特許第6875491号(P6875491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6875491活性化ペクチン含有バイオマス組成物、製品および製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875491
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】活性化ペクチン含有バイオマス組成物、製品および製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08B 37/06 20060101AFI20210517BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20210517BHJP
   A61L 15/28 20060101ALI20210517BHJP
   A61K 47/36 20060101ALN20210517BHJP
【FI】
   C08B37/06
   A23L33/105
   A61L15/28 100
   !A61K47/36
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2019-208255(P2019-208255)
(22)【出願日】2019年11月18日
(62)【分割の表示】特願2019-543295(P2019-543295)の分割
【原出願日】2018年2月14日
(65)【公開番号】特開2020-41152(P2020-41152A)
(43)【公開日】2020年3月19日
【審査請求日】2021年2月12日
(31)【優先権主張番号】62/459,136
(32)【優先日】2017年2月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/617,860
(32)【優先日】2018年1月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/892,639
(32)【優先日】2018年2月9日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507323868
【氏名又は名称】シーピー ケルコ エイピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャン アーエ スタウンストラップ
(72)【発明者】
【氏名】イェンツ エスキル トルドセ
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド エフ ヒスコック
(72)【発明者】
【氏名】カルステン クリット
(72)【発明者】
【氏名】トミー エウィ ペデルセン
【審査官】 佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−057378(JP,A)
【文献】 国際公開第01/038400(WO,A1)
【文献】 特開平03−197502(JP,A)
【文献】 特表2014−516108(JP,A)
【文献】 特表2002−533533(JP,A)
【文献】 特開昭63−089501(JP,A)
【文献】 特開昭61−089204(JP,A)
【文献】 特開平03−149201(JP,A)
【文献】 ANTONIO G SOUSA,THE IMPACT OF RHAMNOGALACTURONAN-I SIDE CHAIN MONOSACCHARIDES ON THE RHEOLOGICAL 以下備考,FOOD HYDROCOLLOIDS,NL,2015年 1月30日,VOL:47,,PAGE(S):130 - 139,PROPERTIES OF CITRUS PECTIN,URL,http://dx.doi.org/10.1016/j.foodhyd.2015.01.013
【文献】 CHAN SIEW YIN,PECTIN AS A RHEOLOGY MODIFIER: ORIGIN, STRUCTURE, COMMERCIAL PRODUCTION AND RHEOLOGY,CARBOHYDRATE POLYMERS,英国,APPLIED SCIENCE PUBLISHERS, LTD,2016年12月24日,VOL:161,,PAGE(S):118 - 139,URL,http://dx.doi.org/10.1016/j.carbpol.2016.12.033
【文献】 SAKAI T,PECTIN, PECTINASE, AND PROTOPECTINASE: PRODUCTION, PROPERTIES AND APPLICATIONS,ADVANCES IN APPLIED MICROBIOLOGY,米国,1993年,VOL:39,,PAGE(S):213 - 294,URL,https://doi.org/10.1016/S0065-2164(08)70597-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B 37/06
A23L 33/105
A61L 15/28
A61K 47/36
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柑橘類から得られた活性化ペクチン含有バイオマス組成物であって、
セルロース材料を含む不溶性繊維成分;および
易溶性ペクチンを含む可溶性ペクチン成分;を含み、
前記活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、2以上のコイルオーバーラップパラメーターを有する、活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【請求項2】
前記不溶性繊維成分および前記可溶性ペクチン成分が、液体が前記易溶性ペクチンにアクセス可能とする開いた構造を形成する、請求項1に記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【請求項3】
前記活性化ペクチン含有バイオマス組成物が、8〜55重量%の不溶性繊維成分と、2〜45重量%の可溶性ペクチン成分とを含む、請求項1または2に記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【請求項4】
前記可溶性ペクチン成分のエステル化度が、60パーセント以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【請求項5】
前記コイルオーバーラップパラメーターが、2.3以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【請求項6】
前記コイルオーバーラップパラメーターが、2.5以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【請求項7】
前記活性化ペクチン含有バイオマス組成物が、ブルックフィールド粘度計を使用して温度25℃およびpH4.0の水溶液中で測定したとき、150mPa・s〜3500mPa・sの見かけ粘度、14g/g〜27g/gの水結合能力、前記活性化ペクチン含有バイオマス組成物の20重量%〜45重量%の量で存在する前記可溶性ペクチン成分、および2.5〜5.5のpHの群のうちの1つ以上の特性を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【請求項8】
活性化ペクチン含有バイオマス組成物であって、
セルロース材料を含む不溶性繊維成分;および
易溶性ペクチンを含む可溶性ペクチン成分;を含み、
前記活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、(i)リンゴ、キクイモまたはビートから選択される出発ペクチン含有バイオマス材料から得られ、(ii)0.5〜2.0の範囲内のコイルオーバーラップパラメーターを有し、かつ、(iii)前記出発ペクチン含有バイオマス材料のコイルオーバーラップパラメーターよりも少なくとも300%大きいコイルオーバーラップパラメーターを有する、活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【請求項9】
食品成分である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【請求項10】
ペクチン抽出のための出発材料として使用される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の前記活性化ペクチン含有バイオマス組成物を含む、製品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
食物繊維または繊維食料は、植物に由来する食物の消化しにくい部分である。食物繊維
を多く含む食物を摂取すると、食欲が減ることがわかっている。食物繊維は、可溶性繊維
と不溶性繊維で構成されている。水に溶ける可溶性繊維は、結腸で容易に発酵してガスと
生理活性副産物になり、プレバイオティクスで粘性があることがある。水に溶けない不溶
性繊維は、代謝的に不活性であり、バルキングをもたらす、またはプレバイオティクスで
あり、大腸で代謝的に発酵することができる。
【0002】
食物繊維は、胃腸管の内容物の性質を変えることにより、および他の栄養素および化学
物質が吸収される方法を変えることにより作用することができる。あるタイプの可溶性繊
維は、水を吸収して、ゼラチン状の粘性物質となり、これは消化管内の細菌によって発酵
する。あるタイプの不溶性繊維は、バルキング作用があり、発酵しない。主要な食物不溶
性繊維源であるリグニンは、可溶性繊維の割合と代謝を変え得る。他のタイプの不溶性繊
維、特に難消化性デンプンは、完全に発酵する。
【0003】
化学的に、食物繊維は、アラビノキシランなどの非デンプン多糖類、セルロースならび
に難消化性デンプン、難消化性デキストリン、イヌリン、リグニン、ワックス、キチン、
ペクチン、ベータグルカンおよびオリゴ糖などの多くの他の植物成分からなる。米国農務
省では、機能性繊維を食事に含まれる可能性のある分離した繊維源として含めるという新
しい見解が採用された。多くのタイプのいわゆる食物繊維は実際には繊維状ではないため
、用語「繊維」は、間違った呼び名である。
【0004】
食物繊維の食物源は、それらが主に可溶性繊維を提供するか不溶性繊維を提供するかに
よってしばしば分けられる。植物性食品には、植物の特性に応じて、両方のタイプの繊維
がさまざまな程度で含まれている。
【0005】
繊維を摂取する利点は、可溶性繊維の発酵中の健康的な化合物の生産、および嵩高さを
増大させ、便を柔らかくし、腸管を通る通過時間を短縮する不溶性繊維の能力(受動吸湿
特性による)である。
【0006】
多くの場合、食物繊維組成物は、増粘、吸水、増量、乳化、さらにはゲル化特性を含む
機能特性のために、食品または消費者製品産業で使用されている。機能性食物繊維の添加
は、食感の利点、栄養の利点を提供し、場合によっては、消費者にやさしくない選択肢を
よりシンプルなラベルに置き換える。
【0007】
一部の植物は、可溶性繊維成分としてペクチンを含む。ペクチンは、食品、飲料、パー
ソナルケア製品、医薬品および洗剤などの多くの用途でコロイドとして有用な多糖類であ
る。典型的には、ペクチンは、ペクチン含有バイオマス材料から抽出によって、その水溶
性形態で商業的に回収される。
【0008】
残念ながら、ペクチン抽出プロセスはしばしば過酷であり、固有粘度として測定される
ペクチンの品質の低下をもたらす。固有粘度が高いことは、抽出されたペクチンが原料中
の元の状態に近く、したがって抽出プロセス中に劣化していないことを示すため、固有粘
度が高いペクチンは、しばしば望ましい。コスト最適化の観点から、植物から得られるペ
クチンの最大量を抽出するように抽出プロセスを設計する必要があるが、ペクチンの品質
と引き換えにペクチンの収量は、しばしば制限される。さらに、ペクチンは水と結合する
傾向があるため、植物の処理も困難である。
【0009】
したがって、容易に処理することができ、高品質特性を有する可溶性繊維成分および不
溶性繊維成分の両方を保持することができる、ペクチン含有植物からの食物繊維を提供す
る必要性が残っている。
【発明の概要】
【0010】
本開示の目的は、出発ペクチン含有バイオマス材料から活性化ペクチン含有バイオマス
組成物を製造する方法、活性化ペクチン含有バイオマス組成物およびそのような活性化ペ
クチン含有バイオマス組成物を含む製品を提供することである。これは、独立請求項で規
定されている特徴によって達成され得る。さらなる機能強化は、従属項によって特徴付け
られる。驚くべきことに、不溶性プロトペクチンおよび不溶性繊維(例えば、柑橘類の皮
からのセルロース繊維)を含む出発ペクチン含有バイオマス材料は、特定の条件下でアル
コールおよび酸を含む活性化溶液で処理して、非層流下で一定量の機械的エネルギーにさ
らし、その不溶性プロトペクチンをin situで可溶性ペクチンに変換し、セルロー
ス繊維の一部をフィブリルに部分的にフィブリル化できることがわかった。その結果、可
溶性ペクチン成分と不溶性繊維成分とを含む活性化ペクチン含有バイオマス組成物が得ら
れ、これらは相互作用し、開いた網目を形成し、向上した見かけ粘度と水結合特性とを有
し、可溶性ペクチンと不溶性繊維の比率が高い最終組成物を提供する。さらに、この処理
によって可溶性ペクチン成分は、水、すなわち冷水に可溶になり、熱を加えることなく抽
出できるため、ペクチン含有バイオマス材料からペクチンを抽出する従来の方法に関連す
るいくつかの欠点を克服し得る。
【0011】
柑橘類の皮が出発ペクチン含有バイオマス材料であり、得られる活性化ペクチン含有バ
イオマス組成物が約2以上のコイルオーバーラップパラメーターを有する方法などの、活
性化ペクチン含有バイオマス組成物の製造方法が提供される。その方法は、(A)不溶性
繊維成分と不溶性プロトペクチン成分とを含む出発ペクチン含有バイオマス材料をアルコ
ールの水溶液と混合して混合物を形成すること;(B)出発ペクチン含有バイオマス材料
を(i)酸をその混合物に添加して、混合物のpHを約0.5〜約2.5の範囲内に調節
することによって形成された活性化溶液にかけることと、(ii)約40℃より高い温度
に加熱することによって、出発ペクチン含有バイオマス材料を活性化して、不溶性繊維成
分および可溶性ペクチン成分を含む活性化ペクチン含有バイオマス材料を形成すること;
および(C)機械的エネルギーを、(i)ステップ(A)の混合物に、(ii)ステップ
(B)の活性化中に、または(iii)ステップ(A)の混合物に、かつ、ステップ(B
)の活性化中に、適用すること;および(D)その混合物から活性化ペクチン含有バイオ
マス材料を分離することを含み、その方法の間、混合物中に存在するアルコールは、混合
物の総重量に基づいて約40重量パーセント以上である。
【0012】
セルロース材料の不溶性繊維成分と可溶性ペクチン成分とを含む活性化ペクチン含有バ
イオマス組成物も提供される。出発ペクチン含有バイオマス材料として柑橘類から製造さ
れる場合、活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、約2以上のコイルオーバーラップパ
ラメーターを有する。
【0013】
添付の図面は、本開示の現在の例示的な実施形態を示しており、例として、本開示の原
理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の例示的な実施形態による、エネルギー表1からプロットされたデータを有するグラフの概略図である。
図2図2は、本開示の例示的な実施形態による、エネルギー表2からプロットされたデータを有するグラフの概略図である。
【発明の詳細な説明】
【0015】
本明細書に記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、不溶性繊維成分および可溶
性ペクチン成分を含む。活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、出発ペクチン含有バイ
オマス材料から誘導され、その材料は、(i)活性化のために活性化溶液と組み合わされ
、約40℃より高い熱にかけられ、および(ii)それに機械的エネルギーが、活性化前
、活性化中、またはその両方の場合に適用され;方法の初めから終わりまで、アルコール
は、混合物の総パーセントに基づいて約40重量パーセント以上で混合物中に存在する。
これは、活性化および機械的エネルギーにかけられない出発ペクチン含有バイオマス材料
から誘導されたペクチン含有バイオマス組成物と比べて、向上した処理および機能性をも
たらす。
【0016】
出発ペクチン含有バイオマス材料中のペクチンの多くは、機能するように加水分解され
なければならないプロトペクチンの形態(すなわち、利用できない非常に高いエステル化
度(DE)を有する不溶性ペクチン)である。出発ペクチン含有バイオマス材料を、アル
コールと酸とを含む活性化溶液と混合すること、および熱を加えること(すなわち、活性
化することまたは活性化)によって、プロペクチンは、得られるペクチンを分解または抽
出することなく加水分解することができ、したがって、従来の方法を使用して得られるも
のよりも有意に多くの可溶性ペクチンを有する活性化ペクチン含有バイオマス組成物をも
たらす。さらに、活性化溶液との接触前もしくは接触の間または両方の場合に、出発ペク
チン含有バイオマス材料に機械的エネルギーを適用することによって、有利には、より多
量のプロトペクチンを加水分解でき、したがって、より多量の水溶性ペクチンの形成をも
たらすことが見出された。ペクチン含有バイオマス組成物は、より高い固有粘度およびよ
り高いペクチン収率などの向上した機能性を有する可溶性ペクチン成分と、より高い水結
合能力などの向上した機能性を有する不溶性繊維成分とを含む。
【0017】
・活性化ペクチン含有バイオマス組成物
活性化ペクチン含有バイオマス組成物の特性は、活性化ペクチン含有バイオマス組成物
中のペクチンの品質および量を評価する手段である、その組成物のコイルオーバーラップ
パラメーターによって特徴付けられ得る。すなわち、コイルオーバーラップパラメーター
は、活性化ペクチン含有バイオマス組成物の機能性を示すために使用され得る。本明細書
で使用する場合、コイルオーバーラップパラメーターは、以下の式によって決定される:
コイルオーバーラップパラメーター=IVペクチン×ペクチン回収率
式中、IVペクチンは、活性化ペクチン含有バイオマス組成物から抽出されたペクチンの
固有粘度であり、ペクチン回収率は、活性化ペクチン含有バイオマス組成物から抽出され
たペクチンの量を活性化ペクチン含有バイオマス組成物の総量で割ったものである。した
がって、コイルオーバーラップパラメーターの単位は、dl/gである。ペクチンの固有
粘度およびペクチン回収率は、それぞれ、例えば、本明細書に記載の方法などの任意の適
切な方法を使用して測定することができる。
【0018】
活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、特に出発ペクチン含有バイオマス材料として
柑橘類を使用する場合、約2以上のコイルオーバーラップパラメーターを有することがで
きる。活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、約2〜約4.5のコイルオーバーラップ
パラメーターを有することができる。活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、約2.5
〜約4.5のコイルオーバーラップパラメーターを有することができる。活性化ペクチン
含有バイオマス組成物は、約3.5〜約4.5のコイルオーバーラップパラメーターを有
することができる。活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、約4.0〜約4.5のコイ
ルオーバーラップパラメーターを有することができる。さらに、活性化ペクチン含有バイ
オマス組成物は、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.
