(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記各剥離材は、前記各剥離材の周縁が前記各粘着層の周縁より外側方向に向かって延びるように被覆することで、前記各粘着層の前記周縁から延長後の前記各剥離材の周縁までの部位に剥離材延長部を設けており、
前記剥離材延長部と前記マスク本体の顔と相対する面との間に外側開口部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の紐なしマスク。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される紐なしマスクは、テープの粘着層の上に積層している剥離材を剥がす際に、マスクを顔から離した状態で、マスク本体の周縁のいずれかの位置から剥離材を剥がす必要がある。特許文献2に記載される紐なしマスクは、複数のテープについて個々のテープごとに剥離材が粘着層の上に積層されている場合、テープの粘着層の上に積層している剥離材を剥がす際に、マスクを顔から離した状態で、上下左右の各縁近傍の位置に設けた個々のテープの剥離材をそれぞれ一枚ずつ剥がす必要がある。この場合、マスク本体の上縁の中心が顔の中心、即ち鼻背にきちんと沿うように一方の手でマスク本体を押さえて位置決めするのと同時に、他方の手でテープの剥離材を剥がしつつテープ部分を顔に貼付することは困難である。また、手先が不自由な高齢者や爪が短い使用者が、粘着層の上に積層されている剥離材を剥がすことは困難を伴う場合がある。
【0005】
その結果、特許文献1と特許文献2に記載される紐なしマスクに関しては、使用者は、着用の際、マスク本体が顔の中心にくるように何度も貼ったり剥がしたりする作業を繰り返すことになり、粘着層同士、粘着層とマスク本体同士が粘着する弊害が必然的に生じる問題があった。
【0006】
また、特許文献1と特許文献2に記載される紐なしマスクに関して、使用者が、一旦顔に貼ったマスクを顔から外す際、テープの粘着力により粘着層の大部分又は一部がマスクから剥がれて顔に対して粘着したり、粘着層が引き裂かれたりする問題があった。さらに、特許文献2に記載される紐なしマスクは、複数のテープについて個々のテープごとに剥離材が粘着層の上に積層されている場合、剥離材の数が4枚になると共に1枚あたりの剥離材の面積が小さくなるため、装着時に剥離材が周囲に散乱するという剥離材の処分の問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、剥離作業と貼付作業の効率を向上させると共に、剥離材の処分がし易い、紐なしマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するための本発明に係る紐なしマスクの
特徴構成は、
マスク本体と、
前記マスク本体の顔と相対する面の周縁近傍の位置に設けた前記マスク本体の内部と外部の間の通気を遮断する粘着層と、
前記粘着層を被覆する剥離材とを備えた紐なしマスクであって、
前記粘着層は、前記マスク本体の顔と相対する面の周縁近傍の位置に対して途切れることなく設けられており、
且つ鼻当接点近傍の前記粘着層が、前記マスク本体
の対称軸に対して直交する一方側の方向と他方側の方向から前記マスク本体の前記対称軸に近づくにつれて漸次凹むように凹部を設けており
、
前記剥離材は、前記マスク本体の前記対称軸を境界として一対になるように、前記粘着層及び前記マスク本体の顔と相対する面を被覆しており、
前記粘着層の前記凹部の位置に、前記剥離材と前記マスク本体の顔と相対する面との間に開口部を設けたことを設けた点にある。
【0017】
本構成の紐なしマスクによれば、途切れなく設けた粘着層が、マスク本体と顔の間に生じる隙間を完全に埋めて当該隙間におけるマスク本体の内部と外部の間の通気を完全に遮断する。その結果、マスク本体の剥離作業と貼付作業の効率を向上させつつ、マスク本体内部と外部の間でのウイルス等の飛沫の侵入と拡散をより抑制することができる。
