(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875473
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】狭いプロファイルを有する回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 71/02 20060101AFI20210517BHJP
H01H 71/54 20060101ALI20210517BHJP
H01H 73/36 20060101ALI20210517BHJP
H01H 73/40 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
H01H71/02
H01H71/54
H01H73/36 A
H01H73/40 C
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-150422(P2019-150422)
(22)【出願日】2019年8月20日
(65)【公開番号】特開2020-126825(P2020-126825A)
(43)【公開日】2020年8月20日
【審査請求日】2019年8月21日
(31)【優先権主張番号】16/263,195
(32)【優先日】2019年1月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508117743
【氏名又は名称】カーリング テクノロジーズ、 インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CARLING TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ファザーノ
【審査官】
内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2018−110116(JP,A)
【文献】
特表2014−505974(JP,A)
【文献】
特開2000−231869(JP,A)
【文献】
実開昭62−048743(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 69/00 − 69/01
H01H 71/00 − 83/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路遮断器であって、
回路遮断器の各部品が配置された、外側に向かって露出した面を有する筐体、
電力源に電気的に接続されるライン端子、
少なくとも一つの負荷に電気的に接続される負荷端子、
前記筐体内に配置された静止接点、
可動接点が配置された長軸を含む可動接点アーム・アセンブリであって、前記可動接点が前記静止接点と物理的接触し、前記ライン端子および前記負荷端子が少なくとも前記静止接点、前記可動接点および導電ストラップを介して電気的に導通している閉位置と、前記可動接点および前記静止接点が物理的接触の外にあり前記ライン端子および前記負荷端子が導通していない開位置との間を移動可能である可動接点アーム・アセンブリ、
リンク・アセンブリを介して前記可動接点アーム・アセンブリに連結され、過電流状況の検出に応じて前記可動接点アーム・アセンブリを開位置の方へ動かすように構成された過電流引き外し機構、
その動作により、開位置にある可動接点アーム・アセンブリを閉位置へ移動させる再設定機構であって、前記外側に向かって露出した面から突出し、もしくは当該面から操作可能に設けられた再設定機構、ならびに、
前記静止接点および前記可動接点が互い接触し、および/または、前記静止接点および前記可動接点が互いから離れるときに、前記静止接点と前記可動接点の間に発生したアークを消滅させるアークスプリッタ、を備え、
前記外側に向かって露出した面は、露出平面を定め、前記可動接点アーム・アセンブリの前記長軸は、可動接点アーム・アセンブリが閉位置にあるときに、前記露出平面に対して、ほぼ直交しており、
前記導電ストラップは導電ストラップ平面にあり、前記可動接点アーム・アセンブリは、それが開位置と閉位置の間を移動する接点アーム平面を定義し、前記導電ストラップ平面と前記接点アーム平面とは、互いに平行で、かつある距離だけ離間しており、
前記接点アーム平面に垂直な方向から見て、前記導電ストラップは、前記可動接点アーム・アセンブリならびに前記静止接点および前記可動接点の後ろ側を、これらから離れて通過している、回路遮断器。
【請求項2】
前記導電ストラップ平面および前記接点アーム平面はともに、前記露出平面に対して直交している、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記露出平面と平行である仮想平面が定義され、該仮想平面は、前記可動接点アーム・アセンブリおよび前記導電ストラップを通過している、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記仮想平面は、前記可動接点および前記静止接点をも通過している、請求項3に記載の回路遮断器。
【請求項5】
互いに物理的に接触する前記静止接点の接触面および前記可動接点の接触面の接触方向が、前記露出平面に対して平行な方向を向いている、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項6】
前記接点アーム平面に平行に測った、前記外側に向かって露出した面の幅は2インチ(50.8mm)未満である、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項7】