8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、
3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6または4.7のコイ
ルオーバーラップパラメーター値を有し得る。本開示の活性化ペクチン含有バイオマス組
成物は、これらの列挙されたコイルオーバーラップパラメーター値のいずれかの間のコイ
ルオーバーラップパラメーター値を有し得る。
【0019】
活性化ペクチン含有バイオマス組成物が、リンゴ、キクイモまたはビートなどの他のペ
クチン含有材料から誘導される場合、コイルオーバーラップパラメーターは、可溶性ペク
チンへの変換に利用可能な天然プロトペクチンの量に応じて変化する。リンゴ、キクイモ
またはビートから選択される出発ペクチンバイオマス材料を使用する場合、活性化ペクチ
ン含有バイオマス組成物は、約0.5〜約2.0の範囲内のコイルオーバーラップパラメ
ーターを有することができる。さらに、活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、出発ペ
クチン含有バイオマス材料よりも少なくとも約300パーセント大きいコイルオーバーラ
ップパラメーターを有し得る。
【0020】
活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、本明細書のプロトコル2に開示されているよ
うに、特に出発ペクチン含有バイオマス材料として柑橘類を使用する場合、ブルックフィ
ールド粘度計を使用して温度25℃およびpH4.0の水溶液中で測定したときに、約1
50mPa・s〜約3500mPa・sの見かけ粘度を有し得る。見かけ粘度は、約25
0mPa・s〜約3100mPa・s、約350mPa・s〜約3100mPa・s、約
500mPa・s〜約3100mPa・s、約600mPa・s〜約3100mPa・s
、約800mPa・s〜約3100mPa・s、約1000mPa・s〜約3100mP
a・s、約1200mPa・s〜約3100mPa・s、約1500mPa・s〜約31
00mPa・s、約2000mPa・s〜約3100mPa・sおよび約2500mPa
・s〜約3100mPa・sであり得る。本開示の活性化ペクチン含有バイオマス組成物
はまた、これらの列挙された粘度値のいずれかの間の見かけの粘度を有し得る。
【0021】
活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、約14g/g〜約27g/gの水結合能力を
有し得る。活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、約18g/g〜約27g/gの水結
合能力を有し得る。活性化ペクチン含有組成物の水結合能力は、約20g/g〜約27g
/gであり得る。
【0022】
活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、少なくとも約2.5のpHを有し得る。例え
ば、活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、約2.5〜約5.5、約2.6〜約5.0
、約2.7〜約4.5または約3.5〜4.5のpHを有し得る。
【0023】
出発ペクチン含有バイオマス材料を活性化して活性化ペクチン含有バイオマス組成物と
することにより、プロトペクチンはin situでペクチンのその易溶性形態に変換す
ることができる。以下に説明する方法では、出発ペクチン含有バイオマス材料に存在する
天然のペクチン質は除去されない。いくつかの変形形態では、活性化ステップ中に、混合
物の出発ペクチン含有バイオマス材料からペクチンが実質的に抽出されない。本明細書で
使用される「ペクチンが実質的に抽出されない」とは、活性化ステップ中に出発ペクチン
含有バイオマス材料中のペクチンの1%未満が除去されることを意味する。理論に束縛さ
れることを望まないが、活性化ステップでのアルコールの使用が、ペクチンが出発ペクチ
ン含有バイオマス材料から浸出するのを防ぎ、それにより、より多くの量のペクチンを回
収できる、すなわち、ペクチン収量を向上すると考えられている。これが、活性化ペクチ
ン含有バイオマス組成物をもたらし、この組成物は、機能性が高いだけでなく、自然に近
く、最小限の加工製品をもたらす。
【0024】
ペクチン成分は、活性化ペクチン含有バイオマス組成物中に、活性化ペクチン含有バイ
オマス組成物の約20重量%〜約45%重量の量で存在し得る。ペクチン成分は、活性化
ペクチン含有バイオマス組成物の約30重量%〜約45重量%の量で存在し得る。ペクチ
ンは、活性化ペクチン含有バイオマス組成物の約40重量%〜約45重量%の量で存在し
得る。ペクチン成分は、活性化ペクチン含有バイオマス組成物の約20重量%、約25重
量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%または約45重量%の量で存在し得る
。さらに、ペクチン成分はまた、本開示の活性化ペクチン含有バイオマス組成物中に、こ
れらの列挙された値のいずれかの間の範囲の量で存在し得る。
【0025】
活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、プロトコル4で測定されるように、活性化ペ
クチン含有バイオマス組成物の約30重量%未満の残留糖含量を有する。以下でさらに説
明するように、アルコール洗浄された出発ペクチン含有バイオマス材料を使用すると、糖
が洗い流され、したがって、活性化ペクチン含有バイオマス材料中のペクチン成分の量お
よび品質が向上する。残留糖含量は、活性化ペクチン含有バイオマス組成物の約3重量%
〜約30重量%であり得る。残留糖含量は、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、
約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約1
6%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約21%、約22%、約2
3%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%または約30%で
あり得る。さらに、本開示の活性化ペクチン含有バイオマス組成物はまた、これらの列挙
された残留糖含量値のいずれかの間の残留糖含量値を有し得る。
【0026】
活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、乾燥粒子形態に乾燥させることができる。こ
の乾燥粒子形態は、粉砕することができ、これにより、活性化ペクチン含有バイオマス組
成物は、取り扱い(例えば食品への添加)に適した粉末形態に変わる。
【0027】
活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、乾燥されなくてもよいが、混合物に溶解せず
に存在し、そこでは材料が活性化されている。活性化ペクチン含有バイオマス組成物中の
ペクチンが抽出されるべきであるとき、そのようなものは必ずではないが、通常利用され
るだろう。そのような抽出は、活性化ペクチン含有バイオマス組成物からアルコールおよ
び多少の水を分離することにより行うことができる。分離されたアルコールは、活性化ペ
クチン含有バイオマス組成物のその後の製造に再利用してもよい。あるいは、活性化ペク
チン含有バイオマス組成物からアルコールおよび多少の水を分離することなく、活性化ペ
クチン含有バイオマス組成物を抽出してもよい。
【0028】
・方法
1つ以上の例示的な実施形態において、方法は、上述のような様々な特徴を有する活性
化ペクチン含有バイオマス組成物を製造する。この方法の1つの技術的効果は、得られた
活性化ペクチン含有バイオマス組成物が、繊維質の開いた網目構造を有する不溶性繊維成
分と、高品質および高含有量のin situのペクチン成分とを有することである。こ
の方法は、出発ペクチン含有バイオマス材料から活性化ペクチン含有バイオマス組成物を
生成する。この方法は、以下のステップを含む:A)不溶性繊維成分と不溶性プロトペク
チン成分を含む出発ペクチン含有バイオマス材料をアルコールの水溶液と混合して混合物
を形成すること;(B)出発ペクチン含有バイオマス材料を(i)酸をその混合物に添加
して、混合物のpHを約0.5〜約2.5の範囲内に調節することによって形成された活
性化溶液にかけることと、(ii)約40℃より高い温度に加熱することによって、出発
ペクチン含有バイオマス材料を活性化して、不溶性繊維成分および可溶性ペクチン成分を
含む活性化ペクチン含有バイオマス材料を形成すること;および(C)機械的エネルギー
を、(i)ステップ(A)の混合物に、(ii)ステップ(B)の活性化中に、または(
iii)ステップ(A)の混合物に、かつ、ステップ(B)の活性化中に、適用すること
;および(D)その混合物から活性化ペクチン含有バイオマス組成物を分離すること;そ
の方法の間、混合物中に存在するアルコールは、混合物の総重量に基づいて約40重量パ
ーセント以上である。
【0029】
出発ペクチン含有バイオマス材料は、不溶性繊維成分と不溶性プロトペクチン(すなわ
ち、不溶性形態のペクチン)とを含む非活性化ペクチン含有バイオマス材料である。ペク
チン含有バイオマス材料の非限定的な例には、柑橘類および/またはその皮(オレンジ、
レモン、ライム、グレープフルーツ、ザボン、オロブランコ、タンジェリンなど)、リン
ゴポマース、ブドウポマース、梨ポマース、マルメロポマース、飼料用ビート、テンサイ
、糖抽出からのテンサイ残渣、油抽出からのヒマワリ残渣、デンプン製造からのジャガイ
モ残渣、キクイモ、パイナップルの皮と芯、チコリ根および他のペクチン含有バイオマス
材料が挙げられる。不溶性繊維成分は、通常、例えば、ヘミセルロースおよびセルロース
などの、セルロース系繊維を主に含む。
【0030】
出発ペクチン含有バイオマス材料は、水洗した材料の製造に使用される従来の方法によ
って、水との接触および洗浄(「水洗」)によって使用のために洗浄および調製し得る。
この方法では、例えば、新鮮な柑橘類の皮をカットし、それを2〜3倍の水で洗うことを
含む。この操作は、1〜4回実行し、その後、得られた水洗した皮を機械的にプレスして
もよい。
【0031】
出発ペクチン含有バイオマス材料は、アルコールとの接触および洗浄(「アルコール洗
浄」)によって使用のために洗浄および調製し得る。アルコール洗浄した出発ペクチン含
有バイオマス材料は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,323,513
号に記載されているプロセスの全部または一部を使用して調製することができる。出発ペ
クチン含有バイオマス材料に存在するプロトペクチンが水と結合することができ、それに
より水の除去が困難になると考えられている。出発ペクチン含有バイオマス材料をアルコ
ールで処理(すなわち、洗浄)すると、プロトペクチンにin situでその水分結合
能力を失わせ、その結果、プロトペクチンを含まない出発ペクチン含有バイオマス材料か
ら水が浸出するため、最終的にペクチン収量の増加をもたらすことが見出された。
【0032】
適切なアルコールの非限定的な例には、エタノール、イソプロパノール、メタノールお
よびそれらの組み合わせが含まれる。アルコールは、湿潤組成物の約40重量%〜約85
重量%または湿潤組成物の少なくとも約70重量%の量で湿潤組成物中に存在し得る。湿
潤組成物は、アルコールに加えて水を含んでもよく、水は、アルコールに加えて湿潤組成
物のすべてのまたは実質的な残りを構成してもよい。
【0033】
出発ペクチン含有バイオマス材料がアルコール洗浄される場合、各洗浄の後、出発ペク
チン含有バイオマス材料は、アルコール含有湿潤組成物の少なくとも一部から機械的に分
離され、アルコール洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料を形成し得る。機械的分離
は、湿潤出発ペクチン含有バイオマス材料をプレスすることにより行ってもよく、これは
、一軸スクリュープレスタイプなどの任意の適切なプレス装置によって、または手動で行
ってもよい。プレス中の圧力は、約0.5バール〜約8バールまたは約2バール〜約4バ
ールの範囲であってもよく、プレスの持続時間は、約1分〜約25分、または約10分〜
約25分、または約15分〜約25分でもよい。
【0034】
出発ペクチン含有バイオマス材料は、1回だけアルコール洗浄を行い、その後、機械的
分離によって、アルコール洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料を形成してもよい。
出発ペクチン含有バイオマス材料は、2回以上のアルコール洗浄および対応する機械的分
離を行い、アルコール洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料を形成してもよい。出発
ペクチン含有バイオマス材料は、第1のアルコール洗浄および対応する機械的分離を行い
、その後、第2のアルコール洗浄および対応する機械的分離を行い、アルコール洗浄した
出発ペクチン含有バイオマス材料を形成し得る。
【0035】
出発ペクチン含有バイオマス材料は、任意に熱への暴露により乾燥させて、乾燥した出
発ペクチン含有バイオマス材料を形成してもよい。
【0036】
ステップA)において、水洗またはアルコール洗浄または湿潤または乾燥のいずれの出
発ペクチン含有バイオマス材料でも、アルコールの水溶液と混合して混合物を形成するこ
とができ、その混合物中に存在するアルコールは、混合物の総重量に基づいて約40重量
パーセント以上である。ステップA)において、アルコールは、混合物中に約40重量パ
ーセント〜約60重量パーセントのアルコールの量で存在し得る。添加または希釈される
アルコールの量は、水洗した出発ペクチン含有バイオマス材料に存在する水の量と、アル
コール洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料に存在するアルコールおよび水の量に応
じて、当業者によって計算され得る。
【0037】
ステップB)における活性化の前に、出発ペクチン含有バイオマス材料は、不溶性繊維
成分および不溶性プロトペクチン成分を含む。出発ペクチン含有バイオマス材料が活性化
溶液と接触すると、プロトペクチンはin situで加水分解して出発ペクチン含有バ
イオマス材料中に水溶性ペクチンを生成し、それにより不溶性繊維成分と可溶性ペクチン
成分とを含む活性化ペクチン含有バイオマス組成物をもたらす。プロトペクチンは酸の作
用により水溶性ペクチンに変換し、そしてアルコールにより、出発ペクチン含有バイオマ
ス材料から浸出することなくそうすると考えられている。その結果、ペクチン収量が向上
し得る。
【0038】
アルコールと酸とを含む活性化溶液は、ステップA)の混合物に酸を添加して、混合物
のpHを約0.5〜約2.5の範囲内に調節することにより形成することができる。した
がって、活性化溶液は、約0.5〜約2.5または約1.0〜約2.0のpHを有し得る
。適切なアルコールの非限定的な例には、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノ
ールおよびそれらの組み合わせが含まれる。適切な酸の非限定的な例には、硝酸、クエン
酸、シュウ酸、塩酸、硫酸、リン酸およびそれらの組み合わせなどの有機酸および無機酸
