特許第6875438号(P6875438)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875438
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】ダイレーターシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   A61M25/06 556
【請求項の数】36
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-60544(P2019-60544)
(22)【出願日】2019年3月27日
(62)【分割の表示】特願2016-544010(P2016-544010)の分割
【原出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2019-141607(P2019-141607A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2019年4月18日
(31)【優先権主張番号】61/880,020
(32)【優先日】2013年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100196977
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 路子
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア シー.ハーラー
【審査官】 菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−533554(JP,A)
【文献】 特表2000−503235(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/002286(WO,A1)
【文献】 特表2003−527226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管にアクセスするためのカテーテル導入システムであって、
前記カテーテル導入システムは、ダイレーター、コア、及びシースを備え、
前記ダイレーターは、ダイレーター近位端および該ダイレーター近位端と反対側のダイレーター遠位端を備える細長い管状部材であり、
前記ダイレーター遠位端は、ダイレーター遠位先端部を備え、
前記ダイレーターは、その内部で前記ダイレーター近位端から前記ダイレーター遠位端へと延伸するダイレーター管腔を更に備え、
前記コアは、コア近位端および該コア近位端と反対側のコア遠位端を備える細長い管状部材であり、
前記コア遠位端は、カーブを画定するコアカーブを備え、
前記コアは、前記ダイレーターに曲率を付与するために、前記ダイレーター管腔内において位置決めするように動作可能であり、
前記ダイレーター管腔は、その内部に前記コアを摺動的に収納し、かつ、該コアを該ダイレーター管腔内で少なくとも部分的に前進できるよう動作可能な直径を画定し、
前記ダイレーター遠位先端部は、前記コアが該ダイレーター遠位先端部から飛び出ないように構成された直径を有し、
前記シースは、シース近位端および該シース近位端と反対側のシース遠位端を備える細長い管状部材であり、
前記シースは、その内部で前記シース近位端から前記シース遠位端へと延伸するシース管腔を画定し、
前記シース管腔は、その内部に前記ダイレーターを摺動的に収納し、前記シースが該ダイレーター沿いに前進できるよう動作可能であり、
ここで、前記シースが、前記コアにより付与された前記ダイレーターの曲率に沿ってトラックするよう動作可能なように、該ダイレーターとそれを支持する該コアとの組み合わせにより前記コアカーブに剛性を与える、
前記カテーテル導入システム。
【請求項2】
前記コアカーブは平面的である、請求項に記載のカテーテル導入システム。
【請求項3】
前記コアカーブは三次元的である、請求項に記載のカテーテル導入システム。
【請求項4】
各々が異なる曲率半径を有する異なるコアカーブを画定する複数のコアを更に含む、請求項1に記載のカテーテル導入システム。
【請求項5】
前記コアカーブは、5mm〜100mmの曲率半径を含む、請求項1に記載のカテーテル導入システム。
【請求項6】
前記コア遠位端は、ユーザによりカーブの形状とすることができる、請求項1に記載のカテーテル導入システム。
【請求項7】
前記コアは操舵可能である、請求項1に記載のカテーテル導入システム。
【請求項8】
前記コアは、熱可塑性物質および金属の1つまたは複数を含む、請求項1に記載のカテーテル導入システム。
【請求項9】
前記コアは、ナイロンを含む、請求項に記載のカテーテル導入システム。
【請求項10】
前記コアは、ニチノールを含む、請求項に記載のカテーテル導入システム。
【請求項11】
前記コア、前記ダイレーター、および前記シースのうちの1つまたは複数は、1つまたは複数の放射線不透過性マーカーを更に備える、請求項1に記載のカテーテル導入システム。
【請求項12】
前記1つまたは複数の放射線不透過性マーカーは、前記コア遠位端、前記コアカーブ、および前記コア近位端のうちの1つまたは複数に位置する、請求項11に記載のカテーテル導入システム。
【請求項13】
前記ダイレーター管腔は、0.5mm〜4mmの直径を有する、請求項1に記載のカテーテル導入システム。
【請求項14】
前記ダイレーター遠位先端部は、1cm〜10cmの長さを有する、請求項1に記載のカテーテル導入システム。
【請求項15】
前記ダイレーターは前記コアに連結されている、請求項1に記載のカテーテル導入システム。
【請求項16】
前記ダイレーター近位端に連結したハブであって前記コアと連結するように動作可能である前記ハブを更に備える、請求項15に記載のカテーテル導入システム。
【請求項17】
前記コアおよび前記ダイレーターは、ユーザが利用する際にねじれ応答を容易にするよう動作可能な協調的な要素(cooperative element)を更に備える、請求項1に記載のカテーテル導入システム。
【請求項18】
前記協調的な要素は、鍵構造である、請求項17に記載のカテーテル導入システム。
【請求項19】
前記鍵構造は、相互的なオス/メスの畝/溝構造を備える、請求項18に記載のカテーテル導入システム。
【請求項20】
前記ダイレーター遠位端を血管の屈曲部に通して案内するための特定のカーブ構成で前記コアカーブが前記ダイレーター遠位端を支持できるように、前記コアの剛性が前記ダイレーターの剛性よりも高い、請求項1に記載のカテーテル導入システム。
【請求項21】
前記シース遠位端を前記コアカーブに沿って血管の屈曲部に通して案内するための特定のカーブ構成で前記コアが前記ダイレーター遠位端を支持できるように、前記コアの剛性が前記ダイレーターの剛性よりも高い、請求項1に記載のカテーテル導入システム。
【請求項22】
前記シース遠位端は、前記ダイレーターとの接続部まで先細になっているシース遠位先端部を備える、請求項1に記載のカテーテル導入システム。
【請求項23】
前記シースは、剛性が異なる1つ又は複数の領域を備え、そして前記シース遠位先端部は、剛性が異なる近隣の領域より剛性が高い、請求項22に記載のカテーテル導入システム。
【請求項24】
前記シース遠位先端部は、該シース遠位先端部が血管内の屈曲部を縦走するのを妨害しないが楕円化を防ぐべく前記シース遠位先端部を支持するよう1mm〜10mmの長さを画定する、請求項22に記載のカテーテル導入システム。
【請求項25】
前記シース遠位先端部は、補強バンドを備え、
前記補強バンドは、該補強バンドの近隣部の剛性よりも高い剛性を与えるよう動作可能であり、
前記補強バンドは、前記シース遠位先端部が血管の屈曲部を縦走するときに、該シース遠位先端部の楕円化を防止するように動作可能である、請求項24に記載のカテーテル導入システム。