前記外側に向かって露出した面の幅は1.75インチ(44.5mm)未満である、請求項6に記載の回路遮断器。
【請求項8】
前記外側に向かって露出した面の幅は1.575インチ(40mm)未満である、請求項7に記載の回路遮断器。
【請求項9】
前記再設定機構は、前記開位置と前記閉位置の間で、前記可動接点アーム・アセンブリを手動で移動させることができるように構成されている、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項10】
前記再設定機構は、ユーザによって操作するように構成された、筐体から延びた部分を含むハンドルを有する、請求項9に記載の回路遮断器。
【請求項11】
前記再設定機構は、ユーザによって操作するように構成された、筐体から延びた部分を含むロッカ機構を有している、請求項9に記載の回路遮断器。
【請求項12】
前記アークスプリッタは、筐体内に互いに間隔を置いて設置された複数の導電プレートを含む、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項13】
前記ライン端子および前記負荷端子は、前記外側に向かって露出した面と平行で、かつ前記外側に向かって露出した面から離間された筐体の表面に含まれるように配置されている、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項14】
前記接点アーム平面が垂直になるように回路遮断器が設置されている場合に、前記接点アーム平面に平行に測った、前記外側に露出した面の高さは2インチ(50.8mm)未満となる、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項15】
前記過電流引き外し機構は、前記長軸を基準にして前記接点アーム平面の一方の側に配置され、
前記ライン端子または前記負荷端子(以下、第1の端子という)は、前記長軸を基準にして前記接点アーム平面の他方の側に配置され、
前記過電流引き外し機構は、前記導電ストラップを介して前記第1の端子に接続されている、請求項1に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回路遮断器に関するものである。より詳しくは、典型的な回路遮断器の設計と比較して、よりコンパクトで、より狭いプロファイルの回路遮断器を実現するための改良された設計に従った回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路開閉器(circuit interrupter)は、電流を遮断することにより配電回路を遮断できる電気部品である。
【0003】
回路開閉器の基本的な実施例はスイッチである。それは2つの状態のうちいずれか1つの状態をとり得る2個の電気接点から一般に成る。「2つの状態」とは、2個の接点が物理的に接触し電流が一方の接点から他の接点に流れる閉状態と、接点が互いに離れていて、それらの間の電流の流れを遮断する開状態とを言う。
【0004】
スイッチは、例えばコンピュータキーボードのキーのように、システムに制御信号を送るために、または、光スイッチのように、回路における電力の流れを制御するために、人によって、直接操作されることができる。
【0005】
回路開閉器の第2の例は、回路遮断器(サーキットブレーカ、単にブレーカとも言う)である。
【0006】
回路遮断器は、電気配線に送られている電流量(amperage)を監視し制限するための、電盤において、通常、用いられる。
【0007】
回路遮断器は、過負荷または短絡によって生じる損傷から電気回路を保護するように、設計されている。
【0008】
もし電気配線に電力のサージが生じた場合、ブレーカは、回路の引きはずし(トリップ)をする。これによって、閉位置にあったブレーカが、開位置に飛び(flip to)、そのブレーカに通じている電力をシャットダウンする。
【0009】
回路遮断器が引き外されることにより、過負荷が生じている回路が発火することを未然に防止できる。またそれは、電気の流れているデバイスの滅失を防止することにもなる。
【0010】
標準の回路遮断器は、ライン端子と負荷端子を有している。一般に、ライン端子は、電力会社すなわち発電機から入って来る電気の供給端とつながっている。これは、回路遮断器の「入力端」とも呼ばれる。
【0011】
負荷端子(「出力端」とも呼ばれる)は、回路遮断器から出力され、回路遮断器から電気の供給を受ける電気部品に接続される。回路遮断器に直接接続されている個別部品(例えばエアコンディショナ)もあり、電気アウトレット(コンセント)で終端されている電源線を通して接続される複数の部品もある。
【0012】
回路遮断器は、ヒューズの交換品として用いられることができる。一回作動すれば取り替えしなければならないヒューズと違って、回路遮断器は、手動でまたは自動的にリセットされて、通常の動作を再開することができる。
【0013】
このようにヒューズは、回路遮断器とほぼ同じ任務を実行するが、回路遮断器はヒューズより安全に使用でき、設置するのがより容易である。一度ヒューズが飛ぶと、ユーザは、特定の電力領域を制御しているのがどのヒューズかについてわからなくなることがある。使用者は、どのヒューズが飛んだのかを決定するために、各ヒューズを点検しなければならない。それから、ヒューズをヒューズボックスから取り外し、新たなヒューズを設置しなければならない。
【0014】
