特許第6875540号(P6875540)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875540
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】近隣セル検出の方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20210517BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20210517BHJP
【FI】
   H04W56/00 130
   H04W72/04 136
   H04W72/04 132
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-549010(P2019-549010)
(86)(22)【出願日】2018年2月23日
(65)【公表番号】特表2020-510343(P2020-510343A)
(43)【公表日】2020年4月2日
(86)【国際出願番号】EP2018054571
(87)【国際公開番号】WO2018162257
(87)【国際公開日】20180913
【審査請求日】2019年11月6日
(31)【優先権主張番号】17160372.3
(32)【優先日】2017年3月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(72)【発明者】
【氏名】アクスモン, ヨアキム
(72)【発明者】
【氏名】リンドフ, ベングト
(72)【発明者】
【氏名】ムーサビ, レザー
(72)【発明者】
【氏名】ティデスタフ, クラース
(72)【発明者】
【氏名】ラモス, エドガー
【審査官】 松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/054058(WO,A1)
【文献】 特開2011−166772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システム内の通信デバイス(35)において実行される近隣セル検出の方法(20)であって、セル検出のための同期信号が、1つまたは複数のサブバンドに位置し、各サブバンドが、システム周波数帯域幅の一部であり、反復時間周期反復され、
各反復時間周期を、各時間間隔が前記同期信号の反復時間周期の一部である時間間隔に分割することと、
前記サブバンドの数に前記時間間隔の数を掛けたサイズを有する規定済みリソースグリッドの一部であるサブバンド時間間隔リソースを処理のために少なくとも1つ選択すること(21)と、
前記少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースに含まれる1つまたは複数の無線サンプルを記録すること(22)と、
記録された前記無線サンプルに対して同期信号の検出を実行すること(23)と、
停止基準が満たされるまで、前記選択すること(21)、前記記録すること(22)、および前記実行すること(23)を反復すること(24)と、
を含む、方法(20)。
【請求項2】
前記実行すること(23)が終了した後、前記少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースを処理済みとしてマークすることを含む、請求項1に記載の方法(20)。
【請求項3】
前記選択すること(21)が、処理済みとしてマークされていないサブバンド時間間隔リソースを選択することを含む、請求項2に記載の方法(20)。
【請求項4】
前記停止基準が、サブバンドの数に時間間隔の数を掛けたサイズを有する規定済みリソースグリッドの全てのサブバンド時間間隔リソースを処理したことを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法(20)。
【請求項5】
前記停止基準が、所望の同期信号を検出したことを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法(20)。
【請求項6】
各サブバンドが、個々の同期信号が送信される前記帯域幅に少なくともまたがる、請求項1からのいずれか一項に記載の方法(20)。
【請求項7】
前記記録すること(22)の前に、前記1つまたは複数の無線サンプルをダウンサンプリングすることを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法(20)。
【請求項8】
2つの隣接する時間間隔が、オーバラップする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法(20)。
【請求項9】
2つの隣接するサブバンドが、オーバラップする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法(20)。
【請求項10】
各サブバンドの前記帯域幅が、前記システム周波数帯域幅よりも小さい、請求項1からのいずれか一項に記載の方法(20)。
【請求項11】
