(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記充電制御装置は、前記ケーブルを介して、VDM(Vendor Defined Messaging)信号を前記複数の端末装置のそれぞれとやり取りすることにより、前記複数の端末装置のそれぞれの前記バッテリ残量および前記温度を取得する
請求項3に記載の充電キャビネット。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、実施形態に係る情報処理システム10を説明する。なお、実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0016】
図1は、情報処理システム10を示す図である。本実施形態において、情報処理システム10は、学校における授業を支援するためのシステムである。なお、情報処理システム10は、学校における授業の支援に限らず、他の環境に適用してもよい。情報処理システム10は、例えば、会社内、セミナーまたは会議等のような、多数の参加者がコンピュータを操作しながら作業または学習等を行う環境であれば、どのような環境に適用してもよい。
【0017】
情報処理システム10は、複数の端末装置20と、学校内サーバ22と、無線通信装置24と、充電キャビネット26(制御装置)とを備える。
【0018】
複数の端末装置20のそれぞれは、タブレット型またはノート型のコンピュータである。端末装置20は、情報の入力機能、出力機能および情報処理機能を有する。端末装置20は、バッテリ(二次電池)を有し、バッテリに充電された電力により動作可能である。従って、端末装置20は、ユーザにより持ち運びが可能である。また、端末装置20は、無線通信機能を有し、通信用ケーブルを介さずに他の装置と情報通信が可能である。
【0019】
また、複数の端末装置20のそれぞれは、バッテリの温度を測定し、バッテリの温度が予め設定された充電停止温度(例えば40℃)を超えた場合、バッテリへの充電電力を強制的に下げたり、停止させたりする温度制御機能を有する。複数の端末装置20のそれぞれは、温度制御機能を有することにより、バッテリの温度上昇を抑えることができる。
【0020】
学校内サーバ22は、サーバ型コンピュータであり、内部ネットワークを介して複数の端末装置20からアクセスされる。また、学校内サーバ22は、例えば、外部ネットワーク上の装置から内部ネットワーク上の装置へのアクセスを制限したり、内部ネットワーク上の装置から外部ネットワーク上の装置へのアクセスを制限したりする。
【0021】
無線通信装置24は、充電キャビネット26の外部に設けられる。無線通信装置24は、内部ネットワークに有線により接続される。無線通信装置24は、複数の端末装置20のそれぞれと無線通信により接続する。無線通信装置24は、無線通信により接続した端末装置20を内部ネットワーク上の他の装置にアクセスさせる。
【0022】
充電キャビネット26は、複数の端末装置20を内部に収納する。充電キャビネット26の内部に収納された端末装置20は、ユーザにより取り出し可能である。
【0023】
充電キャビネット26は、内部に収納している端末装置20を充電する。また、充電キャビネット26は、内部に収納している端末装置20の電源を起動したり、シャットダウンしたりすることができる。充電キャビネット26は、内部に収納している端末装置20と有線により通信することができる。さらに、充電キャビネット26は、内部に収納している端末装置20が起動している状態で、端末装置20と無線により通信をすることもできる。
【0024】
また、充電キャビネット26は、内部ネットワークに接続されている。充電キャビネット26は、外部の装置からの指示に応じて、内部に収納している端末装置20を操作したり、通信をしたりすることができる。
【0025】
このような情報処理システム10において、複数の端末装置20のそれぞれは、授業の開始前に、学生により充電キャビネット26から取り出される。授業中において、端末装置20は、学生により使用される。授業中において、端末装置20は、無線通信装置24を介して学校内サーバ22にアクセスする。これにより、授業中において、端末装置20は、学校内サーバ22から資料データをダウンロードして、学生に参照させることができる。また、授業中において、端末装置20は、学生により入力された情報(例えば、問題に対する回答等)を学校内サーバ22にアップロードすることができる。
