【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に記載の設備によって解決される。これに従属する請求項は、設備の可能な実施形に関する。
【0008】
ここに記載される設備(「設備」)は、三次元の対象物、つまり例えば技術的な部材や技術的な部材群の積層造形的な製造の為に使用される。設備は、複数の作業ステーションを有する。これら作業ステーションは、三次元の対象物(「対象物」)の積層造形的な製造の枠内で少なくとも一つの作業過程を実施するために設けられている。相応する作業過程は、対象物の積層造形的な製造の枠内で、一方では積層造形的な作業過程、つまり積層造形的な構成過程(この過程において、対象物の実際の積層造形的な構成が行われ、これは特に、漸次的、層ごと、かつ選択的な露光と、これに伴う漸次的、層ごと、かつ選択的な構成材料層(エネルギー照射によって硬化可能な構成材料からなる構成材料層)の硬化によって行われる)に関し、そして、積層造形的な作業過程若しくは構成過程の前に実施されるべき、又は実施される前処理的な作業過程、つまり例えば、粉末モジュールの洗浄過程、不活性化過程(独語:Inertisierungsvorgaenge)、及び温度調整過程(独語:Temperierungsvorgaenge)と、積層造形的な作業過程又は構成過程の後に実施されるべき、又は実施される後処理的な作業過程、つまり例えば、積層造形的に製造された対象物の相応する粉末モジュールからの取り出し過程に関する。
【0009】
積層造形的な作業過程の実施の為に設けられる、プロセスステーションとも称される、第一の作業ステーションは、対象物の積層造形的な製造の為の装置(「装置」)として形成されている、又はそのようなものを有する。相応する装置は、対象物、つまり例えば技術的な構成部材、又は技術的な構成部材群の、硬化可能な構成材料から成る構成材料層の、漸次的、層ごと、かつ選択的な露光と、これに伴う漸次的、層ごと、かつ選択的な硬化による積層造形的な製造の為に設けられている。構成材料は、粉末状、又は粉末形状の金属材料、プラスチック材料、及び/又はセラミック材料であることが可能である。選択的に硬化すべき構成材料層の選択的な硬化は、対象に関する構成データに基づいて行われる。相応する構成データは、積層造形的に製造すべき各対象物の幾何・構造的な形態を表し、そして例えば積層造形的に製造すべき対象物の「スライス式の」CADデータを含みうる。装置は、例えばSLM装置、つまり選択的レーザー溶融法(SLM法)の実施の為の装置、又はSLS装置、つまり選択的レーザー焼結法(SLS法)の実施の為の装置として形成されていることが可能である。
【0010】
相応する装置は、積層造形的な構成過程の実施の為に典型的に必要である機能コンポー
ネントを有する。この為、特に層形成装置と露光装置が挙げられる。層形成装置は、(装置の構成面内における)選択的に硬化すべき構成材料層の形成の為に設けられている。露光装置は、(装置の構成面内における)選択的に硬化すべき構成材料層の選択的な露光の為に設けられている。層形成装置は、典型的には複数の構成部材、つまり例えば、特に刃形状の層形成ツールを有する層形成要素と、層形成要素を定義された移動路に沿って案内するための案内装置を有する。露光装置も、典型的には複数の構成部材、つまり例えば、エネルギー線、又はレーザー線の発生の為の照射発生装置、照射発生装置によって発生されたエネルギー線、又はレーザー線を、選択的に硬化すべき構成材料層の露光すべき領域へと転向するための照射転向装置(スキャナー装置)と、例えばレンズ要素(独語:Linsenelemente)、対物レンズ要素(独語:Objektivelement)等の種々の光学的な要素を有する。装置の上述した機能コンポーネントは、典型的には、装置の(典型的には不活性化可能である)プロセスチャンバーに、又はプロセスチャンバー内に設けられている、又は形成されている。
【0011】