が含まれる。約0.5〜約2.5の範囲の混合物のpHを提供するために、アルコールは
、エタノールなどの約40%〜約80%のアルコールの溶液であってもよく、酸は、約1
0%〜約65%の硝酸の溶液であってもよい。安全上の理由から、硝酸の10%溶液が好
ましい。
【0039】
出発ペクチン含有バイオマス材料が活性化溶液と接触する期間は、使用されるアルコー
ルおよび酸の種類、混合物が加熱される温度、ならびに機械的エネルギーがステップBで
適用されか否か、そして、適用される機械的エネルギーの強度に少なくとも部分的に依存
して変化する。例えば、出発ペクチン含有バイオマス材料は、少なくとも約5分〜約2時
間の期間、活性化溶液と接触させ得る。出発ペクチン含有バイオマス材料は、約15分〜
約1時間の期間、活性化溶液と接触させ得る。さらに、ステップB)は、5分、10分、
15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分または1時
間、1.1時間、1.2時間、1.25時間、1.3時間、1.4時間、1.5時間、1
.6時間、1.7時間、1.75時間、1.8時間、1.9時間および2時間の期間、行
ってもよい。混合物は、これらの記載された値のいずれかの間の期間加熱し得る。
【0040】
活性化ステップB)は、出発ペクチン含有バイオマス材料と活性化溶液との混合物を約
40℃より高い温度に加熱することを含む。混合物は、約40℃〜約90℃の温度に加熱
することができる。混合物は、約60℃〜約75℃の温度に加熱することができる。混合
物は、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約7
5℃、約80℃、約85℃および約90℃のいずれかの温度に加熱でき、または混合物は
、これらの記載された値のいずれかの間の温度に加熱できる。
【0041】
方法におけるその使用を通じて混合物は、ステップC)で機械的エネルギーを適用する
ために使用される後続の機械的装置に従って制限される出発ペクチン含有バイオマス材料
の濃度を有する。より効果的な装置の場合、出発ペクチン含有バイオマス材料の濃度はよ
り高くなり得る。単純化するために、出発ペクチン含有バイオマス材料の濃度は、出発ペ
クチン含有バイオマス材料の乾燥分に基づいてもよい。出発ペクチン含有バイオマス材料
の濃度は、混合物の総重量に基づいて、約1重量パーセント〜約5重量パーセント、約2
重量パーセント〜約4重量パーセント、または約3重量パーセント〜約4重量パーセント
であり得る。
【0042】
本明細書に記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物を製造する方法は、ステップC
)として、その方法の特定の段階で機械的エネルギーを適用することをさらに含む。機械
的エネルギーは、ステップA)の混合物に適用することができ、これは、上記のように、
アルコール水溶液中のペクチン含有バイオマス材料である。機械的エネルギーは、ステッ
プB)の活性化中に適用することができ、これは、上記のように、出発ペクチン含有バイ
オマス材料を活性化溶液および熱にさらすこととして説明した。機械的エネルギーは、ス
テップAとステップB)の両方で適用し得る。本方法で機械的エネルギーを適用すると、
混合物が均質化され、出発ペクチン含有バイオマス材料の物理的構造が変化し、コイルオ
ーバーラップパラメーターが増大し、セルロースがミクロフィブリル化セルロースになる
ことを部分的に可能とする。本方法で適用される機械的エネルギーの量は、適用されるス
テップ、出発ペクチン含有バイオマス材料のタイプ、混合物において使用される出発ペク
チン含有バイオマス材料の量、混合物のpHおよび活性化ステップの温度に依存する。機
械的エネルギーの量はまた、出発ペクチン含有バイオマス材料の活性化を完了して活性化
ペクチン含有バイオマス材料を形成するのに必要な時間に影響を及ぼし得る。
【0043】
機械的エネルギーを適用するための装置は、ポンプ、精製機、押出機、ローブポンプお
よび/または遠心ポンプであり得る。混合物は、圧力容器(加熱された溶媒混合物を収容
可能)、還流容器、管形熱交換器などの熱交換器、およびシステム内のポンプを複数回通
過させることができる、加熱された混合物を再循環して容器に戻すためのポンプを含む、
閉ループシステムで循環し得る。流体がポンプまたはシステムを通過する際に、二軸伸長
応力などの機械的エネルギーを流体に及ぼすことができる任意のポンプを使用し得る。例
としては、回転ローブポンプ(例えば、アイオワ州シーダーフォールズのViking
Pump社;イリノイ州ロックフォードのJohnson Pump;およびアイオワ州
シーダーフォールズのWright Flow Technologies社から入手可
能);遠心ポンプおよび水力輸送ポンプ(例えば、オレゴン州クラカマスのCornel
l Pump Company;およびバージニア州リッチモンドのAlfa Lava
l社から入手可能)が含まれる。二軸伸長応力などの機械的エネルギーを与えるために単
独でまたは組み合わせて使用できる他の装置には、プレート精砕機、ディスク精砕機、コ
ニカル精砕機、ヒドラパルパー、押出機、摩擦グラインダーミル、ハンマーミルおよびボ
ールミルが含まれる。機械的エネルギーに影響を与えるために、蒸気爆発または圧力解放
も使用できる。本方法は、圧力容器に循環することなく連続的に設計し得る。
【0044】
ポンプは、回転ローブポンプ単独でもよいし、または別のタイプのポンプと組み合わせ
てもよい。ロータリーローブポンプは、容積式ポンプであり、シングルローブ、バイウィ
ング、トリローブまたはマルチローブの構成を有し得る。動作中、2つのローターが噛み
合い、反対方向に回転し、ローターとポンプのハウジングの間に空洞を形成する。混合物
は、空洞に入り、空洞を充填し、ローブとケーシングの間のポンプを通って移動する。ポ
ンプのローブの動きにより、混合物がポンプの排出側の出口ポートを通過し、混合物がポ
ンプから排出される。ポンプを通る混合物の動きは、混合物を機械的エネルギーにさらし
、セルロース繊維を少なくとも部分的にフィブリルに分解する。機械的エネルギーは、二
軸伸長応力を含み得る。ローブポンプは、熱交換器を通って混合物を連続的にポンプで送
り、一定時間タンクまたは圧力容器に戻すことができる。本方法は、タンクまたは圧力容
器に戻さずに連続的に設計し得る。
【0045】
閉ループシステムまたは連続プロセスを通じて循環する際に、ポンプ内および出発ペク
チン含有バイオマス材料内に乱流を引き起こすことができるポンプによる作用などにより
付与されるこの機械的エネルギーは、セルロース成分の構造を開き、プロセス中に検査す
ると、より「ふわふわした」または「綿のような」外観を呈するため、材料の物理的構造
を視覚的に変更する。乱流は流れの逆転をもたらし、したがって混合物中の出発ペクチン
含有バイオマス材料の伸長をもたらす。機械的エネルギーは、セルロース繊維の少なくと
も一部をフィブリルにフィブリル化し、表面積を増加させ、したがって活性化ステップの
有効性を増大させる。
【0046】
機械的エネルギーの適用は、混合物中の出発ペクチン含有バイオマス材料をその繊維状
構造に変換し、これは活性化溶液がプロトペクチンへより多くアクセス可能とする開いた
網目を作り、プロトペクチンがその繊維状構造内で可溶性ペクチンに変換される。一例で
は、冷水であっても、実質的にすべてのペクチンが容易に水溶性になる。ミクロフィブリ
ル化セルロースは、粒子状であることがあり、約1×10−6メートル〜約5000×1
−6メートル、約100×10−6メートル〜約3000×10−6メートル、約50
0×10−6メートル〜約3000×10−6メートルまたは約1000×10−6メー
トル〜3000×10−6メートルの範囲の特徴的な長さを有し得る。
【0047】
本明細書で使用される機械的エネルギーは、混合物中の乾燥分(DM)1キログラム当
たりのキロジュール(kJ)または混合物(すなわち、出発ペクチン含有バイオマス材料
を含むスラリー)1キログラム当たりのキロジュールで定義される。乾燥分1kg当たり
のエネルギー入力の特定は、前処理および活性化される混合物の総重量とは無関係である
。適用される機械的エネルギーの量は、乾燥分1kg当たり約800キロジュール以上、
または約800〜15,000kJ/乾燥分kgであり得る。混合物がかけられる機械的
エネルギーは、800kJ/kg、1,000kJ/kg、1,200kJ/kg、1,
400kJ/kg、1,600kJ/kg、1,800kJ/kg、2,000kJ/k
g、2,200kJ/kg、2,400kJ/kg、2,600kJ/kg、2,800
kJ/kg、3,000kJ/kg、3,200kJ/kg、3,400kJ/kg、3
,600kJ/kg、3,800kJ/kg、4,000kJ/kg、4,200kJ/
kg、4,400kJ/kg、4,600kJ/kg、4,800kJ/kg、5,00
0kJ/kg、5,200kJ/kg、5,400kJ/kg、5,600kJ/kg、
5,800kJ/kg、6,000kJ/kg、6,200kJ/kg、6,400kJ
/kg、6,800kJ/kg、7,000kJ/kg、7,200kJ/kg、7,4
00kJ/kg、7,600kJ/kg、7,800kJ/kg、8,000kJ/kg
、8,200kJ/kg、8,400kJ/kg、8,600kJ/kg、8,800k
J/kg、9,000kJ/kg、9,200kJ/kg、9,400kJ/kg、9,
600kJ/kg、9,800kJ/kg、10,000kJ/kg、10,200kJ
/kg、10,400kJ/kg、10,600kJ/kg、10,800kJ/kg、
11,000kJ/kg、11,200kJ/kg、11,400kJ/kg、11,6
00kJ/kg、11,800kJ/kg、12,000kJ/kg、12,200kJ
/kg、12,400kJ/kg、12,600kJ/kg、12,800kJ/kg、
13,000kJ/kg、13,200kJ/kg、13,400kJ/kg、13,6
00kJ/kg、13,800kJ/kg、14,000kJ/kg、14,200kJ
/kg、14,400kJ/kg、14,600kJ/kg、14,800kJ/kgも
しくは15,000kJ/kgのうちの少なくとも1つであってもよく、または混合物は
、約a〜約bの範囲の機械的エネルギーにかけてもよく、ここでaは、前述した機械的エ
ネルギー値のいずれか1つであり、bは、aより大きい、前述した機械的エネルギー値の
いずれか1つであり、例えば、1,400kJ/kg〜7,900kJ/kgもしくは1
,300kJ/kg〜14,400kJ/kgなどである。例えば、50Hzで2kWで
あり、10Hz(0.4kW)で50分間(3000秒)動作したポンプモーターを備え
たローブポンプ(APVタイプ、CL/1/021/10)で処理した30リットルの酸
性化水性アルコール中の1kgの材料(乾燥重量基準)の場合、サンプルに与えられたエ
ネルギーは、0.4kW×3000秒または1200キロジュール(乾燥分1kg当たり
)であった。混合物への機械的エネルギーは、混合物1キログラム当たり36キロジュー
ル以上、混合物1キログラム当たり40キロジュール以上または混合物1キログラム当た
り60キロジュール以上であり得る。
【0048】
乾燥分1キログラム当たりまたは混合物1キログラム当たりの機械的エネルギー入力は
、機械的装置に依存する。エネルギー入力は、周波数インバーターの使用、アンペアおよ
び電圧を考慮に入れて、ポンプのモーターサイズ、または使用される同様の装置に基づき
得る。例えば、10〜40Hzの範囲の周波数と0.4〜1.6kWの範囲の効果を有す
るローブポンプを使用する場合、そのローブポンプによって混合物を循環させると、80
0〜8600kJの機械的エネルギー入力に相当する。このようなローブポンプでは、ポ
ンプを通る通過の数は、20〜50回であり、これは800〜2400kJの機械的エネ
ルギー入力に相当する。この例示的な実施形態は、出発ペクチン含有バイオマス材料が柑
橘類の皮である場合に使用される。
【0049】
表1〜2ならびに図1〜2のコイルオーバーラップパラメーターの値のグラフおよび機
械的エネルギーは、前処理として以下に記載のステップA)および/または活性化として
以下に記載のステップB)に加えられたときの機械的エネルギーの効果の例である。これ
らの例では、以下の装置を使用してエネルギーを加えた:小型ローブポンプ(2kW);
大型ローブポンプ(5,5kW);ローブポンプ(2.2kW);遠心ポンプ(7.5k
W);ボストンシェアミル(11kW);押出機(8kW);および精砕機(8kW)。
例示的な量は、30kgの混合物中の1kgの乾燥分(DM)および約360kgの混合
物中の約20kgの乾燥分であった。前処理の前に出発ペクチン含有バイオマス材料をア
ルコールで希釈して、その材料をポンプ輸送可能にしてもよい。出発ペクチン含有バイオ
マス材料をアルコール洗浄する場合、ポンピングが使用される機器のタイプに問題がない
場合など、アルコールを添加せずに前処理を行い得る。アルコールによる希釈は、活性化
ステップでのみ可能である。出発ペクチン含有バイオマス材料が希釈されていない場合(
例えば、アルコール洗浄した柑橘類の皮を使用)、前処理に必要なエネルギー入力は少な
くなる。
【0050】
表1の機械的エネルギー特性を計算するために、以下の計算例を使用し得る:
1)ローブポンプは50Hzで2kWのモーターを有するが、10Hzでのみ動作し、
0.4kWの効果をもたらす。ローブポンプは、30分(1800秒)作動し、これは、
機械的エネルギーが0.4kW×1800秒=720kJであることを意味する。再循環
されるスラリーは1kgの乾燥分(DM)を含むため、その比エネルギーは、720kJ
/kg DMである。スラリーの総量は30kgである。10Hzで動作するポンプの流
量は860kg/時であるため、30分間でポンプを通過するスラリーの合計は430k
gである。そうすると、スラリーは、430kg/30kg=14.3通過となる。
2)ローブポンプは50Hzで2kWのモーターを有し、この周波数で動作する。ロー
ブポンプは60分(3600秒)作動し、これは、機械的エネルギーが2kW×3600
秒=7200kJであることを意味する。再循環されるスラリーは1kgの乾燥分(DM
)を含むため、その比エネルギーは、7200kJ/kg DMである。スラリーの総量
は30kgである。50Hzで動作するポンプの流量は4300kg/時であるため、6
0分間でポンプを通過するスラリーの合計は4300kgである。そうすると、スラリー
は、4300kg/30kg=143通過となる。
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】

【表2】
【0051】
表1〜2および図1〜2のデータを参照すると、入力された機械的エネルギーに対して
コイルオーバーラップパラメーターをプロットする場合、以下をグラフから取り得る。出
発ペクチン含有バイオマス材料(これらの例では柑橘類の皮)に加えられるエネルギーが
800kJ/kg DM以上または36kJ/kg混合物である場合、コイルオーバーラ
ップパラメーターは2以上である。機器、温度、pH、および機械的エネルギーの適用ポ
イントが変化すると、コイルオーバーラップパラメーターが影響を受ける。コイルオーバ
ーラップパラメーターが増加すると、活性化ペクチン含有バイオマス材料の機能性が増大
する。したがって、本方法は、約1200kJ/kg DM以上または約40kJ/kg
混合物の機械的エネルギーを使用する場合、コイルオーバーラップパラメーターが約2.