【0026】
また、複数の端末装置20のそれぞれは、授業の終了後、充電キャビネット26内に収納される。充電キャビネット26は、収納した端末装置20を、次の授業の開始まで充電する。これにより、充電キャビネット26は、授業中において、端末装置20が充電切れで動作できなくなることを回避することができる。
【0027】
また、充電キャビネット26は、外部の装置等からの遠隔操作に応じて、収納した端末装置20を動作させる。そして、充電キャビネット26は、外部の装置等からの遠隔操作に応じて、収納した端末装置20に、プログラムをアップデートさせたり、プログラムをインストールさせたりする。これにより、充電キャビネット26は、遠隔地にいる保守作業員に端末装置20のメンテナンスをさせることができる。
【0028】
図2は、充電キャビネット26の外観を示す図である。充電キャビネット26は、収納部28を有する。複数の端末装置20は、収納部28の所定の位置に収納される。
【0029】
また、充電キャビネット26は、充電制御装置30と、情報処理装置32とを有する。充電制御装置30は、収納されている端末装置20に対する充電の制御および通信の制御を実行する。また、情報処理装置32は、内部ネットワークを介して他の装置と通信をする。また、情報処理装置32は、充電制御装置30を制御したり、収納されている端末装置20と無線通信をしたりする。
【0030】
図3は、充電キャビネット26に収納された端末装置20の周辺部分を拡大した図である。充電キャビネット26に収納された端末装置20は、ケーブル34を介して充電制御装置30と接続される。
【0031】
ケーブル34は、端末装置20に対して装着自在である。収納作業時において、端末装置20は、ユーザの手作業によりケーブル34に取り付けられる。また、取出作業時において、端末装置20は、ユーザの手作業によりケーブル34から取り外される。
【0032】
ケーブル34は、2つの装置間で電力供給および情報通信を行う仕様を定めた規格に準拠している。本実施形態においては、ケーブル34は、USB(Universal Serial Bus)−C規格に準拠したUSB Type−Cケーブルである。この規格によれば、2つの装置の間で情報の通信とともに、電力の供給を行うことができる。
【0033】
図4は、内部に端末装置20を収納した充電キャビネット26の構成を、学校内サーバ22および無線通信装置24とともに示すブロック図である。充電キャビネット26は、充電制御装置30と、情報処理装置32と、複数のケーブル34と、電源タップ36と、複数のACアダプタ38(電力変換器)とを有する。
【0034】
充電制御装置30は、ケーブル34を介して1または複数の端末装置20と接続される。1または複数のケーブル34のそれぞれは、一方の端子が充電制御装置30に接続され、他方の端子が端末装置20と接続可能となっている。
【0035】
充電制御装置30は、1または複数の端末装置20のそれぞれに対する充電の制御および通信の制御を実行する。また、本実施形態においては、充電制御装置30は、USB−C規格に準拠したケーブル34におけるCC(Configuration Channel)信号線を介して、VDM(Vendor Defined Messaging)信号を端末装置20と送受信する。
【0036】
また、充電制御装置30は、ケーブル34を介して端末装置20に接続された場合に、規格において予め定められたシーケンス(パワーデリバリシーケンス)を端末装置20との間で実行することにより、端末装置20に供給する電圧および電流の組み合わせを設定する。本実施形態においては、充電制御装置30は、USB−C規格で定められたパワーデリバリシーケンスを実行することにより、端末装置20に供給する電圧および電流の組み合わせを示す電力プロファイルを設定する。
【0037】