回路遮断器は、ヒューズよりも、設置するのが非常に容易である。回路遮断器がトリップしたとき、使用者は分電盤を容易に注目することができて、どのブレーカのアクチュエータがトリップした位置の方へ動いているのか、分かる。
【0015】
それから、多くの場合、回路遮断器のアクチュエータを「オフ」の位置に動かして、それから「オン」の位置に動かして、「リセット」することができる。
【0016】
一般に、回路遮断器は、筐体の中に位置する2つの接点を有する。第1の接点は、通常、静止していて、ライン端子または負荷端子のいずれか(しばしばライン端子)に接続されている。第2の接点は第1の接点に対して、移動可能である。すなわち、回路遮断器が「オフ」すなわちトリップされた位置にあるとき、第1の接点と第2の接点との間に物理的な隙間が介在する。
【0017】
第2の接点は、ライン端子または負荷端子のうち、第1の接点が接続されていないいずれかの端子に接続されている(しばしば、第2の接点は負荷端子に接続される)。
【0018】
回路遮断器をトリップして回路を開くために、油圧式磁気過電流センサまたは熱過電流センサなどの過電流センサが設けられる。過電流センサを含むソレノイド形のトリップ機構が用いられることもある。
【0019】
過電流センサが閾値を上回る電流レベル、例えば回路遮断器の定格電流値をある割合上回る電流レベルを検出した時、過電流センサまたはソレノイドが第2の接点を、第1の接点から機械的に切り離し、回路遮断器をトリップして回路を開くことができる。
【0020】
従来の回路開閉器に関する課題は、それが開位置において、すなわちスイッチが開き回路遮断器がトリップした状態において、第1の接点と第2の接点との間の開いた領域に、典型的には、両接点が開いた直後、もしくは両接点が閉じる直前に、2つの接点間に電気的なアーク(弧)が発生することである。
【0021】
この電気的なアークは、高圧および/または電流量を有し、危険である。それらは回路開閉器に損傷を引き起こすことがある。特に、電気接点、接続部材または他の可動部品に損傷を与えることがある。これらの電気接点または他の部品へのいかなる損傷も、回路開閉器の寿命を短縮して、その動作に影響を及ぼす。
【0022】
アークの他の効果は摂氏何万度もの極高温によって生じる。それは雰囲気ガス分子に衝撃を与え、オゾン、一酸化炭素および他の危険な化合物を生成させる。アークは周囲のガスをイオン化することもでき、潜在的な交互の(alternate)誘導経路を作る。
【0023】
これらの有害な効果のため、急速にアークを冷やして、消滅させて、回路開閉器への損傷を防止することが、および/または上記の危険な状況を制限することが非常に重要であることが認識されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】米国特許第9,947,499号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
いままで、急速にアークを消滅させるために多くのデバイスが提案されている。この種の一般的なデバイスの1つは、アーク・ストラップの存在の有無にかかわらず、アークスプリッタスタック(板を棚状に重ねたもの)を備える。
【0026】
この種のアークスプリッタスタックは、受け入れ可能なアーク消去特性を提供する一方、いくつかの負担を強いる。その一つは、空間の増大が要求されることである。すなわち、各エアーギャップによって隔てられた一連の板(プレート)を設置することによって、アークスプリッタスタックは、回路遮断器の筐体の中に大きなスペースを必要とする。
【0027】
これは、特定の状況で障碍となり得る。すなわち、一般の電気部品がより小さくなるにつれて、10分の1インチ
(2.54mm)の縮小が重要となり、したがって、回路遮断器も小型化が要求されている。
【0028】
若干の状況において、問題となるのは回路遮断器の奥行き(depth)である。いままで、この奥行きに関する問題を解決するために、さまざまなロープロファイル(low profile)のデザインが提案されてきた。
【0029】
他の状況において、回路遮断器の幅が重要である。「幅」とは回路遮断器の露出した取付面に沿って測定した寸法である。
【0030】
本発明は、これらの状況に対処することを特に意図している。すなわち、強力なアーク分断能力を有するとともに、回路遮断器の外向きに露出した面に沿って測定したときに、典型的な回路遮断器の形状と比べて、狭い寸法を有する回路遮断器の設計を提供することが、求められている。
【課題を解決するための手段】
【0031】
A.本発明の一態様における回路遮断器は、回路遮断器の各部品が配置された、外側に向かって露出した面を有する筐体と、電力源に電気的に接続されるライン端子と、少なくとも一つの負荷に電気的に接続される負荷端子とを有する。
【0032】
静止接点が筐体内に配置されており、長軸を有する可動接点アーム・アセンブリが設置され、該アーム・アセンブリに可動接点が載置されている。可動接点アーム・アセンブリは、可動接点および静止接点が物理的接触し、ライン端子および負荷端子が少なくとも静止接点、可動接点および導電ストラップを介して電気的に導通している閉位置と、可動接点および静止接点が物理的接触の外にありライン端子および負荷端子が導通外にある開位置との間を移動可能である。
【0033】
さらに過電流引き外し機構が、リンク・アセンブリを介して前記可動接点アーム・アセンブリに連結されている。過電流引き外し機構は、過電流状況が検出されると可動接点アーム・アセンブリを開位置の方へ移動させる。
【0034】
