(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像レリーフ微細構造は、(+)レリーフの画像レリーフ微細構造と(−)レリーフの画像レリーフ微細構造とそれらの組合せとからなる群より選択される、請求項1に記載の単層画像投影システム。
1又は複数の弧形面は、メタライズされて1又は複数のメタライズゾーンを形成し、その一方で1又は複数の弧形面はメタライズされないままであって、1又は複数の非メタライズゾーンを形成し、
前記1又は複数の投影画像は、前記1又は複数のメタライズゾーンでは鮮明であるが、前記1又は複数の非メタライズゾーンでは前記メタライズゾーンにおける画像と比較して鮮明でない、請求項1に記載の単層画像投影システム。
集光要素の配列と画像アイコンの配列とを備え、相互に作用して1又は複数の画像を投影する多層画像投影システムに結合された、請求項1に記載の単層画像投影システム。
前記弧形面が凸型表面曲率を有する場合の前記下部表面又は前記弧形面が凹型表面曲率を有する場合の前記上部表面は、平らでないか不規則である、請求項1に記載の単層画像投影システム。
相対向する面を有するシート材料であって、前記シート材料の一表面上に取り付けられているかその表面内に部分的に埋め込まれているか、若しくは前記シート材料内に部分的に埋め込まれている、請求項1に記載の単層画像投影システムを備える、シート材料。
請求項1に記載の単層画像投影システムを少なくとも1つ有する、消費者向け又は非消費者向け商品であって、前記単層画像投影システムが、(a)前記商品又は前記商品とともに使用されるバッグ、包装若しくはラベルに取り付けられるか又はその中に埋め込まれているか、又は(b)前記商品又は前記商品とともに使用されるバッグ、包装若しくはラベル内に部分的に埋め込まれている、消費者向け又は非消費者向け商品。
【発明を実施するための形態】
【0018】
通貨や文書の認証を行って、真正製品を偽造品から識別及び区別し、製造された物品や包装の視覚的強調をするために、画像とモアレ拡大の合成デバイスが用いられてきた。これらの光学デバイスは一般的に、レンズアレイ、光学スペーサ、及び画像アレイを含む多層構造である。これらのデバイスにおけるレンズアレイ及び画像アレイは、可変の拡大縮小比と相対的な軸回転とを有し、拡大合成画像の表示を可能とする。これらのデバイスは、傾斜による画像移動、照明状態に対する低感度、及び広視野角を示すことができる。
【0019】
同一の市場アプリケーションのいくつかにおいて競合するホログラムは、薄い断面、より少ない必要層数による低コスト、製造時に複数層を整列させる必要のないこと、などのいくつかの利点を有する。ホログラムは傾斜による光学的可変性を示すが、光の回折に依存するために強力な点光源を頼りとしている。
【0020】
モアレ拡大とは、同一の画像物体で構成されるグリッドを、ほぼ同じグリッド寸法を有するレンズグリッドを通して見るときに生じる現象のことを言う。合成画像(すなわち拡大モアレ画像)は、グリッド内の個別の画像システム(すなわちレンズと画像物体)によって形成される個別の画像から生成される。レンズグリッドと画像物体のグリッドとの相対的大きさ及び回転を変化させることによって、拡大モアレ画像の多くの変形が可能である。そうして、グリッド面の上方にあるように見える画像、グリッド面の下方にあるように見える画像、及びグリッドの傾斜によりグリッド面内で直交方向に移動又はスライドするように見える画像などの、立体視効果を提供する。このようなモアレ拡大構成の基本的動作原理は、例えば、M.C.Hutley,R.Hunt,R.F.Stevens,P.Savanderによる、”The moire magnifier”(「モアレ拡大器」)(Pure Appl. Opt.3(1994),pp.133−142)に記載されている。
【0021】
本明細書で提供するのはモアレ方式拡大システムである。本システムは、本明細書に記載の単純化された投影システム、以下では「画像アーク」と称するが、を使用して、立体的モアレ拡大効果をもたらすことが可能である。画像アークは、製品や書類、販売用物品の偽造からの顕在的保護、並びに製品の美的価値を改善する手段のための、低コストで光学的な可変構造を形成するために使用可能である。
【0022】
モアレ方式拡大システムは、立体的に認識される動き及び奥行きを有する画像を投影するために、光の透過及び/又は反射を制御する表面レリーフ微細構造のアレイを含むことができる。表面レリーフ微細構造アレイには、微小寸法の3次元画像形状の周期的アレイが含まれ得る。アレイ内の画像形状は、アレイを横断する周期的表面曲率を示すことが可能であって、画像レリーフ微細構造アレイの周期性に関係する周期性を有する、周期的表面曲率を持った画像レリーフ微細構造の周期的アレイを生じる。画像レリーフ微細構造の周期的アレイに対する周期的表面曲率の寸法、回転及び位置を空間的に変えることにより、画像レリーフ微細構造の弧形画像生成面に入射する入射光の方向が変えられて、光強度にコントラストを与える構造のない(例えば平坦な)領域から見たときに、モアレ拡大構成が実現される。
【0023】
本明細書に記載のモアレ方式拡大システムは、反射性材料が使用される場合には反射型であり、透過性材料が使用される場合には透過型であり、また(例えば通常レベルの周辺照明環境での)異なる目視条件において反射型か透過型のいずれかが可能な材料である場合には、両方の組合せとなるように構成可能である。画像アークにより形成される拡大モアレ画像は、光強度の変調から生じる動的な動き、及び/又は更なる変化では色の変化を示すことができる。
【0024】
本明細書に記載のモアレ方式拡大システムは、単層デバイスであるが故に、低コスト(例えば、他のモアレ拡大デバイスよりも基本的に低コスト)であり得る。大量に生産され、しかも光学的に可変な顕在的認証技術が必要とされる多くの製品にとって、コストは厳しい制約である。所望の最終製品に組み込むために、その生成の各ステップを考慮した後の低価格ポイントは、特に低コスト物品(例えば銀行券、宝くじ券など)に使用するためには、重要な考慮すべき要件である。
【0025】
画像アークは単一のステップ(例えば、1回のエンボス、鋳造、成形又はスタンピング)で形成可能である。多くの場合、システムを配置しようとする基材は、画像アークを形成可能な設備をその生産の過程で既に通過しているものである。したがって、例えば必要な構造を有するエンボス原版を既存の生産プロセスに組み込むことにより、画像アークはそのような基板に容易に適用することができる。これは多層モアレ構造とは対照的である。多層モアレ構造は、一工程で基材上に形成することは不可能であり、むしろ、複数工程プロセスを用いて事前に製造してそれを物品に適用しなければならない。所望であれば、本明細書に記載のモアレ方式拡大システムは、その「単層」設計のお蔭で、多層モアレ拡大システムよりも薄い断面となるようにも製造可能である。
【0026】
本明細書に記載のモアレ方式拡大システムの製造は、生産時ではなく、初めに(例えば原版製造時に)複数層の位置合わせを必要とするだけである。結果的に、困難さ及び/又は製造コストの顕著な増加なしに、正確な位置決めアライメントを要するより洗練された設計(例えば統合画像パターン)を実装可能である。
【0027】
本明細書に記載のモアレ方式拡大システムは、画像レリーフ微細構造の弧形画像生成面からの指向性のある反射又は透過を利用して拡大モアレ画像を形成する。このように、本システムは、単層の表面アレイから角度依存したモアレ拡大画像を形成する。これは、モアレ画像が第1の画像アレイで作製され、第2の分離したレンズアレイで屈折されて形成される多層モアレ構造とは対照的である。同様に、「反射モード」モアレ拡大器もまた2つの分離されたアレイ(すなわち反射レンズアレイと画像アレイ)とに依存している。
【0028】
本明細書に記載のモアレ方式拡大システムは、他のセキュリティ製品にしばしば見られるような基材フィルムを必ずしも必要としない。画像アーク構造は多くの製品の表面上に直接製造可能であるために、追加のフィルムコストを招くことはない。画像アークを使用することで、人工的な合成画像を既存のラッカー又はコーティング内へ、あるいは製品を構成している材料内へ付与することが可能であり、装飾システムのセキュリティを飛躍的に増加させつつ、追加の製造コストをゼロ近くにまで下げさせ得る。一例として、本明細書に記載のモアレ方式拡大システムは、銀行券の既存のポリマーコーティング上又はその内部へのパターン化、ポリマー銀行券上及び/又はその内部への直接パターン化、スクラッチ式の宝くじ券上及び/又はその内部への直接パターン化、アルミ飲料缶上及び/又はその内部への直接パターン化、消費者電子機器容器上及び/又はその内部への直接パターン化、及びプラスチック又はフォイルのパッケージ上及び/又はその内部への直接パターン化を可能とする。本明細書に記載のモアレ方式拡大システムは、ビニル織物材料、アイウェアフレーム、及びキャンディなどの食品表面にも、装飾するために使用可能でもある。
【0030】
上記のように、ここに提供されるモアレ拡大システムは、表面と、表面上又は表面内に配置された周期的表面曲率を有する画像レリーフ微細構造の周期的アレイとを備えることができる。このようなシステムの設計は、まず多層モアレ拡大システムを記述することで説明可能である。