通信デバイス(35)のためのコンピュータプログラム(32)であって、前記通信デバイス(35)の処理回路上で実行されたとき前記通信デバイス(35)に請求項1から10のいずれか一項に記載の前記方法(20)を実行させるコンピュータプログラムコードを含む、コンピュータプログラム(32)。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータプログラム(32)記憶されるコンピュータ可読記憶媒体
【請求項13】
通信システムにおける近隣セル検出のための通信デバイス(35)であって、セル検出のための同期信号が、1つまたは複数のサブバンドに位置し、各サブバンドが、システム周波数帯域幅の一部であり、反復時間周期反復され、前記通信デバイス(35)が、
各反復時間周期を、各時間間隔が前記同期信号の反復時間周期の一部である時間間隔に分割し、
前記サブバンドの数に前記時間間隔の数を掛けたサイズを有する規定済みリソースグリッドの一部であるサブバンド時間間隔リソースを処理のために少なくとも1つ選択し、
前記少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースに含まれる1つまたは複数の無線サンプルを記録し、
記録された前記無線サンプルに対して同期信号の検出を実行し、
停止基準が満たされるまで、前記選択すること、前記記録すること、および前記実行することを反復するように設定される、通信デバイス(35)。
【請求項14】
請求項2から10のいずれか一項に記載の前記方法を実行するように設定される、請求項13に記載の通信デバイス(35)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、一般に、無線通信の分野に関し、詳細には、近隣セル検出の方法、通信デバイス、コンピュータプログラム、およびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムのための現在の標準、例えば、Long−Term Evolution(LTE)は、1.4MHzから最大20MHzの柔軟な帯域幅をサポートし、キャリアアグリゲーション技術を用いて、より広い帯域幅もサポートする。以下においてユーザ機器(UE)により例示される通信デバイスが、ネットワークノード(例えば、LTEの場合、eノードB)に接続するために、UEは、使用するシステム帯域幅だけでなく、セルキャリア周波数を判断する必要がある。さらに、現在のLTE標準では、ネットワークノードおよびUEが、同一のシステム帯域幅を用いてサポートおよび接続するための要件がある。したがって、UEは、ネットワークノードのシステム帯域幅全体にわたって、例えば、制御メッセージを探索しなければならない。
【0003】
本明細書においてNRと示される、5Gにおける来たる新たな無線アクセス技術について、それぞれのネットワークノードのシステム帯域幅に関しては、より包括的な手法が望ましい。NRは、最大数GHzのシステム帯域幅が可能なハイエンドモバイルブロードバンドUEから、おそらく約100kHzから最大数MHz帯域幅をサポートするだけにすぎない低コスト低電力のマシン型通信(MTC)デバイスまで、複数の異なるタイプのUE/デバイスをサポートするべきである。したがって、望ましい要件は、例えば100MHz帯域幅をサポートするUEに、次世代基地局(gノードBと示される)の全体システム帯域幅内のどこかの、スケジューリング帯域幅と示される指定されたUEシステム帯域幅が割り当てられ得ることである。特定の例として、スケジューリング帯域幅は、最大100MHzであってもよく、全体システム帯域幅は、1000MHzであってもよい。gノードBが、UEによってサポートされる帯域幅よりも小さいスケジューリング帯域幅を割り当て得ることもまた、望ましい。
【0004】
NRにおいては、UEがセル検出のために同期信号に依存することが、提案されている。同期信号は、gノードBのシステム帯域幅全体を一杯に満たすことはないが、その代わりに、サブバンドのみ(すなわち、帯域幅の一部のみ)を一杯に満たす。サブバンドは、どのサブバンドを使用するかを隣接ノードに通知する、サービングネットワークノード/サービングビームによって設定される。UEは、同期信号を見つけるべき場所を知るために、使用するサブバンドについても通知される。
【0005】
NRにおいては、LTEレガシーシステムにおけるように、同期信号の固定位置(すなわち、時間および/または周波数の固定位置)が存在しない場合がある。したがって、UEは、周波数内隣接セルを探索するときに、システム帯域幅内の周波数および時間の両方において探索しなければならない。
【0006】
LTEレガシーシステムでは、同期信号が、5ミリ秒(ms)毎に6個の中央リソースブロック(RB)(1.4MHz)で送信され、したがって、セル検出およびモビリティ測定については、無線サンプルに対して1.92MHzのサンプリングレートで動作すれば十分であるが、システム帯域幅は20MHzであってもよく、それによって、無線サンプルが30.72MHzのサンプリングレートで得られる。これによって、UE実装が、セル検出およびモビリティ測定のために無線サンプルを記録および後処理することが可能となり、その場合に、後処理は、ハードウェア(HW)アクセラレータおよびデジタル信号プロセッサ(DSP)などの物理リソースがアイドリング状態であるときに実行され得る。これは、UEが、セル検出だけでなく全ての動作、通信タスクをリアルタイムで実行する必要がある場合よりも低いUEの複雑性をもたらす。