また、再設定機構が設けられており、その動作により、可動接点アーム・アセンブリが開位置にある場合、可動接点アーム・アセンブリを閉位置の方へ動かすことができる。再設定機構は、筐体の外側に向かって露出した表面から延び、もしくは該表面から操作可能なように設定されている。
【0035】
さらに静止接点および可動接点が互い接触するとき、および/または、静止接点および可動接点が互いから離れたときに、静止接点と可動接点の間に発生するアークを消滅させるアークスプリッタを備えている。
【0036】
前記外側を向いて露出した筐体の表面は、露出平面を定め、可動接点アーム・アセンブリの前記長軸は、可動接点アーム・アセンブリが閉位置にあるときに、前記露出平面に対して、基本的に直交している。
【0037】
前記導電ストラップは「導電ストラップ平面」にあり、前記可動接点アーム・アセンブリは、それが開位置と閉位置の間を移動する平面である「接点アーム平面」にある。前記導電ストラップ平面と接点アーム平面とは、ある距離だけ離れて互いに平行に配置されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、前記導電ストラップ平面と前記接点アーム平面とは、ともに、前記露出平面に対して直交している。
【0039】
またいくつかの実施形態では、前記露出平面と平行であり、かつ前記可動接点アーム・アセンブリおよび前記導電ストラップを通る仮想平面が、存在する。この仮想平面は、可動接点および静止接点が通過するように位置していてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、静止接点と可動接点の、互いに物理的に接触する各表面の垂線は、一般に前記露出平面に平行した方向を向いている。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記接点アーム平面と平行する方向に測った前記外側に向かって露出した面の「幅」は、2インチ未満である。これらの実施例で特定のものにおいて、前記接点アーム平面と平行して測られる外側に向かって露出した面の幅は、1.75インチ未満である。これらの実施例で特定のものにおいて、接点アーム平面と平行してとられる外側に向かって露出した面の幅は、1.575インチ未満である。
【0042】
いくつかの実施形態では、前記再設定機構は、開位置と閉位置の間で手動で可動接点アーム・アセンブリを移動させることにより動作するように、さらに構成される。
【0043】
これらの実施例で特定のものにおいて、前記再設定機構は、筐体から延びて、ユーザによって作動されるのに適した部分を含む操作ハンドルを有している。
【0044】
ある種の実施形態では、前記再設定機構は、筐体から延びて、ユーザによって作動される部分を含むロッカ機構を有している。
【0045】
いくつかの実施形態では、前記アークスプリッタは、筐体の中に、間隔を置いて配置された複数の導電プレートを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、ライン端子および負荷端子は、通常、前記外側に向かって露出した面と平行に、かつ間隔を置かれて位置している筐体の表面に配置されている。
【0047】
B.本発明の他の態様によれば、回路遮断器は、回路遮断器の各部品が配置された、外側に向かって露出した面を有する筐体と、電力源に電気的に接続されるライン端子と、少なくとも一つの負荷に電気的に接続される負荷端子とを有する。
【0048】
回路遮断器は、前記筐体内に配置された静止接点を有するとともに、可動接点が配置された、長軸を有する可動接点アーム・アセンブリを有している。可動接点アーム・アセンブリは、可動接点および静止接点が物理的接触し、その結果ライン端子および負荷端子が電気的に導通する閉位置と、可動接点および静止接点が物理的に接触しない開位置との間を移動可能である。
【0049】
さらに過電流引き外し機構が、リンク・アセンブリを介して前記可動接点アーム・アセンブリに連結されており、過電流引き外し機構は、過電流状況の検出に応じて前記可動接点アーム・アセンブリを開位置の方へ移動させる。
【0050】
また、再設定機構が設けられており、その動作により、可動接点アーム・アセンブリが開位置にある場合、可動接点アーム・アセンブリを閉位置の方へ戻すことができる。再設定機構は、筐体の外側に向かって露出した面から延びているように、もしくは該表面から操作可能なように設定されている。
【0051】
さらに静止接点および可動接点が互い接触したとき、および/または、静止接点および可動接点が互いから離れたときに静止接点と可動接点の間に発生したアークを消滅させるアークスプリッタを備えている。
【0052】
前記外側を向いて露出した筐体の表面は、露出平面を定義する。可動接点アーム・アセンブリの前記長軸は、可動接点アーム・アセンブリが閉位置にあるときに、前記露出平面に対して、ほぼ直交している。
【0053】
さらに、互いに物理的に接触する静止接点の表面と可動接点の表面とは、それらの垂線が前記露出平面に、ほぼ平行した方向を向いている。
【0054】
いくつかの実施形態では、可動接点アーム・アセンブリが閉位置にあり可動接点および静止接点が物理的に接触しているときに、ライン端子および負荷端子は、少なくとも前記可動接点、静止接点および導電ストラップを介して電気的に導通している。
【0055】
いくつかの実施形態では、前記導電ストラップは「導電ストラップ平面」にあり、前記可動接点アーム・アセンブリは、それが開位置と閉位置の間を移動するときに「接点アーム平面」内を移動する。前記導電ストラップ平面と前記接点アーム平面とは、互いにある距離だけ離れて平行に位置している。
