特許第6875610号(P6875610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875610
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】避難装置
(51)【国際特許分類】
   A62B 1/00 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   A62B1/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2020-558552(P2020-558552)
(86)(22)【出願日】2020年5月1日
(86)【国際出願番号】JP2020018441
(87)【国際公開番号】WO2020226143
(87)【国際公開日】20201112
【審査請求日】2020年11月6日
(31)【優先権主張番号】特願2019-88026(P2019-88026)
(32)【優先日】2019年5月8日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2020-41684(P2020-41684)
(32)【優先日】2020年3月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城戸 憲昌
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 哲也
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 宗浩
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−164543(JP,A)
【文献】 特開昭52−093198(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0228713(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上階に保持される待機位置から下階まで降下する昇降台と、
待機位置にある前記昇降台上面を隠蔽する蓋体と、
前記昇降台上に固定される手摺ブラケットに倒伏姿勢から起立姿勢まで起立姿勢側に付勢されて回転自在に連結され、前記蓋体により倒伏姿勢に保持される手摺と、
前記蓋体の開放状態において前記手摺の起立姿勢への移行に伴って該手摺の倒伏姿勢への移動を規制する手摺ロック体とを有し、
前記手摺ロック体は、起立姿勢にある前記手摺の倒伏姿勢への移動を規制するロック位置と、前記手摺の倒伏姿勢への移動を許容するロック待避位置との間をロック位置側に付勢されて移動可能に形成され、
前記手摺ブラケットには、初期位置と作動位置との間を移動自在で、初期位置から作動位置への移動操作に伴って前記手摺ロック体をロック位置からロック待避位置に駆動するロック操作部材が設けられ、
前記ロック操作部材は、作動位置において前記手摺ロック体を付勢力に抗してロック待避位置に拘束し、
前記手摺ロック体には、一端が前記手摺の回転中心に連結される第1引張部材と、起立姿勢の前記手摺との非干渉経路にある前記手摺ロック体をロック位置側に付勢する第2引張部材とが連結される避難装置。
【請求項2】
前記ロック操作部材は、前記手摺の倒伏姿勢への移動に伴って初期位置に駆動される請求項記載の避難装置。
【請求項3】
前記ロック操作部材は、初期位置と作動位置との間を回転自在で、作動位置側への回転に伴って前記手摺ロック体をロック待避位置に押し込み、
ロック待避位置にある前記手摺ロック体が前記ロック操作部材を作動位置側の回転ストローク終端に押し付けるとともに、該ロック操作部材が該手摺ロック体をロック待避位置に保持する請求項または記載の避難装置。
【請求項4】
上階に保持される待機位置から下階まで降下する昇降台と、
待機位置にある前記昇降台上面を隠蔽する蓋体と、
前記昇降台上に固定される手摺ブラケットに倒伏姿勢から起立姿勢まで起立姿勢側に付勢されて回転自在に連結され、前記蓋体により倒伏姿勢に保持される手摺と、
前記蓋体の開放状態において前記手摺の起立姿勢への移行に伴って該手摺の倒伏姿勢への移動を規制する手摺ロック体とを有し、
前記手摺ロック体は、起立姿勢にある前記手摺の倒伏姿勢への移動を規制するロック位置と、前記手摺の倒伏姿勢への移動を許容し且つ該手摺の倒伏姿勢への移動に伴って排出される仮保持位置との間をロック位置側に付勢されて移動可能であり、
前記手摺ブラケットには、ロック位置側への付勢力に抗して前記手摺ロック体を前記仮保持位置に保持するストッパ壁が設けられ
前記手摺ロック体には、一端が前記手摺の回転中心に連結される第1引張部材と、起立姿勢の前記手摺との非干渉経路にある前記手摺ロック体をロック位置側に付勢する第2引張部材とが連結される避難装置。
【請求項5】
前記手摺は、U字状に形成されて自由端部において各々前記手摺ブラケットに連結され、前記手摺ロック体は、各前記手摺ブラケット間に架設される棒状に形成されて同時に操作可能である請求項4に記載の避難装置。
【請求項6】
上階に保持される待機位置から下階まで降下する昇降台と、
待機位置にある前記昇降台上面を隠蔽する蓋体と、
前記昇降台上に固定される手摺ブラケットに倒伏姿勢から起立姿勢まで起立姿勢側に付勢されて回転自在に連結され、前記蓋体により倒伏姿勢に保持される手摺と、
前記蓋体の開放状態において前記手摺の起立姿勢への移行に伴って該手摺の倒伏姿勢への移動を規制する手摺ロック体とを有し、
前記手摺ロック体は、起立姿勢にある前記手摺の倒伏姿勢への移動を規制するロック位置と、前記手摺の倒伏姿勢への移動を許容し且つ該手摺の倒伏姿勢への移動に伴って排出される仮保持位置との間をロック位置側に付勢されて移動可能であり、
前記手摺ブラケットには、ロック位置側への付勢力に抗して前記手摺ロック体を前記仮保持位置に保持するストッパ壁が設けられ、
前記手摺は、U字状に形成されて自由端部において各々前記手摺ブラケットに連結され、前記手摺ロック体は、各前記手摺ブラケット間に架設される棒状に形成されて同時に操作可能である避難装置。
【請求項7】
前記仮保持位置は、前記手摺ロック体がロック位置から離隔し、起立姿勢の前記手摺との非干渉経路を経て前記手摺の移行経路内に進入した位置に配置される請求項4から6までのいずれか1項に記載の避難装置。
【請求項8】
前記仮保持位置は、前記非干渉経路に前記手摺ロック体が嵌合可能な凹部を切り欠いて形成される請求項記載の避難装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、避難装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昇降台上に倒伏姿勢から起立姿勢に移行操作可能な手摺を設けた避難装置としては、特開2010-51473号公報に記載のものが知られている。この従来例において、避難装置を利用するには、まず、蓋体を開いた後、手摺を起立姿勢に移行させる必要があり、手間がかかるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、使い勝手の良好な避難装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示によれば上記目的は、
上階に保持される待機位置から下階まで降下する昇降台と、
待機位置にある昇降台上面を隠蔽する蓋体と、
