【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも一方の表面に多数の凹部を有し、前記凹部は、底部が連続した溝形状を有し、隣接する前記底部が連続した溝形状の凹部が規則的に並列している合わせガラス用中間膜であって、前記底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rが45μm以下である合わせガラス用中間膜である。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明者らは、真空脱気法により合わせガラスを製造した場合に、得られる合わせガラスの透明性が低下する原因について検討を行った。
真空脱気法では、予備圧着において、少なくとも2枚のガラス板の間に合わせガラス用中間膜が積層された積層体をゴムバックに入れて減圧吸引し、ガラス板と中間膜との間に残留する空気を脱気した後、加熱により積層体端部の合わせガラス用中間膜とガラスとを密着させてシールすることが行われる。このようなシールにより、ゴムバックから取り出した後も内部を真空状態に保つことができ、本圧着までの間に空気が侵入するのを防止することができる。実際の生産では、製造時間の短縮のため、脱気と加熱とは同時に行われる。
本発明者らは、鋭意検討の結果、予備圧着において脱気と加熱とを同時に行ったときに、脱気が充分に完了する前に、積層体端部において合わせガラス用中間膜とガラスとがシールされてしまうことにより、充分に脱気が行われず、積層体内部に多くの空気が残存してしまうことを見出した(以下、これを「先行シール」ともいう。)。先行シールが起こった積層体は、本圧着時にオートクレーブした後に、残存する空気が発泡をおこして、合わせガラスの透明性の低下の原因となる。
【0009】
先行シールを防止するためには、底部が連続した溝形状の粗さを大きくすることにより溝形状を潰れにくくして、シールされるまでの時間を延ばすことが考えられたが、該粗さを大きくした場合には、圧着後にも充分に底部が連続した溝形状が潰されずに、かえって脱気が不充分となった。
本発明者らは、更に鋭意検討の結果、底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rを45μm以下とすることにより、真空脱気法において高い脱気性を発揮することができ、透明性の高い合わせガラスが製造可能となることを見出し、本発明を完成した。
なお、本発明の合わせガラス用中間膜は、真空脱気法以外に用いてもよい。
【0010】
本発明の合わせガラス用中間膜は、少なくとも一方の表面に多数の凹部を有し、該凹部は、底部が連続した溝形状を有し、隣接する前記底部が連続した溝形状の凹部が規則的に並列している。これにより、真空脱気法による合わせガラスの製造時における脱気性を確保することができる。上記凹部は、一方の表面にのみ形成されてもよいが、著しく脱気性が向上することから、合わせガラス用中間膜の両面に形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の合わせガラス用中間膜においては、上記少なくとも一方の表面の凹部は、底部が連続した溝形状を有し(即ち、「刻線状の凹部」を有し)、隣接する凹部が規則的に並列している。一般に、2枚のガラス板の間に合わせガラス用中間膜が積層された積層体を圧着するときの空気の抜け易さは、上記凹部の底部の連通性及び平滑性と密接な関係がある。中間膜の少なくとも一方の面の凹部を刻線状の凹部が規則的に並列した形状とすることにより、上記の底部の連通性はより優れ、著しく脱気性が向上する。また、上記刻線上の凹部は、底部の全てが連続した溝形状である必要は無く、底部の一部に分断壁を有していてもよい。また、隣接する凹部が平行して規則的に並列していれば、底部が溝の形状は直線状でなくともよく、例えば、波形状やジグザグ状であってもよい。
図1及び
図2に、刻線状の凹部が等間隔に平行して並列した合わせガラス用中間膜の一例を表す模式図を示した。
図3に、刻線状の凹部が等間隔ではないが平行して並列している合わせガラス用中間膜の一例を表す模式図を示した。
図3において、凹部1と凹部2との間隔Aと、凹部1と凹部3との間隔Bとは異なる。
【0012】
