(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一面と前記第一面に略平行な第二面とを有し、第一配線及び前記第一配線より前記第二面よりに形成された第二配線とを備える配線基板に形成された穴である被挿入穴の周囲の前記第一面の少なくとも一部への第一はんだの設置と前記周囲の前記第二面の少なくとも一部への第二はんだの設置とを行い、
前記被挿入穴に対して、二端子素子を、前記第一面の側から、前記二端子素子の第一電極の高さが前記第一面の高さより低くなるように第一挿入し、
前記第一電極の、前記第一電極の近傍の前記第一配線への第一はんだによる溶着と、前記二端子素子の第二電極の、前記第二電極の近傍の前記第二配線への第二はんだによる溶着とを行い、
前記第一はんだの前記第一面より高い部分を除去する、
実装基板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本実施形態の実装基板の例である実装基板500の構成を表す概念図である。ここで、実装基板は、電気部品や電気素子が実装された配線基板である。また、配線基板は、配線が形成された基板である。
図2は、
図1に表される配線基板101を表す概念図である。また、
図3は、
図1に表される二端子素子200を表す概念図である。
【0012】
図2に表されるように配線基板101には、配線103及び104が形成されている。配線103は、配線基板101の上面801と下面802との間の上面801近傍に設けられている。一方、配線104は、配線基板101の下面802と配線104の下面との高さが一致するように設けられている。
【0013】
配線基板101には、また、二端子素子200が挿入されるための被挿入穴102が形成されている。被挿入穴102は略円錐台形状である。配線103及び104は、被挿入穴102に露出している。
【0014】
一方、
図3に表されるように、二端子素子200は、電極206及び207と、本体部208とを備える。二端子素子200は、典型的には、抵抗、コンデンサ又はインダクタである。
【0015】
二端子素子200が抵抗である場合は、本体部208の中に抵抗線が形成されており、当該抵抗線の一方の端部が電極206に、他方の端部が電極207に、各々接続されている。当該抵抗線の周囲は、樹脂等により覆われている。
【0016】
二端子素子200がコンデンサである場合は、本体部208の中に誘電体を介して対向電極が形成されており、当該対向電極の一方が電極206に、他方が電極207に、各々接続されている。誘電体を介した対向電極の周囲は、樹脂等により覆われている。
【0017】
二端子素子200がインダクタである場合は、本体部208の中にコイルが形成されており、当該コイルの一方の端部が電極206に、他方の端部が電極207に、各々接続されている。、当該コイルの周囲は、樹脂等により覆われている。
【0018】
図1に表される実装基板500においては、二端子素子200は、配線基板101の被挿入穴102に挿入されている。この状態において、二端子素子200の電極206は、第一はんだ300により、配線基板101の配線103に溶着されている。また、電極207は、はんだ310により配線104に溶着されている。
【0019】
二端子素子200が配線基板101に固定された状態で、電極206の上面の高さは、配線基板101の上面の高さ以下になっている。また、第一はんだ300の上面の高さも、配線基板101の上面の高さ以下になっている。
【0020】
実装基板500における二端子素子200が設置されている箇所の上には電気部品301が設置されている。電気部品301は、電極302a及び302bを備えている。電極302a及び302bは、配線基板101上に露出した図示されない配線にはんだにより溶着されている。なお、電気部品301が備える
図1に表される電極の数は二本だが、電気部品301が備える電極の数は任意である。
【0021】
電気部品301は、例えば、集積回路である。
【0022】
前述のように電極206の上面の高さ及び第一はんだ300の上面の高さが、ともに、配線基板101の上面の高さ以下なため、
図1に表すような、電気部品301の二端子素子200上への設置が可能になる。
【0023】
また、二端子素子200は、電気部品301のノイズ対策部品である場合も想定され得る。その場合は、ノイズ対策部品を、電気部品301の下方に設置することにより、電気部品301の近くに配置することが容易になる。その場合、実装基板500は、電気部品301の信号品質を向上させ得る。
【0024】
次に、
図1に表される実装基板500の製造工程について説明する。
図4及び
図6乃至
図10は、実装基板500の製造工程を表す概念図である。また、
図5は、
図4に表される第一はんだ300及び第二はんだ310を表す概念図である。
【0025】
まず、
図4に表されるように、
図2に表される配線基板101に、第一はんだ300及び第二はんだ310が設置される。
【0026】