昇降台上に固定される手摺ブラケットに倒伏姿勢から起立姿勢まで起立姿勢側に付勢されて回転自在に連結され、蓋体により倒伏姿勢に保持される手摺と、
蓋体の開放状態において手摺の起立姿勢への移行に伴って該手摺の倒伏姿勢への移動を規制する手摺ロック体とを有する避難装置を提供することにより達成される。
【0005】
手摺は起立姿勢方向に付勢されており、蓋体により倒伏姿勢に保持される。この状態から蓋体を開放すると、手摺は付勢力により起立姿勢に移行し、手摺ロック体は、手摺の起立姿勢への移行に伴って倒伏姿勢への移動を規制して起立姿勢が保持される。
【0006】
したがって、本開示において、蓋体の開放操作をするだけで手摺が使用状態である起立姿勢に移行するために、別途手摺の起立操作を行う必要がなく、使い勝手が向上する。
【0007】
また、本開示の他の態様として、
手摺ロック体は、起立姿勢にある手摺の倒伏姿勢への移動を規制するロック位置と、手摺の倒伏姿勢への移動を許容するロック待避位置との間をロック位置側に付勢されて移動可能に形成され、
手摺ブラケットには、初期位置と作動位置との間を移動自在で、初期位置から作動位置への移動操作に伴って手摺ロック体をロック位置からロック待避位置に駆動するロック操作部材が設けられ、
ロック操作部材が、作動位置において手摺ロック体を付勢力に抗してロック待避位置に拘束する避難装置を構成することができる。
【0008】
本開示において、手摺ロック体は起立姿勢と倒伏姿勢との間の移動時の手摺の移動軌跡に干渉するロック位置と、干渉が解消されるロック待避位置との間を移動可能で、ロック位置において起立姿勢にある手摺の倒伏姿勢への移動を規制し、ロック待避位置への移動により手摺の倒伏姿勢への移動が許容される。
【0009】
ロック操作部材は、初期位置と作動位置との間で移動可能であり、初期位置から作動位置への移動操作に伴って手摺ロック体をロック待避位置に移動させることにより手摺の起立姿勢から倒伏姿勢への移動が可能になる。
【0010】
ロック操作部材は適宜手段により作動位置に保持可能であり、この状態で手摺ロック体はロック待避位置に保持されて手摺への倒伏操作が許容される。
【0011】
したがって本態様において、ロック操作部材を作動位置に移動操作した状態で蓋体を閉塞すると、蓋体の閉塞に伴って手摺を倒伏させることが可能になるために、手摺を倒伏させた後、さらに蓋体を閉塞操作する必要がなくなり、使い勝手が向上する。
【0012】
ロック操作部材は手摺が倒伏姿勢に移行した後、作動位置への拘束を解消する操作をして初期位置に復帰させることが可能であるが、
ロック操作部材は、手摺の倒伏姿勢への移動に伴って初期位置に駆動される避難装置を構成することにより、拘束解消操作を行うことなく、初期位置への移動が可能になるために使い勝手が向上する。
【0013】
また、ロック操作部材は初期位置と作動位置との間を並進移動するように構成することも可能であるが、
ロック操作部材は、初期位置と作動位置間との間を回転自在で、作動位置側への回転に伴って手摺ロック体をロック待避位置に押し込み、
ロック待避位置にある手摺ロック体がロック操作部材を作動位置側の回転ストローク終端に押し付けるとともに、該ロック操作部材が該手摺ロック体をロック待避位置に保持する避難装置を構成すると、構造を簡単にすることができる。
【0014】
さらに、本開示の他の態様として、
手摺ロック体は、起立姿勢にある手摺の倒伏姿勢への移動を規制するロック位置と、手摺の倒伏姿勢への移動を許容し且つ手摺の倒伏姿勢への移動に伴って排出される仮保持位置との間をロック位置側に付勢されて移動可能であり、
手摺ブラケットには、ロック位置側への付勢力に抗して手摺ロック体を仮保持位置に保持するストッパ壁が設けられる避難装置を構成することができる。
【0015】
本態様において、手摺が起立姿勢にあるときに手摺ロック体を仮保持位置に保持し、この状態から手摺を倒伏させると、手摺ロック体は手摺により仮保持位置から押し出され、ロック位置側への付勢力によりロック位置に復帰する。ロック位置における手摺ロック体は手摺が起立姿勢から離脱した状態では倒伏姿勢側への移動を規制することはないために、引き続く手摺への倒伏操作は許容される。
【0016】
したがって、本態様において一旦手摺ロック体を仮保持位置に保持した状態で蓋体を閉塞すると、蓋体の閉塞に伴って手摺を倒伏させることが可能になるために、手摺を倒伏させた後、さらに蓋体を閉塞操作する必要がなくなり、使い勝手が向上する。
【0017】
また、仮保持位置は、手摺ロック体がロック位置から離隔し、起立姿勢の手摺との非干渉経路を経て手摺の移行経路内に進入した位置に配置されるように構成することができる。
【0018】
この場合、
仮保持位置は、非干渉経路にロック体が嵌合可能な凹部を切り欠いて形成される避難装置を構成すると、凹部のロック位置に対峙する壁面がストッパ壁となるために、構造を簡単にすることが可能になる。
【0019】
また、
手摺ロック体には、一端が手摺の回転中心に連結される第1引張部材と、仮保持位置にある手摺ロック体をロック位置側に付勢する第2引張部材とが連結される避難装置を構成すると、手摺ロック体を簡単な構成でロック位置、および仮保持位置に保持することができる。
【0020】
さらに、
手摺は、U字状に形成されて自由端部において各々手摺ブラケットに連結され、手摺ロック体は、各手摺ブラケット間に架設される棒状に形成されて同時に操作可能である避難装置を構成すると、ブラケット間に架設される棒状の手摺ロック体を押し込んで仮保持位置まで移動させることができるために、操作性が向上する。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、避難装置の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示による避難装置を示す図である。
図2】蓋体が開放した状態を示す図である。
図3A】ケースの変形例を示す図の断面図である。
図3B図3Aの3B部拡大図である。
図4】昇降台の平面図である。
図5図4の5A部拡大図である。
図6】昇降台に車椅子を載せた状態を示す斜視図である。
図7図1の要部拡大図である。
図8】倒伏姿勢の手摺の要部を示す図である。
図9A】手摺の動作を示し、起立姿勢への移行開始直後を示す図である。
図9B】手摺の動作を示し、起立姿勢への移行操作終了直前を示す図である。
図9C】手摺の動作を示し、起立姿勢を示す図である。
図9D】手摺の動作を示し、仮保持姿勢を示す図である。
図10A】手摺の変形例を示し、起立姿勢への移行開始直後を示す図である。
図10B】手摺の変形例を示し、仮保持姿勢を示す図である。
図10C】手摺の変形例を示し、起立姿勢を示す図である。
図11】ロック操作部を示す斜視図である。
図12A】ロック操作部の正面図である。
図12B】ロック操作部の背面図である。
図13】セット状態のスロープ体を示す図である。
図14】吊下状態のスロープ体を示す図である。
図15A】ロック状態のフラップの側面図である。
図15B】ロック状態のフラップのリンク構成図である。
図16A】フラップの動作を示し、着地状態を示す図である。
図16B】フラップの動作を示し、昇降台が待機位置に到達する直前を示す図である。
図17A】スロープ体の変形例の突部形成部の斜視図である。
図17B】スロープ体の変形例のセット状態を示す図である。
図18A図17のスロープ体の動作を示し、吊下状態を示す図である。
図18B図17のスロープ体の動作を示し、セット状態への移行直前の状態を示す図である。
図19】変換部を示す斜視図である。