情報処理装置32は、通信機能および情報処理機能を有するコンピュータである。情報処理装置32は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等を含み、インストールされたプログラムに従って情報処理を実行する。また、情報処理装置32は、内部ネットワークに接続され、内部ネットワーク上の他の装置と情報通信を行う。また、情報処理装置32は、学校内サーバ22を介して、外部ネットワーク上の他の装置と情報通信を行う。
【0038】
また、情報処理装置32は、内部通信ケーブル40を介して充電制御装置30に接続される。これにより、情報処理装置32は、充電制御装置30を制御することができる。
【0039】
内部通信ケーブル40は、情報処理装置32と充電制御装置30との間を接続する。内部通信ケーブル40は、USB−C規格に準拠したUSB Type−A to Cケーブルである。内部通信ケーブル40は、これに限らず、他の規格に準拠したケーブルであってよい。
【0040】
電源タップ36は、ACケーブルを介して、教室に設けられた商用AC電源コンセントに接続される。また、電源タップ36は、複数のサブ電源コンセントを有する。電源タップ36のサブ電源コンセントには、情報処理装置32にDC電力を供給するためのACアダプタ38が接続される。ACアダプタ38は、電源タップ36から供給されるAC電力をDC電力に変換して、情報処理装置32に電力を供給する。これにより、情報処理装置32は、AC電力を動力源として動作することができる。
【0041】
また、電源タップ36のサブ電源コンセントには、充電制御装置30にDC電力を供給するためのACアダプタ38が接続される。ACアダプタ38は、電源タップ36から供給されるAC電力をDC電力に変換して、充電制御装置30に電力を供給する。これにより、充電制御装置30は、AC電力を動力源として動作することができる。
【0042】
図5は、情報処理装置32の機能構成を示す図である。情報処理装置32は、接続検出部82と、停止指示部84と、残量取得部86と、選択制御部88と、開始指示部90と、温度取得部92とを備える。
【0043】
接続検出部82は、充電制御装置30から、物理的に接続されている複数の端末装置20を特定するための接続情報を取得する。そして、接続検出部82は、充電制御装置30に接続されている端末装置20のポート番号等をメモリに登録する。
【0044】
停止指示部84は、予め設定された時間長である充電インターバル毎に、複数の端末装置20のそれぞれのバッテリの充電を停止させる停止指示を、充電制御装置30に与える。充電制御装置30は、停止指示を受け取った場合、複数の端末装置20のそれぞれに対する、バッテリを充電するための電力供給を停止する。
【0045】
残量取得部86は、充電制御装置30に接続されている複数の端末装置20のそれぞれのバッテリ残量を取得する。バッテリ残量は、例えばパーセンテージで表される。例えば、残量取得部86は、複数の端末装置20のそれぞれについてのバッテリ残量の取得要求を充電制御装置30に与える。充電制御装置30は、複数の端末装置20のそれぞれについてのバッテリ残量の取得要求を受け取った場合、複数の端末装置20のそれぞれからバッテリ残量を受け取り、受け取った複数の端末装置20のそれぞれのバッテリ残量を、情報処理装置32に返信する。
【0046】
選択制御部88は、充電インターバル毎に、充電制御装置30に接続されている複数の端末装置20の中から、バッテリを充電するための電力供給をする1以上の対象端末装置を選択する。より具体的には、選択制御部88は、充電インターバル毎に、複数の端末装置20のうちのバッテリ残量が少ない方から順番に、所定個の対象端末装置を選択する。
【0047】
開始指示部90は、所定個の対象端末装置が新たに選択される毎に、選択された所定個の対象端末装置のそれぞれのバッテリを充電させる開始指示を、充電制御装置30に与える。充電制御装置30は、開始指示を受け取った場合、複数の端末装置20のうちの所定個の対象端末装置のそれぞれに対して、バッテリを充電するための電力供給を開始する。なお、開始指示部90は、充電インターバル毎に、停止指示部84が停止指示を充電制御装置30に与えた後に、開始指示を充電制御装置30に与える。これにより、開始指示部90は、所定個よりも多い数の端末装置20に対して同時に充電をしてしまうような重複期間を無くすことができる。
【0048】
