特許第6875446号(P6875446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6875446少なくとも1つの3次元物体を付加製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875446
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】少なくとも1つの3次元物体を付加製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/153 20170101AFI20210517BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20210517BHJP
   B29C 64/232 20170101ALI20210517BHJP
   B29C 64/236 20170101ALI20210517BHJP
   B29C 64/241 20170101ALI20210517BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20210517BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20210517BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20210517BHJP
【FI】
   B29C64/153
   B29C64/393
   B29C64/232
   B29C64/236
   B29C64/241
   B33Y10/00
   B33Y30/00
   B33Y50/02
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-76888(P2019-76888)
(22)【出願日】2019年4月15日
(65)【公開番号】特開2019-181950(P2019-181950A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2019年8月5日
(31)【優先権主張番号】18167379.9
(32)【優先日】2018年4月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504473474
【氏名又は名称】コンセプト・レーザー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ウィニアルスキー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ホフマン
【審査官】 西田 彩乃
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/180958(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0065343(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0333990(US,A1)
【文献】 特開2018−012282(JP,A)
【文献】 特開2015−120261(JP,A)
【文献】 特開平03−055224(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/051801(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第107073819(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/153
B29C 64/232
B29C 64/236
B29C 64/241
B29C 64/393
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B33Y 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエネルギービーム(5)によって3次元物体(2)を付加製造するための装置(1)の造形平面(BP)に塗布された造形材料層(3)を連続的な層ごとの選択照射及び固化によって、少なくとも1つの3次元物体(2)を付加製造する方法であって、
前記エネルギービーム(5)によって選択的に照射及び固化される、少なくとも1つの造形材料層(3)が、前記造形材料層(3)の少なくとも1つの延在方向に対して湾曲形状を有する、少なくとも1つの造形材料層セクション(11)を備え、かつ造形材料塗布要素(13)が前記造形平面(BP)を横断して移動するときに、前記造形材料層(3)を搬送する、移動可能に支持された搬送要素(10)の制御された、振動する上下運動により生成される、方法。
【請求項2】
前記の、又は少なくとも1つの、湾曲した造形材料層セクション(11)は、少なくとも1つの隆起した又は隆起させられた部分(11a)であって、基準高さ又は基準面(RP)に対して隆起した及び/又は隆起させられた少なくとも1つの部分と、少なくとも1つの沈降した又は沈降させられた部分(11b)であって、前記基準高さ又は基準面(RP)に対して沈降した及び/又は沈降させられた少なくとも1つの沈降した又は沈降させられた部分との少なくともいずれかを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記隆起した又は隆起させられた部分(11a)は、前記造形材料層(3)の各々の隆起因子と層厚さ(t)を基に、前記造形材料層(3)の各々の層厚さ(t)に隆起因子を掛けることにより決定される隆起値だけ隆起し、及び/又は、前記沈降した又は沈降させられた部分(11b)は、前記造形材料層(3)の各々の沈降因子と層厚さ(t)を基に、前記造形材料層(3)の各々の層厚さ(t)に沈降因子を掛けることにより決定される沈降値だけ沈降する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数の造形材料層()は、前記造形材料層(3)の各々が少なくとも1つの湾曲形状の造形材料層セクション(11)を備えるように塗布され、それにより、隣接して配置された造形材料層(3)の各湾曲形状の造形材料層セクション(11)における、前記隆起した又は隆起させられた部分(11a)及び/又は前記沈降した又は沈降させられた部分(11b)が同一傾斜を有する、請求項2又は請求項3に記載の方法。
