特許第6875679号(P6875679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875679
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】自動車の後部サスペンション構造
(51)【国際特許分類】
   B60G 9/04 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   B60G9/04
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-60612(P2017-60612)
(22)【出願日】2017年3月27日
(65)【公開番号】特開2018-161989(P2018-161989A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2020年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500213915
【氏名又は名称】株式会社ワイテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 浩之
(72)【発明者】
【氏名】川口 秀明
(72)【発明者】
【氏名】上平 雅之
(72)【発明者】
【氏名】山中 悠也
【審査官】 浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−153346(JP,A)
【文献】 特開2016−193682(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0131829(US,A1)
【文献】 特開2008−195155(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0061205(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に延びかつ左右の後輪をそれぞれ支持する左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に延びかつ上記両トレーリングアームを連結するトーションビームとを有するトーションビーム式サスペンションを備えた、自動車の後部サスペンション構造であって、
上記各トレーリングアームは、断面U字状をなしかつ該トレーリングアームの断面形状が閉断面形状をなすようにU字開口が車幅方向に互いに対向した状態で接合された内側パネル及び外側パネルを有し、
上記各後輪は、上記外側パネルの後部に支持されていて、
上記外側パネルの厚みは、上記内側パネルの厚みよりも大きく、
上記トレーリングアームの後部における上記後輪を支持する部分全体の車幅方向の幅は、上記トレーリングアームの前部における車幅方向の幅よりも大きく、
上記トーションビームは、上記トレーリングアームとの連結部分の全体が、上記トレーリングアームの上記前部に連結されていることを特徴とする自動車の後部サスペンション構造。
【請求項2】
車両前後方向に延びかつ左右の後輪をそれぞれ支持する左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に延びかつ上記両トレーリングアームを連結するトーションビームとを有するトーションビーム式サスペンションを備えた、自動車の後部サスペンション構造であって、
上記各トレーリングアームは、断面U字状をなしかつ該トレーリングアームの断面形状が閉断面形状をなすようにU字開口が車幅方向に互いに対向した状態で接合された内側パネル及び外側パネルを有し、
上記各後輪は、上記外側パネルの後部に支持されていて、
上記外側パネルの厚みは、上記内側パネルの厚みよりも大きく、
上記トレーリングアームの後部における上記後輪を支持する部分全体の車幅方向の幅は、上記トレーリングアームの前部における車幅方向の幅よりも大きく、
上記トレーリングアームの車両後側端の近傍部分は、上記トレーリングアームの後部における他の部位よりも車幅方向の幅が大きいとともに、上記内側パネルの上部にダンパが支持されていることを特徴とする自動車の後部サスペンション構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自動車の後部サスペンション構造において、
記トレーリングアームの後部において、上記内側パネルの上部における車幅方向の幅と下部における車幅方向の幅との平均値は、上記外側パネルの上部における車幅方向の幅と下部における車幅方向の幅との平均値よりも大きいことを特徴とする自動車の後部サスペンション構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動車の後部サスペンション構造において、