【0056】
いくつかの実施形態では、前記導電ストラップ平面と前記接点アーム平面とは、ともに、前記露出平面に対して直交している。
【0057】
またいくつかの実施形態では、前記露出平面と平行であり、かつ前記可動接点アーム・アセンブリおよび前記導電ストラップを通る仮想平面が、存在する。この仮想平面は、可動接点および静止接点を通過するように位置していてもよい。
【0058】
C.本発明の更なる態様に従えば、回路遮断器は、回路遮断器の各部品が配置された、外側に向かって露出した面を有する筐体と、電力源に電気的に接続されるライン端子と、少なくとも一つの負荷に電気的に接続される負荷端子とを有する。
【0059】
回路遮断器はさらに、前記筐体内に配置された静止接点を有するとともに、可動接点が配置された可動接点アーム・アセンブリを有している。可動接点アーム・アセンブリは、可動接点および静止接点が物理的接触し、その結果ライン端子および負荷端子が、少なくとも可動接点、静止接点および導電ストラップを介して電気的に導通する閉位置と、可動接点および静止接点が物理的に接触しないで、その結果ライン端子および負荷端子が導通しない開位置との間を移動可能である。
【0060】
さらに過電流引き外し機構が、リンク・アセンブリを介して前記可動接点アーム・アセンブリに連結されており、過電流引き外し機構は、過電流の検出時に前記可動接点アーム・アセンブリを開位置の方へ移動させる。
【0061】
また、再設定機構が設けられており、その動作により、可動接点アーム・アセンブリが開位置にある場合、可動接点アーム・アセンブリを閉位置の方へ戻すことができる。再設定機構は、筐体の外側に向かって露出した表面から延びているように、もしくは該表面から操作可能なように設定されている。
【0062】
さらに静止接点および可動接点が互い接触するとき、および/または、静止接点および可動接点が接触から離れたときに静止接点と可動接点の間に発生するアークを消滅させるアークスプリッタを備えている。
【0063】
前記導電ストラップは、「導電ストラップ平面」にあり、前記可動接点アーム・アセンブリはそれが開位置と閉位置の間を移動するときに「接点アーム平面」上を移動する。前記導電ストラップ平面と前記接点アーム平面とは、互いにある距離だけ離れて平行に位置していてもよい。
【0064】
前記外側を向いて露出した筐体の表面は、「露出平面」を定義する。前記導電ストラップ平面と前記接点アーム平面とは、前記露出平面に対して、基本的に直交している。さらに前記露出平面と平行であり、かつ前記可動接点アーム・アセンブリおよび前記導電ストラップを通る仮想平面が、存在する。
【0065】
いくつかの実施形態では、前記仮想平面は前記可動接点と前記静止接点とを通過する。さらに他の実施形態では、互いに物理的に接触する静止接点の表面と可動接点の表面との垂線は、前記露出平面に、ほぼ平行した方向を向いている。
【0066】
いくつかの実施形態では、可動接点アーム・アセンブリは、長軸を有し、該長軸は、可動接点アーム・アセンブリが閉位置にあるときに、前記露出平面に直交している。
【0067】
本発明による回路遮断器は、従来品と同様、強力なアーク分断能力を提供すると同時に、公知の典型的な設計による回路遮断器と比べて、より狭い全幅(すなわち、回路遮断器の外向きに露出した表面に沿って測定した幅)を有する。
【0068】
本発明の他の目的およびその特定の特徴および効果は、以下の図面および付随する詳細な説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】本発明に関連する典型的な回路遮断器の例を示す切り欠き側面図である。
【
図2】
図1の回路遮断器の一部を示す平面図である。
【
図3】
図1の回路遮断器の一部を切り欠いて示す側面図である。ただし、ロッカータイプのアクチュエータはハンドルタイプのアクチュエータに置き換えられている。
【
図4】本発明に関連する回路遮断器の他の例を示す切り欠き側面図である。
【
図5】
図4の回路遮断器の一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。図の全体にわたって参照される同じ数字は、対応する同じ構造または部材を表す。
【0071】
図1は、強いアーク分断能力を提供すると同時に、周知の典型的な形状よりも狭い幅(回路遮断器の露出した表面に沿って測った幅)を有する改良された設計の回路遮断器(100)の内部構造を図示する。
【0072】
回路遮断器(100)は、動作する各素子を収容する筐体(102)を備えている。回路遮断器(100)は、静止接点(104)および可動接点(106)を含む一組の接点を、さらに備えている。
【0073】
可動接点(106)は可動接点アーム・アセンブリ(108)に配置される。可動接点(106)は静止接点(104)に対して開閉位置の間を移動するように構成される。
【0074】
図1は電流がその間で流れる閉位置の各接点(104、106)を示すが、電流が流れる閉位置(実線により表される)と電流が流れない開位置(破線により表される)の各接点(104、106)は、
図4に示されている。
【0075】
図1には、分電盤の中のバスバーあるいは負荷センターのような電力供給側(図示せず)に接続されるように設計されたライン端子(110)が示されている。静止接点(104)は、ライン端子(110)に電気的に接続された第1の導体素子(112)に装着されている。
【0076】