本発明の合わせガラス用中間膜においては、上記底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rが45μm以下である。これにより、先行シールを防止し、真空脱気法において高い脱気性を発揮することができ、透明性の高い合わせガラスが製造可能となる。これは、上記底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rを従来の合わせガラス用中間膜よりも小さくすることにより、該底部が連続した溝形状の粗さを大きくしなくとも、予備圧着において脱気と加熱とを同時に行ったときに、積層体端部における合わせガラス用中間膜とガラスとのシールを脱気が充分に完了するまで遅らせることができるためと考えられる。上記底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rは、40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、15μm以下であることが更に好ましく、10μm以下であることが特に好ましい。一方、上記底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rの下限は特に限定されないが、実質的には0.001μmである。上記底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rは0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。底部の回転半径Rを上記以上にすることで、予備圧着時に凹部が完全に潰れない状態でシールしてしまうことを防ぐことができる。
なお、本発明の合わせガラス用中間膜が、両面に多数の凹部を有し、該凹部は、底部が連続した溝形状を有し、隣接する前記底部が連続した溝形状の凹部が規則的に並列している場合には、いずれか一方の表面における上記底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rが45μm以下であればよい。
【0013】
本発明の合わせガラス用中間膜は一方の表面及び該一方の表面とは反対側の表面の両方に多数の凹部を有し、上記凹部は、底部が連続した溝形状を有することが好ましい。上記凹部が、両面に存在することによって、著しく脱気性が向上する。
また、予備圧着において減圧吸引する際、排気される方向を分散させて脱気を円滑に行うことができるため、上記一方の表面が有する前記底部が連続した溝形状の凹部と前記反対側の表面が有する前記底部が連続した溝形状の凹部との交差角θが0°を超えることが好ましく、20°以上であることがより好ましく、90°であることが最も好ましい。なお、上記交差角θは上記一方の表面が有する上記底部が連続した溝形状の凹部と上記反対側の表面が有する上記底部が連続した溝形状の凹部とが成す角のうち、鋭角の方を指す。
【0014】
本明細書において上記底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rは、合わせガラス用中間膜を片刃カミソリ(例えば、フェザー安全カミソリ社製、FAS−10)を用いて底部が連続した溝形状の凹部の方向に対して垂直方向、かつ、膜厚み方向に対して平行に、切断面を変形させないように、カミソリを凹部と垂直方向に滑らせることなく、厚み方向に平行方向に押し出すことで切断し、その断面をマイクロスコープ(例えば、オリンパス社製「DSX−100」)を用いて観察し、測定倍率を277倍にて撮影し、更に撮影画像を50μm/20mmになるように拡大表示させた状態で、付属ソフト内の計測ソフトを用いて、底部が連続した溝形状の凹部の底部に内接する円を描いたときの該円の半径を該凹部の回転半径Rとする方法により求めることができる。また、測定時の環境は23℃及び30RH%下である。ここで、合わせガラス用中間膜中の任意の5点を採取し、1サンプル当たり3点計測し、計15点の平均値をRとする。
図4に底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径R及び凹部の間隔Smを説明する模式図を示した。
図4(a)において合わせガラス用中間膜の表面20は、底部が連続した溝形状の凹部21を有している。Smは、該凹部21間の間隔を意味する。また、
図4(b)において、凹部21の底部に接する形で円を描いたときに、該円の半径がRである。
【0015】
本発明の合わせガラス用中間膜においては、隣接する底部が連続した溝形状の凹部の最底部間の最短距離を結んだ線の方向に、JIS B 0601(1994)に準拠して粗さ曲線を作成したときに、高さが最大となる点が該最底部間の最短距離を結んだ線の中心に位置していないことが好ましい。
図5に隣接する底部が連続した溝形状の凹部の最底部間の最短距離を結んだ線の方向に、JIS B 0601(1994)に準拠して粗さ曲線を作成したときに、高さが最大となる点が該最底部間の最短距離を結んだ線の中心に位置していない合わせガラス用中間膜の模式図を示す。
図5から判るように、高さが最大となる点が最底部間の最短距離を結んだ線の中心に位置していないとは、上記隣接する底部が連続した溝形状の凹部の形状が隣接する底部が連続した溝形状の凹部の最底部間の最短距離を結んだ線の中心に、前記最底部間の最短距離を結んだ線に対して垂直な線を引いた際の、前記垂直な線を軸としたときに非対称であることを意味する。このように上記隣接する底部が連続した溝形状の凹部の形状を非対称とすることにより、上記底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rを容易に45μm以下とすることができる。