【0031】
ここで図面を参照すると、
図1はモアレ拡大デバイスの断面図であり、そこには、レンズアレイ100、光学スペーサ101及び画像アレイ(物体アレイ、アイコンアレイ又はモチーフアレイとも称される)102が含まれる。光学スペーサ101は、レンズアレイ100の焦点103に画像アレイ102を配置する。レンズアレイ100の各レンズ104は、合成画像を形成するために、画像アレイのその部分を結像する。
【0032】
次に
図2を参照して、
図1に示す多層モアレ拡大デバイスに、画像アレイ102から上向きに、そしてレンズアレイ100の上部曲面に交差する仮想切断線105を重ねて、画像要素領域106の底面により規定されるパターン状にレンズアレイ100から切片を取り去ると、
図3Aに示すような画像レリーフ微細構造107の周期的アレイが生成される。この例に示す画像レリーフ微細構造は、表面から上方に突出して、弧形画像生成面で終端する、(+)レリーフの画像レリーフ微細構造である。この例の画像レリーフ微細構造は、以下でより詳細を議論するように、陽画像表示である。アレイ内の画像レリーフ微細構造の弧形画像生成面は、アレイを横切って周期的表面曲率を有する。画像レリーフ微細構造107は、レリーフとなっていない周囲領域108に囲まれている。
【0033】
図3Cは、
図3Aに示すモアレ拡大システムへの光の入射による、モアレ拡大画像の形成のされ方を示している。画像レリーフ微細構造に入射する光は、反射によって方向を変えられる。面に直交する光線109は、画像レリーフ微細構造107の弧形画像生成面から外方向に放射状に反射され、非画像領域108では単純に反射される。観察者の視点からは、曲率を持った構造のそれぞれの「島」、すなわち画像レリーフ要素113が、拡大モアレ画像の一部に対応する光の点110(観察者に向かう点線で示す)を与える。多数の点反射が、観察者へ光が向かわない非画像部分108とは対照をなす。組み合わせると、画像レリーフ微細構造107の弧形画像生成面と非画像領域108とが拡大画像を生成し、ある範囲の視角にわたり目視可能である。システム111が傾くと(あるいは観察者の視点が変化すると)、観察者が視認する反射点110のアレイは、画像レリーフ微細構造のアレイの異なる部分から反射されて、新しい画像を生成する。結果として、アレイにより形成される拡大モアレ画像は、動的な動き及び/又は奥行き効果を示す。
【0034】
図3Bは、陰画像表示の画像レリーフ微細構造を使用するシステム例を示す。
図2に示すものと同じ画像切断線105を使用し、かつ画像領域体積112を代わりに除去すれば、
図3Bに示すように同様の画像レリーフ微細構造200の周期的アレイが生成される。この例に示す画像レリーフ微細構造もまた、表面から上方に突出して弧形画像生成面で終端する、(+)レリーフの画像レリーフ微細構造である。ただし、画像レリーフ微細構造107の底面は、
図1及び
図2に示すデバイスにおいて画像要素領域が存在する背景に対応する。
【0035】
陽画像表示(例えば
図3A)又は陰画像表示(例えば
図3B)である画像レリーフ微細構造を含むシステムにおいては、明領域110と暗領域109が相対的に反転していることを除くと、同一の画像モチーフを視認可能である。
図3Aに示すシステムの場合、大部分の視角からは画像レリーフ微細構造107の弧形画像生成面は、背景108に対して相対的に大きな光強度、すなわち輝度を持つように見える。ただし他の角度では、背景108からの鏡面反射が観察者に向かい、背景108が代わりに明るく見えて、画像レリーフ微細構造107の弧形画像生成面は暗く見える。
図3Bに示すシステムの場合、同じ効果は観察されるが、これらの強度は逆転する。
【0036】
図3Dは、表面上に配置された周期的表面曲率を有する画像レリーフ微細構造113の周期的アレイ114の等角図である。説明の目的で、画像モチーフとしてライオンのモチーフを選択した。表面曲率の変化に関するライオンの位置に特に注意されたい。この例では、ライオン画像115の周期(画像反復周期)が表面曲率の周期116(曲率反復周期)とは異なる。したがって、アレイのいくつかの領域117では、ライオンの体と表面曲率の頂上とが一致し、アレイの他の部分118ではそうではない。ここに表示したアレイは、数十万個の微細構造レリーフを含み得る典型的な周期的アレイの小さな部分でしかない。
【0037】
画像レリーフ微細構造の周期的アレイと画像レリーフ微細構造の周期的表面曲率の態様(例えば、第1の曲率反復周期に対する第1の画像反復周期の縮尺、画像レリーフ微細構造に対する周期的表面曲率の傾斜など)を変化させるか組み合わせるかのいずれか又は両方により、動きなどの様々な視覚効果を表示するモアレ方式拡大システムを取得可能である。モアレ方式拡大システムを使用して生成可能なすべての視覚効果(並びに、与えられた視覚効果の生成に必要なアレイ要素の具体的な選択)は、これらの効果について多層モアレ方式拡大システムに関して既に説明されているので、ここで詳細に再度紹介することはしない。例えば、Steenblikらの米国特許第7,333,268号を参照されたい。これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ただし例示として、変化する視覚効果を示す、モアレ拡大システムに到達するために使用可能な、特定の設計構成要素については以下で説明する。
【0038】
図4は、画像アレイ内の第1の画像参照軸180に沿って、画像反復周期120を有する画像アレイ119を示している。説明の目的で、画像モチーフ121としてテキストの画像(「VALID」)を選択した。アレイの型は、反復可能な2次元の「ユニットセル」で定義可能な、既知の結晶格子構造の任意のものであってよい。ここでは六方格子を図示して、六方格子ユニットセル122ごとに1つの画像モチーフ121を示す。ただし最終構造にはこれは存在しない。
【0039】
図5は、これも画像アレイ内の第1の曲率参照軸190に沿った曲率反復周期124を有する、周期的曲率アレイ123と、画像アレイ119と同一形状(この場合六角形)の格子構造122とを示す。曲率アレイ123は、画像アーク構造を形成する途中段階において使用可能な曲率モールドの画定に使用され得る。曲率要素125の基本的幾何形状はこの段階で画定可能である。ただしこれとは異なる底辺とすることも可能である。すなわち、曲率の底辺125は円形でも六角形であってもよく、あるいは任意の代替の格子配列形状も考えられる。そしてユニットセル122と同じ大きさであってもよいし、それより小さいこともあり得る。ここで曲率部の底辺は円形ベースである。アレイを用いて中間の曲率アレイモールドを生成することができる。ここで、各曲率要素は半球形状で、正の曲率である。説明のために、画像アレイ119と曲率アレイ123は、2次元の層表示として始める。そして最初のアレイ操作が遂行された後に構造及び高さを与えられる。
【0040】
図6は、上に重ねる画像アレイ119と曲率アレイ123を示す。この例では、第1の曲率反復周期124に対する第1の画像反復周期120の比は1である(すなわち、第1の画像反復周期は第1の曲率反復周期に等しい)。この実施形態では、画像アレイ119と曲率アレイ123は、第1の曲率参照軸190が第1の画像参照軸180に平行かつ一致するように整列される。
【0041】
図7は層の拡大縮小操作を示す。この例では、画像アレイ119は曲率アレイ123とは異なる寸法を有する。具体的には、第1の画像反復周期126は、第1の曲率反復周期124よりも小さく、反復する2つの画像要素間の距離は、2つの曲率要素間の距離よりも小さくなっている。この操作によれば、対応する画像アークシステムが生成されると、システムの下の空間面上にあるように見える拡大モアレ画像が得られる。
【0042】
曲率反復周期124と画像反復周期126との周期差に依存して、得られる拡大モアレ画像がもとのまま(テキスト画像が「VALID」と見える正像)、又は逆転(テキスト画像が「DILAV」と見える逆像)となりうる。曲率反復周期124が画像反復周期126よりも大きい実施形態においては、正立拡大モアレ画像が形成可能である。逆に、曲率反復周期124が画像反復周期126よりも小さい実施形態においては、反転モアレ画像が形成可能である。
【0043】
図8は回転すなわち「スキュー」の操作を示し、重ねられた曲率アレイが画像アレイに対して回転される。この例では、第1の画像反復周期120対第1の曲率反復周期124の比は1である。ただし、曲率アレイ123が画像アレイ119に対してある角度だけ回転しており、第1の曲率参照軸190が第1の画像参照軸180に平行ではなく一致していない。回転操作127のために、画像アレイ119は曲率アレイ123に対して新たな実効ピッチとなり、これは元の画像反復周期120よりも大きい。この新しい周期の比がモアレ画像の寸法を縮める効果を有し、システム面内を傾斜とは反対方向に移動又はスライドするように見える画像を提供する。
【0044】
上で説明した例は分かりやすくするために単一画像アレイを使用したが、本明細書で提供するモアレ拡大システムは複数の画像アレイを含むことができ、それぞれが曲率アレイに対して個別の寸法と回転とをもち、特定の用途に所望される視覚効果を示すモアレ拡大システムを形成する。例えば、「valid」画像のアレイは、異なる画像周期をもつ「ok」モチーフを持つ第2の画像アレイと組み合わせることも可能である。