また、回路遮断器に直接接続される個別の機器(例えばエアコンディショナ)、または電源タップで終端されている電源線を通して接続される複数の機器のような、回路遮断器から電力を供給される電気機器(図示せず)に接続されるように設計された負荷端子(116)が示されている。
【0077】
可動接点アーム・アセンブリ(108)に載置された可動接点(106)は、負荷端子(116)に間接的に接続される。より詳しくは、導電性である可動接点アーム・アセンブリ(108)は、導電性コネクタ(115)を通して過電流引き外し機構(114)の入力側に電気的に接続される。過電流引き外し機構(114)の出力側は、導電性コネクタ(117)を通して導電ストラップ(118)に電気的に接続され、導電ストラップ(118)は他の導電性コネクタ(120)を介して、負荷端子(116)が装着された第2の導体素子(119)に接続されている。ここで導電ストラップ(118)とは筐体(102)内に設置された導体であって、可動接点アーム・アセンブリ(108)と負荷端子(116)とを電気的に結合する導体である。特に、
図1に示された構成では過電流引き外し機構(114)の出力側と負荷端子(116)の間を結合している。
【0078】
動作中、回路遮断器が「オン」状態、すなわち、静止接点(104)および可動接点(106)が閉じており、このことにより電気的に導通しているとき、電力がライン端子(110)を介して回路遮断器(100)に入力され、負荷端子(116)を介して回路遮断器(100)を出る。
【0079】
図1の矢印により示される回路遮断器内の電力の流れを以下に説明する。
【0080】
示されているように、電力はライン端子(110)を介して回路遮断器(100)内に流入し、第1の導体素子(112)を通り、静止接点(104)に到達する。接点が閉じているとき、電力は、可動接点(106)に流れ、伝導接点アーム・アセンブリ(108)および導電性コネクタ(115)を通して、過電流引き外し機構(114)の入力側まで流れる。それから、電力は過電流引き外し機構(114)の出力側から出て、導電性コネクタ(117)、導電ストラップ(118)、導電性コネクタ(120)および導体素子(119)を通り、負荷端子(116)を経て回路遮断器を出る。
【0081】
電流が閾値を超えた場合、過電流引き外し機構(114)が回路を開き、これによって、回路遮断器(100)をトリップするように機能する。すなわち、トリップ機構(121)およびリンク・アセンブリ(122)の働きによって各接点が互いに対して開き、接点(104,106)を通した電流の流れが停止する。
【0082】
電流が、過電流引き外し機構(114)によってセットされた閾値を超えない場合、電力は負荷端子(116)を通過し、それは、接続された回路および/または機器へ供給される。
【0083】
回路遮断器(100)はさらに、回路遮断器(100)をリセットして、可動接点アーム・アセンブリ(108)の移動によって、可動接点(106)を静止接点(104)と物理的に接触させるように構成された再設定機構(124)を備えている。
【0084】
再設定機構(124)は、リンク・アセンブリ(122)に接続されている。リンク・アセンブリ(122)は、このため可動接点アーム・アセンブリ(108)に接続されている。
【0085】
なお、再設定機構(124)は知られているように、回路遮断器(100)をオン/オフするために、手動で接点(104,106)を開閉するために操作することもできる。
【0086】
図1に示される実施形態において、再設定機構(124)は薄型(low profile)のロッカータイプ・アクチュエータという形をとる。リンク・アセンブリ(122)は特に、この種の薄型ロッカータイプ・アクチュエータの再設定機構(124)と連動して動くのに適している。
【0087】
この種の再設定機構(124)およびリンク・アセンブリ(122)の特定の構成は、本件特許出願人の米国特許第9,947,499号(特許文献1)が示す大部分の内容を形成する。よって、その詳細な説明は、本願明細書において繰り返さない。その代わりに、米国特許第9,947,499号(特許文献1)に記載されている全コンテンツは、本願明細書に完全に組み込まれる。
【0088】
再設定機構および/またはリンク・アセンブリが他の形をとることができる点に留意する必要がある。例えば、
図3を参照して、示された回路遮断器(100’)の再設定機構(124’)は、従来からあるハンドル型アクチュエータという形をとる。リンク・アセンブリ(122’)は、特にこの種のハンドル型のアクチュエータ再設定機構(124’)と連動して動作するのに適している。
【0089】
このようなハンドル型の再設定機構(124’)およびそれに対応するリンク・アセンブリ(122’)は公知の技術であるので、その詳細は本願明細書において、述べられていない。
【0090】
図1を再度参照して、回路遮断器(100)は「オン」の位置にあり、そこにおいて接点(104,106)は、閉じている。
【0091】
知られているように、回路遮断器(100)が手動でオフにされたときに、または、過電流状況が検出されたときに、回路遮断器(100)を通る電力の流れを中止するために、接点(104,106)を開く。
【0092】
しかしながらまた、知られているように、可動接点(106)が静止接点(104)から分離したにもかかわらず、電流がアーク(図示せず)の形で電気接点(104)から電気接点(106)へと、なおも流れることができる。
【0093】
アークは、空気を介して電気接点の間を飛ぶことができ、両接点(104,106)に、高度の損傷を引き起こすことがありえる。
【0094】
最悪のケース・シナリオにおいて、一つの弧は、正常運転時、それらを動作不可能にするくらいの損害を接点に与えることができる。