【0007】
LTEと比較したNRにおける同期信号の反復期間の増加(例えば、5msに代えて100ms)、および同期信号が送信されるサブバンドに関する柔軟性に伴って、メモリ要件、処理ケイパビリティ、またはその両方に関するUEの複雑性を現在のLTEと比較して劇的に増加させることなく、UEが周波数内近隣セルを検出することが、困難となっている。
【0008】
上記のことから、複雑性を増加させることなく、したがって通信デバイスのコストを増加させることなく、NRセルを検出する必要があると認識される。
【発明の概要】
【0009】
本教示の目的は、次世代無線アクセス技術についての多様な態様に対処し、改善することである。特定の目的は、通信デバイス(例えば、UE)が効率的にNRセル検出を実行し得る手段による方法およびデバイスを提供することである。別の特定の目的は、通信デバイスの複雑性を増加させることなく、このようなNRセル検出を可能にすることである。これらの目的などは、添付の独立請求項による方法、デバイス、コンピュータプログラム、およびコンピュータプログラム製品によって、ならびに従属請求項による実施形態によって達成される。
【0010】
目的は、通信システム内の通信デバイスにおいて実行される近隣セル検出の方法であって、セル検出のための同期信号が、1つまたは複数のサブバンドに位置し、各サブバンドが、システム周波数帯域幅の一部であり、反復時間周期において反復される、方法によって達成される態様による。方法は、各反復期間を時間間隔に分割することであって、各時間間隔が、同期信号の反復時間周期の一部である、各反復期間を分割することと、処理のために少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースを選択することと、少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースに含まれる1つまたは複数の無線サンプルを記録することと、記録された無線サンプルに対して同期信号の検出を実行することと、停止基準が満たされるまで、選択すること、記録すること、および実行することを反復することと、を含む。
【0011】
方法は、いくつかの利点をもたらす。例えば、方法は、通信デバイスが、それらの複雑性を増加させることなくセル検出を行うことを可能にする。特に、方法を用いて、通信デバイスは、無線サンプルの記憶のために、全システム帯域幅が記録される場合よりも少ないメモリを必要とする。さらに、例えば、セル検出のために使用されるデジタル信号プロセッサおよびハードウェアアクセラレータなどのハードウェアが、全システム帯域幅がサンプリングされ、記憶される場合よりも低いサンプルレートで動作する。さらに、デジタル信号プロセッサおよびハードウェアアクセラレータが、より効率的に利用され得る。
【0012】
目的は、通信デバイスのためのコンピュータプログラムによって達成される態様による。コンピュータプログラムは、通信デバイスの処理回路上で実行されたとき通信デバイスに上記のような方法を実行させるコンピュータプログラムコードを含む。
【0013】
目的は、上記のようなコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品、およびコンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ可読手段によって達成される態様による。
【0014】
目的は、通信システムにおける近隣セル検出のための通信デバイスであって、セル検出のための同期信号が、1つまたは複数のサブバンドに位置し、各サブバンドが、システム周波数帯域幅の一部であり、反復時間周期において反復される、通信デバイスによって達成される態様による。通信デバイスは、各反復期間を、各時間間隔が前記同期信号の反復時間周期の一部である時間間隔に分割し、各時間間隔が、同期信号の反復時間周期の一部であり、処理のために少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースを選択し、少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースに含まれる1つまたは複数の無線サンプルを記録し、記録された無線サンプルに対して同期信号の検出を実行し、停止基準が満たされるまで、選択すること、記録すること、および実行することを反復するように設定される。
【0015】
以下の説明および添付図面を読むと、本教示の実施形態のさらなる特徴および利点が、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本教示の実施形態による、受信機回路を示す。
図2】本教示の実施形態による、セル検出のための時間および周波数ホッピングの例を示す。