3以上の活性化ペクチン含有バイオマス材料を製造することができ、そして、約1900
kJ/kg DMまたは約60kJ/kg混合物の機械的エネルギーを使用する場合、コ
イルオーバーラップパラメーターが約2.5以上の活性化ペクチン含有バイオマス材料を
製造することができる。
【0052】
例えば、上記のサンプル1を参照すると、前処理の前にアルコールで希釈した。乾燥出
発ペクチン含有バイオマス材料(アルコール洗浄)の量=1kg(これは通常、2.5k
gの湿潤出発ペクチン含有バイオマスに関連する)。前処理での混合物の総重量=30k
g。前処理でのエネルギー入力=1386キロジュール(kJ)。活性化中のエネルギー
入力=1200kJ。総エネルギー入力は、前処理でのエネルギー入力+活性化中のエネ
ルギー入力=2586kJだった。総比エネルギー入力(乾燥分基準)=(総エネルギー
入力)/(乾燥出発ペクチン含有バイオマスの量)=2586kJ/1kg=2586k
J/kg DM。総比エネルギー入力(スラリーの総重量基準)=(総エネルギー入力)
/(スラリーの総重量)=2586kJ/30kg=86.2kJ/kg。
【0053】
例えば、サンプル40を参照すると、前処理の後にアルコールで希釈した。乾燥出発ペ
クチン含有バイオマス(アルコール洗浄)の量=1kg(これは通常、2.5kgの湿潤
出発ペクチン含有バイオマスに関連する)。混合物の総重量=30kg。前処理でのエネ
ルギー入力=196kJ。活性化中のエネルギー入力=12000kJ。総エネルギー入
力=前処理でのエネルギー入力+活性化中のエネルギー入力=12196kJ。総比エネ
ルギー入力(乾燥分基準)=(総エネルギー入力)/(乾燥出発ペクチン含有バイオマス
の量)=12196kJ/1kg=12196kJ/kg。総比エネルギー入力(混合物
の総重量基準)=(前処理中の総エネルギー入力)/(前処理中の混合物の総重量)+(
活性化中の総エネルギー入力)/(活性化中の混合物の総重量)=196kJ/2.5k
g+12000kJ/30kg=478kJ/kg。
【0054】
本明細書に記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物を製造する方法は、ステップD
)と呼ぶ、混合物から活性化ペクチン含有バイオマス組成物を分離することを含む。活性
化および機械的エネルギーを適用した後、その活性化ペクチン含有バイオマス組成物およ
び活性化溶液は、活性化溶液を含む液相と活性化ペクチン含有バイオマス組成物を含む相
とに分離される。活性化ペクチン含有バイオマス組成物を含む相は、例えば、スクリュー
プレスまたはデカンタ遠心分離機を使用することによりさらにプレスされ得る。本方法は
、混合物の脱水、デカントまたは膜ろ過を含み得る。例えば、混合物を穿孔ベルトまたは
スクリーン上に堆積させて、混合物の流体部分を排出させ得る。油圧プレス、空気圧プレ
ス、スクリュープレス、ビンセントプレスもしくはコーンプレスなどのプレス、もしくは
遠心抽出機またはこれらの任意の組み合わせを使用することなどで、圧力を加えることに
よって余分な流体を除去して、脱水された活性化ペクチン含有バイオマス組成物を形成し
得る。
【0055】
活性化ペクチン含有バイオマス材料組成物は、約40重量パーセントの乾燥分を含み、
液体は、主にアルコールと酸から構成される。残留酸を除去するために、分離ステップD
)は、活性化ペクチン含有バイオマス組成物を、約40〜約90重量パーセントのアルコ
ールを含むアルコールの水溶液で、その洗浄液のpHが約3〜約5または約3.5〜約4
.5まで上昇するまで、洗浄することを含むことができる。アルコール洗浄は、酸を中和
可能なアルカリ化剤も含み得る。排出された活性化ペクチン含有組成物を洗浄するために
使用され得るアルコールの非限定的な例は、イソプロピルアルコール、エタノール、メタ
ノールおよびそれらの組み合わせを含む。例示的なアルカリ化剤は、炭酸カリウム、炭酸
水素ナトリウムまたは水酸化ナトリウムなどの炭酸、炭酸水素または水酸化物のアルカリ
金属塩を含む。この洗浄は、バッチプロセスまたは逆流プロセスとして行ってよい。アル
コール洗浄に含まれるアルコールの量は、その後の洗浄で増える可能性がある。例えば、
第1のアルコール洗浄は、45重量%のアルコール量を含み;第2のアルコール洗浄は、
55重量%のアルコール量を含み;第3のアルコール洗浄は、70重量%以上のアルコー
ル量を含み得る。最終洗浄ステップとして70重量%以上のアルコール量のアルコール洗
浄を使用すると、乾燥前に活性化ペクチン含有バイオマス組成物を効率的に脱水すること
ができる。これにより、目標の水分含有量の乾燥製品を実現するために必要な時間と温度
を削減可能である。アルコールの存在は、活性化ペクチン含有バイオマス組成物のセルロ
ース繊維のフィブリル間の水素結合形成を最小化または防止するのに役立ち、それにより
乾燥時のセルロース繊維の角質化を最小化または防止することができる。このプロセスは
、活性化繊維を脱水するために、より高いアルコール濃度を有する一連のアルコール洗浄
を含み得る。
【0056】
分離ステップの後、活性化ペクチン含有バイオマス組成物に、次いで、インラインまた
はオフラインで下流の処理または加工をしてもよい。抽出に活性化ペクチン含有バイオマ
ス組成物を使用する場合、その活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、水性懸濁液の形
態でもよい。
【0057】
活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、活性化ペクチン含有バイオマス組成物が乾燥
形態にあるように乾燥させることができる。乾燥中の温度は、活性化ペクチン含有バイオ
マス組成物の品質に影響を与えないために、活性化ペクチン含有バイオマス組成物の温度
が約75〜80℃を超えないように制御する必要がある。例示的な非限定的な乾燥方法に
は、機械的分離技術を使用して繊維から水を搾り出すこと、有機溶媒溶液で洗浄するなど
、残留水を置換するための溶媒交換、凍結乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥、熱に
よる乾燥、空気流による乾燥、フラッシュ乾燥、流動層乾燥、放射熱への暴露、およびそ
れらの組み合わせが含まれる。セルロースとセルロースとの相互作用をさらに抑制するた
めに、乾燥剤を乾燥プロセスに含めてもよい。乾燥剤の非限定的な例には、グルコースシ
ロップ、コーンシロップ、スクロース、デキストリン、マルトデキストリンおよびそれら
の組み合わせが含まれる。
【0058】
乾燥後の活性化されたペクチン含有バイオマス組成物は、活性化ペクチン含有バイオマ
ス組成物が乾燥粒子状形態、例えば、粉末であるように、さらに細かくされてもよい。適
切な粉砕方法の非限定的な例には、グラインディング、ミリングなどが含まれる。粉砕は
、乾燥した活性化ペクチン含有バイオマス組成物の粒子サイズをさらに減少させて、向上
した流動性、分散性、水和および/または取り扱い性を有する製品を提供することができ
る。粒子は、300μm以下のサイズに粉砕し得る。粒子は、250μm以下のサイズに
粉砕し得る。粒子は、200μm以下のサイズに粉砕し得る。粒子は、150μm以下の
サイズに粉砕し得る。粒子は、125μm以下のサイズに粉砕し得る。粒子は、100μ
m以下のサイズに粉砕し得る。粒子は、75μm以下のサイズに粉砕し得る。例えば、粒
子は、ミリングによって所望のサイズに細かくすることができる。任意のタイプのミルを
使用可能である。例えば、ハンマーミル、ピンミル、ピン付きディスクミル、ビーターミ
ル、クロスビーターミル、エアマイクロナイザー、ジェットミル、分級機ミル、ボールミ
ル、ロータリーインパクトミルおよびターボミルを使用し得る。
【0059】
活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、食品成分であってもよい。つまり、それは、
食品添加物ではない。これには、食品業界および重要な消費者に受け入れられるという利
点がある。本明細書に記載の任意の例示的な方法に由来する活性化ペクチン含有バイオマ
ス組成物は、製品に含まれる。本明細書に記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物は
、製品に含まれる。そのような製品は食品であってもよいが、食品に限定されない。
【0060】
本明細書では、ペクチン含有バイオマス組成物およびその製造方法のいくつかの態様お
よび実施形態を説明する。特定の態様内で、異なる特徴の組み合わせを想定し得るように
、主題の特徴を説明する。本明細書に開示されるありとあらゆる態様、およびありとあら
ゆる特徴について、本明細書に記載される設計、組成物、プロセス、または方法に悪影響
を及ぼさないすべての組み合わせが考慮され、特定の組み合わせの明示的な説明の有無に
かかわらず交換することができる。したがって、特に明記しない限り、本明細書で開示す
る任意の態様、実施形態または特徴を組み合わせて、本開示と一致する発明的な設計、組
成物、プロセスまたは方法を説明することができる。
【0061】
本発明では、いくつかのタイプの範囲が開示されている。あるタイプの範囲が開示また
は請求されている場合、その範囲が合理的に包含する可能性のあるそれぞれの可能な数を
個別に開示または請求することを意図している。これには、その範囲のエンドポイントと
、その中に含まれるサブ範囲およびサブ範囲の組み合わせが含まれる。
【0062】
本明細書では、値または範囲は、「約」、「約」1つの特定の値〜および/または「約
」別の特定の値として表され得る。そのような値または範囲が表される場合、開示される
他の態様には、その列挙された特定の値、1つの特定の値〜および/または他の特定の値
が含まれる。同様に、先行詞「約」を使用して値が近似値として表される場合、その特定
の値が別の態様を形成することが理解される。さらに、そこに開示されるいくつかの値が
あり、各値は、値自体に加えて「約」その特定の値としても本明細書で開示されることが
さらに理解されるであろう。態様において、「約」は、例えば、記載された値の10%以
内、記載された値の5%以内、または記載された値の2%以内を意味するために使用され
得る。
【0063】
濃度およびパーセントは、文脈がそうでないことを示さない限り重量パーセントである
【0064】
組成物および方法は、様々な構成要素またはステップを「含む」という観点で本明細書
に記載されているが、特に明記しない限り、組成物および方法は様々な構成要素またはス
テップから「から本質的になる」または「からなる」こともできる。
【0065】
用語「a」、「an」、および「the」は、特に明記しない限り、複数の代替物、例
えば少なくとも1つを含むことを意図している。
【0066】
本教示を説明および定義するために、用語「実質的に」は、定量的比較、値、測定、ま
たは他の表現に起因する可能性がある固有の不確実性の程度を表すために本明細書で使用
されることに留意されたい。用語「実質的に」は、問題の主題の基本機能に変化をもたら
すことなく、定量的表現が述べられた参照から変化する程度を表すためにも本明細書で利
用される。
【0067】
本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法および材料を本発明の実施または
試験に使用することができるが、典型的な方法および材料は本明細書に記載されている。
【0068】
本明細書で言及されるすべての刊行物および特許は、例えば、ここで記載される発明に
関連して使用され得る刊行物および特許に記載される構築物および方法論を説明および開
示する目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0069】
活性化ペクチン含有バイオマス組成物および方法は、以下の非限定的な例によりさらに
理解され得る。これらは、活性化ペクチン含有バイオマス組成物およびそのような活性化
ペクチン含有バイオマス組成物を含む製品を製造するための記載された方法に加えられる
異なる出発材料および機械的エネルギーの単なる例である。
【0070】
以下のプロトコルを使用して、エステル化度(DE)、ガラクツロン酸(GA)度、見
かけ粘度(mPa・s)、固有粘度(dL/g)、残留糖含量(%)、水結合(g/g)
、SAGおよび回収率(%)を分析した。
【0071】
・プロトコル1:エステル化度およびガラクツロン酸度の決定
エステル化度(DE)およびガラクツロン酸度(GA)は、FAO JECFA Mo
nographs 4(2007)に記載された方法の修正を使用して測定した。100
mLの酸アルコール(100mL 50〜60%イソプロパノール+5mL 発煙HCl
37%)を、10分間マグネチックスターラーで撹拌しながら、2.00gの粉砕した
皮に加えた。混合物をろ過し、またはろ紙付きブフナー漏斗に通し、ビーカーを6×15
mLの酸アルコールですすぎ、さらにろ過またはろ紙付きブフナー漏斗に通した。次に、
ろ液を最初に約1000mLの50〜60%イソプロパノールで洗浄し、その後、約2×
50mLの100%イソプロパノールで洗浄した。次に、サンプルを105℃で約2.5
時間乾燥させた。
【0072】
約0.40gの重さのサンプルを重複測定のために測定した(重複測定間の偏差は絶対
値1.5%を超えてはならない、そうでなければ試験を繰り返した)。サンプルを、初め
に約2mLの100%イソプロパノールで湿らせた。次に、マグネチックスターラーで撹
拌しながら、約50mLの二酸化炭素を含まない水をその湿らせたサンプルに加えた。次
に、指示薬またはpHメーター/オートビュレットを使用して、滴定によりサンプルを評
価した。
【0073】
指示薬を使用した滴定。
5滴のフェノールフタレイン指示薬をサンプルに加え、色の変化が観察されるまで0.
1N NaOHで滴定した(V滴定値として記録する)。正確に15分間撹拌しながら
、かつ、ホイルで覆って、20.0mLの0.5N NaOHを加えた。撹拌しながら、
色が消えるまで、20.0mLの0.5N HClを加えた。次に、3滴のフェノールフ
タレイン指示薬を加え、色の変化が観察されるまで0.1 N NaOHで滴定した(V
滴定値として記録する)。それぞれ20mLの0.5N NaOHとHClの2つの部
分のバランスの不正確さを補正するために、いわゆる「ブラインド測定」を行った(すな
わち、100mLの脱イオン水を滴定を含むサンプル溶液と同じ方法で処理した)。最後
の滴定結果をB滴定値として記録した。次に、エステル化度とガラクツロン酸度を、以
下の計算によって特徴付けた。
(i) V=V+(V−B
(ii) %DE(エステル化度)=[(V−B)/V]×100
(iii) %GA(ガラクツロン酸度)=[194.1×V×N×100]/洗浄
および乾燥したサンプルの重量(mg)
式中、N=滴定に使用した0.1N NaOHについて補正された規定度
【0074】
・プロトコル2:粘度の決定(VIS)
ペクチンの2%溶液を、ヘキサメタリン酸ナトリウムを含む媒体中で25℃で作る。粘
度は、pHを4.0に調節した後、ブルックフィールド粘度計タイプLVTまたはLVF
で決定する。
【0075】
装置は以下を含む:
1.分析バランス
2.ビーカー;400mLおよび2000mL
3.マグネチックスターラーとテフロンコーティングされたスターラーバー
4.適切な組み合わせ電極を備えたpHメーター
5.円柱ガラス、直径50±1mm
6.ブルックフィールド粘度計タイプLVTまたはLVF
7.温度計、0〜110℃
8.メスフラスコ;250mLおよび1000mL
9.血清ピペット(または測定ピペット);10mL
【0076】
使用した化学物質は、ヘキサメタリン酸ナトリウム(食品グレード)、炭酸水素ナトリ
ウム(NaHCO)p.a.、および100%イソプロパノール(CO)である
【0077】
1つの試薬は、以下のように調製したヘキサメタリン酸ナトリウム溶液であった:(i
)11.11gを2000mLビーカー中で950mL脱イオン水に分散させ、15分間
撹拌する;(ii)その溶液を定量的に1000mLメスフラスコに移し、脱イオン水で
1000mLに満たす;(iii)15分間撹拌する。ヘキサメタリン酸ナトリウムが完
全に溶解しない場合は、新しい溶液を準備すべきである。2番目の試薬は、次のように調
製した炭酸水素ナトリウム溶液であった:(i)84.01gを脱イオン水に溶解し、(
ii)脱イオン水で1000mLまで満たす。
【0078】
手順は以下の通りであった。
1.重量4.00gのサンプルを量り、風袋を測ったマグネチックスターラーバーを含む
400 mLのビーカーに移す。
2.血清ピペットを使用して、イソプロパノール10.0mLを加えてペクチンを湿らせ
る。ビーカーをマグネチックスターラーの上に置く。
3.撹拌しながら、ペクチン分散液にヘキサメタリン酸ナトリウム溶液180mLを加え
る。約700rpmで1時間撹拌を続ける。
4.pH電極をペクチン溶液に入れる。炭酸水素ナトリウム溶液を滴下して、pHを3.