上記内側パネル及び上記外側パネルが接合された状態において、上記内側パネルの上部における車幅方向外側の端部は、上記外側パネルの上部における車幅方向内側の端部の上側に位置し、上記内側パネルの下部における車幅方向外側の端部は、上記外側パネルの下部における車幅方向内側の端部の下側に位置することを特徴とする自動車の後部サスペンション構造。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1つに記載の自動車の後部サスペンション構造において、
上記トレーリングアームの後部における車幅方向の幅は、該トレーリングアームの前部における車幅方向の幅よりも大きく、
上記内側パネルの後部における車幅方向の幅は、該内側パネルの前部における車幅方向の幅よりも大きいことを特徴とする自動車の後部サスペンション構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前後方向に延びかつ左右の後輪をそれぞれ支持する左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に延びかつ上記両トレーリングアームを連結するトーションビームとを有するトーションビーム式サスペンションを備えた、自動車の後部サスペンション構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の後部サスペンション構造として、左右一対のトレーリングアームと、該両トレーリングアームを連結させるトーションビームとを有するトーションビーム式サスペンションを備えたものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両前後方向に延びかつパイプで構成される左右一対のトレーリングアームと、該両トレーリングアームを連結させるトーションビームとを備え、各トレーリングアームの車両後側端部に各後輪がそれぞれ支持される、自動車の後部サスペンション構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−224016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動車の後部サスペンション構造では、トレーリングアームの後部に後輪を支持する車輪支持部が設けられ、該車輪支持部を介して後輪がトレーリングアームに支持されることがある。後輪は、トレーリングアームよりも車幅方向外側に配置されるため、上記のように、トレーリングアームの後部に後輪が支持されるような構成の場合、特に、トレーリングアームの周面部のうち車幅方向外側の面部を構成する部分(以下、外側部分という)における後輪に対する支持剛性を出来る限り高くする必要がある。
【0006】
上記外側部分の後輪に対する支持剛性を高くする方法として、該外側部分の厚みを厚くすることが考えられる。しかしながら、特許文献1のように、トレーリングアームがパイプで構成されている場合、トレーリングアームの周面部全体の厚みを厚くしなければならないため、車両後部の重量が増加してしまう。
【0007】
また、トレーリングアームを太くして後輪に対する支持剛性を高くすることも考えられるが、特許文献1のように、トレーリングアームがパイプで構成されている場合、トレーリングアームを部分的に太くすることが困難であるため、トレーリングアーム全体を太くせざるを得ず、この場合でも、車両後部の重量増加の問題が生じる。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両後部の重量増加を抑えつつ、トレーリングアームの後輪に対する支持剛性を出来る限り高くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、車両前後方向に延びかつ左右の後輪をそれぞれ支持する左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に延びかつ上記両トレーリングアームを連結するトーションビームとを有するトーションビーム式サスペンションを備えた、自動車の後部サスペンション構造を対象として、上記各トレーリングアームは、断面U字状をなしかつ該トレーリングアームの断面形状が閉断面形状をなすようにU字開口が車幅方向に互いに対向した状態で接合された内側パネル及び外側パネルを有し、上記各後輪は、上記外側パネルの後部に支持されていて、上記外側パネルの厚みは、上記内側パネルの厚みよりも大きく、上記トレーリングアームの後部における上記後輪を支持する部分全体の車幅方向の幅は、上記トレーリングアームの前部における車幅方向の幅よりも大きく、、上記トーションビームは、上記トレーリングアームとの連結部分の全体が、上記トレーリングアームの上記前部に連結されている、構成とした。