【0016】
本発明の合わせガラス用中間膜においては、上記底部が連続した溝形状の凹部の間隔Smが400μm以下であることが好ましい。これにより、真空脱気法により合わせガラスを製造する場合において、予備圧着時により優れた脱気性を発揮し、かつ、その圧力により底部が連続した溝形状の凹部を潰すことがより容易となる。上記底部が連続した溝形状の凹部の間隔Smは、300μm以下であることがより好ましい。
上記底部が連続した溝形状の凹部の間隔Smの好ましい下限は100μm、より好ましい下限は150μmである。
なお、本明細書における上記底部が連続した溝形状の凹部の間隔Smは、JIS B 0601(1994)に規定される。測定条件は、例えば、基準長さ=2.5mm、評価長さ12.5mm、触針の先端半径=2μm、先端角度=60°、測定速度=0.5mm/sの条件で測定を行うことができる。ここで、合わせガラス用中間膜中の任意の5点を測定し、その平均値をSmとする。
【0017】
本発明の合わせガラス用中間膜においては、上記底部が連続した溝形状の凹部の粗さRzが60μm以下であることが好ましい。これにより、真空脱気法により合わせガラスを製造する場合において、予備圧着時により優れた脱気性を発揮し、かつ、その圧力により底部が連続した溝形状の凹部を潰すことがより容易となる。上記底部が連続した溝形状の凹部の粗さRzは、50μm以下であることがより好ましい。
上記底部が連続した溝形状の凹部の粗さRzの好ましい下限は10μm、より好ましい下限は20μmである。
なお、本明細書における上記底部が連続した溝形状の凹部の粗さRzは、JIS B 0601(1994)に規定される。
【0018】
本発明の合わせガラス用中間膜においては、上記多数の凹部を有する表面は、更に多数の凸部を有し、かつ、該凸部の頭頂部が平坦ではないことが好ましい。これにより、予備圧着時に、より優れた脱気性を発揮することができる。
【0019】
本発明の合わせガラス用中間膜は、1層のみの樹脂膜からなる単層構造であってもよく、2層以上の樹脂層が積層されている多層構造であってもよい。
本発明の合わせガラス用中間膜が多層構造である場合には、2層以上の樹脂層として、第1の樹脂層と第2の樹脂層とを有し、かつ、第1の樹脂層と第2の樹脂層とが異なる性質を有することにより、1層だけでは実現が困難であった種々の性能を有する合わせガラス用中間膜を提供することができる。
【0020】
上記樹脂層は熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
上記熱可塑性樹脂として、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化エチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、上記熱可塑性樹脂はポリビニルアセタール、又は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含有することが好ましく、ポリビニルアセタールを含有することがより好ましい。
【0021】
上記ポリビニルアセタールは、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)をアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。PVAのけん化度は、一般に、70〜99.9モル%の範囲内である。
【0022】
上記ポリビニルアセタールを得るためのPVAの重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、更に好ましくは1700以上、特に好ましくは2000以上、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、より一層好ましくは3000以下、更に好ましくは3000未満、特に好ましくは2800以下である。上記ポリビニルアセタールは、重合度が上記下限以上及び上記上限以下であるPVAをアセタール化することにより得られるポリビニルアセタールであることが好ましい。上記重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記重合度が上記上限以下であると、中間膜の成形が容易になる。
【0023】
