(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
  しかしながら、特許文献1に開示の方法では、複数のケーブル等が貫通筒体を貫通している時に、隙間のない様に耐火充填形成材を充填しなければならず、大変手間がかかっていた。
【0007】
  また、特許文献2に開示の方法では、複数の耐火充填材を何度も巻回してロール状にして、壁貫通筒体と管・ケーブル等との隙間に充填しなければならない。そのため、大変手間であり、また、貫通部に隙間が空いて耐火性能が低下する恐れがあった。
【0008】
  本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、容易に貫通孔を耐火樹脂組成物で充填することができる貫通部の耐火構造の施工方法の提供を目的とする。
 
【課題を解決するための手段】
【0009】
  本発明者らは、上記の目的を達成すべく、熱膨張性黒鉛を含む耐火樹脂組成物からなる発泡体によって配管又はケーブルの外周を包囲し、その発泡体を貫通孔内に移動させることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
  すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]配管又はケーブルが挿通された貫通孔を有する、建築物の区画体における貫通部の耐火構造の施工方法において、
  前記貫通孔の外側において、熱膨張性黒鉛を含む耐火樹脂組成物からなる発泡体によって、前記配管又はケーブルの外周を包囲する包囲工程と、
  前記配管又はケーブルを包囲した発泡体を前記貫通孔内に移動させる移動工程と、
を有することを特徴とする方法。
[2]前記包囲工程では、
  前記発泡体に厚み方向に貫通する切れ込みを形成し、前記配管又はケーブルを前記切れ込みに挟み込むことを特徴とする項1に記載の方法。
[3]前記切れ込みの平面視の形状は、前記発泡体の外周面から中心に向かって伸びるV字状であることを特徴とする項2に記載の方法。
[4]前記発泡体は板状を呈し、
  前記包囲工程では、
  前記発泡体が環状となるように前記発泡体の両端を互いに接触又は接近させて、前記配管又はケーブルの外周を前記発泡体によって包み込むことを特徴とする項1に記載の方法。
[5]前記発泡体の50%圧縮硬さが4.4kPa〜12.7kPaであることを特徴とする項1〜4のいずれかに記載の方法。
[6]前記発泡体の引張強さが50kPa〜180kPaであることを特徴とする項1〜5のいずれかに記載の方法。
 
【発明の効果】
【0011】
  本発明によれば、容易に貫通孔を耐火樹脂組成物で充填することができる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0013】
  〔第一実施形態〕
  以下、本発明の第一実施形態である建築物の区画体における貫通部の耐火構造について説明する。
 
【0014】
  図1(a)は、建築物の区画体である第一実施形態に係る壁1の略斜視図であり、
図1(b)は、壁1のA−A略断面図である。壁1は、本実施形態では、軽量気泡コンクリート(ALC)壁又はモルタルで忠実に形成された壁の一つを図示したものである。なお壁1は、例えばコンクリート壁や木軸、鋼製スタッドと石膏ボードとから構成された中空壁であってもよい。また、壁1は、垂直方向に延びる壁に限られず、床又は板であってもよい。
 
【0015】
  壁1には、配管又はケーブル4が挿通された断面形状が略円形の貫通孔2を有する貫通部が形成されている。貫通孔2の内壁には、金属製又は熱膨張性の耐火性スリーブ3が設けられている。耐火性スリーブ3は、断面形状が略円形であり、その内径R
1は、配管又はケーブル4を挿通できる寸法である。耐火性スリーブ3の長さL
2は、壁1の厚みL
1、すなわち貫通孔2の延びる方向(貫通孔2が円筒形であれば軸方向)の長さ以上であることが好ましい(L
2≧L
1)。なお、耐火性スリーブ3は必須の構成ではなく、特に、壁1が中空壁でない場合は、耐火性スリーブ3を設けなくてもよい。
 
【0016】
  配管又はケーブル4は、
図1では2本の配管又はケーブル4が示されているが、その数は限定されず、1本又は3本以上の任意の配管又はケーブルを使用することができる。ケーブルとしては、例えば、CVケーブル、単心ケーブルを2本束ねたCVDケーブル、単心ケーブルを3本束ねたCVTケーブル等の他、他の電源ケーブル、信号ケーブル等を挙げることができる。また配管としては、例えば、給排水管、吸排気管、水道管、ガス管、冷暖房用媒体移送管等を挙げることができる。
 