【0010】
この構成によると、トレーリングアームが上記内側パネルと上記外側パネルとで構成されているため、内側及び外側パネルのうち後輪が支持される外側パネルのみを厚くすることができ、車両後部の重量増加を抑えることができる。また、後輪が支持される外側パネルの厚みが、内側パネルの厚みよりも大きくされていることにより、外側パネルにおける後輪に対する支持剛性を高くすることができる。
【0011】
したがって、車両後部の重量増加を抑えつつ、トレーリングアームの後輪に対する支持剛性を出来る限り高くすることができる。
【0012】
また、本発明の他の態様では、車両前後方向に延びかつ左右の後輪をそれぞれ支持する左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に延びかつ上記両トレーリングアームを連結するトーションビームとを有するトーションビーム式サスペンションを備えた、自動車の後部サスペンション構造を対象として、上記各トレーリングアームは、断面U字状をなしかつ該トレーリングアームの断面形状が閉断面形状をなすようにU字開口が車幅方向に互いに対向した状態で接合された内側パネル及び外側パネルを有し、上記各後輪は、上記外側パネルの後部に支持されていて、上記外側パネルの厚みは、上記内側パネルの厚みよりも大きく、上記トレーリングアームの後部における上記後輪を支持する部分全体の車幅方向の幅は、上記トレーリングアームの前部における車幅方向の幅よりも大きく、上記トレーリングアームの車両後側端の近傍部分は、上記トレーリングアームの後部における他の部位よりも車幅方向の幅が大きいとともに、上記内側パネルの上部にダンパが支持されている、という構成とした。
【0013】
上記自動車の後部サスペンション構造では、上記トレーリングアームの後部において、上記内側パネルの上部における車幅方向の幅と下部における車幅方向の幅との平均値は、上記外側パネルの上部における車幅方向の幅と下部における車幅方向の幅との平均値よりも大きい、ことが望ましい。
【0014】
この構成によると、トレーリングアームの後部における車幅方向の幅が、該トレーリングアームの前部における車幅方向の幅よりも大きいため、トレーリングアーム全体としての後輪に対する支持剛性を向上させることができる。また、トレーリングアームの後部において、内側パネルの上部及び下部の車幅方向の幅の平均を、外側パネルの上部及び下部の車幅方向の幅の平均よりも大きくすることで、トレーリングアームの後部において、内側パネルの占める割合が外側パネルの占める割合よりも大きくなるため、車両後部の重量増加を一層抑えることができる。
【0015】
上記自動車の後部サスペンション構造の一実施形態では、上記内側パネル及び上記外側パネルが接合された状態において、上記内側パネルの上部における車幅方向外側の端部は、上記外側パネルの上部における車幅方向内側の端部の上側に位置し、上記内側パネルの下部における車幅方向外側の端部は、上記外側パネルの下部における車幅方向内側の端部の下側に位置する。
【0016】
この構成によると、外側パネルの上部及び下部における車幅方向内側の端部が、内側パネル内に嵌め込まれたような状態で、内側パネルと外側パネルとが接合されることになる。これにより、内側パネル及び外側パネルの一方に上下方向の荷重が入力されたとしても、内側パネルと外側パネルとの接合が解除されにくくなる。
【0017】
また、上記の構成により、内側パネルの方が外側パネルよりも上下方向の幅が大きくなるため、車両後部の重量増加をより抑えることができる。
【0018】
上記自動車の後部サスペンション構造では、上記トレーリングアームの後部における車幅方向の幅は、該トレーリングアームの前部における車幅方向の幅よりも大きく、上記内側パネルの後部における車幅方向の幅は、該内側パネルの前部における車幅方向の幅よりも大きい、ことが望ましい。
【0019】
この構成によると、外側パネルの車幅方向の幅をあまり大きくすることなく、内側パネルの車幅方向の幅を大きくすることで、トレーリングアームの後部における車幅方向の幅を、該トレーリングアームの前部における車幅方向の幅よりも大きくすることができるため、車両後部の重量増加をより一層抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明に係る自動車の後部サスペンション構造によると、後輪が支持される外側パネルの厚みが、内側パネルの厚みよりも大きくされているため、外側パネルにおける後輪に対する支持剛性を高くすることができる。また、内側及び外側パネルのうち外側パネルのみが厚くされるため、車両後部の重量増加については抑えることができる。これらの結果、車両後部の重量増加を抑えつつ、トレーリングアームの後輪に対する支持剛性を出来る限り高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る後部サスペンション構造が適用された自動車の車体後部に配設されるトーションビーム式サスペンションを示す平面図である。
