくとも2つの天然材料の抽出物の混合物を含む、実施形態1から4のいずれか一項に記載の方法。
6.天然材料が、ステップa1.に先立ってステップa1.1で乾燥され、好ましくは凍結乾燥および/または熱乾燥される、実施形態1から5のいずれか一項に記載の方法。
7.少なくとも1つの天然材料の抽出物が、ステップa2.に先立ってステップa2.1で乾燥され、好ましくは凍結乾燥および/または熱乾燥される、実施形態1から6のいずれか一項に記載の方法。
8.ステップa1.で用意される天然材料が、15%未満(w<15%)、好ましくは12%未満(w<12%)、より好ましくは10%未満(w<10%)、最も好ましくは8%未満(w<8%)の含水率wを有する、実施形態1から7のいずれか一項に記載の方法。
9.天然材料が、ステップa1.1の前記乾燥の前および/または後に、好ましくはナイフミルで予備粉砕され、任意選択で320μm未満の粒径(D100)に篩分けされる、実施形態1から8のいずれか一項に記載の方法。
10.少なくとも1つの天然材料の前記抽出物が、乾燥粉末、柔軟な抽出物、および液体抽出物から選択され、好ましくは乾燥粉末、水性抽出物、およびアルコール性抽出物から選択される、実施形態1から9のいずれか一項に記載の方法。
11.溶媒が、水、好ましくは蒸留水、または水とエタノールの混合物である、実施形態1から10のいずれか一項に記載の方法。
12.ナノ懸濁液が、水性ナノ懸濁液、または水とエタノールの混合物に基づくナノ懸濁液である、実施形態1から11のいずれか一項に記載の方法。
13.少なくとも1つの天然材料が、ステップb.において、前記ナノ懸濁液に用いる溶媒の全量に基づいて0.5〜20%(w/w)、好ましくは2〜10%(w/w)、さらに好ましくは2〜5%(w/w)、または5〜10%(w/w)の濃度で分散される、実施形態1から12のいずれか一項に記載の方法。
14.少なくとも1つの天然材料の前記抽出物が、ステップb.において、ナノ懸濁液に用いる溶媒の全量に基づいて0.5〜20%(w/w)、好ましくは2〜10%(w/w)、さらに好ましくは2.5〜5%(w/w)、または5〜10%(w/w)の濃度で添加される、実施形態1から13のいずれか一項に記載の方法。
15.分散ステップb.または摩砕ステップc.が安定剤の添加を含み、好ましくは分散ステップb.がリン脂質および/またはポリソルベートの添加を含む、実施形態1から14のいずれか一項に記載の方法。
16.分散ステップb.が0.5〜2%(w/w)の量のポリソルベートの添加を含み、および/またはポリソルベートがポリソルベート80およびポリソルベート20からなる群から選択される、実施形態15に記載の方法。
17.分散ステップb.が、天然材料の全量に基づいて50〜200%(w/w)の量のリン脂質の添加を含み、好ましくはリン脂質が95(重量)%までのホスファチジルコリン、および/または20〜30(重量)%のリゾホスファチジルコリンを含む、実施形態15に記載の方法。
18.ステップc.の摩砕がウェットボールアジテーターミルにおいて実施される、実施形態1から17のいずれか一項に記載の方法。
19.摩砕ステップc.が、ウェットボールミル、好ましくはウェットボールアジテーターミル中で直径0.4〜0.5mmの粉砕ボールを用いる第1の摩砕ステップc.1、およびウェットボールミル、好ましくはウェットボールアジテーターミル中で直径0.1〜0.2mmの粉砕ボールを用いる第2の摩砕ステップc.2を含む、実施形態18に記載の方法。
20.摩砕ステップc.が、粒径D90<9μm、好ましくはD90<3μm、より好ましくはD90<800nm、最も好ましくはD90<300nmの時点での安定剤の添加を含み、好ましくは安定剤が静電的および/または立体安定剤である、実施形態1から19のいずれか一項に記載の方法。
21.安定剤が、リン脂質、ポリソルベート、ホモポリマー、ブロックおよびグラフトコポリマー(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびポリビニルピロリドン(PVP)等)等のポリマー、ポロキサマー(たとえばKolliphor(登録商標)P407またはポロキサマー188)等の非イオン性トリブロックコポリマー、ポリアクリル酸(PAA)およびキトサン等のイオン性ポリマー、コポリビニルピロリドン、Labrasol(登録商標)、Gelucire(登録商標)、ゼラチン、レシチン(ホスファチド)、アカシアガム、ローカストビーンガム、コレステロール、トラガカント、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカスター油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンステアレート、モノおよびジグリセリド、コロイド状二酸化ケイ素、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、グリセロールモノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、短鎖および中鎖アルコール、Labrafil(登録商標)、Purol−oleique(登録商標)、プロパン−1,2,3−トリオール、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(DOSS)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは安定剤がポリソルベート80、ポリソルベート20、Kolliphor(登録商標)P407およびポロキサマー188からなる群から選択される、実施形態1から20のいずれか一項に記載の方法。