後処理的な作業過程の実施の為に設けられている、後処理ステーションとも称される、光学的な別の(又は第二の)作業ステーションは、積層造形的に製造される対象物の取り出し為の装置として形成されている、又はそのようなものを有することが可能である。装置は、積層造形的に製造される対象物を取り囲む、典型的には硬化されていない構成材料を取り除くことにより、積層造形的に製造される対象物を取り出すために設けられている。相応する装置は、積層造形的に製造される対象物を取り囲む、典型的には硬化されていない構成材料を取り除くために必要な機能コンポーネントを有する。この為、特に、吸引装置、及び/又はファン装置が挙げられる。これは、吸引流、及び/又はファン流を発生するために設けられている。これらによって、取り除かれるべき構成材料が吸引され、又は吹き飛ばされることが可能である。
【0012】
前処理的な作業過程の実施の為に設けられる、前処理ステーションとも称される、光学的な別の(又は第三の)作業ステーションは、粉末モジュールの洗浄、及び/又は、不活性化(独語:Inertisieren)、及び/又は、温度調整(独語:Temperieren)の為の装置として形成されている、又はそのようなものを有することが可能である。装置は、粉末モジュールの洗浄、及び/又は不活性化、及び/又は温度調整の為に設けられていることが可能である。相応する装置は、粉末モジュールの洗浄、及び/又は不活性化、及び/又は温度調整の為に必要な機能コンポーネントを有する。この為、特に洗浄装置、不活性化装置、又は温度調整装置が挙げられる。洗浄装置は、例えば粉末モジュール側に含まれる粉末チャンバーを洗浄する洗浄流の発生の為に設けられている。不活性化装置は、粉末モジュール側に含まれる粉末チャンバーを不活性化する不活性化流を発生するために設けられている。温度調整装置は、所定の目標温度への粉末モジュールの温度調整の為に設けられている。
【0013】
その具体的な機能形成とは別に、各作業ステーションは典型的には独自のハウジング構造を有する。これに、又はこの中に、各作業ステーションの機能コンポーネントが設けられている、又は形成されている。作業ステーションは、よって、各ハウジング構造によって空間的・物理的に定義される独立した機能ユニット(設備の機能ユニット)と見られ得る。これらは、種々の構成で、例えば一又は複数の構造体(部分)内に、特に工場ホール内に互いに相対的に位置決め可能である。
【0014】
設備は、典型的には、三次元の対象物の積層造形的な製造の枠内で使用される複数の粉末モジュールを有する。各粉末モジュールは、構成材料の収容の為、及び放出の為に設けられており、そしてこの為、典型的には、粉末チャンバーを有する。粉末チャンバーは、構成材料により充填可能な粉末室を画成する。粉末室は、通常中空直方体状、又は中空シリンダー状に形成された粉末チャンバーの壁部(粉末チャンバー壁部)によって少なくと
も側方を画成されている。底部側では、粉末室は、担持装置により画成されていることが可能である。相応する担持装置は、典型的には、二つの端部位置の間、つまり、(粉末モジュールの高さに関して)上側の端部位置と下側の端部位置の間を粉末チャンバーに対して相対的に可動に支承されている。担持装置の移動可能な支承は、特に線形的な担持装置の移動を可能とする。これは、垂直方向の移動軸に沿ったもの、又は垂直方向の移動方向におけるものである。担持装置の移動可能な支承は、典型的には、これと連結される、特に(電動)モーターによる駆動装置、及び/又はアクチュエーター装置によって実現されている。
【0015】
具体的には、粉末モジュールは、構成モジュールで有るか、又は調量モジュールであるか、又は収集若しくはオーバーフローモジュールで有り得る。構成モジュールの中では、対象物の本来の積層造形的な構成が行われ、構成モジュールはこの為、積層造形的な構成過程の実施の枠内で、漸次的、かつ層ごとに選択的に硬化すべき構成材料で満たされる。調量モジュールを介して、積層造形的な構成過程の実施の枠内で、構成材料はプロセスチャンバー内へと調量される。収集若しくはオーバーフローモジュールは、積層造形的な構成過程の枠内で、硬化されない構成材料によって満たされる。