図20A】フック部材の動作を示し、係止状態を示す図である。
図20B】フック部材の動作を示し、ロック状態が解除された直後を示す図である。
図20C】フック部材の動作を示し、ロック解除状態を示す図である。
図20D】フック部材の動作を示し、ロック解除され、昇降台が移動する状態を示す図である。
図21】昇降台保持機構の他の実施の形態を示す斜視図である。
図22A】他の実施の形態のフック部材の動作を示し、係止状態を示す図である。
図22B】他の実施の形態のフック部材の動作を示し、ロック状態が解除された直後を示す図である。
図23A図22のフック部材の動作を示し、昇降台の上昇によりフック補助部材が被係止部に衝接した状態を示す図である。
図23B図22のフック部材の動作を示し、昇降台がさらに上昇して干渉突部が被係止部に当接する直前の状態を示す図である。
図24A】変換部の動作を示し、図19の24A方向矢視図である。
図24B図24Aの24B-24B断面図である。
図25A】変換部の動作を示し、開放レバーが回転駆動された状態を示す図である。
図25B】変換部の動作を示し、ロック操作部への操作力が解除された状態を示す図である。
図26】本開示の他の実施の形態を示す平面図で、図4に対応する図である。
図27図26の27A部拡大図である。
図28A】フック部材の動作を示す図20に対応し、係止状態を示す図である。
図28B】フック部材の動作を示す図20に対応し、ロック状態が解除された直後を示す図である。
図28C】フック部材の動作を示す図20に対応し、ロック解除状態を示す図である。
図28D】フック部材の動作を示す図20に対応し、ロック解除され、昇降台が移動する状態を示す図である。
図29】昇降台保持機構を示す斜視図である。
図30A】ロック部材の操作状態を示し、ロック操作部を操作しない状態を示す図である。
図30B】ロック部材の操作状態を示し、ロック操作部を操作した状態を示す図である。
図31】手摺下端部を示す斜視図である。
図32】起立姿勢の手摺を示す側面である。
図33A】手摺の動作を示す断面図であり、倒伏姿勢を示す図である。
図33B】手摺の動作を示す断面図であり、倒伏姿勢から起立姿勢への移行途中を示す図である。
図34A】手摺の動作を示す断面図であり、起立姿勢を示す図である。
図34B】手摺の動作を示す断面図であり、ロック操作部材を作動位置側に操作した状態を示す図である。
図35A】手摺の動作を示す断面図であり、ロック操作部材を作動位置まで回転操作した状態を示す図である。
図35B】手摺の動作を示す断面図であり、手摺が倒伏姿勢側に回転した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1以下に示すように、避難装置は、上階側の床1に開設された開口に嵌合固定されて避難用開口2を形成するケース2aと、避難用開口2を閉塞するための蓋体5と、下階の床面3上に立設され、上端が上記避難用開口2に固定されるガイド支柱14と、昇降台4とを有する。
【0024】
昇降台4は、図1に示すように、避難用開口2内に保持される待機位置と、この待機位置からガイド支柱14に沿って降下して下階床面3上に着地する避難位置との間で昇降駆動される。
【0025】
上記ガイド支柱14は適宜の座屈強度を有する中空パイプ体であり、例えばアルミニウムを押し出し成形して形成される。このガイド支柱14の下端部は下階の床スラブに、上端部はケース2aに固定される。
【0026】
また、ガイド支柱14の一側壁面にはラック溝14aが形成される。図1に示すように、ラック溝14aは、ステンレス等の高強度の板材に所定ピッチで凹部14bを形成したもので、ガイド支柱14のほぼ全長にわたって形成される。
【0027】
さらに、この場合、図3A、3Bに示すように、ケース2aの周縁の下端に凹部2bを形成すると、昇降台4が退避位置から上昇して待機位置に到達した際の下蓋とケース2a下縁との衝突音の発生を防ぐことができる。
【0028】
さらに、図4、5に示すように、ガイド支柱14の中空部には、図外のワイヤにより吊り下げられる重錘15が収容されており、昇降台4が下階に到達した後、利用者が昇降台4を降りると、重錘15の重量により昇降台4は待機位置に復帰する。
【0029】
図6に示すように、昇降台4は、車椅子16の利用者が乗ることができるような十分な広さ、および耐荷重を有するように形成されており、車椅子16は、図4、6において左側の後縁部から中央部の車椅子搭載エリア4aに乗り込むことができる。車椅子搭載エリア4aの斜め後方には、介助者が乗るための補助スペース4bが形成される。
【0030】
なお、本明細書において、車椅子16の進行方向(図4における右側)を「前方」、乗り込み側を「後方」、図において上下方向を「側方」とする。
【0031】
図4、5に示すように、この昇降台4の各側辺部には、上記ガイド支柱14が挿通する支柱挿通開口4cが開設され、支柱挿通開口4cを挟んだ前後には昇降台4の降下速度を低下させるための緩降装置17が搭載される。緩降装置17の回転軸17aには上記ガイド支柱14の凹部14bに噛合するピニオン17bが固定されており、該ピニオン17bの回転数を緩降装置17により減速することにより昇降台4の降下速度が低減される。
【0032】
また、昇降台4にはガイド支柱14の前後方向壁面、および外側の側壁面に当接するローラ18が配置されており、昇降時のぐらつき等が規制される。
【0033】
さらに、昇降台4の前縁部には、手摺7が配置される。手摺7は、パイプ体を折り曲げて形成され、横杆7aと、横杆7aの両端から直角方向に延びる縦杆7bとを有してU字形状に形成される。この手摺7の昇降台4への装着は、各縦杆7bの自由端部を昇降台4に固定される手摺ブラケット6に回転自在に連結して行われる。
【0034】
上記手摺7は、図1に示すように、昇降台4の表面に沿う倒伏姿勢と、図2に示すように、横杆7aが上方に引き上げられた起立姿勢との間を回転移動することができる。手摺7は、起立姿勢側に付勢されており、蓋体5を閉塞することにより倒伏姿勢を保持し、蓋体5の開放操作に伴って自動的に起立姿勢に移行する。
【0035】
図7、8に手摺7の詳細を示す。図8に示すように、手摺7の各縦杆7bは下端の自由端部をロック操作片7cとして機能させるために、下端からやや上方位置において手摺ブラケット6に連結され、トーションスプリング7dにより起立姿勢側、すなわち、図8における時計回り方向の付勢力が与えられる。
【0036】
手摺ブラケット6には、図8に示すように、後述するロック位置、ロック解除位置、および仮保持位置間を連結する長孔状の移動通路19が形成され、両方の手摺ブラケット6間に橋渡される杆状の手摺ロック体8の両端が移動通路19に挿入される。
【0037】
上記ロック位置は図9Cに示すように、手摺7が起立姿勢にあるとき、手摺ロック体8がロック操作片7cの倒伏姿勢側への移動経路を閉塞する位置に設けられ、図9Bにおいて手摺ロック体8が位置するロック解除位置は、手摺ロック体8がロック操作片7cの移動軌跡に干渉しない位置に設けられる。
【0038】
また、図9Dにおいて手摺ロック体8が位置する仮保持位置は、ロック解除位置から後方に向けて延設され、ロック操作片7cの移動軌跡に干渉しない非干渉経路10の終端をロック操作片7cの移動軌跡との干渉領域に再び進入させた位置に設けられ、本例では、手摺ロック体8が嵌合可能な切欠状の凹部11を手摺7の回転中心方向に延ばして形成される。
【0039】
