(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875402
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】冷間ピルガー圧延機
(51)【国際特許分類】
B21B 13/18 20060101AFI20210517BHJP
B21B 21/00 20060101ALI20210517BHJP
B21B 31/08 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
B21B13/18 A
B21B21/00
B21B31/08 J
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-533657(P2018-533657)
(86)(22)【出願日】2016年12月20日
(65)【公表番号】特表2019-503871(P2019-503871A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】EP2016081913
(87)【国際公開番号】WO2017108784
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2019年10月23日
(31)【優先権主張番号】102015122701.0
(32)【優先日】2015年12月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515157459
【氏名又は名称】サンドヴィック マテリアルズ テクノロジー ドイチュラント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フロベーゼ, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヘッドバール, クリストファー
【審査官】
米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−029508(JP,A)
【文献】
特開平03−207509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 13/00〜13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空体(9)をチューブに成形するための、ピルガー圧延機であって、
一つの運動方向に直線運動可能であるように支承された第1のロールスタンド(1)であって、前記ロールスタンド(1)には、中空体(9)をチューブに成形するための二つのローラー(2,3)が、それぞれのシャフトに回転自在に支承されており、前記ローラー(2,3)のうちの一方が、駆動ギア(6)とともに、シャフトに配設されており、前記駆動ギア(6)が、固定式ギアラック(5)と噛み合っており、前記ギアラック(5)が、前記ロールスタンド(1)の並進運動によって、前記駆動ギア(6)および前記ローラー(2,3)の回転運動が引き起こされるように、ギアラックホルダ(4)に取り付けられている、第1のロールスタンド(1)と、
該ピルガー圧延機の運転中に、駆動モータの回転運動を、連結ロッドを介して、前記ロールスタンド(1)の振動する並進運動に転換するようになっている、前記ロールスタンド(1)に接続されたクランクドライブと、
を有している、ピルガー圧延機において、
前記第1のロールスタンド(1)を、その第1の寸法とは異なる第2の寸法を有する第2のロールスタンド(1’)と交換可能であるように、前記ギアラックホルダ(4)が構成されていて、
前記ギアラック(5)を、前記ローラー(2,3)の前記シャフトに対して平行な向きに互いから離間している最低でも二つのポジションのところで、前記ギアラックホルダ(4)に収容可能であるように、前記ギアラックホルダ(4)が構成されている、
ピルガー圧延機。
【請求項2】
前記ギアラック(5)を、前記ローラー(2,3)の前記シャフトに対して垂直であるとともに、前記ロールスタンド(1)の前記運動方向に対しても垂直である向きに互いから離間している最低でも二つのポジションのところで、前記ギアラックホルダ(4)に収容可能であるように、前記ギアラックホルダ(4)が構成されており、前記ローラー(2,3)の前記シャフトに対して垂直であるとともに、前記ロールスタンド(1)の前記運動方向に対しても垂直である向きへの、前記各ポジション間の距離が、最低でも10mmである、請求項1に記載のピルガー圧延機。
【請求項3】
該ピルガー圧延機が、前記各ローラー(2,3)の前記各シャフトに対して垂直に延びる基準面(11)に対して鏡面対称に配設された二つのギアラックホルダ(4)を、そこに取り付けられるギアラック(5)とともに、有しており、前記両ローラー(2,3)のうちの一方が、前記基準面(11)を挟んで両側に、駆動ギア(6)を一つずつ担持しており、前記両駆動ギア(6)が、それぞれ一つのギアラック(5)と噛み合っており、前記ローラー(2,3)間に受け入れられることになる前記中空体(9)の円筒軸が、前記基準面(11)内に位置している、請求項1または2に記載のピルガー圧延機。
【請求項4】
前記ギアラックホルダ(4)が、前記ロールスタンド(1)の前記運動方向に対して平行に延びる軸線まわりに、前記ロールスタンド(1)から遠ざかることができるように、可倒式に配設されており、それにより前記ロールスタンド(1)の急速交換が可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載のピルガー圧延機。
【請求項5】
前記ギアラックホルダ(4)が、前記ロールスタンド(1)の前記運動方向に対して平行に延びる軸線まわりに可倒式に配設されており、前記ギアラックホルダ(4)を、前記ローラー(2,3)の前記シャフトに対して垂直な向きに油圧方式により緊締可能であり、それにより前記ギアラックホルダ(4)が、該ピルガー圧延機の運転中には、前記基準面(11)に対して平行な向きに作用する様々な力を受け止める、請求項3に記載のピルガー圧延機。
【請求項6】
前記ギアラックホルダ(4)またはその複数の部材を、別のギアラックホルダ(4’)またはその複数の部材と交換可能であり、それにより前記ギアラック(5)を、前記ギアラックホルダ(4)に、前記ローラー(2,3)の前記シャフトに対して平行な向きに互いから離間している最低でも二つのポジションのところで収容可能である、請求項1から5のいずれか一項に記載のピルガー圧延機。
【請求項7】
前記ロールスタンド(1)が、浮動式滑り軸受内に、可動式に支承されており、前記ローラー(2,3)の前記シャフトに対して垂直であるとともに、前記ロールスタンド(1)の前記運動方向に対しても垂直である向きへの、前記駆動ギア(6)と前記ギアラック(5)間の遊びの調整を可能とするように、前記滑り軸受が構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のピルガー圧延機。
【請求項8】
前記ローラー(2,3)が上下に重ね合せて配設されており、前記両ローラー(2,3)の前記シャフトが、互いに噛み合っている二つの歯車を介して、前記両ローラー(2,3)のうちの一方の回転運動により、前記両ローラー(2,3)のうちの他方のそれとは逆向きの回転運動がもたらされるように、互いに接続されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のピルガー圧延機。
【請求項9】