【請求項26】
前記シース遠位先端部は、Shore D基準での測定で、45〜90のデュロメータ硬さを有する、請求項24に記載のカテーテル導入システム。
【請求項27】
前記シース近位端は第1長を画定し、
前記シースは、前記シース近位端と前記シース遠位端との間に中央部分を更に画定し、
該中央部分は、前記第1長よりも低い剛性を有する第2長を画定し、
前記シース遠位端は、前記中央部分より高い剛性を有する第3長を画定する、
請求項22に記載のカテーテル導入システム。
【請求項28】
Shore D基準での測定で、第2長のデュロメータ硬さは15〜30であり、かつ、第3長のデュロメータ硬さは60〜90である、請求項27に記載のカテーテル導入システム。
【請求項29】
Shore D基準での測定で、第1長のデュロメータ硬さは30〜45であり、第2長のデュロメータ硬さは15〜30であり、かつ、第3長のデュロメータ硬さは60〜90である、請求項2に記載のカテーテル導入システム。
【請求項30】
第1長および第2長はそれぞれ10cm〜100cmの長さである、請求項29に記載のカテーテル導入システム。
【請求項31】
前記シースは、1mm〜10mmの直径を有する、請求項2に記載のカテーテル導入システム。
【請求項32】
前記細長いダイレーター遠位領域は、5cm〜12cmの長さを有する、請求項3に記載のカテーテル導入システム。
【請求項33】
前記ダイレーター遠位端は、前記シース遠位端から所定の距離延伸するように動作可能で、これにより細長いダイレーター遠位領域を画定し、該細長いダイレーター遠位領域は、前記コア遠位端が前記細長いダイレーター遠位領域に挿入されたときカーブを付与することができるよう5cm〜35cmの長さを有する、請求項1に記載のカテーテル導入システム。
【請求項34】
前記ダイレーターは、前記コアおよび前記シースのうちの1つまたは複数に連結されている、請求項1に記載のカテーテル導入システム。
【請求項35】
前記ダイレーター近位端に連結したハブであって前記コアおよび前記シースのうちの1つまたは複数と連結するように動作可能なハブを更に備える、請求項3に記載のカテーテル導入システム。
【請求項36】
前記コアは、その内部でコア近位端から前記コア遠位端へと延伸するコア管腔を更に備え、
該コア管腔は、その内部にガイドワイヤを摺動的に収納し、かつ、前記コアが該ガイドワイヤに沿って前進できるようするように動作可能な直径を画定する、請求項1に記載のカテーテル導入システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ダイレーターシステムおよび方法に関する。特に、本開示は、蛇行血管を縦走(traverse)するためのダイレーターおよびカテーテル導入システム、並びに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテル導入システムは、体腔内の診断や治療、および医療機器や構造体を送達するために血管や臓器に導入されることが多い。利用されるカテーテル導入システムの種類は、様々な要因の中でもとりわけ、実施する医療処置、対象の体内経路、および、個々の患者の解剖学的な構造に依存する。蛇行血管とは、通常、狭くなっているおよび/または血管の経路によって逆向きに屈曲しているため、例えば、カテーテル導入システム等の体腔内用デバイスを前進させることが特に困難な血管を指す。特に蛇行血管を縦走する処置の一例として、主肺動脈への経静脈的なアクセスを大腿静脈から行うことが望ましい場合がある。
【0003】
ダイレーターは、狭窄した血管を拡張するために、および/またはより大きな直径の腔内デバイスの導入を可能にするために使用される。ダイレーターは、蛇行屈曲部をナビゲートする能力が限定的である。ガイドワイヤが特定の屈曲部を縦走することができても、ダイレーターおよびシースシステムがガイドワイヤをトラック(track)しその特定の屈曲部を縦走できないことがある。従来技術のダイレーターおよびシースシステムは、単一のユニットとして前進させるように設計されている。関連するシースよりも実質的に長くないダイレーターを組み合わせたこの操作方法では、ガイドワイヤとダイレーターおよびシースシステムとでは曲げ剛性が非常に異なる。安定的に経路を示すガイドワイヤではなく、ダイレーターおよびシースによって、ガイドワイヤの位置がずれてしまうことがある。更に、シースの先端部が血管に当たって血管を損傷してしまうこともある。当該技術分野において必要なのは、蛇行血管を縦走することが可能なダイレーターシステムおよび蛇行血管を縦走することが可能なダイレーターシステムを備えるカテーテル導入システムである。
【発明の概要】
【0004】
実施形態は、血管にアクセスするためのダイレーターシステムに関する。ダイレーターシステムは、ダイレーターおよびコアを備える。ダイレーターは、ダイレーター管腔を画定する細長い管状部材である。コアは、ダイレーターに曲率を付与する、ダイレーターの曲げ抵抗を変更する、またはそれらの組み合わせのために、ダイレーター管腔内において位置決めするように動作可能な細長い部材である。
【0005】
実施形態は、血管にアクセスするためのカテーテル導入システムに関する。カテーテル導入システムは、ダイレーター、コア、およびシースを備える。ダイレーターは、ダイレーター管腔を画定する細長い管状部材である。コアは、ダイレーターに曲率を付与する、ダイレーターの曲げ抵抗を変更する、またはそれらの組み合わせのために、ダイレーター管腔内で位置決めするように動作可能な細長い部材である。シースは、シース近位端および該シース近位端と反対側のシース遠位端を備える細長い管状部材である。シースは、その内部でシース近位端からシース遠位端へと延伸するシース管腔を画定する。シース管腔は、その内部にダイレーターを摺動的に収納し、シースがダイレーター沿いに前進できるよう動作可能である。シースは、コアにより付与されたダイレーターの曲率に沿ってトラックするように動作可能である。
【0006】
実施形態は、血管にアクセスするためのカテーテル導入ガイドワイヤシステムに関する。カテーテル導入ガイドワイヤシステムは、上記カテーテル導入システムおよびガイドワイヤを備える。コアは、コア管腔を画定する細長い部材である。コア管腔は、その内部にガイドワイヤを収納するように動作可能であり、コアは、ガイドワイヤに沿って前進するように動作可能である。
【0007】
実施形態は、血管にアクセスするためのダイレーターガイドワイヤシステムに関する。ダイレーターガイドワイヤシステムは、上記ダイレーターシステムおよびガイドワイヤを備える。コアは、コア管腔を画定する細長い部材である。コア管腔は、その内部にガイドワイヤを収納するように動作可能であり、コアは、ガイドワイヤに沿って前進するように動作可能である。
【0008】
実施形態は、カテーテル導入システムのシースに関する。シースは、シース近位端および該シース近位端と反対側のシース遠位端を備える細長い管状部材である。シースは、その内部でシース近位端からシース遠位端へと延伸するシース管腔を画定する。シースは、剛性(stiffness)が異なる1つまたは複数の領域を備える。シースは、シースの遠位端に位置するシース遠位先端部を備える。シース遠位先端部は、剛性が異なる近隣の(adjacent)領域よりも剛性が高い。
【0009】
実施形態は、血管内にカテーテル導入システムを位置決めする方法にも関する。
【0010】
添付の図面は、本開示を理解しやすくするために組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本開示で説明する原理を説明するための記載と共に本明細書に記載の実施形態を例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、様々な実施形態に係るシステムの断面図である。
図2図2A〜Eは、様々な実施形態に係るコアの側面図である。