【請求項5】
複数の造形材料層(3)は、前記造形材料層(3)の各々が少なくとも1つの湾曲形状の造形材料層セクション(11)を備えるように塗布され、それにより、隣接して配置された造形材料層(3)の各湾曲形状の造形材料層セクション(11)において、前記隆起した又は隆起させられた部分(11a)及び/又は前記沈降した又は沈降させられた部分(11b)が同一傾斜を有し、下の造形材料層(3)が、垂直方向に直接隣接して配置された上の造形材料層(3)に係合するようになった、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
複数の造形材料層(3)は、前記造形材料層(3)の各々が少なくとも1つの湾曲形状の造形材料層セクション(11)を備えるように塗布され、それにより、隣接して配置された造形材料層(3)の各湾曲形状の造形材料層セクション(11)において、前記隆起した又は隆起させられた部分(11a)及び/又は前記沈降した又は沈降させられた部分(11b)が同一傾斜を有し、
下の造形材料層(3)の隆起部(11a)の上側部分が、垂直方向に直接隣接して塗布された上の造形材料層(3)の隆起部(11a)の下側部分に係合し、
上の造形材料層(3)の沈降部(11b)の下側部分が、垂直方向に直接隣接して塗布された下の造形材料層(3)の沈降部(11b)の上側部分に係合するようになった、請求項4又は請求項5に記載の方法。
【請求項7】
湾曲形状を有する造形材料層セクション(11)は、選択的に照射および固化される造形材料層(3)を生成するために前記造形平面(BP)内にある量の造形材料(4)を塗布するように構成された造形材料塗布要素(13)であって、その自由端が前記造形平面(BP)に向けられた造形材料塗布要素(13)と、前記造形平面(BP)露出する上面、との間の距離を、造形材料塗布プロセス中に協調的に変化させることによって生成される、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記造形材料層(3)の少なくとも1つの延在方向に関して湾曲した形状を有する少なくとも1つの造形材料層セクション(11)を備え、選択的に照射及び固化される前記少なくとも1つの造形材料層(3)は、選択的に照射及び固化される造形材料層(3)を生成するために、前記造形平面(BP)にある量の造形材料(4)を塗布するように構成された造形材料塗布要素(13)を、前記造形平面(BP)を横切る少なくとも2つの異なる運動成分の複合運動で移動させることにより生成され、
第1の運動成分は、前記造形材料塗布要素(13)の前記造形平面(BP)に平行な方向の運動であるか又はそれを含み、かつ少なくとも1つの更なる運動成分が、前記造形材料塗布要素(13)の前記造形平面(BP)に平行でない方向の運動であるか又はそれを含む、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記造形材料層(3)の少なくとも1つの延在方向に関して湾曲した形状を有する少なくとも1つの造形材料層セクション(11)を備え、選択的に照射及び固化される前記少なくとも1つの造形材料層(3)は、選択的に照射及び固化される造形材料層(3)を生成するために、前記造形平面(BP)にある量の造形材料(4)を塗布するように構成された造形材料塗布要素(13)を、前記造形平面(BP)を横切る少なくとも2つの異なる運動成分で定義される複合運動で移動させることにより生成され、
第1の運動成分は、前記造形材料塗布要素(13)の前記造形平面(BP)に平行な方向の運動であるか又はそれを含み、かつ少なくとも1つの更なる運動成分が、回転軸の周りの前記造形材料塗布要素(13)の回転運動であって、ピボット運動であるか又はそれを含む、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
各造形材料層(3)を選択的に照射するための、少なくとも1つの照射パラメータであって、前記エネルギービーム(5)の垂直焦点位置が、前記湾曲形状の造形材料層セクション(11)に基づき、少なくとも1つの照射及び/又は固化の基準に関して決定される、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記3次元物体(2)の付加製造の基本となる造形データ(BD)には、湾曲形状を有する少なくとも1つの造形材料層セクション(11)を備える、少なくとも1つの造形材料層(3)が含まれる、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
個々の装置(1)の造形平面(BP)に塗布された造形材料層(3)を連続的に層ごとに選択照射及び固化して少なくとも1つの3次元物体(2)を付加製造するための装置(1)の制御ユニット(6)であって、
前記制御ユニット(6)は、造形材料(4)の前記塗布を、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の方法に従って制御し、
選択的に照射及び固化される少なくとも1つの造形材料層(3)が、前記造形材料層(3)内に、前記造形材料層(3)の少なくとも1つの延在方向に対して湾曲した形状を有する少なくとも1つの造形材料層セクション(11)を備えるように塗布されるようにする、制御ユニット。
【請求項13】
装置(1)の造形平面(BP)に塗布された造形材料(3)の層を、少なくとも1つのエネルギービーム(5)によって、連続的な層ごとの選択照射及び固化することで、少なくとも1つの3次元物体(2)を付加製造するための装置(1)であって、請求項12に記載の制御ユニット(6)を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元物体を付加製造するための装置の造形平面に塗布された造形材料層を少なくとも1つのエネルギービームを用いて連続的な層ごとの選択照射と固化をすることにより、少なくとも1つの3次元物体を付加製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば選択的な電子ビーム溶融プロセス又は選択的なレーザ溶融プロセスとして実施することができる、少なくとも1つの3次元物体の付加製造方法のそれぞれは、付加製造の技術分野において一般に知られている。