95〜4.05に調節する。
5.脱イオン水を加えて、ペクチン溶液の正味重量を200.0gに調節する。
6.ペクチン溶液をシリンダーガラスに移す。適切な冷却または加熱浴に溶液を含むシリ
ンダーガラスを入れて温度を25℃に調節する。
7.スピンドルNo.3を60rpmで使用して、ブルックフィールド粘度計タイプLV
TまたはLVFで見かけ粘度を測定する。60秒間回転した後、目盛りで0.5の精度で
読み取る。
【0079】
・プロトコル3:固有粘度と回収率の決定
約40mgのサンプルを秤量し、100μLのエタノールに分散させた。流出液40m
Lを加え、75±2℃のブロックヒーター内でマグネチックスターラーを使用して混合物
を30分間撹拌した。
【0080】
FIPA(安全性:0.3M酢酸リチウム緩衝液)の10リットルの流出液用の流出液
の調製は以下の通りであった:
1.約3LのMilli−Q水を5000mLの目盛り付きビーカーに注ぐ。
2.マグネチックスターラーバーを追加し、マグネチックスターラー上に置いて、すべて
の添加中に適切な渦を生成する。
3.水酸化リチウム一水和物125.6gを計量ボートに量り入れ、その目盛り付きビー
カーに定量的に移す。
4.アジ化ナトリウム0.20gを計量ボートに量り入れ、その目盛りビーカーに定量的
に移す。
5.氷酢酸360.4gを500mLビーカーに量り入れ、その目盛り付きビーカーに定
量的に移す。
6.化学物質3つがすべて溶解したら、Milli−Q水を5000mLまで加え、5分
間撹拌を続ける。
7.その内容物を圧力容器に注ぐ。
8.総容量5000mLのMilli−Q水で圧力容器に移したその目盛り付きビーカー
をすすぎ、合計10Lの流出液を生成する。
9.ザルトリウスのSartopore 2フィルター(0.45+0.2μm)を備え
た圧力ろ過ユニットを使用して、その液体をろ過する。
10.調製後、緩衝液のpHを確認する。pHは、4.6±0.1でなければならない。
【0081】
サンプルを5℃の水浴に移して5分間室温まで冷却する。サンプルには不溶性物質が含
まれているため、自動サンプラーバイアルに移す前に手動で溶解してろ過(0.45μm
フィルター)する必要がある。次に、サンプルの固有粘度をサイズ排除クロマトグラフィ
ー(SEC)を使用して決定した。分子は、4つの検出器(屈折率検出器、直角レーザー
光散乱検出器、低角レーザー光散乱検出器および粘度検出器)を通過するクロマトグラフ
ィーカラムからの流出液を用いたゲル浸透クロマトグラフィーによってサイズに応じて分
離した。Viscotekソフトウェアは、粘度検出器と屈折率検出器からの検出器信号
を固有粘度に変換した。
【0082】
ViscotekポンプVE1122溶媒送達システムを搭載したViscotek
TDA 302 FIPA機器を、サンプル調製モジュールを備えたサーモセパレーショ
ン製品オートサンプラーAS3000とともに使用した。カラムは、データ収集と計算の
ためにOmniSECソフトウェアを備えたコンピューターに接続されたThermo
BioBasis SEC60(150×7.8mm)を備えていた。オートサンプラー
での実行時間を10分に設定し、25μLのフルループインジェクションを使用した。V
iscotek TDS 302 FIPA装置は、サンプル中の可溶性ペクチンの濃度
を自動的に測定し、ペクチンの回収率を提供する。
【0083】
・プロトコル4:残留糖含有量の決定
試料10gを600mLのガラスビーカーで測定した。200mLの50%イソプロパ
ノールをサンプルに添加し、室温でマグネットスターラー上で4時間撹拌した。混合物を
ろ紙付き真空駆動ブフナー漏斗に移し、そのビーカーを250mLの50%イソプロパノ
ールですすいで、そのろ紙付きブフナー漏斗を通るサンプルの移動および洗浄を確実にし
た。その後、サンプルを乾燥キャビネットで65〜70℃で一晩(最低12時間)乾燥さ
せた。次に、その乾燥サンプルの重量を決定し、残留糖を計算した:
残留糖=[(乾燥サンプルの重量−乾燥、洗浄したサンプルの重量)×100]/乾燥
サンプルの重量
【0084】
・プロトコル5:水結合能力の決定
水結合能力は、Kael EggieのDevelopment of an ext
ruded flax−based feed ingredient(2010)に記
載されているAAC 56−30.01法の修正版によって測定した。材料1.0gを5
0mLの遠心分離管に加え、重量を測定した。脱イオン水を小さな未測定の増分でその遠
心管に添加し、各添加後に混合物が完全に濡れるまで撹拌した。管とその内容物を撹拌し
、室温で10分間、3000rpmで遠心分離した。上清を廃棄し、上清が現れない場合
は、さらに水を加えて遠心分離を繰り返した。管と容器の最終質量を記録し、水結合能力
(WBC)を次の式で計算した:
水結合能力=[(管質量+沈殿物質量)−(管質量+サンプル質量)]/サンプル質量
【0085】
・プロトコル6:SAGの決定
この方法は、ポテトマッシャーの代わりにメカニカルスターラーの使用に変更したこと
以外は、ペクチン標準化に関するIFT委員会の方法5−54と同一である。
【0086】
装置は、以下を備えていた:
1.分析バランス
2.ラボ計量器(最大荷重3〜5kg、精度0.2g)
3.ステンレス製ソースパン、1.5L、直径15cm
4.電気ホットプレート、直径15cm、1500W
5.撹拌モーター、調整可能な速度、500〜1000rpm
6.撹拌シャフト(HETO、記事番号000240、図面番号0004259)
7.ビーカー(1000mlおよび150ml)
8.ヘラ
9.ストップウォッチ
10.温度計、100℃
11.pHメーター
12.SAGガラスとテープ
13.Ridgelimeter
14.ワイヤーチーズスライサー
15.屈折計
16.恒温器
【0087】
使用した化学物質は、糖、酒石酸(溶液1リットル当たり488g)、および脱イオン
水であった。
【0088】
ゼリーの調製は以下の通りであった:
1.糖650−(650/x)gを1000mlのビーカーに秤量する。ここで、xは、
サンプルの硬さを想定。
2.その秤量した糖20〜30gを乾燥した150mlビーカーに移し、秤量したサンプ
ルを加える(ゼリーで使用するサンプルの重量は650g/想定グレードと表される)。
3.ビーカー中でスパチュラで撹拌して、サンプルと糖を完全に混ぜる。
4.脱イオン水/蒸留水410mlを、風袋を計った1500mlのステンレス製のソー
スパンに注ぎ、スターラーシャフトをそれに入れる。1000rpmで撹拌しながら、サ
ンプル/糖混合物を水に一度に注ぐ。可能な限り速く、サンプル/糖溶液を水に浸し、小
さなビーカー内のサンプル/糖の痕跡をソースパンに移すことが重要である。
5.撹拌を2分間続ける。
6.その2分後、予熱した電気ホットプレートにソースパンを置き、500rpmで撹拌
する。
7.内容物が完全に沸騰したら、残りの糖を追加し、糖が溶解し、ゼリーバッチの正味重
量が1015gになるまで加熱と撹拌を続ける。電気ホットプレートは、ゼリーを加熱す
る合計時間が5〜8分(全負荷、1500W)になるように設定すべきである。
8.ラボ計量器で1015gのバッチを計量した後、テーブル上で1分間放置する。次に
、中身がちょうど溢れるくらいにソースパンを傾けて、泡をすばやく取り除く。温度計を
バッチに入れ、温度が正確に95℃に達するまで穏やかに撹拌を続ける。
9.そのバッチを、それぞれ1.75〜2.25mlの酒石酸溶液を含み、縁の上約1c
mまで満たすことができるように接着テープを備えた2つの予め用意したSAGガラスに
すばやく注ぐ。
10.その15分後、ガラスに蓋をし、温度が30〜35℃に達したら、ガラスを25±
3℃の恒温器に20〜24時間置く。
【0089】
ゼリーの特性を次のように測定した:
1.ゼリーを20〜24時間保管した後、ガラスの蓋を外し、テープを取り外す。ワイヤ
ーチーズスライサーを使用して、最上層を切断して廃棄した。
2.次に、ガラスからゼリーを慎重に回転させて、Ridgelimeterを備えた正
方形のガラスプレート上の反転位置にする。
3.ゼリーをガラスプレート上に置いたら、ストップウォッチを開始する。ゼリーが片側
にわずかに傾いた場合、これはガラスプレートを反対方向に静かに傾けることで修正した

4.プレートとゼリーをRidgelimeterのベースに慎重に置き、ゼリーがマイ
クロメータースクリューの下の中央にくるようにする。その後、ゼリーの表面近くにスク
リューをねじ込む。
5.ストップウォッチを開始してから2分後に、マイクロメーターのスクリューの先端を
ゼリーの表面に接触させ、Ridgelimeterの読み取り値を最も近い0.1に記
録する。
6.pHを測定する。pHは、2.2〜2.4でなければならない。それ以外の場合は、
サンプルを再テストする必要がある。
【0090】
サンプルのゼリーグレードは、以下のように計算する:
1. Ridgelimeterの較正表を使用して、Ridgelimeterの読み
取り値を係数1に変換する(図1を参照)。
2.可溶性固形物補正表を使用して、測定した可溶性固形物を係数2に変換する(図2
参照)。
3.テストの想定グレードに補正係数を掛けると、次の式を使用して真のグレードが得ら
れる:
想定グレード×係数1×係数2=真のグレード
【表3】

【表4】
【0091】
・例1
米国特許第8,323,513号に記載の方法を使用して、新鮮なオレンジの皮をアル
コールで洗浄し、次いで手でプレスし、続いて2回目の連続洗浄/プレスして、アルコー
ル洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料を形成した。その乾燥アルコール洗浄した出
発ペクチン含有バイオマス材料を、その後、サンプル1、2、3および4の4つのサンプ
ルに分割した。
【0092】
サンプル1(活性化した/機械的エネルギーなし):アルコール洗浄した出発ペクチン
含有バイオマス材料2,500グラム(乾燥分)を、機械的エネルギーにかけることなく
、その材料を60℃で1時間アルコールおよび酸と接触させることにより活性化した。使
用した酸の量は、乾燥皮抽出に使用される酸の量に対応するように選択した(0.1mL
酸/グラム 皮):2500グラム乾燥皮、250mL 62%硝酸;20L 60%イ
ソプロピルアルコール。従来の方法で、つまり機械的エネルギーを使用なしで活性化した
後、サンプルを25℃に冷却して排出した。次に、排出したサンプルを100Lの60%
イソプロピルアルコールで洗浄し、65℃の熱キャビネットで10時間乾燥させた。次に
、乾燥したサンプルを250ミクロンの粒子サイズに粉砕した。
【0093】
サンプル2(活性化した/機械的エネルギー):アルコール洗浄した出発ペクチン含有
バイオマス材料1000グラム(乾燥分)を、10,800キロジュールの機械的エネル
ギー下で70℃で1時間、その材料をアルコールおよび酸と接触させることにより、活性
化した。使用した酸の量は、乾燥皮抽出で使用される酸の量に対応するように選択した(
0.1mL酸/グラム 皮):1000グラム乾燥皮、100mL 62%硝酸;30L
60%イソプロピルアルコール。
【0094】
機械的エネルギーは、サンプル混合物(材料、アルコールおよび酸)の一定の再循環ポ
ンピングによって誘導した。より具体的には、サンプル混合物は、容器(KOFA Ap
S、体積25L)から管熱交換器(長さ3メートル;外径6インチ;内管2インチ;それ
ぞれ直径1.5インチ)を通して、50Hzで動作するローブポンプ(APV、CL/1
/021/10)によって容器に戻して、5,200L/時で連続的に再循環した。
【0095】
機械的エネルギー下で活性化した後、サンプル混合物を15℃に冷却し、次いでVin
centプレス(モデルCP−4)を使用して排出した。次いで、排出されたサンプルを
従来通りに2回洗浄し、各洗浄は、10%炭酸ナトリウムを使用して3.5にpH調節し
た30Lの60%イソプロピルアルコール中で5分間行った。洗浄したサンプルは、その
後、65℃の加熱キャビネットで10時間乾燥した。次に、乾燥したサンプルを250ミ
クロンの粒子サイズに粉砕した。
【0096】
サンプル3(非活性化/機械的エネルギーなし):30グラム(乾燥分)のアルコール
洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料を、250ミクロンの粒子サイズに粉砕した。
【0097】
サンプル4(非活性化/機械的エネルギー):30グラム(乾燥分)のアルコール洗浄
した出発ペクチン含有バイオマス材料を3Lの脱イオン水に懸濁し、次いでホモジナイザ
ー(APV Rannie 1000ホモジナイザー、タイプ12.50、登録番号11
3、デンマーク、コペンハーゲン)に300barで2回通して、サンプル2と同等の機
械的エネルギーを与えた。均質化したサンプルを6Lの100%イソプロパノールと混合
し、60μのナイロン布で排水した。次に、排出したサンプルを65℃の加熱キャビネッ
トで10時間乾燥させ、その後、乾燥させたサンプルを250ミクロンの粒子サイズに粉
砕した。
【0098】
乾燥した、伝統的な水で洗浄したオレンジの皮が得られ、4つのサンプル、すなわちサ
ンプル5、6、7、および8に分割した。
【0099】
サンプル5(活性化/機械的エネルギーなし):500グラム(乾燥分)の水洗した出
発ペクチン含有バイオマス材料を、その材料を機械的エネルギーにかけることなく、15
Lの60%エタノールおよび50mLの62%硝酸と65℃で2時間接触させることによ
り活性化した。従来の方法で、つまり機械的エネルギーを使用せずに、活性化した後、サ
ンプルを25℃に冷却してから排出した。次に、排出したサンプルを10%炭酸ナトリウ
ムでpHを4.0に調節した15Lの60%エタノールで洗浄し、次いで、65℃の加熱
キャビネットで10時間乾燥させた。次に、乾燥したサンプルを250ミクロンの粒子サ
イズに粉砕した。
【0100】
サンプル6(活性化/機械的エネルギー):1000グラム(乾燥分)の水洗した出発
ペクチン含有バイオマス材料を、その材料を10,800キロジュールの機械的エネルギ
ー下で30Lの60%エタノールおよび100mLの62%硝酸と70℃で1時間接触さ
せることにより活性化した。
【0101】
機械的エネルギーは、サンプル混合物(材料、アルコールおよび酸)の一定の再循環ポ
ンピングによって誘導した。より具体的には、サンプル混合物は、容器(KOFA Ap
S、体積25L)から管熱交換器(長さ3メートル;外径6インチ;内管2インチ;それ
ぞれ直径1.5インチ)を通して、50Hzで動作するローブポンプ(APV、CL/1
/021/10)によって容器に戻して、5,200L/時で連続的に再循環した。
【0102】
機械的エネルギー下で活性化した後、サンプル混合物を15℃に冷却し、次いでVin
centプレス(モデルCP−4)を使用して排出した。次いで、排出されたサンプルを
従来通りに10%炭酸ナトリウムを使用して4.0にpH調節した30Lの60%エタノ
ール中で5分間行った。洗浄したサンプルは、その後、65℃の加熱キャビネットで10
時間乾燥した。次に、乾燥したサンプルを250ミクロンの粒子サイズに粉砕した。
【0103】
サンプル7(非活性化/機械的エネルギーなし):30グラム(乾燥分)の水洗した出
発ペクチン含有バイオマス材料を250ミクロンの粒子サイズに粉砕した。
【0104】
サンプル8(非活性化/機械的エネルギー):30グラム(乾燥分)の水洗した出発ペ
クチン含有バイオマス材料を3Lの脱イオン水に懸濁し、次いでホモジナイザー(APV
Rannie 1000ホモジナイザー、タイプ12.50、登録番号113、デンマ
ーク、コペンハーゲン)に300barで2回通して、サンプル2と同等の機械的エネル
ギーをサンプルに与えた。均質化したサンプルを6Lの100%イソプロパノールと混合
し、60μのナイロン布で排水した。次に、排出したサンプルを65℃の加熱キャビネッ