【0018】
本発明に係る紐なしマスクにおいて、
前記各剥離材は、前記各剥離材の周縁が前記各粘着層の周縁より外側方向に向かって延びるように被覆することで、前記各粘着層の前記周縁から延長後の前記各剥離材の周縁までの部位に剥離材延長部を設けており、
前記剥離材延長部と前記マスク本体の顔と相対する面との間に外側開口部を設けていることが好ましい。
【0019】
本構成の紐なしマスクによれば、外側開口部の開口が外部方向に向いて設けられているため、開口が内部方向(マスク本体の中心方向)に向いて設けられている場合と比較して、剥離材が摘まみ易くなると共に、粘着層がマスク本体から剥がれたり、引き裂かれたりすることを回避することができる。その結果、マスク本体の剥離作業と貼付作業の効率がさらに一層向上する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態の一例について図面を用いて説明する。
【0022】
(本発明の実施形態1)
図1に示すように、本発明に係る実施形態1の紐なしマスク100は、マスク本体10と、テープ部材40とを備える。テープ部材40は、粘着層20と、粘着層20及びマスク本体10の顔と相対する面を被覆する剥離材30とを備える。
具体的に、本発明に係る実施形態1の紐なしマスク100は、マスク本体10と、マスク本体10の顔と相対する面の周縁近傍の位置に設けたマスク本体10の内部と外部の間の通気を遮断する粘着層20と、粘着層20を被覆する剥離材30とを備えた紐なしマスクであって、粘着層20は、装着時に顔の対称軸と平行になるマスク本体10の対称軸Xを境界として一対であり、各粘着層20A、20Bは、それぞれマスク本体10の顔と相対する面上において、マスク本体10の対称軸Xに対して直交する一方側の方向と他方側の方向に、マスク本体10の対称軸Xから所定の間隔をあけて、且つマスク本体10の顔と相対する面の周縁近傍の位置に設けており、剥離材30は、マスク本体10の対称軸Xを境界として一対であり、各剥離材30A、30Bは、それぞれマスク本体10の顔と相対する面上において、マスク本体10の対称軸Xに対して直交する一方側の方向と他方側の方向に、マスク本体10の対称軸Xから所定の間隔をあけて、且つ粘着層20及びマスク本体10の顔と相対する面を被覆しており、剥離材30とマスク本体10の顔と相対する面との間に開口部50を設けたことを特徴とする。
【0023】
<マスク本体>
マスク本体10は、不織布からなる表面と裏面の間に複数層の不織布フィルター(図示せず)を設けたものである。また、マスク本体10は、上縁11近傍の位置であって、且つマスク本体10の表面と裏面の間に、マスク本体10と鼻を固定させるためのノーズワイヤー(図示せず)を設けている。
【0024】
なお、マスク本体10の素材は、上記不織布以外にも、ポリウレタン系、絹などの素材でもよく、種類を問わない。また、装着性を向上させる目的で、マスク本体10は、左縁13と右縁14からそれぞれ耳に掛けるための輪状の耳掛け部(図示せず)を備えてもよい。
【0025】
<粘着層>
粘着層20は、マスク本体10を顔に対して粘着させて、マスク本体10と顔の間に生じる隙間を埋めてマスク本体10の内部と外部の間の通気を遮断して、マスク本体10内部と外部の間でのウイルス等の飛沫の侵入と拡散を抑制するものである。
【0026】
粘着層20は、装着時に顔の対称軸と平行になるマスク本体10の対称軸Xを境界として左右それぞれの方向であるL方向とR方向にそれぞれ一対として構成されており、マスク本体10には、一対の粘着層20として、左粘着層20A、右粘着層20Bが設けられている。
【0027】
「顔の対称軸」とは、使用者の顔が線対称となる線のことを意味する。
「マスク本体10の対称軸X」とは、装着時に使用者の顔が線対称となる線と平行になる、マスク本体10が線対称となる線のことを意味する。
【0028】