【0003】
これにより、既知の付加製造プロセス、例えば選択的レーザ溶融プロセスにより付加製造される物体は、異方的な構造的性質、具体的には異方的な機械的性質を有することがしばしば観察される。これは、個々の付加製造プロセス、すなわち造形材料層の連続的な層ごとの選択照射と固化の特質によって説明される。
【0004】
付加製造された3次元物体の異方的な構造的及び機械的性質のそれぞれは、異なる空間方向で変化する機械的性質をもたらし得る。一例として、付加製造された部品が、空間方向によって異なる引張強度、圧縮強度及び/又はせん断強度を示す場合がある。
【0005】
一般的には等方的な構造的性質、すなわち具体的には等方的な機械的性質を有する3次元物体を付加製造することが望まれるので、製造される3次元物体が等方的な構造的性質を有するように、付加製造プロセスを更に開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、等方的構造的性質、具体的には等方的機械的性質を有する3次元物体の付加製造を可能とする、少なくとも1つの3次元物体を付加製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1による、少なくとも1つの3次元物体を付加製造する方法によって達成される。請求項1に従属する請求項は、請求項1による方法の考えられる実施形態に関する。
【0008】
本明細書に記載の方法は、例えば工業部品である少なくとも1つの3次元物体2を、少なくとも1つのエネルギービームを用いた造形材料層3の連続的な層ごとの選択照射及び固化によって付加製造する方法である。造形材料は、セラミック、ポリマーあるいは金属であってよく、造形材料は典型的には粉末として提供される。エネルギービームは、例えば電子ビーム又はレーザビームであってよい。少なくとも1つの3次元物体を付加製造するために、選択的に照射及び固化される造形材料層が、本方法を実行するために使用される装置の造形平面に連続的に塗布される。こうして本方法は、少なくとも1つの3次元物体を付加製造するための装置によって実行可能であるか又は実行される。
【0009】
本方法は例えば、選択的レーザ焼結装置、選択的レーザ溶融装置、又は選択的電子ビーム溶融装置として実施され得る。ただし、本方法は、バインダー噴射法、具体的には例えば金属バインダー噴射法であることも考えられる。本方法を実行するための装置はしたがって、例えば選択的レーザ焼結装置、選択的レーザ溶融装置、又は選択的電子ビーム溶融装置として具体化されてもよい。さらに、本装置は、バインダー噴射装置、具体的には例えば金属バインダー噴射装置であることも考えられる。
【0010】
本方法によれば、本明細書に記載の方法によるエネルギービームによって選択的に照射及び固化される少なくとも1つの造形材料層が、造形材料層の少なくとも1つの延在方向に対して湾曲形状を有する少なくとも1つの造形材料層セクションを備える。すなわち、本方法により選択的に照射及び固化される少なくとも1つの造形材料層が、造形材料層の少なくとも1つの延在方向に対して湾曲形状及び/又は湾曲範囲を有する、少なくとも1つの造形材料層セクションを備えるように塗布される。したがって造形材料層は、湾曲した形状及び/又は範囲を有する少なくとも1つの造形材料層セクションと、平坦な形状又は範囲を有する少なくとも1つの造形材料セクションとを備えてもよい。いずれの場合にも、「湾曲」という用語は、個々の造形層範囲の少なくとも一方向に、隆起した又は隆起させられた、及び/又は沈降した又は沈降させられた、弓又は弓状の形状、波又は波状の形状、又は斜面又は斜面状の形状などのあらゆる種類の形状を含む。造形材料層の少なくとも1つの延在方向に対して、湾曲形状及び/又は湾曲範囲を有する個々の造形材料層セクションが1つだけの例示的ケースに対して、個々の造形材料層は、円弧若しくは円弧状の形状、又はドーム若しくはドーム状の形状をそれぞれ有してもよい。造形材料が平坦な、すなわち本質的に2次元の造形材料層を形成するように塗布される既知の付加製造プロセスに比べて、本明細書に記載の方法では、湾曲した、すなわち本質的に3次元の造形材料層を形成するように造形材料を協調的に塗布することを提案する。したがって、本明細書に記載の方法に従って塗布された少なくとも1つの、又は複数の、又はすべての造形材料層は、平坦な2次元層形状の造形材料層として塗布されるのではなく、非平坦な3次元層形状の造形材料層として塗布される。
【0011】
湾曲形状を有する少なくとも1つの造形材料層セクションを備える造形材料層を形成するように造形材料を塗布することは、付加製造される3次元物体が湾曲形状を有することを(必ずしも)意味するものではない。それは、複数の造形材料層−造形材料層の数は、付加製造される3次元物体の幾何学的次元、具体的には高さを基に決定される−の内の、第1の造形材料層(付加製造される3次元物体に関する一番下の層)と、個々の3次元物体製造のための造形作業を完了するために必要な、最後の造形材料層(付加製造される3次元物体に関する一番上の層)は、それぞれ平坦な造形材料層であってよいからである。
【0012】
以下で明らかとなるように、各造形材料層の各湾曲造形材料層セクションは、噛合わされた造形材料層構造の形成を可能とし、それにより垂直方向に隣接して配置された造形材料層同士を噛合わせ係合させる。これが、本明細書に記載の方法で付加製造された、3次元物体の構造的性質及び機械的性質のそれぞれを顕著に改良する。構造的性質及び機械的性質のそれぞれは、本明細書に記載の方法に従って付加製造された3次元物体の等方的な構造的及び機械的性質の観点において特に改善される。
【0013】
