【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの目的は、熱交換デバイス用のプレート・パッケージによって達成され、プレート・パッケージは、プレート・パッケージ内に交互に配置された第1のタイプの複数の熱交換プレートと第2のタイプの複数の熱交換プレートを含み、それぞれの熱交換プレートが幾何学的主延長面を有し、交互に配置された熱交換プレートが、実質的に開いて、蒸発する媒体の流れがそこを通過するのを許容するように配置された第1のプレート間隙と、閉じられて、媒体を蒸発させるために流体の流れを許容するように配置された第2のプレート間隙を形成し、
第1のタイプおよび第2のタイプのそれぞれの熱交換プレートが、上部と、下部と、上部と下部とを相互接続する2つの対向する側部とを備えた周縁部を有し、
第1のタイプおよび第2のタイプの熱交換プレートが、対向する側部の少なくとも一部分に沿って、周縁部に沿って間隔をおいて延びる嵌合当接部をさらに含み、それによって、それぞれの第1のプレート間隙を、内側の熱伝達部内と2つの外側の排出部内とに分離し、
少なくとも第1のタイプの熱交換プレートが、対向する側部の少なくとも一部に沿って、幾何学的主延長面からの方向に周縁部から延びる排出チャネル・フランジをさらに含み、
それぞれの熱交換プレートの排出チャネル・フランジが、同一の方向に向けられ、第1の熱交換プレートの排出チャネル・フランジが、後続の熱交換プレートの排出チャネル・フランジに当接またはオーバーラップするように、幾何学的主延長面の法線に沿った成分を有する延長部を有し、ここで、後続の熱交換プレートは、第1のタイプの熱交換プレートまたは第2のタイプの熱交換プレートのいずれかであり、
それによって、排出チャネル・フランジが、外側排出部に対して外壁を形成し、それにより外側排出部を排出チャネルに変換する。
【0013】
したがって、上記タイプのプレート・パッケージ設計によって、シェルの上部に存在する液体形態の冷却媒体を、その内側壁の対向する側部に沿って延びる複数の排出チャネルの内側に沿って案内することができ、熱交換プレートの対向する主面の間に形成された第1のプレート間隙からも離間している。この距離は、排出チャネルの断面をそれぞれ画定する壁および接合部の設計に応じて、少なくとも熱交換プレートを構成するシート材料の材料厚さによってもたらされる。形成された距離は、シェルの内壁からプレート・パッケージ内のプレート間隙から排出チャネルへの熱伝達を減少させ、それによって液体媒体が排出チャネル内で蒸発し、それによって液体チャネルが蒸発するリスクを減少させ、さらに、サーモサイフォン・ループの妨害または停止する断熱材と見なすことができる。それにより、より安定した液体の流れが促進される。
【0014】
また、排出チャネルは、例えば、ステンレス鋼よりも炭素鋼に対する親和性が強いためにシェルの内壁の湾曲部に追従しやすい圧縮機オイルのプレート・パッケージの第1の間隙への移動を防ぐ。むしろ、第1のプレート間隙への圧縮機オイルの流入は、シェルの上部に面し、第1の間隙に向かって開口部を形成する長手方向のギャップに制限されるようになる。そのエリアの圧縮機オイルの量は通常より少なくなる。
【0015】
第1のプレート間隙と接触する可能性のある圧縮機オイルの量を減らすことにより、熱伝達面に断熱性の堆積物が形成される危険性が減る。これにより、効率を維持しながら、フット・プリントに関し、またはプレート・パッケージに含まれる熱交換プレートの数に関し、プレート・パッケージをより小さくすることができる。それによって、全体のコストを削減できる。
【0016】
さらに別の利点として、排出フランジは、熱交換プレートの全体的な剛性を向上させ、積み重ね中の熱交換プレートの案内や結合までの積み重ねの取り扱いにも貢献する。それにより、固定具の複雑さを軽減できる。
【0017】
排出チャネル・フランジが周縁部から幾何学的主延長面からの方向に延びるという定式化の代替または補足として、排出チャネル・フランジは周縁部から幾何学主延長面の法線に対して角度βで延び得る。
【0018】
嵌合当接部は、第1のタイプの熱交換プレートおよび第2のタイプの熱交換プレートに形成された隆起部によって、或いは、隆起部を含む第1または第2のタイプの熱交換プレートと、本質的に平坦な面を含む他のタイプの熱交換プレートによって形成され得る。嵌合当接部は、タイプに関係なく、熱交換プレートの積み重ねをオーブン内で加熱して結合プレート・パッケージを形成するときに形成される結合に沿って接触ゾーンを構成する。積層中に、当接部の間に中間結合材料が配置され得ることを理解されたい。2つの嵌合当接部を形成する隆起部は、同じまたは異なる高さを有し得る。
【0019】