各粘着層20A、20Bは、それぞれマスク本体10の顔と相対する面上において、マスク本体10の対称軸Xに対して直交する一方側の方向と他方側の方向に、マスク本体10の対称軸Xから所定の間隔をあけて、且つマスク本体10の顔と相対する面の周縁近傍の位置に対して、途切れることなく、設けられている。
途切れなく設けた粘着層20A、20Bが、マスク本体10と顔の間に生じる隙間の大部分を埋めてマスク本体10の内部と外部の間の通気の大部分を遮断する。その結果、マスク本体10の剥離作業と貼付作業の効率を向上させつつ、マスク本体内部と外部の間でのウイルス等の飛沫の侵入と拡散を抑制することができる。
【0029】
「マスク本体10の顔と相対する面」とは、一般的に、マスクの裏側の面のことを意味し、具体的には、マスク本体10の装着時に、使用者の鼻、口と接する面のことを意味する。
「マスク本体10の対称軸Xに対して直交する一方側の方向と他方側の方向」とは、
図1に示すように、装着時のマスク本体10の左右方向、即ちY軸上のL方向とR方向の各方向を意味する。したがって、マスク本体10には、一対の粘着層20として、マスク本体10の対称軸XからL方向に左粘着層20A、マスク本体10の対称軸XからR方向に右粘着層20Bが設けられている。
「所定の間隔」とは、マスク本体10の対称軸Xから左右各方向であるL方向とR方向の各方向へそれぞれ約0.5〜2cm程度を意味する。したがって、マスク本体10の対称軸Xから左右各方向であるL方向とR方向の各方向へそれぞれ約0.5〜2cm程度は、粘着層20が設けられていない。そのため、使用者は、鼻当接点25に対して顔の中心、即ち鼻背を位置付けることで、容易にマスク本体10の対称軸Xと顔の対称軸が合うことになる。なお、「鼻当接点25」とは、上縁11近傍で、且つ一対の粘着層20である各粘着層20A、20B同士の間、即ちマスク本体10の対称軸Xから左右各方向であるL方向とR方向の各方向へそれぞれ約0.5〜2cm程度の間に位置しており、マスク本体10の顔と相対する面において、マスク本体10の装着時に使用者の鼻が当接することが予側される範囲を意味する。したがって、鼻当接点25には、粘着層が設けられていないため、使用者がマスク本体10の対称軸Xと顔の対称軸が合うように何度も位置合わせをしても、粘着層の大部分又は一部がマスクから剥がれて顔に対して粘着したり、粘着層が引き割かれたりすることがない。
「周縁近傍」とは、装着時のマスク本体10の上縁11、下縁12、左縁13、右縁14に沿う、又は上下左右の各縁11、12、13、14から内側方向(マスク本体の中心方向)へそれぞれ約0.5〜2cm程度を意味する。
「途切れることなく」とは、
図2(a)に示すように、一体化であることを意味し、具体的には上縁11、下縁12、左縁13近傍の左粘着層20Aがひと続きに一体化しており、上縁11、下縁12、右縁14近傍の右粘着層20Bがひと続きに一体化していることを意味する。
【0030】
なお、一対の粘着層20である各粘着層20A、20Bは、マスク本体10の顔と相対する面上において、マスク本体10の対称軸Xに対して直交する一方側の方向と他方側の方向に、即ちY軸上のL方向とR方向の各方向に向かって、マスク本体10の対称軸Xから所定の間隔をあけて、且つマスク本体10の顔と相対する面の周縁近傍の位置に対して、途切れ途切れで、設けられていてもよい。
【0031】
「途切れ途切れ」とは、
図2(b)に示すように、粘着層20Aは複数からなる粘着層群であり、粘着層20Bは複数からなる粘着層群であることを意味する。したがって、一対の粘着層20である各粘着層20A、20Bが、それぞれ途切れている場合は、途切れていない場合と比較して、マスク本体10の内部と外部の間の通気性は向上する。
【0032】
なお、粘着層20A、20Bは、装着時、使用者の鼻に対して対向する端面における上縁11側の角部を切り欠き加工してもよい。この場合、当該粘着層20A、20Bの端面に対して、切り欠き加工することで生じた切欠面と剥離材30との間に新たに隙間が生じるため、使用者は、当該隙間から指を挿入して、鼻当接点25に近い位置で剥離材30を摘まみつつ、粘着層20から剥離材30を剥がすことができる。その結果、マスク本体10の剥離作業の効率がより向上する。