前記ローラー(2,3)の前記シャフトがいずれも、最低でも一つの軸受を有しており、前記両ローラー(2,3)のうちの一方の最低でも一つの軸受と、前記両ローラー(2,3)のうちの他方の一つの軸受とが、油圧方式により互いに対して緊締されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のピルガー圧延機。
【請求項10】
連結ロッドを受け入れているリフトピンの偏心距離により決まる、前記ロールスタンド(1)のストローク長さが、加工可能な最大管径に合わせて設定されて、加工可能な全ての管径に対して不変となっている、請求項1から9のいずれか一項に記載のピルガー圧延機。
【請求項11】
連結ロッドを受け入れているリフトピンの偏心距離(21)により決まる、前記ロールスタンド(1)のストローク長さが、加工可能な異なる管径に合わせてまちまちに設定可能である、請求項1から9のいずれか一項に記載のピルガー圧延機。
【請求項12】
クランクドライブのクランクシャフトが、共回りするバランスマス(16)を有しており、該ピルガー圧延機に収容された第1のロールスタンド(1)から加えられる1次のモーメントが補償される、またはほぼ補償されるように、前記バランスマス(16)が構成されており、前記第1のロールスタンド(1)の質量が、第2のロールスタンド(1’)の質量よりも小さい、請求項1から11のいずれか一項に記載のピルガー圧延機。
【請求項13】
該ピルガー圧延機が、共回りするバランスマス(18)を備えたバランスシャフト(17)を有しており、該ピルガー圧延機の運転中には、前記バランスシャフト(17)が前記クランクシャフトの2倍の角速度で回転するように、前記クランクシャフトと前記バランスシャフト(17)とが互いに作用し合うように接続されており、ピルガー圧延機に収容された第1のロールスタンド(1)から加えられる1次のモーメントが補償される、またはほぼ補償されるように、前記バランスマスが構成されており、前記第1のロールスタンド(1)の質量が、前記第2のロールスタンド(1’)の質量よりも小さい、請求項12に記載のピルガー圧延機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
中空体をチューブに成形するためのピルガー圧延機であって、一つの運動方向に直線運動可能であるように支承された第1ロールスタンドを有し、このロールスタンドに、
中空体をチューブに成形するために、二つの
ローラーが、それぞれのシャフトまわりに回転自在に支承されており、これらの
ローラーのうちの一方が、駆動
ギアと一緒にシャフトまわりに配設されており、この駆動
ギアが固定式
ギアラックと噛み合っており、この
ギアラックが、ロールスタンドの並進運動によって、この駆動
ギアと
ローラーの回転運動が引き起こされるように、
ギアラックホルダに取り付けられており、さらに、ピルガー圧延機の運転中には、駆動モータの回転運動を、プッシュロッドを介して、ロールスタンドの振動する並進運動に転換するようになっている、ロールスタンドに接続されたクランクドライブとを有している、ピルガー圧延機に関する。
【背景技術】
【0002】
特に鋼製の精密金属管を製造するためには、引き延ばされた中空円筒状の素管の圧縮応力による縮径加工が行われる。その際にはこの素管に成形加工が施されて、ある縮径後の定義済み外径と、ある定義済み肉厚とを有するチューブを得ている。
【0003】
最も広く普及しているチューブ用の縮径加工方案として知られるのが、冷間ピルガー圧延であるが、そこではこの素管を
中空体(Luppe)と呼んでいる。圧延の際にはこの
中空体が、チューブ完成品の内径を定義するようになっているテーパ付き圧延マンドレルに沿って押し込まれて、またその際には、同じくチューブ完成品の外径を定義するようになっている孔型が切られた二つの
ローラーにより、外側から挟み込まれて、圧延マンドレルに沿って長手方向に圧延されるようになっている。
【0004】
この冷間ピルガー圧延の間には、
中空体が圧延マンドレルに向かって、もしくはこれを通り越すように、段階的に送られる一方で、それぞれの
ローラーは回転しながらマンドレルに沿って、ひいては
中空体に沿って、水平方向に往復運動を行うようになっている。そこではこれらの
ローラーを回転自在に支承しているロールスタンドにより、
ローラーの水平運動が規定されることになる。このロールスタンドは、公知の冷間ピルガー圧延機においては、クランクドライブを利用して、圧延マンドレルに対して平行な方向に往復運動されるようになっている。
【0005】
このクランクドライブは、実施形態の一例においては、ロールスタンドの往復運動時にそれぞれの転向点で解放される運動エネルギを蓄えて、運動方向の転換後には引き続いてロールスタンドを加速するためにこのエネルギを使用するようになっている、トルク/マスバランスシステムに、接続されている。これに対して
ローラー自体は、それぞれの回転運動を、ロールスタンドに対して相対位置を固定された
ギアラックから得るようになっているが、この
ギアラックには、それぞれのロール軸に固定接続された
ギアが噛み合っている。
【0006】
フィード用クランプキャリッジは、
中空体と一緒に、圧延マンドレルに沿っていわゆる送り方向に運動される。ロールスタンド内に垂直方向に重なり合うように配設される、テーパ付きの孔型が切られたそれぞれの
ローラーは、フィード用クランプキャリッジによって
中空体が固定保持される間に、逆方向に同じ角速度で回転する。その際に両方の
ローラーはいずれも、
中空体の円筒軸に対して平行な同じ向きに、送り方向とは逆方向に、
中空体の外筒面上を転動するようになっている。
【0007】
実質的に円形の孔型が切られているこれらの
ローラーのカリバー形状は、連続的に小さくなっていき、カリバーの最後の断面のところでチューブ完成品の直径に達している。一般にこのカリバー形状の断面は、ピルガー圧延パスラインのテーパしたインレット部(Pilgermaul)と、形状が不変である円形のスムージングカリバー(Glaettkaliber)と、それに続く若干大きくなっていくアウトレット部とから成るワーキングカリバー(Arbeitskaliber)と、一回り大きい開口部を有するアイドルカリバー(Leerlaufkaliber)とから成っている。
中空体はそれぞれの
ローラーにより形成されるインレット部により掴まれて、小径の軸状素材がそれぞれの
ローラーによって外側から圧延されて、
ローラーのスムージングカリバーと圧延マンドレルとによって、予定される肉厚へと引き伸ばされて、最後に
ローラーのアイドルカリバーによって、チューブ完成品が解放される。この圧延の間にロールスタンドは、これに取り付けられたそれぞれの
ローラーと一緒に、
中空体の送り方向とは逆方向に運動される。
中空体が、
ローラーのアイドルカリバーに到達した後には、フィード用クランプキャリッジを利用してさらにもう一段、圧延マンドレルに向かって送られる一方で、
ローラーはロールスタンドと一緒にその水平な初期位置に戻るようになっている。それと同時に
中空体がその軸線まわりに回転されることによって、チューブ完成品の周方向にも一様な形状が達成されるようにしている。チューブ各部を何度も繰り返して圧延することによって、チューブの一様な肉厚と真円度とならび、一様な内径および外径が達成される。
【0008】