図3図3は、一実施形態に係るカテーテル導入システムの遠位領域の側面図である。
図4A図4Aは、一実施形態に係るカテーテル導入システムの遠位領域の側面断面図である。
図4B図4Bは、図4Aのカテーテル導入システムのダイレーターとシースの接続部の拡大側面断面図である。
図4C図4Cは、図4Aのカテーテル導入システムのダイレーター先端部の拡大側面断面図である。
図5図5は、一実施形態に係るカテーテル導入システムの側面図である。
図6図6は、一実施形態に係るシースの側面図である。
図7A図7Aは、一実施形態に係る、血管内のカテーテル導入システムの断面図である。
図7B図7Bは、一実施形態に係る、血管内のカテーテル導入システムの断面図である。
図7C図7Cは、一実施形態に係る、血管内のカテーテル導入システムの断面図である。
図7D図7Dは、一実施形態に係る、血管内のカテーテル導入システムの断面図である。
図7E】7Eは、一実施形態に係る、血管内のカテーテル導入システムの断面図である。
図7F】7Fは、一実施形態に係る、血管内のカテーテル導入システムの断面図である。
図8図8は、一実施形態に係るカテーテル導入システムを位置決めする方法のブロックフロー図である。
図9図9は、一実施形態に係るカテーテル導入システムを位置決めする別の方法のブロックフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
当業者であれば、本開示の様々な態様は、意図する機能を実行するように構成された任意の数の方法及び装置により具現化できることを容易に理解するであろう。換言すれば、意図する機能を実行するために、他の方法および装置も本明細書に組み込むことができる。本明細書で言及する添付図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、本開示の様々な態様を例示するために拡大されていることもあり、その点で当該図面は限定的に解釈されるべきではないことに留意すべきである。
【0013】
本明細書に示す実施形態は、大腿静脈から主肺動脈への経静脈的アクセスを可能にしつつ、蛇行血管を介したアクセスを伴ういかなる状況でも適用可能なダイレーターおよびカテーテル導入システムに関する。ダイレーターシステムのいくつかの実施形態は、ダイレーターと、該ダイレーターに所定のカーブを与えるように動作可能な1つまたは複数のコアを備える。いくつかの実施形態では、ダイレーターのダイレーター管腔に挿入し、ダイレーター遠位端内で1つまたは複数のカーブをつくるかまたはカーブを変化させるように動作可能な1つまたは複数のコアを利用する。
【0014】
更に、ダイレーターと、該ダイレーターに沿って縦走可能なカテーテル導入システムのシースに所定のカーブを与えるように動作可能な1つまたは複数のコアとを備える前記カテーテル導入システムの実施形態を提供する。
【0015】
更に、カテーテル導入システムのシースの実施形態は、シース遠位端の他の部分よりも比較的剛性が高い前記シース遠位先端部を備えるよう設けられる。シース遠位先端部の剛性が高いと、そのシース遠位先端部がコアにより誘導されたカーブを縦走する際にシース遠位先端部の楕円化が抑えられて、血管の損傷を防ぐ。
【0016】
本明細書中で使用される場合、「血管」は、血管系の構成要素のみならず、心臓を含む心血管系にて血液を通すいかなる管のことも指す。
【0017】
本明細書中で使用される場合、「蛇行」血管とは、通常、狭くなっているおよび/または血管の経路によって逆向きに屈曲しているため体腔内用デバイスを前進させるのが特に困難な血管を指す。特に蛇行血管を縦走する処置の一例として、主肺動脈への経静脈的なアクセスを大腿静脈から行うことが望ましい場合がある。
【0018】
本明細書中で使用される場合、「ダイレーター」は、身体の部分、例えば血管、体腔、管、または開口部を拡張またはストレッチするのに使用し得る細長い管状部材を指す。ダイレーターは、シースを血管内部へまたは血管を通して導入および案内するのに使用してもよい。本明細書に提示する構成では、ダイレーターはシースよりも比較的剛性が低い。
【0019】
本明細書中で使用される場合、「管腔(lumen)」は、縦長の空洞または管状部材の縦軸に沿った貫通孔を指す。管腔は、例えば、ダイレーター、シース、またはコア等の部材の軸長さ方向に、部分的に、完全に、または実質的に延伸し得る。
【0020】
本明細書中で使用される場合、「アセンブリ」または「導入アセンブリ」は、カテーテル導入システムの構成要素、例えば、ダイレーター、シース、ガイドワイヤ、コア、の2つ以上の組み合わせを指す。
【0021】
本明細書中で使用される場合、「形」は、所定のパターン、形状、曲率、または角度に形成された要素を指す。コアまたはダイレーターは、特定の形状またはパターンに沿うまたは追従するような形状とすることができる。コアまたはダイレーターは、1つまたは複数の平面的および/または三次元的な構成のカーブを含んでもよい。また、コアを直線状にして、専ら所望のレベルの剛性をシステムに付与するために使用してもよい。
【0022】
本明細書中で使用される場合、「コア」は、所望の形状および/または剛性をダイレーターに付与するために、ダイレーター管腔内に収納することが可能な細長い管状部材を指す。コアは、カーブを形成し支持することが可能な任意の材料、例えば(但し、これに限定されない)金属、熱可塑性物質、または成形材料、または熱硬化性材料などで製作できる。ナイロンは、コアを形成するのに使用できる材料の例である。ステンレス鋼およびニチノールは、コアを形成するのに使用できる金属の例である。
【0023】
本明細書中で使用される場合、「シース」は、カテーテル等の医療デバイスを体内に導入するための案内経路または導管を提供するために動作可能で、ダイレーターよりも比較的剛性の高い細長い管状部材を指す。ダイレーター沿いに前進するシースを利用するシステムを使用することが多い。シースを、ダイレーターの補助により、体内で位置決めすることもある。
【0024】
本明細書中で使用される場合、「カーブ」および「曲率」は、例えばコアまたはダイレーターなどの部材の形状、外形、または半径を指す。構成要素のカーブは、1つまたは複数の平面的および/または三次元的な構成に形成してもよく、各構成要素(例えば、ダイレーターまたはコア)は、カーブが無くてもよく(直線状)、あるいは1つまたは複数のカーブを含んでもよい。
【0025】
本明細書中で使用される場合、「屈曲」は、血管、臓器、または他の体腔により画定された経路の方向が変わることを指す。
【0026】
本明細書中で使用される場合、「剛性」は、屈曲に抵抗する構成要素の特性を指す。コアは、システムを構成する個々の構成要素の剛性に比べ高い剛性を該システムに設けるために使用してもよい。例えば、比較的剛性の低いダイレーターのダイレーター管腔内に比較的剛性の高いコアを前進させると、そのダイレーター自体よりも高い剛性を有するコア/ダイレーターアセンブリが設けられる。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「ガイドワイヤ」は、身体の血管または体腔を通って前進可能なワイヤまたは小径の細長い部材を指す。
【0028】
本明細書中で使用される場合、「遠位」は、元々の地点または接触点から離れて位置する領域または場所を指す。
【0029】
本明細書中で使用される場合、「近位」は、元々の地点または接触点に近隣または近くに位置する領域または場所を指す。
【0030】
本明細書中で使用される場合、「先細」は、構成要素の長さに沿った物理的な寸法の変化を指す。
【0031】
本明細書中で使用される場合、「細長い」は、長さ方向が延伸する領域を指す。
【0032】
本明細書中で使用される場合、「放射線不透過性マーカー」は、少なくとも、X線技術を利用して位置をモニターする目的のために、X線または他の電磁線の通過に対し抵抗性のある構成要素を指す。
【0033】