【0033】
なお、粘着層20は、粘着剤の種類としてシリコーン系、アクリル系、合成ゴム系などのいずれの種類を用いてもよい。
また、粘着層20は、マスク本体10に対して粘着剤の粘着力のみで貼り付けしてもよいし、又は下記のようにマスク本体10に対して粘着剤の粘着力で貼り付けた上で、マスク本体10と縫い合わすことで、粘着層20をマスク本体10に縫製させてもよい。
【0034】
<剥離材>
剥離材30は、粘着層20の表面を被覆することで、セパレータとしての役割を果たすと共に、粘着層20の表面が空気乾燥することで粘着性を喪失することを回避して、粘着層20の粘着力を維持させるものである。
【0035】
剥離材30は、装着時に顔の対称軸と平行になるマスク本体10の対称軸Xを境界として左右それぞれの方向であるL方向とR方向にそれぞれ一対であり、マスク本体10には、一対の剥離材30として左剥離材30A、右剥離材30Bが設けられている。
なお、各粘着層20A、20Bがそれぞれ途切れ途切れ、即ち各粘着層20A、20Bが複数からなる粘着層群の場合でも、一対の剥離材30は左剥離材30A、右剥離材30Bの2枚から構成される。
【0036】
各剥離材30A、30Bは、それぞれマスク本体10の顔と相対する面上において、マスク本体10の対称軸Xに対して直交する一方側の方向と他方側の方向に、マスク本体10の対称軸Xから所定の間隔をあけて、且つ粘着層20及びマスク本体10の顔と相対する面を被覆している。
具体的には、左剥離材30Aは、マスク本体10の顔と相対する面上において、マスク本体10の対称軸Xに対して直交して左方向、即ちY軸上のL方向に向かって、マスク本体10の対称軸Xから所定の間隔をあけて、且つ粘着層20A及び粘着層20Aで囲まれたマスク本体10の顔と相対する面を被覆している。また、右剥離材30Bは、マスク本体10の顔と相対する面上において、マスク本体10の対称軸Xに対して直交して右方向、即ちY軸上のR方向に向かって、マスク本体10の対称軸Xから所定の間隔をあけて、且つ粘着層20B及び粘着層20Bで囲まれたマスク本体10の顔と相対する面を被覆している。
【0037】
「所定の間隔」とは、マスク本体10の対称軸Xから左右各方向であるL方向とR方向の各方向へ約0.5〜2cm程度を意味する。
したがって、マスク本体10の対称軸Xから左右各方向であるL方向とR方向の各方向へそれぞれ約0.5〜2cm程度は、剥離材30が設けられていない。
「粘着層20及びマスク本体10の顔と相対する面を被覆」とは、
図3に示すように、剥離材30の外周面と粘着層20の外周面が面一になるように被覆する場合と、
図4、
図5に示すように、剥離材30の周縁が粘着層20の周縁より外側方向に向かって延びるように被覆して剥離材延長部31を設ける場合(下記の本発明に係る実施形態1の変形例100’)との両方を含むことを意味する。
【0038】
図3に示すように、左剥離材30Aの外周面と左粘着層20Aの外周面が面一になるように被覆する場合、左剥離材30Aとマスク本体10の顔と相対する面との間に内側開口部50のみが設けられる。具体的には、
図3に示すように、内側開口部50の開口が内部方向、即ちマスク本体の中心方向に向いて設けられている。
本発明に係る実施形態1の紐なしマスク100によれば、使用者が、粘着層20から剥離材30を剥がす際に、剥離材30とマスク本体10の顔と相対する面との間の開口部50に対して指を挿入して剥離材30を摘まみつつ、剥離材30を剥がすことができる。また、一対の粘着層20A、20B同士の間に顔の中心、即ち鼻背を位置付けることで、マスク本体10の対称軸Xと顔の対称軸が一致することになり、容易にマスク本体10を貼付することができる。さらに、剥離材30の面積を処分しやすい大きさに保ち、剥離材30の枚数を必要最小限に抑えることができる。その結果、マスク本体10の剥離作業と貼付作業の効率が向上する。