さらに、上記手摺ロック体8の移動通路19内での位置を決定させるために、手摺ロック体8には、一端が手摺7の回転中心(C7)に固定される第1引張部材としての第1引張スプリング12と、一端が手摺ブラケット6の前端部に固定される第2引張部材としての第2引張スプリング13が連結される。
【0040】
したがって、本例において、蓋体5を開放すると、手摺7は図8に示す倒伏姿勢からトーションスプリング7dの復元力により起立姿勢側に移動する。起立姿勢への移行に伴って、まず、図9Aに示すように、ロック操作片7cはロック位置に保持されている手摺ロック体8に干渉し、さらに起立姿勢側に移動するに伴って、図9Bに示すように、手摺ロック体8をロック解除位置側に押し出す。
【0041】
この後、さらに手摺7が起立姿勢側に移動すると、手摺ロック体8は第1、第2引張スプリング12、13の復元力により図9Cに示すように、ロック位置に復帰する。
【0042】
手摺7が起立姿勢にあるとき、ロック位置にある手摺ロック体8は、図9Cに示すように、ロック操作片7cの倒伏位置方向への移動を移動通路19の壁面により規制することから、手摺7に倒伏方向の力を加えても手摺7が倒れることはない。
【0043】
この状態から、図9Dに示すように、手摺ロック体8をロック解除位置を超えて仮保持位置まで移動させると、手摺ロック体8は、第1引張スプリング12により仮保持位置の終端壁に押し付けられるとともに、第2引張スプリング13の付勢力によるロック位置方向の移動が凹部11の壁面により形成されるストッパ壁9により遮られる結果、仮保持位置から離脱することがない。
【0044】
また、図4、5に示すように、手摺ロック体8の中心部は昇降台4の後方に開放されているために、該手摺ロック体8の中心部を後方に向けて押し込むだけで、手摺ロック体8は、非干渉経路10の終端に移動し、この後、押し込み操作を終了すると、第1引張スプリング12の復元力により仮保持位置に移動させることができる。
【0045】
さらに、図9Dの状態、すなわち、手摺7が起立位置にあり、かつ、手摺ロック体8が仮保持位置にある状態から手摺7を倒伏させると、手摺ロック体8は、ロック操作片7cにより仮保持位置から非干渉経路10に押し出され、その後、第2引張スプリング13の復元力によりロック位置に引き戻される。
【0046】
したがって、本例において、避難装置の使用後、昇降台4が待機位置に復帰した状態で手摺ロック体8を仮保持位置に移動させ、次いで、蓋体5を閉塞させるだけで手摺7を倒伏位置に移動させることができる。
【0047】
本例においてトーションスプリング7dの一端は図8に示すように、手摺ブラケット6の昇降台4への取付片6aを貫通して昇降台4内に挿入されているが、図10A図10Cに示すように、手摺ブラケット6の後部折返し片6bに係止させることもできる。
【0048】
なお、以後の各実施例において、上述した実施の形態と実質的に同一の構成要素は図中に同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
以上の手摺7には、後述するロック部材20を操作するためのロック操作部21が配置される。ロック操作部21は、手摺7の横杆7aの中心部に設けられ、車椅子16に乗った被介助者の不自由でないいずれの上肢でも操作できるように、あるいは介助者がいずれの補助スペース4bに乗っても被介助者の肩越しに操作することができるように、横杆7aの中心位置に対して対称位置に一対設けられる。
【0050】
これらロック操作部21のいずれを操作しても、後述するインナーワイヤ22bを同期させて作動させることができるように、一対のロック操作部21には互いに噛合するギア状部21aが形成される。
【0051】
また、各ロック操作部21は、被介助者が腕をロック操作部21上に載せて体重をかけるだけで操作することができるように、あるいは介助者が被介助者の肩越しに押し込むだけで操作することができるように、図6、11に示すように、レバー形状で、かつ、下方向に押し下げることによりロック部材20のロック解除操作が行えるように配慮される。
【0052】
これらロック操作部21によるロック部材20の操作はアウターケーブル22a内にインナーワイヤ22bを移動自在に挿通させたワイヤ装置22を使用して行われ、図11、12A、12Bに示すように、回転中心(C21)周りに回転操作可能な各ロック操作部21には各々インナーワイヤ22bが連結される。
【0053】
ワイヤ装置22をプル仕様として使用するために、インナーワイヤ22bは連結対象のロック操作部21と反対側のロック操作部21内に挿通させる。ロック操作部21に連結されたワイヤ装置22は、図11に示すように、パイプ状の手摺7に開設したワイヤ導入開口7eから手摺7の内部空間内に引き込まれた後、図5に示すように、再びワイヤ導出開口7fから手摺7外部に引き出され、昇降台4の表面上適宜高さで手摺7の縦杆7bに沿うようにして配索されて後述する変換部23に連結される。
【0054】
さらに、昇降台4の車椅子搭載エリア4aの後端部にはフラップ24が回転軸(C24)周りに上下方向に回転自在に連結され、さらに、その後方には昇降台4が下階床面3に着地した状態で下階床面3との段差を吸収するための傾斜面4dが形成される。
【0055】
後述するように、上記フラップ24は下階床面3への着地とともにロックが解除されて下方への回転が許容されるように形成されており、下階床面3に着地した後、車椅子16を後退させると、フラップ24が押し下げられるように回転して自由端部が傾斜面4d上に乗り上げ、そのまま下階床面3に進むことができる。
【0056】
また、上階側の待機位置において車椅子16の搭載を容易にするために、避難用開口2にはスロープ体25が連結される。
【0057】
図6に示すように、スロープ体25は、車椅子16が通ることができる程度の幅寸法を有する板体であり、図13に示すように、自由端部が昇降台4上に乗り上げたセット位置と、図14に示すように、避難用開口2から吊り下がった状態の吊下姿勢との間で回転中心(C25)周りに回転する。
【0058】
このスロープ体25の自由端にはセットローラ25aと、支承ローラ25bとが連結される。図13に示すように、セット位置において支承ローラ25bは傾斜面4d上に乗り上げてスロープ体25上を通過する車椅子16の荷重を負担する。
【0059】
また、図13に示すように、上述したフラップ24は昇降台4が待機位置にあるとき、スロープ体25の自由端上に乗り上がった状態となっており、この状態で上階側床面と昇降台4の表面との間にはスロープ体25が架け渡されて上階側床面1と昇降台4表面との間の段差が解消される。
【0060】
この状態で昇降台4が降下すると、図14に示すように、傾斜面4dによる支えを失ったスロープ体25は自重により下方に回転して吊下姿勢に移行する。
【0061】
上記セットローラ25aはスロープ体25が吊下姿勢にあり、上昇してきた昇降台4の補助スペース4b内端部上面に当接したときにスロープ体25にセット位置方向、すなわち、図14において反時計回りの回転操作力を発生させるように配置される。
【0062】
したがって本例において、昇降台4が降下後、再び待機位置側に移動すると、まず、セットローラ25aが昇降台4の補助スペース4b内端部上面に当接し、スロープ体25が昇降台4と上昇するとともにセット位置に復帰し、図13に示す初期状態に復帰する。
【0063】
また、昇降台4とセットローラ25aが衝接した際の衝撃を吸収するために、避難用開口2とスロープ体25の裏面との間にはダンパ26が介装される。
【0064】