トで10時間乾燥させ、その後、乾燥させたサンプルを250ミクロンの粒子サイズに粉
砕した。
【0105】
回収率(サンプル中の可溶性ペクチンの%)、固有粘度(サンプルから抽出されたペク
チンの)、残留糖含量(サンプルの重量%)、サンプル中のペクチンのエステル化度(D
E)、サンプルのガラクツロン酸度(GA)、pH4の2%溶液/分散液中のサンプルの
見かけ粘度(VIS)およびサンプルの水結合能力(水のグラム/乾燥分のグラム)を測
定し、コイルオーバーラップパラメーターを計算した。結果を以下の表にまとめる。
【表5】
【0106】
表5に示すように、機械的エネルギー下で活性化したアルコール洗浄したサンプルは、
機械的エネルギーがなく、活性化した類似のサンプルよりも高い見かけ粘度を有する。実
際、機械的エネルギーを受けたすべてのサンプルの見かけ粘度は、機械的エネルギーを受
けなかった類似のサンプルの見かけ粘度よりも大きかった。
【0107】
さらに説明されるように、機械的エネルギーにかけたサンプルは、より大きなペクチン
回収率も有する。この結果は驚くべきことである。なぜなら、出発ペクチン含有バイオマ
ス材料を乾燥分1kg当たり1,200キロジュールを超える機械的エネルギーにさらす
と、活性化溶液の分離を起こす形に材料が破壊または崩壊し、また、そこからのペクチン
の抽出が困難になり、したがって望ましくないペクチン収量の減少を生じると従来は考え
られていたためである。
【0108】
サンプル2のコイルオーバーラップパラメーターは、アルコール洗浄して、続いて機械
的エネルギー下で活性化したペクチン含有組成物が最も望ましい機能を有することを示し
ている。
【0109】
・例2
米国特許第8,323,513号に記載の方法を使用して、新鮮なオレンジの皮をアル
コールで洗浄し、次いで手でプレスし、続いて2回目の連続洗浄/プレスして、アルコー
ル洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料を形成した。その乾燥アルコール洗浄した出
発ペクチン含有バイオマス材料を、その後、サンプル1および2の2つのサンプルに分割
した。
【0110】
サンプル1(アルコール洗浄した/活性化した):アルコール洗浄した出発ペクチン含
有バイオマス材料1,000グラム(乾燥分)を、10,800キロジュールの機械的エ
ネルギー下でその材料を70℃で1時間アルコールおよび酸と接触させることにより活性
化した。使用した酸の量は、乾燥皮抽出に使用される酸の量に対応するように選択した(
0.1mL酸/グラム 皮):1000グラム乾燥皮、100mL 62%硝酸;30L
60%イソプロピルアルコール。
【0111】
機械的エネルギーは、サンプル混合物(材料、アルコールおよび酸)の一定の再循環ポ
ンピングによって誘導した。より具体的には、サンプル混合物は、容器(KOFA Ap
S、体積25L)から管熱交換器(長さ3メートル;外径6インチ;内管2インチ;それ
ぞれ直径1.5インチ)を通して、50Hzで動作するローブポンプ(APV、CL/1
/021/10)によって容器に戻して、5,200L/時で連続的に再循環した。
【0112】
機械的エネルギー下で活性化した後、サンプル混合物を15℃に冷却し、次いでVin
centプレス(モデルCP−4)を使用して排出した。次いで、排出されたサンプルを
従来通りに2回洗浄し、各洗浄は、10%炭酸ナトリウムを使用して3.5にpH調節し
た30Lの60%イソプロピルアルコール中で5分間行った。洗浄したサンプルは、その
後、65℃の加熱キャビネットで10時間乾燥した。次に、乾燥したサンプルを250ミ
クロンの粒子サイズに粉砕した。
【0113】
サンプル2(アルコール洗浄した/活性化した):サンプル2を温度40℃で活性化し
たこと以外は、サンプル1と同様にサンプル2を調製した。
【0114】
乾燥した、従来の水洗したオレンジの皮を得て、2つのサンプル、サンプル3および4
に分割した。
【0115】
サンプル3(水洗/活性化):水洗した出発ペクチン含有バイオマス材料1000グラ
ム(乾燥分)を、10,800キロジュールの機械的エネルギー下でその材料を30Lの
60%エタノールおよび100mLの62%硝酸と70℃で1時間接触させることにより
活性化した。
【0116】
機械的エネルギーは、サンプル混合物(材料、アルコールおよび酸)の一定の再循環ポ
ンピングによって誘導した。より具体的には、サンプル混合物は、容器(KOFA Ap
S、体積25L)から管熱交換器(長さ3メートル;外径6インチ;内管2インチ;それ
ぞれ直径1.5インチ)を通して、50Hzで動作するローブポンプ(APV、CL/1
/021/10)によって容器に戻して、5,200L/時で連続的に再循環した。
【0117】
機械的エネルギー下で活性化した後、サンプル混合物を15℃に冷却し、次いでVin
centプレス(モデルCP−4)を使用して排出した。次いで、排出されたサンプルを
従来通りに10%炭酸ナトリウムを使用して4.0にpH調節した30Lの60%エタノ
ール中で5分間洗浄した。洗浄したサンプルは、その後、65℃の加熱キャビネットで1
0時間乾燥した。次に、乾燥したサンプルを250ミクロンの粒子サイズに粉砕した。
【0118】
サンプル4(水洗した/活性化した):サンプル4を温度40℃で活性化したこと以外
は、サンプル3と同様にサンプル4を調製した。
【0119】
回収率(サンプル中の可溶性ペクチンの%)、固有粘度(サンプルから抽出されたペク
チンの)、残留糖含量(サンプルの重量%)、サンプル中のペクチンのエステル化度(D
E)、サンプルのガラクツロン酸度(GA)、見かけ粘度(サンプルを溶解または分散し
た溶液の)およびサンプルの水結合能力(水のグラム/固形分のグラム)を測定し、コイ
ルオーバーラップパラメーターを計算した。結果を以下の表にまとめる。
【表6】
【0120】
サンプルは、機能特性の見かけ粘度が、40℃で処理されたものよりも70℃で機械的
処理を受けたサンプルではるかに高いことを示している。これは、40℃よりも高い温度
で出発ペクチン含有バイオマス材料を処理すると、40℃よりも低い温度で処理した材料
と比較して、材料の機能が向上することを示している。
【0121】
・例3
米国特許第8,323,513号に記載の方法を使用して、新鮮なオレンジの皮をアル
コールで洗浄し、次いで手でプレスし、続いて2回目の連続洗浄/プレスして、乾燥した
アルコール洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料を形成した。その乾燥アルコール洗
浄した出発ペクチン含有バイオマス材料を、その後、サンプル1および2の2つのサンプ
ルに分割した。
【0122】
サンプル1(乾燥/機械的エネルギーなし):アルコール洗浄した出発ペクチン含有バ
イオマス材料2,500グラム(乾燥分)を、機械的エネルギーにかけることなく、その
材料を70℃で1時間アルコールおよび酸と接触させることにより活性化した。使用した
酸の量は、乾燥皮抽出に使用される酸の量に対応するように選択した(0.1mL酸/グ
ラム 皮):2500グラム乾燥皮、250mL 62%硝酸;20L 60%イソプロ
ピルアルコール。従来の方法で、つまり機械的エネルギーを使用せずに、活性化した後、
サンプルを25℃に冷却してから排出した。次に、排出したサンプルを100Lの60%
イソプロピルアルコールで洗浄し、次いで、65℃の加熱キャビネットで10時間乾燥さ
せた。次に、乾燥したサンプルを250ミクロンの粒子サイズに粉砕した。
【0123】
サンプル2(乾燥/機械的エネルギー):アルコール洗浄した出発ペクチン含有バイオ
マス材料1000グラム(乾燥分)を、10,800キロジュールの機械的エネルギー下
でその材料をアルコールおよび酸と70℃で1時間接触させることにより活性化した。使
用した酸の量は、乾燥皮抽出に使用される酸の量に対応するように選択した(0.1mL
酸/グラム 皮):1000グラム乾燥皮、100mL 62%硝酸;30L 60%イ
ソプロピルアルコール。
【0124】
機械的エネルギーは、サンプル混合物(材料、アルコールおよび酸)の一定の再循環ポ
ンピングによって誘導した。より具体的には、サンプル混合物は、容器(KOFA Ap
S、体積25L)から管熱交換器(長さ3メートル;外径6インチ;内管2インチ;それ
ぞれ直径1.5インチ)を通して、50Hzで動作するローブポンプ(APV、CL/1
/021/10)によって容器に戻して、5,200L/時で連続的に再循環した。
【0125】
機械的エネルギー下で活性化した後、サンプル混合物を15℃に冷却し、次いでVin
centプレス(モデルCP−4)を使用して排出した。次いで、排出されたサンプルを
従来通りに2回洗浄し、各洗浄は、10%炭酸ナトリウムを使用して3.5にpH調節し
た30Lの60%イソプロピルアルコール中で5分間洗浄した。洗浄したサンプルは、そ
の後、65℃の加熱キャビネットで10時間乾燥した。次に、乾燥したサンプルを250
ミクロンの粒子サイズに粉砕した。
【0126】
米国特許第8,323,513号に記載の方法を使用して、新鮮なオレンジの皮をアル
コールで洗浄し、湿潤したプレスしたアルコール洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材
料を形成した。
【0127】
サンプル3(湿潤/機械的エネルギー):湿潤したプレスしたアルコール洗浄した出発
ペクチン含有バイオマス材料950グラム(乾燥分)を、10,800キロジュールの機
械的エネルギー下でその材料をアルコールおよび酸と70℃で1時間接触させることによ
り活性化した。使用した酸の量は、乾燥皮抽出に使用される酸の量に対応するように選択
した(0.1mL酸/グラム 皮):1000グラム乾燥皮、100mL 62%硝酸;
30L 60%イソプロピルアルコール。
【0128】
機械的エネルギーは、サンプル混合物(材料、アルコールおよび酸)の一定の再循環ポ
ンピングによって誘導した。より具体的には、サンプル混合物は、ステンレス容器(撹拌
なし)から管熱交換器(長さ3メートル;外径6インチ;内管2インチ;それぞれ直径1
.5インチ)を通して、50Hzで動作するローブポンプ(APV、CL/1/021/
10)によって容器に戻して、5,200L/時で連続的に再循環した。
【0129】
機械的エネルギー下で活性化した後、サンプル混合物を15℃に冷却し、次いでVin
centプレス(モデルCP−4)を使用して排出した。次いで、排出されたサンプルを
従来通りに2回洗浄し、各洗浄は、10%炭酸ナトリウムを使用して3.5にpH調節し
た30Lの60%イソプロピルアルコール中で5分間洗浄した。洗浄したサンプルは、そ
の後、65℃の加熱キャビネットで10時間乾燥した。次に、乾燥したサンプルを250
ミクロンの粒子サイズに粉砕した。
【0130】
回収率(サンプル中の可溶性ペクチンの%)、固有粘度(サンプルから抽出されたペク
チンの)、残留糖含量(サンプルの重量%)、サンプル中のペクチンのエステル化度(D
E)、サンプルのガラクツロン酸度(GA)、見かけ粘度(サンプルを溶解または分散し
た溶液の)およびサンプルの水結合能力(水のグラム/固形分のグラム)を測定し、コイ
ルオーバーラップパラメーターを計算した。結果を以下の表にまとめる。
【表7】
【0131】
表7に示すように、機能的特性の見かけ粘度は、出発ペクチン含有バイオマス材料が洗
浄されたがその後乾燥されなかったサンプルにおいてはるかに高い。これは、特定の例で
は、活性化(出発ペクチン含有バイオマス材料を活性化溶液と接触させ、その混合物を機
械的エネルギーにかける)の前に、洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料の乾燥を避
けることが望ましい場合があることを示している。また、表に示すように、機能特性SA
Gは、機能特性の粘度と同じパターンに従う。
【0132】
・例4
米国特許第8,323,513号に記載の方法を使用して、新鮮なオレンジの皮をアル
コールで洗浄し、次いで手でプレスし、続いて2回目の連続洗浄/プレスして、乾燥した
アルコール洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料を形成した。
【0133】
サンプル1:アルコール洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料1,000グラム(
乾燥分)を、10,800キロジュールの機械的エネルギー下でその材料を70℃で1時
間アルコールおよび酸と接触させることにより活性化した。使用した酸の量は、乾燥皮抽
出に使用される酸の量に対応するように選択した(0.1mL酸/グラム 皮):100
0グラム乾燥皮、100mL 62%硝酸;30L 60%イソプロピルアルコール。
【0134】
機械的エネルギーは、サンプル混合物(材料、アルコールおよび酸)の一定の再循環ポ
ンピングによって誘導した。より具体的には、サンプル混合物は、容器(KOFA Ap
S、体積25L)から管熱交換器(長さ3メートル;外径6インチ;内管2インチ;それ
ぞれ直径1.5インチ)を通して、50Hzで動作するローブポンプ(APV、CL/1
/021/10)によって容器に戻して、5,200L/時で連続的に再循環した。
【0135】
機械的エネルギー下で活性化した後、サンプル混合物を15℃に冷却し、次いでVin
centプレス(モデルCP−4)を使用して排出した。次いで、排出されたサンプルを
従来通りに2回洗浄し、各洗浄は、10%炭酸ナトリウムを使用して3.5にpH調節し
た30Lの60%イソプロピルアルコール中で5分間洗浄した。洗浄したサンプルは、そ
の後、65℃の加熱キャビネットで10時間乾燥した。次に、乾燥したサンプルを粉砕し
、すべてのサンプルが同じメッシュサイズになるように、100ミクロンのスクリーンで
ふるいにかけた。
【0136】
サンプル2:米国特許第8,323,513号に記載の方法を使用して、新鮮なオレン
ジの皮をアルコールで洗浄し、次いで手でプレスし、続いて2回目の連続洗浄/プレスし
て、湿潤したアルコール洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料を形成した。
【0137】
湿潤したアルコール洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料950グラム(乾燥分)
を、10,800キロジュールの機械的エネルギー下でその材料を70℃で1時間アルコ
ールおよび酸と接触させることにより活性化した。使用した酸の量は、乾燥皮抽出に使用
される酸の量に対応するように選択した(0.1mL酸/グラム 皮):1000グラム
乾燥皮、100mL 62%硝酸;30L 60%イソプロピルアルコール。
【0138】
機械的エネルギーは、サンプル混合物(材料、アルコールおよび酸)の一定の再循環ポ
ンピングによって誘導した。より具体的には、サンプル混合物は、ステンレス容器(撹拌
なし)から管熱交換器(長さ3メートル;外径6インチ;内管2インチ;それぞれ直径1
.5インチ)を通して、50Hzで動作するローブポンプ(APV、CL/1/021/
10)によって容器に戻して、5,200L/時で連続的に再循環した。
【0139】
機械的エネルギー下で活性化した後、サンプル混合物を15℃に冷却し、次いでVin
centプレス(モデルCP−4)を使用して排出した。次いで、排出されたサンプルを
従来通りに2回洗浄し、各洗浄は、10%炭酸ナトリウムを使用して3.5にpH調節し
た30Lの60%イソプロピルアルコール中で5分間洗浄した。洗浄したサンプルは、そ
の後、65℃の加熱キャビネットで10時間乾燥した。次に、乾燥したサンプルを粉砕し
、すべてのサンプルが同じメッシュサイズになるように、100ミクロンのスクリーンで
ふるいにかけた。
【0140】
4つの比較サンプルも得て、すべてを100ミクロンのふるいでふるい分けした。これ