図3】本教示による通信デバイスにおける方法のステップにわたるフローチャートを示す。
図4】本教示による通信デバイスにおける方法の実施形態のステップにわたるフローチャートを示す。
図5】本教示による方法の実施形態を実装するための通信デバイスおよび手段を概略的に示す。
図6】本教示の実施形態を実装するための機能モジュール/ソフトウェアモジュールを含む通信デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明において、限定ではなく説明の目的で、完全な理解をもたらすために、特定のアーキテクチャ、インターフェース、技術などの具体的詳細が述べられている。他の例では、周知のデバイス、回路、および方法の詳細な説明は、不必要な詳細で説明を不明瞭にしないために省略される。同一の参照番号は、説明全体を通して同一または類似の要素を参照する。
【0018】
簡潔には、様々な実施形態において、通信デバイス、例えば、UEは、セル検出の目的で無線サンプルを記録し、後処理を行う。UEは、同期信号の反復期間よりも短くなり得る時間において、および時間間隔にわたって、1つまたは複数のサブバンド上で動作し得る。
【0019】
図1は、本教示の実施形態による受信機回路を示す。通信デバイスは、本明細書に開示されるセル検出方法の様々な実施形態を実装するための受信機回路を含み得る。受信機回路は、無線周波数(RF)フロントエンド101、RF受信機部102、ならびに記録および再生ユニット103を含む。通信デバイスは、典型的には、(図に示すように)ベースバンド処理部も含む。
【0020】
RFフロントエンド101において、RF信号は、アンテナ100を介して受信され、バンドパスフィルタ105を通過し、低ノイズ増幅器(LNA)110によって増幅される。RF受信機部102において、RF信号は、発振器120によって制御されるミキサ115によってベースバンド信号にミックスダウンされる。ベースバンド信号は、対象帯域幅外の干渉を抑制するローパスフィルタ125を通過する。ローパスフィルタリングされたベースバンド信号は、自動利得制御(AGC)130に従い、アナログデジタルコンバータ(ADC)135によってデジタル信号に変換される。
【0021】
RF受信機部102のADC135の出力における信号は、最大が全システム帯域幅のサブバンドの範囲内のどこかであり得る帯域幅を有する。第1の帯域幅BWを有する信号が、さらなる処理のためにデジタルベースバンド回路(図示せず)に供給される。同一の信号が、バンドパスフィルタ140、デシメータ145、およびメモリ/記憶装置150を含む、記録および再生ユニット103にも供給される。デシメータ145を通過した後、信号は、第1の帯域幅BWよりも小さくなり得る第2の帯域幅BWを有する。しかしながら、いくつかのシナリオおよび実施形態において、第1の帯域幅BWおよび第2の帯域幅BWは、同一であってもよい(一致してもよい)ことに留意されたい。
【0022】
制御ユニット160は、バンドパスフィルタ140、デシメータ145、および記憶装置150の動作を設定するために提供され得る。制御ユニット160は、第1の帯域幅BWおよび第2の帯域幅BW(BW<BW)のどちらのサブバンドが、同期信号の反復期間に関するどの時間間隔において記録されるべきかを判断するように設定され得る。一度、サブバンドについて時間間隔(「サブバンド時間間隔」)が記録されたら、制御ユニット160は、そのサブバンド時間間隔を処理済みとしてマークし、その結果、システム帯域幅(または、同期信号が送信され得るその一部)および同期信号周期性によって構成されるリソースグリッドにわたる全ての他のそのようなサブバンド時間間隔が処理されるまで、処理のために再びその特定のサブバンド時間間隔を選択するべきではない。同期反復期間は、1つまたは複数のより短い時間間隔に分解され得る。
【0023】
記録された信号は、一次同期信号(PSS)検出ユニット165、および二次同期信号(SSS)検出ユニット170を含み得る、セル検出ユニット155によってオフラインで処理され得る。いくつかの実施形態において、セル検出ユニット155は、モビリティパイロットまたは同期信号に対する信号強度測定を実行する測定ユニット175も含む。信号強度測定値についての例は、参照信号受信電力(RSRP)、参照信号受信品質(RSRQ)、受信信号強度指標(RSSI)、参照信号の信号対干渉電力と雑音比(RS−SINR)などを含む。そのような測定値は、例えば、セルもしくはビーム検証、またはモビリティ目的で使用され得る。
【0024】
図2は、本教示の実施形態による、セル検出のための時間および周波数ホッピングの例を示す。特に、図2は、(図1を参照して説明される受信機回路101、102、103を含む)通信デバイスがどのように時間−周波数リソースを記録および処理し得るか、すなわち、サブバンド時間間隔を記録および処理する方法を示す。
【0025】