従来技術にしたがったピルガー圧延機は、それぞれの仕上げ管の内径および外径の値が狭い範囲内に仕上げ管の生産に限定されている、というのも、それぞれのピルガー圧延機において使用されるロールスタンドは、例外なく、それにより加工することができるチューブの内径および外径を狭い範囲内に限定して設計されたものであるからである。したがって、仕上げ管の内径および外径に関して可能な限り多彩な仕様を当該販売市場に提供するためには、備えられるロールスタンドを異にするピルガー圧延機を多数そろえておく必要がある。この場合は、加工対象であるチューブの内外径に対するその時々の要求項目に応じて、ロールスタンドを選択することが要求される。
【0009】
より大径の仕上げ管を製造するためには、ロールスタンドの幅およびその中で使用されるそれぞれの
ローラーの直径に関して、より大型のロールスタンドが必要となる。ロールスタンドの大型化に伴い、ロールスタンドの質量も増大する。
【0010】
ある特定のサイズを有するロールスタンドは、このパラメータ範囲内であれば
中空体の加工が、最善の形で、すなわち可能な限り一様に、行われるとされる、作製対象であるチューブの内外径のある特有のパラメータ範囲を対象として、設計されている。このパラメータ範囲から外れたチューブについても、圧延は可能ではあるが、しかしその場合は
ローラーが、それぞれの最適範囲外で作動することになる。その結果、加工プロセスの精度は低下し、仕上げ管の品質は、最適パラメータ範囲内で加工された仕上げ管と比べて劣悪なものとなる。
【0011】
従来技術にしたがった方法では、任意のピルガー圧延機において、ある特定のロールスタンドと、これに収容される
ローラーセットとを使用しない限り、加工対象となるある具体的な内径と外径とを持つチューブを製造するのは不可能である。仕上げ管の外径の値については、ロールスタンドのそれぞれの
ローラーを第2の
ローラー対と交換することによって、狭い範囲だけに限られてはいるが、拡張することができる。この第2の
ローラー対の
ローラーは、第1の
ローラー対の
ローラーとは、それぞれのカリバー形状に関して相違している。第2のロールスタンドの
ローラーのカリバー形状は、第1のロールスタンドの
ローラーのカリバー形状とは、
ローラーの周方向への構成方式を異にしているために、それによって直径がほんの僅かだけ異なる
中空体を、第2の
ローラー対のインレット部で掴んで、スムージングカリバーで成形して、仕上げ管を解放するためにアウトレット部からアイドルカリバーに引き渡すことができる。それにより仕上げ管の外径を、ある一定の狭い値の範囲内で変更できるようになっている。
【0012】
この場合は、第2の
ローラー対のそれぞれの
ローラーを、ピルガー圧延機のロールスタンドになおも組付け可能であるものとすることによって、加工対象である管径の限界値のこのような拡張がもたらされることになる。この要件を満たすためには、一方では第2の
ローラー対の
ローラーを、それぞれの円筒軸に対して平行な大きさに関して、ロールスタンドの幅に対して適合化することが、条件として求められる。他方ではその前提として、第2の
ローラー対の
ローラーの直径が、第1の
ローラー対の
ローラーの直径と同一であることが求められるが、それにより、それぞれの
ローラーの回転軸のポジションを不変とすることができる。
【0013】
しかしながら
ローラーの段取り替えには多くの時間が必要であり、その結果、ピルガー圧延機のダウンタイムの延長とならび、コストアップを来している。
【発明の概要】
【0014】
このような背景事情のもと、本発明が解決しようとする課題は、同じピルガー圧延機において、従来技術にしたがった狭い値の範囲からさらに拡張された、ある一定の値の範囲内に内径および外径がある、様々なチューブの作製を可能にする、ピルガー圧延機を提供することにある。それに加えて本発明の課題は、同じピルガー圧延機において、作製対象である管径に関してより大きなフレキシビリティを担保することにある。本発明のさらにもう一つの課題は、ピルガー圧延機のダウンタイムの短縮とならび、ピルガー圧延機の各
ローラーのより速やかな交換を可能にすることにある。
【0015】
これらの課題の内の少なくとも一つは、本発明によれば、
中空体に成形加工を施してチューブを得るためのピルガー圧延機であって、直線運動可能であるように支承された第1のロールスタンドを有し、このロールスタンドに、
中空体に成形加工を施してチューブを得るために、二つの
ローラーが、それぞれのシャフトまわりに回転自在に支承されており、これらの
ローラーのうちの一方が、駆動
ギアと一緒に、同じ一本のシャフトまわりに配設されており、この駆動
ギアが固定式
ギアラックと噛み合っており、この
ギアラックが、ロールスタンドの並進運動によって、この駆動
ギアと
ローラーの回転運動が引き起こされるように、
ギアラックホルダに取り付けられており、さらに、ピルガー圧延機の運転中には、駆動モータの回転運動を、プッシュロッドを介して、ロールスタンドの振動する並進運動に転換するようになっている、ロールスタンドに接続されたクランクドライブとを有している、ピルガー圧延機において、第1のロールスタンドを、その第1の寸法とは異なる第2の寸法を有する第2のロールスタンドと交換可能であるように、
ギアラックホルダが構成されている、ピルガー圧延機によって解決される。
【0016】
本発明にしたがった
ギアラックホルダにより、同じ一台のピルガー圧延機において内外径が異なる様々なチューブを製造可能であるように、圧延後のチューブ完成品の製造されなければならない管径に対して低コストで適合させることができる、ピルガー圧延機を提供することが可能となる。それに加えて、圧延後のチューブ完成品の管径に対する様々な要求項目に対してロールスタンドが適合化されることによって、チューブ完成品の正確さならびに精度が向上する。
【0017】
ロールスタンドの寸法という概念には、本発明の主意においては、長さ、幅、高さの3次元の寸法、およびそれ以外にも
ローラーならびに駆動
ギアの、それぞれの直径に関する寸法も包摂される。
【0018】
本発明の実施形態の一例においては、第1のロールスタンドが、第2のロールスタンドとは異なる質量を有している。
【0019】
本発明の実施形態の一例においては、第1および第2のロールスタンドが、互いに異なる(運動方向に対して垂直な)幅と質量とを有している。
【0020】
本発明の実施形態の一例においては、
中空体の材料は、いずれかの非合金鋼、いずれかの低合金鋼、およびいずれかの高合金鋼、またはそれらの任意の組み合わせから成る群から選択されている。さらにもう一つの実施形態においては、
中空体がステンレス鋼から製造されている。
【0021】
ほかにもさらに本発明にしたがった
ギアラックホルダにより、とりたてて言うほどのタイムロスもなく、ロールスタンドを寸法が異なる第2のロールスタンドと簡単に交換することが可能となる。従来の
ローラーの段取り替え方法とは対照的に、ロールスタンドの交換に起因する運転休止時間を大幅に低減することが可能であり、それにより圧延機の生産性を大幅に増大することができる。
【0022】
本発明の実施形態の一例においては、
ギアラックを、それぞれの
ローラーのシャフトに対して平行な向きに互いから離間している最低でも二つのポジションのところで、
ギアラックホルダに収容可能であるように構成されている
ギアラックホルダを備えて、ピルガー圧延機が構成されている。
【0023】
本発明にしたがった
ギアラックホルダにより、ロールスタンドの駆動
ギアが、それぞれの
ローラーのシャフトに対して平行な向きに互いから離間している最低でも二つのポジションのところで、
ギアラックホルダに取り付けられた
ギアラックと噛み合い可能であることを、可能としている。それにより、幅が二通りあるロールスタンドを最低でも二つ、同じピルガー圧延機に組み付けることができるが、ここで本出願に言うロールスタンドの幅とは、それぞれの