温度取得部92は、充電制御装置30に接続されている複数の端末装置20のそれぞれの温度を取得する。例えば、温度取得部92は、複数の端末装置20のそれぞれについての温度の取得要求を充電制御装置30に与える。充電制御装置30は、複数の端末装置20のそれぞれについての温度の取得要求を受け取った場合、複数の端末装置20のそれぞれから温度を受け取り、受け取った複数の端末装置20のそれぞれの温度を、情報処理装置32に返信する。なお、温度取得部92は、充電インターバル内において、複数回、複数の端末装置20のそれぞれの温度を取得する。例えば、温度取得部92は、充電インターバルよりも短い時間単位で、複数の端末装置20のそれぞれの温度を取得する。
【0049】
ここで、充電インターバルの期間中において、選択制御部88は、複数の端末装置20のうちの少なくとも1つの端末装置20の温度が予め設定された第1温度以上となった場合、その充電インターバルを終了させて、次の新たな充電インターバルを開始させる。すなわち、選択制御部88は、複数の端末装置20のうちの少なくとも1つの端末装置20の温度が第1温度以上となった場合、その充電インターバルにおいて充電中の対象端末装置に対する充電を停止させて、複数の端末装置20の中から新たな所定個の対象端末装置を選択し、選択した新たな所定個の対象端末装置に対して充電を開始させる。
【0050】
例えば、第1温度は、端末装置20がバッテリへの充電電力を強制的に下げたり停止させたりする温度制御機能を発動させる充電停止温度よりも低い。充電停止温度が例えば40℃である場合、第1温度は、例えば38℃である。
【0051】
図6は、充電制御装置30に11個の端末装置20が接続されており、情報処理装置32が、充電インターバル毎に4個の対象端末装置を選択する場合における、充電開始前および1回目から9回目までの充電インターバルの終了後のバッテリ残量を示す図である。
【0052】
図6の例では、充電キャビネット26は、充電インターバル毎に、バッテリ残量が少ない方から4個の端末装置20に対して充電をする。バッテリ残量が少ない方から4個の端末装置20に対して充電をした結果、次の充電インターバルにおいて、バッテリ残量が最も少ない端末装置20が、直前の充電インターバルにおいて充電した端末装置20とは異なる場合がある。この場合、充電キャビネット26は、次の充電インターバルにおいて、直前の充電インターバルとは異なる組み合わせの4個の端末装置20に対して充電をする。
【0053】
この結果、充電キャビネット26は、最低のバッテリ残量を徐々に増加させるように、複数の端末装置20を充電することができる。換言すると、充電キャビネット26は、複数の端末装置20のバッテリ残量を底上げするように、充電インターバル毎に、充電対象となる端末装置20を切り替える。一般に、バッテリは、バッテリ残量が一定値を超えた場合、充電速度が遅くなる。つまり、バッテリは、バッテリ残量が低い方が、早く充電される。従って、充電キャビネット26は、バッテリ残量が少ない方から順番に複数の端末装置20を充電することにより、複数の端末装置20の全体のバッテリ残量を、効率良く増加させることができる。
【0054】
図7は、情報処理装置32の処理の流れを示すフローチャートである。例えば、情報処理装置32は、充電キャビネット26が収納している1または複数の端末装置20を充電するために、
図7に示す処理を実行する。
【0055】
まず、S11において、情報処理装置32は、複数の端末装置20のそれぞれのバッテリの充電を停止させる停止指示を、充電制御装置30に与える。充電制御装置30は、停止指示を受け取った場合、複数の端末装置20のそれぞれに対する、バッテリを充電するための電力供給を停止する。
【0056】
続いて、S12において、情報処理装置32は、充電制御装置30に接続されている複数の端末装置20のそれぞれのバッテリ残量を取得する。情報処理装置32は、複数の端末装置20のそれぞれについてのバッテリ残量の取得要求を充電制御装置30に与える。充電制御装置30は、複数の端末装置20のそれぞれについてのバッテリ残量の取得要求を受け取った場合、複数の端末装置20のそれぞれからバッテリ残量を受け取り、受け取った複数の端末装置20のそれぞれのバッテリ残量を、情報処理装置32に返信する。
【0057】