【0016】
設備は更に、少なくとも一つの搬送車を有する。以下で多くの場合、一つの搬送車が話題となるけれども、典型的には設備は複数の相応する搬送車を(も)有する。搬送車は、ユーザー側で、つまりユーザーによるアクティブな移動によって、及び/又は(部分)自動的に、組み込まれた、特に(電動)モーターによっる駆動装置を介して、設備の種々の作業ステーションの間を移動可能、又は走行可能である。搬送車側に存在する限り、相応する作業装置は、典型的には力伝達装置を有する。これは、駆動装置によって発生される駆動力を地盤へと伝達するために設けられている。力伝達装置は、例えば、いくつかの車輪、ローラー、チェーン等を有する。これらを介して、駆動装置によって発生される駆動力の地盤への伝達が実現可能である。
【0017】
搬送車は、ラーメン構造を有する。ラーメン構造は、少なくとも二つのラーメン構造部分を有する。第一のラーメン構造部分は、特に垂直に向けられている移動軸、又は移動方向において、第二のラーメン構造部分に対して移動可能に支承されている。基本的に考えうるけれども、第二のラーメン構造部分が典型的には移動不可能に支承されている。第一のラーメン構造部分は、典型的には、第二のラーメン構造部分の上に配置されている、又は形成されている。第一のラーメン構造部分の第二のラーメン構造部分に対する移動の実現の為に、搬送車は、少なくとも一つの、特に(電動)モーター駆動によるストローク装置を有している。ストローク装置は、第一のラーメン構造部分を第二のラーメン構造部分に対して移動させる、つまりストローク移動させる、又は、沈降移動させるストローク力を発生させるために設けられている。
【0018】
ラーメン構造は、収容装置を有する。収容装置は、収容室、又は収容ボリュームを有している。収容室は、ラーメン構造内に少なくとも一つの粉末モジュールを収容するために設けられている。収容室の寸法は、よって、収容室が、少なくとも一つの粉末モジュールの(完全な)収容の為に設けられているよう選択されている。収容装置は、つまり特に、収容室は、典型的には第一のラーメン構造部分内に配置されている、又は形成されている。
【0019】
ストローク装置は、特に、第一のラーメン構造部分を、少なくとも搬送位置(この搬送位置において粉末モジュールの搬送車から作業ステーションへの引き渡し、又はその逆の引き渡しは不可能である)と引き渡し位置(この引き渡し位置において、粉末モジュールの搬送車から作業ステーションへの引き渡しは可能である)の間を移動させるために設けられている。搬送位置、又は、引き渡し位置は、典型的には、第二のラーメン構造部分に
対する第一のラーメン構造部分の所定の垂直方向位置である。引き渡し位置は、典型的には、特に搬送位置に比して、第一のラーメン構造部分の上側の位置である。搬送位置は、典型的には、特に引き渡し位置に比して、第一のラーメン構造部分の下側の位置である。第一のラーメン構造部分の第二のラーメン構造部分に対する移動可能な支承は、第一のラーメン構造部分の(垂直方向の)様々な位置を実現することを可能とする。この位置は、典型的には、搬送車の重心の移動を伴う。重心移動は、搬送車の移動特性、又は走行特性にポジティブな影響を及ぼす。搬送位置における、搬送車の比較的低い重心は、搬送車の起こり得る傾倒の危険性を排除する、又は減少させる。
【0020】
搬送車は、連結前位置へと移動可能である。連結前位置において、搬送車は、作業ステーション側のハウジング構造から所定の間隔、つまり特に5cmから15cmの領域の間隔をあけて配置されている。連結前位置は、後の連結位置の前段階として見られることが可能である。この位置で搬送車は実際に作業ステーション側のハウジング構造と連結する。連結前位置においては、搬送車から作業ステーションへの、又はその逆の、粉末モジュールの引き渡しは、典型的には不可能である、又は意図されていない。