ローラーのシャフトに対して平行な向きのロールスタンドの大きさであると定義されるものである。これは、
ローラーの直径が大きくなるほど、ロールスタンドもまた、よりずっしりとした頑丈なものに構成され、それに伴いロールスタンドの幅も最終的に増大する点で、有意である。
【0024】
本発明の実施形態の一例においては、
ギアラックを、それぞれの
ローラーのシャフトに対して垂直であるとともに、ロールスタンドの運動方向に対しても垂直である向きに互いから離間している最低でも二つのポジションのところで、
ギアラックホルダに収容可能であるように構成されている
ギアラックホルダを備えて、ピルガー圧延機が構成されており、そこではそれぞれのポジション間の個々の距離が最低でも10mmとなっている。これについて、実施形態の一例においては、このポジション間の距離とは、それぞれの
ローラーのシャフトに対して垂直であるとともに、ロールスタンドの運動方向に対しても垂直である向きに測った、それぞれの歯先の位置の間の距離であると解釈されるようになっている。
【0025】
したがって
ギアラックは、最低でも二つの互いから離間しているポジションを取ることによって、上下位置を調節できるようになっており、その際にそれぞれのポジション間の個々の距離が最低でも10mmとなっており、このため、それぞれの
ローラーの回転軸は、最低でも二通りの相互間距離を有することになる。それにより、
ローラー径が互いに異なる二つのロールスタンドを、同じピルガー圧延機に組付け可能であることを、可能としている。そこでは上側または下側の
ローラー、好適には下側の
ローラーのシャフトまわりの駆動
ギアが、その時々の
ローラー径に適合されている一方で、それにもかかわらずこの駆動
ギアは、
ギアラックと噛み合うことができるようになっている。
【0026】
別の実施形態においては、それぞれのポジション間の個々の距離が最低でも20mmとなっている。これに対してさらにもう一つの実施形態においては、それぞれのポジション間の個々の距離が最高でも100mmとなっている。さらにもう一つの実施形態においては、それぞれのポジション間の個々の距離が最高でも40mmとなっている。
【0027】
両方の
ローラーのうちの一方と一緒に、同じ一本のシャフトまわりに配設されているこの駆動
ギアは、その回転運動をこの
ローラーに伝達するようになっており、このため、導入可能な様々な
ローラー径を用いることによって、それぞれにつきある狭い範囲内で、管径を高い正確さで加工することができる。それにより、品質損失を甘受する必要なく、同じピルガー圧延機を使用して製造することができる、圧延後のチューブ完成品の内外径の値の範囲が、拡張されることになる。
【0028】
本発明のさらにもう一つの実施形態が、それぞれの
ローラーのシャフトに対して垂直に延びる基準面に対して鏡面対称に配設された二つの
ギアラックホルダを、そこに取り付けられる
ギアラックともども有している、ピルガー圧延機である。そこでは両方の
ローラーのうちの一方の、好適には下側の
ローラーのシャフトが、この基準面を挟んで両側に駆動
ギアを一つずつ担持しており、その際には両方の駆動
ギアがいずれも
ギアラックの一方と噛み合っており、さらにその際にはそれぞれの
ローラー間に受け入れられることになる
中空体の円筒軸が、この基準面内に位置するようになっている。
【0029】
ギアラックホルダに取り付けられる
ギアラックが、この基準面に対して鏡面対称に配置されることによって、圧延プロセスに干渉作用を及ぼすトルクの発生が低減される、というのも、発生するトルクは、鏡面対称の配置方式により、互いに補償し合うからである。その結果、そのような鏡面対称の配置方式により、ピルガー圧延機の個々のコンポーネントの摩耗が大幅に低減されることになる。その成果は、運転コストならびに修理コストの削減となって現れ、それによりピルガー圧延機は一段と経済的なものとなる。
【0030】
本発明のさらにもう一つの実施形態においては、ピルガー圧延機が、ロールスタンドの運動方向に対して平行に延びる軸線まわりに、ロールスタンドから遠ざかることができるように可倒式に配設された、
ギアラックホルダを有しており、それによりロールスタンドの急速交換が可能となる。
【0031】
この、ロールスタンドから遠ざかることができるように
ギアラックホルダが可倒式である、という表現は、
ギアラックホルダのための一種の跳ね上げ機構を説明したものである。
ギアラックホルダをロールスタンドから跳ね上げてそこから遠ざけることによって、例えばクレーンを利用してロールスタンドを持ち上げる際には、
ギアラックホルダに邪魔されることなく、ロールスタンドに自由にアクセスできるようになる。したがってピルガー圧延機からロールスタンドを、それぞれの
ローラーのシャフトに対して垂直であるとともに、ロールスタンドの運動方向に対しても垂直である向きに、何物にも妨げられることなく簡単に取り出すことができる。
【0032】
本発明のさらにもう一つの実施形態においては、ピルガー圧延機が、ロールスタンドの運動方向に対して平行に延びる軸線まわりに可倒式に配設された
ギアラックホルダを有しているが、そこではこの
ギアラックホルダを、それぞれの
ローラーのシャフトに対して垂直な向きに油圧方式により緊締できるようになっており、それによりピルガー圧延機の運転中には、この
ギアラックホルダが、基準面に対して平行な向きに作用する様々な力を受け止めるようになっている。
【0033】
背圧もしくは反力を供給することによって、圧延運転の間に発生する大きな力やトルクについても、
ギアラックによって受け止めることが可能となる。機械式のクランピングナットの代わりに油圧式のナットを使用することによって、組付け作業時の時間が節約される上に、より簡単な取扱いを可能としている。
【0034】
本発明の実施形態の一例においては、ピルガー圧延機の
ギアラックホルダまたはその複数の部材を、別の
ギアラックホルダまたはその複数の部材と交換できるようにすることによって、
ギアラックを、
ギアラックホルダに、それぞれの
ローラーのシャフトに対して平行な向きに互いから離間している最低でも二つのポジションのところで収容できるようにしている。
【0035】
したがって、第1の
ギアラックホルダを第2の
ギアラックホルダと交換して、それぞれの
ローラーのシャフトに対して平行な向きに、第1の
ギアラックホルダのポジションから離間している第2のポジションに入れ替えることが可能であることによって、幅を異にしている最低でも二つのロールスタンドの幅に対して
ギアラックホルダを適合可能であることを、可能としている。
【0036】
好ましい実施形態の一例においては、
ギアラックホルダが二分割式に構成されて、ベースキャリヤとアダプタプレートから成っている。そこではベースキャリヤが、ロールスタンドの運動方向に対して平行に延びる軸線まわりに、ロールスタンドから遠ざかることができるように可倒式に配設されている。アダプタプレートは、ベースキャリヤに簡単に装着可能であるために、
ギアラックホルダに取り付けられた
ギアラックは、それぞれの
ローラーのシャフトに対して平行な向きに互いから離間している最低でも二つのポジションを取ることができる。それぞれの
ローラーのシャフトに対して平行な向きのサイズが異なる様々なアダプタプレートを、そのようにベースキャリヤ上に装着したり、これらのアダプタプレートをベースキャリヤから取り外したりすることによって、幅を異にする最低でも二つのロールスタンドの幅に対して、さらに場合によってはそのそれぞれの
ローラーのシャフトのポジションに対して、
ギアラックホルダに取り付けられる
ギアラックを簡単に適合させることができる。