PVAの重合度は平均重合度を示す。該平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。上記アルデヒドとして、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、n−ブチルアルデヒドがより好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0024】
上記ポリビニルアセタールは、ポリビニルブチラールであることが好ましい。ポリビニルブチラールの使用により、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの耐候性等がより一層高くなる。
【0025】
上記樹脂層は、ポリビニルアセタールと可塑剤とを含むことが好ましい。
上記可塑剤としては、合わせガラス用中間膜に一般的に用いられる可塑剤であれば特に限定されず、例えば、一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステル等の有機可塑剤や、有機リン酸化合物、有機亜リン酸化合物等のリン酸可塑剤等が挙げられる。
上記有機可塑剤として、例えば、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、ジエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、ジエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート等が挙げられる。なかでも、上記有機可塑剤はトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、又は、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエートを含むことが好ましく、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエートを含むことがより好ましい。
【0026】
上記樹脂層は、接着力調整剤を含有することが好ましい。特に、合わせガラスを製造するときに、ガラスと接触する樹脂層は、上記接着力調整剤を含有することが好ましい。
上記接着力調整剤としては、例えば、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が好適に用いられる。上記接着力調整剤として、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム等の塩が挙げられる。
上記塩を構成する酸としては、例えば、オクチル酸、ヘキシル酸、2−エチル酪酸、酪酸、酢酸、蟻酸等のカルボン酸の有機酸、又は、塩酸、硝酸等の無機酸が挙げられる。合わせガラスを製造するときに、ガラスと樹脂層との接着力を容易に調製できることから、ガラスと接触する樹脂層は、接着力調整剤として、マグネシウム塩を含むことが好ましい。
【0027】
上記樹脂層は、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、接着力調整剤として変成シリコーンオイル、難燃剤、帯電防止剤、耐湿剤、熱線反射剤、熱線吸収剤等の添加剤を含有してもよい。
【0028】
本発明の合わせガラス用中間膜は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。上記アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含有することにより、合わせガラス用中間膜のガラスに対する接着力を調整することができ、高い耐貫通性を有する合わせガラスを得ることができる。
合わせガラスの耐貫通性をより一層向上させる観点からは、上記アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属の含有量の好ましい下限は1ppm、より好ましい下限は5ppm、更に好ましい下限は20ppm、特に好ましい下限は50ppmである。合わせガラス用中間膜とガラスとの接着力を調節し剥離を防止することで、予備圧着時のシール不良をより一層防止することができることから、上記アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属の含有量の好ましい上限は500ppm、より好ましい上限は300ppm、更に好ましい上限は150ppm、特に好ましい上限は100ppmである。
【0029】
本発明の合わせガラス用中間膜では、2層以上の樹脂層として、少なくとも第1の樹脂層と第2の樹脂層とを有し、上記第1の樹脂層に含まれるポリビニルアセタール(以下、ポリビニルアセタールAという。)の水酸基量が、上記第2の樹脂層に含まれるポリビニルアセタール(以下、ポリビニルアセタールBという。)の水酸基量と異なることが好ましい。