【0045】
アレイの設計が行われて、寸法と回転により特性が操作されると、それらの層を物理的に実現できる状態となる。そうして画像アレイ設計と曲率アレイ設計とを合体すなわち重畳させて1つの層とし、共通の体積領域をアレイ同士の間で共有する。本明細書で提供するモアレ拡大システムの形成方法については、以下でより詳細を述べる。
【0046】
前述した画像アレイと曲率アレイのユニットセルの寸法は、変化させてモアレ拡大システムが所望の用途に適する特性を有するようにすることができる。いくつかの場合には、画像アレイを画定するユニットセルは、ユニットセル上の2つの格子点の間で測った場合、1mm未満(例えば250μm未満、又は150μm未満)であってよい。いくつかの場合には、画像アレイを画定するユニットセルは、ユニットセル上の2つの格子点の間で測った場合、少なくとも1μm(例えば少なくとも10μm、又は少なくとも25μm)であってよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1の画像反復周期は1μm〜1000μm(例えば1μm〜500μm、1μm〜250μm、1μm〜150μm、10μm〜250μm、10μm〜250μm、10μm〜150μm)であり、第1の曲率反復周期は1μm〜1000μm(例えば1μm〜500μm、1μm〜250μm、1μm〜150μm、10μm〜250μm、10μm〜250μm、10μm〜150μm)である。
【0048】
モアレ拡大システムの設計によっては、様々な視覚効果を表示するシステムを生成可能である。観察可能な視覚効果の例としては次のものが含まれ得る。
【0049】
システムの下の空間面上にあるように見える拡大モアレ画像
【0050】
システムの上方の空間面上にあるように見える拡大モアレ画像
【0051】
システムのある空間面上にあるように見え、かつ並進運動(例えば反対方向のスライド)により直交方向に移動又はスライドするように見える、拡大モアレ画像
【0052】
1つの画像から別の画像に変化して見える拡大モアレ画像
【0053】
同じ画像のモチーフ(例えば壁紙デザイン)のアレイを描画する拡大モアレ画像
【0054】
単一の物体又は景色を描画して、見る角度で固有の眺めを提供する拡大モアレ画像(インテグラル画像など、例えばVachetteらへの米国特許第6,177,953号を参照。これは参照により本明細書に組み込まれる)
【0055】
視覚を変化させることにより「オン、オフする」(例えば消滅し、再出現する)ように見える拡大モアレ画像
【0056】
いくつかの実施形態では、拡大モアレ画像がモアレ方式拡大システムの上方又は下方の空間面上にあるように見える。いくつかの実施形態では、システムを表面に垂直な軸の周りで回転させると、拡大モアレ画像がシステムの下方の空間面とシステムの上方の空間面の間で移動するように見える。いくつかの実施形態では、システムを表面に平行な軸の周りで回転させると、拡大モアレ画像が第1の立体形状、平面形状、大きさ又は色から、第2の立体形状、平面形状、大きさ又は色へ変化するように見える。特定の実施形態では、システムを表面に平行な軸の周りで回転させると、その面内又は平行な面内で拡大モアレ画像が反対方向にスライドするように見える。
【0057】
モアレ拡大システムの他の多くの態様は、特定の用途に望まれる特性及び視覚効果を示すモアレ拡大システムを生成するように変形可能である。例えば、画像レリーフ微細構造にある(及び周期的表面曲率の曲率半径の延長による)弧形画像生成面の曲率半径は、所望により変化させることができる。
図11に示すように、曲率の小さい形149は、曲率の大きいものよりも狭い視野150を与える。曲率要素の視野は、観察者が拡大モアレ画像を見ることができる、光源からの視角の範囲を与えることができる。一般的に、視野が狭いほど、含まれる角度範囲において拡大モアレ画像がより明るく見える。その逆に視野が広いほど、その視野全体に亘り拡大モアレ画像がより暗くなる。
【0058】
いくつかの実施形態において、画像レリーフ微細構造にある(及び周期的表面曲率の延長による)弧形画像生成面の曲率半径は、1μm〜500μm(例えば1μm〜250μm、1μm〜150μm、10μm〜250μm、10μm〜150μm)であってよい。
【0059】
アレイ内の画像レリーフ微細構造の弧形画像生成面は、アレイの全体に亘って凸又は凹の周期的表面曲率を有することができる。特定の実施形態では、アレイの周期的表面曲率は凸である。他の実施形態では、アレイの周期的表面曲率は凹である。凸(正の曲率)の形状は、
図12(右のモチーフ)に示すように、要素を上から見ると表面から張り出していると言ってもよい。凹(負の曲率)の形状は、
図12(中央のモチーフ)に示すように、要素を上から見ると基材に向かって内側に張り出していると言ってもよい。参考のために曲率のない構造も
図12(左のモチーフ)に示す。
【0060】
一実施形態において、アレイ内の(及び周期的表面曲率の延長による)画像レリーフ微細構造の弧形画像生成面は、凸半球断面の等高線を示す。対称的な凸反射器に関しては、反射領域の表面は、反射器の背後にある焦点における鏡像を提供する。これは、曲率半径をRとすれば、観察者には、f=−R/2の距離における輝点として見える。
【0061】
上記の例において、曲率アレイ要素間には製造を容易にするために格子間の空間が存在する。ただし、所望であれば、充填率100%を有する中間曲率モールドを使用して、画像レリーフ微細構造の周期的表面曲率を画定することも可能である。
【0062】
さらに、円筒形状の曲率要素を使用することができる。円筒形状の曲率要素は、例えば、一方向の傾斜のみで動的挙動を示す拡大モアレ画像を生成するモアレ拡大システムの製造に使用可能である。
【0063】
画像レリーフ微細構造は、画像、数字、テキスト、形状又はその他のモチーフの一部又は全体を構成する2次元領域で構築されてもよい。システム用の画像レリーフ微細構造アレイを設計するとき、セルのコンテンツが周期的に2次元空間を充填する構成となるようにユニットセルを定義することができる。ここでユニットセルは、反復されるパターンの少なくとも1つのインスタンスを含み、かつレリーフ要素の充填構造を画定する。充填構造、すなわち格子点配列は、一般的にアレイの配列の仕方を定義する。そのような格子配列(基本的な2次元ブラベー格子配列)は結晶学分野では既知であり、斜方、長方、菱形、六方、正方の充填構造がある。
【0064】
本文脈において、周期的アレイという用語は、ユニットセル(又は反復パターン)の、反復する2次元の、空間充填埋め込みのことであり、並進による反復で(例えば面にタイル貼りするように)表面をユニットセルのコンテンツで充填可能とする。ユニットセルの周期的アレイは、したがって、並進対称性を有し、その表面上の配列は、2次元結晶格子配列(基本的な2次元ブラベー格子配列)によって特徴づけることが可能である。
【0065】
アレイは、2階調シェーディング又は光強度プロファイルを有する拡大モアレ画像、及び/又は多階調シェーディングを有する拡大モアレ画像を生成するように設計され得る。
図13(上)は、ライオンの顔のモチーフを描くための2次元閉領域を用いた設計を示す。設計はユニットセル122内に嵌め込まれ、狙いは2階調シェーディングを使用することである。これを行うために、1つのインスタンスのパターンを持った1つのユニットセル(中央)だけが、2階調シェーディング又は光輝度プロファイルを有する合成拡大モアレ画像を生成することのできるアレイ生成に必要である。
【0066】
所望であれば、多階調シェーディングをもつ拡大モアレ画像を、複数のユニットセルを用いて定義されるアレイを使用して生成可能である。
図14は、4つのセル(1つのユニットセルに対比して)が画像アレイを定義する例を示す。4つのセルを用いて画像レリーフアレイを生成する場合、合成画像の多階調シェーディングを生じることができる。例えば、4つのセルの内の3つがライオンの顔の目を含むとすると、結果の合成拡大モアレ画像では、目は75%シェードされて、すなわち領域が充填されて見える。
【0067】
画像レリーフ微細構造製造の好適な材料としては、一例として、金属、セラミックス、ガラス及びプラスチックが含まれる。上記のように、画像レリーフ微細構造は、反射モード、透過モード又は部分反射と部分透過のモードで作用して拡大モアレ画像を生成することができる。画像レリーフ微細構造の構成は、所望があれば変更して、所与の光学効果を生成することができる。
【0068】
例えば、アレイからの反射で拡大画像を生成するように設計されたモアレ拡大システムの場合、画像レリーフ微細構造は反射性の材料から形成可能である。好適な反射は、成形により鏡面状の反射面を得ることのできる、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ABS、ポリスチレン及びポリエステルなどのプラスチックで形成された画像レリーフ微細構造を使用して得ることができる。エネルギ硬化型のアクリレート材料で形成される画像レリーフ微細構造を使用して好適な反射を得ることが可能である。特定の実施形態では、画像レリーフ微細構造の弧形画像生成面が鏡面反射されてもよい。そのような反射性の高い画像レリーフ微細構造は、例えば、メタライズ(例えばアルミニウムなどの金属の蒸着によって)、又は金属薄膜などの反射性材料のスタンピング又はエンボス加工によって、形成可能である。