22.摩砕ステップc.が終了した後におけるプロパン−1,2,3−トリオール(グリセリン)の添加を含む、実施形態1から21のいずれか一項に記載の方法。
23.安定剤が、溶媒の全体積に基づいて10〜100%(v/v)、好ましくは30〜100%(v/v)の量の、さらに好ましくは20%(v/v)、30%(v/v)、40%(v/v)または50%(v/v)の量のグリセリンである、実施形態22に記載の方法。
24.ナノ懸濁液が摩砕ステップc.の後に、コロイデーター中で好ましくは酸素の添加とともにコロイド化ステップe.にさらに供され、ナノ懸濁液がプロパン−1,2,3−トリオールを必ずしも含まない、実施形態1から23のいずれか一項に記載の方法。
25.ナノ懸濁液が20〜30mg/lの酸素濃度を有する、実施形態24に記載の方法。
26.ナノ懸濁液が、ステップc.の後に、および任意選択でステップe.の前または後で、好ましくは無菌フィルターによって、さらに好ましくは450nm未満、より好ましくは220nm未満の粒径にまで濾過される、実施形態1から25のいずれか一項に記載の方法。
27.ナノ懸濁液が、香味料、保存料、界面活性剤および浸透促進剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を追加的に含む、実施形態1から26のいずれか一項に記載の方法。
28.ステップb.の分散液が、動的光散乱またはレーザー回折アナライザーによって測定される粒径(D100)が500nm未満(D100<500nm)、好ましくは300nm未満(D100<300nm)、さらに好ましくは250nm未満(D100<250nm)、最も好ましくは200nm未満(D100<200nm)まで摩砕される、実施形態1から27のいずれか一項に記載の方法。
29.ステップb.の分散液が、動的光散乱またはレーザー回折アナライザーによって測定される粒径(D100)が110nm〜950nm(110nm<D100<950nm)、好ましくは130nm〜900nm(130nm<D100<900nm)、さらに好ましくは150nm〜800nm(150nm<D100<800nm)、最も好ましくは180nm〜400nm(180nm<D100<400nm)まで摩砕される、実施形態1から28のいずれか一項に記載の方法。
30.ナノ懸濁液の濃度が、さらなるステップf.において、好ましくは乾燥チャンバー内における溶媒の蒸発によって、ナノ懸濁液の全体積に基づいて10〜40%(w/w)、好ましくは10〜20%(w/w)の天然材料の濃度まで増大される、実施形態1から29のいずれか一項に記載の方法。
31.少なくとも1つの天然材料が、0.4を超える、または0.5を超える、または0.8を超える、または1を超える、または1.1をも超える溶解度因子をもたらす濃度でナノ懸濁液中に存在する、実施形態1から30のいずれか一項に記載の方法。
32.好ましくは鉱物、ビタミン、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの添加物の添加を含む、実施形態1から31のいずれか一項に記載の方法。
33.実施形態1から32のいずれか一項に記載の方法によって得られるナノ懸濁液。
34.医薬またはサプリメント、好ましくは補助食品の調製における使用のための、実施形態33に記載のナノ懸濁液。
35.動物、好ましくはヒトへの頬側、局所または口腔内適用のための医薬の調製における使用のための、実施形態33に記載のナノ懸濁液。
36.動物、好ましくはヒトへの、非経口、髄腔内、静脈内、経皮、または経粘膜適用、好ましくは頬側、局所的または口腔内適用のための医薬の調製における使用のための、実施形態33に記載のナノ懸濁液。
37.癌、炎症性腸疾患(IBD)、関節炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、その他のウイルス性疾患、神経皮膚炎もしくは乾癬等の皮膚疾患、または多発性硬化症、血管炎、関節リウマチもしくは皮膚筋炎等の自己免疫疾患の治療または予防における使用のための、実施形態33に記載のナノ懸濁液。
38.医薬の調製のための、実施形態33に記載のナノ懸濁液の使用。
39.癌、炎症性腸疾患(IBD)、関節炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、その他のウイルス性疾患、神経皮膚炎もしくは乾癬等の皮膚疾患、または多発性硬化症等の自己免疫疾患の治療または予防のための医薬の調製のための、実施形態33に記載のナノ懸濁液の使用。
40.癌、炎症性腸疾患(IBD)、関節炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、その他のウイルス性疾患、神経皮膚炎もしくは乾癬等の皮膚疾患、または多発性硬化症等の自己免疫疾患の治療または予防のための方法であって、それを必要とする患者への有効量の実施形態33に記載のナノ懸濁液を投与することを含む方法。
【符号の説明】
【0107】
1 容器
2 二重壁
3 凹形シリンダー
4 ローター
5 ローター、支持ローター
6 ナノ懸濁液は上昇する
7 ナノ懸濁液の下向きの流れ
8a 冷媒は二重壁に供給される
8b 冷媒は二重壁から除かれる
9a 冷媒は二重壁に供給される
9b 冷媒は二重壁から除かれる
図1
図2
図3
図4
図5