【0039】
<実施形態1の剥離作業と貼付作業>
本発明に係る実施形態1である紐なしマスク100の剥離作業と貼付作業としては、以下の通りである。
まず、使用者は、鼻当接点25に対して顔の中心、即ち鼻背を位置付けることで、マスク本体の対称軸Xと顔の対称軸を合わせる。
次に、一方の手でマスク本体10を顔に対して押さえつつ、他方の手の指でマスク本体10の他方側の内側開口部50から剥離材30を掴みつつ、Y軸に沿って他方側方向へ引っ張り、他方側の剥離材30を剥がす。それと同時に、当該一方の手のうちでマスク本体10を押さえていない指や手のひらで、マスク本体10の他方側の剥離材30を剥がした部分に対して、剥離材30を剥がした粘着層20と顔との粘着が馴染むように、柔らかく押さえる。
その後、当該他方の手でマスク本体10を押さえつつ、当該一方の手の指でマスク本体10の一方側の内側開口部50から剥離材30を掴みつつ、Y軸に沿って一方側方向へ引っ張り、一方側の剥離材30を剥がす。それと同時に、当該他方の手のうちでマスク本体10を押さえていない指や手のひらで、マスク本体10の一方側の剥離材30を剥がした部分に対して、剥離材30を剥がした粘着層20と顔との粘着が馴染むように、柔らかく押さえる。
その結果、本発明に係る実施形態1である紐なしマスク100のマスク本体10が使用者の顔に対して装着する。
【0040】
(本発明に係る実施形態1の変形例である紐なしマスク100’)
図4、
図5に示すように、本発明に係る実施形態1の変形例である紐なしマスク100’は、各剥離材30A、30Bの周縁が各粘着層20A、20Bの周縁より外側方向に向かって延びるように被覆することで、各剥離材30A、30Bについて、各粘着層20A、20Bの周縁から延長後の各剥離材30A、30Bの周縁までの部位に剥離材延長部31A、31Bを設けており、剥離材延長部31A、31Bとマスク本体10の顔と相対する面との間に外側開口部51を設けたものである。
図4、
図5に示すように、外側開口部51の開口が外部方向、即ちマスク本体10から外側方向に向いて設けられている。
【0041】
具体的に、左剥離材30Aの上縁、下縁、左縁が対応する粘着層20Aの上縁、下縁、左縁より外側方向に向かって延びるように被覆することにより、
図5(a)に示すように、左剥離材30Aの上縁、下縁、左縁が粘着層20Aの上縁、下縁、左縁より延びた部分に左剥離材延長部31Aが設けられる。この場合、左剥離材延長部31Aがマスク本体10の上縁11、下縁12、左縁13とZ軸方向(マスク本体の厚み方向)に沿うことになる。また、右剥離材30Bの上縁、下縁、右縁が対応する粘着層20Bの上縁、下縁、右縁より外側方向に向かって延びるように被覆することにより、
図5(b)に示すように、右剥離材30Bの上縁、下縁、右縁が粘着層20Bの上縁、下縁、右縁より延びた部分に右剥離材延長部31Bが設けられる。この場合、右剥離材延長部31Bがマスク本体10の上縁11、下縁12、右縁14とZ軸方向(マスク本体の厚み方向)に沿うことになる。
その結果、本発明に係る実施形態1の変形例である紐なしマスク100’は、左剥離材30Aとマスク本体10の顔と相対する面との間に内側開口部50及び左剥離材延長部31Aとマスク本体10の顔と相対する面との間に外側開口部51を設けており、右剥離材30Bとマスク本体10の顔と相対する面との間に内側開口部50及び右剥離材延長部31Bとマスク本体10の顔と相対する面との間に外側開口部51を設けている。
【0042】
<実施形態1の変形例の剥離作業と貼付作業>
本発明に係る実施形態1の変形例である紐なしマスク100’の剥離作業と貼付作業としては、以下の通りである。
まず、使用者は、鼻当接点25に対して顔の中心、即ち鼻背を位置付けることでマスク本体10の対称軸Xと顔の対称軸を合わせる。