上記の、又は少なくとも1つのそれぞれの湾曲した造形材料層セクションは、少なくとも1つの隆起した又は隆起させられた部分、具体的には特に水平の基準高さ又は基準面に対して隆起した及び/又は隆起させられた少なくとも1つの部分、及び/又は少なくとも1つの沈降した又は沈降させられた部分、具体的には特に水平の基準高さ又は基準面に対して沈降した及び/又は沈降させられた少なくとも1つの沈降した又は沈降させられた部分と、を備える。したがって、個々の造形材料層は、個々の隆起した又は隆起させられた部分による1又は複数のピークを備え、及び/又は個々の沈降した又は沈降させられた部分による1又は複数の窪みを備えてもよい。それぞれの基準高さ又は基準面は、例えば、もしあれば平坦な(湾曲していない)形状を有する造形材料層セクションと交差する水平面によって定義することができる。すなわち、個々の造形材料層の平坦(非湾曲)部分と交差する水平面によって定義される。また、それぞれの基準高さ又は基準面は、例えばそれぞれの基準造形材料層の高さ(層の厚さ)の半分において平坦な基準造形材料層に交差する水平面によって定義されてもよい。したがって、それぞれの基準高さ又は基準面は、例えば平坦な造形材料層を上下に分割して2つの垂直方向に隣接する造形材料層部分とする水平面によって定義することができる。
【0014】
隆起部は、各造形材料層の隆起因子(負の沈降因子)、例えば1未満、1、又は1より大きい値などと、層厚さを基に、具体的には各造形材料層の層厚さに隆起因子を掛けることにより決定される隆起値だけ隆起されてよい。沈降部は、各造形材料層の沈降因子と層厚さを基に、具体的には各造形材料層の層厚さに沈降因子(負の隆起因子)、例えば1未満、1、又は1より大きい値などを掛けることにより決定される沈降値だけ沈降されてよい。
【0015】
上記のように、複数の造形材料層は、それぞれの造形材料層が少なくとも1つの湾曲形状の造形材料層セクションを含むように塗布されてもよい。それによって、隣接して配置された造形材料層の各湾曲形状の造形材料層セクションの、隆起した又は隆起された部分、及び/又は沈降した又は沈降された部分が、同一傾斜を有してもよい。言い換えれば、異なる造形材料層の湾曲形状の造形材料層セクションは、同一又は類似の幾何形状的性質を有し、各造形材料層の少なくとも1つの延在方向に、隣接して配置された造形材料層が平行に延在することが可能となり、それによって隣接して配置された造形材料層が垂直方向(造形方向)に平行配置されることが可能となってよい。
【0016】
隣接して配置された造形材料層の湾曲形状をした各造形材料層セクションの、各隆起した又は隆起させられた部分及び/又は各沈降した又は沈降させられた部分が、特に同一の傾斜を有して、下の造形材料層が垂直方向に直接隣接して配置された上の造形材料層に係合可能であるか、又は実際に係合するようになっていてもよい。隣接して配置された造形材料層の湾曲形状をした各造形材料層セクションの、各隆起した又は隆起させられた部分及び/又は各沈降した又は沈降させられた部分が、特に同一の傾斜を有して、下の造形材料層の隆起部の上側部分が、垂直方向(造形方向)に直接隣接して塗布された上の造形材料層の隆起部の下側部分に係合し、及び/又は上の造形材料層の沈降部の下側部分が、垂直方向に直接隣接して塗布された下の造形材料層の沈降部の上側部分に係合するようになっていてもよい。前述の全ての態様は、垂直方向に隣接して配置された造形材料層同士の垂直係合を可能とし、したがって、垂直方向に隣接して配置された造形材料層同士の噛合わせ係合を可能とする、前述の噛合わせ造形材料層構造の生成を可能とする。
【0017】
造形材料層の少なくとも1つの延在方向に関して湾曲した形状を有する少なくとも1つの造形材料層セクションを備え、選択的に照射及び固化されるそれぞれの造形材料層は、異なる方法で生成されてもよい。以下で明らかなように、湾曲形状を有する各造形材料層セクションは、造形材料塗布プロセス中に、造形材料塗布要素、すなわち具体的には造形平面に向かって配向された造形材料塗布要素の自由端と、造形平面、すなわち具体的には造形平面の自由に露出する上面との間の距離を、協調的に変化させることにより生成されてもよい。各造形材料塗布要素は、例えばブレード状の再被覆要素として構築されるか、又はそれを含んでもよい。各造形材料塗布要素はまた、例えば造形材料塗布ヘッドの形をした造形材料塗布ユニットとして構築されるか、又はそれを含んでもよい。
【0018】
第1の例示的実施形態によれば、造形材料層の少なくとも1つの延在方向に関して湾曲した形状を有する少なくとも1つの造形材料層セクションを備え、選択的に照射及び固化されるそれぞれの造形材料層は、選択的に照射及び固化される造形材料層を生成するために、造形平面にある量の造形材料を塗布するように構成された造形材料塗布要素を、造形平面を横切る少なくとも2つの異なる運動成分すなわち2つの異なる並進運動成分を含む複合運動で移動させることにより生成されてよい。それにより、造形材料塗布要素の第1の運動成分、典型的には第1の並進運動成分は、造形平面BPに平行な方向すなわち典型的には水平軸に沿う水平方向への造形材料塗布要素の運動であるか又はそれを含む。そして、典型的には更なる並進運動成分である、造形材料塗布要素の少なくとも1つの更なる並進運動成分は、造形平面に非平行な方向すなわち典型的には垂直軸に沿う垂直方向への造形材料塗布要素の運動であるか又はそれを含む。言い換えれば、第1の並進運動成分が第2の並進運動成分で重畳されて、造形平面に対する造形材料塗布要素の組み合わせ運動となってよい。それにより、造形材料塗布要素すなわち具体的には造形平面に向かって配向される造形材料塗布要素の自由端と、造形平面すなわち具体的には造形平面の自由に露出した上面、との間の距離は、個々の造形材料層を形成するある量の造形材料を塗布するために、造形材料塗布要素が造形平面BPを横切って移動する間に変化してよい。この実施例では具体的に、造形材料を塗布する方向(被覆方向)(x方向)に延在する曲線セクションが生成可能となる。
【0019】