図2】上記自動車の車体後部の右側部分を示す断面図である。
図3】上記トーションビーム式サスペンションの右側部分を斜め上側から見た斜視図である。
図4】上記トーションビーム式サスペンションの右側部分を左側から見た左側側面図である。
図5図4のV-V線相当の断面図である。
図6図4のVI-VI線相当の断面図である。
図7図4のVII-VII線相当の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の説明では、自動車についての前、後、左、右、上及び下を、それぞれ単に前、後、左、右、上及び下という。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る後部サスペンション構造が適用された自動車(以下、車両という)の車体後部に配設されるトーションビーム式サスペンション10(以下、単にサスペンション10という)を示し、図2は上記車両の車体後部の右側部分を示す。上記車両は、フロントエンジンフロントドライブ式(FF式)の車両であって、前輪が駆動輪、後輪50(図2参照)が従動輪となっている。
【0024】
上記車両の車体後部に配設されたサスペンション10は、前後方向に延びる左右一対のトレーリングアーム12と、車幅方向に延びかつ両トレーリングアーム12を連結するトーションビーム13とを有している。
【0025】
各トレーリングアーム12の前側端部には、トレーリングアーム12を車体に対して上下方向に揺動可能に連結するためのサスペンションブッシュ14が固定されている。
【0026】
トーションビーム13よりも後側でかつ該トーションビーム13の長手方向両側の端部と左右一対のトレーリングアーム12との間の各コーナー部には、スプリングシート16がそれぞれ設けられている。このスプリングシート16には、懸架用のコイルスプリング(図示省略)がそれぞれ取り付けられる。
【0027】
各トレーリングアーム12におけるスプリングシート16よりも後側の部分には、後輪50を介して路面から伝達される反発荷重を吸収するためのダンパ80が、ダンパブラケット70を介して取り付けられている。
【0028】
また、各トレーリングアーム12の前後方向中間の部分におけるスプリングシート16と略同じ前後位置には、後輪50を支持するための後輪支持ユニットとしてのアクスルユニット51が、車幅方向外側に向かって突出するようにそれぞれ設けられている。
【0029】
以下、トレーリングアーム12及びトレーリングアーム12に取り付けられる部品(スプリングシート16など)の詳細な構成について説明する。尚、本実施形態に係る後部サスペンション構造は左右対称に構成されているため、以下の説明では、右側のトレーリングアーム12及び右側のトレーリングアーム12に取り付けられる部品の構成について主に説明し、左側のトレーリングアーム12等については詳細な説明を省略する。
【0030】
先ず、トレーリングアーム12について説明する。
【0031】
図2に示すように、トレーリングアーム12の前部12aは、後輪50を避けるように、平面視で左側(つまり、車幅方向内側)に向けて凸となる湾曲形状をしている。具体的には、トレーリングアーム12の前部12aは、その前後方向中間の部分が最も左側(つまり、車幅方向内側)に位置し、そこから当該前部12aの前側端及び当該前部12aの後側端に近づくほど右側に位置するように湾曲している。また、上記前部12aは、図2に示すように、前部12aの後側端部が前部12aの前側端部よりも右側に位置している。トレーリングアーム12の後部12bは、図2に示すように、後側に向かって右側に傾斜した形状をしている。
【0032】
トレーリングアーム12の前部12aは、図2に示すように、車幅方向の幅が、前部12aの前側端から前部12aの後側端に向かうに連れて徐々に大きくなるような形状を有している。一方で、トレーリングアーム12の後部12bは、該後部12bの前側端から後部12bの後側に向かって車幅方向の幅が略均一な状態で延びた後、後部12bの後側端の近傍部分(ダンパブラケット70が取り付けられる部分)において、当該後部12bの他の部分よりも車幅方向の幅が大きくなるような形状を有している。
【0033】
トレーリングアーム12の後側端には、図1図4に示すように、他の部材が設けられていない。
【0034】
