【実施例】
【0214】
以下に示す実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、これらはいかなる意味においても限定的に解釈されるものではない。なお、下記実施例において遺伝子操作に関する各操作は特に明示がない限り、「モレキュラークローニング(Molecular Cloning)」(Sambrook,J.,Fritsch,E.F.及びManiatis,T.著,Cold SpringHarbor Laboratory Pressより1989年発刊)に記載の方法及びその他の当業者が使用する実験書に記載の方法により行うか、又は、市販の試薬やキットを用いる場合には市販品の指示書に従って行った。また、本明細書において、特に記載のない試薬、溶媒及び出発材料は、市販の供給源から容易に入手可能である。
【0215】
実施例1:内在化活性を有するラット抗ヒトGPR20抗体の取得
1)−1 ヒトGPR20発現ベクターの構築
ヒトGPR20タンパク質(NP_005284)をコードするcDNAは、当業者に公知な方法に従いヒト脳由来cDNAを鋳型としたPCR法により増幅され、哺乳動物発現用ベクターに組み込むことによってヒトGPR20発現ベクターpcDNA3.1−hGPR20が作製された。ヒトGPR20のアミノ酸配列を配列表の配列番号1に示す。pcDNA3.1−hGPR20プラスミドDNAの大量調製は、EndoFree Plasmid Giga Kit(QIAGEN社)を用いて行った。
【0216】
1)−2 ラット免疫
免疫には6週齢のWKY/Izmラットの雌(日本エスエルシー社)が使用された。まずラット両足下腿部をHyaluronidase(SIGMA−ALDRICH社)にて前処理後、同部位にヒトGPR20発現ベクターpcDNA3.1−hGPR20が筋肉内注射された。続けて、ECM830(BTX社)を使用し、2ニードル電極を用いて、同部位にインビボエレクトロポレーションを実施した。二週間に一度、同様のインビボエレクトロポーレーションを繰り返した後、79日目にラットのリンパ節を採取し、ハイブリドーマ作製に用いた。
【0217】
1)−3 ハイブリドーマ作製
リンパ節細胞とマウスミエローマSP2/0−ag14細胞とをHybrimune Hybridoma Production System(Cyto Pulse Sciences社)を用いて電気細胞融合した後、ClonaCell−HY Selection Medium D(StemCell Technologies社)に懸濁し、希釈して37℃、5% CO
2の条件下で培養した。出現した各々のハイブリドーマコロニーは、モノクローンとして回収され、ClonaCell−HY Selection Medium E(StemCell Technologies社)に懸濁して37℃、5% CO
2の条件下で培養した。適度に細胞が増殖した後、各々のハイブリドーマ細胞の凍結ストックを作製すると共に、培養上清が回収され、抗GPR20抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングに用いられた。
【0218】
1)−4 Cell−ELISA法による抗体産生ハイブリドーマのスクリーニング
1)−4−1 Cell−ELISA用抗原遺伝子発現細胞の調製
293α細胞(インテグリンαv及びインテグリンβ3を発現するHEK293由来の安定発現細胞株)を10% FBS含有DMEM培地中5x10
5細胞/10mLになるよう調製した。Lipofectamine 2000(インビトロジェン社)を用いた形質移入手順に従って、この293α細胞に対して、pcDNA3.1−hGPR20もしくは陰性コントロールとしてpcDNA3.1のDNAを導入し、96−well plate(Corning社)に100μLずつ分注後、10% FBS含有DMEM培地中で37℃、5% CO
2の条件下で24から27時間培養した。得られた形質移入細胞を接着状態のまま、Cell−ELISAに使用した。
【0219】
1)−4−2 Cell−ELISA
実施例1)−4−1で調製した発現ベクター導入293α細胞の培養上清を除去後、pcDNA3.1−hGPR20又はpcDNA3.1導入293α細胞の各々に対しハイブリドーマ培養上清を添加し、4℃で1時間静置した。well中の細胞を5% FBS含有PBS(+)で1回洗浄後、5% FBS含有PBS(+)で500倍に希釈したAnti−Rat IgG−Peroxidase antibody produced in rabbit(SIGMA社)を加えて、4℃で1時間静置した。well中の細胞を5% FBS含有PBS(+)で3回洗浄した後、OPD発色液(OPD溶解液(0.05 M クエン酸3ナトリウム、0.1M リン酸水素2ナトリウム・12水 pH4.5)にo−フェニレンジアミン二塩酸塩(和光純薬社)、H
2O
2をそれぞれ0.4mg/mL、0.6%(v/v)になるように溶解)を100μL/wellで添加した。時々攪拌しながら発色反応を行い、1M HClを100μL/wellで添加して発色反応を停止させた後、プレートリーダー(ENVISION:PerkinElmer社)で490nmの吸光度を測定した。コントロールのpcDNA3.1導入293α細胞と比較し、pcDNA3.1−hGPR20発現ベクター導入293α細胞の方でより高い吸光度を示した培養上清を産生するハイブリドーマが、細胞膜表面上に発現するヒトGPR20に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマとして選択された。
【0220】
1)−5 フローサイトメトリーによるヒトGPR20結合抗体のスクリーニング
1)−5−1 フローサイトメトリー解析用抗原遺伝子発現細胞の調製
293T細胞を5×10
4細胞/cm
2になるよう225cm
2フラスコ(住友ベークライト社)に播種し、10% FBS含有DMEM培地中で37℃、5% CO
2の条件下で一晩培養した。この293T細胞に、pcDNA3.1−hGPR20及び陰性コントロールとしてpcDNA3.1を各々Lipofectamine 2000を用いて導入し、37℃、5% CO
2の条件下でさらに一晩培養した。各発現ベクターを導入した293T細胞をTrypLE Express(Life Technologies社)で処理し、10% FBS含有DMEMで細胞を洗浄した後、5% FBS含有PBSに懸濁した。得られた細胞懸濁液をフローサイトメトリー解析に使用した。
【0221】
1)−5−2 フローサイトメトリー解析
実施例1)−4−2のCell−ELISAで陽性と判定されたハイブリドーマが産生する抗体のヒトGPR20に対する結合特異性をフローサイトメトリー法によりさらに確認した。実施例1)−5−1で調製した一過性発現293T細胞の懸濁液を遠心し、上清を除去した後、各々に対しハイブリドーマ培養上清を加えて懸濁し、4℃で1時間静置した。5% FBS含有PBSで2回洗浄した後、5% FBS含有PBSで500倍に希釈したAnti−Rat IgG FITC conjugate(SIGMA社)を加えて懸濁し、4℃で1時間静置した。5% FBS含有PBSで2回洗浄した後、2μg/mL 7−aminoactinomycin D(Molecular Probes社)を含む5% FBS含有PBSに再懸濁し、フローサイトメーター(FC500:BeckmanCoulter社)で検出を行った。データ解析はFlowjo(TreeStar社)で行った。7−aminoactinomycin D陽性の死細胞をゲートで除外した後、生細胞のFITC蛍光強度のヒストグラムを作成した。コントロールであるpcDNA3.1導入293T細胞の蛍光強度ヒストグラムに対しpcDNA3.1−hGPR20導入293T細胞のヒストグラムが強蛍光強度側にシフトしている抗体を産生するハイブリドーマをヒトGPR20に結合する抗体産生ハイブリドーマとして178クローン選択した。
図18にヒトGPR20に特異的に結合した抗体の例としてクローン番号04−002、04−006、04−013、04−014、04−020、04−021、04−037、04−046、04−047、04−060、04−067、04−068、04−079、04−084、04−114、04−115、04−117、04−125、04−126、04−127、04−133、04−139、04−143、04−145、04−151及び04−163、並びにコントロール(W/O 1stAb)の結果を示す。
図18の横軸はクローン番号、縦軸はMFI(mean fluorescence intensity)による抗体結合量を示す。
【0222】
1)−6 内在化活性を有する抗GPR20抗体産生ハイブリドーマのスクリーニング
抗GPR20抗体の内在化活性は、タンパク質合成を阻害する毒素(サポリン)を結合させた抗ラットIgG試薬Rat−ZAP(ADVANCED TARGETING SYSTEMS)を用いて評価した。すなわち、ヒトGPR20を一過性に発現させた293α細胞を3x10
3 cells/wellで96wellプレートに播種して37℃、5% CO
2の条件下で一晩培養後、プレートを氷上で冷やした上で抗GPR20抗体産生ハイブリドーマの培養上清20μLを添加し、4℃で1時間静置した。培養上清を吸引して除去した後、500 ng/mLのRat−ZAPを含むDMEM−10%FBSを添加し、3日間37℃、5%CO
2条件下で培養した。生存細胞数は、CellTiter−Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability AssayによるATPの定量で測定した。このスクリーニングでは、ラット抗GPR20抗体の内在化活性に依存してRat−ZAPが細胞内に取り込まれ、タンパク合成を阻害するサポリンが細胞内に放出されることで、細胞増殖が抑制される。細胞増殖抑制率60%以上を指標に選定した結果、内在化活性を有する抗GPR20抗体を産生する19種のハイブリドーマ(クローン番号は、04−002、04−006、04−013、04−014、04−021、04−037、04−046、04−047、04−067、04−068、04−079、04−114、04−115、04−125、04−126、04−127、04−133、04−139及び04−163)が選定された。
【0223】
1)−7 ラットモノクローナル抗体のサブクラス、タイプの決定
ラット抗ヒトGPR20モノクローナル抗体の重鎖のサブクラス、軽鎖のタイプは、RAT MONOCLONAL ANTIBODY ISOTYPING TEST KIT(DSファーマバイオメディカル社)により決定された。その結果、クローン番号04−047及び04−068はIgG2a、κ鎖、クローン番号04−002、04−006、04−013、04−014、04−021、04−037、04−046、04−067、04−079、04−114、04−115、04−125、04−126、04−127、04−133、04−139及び04−163はIgG2b、κ鎖であることが確認された。
【0224】
1)−8 ラット抗ヒトGPR20抗体の調製
ラット抗ヒトGPR20モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養上清から精製した。
まず、ラット抗GPR20モノクローナル抗体産生ハイブリドーマをClonaCell−HY Selection Medium E(StemCell Technologies社)で充分量まで増殖させた後、Ultra Low IgG FBS(Life Technologies社)を20%添加したHybridoma SFM(Life Technologies社)に培地交換し、4−5日間培養した。本培養上清を回収し、0.8μmのフィルターに通した後、さらに0.2μmのフィルターに通して不溶物を除去した。
抗体は、上記のハイブリドーマ上清からProteinGアフィニティークロマトグラフィー(4〜6℃下)1段階工程で精製された。ProteinGアフィニティークロマトグラフィー精製後のバッファー置換工程は4〜6℃下で実施した。最初に、PBSで平衡化したProteinG(GE Healthcare Bioscience社)が充填されたカラムにハイブリドーマの培養上清をアプライした。培養上清液がカラムに全て入った後、カラム容量の2倍以上のPBSでカラムを洗浄した。次に0.1 Mグリシン/塩酸水溶液(pH2.7)で溶出し、抗体の含まれる画分を集めた。集めた画分は、1M Tris−HCl(pH9.0)を直ちに加えてpH7.0〜7.5に調製した後に、Centrifugal UF Filter Device VIVASPIN20(分画分子量UF30K、Sartorius社,4〜6℃下)を用いてPBSへのバッファー置換を行うと共に、0.2mg/mL以上の抗体濃度に濃縮した。最後にMinisart−Plus filter(Sartorius社)でろ過し、精製抗体サンプルとした。
【0225】
実施例2:ラット抗GPR20抗体のin vitro評価
2)−1 フローサイトメトリーによるラット抗GPR20抗体の結合能評価
GPR20に対する結合能を評価するため、1)−5−1で示す方法により作製したpcDNA3.1−hGPR20導入293T細胞懸濁液を遠心し、上清を除去した後、1)−8で調製した内在化活性を有するラット抗ヒトGPR20モノクローナル抗体19種(クローン番号は、04−002、04−006、04−013、04−014、04−021、04−037、04−046、04−047、04−067、04−068、04−079、04−114、04−115、04−125、04−126、04−127、04−133、04−139及び04−163)及びラット抗ヒトGPR20モノクローナル抗体2種(13−024、13−048)、又はラットIgGコントロール(R&D Systems社)を加えて懸濁し、4℃で1時間静置した。5% FBS含有PBSで2回洗浄した後、5% FBS含有PBSで320倍に希釈したGoat Anti−Rat IgG(H+L), PE conjugate(Beckman Coulter社)を加えて懸濁し、4℃で1時間静置した。5% FBS含有PBSで2回洗浄した後、フローサイトメーター(FC500:Beckman Coulter社)で検出を行った。結果を
図19に示す。
図19において横軸は抗体濃度(nM)、縦軸はMFI(mean fluorescence intensity)による抗体結合量を示す。
図19に示す通り、ラット抗ヒトGPR20抗体はいずれも、pcDNA3.1−hGPR20導入293T細胞に対して濃度依存的に結合量が増加した。一方、ラットIgG2a及びIgG2bアイソタイプコントロール抗体は、GPR20結合性を示さなかった。
【0226】
2)−2 ラット抗GPR20抗体の内在化活性
精製したラット抗GPR20抗体の内在化活性は、1)−6と同様にタンパク質合成を阻害する毒素(サポリン)を結合させた抗ラットIgG抗体試薬Rat−ZAP(ADVANCED TARGETING SYSTEMS)を用いて評価した。すなわち、ヒトGPR20のC末端側にEGFPをつないだGPR20−EGFPタンパク質を安定発現するHEK293細胞を2.5x10
3cells/wellで播種して37℃、5% CO
2の条件下で一晩培養後、ラット抗GPR20抗体(終濃度:0.012から1μg/mL)とRat−ZAP(終濃度:0.5μg/mL)を添加し、5日間培養後に生存細胞数をCellTiter−Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability AssayによるATPの定量で測定した。抗GPR20抗体添加による細胞増殖抑制作用は、抗体を加えなかった時の生存細胞数を100%とした相対活性で表記した。各抗GPR20抗体は終濃度0.11又は0.33μg/mLで添加した際に最も細胞増殖を抑制した。
図20に各抗体の最も細胞増殖を抑制した濃度における細胞生存率を示す。本実験において内在化活性が強い抗体は低い細胞生存率を示すと考えられる。ラットIgG2a及びIgG2bアイソタイプコントロール抗体(R&D Systems社)を、GPR20とは無関係な抗原を認識する陰性コントロール抗体として使用した。
【0227】
実施例3:ラット抗GPR20抗体の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列の決定
実施例2で内在化活性を評価した21種のラット抗GPR20抗体(04−002、04−006、04−013、04−014、04−021、04−037、04−046、04−047、04−067、04−068、04−079、04−114、04−115、04−125、04−126、04−127、04−133、04−139、04−163、13−024、13−048)の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列は、以下に方法により決定した。
【0228】
3)−1 cDNA合成
抗GPR20抗体産生ハイブリドーマの細胞溶解液(50mM Tris−HCl(pH7.5)、250mM LiCl、5mM EDTA(pH8)、0.5%ドデシル硫酸Li(LiDS)、2.5mM dithiothreitol(DTT))を、オリゴdT25が結合した磁気ビーズ(Dynabeads mRNA DIRECT Kit、Life Technologies社)と混合し、mRNAを磁気ビーズに結合させた。次に磁気ビーズをmRNA洗浄溶液A(10mM Tris−HCl(pH7.5)、0.15M LiCl、1mM EDTA、0.1% LiDS、0.1% TritonX−100)とcDNA合成用溶液(50mM Tris−HCl(pH8.3)、75mM KCl、3mM MgCl
2、5mM DTT、0.5mM dNTP、0.2% TritonX−100、1.2unit RNase inhibitor(Life Technologies社)で1回ずつ洗浄した後、12unit SuperScriptIII Reverse Transcriptase(Life Technologies社)を加えたcDNA合成用溶液でcDNA合成を行った。続いて3’テーリング反応溶液(50mM リン酸カリウム、4mM MgCl
2、0.5mM dGTP、0.2% TritonX−100、1.2unit RNase inhibitor(Life Technologies社))で洗浄した後、48unit Terminal Transferase, recombinant(Roche社)を加えた反応溶液で3’テーリング反応を行った。
【0229】
3)−2 ラット免疫グロブリン重、軽鎖可変領域遺伝子断片の増幅及び配列決定
磁気ビーズをTE溶液(10mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.1% TritonX−100)にて洗浄後、5’−RACE PCR法を用いてラット免疫グロブリン重鎖及び軽鎖遺伝子の増幅を行った。即ち、磁気ビーズをPCR反応溶液(0.2μM プライマー、0.2mM dNTP、0.25unit PrimeSTAR HS DNA Polymerase(TAKARA社))に移し、94℃30秒−68℃90秒の反応を35サイクル行った。用いたプライマーセットは下記の通り。プライマー配列中におけるDはA、G、Tからなる混合塩基、NはA、C、G、Tの混合塩基であることを示している。
【0230】
PCRプライマーセット(重鎖用)
5’−GCTAGCGCTACCGGACTCAGATCCCCCCCCCCCCCDN−3’(Nhe−polyC−S)(配列番号66)
5’−TCACTGAGCTGGTGAGAGTGTAGAGCCC−3’(rIgγ−AS1)(配列番号67)
5’−TCACCGAGCTGCTGAGGGTGTAGAGCCC−3’(rIgγ−AS2)(配列番号68)
PCRプライマーセット(軽鎖用)
5’−GCTAGCGCTACCGGACTCAGATCCCCCCCCCCCCCDN−3’(Nhe−polyC−S)(配列番号66)(重鎖用と同じ)
5’−TCAGTAACACTGTCCAGGACACCATCTC−3’(rIgκ−AS)(配列番号69)
【0231】
上記PCR反応により増幅した断片について、塩基配列のシーケンス解析を実施した。重鎖用シーケンスプライマーとして5’−CTGGCTCAGGGAAATAGCC−3’(rIgγ−seq)(配列番号70)、軽鎖用シーケンスプライマーとして5’−TCCAGTTGCTAACTGTTCC−3’(rIgκ−seq)(配列番号71)の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをそれぞれ用いた。
シークエンス解析は遺伝子配列解析装置(「ABI PRISM 3700 DNA Analyzer;Applied Biosystems」あるいは「Applied Biosystems 3730xl Analyzer;Applied Biosystems」)を用いて実施し、シークエンス反応は、Dye Terminator Cycle Sequencing System with AmpliTaq DNA polymerase(Life Technologies社)及びGeneAmp 9700(Applied Biosystems社)を用いた。
【0232】
決定された22種のラット抗GPR20抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域をコードするヌクレオチド配列から予想されるアミノ酸配列を相互に比較した結果、以下の3つのグループに分類された。
グループA(04−002、04−006、04−013、04−014、04−037、04−046、04−047、04−067、04−068、04−079、04−114、04−125、04−126、04−127、04−133、04−139、04−163)、グループB(04−021、04−115)、グループC(13−024、13−048)。各抗体の重鎖及び軽鎖の全長配列は、公知の定常領域の配列とつなぎ合わせることにより決定された。ラットの重鎖IgG2bの定常領域の塩基配列とアミノ酸配列はIMGT, the international ImMunoGeneTics information system(登録商標)に掲載されているAABR03048905(IGHG2B*01)の塩基配列とアミノ酸配列を参照した。また、ラットの軽鎖IgKの定常領域の塩基配列とアミノ酸配列は同システムに掲載されているV01241(IGKC*01)の塩基配列とアミノ酸配列を参照した。
【0233】