【0021】
設備は、第一の固定装置を有する。第一の固定装置は、連結前位置に移動さえる搬送車の連結前位置における固定の為に設けられている。第一の固定装置は、よって、作業ステーション側のハウジング構造に対する、連結前位置に移動された搬送車の位置の固定の為に設けられている。
【0022】
固定装置は、作業ステーション側の少なくとも一つの第一の固定装置と、相応する搬送車側の少なくとも一つの対向固定装置を有することができる。連結前位置に移動された搬送車が、作業ステーション側のハウジング構造に対して固定され、よって搬送車が連結前位置から動かされることができないよう、作業ステーション側の、つまり作業ステーションに設けられる、又は形成される第一の固定装置は、搬送車側の、つまり搬送車に設けられる、又は形成される対向固定装置と相互作用する。作業ステーション側の固定装置と、搬送車側の対向固定装置は、固定位置において形状結合的に相互作用することが可能である。作業ステーション側の固定装置は、よって、形状結合要素4、例えば特に、フック状、又はフック形状の突出部として形成されている、又はそのようなものを有することが可能である。搬送車側の対向固定装置は、相応する対向形状結合要素、つまり例えば、特に溝状、又は溝形状の収容部(突出部の収容部)として形成されていることが可能であるか、又はそのようなものを有する。
【0023】
作業ステーション側の固定装置は、固定位置(この固定位置において、搬送車側の対向固定装置と、搬送車の連結前位置の固定を形成しつつ相互作用するよう搬送車側の対向固定装置に対して動かされる)と非固定位置(この非固定位置において、搬送車側の対向固定装置と、搬送車の連結位置の固定を形成しつつ相互作用するよう搬送車側の対向固定装置に対して動かされる)の間を移動可能に支承されていることが可能である。固定装置の移動可能な支承は、調整装置によって実現されていることが可能である。調整装置は、固定装置と(移動可能に)連結される少なくとも一つの調整要素を有することが可能である。調整装置は、例えば、移動可能に支承される調整ピストンを有するピストン・シリンダー装置として形成されている、又はそのようなものを有することが可能である。
【0024】
代替的に、又は補足的に、搬送車側の対向固定装置は(も)、固定位置(この固定位置において、作業ステーション側の固定装置と、搬送車の連結前位置の固定を形成しつつ相互作用するよう作業ステーション側の固定装置に対して動かされる)と非固定位置(この非固定位置において、作業ステーション側の固定装置と、搬送車の連結位置の固定を形成しつつ相互作用するよう作業ステーション側の固定装置に対して移動させられる)の間を移動可能に支承されていることが可能である。対向固定装置の移動可能な支承も、調整装
置によって実現されていることが可能である。調整装置は、対向固定装置と(移動可能に)連結される少なくとも一つの調整要素を有し得る。調整装置は、搖動装置として形成されている、又はそのようなものを有することが可能である。揺動装置は、固定位置と非固定位置の間の対向固定装置の旋回・揺動の為に設けられている。
【0025】
設備は、第一の検出装置を有することが可能である。第一の検出装置は、連結前位置に動かされる搬送車の検出のため、及び連結前位置に動かされる搬送車を表す連結前位置情報の検出の為に設けられている。代替的に、又は補足的に、第一の検出装置は、第一の固定装置によって実現される、連結前位置に移動された搬送車の固定の為に、及び、第一の固定装置によって実現される、連結前位置に移動された搬送車の固定を表す第一の固定情報の検出の為に設けられている。第一の検出装置は、例えば、音響的、電気的、光学的、又は触覚技術的な検出要素を有する。これは、例えば、音響的、電気的、光学的、又は触覚技術的な信号に基づいて、連結前位置における搬送車の位置及び/又は固定を推測する。検出要素に対する具体的な例は、(音響的、又は光学的な)バリア、又は(電気的、及び/又は機械的な)接点である。各検出要素は、作業ステーション側、及び/又は搬送車側に配置されている、又は形成されていることが可能である。その具体的実施形によらず、第一の検出装置を介して、搬送車が連結前位置に動かされたか、及び/又は、連結前位置に動かされた搬送車が連結前位置で固定されているか、が検出されることができる。各検出結果は、連結前位置、又は固定情報を介して形成される。