【0037】
この場合はさらにもう一つの長所として、
ギアラックホルダ全体を交換する場合とは対照的に、アドオンユニットをただ単に装着するおよび/または取り外すことによって、可倒式
ギアラックホルダの開閉運動に影響が出たり、いわんや支障を来したりすることはないために、
ギアラックホルダの開閉運動時の旋回軸となる軸線の再調整が不要となる点を挙げられる。本発明の別の実施形態においては、ピルガー圧延機が、浮動式滑り軸受内に、好適には油圧昇降式のキャリッジ上に、可動式に支承されたロールスタンドを有している。そこではこの滑り軸受が、それぞれの
ローラーのシャフトに対して垂直であるとともに、ロールスタンドの運動方向に対しても垂直である向きの、駆動
ギアと
ギアラック間の遊びの調整を可能とするように、構成されている。
【0038】
メンテナンスフリーで低摩耗の滑り軸受を使用してキャリッジをガイドすることには、別途必要となる潤滑剤が皆無であるという長所がある。それにより、駆動
ギアと
ギアラックとの噛み合いを極めて精確に確定することができるために、時間の経過に伴い発生する摩耗現象を低減することができるが、それに伴い、材料コストの節減とならび、ピルガー圧延機のダウンタイムの短縮によるコストメリットももたらされることになる。
【0039】
本発明のさらにもう一つの実施形態においては、ピルガー圧延機が垂直方向に重なり合うように配置される二つの
ローラーを有しており、そこでは、両方の
ローラーのうちの一方の回転運動によって、両方の
ローラーのうちの他方の逆方向への回転運動がもたらされるように、両方の
ローラーのシャフトが、互いに噛み合っている二つの歯車を介して、互いに接続されている。
【0040】
本発明の実施形態の一例においては、ピルガー圧延機のそれぞれの
ローラーのシャフトがいずれも、最低でも一つの軸受を有しており、そこでは両方の
ローラーのうちの一方の最低でも一つの軸受と、両方の
ローラーのうちの他方の一つの軸受とが、油圧方式により互いに対して緊締されている。
【0041】
両方の
ローラーの軸受がそのように油圧方式により互いに対して緊締されることによって、ロールギャップを極めて精確に調整することが可能となる。これは、加工対象であるチューブの品質にプラスの形となって表れ、ロールギャップの精確な調整により、圧延プロセスの間にはチューブの極めて一様な賦形が行われることになる。ほかにもさらに、
ローラーが運転中にすり減ることによって被る摩耗を、ロールギャップの正確な調整を通じて低減することができる。
【0042】
本発明のさらにもう一つの実施形態においては、プッシュロッドを受け入れているリフトピン(Hubzapfen)の偏心距離により決まるロールスタンドのストローク長さが、加工可能な最大管径に合わせて設定されて、加工可能な全ての管径に対して不変となっている。
【0043】
圧延プロセスを高い正確さと品質で実施するためには、加工対象である管径が大きくなるほど、それぞれの
ローラーの直径も大きくしなければならない。
ローラーの大径化は、ロールスタンドの質量増大と抱き合わせになっている。その結果圧延力も増大する。単位面積当たりのエネルギ分布が不変であることを担保するために、圧延力の増大に伴い、圧延が行われる面のサイズも同様に増大される。したがって
ローラーの直径がより大きければ、一回一回のストロークのフィード長さもまた、より大きくなるために、ロールスタンドのストローク長さもまた、より大きくなる。したがってロールスタンドのストローク長さは、ピルガー圧延機において加工されることになる最大管径により決まることになる。しかしながらこのストローク長さは、加工可能なそれよりも格段と小さい管径にとっては、一種の妥協策となる。加工対象である管径がより小さい場合は、
ローラーにより小さな直径が選択されることになり、その結果一回一回のストロークのフィード長さが大幅に小さくなるために、この場合は圧延プロセス中により多いストローク回数が適用されることになる。しかしながら、圧延工程がある速度以上となると、チューブの加工が不正確なものとなって、発生する偏肉の箇所も増えてしまい、その結果、品質損失を生じるために、ストローク回数を好きなだけ増やしてやるというわけにもいかない。
【0044】
さらにもう一つの実施形態においては、プッシュロッドを受け入れているリフトピンの偏心距離により決まるロールスタンドのストローク長さを、加工可能な様々な管径に合わせて設定できるようになっている。この場合はストローク長さを調整するために、フライホイールまたはクランクドライブの回転軸と、フライホイール上のプッシュロッドの取付け点との間の距離が相応に適合化される、すなわちリフトピンの偏心距離が、選択式に調整可能であるように修正されることになる。それにより、タイプが異なる様々なチューブを製造するために、ピルガー圧延機を急速かつ安価な方法で適合化する可能性を与えている。
【0045】
本発明の実施形態の一例においては、クランクドライブのクランクシャフトが共回りするバランスマスを有しているが、そこではこのバランスマスによって、ピルガー圧延機に収容された第1のロールスタンドにより加えられる1次のモーメントが補償される、またはほぼ補償されるように、このバランスマスが構成されており、そこでは第1のロールスタンドの質量が第2のロールスタンドの質量よりも小さくなっている。その際にはこのバランスマスが、クランクシャフトの回転軸に対してクランクピンから約180°オフセットして配設されていると好適である。
【0046】
本出願に言うクランクシャフトとは、これに偏心して配設される、プッシュロッドを受け入れるための一つのクランクピンを有している、ありとあらゆる種類のシャフトのことであると解釈されるものである。
【0047】
クランクシャフトが、プッシュロッドと一緒に、クランクドライブのクランクシャフトに取り付けられるマスバランス機構がない状態で回転する場合は、その回転軸に関して偏心して配設される、回転するクランクピンによって、回転軸に対して半径方向のシャフトの振動として知覚可能な様々な力が、いわゆる回転慣性力が発生する。したがって、ロールスタンドのムラのない作動を担保し、ひいては圧延後のチューブの高品質を確保するためには、クランクドライブの可能な限り静かな作動を確保することが要求されるが、それにより、野放図な力や野放図なモーメントの発生は実質的に皆無となる、もしくは野放図な力や野放図なモーメントは最小限化されることになる。
【0048】
そのためには、クランクドライブのクランクシャフト上で共回りする最低でもバランスマスを利用して、クランクドライブに作用する1次モーメント全体をこのバランスマスにより最善の形で補償することによって、これらの野放図な力が打ち消されるようにすると好適である。
【0049】
ピルガー圧延機の運転の間に生じる回転慣性力は、クランクシャフトの回転軸に対して偏心して、プッシュロッドの連接点に対して180°オフセットして、クランクドライブ上に配設されたバランスマスを利用して、完全に打ち消すことができる。このバランスマスにより、プッシュロッドが備えられたクランクシャフトの、クランクシャフトの回転軸に関して回転対称な質量分布をもたらし、またそれにより1次モーメントの補償をもたらしている。
【0050】
実施形態の一例においては、このバランスマスが、ピルガー圧延機に収容された第1のロールスタンドにより加えられる1次のモーメントが補償される、またはほぼ補償されるように、構成されているが、そこではこの第1のロールスタンドの質量が、第2のロールスタンドの質量よりも小さくなっている。
【0051】