次に、一方の手でマスク本体10を顔に対して押さえつつ、他方の手の指でマスク本体10の他方側の外側開口部51から剥離材延長部31を掴みつつ、Y軸に沿って他方側方向へ引っ張り、他方側の剥離材30を剥がす。それと同時に、当該一方の手のうちでマスク本体10を押さえていない指や手のひらで、マスク本体10の他方側の剥離材30を剥がした部分に対して、剥離材30を剥がした粘着層20と顔との粘着が馴染むように、柔らかく押さえる。
その後、当該他方の手でマスク本体10を押さえつつ、当該一方の手の指でマスク本体10の一方側の外側開口部51から剥離材延長部31を掴みつつ、Y軸に沿って一方側方向へ引っ張り、一方側の剥離材30を剥がす。それと同時に、当該他方の手のうちでマスク本体10を押さえていない指や手のひらで、マスク本体10の一方側の剥離材30を剥がした部分に対して、剥離材30を剥がした粘着層20と顔との粘着が馴染むように、柔らかく押さえる。
その結果、本発明に係る実施形態1の変形例である紐なしマスク100’のマスク本体10が使用者の顔に対して装着する。
【0043】
なお、「剥離材30」としては、例えば、樹脂フィルムや紙材などが挙げられる。
「樹脂フィルムの樹脂材料」としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステルが挙げられる。ここで、ポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などが挙げられる。また、ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が挙げられる。
【0044】
(本発明の実施形態2)
図6、
図7に示すように、本発明に係る実施形態2の紐なしマスク200は、マスク本体10と、粘着層20と、粘着層20及びマスク本体10の顔と相対する面を被覆する剥離材30とを備え、縫合材60を用いてマスク本体10と粘着層20を縫い合わしたものである。
【0045】
図7に示すように、粘着層20とマスク本体10を縫合する位置は粘着層20の幅方向中心に位置するように、且つX軸方向とY軸方向に沿うように、縫合されている。なお、粘着層20とマスク本体10と縫合する位置は、上記に限定されるものでなく、何れの位置でも良い。
【0046】
縫合材60である縫合糸の形状としては、モノフィラメント、マルチフィラメントのいずれでもよいが、感染の伝播の観点で、モノフィラメントの方が好ましい。また、「縫合糸の種類」としては、吸収性縫合糸、非吸収性縫合糸のいずれでもよいが、汗などによる分解の観点で、非吸収性縫合糸の方が好ましく、合成素材としては、ナイロン、ポリエステル(PEs)、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVF)など、天然素材としては、シルクなどが挙げられる。コートの種類としては、非吸収性では、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
本発明に係る実施形態2の紐なしマスク200によれば、使用者が一旦顔に貼ったマスクを顔から外す際、テープの粘着力により粘着層20の大部分又は一部がマスクから剥がれて顔に対して粘着したり、粘着層20が引き裂かれたりすることを回避し、迅速かつ確実に、マスクの貼り直しができる。その結果、マスク本体10の剥離作業と貼付作業の効率がより向上する。
【0047】
(本発明の実施形態3)
図8に示すように、本発明に係る実施形態3の紐なしマスク300は、一対の粘着層20である各粘着層20A、20B同士の間で、且つマスク本体10の装着時に使用者の鼻が当接する鼻当接点25に対して、マスク本体10の装着位置を決める位置決めテープ70を設けたものである。
【0048】
「位置決めテープ70」は、両面テープであり、マスク本体10に対して、テープの粘着力のみで貼り付けしてもよいし、又はテープの粘着力で貼り付けた上で、マスク本体10と縫い合わして、位置決めテープ70をマスク本体10上に縫製させてもよい。縫合糸の形状と種類は、上記同様とする。
【0049】