上記フラップ24は、上述したように、昇降台4の車椅子搭載エリア4aの後端部に上下方向回転自在に連結され、図14に示す起立姿勢と、自由端が傾斜面4dに乗り上げた倒伏姿勢との間で回転し、回転軸(C24)に巻装されるトーションスプリング27により起立姿勢側に付勢される。フラップ24の起立姿勢における角度は、フラップ24の前後方向の長さ寸法を考慮して、昇降台4上の車椅子16の車輪止めとして機能する程度に決定される。
【0065】
上記フラップ24は、フラップロック部28により起立姿勢の維持が制御され、昇降台4の昇降時、すなわち、待機位置と下階床面3への着地時以外ではロック状態となって起立姿勢が保持され、昇降台4の昇降終端位置、すなわち、待機位置と下階床面3への着地時にはロック解除状態となって倒伏姿勢側への移動が許容される。
【0066】
この結果、昇降台4が降下中は、フラップ24の起立姿勢は維持されて昇降台4からの車椅子16の転落が防がれ、昇降台4の昇降終端位置、すなわち、待機位置と下階床面3への着地時には倒伏姿勢への移動が許容されて車椅子16の通過の障害となることがない。
【0067】
フラップロック部28は、図15A、15Bに示すように、昇降台4に回転自在に連結されるロック制御体29と、フラップ24の自由端部、およびロック制御体29に回転自在に連結されるフラップロック体30とを有し、各々には、ロック状態において相互に係止するロックストッパ29a、30aが形成される。
【0068】
上記ロック制御体29は、ロック位置とロック解除位置との間を回転中心(C29)周りに回転自在で、フラップロック部28は、フラップロック体30が、ロック位置にあるロック制御体29のロックストッパ29aにロックストッパ30aを係止させた係止位置に移動することによりロック状態となる。
【0069】
また、ロック制御体29とフラップロック体30とを連結する回転軸(C29M)にはトーションスプリング31が巻装されており、この結果、フラップ24に対して回転中心(C30)周りに回転自在に連結されるフラップロック体30は、トーションスプリング27による付勢力により係止位置側に付勢され、ロック制御体29は、フラップロック体30との間に介装されるトーションスプリング31の付勢力によりロック位置側に付勢される。
【0070】
図15Aに示すように、フラップロック体30とロック制御体29との連結位置、ロック制御体29の昇降台4への連結位置、およびロック状態におけるロックストッパ29a、30a同士の係止位置は、フラップ24の倒伏方向への移動操作力がフラップロック体30との連結点に付加された際のフラップロック体30とロック制御体29間の交差角の変更をロックストッパ29a、30a同士の係止により規制する関係になるように設定される。
【0071】
すなわち、図15Bにおいて、フラップ24に倒伏方向の回転操作力が負荷された場合、フラップロック体30のフラップ24との連結点には力(F)が作用し、ロック制御体29には反時計回りの回転力が発生する。ロックストッパ29a、30a同士の係止位置は、ロック制御体29の反時計方向への回転によるロック制御体29とフラップロック体30との鋭角側の交差角(θ)の減少を規制する位置に設定されており、この結果、ロック制御体29とフラップロック体30とは、フラップ24の倒伏方向の荷重に対して実質的に一体物として挙動することとなる。
【0072】
ロック制御体29とフラップロック体30の一体化により、フラップ24、ロック制御体29とフラップロック体30の一体物、および昇降台4は三節のリンクを構成することとなり、移動の自由度がなくなるため、フラップ24は起立姿勢を維持することができる。
【0073】
また、ロック制御体29には、昇降台4への連結点(C29)から下方に伸び、昇降台4が下階床面3に着地した際に該ロック制御体29を図15Aにおいて時計回り(ロック解除方向)に回転させる検知突部29bが設けられる。
【0074】
したがって、本例において、昇降台4が降下して下階床面3に着地すると、検知突部29bが下階床面3に押されて図15Aにおいて時計回り、すなわちロック解除位置方向に回転する。ロック制御体29がロック解除位置に回転すると、図16Aに示すように、フラップロック体30のロックストッパ30aの係止が解除され、ロック制御体29とフラップロック体30との連結点(C29M)の拘束が解除されてフラップロック体30の回転が可能になり、フラップ24は倒伏方向に移動することができる。
【0075】
この状態で車椅子16が移動すると、フラップ24は車輪により図16Aにおける矢印方向に押し込まれて自由端が傾斜面4dに乗り上げる状態となり、車椅子16の降車が可能になる。
【0076】
一方、昇降台4が上昇して待機位置近傍に至ると、上述したように、スロープ体25が吊下姿勢からセット位置に移行する。
【0077】
図13に示すように、スロープ体25の自由端部には、セット位置への移動時にフラップロック体30をロック制御体29との係止解除方向に移動させる操作突部25cが設けられる。本例において操作突部25cは、フラップロック体30に形成される円弧状の被押圧辺30bを押圧する突起形状に形成される。
【0078】
図16Bに示すように、昇降台4の待機位置への接近に伴って、操作突部25cはフラップロック体30の被押圧辺30bに接近し、やがて上記被押圧辺30bは操作突部25cにより前方に押し込まれる。
【0079】
操作突部25cにより被押圧辺30bが前方に押されたフラップロック体30のロックストッパ30aとロック制御体29のロックストッパ29aとの係止が解除され、さらに、ロック制御体29はロック解除位置方向に、フラップ24は倒伏位置方向に駆動される。
【0080】
フラップロック体30の被押圧辺30bは、スロープ体25のセット位置への復帰後にフラップ24の自由端がスロープ体25に乗り上げ、かつその状態でフラップロック体30に対する回転駆動が停止するように設定されており、上述したように、昇降台4が待機位置に復帰した状態では車椅子16は、スロープ体25、およびフラップ24を通って上階側の床1から円滑に乗車することができる。
【0081】
図17A、17B、18A、18Bにスロープ体25の変形例を示す。本変形例において、スロープ体25は、前端にセットローラ25aを連結したスロープ本体部42と、スロープ本体部42の前端に固定される突部形成部43とからなる。突部形成部43は、図17Aに示すように、支承ローラ25bを連結したハウジング43aの前端にローラ状の操作突部25cを回転自在に連結して形成される。操作突部25cの両端はハウジング43aに開設した長孔43bに挿通されてナット等により抜け止めされており、さらに、トーションスプリング43cにより前方に付勢される。
【0082】
したがって、本変形例において、昇降台4が待機位置にあるときには、上述した実施の形態と同様に、ローラ状の操作突部25cはフラップロック体30の被押圧辺30bに当接する。
【0083】
また、図18Aに示す吊下姿勢から昇降台4が上昇する時、昇降台4とスロープ体25の相対位置が寸法誤差の集積により設定値からずれて、操作突部25cから被押圧辺30bへの操作力が、例えば、フラップロック体30の回転中心(C30)方向に向き、あるいは回転中心(C30)から操作力の方向線におろした垂線の長さ(モーメントアーム)が短くなる場合があり、この場合、フラップロック体30に十分な回転操作力を付与することができないために、円滑な動作に支障を来す虞がある。
【0084】