【0069】
アレイを光が透過して拡大画像を生成するように設計されたモアレ拡大システムの場合、画像レリーフ微細構造は好適な光透過性の材料から形成可能である。このように、モアレ拡大システムは、モアレ拡大システムの裏面にバックライトを与えて、モアレ拡大システムを前面から見たときに、画像が見えるようにすることが可能である。例えば、モアレ拡大システムを保持して光に近づけて見ることにより(銀行券に透かしがないかチェックするときのように)、モアレ拡大システムは容易に観察される画像を生成する。部分的に反射性で部分的に透過性の材料の使用も可能であって、例えば非常に薄い金属皮膜や、硫化亜鉛などの高屈折率材料がそうである。
【0070】
所望の見え方及び/又は光学効果を起こすために、様々な他の材料を(例えば、画像レリーフ微細構造の内部又は表面に、その表面または内部に画像レリーフ微細構造が形成される表面又はその内部に、又はそれらの組合せなどに)組み込むことが可能である。例えば、非蛍光顔料、非蛍光染料、蛍光顔料、蛍光染料、金属、金属粒子、磁性粒子、核磁気共鳴シグナチャ材料、レージング粒子、有機LED材料、光学可変材料、蒸着材料、スパッタ材料、化学成膜材料、気相成膜材料、薄膜干渉材料、液晶ポリマー、アップコンバージョン材料及び/又はダウンコンバージョン材料、二色性材料、光学活性材料、光学偏光材料、光学可変性インク又は粉体、及びこれらの組合せを組み込むことができる。画像レリーフ微細構造、その上若しくは内部に画像レリーフ微細構造が形成される表面、又はそれらの組合せは、様々な外見を有する材料(例えば、金属材料、光沢材料、つや消し材料、着色材料、透明材料、不透明材料、蛍光材料など)から形成可能である。第1の材料で形成された画像レリーフ微細構造を第2の材料から形成された表面と組み合わせることにより、コントラスト効果(つや消しの背景上に光沢画像、光沢の背景上につや消し画像、無色背景(透明又は不透明)上の有色画像(透明又は不透明)、有色背景(透明又は不透明)上の無色画像(透明又は不透明)、など)を生成可能である。
【0071】
いくつかの実施形態において、画像レリーフ微細構造、その上若しくは内部に画像レリーフ微細構造が形成される表面、又はそれらの組合せは、ホログラフィックなフォトニック結晶又は干渉皮膜などのサブ波長表面変性を備えることができる。サブ波長構造は、システムの色、反射率、及び/又は吸収の変更に使用可能である。いくつかの実施形態において、光回折構造及び/又はフォトニック結晶構造は画像レリーフ微細構造、その上若しくは内部に画像レリーフ微細構造が形成される表面、又はこれらの組合せに、組み込むことが可能である。
【0072】
いくつかの実施形態において、画像レリーフ微細構造、その上若しくは内部に画像レリーフ微細構造が形成される表面、又はそれらの組合せは、光学的に可変のインク又は粉体を備えることができる。
【0073】
印刷用インクもまた、画像レリーフ微細構造、その上若しくは内部に画像レリーフ微細構造が形成される表面、又はそれらの組合せに組み込まれてもよい。いくつかの実施形態において、システムは、選択的な重ね刷り、及び/又はシステムの透明領域の下の印刷などの、伝統的な印刷をさらに備えることも可能である。所望であれば、画像の線幅(例えば、細線の画像対太線の画像)を変えることもできる。
【0074】
所望であれば、システムにオーバコートを塗布して、表面及び/又は画像レリーフマイクロアレイを覆うことができる。オーバコートは、例えば光沢のオーバコート又はワニスであってもよい。
図17は、画像レリーフ微細構造のアレイを被覆するオーバコートを含む、モアレ拡大システムを示している。この例では、画像レリーフ微細構造153は、微粒子反射性粉体を備えることができる(例えば微細構造は、微粒子反射性粉体を含む混合物で鋳造可能である)。オーバコート154はマイクロ構造アレイを覆って設けられる。
【0075】
上記のように、画像レリーフ微細構造は、(+)レリーフ、又は(−)レリーフの画像レリーフ微細構造であってよい。上記のように、いくつかの場合に画像レリーフ微細構造は、表面から上方に突出し弧形画像生成面で終端する、(+)レリーフの画像レリーフ微細構造であってよい。他の場合に画像レリーフ微細構造は、表面内に形成され、弧形画像生成面で終端する空隙である、(−)レリーフの画像レリーフ微細構造であってよい。
図15は、(−)レリーフの画像レリーフ微細構造のアレイを含む、モアレ拡大システムの例を示している。(−)レリーフの画像レリーフ微細構造は、表面151内に形成され、弧形画像生成面で終端する空隙である。
図15に示すアレイの周期的表面曲率は凹型である。
【0076】
アレイ内の画像レリーフ微細構造の弧形画像生成面は、アレイを横切って凸又は凹の周期的表面曲率を有することができる。
図16は、凹型の周期的表面曲率を有する(−)レリーフの画像レリーフ微細構造を含む、モアレ拡大システムを示す。この例では、微細構造は基材152内にプレス加工される(例えばエンボス加工又はスタンプ加工)。
【0078】
本明細書に記載のモアレ拡大システムは、当技術分野で知られているフォトリソグラフィによるパターン形成と微細構造モールドの作製及び複製プロセスを使用して形成可能である。ハード型を形成するためのソフト型作製を使用して、次にハードエンボスツールが形成可能となる。形成後、ハードエンボスツールを使用して、例えばモアレ拡大システムのアレイ構造を熱成形可能プラスチック基材に成形するか又は基材上に硬化性ポリマーを鋳込む。また、ハードエンボスツールを使用して、メス型モールドをプラスチックキャリア上に鋳込み、それをホログラフィフォイル転写と同様のプロセスで(例えばホットスタンピング又は硬化処理により)最終基板に転写可能な、離型性組成物で充填する。
【0079】
原版作製方法の一例を
図9A〜
図9Iに示す。
図9Aは、アルミニウム層129で覆われた、滑らかなガラス基板128を示す。アルミニウム129の表面に、ポジ型フォトレジスト130を堆積する。曲率アレイパターン132を有する、クロム付きのガラスフォトマスク131を、
図9Bに示すようにフォトレジスト130に密着させる。この構造体をマスク134内の透明領域を通して平行紫外光133で露光し、フォトレジスト135を除去すべき場所135においてのみフォトレジストを感光させる。フォトレジスト付きのガラスを次に腐食性の現像液に入れて、露光領域が下のアルミニウムと一緒に洗い落とされるようにする。結果としてアルミニウムベース137上にフォトレジスト円筒136が載り、ベースが
図9Cに示すように加熱後にガラスに濡れないようにする境界領域として作用する。
【0080】
次いでガラスをホットプレート上において、フォトレジストを溶融させ、
図9Dに示すように溶融したレジストの表面張力により成形された曲率構造138を形成する。冷却後、
図9Eに示すように液体フォトポリマー139をレジスト形状138の表面に塗布し、その後新規のガラスカバー基板140を貼り付ける。次いで、フォトポリマーを紫外光へのフラッド露光によって硬化させ、フォトレジスト構造から剥離する。結果として、新規のガラス基板に取り付けられた、フォトポリマー内に凹型曲率形状141のアレイを含む、軟質原版が得られる。次に、軟質曲率アレイ原版142を使って最終構造体の上部表面曲率を画定することができる。ただし、画像形状の導入にはさらなるプロセスを必要とする。
【0081】
画像形状を導入するために、軟質曲率アレイ原版142の凹型の空隙にフォトレジスト143を充填する。画像領域パターン144を有するフォトマスクを、フォトレジストを充填した軟質原版に密着して配置し、
図9Fに示すように平行紫外光133で露光する。この例では、マスク上の画像領域145が、不透明背景を持った透明部であり、画像領域をフォトレジスト中に露光させる。構造は次いで現像液内に配置されて、露光されたレジストを現像して取り去り、
図9Gに示すように画像アレイのネガ型を残す。
【0082】
次に
図9Hに示すように、ガラスカバー基板147と共に、液体フォトポリマー146を塗布することができる。フォトポリマーは次に紫外光に対してフラッド露光して硬化させて、取り出すことができる。結果として、
図9Iに示すように、凸型の周期的表面曲率をもつ(+)レリーフの画像レリーフ微細構造の周期的アレイを含むモアレ拡大システムとなる。
【0083】
各画像レリーフ微細構造は、基本的には、それ自体の特性を有する曲率アレイ要素から切り出されたものであり、より大きい又はより小さい曲率を付与することが可能である。システムによって曲率を変えることで、異なる視野を備えることができる。それは原版作製プロセス(前に
図9A〜
図9Dで示した)の第1ステップにおいて調整することができる。
図10A〜
図10Dは、パターン形成前により厚い又はより薄いフォトレジスト層を設けることによる曲率の変え方を示している。フォトレジスト148のより薄い層を使用する場合、同じ底面積内のフォトレジストの体積はより小さくなり、リフロープロセスでの表面張力処理後に、より浅い曲率要素149となる。
【0084】
図9G〜