らの比較サンプルは、以下の表に示すように市販の柑橘繊維製品であった。
【表8】
【0141】
回収率(サンプル中の可溶性ペクチンの%)、固有粘度(サンプルから抽出されたペク
チンの)、残留糖含量(サンプルの重量%)、サンプル中のペクチンのエステル化度(D
E)、サンプルのガラクツロン酸度(GA)、見かけ粘度(サンプルを溶解または分散し
た溶液の)、サンプルの水結合能力(水のグラム/固形分のグラム)およびサンプルのS
AGを測定し、コイルオーバーラップパラメーターを計算した。結果を以下の表にまとめ
る。
【表9】
【0142】
表9に示すように、比較サンプルのいずれも、より大きいコイルオーバーラップパラメ
ーターを有さず、したがって、サンプル1〜2と比較して、機能性はより低い。さらに、
サンプル1〜2は、見かけ粘度と水結合能力が大きく、比較サンプルとは異なり、ゲル化
能力を有する。これらの結果は、従来のペクチン含有バイオマス組成物と比較した本開示
の例示的なペクチン含有バイオマス組成物の機能的優位性を示している。
【0143】
・例5
米国特許第8,323,513号に記載の方法を使用して、新鮮なオレンジの皮をアル
コールで洗浄し、次いで手でプレスし、続いて2回目の連続洗浄/プレスして、次いで、
65℃で10時間乾燥し、乾燥したアルコール洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料
(5〜10%残留水分)を形成した。
【0144】
米国特許第8,323,513号に記載の方法を使用して、新鮮なオレンジの皮をアル
コールで洗浄し、次いで手でプレスし、続いて2回目の連続洗浄/プレスして、湿潤した
アルコール洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料(35〜45%乾燥分)を形成した
【0145】
前処理サンプル(サンプル1〜4):各サンプルについて、1000グラム(乾燥分)
の乾燥したアルコール洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料と活性化溶液(100m
L 62%硝酸:30L 60%アルコール)との混合物を、室温で1回Boston
Shear Mill(BSM)(モーターサイズが15HP(11kW)および外径1
インチ(25mm)のモデルBSM−25)を通して前処理した。次に、各サンプルにつ
いて前処理混合物をさらに処理した。Boston Shear Millによってサン
プル1、2、3および4に与えた機械的エネルギーの量は、BSMの効果とサンプルの処
理時間から計算した。サンプル1および2について、BSMで33リットルを処理する時
間は、125秒だった;サンプルに追加されたエネルギーは、11kW×125秒、つま
り1380キロジュールだった。サンプル3と4について、流量はより高く、処理時間は
わずか63秒だった。したがって、追加されるエネルギーは690キロジュール(乾燥分
1kg当たり)だった。
【0146】
サンプル2およびサンプル4:各サンプルについて、前処理した混合物を閉じたプラス
チックバッグに移し、機械的入力なしで3〜4時間65℃に置いた。その後、サンプルを
排出し、pH4で80%イソプロピルアルコール20Lで洗浄した。その後、サンプルを
排出し、プレスし、乾燥させた。次に、乾燥したサンプルを250ミクロンの粒子サイズ
に粉砕した。
【0147】
サンプル1およびサンプル3:各サンプルについて、前処理した混合物(材料、アルコ
ールおよび酸)をイネーターシステムでさらに処理した。機械的エネルギーは、サンプル
混合物(材料、アルコールおよび酸)の一定の再循環ポンピングによって誘導した。より
具体的には、サンプル混合物は、ステンレス容器(撹拌なし)から65℃を維持しながら
管熱交換器(長さ3メートル;外径6インチ;内管2インチ;それぞれ直径1.5インチ
)を通して、10Hzで動作するローブポンプ(APV、CL/1/021/10)によ
って容器に戻して、1,000L/時で50分間(3000秒)、加熱(15分)と冷却
(15分)を含めて連続的に再循環した。
【0148】
ポンプモーターは、50Hzで2kWである;10Hzでは、効果はわずか0.4kW
である;サンプル1および3に与えられたエネルギーは、0.4kW×3000秒、すな
わち1200キロジュール(乾燥分1kg当たり)であった。
【0149】
機械的エネルギー下で活性化した後、サンプル混合物を15℃に冷却し、次いでVin
centプレス(モデルCP−4)を使用して排出した。次いで、排出されたサンプルを
従来通りに2回洗浄し、各洗浄は、10%炭酸ナトリウムを使用して4にpH調節した3
0Lの60%イソプロピルアルコール中で5分間洗浄した。洗浄したサンプルは、その後
、65℃の加熱キャビネットで10時間乾燥した。次に、乾燥したサンプルを粉砕し、2
50ミクロンのスクリーンでふるいにかけた。
【0150】
前処理なしサンプル:各サンプルについて、乾燥したアルコール洗浄した1000グラ
ム(乾燥分)と活性化溶液(62%硝酸100mL:60%アルコール30L)との混合
物をイネーターで処理した。機械的エネルギーは、サンプル混合物(材料、アルコールお
よび酸)の一定の再循環ポンピングによって誘導した。より具体的には、サンプル混合物
は、ステンレス容器(撹拌なし)から65℃を維持しながら管熱交換器(長さ3メートル
;外径6インチ;内管2インチ;それぞれ直径1.5インチ)を通して、異なる周波数で
異なる時間動作するローブポンプ(APV、CL/1/021/10)によって容器に戻
して、1,000L/時で連続的に再循環した。
【0151】
機械的エネルギー下で活性化した後、サンプル混合物を15℃に冷却し、次いでVin
centプレス(モデルCP−4)を使用して排出した。次いで、排出されたサンプルを
従来通りに2回洗浄し、各洗浄は、10%炭酸ナトリウムを使用して4にpH調節した3
0Lの60%イソプロピルアルコール中で5分間洗浄した。洗浄したサンプルは、その後
、65℃の加熱キャビネットで10時間乾燥した。次に、乾燥したサンプルを粉砕し、2
50ミクロンのスクリーンでふるいにかけた。
【0152】
前処理なしサンプルの処理パラメーターを以下の表に要約する:
【表10】
【0153】
サンプル8:1,000(乾燥分)のアルコール洗浄した出発ペクチン含有バイオマス
材料を、機械的エネルギーにさらすことなく、その材料を65℃で3〜4時間アルコール
および酸と接触させることにより活性化した。使用した酸の量は、乾燥皮抽出に使用され
る酸の量に対応するように選択した(0.1mL酸/グラム 皮):1000グラム乾燥
皮、100mL 62%硝酸;30L 60%イソプロピルアルコール。
【0154】
従来の、すなわち、機械的エネルギーなしの活性化後、サンプルを25℃に冷却し、次
に排出した。次に、排出したサンプルを、10%炭酸ナトリウムを使用して4.0にpH
調節した30Lの80%イソプロパノールで30分間、従来通り洗浄した。次に、洗浄し
た皮を65℃の加熱キャビネットで10時間乾燥させた。次に、乾燥したサンプルを25
0ミクロンの粒子サイズに粉砕した。
【0155】
各サンプルに与えた機械的エネルギーの総量を以下の表に要約する:
【表11】
【0156】
回収率(サンプル中の可溶性ペクチンの%)、固有粘度(サンプルから抽出されたペク
チンの)、サンプル中のペクチンのエステル化度(DE)、見かけ粘度(サンプルを溶解
または分散した溶液の)およびサンプルの水結合能力(水のグラム/固形分のグラム)を
測定し、コイルオーバーラップパラメーターを計算した。結果を以下の表にまとめる。
【表12】
【0157】
表に示すように、サンプルに与えられる機械的エネルギーの量が乾燥分1kg当たり1
,500キロジュールを超える場合、コイルオーバーラップパラメーターは2より大きく
、したがって500mPasを超える見かけ粘度を有する。
【0158】
・例6
米国特許第8,323,513号に記載の方法を使用して、新鮮なオレンジの皮をアル
コールで洗浄し、次いで手でプレスし、続いて2回目の連続洗浄/プレスして、アルコー
ル洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料を形成した。
【0159】
サンプル1〜3(イネーターでの加熱):各サンプルについて、1,000グラム(乾
燥分)のアルコール洗浄した、プレスした皮と活性化溶液(100mLの62%硝酸:3
0L 60%アルコール)との混合物をイネーターで処理した。
【0160】
機械的エネルギーは、サンプル混合物(材料、アルコールおよび酸)の一定の再循環ポ
ンピングによって誘導した。より具体的には、サンプル混合物は、ステンレス容器(撹拌
なし)から70℃を維持しながら管熱交換器(長さ3メートル;外径6インチ;内管2イ
ンチ;それぞれ直径1.5インチ)を通して、ローブポンプ(APV、CL/1/021
/10)によって(サンプル1では40Hzで、加熱と冷却を含め50分間(3000秒
)動作;サンプル2では40Hz、加熱と冷却を含め90分間(5400秒)動作;サン
プル3では50Hzで、加熱と冷却を含め50分間(3000秒)動作)容器に戻して連
続的に再循環した。
【0161】
排出したサンプルを、10%炭酸ナトリウムを使用して4.0にpH調節した30Lの
80%イソプロパノールで30分間、従来通り洗浄した。次に、洗浄した皮を65℃の加
熱キャビネットで10時間乾燥させた。次に、乾燥したサンプルを250ミクロンの粒子
サイズに粉砕した。
【0162】
サンプル4〜9(イネーター後の加熱):各サンプルについて、1,000グラム(乾
燥分)のアルコール洗浄した、プレスした皮と活性化溶液(100mLの62%硝酸:3
0L 60%アルコール)との混合物を、サンプル1〜3で説明したようにイネーターで
処理したが、プロセスは25℃で実行し、ポンプは50Hzで動作した。サンプル4〜6
は、すべて20分間(1200秒)処理し、サンプル7〜9は、60分間(3600秒)
処理した。イネーター処理後、混合物を、皮と活性化溶液に分離した。活性化溶液を撹拌
容器中で70℃に加熱し、皮をその容器に加えた。70℃での加熱時間は、5分(サンプ
ル4)、20分(サンプル5)、60分(サンプル6)、5分(サンプル7)、20分(
サンプル8)および60分(サンプル9)であった。
【0163】
排出したサンプルを、10%炭酸ナトリウムを使用して4.0にpH調節した30Lの
80%イソプロパノールで30分間、従来通り洗浄した。次に、洗浄した皮を65℃の加
熱キャビネットで10時間乾燥させた。次に、乾燥したサンプルを250ミクロンの粒子
サイズに粉砕した。
【0164】
回収率(サンプル中の可溶性ペクチンの%)、固有粘度(サンプルから抽出されたペク
チンの)、サンプル中のペクチンのエステル化度(DE)、見かけ粘度(サンプルを溶解
または分散した溶液の)およびサンプルの水結合能力(水のグラム/固形分のグラム)を
測定し、コイルオーバーラップパラメーターを計算した。結果を以下の表にまとめる。
【表13】
【0165】
上の表に示すように、得られた活性化ペクチン含有バイオマス組成物の機能性は、出発
ペクチン含有バイオマス材料および活性化溶液の混合物を機械的エネルギーにかける間ま
たはその後に、その混合物を加熱するか否かによって必ずしも影響されない。したがって
、適切な活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、混合物がいつ、すなわち、機械的エネ
ルギー処理中または後のいずれかで加熱されるかに関係なく、提供することができる。
【0166】
・例7
米国特許第8,323,513号に記載の方法を使用して、新鮮なオレンジの皮をアル
コールで洗浄し、次いで手でプレスし、続いて2回目の連続洗浄/プレスと乾燥して、乾
燥アルコール洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料を形成した。
【0167】
各サンプルについて、1,000グラム(95%乾燥分)のアルコール洗浄した、乾燥
した皮と活性化溶液(150mLの62%硝酸:30L 60%アルコール)との混合物
をイネーターで処理した。
【0168】
機械的エネルギーは、サンプル混合物(材料、アルコールおよび酸)の一定の再循環ポ
ンピングによって誘導した。より具体的には、サンプル混合物は、ステンレス容器(撹拌
なし)から55℃(サンプル1)、65℃(サンプル2)または75℃(サンプル3)を
維持しながら管熱交換器(長さ3メートル;外径6インチ;内管2インチ;それぞれ直径
1.5インチ)を通して、50Hzで動作するローブポンプ(APV、CL/1/021
/10)によって容器に戻して30分間連続的に再循環した。
【0169】
排出したサンプルを、10%炭酸ナトリウムを使用して4.0にpH調節した30Lの
80%イソプロパノールで30分間、従来通り洗浄した。次に、洗浄した皮を65℃の加
熱キャビネットで10時間乾燥させた。次に、乾燥したサンプルを250ミクロンの粒子
サイズに粉砕した。
【0170】
回収率(サンプル中の可溶性ペクチンの%)、固有粘度(サンプルから抽出されたペク
チンの)、サンプル中のペクチンのエステル化度(DE)、見かけ粘度(サンプルを溶解
または分散した溶液の)およびサンプルの水結合能力(水のグラム/固形分のグラム)を
測定し、コイルオーバーラップパラメーターを計算した。結果を以下の表にまとめる。
【表14】
【0171】
上の表に示すように、得られた活性化ペクチン含有バイオマス組成物の機能性は、活性
化の温度によって影響される。活性化の温度が高くなると、IVは、低下する傾向がある
一方、回収率、コイルオーバーラップ、見かけ粘度および水結合は、増大する傾向がある
。DEは、実質的に一定のままである。
【0172】
・例8
米国特許第8,323,513号に記載の方法を使用して、新鮮なオレンジの皮をアル
コールで洗浄し、次いで手でプレスし、続いて2回目の連続洗浄/プレスして、アルコー
ル洗浄した出発ペクチン含有バイオマス材料を形成した。
【0173】
各サンプルについて、1,000グラム(乾燥分)のアルコール洗浄した、プレスした
皮と30L 60%アルコール中に異なる濃度の62%硝酸を含む活性化溶液との混合物
をイネーターで処理した。
【0174】
機械的エネルギーは、サンプル混合物(材料、アルコールおよび酸)の一定の再循環ポ
ンピングによって誘導した。より具体的には、サンプル混合物は、ステンレス容器(撹拌
なし)から55〜75℃を維持しながら管熱交換器(長さ3メートル;外径6インチ;内
管2インチ;それぞれ直径1.5インチ)を通して、40〜50Hzで動作するローブポ
ンプ(APV、CL/1/021/10)によって容器に戻して5〜60分間連続的に再
循環した。
【0175】
排出したサンプルを、10%炭酸ナトリウムを使用して4.0にpH調節した30Lの
80%イソプロパノールで30分間、従来通り洗浄した。次に、洗浄した皮を65℃の加
熱キャビネットで10時間乾燥させた。次に、乾燥したサンプルを250ミクロンの粒子
サイズに粉砕した。
【0176】
回収率(サンプル中の可溶性ペクチンの%)、固有粘度(サンプルから抽出されたペク
チンの)、サンプル中のペクチンのエステル化度(DE)およびサンプルの水結合能力(
水のグラム/固形分のグラム)を測定し、コイルオーバーラップパラメーターを計算した
。結果を、酸、温度、エネルギー投入量および処理時間の影響に関して、以下の表にまと
める。
【表15】
【0177】
表15に示すように、一定の酸濃度および温度で処理時間を変えると、処理時間が長く
なるとIVは、やや減少する傾向があり、処理時間を長くすると回収率は、やや増加する
傾向があり、コイルオーバーラップは、処理時間とは無関係に実質的に一定のままであり
、DEと水結合は、実質的に一定のままである。
【表16】
【0178】
表15に比べて表16に示すように、低い酸濃度および低い温度で処理時間を変えると