しかし、本変形例のように、操作突部25cを長孔43b内で移動自在にしておくと、上述したような場合であっても、操作突部25cは長孔43bに沿って後方に移動することにより被押圧辺30bへの当接角度が変化し、モーメントアームが大きくなるために、円滑な作動が保障される。
【0085】
以上のように構成される昇降台4は昇降台保持機構32を使用して待機位置に保持される。
【0086】
昇降台保持機構32は、図19に示すように、待機位置周辺に形成された被係止部33と、被係止部33に係脱するフック部材34と、フック部材34の係脱状態を制御するロック部材20とから構成される。
【0087】
本例において被係止部33はU字ボルトにより形成され、左右対称位置に配置される一対、2本のガイド支柱14(図4参照)の前後壁面に各々合計4個が固定される。上記フック部材34とロック部材20とは、上記各被係止部33に対応して昇降台4上に配置され、各ガイド支柱14に付き2対、合計4対の各フック部材34とロック部材20とは、ガイド支柱14の前後壁面に平行な作動面内に作動する。
【0088】
上記フック部材34は、回転中心(C34)周りに図20Aに示す係止位置と、図20Cに示す係止解除位置との間を回転自在であり、上端部に係止位置において上記被係止部33に係止する係止フック部34aと、該係止フック部34aの対向位置に干渉突部34bとを備える。
【0089】
干渉突部34bは、図20Dに示すように、フック部材34が係止解除位置にあるときに被係止部33の相対移動経路、すなわち、昇降台4が昇降時の被係止部33の相対的な移動経路上に配置される。
【0090】
したがって、本例において、図20Dの状態から昇降台4が上昇すると、まず、被係止部33がフック部材34の干渉突部34bに衝接し、フック部材34は係止位置まで回転駆動される。フック部材34の係止位置への回転によりフック部は図20Aに示すように、被係止部33の上方に位置することとなって被係止部33に係止される。
【0091】
また、フック部材34の係止解除位置側辺縁にはフック側突部34cが突設される。このフック側突部34cと後述するロック側突部20aとの係止面は、ロック部材20の回転中心(C20)を中心とする円弧面により形成される。
【0092】
被係止部33との係止状態においてフック部材34には昇降台4の自重により係止解除方向への回転力が発生しており、この回転力に抗して係止状態を維持するために、ロック部材20が配置される。
【0093】
ロック部材20は、フック部材34の係止解除側辺縁に隣接して配置され、図20Aのロック位置と、図20Cのロック解除位置との間で回転自在であり、ロック位置においてフック部材34側辺縁に突設されるロック側突部20aがフック部材34のフック側突部34cに係止する。このロック部材20と上記フック部材34とは引張スプリング35により連結され、引張スプリング35はフック部材34が係止位置にあるときにロック部材20をロック位置側に付勢する。
【0094】
ロック側突部20aがフック側突部34cに係止した状態でフック部材34に係止解除位置方向(図20Aにおける時計回り)の回転力が発生すると、ロック部材20には回転中心(C20)に向かう圧縮力が発生し、フック部材34側辺縁に形成されたフック当接部20bがフック部材34に当接する。
【0095】
フック当接部20bのフック部材34への当接部位置は、フック部材34が係止解除位置に移動する際にロック部材20が接近する領域、すなわち、本例においては、ロック部材20の回転中心(C20)より上方に設定される。
【0096】
したがって、本例において、昇降台4の荷重によりフック部材34に係止解除位置方向の回転力が発生しても、ロック側突部20aと対応するフック部材34の辺縁との圧接力が増加するだけで、フック部材34が回転することはなく、係止状態、すなわち、昇降台4の待機位置への保持状態が維持される。
【0097】
この状態から、ロック部材20をロック解除位置に回転させると、ロック側突部20aはフック側突部34cの円弧面上を移動しながらフック側突部34cとの係止が解除され、昇降台4は降下を開始する。図20B、20Cに示すように、フック部材34の被係止部33との係止が解除され、さらに、ロック部材20がロック解除位置に保持された状態でフック部材34は引張スプリング35により係止解除位置側にさらに引かれ、フック部材34のフック側突部34cはロック部材20の段部20cに係止する。
【0098】
この状態がロック解除状態であり、一旦フック部材34が段部20cに係止するとロック部材20のロック位置側への移動経路がフック部材34により閉塞されるために、ロック解除状態が保持される。
【0099】
上述したように、この後、昇降台4が上昇してフック部材34が被係止部33に係止すると、引張スプリング35によりロック部材20はロック位置に移動し、この後、ロック状態が保持される。
【0100】
図21、22A、22B、23A、23Bに昇降台保持機構32の変形例を示す。なお、図21、22A、22B、23A、23Bにおいて上述した実施の形態と実質的に同一の構成要素には、図中に同一符号を付して説明を省略する。
【0101】
本変形例において、ラック溝14aはガイド支柱14の前後壁面に形成されており、図21において矢印で示す前方の壁面に形成されるラック溝14aに緩降装置17のピニオン17bが噛合する。このように、ラック溝14aをガイド支柱14の前後壁面、すなわち、短辺部に配置することにより、該短辺部が長辺部に比して剛性が高く、撓み量も小さなために、ピニオン17bとの噛合精度が高くなって円滑な作動が可能になる上に、全体の強度を高めることができる。
【0102】
なお、図21において15aは重錘15を吊り下げるワイヤ、15bはプーリを示す。
【0103】
また、昇降台保持機構32は、ガイド支柱14のラック溝14aが形成される壁面に隣接する壁面に平行な面内で動作して被係止部33に係脱可能に形成される。
【0104】
図22A、22Bに示すように、本変形例における昇降台保持機構32は、上述したフック部材34、ロック部材20、および引張スプリング35に加えてフック補助部材44が装着される。フック部材34とロック部材20とは、上述した実施の形態と同様に、フック側突部34c、およびロック側突部20aを備えて回転中心(C34、C20)周りに回転自在に昇降台4に連結され、上述した実施の形態と同様に動作し、ロック部材20同士が作動杆体36により連結される。
【0105】
フック補助部材44は、上記フック部材34と同軸上でフック部材34に対して相対回転自在で、後端部に被係止部33に当接可能なフック形状をした当接突部44aを備えるとともに、前端部に作動壁44bを備え、その中間部に逃し長孔44cが開設される。
【0106】
逃し長孔44cは、フック部材34の回転中心(C34)を中心とする円弧形状に形成され、ロック部材20の回転中心(C20)を形成する回転軸が挿通可能な曲率を有して形成される。
【0107】
また、作動壁44bは、ロック部材20から突設される作動突部20dの上方に位置し、該作動突部20dに当接可能な位置に形成される。
【0108】
図22Aに示すように、フック部材34が係止状態にあるときには、フック補助部材44の当接突部44aは被係止部33よりやや上方に位置している。フック部材34の被係止部33への係止が解除され、昇降台4が降下し始めると、被係止部33にフック補助部材44の当接突部44aが当接し、図22Bに示すように、逃し長孔44c内をロック部材20の回転軸が相対移動するようにしてフック補助部材44は時計回りに回転する。
【0109】