ポリビニルアセタールAとポリビニルアセタールBとの性質が異なるため、1層だけでは実現が困難であった種々の性能を有する合わせガラス用中間膜を提供することができる。例えば、2層の上記第2の樹脂層の間に、上記第1の樹脂層が積層されており、かつ、ポリビニルアセタールAの水酸基量がポリビニルアセタールBの水酸基量より低い場合、上記第1の樹脂層は上記第2の樹脂層と比較してガラス転移温度が低くなる傾向にある。結果として、上記第1の樹脂層が上記第2の樹脂層より軟らかくなり、合わせガラス用中間膜の遮音性が高くなる。また、2層の上記第2の樹脂層の間に、上記第1の樹脂層が積層されており、かつ、ポリビニルアセタールAの水酸基量がポリビニルアセタールBの水酸基量より高い場合、上記第1の樹脂層は上記第2の樹脂層と比較してガラス転移温度が高くなる傾向にある。結果として、上記第1の樹脂層が上記第2の樹脂層より硬くなり、合わせガラス用中間膜の耐貫通性が高くなる。
【0030】
更に、上記第1の樹脂層及び上記第2の樹脂層が可塑剤を含む場合、上記第1の樹脂層におけるポリビニルアセタール100質量部に対する可塑剤の含有量(以下、含有量Aという。)が、上記第2の樹脂層におけるポリビニルアセタール100質量部に対する可塑剤の含有量(以下、含有量Bという。)と異なることが好ましい。例えば、2層の上記第2の樹脂層の間に、上記第1の樹脂層が積層されており、かつ、上記含有量Aが上記含有量Bより多い場合、上記第1の樹脂層は上記第2の樹脂層と比較してガラス転移温度が低くなる傾向にある。結果として、上記第1の樹脂層が上記第2の樹脂層より軟らかくなり、合わせガラス用中間膜の遮音性が高くなる。また、2層の上記第2の樹脂層の間に、上記第1の樹脂層が積層されており、かつ、上記含有量Aが上記含有量Bより少ない場合、上記第1の樹脂層は上記第2の樹脂層と比較してガラス転移温度が高くなる傾向にある。結果として、上記第1の樹脂層が上記第2の樹脂層より硬くなり、合わせガラス用中間膜の耐貫通性が高くなる。
【0031】
本発明の合わせガラス用中間膜が3層以上の積層構造を有する場合、厚み方向に第1の樹脂層と第2の樹脂層と第3の樹脂層とをこの順に有する積層構造を有することが好ましい。また、例えば、高い耐衝撃性を発揮させる等の種々の機能を付与する観点から、上記第1の樹脂層の厚みと、上記第3の樹脂層の厚みとが異なることが好ましい。上記第1の樹脂層の厚みと上記第3の樹脂層の厚みとは、10μm以上異なることが好ましく、50μm以上異なることがより好ましく、100μm以上異なることが更に好ましい。上記第1の樹脂層の厚みと上記第3の樹脂層の厚みの差の上限は特に限定されないが、実質的には1000μm以下である。
【0032】
本発明の合わせガラス用中間膜を構成する2層以上の樹脂層の組み合わせとしては、例えば、合わせガラスの遮音性を向上させるために、上記第1の樹脂層として遮音層と、上記第2の樹脂層として保護層との組み合わせが挙げられる。合わせガラスの遮音性が向上することから、上記遮音層はポリビニルアセタールXと可塑剤とを含み、上記保護層はポリビニルアセタールYと可塑剤とを含むことが好ましい。更に、2層の上記保護層の間に、上記遮音層が積層されている場合、優れた遮音性を有する合わせガラス用中間膜(以下、遮音中間膜ともいう。)を得ることができる。例えば、高い耐衝撃性を発揮させる等の種々の機能を付与する観点から、上記保護層を2層以上有する場合には、各保護層の厚みが異なることが好ましい。以下、遮音中間膜について、より具体的に説明する。
【0033】
上記遮音中間膜において、上記遮音層は遮音性を付与する役割を有する。上記遮音層は、ポリビニルアセタールXと可塑剤とを含有することが好ましい。
上記ポリビニルアセタールXは、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより調製することができる。上記ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度の好ましい下限は200、好ましい上限5000である。上記ポリビニルアルコールの平均重合度を200以上とすることにより、得られる遮音中間膜の耐貫通性を向上させることができ、5000以下とすることにより、遮音層の成形性を確保することができる。上記ポリビニルアルコールの平均重合度のより好ましい下限は500、より好ましい上限は4000である。
なお、上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
【0034】
上記ポリビニルアルコールをアセタール化するためのアルデヒドの炭素数の好ましい下限は4、好ましい上限は6である。アルデヒドの炭素数を4以上とすることにより、充分な量の可塑剤を安定して含有させることができ、優れた遮音性能を発揮することができる。また、可塑剤のブリードアウトを防止することができる。アルデヒドの炭素数を6以下とすることにより、ポリビニルアセタールXの合成を容易にし、生産性を確保できる。上記炭素数が4〜6のアルデヒドとしては、直鎖状のアルデヒドであってもよいし、分枝状のアルデヒドであってもよく、例えば、n−ブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド等が挙げられる。