04−046抗体の重鎖は、配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する。配列表の配列番号2に示される重鎖アミノ酸配列中で、1乃至19番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列はシグナル配列であり、20乃至142番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は可変領域であり、143乃至475番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は定常領域である。当該可変領域は、配列表の配列番号2において、45乃至54に記載のアミノ酸配列からなるCDRH1、69乃至78に記載のアミノ酸配列からなるCDRH2、118乃至131に記載のアミノ酸配列からなるCDRH3を有する。04−046抗体の重鎖可変領域は配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する。04−046抗体のCDRH1は配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列を有し、CDRH2のアミノ酸配列は配列表の配列番号5に示されるアミノ酸配列を有し、CDRH3のアミノ酸配列は配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列を有する。また、04−046抗体の重鎖の配列は
図1に記載されている。
【0234】
04−046抗体の軽鎖は、配列表の配列番号7に示されるアミノ酸配列を有する。配列表の配列番号7に示される軽鎖アミノ酸配列中で、1乃至20番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列はシグナル配列であり、21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は可変領域であり、129乃至233番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は定常領域である。当該可変領域は、配列表の配列番号7において、43乃至53に記載のアミノ酸配列からなるCDRL1、69乃至75に記載のアミノ酸配列からなるCDRL2、108乃至116に記載のアミノ酸配列からなるCDRL3を有する。04−046抗体の軽鎖可変領域は配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列を有する。04−046抗体のCDRL1は配列表の配列番号9に示されるアミノ酸配列を有し、CDRL2のアミノ酸配列は配列表の配列番号10に示されるアミノ酸配列を有し、CDRL3のアミノ酸配列は配列表の配列番号11に示されるアミノ酸配列を有する。また、04−046抗体の軽鎖の配列は
図2に記載されている。
【0235】
04−079抗体の重鎖は、配列表の配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する。配列表の配列番号12に示される重鎖アミノ酸配列中で、1乃至19番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列はシグナル配列であり、20乃至142番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は可変領域であり、143乃至475番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は定常領域である。当該可変領域は、配列表の配列番号12において、45乃至54に記載のアミノ酸配列からなるCDRH1、69乃至78に記載のアミノ酸配列からなるCDRH2、118乃至131に記載のアミノ酸配列からなるCDRH3を有する。04−079抗体の重鎖可変領域は配列表の配列番号13に示されるアミノ酸配列を有する。04−079抗体のCDRH1は配列表の配列番号14に示されるアミノ酸配列を有し、CDRH2のアミノ酸配列は配列表の配列番号15に示されるアミノ酸配列を有し、CDRH3のアミノ酸配列は配列表の配列番号16に示されるアミノ酸配列を有する。また、04−079抗体の重鎖の配列は
図3に記載されている。
【0236】
04−079抗体の軽鎖は、配列表の配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する。配列表の配列番号17に示される軽鎖アミノ酸配列中で、1乃至20番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列はシグナル配列であり、21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は可変領域であり、129乃至233番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は定常領域である。当該可変領域は、配列表の配列番号17において、43乃至53に記載のアミノ酸配列からなるCDRL1、69乃至75に記載のアミノ酸配列からなるCDRL2、108乃至116に記載のアミノ酸配列からなるCDRL3を有する。04−079抗体の軽鎖可変領域は配列表の配列番号18に示されるアミノ酸配列を有する。04−079抗体のCDRL1は配列表の配列番号19に示されるアミノ酸配列を有し、CDRL2のアミノ酸配列は配列表の配列番号20に示されるアミノ酸配列を有し、CDRL3のアミノ酸配列は配列表の配列番号21に示されるアミノ酸配列を有する。また04−079抗体の軽鎖の配列は
図4に記載されている。
【0237】
04−126抗体の重鎖は、配列表の配列番号22に示されるアミノ酸配列を有する。配列表の配列番号22に示される重鎖アミノ酸配列中で、1乃至19番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列はシグナル配列であり、20乃至142番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は可変領域であり、143乃至475番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は定常領域である。当該可変領域は、配列表の配列番号22において、45乃至54に記載のアミノ酸配列からなるCDRH1、69乃至78に記載のアミノ酸配列からなるCDRH2、118乃至131に記載のアミノ酸配列からなるCDRH3を有する。04−126抗体の重鎖可変領域は配列表の配列番号23に示されるアミノ酸配列を有する。04−126抗体のCDRH1は配列表の配列番号24に示されるアミノ酸配列を有し、CDRH2のアミノ酸配列は配列表の配列番号25に示されるアミノ酸配列を有し、CDRH3のアミノ酸配列は配列表の配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する。また、04−126抗体の重鎖の配列は
図5に記載されている。
【0238】
04−126抗体の軽鎖は、配列表の配列番号27に示されるアミノ酸配列を有する。配列表の配列番号27に示される軽鎖アミノ酸配列中で、1乃至20番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列はシグナル配列であり、21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は可変領域であり、129乃至233番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は定常領域である。当該可変領域は、配列表の配列番号27において、43乃至53に記載のアミノ酸配列からなるCDRL1、69乃至75に記載のアミノ酸配列からなるCDRL2、108乃至116に記載のアミノ酸配列からなるCDRL3を有する。04−126抗体の軽鎖可変領域は配列表の配列番号28に示されるアミノ酸配列を有する。04−126抗体のCDRL1は配列表の配列番号29に示されるアミノ酸配列を有し、CDRL2のアミノ酸配列は配列表の配列番号30に示されるアミノ酸配列を有し、CDRL3のアミノ酸配列は配列表の配列番号31に示されるアミノ酸配列を有する。また、04−126抗体の軽鎖の配列は
図6に記載されている。
【0239】
04−046抗体の重鎖アミノ酸配列は、配列表の配列番号32に示されるヌクレオチド配列によってコードされている。配列表の配列番号32に示されるヌクレオチド配列の58乃至426番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列は04−046抗体の重鎖可変領域をコードしており、そして、427乃至1425番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列は04−046抗体の重鎖定常領域をコードしている。当該可変領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号32において、CDRH1をコードするヌクレオチド番号133乃至162に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、CDRH2をコードするヌクレオチド番号205乃至234に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、CDRH3をコードするヌクレオチド番号352乃至393に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを有する。04−046抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列表の配列番号33にも示されている。また、配列番号32の配列は
図1に記載されている。
【0240】
04−046抗体の軽鎖アミノ酸配列は、配列表の配列番号34に示されるヌクレオチド配列によってコードされている。配列表の配列番号34に示されるヌクレオチド配列の61乃至384番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列は04−046抗体の軽鎖可変領域をコードしており、そして、385乃至699番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列は04−046抗体の軽鎖定常領域をコードしている。当該可変領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号34において、CDRL1をコードするヌクレオチド番号127乃至159に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、CDRL2をコードするヌクレオチド番号205乃至225に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、CDRL3をコードするヌクレオチド番号322乃至348に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを有する。04−046抗体の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列表の配列番号35にも示されている。また、配列番号34の配列は
図2に記載されている。
【0241】
04−079抗体の重鎖アミノ酸配列は、配列表の配列番号36に示されるヌクレオチド配列によってコードされている。配列表の配列番号36に示されるヌクレオチド配列の58乃至426番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列は04−079抗体の重鎖可変領域をコードしており、そして、427乃至1425番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列は04−079抗体の重鎖定常領域をコードしている。当該可変領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号36において、CDRH1をコードするヌクレオチド番号133乃至162に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、CDRH2をコードするヌクレオチド番号205乃至234に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、CDRH3をコードするヌクレオチド番号352乃至393に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを有する。04−079抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列表の配列番号37にも示されている。また、配列番号37の配列は
図10に記載されている。
【0242】
04−079抗体の軽鎖アミノ酸配列は、配列表の配列番号38に示されるヌクレオチド配列によってコードされている。配列表の配列番号38に示されるヌクレオチド配列の61乃至384番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列は04−079抗体の軽鎖可変領域をコードしており、そして、385乃至699番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列は04−079抗体の軽鎖定常領域をコードしている。当該可変領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号38において、CDRL1をコードするヌクレオチド番号127乃至159に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、CDRL2をコードするヌクレオチド番号205乃至225に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、CDRL3をコードするヌクレオチド番号322乃至348に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを有する。04−079抗体の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列表の配列番号39にも示されている。また、配列番号38の配列は
図4に記載されている。
【0243】
04−126抗体の重鎖アミノ酸配列は、配列表の配列番号40に示されるヌクレオチド配列によってコードされている。配列表の配列番号40に示されるヌクレオチド配列の58乃至426番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列は04−126抗体の重鎖可変領域をコードしており、そして、427乃至1425番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列は04−126抗体の重鎖定常領域をコードしている。当該可変領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号40において、CDRH1をコードするヌクレオチド番号133乃至162に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、CDRH2をコードするヌクレオチド番号205乃至234に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、CDRH3をコードするヌクレオチド番号352乃至393に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを有する。04−126抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列表の配列番号41にも示されている。また、配列番号40の配列は
図5に記載されている。
【0244】
04−126抗体の軽鎖アミノ酸配列は、配列表の配列番号42に示されるヌクレオチド配列によってコードされている。配列表の配列番号42に示されるヌクレオチド配列の61乃至384番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列は04−126抗体の軽鎖可変領域をコードしており、そして、385乃至699番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列は04−126抗体の軽鎖定常領域をコードしている。当該可変領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号42において、CDRL1をコードするヌクレオチド番号127乃至159に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、CDRL2をコードするヌクレオチド番号205乃至225に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、CDRL3をコードするヌクレオチド番号322乃至348に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを有する。04−126抗体の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列表の配列番号43にも示されている。また、配列番号42の配列は
図6に記載されている。
【0245】
実施例4:抗GPR20モノクローナル抗体のGPR20結合部位の解析
マウスGPR20、N末端にFLAGタグを付加したヒトGPR20、ヒトGPR20の4つの細胞外領域(EC1、EC2、EC3、EC4)各々をマウスGPR20由来の配列に置換したヒト/マウスキメラGPR20に対する結合性をCell−ELISA法で測定することにより、抗ヒトGPR20抗体の結合部位の分類を行った。
図21はヒトGPR20(NP_005284)、マウスGPR20(NP_775541)のアミノ酸配列の対照図であり、4つの細胞外領域EC1からEC4はヒトGPR20のアミノ酸配列番号で表されており、EC1は1−48、EC2は108−125、EC3は190−196、EC4は260−275であることを示す。
【0246】
4)−1 マウスGPR20発現ベクターの構築
当業者に公知な方法に従いマウスGPR20のRef Seq配列NM_173365を基にcDNAを人工合成してpcDNA−DEST40発現ベクター(Invitrogen社)にクローニングすることで、マウスGPR20発現ベクターpcDNA−mGPR20を構築した。
【0247】
4)−2 N末端にFLAGタグを付加したヒトGPR20、ヒト/マウスキメラGPR20の発現ベクター構築
4)−2−1
以下の発現ベクター構築においては、実施例1で作製した全長ヒトGPR20発現ベクターpcDNA3.1−hGPR20を鋳型とし、以下のプライマーセットを用いて各々PCR反応を行った。この反応にはKOD FX DNAポリメラーゼ(東洋紡社)を用い、98℃−10秒、58℃−30秒、68℃−7分、15サイクル又は10サイクルで反応を行った後、得られたPCR産物を制限酵素DpnIで処理した。このDpnI消化したDNAを大腸菌TOP10(Invitrogen社)に形質転換することで、N末端にFLAGタグを付加したヒトGPR20並びにEC2又はEC3又はEC4をマウスGPR20由来配列に置換したヒトGPR20の発現ベクターを構築した。各PCRに用いたプライマーセットは以下の通り。
PCRプライマーセット(N末端にFLAGタグを付加したヒトGPR20用)
5’―GACTACAAAGACGATGACGACAAGCCCTCTGTGTCTCCAGC―3’(NFLAG−1; 配列番号72)
5’―CTTGTCGTCATCGTCTTTGTAGTCCATGGTGGAGCCTGC―3’(NFLAG−2; 配列番号73)
PCRプライマーセット(EC2をマウスGPR20由来配列に置換したヒトGPR20用)
5’―ACGCGCTTCGCTGTGTTCTACGGCGCCAG―3’(mEC2−1; 配列番号74)
5’―CTGGCGCCGTAGAACACAGCGAAGCGCGT―3’(mEC2−2; 配列番号75)
PCRプライマーセット(EC3をマウスGPR20由来配列に置換したヒトGPR20用)
5’―TGTCGGTGCTGGGCGTGAAGTCGGGTGGACGATCATGCTGCCGTGTCTT―3’(mEC3−1;配列番号76)
5’―AAGACACGGCAGCATGATCGTCCACCCGACTTCACGCCCAGCACCGACA―3’(mEC3−2;配列番号77)
PCRプライマーセット(EC4をマウスGPR20由来配列に置換したヒトGPR20用)
5’―TGGCGCTGTGGCCCAACGTACCTAAGCACACGAGCCTCGTGGT―3’(mEC4−1;配列番号78)
5’―ACCACGAGGCTCGTGTGCTTAGGTACGTTGGGCCACAGCGCCA―3’(mEC4−2;配列番号79)
【0248】
4)−2−2
EC1をマウスGPR20由来配列に置換したヒトGPR20発現ベクター構築は、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kit(CLONTECH社)を用いて行った。即ち、実施例1で作製した全長ヒトGPR20発現ベクターpcDNA3.1−hGPR20を鋳型とし、以下のプライマーセットとKOD FX DNAポリメラーゼ(東洋紡社)を用いて、98℃−10秒、58℃−30秒、68℃−7分、10サイクルでPCR反応を行い、ベクター配列を含むDNA断片を増幅した。
PCRプライマーセット(EC1をマウスGPR20由来配列に置換したヒトGPR20用1)
5’―GCGCTGATGGCGGTGCACGGAGCCATCT―3’(mEC1−1;配列番号80)
5’―AGAGGGCATGGTGGAGCCTGCTTT―3’(mEC1−2;配列番号81)
【0249】
また、4)−1で構築した全長マウスGPR20発現ベクターpcDNA−mGPR20を鋳型として、以下のプライマーセットを用いて同様にPCR反応を20サイクル行い、マウスGPR20のEC1領域をコードするDNA断片を増幅した。
PCRプライマーセット(EC1をマウスGPR20由来配列に置換したヒトGPR20用2)
5’―AGGCTCCACCATGCCCTCTGCGTTGTCTATGA―3’(mEC1−3;配列番号82)
5’―CACCGCCATCAGCGCTTGCCACAGGCTGGGGAAGGTGGCTTGCA―3’(mEC1−4;配列番号83)