続いて、S13において、情報処理装置32は、複数の端末装置20の全てのバッテリ残量が、予め設定された上限値以上であるか否かを判断する。例えば、上限値は、100%であってもよい。また、上限値は、100%以下の所定のパーセンテージであってもよい。情報処理装置32は、複数の端末装置20の全てのバッテリ残量が上限値以上である場合(S13のYes)、本フローを終了する。情報処理装置32は、複数の端末装置20のうちの何れかのバッテリ残量が上限値より少ない場合(S13のNo)、処理をS14に進める。
【0058】
続いて、S14において、情報処理装置32は、充電制御装置30に接続されている複数の端末装置20のうち、バッテリ残量の少ない方から順番に所定個の端末装置20を、所定個の対象端末装置として選択する。
【0059】
続いて、S15において、情報処理装置32は、選択された所定個の対象端末装置のそれぞれのバッテリを充電させる開始指示を、充電制御装置30に与える。充電制御装置30は、開始指示を受け取った場合、複数の端末装置20のうちの所定個の対象端末装置のそれぞれに対して、バッテリを充電するための電力供給を開始する。なお、充電制御装置30は、所定個の対象端末装置以外の端末装置20には、バッテリを充電するための電力供給を停止させた状態を維持する。
【0060】
続いて、S16において、情報処理装置32は、充電インターバルを経過したかどうかを判断するためのタイマをスタートする。
【0061】
続いて、S17において、情報処理装置32は、充電制御装置30に接続されている複数の端末装置20のそれぞれの温度を取得する。例えば、情報処理装置32は、複数の端末装置20のそれぞれについての温度の取得要求を充電制御装置30に与える。充電制御装置30は、複数の端末装置20のそれぞれについての温度の取得要求を受け取った場合、複数の端末装置20のそれぞれから温度を受け取り、受け取った複数の端末装置20のそれぞれの温度を、情報処理装置32に返信する。
【0062】
続いて、S18において、情報処理装置32は、複数の端末装置20のうちの少なくとも1つの端末装置20の温度が予め設定された第1温度以上であるか否かを判断する。複数の端末装置20の全ての温度が第1温度未満である場合(S18のNo)、情報処理装置32は、処理をS19に進める。
【0063】
S19において、情報処理装置32は、タイマを参照して、予め定められた時間長である充電インターバルを経過したか否かを判断する。情報処理装置32は、充電インターバルを経過していない場合(S19のNo)、処理をS17に戻し、処理をS17から繰り返す。例えば、情報処理装置32は、S17〜S19の処理を、充電インターバルよりも十分に短い所定時間毎に繰り返す。例えば、情報処理装置32は、充電インターバルが15分である場合、S17からS19の処理を1分毎または数十秒毎に繰り返す。
【0064】
そして、情報処理装置32は、複数の端末装置20のうちの少なくとも1つの端末装置20の温度が第1温度以上である場合(S18のYes)、または、充電インターバルが経過した場合(S19のYes)、処理をS11に戻し、処理をS11から繰り返す。
【0065】
以上のような実施形態に係る情報処理システム10は、次のような効果を有する。
【0066】
情報処理装置32は、充電インターバル毎に、複数の端末装置20のうちのバッテリ残量が少ない方から順番に所定個の対象端末装置を選択し、選択した所定個の対象端末装置のそれぞれのバッテリを充電させる。これにより、情報処理装置32は、最低のバッテリ残量を徐々に増加させるように、複数の端末装置20を充電することができる。従って、情報処理装置32によれば、複数の端末装置20の全体のバッテリ残量を、効率良く増加させることができる。
【0067】
さらに、情報処理装置32は、複数の端末装置20のうちの少なくとも1つの端末装置20の温度が第1温度以上となった場合、充電インターバルが経過していなくても、複数の端末装置20の全てに対する充電を一旦停止させた後に新たな対象端末装置を選択して、次の充電インターバルを開始する。これにより、情報処理装置32は、第1温度以上に上昇した端末装置20のさらなる温度上昇を抑えることができる。従って、情報処理装置32によれば、複数の端末装置20のうちの何れかの端末装置20において温度制御機能が発動して充電ができなくなるような状態を回避し、複数の端末装置20の全体のバッテリ残量を効率良く増加させることができる。