フック補助部材44の回転に伴って作動壁44bはロック部材20の作動突部20dを押し付けることから、該ロック部材20は係止解除側のストローク終端位置まで回転駆動される。
【0110】
また、フック部材34とフック補助部材44には、図外のトーションスプリングにより反時計回りの付勢力が与えられており、フック部材34による係止が解除されて昇降台4が降下すると、図22Aの初期姿勢に復帰する。
【0111】
一方、昇降台4が上昇した場合には、図23Aに示すように、まず、フック補助部材44の当接突部44aが被係止部33に当接して時計回りに回転する。フック補助部材44の回転に伴って、ロック部材20は作動突部20dがフック補助部材44の作動壁44bにより下方に押されて、図23Bに示すように、係止解除位置側に回転し、フック部材34の干渉突部34bが被係止部33に当接し、この後、干渉突部34bに加えられる力によりフック部材34は係止位置に移動する。
【0112】
以上のように、本変形例においては、昇降台4が上昇して待機位置に移動する際に、フック部材34と被係止部33との衝突が発生しないために、フック部材34へのダメージの発生を確実に防止することができる。
【0113】
上記ロック部材20の操作は、上述したように手摺7に配置されたロック操作部21に連結される変換部23により行われる。
【0114】
図19に示すように、変換部23は、対向配置される一対のロック部材20間を連結し、ガイド支柱14のラック溝14a形成壁面に沿って配置される作動杆体36と、開放レバー37とを有する。作動杆体36の長手方向中央部には該作動杆体36が移動自在に挿通する筒状に形成され、両端にフランジ38aを形成したカラー38が装着される。
【0115】
開放レバー37は、図19、25に示すように、板材をL字形状に折り曲げて形成される取付片37aと立ち上がり片37bとを有し、取付片37aにおいて昇降台4上に固定されるレバーブラケット39に回転自在に連結される。
【0116】
この開放レバー37は、立ち上がり片37bが作動杆体36に直交する姿勢で配置され、立ち上がり片37bには、図24Bに示すように、カラー38の外周にほぼ半周に渡って当接する円弧状の係止端40aを備えた長孔状の杆体係止部40が形成される。杆体係止部40の係止端40aに対する反対端部はカラー38に装着する際のカラー38挿入用の入り口を提供するための下方開放部40bが形成される。
【0117】
図24Aに示すように、開放レバー37の回転中心(C37)は作動杆体36からやや昇降台4の中心寄りに配置されており、上記回転中心(C37)を挟んで反対側にワイヤ装置22のインナーワイヤ22bが連結される。
【0118】
ワイヤ装置22は昇降台4の表面に沿って昇降台4上の適宜高さで、手摺7の縦杆7b、すなわち、作動杆体36に平行に配索されており、手摺7のロック操作部21を操作すると、インナーワイヤ22bがロック操作部21方向へ引っ張られて、図25Aに示すように、開放レバー37は回転軸(C37)周りに回転する。開放レバー37の回転に伴って杆体係止部40の係止端40aは前方に移動し、係止端40aに押されるようにしてカラー38、および該カラー38に挿入された作動杆体36は初期位置から所定距離(δ)だけ昇降台4の中心方向に移動する。
【0119】
移動距離(δ)はロック部材20のロック位置からロック解除位置への作動ストロークに一致しており、この結果、ロック部材20はロック解除位置に移動し、フック部材34による被係止部33への係止状態が解除されて昇降台4の降下が開始する。
【0120】
また、カラー38のフランジ38aは圧縮スプリング41により初期位置側に付勢されており、ロック部材20に対する解除操作後にロック操作部21への操作力を解除すると、圧縮スプリング41の復元力によりカラー38には初期位置方向への操作力が発生する。
【0121】
上記杆体係止部40の係止端40aに続く直線部40c(図24B参照)はロック部材20の動作時における鉛直方向の成分を加味してやや傾斜状に形成されるように、レバーブラケット39が傾いて設けられているために、カラー38は杆体係止部40の直線部40cを通って初期位置に復帰し、これに伴って開放レバー37は初期位置に復帰する(図25B参照)。開放レバー37の初期位置への復帰によりワイヤ装置22のインナーワイヤ22bも初期状態側に駆動されてロック操作部21も初期状態に復帰する。
【0122】
この後、フック部材34により被係止部33への係止動作が発生すると、上述したように、ロック部材20はロック位置側に移動し、これに伴って作動杆体36が移動し、変換部23は図19に示す初期状態に復帰する。
【0123】
図26以下に本開示の他の実施の形態を示す。本例において、ラック溝14aはガイド支柱14の後部壁面に形成されて緩降装置17(図示せず)のピニオン17b(図示せず)が噛合し、さらに、ガイド支柱14の左右側壁面には、フック部材34、およびロック部材20と協働して昇降台保持機構32を構成する一対の被係止部33が背向位置に固定される。
【0124】
上記フック部材34とロック部材20とは、上記各被係止部33に対応して昇降台4上に配置され、各々ガイド支柱14の左右側壁面に平行な面を作動面として回転する。
【0125】
上記フック部材34は、図28Aに示す係止位置と、図28Cに示す係止解除位置との間を回転中心(C34)周りに回転自在であり、上端部には係止位置において上記被係止部33に係止する係止フック部34aを、この係止フック部34aに対向する位置に干渉突部34bを各々備える。
【0126】
本例において、図28Dの状態から昇降台4が上昇すると、まず、被係止部33にフック部材34の干渉突部34bが衝接し、その後、フック部材34が係止位置まで回転駆動されて図28Aに示すように、被係止部33に係止される。
【0127】
ロック部材20は、フック部材34に隣接して配置されてフック部材34の作動面と同一面内で回転中心(C20)周りに回転自在であり、フック部材34が係止位置にあるとき、フック部材34のフック側突部34cがロック部材20のロック側突部20aに係止する。
【0128】
また、フック部材34が係止位置にあるとき、昇降台4の自重によりフック部材34には係止解除方向への回転力が発生するのに対し、ロック部材20はフック当接部20bがフック部材34のフック側突部34cに当接することにより図28Aの反時計回りの回転が規制され、かつ、ロック側突部20aがフック側突部34cに押さえつけられて時計回りの回転も規制されているために図20Aの位置に留まり、結果、ロック部材20は係止位置に保持される。
【0129】
この状態からロック部材20を図28Aにおける時計方向、すなわちロック解除位置側に回転させると、フック部材34はロック側突部20aによる支えを失って図28Bに示すように、係止解除位置方向に回転して被係止部33との係止が解除され、昇降台4は降下を開始する。
【0130】
ロック部材20によるフック部材34の係止解除操作を円滑に行うために、ロック側突部20aとフック側突部34cとの接触面は、ロック部材の回転中心(C20)を中心とする円弧面により形成される。
【0131】
さらに、フック部材34とロック部材20とは引張スプリング35により連結されているために、ロック部材20のロック解除位置への回転操作に伴ってフック部材34は係止解除位置まで移動し、図28Cに示すように、フック側突部34cがロック部材20の段部20cに係止して停止する。
【0132】