上記2種のDNA断片を定法に従いアガロースゲル電気泳動し、目的サイズのDNA断片をQIAquick Gel Extraction Kit(プロメガ社)を用いて単離した。これら2つのDNA断片をIn−Fusion HD酵素(Clontech社)の反応により連結し、大腸菌TOP10(Invitrogen社)に形質転換することで、EC1をマウスGPR20由来配列に置換したヒトGPR20発現ベクターを構築した。
【0250】
4)−3 Cell−ELISA法による抗ヒトGPR20抗体の結合特性評価
実施例1で示したCell−ELISA法と同様の方法で、各種GPR20発現ベクターを一過性に導入した293α細胞に対する抗GPR20抗体04−046、04−079、04−126、04−021、13−024、及び13−048の結合活性を調べた。測定結果を
図22(a)及び
図22(b)に示す。
図22の横軸のEVはコントロール、human GPR20はヒト全長GPR20が発現した細胞、FLAG−huGPR20はN末端にFLAGタグを付加したヒトGPR20が発現した細胞、mouse GPR20はマウスGPR20が発現した細胞、hGPR20_mECD1はヒトGPR20のECD1をマウスのGPR20のECD1で置換したキメラGPR20が発現した細胞、、hGPR20_mECD2はヒトGPR20のECD2をマウスのGPR20のECD2で置換したキメラGPR20が発現した細胞、hGPR20_mECD3はヒトGPR20のECD3をマウスのGPR20のECD3で置換したキメラGPR20が発現した細胞、hGPR20_mECD4はヒトGPR20のECD4をマウスのGPR20のECD4で置換したキメラGPR20が発現した細胞を示す。
【0251】
実施例3で示した抗体配列の類似性に基づく3つの分類の中で、グループAの04−046、04−079及び04−126は、マウスGPR20に結合せず、且つヒトGPR20のEC1(ECD1ともいう)又はEC2(ECD2ともいう)をマウス由来のGPR20に置換すると結合性を失っていた。このことは、04−046、04−079及び04−126はGPR20のEC1とEC2からなる高次構造を認識していることを示す。
【0252】
グループBの04−021は、マウスGPR20に対して弱い結合性を示し、ヒトGPR20のEC1をマウス由来のGPR20に置換すると結合性がマウスGPR20に対する結合性と同程度まで減弱していた。また、N末端にFLAGタグを付加したヒトGPR20に結合性を示さなかったことから、GPR20のEC1のN末端付近を認識していることが示された。
【0253】
グループCの13−024及び13−048は、マウスGPR20に結合せず、且つヒトGPR20のEC1をマウス由来のGPR20に置換すると著しく結合性が低下したことから、EC1に結合していることが示された。
【0254】
以上の実験から各抗体が認識するGPR20の細胞外領域と
図20で示した抗体の内在化活性(細胞生存率が低い程強い内在化活性を有する)の対応関係を表1に示す。
【0255】
【表1】
【0256】
表中の認識するGPR20細胞外領域をヒトGPR20のアミノ酸配列の範囲で表すと、EC1は1−48、EC2は108−125、EC3は190−196、EC4は260−275に相当する。各抗体の内在化活性(細胞生存率が低い程、内在化活性は高い)と抗GPR20抗体の認識領域の関係を検討した結果、高い内在化活性を有すると思われる、細胞生存率70%未満の抗体は全てグループA由来の抗体であることが明らかとなった。すなわち、ヒトGPR20のEC1とEC2からなる高次構造を認識するグループAの抗体に高い内在化活性を示す抗体が集中していることが示された。EC2についてはマウスGPR20と比較し、ヒトGPR20の113番目のチロシン残基のみが異なる(マウスではフェニルアラニン)ことから、EC1とEC2からなる高次構造を認識するグループAの抗体はこのチロシン残基を認識していることが示唆された。
【0257】
実施例5:ヒトキメラ化抗GPR20抗体04−046Chの作製
5)−1 ヒトキメラ化抗GPR20抗体の発現ベクターの構築
5)−1−1キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA−LKの構築
プラスミドpcDNA3.3−TOPO/LacZ(Invitrogen社)を制限酵素XbaI及びPmeIで消化して得られる約5.4kbのフラグメントと、配列番号84に示すヒトκ鎖分泌シグナル及びヒトκ鎖定常領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を、In−Fusion Advantage PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて結合して、pcDNA3.3/LKを作製した。
【0258】
pcDNA3.3/LKを鋳型として、下記プライマーセットでPCRを行い、得られた約3.8kbのフラグメントをリン酸化後セルフライゲーションすることによりCMVプロモーターの下流にシグナル配列、クローニングサイト、及びヒトκ鎖定常領域を持つ、キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA−LKを構築した。
プライマーセット
5’−TATACCGTCGACCTCTAGCTAGAGCTTGGC−3’(3.3−F1;配列番号85)
5’−GCTATGGCAGGGCCTGCCGCCCCGACGTTG−3’(3.3−R1;配列番号86)
【0259】
5)−1−2 キメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1の構築
pCMA−LKをXbaI及びPmeIで消化してκ鎖分泌シグナル及びヒトκ鎖定常領域を取り除いたDNA断片と、配列番号87に示すヒト重鎖シグナル配列及びヒトIgG1定常領域のアミノ酸をコードするDNA配列を含むDNA断片を、In−Fusion Advantage PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて結合して、CMVプロモーターの下流にシグナル配列、クローニングサイト、ヒトIgG1重鎖定常領域をもつキメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1を構築した。
【0260】
5)−1−3 ヒトキメラ化抗GPR20抗体の重鎖発現ベクターの構築
実施例3)−2で決定した配列番号3のラット抗GPR20抗体04−046の重鎖の可変領域のアミノ酸配列を基にヒトキメラ化抗体重鎖の発現ベクターを構築した。配列番号46に示すヒトキメラ化抗GPR20抗体04−046Chの重鎖のヌクレオチド配列のうち、可変領域をコードするDNA配列を含むヌクレオチド番号36乃至443に相当するDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットでヒトキメラ化抗GPR20抗体の重鎖の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1を制限酵素BlpIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて挿入することによりヒトキメラ化抗GPR20抗体04−046Chの重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/04−046Ch−H」と命名した。ヒトキメラ化抗GPR20抗体04−046Chの重鎖のアミノ酸配列を配列番号44に示した。配列番号46のヌクレオチド配列及び配列番号44のアミノ酸配列は、
図7にも記載されている。
プライマーセット
5’−AGCTCCCAGATGGGTGCTGAGC−3’(EG−Inf−F;配列番号88)
5’−GGGCCCTTGGTGGAGGCTGAGC−3’(EG1−Inf−R;配列番号89)
【0261】
5)−1−4 ヒトキメラ化抗GPR20抗体の軽鎖発現ベクターの構築
実施例3)−2で決定した配列番号8のラット抗GPR20抗体04−046の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を基にヒトキメラ化抗体軽鎖の発現ベクターを構築した。配列番号47に示すヒトキメラ化抗GPR20抗体04−046Chの軽鎖のヌクレオチド配列のうち、可変領域をコードするDNA配列を含むヌクレオチド番号38乃至399に相当するDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットでヒトキメラ化抗GPR20抗体の軽鎖の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA−LKを制限酵素BsiWIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて挿入することによりヒトキメラ化抗GPR20抗体04−046Chの軽鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/04−046Ch−L」と命名した。ヒトキメラ化抗GPR20抗体04−046Chの軽鎖のアミノ酸配列を配列番号45に示した。配列番号47のヌクレオチド配列及び配列番号45のアミノ酸配列は、
図8にも記載されている。
プライマーセット
5’−CTGTGGATCTCCGGCGCGTACGGC−3’(CM−LKF;配列番号90)
5’−GGAGGGGGCGGCCACGGCTCTCTTCAGTTC−3’(046L−R;配列番号91)
【0262】
5)−2 ヒトキメラ化抗GPR20抗体の発現、精製
5)−2−1 ヒトキメラ化抗GPR20抗体の発現
FreeStyle 293F細胞(Invitrogen社)はマニュアルに従い、継代、培養を行った。対数増殖期の1.2×10
9個のFreeStyle 293F細胞(Invitrogen社)を3L Fernbach Erlenmeyer Flask(CORNING社)に播種し、FreeStyle293 expression medium (Invitrogen社)で希釈して2.0×10
6細胞/mLに調製した後に、37℃、8%CO
2インキュベーター内で90rpmで1時間振とう培養した。Polyethyleneimine(Polyscience #24765)1.8mgをOpti−Pro SFM培地(Invitrogen社)20mLに溶解し、次にNucleoBond Xtra(TaKaRa社)を用いて調製した重鎖発現ベクター(0.24mg)及び軽鎖発現ベクター(0.36mg)を20mLのOpti−Pro SFM培地(Invitrogen社)に添加した。Polyethyleneimine/Opti−Pro SFM混合液20mLに、発現ベクター/Opti−Pro SFM混合液20mLを加え穏やかに攪拌し、さらに5分間放置した後にFreeStyle 293F細胞に添加した。37℃、8%CO
2インキュベーターで4時間、90rpmで振とう培養後に600mLのEX−CELL VPRO培地(SAFC Biosciences社)、18mLのGlutaMAX I(GIBCO社)、及び30mLのYeastolate Ultrafiltrate(GIBCO社)を添加し、37℃、8%CO
2インキュベーターで7日間、90rpmで振とう培養して得られた培養上清をDisposable Capsule Filter (Advantec #CCS−045−E1H)でろ過した。
pCMA/04−046Ch−HとpCMA/04−046Ch−Lとの組合せによって取得されたヒトキメラ化抗GPR20抗体を「04−046Ch」と命名した。
【0263】
5)−2−2 04−046Chの二段階工程精製
実施例5)−2−1で得られた培養上清から抗体をrProtein Aアフィニティークロマトグラフィー(4−6℃下)とセラミックハイドロキシアパタイト(室温下)の二段階工程で精製した。rProtein Aアフィニティークロマトグラフィー精製後とセラミックハイドロキシアパタイト精製後のバッファー置換は4−6℃下で実施した。PBSで平衡化したMabSelectSuRe(GE Healthcare Bioscience社、HiTrapカラム)に培養上清をアプライした。培養上清がカラムに全て入ったのち、カラム容量2倍以上のPBSでカラムを洗浄した。次に2Mアルギニン塩酸塩溶液(pH4.0)で溶出し、抗体の含まれる画分を集めた。その画分を透析(Thermo Scientific社、Slide−A−Lyzer Dialysis Cassette)によりPBSに置換した後、5mMリン酸ナトリウム/50mM MES/pH7.0のバッファーで5倍希釈した抗体溶液を、5mM NaPi/50mM MES/30mM NaCl/pH7.0のバッファーで平衡化されたセラミックハイドロキシアパタイトカラム(日本バイオラッド、Bio−Scale CHT Type―1 Hydroxyapatite Column)にアプライした。塩化ナトリウムによる直線的濃度勾配溶出を実施し、抗体の含まれる画分を集めた。その画分を透析(Thermo Scientificsha,Slide−A−Lyzer Dialysis Cassette)によりHBSor(25mM ヒスチジン/5% ソルビトール、pH6.0)への液置換を行った。Centrifugal UF Filter Device VIVASPIN20(分画分子量UF10K,Sartorius社、4℃下)にて濃縮し、IgG濃度を20mg/mL以上に調製した。最後にMinisart−Plus filter(Sartorius社)でろ過し、精製サンプルとした。
【0264】
5)−3 ヒトキメラ化抗GPR20抗体の結合性評価
作製したヒトキメラ化抗GPR20抗体04−046ChのGPR20結合性をフローサイトメトリー法により確認した。実施例1)−5−1と同様の方法でpcDNA3.1−hGPR20、又はpcDNA3.1をそれぞれ293T細胞にLipofectamine 2000を用いて一過性に導入し、37℃、5% CO
2の条件下で一晩培養した後、細胞懸濁液を調製した。これらの細胞懸濁液にヒトキメラ化抗GPR20抗体04−046Ch又は陰性コントロールとしてヒトIgGを加えて4℃で1時間静置した後、5% FBS含有PBSで2回洗浄し、5% FBS含有PBSで320倍に希釈したPE標識F(ab’)2 Fragment抗ヒトIgG, Fcγ抗体(JACKSON IMMUNORESEARC社)を加えて懸濁し、4℃で1時間静置した。5% FBS含有PBSで2回洗浄した後、5% FBS含有PBSに再懸濁し、フローサイトメーター(FC500:BeckmanCoulter社)で検出を行った。データ解析はFlowjo(TreeStar社製)で行った。04−046Chは陰性コントロールであるpcDNA3.1導入293T細胞には結合せず(
図23(b))、pcDNA3.1−hGPR20導入293T細胞に抗体濃度依存的に結合した(
図23(a))。
図23において横軸は抗体濃度を示し、縦軸は結合量をMeanFluorescent Intensity(平均蛍光強度)で示す。
【0265】
実施例6:ヒト化抗GPR20抗体の作製
6)−1 抗GPR20抗体04−046のヒト化体デザイン
6)−1−1 04−046の可変領域の分子モデリング
04−046の可変領域の分子モデリングは、ホモロジーモデリングとして公知の方法(Methods in Enzymology,203,121−153,(1991))によって実行した。Protein Data Bank(Nuc.Acid Res.35,D301−D303(2007))に登録されているヒト免疫グロブリンの可変領域の1次配列(X線結晶構造から誘導される三次元構造が入手可能である)を、実施例3)−2で決定された04−046の可変領域と比較した。1SY6と1LK3が04−046の重鎖と軽鎖の可変領域に対して最も高い配列同一性を有する配列として選択された。フレームワーク領域の三次元構造は、04−046の重鎖及び軽鎖に対応する1SY6と1LK3の座標を組み合わせて、「フレームワークモデル」を得ることによって作製された。次いで、それぞれのCDRについての代表的なコンホメーションがフレームワークモデルに組み込まれた。最後に、エネルギーの点で04−046の可変領域の可能性のある分子モデルを得るために、不利な原子間接触を除くためのエネルギー計算を行った。上記手順を、市販のタンパク質立体構造解析プログラムDiscovery Studio(Accelrys社)を用いて行った。
【0266】
6)−1−2 ヒト化h046に対するアミノ酸配列の設計
04−046をヒト化した抗体(以下、「ヒト化h046」という。)の構築を、CDRグラフティング(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,10029−10033(1989))として一般的に公知の方法によって行った。アクセプター抗体は、フレームワーク領域内のアミノ酸同一性に基づいて選択された。
04−046のフレームワーク領域の配列を、KABAT et al. (Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service National Institutes of Health, Bethesda,MD.(1991))において既定されるヒトのサブグループ・コンセンサス配列のフレームワーク領域と比較した。重鎖についてはヒトγ鎖サブグループ1のコンセンサス配列が、軽鎖についてはヒトκ鎖サブグループ1のコンセンサス配列が、そのフレームワーク領域において高い配列同一性を有することに基づいて、アクセプターとして選択された。アクセプターについてのフレームワーク領域のアミノ酸残基を、04−046についてのアミノ酸残基と整列させ、異なるアミノ酸が使用される位置を同定した。これらの残基の位置は、上で構築された04−046の三次元モデルを使用して分析され、そしてアクセプター上にグラフティングされるべきドナー残基が、Queen et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,10029−10033(1989))によって与えられる基準によって選択された。選択された幾つかのドナー残基をアクセプター抗体に移入することによって、ヒト化h046の配列を以下の実施例に記載されるように構築した。
【0267】
6)−2 04−046重鎖のヒト化
6)−2−1 ヒト化h046−H4b タイプ重鎖
配列番号44に示されるヒトキメラ化抗体04−046Chの重鎖のうち、可変領域部分(配列番号44に示されるアミノ酸配列中の20乃至142番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列)配列番号44におけるアミノ酸番号24のグルタミンをバリンに、30番のロイシンをバリンに、31番のアラニンをリジンに、35番のセリンをアラニンに、39番のイソロイシンをバリンに、57番のリジンをアルギニンに、40番59番)のスレオニンをアラニンに、60番)のスレオニンをプロリンに、67番のイソロイシンをメチオニンに、86番のリジンをアルギニンに、87番のアラニンをバリンに、89番のロイシンをイソロイシンに、91番のバリンをアラニンに、99番のフェニルアラニンをスレオニンに、101番のグルタミンをグルタミン酸に、106番のスレオニンをアルギニンに、107番のプロリンをセリンに、108番のアスパラギン酸をグルタミン酸に、120番のセリンをスレオニンに、122番のイソロイシンをバリンに、136番のバリンをスレオニンに、137番のメチオニンをロイシンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化h046重鎖を「ヒト化h046−H4b タイプ重鎖」(「h046−H4b」と呼ぶこともある)と命名した。
【0268】
ヒト化h046−H4b タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号48に記載されている。配列番号48に示されるアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列はシグナル配列を示し、20乃至142番目のアミノ酸残基からなる配列は重鎖可変領域を示し、143乃至472番目のアミノ酸残基からなる配列は重鎖定常領域を示す。配列番号48のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号49に記載されている。配列番号49のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列はシグナル配列を示し、58乃至426番目のヌクレオチドからなる配列は重鎖可変領域の配列を示し、427乃至1416番目のヌクレオチドからなる配列は重鎖定常領域の配列を示す。配列番号48のアミノ酸配列は、
図9にも記載されている。
【0269】
6)−2−2 ヒト化h046−H4eタイプ重鎖
配列番号44に示されるヒトキメラ化抗体04−046Chの重鎖のうち可変領域部分の配列番号44の20番のグルタミンをグルタミン酸に、配24番のグルタミンをバリンに、30番のロイシンをバリンに、31番のアラニンをリジンに、35番のセリンをアラニンに、39番のイソロイシンをバリンに、57番のリジンをアルギニンに、59番のスレオニンをアラニンに、60番のスレオニンをプロリンに、67番のイソロイシンをメチオニンに、86番のリジンをアルギニンに、68番87番のアラニンをバリンに、89番のロイシンをイソロイシンに、91番のバリンをアラニンに、99番のフェニルアラニンをスレオニンに、101番目のグルタミンをグルタミン酸に、106番)のスレオニンをアルギニンに、107番)のプロリンをセリンに、108番のアスパラギン酸をグルタミン酸に、120番のセリンをスレオニンに、122番のイソロイシンをバリンに、136番のバリンをスレオニンに、137番のメチオニンをロイシンに、それぞれ置き換えることを伴い設計されたヒト化h046重鎖を「ヒト化h046−H4e タイプ重鎖」(「h046−H4e」と呼ぶこともある)と命名した。
ヒト化h046−H4e タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号50に記載されている。配列番号50のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列はシグナル配列、20乃至142番目のアミノ酸残基からなる配列は重鎖可変領域、143乃至472番目のアミノ酸残基からなる配列は重鎖定常領域を示す。配列番号50のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号51に記載されている。配列番号51のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列はシグナル配列、58乃至426番目のヌクレオチドからなる配列は重鎖可変領域の配列、427乃至1416番目のヌクレオチドからなる配列は重鎖定常領域の配列をコードしている。配列番号50のアミノ酸配列は、