図9Iで形成された構造はソフトエンボス原版であり、損傷が生じるまでに、(例えば、軟質原版に硬化性組成物を充填し、その組成物を硬化させて、ソフト原版から硬化組成物を取り外すことによって)その表面の少数のレプリカを作製可能である。もっと強度のあるモールド、例えばハードエンボス又はソフトエンボスによるモアレ拡大システムの大量生産に使用可能なモールドに関しては、硬質原版を準備して使用することができる。
【0085】
硬質原版は、所望微細構造のネガ版を有する金属のエンボスモールドであり、エンボス又は鋳造でその表面が複製されると、構造のポジ版が製造できる。硬質原版は、DVD製造分野で知られているように、導電メタライズ及び電鋳で形成可能である。例として、
図9Iに示す軟質原版は、蒸着により銀の薄層を被覆し、電気接触を取って、電着用のニッケルメッキ液内に配置することができる。表面に十分な厚さ(例えば1/4mm又は1/2mmの厚さ)のニッケルがメッキされた後、メッキ構造を溶液から取り出す。電鋳で形成された硬質原版は、その後軟質原版から剥離することができる。こうして、硬質原版が傷つかず又は摩耗しない限りは、この硬質原版表面からほぼ無限の数の硬質原版面(モアレ拡大システム)のソフトエンボスを作製可能である。
【0086】
硬質原版構造は、電鋳プロセスを繰り返せば、鏡面対称構造をもつ更なる硬質原版への複製も可能である。DVDの原版作製においては、第1のニッケル原版を父型と称し、父型面からの複製を母型と称す。原型の鏡像が所望される場合にのみ、母型を生産に使用することができる。これは、凹型構造と凸型構造とを切り替えたい場合には有益である。ただし、テキスト及び非対称的な画像は反転される。別の方法では、母型電鋳を使用して子型として知られる別の電鋳型を作製することもできる。これは父型と同じ構造を有し、これから、元の軟質原版構造に一致する、ソフトレプリカ又はエンボスを作製可能である。
【0087】
通常の工業印刷設備を使用する、モアレ拡大システムの量産を容易にするために、硬質原版父型又は子型を剛体芯のまわりに円筒状に形成して硬質エンボスシリンダを形成することができる。例えば、このシリンダを使用して、ウェブで供給される基材に加熱エンボスによってモアレ拡大システムを連続的に押刻することができる。あるいは、エネルギ硬化可能なアクリル樹脂などの硬化可能ポリマー樹脂を用いて、基材上にモアレ拡大システムを鋳造することができる。
【0088】
硬質原版は電鋳ニッケルから作製可能であるが、これは使用する材料で限定されるものではなく、製造装置によって材料は変わり得る。例えば原版の型は電鋳銅、あるいは、簡易製造用の新しい剛性エポキシで作製可能である。モアレ拡大システムの原版型は、解像度が十分に高ければ3Dプリンタなどの付加型製造プロセスによっても形成可能である。印刷は直接使用してもよいし、更なる硬質原版作製に使用してもよい。
【0089】
高圧スタンピングなどの高負荷の用途に対しては、高硬度原版ダイが必要とされることがある。そのようなツールを生成するには、ニッケル原版母型を最初に銀などの軟質金属で被覆することができる。これは後で剥離層として作用する。次に窒化チタン層を銀表面に被覆する。これは最終原版に高い硬度を付与する。次に母型をグラファイトのダイ型内に配置し、アセンブリ全体を加熱して熱ショックの影響を減らすことが可能である。次に溶融炭素鋼をダイ型内のTiN被覆母型上に注入する。この後、徐冷し、又は油への急冷による熱処理を行い、高い硬度を付与させることができる。冷却後、型を破砕し、スチール裏面を平坦化して、母型を銀の界面から分離してスチール鋳型から剥離する。窒化チタンの薄層を有する、硬化されたスチールのダイは、高負荷のスタンピング又は金属鋳造が使用されるいくつかの用途に好適であり得る。
【0090】
また、認証又は美観向上の目的で、表面(例えば、紙、ポリマー、セラミック又は金属の表面などの商業製品の表面)を装飾するシステムも提供される。装飾システムは、本明細書に記載のような、モアレ拡大システムを備える、硬質原版を含むことができる。以下の1又は複数の方法により、装飾システムを使用して本明細書に記載したようなモアレ拡大システムを表面へ形成可能である。
【0091】
商業製品が形成される基材材料を凸型にエンボスする方法(すなわち基材材料の表面に(+)レリーフの画像レリーフ微細構造のアレイを形成)。
【0092】
商業製品が形成される基材材料を凹型にエンボスして空隙(すなわち基材材料の表面に(−)レリーフの画像レリーフ微細構造のアレイ)を形成する方法。
【0093】
商業製品の表面に追加材料で雄型の鋳造をして被覆する方法(すなわち基材材料の表面に(+)レリーフの画像レリーフ微細構造アレイを形成)。
【0094】
追加材料内に形成された(−)レリーフの画像レリーフ微細構造アレイを含む、追加材料の雌型鋳造による方法。
【0096】
モアレ方式拡大システムは、システムへの意図する用途によって、さまざまな形態で提供可能である。特定の実施形態では、物品上又は物品用のパッケージに画像レリーフ微細構造のアレイを例えばエンボス、鋳造、成形又はスタンピングすることによって、モアレ方式拡大システムを物品又は物品用のパッケージ上に形成可能である。特定の実施形態では、物品上又は物品用のパッケージに(例えば接着剤を用いて)貼付可能な基材(例えばポリマーフィルムまたは金属フォイル)上に、モアレ方式拡大システムを形成可能である。モアレ拡大システムが形成される精密な方法は、システムを形成する基材の性質、全体的な生産上の考慮(例えば商品の製造にすぐに組み込まれる方法など)を含む、多くの因子を考えて選択することができる。
【0097】
モアレ方式拡大システムを使用して、(例えば真正製品を偽造品から識別及び区別するためのセキュリティ及び偽造防止機能などの)物品の認証の提供、及び/又は製造された物品及びパッケージの視覚的価値を高揚することが可能である。このシステムは多くの利用及び適用の分野において使用可能である。例としては次のようなものがある。
【0098】
政府及び防衛アプリケーション−連邦、州又は外国に拘わらず(パスポート、IDカード、運転免許証、査証、出生証明、バイタル記録、有権者登録カード、投票用紙、社会保障カード、債権、食品割引切符、郵便切手及び納税印紙など)
【0099】
通貨−連邦、州、又は外国に拘わらず(紙幣のセキュリティスレッド、ポリマー通貨の特徴点及び紙幣の特徴点など)
【0100】
文書(権利証書、証書、免許、免状、証明書など)
【0101】
金融商品、有価証券(認証銀行小切手、法人小切手、個人小切手、銀行証憑、株券、旅行者小切手、為替、クレジットカード、デビットカード、ATMカード、アフィニティカード、電話用プリペイドカード及びギフトカードなど)
【0102】
秘密情報(映画台本、法的文書、知的財産、診療記録/通院記録、処方箋書式/パッド及び「秘伝レシピ」など)
【0103】
ファブリック及びホームケアを含む、製品及びブランド保護(洗剤、布地コンディショナ、食器ケア、家庭用クリーナ、表面コーティング、布地リフレッシュナ、漂白剤及び特別布地用ケア用品など)
【0104】
美容ケア用品(ヘアケア、ヘアカラー、スキンケア&クレンジング、化粧品、芳香剤、制汗剤&防臭剤、女性用保護パッド、タンポン及びパンティライナーなど)
【0105】
ベビー及びファミリーケア用品(乳児おむつ、乳幼児ワイプ、乳児よだれ掛け、乳児着替え&ベッドマット、ペーパータオル、トイレットティッシュ及びフェーシャルティッシュなど)
【0106】
ヘルスケア用品(口腔ケア、ペットの健康と栄養、処方調合薬、市販薬、ドラッグデリバリーと個人ヘルスケア、処方ビタミンとスポーツ・栄養サプリメントなど);処方・非処方アイウェア;病院・医療専門家・医療卸売ディストリビュータへ販売される医療装置と設備(例えば、包帯、設備、インプラントデバイス、手術用品など))
【0110】
スポーツウェア衣類、靴類、ライセンス/非ライセンス品の富裕層向けスポーツ/豪華な衣類品、布地を含む、スポーツウェア、フットウェア
【0117】
コンパクトディスク、DVD及びブルーレイディスク
【0119】
ノベルティ用品(ギフトラップ及びリボンなど)
【0128】
ギャンブル及びゲームアプリケーション(宝くじ券、ゲームカード、カジノチップ、並びにカジノ、福引き及び総賭けで使用される用品など)
【0129】
家庭用備品(タオル、リネン及び家具など)
【0135】
ディスプレイ(購入/販売時点ディスプレイ)
【0136】
製品マークおよびラベル(カムフラージュ又は資産追跡として、認証又は強化のためにブランド製品又は文書に添付された不正防止画像を固定する、ラベル、下げ札、タグ、スレッド、開封帯、上包みなど)
【0137】
特定の実施形態では、モアレ方式拡大システムは文書又は文書用パッケージに使用可能である。文書は例えば、銀行券、小切手、為替、パスポート、査証、バイタル記録(出生証明など)、身分証明カード、クレジットカード、ATMカード、運転免許証、納税印紙、郵便切手、宝くじ券、証書、権利証書、証券又は法的文書であってよい。いくつかの実施形態では、モアレ方式拡大システムは、貨幣、CD、DVD、ブルーレイディスク、又はアルミ缶、瓶(例えば、ガラス瓶又はプラスチックボトル)、プラスチックフィルム並びにフォイル包装紙などのパッケージ、などの物品の視覚的強調を提供するために使用可能である。
【0138】
予言的な製造方法の例をより詳細に以下で説明する。
【0140】