第2の例示的実施形態によれば、造形材料層の少なくとも1つの延在方向に関して湾曲した形状を有する少なくとも1つの造形材料層セクションを備え、選択的に照射及び固化されるそれぞれの造形材料層は、選択的に照射及び固化される造形材料層を生成するために、造形平面にある量の造形材料を塗布するように構成された造形材料塗布要素を、造形平面を横切る少なくとも2つの異なる運動成分すなわち並進運動成分と回転運動成分を含む複合運動で移動させることにより生成されてよい。それにより、造形材料塗布要素の第1の運動成分、典型的には並進運動成分は、造形平面に平行な方向すなわち典型的には水平軸(被覆方向)に沿う水平方向への造形材料塗布要素の運動であるか又はそれを含む。そして、造形材料塗布要素の少なくとも1つの更なる運動成分、典型的には回転運動成分は、回転軸すなわち典型的には水平軸、具体的には被覆方向軸の周りの、造形材料塗布要素の回転運動、具体的にはピボット運動であるか、又はそれを含む。言い換えれば、第1の並進運動成分が第2の回転運動成分で重畳されて、造形平面に対する造形材料塗布要素の組み合わせ運動となってよい。それにより、造形材料塗布要素、すなわち具体的には造形平面に向かって配向される造形材料塗布要素の自由端と、造形平面すなわち具体的には造形平面の自由に露出した上面、との間の(垂直)距離は、個々の造形材料層を形成するある量の造形材料を塗布するために、造形材料塗布要素が造形平面を横切って移動する間に変化してよい。この実施形態では特に、造形材料を塗布する方向(被覆方向)に直交する方向(y方向)に延在する曲線セクションが生成可能となる。
【0020】
いずれの場合にも、造形材料塗布要素のそれぞれの動きは、それぞれの運動成分に関係する異なる運動の自由度で運動可能に支持される造形材料塗布要素によって実行され得る。第1の例示的実施形態に関しては、造形材料塗布要素は典型的に、少なくとも2つの並進運動自由度、すなわち具体的には第1の運動成分での並進運動を可能とする並進運動自由度と第2の運動成分での並進運動を可能とする第2の並進運動自由度とで、移動可能に支持されている。第2の例示的実施形態に関しては、造形材料塗布要素は典型的に、少なくとも1つの並進運動自由度すなわち具体的には第1の運動成分での並進運動を可能とする並進運動自由度と、少なくとも1つの回転運動自由度すなわち具体的には第2の運動成分での回転運動を可能とする回転運動自由度とで、移動可能に支持されている。
【0021】
またいずれの場合においても、例えば案内レールの形をした、それぞれの案内ユニット又は案内要素が提供されて、少なくとも2つの運動自由度と運動成分のそれぞれにおける造形材料塗布要素の各運動を実行してもよい。
【0022】
第3の例示的実施形態によれば、造形材料層の少なくとも1つの延在方向に関して湾曲した形状を有する少なくとも1つの造形材料層セクションを備える、選択的に照射及び固化されるそれぞれの造形材料層は、選択的に照射及び固化される造形材料層を生成するために造形平面にある量の造形材料を塗布するように構成された造形材料塗布要素が造形平面を横断して移動する間に、造形材料層と付加製造される3次元物体とを搬送する搬送ユニットの移動可能に支持された搬送要素を、制御された、具体的には振動する上下運動をさせて生成されてもよい。この実施形態では、造形材料塗布要素は典型的に、造形材料塗布要素すなわち具体的には造形平面に向かって配向される造形材料塗布要素の自由端と、造形平面すなわち具体的には造形平面の自由に露出した上面、との間を一定の(垂直)距離にして、造形平面を横切って移動させられる。さらに、この例示的実施形態によれば、造形材料塗布要素と造形平面との間の距離は、造形材料塗布要素に対する搬送要素のそれぞれの、具体的には振動する垂直運動によって変化する。
【0023】
上記の例示的実施形態の少なくとも2つの任意の組み合わせが考えられる。
【0024】
各造形材料層、具体的には湾曲形状を有する各造形材料層セクションの所望の照射及び/又は固化を確保するために、各造形材料層を選択的に照射するための少なくとも1つの照射パラメータ、具体的にはエネルギービームの垂直方向の焦点位置が、湾曲形状の造形材料層セクションを基に、具体的には少なくとも1つの照射及び/又は固化基準に関連して決定される。言い換えれば、照射パラメータ(照射パラメータは典型的には照射ユニットの動作パラメータを制御することによって制御され得る)が、それぞれの湾曲形状造形材料層セクションに、具体的には少なくとも1つの照射及び/又は固化基準に関連して適合されてもよい。それぞれの照射基準は、例えば、少なくとも1つのエネルギービームによる、造形材料層への(面積当たりの)エネルギー入力量であってもよい。
【0025】
それぞれの照射パラメータの制御は(これもまた)、造形材料層と湾曲形状を有する個々の造形材料層セクションのそれぞれに対する照射ユニットの協調的運動を実行することによって達成されてもよい。協調的運動によって、照射ユニットのエネルギービーム出口と、選択的に照射及び固化が行われる個々の造形材料層表面との間に一定の距離を保持させることが可能である。したがって、移動可能に支持された照射ユニットが使用されてもよい。
【0026】
個々の固化基準は、例えば造形材料の固化挙動を指してもよい。造形材料の固化挙動は、照射時に生成される造形材料の溶融相(溶融プール)の、例えば、深さ、幅などのパラメータに依存し得る。個々の照射パラメータは特に、照射ユニット、すなわち具体的には照射ユニットのエネルギービーム出口と、選択的に照射及び固化される造形材料の上面との間の可変距離の変化に関する情報を基に制御されてもよい。一般的にこの距離は、照射ユニットのエネルギービーム出口と、選択的に照射及び固化が行われる造形材料層の上面との間に延在する、自由エネルギービームの長さLに対応する。
【0027】
湾曲形状を有する少なくとも1つの造形材料層セクションを有する個々の造形材料層が、それを基に3次元物体が付加製造される、例えばスライスデータなどの造形データ内に既に含まれていてもよい。すなわち、それを基に3次元物体が付加製造される造形データには、湾曲形状を有する少なくとも1つの造形材料層セクションを備えた少なくとも1つの造形材料層が含まれていてもよい。
【0028】