図において、記録間隔は、記録および再生ユニット103がそれに対する信号入力を記録する時間間隔であり、そのような記録時間間隔は、水平軸に沿って示されている。記録間隔は、前述したように、サブバンド時間間隔と示される。全体システム帯域幅BWは、垂直軸に沿って示されている。全体システム帯域幅BWは、サブバンドに分割される。すなわち、サブバンドは、全体システム帯域幅BWの周波数の一部を含む。空の四角は、通信デバイスがいかなる測定も行わないサブバンド時間間隔を示す。斜線付きの四角は、記録および再生ユニット103によって記録中のサブバンド時間間隔を示す。ドット付きの四角は、記録および再生ユニット103によって既に記録されたサブバンド時間間隔を示す。
【0026】
通信デバイスは、同期信号の反復期間(同期反復期間、水平軸に沿って図の上部に示される)を意識しているが、同期信号を見つける場所を見つけ出す必要がある。このため、通信デバイス(その記録および再生ユニット103)は、第1の同期反復期間201において、特定のサブバンド時間間隔を記録し得る。第2の同期反復期間202において、通信デバイスは、別のサブバンド時間間隔を記録し得る。第2の同期反復期間202において、(第1の同期反復期間201の間に)既に記録されたサブバンド時間間隔は、ドット付きの四角によって示され、第2のサブバンド時間間隔は、記録中として示されている。これに対応して、第3の同期反復期間203では、第1の同期反復期間201および第2の同期反復期間202において記憶されるサブバンド時間間隔は、既に記録済みとして示され、第3のサブバンド時間間隔は、記録中として示されている。図2に示され、かつ図2を参照して説明されるサブバンド時間間隔の記録は、単に例示的な例として提供されること、および多くの他の探索戦略が使用され得ることに留意されたい。
【0027】
図3は、本教示による通信デバイスにおける方法10のステップにわたるフローチャートを示す。
【0028】
ボックス11において、全てのサブバンド時間間隔が、処理のためにクリアされる。すなわち、制御ユニット160が、上述の周波数内近隣セル測定を始めるとき、制御ユニット160は、まず、全てのサブバンド時間間隔を処理に適したものにするために、その以前のブックキーピングを全てクリアする。
【0029】
ボックス12において、制御ユニット160は、次いで、処理のために第1のサブバンド時間間隔を識別する。前述したように、通信デバイスがセル検出を実行し得る様々なやり方がある。例えば、通信デバイスは、近隣セルの中心周波数において開始するように設定されてもよい。いくつかのセルが、同一の中心周波数を有するとみられ、したがって、通信デバイスは、サービングセルが有するのと同一の中心周波数で開始してもよく、その中心周波数を通信デバイスが意識する。後続するフローの繰り返しにおいて、第2のサブバンド時間間隔が、識別されることとなる。この第2のサブバンド時間間隔は、第1のサブバンド時間間隔に隣接するサブバンド時間間隔であってもよい。さらなる別の例として、通信デバイスは、疑似ランダム方式または完全にランダムな方式で、セル探索を実行するように設定されてもよい。
【0030】
ボックス13において、制御ユニット160は、無線サンプルの記録を設定する。無線サンプルは、ボックス12において識別された第1のサブバンド時間間隔の間記録される。
【0031】
ボックス14において、制御ユニット160は、記録されたサンプルに対してセル検出を実行する。例えば制御ユニットのハードウェア(例えば、制御ユニットがどのくらい速く実行され得るか)に応じて、1つまたは複数の無線サンプルが、各繰り返しにおいて扱われ得る。
【0032】
ボックス15において、制御ユニット160は、ブックキーピングステップを実行し、特定段階における特定サブバンドを処理済みとしてマークする。サブバンド時間間隔が処理された後、制御ユニット160は、全ての他のそのようなサブバンド時間間隔が処理されるまで、既に処理済みとしてサブバンド時間間隔をブックキーピングする。
【0033】
決定ボックス16において、処理されるべきサブバンド時間間隔がさらに存在するかどうかが決定される。
【0034】
存在する場合、上記ステップ(ボックス12、13、14、15)が反復される。これらのステップ(ボックス12、13、14、15、および16)は、何らかの停止基準が満たされるまで、反復される。全てのサブバンド時間間隔が処理されたとき、フローは、ボックス11まで続き、制御ユニット160は、ブックキーピングをクリアし、再び最初からやり直してもよい。
【0035】
1つの実施形態において、停止基準は、全てのサブバンド時間間隔が処理されたことである。別の実施形態では、停止基準は、ある同期信号がサブバンド時間間隔において検出されたことである。追加のサブバンド時間間隔の処理をいつ停止するかを決定するための複数の他のオプションがある。
【0036】
近隣セルからの信号が、記録された時間間隔の外側に部分的に入るために、検出され得ないことを回避するために、時間間隔は、例えば、一次および/または二次同期信号にわたる直交周波数分割多重(OFDM)シンボルの数だけオーバラップすることによって、互いにオーバラップしてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、通信デバイスは、1つより多くのサブバンドを毎回記録することが可能であってもよく、したがって、セル検出プロセスを高速化する。