それぞれの排出チャネルは、その長手方向の延長を横断する断面で見られるように、排出チャネルのフランジ、第1のタイプの熱交換プレートの外側排出部および当接部によって画定され、並びに、第2のタイプの隣接する熱交換プレートの当接部および外側排出部によって画定され得る。
【0020】
それぞれの排出チャネルは、その長手方向の延長部を横断する断面で見られるように、長手方向の延長部に沿って均一な断面形状を有し得る。これにより、過度の局所フロー制限が形成されない。
【0021】
第1のタイプの熱交換プレートの当接部は、第2のタイプの熱交換プレートの当接部に密封当接し得る。密封当接または密封状態のオーバーラップが、長手方向の延長部に見られるように、実質的に閉じた排出チャネルをもたらす。それにより、その長手方向を横切る任意の方向での排出チャネルからの、または排出チャネルへの流れが防止される。より剛性の高いプレート・パッケージをさらに提供するため、オーバーラップが有利である。
【0022】
第1のタイプの熱交換プレートの排出チャネル・フランジは、第1または第2のタイプの後続の熱交換プレートの排出チャネル・フランジに密封当接または密封状態でオーバーラップされ得る。密封状態のオーバーラップにより、毛細管現象によって圧縮機オイルが排出チャネルの横断方向に排出チャネル内に移動するリスクはない。より剛性の高いプレート・パッケージをさらに提供するので、オーバーラップが有利である。
【0023】
それぞれの排出チャネルは、周縁部の上部に面する入口開口部を有し、入口開口部は、ほぼ水平な延長部を有する口を有し得る。それにより、排出チャネルの入口は、プレート・パッケージの上部に面し、したがって、プレート・パッケージの上のシェルの内部空間の自由体積に面する。
【0024】
それぞれの排出チャネルは、周縁部の下部に面する出口開口部を有し得る。周縁部の下部、したがってプレート・パッケージの下部は、プレート・パッケージが熱交換デバイスで使用される場合、通常、媒体の収集空間に面するように配置される。それにより、液相の媒体、または排出チャネルに沿ってその内部に導かれている間に液相に変換される媒体は、収集空間に向かって案内され、収集空間に放出される。
【0025】
排出チャネル・フランジの下部は、周縁部の側部と下部との間の移行部を越えて延び得る。流れ方向の変化は、圧縮機オイルの蓄積の放出を促進するのに有利であることが示されている。
【0026】
プレート・パッケージの一実施形態では、それぞれの熱交換プレートの上部は湾曲しており、それぞれの熱交換プレートの下部は実質的に直線であり、
第1のポートホールは、それぞれの熱交換プレートの下部に、周縁部の下部から距離を置いて配置され、それにより、周縁部の下部の実質的直線部分と第1のポートホールの周縁との間に位置する第1の中間部分を画定し、第1の中間部分が、第1のポートホールの中心と周縁部の下部との間の最短距離を含み、
第2のポートホールは、熱交換プレートの上部に、周縁部の上部から距離を置いて配置され、それにより、周縁部の上部と第2のポートホールの周縁との間に位置する第2の中間部分を画定し、第2の中間部分が、第2のポートホールの中心と周縁部の下部との間の最短距離を含み、
第1のシールド・フランジが、第1の中間部分の少なくとも一部に沿って配置され、周縁部の下部に沿った延長部を有し、前記第1のシールド・フランジが、第1のポートホールの直径より小さく、より好ましくは第1のポートホールの直径の80%より小さい、最短距離を横断する方向に見た長さを有し、および/または、
第2のシールド・フランジが、第2の中間部分の少なくとも一部に沿って配置され、周縁部の上部に沿った延長部を有し、前記第2のシールド・フランジが、第2のポートホールの直径の200〜80%、より好ましくは第2のポートホールの直径の180〜120%の、最短距離を横断する方向に見た長さを有する。
【0027】
オーブン内の熱交換プレートの積み重ねの結合中に熱交換プレートに熱を加えると、熱は熱交換プレートの周辺からその中心に向かって移動する。熱交換プレート全体で均一な温度勾配を達成する時間は、加熱する必要のある材料の量に依存する。従来技術の熱交換プレートでは、中間部分は熱交換プレートの残りの部分よりも速く加熱される。そのような不均一な温度勾配は、中間部分が熱交換プレートの残りの部分よりも弱いという事実と組み合わされて、中間部分の熱座屈のリスクをもたらす。座屈は、隣接する熱交換プレート間の意図した接触面を危険にさらし、その結果、不十分な結合と接合漏れを引き起こし得る。最悪のシナリオでは、結果として生じるプレート・パッケージは流体を媒体に漏らすが、これは許容できない欠陥である。
【0028】