図10にも記載されている。
【0270】
6)−2−3 ヒト化h046−H5b タイプ重鎖
配列番号44に示されるヒトキメラ化抗体04−046Chの重鎖のうち、可変領域部分の配列番号44の24番のグルタミンをバリンに、30番のロイシンをバリンに、31番のアラニンをリジンに、35番のセリンをアラニンに、39番のイソロイシンをバリンに、57番のリジンをアルギニンに、59番のスレオニンをアラニンに、60番のスレオニンをプロリンに、67番のイソロイシンをメチオニンに、86番のリジンをアルギニンに、87番のアラニンをバリンに、89番のロイシンをイソロイシンに、91番のバリンをアラニンに、99番のフェニルアラニンをアスパラギンに、101番のグルタミンをグルタミン酸に、106番)のスレオニンをアルギニンに、107番のプロリンをセリンに、108番のアスパラギン酸をグルタミン酸に、120番のセリンをスレオニンに、122番のイソロイシンをバリンに、136番)のバリンをスレオニンに、137番ののメチオニンをロイシンに、それぞれ置き換えることを伴い設計されたヒト化h046重鎖を「ヒト化h046−H5b タイプ重鎖」(「h046−H5b」と呼ぶこともある)と命名した。
【0271】
ヒト化h046−H5b タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号52に記載されている。配列番号52のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列はシグナル配列、20乃至142番目のアミノ酸残基からなる配列は重鎖可変領域、143乃至472番目のアミノ酸残基からなる配列は重鎖定常領域を示す。配列番号52のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号53に記載されている。配列番号53のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列はシグナル配列、58乃至426番目のヌクレオチドからなる配列は重鎖可変領域配列、427乃至1416番目のヌクレオチドからなる配列は重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号52のアミノ酸配列は、
図11にも記載されている。
【0272】
6)−2−4 ヒト化h046−H8 タイプ重鎖
配列番号44に示されるヒトキメラ化抗体04−046Chの重鎖のうち可変領域部分のアミノ酸番号80目のフェニルアラニンをアスパラギンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化h046重鎖を「ヒト化h046−H8 タイプ重鎖」(「h046−H8」と呼ぶこともある)と命名した。
ヒト化h046−H8 タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号54に記載されている。配列番号54のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列、20乃至142番目のアミノ酸残基からなる配列、143乃至472番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号54のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号55に記載されている。配列番号55のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至426番目のヌクレオチドからなる配列、427乃至1416番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号54のアミノ酸配列は、
図12にも記載されている。
【0273】
6)−2−5 ヒト化h046−H10 タイプ重鎖
配列番号44に示されるヒトキメラ化抗体04−046Chの重鎖のうち可変領域部分の配列番号44の39番のイソロイシンをバリンに、99番のフェニルアラニンをアスパラギンに、それぞれ置き換えることを伴い設計されたヒト化h046重鎖を「ヒト化h046−H10 タイプ重鎖」(「h046−H10」と呼ぶこともある)と命名した。
ヒト化h046−H10 タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号56に記載されている。配列番号56のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列はシグナル配列、20乃至142番目のアミノ酸残基からなる配列は重鎖可変領域、143乃至472番目のアミノ酸残基からなる配列重鎖定常領域を示す。配列番号56のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号57に記載されている。配列番号57のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列はシグナル配列、58乃至426番目のヌクレオチドからなる配列は重鎖可変領域配列、427乃至1416番目のヌクレオチドからなる配列は重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号56のアミノ酸配列は、
図13にも記載されている。
【0274】
6)−3 04−046軽鎖のヒト化
6)−3−1 ヒト化h046−L1タイプ軽鎖
配列番号45に示されるヒトキメラ化抗体04−046Chの軽鎖のうち可変領域部分の配列番号45の22番のスレオニンをイソロイシンに、23番のバリンをグルタミンに、24番のロイシンをメチオニンに、29番のアラニンをセリンに、31番のアラニンをセリンに、32番のバリンをアラニンに、34番のロイシンをバリンに、36番のグルタミンをアスパラギン酸に、41番のセリンをスレオニンに、58番のアルギニンをリジンに、59番のセリンをプロリンに、61番のグルタミンをリジンに、62番のグルタミンをアラニンに、95番のアスパラギン酸をセリンに、96番のプロリンをセリンに、97番のバリンをロイシンに、98番のグルタミン酸をグルタミンに、100番)のアスパラギン酸をグルタミン酸に、102番のイソロイシンをフェニルアラニンに、104番のアスパラギンをスレオニンに、119番のアラニンをグルタミンに、123番のロイシンをバリンに、125番のロイシンをイソロイシンに、128番のアラニンをスレオニンに置き換え、29番と30番の間にセリンを挿入することを伴い設計されたヒト化h046軽鎖を「ヒト化h046−L1タイプ軽鎖」(「h046−L1)」と呼ぶこともある)と命名した。
【0275】
ヒト化h046−L1タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号58に記載されている。配列番号58のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列はシグナル配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列は軽鎖可変領域、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列は軽鎖定常領域を示す。配列番号58のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号59に記載されている。配列番号58のヌクレオチド配列の1乃至60番目のヌクレオチドからなる配列はシグナル配列、61乃至387番目のヌクレオチドからなる配列は軽鎖可変領域配列、388乃至702番目のヌクレオチドからなる配列は軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号58のアミノ酸配列は、
図14にも記載されている。
【0276】
6)−3−2 ヒト化h046−L2タイプ軽鎖
配列番号45に示されるヒトキメラ化抗体04−046Chの軽鎖のうち可変領域部分の配列番号45の22番のスレオニンをイソロイシンに、23番のバリンをグルタミンに、24番のロイシンをメチオニンに、29番のアラニンをセリンに、21番のアラニンをセリンに、32番)のバリンをアラニンに、34番目のロイシンをバリンに、36番のグルタミンをアスパラギン酸に、41番のセリンをスレオニンに、58番のアルギニンをリジンに、59番のセリンをプロリンに、61番のグルタミンをリジンに、95番のアスパラギン酸をセリンに、96番のプロリンをセリンに、97番のバリンをロイシンに、98番のグルタミン酸をグルタミンに、100番のアスパラギン酸をグルタミン酸に、102番のイソロイシンをフェニルアラニンに、104番のアスパラギンをスレオニンに、119番のアラニンをグルタミンに、123番のロイシンをバリンに、125番のロイシンをイソロイシンに、128番のアラニンをスレオニンに置き換え、29番目と30番目の間にセリンを挿入することを伴い設計されたヒト化h046軽鎖を「ヒト化h046−L2タイプ軽鎖」(「h046−L2)」と呼ぶこともある)と命名した。
ヒト化h046−L2タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号60に記載されている。配列番号60のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列はシグナル配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列は軽鎖可変領域、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列は軽鎖定常領域に相当する。配列番号60のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号61記載されている。配列番号61のヌクレオチド配列の1乃至60番目のヌクレオチドからなる配列はシグナル配列、61乃至387番目のヌクレオチドからなる配列は軽鎖可変領域配列、388乃至702番目のヌクレオチドからなる配列は軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号60のアミノ酸配列は、
図15にも記載されている。
6)−3−3 ヒト化h046−L6タイプ軽鎖
配列番号45に示されるヒトキメラ化抗体04−046Chの軽鎖のうち可変領域部分の配列番号45の23番のバリンをグルタミンに、29番のアラニンをセリンに、31番のアラニンをセリンに、32番のバリンをアラニンに、34番のロイシンをバリンに、36番のグルタミンをアスパラギン酸に、41番のセリンをスレオニンに、58番のアルギニンをリジンに、59番のセリンをプロリンに、61番のグルタミンをリジンに、72番のアスパラギンをアスパラギン酸に、73番のロイシンをアルギニンに、95番のアスパラギン酸をセリンに、96番のプロリンをセリンに、97番のバリンをロイシンに、98番のグルタミン酸をグルタミンに、100番のアスパラギン酸をグルタミン酸に、102番のイソロイシンをフェニルアラニンに、119番のアラニンをグルタミンに、123番のロイシンをバリンに、125番のロイシンをイソロイシンに、128番のアラニンをスレオニンに置き換え、29番目と30番目の間にセリンを挿入することを伴い設計されたヒト化h046軽鎖を「ヒト化h046−L6タイプ軽鎖」(「h046−L6)」と呼ぶこともある)と命名した。
【0277】
ヒト化h046−L6タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号62に記載されている。配列番号62のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列はシグナル配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列は軽鎖可変領域、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列は軽鎖定常領域を示す。配列番号62のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号63に記載されている。配列番号63のヌクレオチド配列の1乃至60番目のヌクレオチドからなる配列はシグナル配列、61乃至387番目のヌクレオチドからなる配列は軽鎖可変領域配列、388乃至702番目のヌクレオチドからなる配列は軽鎖定常領域配列をコードしている。CDRL2のアミノ酸配列(SASDRES)は、配列表の配列番号92に記載されている。
配列番号62のアミノ酸配列は、
図16にも記載されている。 6)−3−4 ヒト化h046−L7タイプ軽鎖
【0278】
配列番号45に示されるヒトキメラ化抗体04−046Chの軽鎖のうち可変領域部分の23番のバリンをグルタミンに、29番のアラニンをセリンに、31番のアラニンをセリンに、32番のバリンをアラニンに、34番のロイシンをバリンに、36番のグルタミンをアスパラギン酸に、41番のセリンをスレオニンに、58番のアルギニンをリジンに、59番のセリンをプロリンに、61番のグルタミンをリジンに、71番のセリンをグリシンに、95番のアスパラギン酸をセリンに、96番のプロリンをセリンに、97番のバリンをロイシンに、98番のグルタミン酸をグルタミンに、100番のアスパラギン酸をグルタミン酸に、102番のイソロイシンをフェニルアラニンに、119番のアラニンをグルタミンに、123番のロイシンをバリンに、125番のロイシンをイソロイシンに、128番のアラニンをスレオニンに置き換え、29番目と30番目の間にセリンを挿入することを伴い設計されたヒト化h046軽鎖を「ヒト化h046−L7タイプ軽鎖」(「h046−L7)」と呼ぶこともある)と命名した。
【0279】
ヒト化h046−L7タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号64に記載されている。配列番号64のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列はシグナル配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列は軽鎖可変領域、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列軽鎖定常領域を示す。配列番号64のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号65に記載されている。配列番号65のヌクレオチド配列の1乃至60番目のヌクレオチドからなる配列はシグナル配列、61乃至387番目のヌクレオチドからなる配列は軽鎖可変領域配列、388乃至702番目のヌクレオチドからなる配列は軽鎖定常領域配列をコードしている。CDRL2のアミノ酸配列(SAGNLES)は、配列表の配列番号93に記載されている。
配列番号64のアミノ酸配列は、
図17にも記載されている。
【0280】
6)−4 重鎖及び軽鎖の組み合わせによるヒト化h046の設計
ヒト化h046−H4e タイプ重鎖及びヒト化h046−L1タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H4e/L1」(「h046−H4e/L1」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H4e タイプ重鎖及びヒト化h046−L2タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H4e/L2」(「h046−H4e/L2」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H4e タイプ重鎖及びヒト化h046−L6タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H4e/L6」(「h046−H4e/L6」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H4e タイプ重鎖及びヒト化h046−L7タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H4e/L7」(「h046−H4e/L7」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H4b タイプ重鎖及びヒト化h046−L1タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H4b/L1」(「h046−H4b/L1」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H4b タイプ重鎖及びヒト化h046−L2タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H4b/L2」(「h046−H4b/L2」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H4b タイプ重鎖及びヒト化h046−L6タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H4b/L6」(「h046−H4b/L6」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H4b タイプ重鎖及びヒト化h046−L7タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H4b/L7」(「h046−H4b/L7」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H5b タイプ重鎖及びヒト化h046−L1タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H5b/L1」(「h046−H5b/L1」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H5b タイプ重鎖及びヒト化h046−L2タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H5b/L2」(「h046−H5b/L2」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H5b タイプ重鎖及びヒト化h046−L6タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H5b/L6」(「h046−H5b/L6」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H5b タイプ重鎖及びヒト化h046−L7タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H5b/L7」(「h046−H5b/L7」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H8 タイプ重鎖及びヒト化h046−L1タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H8/L1」(「h046−H8/L1」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H8 タイプ重鎖及びヒト化h046−L2タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H8/L2」(「h046−H8/L2」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H8 タイプ重鎖及びヒト化h046−L6タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H8/L6」(「h046−H8/L6」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H8 タイプ重鎖及びヒト化h046−L7タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H8/L7」(「h046−H8/L7」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H10 タイプ重鎖及びヒト化h046−L1タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H10/L1」(「h046−H10/L1」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H10 タイプ重鎖及びヒト化h046−L2タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H10/L2」(「h046−H10/L2」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H10 タイプ重鎖及びヒト化h046−L6タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H10/L6」(「h046−H10/L6」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化h046−H10 タイプ重鎖及びヒト化h046−L7タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化h046−H10/L7」(「h046−H10/L7」と呼ぶこともある)と命名した。ヒトキメラc046重鎖及びヒト化h046−L1タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒトキメラc046/L1」(「h046−Hwt/L1」と呼ぶこともある)と命名した。ヒトキメラc046重鎖及びヒト化h046−L2タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒトキメラc046/L2」(「h046−Hwt/L2」と呼ぶこともある)と命名した。ヒトキメラc046重鎖及びヒト化h046−L6タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒトキメラc046/L6」(「h046−Hwt/L6」と呼ぶこともある)と命名した。ヒトキメラc046重鎖及びヒト化h046−L7タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒトキメラc046/L7」(「h046−Hwt/L7」と呼ぶこともある)と命名した。以上により設計した抗体は、実施例6)−5及び実施例6)−7に準じて作製し、実施例6)−6及び実施例8)、実施例9)に準じて評価することができる。