本明細書中で使用される場合、「交換可能に」は、2つ以上の構成要素が類似の位置または機能を互いに交換可能であることを指す。例えば、2つ以上のコアは、ダイレーターに異なるカーブを付与するためにダイレーター内で交換可能であり得る。
【0034】
図1は、実施形態に係る様々なシステムの拡大断面図である。ここで、これらのシステム全て、システムダイレーター103およびコア102を備えるが、ガイドワイヤ112およびシース113といった追加要素は備える場合と備えない場合がある。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、ダイレーター103およびコア102を設けてダイレーターシステム100として一緒に使用する。ダイレーター103およびコア102は、さらに大きなシステムの一部であってもよく、シース113を使用しやすくするために用いてもよい。ここで、シース113は、ダイレーター103およびコア102を備えるダイレーターシステム100の一部として設けても設けなくてもよい。また、ガイドワイヤ112は、設けても設けなくてもよく、またシステムの一部として用いても用いなくてもよい。共通の要素としてダイレーター103およびコア102を備えるシステムの様々な組み合わせを以下に示す。
【0035】
図1は、一実施形態に係るコア102およびダイレーター103を備えるダイレーターシステム100の拡大断面図である。コア102は、後述するように、ダイレーター103内で前進するように動作可能な細長い管状部材である。ダイレーター103は、その内部にコア102を収納し、かつ、コア102を少なくとも部分的にダイレーター103内部で前進させるよう動作可能な細長い管状部材である。後述するように、ダイレーター103に特性を付与するよう動作可能な実施形態では、異なる特性を有する1つまたは複数のコア102を設けてもよい。
【0036】
図1は、一実施形態に係るダイレーターシステム100およびシース113を備えるカテーテル導入システム200の拡大断面図でもある。シース113は、シース近位端110および当該シース近位端110と反対側のシース遠位端107を有する細長い管状部材である。シース113は、シース近位端110からシース遠位端107へと延伸するシース管腔116を更に備える。シース管腔116は、その内部にダイレーター103を摺動的に収納し、シース113をダイレーター103に沿って前進させるよう動作可能な直径を画定する。
【0037】
図1は、一実施形態に係るカテーテル導入システム200およびガイドワイヤ112を備えるカテーテル導入ガイドワイヤシステム300の拡大断面図でもある。ガイドワイヤ112は、蛇行血管を縦走するように動作可能な細長い部材である。ガイドワイヤは、当該分野で周知である。後述するように、コア管腔111を備えるコア102は、ガイドワイヤ112に沿って前進するように動作可能である。また、後述するように、ダイレーター管腔106を備えるダイレーター103は、ガイドワイヤ112に沿って前進するように動作可能である。
【0038】
図1は、一実施形態に係るダイレーターシステム100およびガイドワイヤ112を備えるダイレーターガイドワイヤシステム400の拡大断面図でもある。ガイドワイヤ112は、蛇行血管を縦走するように動作可能な細長い部材である。後述するように、コア管腔111を備えるコア102は、ガイドワイヤ112に沿って前進するように動作可能である。また、後述するように、ダイレーター管腔106を備えるダイレーター103は、ガイドワイヤ112に沿って前進するように動作可能である。
【0039】
ダイレーターシステム
ダイレーターシステム100を以下に説明する。図1の実施形態では、ダイレーターシステム100は、コア102およびダイレーター103を備える。コア102は、ダイレーター103が血管の屈曲部を通過しやすくするために、ダイレーター103と協同的に係合(cooperative engage)して用いられる。
【0040】
ダイレーター103は、ダイレーター近位端105および該ダイレーター近位端105と反対側のダイレーター遠位端104を有する細長い管状部材である。ダイレーター103は、その内部にダイレーター近位端105からダイレーター遠位端104へと延伸するダイレーター管腔106を更に含む。ダイレーター管腔106は、その内部にコア102を摺動的に収納し、かつ、コア102をダイレーター管腔106内で少なくとも部分的に前進できるよう動作可能な直径を画定する。
【0041】
例として、一実施形態では、ダイレーター103は、約0.5mm〜約4mm、約2mm〜約3mm、または約2.5mm〜約2.90mmの直径を有するダイレーター管腔106を備える。
【0042】
ダイレーター103は、例えば、熱可塑性物質(但し、これに限定されない)等の特定の目的に適切な任意の材料から製造してもよい。ダイレーター103は、血管を拡張するのに十分な剛性であるが、血管を損傷したり又は血管の屈曲部内においてコア102による案内ができなくなるほど高い剛性ではない材料特性を備える。
【0043】
ダイレーター103の側面図を示す図3のように、ダイレーター遠位端104は、ダイレーター遠位先端部310を含んでもよい。ダイレーター遠位先端部310は、ダイレーター遠位端104と一体的な構成要素であってよく、またはダイレーター遠位端104に連結(couple)される構成要素であってもよい。ダイレーター遠位先端部310は、先細であってもよい。一実施形態では、ダイレーター遠位先端部310は、コア102の直径よりも小さい直径を備えるダイレーター先端部の管腔を画定することにより、コア102がダイレーター遠位先端部310から飛び出ないようになっている。図4Aおよび4Cに示すように、ダイレーター遠位先端部310の管腔も、コア102の直径よりも小さい直径になるよう先細にして、コアがダイレーター遠位先端部310から飛び出ないようにすることで、コア102が血管を傷つけないようにしてもよい。
【0044】
ダイレーター103は、任意の適切なプロセスによって形成してもよく、このようなプロセスとして例えば押出が挙げられるがこれに限定されない。ダイレーター遠位先端部310も任意の適切なプロセスによって形成してもよく、このようなプロセスとして射出成形が挙げられるがこれに限定されない。ダイレーター遠位先端部310およびダイレーター遠位端104は任意の適切なプロセスによって接合してもよく、このようなプロセスとしては熱的および化学的な接着が挙げられるがこれらに限定されない。図4Aおよび4Cに示すように、ダイレーター遠位先端部310をダイレーター遠位端104に連結することにより、ダイレーター遠位先端部310がコア102の直径よりも小さい直径を有する先細の管腔を有するようにしてもよい。ダイレーター遠位先端部310は、任意の適切なプロセスによってダイレーター遠位端104と一体的な部品として形成してもよく、このようなプロセスとして研削が挙げられるがこれに限定されない。
【0045】
いくつかの実施形態では、ダイレーター遠位先端部310は、約1cm〜約10cm、約3cm〜約8cm、または約4cm〜約7cmの長さを有する。以下に説明するように、ダイレーター遠位先端部310は、より良好にコア102に適合できるよう、そして、細長いダイレーター遠位領域308と連動して動作できるよう細長くてもよい。ダイレーター遠位先端部310は、先細であってもなくてもよいが、殆どの実施形態では、血管203が段差や縁部に触れないように、ダイレーター遠位先端部312の外径を先細にして、ダイレーター遠位先端部310の管腔がコア102の外径より小さい直径になるよう先細にして、コア102がダイレーター遠位先端部310から飛び出て血管を損傷する可能性を防ぐようになっている。
【0046】
ダイレーター103は、放射線不透過性マーカー、例えば、該ダイレーター103に結合させた要素(但し、これに限定されない)を備えてもよく、または当該構成体にドーピング材料、例えば(但し、これに限定されない)硫酸バリウムを組み込んでもよい。