【0095】
電気接点(104,106)および回路遮断器(100)を保護するために、いかなる惹き起こされたアークも、できるだけ急速に消弧されなければならない。これは、アーク・チャンバ(128)内のアークスプリッタ(arc splitter)に弧を押し込むことによって、実現される。
【0096】
アークスプリッタは、通常金属製の、互いに離れて間隔を置かれて配置された複数のプレート(130)で形成され、アークを引き込み、冷却し、アークを消滅させることができる。
【0097】
各プレート(130)は同じ距離だけ離れて間隔を置かれていて、各プレート(130)の間の距離は回路遮断器の用途に応じて変化してもよい。例えば、各プレート(130)は、隣のプレートからおよそ0.8インチ
(20.3mm)だけ離れて間隔を置かれてもよい。または、各プレート(130)の間の距離は変化してもよい。例えば、筐体の一側面にある各プレートは筐体の他の側面にある各プレートより、近づいて設置されていてもよく、または、その逆でもよい。
【0098】
加えて、アークが完全に消滅する前に、飛ぶ(jump)ことのできる安全な場所を提供するために、一つまたは複数のアーク・ストラップ(132,134)が設けられていてもよい。実施例において、第1のアーク・ストラップ(132)はライン端子(110)に電気的に接続され、第2のアーク・ストラップ(134)は負荷端子(116)に電気的に接続されている。
【0099】
回路遮断器(100)の筐体(102)は、再設定機構(124)がユーザによってアクセスできるように外向けに露出した面(126)を含む。再設定機構(124)が当該(126)から伸びていてもよい。当業者には理解できるように、本願明細書において記述されるタイプの回路遮断器は、他の複数の回路遮断器(少なくともそれらのいくつかは同一構成である)とともに、パネルに嵌入されるように、構成される。
【0100】
典型的な家庭は、例えば、少なくとも1つ、おそらく2つ、3つ、またはこれより多くのこの種のパネルを備えている。そして、それぞれのパネルは、10個、20個またはより多く個数の回路遮断器を搭載していてもよい。
【0101】
当業者に理解されているように、通常、各回路遮断器の1つの表面(すなわち、再設定機構を保持している面)のみが露出している。
【0102】
図1に126として示されるこの外側に向かって露出した面は、平面(
図1のAで示される)を一般に定義する。概して、各パネルに配置されている回路遮断器の全てにおいて、それらの外側に向かって露出した面は、同一の面(A)に存在する。
【0103】
既に述べたように、本発明の目的の1つは、公知の典型的な回路遮断器よりも狭い幅(B)を有する回路遮断器の設計を提供することである。
【0104】
この幅(B)は、可動接点アーム・アセンブリ(108)がその開閉に伴って移動する方向に沿った、外側に向かって露出した面(126)の寸法である。幅(B)は、可動接点アーム・アセンブリ(108)がその開閉に伴って移動する方向に垂直な、外側に向かって露出した面(126)の寸法である、回路遮断器の高さ(C)(
図2に示される)と対照的である。
【0105】
いくつかの回路遮断器においては高さ(C)が特に注目されるが、この明細書で特に注目されるのは回路遮断器(100)の幅(B)である。
【0106】
なお、用語「幅」および「高さ」を、本願明細書において区別する理由は、回路遮断器は通常、ライン端子(110)と負荷端子(116)とが水平に配置されるように、複数の回路遮断器が上下に積み重なって、積み重ねられた回路遮断器の複数のライン端子(110)が垂直に配列され、複数の負荷端子(116)が垂直に配列されるように、回路遮断器がパネルに配置されているからである。
【0107】
これは、
図3に図示した実施例に関して、回路遮断器のパネルに対して、ハンドル型・アクチュエータ再設定機構(124’)が左から右に、そして、右から左に水平に移動操作されることを意味する。
【0108】
いくつかの実施形態では、前記接点アーム平面と平行する方向に測った前記外側に向かって露出した面の「幅」は、2インチ
(50.8mm)未満である。これらの実施例で特定のものにおいて、前記接点アーム平面と平行して測られる外側に向かって露出した面の幅は、1.75インチ
(44.5mm)未満である。これらの実施例で特定のものにおいて、接点アーム平面と平行してとられる外側に向かって露出した面の幅は、1.575インチ
(40mm)未満である。
【0109】
好ましくは、外側に向かって露出した面(126)の幅(B)は2インチ
(50.8mm)未満であり、さらに好ましくは、1.75インチ
(44.5mm)未満である。
【0110】
他の実例例において、回路遮断器(100)の外側に向かって露出した面(126)の幅(B)は約1.570インチ
(39.9mm)であってもよい。その一方で、高さ(C)(
図2に示される)は、約0.75インチ
(19.1mm)であってもよい。この実施例において、回路遮断器(100)の奥行、すなわち、外側に向かって露出した面(126)と端子(110,116)との間の距離は、約3.0インチ
(76.2mm)であってもよい。
【0111】
前記した「奥行」は、典型的な回路遮断器より大きくてもよく、特に、確実に奥行きを減らすように構成されている回路遮断器の奥行きよりも大きくてもよいが、本発明の回路遮断器(100)は、必ずしも奥行きを減少させるのでなく、特に幅(B)を減少させるために提供されることに留意する必要がある。
【0112】