【0038】
さらなる他の実施形態において、時間/周波数スプリットは、オーバラップしてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、通信デバイスは、最後に見つけられた同期信号に基づいて探索を開始してもよい。すなわち、通信デバイスは、最初に、最後の時間/周波数ウィンドウにおいて同期信号を探索し、見つからない場合に、最初に隣接する時間/周波数ウィンドウなどにより継続する。
【0040】
説明された様々な特徴および実施形態が、図4を最初に参照して次にその例が与えられる、多くの異なるやり方で組み合わされ得る。
【0041】
図4は、本教示による通信デバイスにおける方法の実施形態のステップにわたるフローチャートを示す。近隣セル検出の方法20が提供される。近隣セル検出は、周波数内検出または周波数間検出であってもよい。方法は、通信デバイス35において実行され得る。通信デバイス35は、進化型モバイルブロードバンドUE、例えば、スマートフォン、および低コスト低電力マシン型通信(MTC)デバイスなど、無線周波数上で通信することが可能な任意の種類のデバイスであってもよい。
【0042】
方法20は、処理のために少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースを選択すること21であって、各サブバンドが、システム周波数帯域幅の一部であり、各時間間隔が、同期信号の反復時間周期の一部である、選択すること21を含む。例えば、図2および図3に関連して前述したように、システム周波数帯域幅は、1つまたは複数のサブバンドに分割されてもよく、同期信号反復期間は、1つまたは複数の時間間隔に分割されてもよい。サブバンド×時間間隔のサイズのリソースグリッドが、規定されてもよく、全てのリソースが、処理に適するとしてマークされてもよい。選択すること21は、処理のためのサブバンド時間間隔リソースが、処理に適したリソースであると判断するサブステップを含んでもよい。1つのサブバンド時間間隔リソースは、例えば、既に処理されていないリソースであるべきである。
【0043】
方法20は、少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースに関連付けられた1つまたは複数の無線サンプルを記録すること22を含む。無線サンプルを記録することによって、セル検出処理が非リアルタイム方式で行われ得る。
【0044】
方法20は、記録された無線サンプルに対してセル検出を実行すること23を含む。セル検出の実行は、例えば、システム情報ブロックにおいておそらく伝達される物理セルIDまたは何らかのシステム情報などの、近隣セルについての基本情報を復号することを含んでもよい。
【0045】
方法20は、停止基準が満たされるまで、選択すること21、記録すること22、および実行すること23を反復すること24を含む。
【0046】
方法は、いくつかの利点をもたらす。例えば、方法は、通信デバイス35が、それらの複雑性を増加させることなく近隣セル検出を行うことを可能にする。特に、方法20を用いて、通信デバイス35は、無線サンプルの記憶のために、全システム帯域幅が記録される場合よりも少ないメモリを必要とする。さらに、例えば、セル検出のために使用されるデジタル信号プロセッサおよびハードウェアアクセラレータなどのハードウェアが、全システム帯域幅がサンプリングされ、記憶される場合よりも低いサンプルレートで動作する。さらに、デジタル信号プロセッサおよびハードウェアアクセラレータが、より効率的に利用され得る。
【0047】
実施形態において、方法20は、実行すること23が終了した後、少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースを処理済みとしてマークすることを含む。
【0048】
実施形態において、選択すること21は、処理済みとマークされていないサブバンド時間間隔リソースを選択することを含む。
【0049】
様々な実施形態において、各サブバンド時間間隔リソースは、サブバンドの数に時間間隔の数を掛けたサイズを有する、規定済みリソースグリッドの一部である。
【0050】
様々な実施形態において、停止基準は、サブバンドの数に時間間隔の数を掛けたサイズを有する規定済みリソースグリッドの全てのサブバンド時間間隔リソースを処理したことを含む。このような実施形態において、処理のためのサブバンドを選択することができないとき、方法20は、終了する。他の実施形態において、方法20は、停止基準が満たされるかどうかを判断するステップを含んでもよく、そのような判断ステップは、例えば、反復することのステップの一部である。
【0051】
処理は、説明されたように、サブバンド時間間隔リソースに関連付けられた無線サンプルをダウンサンプリングすること、および記録すること、記録されたデータに対してセル検出を実行すること、リソースを処理済みとしてマークすることを含み得る。
【0052】
様々な実施形態において、停止基準は、所望の同期信号を検出したことを含む。
【0053】