【0068】
つぎに、充電キャビネット26の処理について説明する。
【0069】
図8は、充電制御装置30に端末装置20が接続された場合における、充電キャビネット26の処理の流れを示す図である。充電制御装置30に端末装置20が接続された場合、充電キャビネット26は、
図8に示すような流れで処理を実行する。
【0070】
まず、端末装置20は、充電制御装置30にケーブル34を介して物理的に接続される(S111−1,S111−2)。続いて、充電制御装置30および端末装置20は、パワーデリバリシーケンスを実行し、電力プロファイルを設定する(S112−1,S112−2)。これにより、充電制御装置30は、設定した電力プロファイルに示された電圧および電流の電力を端末装置20に供給することができる。
【0071】
ここで、充電制御装置30および端末装置20は、パワーデリバリシーケンスとして次のような手続きを実行する。まず、充電制御装置30および端末装置20のそれぞれは、供給または入力可能な1または複数の電力プロファイルが記述されたパワーデリバリーオブジェクト情報が予め設定されている。充電制御装置30は、予め設定されている1または複数の電力プロファイルを含むパワーデリバリーオブジェクト情報を端末装置20に送信する。続いて、端末装置20は、充電制御装置30から送られてきたパワーデリバリーオブジェクト情報の中から、供給を要求する1つの電力プロファイルを決定し、決定した電力プロファイルを示す応答情報を充電制御装置30に送信する。そして、充電制御装置30は、応答情報に示された電力プロファイルに従って端末装置20に対する電力供給を開始する。充電制御装置30および端末装置20は、このような手続きを実行することにより、電力プロファイルに示された電圧および電流の組み合わせにより端末装置20へ電力を供給することができる。
【0072】
USB−C規格では、電力プロファイルとして、“5V/0.9A”、“5V/3A”、“9V/3A”、“12V/3A”、“15V/3A”および“20V/3A”が定められている。また、USB−C規格では、最低電圧および最低電流の“5V/0.9A”が、デフォルト電力プロファイルとして定められている。そして、USB−C規格に準拠した機器は、デフォルト電力プロファイルでの電力供給および電力受け取りが可能でなければならないことが定められている。
【0073】
本実施形態においては、充電制御装置30および端末装置20は、端末装置20がケーブル34を介して物理的に接続された直後のパワーデリバリシーケンスを実行することにより、デフォルト電力プロファイル(5V/0.9A)が設定される。例えば、充電制御装置30は、端末装置20がケーブル34を介して接続された直後のパワーデリバリシーケンスにおいて、デフォルト電力プロファイルのみが記述されたパワーデリバリーオブジェクト情報を端末装置20に送信する。これにより、充電制御装置30は、端末装置20がケーブル34を介して接続された直後において、デフォルト電力プロファイル(5V/0.9A)に示された電圧および電流により、端末装置20に電力供給をすることができる。
【0074】
なお、充電制御装置30は、デフォルト電力プロファイル(5V/0.9A)に設定されている端末装置20には、他の電力プロファイルと比較して、非常に小さい電力しか供給することができない。従って、充電制御装置30は、デフォルト電力プロファイル(5V/0.9A)に設定されている端末装置20に対しては、実質的にバッテリを充電することができない。
【0075】
充電制御装置30は、端末装置20が物理的に接続され(S111−1,S111−2)、且つ、パワーデリバリシーケンスが実行された場合(S112−1,S112−2)、接続された端末装置20の接続情報を情報処理装置32に送信する(S113−1,S113−2)。充電制御装置30は、新たな端末装置20が物理的に接続される毎に、接続情報を送信する。また、充電制御装置30は、既に物理的に接続されている端末装置20が取り外された場合、取り外されたことを示す接続情報を情報処理装置32に送信する。
【0076】