本発明による回路遮断器(100)の減少した幅(B)を実現するための構成を以下に述べる。
【0113】
図1を再度参照する。回路遮断器(100)が、接点(104,106)が閉じた「オン」位置にある場合、可動接点アーム・アセンブリ(108)の長軸(D)は通常、外側に向かって露出した面(126)により定義される平面(A)に対して直交している。換言すると、互いに接触する各接点(104,106)の各面は、外側に向かって露出した面(126)により定義される平面(A)にほぼ平行な方向を向いて接触している。
【0114】
このような設計は、可動接点アーム・アセンブリが通常、外側に向かって露出した面により定義される平面に対して平行である、例えば、米国特許第9,947,499号(特許文献1)に示されるような典型的な回路遮断器の設計と比べて、対照的である(すなわち、典型的な回路遮断器では、互いに接触する各接点の各面は、外側に向かって露出した面により定義される平面に対してほぼ直角な方向を向いて接触する)。また、このような構成は、可動接点アーム・アセンブリが外側に向かって露出した面により定義される平面に対して鋭角もしくは鈍角をなす、他のロープロファイルな回路遮断器の設計と比べても対照的である(すなわち、典型的な回路遮断器では、互いに接触する各接点の各面は、外側に向かって露出した面により定義される平面に対して鋭角もしくは鈍角の方向を向いて接触する)。
【0115】
さらに
図1を参照して、導電ストラップ(118)の特定の構成、および導電ストラップ(118)と、可動接点アーム・アセンブリ(108)および接点(104,106)との関係も、回路遮断器(100)の減少した幅(B)が実現されることに関連して、重要である。
【0116】
より詳しくは、
図1に図示された方向から見れば明らかなように、導電ストラップ(118)は可動接点アーム・アセンブリ(108)および接点(104,106)の後ろ側を、これらから離れて通過している。
【0117】
より一般的な言い方をすれば、導電ストラップ(118)はある1つの平面内にあるとみなされ、可動接点アーム・アセンブリ(108)は別の平面内で開閉するとみなされる。これらの2つの平面は平行であるが、互いに対してある距離だけ離れている。さらにこれらの平面の両方とも通常、外側に向かって露出した面(126)により定義される平面(A)に対して、直交していることに注意されたい。
【0118】
また
図1に示される具体例において、外側に向かって露出した面(126)により定義される平面(A)と、導電ストラップ(118)、可動接点アーム・アセンブリ(108)、可動接点(106)および静止接点(104)の全4つを通過する仮想平面とが存在する。しかしながら、この特定の関係が、すべての実施例において、真である必要があるというわけではない。
【0119】
例えば
図4および
図5に図示した回路遮断器(100’’)の実施例を参照して、導電ストラップ(118’)はある1つの平面内にあるとみなされ、可動接点アーム・アセンブリ(108’)は別の平面内で開閉するとみなされる。これらの2つの平面は平行であり、互いに対してある距離だけ離れている。さらにこれらの平面の両方とも、外側に向かって露出した面(126)により定義される平面(A)に対して、ほぼ直交している。
【0120】
しかしながら、この特定の実施例では、外側に向かって露出した面(126)により定義される平面(A)に平行な、導電ストラップ(118’)、可動接点アーム・アセンブリ(108’)、可動接点(106)および静止接点(104)の全4つを通過する仮想平面は存在しない。
【0121】
ただし、この実施例において、外側に向かって露出した面(126)により定義される平面(A)と平行な、導電ストラップ(118’)および可動接点アーム・アセンブリ(108’)の両方を通過する仮想平面は、存在する。
【0122】
他の点において
図4および5の実施例は先に述べたものと類似している。
【0123】
しかし、各種要素、例えば筐体(102’)、第1の導体素子(112’)、第2の導体素子(119’)、アーク・チャンバ(128’)、アーク・プレート(130’)およびアーク・ストラップ(132’,134’)などに、さまざまな僅かな相違がみられる。これらの相違は、回路遮断器(100’’)の動作に本質的な影響を及ぼさない一方、例えば、それらは回路遮断器(100’’)で、わずかに異なる寸法の相違をもたらすこととなる場合がある。例えば、幅(B’)が約1.575インチ
(40mm)になり、高さ(C’)が約0.75インチ
(19.1mm)になり、および奥行き(すなわち、外側に向かって露出した面(126)と端子(110,116)との間の距離)が約2.625インチ
(66.7mm)となること、等である。
【0124】
この明細書では、本発明の構成が特定の部品配置、特徴などに関して記載されているにもかかわらず、これらは、すべてのとり得る配置または機能を限定することを意図していない。実際、多くの他の修正変更を施すことが当業者にとって可能である。
【0125】
例えば、今まで説明した例では、個々の回路遮断器は水平に設置され、複数の回路遮断器が上下に積み重なってパネルに配置される例を示したが、各回路遮断器を垂直に設置し、複数の回路遮断器がパネルに、左右水平方向に配列されるように実施することも可能である。この場合、各回路遮断器の接点アーム平面も垂直になる。いままで述べてきた「接点アーム平面に平行に測った外側に向かって露出した面の幅」(
図1にBで示されている)を「接点アーム平面に平行に測った外側に向かって露出した面の高さ」(
図1にBで示されている)と読み替えるものとする。