この状態がロック解除状態であり、一旦フック部材34が段部20cに係止するとロック部材20のロック位置側への移動経路がフック部材34により閉塞されるために、ロック解除状態が保持される。
【0133】
上記ロック部材20を操作するために、図29に示すように、上記各ガイド支柱14の両側壁に対応する一対のロック部材20は作動杆体36により連結されるとともに、作動杆体36の中心位置には一端がロック操作部21に連結されるワイヤ装置22のインナーワイヤ22bの他端が連結される(図30A、30B参照)。
【0134】
上記インナーワイヤ22bの操作方向、正確にはインナーワイヤ22bによる作動杆体36への操作力作用方向がフック部材34、およびロック部材20の作動面と平行な面内に位置するように、昇降台4にはワイヤガイド45が設けられる。
【0135】
さらに、ワイヤガイド45に固定されるワイヤ装置22のアウターケーブル22aと、作動杆体36に連結されるインナーワイヤ22bとの間には圧縮スプリング45aが介装されており、インナーワイヤ22bに作動杆体36への連結端側に引き出す付勢力を付与する。この結果、昇降台4が下階床面から上昇して待機位置に復帰し、フック部材34が係止位置に移行すると、インナーワイヤ22bが引かれてロック操作部21が操作前の初期状態に復帰する。
【0136】
ガイド支柱14の左右両側壁に沿ってフック部材34、およびロック部材20を配置し、ロック部材20間を連結する作動杆体36の中心位置にワイヤ装置22を連結することにより、ワイヤ装置22の作動杆体36への連結端は、図27に示すように、ガイド支柱14の幅方向中心線上にほぼ一致することとなる。
【0137】
この結果、手摺7のワイヤ導出開口7fから引き出されたワイヤ装置22の屈曲曲率を図5に示す場合に比して大きくすることができるために、ワイヤ操作時の接触抵抗が小さくなり、操作力を円滑に伝達することが可能になる。
【0138】
さらに本例において、図31、32に示すように、手摺7を回転自在に連結する手摺ブラケット6の前端部にはロック操作部材46が回転中心(C46)周りに回転自在に連結されるとともに、手摺ブラケット6の対向する一対の翼片6cには各々移動通路19が各々対向位置に開設され、第1引張スプリング12と第2引張スプリング13とにより引っ張られる手摺ロック体8の両端が移動自在に挿入される。
【0139】
上記第1引張スプリング12と第2引張スプリング13とは、上記手摺ロック体8が後述する移動通路19の干渉経路47側終端位置方向に付勢されるように配置され、本例において第2引張スプリング13の一端はロック操作部材46の回転中心(C46)位置に連結される。
【0140】
上記移動通路19は手摺7下端(ロック操作片7c)の移動軌跡に干渉する干渉経路47と、移動軌跡に干渉しない非干渉経路10とを有して前方に凸なL字形状をなしており、手摺7が起立姿勢で、手摺ロック体8が干渉経路47に位置するときには手摺7の起立姿勢からの倒伏動作が規制され、非干渉経路10内に位置するときに手摺7の倒伏動作が許容される。また、図34Aに示すように、移動通路19の干渉経路47側の終端位置近傍にはロック位置が、非干渉経路10の終端位置近傍にはロック待避位置が設定される。
【0141】
図31に示すように、上記ロック操作部材46は、手摺ブラケット6の対向する一対の翼片6cの内壁面に沿う一対の側片46aを連結片46bにより連結するとともに、各側片46aから幅方向中心に向けて被動片46cを突設させて形成される。上記各側片46aには第1ストッパ辺46d、第2ストッパ辺46e、操作辺46f、押圧辺46g、および操作辺46fと押圧辺46gとを連結する中間辺46hが設けられる。
【0142】
このロック操作部材46は、図33A、33Bに示すように、第1ストッパ辺46dを手摺ブラケット6の操作部材ストッパ壁6dに当接させた初期位置と、図35A、35Bに示すように、第2ストッパ辺46eを上記操作部材ストッパ壁6dに当接させた作動位置との間を回転操作することができる。
【0143】
図33Aに示すように、手摺7が蓋体5により押さえつけられて倒伏姿勢にあるとき、ロック操作部材46は、後述するように、手摺7の倒伏姿勢への変更に伴って初期位置まで駆動される。この状態で操作辺46fは手摺ロック体8に付加される付勢力により図33Aにおいて時計回りの回転力が付与され、結果、第1ストッパ辺46dが操作部材ストッパ壁6dに圧接し、ロック操作部材46はガタツキ等の発生が防止されて初期位置に保持される。
【0144】
この状態から蓋体5が開放されると、トーションスプリング7dの復元力により手摺7は図33Bに示すように起立姿勢方向に回転する。手摺7の回転に伴って手摺ロック体8は手摺7の下端部(ロック操作片7c)により下方に押し下げられて該手摺7の回転軌跡を開放するために、手摺7は図32図34Aに示すように、手摺ブラケット6に形成された手摺ストッパ6eに手摺7下端が当接した起立姿勢まで移行することができる。
【0145】
手摺7の起立姿勢において、手摺ロック体8は手摺7のロック操作片7cの前面に当接して手摺7の図34Aにおける反時計回り、すなわち、倒伏方向への回転を規制しているために、手摺7に倒伏方向の力を与えても、手摺7が倒伏することがない。
【0146】
この状態から図34Bに示すように、連結片46bを引き上げるようにしてロック操作部材46を初期位置から作動位置側に回転操作すると、手摺ロック体8はロック操作部材46の操作辺46fにより押し下げられて干渉経路47から非干渉経路10内に移動する。この後、さらにロック操作部材46を第2ストッパ辺46eが操作部材ストッパ壁6dに当接する作動位置まで回転させると、図35Aに示すように、手摺ロック体8はロック操作部材46の操作辺46fに次いで押圧辺46gにより押し下げられてロック待避位置に移動する。
【0147】
ロック待避位置において手摺ロック体8はロック操作部材46の押圧辺46gに圧接しており、圧接箇所における押圧辺46gに直交する方向の分力によりロック操作部材46には図35Aにおける時計回りの回転モーメント、すなわち、第2ストッパ辺46eを操作部材ストッパ壁6dに圧接させる回転力が発生し、ロック操作部材46は作動位置に、手摺ロック体8はロック待避位置に各々留まった状態が保持される。
【0148】
手摺ロック体8がロック待避位置に留まった状態において手摺7の倒伏方向への移動が許容され、蓋体5の閉塞動作に伴って手摺7は倒伏方向に回転する。図35Bに示すように、手摺7が倒伏方向に回転すると、やがて手摺7下端部は被動片46cに当接し、さらに手摺7が倒伏すると、手摺7下端部により被動片46cが押されてロック操作部材46は初期位置に復帰する。
【0149】
手摺ロック体8はロック操作部材46の復帰動作に追随してロック位置側に移動し、手摺ロック体8の操作辺46f、押圧辺46g、および中間辺46hは、手摺ロック体8の移動タイミングを手摺7との干渉が発生しないように決定するためのカムとして機能する。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本開示の避難装置は、建築物の火災時等に居住者等の避難に際して使用することができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
図21
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図25A
図25B
図26
図27
図28A
図28B
図28C
図28D
図29
図30A
図30B
図31
図32
図33A
図33B
図34A
図34B
図35A
図35B