ポートホールに近接する中間部分の少なくとも延長に沿ってシールド・フランジを配置することにより、遮熱効果が提供される。遮熱効果は、中間部分の前に加熱する必要がある局所的に追加された材料によって引き起こされる。局所的に追加された材料をシールド・フランジとして提供することにより、追加された材料は熱交換プレートの利用可能な熱伝達領域/フット・プリントの一部を形成せず、むしろプレート・パッケージの周方向側壁に沿って延びる。したがって、より均一な温度勾配が提供され得る。改善された熱分布により、全体的な接合部の品質が向上し、漏れのリスクが低下する。
【0029】
シールド・フランジは遮熱として機能するだけでなく、熱交換プレートの全体的な剛性を高め、取り扱い中の熱交換プレートのたるみを軽減する。後者は、特に大きな熱交換プレートの場合である。さらに、シールド・フランジは、積み重ねの間の熱交換プレートの案内および結合までの積み重ねの取り扱いに寄与する。それによって固定具はより複雑でなくなり得る。
【0030】
シールド・フランジの延長部は、それぞれのポートホールが沿って配置される周縁部の部分の曲率、ポートホールの中心と周縁との間の最短距離、ポートホールの直径、および、熱交換プレートの材料の厚さのようなパラメータに依存する。
【0031】
実質的に真っ直ぐな下縁部は、湾曲した上部に隣接して配置された第2の中間部分の面積よりも第1の中間部の面積を大きくする。第1および第2の中間部分のそれぞれの最短距離が同じであり、かつ第1および第2のポートホールの直径が同じである場合、第2の中間部分の面積は第1の中間部分の面積よりも小さくなる。したがって、対応する遮熱効果を可能にするには、第2のシールド・フランジを第1のシールド・フランジより長くする必要がある。
【0032】
シミュレーションとトライアルにより、下縁部が本質的に真っ直ぐであれば、第1のシールド・フランジの長さは、周縁部の下部と第1のポートホールの中心との間の最短距離を横断する方向で見た場合、 第1のポートホールの直径よりも小さく、より好ましくは、第1のポートホールの直径の80%よりも小さい。同様に、第2のシールド・フランジは、第2のポートホールの直径の200〜80%、より好ましくは、第2のポートホールの直径の180〜120%の長さを有し得る。
【0033】
別の態様によれば、本発明は、熱交換デバイスにおける上述のプレート・パッケージの使用に関する。プレート・パッケージは、プレート・シェル型の熱交換デバイスで使用されるのに特に適している。そのような使用の利点は上記の段落で説明されており、過度の繰り返しを避けるために、上記の段落を参照する。
【0034】
さらに別の態様によれば、本発明は、実質的に閉じられた内部空間を形成し、内部空間に面する内壁面を備えたシェルを含む熱交換デバイスに関し、前記熱交換デバイスは、プレート・パッケージを含むように構成され、前記プレート・パッケージは、
プレート・パッケージ内に交互に配置された第1のタイプの複数の熱交換プレートと第2のタイプの複数の熱交換プレートを含み、それぞれの熱交換プレートが幾何学的主延長面を有し、主延長面が実質的に垂直であるように設けられ、交互に配置された熱交換プレートが、内部空間に向かって実質的に開いて、蒸発する媒体の循環がそこを通過するのを許容するように配置された第1のプレート間隙と、内部空間に対して閉じられて、媒体を蒸発させるために流体の流れを許容するように配置された第2のプレート間隙を形成し、
第1のタイプおよび第2のタイプのそれぞれの熱交換プレートが、上部と、下部と、上部と下部とを相互接続する2つの対向する側部とを備えた周縁部を有し、
第1のタイプおよび第2のタイプの熱交換プレートが、対向する側部の少なくとも一部分に沿って、周縁部に沿って間隔をおいて延びる嵌合当接部をさらに含み、それによって、それぞれの第1のプレート間隙を、内側熱伝達部内と2つの外側排出部内とに分離し、
少なくとも第1のタイプの熱交換プレートが、対向する側部の少なくとも一部に沿って、幾何学的主延長面からの方向に周縁部から延びる排出チャネル・フランジをさらに含み、
それぞれの熱交換プレートの排出チャネル・フランジが、同一の方向に向けられ、第1の熱交換プレートの排出チャネル・フランジが、後続の熱交換プレートの排出チャネル・フランジに当接またはオーバーラップするように、幾何学的主延長面の法線に沿った成分を有する延長部を有し、後続の熱交換プレートが、第1のタイプの熱交換プレートまたは第2のタイプの熱交換プレートのいずれかであり、
それによって、排出チャネル・フランジが、外側排出部に対して外壁を形成し、それにより外側排出部を排出チャネルに変換する。
【0035】
この特徴の組み合わせを備えた熱交換デバイスの利点は、熱交換プレートおよびそのようなプレートを含むプレート・パッケージの文脈において徹底的に議論されてきた。過度の繰り返しを避けるため、上記の段落を参照されたい。
【0036】
好ましい実施形態は、従属請求項および説明に記載されている。