【0026】
搬送車側のストローク装置は、第一のラーメン構造部分を、特に搬送位置に基づいて、第二のラーメン構造部分に対して移動させるストローク力を、連結前位置情報、及び/又は固定情報に基づいて発生させるために設けられている。搬送車が連結前位置に動かされるとき、及び/又は、連結前位置に動かされる搬送車が県列前位置において固定されているとき、特に、ストローク装置は、特に搬送位置から出発して、第一のラーメン構造部分を以下に記載するプレ引き渡し位置へ、又は引き渡し位置の方向へ移動させるために設けられていることが可能である。そのようにして特に、設備の安全性が改善されることが可能である。
【0027】
搬送車は、搬送車側ストローク装置に付設されるストロークリリース装置を有し得る。ストロークリリース装置は、特に搬送車側のユーザーインターフェースを介して、ユーザー側から、例えば触覚技術的な入力によって発生されるリリース指令に基づいてリリース情報を発生させるために設けられている。ストロークリリース装置は、相応して、ユーザー側より走査可能な、又は操作される操作インターフェース、つまり例えばキーボード、ボタン、タッチスクリーン等を有することが可能である。ストローク装置は、第一のラーメン構造部分を第二のラーメン構造部分に対して移動させるストローク力を、ストロークリリース装置によって発生されるリリース情報に基づいて発生させるために設けられていることが可能である。第一のラーメン構造部分の実際の移動が行われる前に、ユーザーリリースが必要で有り得る。その様にして、設備の安全性が更に改善されることができる。
【0028】
搬送車側のストローク装置は、特に、第一のラーメン構造部分を搬送位置と引き渡し位置の間で移動させるために設けられていることが述べられる。ストローク装置は、更に、第一のラーメン構造部分を、特に第一のラーメン構造部分の搬送位置及び搬送車の連結前位置から出発して、引き渡し位置の上に位置するプレ引き渡し位置に移動させるために設けられている。プレ引き渡し位置は、(垂直方向において)数cm、つまり例えば5cmから15cm、引き渡し位置の上に位置することができる。プレ引き渡し位置は、引き渡し位置(上述したようにこの位置において搬送車から作業ステーションへの、又はその逆の粉末モジュールの引き渡しが可能である)の前段階として見られることができる。プレ引き渡し位置では、粉末モジュールの搬送車から作業ステーションへの、又はその逆の引き渡しは未だ不可能、又は意図されていない。
【0029】
設備は、第二の検出装置を有し得る。第二の検出装置は、プレ引き渡し位置へ動かされる第一のラーメン構造部分の検出の為、及び、プレ引き渡し位置へ動かされる第一のラーメン構造部分を表すプレ引き渡し位置情報の検出の為に設けられている。第二の検出装置は、例えば音響的、電気的、光学的、又は触覚技術的な少なくとも一つの検出要素を有することが可能である。これは、例えば音響的、電気的、光学的、又は触覚技術的な信号に基づいて、プレ引き渡し位置における第一のラーメン構造部分の位置を推測する。検出要素の具体的な例は、ここでもまた、(音響的、又は光学的な)バリア、又は(電気的及び/又は機械的な)接点である。各検出要素は、ここでもまた、作業ステーション側に、及び/又は搬送車側に配置されている、又は形成されていることが可能である。その具体的な実施形によらず、第二の検出装置を介して、第一のラーメン構造部分がプレ引き渡し位置へ動かされているかどうかが検出されることが可能である。検出結果は、プレ引き渡し位置情報を介して形成される。
【0030】