本発明に係る実施形態3の紐なしマスク300によれば、位置決めテープ70により、マスク本体10の対称軸Xと顔の対称軸が合うように位置決めされるため、使用者は、マスク本体10の上縁11の中心が顔の中心、即ち鼻背にきちんと沿うように一方の手でマスク本体10を押さえて位置決めする作業が不要となる。その結果、使用者は、マスク本体10が顔に対して粘着した状態で、両手の五指と手のひら全面を使うことにより、実施形態1、2に比較して剥離作業と貼付作業の効率がより一層向上する。
【0050】
<実施形態3の剥離作業と貼付作業>
本発明に係る実施形態3である紐なしマスク300の剥離作業と貼付作業としては、以下の通りである。
まず、使用者は、各粘着層20の間の位置決めテープ70に対して顔の中心、即ち鼻背を位置付けることで、マスク本体10の対称軸Xと顔の対称軸を合わせる。その結果、位置決めテープ70の粘着力により、マスク本体10が顔に対して部分的に粘着される。
次に、一方の手の指でマスク本体10の一方側の内側開口部50から剥離材30を掴みつつ、Y軸に沿って一方側方向へ引っ張り、一方側の剥離材30を剥がす。それと同時に、他方の手の全体を使って、マスク本体10の一方側の剥離材30を剥がした部分に対して、剥離材30を剥がした粘着層20と顔との粘着が馴染むように、柔らかく押さえる。
その後、他方の手の指でマスク本体10の他方側の内側開口部50から剥離材30を掴みつつ、Y軸に沿って他方側方向へ引っ張り、他方側の剥離材30を剥がす。それと同時に、一方の手の全体を使って、マスク本体10の他方側の剥離材30を剥がした部分に対して、剥離材30を剥がした粘着層20と顔との粘着が馴染むように、柔らかく押さえる。
その結果、本発明に係る実施形態3である紐なしマスク300のマスク本体10が使用者の顔に対して装着する。
【0051】
(本発明の実施形態4)
図9、
図10に示すように、本発明に係る実施形態4の紐なしマスク400は、各剥離材30A、30Bに関して、それぞれマスク本体10の顔と相対する面上において、マスク本体10の対称軸Xに対して直交する一方側の方向と他方側の方向、即ちY軸上のL方向とR方向の各方向に向かって、内側開口部50の入口から所定の長さのスリット80を設けたものである。なお、「所定の長さ」とは、指で剥離材30を掴める程度、即ち約0.5〜2cm程度を意味する。
【0052】
本発明に係る実施形態4の紐なしマスク400によれば、剥離材においてスリットを設けた分だけ、剥離材が摘まみ易くなる。その結果、マスク本体の剥離作業と貼付作業の効率がさらに一層向上する。
【0053】
<実施形態4の剥離作業と貼付作業>
本発明に係る実施形態4である紐なしマスク400の剥離作業と貼付作業としては、以下の通りである。
まず、使用者は、鼻当接点25に対して顔の中心、即ち鼻背を位置付けることで、マスク本体10の対称軸Xと顔の対称軸を合わせる。
次に、一方の手でマスク本体10を顔に対して押さえつつ、他方の手の指でマスク本体10の他方側のスリット80から剥離材30を掴みつつ、Y軸に沿って他方側方向へ引っ張り、他方側の剥離材30を剥がす。それと同時に、当該一方の手のうちでマスク本体10を押さえていない指や手のひらで、マスク本体10の他方側の剥離材30を剥がした部分に対して、剥離材30を剥がした粘着層20と顔との粘着が馴染むように、柔らかく押さえる。
その後、当該他方の手でマスク本体10を押さえつつ、当該一方の手の指でマスク本体10の一方側のスリット80から剥離材30を掴みつつ、Y軸に沿って一方側方向へ引っ張り、一方側の剥離材30を剥がす。それと同時に、当該他方の手のうちでマスク本体10を押さえていない指や手のひらで、マスク本体10の一方側の剥離材30を剥がした部分に対して、剥離材30を剥がした粘着層20と顔との粘着が馴染むように、柔らかく押さえる。
その結果、本発明に係る実施形態4である紐なしマスク400のマスク本体10が使用者の顔に対して装着する。
【0054】
(本発明の実施形態5)
図11から