【0281】
6)−5 ヒト化抗GPR20抗体の発現(1)
6)−5−1 ヒト化h046の重鎖発現ベクターの構築
6)−5−1−1 ヒト化h046−H4bタイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号94に示すDNA断片Aを合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片を実施例5)−1−3と同様の方法でキメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1を制限酵素BlpIで切断した箇所に挿入しプラスミドAを構築した。プラスミドAをテンプレートとし、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりヒト化h046−H4bタイプ重鎖発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターを「pCMA/h046−H4b」と命名した。ヒト化h046−H4bタイプ重鎖のヌクレオチド配列を配列番号49に示し、アミノ酸配列を配列番号48に示した。
プライマーセット:
5’−ATCAACCCTGGCAGCGGCCACACCAACTAC−3’(Hb−F;配列番号95)
5’−GAAGCCCATGTACTTCAGGCCCTGTCCAGGGG−3’(Hb−R;配列番号96)
【0282】
6)−5−1−2 ヒト化h046−H5bタイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号97に示すDNA断片Bを合成し(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)、合成したDNA断片を実施例5)−1−3と同様の方法でキメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1を制限酵素BlpIで切断した箇所に挿入しプラスミドBを構築した。プラスミドBをテンプレートとし、6)−5−1−1と同様の方法で変異を導入することによりヒト化h046−H5bタイプ重鎖発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターを「pCMA/h046−H5b」と命名した。ヒト化h046−H5bタイプ重鎖のヌクレオチド配列を配列番号53に示し、アミノ酸配列を配列番号52に示した。
【0283】
6)−5−1−3 ヒト化h046−H8タイプ重鎖発現ベクターの構築
実施例5)−1−3で構築したpCMA/04−046Ch−Hをテンプレートとして、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりヒト化h046−H8タイプ重鎖発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターを「pCMA/h046−H8」と命名した。ヒト化h046−H8タイプ重鎖のヌクレオチド配列を配列番号55に示し、アミノ酸配列を配列番号54に示した。
プライマーセット:
5’−AACATGCAGCTGTCCAGCCTGACCCCCGACGAC−3’(H08−F;配列番号98)
5’−GGCGGTGCTGCTGCTCTTGTCCACGGTCAG−3’(H08−R;配列番号99)
【0284】
6)−5−1−4 ヒト化h046−H10タイプ重鎖発現ベクターの構築
実施例6)−5−1−3で構築したpCMA/h046−H8をテンプレートとして、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりヒト化h046−H10タイプ重鎖発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターを「pCMA/h046−H10」と命名した。ヒト化h046−H10タイプ重鎖のヌクレオチド配列を配列番号57に示し、アミノ酸配列を配列番号56に示した。
5’−GTGAGCTGCAAGGCCAGCGGCTACACCTTCACC−3’(H10−F;配列番号100)
5’−CTTCACGCTGCTGCCAGGCTTGGCCAGTTC−3’(H10−R;配列番号101)
【0285】
6)−5−2 ヒト化h046の軽鎖発現ベクターの構築
6)−5−2−1 ヒト化h046−L1タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号59に示すヒト化h046−L1のヌクレオチド配列のうち、可変領域をコードするDNA配列を含むヌクレオチド番号37乃至402に相当するDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットでヒト化h046−L1の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を増幅し、実施例5)−1−1で構築したキメラ及びヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA−LKを制限酵素BsiWIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて挿入することによりヒト化h046−L1発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/h046−L1」と命名した。ヒト化h046−L1のアミノ酸配列を配列番号58に示した。
プライマーセット
5’−CTGTGGATCTCCGGCGCGTACGGC−3’(CM−LKF;配列番号90)
5’−GGAGGGGGCGGCCACCGTACG−3’(KCL−Inf−R;配列番号102)
【0286】
6)−5−2−2 ヒト化h046−L2タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号61に示すヒト化h046−L2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号37乃至402に示されるヒト化h046−L2の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例6)−5−2−1と同様の方法でヒト化h046−L2発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/h046−L2」と命名した。ヒト化h046−L2のアミノ酸配列を配列番号60に示した。
【0287】
6)−5−2−3 ヒト化h046−L6タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号63に示すヒト化h046−L6のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号37乃至402に示されるヒト化h046−L6の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例6)−5−2−1と同様の方法でヒト化h046−L6発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/h046−L6」と命名した。ヒト化h046−L6のアミノ酸配列を配列番号62に示した。
【0288】
6)−5−2−4 ヒト化h046−L7タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号65に示すヒト化h046−L7のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号37乃至402に示されるヒト化h046−L2の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例6)−5−2−1と同様の方法でヒト化h046−L7発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/h046−L7」と命名した。ヒト化h046−L7のアミノ酸配列を配列番号64に示した。
【0289】
6)−5−3 ヒト化h046抗体の小スケール生産
FreeStyle 293F細胞(Invitrogen社)はマニュアルに従い、継代、培養を行った。対数増殖期の1×10
7個のFreeStyle 293F細胞(Invitrogen社)をFreeStyle293 expression medium (Invitrogen社)で9.6mLに希釈した後に、30mL Square Storage Bottle(Nalgene社)に播種し、37℃、8%CO
2インキュベーター内で90rpmで1時間振とう培養した。Polyethyleneimine(Polyscience #24765)30μgをOpti−Pro SFM(Invitrogen社)200μLに溶解し、次にNucleoBond Xtra(TaKaRa社)を用いて調製した軽鎖発現ベクター(6μg)及び重鎖発現ベクター(4μg)を200μLのOpti−Pro SFM(Invitrogen社)に添加した。Polyethyleneimine/Opti−Pro SFM混合液200μLに、発現ベクター/Opti−Pro SFM混合液200μLを加え穏やかに攪拌し、さらに5分間放置した後にFreeStyle 293F細胞に添加した。37℃、8%CO
2インキュベーターで7日間、90rpmで振とう培養して得られた培養上清をMinisart−Plus filter(Sartorius社)ろ過し、評価用のサンプルとした。
【0290】
pCMA/h046−H4bとpCMA/h046−L7との組合せによって、ヒト化h046−H4b/L7を取得した。pCMA/h046−H5bとpCMA/h046−L2との組合せによって、ヒト化h046−H5b/L2を取得した。pCMA/04−046Ch−HとpCMA/h046−L6との組合せによって、ヒト化h046−Hwt/L6を取得した。pCMA/h046−H8とpCMA/h046−L1との組合せによって、ヒト化h046−H8/L1を取得したpCMA/h046−H10とpCMA/h046−L1との組合せによって、ヒト化h046−H10/L1を取得した。pCMA/h046−H10とpCMA/h046−L6との組み合わせによって、ヒト化h046−H10/L6を取得した。
【0291】
6)−6 ヒト化抗GPR20抗体のin vitro評価
6)−6−1 ヒト化抗GPR20抗体の結合性評価
実施例6)−5−3で作製したヒト化抗GPR20抗体のGPR20結合性をフローサイトメトリー法により評価した。実施例1)−5−1と同様の方法でpcDNA3.1−hGPR20を293T細胞にLipofectamine 2000を用いて一過性に導入し、37℃、5% CO
2の条件下で一晩培養した後、細胞懸濁液を調製した。これらの細胞懸濁液にヒト化抗GPR20抗体を加えて4℃で1時間静置した後、5% FBS含有PBSで2回洗浄し、5% FBS含有PBSで320倍に希釈したPE標識F(ab’)2 Fragment抗ヒトIgG, Fcγ抗体(JACKSON IMMUNORESEARC社)を加えて懸濁し、4℃で1時間静置した。5% FBS含有PBSで2回洗浄した後、5% FBS含有PBSに再懸濁し、フローサイトメーター(BD FACSCant II:BD バイオサイエンス社)で検出を行った。データ解析はFlowjo(TreeStar社)で行った。その結果、作製したヒト化抗GPR20抗体はpcDNA3.1−hGPR20導入293T細胞に結合することを確認した。
図24にヒトGPR20に特異的に結合したヒト化抗GPR20抗体の結果を示す。
図24のヒストグラムにおいて、横軸は抗体結合量を表すPEの蛍光強度、縦軸は細胞数を示す。網掛けは、抗GPR20抗体を反応させていない陰性コントロールであり、白抜きは、各抗GPR20抗体を反応させた際に、細胞表面のGPR20に抗体が結合したことによって蛍光強度が増強したことを示す。
【0292】
6)−6−2 ヒト化抗GPR20抗体の内在化活性評価
実施例6)−5−3で作製したヒト化抗GPR20抗体の内在化活性は、1)−6と同様の方法でタンパク質合成を阻害する毒素(サポリン)を結合させた抗ヒトIgG抗体試薬Hum−ZAP(ADVANCED TARGETING SYSTEMS)を用いて評価した。すなわち、ヒトGPR20のC末端側にEGFPをつないだGPR20−EGFPタンパク質を安定発現するHEK293細胞を2.5x10
3cells/wellで播種して37℃、5% CO
2の条件下で一晩培養後、ヒト化抗GPR20抗体(終濃度:0.015から1.27μg/mL)とHum−ZAP(終濃度:1μg/mL)を添加し、4日間培養後に生存細胞数をCellTiter−Glo
TM Luminescent Cell Viability AssayによるATPの定量で測定した。その結果、実施例6)−5−3で作製したヒト化抗GPR20抗体である、ヒト化h046−H4b/L7、ヒト化h046−H5b/L2、ヒト化h046−Hwt/L6、ヒト化h046−H8/L1、ヒト化h046−H10/L1及びヒト化h046−H10/L6において、抗体内在化による細胞増殖抑制作用を示した。
【0293】
6)−7 ヒト化抗GPR20抗体の大量調製(2)
6)−7−1 ヒト化h046の重鎖発現ベクターの構築
6)−7−1−1 ヒト化h046−H4bタイプ重鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号103に示されるヒト化h046_H4bタイプ重鎖のヌクレオチド配列(2)のヌクレオチド番号58乃至1416に示されるヒト化h046_H4bタイプ重鎖をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片を用い、Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じてヒト化h046_H4bタイプ重鎖発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターを「GSV−h046_H4b」と命名した。
【0294】
6)−7−1−2 ヒト化h046−H5bタイプ重鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号104に示されるヒト化h046_H5bタイプ重鎖のヌクレオチド配列(2)のヌクレオチド番号58乃至1416に示されるヒト化h046_H5bタイプ重鎖をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片を用い、Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じてヒト化h046_H5bタイプ重鎖発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターを「GSV−h046_H5b」と命名した。
【0295】
6)−7−1−3 ヒト化h046−Hwtタイプ重鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号105に示されるヒト化h046_Hwtタイプ重鎖のヌクレオチド配列(2)のヌクレオチド番号58乃至1416に示されるヒト化h046_Hwtタイプ重鎖をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片を用い、Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じてヒト化h046_Hwtタイプ重鎖発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターを「GSV−h046_Hwt」と命名した。
【0296】
6)−7−1−4 ヒト化h046−H8タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号106に示されるヒト化h046_H8タイプ重鎖のヌクレオチド配列(2)のヌクレオチド番号58乃至1416に示されるヒト化h046_H8タイプ重鎖をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片を用い、Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じてヒト化h046_H8タイプ重鎖発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターを「GSV−h046_H8」と命名した。
【0297】
6)−7−1−5 ヒト化h046−H10タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号107に示されるヒト化h046_H10タイプ重鎖のヌクレオチド配列(2)のヌクレオチド番号58乃至1416に示されるヒト化h046_H10タイプ重鎖をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片を用い、Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じてヒト化h046_H10タイプ重鎖発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターを「GSV−h046_H10」と命名した。
【0298】
6)−7−1−6 ヒト化h046−H4eタイプ重鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号51に示されるヒト化h046_H4eタイプ重鎖のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号58乃至1416に示されるヒト化h046_H4eタイプ重鎖をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片を用い、Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じてヒト化h046_H4eタイプ重鎖発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターを「GSV−h046_H4e」と命名した。
【0299】
6)−7−2 ヒト化h046の軽鎖発現ベクターの構築
6)−7−2−1 ヒト化h046−L1タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号108に示されるヒト化h046_L1タイプ軽鎖のヌクレオチド配列(2)のヌクレオチド番号61乃至702に示されるヒト化h046_L1タイプ軽鎖をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をLonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、ヒト化h046_L1タイプ軽鎖発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターを「GSV−h046_L1」と命名した。
【0300】
6)−7−2−2 ヒト化h046−L2タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号109に示されるヒト化h046_L2タイプ軽鎖のヌクレオチド配列(2)のヌクレオチド番号61乃至702に示されるヒト化h046_L2タイプ軽鎖をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をLonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、ヒト化h046_L2タイプ軽鎖発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターを「GSV−h046_L2」と命名した。
【0301】
6)−7−2−3 ヒト化h046−L6タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号110に示されるヒト化h046_L6タイプ軽鎖のヌクレオチド配列(2)のヌクレオチド番号61乃至702に示されるヒト化h046_L6タイプ軽鎖をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をLonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、ヒト化h046_L6タイプ軽鎖発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターを「GSV−h046_L6」と命名した。
【0302】
6)−7−2−4 ヒト化h046−L7タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号111に示されるヒト化h046_L7タイプ軽鎖のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号61乃至702に示されるヒト化h046_L7タイプ軽鎖をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をLonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、ヒト化h046_L7タイプ軽鎖発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターを「GSV−h046_L7」と命名した。
【0303】
6)−7−3 ヒト化抗GPR20抗体発現ベクターの構築
6)−7−3−1 ヒト化h046−H4b/L7発現ベクターの構築