搬送車が、特に連結前位置から出発して連結位置にも移動可能であることが述べられた。連結前位置及び連結位置は、典型的には、作業ステーション側のハウジング構造に対する搬送車の所定の水平方向(横)位置である。搬送車の連結位置においては、搬送車は、連結前位置と比較して、各作業ステーション側のハウジング構造からより小さな間隔をあけて配置されている、又は作業ステーション側のハウジング構造に直接当接して配置されている。搬送車から作業ステーションへの、又はその逆の粉末モジュールの引き渡しが可能であるよう、搬送車は、連結前位置において、作業ステーション側のハウジング構造に連結されている。よって連結位置においては、搬送車から作業ステーションへの、又はその逆の粉末モジュールの引き渡しが可能である、又は意図されている。
【0031】
もちろん連結前位置から連結位置への搬送車の移動は、第一の固定装置によって実現される固定(連結前位置における搬送車の固定)の万一の解除を前提としている。基本的に、連結位置への搬送車の移動は、手動で、又は(部分的に)自動で行われることが可能である。後者の場合、例えば第一の固定装置は、搬送車を連結前位置から出発して連結位置へと移動させるために使用されることが可能である。作業ステーション側の固定装置と搬送車側の対向固定装置のお互いの相互作用及び移動によって、連結前位置から連結位置へ搬送車を移動させる力(典型的には張力)が発生されることが可能である。当該力は、具体的には、搬送車側の対向固定装置と相互作用する、つまり特に連結されている、作業ステーション側の固定装置の、搬送車を連結位置に移動させる移動によって発生されることができる。
【0032】
第一のラーメン構造部分を、特に、プレ引き渡し位置情報に基づいて、プレ引き渡し位置から出発して引き渡し位置へと移動させる(沈降させる)為に、搬送車側のストローク装置は、設けられていることが可能である。搬送車が連結位置に移動させられているとき、第一のラーメン構造部分を、特にプレ引き渡し位置から出発して引き渡し位置の方向へと移動させるために、特に、ストローク装置は、設けられていることが可能である。このようにして、ここでもまた、特に設備の安全性が改善されることができる。
【0033】
設備は更に、第二の固定装置を有し得る。第二の固定装置は、引き渡し位置へ動かされる搬送車の第一のラーメン構造部分の、引き渡し位置における固定の為に設けられている。第二の固定装置は、よって引き渡し位置へ動かされる第一のラーメン構造部分の位置の固定の為に、特に作業ステーション側のハウジング構造に対する固定の為に設けられている。
【0034】
第二の固定装置は、作業ステーション側の少なくとも一つの第一の固定装置と、相応する搬送車側の少なくとも一つの対向固定装置を有し得る。作業ステーション側の、つまり
作業ステーションに設けられている、又は形成されている、第一の固定装置は、搬送車側の、つまり搬送車に設けられる、又は形成される対向固定装置と相互作用し、引き渡し位置へと動かされる第一のラーメン構造部分の位置を、作業ステーション側のハウジング構造に対して固定し、これによって第一のラーメン構造部分が(ストローク装置の操作無しに)引き渡し位置から動かされることが無いように設けられている。
【0035】
作業ステーション側の固定装置と搬送車側の対向固定装置は、引き渡し位置において形状結合的に相互査証することができる。作業ステーション側の固定装置は、よって、形状結合的に、つまり例えば、特に球状、若しくは円錐状、又は球形状、若しくは円錐形状の突出部として形成されていることが可能である、又はそのようなものを有し得る。搬送車側の対向固定装置は、相応する対向形状結合要素として、つまり例えば、特に、球状、若しくは円錐状、又は球形状、若しくは円錐形状の収容部、又はブッシュとして形成されている、又はそのようなものを有することが可能である。相応する形状結合要素、特に球状、若しくは円錐状、又は球形状、若しくは円錐形状の突出部の形式の形状結合要素は、その幾何・構造的形態に基づいて、例えばセンタリングボルトのようにセンタリング機能を及ぼす。よって、形状結合要素、及び対向形状結合要素の相互作用によって、作業ステーション側のハウジング構造に対する第一のラーメン構造部分の、又は全搬送車のセンタリングが実現可能であり、これによって、第一のラーメン構造部分、又は全搬送車の位置の固定が、少なくとも二つ、特に三つの、互いに直交する向きの空間方向において実現されることが可能である。