【0035】
上記ポリビニルアセタールXの水酸基量の好ましい上限は30モル%である。上記ポリビニルアセタールXの水酸基量を30モル%以下とすることにより、遮音性を発揮するのに必要な量の可塑剤を含有させることができ、可塑剤のブリードアウトを防止することができる。上記ポリビニルアセタールXの水酸基量のより好ましい上限は28モル%、更に好ましい上限は26モル%、特に好ましい上限は24モル%、好ましい下限は10モル%、より好ましい下限は15モル%、更に好ましい下限は20モル%である。上記ポリビニルアセタールXの水酸基量は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、上記ポリビニルアセタールXの水酸基が結合しているエチレン基量を測定することにより求めることができる。
【0036】
上記ポリビニルアセタールXのアセタール基量の好ましい下限は60モル%、好ましい上限は85モル%である。上記ポリビニルアセタールXのアセタール基量を60モル%以上とすることにより、遮音層の疎水性を高くして、遮音性を発揮するのに必要な量の可塑剤を含有させることができ、可塑剤のブリードアウトや白化を防止することができる。上記ポリビニルアセタールXのアセタール基量を85モル%以下とすることにより、ポリビニルアセタールXの合成を容易にし、生産性を確保することができる。上記ポリビニルアセタールXのアセタール基量の下限は65モル%がより好ましく、68モル%以上が更に好ましい。
上記アセタール基量は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、上記ポリビニルアセタールXのアセタール基が結合しているエチレン基量を測定することにより求めることができる。
【0037】
上記ポリビニルアセタールXのアセチル基量の好ましい下限は0.1モル%、好ましい上限は30モル%である。上記ポリビニルアセタールXのアセチル基量を0.1モル%以上とすることにより、遮音性を発揮するのに必要な量の可塑剤を含有させることができ、ブリードアウトを防止することができる。また、上記ポリビニルアセタールXのアセチル基量を30モル%以下とすることにより、遮音層の疎水性を高くして、白化を防止することができる。上記アセチル基量のより好ましい下限は1モル%、更に好ましい下限は5モル%、特に好ましい下限は8モル%、より好ましい上限は25モル%、更に好ましい上限は20モル%である。上記アセチル基量は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。
【0038】
特に、上記遮音層に遮音性を発揮するのに必要な量の可塑剤を容易に含有させることができることから、上記ポリビニルアセタールXは、上記アセチル基量が8モル%以上のポリビニルアセタール、又は、上記アセチル基量が8モル%未満、かつ、アセタール基量が65モル%以上のポリビニルアセタールであることが好ましい。また、上記ポリビニルアセタールXは、上記アセチル基量が8モル%以上のポリビニルアセタール、又は、上記アセチル基量が8モル%未満、かつ、アセタール基量が68モル%以上のポリビニルアセタールであることが、より好ましい。
【0039】
上記遮音層における可塑剤の含有量は、上記ポリビニルアセタールX100質量部に対する好ましい下限が45質量部、好ましい上限が100質量部である。上記可塑剤の含有量を45質量部以上とすることにより、高い遮音性を発揮することができ、100質量部以下とすることにより、可塑剤のブリードアウトが生じて、合わせガラス用中間膜の透明性や接着性の低下を防止することができる。上記可塑剤の含有量のより好ましい下限は50質量部、更に好ましい下限は55質量部、より好ましい上限は80質量部、更に好ましい上限は75質量部、特に好ましい上限は70質量部である。
なお、上記遮音層における可塑剤の含有量は、合わせガラス作製前の可塑剤含有量であってもよく、合わせガラス作製後の可塑剤含有量であってもよい。
上記合わせガラス作製後の可塑剤の含有量は、以下の手順に従って測定できる。即ち、まず合わせガラスを作製した後、温度25℃、湿度30%の環境下で4週間静置する。その後、合わせガラスを液体窒素により冷却することでガラスと合わせガラス用中間膜を引き剥がす。得られた合わせガラス用中間膜を、厚さ方向に切断し、温度25℃、湿度30%の環境下に2時間静置した後、保護層と遮音層との間に指又は機械を入れ、温度25℃、湿度30%の環境下で剥離し、遮音層について10gの長方形状の測定試料を得る。得られた測定試料を、ソックスレー抽出器を用いて12時間、ジエチルエーテルで可塑剤を抽出した後、測定試料中の可塑剤の定量を行い、遮音層中の可塑剤の含有量を求める。