ここで、
図4の説明を中断して、
図5を参照して第一はんだ300及び第二はんだ310について説明する。
【0027】
図5(a)は、第一はんだ300を表す断面図である。
図5(b)は、第一はんだ300を
図5(a)に表す矢印991の向きに見た図である。第一はんだ300は、外側が厚部300aであり、内側が厚部300aより厚みが薄い、うす部300bである。うす部300bには第二穴901が形成されている。
【0028】
図5(c)は、はんだ310を表す断面図である。
図5(b)は、第一はんだ300を
図5(c)に表す矢印992の向きに見た図である。はんだ310bには第三穴902が形成されている。
【0029】
ここで、
図4の説明に話を戻す。第一はんだ300は、配線基板101の上面801の被挿入穴102の周囲に設置されている。また、はんだ310は、配線基板101の下面802の被挿入穴102の周囲に設置されている。第一はんだ300及び第二はんだ310は、例えば、はんだ用フラックス等により配線基板101に接着されている。
【0030】
次に、
図6に表されるように、二端子素子の電極107が第一はんだ300の第二穴901に挿入されるように、配線基板101に対して、二端子素子200を相対的に下方に移動させる。
【0031】
その結果、
図7に表されるように、二端子素子200は配線基板101の被挿入穴102に挿入される。この状態において、第一はんだ300のうす部300bは変形して被挿入穴102に挿入され、その一部は、配線103と電極206との間に位置し、電極206と配線103の近傍にある。また、はんだ310の一部は、電極207及び配線104の近傍に位置する。また、電極206の上面の高さは、配線基板101の上面の高さ以下になっている。
【0032】
次に、
図7に表される構成全体を、第一はんだ300及び310の融点以上の温度に加熱する。ここで、配線基板101及び二端子素子200は、当該温度において損傷しないことを前提とする。
【0033】
すると、第一はんだ300及び310は溶融し、
図8に表されるような形状になる。この状態において、電極206と配線103とは、第一はんだ300により溶着されている。また、電極207と配線104とは、はんだ310により溶着されている。
【0034】
この状態で、第一はんだ300の、配線基板101の上面から上に突出した突出部分を除去する。当該除去は、例えば、グラインダーで、当該突出部分を削り取ることにより行う。
図9は、当該突出部分を削り取った状態を表す概念図である。
【0035】
次に、
図10に表されるように、配線基板101上に電気部品109を設置する。当該設置は、例えば、配線基板101が備える、はんだが溶着された図示されない電極上に電極302a及び302bを載置した構成全体を当該はんだの融点以上に加熱することにより行われる。
【0036】
なお、以上説明した例では、配線基板に形成される被挿入穴及びその被挿入穴に挿入される二端子素子の形状はともに略円錐台形状である。しかしながら、これらの形状は任意である。ただし、以下の条件が満たされるものとする。すなわち、上記条件は、一つには、二端子素子が被挿入穴に挿入可能であることである。上記条件は、二つには、挿入された状態で、二端子素子の幅の広い方の面が配線基板の上面の下方に位置し得るということである。ここで、二端子素子は、幅の狭い方を上方から被挿入穴に挿入することを前提としている。上記条件は、3つには、二端子素子の上方の電極及び下方の電極が、配線基板に設けられた二つの電極の各々の近傍に位置することである。
【0037】
また、上記条件ではないが、二端子素子が挿入された状態で、二端子素子が被挿入穴を通過せずに、配線基板にひっかかる方がより望ましい。その理由は、引っかかった状態で、二端子素子の上方及び下方の電極が、配線基板に設けられた二つの電極に溶着できるため、溶着の作業性が向上するためである。
[効果]
本発明の実装基板においては、二端子素子は配線基板に設けられた穴に挿入された状態で、その二つの電極の各々が、配線基板に設けられた二つの配線にはんだにより溶着されている。前記実装基板は、このように二端子素子が配線基板に設置された状態において、その上面において、二端子素子及びはんだのいずれもの高さが、前記上面の高さ以下になっている。そのため、前記実装基板においては、二端子素子上や二端子素子の近傍に他の電気部品を設置することができ、部品の実装面積を抑えることができる。
【0038】
更に、二端子素子はノイズ対策部品である場合がある。その場合、ノイズ対策部品である二端子素子上にノイズ対策対象の電気部品を設置することができることから、ノイズ対策部品を電気部品の近傍に設置することができる。その場合、前記実装基板は、より良好なノイズ対策を行うことができることから、ノイズ対策対象の電気部品の信号品質を向上させ得る。
【0039】
図11は、実施形態の配線基板の最小限の構成である配線基板101xの構成を表す概念図である。
【0040】