【0036】
引き渡し位置における、搬送車から作業ステーションへの、又はその逆の粉末モジュールの引き渡しが可能であることが複数回述べられた。搬送車側のラーメン構造は、この為、少なくとも一つの引き渡しインターフェース、特に、開口部の形式の引き渡しインターフェースを有する。これは、収容装置から作業ステーションへの粉末モジュールの引き渡し、又は作業ステーションから搬送車側の収容装置への粉末モジュールの引き渡しを可能とする。同様に、作業ステーション側のハウジング構造は、少なくとも一つの引き渡しインターフェース、特に開口部の形式の引き渡しインターフェースを有する。これは、作業ステーションから搬送車側の収容装置への粉末モジュールの引き渡し、又は、搬送車側の収容装置から作業ステーションへの粉末モジュールの引き渡しを可能とする。各搬送車の第一のラーメン構造部分の引き渡し位置において、搬送車側の引き渡しインターフェースは、典型的には作業ステーション側の引き渡しインターフェースと一列に並ぶので、粉末モジュールの引き渡しが、搬送車から引き渡しステーションへと、又はその逆へと可能とされる。
【0037】
設備内での、設備に付設される搬送車と、設備に付設される作業ステーションの間の標準化され、簡易化された粉末モジュールの引き渡しを可能とするために、各作業ステーション側の、及び各搬送車側の引き渡しインターフェースは、設備に付設される全ての作業ステーションと搬送車に対して、幾何・構造的に同じ、つまり標準化されて形成されていることが可能である。
【0038】
各搬送車側の、及び各作業ステーション側の引き渡しインターフェースは、ロック装置を介してロック可能であり得る。ロック装置は、ロック要素を有し得る。これは、開口位置(この位置で各引き渡しインターフェースは、粉末モジュールの引き渡しの為にリリースされている)と、閉鎖位置(この位置で各引き渡しインターフェースは粉末モジュールの引き渡しの為にリリースされていない)の間を移動可能に支承されていることが可能でらう。ロック要素の開口位置及び閉鎖位置への移動は、自動的、例えば、引き渡し位置の検出に応じて、つまり引き渡し位置へと動かされる第一のラーメン構造の検出に応じて行われることが可能である。引き渡し位置の検出、又は引き渡し位置へと動かされる第一のラーメン構造部分の検出は、第二の検出装置を介して、又は第三の検出装置を介して行わ
れることが可能である。第三の検出装置は、第二の検出装置と同様に設けられていることが可能であるので、これに関する説明が参照される。
【0039】
搬送車側の収容装置は、支承装置を有し得る。これは、収容室内での粉末モジュールの、特に吊架された支承の為に設けられている。支承装置は、粉末モジュールを、特に収容室、又はラーメン構造に完全に収容された第一の位置(粉末モジュール支承位置)と、収容室、又はラーメン構造から部分的に引き出された第二の位置(粉末モジュール引き渡し位置)の間を、ラーメン構造部分に対して移動可能に支承するために設けられていることが可能である。この為、支承装置は、複数の支承要素を有し得る。これらは、収容室内に収容される粉末モジュールの、第一のラーメン構造部分い対する移動可能な支承を可能とする。相応する支承要素は、例えば滑り支承部、又は転がり支承部であることが可能である。これらは、粉末モジュールと、移動可能な支承を形成しつつ相互作用する、つまり例えば、ここでは粉末モジュール側に設けられる、例えば粉末モジュール側に存在する空所部によって形勢される作用部分内に介入する。
【0040】