本発明はさらに、各装置の造形平面に塗布された造形材料層を少なくとも1つのエネルギービームによる連続的な層ごとの選択的照射及び固化によって、少なくとも1つの3次元物体を付加製造するための装置の、ハードウェア及び/又はソフトウェアで具体化された制御ユニットに関する。制御ユニットは造形材料の塗布を制御するように構成され、具体的には本明細書に記載の方法に従って、選択的に照射及び固化が行われる少なくとも1つの造形材料層が、造形材料層の少なくとも1つの延在方向に対して湾曲した形状を有する少なくとも1つの造形材料層セクションを造形材料層内に備えるように塗布されるようにする。制御ユニットは具体的には、少なくとも1つの造形材料塗布要素を備える造形材料塗布ユニット、及び/又は少なくとも1つの搬送要素を備える搬送ユニットと通信して、造形材料塗布プロセス中に、造形材料塗布要素、すなわち具体的には造形平面に向かって配向する造形材料塗布要素の自由端と、造形平面、すなわち具体的には造形平面の自由に露出する上面、との間の距離を協調的に変化させて、湾曲形状を有する各造形材料層セクションを生成可能となるようにする。
【0029】
本発明はさらに、装置の造形平面に塗布された造形材料層を、少なくとも1つのエネルギービームによる連続的な層ごとの選択的照射及び固化をするとによって、少なくとも1つの3次元物体を付加製造する、装置に関する。この装置は、本明細書に規定される少なくとも1つの制御ユニットを備えるか、又はそれに接続される。
【0030】
この装置は例えば、選択的レーザ焼結装置、選択的レーザ溶融装置、又は選択的電子ビーム溶融装置であってよい。ただし、この装置が、バインダー噴射装置、特に例えば金属バインダー噴射装置であることも考えられる。
【0031】
本装置は、その動作時に操作可能又は操作される複数の機能ユニット及び/又は構造ユニットを備える。各機能ユニット及び/又は構造ユニットは、複数の機能上及び/又は構造上のサブユニットを備えてもよい。例示的な機能及び/又は構造ユニットは、造形平面内に造形材料層を形成するために、選択的に照射及び固化されるある量の造形材料を装置の造形平面内に塗布するように構成された造形材料塗布ユニットと、少なくとも1つのエネルギービームで造形材料層を選択的に照射してそれにより固化させるように構成された照射ユニットと、造形材料層及び付加製造される3次元物体を搬送するための搬送ユニットと、それぞれの制御ユニットである。
【0032】
方法に関するすべての注釈は、制御ユニット及び/又は装置にも適用される。
【0033】
本発明の例示的実施形態を、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】例示的実施形態による3次元物体の付加製造装置の原理図を示す。
図2】例示的実施形態による、垂直配置された造形材料層の側面の原理図を示す。
図3】例示的実施形態による造形材料層の原理図を示す。
図4】例示的実施形態による造形材料層の原理図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、例示的実施形態にしたがって、少なくとも1つのエネルギービーム5によって固化可能である金属粉末などの粉末造形材料4の造形材料層3を、連続的な層ごとの選択照射及び付随する固化によって、例えば工業部品などの3次元物体2を付加製造するための装置1の例示的実施形態の原理図を示す。エネルギービーム5は、例えば電子ビーム又はレーザビームであってよい。したがって装置1は、例えば選択的電子ビーム溶融装置又は選択的レーザ溶融装置として具体化することができる。
【0036】
本装置1は、その動作時に操作可能又は操作される複数の機能ユニット及び/又は構造ユニットを備える。各機能ユニット及び/又は構造ユニットは、複数の機能上及び/又は構造上のサブユニットを備えてもよい。機能ユニット及び/又は構造ユニット、並びに装置1はそれぞれ、ハードウェア及び/又はソフトウェアで実現された(中央)制御ユニット6で制御される。
【0037】
本装置1の例示的機能ユニット及び/又は構造ユニットは、造形材料塗布ユニット7、照射ユニット8及び搬送ユニット9である。
【0038】
造形材料塗布ユニット7は、装置1の造形平面BPにある量の造形材料4を塗布し、3次元物体2の付加製造時に選択的に照射及び固化される個々の造形材料層3を生成するように構成されている。造形材料塗布ユニット7は、例えば、ブレード状の再被覆要素として具体化され得る造形材料塗布要素13を備えてもよい。造営材料塗布要素13は、装置1のプロセスチャンバPC内に移動可能に支持される。造形材料塗布要素13は、少なくとも造形平面BPを横切って移動可能であって、ある分量の造形材料4を造形平面BPに塗布し、3次元物体2の付加製造時に選択的に照射及び固化される個々の造形材料層3を生成してもよい。造形平面BP内の造形材料4の塗布方向がx方向に対応する。したがって、造形材料塗布要素13が造形平面BPを横切る例示的運動を双方向矢印P1で示す。造形材料塗布要素13を移動させる駆動力を生成するために、駆動ユニット(図示せず)が造形材料塗布ユニット7に割り当てられてもよい。
【0039】
照射ユニット8は、造形材料塗布ユニット7によって装置1の造形平面BPに塗布された個々の造形材料層3を、少なくとも1つのエネルギービーム5によって選択的に照射し、それによって固化させるように構成されている。照射ユニット8は、少なくとも1つのエネルギービーム5を生成するように構成されたビーム生成ユニット(図示せず)と、少なくとも1つのエネルギービーム5を造形平面BP内で様々な位置へ偏向させるように構成された、例えば走査ユニットなどのビーム偏向ユニット(図示せず)を含んでもよい。
【0040】
搬送ユニット9は、造形材料層3と付加製造される3次元物体2を搬送するように構成されている。搬送ユニット9は、垂直方向(z方向)に移動可能に支持された、搬送要素10(搬送テーブル)を含む。搬送要素10の例示的運動は双方向矢印P3で示されている。駆動ユニット(図示せず)が搬送ユニット9に割り当てられて、搬送要素10を垂直方向の様々な位置に移動させるための駆動力を発生することができる。
【0041】
制御ユニット6は、装置1のそれぞれの機能ユニット及び/又は構造ユニットの動作を制御することによって3次元物体2の付加製造方法を実行するように構成されている。装置1の個々の機能ユニット及び/又は構造ユニットの動作には、造形材料塗布ユニット7、照射ユニット8及び搬送ユニット9の制御動作が含まれる。
【0042】