例示的な製造方法において、熱成形可能なポリマーコーティングを有するウェブで供給される紙基材が、モアレ拡大システム用の加熱された硬質エンボスシリンダと、均一の圧力を印加するための滑らかなニップシリンダとの間を通過させられる。熱とローラ圧力とにより、熱成形可能ポリマーコーティングが原版シリンダモールド内に流動させられ、分離すると紙は、そのコーティングにエンボス、すなわち刻印されたモアレ方式拡大システムができる。この方法は、例えば、ワニス処理されるか又は汚れ防止コーティングを施された紙の表面または内部にモアレ方式拡大システムを提供するのに使用可能である。
【0142】
例示的な製造方法において、ウェブ供給される2軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP)が、モアレ拡大システム用の硬質原版で高温エンボスされる。この方法は例えば、ポリマー通貨基材の表面又は内部にモアレ拡大システムを製造するか、又はモアレ拡大システムを含むラベルを準備するために、使用可能である。
【0144】
例示的な製造方法において、所望により熱成形可能層を有し、かつ反射金属層又は反射カラーシフト層を有するポリマーフィルム(例えばPET又はBOPP)が、モアレ拡大システム用の硬質原版で高温エンボスされて、反射金属層又は反射カラーシフト層が画像レリーフ構造の周期的表面曲率に追随する形で、熱成形可能な層及び/又はフィルムの表面又は内部にモアレ拡大システムが形成される。基材は例えば、ホログラム製造に使用される既存のベースフィルムであってよい。
【0146】
例示的な製造方法において、反射金属層又はカラーシフト反射被覆(傾斜により色が変わる、カラーシフト干渉フィルムなど)を有するポリマーフィルムが基材として使用される。UV硬化樹脂と、金属層を貫通可能な強力なUV硬化源とを使用して、モアレ拡大システムが、反射層又はカラーシフト層の上に鋳込まれる。
【0148】
例示的な製造方法において、ポリマーフィルム(例えばPET)を基材として使用し、アクリレートをベースとするUV硬化樹脂を使用して、モアレ拡大システム用の硬質エンボスシリンダからモアレ拡大システムを鋳造することができる。鋳造には、UV硬化と硬化樹脂の原版からの剥離を連続プロセスで含むことができる。結果として得られるモアレ拡大システムは次にメタライズされ、最終的な基材(例えば物品又は物品用の包装)に接着剤で適用することができる。
【0150】
例示的な製造方法において、マイクロ粒子又はナノ粒子の反射性粉体組成物を使用して、モアレ拡大システムを原版から形成可能である。これは、光学可変性のインク又は粉体組成(OVI)が使用される広い応用分野に道を開き、OVIをパターンにして基材へ送達することを可能とし、結果としてモアレ拡大合成画像を生じる。最終モアレ拡大システムの陰画表示を有する原版シリンダで粉体インクをグラビアのようなドクターブレード処理を行うことで、インクを「脱型」させる、すなわち基材状に鋳込むことができ、OVI表面に精密な微細構造が付与される。その結果、静的なインクだけよりも、華やかな反射プロファイルとなる。このOVIモールド法は、磁区配向粒子と結合することもできる。
【0152】
例示的な製造方法において、OVI組成物などのマイクロ粒子又はナノ粒子粉体を含む組成物を備える、パターン化されていない領域(すなわち、微細構造的なパターン化が行われていない面、つまりマクロな形状が含まれている面)を含んだ紙又はプラスチック基材が提供可能である。次いで、硬質原版を使用し、圧力及び/又は熱を印加して、マイクロ粒子又はナノ粒子粉体を含む組成物の表面又は内部に、モアレ拡大システムがパターン化又はエンボスされる。
【0153】
8.オーバコート付きの微粒子粉体を用いた鋳造
【0154】
例示的な製造方法において、UV硬化性アクリル樹脂内の二酸化チタンなどの反射性粉体含有組成物を、モアレ拡大システム用の原版内にドクターブレード処理し、UV硬化させることで紙又はプラスチック基材に転写して、その表面にモアレ拡大システムを形成することができる。次に、表面全体を、UV硬化性アクリルなどの透明組成物で被覆又はワニス塗装をして光沢仕上げを施し、モアレ拡大システムによって形成される拡大モアレ画像の反射プロファイルおよび外観を鮮明にする。
【0155】
9.微粒子粉体を用いた透明構造の鋳造
【0156】
例示的な製造方法において、二酸化チタン含有組成物又は他の反射性粉体含有組成物で被覆された基材が、反射性粉体含有組成物の上に透明モアレ拡大システムを鋳込まれて、モアレ拡大システムによって形成される拡大モアレ画像の輝度を上げることができる。
【0158】
例示的な製造方法において、モアレ拡大システム用の熱処理されたスチール原版ダイを使用して、アルミニウム飲料缶の蓋や硬貨などの軟質金属にモアレ拡大システムを鍛造スタンプすることができる。
【0160】
例示的な製造方法において、モアレ拡大システム用の原版を使用して、通常チューイングガムの包装、フォイルのブリスターパック(例えば薬に使用されるブリスターパックのフォイル裏板)、食品包装および美容製品の包装)などに使用されるような、アルミニウムフォイル又はアルミニウム/ポリマー複合基材にモアレ拡大システムをエンボスすることができる。
【0162】
例示的な製造方法において、乾燥した押出し接着剤を有する透明フィルムが提供される。モアレ拡大システム用の原版エンボスシリンダを使用して、柔軟な接着剤に画像レリーフ微細構造の(−)レリーフアレイをエンボスすることができる。次に、反射型インク組成物又は着色されたUV硬化性樹脂を、接着剤表面に形成された空隙の中にドクターブレード処理することができる。こうして、接着剤内部にモアレ拡大システムが埋め込まれたセキュリティ積層体が形成される。この積層体は次に加熱ラミネーションによってセキィリティ文書に接着して、上を覆う積層体と文書の間にモアレ拡大システムを封入することができる。そうして積層体に不正をしようとするとモアレ拡大システムを破壊又は崩壊させることになる。
【0164】
例示的な製造方法において、モアレ拡大システム用の原版を使用して、プラスチック押出し、射出成形、真空成形、ブロー成形、ダイキャスティング又はその他の形態のプラスチック成形の工程において、モールド内装飾をすることができる。例えば、プラスチックの水ボトルのモールドが、モアレ拡大システム構造をボトルの底に成形させて、そのボトルがBPAを含まないことおよび偽造品ではないことを表示可能である。
【0165】
前述したように、他の考えられる実施形態では、微細構造は弧形画像生成面から平坦光学面に延在するのではなく、これらの面の間のどこかで開始又は終端する。より具体的には、これらのその他の考えられる実施形態においては、単層画像投影システムは、上部弧形面、下部表面、及び上部弧形面と下部表面とで囲まれた弧形領域とを有する、所望により反射型の弧形要素と、弧形要素の上部弧形面の少なくともいくつかの上又は内部に配置された、画像レリーフ微細構造の所望により反射型のパターンと、の配列から構成される材料層を備える。弧形要素は、正弦波表面、玉子ケースのような形状の構造、楕円、放物線、双曲線又はその他の非球形断面の構造、並びに球形断面をもつ構造などの曲面である、上部弧形面を有することができる。所望により反射型の弧形要素と画像レリーフ微細構造の所望により反射型のパターンとの配列は、単層であって、相互に作用して1又は複数の画像を投影する。凸型表面曲率を有する上部弧形面に対し、画像レリーフ微細構造がこの面から下方向に延在して下部表面から遠位の弧形領域内で終端し、凹型表面曲率を有する上部弧形面に対し、画像レリーフ微細構造がこの面から上方向に延在して上部弧形面の曲率によって画定される領域内で終端する。好適な実施形態では、弧形要素および画像レリーフ微細構造は、反復パターンとして配置され、相互に作用しあって1又は複数の画像(例えば、1又は複数の拡大モアレ画像)を投影する。
【0166】
そのような好適な実施形態の1つでは、本発明の単層画像投影システムが1又は複数の拡大モアレ画像を投影する。本発明のシステムは、上部弧形面、下部表面、及び上部弧形面と下部表面とで囲まれた弧形領域とを有する、所望により反射型の弧形要素の反復パターンと、弧形要素の上部弧形面の少なくともいくつかの上又は内部に配置された、画像レリーフ微細構造の所望により反射型の反復パターンとを備える。上記のように、凸型表面曲率を有する上部弧形面に対し、画像レリーフ微細構造がこの面から下方向に延在して下部表面から遠位の弧形領域内で終端し、凹型表面曲率を有する上部弧形面に対し、画像レリーフ微細構造がこの面から上方向に延在して上部弧形面の曲率によって画定される領域内で終端する。
【0167】
本発明の単層画像投影システムは、鏡面反射の原理に依拠している。したがって、本発明の単層画像投影システムの弧形画像生成面は、任意の反復曲面であってよく、集光要素(例えばレンズ)とは限らない。
【0168】
上部弧形面とこれらの表面の反復周期の好適な大きさ(例えば、各上部弧形面の曲率半径(好ましくは約1μm〜約500μm)、各上部弧形面の寸法(表面上の2つの格子点間で測定した寸法(好ましくは約1mm未満)、上部弧形面パターンの反復周期(好ましくは約1μm〜約1000μm)、など)については前述した。それに加え、縮尺比(すなわち、画像レリーフ微細構造の反復周期と上部弧形面の反復周期と比)、及び異なる光学効果を達成するために必要な反復パターンの軸合わせ又は軸ずれについても前述した。
【0169】