構築した発現ベクター「GSV−h046_H4b」及び「GSV−h046_L7」から、Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、ヒト化h046−H4b/L7発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「DGV−h046_H4bL7−GS」と命名した。
【0304】
6)−7−3−2 ヒト化h046−H5b/L2発現ベクターの構築
構築した発現ベクター「GSV−h046_H5b」及び「GSV−h046_L2」から、Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、ヒト化h046−H5b/L2発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「DGV−h046_H5bL2−GS」と命名した。
【0305】
6)−7−3−3 ヒト化h046−Hwt/L6発現ベクターの構築
構築した発現ベクター「GSV−h046_Hwt」及び「GSV−h046_L6」から、Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、ヒト化h046−Hwt/L6発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「DGV−h046_HwtL6−GS」と命名した。
【0306】
6)−7−3−4 ヒト化h046−H8/L1発現ベクターの構築
構築した発現ベクター「GSV−h046_H8」及び「GSV−h046_L1」から、Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、ヒト化h046−H8/L1発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「DGV−h046_H8L1−GS」と命名した。
【0307】
6)−7−3−5 ヒト化h046−H10/L1発現ベクターの構築
構築した発現ベクター「GSV−h046_H10」及び「GSV−h046_L1」から、Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、ヒト化h046−H10/L1発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「DGV−h046_H10L1−GS」と命名した。
【0308】
6)−7−3−6 ヒト化h046−H10/L6発現ベクターの構築
構築した発現ベクター「GSV−h046_H10」及び「GSV−h046_L6」から、Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、ヒト化h046−H10/L6発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「DGV−h046_H10L6−GS」と命名した。
【0309】
6)−7−3−7 ヒト化h046−H4e/L7発現ベクターの構築
構築した発現ベクター「GSV−h046_H4e」及び「GSV−h046_L7」から、Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、ヒト化h046−H4e/L7発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「DGV−h046_H4eL7−GS」と命名した。
【0310】
6)−7−4 ヒト化抗GPR20抗体生産細胞の作製
6)−7−4−1 ヒト化h046−H4b/L7生産細胞の作製
Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、実施例6)−7−3−1で構築したヒト化h046−H4b/L7発現ベクター、DGV−h046_H4bL7−GSをCHOK1SV細胞(Lonza社)にトランスフェクションし、ヒト化h046−H4b/L7生産株を構築した。得られた生産株を「GPR1−12」と命名した。
【0311】
6)−7−4−2 ヒト化h046−H5b/L2生産細胞の作製
Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、実施例6)−7−3−2で構築したヒト化h046−H5b/L2発現ベクター、DGV−h046_H5bL2−GSをCHOK1SV細胞(Lonza社)にトランスフェクションし、ヒト化h046−H5b/L2生産株を構築した。得られた生産株を「GPR2−15」と命名した。
【0312】
6)−7−4−3 ヒト化h046−Hwt/L6生産細胞の作製
Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、実施例6)−7−3−3で構築したヒト化h046−Hwt/L6発現ベクター、DGV−h046_HwtL6−GSをCHOK1SV細胞(Lonza社)にトランスフェクションし、ヒト化h046−Hwt/L6生産株を構築した。得られた生産株を「GPR3−2」と命名した。
【0313】
6)−7−4−4 ヒト化h046−H8/L1生産細胞の作製
Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、実施例6)−7−3−4で構築したヒト化h046−H8/L1発現ベクター、DGV−h046_H8L1−GSをCHOK1SV細胞(Lonza社)にトランスフェクションし、ヒト化h046−H8/L1生産株を構築した。得られた生産株を「GPR4−1」と命名した。
【0314】
6)−7−4−5 ヒト化h046−H10/L1生産細胞の作製
Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、実施例6)−7−3−5で構築したヒト化h046−H10/L1発現ベクター、DGV−h046_H10L1−GSをCHOK1SV細胞(Lonza社)にトランスフェクションし、ヒト化h046−H10/L1生産株を構築した。得られた生産株を「GPR5−10」と命名した。
【0315】
6)−7−4−6 ヒト化h046−H10/L6生産細胞の作製
Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、実施例6)−7−3−6で構築したヒト化h046−H10/L6発現ベクター、DGV−h046_H10L6−GSをCHOK1SV細胞(Lonza社)にトランスフェクションし、ヒト化h046−H10/L6生産株を構築した。得られた生産株を「GPR6−7」と命名した。
【0316】
6)−7−4−7 ヒト化h046−H4e/L7生産細胞の作製
Lonza社のGS Gene Expression System(登録商標)のプロトコールに準じて、実施例6)−7−3−7で構築したヒト化h046−H4e/L7発現ベクター、DGV−h046_H4eL7−GSをCHOK1SV細胞(Lonza社)にトランスフェクションし、ヒト化h046−H4e/L7生産株を構築した。得られた生産株を「GPE−23」と命名した。
【0317】
6)−7−5 ヒト化抗GPR20抗体生産細胞の培養
6)−7−5−1 ヒト化h046−H4b/L7生産細胞の培養
実施例6)−7−4−1で作製したヒト化h046−H4b/L7生産株「GPR1−12」の培養は、培養装置Wave reactor(GEヘルスケア・ジャパン社)を用いて実施した。生産株「GPR1−12」をC36(JXエネルギー社)培地を用いて解凍し、37℃、5% CO
2インキュベーター内にて120rpmで培養した。得られた培養液をC36培地で希釈し、37℃、5% CO
2インキュベーター内にて120rpmで拡大培養した。得られた培養液を細胞密度30×10
4cells/mLとなるようにC36培地で希釈してWAVE CELLBAG(GE Healthcare Bioscience社)に仕込み、37℃、5% CO
2、エアー供給量0.3L/分、揺動18−24rpm、角度6−8°で10日間培養した。培養開始3日目よりFM4Ae2培地(自家調製)を1日あたり、仕込み量の6%分を毎日添加した。得られた培養液をデプスフィルターMillistak MC0HC054H1(Merck Millipore社)で粗ろ過後、Flexboy Bagsに付属の0.22μmフィルター(Sartorius社)でろ過した。このろ過液を「h046−H4b/L7 培養上清」と命名した。
【0318】
6)−7−5−2 ヒト化h046−H5b/L2生産細胞の培養
実施例6)−7−5−1と同様に、実施例6)−7−4−2で作製したヒト化h046−H5b/L2生産株「GPR2−15」を培養、拡大し、培養装置Wave reactor(GEヘルスケア・ジャパン社)を用いてフェッドバッチ培養を実施した。細胞密度30×10
4cells/mLとなるようにC36培地で希釈してWAVE CELLBAG(GE Healthcare Bioscience社)に仕込み、11日間培養した。得られた培養液をろ過し、このろ過液を「h046−H5b/L2 培養上清」と命名した。
【0319】
6)−7−5−3 ヒト化h046−Hwt/L6生産細胞の培養
実施例6)−7−5−1と同様に、実施例6)−7−4−3で作製したヒト化h046−Hwt/L6生産株「GPR3−2」を培養、拡大し、培養装置Wave reactor(GEヘルスケア・ジャパン社)を用いてフェッドバッチ培養を実施した。細胞密度30×10
4cells/mLとなるようにC36培地で希釈してWAVE CELLBAG(GE Healthcare Bioscience社)に仕込み、14日間培養した。得られた培養液をろ過し、このろ過液を「h046−Hwt/L6 培養上清」と命名した。
【0320】
6)−7−5−4 ヒト化h046−H8/L1生産細胞の培養
実施例6)−7−5−1と同様に、実施例6)−7−4−4で作製したヒト化h046−H8/L1生産株「GPR4−1」を培養、拡大し、培養装置Wave reactor(GEヘルスケア・ジャパン社)を用いてフェッドバッチ培養を実施した。細胞密度30×10
4cells/mLとなるようにC36培地で希釈してWAVE CELLBAG(GE Healthcare Bioscience社)に仕込み、11日間培養した。得られた培養液をろ過し、このろ過液を「h046−H8/L1 培養上清」と命名した。
【0321】
6)−7−5−5 ヒト化h046−H10/L1生産細胞の培養
実施例6)−7−5−1と同様に、実施例6)−7−4−5で作製したヒト化h046−H10/L1生産株「GPR5−10」を培養、拡大し、培養装置Wave reactor(GEヘルスケア・ジャパン社)を用いてフェッドバッチ培養を実施した。細胞密度30×10
4cells/mLとなるようにC36培地で希釈してWAVE CELLBAG(GE Healthcare Bioscience社)に仕込み、10日間培養した。得られた培養液をろ過し、このろ過液を「h046−H10/L1 培養上清」と命名した。
【0322】
6)−7−5−6 ヒト化h046−H10/L6生産細胞の培養
実施例6)−7−5−1と同様に、実施例6)−7−4−6で作製したヒト化h046−H10/L6生産株「GPR6−7」を培養、拡大し、培養装置Wave reactor(GEヘルスケア・ジャパン社)を用いてフェッドバッチ培養を実施した。細胞密度30×10
4cells/mLとなるようにC36培地で希釈してWAVE CELLBAG(GE Healthcare Bioscience社)に仕込み、12日間培養した。得られた培養液をろ過し、このろ過液を「h046−H10/L6 培養上清」と命名した。
【0323】
6)−7−5−7 ヒト化h046−H4e/L7生産細胞の培養
実施例6)−7−5−1と同様に、実施例6)−7−4−7で作製したヒト化h046−H4e/L7生産株「GPE−23」を培養、拡大し、培養装置Wave reactor(GEヘルスケア・ジャパン社)を用いてフェッドバッチ培養を実施した。細胞密度30×10
4cells/mLとなるようにC36培地で希釈してWAVE CELLBAG(GE Healthcare Bioscience社)に仕込み、11日間培養した。得られた培養液をろ過し、このろ過液を「h046−H4e/L7 培養上清」と命名した。
【0324】
6)−7−6 ヒト化抗GPR20抗体の精製
6)−7−6−1 ヒト化h046−H4b/L7の精製
実施例6)−7−5−1で得られた「h046−H4b/L7 培養上清」を、rProteinAアフィニティークロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィーの三段階工程で精製した。最初に、培養上清を、PBSで平衡化したrProteinAアフィニティークロマト樹脂にアプライした。培養液がカラムに全て入ったのち、PBS、アルギニンを含む緩衝液、PBSでカラムを洗浄した。次に、酢酸緩衝液で溶出し、280nmの吸収ピークを回収した。回収液をTris緩衝液で中和し、グラスファイバーフィルター AP20(Merck Millipore社)で粗ろ過後、0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをrProteinA精製プールとした。
【0325】
次に、rProteinA精製プールを、PBSで平衡化した陰イオン交換クロマト樹脂にアプライした。アプライ液がカラムに全て入ったのち、PBSを通液した。素通り画分及びPBS通液時における280nmの吸収ピークを回収した。回収液を酢酸でpH調整し、0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをAEX精製プールとした。
次に、AEX精製プールを、酢酸緩衝液で平衡化した陽イオン交換クロマト樹脂にアプライした。アプライ液がカラムに全て入ったのち、酢酸緩衝液でカラムを洗浄した。次に高濃度のNaClを含む酢酸緩衝液を用いて溶出し、280nmの吸収ピークを回収した。回収液を0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをCEX精製プールとした。
【0326】
CEX精製プールを、Pellicon 3 Cassette 30kDa(Merck Millipore社)にて抗体濃度20mg/mLに濃縮した後、ヒスチジンバッファー(25mM Histidine、5% Sorbitol、pH6.0)に置換した。最後に0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものを精製サンプルとした。精製サンプルを「h046_H4b/L7」と命名した。
【0327】
6)−7−6−2 ヒト化h046−H5b/L2の精製
実施例6)−7−5−2で得られた「h046−H5b/L2 培養上清」を、rProteinAアフィニティークロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィーの三段階工程で精製した。最初に、培養上清を、PBSで平衡化したrProteinAアフィニティークロマト樹脂にアプライした。培養液がカラムに全て入ったのち、PBS、アルギニンを含む緩衝液、PBSでカラムを洗浄した。次に、酢酸緩衝液で溶出し、280nmの吸収ピークを回収した。回収液をTris緩衝液で中和し、グラスファイバーフィルター AP20(Merck Millipore社)で粗ろ過後、0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをrProteinA精製プールとした。
【0328】
次に、rProteinA精製プールを、PBSで平衡化した陰イオン交換クロマト樹脂にアプライした。アプライ液がカラムに全て入ったのち、PBSを通液した。素通り画分及びPBS通液時における280nmの吸収ピークを回収した。回収液を酢酸でpH調整し、0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをAEX精製プールとした。
【0329】
次に、AEX精製プールを、酢酸緩衝液で平衡化した陽イオン交換クロマト樹脂にアプライした。アプライ液がカラムに全て入ったのち、酢酸緩衝液でカラムを洗浄した。次に高濃度のNaClを含む酢酸緩衝液を用いて溶出し、280nmの吸収ピークを回収した。回収液を0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをCEX精製プールとした。
CEX精製プールを、Pellicon 3 Cassette 30kDa(Merck Millipore社)にて抗体濃度40mg/mLに濃縮した後、ヒスチジンバッファー(25mM Histidine、5% Sorbitol、pH6.0)に置換した。最後に0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものを精製サンプルとした。精製サンプルを「h046_H5b/L2」と命名した。
【0330】
6)−7−6−3 ヒト化h046−Hwt/L6の精製
実施例6)−7−5−3で得られた「h046−Hwt/L6 培養上清」を、rProteinAアフィニティークロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィーの三段階工程で精製した。最初に、培養上清を、PBSで平衡化したrProteinAアフィニティークロマト樹脂にアプライした。培養液がカラムに全て入ったのち、PBS、アルギニンを含む緩衝液、PBSでカラムを洗浄した。次に、酢酸緩衝液で溶出し、280nmの吸収ピークを回収した。回収液をTris緩衝液で中和し、0.5/0.2μmのフィルターであるMillipore Express SHC(Merck Millipore社)でろ過したものをrProteinA精製プールとした。
【0331】
次に、rProteinA精製プールを、PBSで平衡化した陰イオン交換クロマト樹脂にアプライした。アプライ液がカラムに全て入ったのち、PBSを通液した。素通り画分及びPBS通液時における280nmの吸収ピークを回収した。回収液を酢酸でpH調整し、0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをAEX精製プールとした。
【0332】
次に、AEX精製プールを、酢酸緩衝液で平衡化した陽イオン交換クロマト樹脂にアプライした。アプライ液がカラムに全て入ったのち、酢酸緩衝液でカラムを洗浄した。次に高濃度のNaClを含む酢酸緩衝液を用いて溶出し、280nmの吸収ピークを回収した。回収液を0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをCEX精製プールとした。
【0333】
CEX精製プールを、Pellicon 3 Cassette 30kDa(Merck Millipore社)にて抗体濃度40mg/mLに濃縮した後、ヒスチジンバッファー(25mM Histidine、5% Sorbitol、pH6.0)に置換した。最後に0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものを精製サンプルとした。精製サンプルを「h046−Hwt/L6」と命名した。
【0334】
6)−7−6−4 ヒト化h046−H8/L1の精製
実施例6)−7−5−4で得られた「h046−H8/L1 培養上清」を、rProteinAアフィニティークロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィーの三段階工程で精製した。最初に、培養上清を、PBSで平衡化したrProteinAアフィニティークロマト樹脂にアプライした。培養液がカラムに全て入ったのち、PBS、アルギニンを含む緩衝液、PBSでカラムを洗浄した。次に、酢酸緩衝液で溶出し、280nmの吸収ピークを回収した。回収液をTris緩衝液で中和し、0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをrProteinA精製プールとした。
【0335】
次に、rProteinA精製プールを、PBSで平衡化した陰イオン交換クロマト樹脂にアプライした。アプライ液がカラムに全て入ったのち、PBSを通液した。素通り画分及びPBS通液時における280nmの吸収ピークを回収した。回収液を酢酸でpH調整し、0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをAEX精製プールとした。
【0336】
次に、AEX精製プールを、酢酸緩衝液で平衡化した陽イオン交換クロマト樹脂にアプライした。アプライ液がカラムに全て入ったのち、酢酸緩衝液でカラムを洗浄した。次に高濃度のNaClを含む酢酸緩衝液を用いて溶出し、280nmの吸収ピークを回収した。回収液を0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをCEX精製プールとした。
【0337】
CEX精製プールを、Pellicon 3 Cassette 30kDa(Merck Millipore社)にて抗体濃度40mg/mLに濃縮した後、ヒスチジンバッファー(25mM Histidine、5% Sorbitol、pH6.0)に置換した。最後に0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものを精製サンプルとした。精製サンプルを「h046−H8/L1」と命名した。
【0338】
6)−7−6−5 ヒト化h046−H10/L1の精製
実施例6)−7−5−5で得られた「h046−H10/L1 培養上清」を、rProteinAアフィニティークロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィーの三段階工程で精製した。最初に、培養上清を、PBSで平衡化したrProteinAアフィニティークロマト樹脂にアプライした。培養液がカラムに全て入ったのち、PBS、アルギニンを含む緩衝液、PBSでカラムを洗浄した。次に、酢酸緩衝液で溶出し、280nmの吸収ピークを回収した。回収液をTris緩衝液で中和し、グラスファイバーフィルター AP20(Merck Millipore社)で粗ろ過後、0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをrProteinA精製プールとした。
【0339】
次に、rProteinA精製プールを、PBSで平衡化した陰イオン交換クロマト樹脂にアプライした。アプライ液がカラムに全て入ったのち、PBSを通液した。素通り画分及びPBS通液時における280nmの吸収ピークを回収した。回収液を酢酸でpH調整し、0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをAEX精製プールとした。
【0340】