【0040】
上記遮音層の厚さの好ましい下限は50μmである。上記遮音層の厚さを50μm以上とすることにより、充分な遮音性を発揮することができる。上記遮音層の厚さのより好ましい下限は80μmである。なお、上限は特に限定されないが、合わせガラス用中間膜としての厚さを考慮すると、好ましい上限は300μmである。
【0041】
上記保護層は、遮音層に含まれる大量の可塑剤がブリードアウトして、合わせガラス用中間膜とガラスとの接着性が低下するのを防止し、また、合わせガラス用中間膜に耐貫通性を付与する役割を有する。
上記保護層は、例えば、ポリビニルアセタールYと可塑剤とを含有することが好ましく、ポリビニルアセタールXより水酸基量が大きいポリビニルアセタールYと可塑剤とを含有することがより好ましい。
【0042】
上記ポリビニルアセタールYは、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより調製することができる。上記ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。
また、上記ポリビニルアルコールの平均重合度の好ましい下限は200、好ましい上限は5000である。上記ポリビニルアルコールの平均重合度を200以上とすることにより、合わせガラス用中間膜の耐貫通性を向上させることができ、5000以下とすることにより、保護層の成形性を確保することができる。上記ポリビニルアルコールの平均重合度のより好ましい下限は500、より好ましい上限は4000である。
【0043】
上記ポリビニルアルコールをアセタール化するためのアルデヒドの炭素数の好ましい下限は3、好ましい上限は4である。アルデヒドの炭素数を3以上とすることにより、合わせガラス用中間膜の耐貫通性が高くなる。アルデヒドの炭素数を4以下とすることにより、ポリビニルアセタールYの生産性が向上する。
上記炭素数が3〜4のアルデヒドとしては、直鎖状のアルデヒドであってもよいし、分枝状のアルデヒドであってもよく、例えば、n−ブチルアルデヒド等が挙げられる。
【0044】
上記ポリビニルアセタールYの水酸基量の好ましい上限は33モル%、好ましい下限は28モル%である。上記ポリビニルアセタールYの水酸基量を33モル%以下とすることにより、合わせガラス用中間膜の白化を防止することができる。上記ポリビニルアセタールYの水酸基量を28モル%以上とすることにより、合わせガラス用中間膜の耐貫通性が高くなる。
【0045】
上記ポリビニルアセタールYは、アセタール基量の好ましい下限が60モル%、好ましい上限が80モル%である。上記アセタール基量を60モル%以上とすることにより、充分な耐貫通性を発揮するのに必要な量の可塑剤を含有させることができる。上記アセタール基量を80モル%以下とすることにより、上記保護層とガラスとの接着力を確保することができる。上記アセタール基量のより好ましい下限は65モル%、より好ましい上限は69モル%である。
【0046】
上記ポリビニルアセタールYのアセチル基量の好ましい上限は7モル%である。上記ポリビニルアセタールYのアセチル基量を7モル%以下とすることにより、保護層の疎水性を高くして、白化を防止することができる。上記アセチル基量のより好ましい上限は2モル%であり、好ましい下限は0.1モル%である。なお、ポリビニルアセタールA、B、及び、Yの水酸基量、アセタール基量、及び、アセチル基量は、ポリビニルアセタールXと同様の方法で測定できる。
【0047】
上記保護層における可塑剤の含有量は、上記ポリビニルアセタールY100質量部に対する好ましい下限が20質量部、好ましい上限が45質量部である。上記可塑剤の含有量を20質量部以上とすることにより、耐貫通性を確保することができ、45質量部以下とすることにより、可塑剤のブリードアウトを防止して、合わせガラス用中間膜の透明性や接着性の低下を防止することができる。上記可塑剤の含有量のより好ましい下限は30質量部、更に好ましい下限は35質量部、より好ましい上限は43質量部、更に好ましい上限は41質量部である。合わせガラスの遮音性がよりいっそう向上することから、上記保護層における可塑剤の含有量は、上記遮音層における可塑剤の含有量よりも少ないことが好ましい。
なお、上記保護層における可塑剤の含有量は、合わせガラス作製前の可塑剤含有量であってもよく、合わせガラス作製後の可塑剤含有量であってもよい。合わせガラス作製後の可塑剤の含有量は、上記遮音層と同様の手順によって測定することができる。
【0048】