質量が大きい第2のロールスタンドは、質量がより小さい第1のロールスタンドと比較して、より小さなクランクシャフトの角速度で駆動されるようになっている。回転慣性力は、クランクシャフトの角速度の2乗に比例して増大するが、これとは逆に回転質量とは正比例の関係だけとなる。したがって、第2のロールスタンドの質量が大きい場合は、角速度を相応に低減することによって、この第2のロールスタンドと、それよりも質量の小さい第1のロールスタンドとの質量差を、少なくとも部分的に埋め合わせることができる。その結果、第1のロールスタンド用に設計されたバランスマスによって、それよりも質量が大きい第2のロールスタンドに関しても、回転慣性力は良好に補償されることになる。
【0052】
この実施形態の代替例として、第1および第2のロールスタンドの平均値として求められるロールスタンドの質量に関して、クランクドライブに作用するモーメントがバランスマスによって最善の形で補償されるように、バランスマスは構成されている。
【0053】
この実施形態のさらにもう一つの代替例では、バランスマスがクランクドライブに着脱自在に取り付けられるようになっており、それにより、第1のロールスタンドを交換する際には、ピルガー圧延機に収容される第2のロールスタンドの質量に対する適合化が可能な限り正確に行われるようになることで、野放図な力またはモーメントのない、もしくは野放図な力やモーメントが最小限化された、クランクドライブの作動を可能としている。
【0054】
本発明の実施形態の一例においては、ピルガー圧延機が、第2の共回りするバランスマスを備えたバランスシャフトを有しており、その際には冷間ピルガー圧延機の運転中にこのバランスシャフトがクランクシャフトの2倍の角速度で回転するように、クランクシャフトとバランスシャフトとが、中央制御装置を介して、互いに作用し合うように接続されており、さらにその際には、ピルガー圧延機に収容された第1のロールスタンドから加えられる2次のモーメントが補償される、またはほぼ補償されるように、第2のバランスマスが構成されており、そこでは第1のロールスタンドの質量が、第2のロールスタンドの質量よりも小さくなっている。
【0055】
補償される野放図な1次慣性力以外にも、ピルガー圧延機の運転時にロールスタンドが振動する直線運動を行う場合は、野放図な2次慣性力も付け加わることになる。この野放図な2次慣性力によって、2次モーメントがプッシュロッドを介してクランクシャフトに伝達されて、クランクシャフトのムラのない作動にマイナスの影響が出てしまう。
【0056】
野放図な2次慣性力は、その時間、クランクシャフトの2倍の角速度で振動する。このため、クランクシャフトに中央制御装置を介して作用するように接続されている、装着されているバランスウェイトともども、クランクシャフトの2倍の角速度で回転するようになっている、本発明にしたがったバランスシャフトを利用して、この2次慣性力を最小限化もしくは補償することができる。その際にはこのバランスマスの最適化が、第1のロールスタンドに関して2次モーメントを最善な形で打ち消すことができるように、行われるようになっており、そこでは第1のロールスタンドが第2のロールスタンドよりも小さな質量を有している。
【0057】
上記で既に詳述したように、第1のロールスタンド用に設計されたバランスマスは、それよりも質量が大きい第2のロールスタンドに関しても、回転慣性力を良好に補償することができる。それに加え、回転慣性力の合計に占める2次モーメントの寄与分は、1次モーメントよりも小さくなっている。
【0058】
本発明のそれ以外の長所、特徴および適用可能性は、以下の好ましい実施形態の一例に関する説明およびそれに付属するそれぞれの図を手掛かりにすると明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】本発明の一実施形態にしたがったピルガー圧延機の構造の概略的な側面断面図である。
【
図2a】
図1に由来するピルガー圧延機の第1のロールスタンドの前面図である。
【
図2b】
図2aに由来するロールスタンドを、開放ポジションにある
ギアラックホルダと共に上から見た斜視図である。
【
図3a】
図1に由来するピルガー圧延機の第2のロールスタンドの前面図である。
【
図3b】
図3aに由来するロールスタンドを、開放ポジションにある
ギアラックホルダと共に上から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1には、本発明にしたがったピルガー圧延機の構造が概略的な側面断面図で図示されているが、そこでは、本発明を理解する上で重要ではない特徴を省略している。図示のピルガー圧延機には、
ローラー2、3を有するロールスタンド1、下側の
ローラー3のシャフトまわりに配設された二つの駆動
ギア6、それぞれ
ギアラックホルダ4に取り付けられている、二つの
ギアラック5、テーパ付きの圧延マンドレル7、ならびにフィード用クランプキャリッジ8が含まれている。駆動
ギア6については、二つあるうちの一方が下側の
ローラー3の陰に隠れており、また図を見やすくするために他方も図示を省略した関係で、この図においては確認することができない。
ギアラック5ならびに
ギアラックホルダ4も同様に、
図1には描かれていない。
【0061】
図示の実施形態においては、ピルガー圧延機が、
図1からは確認できないとはいえ、それぞれの
ローラーのシャフトに対して垂直に延びる基準面11に対して鏡面対称に配設された二つの
ギアラックホルダ4を、それに取り付けられた固定式
ギアラック5ともども、有している。これらの
ギアラックホルダ4は、ここでは、ロールスタンド1の運動方向に対して平行に延びる旋回軸13まわりに、ロールスタンド1から遠ざかることができるように可倒式に配設されている。
【0062】
図1に示される圧延機上のピルガー圧延の間には、
中空体9が圧延マンドレル7に向かって、もしくはこれを通り越すように、段階的に送られる一方で、ロールダイ2、3は回転しながら、マンドレル7に沿って、またそれにより
中空体9に沿って、水平方向に往復運動を行うようになっている。その際には、
ローラー2、3を回転自在に支承しているロールスタンド1により、
ローラー2、3の水平運動が規定されることになる。ロールスタンド1が、クランクドライブを利用して圧延マンドレル7に対して平行な向きに往復運動される一方で、
ローラー2、3自体は、それぞれの回転運動を、ロールスタンド1に対する相対位置を固定されたそれぞれの
ギアラック5から得るようになっているが、これらの
ギアラック5には、下側のロール軸に固定接続されている駆動
ギア6が噛み合っている。そこではまずロールスタンド1の並進運動が、これらの駆動
ギア6の回転運動に変換される。下側の
ローラー3のシャフトまわりには、これらの駆動
ギア6が、
図1には示されていないそれぞれの下側の変速歯車14の右側と左側とにそれぞれ配設されており、それによりこれらの駆動
ギア6の回転運動によって、これらの下側の変速歯車14の回転運動も引き起こされるようになっている。これらの下側の変速歯車14もまた、垂直方向にこれに重ねて配設される、これと同じ直径の、
図1には示されていない、上側の
ローラー2のシャフトまわりに配置された、それぞれ上側の変速歯車15と噛み合っている。それによりこれらの上側の変速歯車15は、下側の変速歯車14と同じ角速度で回転されるが、その回転方向は、下側の変速歯車14とは逆になっている。したがって、下側の
ローラー3のシャフトまわりに配設されたそれぞれの下側の変速歯車14が、上側の
ローラー2のシャフトまわりに配設されたそれぞれの上側の変速歯車15と係合することによって、これらの
ローラー2、3の互いに対して逆方向への回転運動が引き起こされることになる。