本方法によれば、選択的に照射及び固化される少なくとも1つの造形材料層3が、造形材料層3内に、例えば造形材料層3の造形材料4の塗布方向に対応するx方向(図3、4参照)、又は造形材料層3の造形材料4の塗布方向に直交するy方向(図3、4参照)、の、少なくとも1つの延在方向に対して湾曲形状及び/又は湾曲範囲を有する、少なくとも1つの造形材料層セクション11を備えるように塗布される。したがって、図3、4に示すように、造形材料層3は、湾曲形状又は湾曲範囲を有する、少なくとも1つの造形材料層セクション11を含んでもよい。「湾曲」という用語は、各造形層3の少なくとも1つの延在方向に、隆起した又は隆起させられた、及び/又は沈降した又は沈降させられた、弓又は弓形の形状、波又は波形の形状、又は斜面又は斜面状の形状などのあらゆる種類の形状を含む。必要であれば、造形材料層3は、平坦な形状又は範囲を有する少なくとも1つの造形材料層セクション12を更に備えてもよい。
【0043】
湾曲形状を有する少なくとも1つの造形材料層セクション11を有する個々の造形材料層3は、それを基に3次元物体2が付加製造される、例えばスライスデータなどの造形データBD内に既に含まれていてもよい。すなわち、それを基に3次元物体2が付加製造される造形データBDは、湾曲形状を有する、少なくとも1つの造形材料層セクション11を備える、それぞれの造形材料層3を含んでもよい。
【0044】
造形材料層3が、湾曲形状を有する少なくとも1つの造形材料層セクション11を形成するように造形材料4を塗布するということは、(必ずしも)付加製造される3次元物体2が湾曲形状を有すること意味するものではない。それは、第1の造形材料層(付加製造される3次元物体2に関する一番下の層)と、(図2に示すように)各3次元物体2製造のための造形作業を完結するために必要な、複数の造形材料層3の内の最後の造形材料層(付加製造される3次元物体2に関する一番上の層)は、それぞれ平坦な造形材料層3であり得るからである。
【0045】
図1、2から特に明らかであるように、各造形材料層3の各湾曲造形材料層セクション11は、造形材料層の噛合わせ構造の形成を可能とし、それにより垂直方向に隣接して配置された造形材料層3同士を噛合わせ係合させる。これが、3次元物体2の構造的及び機械的性質をそれぞれ顕著に改善する。構造的及び機械的性質はそれぞれ、3次元物体2の等方的な構造的及び機械的性質において特に改善される。
【0046】
図3、4から特に明らかなように、それぞれの湾曲形状の造形材料層セクション11は、少なくとも1つの隆起した及び/又は隆起させられた部分11(図3参照)、すなわち基準高さ又は基準面RPに対して隆起した及び/又は隆起させられた少なくとも1つの部分と、及び/又は、少なくとも1つの沈降した及び/又は沈降させられた部分11b、すなわち基準高さ又は基準面RPに対して沈降した及び/又は沈降させられた少なくとも1つの沈降した又は沈降させられた部分とを備えてもよい。したがって、個々の造形材料層3は、個々の隆起した又は隆起させられた部分11aによる1又は複数のピークを備え、及び/又は個々の沈降した又は沈降させられた部分11bによる1又は複数の窪みを備えてもよい。図3、4に示すように、基準高さ又は基準面RPは、もしあれば平坦な(湾曲していない)形状を有する造形材料層セクション12と交差する水平面によって定義することができる。すなわち、個々の造形材料層3の平坦(非湾曲)部分と交差する水平面によって定義される。これも図3、4に示すように、基準高さ又は基準面RPは、平坦な基準造形材料層セクション12をそれぞれの基準造形材料層3の高さ(層の厚さt)の半分h/2で横切る水平面によって定義されてもよい。したがって、それぞれの基準面RPは、平坦な造形材料層(図3、4に点線で示す)を、上下に分割して、2つの上下に隣接する造形材料層部分とする水平面によって定義することができる。
【0047】
隆起部11aは、各造形材料層3の隆起因子(負の沈降因子)と層厚さtを基に、具体的には各造形材料層3の隆起因子に層厚さtを掛けることにより決定される隆起値だけ隆起されてよい。沈降部11bは、各造形材料層3の沈降因子と層厚さtを基に、具体的には各造形材料層3の沈降因子(負の隆起因子)に層厚さtを掛けることにより決定される沈降値だけ沈降されてよい。
【0048】
図1、2から明らかなように、複数の造形材料層3は、それぞれの造形材料層3が少なくとも1つの湾曲形状の造形材料層セクション11を含むように塗布されてもよい。それによって、隣接して配置された造形材料層3の各湾曲形状の造形材料層セクション11の、隆起した又は隆起された部分11a、及び/又は沈降した又は沈降された部分11bが、同一傾斜を有してもよい。言い換えれば、異なる造形材料層の湾曲形状の造形材料層セクション11は、同一又は類似の幾何形状特性を有し、各造形材料層3の少なくとも1つの延在方向に、隣接して配置された造形材料層3が平行に延在することが可能となり、それによって隣接して配置された造形材料層3が垂直方向(z方向)に平行配置されることが可能となってよい。
【0049】
図1、2からさらに明らかなように、隣接して配置された造形材料層3のそれぞれの湾曲形状をした造形材料層セクション11の各隆起した又は隆起させられた部分11a及び/又は各沈降した又は沈降させられた部分11bが、特に同一の傾斜を有して、下の造形材料層3の隆起部11aの上側部分が、垂直方向(z方向)に直接隣接して塗布された上の造形材料層3の隆起部11aの下側部分に係合し、及び/又は上の造形材料層3の沈降部11bの下側部分が垂直方向(z方向)に直接隣接して塗布された下の造形材料層3の沈降部11bの上側部分に係合するようになっていてもよい。前述の全ての態様は、垂直方向に隣接して配置された造形材料層2の垂直係合を可能とし、したがって、垂直方向に隣接して配置された造形材料層3同士の噛合わせ係合を可能とする、噛合わせ造形材料層構造の生成を可能とする。
【0050】
湾曲形状の造形材料層セクション11を備える各造形材料層3は、以下で説明するような別の方法で生成されてもよい。
【0051】