、処理時間が長くなるとIVは、やや減少する傾向があり、処理時間を長くすると回収率
は、やや増加する傾向があり、コイルオーバーラップは、処理時間とは無関係に実質的に
一定のままであり、DEは、実質的に一定のままである。しかし、処理時間が長くなると
、水結合は、増大する傾向がある。
【表17】
【0179】
表17に示すように、一定の酸濃度および一定の低い処理温度で、処理時間を変化させ
ると、IVは、5〜60分の範囲の処理時間でかなり一定のままであり、処理時間を長く
すると回収率は、増加し、処理時間を長くするとコイルオーバーラップは、増大し、およ
びDEと水結合は、実質的に一定である。
【表18】
【0180】
表18に示すように、高い酸濃度およびさらに低い処理温度で処理時間を変化させると
、IVは、短い処理時間で減少する傾向があり、処理時間を長くすると回収率は、増加す
る傾向があり、処理時間を長くするとコイルオーバーラップは、増大する傾向があり、お
よびDEと水結合は、5〜60分の範囲の処理時間で実質的に一定のままである。
【表19】
【0181】
表19に示すように、一定の温度および処理時間で酸濃度が増加すると、IVは、低下
し、回収率は増加し、コイルオーバーラップは増大し、DEは減少し、水結合は増大する
【0182】
したがって、これらの結果は、酸濃度、処理温度および処理時間を変更して、活性化ペ
クチン含有バイオマス組成物の処理を最適化するための多くの選択肢を提供し得ることを
示している。
【0183】
酸濃度は、乾燥分1kg当たり50〜250mlの62%硝酸の範囲、好ましくは、乾
燥分1kg当たり100〜250mlの62%硝酸の範囲、より好ましくは、乾燥分1k
g当たり150〜250mlの62%硝酸の範囲である。
【0184】
処理温度は、55〜75℃、好ましくは65〜75℃、より好ましくは70〜75℃の
範囲である。
【0185】
処理時間は、5〜60分の範囲、好ましくは15〜60分、より好ましくは20〜60
分である。
【0186】
理想的な組み合わせは、乾燥分1kg当たり酸濃度150mlの62%硝酸(濃硝酸)
、処理温度70℃、処理時間15分であり、より低い温度が望まれる場合、より高い酸濃
度を適用し得る。
【0187】
・例9
この例は、異なる出発ペクチン含有バイオマス材料の使用、およびペクチン抽出プロセ
スについて出発材料として使用し得る活性化ペクチン含有バイオマス組成物の得られる特
性を実証する。
【0188】
リンゴをプレスした。プレスした搾りかすに63%イソプロパノールを添加し、次いで
その搾りかすを5分間洗浄し、プレスした。1つのサンプルを80%イソプロパノールで
もう一度洗浄し、プレスし、乾燥キャビネットで乾燥させた。他のサンプルについては、
イネーターで、1kgのプレスしたリンゴ搾りかすの固形分と24kgの60%イソプロ
パノールとを混合した。乾燥分1kg当たり100mLの濃硝酸を加えた。小型ローブポ
ンプで循環しながら、それを70℃で60分間活性化した。活性化後、搾りかすをプレス
した。次に、それを60%イソプロパノールで洗浄し、プレスした。次に、それを80%
イソプロパノールで洗浄し、プレスして乾燥した。
【0189】
キクイモをプレスした。プレスした搾りかすに63%イソプロパノールを添加し、その
搾りかすを5分間洗浄し、プレスした。1つのサンプルを80%イソプロパノールでもう
一度洗浄し、プレスし、乾燥キャビネットで乾燥させた。他のサンプルについては、イネ
ーターで、1kgのプレスしたリンゴ搾りかすの固形分と24kgの60%イソプロパノ
ールとを混合した。乾燥分1kg当たり100mLの濃硝酸を加えた。小型ローブポンプ
で循環しながら、それを70℃で60分間活性化した。活性化後、搾りかすをプレスした
。次に、それを60%イソプロパノールで洗浄し、プレスした。次に、それを80%イソ
プロパノールで洗浄し、プレスして乾燥した。
【0190】
オレンジをプレスした。プレスした皮に63%イソプロパノールを添加し、その皮を5
分間洗浄し、プレスした。1つのサンプルを80%イソプロパノールでもう一度洗浄し、
プレスし、乾燥キャビネットで乾燥させた。他のサンプルについては、イネーターで、1
kgのプレスしたオレンジの皮の乾燥分と24kgの60%イソプロパノールとを混合し
た。乾燥分1kg当たり100mLの濃硝酸を加えた。小型ローブポンプで循環しながら
、それを70℃で60分間活性化した。活性化後、その皮をプレスした。次に、それを6
0%イソプロパノールで洗浄し、プレスした。次に、それを80%イソプロパノールで洗
浄し、プレスして乾燥した。
【0191】
糖抽出物からのテンサイ切片を選択した。その切片に63%イソプロパノールを添加し
、5分間洗浄してプレスした。1つのサンプルを80%イソプロパノールでもう一度洗浄
し、プレスし、乾燥キャビネットで乾燥させた。他のサンプルについては、イネーターで
、1kgのプレスした切片の乾燥分と27kgの60%イソプロパノールとを混合した。
乾燥分1kg当たり100mLの濃硝酸を加えた。小型ローブポンプで循環しながら、そ
れを70℃で60分間活性化した。活性化後、その切片をプレスした。次に、それを60
%イソプロパノールで洗浄し、プレスした。次に、それを80%イソプロパノールで洗浄
し、プレスして乾燥した。
【表20】
【0192】
試験したすべての原料について同様のパターンが見出された、すなわち、ペクチンは、
活性化プロセスによってin situで可溶性にされた。コイルオーバーラップパラメ
ーターと回収率の両方は、活性化なしの対応するアルコール洗浄したサンプルよりも数倍
高い。果物である活性化リンゴは、2に近いCOPを示すのに対し、キクイモのような活
性化野菜と活性化テンサイは、0.5〜1.2の範囲のCOPを示す。活性化オレンジ(
柑橘類)は、2より大きい最高COPを示す。
【0193】
可溶性繊維成分および不溶性繊維成分の両方を有する活性化ペクチン含有バイオマス組
成物を含むペクチン含有バイオマス組成物は、これらに限定されないが、スープ、ソース
およびドレッシングなどの香味製品;栄養補助食品;および動物飼料用のプレバイオティ
クスを含む多くの用途で使用され得る。不溶性繊維成分の保水能力は、例えば、使い捨て
おむつならびに生理用ナプキンおよびパンティライナーなどの女性衛生製品における液体
吸収剤としての活性化ペクチン含有バイオマス組成物の使用を促進する。活性化ペクチン
含有バイオマス組成物中の可溶性ペクチン成分は、例えば、欧州特許第1812120B
1号に開示されているように、抽出ペクチンと同じ用途でそれらを有用にする。アンモニ
アを中和し、したがって悪臭を除去する可溶性ペクチン成分の特性を、液体を吸収する不
溶性繊維成分と組み合わせることにより、活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、液体
を吸収してアンモニアを中和する猫のトイレでも有用である。さらに、活性化ペクチン含
有バイオマス組成物は、ペクチンを製造するための抽出プロセスの出発材料として有用で
ある。
【0194】
活性化ペクチン含有バイオマス組成物を製造する方法および活性化ペクチン含有組成物
の様々な態様は、以下を含む:
【0195】
態様1:活性化ペクチン含有バイオマス組成物を製造する方法であって、方法は、
A)不溶性繊維成分と不溶性プロトペクチン成分を含む出発ペクチン含有バイオマス材
料をアルコールの水溶液と混合して混合物を形成すること;
B)出発ペクチン含有バイオマス材料を(i)酸をその混合物に添加することによって
形成された活性化溶液にさらすことにより、その混合物のpHを約0.5〜約2.5の範
囲内に調節することと、(ii)約40℃より高い温度に加熱することによって、出発ペ
クチン含有バイオマス材料を活性化して、不溶性繊維成分および可溶性ペクチン成分を含
む活性化ペクチン含有バイオマス材料を形成すること;
C)機械的エネルギーを、(i)ステップ(A)の混合物に、(ii)ステップ(B)
の活性化中に、または(iii)ステップ(A)の混合物に、かつ、ステップ(B)の活
性化中に、適用すること;および
D)その混合物から活性化ペクチン含有バイオマス組成物を分離すること;を含み、
その方法の間、混合物中に存在するアルコールは、混合物の総重量に基づいて約40重
量パーセント以上である、方法。
【0196】
態様2:ステップC)で機械的エネルギーを適用することが、混合物中の出発ペクチン
含有バイオマス材料をその繊維状構造に変化させることをさらに含む、態様1に記載の方
法。
【0197】
態様3:可溶性ペクチン成分が、出発ペクチン含有バイオマス材料から実質的に抽出さ
れない、前態様のいずれか1つに記載の方法。
【0198】
態様4:ステップC)で機械的エネルギーを適用することが、ポンプ、プレート精砕機
、ディスク精砕機、押出機、ローブポンプおよび遠心ポンプの群のうちの少なくとも1つ
によって行われる、前態様のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
態様5:機械的エネルギーが、出発ペクチン含有バイオマス材料の乾燥分1キログラム
当たり約800キロジュール以上、または混合物1キログラム当たり約36キロジュール
以上である、前態様のいずれか1つに記載の方法。
【0200】
態様6:活性化ペクチン含有バイオマス組成物が、約2.0以上のコイルオーバーラッ
プパラメーターを有する、前態様のいずれか1つに記載の方法。
【0201】
態様7:加熱することが、約60〜約80℃の温度に約15〜約60分の期間である、
前態様のいずれか1つに記載の方法。
【0202】
態様8:ステップD)が、活性化ペクチン含有バイオマス組成物のpHを約3.5〜約
4.5に調節することをさらに含む、前態様のいずれか1つに記載の方法。
【0203】
態様9:機械的エネルギーが、出発ペクチン含有バイオマス材料の乾燥分1キログラム
当たり約1200キロジュール以上、または混合物1キログラム当たり約40キロジュー
ル以上である、前態様のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
態様10:活性化ペクチン含有バイオマス組成物が、約2.3以上のコイルオーバーラ
ップパラメーターを有する、態様9に記載の方法。
【0205】
態様11:機械的エネルギーが、出発ペクチン含有バイオマス材料の乾燥分1キログラ
ム当たり約1900キロジュール以上、または混合物1キログラム当たり約60キロジュ
ール以上である、前態様のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
態様12:活性化ペクチン含有バイオマス組成物が、約2.5以上のコイルオーバーラ
ップパラメーターを有する、態様11に記載の方法。
【0207】
態様13:分離した活性化ペクチン含有バイオマス組成物を乾燥すること、ミリングす
ることまたは乾燥とミリングすることの両方をさらに含む、前態様のいずれか1つに記載
の方法。
【0208】
態様14:ステップA)の出発ペクチン含有バイオマス材料が、柑橘類から得られる、
前態様のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
態様15:出発ペクチン含有バイオマス材料が、アルコール洗浄した柑橘類の皮である
、態様14に記載の方法。
【0210】
態様16:活性化ペクチン含有バイオマス組成物が、約2以上のコイルオーバーラップ
パラメーターと約60パーセント以上の可溶性ペクチン成分のエステル化度との両方を含
む、態様14〜15のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
態様17:活性化ペクチン含有バイオマス組成物が、ブルックフィールド粘度計を使用
して温度25℃およびpH4.0の水溶液中で測定したとき、約150mPa・s〜約3
500mPa・sの見かけ粘度、約14g/g〜約27g/gの水結合能力、活性化ペク
チン含有バイオマス組成物の約20重量%〜約45重量%の量で存在する可溶性ペクチン
成分、および約2.5〜約5.5のpHの群のうちの1つ以上の特性を含む、態様14〜
16のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
態様18:柑橘類から得られた活性化ペクチン含有バイオマス組成物であって、
セルロース材料を含む不溶性繊維成分;および
易溶性ペクチンを含む可溶性ペクチン成分;を含み、
活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、約2以上のコイルオーバーラップパラメータ
ーを有する、活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【0213】
態様19:不溶性繊維成分および可溶性ペクチン成分が、液体が易溶性ペクチンにアク
セス可能とする開いた構造を形成する、態様18に記載の活性化ペクチン含有バイオマス
組成物。
【0214】
態様20:活性化ペクチン含有バイオマス組成物が、約80〜約55重量%の不溶性繊
維成分と、約20〜約45重量%の可溶性ペクチン成分とを含む、態様18〜19のいず
れか1つに記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【0215】
態様21:可溶性ペクチン成分のエステル化度が、約60パーセント以上である、態様
18〜20のいずれか1つに記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【0216】
態様22:コイルオーバーラップパラメーターが、約2.3以上である、態様18〜2
0のいずれか1つに記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【0217】
態様23:コイルオーバーラップパラメーターが、約2.5以上である、態様18〜2
0のいずれか1つに記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【0218】
態様24:活性化ペクチン含有バイオマス組成物が、ブルックフィールド粘度計を使用
して温度25℃およびpH4.0の水溶液中で測定したとき、約150mPa・s〜約3
500mPa・sの見かけ粘度、約14g/g〜約27g/gの水結合能力、活性化ペク
チン含有バイオマス組成物の約20重量%〜約45重量%の量で存在する可溶性ペクチン
成分、および約2.5〜約5.5のpHの群のうちの1つ以上の特性を含む、態様18〜
24のいずれか1つに記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【0219】
態様25:活性化ペクチン含有バイオマス組成物であって、
セルロース材料を含む不溶性繊維成分;および
易溶性ペクチンを含む可溶性ペクチン成分;を含み、
活性化ペクチン含有バイオマス組成物は、(i)リンゴ、キクイモまたはビートから選
択される出発ペクチン含有バイオマス材料から得られ、(ii)約0.5〜約2.0の範
囲内のコイルオーバーラップパラメーターを有し、かつ、(iii)出発ペクチン含有バ
イオマス材料のコイルオーバーラップパラメーターよりも少なくとも約300%大きいコ
イルオーバーラップパラメーターを有する、活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【0220】
態様26:食品成分である、態様18〜25のいずれか1つに記載の活性化ペクチン含
有バイオマス組成物。
【0221】
態様27:ペクチン抽出のための出発材料として使用される、態様18〜25のいずれ
か1つに記載の活性化ペクチン含有バイオマス組成物。
【0222】
態様28:態様1〜17のいずれか1つの方法から誘導された活性化ペクチン含有バイ
オマス組成物を含むまたは態様18〜26のいずれか1つの態様に記載の活性化ペクチン
含有バイオマス組成物を含む、製品。
図1
図2