相応する支承装置は、粉末モジュール固定装置を有し得る。粉末モジュール固定装置は、収容室内に収容される粉末モジュールの位置の固定の為に設けられている。粉末モジュール固定装置は、ラーメン構造側の少なくとも一つの固定装置を有し得る。これは、粉末モジュール側の対向固定装置と相互作用し、収容室内に収容される粉末モジュールの位置が固定されているようにする。相応する固定装置は、固定位置(この位置で、粉末装置側の対向固定装置と粉末モジュールの位置の固定を形成しつつ相互作用するよう、粉末モジュール側の対向固定装置に向かって動かされている)と、非固定位置(この位置で、粉末モジュール側の対向お亭装置と、粉末モジュールの位置の固定を形成しつつ相互作用するよう、粉末モジュール側の対向固定装置に向かって動かされている)の間を移動可能出あり得る。
【0041】
ラーメン構造側の固定装置は、各粉末モジュール側の対向固定装置と、第一のラーメン構造の搬送位置において相互作用することが可能である。搬送位置は、よって、固定位置に相当する。固定位置においては、粉末モジュールの位置は望まれない位置変化に対して固定されている。これは、粉末モジュール側の対向固定装置が、搬送位置においてラーメン構造側の固定装置に向かって、これらが収容室に収容される粉末モジュールの固定を形成しつつ相互作用するよう動かされていることによって実現可能である。
【0042】
ラーメン構造側の固定装置と粉末モジュール側の対向固定装置は、形状結合的に相互作用することができる。固定装置は、形状結合要素として、つまり例えば、特にボルト状の、又はボルト形状の突出部として形成されていることが可能である、又はそのようなものを有し得、そして対向固定装置は、相応する対向形状結合要素として、つまり例えば、特にブッシュ状、又はブッシュ形状の収容部(突出部のための収容部)として形成されている、又はそのようなものを有することが可能である。
【0043】
搬送車側の収容装置と同様の方法で、各作業ステーションも支承装置を有し得る。支承装置は、粉末モジュールを、作業ステーションを通って延在する搬送路に沿って、ハウジング構造に対して移動可能であるよう支承するために設けられていることが可能である。この為、支承装置は、複数の支承要素を有する。これらは、支承装置内に配置される粉末モジュールを作業ステーション側のハウジング構造に対して移動可能に支承することを可能とする。相応する支承要素は、ここでもまた滑り支承要素、又は転がり支承要素であることが可能である。これらは、移動可能な支承を形成しつつ粉末モジュールと相互作用する、つまり例えば、この為に粉末モジュール側に設けられる、例えば粉末モジュール側に存在する空所部によって形成される作用部分内に介入する。
【0044】
各搬送車側の、及び各作業ステーション側の支承装置は、各搬送車の第一のラーメン構造部分の引き渡し位置において、目的に適って互いに一列に並んでいるので、搬送車と作業ステーションの間を延在通過する搬送路が生じる。これは、各支承装置内に支承される複数の粉末モジュールを、問題無く搬送車から作業ステーションへと、又はその逆へと引き渡し可能である。目的に適って、各搬送車側の支承装置と、各作業ステーション側の支承装置は、目的に適って同じに、又は標準化されて形成されている。
【0045】
本発明は設備に他にも相応する設備の為の搬送車にも関する。搬送車は、ラーメン構造を有し、このラーメン構造が収容装置を有し、この収容装置が、粉末モジュールの収容の為に、ラーメン構造内部に設けられる収容室を有し、その際、第一のラーメン構造部分が、第二のラーメン構造部分に対して移動可能に、特に垂直方向に向けられた移動方向において支承されており、その際、搬送車が、少なくとも一つのモーター駆動によるストローク装置を有し、これが、第一のラーメン構造部分を第二のラーメン構造部分に対して移動させるストローク力の発生の為に設けられていることにおいて際立っている。設備と関連する全ての説明は、搬送車にも同様に有効である。
【0046】
本発明を以下に図面に貴志あされた実施例に基づき詳細に説明する。