【0063】
さらにその上に、上側および下側の
ローラー2、3のシャフトはいずれも左右に軸受を一つずつ有しており、そこでは上側の
ローラーの左側の軸受が、下側の
ローラー3の左側の軸受に対して、ならびに上側の
ローラー2の右側の軸受が、下側のロースダイス3の右側の軸受に対して、油圧方式により緊締されている。両方の
ローラー2、3の左側および右側の軸受が互いに対して油圧方式により緊締されることによって、ロールギャップの精確な調整が可能となり、それにより圧延の間にはチューブの極めて一様な賦形が行われることになる。
【0064】
マンドレル7に沿った
中空体9の送りは、圧延マンドレル7の軸線に対して平行な向きへの並進運動を可能とするフィード用クランプキャリッジ8を利用して行われる。ロールスタンド1内に垂直方向に重なり合うように配設される、テーパ付きの孔型が切られた
ローラー2、3は、チューブの円筒軸に対して平行な向きに、フィード用クランプキャリッジ8の送り方向とは逆向きに、加工対象であるチューブの外筒面上を転動するようになっている。それぞれの
ローラーにより形成される、いわゆるインレット部により
中空体9は掴まれて、小径の軸状素材がそれぞれの
ローラー2、3によって外側から圧延されて、
ローラー2、3のスムージングカリバーと圧延マンドレル7とによって、予定される肉厚へと引き伸ばされて、最後に
ローラー2、3のアイドルカリバーによって、チューブ完成品が解放される。この圧延工程の間、ロールスタンド1は、これに取り付けられた
ローラー2、3と一緒に、
中空体9の送り方向とは逆向きに運動される。
中空体9は、
ローラー2、3のアイドルカリバーに到達した後には、フィード用クランプキャリッジ8を利用してさらにもう一段、圧延マンドレル7に向かって送られる一方で、
ローラー2、3はロールスタンド1と一緒にその水平な初期位置に戻るようになっている。それと同時に
中空体9はその軸線まわりに回転されることによって、チューブ完成品の一様な形状が達成されるようにしている。チューブ各部を何度も繰り返して圧延することによって、チューブの一様な肉厚と真円度とならび、一様な内径および外径が達成される。
【0065】
それぞれの
ローラー2、3のシャフトに対して垂直な、ロールスタンド1の運動方向に対して垂直な向きへの、駆動
ギア6と
ギアラック5間の遊びを精確に調整するために、ロールスタンドは、
図1においては、確認することができないとはいえ、ここでは油圧昇降式キャリッジにより実行されている浮動式軸受内に、可動式に支承されている。この油圧式支承は、駆動
ギア6と
ギアラック5間の正確な調整可能性とならび、その易組付け性を特色とするが、それにより特にロールスタンド1の交換作業が大幅に簡素化されて加速化されることになる。その結果、ロールスタンドの交換と抱き合わせになった運転停止時間を大幅に低減することができる。さらにその上に、
ローラー2、3をそのように支承することによって、摩耗を受けやすいシール類やピストンを使用せずに済むことになる、すなわち油圧支承部は実質的にメンテナンスフリーで摩耗ゼロとなる。
【0066】
図1に図示されるピルガー圧延機のストローク長さは、全ての加工可能な管径に対して不変であって、ピルガー圧延機内で加工されることになる最大管径により決定されている。それにより、リフトピンの偏心距離21の工数がかかる変更が一切不要であるばかりか、偏心距離21は全ての加工プロセスに対して同じままとなるために、プロセスフローの簡素化が可能となる。
【0067】
代替実施形態の一例において、ピルガー圧延機のストロール長さを、加工可能な異なる管径に合わせて調整可能であるように造形することも考えられるかもしれない。そのために、クランクドライブのフライホイールの回転軸と、フライホイール上のプッシュロッドの取付け点との間の距離が、相応に適合化される、すなわちリフトピンの偏心距離21が修正されるようになっている。その結果、加工対象である管径に対してストローク長さを最適な形で適合させることができるために、加工可能である様々な管径に対してストローク長さが不変である場合と比べて、より高精度で加工可能な異なる管径を製造することができる。しかしながらそのためには、リフトピンの偏心距離21の工数がかかる変更を甘受しなければならない。
【0068】
さらにその上に図示の実施形態においては中央制御装置20が備えられているが、これは、バランスシャフト17の駆動モータにも、またクランクシャフトの駆動モータにも接続されている。この制御装置20により、これらのモータは、それぞれの駆動軸が同じ回転方向に回転するように、またその際にはバランスシャフト17の回転数がクランクシャフトの回転数の2倍となるように、制御されるようになっている。
【0069】
それ以外にもこの制御装置20は、クランクシャフトとバランスシャフト17の両方のバランスマス16、18の角度同期の回転を保証するようになっている。換言すると両方のバランスマス16、18は、クランクシャフトが1回転した後には同じ角度のところに位置することになるが、その際にバランスシャフト17のバランスマス18は、クランクシャフトが1回転するために要する時間内に2回、360°回転することになる。
【0070】
図2aには、
図1に由来するピルガー圧延機のロールスタンドの前面図が図示されている。質量M
1を有するこのロールスタンド1は、直径が30mmと60mmの間である
中空体の加工用に設計されている。ロールスタンドの最大ストローク数、すなわちロールスタンドの単位時間当たりの往復運動の最大回数は、
図2aに描かれた実施形態の場合は、毎分200回である。冷間ピルガー圧延機の生産性は、ロールスタンドのストローク数により直接左右されるために、経済性の理由から、毎分当たりの作動ストロークを可能な限り大きくすることが模索される。
【0071】
図2aのロールスタンド1では、それぞれの
ローラー2、3のシャフトに対して垂直に延びる基準面11に対して、それぞれの
ローラー2、3も、またそれぞれの駆動
ギア6も、鏡面対称に配設されており、そこではこれらの
ローラー2、3間に受け入れられることになる
中空体9の円筒軸が、この基準面11内に位置している。ここではそれぞれの駆動
ギア6が、下側の
ローラー3のシャフトに固定して接続されて、同様に鏡面対称に配設されたそれぞれの
ギアラックホルダ4に取り付けられた
ギアラック5と噛み合っている。
図2aにおいては、
ギアラックホルダ4の陰にこれらの
ギアラック5が隠れているために、これらを確認するのは不可能である。
【0072】
ピルガー圧延機の作動中にこの基準面11に対して平行な向きに作用する様々な力を受け止めるために、これらの
ギアラックホルダ4は、それぞれの
ローラーのシャフトに対して垂直な向きに、油圧方式により緊締できるようになっている。この油圧方式による緊締は、ここでは、いずれも実質的にリングピストンとシリンダとから成る複数の油圧ナット12から成るシステムにより行われるようになっている。一時的に圧力を加えることによって、それぞれの
ローラー2、3のシャフトに対して垂直な向きに力が立ち上げられる。それによりクランプ力または変位力を一時的に立ち上げることができるために、ロールスタンド1は、圧延プロセスの間には、それぞれの
ローラー2、3のシャフトに対して平行な向きに、ある固定ポジションのところに保持されて、それにより発生する様々なねじり力に起因して、ロールスタンド1がこのポジションから出て滑動するのを妨げるようになっている。
【0073】
それに加えて
図2aに図示される
ギアラックホルダ4は、