図13に示すように、本発明に係る実施形態5の紐なしマスク500は、粘着層20が、マスク本体10の顔と相対する面の周縁近傍の位置に対して途切れることなく設けられており、且つ鼻当接点25近傍の粘着層20が、マスク本体10の対称軸Xに対して直交する一方側の方向と他方側の方向からマスク本体10の対称軸Xに近づくにつれて漸次凹むように凹部26を設けて
いる。また、剥離材30が、マスク本体10の対称軸Xを境界として一対になるように、粘着層20及びマスク本体10の顔と相対する面を被覆しており、粘着層20の凹部26の位置に、剥離材30とマスク本体10の顔と相対する面との間に外側開口部51を設けている。具体的には、
図13に示すように、外側開口部51の開口が外部方向、即ちマスク本体10の外側方向に向いて設けられている。
なお、図14、図15は、本発明に係る実施形態5の変形例500’の紐なしマスクの裏面図、E−E線断面図であり、本発明に係る実施形態1の変形例である紐なしマスク100’と同様の内容である。
【0055】
実施形態5の「途切れることなく」とは、
図11、
図12に示すように、左粘着層20A、右粘着層20Bがひと続きに一体化していることを意味し、具体的には左粘着層20A、右粘着層20Bが、マスク本体10の顔と相対する面の周縁である、上縁11、下縁12、左縁13、右縁14の各縁近傍の位置に対して、ひと続きに一体的に設けられている。
凹部26は、粘着層20が鼻孔を含む鼻の外周面を包み込むように、鼻当接点25の周囲近傍の位置、即ち鼻当接点25の外形線から周方向へ約0.5〜2cm程度離間した位置に設けている。
凹部26の形状は、特に問わないが、鼻当接点25近傍の左粘着層20Aが左方向であるL方向から、鼻当接点25近傍の右粘着層20Bが右各方向であるR方向からそれぞれがマスク本体10の対称軸Xに近づくにつれて、マスク本体10の中心方向(上縁11、下縁12、左縁13、右縁14の各縁で囲まれた範囲の中心)に向かって、漸次凹むように形成されている。
実施形態5の紐なしマスク500における剥離材30は、装着時に顔の対称軸と平行になるマスク本体10の対称軸Xを境界として左右それぞれの方向であるL方向とR方向にそれぞれ一対であり、マスク本体10には、一対の剥離材30として左剥離材30A、右剥離材30Bが設けられている。
【0056】
<実施形態5の剥離作業と貼付作業>
本発明に係る実施形態5である紐なしマスク500の剥離作業と貼付作業としては、以下の通りである。
まず、使用者は、各粘着層20の間の鼻当接点25に対して顔の中心、即ち鼻背を位置付けることで、マスク本体の対称軸Xと顔の対称軸を合わせる。
次に、一方の手でマスク本体10を顔に対して押さえつつ、他方の手の指でマスク本体10の他方側の外側開口部51から剥離材30を掴みつつ、Y軸に沿って他方側方向へ引っ張り、他方側の剥離材30を剥がす。それと同時に、当該一方の手のうちでマスク本体10を押さえていない指や手のひらで、マスク本体10の他方側の剥離材30を剥がした部分に対して、剥離材30を剥がした粘着層20と顔との粘着が馴染むように、柔らかく押さえる。
その後、当該他方の手でマスク本体10を押さえつつ、当該一方の手の指でマスク本体10の一方側の外側開口部51から剥離材30を掴みつつ、Y軸に沿って一方側方向へ引っ張り、一方側の剥離材30を剥がす。それと同時に、当該他方の手のうちでマスク本体10を押さえていない指や手のひらで、マスク本体10の一方側の剥離材30を剥がした部分に対して、剥離材30を剥がした粘着層20と顔との粘着が馴染むように、柔らかく押さえる。
その結果、本発明に係る実施形態5である紐なしマスク500のマスク本体10が使用者の顔に対して装着する。
粘着層20は、マスク本体10の顔と相対する面の周縁近傍の位置に対して、途切れることなく、設けられており、且つ鼻当接点25近傍の粘着層20が、マスク本体10の対称軸Xに対して直交する一方側の方向と他方側の方向からマスク本体10の対称軸Xに近づくにつれて漸次凹むように凹部26を設けており