【0047】
図1を参照し、コア102は、コア近位端108および当該コア近位端108と反対側のコア遠位端109を有する細長い管状部材である。コア102は、その内部にコア近位端108からコア遠位端109へと延伸するコア管腔111を更に備える。コア管腔111は、その内部にガイドワイヤ112を摺動的に収納し、かつ、コア102がガイドワイヤ112に沿って前進できるよう動作可能な直径を画定する。コア102は、ダイレーター管腔106内に摺動的に収納され、かつ、コア102がダイレーター管腔106内を少なくとも部分的に前進できるよう動作可能な外径を画定する。
【0048】
コア管腔111を備える細長い管状部材としてコア102を示すが、ガイドワイヤ112または管腔に必要な他の部材を伴わないシステムや使用(例えば、潅注、但しこれに限定されない)のために、コア102は管腔を有さない細長い部材であってもよいことが理解される。以下に示す実施形態の説明では、コア102はコア管腔111を備えるが、これに限定されない。ほとんどの用途では、ガイドワイヤ112は、ダイレーター103およびコア102を備えるシステムと共に、またはその一部として使用される。例として、一実施形態では、コア管腔111は、約0.38mm〜約1.3mmの直径を有し得ることが理解される。
【0049】
図2A〜5Eは、異なるコアカーブ118a〜eを画定するコア遠位端109a〜eをそれぞれ有する5つのコア102a〜eの側面図を示す。図2Aは、直線的なコアカーブ118aを画定する遠位端114aを有する第1コア102aを示す。第1コア102aは、実質的に直線的な構成のダイレーター103を支持するため、および/またはダイレーター103を血管内で前進しやすくすることができるように該ダイレーター103に剛性を付与するために用いてもよい。
【0050】
図2B〜Eは、異なるコアカーブ118b〜eを画定するコア遠位端114b〜eをそれぞれ有する第2、第3、第4、および第5コア102b〜eの側面図を示す。コアカーブ118b〜eは、平面的または三次元的な構成であってもよい。コアカーブ118b〜eは、例えば、約5mm〜約100mmの曲率半径(但し、これに限定されない)を画定しうる。いくつかの実施形態では、各コア102は、1つまたは複数の曲率半径を有する複数のコアカーブ118を備えてもよい。コアカーブ118は、血管内の屈曲部をトラックするために、ダイレーター103を支持する特定の目的に適切な任意の形状を画定してもよいことが理解される。コアカーブ118は、一定の半径を画定しなくてもよく、異なる平面上の様々な半径からなる複合的なカーブであってもよい。
【0051】
コア102は、特定の目的に適切な任意の材料、例えば(但し、これに限定されない)熱可塑性物質や金属、例えば(但し、これに限定されない)ステンレス鋼やニッケルチタン合金から作製してもよい。コア102のコアカーブ118は、特定の材料に適切な任意の加工、例えば、熱成形硬化(thermal shape-setting)や成形(molding)により形成してもよいがこれに限定されない。
【0052】
一実施形態では、コア102は、当該技術分野で公知のカテーテルを操舵するためのアクティブステアリング機構を利用することなどにより操舵可能(steerable)なタイプのものであってもよい。
【0053】
一実施形態では、1つまたは複数の放射線不透過性マーカーは、コア102に結合させてもよくまたは一体化させてもよい。例えばX線技術による画像化の際にコア遠位端109の場所を同定するために、放射線不透過性マーカーをコア遠位端109付近またはコア遠位端109上に位置させてもよい。
【0054】
ダイレーター103は、例えば、血管内部にカテーテルまたはシースを確実に収容できるようにするという目的(但し、これに限定されない)のために、血管の狭窄部を拡張(dilate)(拡大(enlarge))するように動作可能である。一実施形態では、操作時に血管を通してダイレーター遠位端104を前進させる。血管の狭窄部では、ダイレーター103は、血管の直径部との接触が付勢され、血管の直径が拡張される。
【0055】
血管が屈曲を示す場所において、ダイレーター遠位端104は、トラックミスする(mistrack)、つまり、屈曲部の経路に沿わないことがある。ダイレーター遠位端104が屈曲部をトラックするのを補助するために、コア102をダイレーター近位端105からダイレーター管腔106内に挿入して、ダイレーター103がトラックミスをしやすい場所であるダイレーター遠位端104まで前進させる。コア遠位端109は、ダイレーター遠位端104が血管の屈曲部を通る方向に向けて適切なカーブを有するように動作可能な所定のカーブを備える。コア102は、ダイレーター遠位端104から出る必要はない。コア102の剛性がダイレーター103の剛性よりも相対的に高いと、ダイレーター遠位端104が、コア遠位端109により与えられたカーブに沿って屈曲部内へと向かうよう方向づけやすくなる。ダイレーター遠位端104が屈曲部を越えると、コア遠位端109により画定されたコアカーブ118が屈曲部内に位置することになる。コア102がダイレーター103を案内しつつ、ダイレーター103がコア102に沿って前進し屈曲部を通り抜る間、コア102を所定の位置に保持してもよい。
【0056】
多くの場合、血管を拡張する処置は、コア遠位端109に、特定のコアカーブ118を有する1つのコア102を必要とするであろう。他の場合、ダイレーター103を前の屈曲と同じではない屈曲となる血管内の次の後続する屈曲部まで前進させてもよい。ダイレーターシステム100は、コア102をダイレーター103から取り外して、異なるコアカーブ118を有する次のコア102を前進させダイレーター遠位端104が当該屈曲部を越えるようにし、この方法を繰り返してダイレーター103が後続する屈曲部を前進するようにしてもよい。
【0057】
図3および4Aに示すように、ダイレーター遠位端104は、ダイレーター遠位先端部310を終端とし外径が小さくなる先細部(taper)を画定する。図4Aは、ダイレーター103の断面図を示す。先細部になっていることにより、とりわけ、ダイレーター遠位端104の先細部ではない部分よりもダイレーター遠位端104の相対的な剛性が低くなる。ダイレーター103の先細部ではない部分は、コア102よりも相対的な剛性が低いが、後述するように、ダイレーター103が血管によって支持される場合、または、シースを用いる実施形態ではダイレーター103がシースによって支持される場合、コア遠位端109により画定されるコアカーブ118は、ダイレーター103の先細部ではない部分の内部におけるダイレーター管腔106へ挿入されるときに、実質的に直線状になる。
【0058】
図4Aおよび4Cに示すように、ダイレーター遠位先端部310の管腔もまた、コア102の直径よりも小さい直径になるように先細になっており、コアがダイレーター遠位先端部310から出ないようにして、コア102がダイレーター遠位先端部310から飛び出て血管を損傷することがないようにしている。一実施形態では、ダイレーター遠位先端部310が、コア102の直径よりも小さい直径を有するダイレーター先端部の管腔を画定することによって、コア102がダイレーター遠位先端部310から飛び出ないようにしている。
【0059】
ダイレーター遠位端104およびコア102をアセンブリとして屈曲部内へと前進させるとき、つまり、コア102がダイレーター遠位端104内にあるとき、ダイレーター遠位端104はもはや血管によって支持されておらず、剛性が不十分かつコア遠位端109を実質的に直線状の構成に保持する外側の支持を有さないので、コア遠位端109によりダイレーター遠位端104へカーブが付与される。そして、ダイレーター遠位先端部310が血管の屈曲部の方向へ向けられる。ダイレーター遠位先端部310が屈曲部を縦走したら、コア102沿いに屈曲部を通ってダイレーター103を前進させる際にコア102のコアカーブ118により血管の屈曲部に実質的に相当するカーブをダイレーター103へ与えるようにしつつ、コア102を所定の位置に保持してもよい。