次に、AEX精製プールを、酢酸緩衝液で平衡化した陽イオン交換クロマト樹脂にアプライした。アプライ液がカラムに全て入ったのち、酢酸緩衝液でカラムを洗浄した。次に高濃度のNaClを含む酢酸緩衝液を用いて溶出し、280nmの吸収ピークを回収した。回収液を0.22μmフィルターであるステリカップ‐GV(Merck Millipore社)でろ過したものをCEX精製プールとした。
【0341】
CEX精製プールを、Pellicon 3 Cassette 30kDa(Merck Millipore社)にて抗体濃度40mg/mLに濃縮した後、ヒスチジンバッファー(25mM Histidine、5% Sorbitol、pH6.0)に置換した。最後に0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものを精製サンプルとした。精製サンプルを「h046−H10/L1」と命名した。
【0342】
6)−7−6−6 ヒト化h046−H10/L6の精製
実施例6)−7−5−6で得られた「h046−H10/L6 培養上清」を、rProteinAアフィニティークロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィーの三段階工程で精製した。最初に、培養上清を、PBSで平衡化したrProteinAアフィニティークロマト樹脂にアプライした。培養液がカラムに全て入ったのち、PBS、アルギニンを含む緩衝液、PBSでカラムを洗浄した。次に、酢酸緩衝液で溶出し、280nmの吸収ピークを回収した。回収液をTris緩衝液で中和し、0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをrProteinA精製プールとした。
【0343】
次に、rProteinA精製プールを、PBSで平衡化した陰イオン交換クロマト樹脂にアプライした。アプライ液がカラムに全て入ったのち、PBSを通液した。素通り画分及びPBS通液時における280nmの吸収ピークを回収した。回収液を酢酸でpH調整し、0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをAEX精製プールとした。
【0344】
次に、AEX精製プールを、酢酸緩衝液で平衡化した陽イオン交換クロマト樹脂にアプライした。アプライ液がカラムに全て入ったのち、酢酸緩衝液でカラムを洗浄した。次に高濃度のNaClを含む酢酸緩衝液を用いて溶出し、280nmの吸収ピークを回収した。回収液を0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをCEX精製プールとした。
【0345】
CEX精製プールを、Pellicon 3 Cassette 30kDa(Merck Millipore社)にて抗体濃度40mg/mLに濃縮した後、ヒスチジンバッファー(25mM Histidine、5% Sorbitol、pH6.0)に置換した。最後に0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものを精製サンプルとした。精製サンプルを「h046−H10/L6」と命名した。
【0346】
6)−7−6−7 ヒト化h046−H4e/L7の精製
実施例6)−7−5−7で得られた「h046−H4e/L7 培養上清」を、rProteinAアフィニティークロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィーの三段階工程で精製した。最初に、培養上清を、PBSで平衡化したrProteinAアフィニティークロマト樹脂にアプライした。培養液がカラムに全て入ったのち、PBS、アルギニンを含む緩衝液、PBSでカラムを洗浄した。次に、酢酸緩衝液で溶出し、280nmの吸収ピークを回収した。回収液をTris緩衝液で中和し、0.5/0.2μmのフィルターであるMillipore Express SHC(Merck Millipore社)でろ過したものをrProteinA精製プールとした。
【0347】
次に、rProteinA精製プールを、PBSで平衡化した陰イオン交換クロマト樹脂にアプライした。アプライ液がカラムに全て入ったのち、PBSを通液した。素通り画分及びPBS通液時における280nmの吸収ピークを回収した。回収液を酢酸でpH調整し、0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをAEX精製プールとした。
【0348】
次に、AEX精製プールを、酢酸緩衝液で平衡化した陽イオン交換クロマト樹脂にアプライした。アプライ液がカラムに全て入ったのち、酢酸緩衝液でカラムを洗浄した。次に高濃度のNaClを含む酢酸緩衝液を用いて溶出し、280nmの吸収ピークを回収した。回収液を0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものをCEX精製プールとした。
【0349】
CEX精製プールを、Pellicon 3 Cassette 30kDa(Merck Millipore社)にて抗体濃度40mg/mLに濃縮した後、ヒスチジンバッファー(25mM Histidine、5% Sorbitol、pH6.0)に置換した。最後に0.22μmフィルターであるステリカップ−GV(Merck Millipore社)でろ過したものを精製サンプルとした。精製サンプルを「h046−H4e/L7」と命名した。
【0350】
実施例7:抗GPR20抗体−薬物コンジュゲートの作製
7)−1 抗体−薬物コンジュゲートの作製(1)
【0351】
【化14】
【0352】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(1)
抗体の還元:実施例5)−2にて作製した04−046Chを、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.47mLmg
−1cm
−1を使用)及びCを用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(3.40mL)に9.4mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.104mL;抗体一分子に対して5.0当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.170mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内鎖間部のジスルフィド結合を還元した。
【0353】
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を15℃で10分間インキュベートした。次いでN−{3−[2−(2−{[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパノイル]アミノ}エトキシ)エトキシ]プロパノイル}グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)グリシンアミドの10mM ジメチルスルホキシド溶液(0.189mL;抗体一分子に対して8.6当量)を加え、15℃で1時間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0284mL;抗体一分子に対して12.9当量)を加え、さらに室温にて20分間撹拌し、薬物リンカーの反応を停止させた。
【0354】
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作Dによる精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲート「046Ch−ADC2」を含有する溶液を14.0mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(ε
D,280=4964
、ε
D,370=18982を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:2.26mg/mL,抗体収量:31.6mg(93%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.6
【0355】
7)−2 抗体−薬物コンジュゲート(2)の作製
【化15】
【0356】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(2)
抗体の還元:実施例5)−2にて作製した04−046Chを、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.47mLmg
−1cm
−1を使用)及びCを用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(3.40mL)に9.4mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.104mL;抗体一分子に対して5.0当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0509mL)を加えた。本溶液のpHが7.0±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内鎖間部のジスルフィド結合を還元した。
【0357】
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を15℃で10分間インキュベートした。次いでN−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−[(2−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−2−オキソエトキシ)メチル]グリシンアミドの9.3M ジメチルスルホキシド溶液(0.176mL;抗体一分子に対して8.6当量)を加え、15℃で1時間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0284mL;抗体一分子に対して12.9当量)を加え、さらに室温にて20分間撹拌し、薬物リンカーの反応を停止させた。
【0358】
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作Dによる精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲート「046Ch−ADC1」を含有する溶液を14.0mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(ε
D,280=5178
、ε
D,370=20217を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:2.23mg/mL,抗体収量:31.2mg(92%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.6
【0359】
7)−3 抗体−薬物コンジュゲート(3)の作製
【化16】
【0360】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(3)
抗体の還元:実施例6)−7−6−1にて作製したh046−H4b/L7を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.31mLmg
−1cm
−1を使用)及びCを用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(6.25mL)に10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.237mL;抗体一分子に対して5.5当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0940mL)を加えた。本溶液のpHが7.0±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内鎖間部のジスルフィド結合を還元した。
【0361】
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を15℃で10分間インキュベートした。次いでN−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−[(2−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−2−オキソエトキシ)メチル]グリシンアミドの10mM ジメチルスルホキシド溶液(0.388mL;抗体一分子に対して9.0当量)を加え、15℃で1時間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0390mL;抗体一分子に対して9.0当量)を加え、さらに室温にて20分間撹拌し、薬物リンカーの反応を停止させた。
【0362】
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作Dによる精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲート「h046−H4b/L7−ADC1」を含有する溶液を30.0mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E及びF((ε
D,280=5178
、ε
D,370=20217を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:2.03mg/mL,抗体収量:61.0mg(97%),共通操作Eにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.5;共通操作Fにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.8。
【0363】
7)−4 抗体−薬物コンジュゲート(4)の作製
【化17】
【0364】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(4)
抗体の還元:実施例6)−7−6−1にて作製したh046−H4b/L7を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.31mLmg
−1cm
−1を使用)を用いて、及びCを用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(300mL)をポリカーボネート製の1000mL三角フラスコ容器に入れ、マグネティックスターラー撹拌下、室温で1Mリン酸水素二カリウム水溶液(4.80mL)を加えた後、10mM TCEP水溶液(11.3mL;抗体一分子に対して5.5当量)を加えた。本溶液のpHが7.0±0.1内であることを確認した後に撹拌を停止し、37℃で2時間インキュベートすることにより抗体内鎖間部のジスルフィド結合を還元した。
【0365】
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を15℃に冷却後、撹拌下、N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−[(2−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−2−オキソエトキシ)メチル]グリシンアミドの10mM含むDMSO溶液(18.5mL;抗体一分子に対して9.0当量)をゆっくり滴下して加えた。15℃で30分間撹拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、撹拌下、100mM NAC水溶液(1.85mL;抗体一分子に対して9.0当量)を加え、さらに室温で20分間撹拌し、未反応の薬物リンカーの反応性を停止させた。
【0366】
精製:この溶液に対して、限外ろ過膜(メルク株式会社、Pellicon XL Cassette、Ultracell 30KDa)、チューブポンプ(米国コールパーマー社マスターフレックスポンプ model 77521−40、ポンプヘッド model 7518−00)及びチューブ(米国コールパーマー社マスターフレックスチューブ L/S16)で構成された限外ろ過装置を用い、限外ろ過精製を行った。すなわち、反応液に精製緩衝液としてABS(計3.00L)を滴下しながら限外ろ過精製を行うことで、未結合の薬物リンカー及び他の低分子量試薬を除去するとともに緩衝液をABSへ置換し、さらに濃縮まで行った。得られた精製溶液に対して、精密ろ過(0.22μm、PVDF膜、2回)を行い、標記抗体−薬物コンジュゲート「h046−H4b/L7−ADC1」を含有する溶液を83.0mL得た。
特性評価:共通操作E及びF(ε
D,280=5178
、ε
D,370=20217を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:23.1mg/mL,抗体収量:2.94g(98%),共通操作Eにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.8;共通操作Fにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.4。
【0367】
7)−5 抗体−薬物コンジュゲート(5)の作製
【化18】
【0368】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(5)
実施例6)−7−6−2にて作製したh046−H5b/L2(280nm吸光係数として1.31mLmg
−1cm
−1を使用)を用いて、実施例7−3工程1と同様の方法により、標記抗体−薬物コンジュゲート「h046−H5b/L2−ADC1」を得た。
抗体濃度:2.04mg/mL,抗体収量:61.3mg(98%),共通操作Eにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.4;共通操作Fにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.9。
【0369】
7)−6 抗体−薬物コンジュゲート(6)の作製
【化19】
【0370】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(6)
実施例6)−7−6−3にて作製したh046−Hwt/L6(280nm吸光係数として1.31mLmg
−1cm
−1を使用)を用いて、実施例7−3工程1と同様の方法により、標記抗体−薬物コンジュゲート「h046−Hwt/L6−ADC1」を得た。
【0371】
抗体濃度:2.03mg/mL,抗体収量:60.9mg(95%),共通操作Eにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.6;共通操作Fにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.8。
【0372】
7)−7 抗体−薬物コンジュゲート(7)の作製
【化20】
【0373】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(7)
抗体の還元:実施例6)−7−6−1にて作製したh046−H4b/L7を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.31mLmg
−1cm
−1を使用)及びCを用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(5.00mL)に10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.193mL;抗体一分子に対して5.5当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0752mL)を加えた。本溶液のpHが7.0±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内鎖間部のジスルフィド結合を還元した。
【0374】
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を15℃で10分間インキュベートした。次いでN−{3−[2−(2−{[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパノイル]アミノ}エトキシ)エトキシ]プロパノイル}グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)グリシンアミドの10mM ジメチルスルホキシド溶液(0.315mL;抗体一分子に対して9.0当量)を加え、15℃で1時間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0316mL;抗体一分子に対して9.0当量)を加え、さらに室温にて20分間撹拌し、薬物リンカーの反応を停止させた。
【0375】
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作Dによる精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲート「h046−H4b/L7−ADC2」を含有する溶液を24.0mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E及びF(ε
D,280=4964
、ε
D,370=18982を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:2.07mg/mL,抗体収量:49.6mg(99%),共通操作Eにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):6.1;共通操作Fにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.6。
【0376】
7)−8 抗体−薬物コンジュゲート(8)の作製
【化21】
【0377】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(8)
抗体の還元:実施例6)−7−6−2にて作製したh046−H5b/L2を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.31mLmg
−1cm