ギアラック5に対して平行に延びる旋回軸13まわりに、ロールスタンドから遠ざかることができるように可倒式に配設されているが、
図2aにおいてはこの旋回軸13が、その配向の関係上、図の面よりも奥の方に位置しているために、
図2aからこれを確認することはできない。
ギアラックホルダ4をただ単に跳ね上げてロールスタンドから遠ざけることによって、それぞれの駆動
ギア6は、それぞれの
ギアラック5とのコンタクトを失うために、クレーンを用いてロールスタンド1を持ち上げる際に、
ギアラックホルダ4により妨害されることはない。それによりロールスタンド1を、何物にも妨げられずに簡単かつ急速に交換することができる。これに随伴して、加工プロセスのフレキシビリティが、加工可能な管径の範囲が拡張される点で、必然的に増大されることになる。
【0074】
図2bには、
図2aに由来するロールスタンドを、
ギアラックホルダ4と共に上から見た斜視図が示されるが、この
ギアラックホルダ4は、その旋回軸13まわりに、図示される矢印の向きにロールスタンドから遠ざけて跳ね上げられた開放ポジションにあり、その結果、この
ギアラックホルダ4に取り付けられた
ギアラック5は、駆動
ギア6との接触部をどこにも有していない。それによりロールスタンド1は、
ギアラックホルダ4により最早妨害されることなく、クレーンを利用して持ち上げることによって簡単かつ急速にピルガー圧延機から取り出して、寸法が異なる第2のロールスタンド1’と交換することができる。
【0075】
図3aには、
図1に由来するピルガー圧延機の第2のロールスタンド1’の前面図が図示されている。これは、
図2aとは異なり、3次元の寸法ならびに
ローラー2’、3’の直径および駆動
ギア6’に関して、寸法が一回り大きくなってはいるものの、
図1に示されるのと同じピルガー圧延機に組み付けることができる、ロールスタンド1’である。
図3aに図示されるロールスタンド1’の一回り大きな寸法は、
図2aおよび2bに示されるロールスタンド1と比較して増大する質量にも反映されている。第2のロールスタンドの質量は、本実施形態においては、
図2aおよび2bに示されるロールスタンド1の質量M
1の2・5倍である。さらにその上に
図3aに図示されるローススタンド1’は、直径が40mmと88mmの間である
中空体の加工用に、すなわち、
図2aおよび2bに示されるロールスタンド1と比べてより大きな直径を対象として、設計されている。ここではロールスタンド1’の最大ストロール数が、毎分150回と、相応に少ない数値となっている。
【0076】
本発明にしたがった
ギアラックホルダ4’は、
図3aにおいては、
図2aに図示される
ギアラックホルダ4と比べて、基準面11’に対して垂直に基準面11’からさらに遠ざかったポジションにある。これは、
図2aおよび3aの実施形態においては、
ギアラックホルダ4、4’が二分割式に構成されることによって可能となる。これには、一方ではベースキャリヤが、他方ではアダプタプレートが含まれているが、このアダプタプレートは、ロールスタンド1、1’のそれぞれの駆動
ギア6、6’が、基準面11に対して垂直な向きに互いから離間している最低でも二つのポジションのところで、それぞれの
ギアラックホルダ4、4’に取り付けられた
ギアラック5、5’に噛み合うことができるように、ベースキャリヤに装着できるようになっている。
図2aの事例においては、このアダプタプレートが、
ローラー2、3のシャフトに対して平行な向きに、
図3aの事例よりも大きく作られているために、
ギアラック5の基準面11の法線の向きの基準面11からの距離はより小さくなっている。
【0077】
しかしながら、それぞれの
ローラー2’、3’のシャフトに対して平行な向きのこのポジションとならび、それぞれの
ローラー2’、3’のシャフトに対して垂直である、ロールスタンド1’の運動方向に対しても垂直である向きについても、
ギアラックホルダ4’の適合化は不可欠である。この適合化が必要となるのは、駆動
ギア6’が、
図2aに図示される駆動
ギア6と比較して大径化されているからである。そのような適合化は、ベースキャリヤと、それに装着される、相応に構成されたアダプタプレートの形態をとる、二分割型の
ギアラックホルダ4’により実現されるようになっており、それによりロールスタンド1’の駆動
ギア6’は、
ギアラックホルダ4’に取り付けられた
ギアラック5’に噛み合うことができる。
【0078】
図3bには、
図3aに由来するロールスタンド1’を上から見た斜視図が示される。
ギアラックホルダ4’は、ここでは、ロールスタンド1’の運動方向に対して平行に延びる旋回軸13’まわりに旋回されることによって、ロールスタンド1’から遠ざかる、
図2bと同様の開放ポジションにあるために、
ギアラックホルダ4’に取り付けられた
ギアラック5’は、ロールスタンド1’の駆動
ギア6’との接触部を最早どこにも有していない。
図2aおよび2bに図示される寸法と比べて一回り大きい寸法を有するロールスタンド1’のこの実施形態においても、ロールスタンド1’を露出させる旋回装置を利用して、ロールスタンド1’を簡単かつ急速にピルガー圧延機から取り出すことができる。
【0079】
本来の開示という目的のためにここで付言しておくが、この発明の詳細な説明、図面および特許請求の範囲から、当業者であれば推察するような特徴はみな、たとえそれらがさらに別の特定の特徴との関連だけにおいて具体的に記述されたものであったとしても、単独でも、またここに開示されるそれ以外の特徴または特徴群との任意の組み合わせにおいても、明文でその可能性が排除されていない限り、もしくは技術面での所与の条件が、そのような組み合わせを不可能または無意味なものとしない限り、使用することができるものである。ここでは、あくまでもこの発明の詳細な説明を簡潔で読みやすいものとするためだけに、考えられる全ての特徴の組み合わせについての、包括的で明示的な描写を割愛するものとする。
【0080】
それぞれの図においては本発明を細部にわたり描写した。また以上の説明でも、本発明について詳しく記述したが、これらの描写や説明は、あくまでも例示的に行ったものであり、また、特許請求の範囲により定義されるような保護範囲をそれにより限定することを意図したものでもない。本発明は、開示されるそれぞれの実施形態に限定されるものではない。
【0081】
当業者には、図面、発明の詳細な説明、および添付の特許請求の範囲から、開示される各実施形態の様々な変形例が明らかである。特許請求の範囲において用いられる「有している」という言葉は、それ以外の要素やステップが含まれる可能性を排除するものではないし、また「いずれかの」「何らかの」「(ある)一つの」などと訳される不定冠詞が付いた名詞についても、それが複数ある可能性を排除するものではない。異なる請求項において請求されている複数の特定の特徴についても、ただその事実だけをもってして、これらの特徴を組み合わせる可能性が排除されているというわけではない。特許請求の範囲で用いられる符号も、保護範囲を限定することを意図したものではない。
【符号の説明】
【0082】
1、1’ ロールスタンド
2、2’ 上側の
ローラー
3、3’ 下側の
ローラー
4、4’
ギアラックホルダ
5、5’
ギアラック
6、6’ 駆動
ギア
7 テーパ付きの圧延マンドレル
8 フィード用クランプキャリッジ
9、9’
中空体
10
中空体の円筒軸
11 基準面
12、12’ 油圧ナット
13、13’
ギアラックホルダの旋回軸
14、14’ 下側の変速歯車
15、15’ 上側の変速歯車
16 バランスマス
17 バランスシャフト
18 第2のバランスマス
19 プッシュロッド
20 中央制御装置
21 偏心距離