配線基板101xは、第一面921axと第一面921axに略平行な第二面921bxとを有する。配線基板101xは、また、図示されない第一配線及び前記第一配線より第二面921bxよりに形成された図示されない第二配線を備える。配線基板101xには、二端子素子を挿入するための穴である図示されない被挿入穴が形成されている。
【0041】
前記挿入が行われた場合に、前記二端子素子の第一電極は前記第一電極の近傍に位置し、前記二端子素子の第二電極は前記第二電極の近傍に位置し、前記第一電極の高さは、前記第一面の高さに等しいか、前記第一面の高さより低い。
【0042】
前記第一電極の高さは、前記第一面の高さに等しいか、前記第一面の高さより低いので、回路基板101xに前記二端子素子を設置した場合に、前記二端子素子の上に他の部品を設置することが可能である。そのため、回路基板101xは、部品の実装面積を抑え得る。
【0043】
そのため、回路基板101xは、前記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
【0044】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0045】
また、前記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記1)
第一面と前記第一面に略平行な第二面とを有し、第一配線及び前記第一配線より前記第二面よりに形成された第二配線を備え、二端子素子を挿入するための穴である被挿入穴が形成されており、
前記挿入が行われた場合に、前記二端子素子の第一電極は前記第一電極の近傍に位置し、前記二端子素子の第二電極は前記第二電極の近傍に位置し、前記第一電極の高さは、前記第一面の高さに等しいか、前記第一面の高さより低い、
配線基板。
(付記2)
前記被挿入穴は、前記第一面に近い部分が前記第二面に近い部分より広がっている、付記1に記載された配線基板。
(付記3)
前記第一配線及び前記第二配線は、前記被挿入穴に露出している、付記1又は付記2に記載された配線基板。
(付記4)
前記二端子素子が、抵抗、コンデンサ及びインダクタのうちのいずれかである、付記1乃至付記3のうちのいずれか一に記載された配線基板。
(付記5)
前記第一配線は、前記配線基板の中に形成されている、付記1乃至付記4のうちのいずれか一に記載された配線基板。
(付記6)
付記1乃至付記5のうちのいずれか一に記載された配線基板と前記二端子素子とを備え、
前記第一電極は前記第一配線に第一はんだにより溶着されており、
前記第二電極は前記第二配線に第二はんだにより溶着されており、
前記第一はんだの高さは、前記第一面の高さに等しいか、前記第一面の高さより低い、
実装基板。
(付記7)
前記二端子素子は、前記第一面に近い部分が前記第二面に近い部分より広がっている、付記6に記載された実装基板。
(付記8)
前記二端子素子のうちの前記第一電極及び前記第二電極を除外した部分は略円錐台形状である、付記6又は付記7に記載された実装基板。
(付記9)
前記二端子素子の上方に電気部品が設置されている、付記6乃至付記8のうちのいずれか一に記載された実装基板。
(付記10)
前記電気部品が集積回路である、付記9に記載された実装基板。
(付記11)
前記二端子素子が、前記電気部品のノイズ対策部品である、付記9又は付記10に記載された実装基板。
(付記12)
第一面と前記第一面に略平行な第二面とを有し、第一配線及び前記第一配線より前記第二面よりに形成された第二配線とを備える配線基板に形成された穴である被挿入穴の周囲の前記第一面の少なくとも一部への第一はんだの設置と前記周囲の前記第二面の少なくとも一部への第二はんだの設置とを行い、
前記被挿入穴に対して、二端子素子を、前記第一面の側から、前記二端子素子の第一電極の高さが前記第一面の高さより低くなるように第一挿入し、
前記第一電極の、前記第一電極の近傍の前記第一配線への第一はんだによる溶着と、前記二端子素子の第二電極の、前記第二電極の近傍の前記第二配線への第二はんだによる溶着とを行い、
前記第一はんだの前記第一面より高い部分を除去する、
実装基板の製造方法。
(付記13)
前記第一はんだの一部が、前記第一挿入により、前記第一配線と前記第一電極との間に位置する、付記12に記載された実装基板の製造方法。
(付記14)
前記第一はんだは、厚部と厚部より厚みの薄い、うす部とからなり、前記うす部の一部が、前記第一挿入により、前記第一配線と前記第一電極との間に位置する、付記12又は付記13に記載された実装基板の製造方法。
(付記15)
前記うす部には第二穴があり、前記うす部の周りに前記厚部が形成されており、前記第一はんだの設置により前記厚部が前記第一面に接触する、付記14に記載された実装基板の製造方法。
(付記16)
前記第一挿入の際に前記二端子素子の先端部の前記第二穴に第二挿入される、付記15に記載された実装基板の製造方法。
(付記17)
前記二端子素子の上方に電気部品を設置する、付記12乃至付記16のうちのいずれか一に記載された実装基板の製造方法。