合わせガラスの遮音性がより一層向上することから、ポリビニルアセタールYの水酸基量はポリビニルアセタールXの水酸基量より大きいことが好ましく、1モル%以上大きいことがより好ましく、5モル%以上大きいことが更に好ましく、8モル%以上大きいことが特に好ましい。ポリビニルアセタールX及びポリビニルアセタールYの水酸基量を調整することにより、上記遮音層及び上記保護層における可塑剤の含有量を制御することができ、上記遮音層のガラス転移温度が低くなる。結果として、合わせガラスの遮音性がより一層向上する。
また、合わせガラスの遮音性がより一層向上することから、上記遮音層におけるポリビニルアセタールX100質量部に対する、可塑剤の含有量(以下、含有量Xともいう。)は、上記保護層におけるポリビニルアセタールY100質量部に対する、可塑剤の含有量(以下、含有量Yともいう。)より多いことが好ましく、5質量部以上多いことがより好ましく、15質量部以上多いことが更に好ましく、20質量部以上多いことが特に好ましい。含有量X及び含有量Yを調整することにより、上記遮音層のガラス転移温度が低くなる。結果として、合わせガラスの遮音性がより一層向上する。
【0049】
上記保護層の厚さは、上記保護層の役割を果たし得る範囲に調整すればよく、特に限定されない。ただし、上記保護層上に凹凸を有する場合には、直接接する上記遮音層との界面への凹凸の転写を抑えられるように、可能な範囲で厚くすることが好ましい。具体的には、上記保護層の厚さの好ましい下限は100μm、より好ましい下限は300μm、更に好ましい下限は400μm、特に好ましい下限は450μmである。上記保護層の厚さの上限については特に限定されないが、充分な遮音性を達成できる程度に遮音層の厚さを確保するためには、実質的には500μm程度が上限である。
【0050】
上記遮音中間膜を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記遮音層と保護層とを、押し出し法、カレンダー法、プレス法等の通常の製膜法によりシート状に製膜した後、積層する方法等が挙げられる。
【0051】
本発明の合わせガラス用中間膜の製造方法は特に限定されず、従来公知の製造方法を用いることができる。
本発明において合わせガラス用中間膜の少なくとも一方の表面に多数の凹部を形成する方法としては、例えば、エンボスロール法、カレンダーロール法、異形押出法、メルトフラクチャーを利用した押出リップエンボス法等が挙げられる。なかでも、隣接する底部が連続した溝形状の凹部が規則的に並列している形状が容易に得られることから、エンボスロール法が好適である。
【0052】
上記エンボスロール法で用いられるエンボスロールとしては、例えば、金属ロール表面に酸化アルミニウムや酸化珪素等の研削材を用いてブラスト処理を行い、次いで表面の過大ピークを減少させるためにバーチカル研削などを用いてラッピングを行うことにより、ロール表面にエンボス模様(凹凸模様)を有するエンボスロールが挙げられる。他にも、彫刻ミルを用い、エンボス模様(凹凸模様)を金属ロール表面に転写することにより、ロール表面にエンボス模様(凹凸模様)を有するエンボスロールが挙げられる。更に、エッチング(蝕刻)によりロール表面にエンボス模様(凹凸模様)を有するエンボスロール等が挙げられる。
【0053】
本発明の合わせガラス用中間膜が、一対のガラス板の間に積層されている合わせガラスもまた、本発明の1つである。
上記ガラス板は、一般に使用されている透明板ガラスを使用することができる。例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、グリーンガラス等の無機ガラスが挙げられる。また、ガラスの表面に紫外線遮蔽コート層が形成された紫外線遮蔽ガラスも用いることができる。更に、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート等の有機プラスチックス板を用いることもできる。
上記ガラス板として、2種類以上のガラス板を用いてもよい。例えば、透明フロート板ガラスと、グリーンガラスのような着色されたガラス板との間に、本発明の合わせガラス用中間膜を積層した合わせガラスが挙げられる。また、上記ガラス板として、2種以上の厚さの異なるガラス板を用いてもよい。
【0054】
本発明の合わせガラスは、真空脱気法により好適に製造することができる。
真空脱気法では、少なくとも2枚のガラス板の間に合わせガラス用中間膜が積層された積層体を、ゴムバックに入れて減圧吸引し、ガラス板と中間膜との間に残留する空気を脱気しながら予備圧着し、次いで、例えばオートクレーブ内で加熱加圧して本圧着を行う。ここで予備圧着時に、脱気と加熱とを同時に行うことにより、大幅に製造時間を短縮して生産効率を上げることが可能となる。本発明の合わせガラス用中間膜を用いることにより、予備圧着時に脱気と加熱とを同時に行っても先行シールが起こることを防止することができ、高い脱気性を発揮して、透明性の高い合わせガラスを得ることができる。