情報処理装置32は、充電制御装置30から接続情報を受信する毎に、充電制御装置30に接続されている端末装置20を登録する(S114)。例えば、情報処理装置32は、充電制御装置30に新たに接続された端末装置20の識別情報およびポート番号等をメモリに登録する。また、例えば、情報処理装置32は、充電制御装置30から取り外された端末装置20の識別情報およびポート番号等をメモリから削除する。
【0077】
図9は、充電対象の端末装置20にバッテリを充電するための電力を供給する場合における、充電キャビネット26の処理の流れを示す図である。
【0078】
充電キャビネット26は、収納している複数の端末装置20のうち、情報処理装置32により指定された所定個の対象端末装置を充電する。このため、充電キャビネット26は、充電制御装置30に接続されている複数の端末装置20のうちの一部の端末装置20(対象端末装置)に対して、バッテリを充電可能な電力を供給する。この場合、充電制御装置30に接続されている複数の端末装置20のうちの他の一部の端末装置20(非対象端末装置)に対して、バッテリを充電することができない電力を供給する。
【0079】
例えば、情報処理装置32は、充電対象の端末装置20である対象端末装置について開始指示を充電制御装置30に与える(S131)。開始指示は、その端末装置20についての電力プロファイルを供給可能な最大の電力を示す最大電力プロファイルに設定するプロファイル設定指示である。
【0080】
最大電力プロファイルは、充電制御装置30とその端末装置20との間で設定が可能な電力プロファイルのうちの最大電力を示すプロファイルである。例えば、充電制御装置30が5V/0.9A”、“5V/3A”、“9V/3A”、“12V/3A”、“15V/3A”および“20V/3A”で電力供給が可能であり、端末装置20が、5V/0.9A”、“5V/3A”および“20V/3A”で電力を受け取りが可能であるとする。この場合、最大電力プロファイルは、互いに共通の電力プロファイルのうちの最大電力の“20V/3A”となる。
【0081】
情報処理装置32から開始指示を受け取った場合、充電制御装置30は、最大電力プロファイルにより電圧および電流が供給されるように、対象端末装置とパワーデリバリシーケンスを実行する(S132)。
【0082】
なお、充電制御装置30および端末装置20は、一旦パワーデリバリシーケンスを実行した後は、ケーブル34を介して接続をした状態では、電力プロファイルを変更することができない場合がある。この場合、充電制御装置30は、対応する端末装置20との間のケーブル34を介した電力供給および情報通信を一端切断した後に、再接続してもよい。例えば、充電制御装置30は、ケーブル34におけるグランド線または電源線をオープンにして電力供給および情報通信を一端切断し、その後、グランド線または電源線を接続してもよい。これにより、充電制御装置30および端末装置20は、再度、パワーデリバリシーケンスを実行することができる。
【0083】
一方、情報処理装置32は、充電対象ではない端末装置20である非対象端末装置について、停止指示を充電制御装置30に与える(S141)。停止指示は、その端末装置20についての電力プロファイルを、最低電圧および最低電流のデフォルト電力プロファイルに設定するプロファイル設定指示である。
【0084】
情報処理装置32から停止指示を受け取った場合、充電制御装置30は、デフォルト電力プロファイルにより電圧および電流が供給されるように、接続されている非対象端末装置とパワーデリバリシーケンスを実行する(S142)。
【0085】
なお、本実施形態において、充電制御装置30は、情報処理装置32から、収納している複数の端末装置20についての停止指示を受け取る。この場合、充電制御装置30は、収納している複数の端末装置20の全てについてデフォルト電力プロファイルにより電圧および電流が供給されるように、接続されている複数の端末装置20とパワーデリバリシーケンスを実行する。
【0086】
以上の処理を実行することにより、充電制御装置30は、収納している複数の端末装置20のうちの一部の端末装置20にのみ電力供給をすることができる。これにより、充電制御装置30は、情報処理装置32から指定された所定個の端末装置20を充電することができる。
【0087】
図10は、バッテリ残量を取得する場合における、充電キャビネット26の処理の流れを示す図である。バッテリ残量を取得する場合、充電キャビネット26は、