第1の実施例として、湾曲形状の造形材料層セクション11を備える各造形材料層3は、造形材料塗布要素13を、少なくとも2つの異なる運動成分、すなわち造形平面BPを横切る2つの異なる並進運動成分で移動させることによって生成されてもよい。それにより、造形材料塗布要素13の第1の並進運動成分(双方向矢印P1で示すように)は、造形平面BPに平行な方向、すなわち水平軸(図1、2のx軸)に沿う水平方向への造形材料塗布要素13の運動であるか又はそれを含む。そして、造形材料塗布要素13の更なる並進運動成分(双方向矢印P2で示すように)は、造形平面BPに非平行な方向、すなわち垂直軸(図1、2のz軸)に沿う垂直方向への造形材料塗布要素13の運動であるか又はそれを含む。言い換えれば、第1の並進運動成分が第2の並進運動成分で重畳されて、造形平面BPに対する造形材料塗布要素13の組み合わせ運動(曲線的矢印P4で示されるような)となってよい。図1、2から明らかなように、造形材料塗布要素13すなわち造形平面BPに向かって配向している造形材料塗布要素13の自由端と、造形平面BPすなわち造形平面BPの自由に露出した上面との間の距離は、造形材料塗布要素13が造形平面BPを横切って移動する間に変化する。この実施例では、造形材料を塗布する方向(x方向、被覆方向)に延在する曲線セクションが生成可能となる。
【0052】
第2の実施例として、湾曲形状の造形材料層セクション11を備える各造形材料層3は、造形材料塗布要素13を、少なくとも2つの異なる運動成分、すなわち造形平面BPを横切る2つの異なる運動成分、すなわち並進運動成分と回転運動成分、で移動させることによって生成されてもよい。それにより、造形材料塗布要素13の並進運動成分(双方向矢印P1で示すように)は、造形平面BPに平行な方向、すなわち水平軸(図1、2のx軸)に沿う水平方向への造形材料塗布要素13の運動であるか又はそれを含む。そして、更なる回転運動成分(双方向矢印P5で示すように)は、回転軸すなわち水平軸(図1、2のx軸)の周りの造形材料塗布要素13の回転運動、具体的にはピボット運動であるか又はそれを含む。言い換えれば、並進運動成分が回転運動成分で重畳されて、造形平面BPに対する造形材料塗布要素13の組み合わせ運動となってよい。それにより、造形材料塗布要素13すなわち造形平面BPに向かって配向している造形材料塗布要素13の自由端と、造形平面BPすなわち造形平面BPの自由に露出した上面との間の距離は、造形材料塗布要素13が造形平面BPを横切って移動する間に変化する。この実施例では、造形材料を塗布する方向(x方向、被覆方向)を横切る方向(y方向)に延在する曲線セクションが生成可能となる。
【0053】
実施例から明らかなように、造形材料塗布要素13のそれぞれの動きは、それぞれの運動成分に関する異なる運動の自由度で運動可能に支持される造形材料塗布要素13によって実行することができる。第1の実施例に関しては、造形材料塗布要素13は2つの並進運動自由度、すなわち第1の運動成分での並進運動を可能とする双方向矢印P1で示す並進運動自由度と、第2の運動成分での並進運動を可能とする双方向矢印P2で示す第2の並進運動自由度とで、移動可能に支持されている。第2の実施例に関しては、造形材料塗布要素13は1つの並進運動自由度、すなわち第1の運動成分での並進運動を可能とする双方向矢印P1で示す並進運動自由度と、回転運動自由度、すなわち第2の運動成分での回転運動を可能とする双方向矢印P5で示す回転運動自由度とで、移動可能に支持されている。
【0054】
各運動自由度と運動成分のそれぞれで造形材料塗布要素13のそれぞれの運動を実行するために、例えば案内レールの形をした案内ユニット又は案内要素(図示せず)が提供されてもよい。
【0055】
第3の実施例によれば、曲線形状の造形材料層セクション11を有するそれぞれの造形材料層3が、造形材料塗布要素13が造形平面BPを横切って移動する間に、搬送ユニット9の搬送要素10の制御された、具体的には振動する(図1、2の双方向矢印P3で示すような)上下方向への運動によって、生成可能である。この実施例では、造形材料塗布要素13は、造形材料塗布要素13すなわち造形平面BPに向かって配向された塗布要素13の自由端と、造形平面BPすなわち造形平面BPの自由に露出した上面との間が一定の(垂直)距離で、造形平面BPを横切って移動する。この実施例によれば、造形材料塗布要素13と造形平面BPとの間の距離は、造形材料塗布要素13に対する搬送要素10の、個別の、具体的には振動する垂直運動によって変化する。
【0056】
上記の実施例の任意の組み合わせが考えられる。
【0057】
個々の造形材料層3、具体的には湾曲形状を有する個々の造形材料層セクション11の、所望の照射及び/又は固化を確保するために、照射パラメータ(一般的に、照射パラメータは照射ユニット8の動作パラメータを制御することで制御される)が、個々の湾曲形状造形材料層セクション11に、具体的には少なくとも1つの照射及び/又は固化の基準に関して、適合されてもよい。個々の照射基準は、例えば少なくとも1つのエネルギービーム5による、造形材料層3への(面積当たりの)エネルギー入力量であってもよい。
【0058】
照射パラメータのそれぞれの制御は(これもまた)、造形材料層3に対する照射ユニットと、それぞれに湾曲形状を有する個々の造形材料層セクション11との協調的運動を実行することによって達成されてもよい。協調的運動によって、照射ユニット8のエネルギービーム出口と、選択的に照射及び固化が行われる個々の造形材料層3との間に一定の距離を保つことができる。したがって、移動可能に支持された照射ユニット8が使用されてもよい。
【0059】
個々の固化基準は、例えば造形材料3の固化挙動であってもよい。造形材料3の固化挙動は、照射時に生成される造形材料3の溶融相(溶融プール)の、例えば深さ、幅などのパラメータに依存し得る。個々の照射パラメータは具体的には、照射ユニット8すなわち具体的には照射ユニット8のエネルギービーム出口14と、選択的に照射及び固化される造形材料3の上面との間の可変距離の変化に関する情報を基に制御されてもよい。これらは造形データBD内に保有されてもよい。一般的にこの距離は、照射ユニット8のエネルギービーム出口14と、選択的に照射及び固化が行われる造形材料層3の上面との間に延在する自由エネルギービーム5の長さLに対応する。
図1
図2
図3
図4