−1を使用)及びCを用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(6.25mL)に10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.237mL;抗体一分子に対して5.5当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0940mL)を加えた。本溶液のpHが7.0±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内鎖間部のジスルフィド結合を還元した。
【0378】
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を15℃で10分間インキュベートした。次いでN−{3−[2−(2−{[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパノイル]アミノ}エトキシ)エトキシ]プロパノイル}グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)グリシンアミドの10mM ジメチルスルホキシド溶液(0.388mL;抗体一分子に対して9.0当量)を加え、15℃で1時間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0390mL;抗体一分子に対して9.0当量)を加え、さらに室温にて20分間撹拌し、薬物リンカーの反応を停止させた。
【0379】
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作Dによる精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲート「h046−H5b/L2−ADC2」を含有する溶液を30.0mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E及びF(ε
D,280=4964
、ε
D,370=18982を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:2.07mg/mL,抗体収量:62.2mg(99%),共通操作Eにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):6.0;共通操作Fにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.7。
【0380】
7)−9 抗体−薬物コンジュゲート(9)の作製
【化22】
【0381】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(9)
実施例6)−7−6−3にて作製したh046−Hwt/L6(280nm吸光係数として1.31mLmg
−1cm
−1を使用)を用いて、実施例7)−8工程1と同様の方法により、標記抗体−薬物コンジュゲート「h046−Hwt/L6−ADC2」を得た。
抗体濃度:2.10mg/mL,抗体収量:62.9mg(99%),共通操作Eにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):6.1;共通操作Fにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.4。
【0382】
7)−10 抗体−薬物コンジュゲート(10)の作製
【化23】
【0383】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(10)
実施例6)−7−6−4にて作製したh046−H8/L1(280nm吸光係数として1.31mLmg
−1cm
−1を使用)を用いて、実施例7)−3工程1と同様の方法により、標記抗体−薬物コンジュゲート「h046−H8/L1−ADC1」を得た。
【0384】
抗体濃度:1.75mg/mL,抗体収量:52.6mg(86%),共通操作Eにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.6;共通操作Fにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.9。
【0385】
7)−11 抗体−薬物コンジュゲート(11)の作製
【化24】
【0386】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(11)
実施例6)−7−6−5にて作製したh046−H10/L1(280nm吸光係数として1.31mLmg
−1cm
−1を使用)を用いて、実施例7)−3工程1と同様の方法により、標記抗体−薬物コンジュゲート「h046−H10/L1−ADC1」を得た。
【0387】
抗体濃度:1.85mg/mL,抗体収量:55.6mg(90%),共通操作Eにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.6;共通操作Fにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.9。
【0388】
7)−12 抗体−薬物コンジュゲート(12)の作製
【化25】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(12)
実施例6)−7−6−6にて作製したh046−H10/L6(280nm吸光係数として1.31mLmg
−1cm
−1を使用)を用いて、実施例7)−3工程1と同様の方法により、標記抗体−薬物コンジュゲート「h046−H10/L6−ADC1」を得た。
【0389】
抗体濃度:1.83mg/mL,抗体収量:55.0mg(87%),共通操作Eにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.5;共通操作Fにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):8.0。
【0390】
7)−13 抗体−薬物コンジュゲート(13)の作製
【化26】
【0391】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(13)
抗体の還元:実施例6)−7−6−7にて作製したh046−H4e/L7を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.31mLmg
−1cm
−1を使用)及びCを用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(11.0mL)に10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.412mL;抗体一分子に対して5.5当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.165mL)を加えた。本溶液のpHが7.0±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内鎖間部のジスルフィド結合を還元した。
【0392】
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を15℃で10分間インキュベートした。次いでN−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−[(2−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−2−オキソエトキシ)メチル]グリシンアミドの10mM ジメチルスルホキシド溶液(0.674mL;抗体一分子に対して9.0当量)を加え、15℃で1時間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0674mL;抗体一分子に対して9.0当量)を加え、さらに室温にて20分間撹拌し、薬物リンカーの反応を停止させた。
【0393】
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作Dによる精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲート「h046−H4e/L7−ADC1」を含有する溶液を34.5mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E及びF(ε
D,280=5178
、ε
D,370=20217を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:3.01mg/mL,抗体収量:104mg(95%),共通操作Eにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.6;共通操作Fにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.7。
【0394】
7)−14 抗体−薬物コンジュゲート(14)の作製
【化27】
【0395】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(14)
実施例6)−7−6−7にて作製したh046−H4e/L7(280nm吸光係数として1.31mLmg
−1cm
−1を使用)を用いて、実施例7−13工程1と同様の方法により、標記抗体−薬物コンジュゲート「h046−H4e/L7−ADC1」を得た。
【0396】
抗体濃度:3.14mg/mL,抗体収量:108mg(99%),共通操作Eにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.6;共通操作Fにて測定された抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.6。
【0397】
実施例8:抗体−薬物コンジュゲートのin vitro活性評価
8)−1−1 ヒト化抗GPR20抗体及び抗体−薬物コンジュゲートの結合性評価
実施例6)−7−6で作製したヒト化抗GPR20抗体、並びに実施例7で作製した抗体−薬物コンジュゲートのGPR20結合性をフローサイトメトリー法により評価した。実施例6)−6−1と同様の方法でpcDNA3.1−hGPR20を一過性に導入した293T細胞に対する結合を、フローサイトメーター(BD FACSCant II:BD バイオサイエンス社)で解析した結果、抗体濃度依存的な結合性を確認した。
図25にその代表的な反応例を示す。
図25において横軸は抗体濃度(nM)、縦軸はMFI(mean fluorescence intensity)による抗体結合量を示す。
図25に示す通り、ヒト化抗GPR20抗体h046−H4b/L7及びh046−H4e/L7、並びに抗体−薬物コンジュゲート(4)、(13)は、pcDNA3.1−hGPR20導入293T細胞に対して濃度依存的に結合量が増加した。
【0398】
8)−2 GIST−T1/GPR20安定発現細胞株の作製
GIST−T1/GPR20安定発現細胞株は、GIST−T1細胞(コスモバイオ社より入手可能)にヒトGPR20発現用組換えレトロウイルスを感染させることにより作製した。
8)−2−1 ヒトGPR20発現レトロウイルスベクターの作製
ヒトGPR20発現レトロウイルスベクターは、In−Fusion HD Cloning Kit (CLONTECH社)を用いて作製した。即ち、実施例1で作製したヒトGPR20発現ベクターpcDNA3.1−hGPR20を鋳型とし、以下のプライマーセットを用いてPCR反応を行った。この反応にはKOD FX DNAポリメラーゼ(東洋紡社)を用い、98℃−10秒、58℃−30秒、68℃−2分、30サイクルで反応を行った後、得られたGPR20 cDNA断片を含むPCR産物をアガロースゲル電気泳動し、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社)で目的サイズのDNAを抽出した。このDNA断片と、制限酵素EcoRI,NotIで消化したレトロウイルスベクターpLPCX(CLONTECH社)、In−Fusion HD Enzyme premixとを混合し、連結反応をした後、大腸菌TOP10(Invitrogen社)に形質転換することで、ヒトGPR20発現レトロウイルスベクターpLPCX−GPR20を構築した。PCRに用いたプライマーセットは以下の通り。
PCRプライマーセット(pLPCXとGPR20 cDNA断片とのIn−Fusionクローニング用)
5’―CTCAAGCTTCGAATTCACCATGCCCTCTGTGTCTCCA―3’(LPCX−1;配列番号112)
5’―TTGGCCGAGGCGGCCTCCTAAGCCTCGGGCCCATTAG―3’(LPCX−1;配列番号113)
8)−2−2 GIST−T1/GPR20安定発現細胞株の樹立
Lipofectamine 2000(インビトロジェン社)を用いてレトロウイルスパッケージング細胞293−10A1にpLPCX−GPR20を一過性に導入し、72時間後に組換えレトロウイルスを含む培養上清を回収し、GIST−T1細胞培養系に添加することで同細胞に感染させた。感染3日後にGIST−T1細胞を1 cell/wellで96ウェルプレートに播種し、0.3から1μg/mLのPuromycinを添加した培地で37℃、5% CO
2の条件下で長期間培養することでGPR20を安定的に発現する細胞株GIST−T1/GPR20を樹立した。
【0399】
8)−3 GIST−T1/GPR20細胞に対するADCのin vitro細胞増殖抑制活性評価
GIST−T1/GPR20細胞を10% FBS含有DMEM培地中2.5x10
3細胞/100μL/wellになるよう96ウェルプレートに播種し、37℃、5% CO
2の条件下で一晩培養した。実施例7で作製した抗体−薬物コンジュゲートを終濃度0.032から100 nMとなるように添加した。7乃至11日間培養後に生存細胞数をCellTiter−Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability AssayによるATPの定量で測定した。
図26にヒトキメラ化抗体から作製した抗体−薬物コンジュゲート(1)、
図27にヒト化抗体から作製した抗体−薬物コンジュゲート(7)、(8)、(9)を各々添加した際の濃度依存的な細胞増殖抑制活性を示す。本実験におけるhIgG−ADC2は、GPR20とは無関係な抗原を認識するヒトIgGから作製した抗体−薬物コンジュゲートであり、陰性コントロールとして使用した。
【0400】
実施例9:抗体−薬物コンジュゲートのin vivo抗腫瘍効果
抗体−薬物コンジュゲートの抗腫瘍効果は、ヒト消化管間質腫瘍由来の細胞を免疫不全マウスに移植した動物モデルを用いて評価した。5−6週齢の雌BALB/c ヌードマウス(CAnN.Cg−Foxnlnu/CrlCrlj、日本チャールス・リバー社)を実験使用前にSPF条件化で4乃至7日間馴化した。マウスには滅菌した固形飼料(FR−2,Funabashi Farms Co.,Ltd)を給餌し、滅菌した水道水(5−15ppm次亜塩素酸ナトリウム溶液を添加して調製)を与えた。移植した腫瘍の長径及び短径を電子式デジタルノギス(CD−15CX,Mitutoyo Corp.)で1週間に1乃至2回測定し、以下に示す計算式により腫瘍体積を算出した。
腫瘍体積(mm
3)=1/2×長径(mm)×[短径(mm)]
2
抗体−薬物コンジュゲートは全てABS緩衝液(10mM−Acetate Buffer, 5% Sorbitol, pH5.5)(NACALAI)で希釈し、10mL/kgの液量を尾静脈内投与した。また、コントロール群(Vehicle群)としてABS緩衝液を同様に投与した。1群あたり5乃至6匹のマウスを実験に用いた。
【0401】
9)−1 抗腫瘍効果(1)
8)−1−2で作製したGIST−T1/GPR20細胞をマトリゲル(コーニング社)に懸濁し、5×10
6cellsを雌ヌードマウスの右側腹部に皮下移植し(Day0)、Day14に無作為に群分けを実施した。抗体−薬物コンジュゲート(1)、(2)をDay14に10mg/kgの用量で尾静脈内投与した。陰性対照としてヒトIgGを用いて作製した抗体−薬物コンジュゲートを10mg/kgの用量で同様に投与した。抗体−薬物コンジュゲート(1)、(2)の投与によって腫瘍体積が著しく減少し、いずれも腫瘍を縮退させる効果を発揮した(
図28)。なお、図中、横軸は日数、縦軸は腫瘍体積を示す。hIgG−ADC1及びhIgG−ADC2は、GPR20とは無関係な抗原を認識するヒトIgGから作製した抗体−薬物コンジュゲートであり、陰性コントロールとして使用した。
【0402】
9)−2 抗腫瘍効果(2)
2×10
7cellsのヒト消化管間質腫瘍細胞株GIST430(Brigham Women’s Hospitalより入手)を雌ヌードマウスの右側腹部に皮下移植して(Day0)、Day29に無作為に群分けを実施した。抗体−薬物コンジュゲート(1)、(2)をDay29、36、43に10mg/kgの用量で尾静脈内投与した。抗体−薬物コンジュゲート(1)、(2)の投与によって腫瘍体積がコントロール群に比べて著しく減少し、いずれも腫瘍増殖抑制効果を発揮した(
図29)。
【0403】
9)−3 抗腫瘍効果(3)
実施例9)−1と同様にGIST−T1/GPR20細胞を雌ヌードマウスに皮下移植し(Day0)、Day24に無作為に群分けを実施した。抗体−薬物コンジュゲート(6)、(9)をDay24に10mg/kgの用量で尾静脈内投与した。抗体−薬物コンジュゲート(6)、(9)の投与によって腫瘍体積が著しく減少し、いずれも腫瘍を縮退させる効果を発揮した(
図30)。
【0404】
9)−4 抗腫瘍効果(4)
実施例9)−1と同様にGIST−T1/GPR20細胞を雌ヌードマウスに皮下移植し(Day0)、Day17に無作為に群分けを実施した。抗体−薬物コンジュゲート(3)、(5)、(6)、(10)、(11)、(12)をDay17に全て1mg/kgの用量で尾静脈内投与した。抗体−薬物コンジュゲート(3)、(5)、(6)、(10)、(11)、(12)の投与によって腫瘍体積が著しく減少し、いずれも腫瘍増殖抑制効果を発揮した(
図31)。
【0405】
9)−5 抗腫瘍効果(5)
実施例9)−1と同様にGIST−T1/GPR20細胞を雌ヌードマウスに皮下移植し(Day0)、Day17に無作為に群分けを実施した。抗体−薬物コンジュゲート(13)をDay17に0.3、1、3mg/kgの用量で尾静脈内投与した。抗体−薬物コンジュゲート(13)の投与によって用量依存的に腫瘍体積が減少し、1mg/kg以上の用量で腫瘍を退縮させる効果を発揮した(
図32)。
【0406】
9)−6 抗腫瘍効果(6)
小腸の消化管間質腫瘍患者より摘出した腫瘍を免疫不全マウスの皮下にブロック移植することにより継代維持したGIST020(医薬基盤・健康・栄養研究所より入手)を雌ヌードマウスの右側腹部に皮下移植して(Day0)、Day55に無作為に群分けを実施した。抗体−薬物コンジュゲート(4)、(13)をDay55、75に10mg/kgの用量で尾静脈内投与した。抗体−薬物コンジュゲート(4)、(13)の投与によって腫瘍体積がコントロール群に比べて著しく減少し、いずれも腫瘍増殖抑制効果を発揮した(
図33)。
【0407】
9)−7 抗腫瘍効果(7)
食道の消化管間質腫瘍患者より摘出した腫瘍を免疫不全マウスの皮下にブロック移植することにより継代維持したGIST1(富山大学より入手)を雌ヌードマウスの右側腹部に皮下移植して(Day0)、Day38に無作為に群分けを実施した。抗体−薬物コンジュゲート(13)をDay38、59に3、10mg/kgの用量で尾静脈内投与した。抗体−薬物コンジュゲート(13)の投与によって腫瘍体積がコントロール群に比べて著しく減少し、いずれも腫瘍増殖抑制効果を発揮した(
図34)。
【0408】
9)−8 抗腫瘍効果(8)
HER2 分子を強発現しているがGPR20を発現していない胃癌細胞株 NCI−N87を1×10
7cellsを雌ヌードマウスの右側腹部に皮下移植して(Day0)、Day6に無作為に群分けを実施した。抗体−薬物コンジュゲート(14)をDay6に3、10mg/kgの用量で尾静脈内投与したが、抗体−薬物コンジュゲート(14)は、顕著な腫瘍増殖抑制効果を示さなかった。一方、抗HER2抗体から作製した−薬物コンジュゲートの投与によって、腫瘍体積がコントロール群に比べて著しく減少し、腫瘍増殖抑制効果を発揮した(
図35)。
【0409】
9)−9 抗腫瘍効果(9)
Regorafenib治療に不応答性となった胃の消化管間質腫瘍患者由来腫瘍を免疫不全マウスの皮下にブロック移植することにより継代維持されたGIST074(医薬基盤・健康・栄養研究所より入手)を雌ヌードマウスの右側腹部に皮下移植し(Day0)、Day29に無作為に群分けを実施した。抗体−薬物コンジュゲート(14)をDay29、50に10mg/kgの用量で尾静脈内投与した。抗体−薬物コンジュゲート(14)の投与により、腫瘍増殖が完全に抑制された(
図36)。一方、Imatinib, Sunitinib, Regorafenibを各々90、30、4 mg/kgで
図36の三角印で示した日に一日1回経口投与した場合には、腫瘍の増殖は完全には抑制されなかった。このことから、抗体−薬物コンジュゲート(14)は、標準治療薬である3種のチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性を示す消化管間質腫瘍に対しても抗腫瘍効果を発揮した。
【0410】
9)−10 抗腫瘍効果(10)
KIT遺伝子に V654AのImatinib耐性変異を有するヒト消化管間質腫瘍細胞株GIST430/654(Brigham Women’s Hospitalより入手)モデルにおいて、Sunitinibとの併用効果を評価した。2×10
7cellsのGIST430/654を雌ヌードマウスの右側腹部に皮下移植して(Day0)、Day21に無作為に群分けを実施した。
図37に示すように、抗体−薬物コンジュゲート(3)はDay21に10mg/kgの用量で尾静脈内に1回投与した。Imatinib及びSunitinibは各々150、40 mg/kgの用量で三角印をした日に一日1回経口投与した。GIST430/654モデルにおいて、Imatinibは腫瘍増殖を全く抑制しなかったが、抗体−薬物コンジュゲート(3)及びSunitinibを投与した群では、腫瘍増殖の抑制が観察された。抗体−薬物コンジュゲート(3)とSunitinibの併用群では、単剤より更に強い薬効が観察され、腫瘍の縮退が認められた。