【0017】
  金属製の耐火性スリーブ3としては鋼製のものが好ましく、そのようなスリーブは公知である。熱膨張性の耐火性スリーブ3としては、バインダー又はマトリックスとしての樹脂、熱膨張性黒鉛及び無機充填材を含む熱膨張性樹脂組成物からなるスリーブが挙げられ、スリーブを形成するために使用可能な市販の耐火性シートとしては、例えば積水化学工業社製フィブロック(登録商標。エポキシ樹脂、ブチルゴム、またはポリ塩化ビニル樹脂を樹脂成分とし、任意選択のリン化合物、熱膨張性黒鉛および無機充填材等を含む熱膨張性樹脂組成物のシート状成形物)、住友スリーエム社のファイアバリア(クロロプレンゴムとバーキュライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料化学社のメジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃)などが挙げられる。
 
【0018】
  本実施形態では、第一実施形態に係る耐火構造の施工方法による耐火構造が貫通部に施されている。具体的には、貫通孔2(耐火性スリーブ3)の内部において、配管又はケーブル4の外周が発泡体5によって包囲されている。発泡体5は、熱膨張性黒鉛を含む耐火樹脂組成物からなる。これにより、火災発生時に燃焼により焼失した部分を発泡体5の膨張成分によって埋めることができる。また、発泡体5には、厚み方向に貫通する切れ込み51が形成されている。
 
【0019】
  耐火樹脂組成物は、スポンジ等の弾力性のある樹脂成分の素材に熱膨張性黒鉛を含有させることにより形成される。そのような樹脂成分としては、ウレタン樹脂、好ましくは軟質ウレタン、さらに好ましくは不燃性の軟質ウレタン、オレフィン系フォームやゴム系オーム等が挙げられる。なお、軟質ウレタンは、ポリオールとポリイソシアネートとを主成分とし、触媒、整泡剤、発泡剤等などを混合して発泡させたものであって、連続気泡を有
し、復元力を有するウレタン樹脂を指す。軟質ウレタンの発泡倍率は通常約5〜約100倍であるが、これに限定されない。
 
【0020】
  熱膨張性黒鉛は、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたもので、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。このように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、さらにアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和したものを使用するのが好ましい。
 
【0021】
  熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、十分な膨張断熱層が得られず、また粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、樹脂に配合する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「GREP−EG」、GRAFTECH社製「GRAFGUARD」等が挙げられる。
 
【0022】
  耐火樹脂組成物において、熱膨張性黒鉛の配合量は、樹脂成分100重量部に対して10〜300重量部が好ましい。配合量が10重量部以上であると、体積膨張率が大きく配管又はケーブル4を構成する合成樹脂製部材が焼失した部分を十分埋めきることができ防火性能が発揮され、300重量部以下であると機械的強度が維持される。熱膨張性黒鉛の配合量は、より好ましくは20〜250重量部である。
 
【0023】
  続いて、第一実施形態に係る貫通部の耐火構造の施工方法について説明する。まず、
図2(a)に示すように、断面形状が略円形の貫通孔2を壁1に形成する。さらに、
図2(b)に示すように、貫通孔2の内壁に耐火性スリーブ3を設け、耐火性スリーブ3内に配管又はケーブル4を挿通する。
 
【0024】
  続いて、熱膨張性黒鉛を含む耐火樹脂組成物からなる発泡体5を準備する。
図3(a)〜(c)はそれぞれ、発泡体5の斜視図、平面図、及び側面図である。発泡体5は、略円柱形状に成形されている。発泡体5の厚みT
1は、特に限定されないが、
図1(b)に示す壁1の厚さL
1に略等しいことが好ましい。発泡体5の直径R
2も特に限定されないが、
図1(b)に示す耐火性スリーブ3の内径R
1より若干大きい、又は略等しいことが好ましい。
 
【0025】
  続いて、
図4(a)に示すように、発泡体5に厚み方向に貫通する切れ込み51を形成する。切れ込み51の平面視の形状は、発泡体5の外周面から中心に向かって伸びるV字状である。また、切れ込み51の先端部51aは、発泡体5の平面視の中心に一致していなくてもよい。
 
【0026】
  続いて、
図4(b)に示すように、配管又はケーブル4を切れ込み51に挟み込む。これにより、発泡体5によって配管又はケーブル4の外周の一部を包囲する(包囲工程)。
 
【0027】
  さらに、
図4(c)に示すように、切れ込み51を区画形成する2つの内面51b同士を接触させるように切れ込み51を閉じてもよい。これにより、切れ込み51は平面視直線状となり、発泡体5によって配管又はケーブル4の外周がほぼ完全に包囲される。
 
【0028】
  なお、
図4(b)及び(c)に示す工程は、貫通孔2の外側において行われる。また、
図4(a)に示す切れ込み51を備えた発泡体5を準備する工程は、
図2(a)及び(b
)に示す工程の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。また、切れ込み51のV字のなす角度α、及び切れ込み51の辺の長さL
3は特に限定されないが、配管又はケーブル4を切れ込み51に容易に挟み込める大きさであればよい。
 