本発明で使用される反復パターンにおける各上部弧形面の格子間空間は好ましくは、全体厚さが約100μm未満のマイクロ規模システムについては約0μm〜2μmであり、マクロ規模システムにおける格子間空間は一般的に大きな寸法であって、好ましくは約10mmより大きい。
【0170】
上部弧形面と画像レリーフ微細構造(あるいはその一部)は反射型として投影された画像を暗くするようになっていてもよい。例えば、凸型又は凹型の上部弧形面と微細構造(又はその一部)は、反射型の金属層(例えば蒸着金属層)を備えていてもよい。完全に不透明な反射金属層の代わりに、半透明(又は部分的にメタライズされた)金属層、又は高屈折率層を備えてもよい。さらに、多層の蒸着物質を使用して反射性を提供してもよい。例えば、誘電体層、又は金属/誘電体/金属などの金属層と誘電体層の組み合わせで形成されたカラーシフト界面もまた必要な反射性を提供する。
【0171】
これらの反射型の(メタライズされた)実施形態は、散乱や回折とは対照的に、反射の原理で作用する。理想的な照明は点光源(晴れた日の空のような)である。投影された画像は典型的には反射物質及び/又は照明源の色である。ただし、上部弧形面が既に着色されているか又は反射型の材料で作られている場合には、投影画像の背景はこの特性となり得る。
【0172】
上部弧形面と画像レリーフ微細構造が反射型となっていない場合には、投影画像は弱いが視認できる。このことで、潜像を本発明の単層画像投影システム内並びに多層画像投影システムに潜ませることができる。そのような一実施形態では、パターン化メタライズプロセス(あるいは、パターン化金属除去プロセス)を使用して上部弧形面に投影画像(及びその任意の様々な効果)が明白となるゾーン(すなわちメタライズされたゾーン)を形成する。メタライズされたゾーンは、投影画像があまり明白でなく弱いが視認可能なゾーン(すなわち非メタライズゾーン)と入り交ざっている。別のそのような実施形態では、本発明の単層システムと多層画像投影システムが組み合わされるか統合されて、例えば横並び又は交互の配置となった単一デバイス(例えばセキュリティストリップ、スレッド又はパッチ)となる。そのような多層画像投影システムは、例えばSteenblikらに対する米国特許第7,333,268号、Steenblikらに対する米国特許第7,468,842号、及びSteenblikらに対する米国特許第7,738,175号に記載されている。この実施形態では、多層システムの集光要素(例えば回折レンズ、反射レンズ)に凹部又は空隙も組み込まれ、またメタライズゾーン及び非メタライズゾーンが多層システムに用いられて、凹部又は空隙から生じる投影画像が明らかな領域と、投影画像があまり明らかではなく、すなわち弱いが視認可能である領域とが提供される。本発明の単層システムのみで構成されているか、あるいは本発明の単層システムと多層システムの組み合わせで構成されているかのいずれであっても、そのようなデバイスは、複雑な構造であって、耐改竄性が非常に高い。
【0173】
本発明の実行に使用される画像レリーフ微細構造は、1又は複数の投影画像を提供する弧形要素に関連して配置される。反射型の実施形態では、反射光が画像の源であるように画像レリーフ微細構造と上部弧形面が設計される。つまり、画像レリーフ微細構造の寸法、深さ、粗さ、数及び位置、並びに上部弧形面の曲率が、この結果を達成するように設計される。
【0174】
これらのパラメータ間の一般的関係は以下の通りである。
(a)上部弧形面の曲率:曲率が大きいほど表面に対する鏡面反射点の移動が遅い。このことは、小さい曲率を有する上部弧形面のシステムほど「高速移動」の画像をもつようにできる。
(b)凹部又は空隙の寸法、深さ及び粗さは、相互に関連する変数である。ただし一般的には次のとおりである。
(i)「より大きな」凹部(システムの長さに沿った幅の観点での)はより大きな投影画像を形成する。
(ii)「より深い」凹部は投影画像のより強いコントラストエッジとなり得る。ただし、非常に深い場合には、(下で述べるように)粗い凹部と同様の効果となり得る。
(iii)「粗い」凹部(すなわち、均一でなく不規則な表面を有する凹部、平滑でも平坦でもない)はコントラストの高い投影画像を形成する。凹部が粗いほど(散乱するのとは反対に光をより少なく反射する)、得られる画像がよりシャープである。これは基本的に明るい背景と暗い画像にさせる。各凹部からの光散乱の程度は、凹部の粗さのレベルの指標にすることができる。
【0175】
(−)レリーフの画像レリーフ微細構造(すなわち凹部又は空隙)は、水平又は曲線のいずれかの「下部」表面にまで到達する、実質的に垂直(又は傾斜した)側壁で形成されてよい。有利なことに、浅い空隙のような、傾斜側壁(特に、鈍角で傾斜した側壁)は本発明の単層システムのモールド空洞からの取り外しを容易にする。側壁及び「下部」表面は、平滑であっても、テキスチャ状に粗くなっていてもよい。凹部又は空隙は別の物質(例えば色素物質)で被覆されるか、及び/又は部分的又は完全に充填されてもよい。凹部の寸法、立体形状、平面形状、及び色は制限がない。実際、複数の実施形態において、2つ以上のタイプの凹部又は空隙(例えば、マイクロ寸法及びナノ寸法の空隙)が使用されることが想定される。
【0176】
(+)レリーフの画像レリーフ微細構造(すなわち凹部又は空隙)は、水平又は曲線いずれかの表面から下へ延在するか又は上へそこまで到達する、実質的に垂直(又は傾斜した)側壁で形成されてよい。ここでも、斜めの側壁、特に、浅い空隙のような鈍角で傾斜した側壁は、本発明の単層システムのモールド空洞からの取り外しを容易にする。側壁及び「上部」又は「下部」表面は、平滑であっても、テキスチャで粗くなっていてもよい。そして、(+)レリーフの画像レリーフ微細構造の寸法、立体形状、平面形状及び色には制限がない。(+)レリーフの画像レリーフ微細構造を囲む領域は、別の物質(例えば色素物質)で被覆及び/又は部分的又は完全に充填されてもよい。
【0177】
本発明の実行において、画像レリーフ微細構造が同一であることも、又はすべての上部弧形面上又はその内部に配置されることも必要ではない。その代り、例えば、同一又は異なる画像レリーフ微細構造が、これらの表面の反復パターンの選択された領域又はゾーンの上部弧形面の表面上又は内部に配置されてもよい。
【0178】
本発明のシステムの2つの実施形態が
図18と
図19に示されている。
図18では、システム10が、凹型の表面曲率の上部弧形面20を持つ弧形要素12のパターンの形態をした配列を含んでいる。(+)レリーフの画像レリーフ微細構造14は、上部弧形面20から上方に延在して、上部弧形面20の曲率により画定される領域18内に水平の「上部」表面16を形成して終端する。
図18には示されていないが、画像レリーフ微細構造は上部弧形面20から下に、弧形領域内の下部表面から遠位の位置まで延在することも意図される。
図19では、システム10は、凸型表面曲率を持った上部弧形面30を有する弧形要素22のパターンを含んでいる。(−)レリーフ画像レリーフ微細構造24は、これらの面から下方に延在して、弧形領域28内に水平の「下部」表面26を形成して終端する。
図18、
図19には示されていないが前述したように、上部弧形面の少なくともいくつかの表面又は内部に配置された画像レリーフ微細構造は、異なる寸法、立体形状、平面形状、色、及び/又は反射率レベルを有してもよい。
【0179】
本発明のシステムのさらに2つの実施形態が
図20と
図21に示されている。
図20では、システム10が、凹型表面曲率を持つ上部弧形面36を有する弧形要素32のパターンを含んでいる。(+)レリーフの画像レリーフ微細構造34は、上部弧形面36から上方に延在して、上部弧形面36に実質的に平行な第2の曲面38を形成して終端する。好適な実施形態では、これらの表面同士は平行である。
【0180】
図21では、システム10が、凸型表面曲率を持つ上部弧形面46を有する弧形要素40のパターンを含んでいる。(−)レリーフ画像レリーフ微細構造(凹部又は空隙)42は、これらの面から下方に延在して、上部弧形面46(すなわち、第1の弧形面又は曲面)に実質的に平行な、第2の曲面44を形成して終端する。好適な実施形態では、これらの表面同士は平行である。これらの実施形態の両方において、第1と第2の曲面は光を放射状に反射し、それによって明るい内部と明るい外部を持ち、暗いエッジを有する(輪郭図のような)画像の形態をした、改良された光学効果を提供する。これらの光学効果は、「より粗い」凹部を使用することでさらに改良され、より一貫したシャープさを有する明快な画像が提供される。
【0181】
図22では、凸型表面曲率を持った上部弧形面を有する弧形要素48のパターンが示されている。前の実施形態とは違って、
図22の弧形要素48は完全な凸型半球ではなく、部分的な凸型半球である。このシステムを画像レリーフ微細構造50に面する側から見ると、システムは1又は複数の明るい画像を投影するが、これらの微細構造50の反対側から見ると、システムは全く画像を投影しないか、1又は複数の弱い画像を投影する。
【0182】
図23では、凹型表面曲率を持つ上部弧形面を有する弧形要素52のパターンが示されている。ここで、弧形要素52は完全な凹型半球ではなく、部分的な凹型半球である。上と同様に、このシステムを画像レリーフ微細構造54に面する側から見ると、システムは1又は複数の明るい画像を投影するが、これらの微細構造54の反対側から見ると、システムは全く画像を投影しないか、1又は複数の弱い画像を投影する。