様々な実施形態において、各サブバンドは、個々の同期信号が送信される帯域幅に少なくともまたがっている。
【0054】
様々な実施形態において、方式20は、記録すること22の前に、1つまたは複数の無線サンプルをダウンサンプリングすることを含む。ダウンサンプリングすること、および記録することは、例えば、記録の開始時間および停止時間を判断すること、フィルタリングおよびダウンサンプリングするサブバンドを判断すること、ダウンサンプリング比(BW対BW)を判断すること、ならびにフィルタ、デシメータ、および記憶装置を設定することを含み得る。
【0055】
様々な実施形態において、2つの隣接する時間間隔は、オーバラップしている。オーバラップは、例えば、同期信号がまたがっている通信リソースに対応する時間だけであってもよい。同期信号は、前に例示したように、一次同期信号および/または二次同期信号であってもよい。
【0056】
様々な実施形態において、隣接するサブバンドは、オーバラップしている。サブセット間の周波数領域における長さが、オーバラップされてもよい。前述したように、通信デバイス35は、システム帯域幅のどこかで同期信号を探索し得る。いくつかの実施形態において、システム帯域幅は、2つに分割されてもよく、いくつかの実施形態において、サブバンドは、周波数においてオーバラップしてもよい。
【0057】
様々な実施形態において、各サブバンドの帯域幅は、システム周波数帯域幅よりも小さい。
【0058】
図5は、本教示による方法の実施形態を実装するための通信デバイスおよび手段を概略的に示す。通信デバイス35は、前述のように、任意の種類の無線通信デバイス、例えば、携帯電話、またはMTCデバイスであってもよい。
【0059】
通信デバイス35は、例えば、記憶媒体31の形式で、コンピュータプログラム製品31に記憶されるソフトウェア命令を実行することが可能な、適当な中央処理装置(CPU)、マルチプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)などのうちの1つまたは複数の任意の組合せであり得る処理回路30を含む。処理回路30は、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)としてさらに提供されてもよい。
【0060】
処理回路30は、例えば、図3および図4に関連して説明されるように、動作またはステップのセットを通信デバイス35に実行させるように設定される。例えば、記憶媒体31は、動作のセットを記憶してもよく、処理回路30は、動作のセットを記憶媒体31から取り出して、通信デバイス35に動作のセットを実行させるように設定されてもよい。動作のセットは、実行可能な命令のセットとして提供されてもよい。処理回路30は、それによって、本明細書に開示される方法を実行するように配置される。
【0061】
記憶媒体31は、例えば、磁気メモリ、光学メモリ、ソリッドステートメモリ、または遠隔搭載されたメモリさえも、これらのうちの任意の単一のもの、または組合せであり得る永続的記憶装置も含み得る。
【0062】
通信デバイス35は、例えば、ネットワークノードと他の通信デバイスとの通信のためのインターフェース33(図においてI/Oと示される)をさらに含み得る。インターフェース33は、例えば、無線接続のためのインターフェースであってもよく、1つまたは複数の入力/出力デバイス、アンテナ、送信回路、受信回路、および/または他のデバイスもしくはエンティティとの通信用のプロトコルスタックを含んでもよい。インターフェース33は、データ入力を受信するため、およびデータを出力するために使用され得る。
【0063】
通信デバイス35は、図1を参照して説明したように、無線周波数(RF)フロントエンド101、RF受信機部102、ならびに記録および再生ユニット103をさらに含む。これらの部分101、102、103のそれぞれが、例えば、図1を参照して説明された、コンポーネント100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、および175のうちの1つまたは複数を含む。
【0064】
近隣セル検出のための通信デバイス35が、提供される。通信デバイス35は、
処理のために少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースを選択し、各サブバンドが、システム周波数帯域幅の一部であり、各時間間隔が、同期信号の反復時間周期の一部であり、
少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースに関連付けられた1つまたは複数の無線サンプルを記録し、
記録された無線サンプルに対してセル検出を実行し、
停止基準が満たされるまで、選択すること、記録すること、および実行することを反復するように設定される。
【0065】