【0060】
ある実施形態では、様々な所定のコアカーブ118を画定する複数のコア102を動作可能に設けて、ダイレーター103が血管の屈曲部を縦走するのに適切なカーブをダイレーター103に付与するようにしてもよい。一実施形態では、ダイレーターシステム100は、ユーザが特定のコアカーブ118の形状とするように動作可能な1つのコア102を備えてもよい。一実施形態では、ダイレーターシステム100は、各々が異なるコアカーブ118を画定する複数のコア102または複数のコアカーブ118のうちのひとつを備え、ユーザが処置の前に選択できるようにしてもよい。一実施形態では、ダイレーターシステム100は、各々が異なるコアカーブ118を画定する複数のコア102を備え、ユーザが処置の間に選択できるようにしてもよい。血管内で解剖学的に異なる屈曲部に遭遇したとき、複数のオプションをユーザに与えるために様々なコア102をキットとして設けてもよい。使用するコア102の数およびタイプは、個々の患者の解剖学的な構造や体内でとる経路に依存しうる。更に、ダイレーターシステム100は、上述のいくつかの実施形態に係るコア102を組み合わせて備えてもよい。
【0061】
コア102のコアカーブ118の寸法は、ダイレーター管腔106内で位置決めする際に、ダイレーター103の固有の剛性がコア102に付されることで変化し得る。ダイレーター管腔106外のコア遠位端109のコアカーブ118の寸法と、ダイレーター管腔106内にあるときのコア102のコアカーブ118の寸法が異なる場合もあり、ユーザが血管内の特定の屈曲部に対応するコアカーブ118を有するコア102を選択する際にこの差異を調製できるようにしてもよい。
【0062】
カテーテル導入システム
再び図1を参照し、ダイレーターシステム100および シース113を備えるカテーテル導入システム200について以下に説明する。図5は、一実施形態に係るカテーテル導入システム200がアセンブルされた状態を示す側面図である。シース113は、ダイレーターシステム100の補助により血管内に位置するように動作可能である。シース113が血管内の適切な位置についたら、カテーテルを血管内へ導入するための導管となるようシース113を残したままダイレーターシステム100をシース113から引き抜く。
【0063】
シース113は、シース近位端110および当該シース近位端110と反対側のシース遠位端107を有する細長い管状部材である。シース113は、シース近位端110からシース遠位端107へと延伸するシース管腔116を更に備える。シース管腔116は、その内部にダイレーター103を摺動的に収納し、シース113をダイレーター103に沿って前進させるよう動作可能な直径を画定する。一実施形態では、シース113は、約1mm〜約10mm、または約4mm〜約8mmの直径を有する。
【0064】
ダイレーター103は、より大きな直径のシース113前進させるために血管の狭窄部を拡張(dilate)(拡大(enlarge))させるのに使用してもよい。ダイレーターシステム100は、狭窄血管を拡張させるために使用してもよいが、追加的にまたは代替的に、ダイレーターシステム100はシース113が血管内部で前進するのを補助するために使用してもよい。また、ダイレーター103は、血管を必ずしも拡張させなくとも単にシース113が血管を通り前進するためのガイドとして使用してもよい。一実施形態では、ダイレーター103を血管内で前進させた後、ダイレーター103がシース113をガイドしつつ、シース遠位端107をダイレーター近位端105に沿って前進させ、ダイレーター103に沿いにダイレーター遠位端104へ向かって前進させてもよい。別の一実施形態では、ダイレーター103が血管内に入る前に、シース遠位端107をダイレーター近位端105に沿って前進させて、ダイレーター遠位端104の少なくとも一部に沿って前進させてもよい。言い換えれば、図5に示すように、シース113は、使用前にダイレーター103を少なくとも部分的に前進できればよい。
【0065】
シース遠位端107がダイレーター103をトラックするのを補助するために、コア102をダイレーター近位端105からダイレーター管腔106内で前進させて、シース113がトラックミスをしやすい場所であるダイレーター遠位端104まで前進させる。コア遠位端109は、ダイレーター遠位端104にカーブを付与して支持を与えるように動作可能な所定のコアカーブ118を備える。シース遠位端107を血管の屈曲部内で適切に支持しガイドするために、ダイレーター103とそれを支持するコア102との組み合わせにより、ダイレーター遠位端104がこれに沿って前進するシース113の影響により直線状になるのを実質的に阻止すべく、コアカーブ118に十分な剛性を与えるようにしてもよい。
【0066】
ダイレーター遠位端104内のコア102の剛性がシース133の剛性よりも相対的に高いと、シース113がコアカーブ118に沿って前進するときに、シース遠位端107はコア遠位端109により押されカーブに沿いやすくなる。コア102の剛性をダイレーター103の剛性よりも高くなるように選択して、ダイレーター遠位端104が屈曲部の内部またはこれを通り抜けて案内する、またはシース遠位端107がコアカーブ118に沿いつつ屈曲部に通して案内するいずれかまたは両方に十分な特定のカーブ構成で、コア102がダイレーター遠位端104を支持できるようにする。一実施形態では、コア102およびダイレーター103を組み合わせた剛性は、シース113の剛性より高くなるよう動作可能である。
【0067】
コア遠位端109のコアカーブ118は、少なくとも部分的に抑制される、つまり、コア遠位端109はシース113を通り抜けるとき少なくとも部分的に直線状になる。コア遠位端109がシース113の制限から外れると、コア遠位端109のコアカーブ118が実質的に表れる。シース113は、コア102によって支持されるダイレーター遠位端104の付与されたカーブ沿いにトラックすることができないほど剛性が強くてはならない。
【0068】
一実施形態では、ダイレーター遠位端104内のコア遠位端109のコアカーブ118が血管の屈曲部に位置したら、コア102がダイレーター遠位端104およびシース遠位端107を屈曲部に通すように案内しつつ、ダイレーター103およびシース113がコア102沿いに屈曲部を通って前進する間、コア102を所定の位置に保持してもよい。
【0069】
別の一実施形態では、コア遠位端109のコアカーブ118が血管の屈曲部内に残しつつ、ダイレーター遠位端104がコア102のコアカーブ118沿いに前進し屈曲部を越えたら、シース113をダイレーター103沿いに屈曲部に通すよう前進させつつダイレーター103およびコア102を所定の位置に保持する。
【0070】
シース113は、壁厚が比較的薄く、シース113が血管203を通ってトラックできるよう十分低い剛性を有する。図3、4Aおよび4Bでは、シース113は、ダイレーター103との接続部まで先細になっているシース遠位先端部306を備え、とりわけ、ダイレーター103とシース113との間を滑らかに移動できるようになっている。シース113の剛性に依存して、シース遠位端107が、コア102のコアカーブ118によって支持されるダイレーター103によって画定されたカーブ沿いに縦走する際に、シース遠位先端部306には、楕円化(ovalization)と呼ばれる円形から楕円形への変形が起こることがある。楕円化は、ダイレーター103とのシース113間のギャップが拡がり、カーブ部沿いに前進する際にシース遠位端107の縁が血管を損傷しかねないことを示し得る。
【0071】