【0029】
  続いて、
図5(a)に示すように、配管又はケーブル4を包囲した発泡体5を貫通孔2内(本実施形態では耐火性スリーブ3内)に移動させる(移動工程)。これにより、
図1に示すように、貫通孔2の内部において、配管又はケーブル4の外周を発泡体5によって包囲することができる。
 
【0030】
  ここで、発泡体5の50%圧縮硬さは4.4kPa〜12.7kPaであることが好ましい。この場合、発泡体5の断面の直径が、貫通孔2又は耐火性スリーブ3の内径より多少大きくても、発泡体5を圧縮して貫通孔2又は耐火性スリーブ3に容易に押し込むことができる。また、耐火性スリーブ3内に移動した発泡体5は、自己回復性により切れ込み51が広がるように変形するため、発泡体5の外面が耐火性スリーブ3の内面に密着する。
 
【0031】
  また、発泡体5の引張強さは50kPa〜180kPaであることが好ましい。これにより、配管又はケーブル4を挟み込むために発泡体5を大きく変形させた場合であっても、発泡体5の破損を防止することができる。
 
【0032】
  このように、本実施形態では、単一の発泡体5の切れ込み51に配管又はケーブル4を挟み込み、発泡体5を貫通孔2内に移動させるだけで、貫通部を配管又はケーブル4および発泡体5で密に充填することができる。よって、一度の作業で容易に耐火構造を施工することができる。
 
【0033】
  なお、上記の第一の実施形態は以下のように変更可能である。
・発泡体5を移動させる際に、発泡体5を配管又はケーブル4に対してスライドさせてもよいし、配管又はケーブル4を発泡体5とともに移動させてもよい。また、切れ込み51がV字状を保ったまま、発泡体5を移動させてもよい。
・あらかじめ耐火性スリーブ3内に配管又はケーブル4を挿通させず、
図5(b)に示すように、発泡体5を貫通孔2に移動させる際に、配管又はケーブル4を耐火性スリーブ3内に挿通してもよい。
・
図1では、耐火性スリーブ3内に移動させた後の発泡体5の切れ込み51は、平面視直線状であるが、
図6に示すように、平面視V字状であってもよい。この場合、配管又はケーブル4の外周の一部は発泡体5によって包囲されず、多少の隙間が生じるが、火災発生時に燃焼により焼失した部分を発泡体5の膨張成分によって埋めることができる程度の隙間であれば、耐火構造上問題はない。
・上述のように、耐火性スリーブ3は必須の構成ではなく、耐火性スリーブ3を省略し、発泡体5を貫通孔2の内壁に接触するように設けてもよい。
・本実施形態では、貫通孔2及び耐火性スリーブ3の断面形状、並びに、発泡体5の平面視形状は、略円形であったが、本発明はこれに限定されない。これらの形状を例えば、略楕円形状や矩形状としてもよい。
・本実施形態では、発泡体5の切れ込み51の形状は、平面視V字状であったが、配管又はケーブル4を挟み込むことが可能な形状であれば特に限定されず、例えば、直線状やU字状としてもよい。
・発泡体5の外面に接着層を設けてもよい。これにより、発泡体5が貫通孔2又は耐火性スリーブ3の外部にはみ出すことを確実に防止することができる。
 
【0034】
  〔第二実施形態〕
  以下、本発明の第二実施形態である建築物の区画体における貫通部の耐火構造について
説明する。なお、前述の第一実施形態におけるものと同一の部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
 
【0035】
  図7(a)は、建築物の区画体である第二実施形態の壁1の略斜視図であり、
図7(b)は、壁1のA−A略断面図である。第一実施形態と同様、壁1には、貫通孔2を有する貫通部が形成され、貫通孔2の内壁には、耐火性スリーブ3が設けられており、さらに、耐火性スリーブ3には配管又はケーブル4が挿通されている。本実施形態においても、耐火性スリーブ3は必須の構成ではなく、特に、壁1が中空壁でない場合は、耐火性スリーブ3を設けなくてもよい。
 
【0036】
  また、第二実施形態に係る耐火構造の施工方法による耐火構造が貫通部に施されており、具体的には、配管又はケーブル4の外周が環状の発泡体15によって包囲されている。配管又はケーブル4は、
図7では3本の配管又はケーブル4が示されているが、その数は限定されず、1本、2本又は4本以上の任意の配管又はケーブルを使用することができる。発泡体15の材質は、第一実施形態における発泡体5と同様であり、熱膨張性黒鉛を含む耐火樹脂組成物からなる。これにより、火災発生時に燃焼により焼失した部分を発泡体15の膨張成分によって埋めることができる。また、発泡体15には、接触部151が形成されている。接触部151は、後述するように、環状に変形させる前の発泡体15の両端を互いに接触させた部分である。
 