図10に示すような流れで処理を実行する。
【0088】
まず、情報処理装置32は、充電制御装置30に接続されている端末装置20について、バッテリに充電された電力の残量を表すバッテリ残量の取得要求を充電制御装置30に送信する(S151)。続いて、充電制御装置30は、VDM信号により、バッテリ残量の送信命令を、対応する端末装置20に送信する(S152)。
【0089】
続いて、バッテリ残量の送信命令を受け取った端末装置20は、バッテリ残量を取得する(S153)。続いて、バッテリ残量の送信命令を受け取った端末装置20は、バッテリ残量を、VDM信号により、充電制御装置30に送信する(S154)。続いて、充電制御装置30は、端末装置20から受信したバッテリ残量を情報処理装置32に送信する(S155)。情報処理装置32は、バッテリ残量を受け取ると、端末装置20の識別情報に対応付けてメモリに登録する。
【0090】
以上のように、充電制御装置30は、ケーブル34を介して、VDM信号を複数の端末装置20のそれぞれとやり取りすることにより、複数の端末装置20のそれぞれのバッテリ残量を取得する。これにより、情報処理装置32は、収納している複数の端末装置20のそれぞれのバッテリ残量に基づき、収納している複数の端末装置20のうち、バッテリ残量が少ない方から所定個の対象端末装置を特定することができる。
【0091】
図11は、温度を取得する場合における、充電キャビネット26の処理の流れを示す図である。端末装置20の温度を取得する場合、充電キャビネット26は、
図11に示すような流れで処理を実行する。
【0092】
まず、情報処理装置32は、充電制御装置30に接続されている端末装置20について、温度の取得要求を充電制御装置30に送信する(S161)。続いて、充電制御装置30は、VDM信号により、温度の送信命令を、対応する端末装置20に送信する(S162)。
【0093】
続いて、温度の送信命令を受け取った端末装置20は、自身の温度を取得する(S163)。続いて、温度の送信命令を受け取った端末装置20は、温度を、VDM信号により、充電制御装置30に送信する(S164)。続いて、充電制御装置30は、端末装置20から受信した温度を情報処理装置32に送信する(S165)。情報処理装置32は、温度を受け取ると、端末装置20の識別情報に対応付けてメモリに登録する。
【0094】
以上のように、充電制御装置30は、ケーブル34を介して、VDM信号を複数の端末装置20のそれぞれとやり取りすることにより、複数の端末装置20のそれぞれの温度を取得する。これにより、情報処理装置32は、収納している複数の端末装置20のそれぞれの温度が第1温度以上であるか否かを判断することができる。
【0095】
(プログラム等)
上述の各実施形態の情報処理装置32で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0096】
また、情報処理装置32で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、情報処理装置32で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、情報処理装置32で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【解決手段】複数の端末装置のそれぞれとケーブルを介して情報通信および電力供給をする充電制御装置を制御する情報処理装置であって、複数の端末装置のそれぞれのバッテリ残量を取得する残量取得部と、予め設定された時間長である充電インターバル毎に、複数の端末装置のうちのバッテリ残量が少ない方から順番に、所定個の対象端末装置を選択する選択制御部と、所定個の対象端末装置が新たに選択される毎に、選択した所定個の対象端末装置のそれぞれのバッテリを充電させる開始指示を、充電制御装置に与える開始指示部と、複数の端末装置のそれぞれの温度を取得する温度取得部とを備え、充電インターバルの期間中において、選択制御部は、複数の端末装置のうちの少なくとも1つの端末装置の温度が予め設定された第1温度以上となった場合、充電インターバルを終了させて次の新たな充電インターバルを開始させる。