【0183】
(+)レリーフの画像レリーフ微細構造の上部表面と、(−)レリーフの画像レリーフ微細構造の下部表面は、
図18〜
図23では同一高さ又は同一面上にあるように示されているが、これは本発明の実行に必要ではない。
【0184】
単層画像投影システムと、特に弧形要素及び画像レリーフ微細構造は、アクリル、アクリル化ポリエステル、アクリル化ウレタン、エポキシ、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエステル、ウレタンなどのような実質的に透明または鮮明、有色または無色のポリマーのような種々の材料で形成され得る。Hoffmullerらへの米国特許第8,557,369号に記載されているような、屈折率(589nm、20℃)が1.5、1.6、1.7又はそれ以上の高屈折率で、有色又は無色の材料もまた、本発明の実行に使用され得る。
【0185】
弧形要素と画像レリーフ微細構造は、反射性微粒子粉体を含む組成物からも形成することができる。当業者にはすぐに理解されるように、結果として得られるシステムは、1又は複数の反射層を付加する必要なしに反射型である。
【0186】
上記の例示的実施形態に加えて、画像レリーフ微細構造は、上部弧形面に一致する、パターン化された反射性(例えば金属の)被覆によって形成されてもよい。この実施形態では、凸型又は凹型の上部弧形面のそれぞれは、反射型ゾーンおよび非反射型ゾーンの反射型パターンを備えている。
【0187】
レーザ、フォトリソグラフィ、エッチング、小規模3D印刷、機械加工などを含む、単層画像投影システムを形成するための好適な方法及び技術は既に述べた。
【0188】
本発明の単層画像投影システムの例示的な製造方法には、Steenblikらに対する米国特許第7,333,268号、Steenblikらに対する米国特許第7,468,842号、及びSteenblikらに対する米国特許第7,738,175号に記載されているような、凹型弧形要素の反復パターンを組み込むレンズツールが使用される。レンズツールは、反射性金属で被覆され、次いで、レンズツールのリセス又はカップ(すなわち弧形画像生成面によって画定される領域)がフォトレジストで充填若しくは部分充填される。画像レリーフ微細構造の所望の反復パターンに一致する、画像アイコンの反復パターンを組み込むフォトマスクがレンズツール上に配置され、リセス又はカップにあるフォトレジストがフォトマスクを介して平行紫外(UV)光で露光される。フォトマスクの画像アイコンがUV光を遮蔽して、充填又は半充填された、メタライズされたリセス又はカップ上に影を形成させる。結果として、凹型弧形要素はこれらの影領域で、硬化されないか完全には硬化されず、それによってメタライズされた表面に凹部が形成させられる。結果として得られる、凹部(すなわち画像レリーフ微細構造の反復パターン)を有する、凹型弧形要素の反復パターンが、それ以上のエンボス面形成を必要としないで、上述したような光学効果を生成する。
【0189】
これらの他の意図された実施形態により達成される光学効果は、上に記載されており、また、Steenblikらに対する米国特許第7,333,268号、Steenblikらに対する米国特許第7,468,842号、及びSteenblikらに対する米国特許第7,738,175号にも記載されている。光学効果としては、システムの傾斜に従い、又は視角の変化に従い、これに限らないが、視差直交(orthoparallactic)移動又は運動、フロート(float)、ディープ(deep)、浮揚(levitate)、モーフ(morph)、及び/又は3D効果などを含む、移動又は運動がある。ただしこれに限るものではない。具体的には、本発明のシステムは1又は複数の拡大モアレ画像を投影することができ、その拡大モアレ画像は、
i.システムを傾斜させるか又は異なる視角から見ることで移動を示す。
ii.システムの厚さよりも深い空間面上にあるように見える。
iii.システム表面よりも上の空間面上にあるように見える。
iv.システムが方位角方向に回転すると、システムより深い空間面とシステム表面より上の空間面との間で振動する。
v.システムが方位角方向に回転されるか、異なる視点から観察されると、1つの立体形状、平面形状、寸法、及び/又は色から、異なる立体形状、平面形状、寸法、及び/又は色へ変化する。
vi.3次元画像として見える。
【0190】
本発明の単層画像投影システムは、単独使用又は多層画像投影システムとの組合せ使用が可能であり、これに限らないが、バンド、ストリップ、ストライプ、スレッド、又はパッチを含む任意の形状を取ることができる。また、標的とする表面に直接形成、又は後で標的とする表面に転写するために自立デバイスとして形成することができる。
【0191】
自立デバイスとしての本発明のシステムは、弧形要素と画像レリーフ微細構造の反復パターンをキャリアフィルム(又は他の基材)上の透明物質から形成することによって準備されてもよい。反復する上部弧形面と微細構造は、次に金属で被覆(メタライズ)される。元の構造は透明なので、このシステム又はデバイスは両サイドで画像を投影する。メタライズされた反復する上部弧形面の上に接着剤が塗布される。そうして、標的表面にすぐに転写可能なデバイスが得られる。接着剤が標的表面に押し付けられて、接着剤が活性化され、標的表面とデバイスの間に結合が形成される。キャリフィルムが剥離され、自立した構造が残される。これは、この段階で微細構造は透明物質に包装されているという利点を持つ。これにより、汚れや他の有害な環境効果に対してより強くなる。
【0192】
本発明のシステムの厚さには制限がなく、マイクロ規模システム用の非常に薄い(すなわち、数μmあるいはおそらくもっと薄い)ものから、マクロ規模システム用の非常に厚い(すなわち数インチ、数フィートなど)ものまでに及ぶことができる。
【0193】
本発明はさらに、本発明のシステムから作られた、あるいは本発明のシステムを使って作られた繊維状及び非繊維状(例えばポリマー)シート物質と、これらの物質(例えば紙とポリマー通貨)から作られた文書とをさらに提供する。本明細書で使用される「文書」という用語は、銀行券又は通貨、債券、小切手、旅行者小切手、宝くじ券、郵便切手、株券、権利証書などの経済的価値を有する文書、パスポート、IDカード、運転免許証などの身分証明書、及びラベルなどの非セキュア文書を含む、任意の種類の文書を指す。本発明の単層画像投影システムは、商品(コンシューマ又は非コンシューマ商品)、並びにこれらの商品とともに使用されるバッグ、包装又はラベル、と共に使用することも考えられる。
【0194】
本発明システムに対する、その他の考えられる最終用途としては、広告及びマルチメディアディスプレイ(例えば、広告板、交通及び工業用安全標識、マーケティングやトレードショー目的の商業ディスプレイ)、車両の外観を向上させる製品(例えば、デカール、ラップ)、装飾用ラップ及び壁紙、シャワーカーテン、美術品ディスプレイ、などの大寸法画像を投影する製品が含まれる。
【0195】
添付の特許請求の範囲のデバイス、システム及び方法は、請求の範囲のいくつかの態様の説明を意図した、本明細書に記述した特定のデバイス、システム及び方法によって、範囲を限定されるものではない。機能的に等価であるあらゆるデバイス、システム及び方法は、特許請求の範囲内にあることが意図される。本明細書に示し説明したものに加えて、デバイス、システム及び方法の様々な変更は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。さらに、本明細書に開示した特定の代表的デバイス、システム及び方法ステップのみが具体的に説明されたが、デバイス、システム及び方法ステップの他の組み合わせもまた、たとえ具体的に列挙されていなくても添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。したがって、ステップ、要素、構成要素又は構成成分の組合せは、本明細書で明示的に言及されてもよいし、それ以下であってもよい。ただし、明示的に記述されないとしても、ステップ、要素、構成要素又は構成成分の他の組合せも含まれる。
【0196】
本明細書で使用される用語「備える」及びその変化形は、用語「含む」及びその変化形と同義語的に使用され、かつ開かれた非限定の用語である。用語「備える」及び「含む」は本明細書において様々な実施形態の説明に使用されたが、用語「から本質的になる」及び「からなる」は、「備える」及び「含む」の代わりに使用されて、本発明のより特定の実施形態を提供し、かつ開示される。注記された以外では、本明細書および特許請求の範囲で使用される、幾何形状、寸法等を表すすべての数字は、均等論の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、最低限でも有効桁数と通常の丸め方法の数に照らして解釈されるべきであることが理解されるべきである。
【0197】
他の定義がされない限り、本明細書に使用のすべての技術的及び科学的用語は、本開示が属する分野の当業者に普通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に引用した刊行物及び引用された資料は参照により具体的に取り込まれる。