【0037】
  続いて、第二実施形態に係る貫通部の耐火構造の施工方法について説明する。まず、第一実施形態と同様、
図2(a)に示すように、断面形状が略円形の貫通孔2を壁1に形成し、
図2(b)に示すように、貫通孔2の内壁に耐火性スリーブ3を設け、耐火性スリーブ3内に配管又はケーブル4を挿通する。
 
【0038】
  続いて、熱膨張性黒鉛を含む耐火樹脂組成物からなる発泡体15を準備する。
図8(a)〜(d)はそれぞれ、発泡体15の斜視図、平面図、正面図、及び側面図である。発泡体15は、平面視矩形の板状に成形されている。発泡体15の幅Wは、特に限定されないが、
図7(b)に示す壁1の厚さL
1に略等しいことが好ましい。発泡体15の厚みT
2及び長さL
3も、特に限定されないが、後述するように発泡体15を環状に変形させた場合に、発泡体15の直径が
図1(b)に示す耐火性スリーブ3の内径R
1に略等しくなるような寸法であることが好ましい。
 
【0039】
  続いて、
図9(a)に示すように、発泡体15の上面に3本の配管又はケーブル4を配置する。
 
【0040】
  続いて、
図9(b)に示すように、発泡体15が環状となるように発泡体15の両端15aを互いに接触させて、前記配管又はケーブルの外周を前記発泡体によって包み込む。これにより、発泡体15によって配管又はケーブル4の外周がほぼ完全に包囲される(包囲工程)。なお、発泡体15の両端15aが互いに接触した部分が接触部151となる。
 
【0041】
  なお、発泡体15の両端15aを互いに接触させる必要はなく、
図9(c)のように、発泡体15の両端15aを互いに接近させてもよい。すなわち、発泡体15の両端15aは多少離間してもよく、発泡体15を完全な環に変形する必要はない。
 
【0042】
  続いて、
図10(a)に示すように、配管又はケーブル4を包囲した発泡体15を貫通孔2内(本実施形態では耐火性スリーブ3内)に移動させる(移動工程)。これにより、
図7に示すように、貫通孔2の内部において、配管又はケーブル4の外周を発泡体15によって包囲することができる。
 
【0043】
  このように、本実施形態では、単一の平面視板状の発泡体15によって配管又はケーブル4を包み込み、発泡体15を貫通孔2内に移動させるだけで、貫通部を配管又はケーブル4および発泡体15で密に充填することができる。よって、一度の作業で容易に耐火構造を施工することができる。
 
【0044】
  なお、上記の第二の実施形態は以下のように変更可能である。
・第一実施形態と同様、発泡体15を移動させる際に、発泡体15を配管又はケーブル4に対してスライドさせてもよいし、配管又はケーブル4を発泡体15とともに移動させてもよい。また、
図9(b)に示すように、発泡体15の両端15aが離間した状態のまま、配管又はケーブル4を包囲した発泡体15を移動させてもよい。
・あらかじめ耐火性スリーブ3内に配管又はケーブル4を挿通させず、
図10(b)に示すように、発泡体15を貫通孔2に移動させる際に、配管又はケーブル4を耐火性スリーブ3内に挿通してもよい。
・第一実施形態と同様、発泡体15の50%圧縮硬さは4.4kPa〜12.7kPaであることが好ましい。この場合、環状に変形された発泡体15の断面の直径が、貫通孔2又は耐火性スリーブ3の内径より多少大きくても、発泡体15を貫通孔2又は耐火性スリーブ3に容易に押し込むことができる。また、発泡体15の引張強さは50kPa〜180kPaであることが好ましい。これにより、発泡体15を環状に変形させた場合に、発泡体15の破損を防止することができる。
・本実施形態では、環状に変形させる前の発泡体15の正面視の形状が、長方形状であったが、これに限定されず、例えば
図10に示すように、台形状であってもよい。この場合、台形の短い方の底辺(
図10では上低)が環の内周となるように発泡体15を変形させることにより、発泡体15にかかる引張応力を低減させることができ、発泡体15の破損を防止することができる。
・
図12に示すように、耐火性スリーブ3内に移動させた後の発泡体15は、両端15aが接触していなくてもよい。この場合、配管又はケーブル4の外周の一部は発泡体15によって包囲されず、多少の隙間が生じるが、火災発生時に燃焼により焼失した部分を発泡体15の膨張成分によって埋めることができる程度の隙間であれば、耐火構造上問題はない。
・本実施形態においても、発泡体15の外面に接着層を設けてもよい。これにより、発泡体15が貫通孔2又は耐火性スリーブ3の外にはみ出すことを確実に防止することができる。
 
【0045】
  以上、本発明の第一及び第二実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。