通信デバイス35は、例えば、1つまたは複数のプロセッサ30(または処理回路)、およびメモリ31を含むことによって、上記ステップを実行するように設定されてもよく、メモリ31は、プロセッサ30によって実行可能な命令を含み、それによって、通信デバイス35は、ステップを実行するように動作可能である。すなわち、実施形態において、通信デバイス35は、近隣セル検出のために提供される。通信デバイス35は、1つまたは複数のプロセッサ30、およびメモリ31を含み、メモリ31は、プロセッサ30によって実行可能な命令を含み、それによって、通信デバイス35は、処理のために少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースを選択し、各サブバンドが、システム周波数帯域幅の一部であり、各時間間隔が、同期信号の反復時間周期の一部であり、少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースに関連付けられた1つまたは複数の無線サンプルを記録し、記録された無線サンプルに対してセル検出を実行し、停止基準が満たされるまで、選択すること、記録すること、および実行することを反復するように動作可能である。
【0066】
実施形態において、通信デバイス35は、実行することが終了した後、少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースを処理済みとしてマークするように設定される。
【0067】
様々な実施形態において、通信デバイス35は、処理済みとマークされていないサブバンド時間間隔リソースを選択するように設定される。
【0068】
様々な実施形態において、各サブバンド時間間隔リソースは、サブバンドの数に時間間隔の数を掛けたサイズを有する、規定済みリソースグリッドの一部である。
【0069】
様々な実施形態において、停止基準は、サブバンドの数に時間間隔の数を掛けたサイズを有する規定済みリソースグリッドの全てのサブバンド時間間隔リソースを処理したことを含む。
【0070】
様々な実施形態において、停止基準は、所望の同期信号を検出したことを含む。
【0071】
様々な実施形態において、各サブバンドは、同期信号が送信される帯域幅に少なくともまたがっている。
【0072】
様々な実施形態において、通信デバイス35は、記録の前に、1つまたは複数の無線サンプルをダウンサンプリングするように設定される。
【0073】
様々な実施形態において、2つの隣接する時間間隔がオーバラップしている。
【0074】
様々な実施形態において、2つの隣接するサブバンドがオーバラップしている。
【0075】
様々な実施形態において、各サブバンドの帯域幅は、システム周波数帯域幅よりも小さい。
【0076】
図6は、本教示の実施形態を実装するための機能モジュール/ソフトウェアモジュールを含む通信デバイスを示す。機能モジュールは、プロセッサ内で実行中のコンピュータプログラムなどのソフトウェア命令を使用して、ならびに/または特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ、個別の論理コンポーネントなど、およびそれらの任意の組み合わせなどのハードウェアを使用して、実装され得る。様々な実施形態において説明されている方法20のステップのいずれかを実行するように適合可能であり、特に適合され得る、処理回路が提供され得る。
【0077】
通信デバイス35は、周波数内近隣セル検出用に提供される。通信デバイスは、処理のために少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースを選択するための第1のモジュール41であって、各サブバンドが、システム周波数帯域幅の一部であり、各時間間隔が、同期信号の反復時間周期の一部である、第1のモジュール41を含む。第1のモジュール41は、例えば、そのような選択を実行するために適合された処理回路を含み得る。
【0078】
通信デバイスは、少なくとも1つのサブバンド時間間隔リソースに関連付けられた1つまたは複数の無線サンプルを記録するための第2のモジュール42を含む。そのような第2のモジュール42は、例えば、前述した記録および再生ユニット103を含み得る。別の例として、第2のモジュール42は、無線サンプルを記録するために適合された処理回路を含んでもよい。
【0079】
通信デバイスは、記録された無線サンプルに対するセル検出を実行するための第3のモジュール43を含む。第3のモジュール43は、例えば、前述したセル検出ユニット155を含んでもよい。別の例として、第3のモジュール43は、セル検出を実行するために適合された処理回路を含んでもよい。
【0080】
通信デバイスは、停止基準が満たされるまで、選択すること、記録すること、および実行することを反復するための第4のモジュール44を含む。第4のモジュール44は、例えば、停止基準が満たされることを検出するまで反復することを始めるために適合された処理回路を含んでもよい。
【0081】
発明は、主に、少数の実施形態を参照して本明細書で説明されている。しかしながら、当業者によって理解されるように、本明細書で開示された特定の実施形態以外の実施形態が、添付された特許請求の範囲によって規定される発明の範囲内において同様に可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6