一実施形態では、シース遠位先端部302は、シース遠位端107の他の部分の剛性より高い剛性を有する。シース遠位先端部302の剛性は、シース遠位先端部302に含まれる材料固有の性質、あるいは、例えば(但し、これに限定されない)補強バンド等のシース遠位先端部302に連結した要素により影響され得る。シース遠位先端部302は、シース遠位先端部302がカーブ部を縦走するのを大幅に妨害しないように十分に短いが、シース遠位先端部302を支持して顕著な楕円化を防ぐには十分に長い長さを画定する。一実施形態では、シース遠位先端部306の剛性が高い部分の長さは、約1mm〜約10mmであってもよい。
【0072】
図4Bは、図4Aの実施形態のシース遠位端107の拡大断面図である。シース遠位端107は、補強バンド304を備える。補強バンド304は、シース遠位端107において補強バンド304の近隣部の剛性よりも高い剛性を与えるよう動作可能である。補強バンド304は、シース遠位先端部302が血管の屈曲部を縦走するときに、シース遠位先端部302の楕円化を実質的に防止するように動作可能である。シース遠位先端部302がシース遠位端107のその他の部分の剛性よりも高い所定の剛性を有する場合、ダイレーター103とシース遠位端107がカーブ部にあるときにそれらの間に形成されうるいかなるギャップも実質的に生じないまたは約0.5mmよりも小さくすることができる。一実施形態では、シース遠位先端部306および補強バンド304は、約1〜約10mmの長さの剛性が高い部分を画定する。シース遠位先端部306は、シース113とダイレーター103間の移動が滑らかになるように先細であってもよい。
【0073】
シース113は、X線画像における可視化を補助するための1つまたは複数の放射線不透過性マーカー312を備えてもよい。
【0074】
図6は、実施形態に係る、剛性が異なる複数の領域を有するシース113の側面図である。シース113は、様々に剛性が異なる領域を2つまたはそれ以上有し得る。一実施形態では、ユーザがシース113をシース近位端110から血管を通って前進させるのをより簡便に操作できるよう、高いデュロメータ硬さの材料または動作可能な特性を備える第1長L1を、シース近位端110により画定してもよい。シース113の1つまたは複数の中央部分115が、シース近位端110より低い剛性を有する材料または材料特性を備える第2長L2を画定し、これによりシース近位端110よりも柔軟になるようにしてもよい。例えば、Shore D基準での測定で、第1長L1のデュロメータ硬さは約30〜約45であり、第2長L2のデュロメータ硬さは約15〜約30であり得る。第1長L1および第2長L2は、約10cm〜約100cmであり得る。
【0075】
シース近位端110より柔軟な中央部分115の利点は、中央部分115がコア102およびダイレーター103によりもたらされるカーブ形状をより取りやすくすることである。前述のように、ある実施形態では、第3長L3のシース遠位先端部306は、近隣する中央部分115よりもデュロメータ硬さまたは剛性が高く、楕円化を実質的に防ぐようになっている。例えば、シース遠位先端部306は、例えばShore D基準での測定で、約60〜約90のデュロメータ硬さを有し得る(但し、これに限定されない)。
【0076】
図3は、一実施形態に係る、図5の実施形態と実質的に同じカテーテル導入システム200の遠位領域325の側面図である。ダイレーター103およびシース113は、ダイレーター遠位端104がシース遠位端107から所定の距離延伸するようにして細長いダイレーター遠位領域308を画定するようにアセンブルされる。細長いダイレーター遠位領域308は、コア遠位端109がそこに挿入されたときカーブを付与することができるよう適切な長さを有する。細長いダイレーター遠位領域308がないと、ダイレーター103は、比較的剛性のあるシース113の近隣部によりダイレーター遠位端104のカーブを画定するのを制限されることがある。様々な実施形態に適切な細長いダイレーター遠位領域308の長さは様々で、約5cm〜約35cm、約10cm〜約30cm、約12cm〜約17cm、または約8cm〜約12cm等が挙げられる。
【0077】
細長いダイレーター遠位領域308の長さは、コア102と組み合わせてダイレーター103および/またはシース113の位置決めをする処置の間にユーザにより調整、操作、および一時的に静止するようにできる。後述するように、ダイレーター103およびシース113を一緒に連結して、例えばカテーテル導入システム200をアセンブリとして血管内で位置決めするときに、一時的にダイレーター103がシース113内で動かないようにしてもよい。
【0078】
図4Aは、図3および5の一実施形態に係る、カテーテル導入システム200の遠位領域325の断面図である。コア102のコア遠位端109は、ダイレーター遠位端104におけるダイレーター103のダイレーター管腔106内の少なくとも一部で位置決めされる。ダイレーター遠位端104の少なくとも一部は、シース遠位端107におけるシース113のシース管腔116内で位置決めされる。図4Aおよび4Cに示すように、コア102は、ダイレーター管腔106内の実質的に遠位の位置、例えばダイレーター遠位先端部310の近接部まで前進させてもよい(ただしそこからは延伸はさせない)。
【0079】
図6を再び参照すると、カテーテル導入システム600は、ダイレーター近位端105に連結したハブ602を更に備える。ハブ602は、カテーテル導入システム600を案内するためのハンドルとして使用してもよい。ハブ602は、ダイレーター103をシース113およびコア102のいずれかまたは両方と連結するよう動作可能であってもよい。図示するように、シース113がハブ602から遠位にあり、そして、シース113がダイレーター103沿いにダイレーター遠位端104に向かって摺動可能に前進するようにしてもよい。
【0080】
別の一実施形態では、ダイレーター103とシース113間で相対的に動かないようにしてダイレーター103およびシース113を血管内で前進させるように、シース近位端110をハブ602と連結させてもよい。シース113をダイレーター103に連結させると、ダイレーター103とシース113を、例えば静止させて保持可能なコア102に沿って同時に前進させやすくなる。
【0081】
一実施形態では、シース113を前進させつつダイレーター103内のコア102の位置を保持するように、コア102をダイレーター103に連結してもよい。連結は一時的であってもよく、例えば当該分野で公知のネジ、スナップ、または回転カプラーを用いて行ってもよい。ハブ602で構成要素を連結することは、例えば、1または複数の構成要素またはシステム全体を、血管を通して前進させる際のユーザの制御性やアセンブリの安定性をもたらし得る。
【0082】
別の一実施形態では、コア102は、ユーザが利用する際にねじれ応答または回転を容易にするよう動作可能なダイレーター103の鍵構造と協調して係合する鍵式の構成要素を備えてもよい。このような協調的な鍵構造の例として、コア102とダイレーター103との間の係合を強めて安定性を高めるための相互的なオス/メスの畝/溝構造が挙げられるが、これに限定されない。
【0083】
ガイドワイヤシステム
ダイレーターガイドワイヤシステム400およびカテーテル導入ガイドワイヤシステム300の実施形態では、ガイドワイヤ112は血管を最初に縦走するのに用いられ得る。ガイドワイヤ112のガイドワイヤ遠位端114を、血管を通って所望の場所に前進させる。比較的柔らかいガイドワイヤ遠位端114により、ガイドワイヤ112が複雑な血管の屈曲部を通って前進できるようにする。ダイレーター103のダイレーター遠位端104をガイドワイヤ近位端117沿いに前進させて、ガイドワイヤ112により案内される血管内を前進させてもよい。コア102を用いる場合、コア管腔111内にガイドワイヤ112を収納させながら、コア遠位端109をガイドワイヤ近位端117沿いに前進させてもよい。コア102がガイドワイヤ112沿いに前進する際、コア102もダイレーター管腔106内に収納しこの内部を前進させる。
【0084】
コア102を使用していないときはガイドワイヤ112を引き抜き、使用する際にコア管腔111またはダイレーター管腔106へ挿入(再挿入)してもよい。同様に、コア102を引き抜き、使用する際にダイレーター管腔106へ挿入(再挿入)してもよい。
【0085】
以下に、図1および5のカテーテル導入ガイドワイヤシステム300の使用方法の一実施形態を例示的に示す。この実施形態は、ダイレーターシステム100、カテーテル導入システム200、およびダイレーターガイドワイヤシステム400の使用方法の実施形態にも少なくとも部分的に当てはまる。図7Aは、第1屈曲部1および第2屈曲部2を含む血管203の断面図である。この図では、ガイドワイヤ近位端117を血管203外部とアクセス可能にしつつ、ガイドワイヤ遠位端114を第1屈曲部1および第2屈曲部2を通して前進させる。ガイドワイヤ112により案内される第1屈曲部1を越えてダイレーター遠位端104をガイドワイヤ112沿いに前進させる。ダイレーター103が比較的柔軟なので、ダイレーター103はガイドワイヤ112に沿って実質的にトラック可能である。シース遠位端107をダイレーター近位端105沿いに前進させ、シース遠位端107が第1屈曲部1の手前に近隣するようにダイレーター103沿いに前進させる。
【0086】
図7Bは、コア遠位端109のコアカーブ118が第1屈曲部1内にあるように、コア102のコア遠位端109をダイレーター管腔106内でガイドワイヤ112沿いに前進させた血管203の断面図である。よって、シース遠位端107が第1屈曲部1内でダイレーター103に沿ってトラックできるように、コア遠位端109はダイレーター遠位端104を支持する。コア102はダイレーター管腔106内に残り、ダイレーター遠位端104はシース遠位端107から延伸している。
【0087】
図7Cは、シース遠位端107がダイレーター遠位端104の一部に沿ってコアカーブ118沿いに、第1屈曲部1を越えたところでかつ第2屈曲部2の手前まで前進させた血管203の断面図である。第2屈曲部2があまりにも蛇行しているので、コア102の支持を要しないと、ダイレーター遠位端104がガイドワイヤ112沿いに第2屈曲部2を通ってトラックできない。
【0088】
図7Dは、ダイレーター遠位端104を、血管203内で第2屈曲部2の直前まで更に少し前進させた血管203の断面図である。同じコア102または異なるコアカーブ118を有する異なるコア102のいずれかを、ダイレーター103内に通してダイレーター遠位端104まで前進させる。コア遠位端109は、ダイレーター遠位端104を第2屈曲部2に向かうようなカーブにする方向づけを補助するコアカーブ118を画定する。ダイレーター遠位端104を第2屈曲部2内に侵入させ第2屈曲部2に通すために更に前進させる際、コアカーブ118が第2屈曲部2内で位置決めされるまで、コア遠位端109をダイレーター遠位端104と共にまたはその内部で前進させ、ダイレーター遠位端104を第2屈曲部2に更に向かうように方向づけてもよい。ダイレーター遠位端104が第2屈曲部2を縦断している間、コア遠位端109はダイレーター管腔106内に残る。コア102がダイレーター遠位端104から延伸してしまうと、コア遠位端109が比較的剛性の高い部材であるため、血管203を損傷しかねない。
【0089】
図7Eは、ダイレーター遠位端104が第2屈曲部2を通り抜けた後の血管203の断面図である。同じコア102または異なるコアカーブ118を有する異なるコア102のいずれかを、ダイレーター103を通ってダイレーター遠位端104および第2屈曲部2まで前進させ、コア遠位端109により画定されるコアカーブ118が第2屈曲部2内にあるようにする。よって、シース遠位端107が第2屈曲部2内でダイレーター103沿いにトラックできるように、コアカーブ118はダイレーター遠位端104を支持する。
【0090】
図7Fは、シース遠位端107がダイレーター遠位端104沿いに第2屈曲部2を越えて前進した血管203の断面図である。
【0091】
図8は、一実施形態に係る、血管内でカテーテル導入システムを位置決めする方法のブロックフロー図800である。ガイドワイヤを、血管を通って前進させ、血管内の屈曲部を越えるように配置する(802)。ダイレーター遠位端を血管内でガイドワイヤの近位端に沿って前進させ、ガイドワイヤによって案内される屈曲部を越えるように位置決めする(804)。シースをダイレーターの近位端に沿って前進させ、屈曲部の近隣部まで前進させる(806)。コアカーブを画定するコアを、ダイレーターの管腔を通って、ガイドワイヤ沿いに前進させて屈曲部内にコアカーブを配置する(808)。屈曲部内のコアカーブの位置を保持しつつ、シースおよびダイレーターをコア沿いに前進させる(810)。
【0092】
図9は、一実施形態に係る、血管内でカテーテル導入システムを位置決めする別の方法のブロックフロー図900である。ダイレーターの近位端を血管内の屈曲部の近隣部まで前進させて、ダイレーターを血管内で前進させる(902)。シースをダイレーターの近位端まで前進させ、ダイレーター遠位端の近隣部まで前進させる(904)。コアカーブを画定するコアを、ダイレーターの管腔内で前進させ、ダイレーター遠位端内で位置決めし、ダイレーター遠位端が実質的に屈曲部の方向にコアカーブの形状をとるようにする(906)。ダイレーターをコア沿いに屈曲部を通り抜け越えるように前進させる(908)。コアカーブをダイレーター内で前進させ、コアカーブを屈曲部内に配置する(910)。屈曲部内のコアカーブの位置を保持しつつ、シース遠位端およびダイレーターをコア沿いに屈曲部を越えて前進させる(912)。
【実施例】
【0093】
50%低密度ポリエチレン(LDPE)(Westlake Chemical, Houston, TX)および50% Santoprene 281-73MED(ExxonMobil Chemical, Houston, TX)を含む細長い管状部材を押出してダイレーターを作製した。細長い管状部材は、6.66mmの外径および2.87mmの内径を有していた。同一の組成を有する成形した(molded)先細の先端部を作製し、細長い管状部材の端部に熱接着した。先細先端部のおおよその長さは、50mmであった。先細先端部は、遠位端で約1.2mmの直径を有していた。得られたダイレーターの全長は1.14mであった。ハブをダイレーターの近位端に接着した。ダイレーターの外表面に親水性コーティングを塗布した。
【0094】
複数のコアを、材料Grilamid L25(EMS-Grivory, Sumter, SC) を含むチューブから作製した。チューブは1.27mmの内径および2.67mmの外径を有していた。コアの遠位端は、工具(tooling)を使用してカーブ構成に保持して150℃のオーブンで30分間加工した。コアは、室温まで冷却し工具から取り出し、ヒートセット形状を実質的に保持させた。コアは、遠位端で50mm半径のカーブを有していた。コアの全長は1.22mであった。
【0095】
シースは、PEBAX 7233 SA01 MED(Arkema, King of Prussia, PA)を含み、他の部分よりもデュロメータ硬さが高い遠位先端部を有するように作製した。
【0096】
上記のようにして作製したダイレーター、コア、およびシースは、本明細書に記載の特性を示した。
【0097】
本実施形態において様々な改変および変更が本発明の精神または範囲から逸脱することなくなされ得ることが当業者には明らかであろう。したがって、本実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内にある改変および変更点をも包含することを意図する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
図9