本実施形態では、トレーリングアーム12は、図5図7に示すように、車幅方向中間の部分において左右に2分割されており、左右に分割された部材同士が接合されることで、前後方向全体に亘って閉断面形状をなすように構成されている。詳しくは、トレーリングアーム12は、断面U字状をなしかつU字開口が車幅方向に互いに対向した状態で接合された内側パネル20及び外側パネル30を有している。内側パネル20及び外側パネル30は、それぞれ、例えば鋼板をプレス成形してなる一体成形品である。尚、内側パネル20と外側パネル30との溶接による電食を防止する観点から、内側パネル20と外側パネル30とは互いに同じ材質のもので構成されていることが望ましい。
【0035】
内側パネル20は、図3図5図7に示すように、前後方向に延びる上壁部(内側パネル20の上部。以下、内側上壁部21という)と、該内側上壁部21と上下方向に対向して前後方向に延びる下壁部(内側パネル20の下部。以下、内側下壁部22という)と、内側上壁部21の左側端部と内側下壁部22の左側端部とを連結する側壁部(以下、内側側壁部23という)とを有している。内側側壁部23は、トレーリングアーム12の湾曲形状及び傾斜形状に対応するように左右方向に湾曲及び傾斜している。
【0036】
図2図4に示すように、内側上壁部21及び内側下壁部22も、内側側壁部23と同様にトレーリングアーム12の湾曲形状及び傾斜形状に対応するように左右方向に湾曲及び傾斜している。内側上壁部21の車幅方向の幅は、図2及び図5図7に示すように、トレーリングアーム12の前部12aでは、該前部12aの前側端から後側端に向かうに連れて大きくなっている。また、内側上壁部21の車幅方向の幅は、トレーリングアーム12の後部12bでは、該後部12bの前側端から前後方向中間の部分までの範囲において、上記前部12aの後側端における内側上壁部21の車幅方向の幅と略同じ大きさであり、上記後部12bの後側端の近傍部分において、さらに左側に向かって大きくなっている。一方で、内側下壁部22の車幅方向の幅は、トレーリングアーム12の前部12aでは、該前部12aの前側端から後側端に向かうに連れて大きくなっている。また、内側下壁部22の車幅方向の幅は、トレーリングアーム12の後部12bでは、該後部12bの前側端から前後方向中間の部分までの範囲において、上記前部12aの後側端における内側下壁部23の車幅方向の幅と略同じ大きさであり、上記後部12bの後側端の近傍部分において、さらに左側に向かって大きくなっている。また、内側上壁部21及び内側下壁部22の車幅方向の幅は、図5図7に示すように、前側端部では、互いに略同じ大きさであり、上記後部12bでは内側下壁部22の方が内側上壁部21よりも大きくなっている。
【0037】
外側パネル30は、図3図5図7に示すように、前後方向に延びる上壁部(外側パネル30の上部。以下、外側上壁部31という)と、該外側上壁部31と上下方向に対向して前後方向に延びる下壁部(外側パネル30の下部。以下、外側下壁部32という)と、外側上壁部31の右側端部と外側下壁部32の右側端部とを連結する側壁部(以下、外側側壁部33という)とを有している。外側側壁部33は、トレーリングアーム12の湾曲形状及び傾斜形状に対応するように左右方向に湾曲及び傾斜している。
【0038】
図2及び図3に示すように、外側上壁部31及び外側下壁部32も、外側側壁部33と同様にトレーリングアーム12の湾曲形状及び傾斜形状に対応するように左右方向に湾曲及び傾斜している。外側上壁部31の車幅方向の幅は、図2及び図5図7に示すように、トレーリングアーム12の前部12aでは、後側に向かうに連れて左側に向かって大きくなっている。また、外側上壁部31の車幅方向の幅は、トレーリングアーム12の後部12bでは、該後部12bの前端から前後方向中間の部分までの範囲において、上記前部12aの後側端における外側上壁部31の車幅方向の幅と略同じ大きさであり、上記後部12bの後側端の近傍部分において、さらに左側に向かって大きくなっている。一方で、外側下壁部32の車幅方向の幅は、図5図7に示すように、トレーリングアーム12の前後方向全体に亘って略同じ大きさとなっている。
【0039】
また、図5図7に示すように、外側パネル30の厚みは、トレーリングアーム12全体に亘って、内側パネル20の厚みよりも大きくされている。
【0040】
内側パネル20の車幅方向の幅と外側パネル30の車幅方向の幅、詳しくは、トレーリングアーム12の断面における、内側上壁部21の車幅方向の幅と内側下壁部22の車幅方向の幅との平均値と、外側上壁部31の車幅方向の幅と外側下壁部32の車幅方向の幅との平均値とを比較すると、トレーリングアーム12の前側端部では、内側パネル20の車幅方向の幅と外側パネル30の車幅方向の幅とが同程度の大きさであるが、トレーリングアーム12の後部12bでは、内側パネル20の車幅方向の幅が外側パネル30の車幅方向の幅よりも大きい。
【0041】
また、図5図7に示すように、トレーリングアーム12の前側端部における車幅方向の幅に対するトレーリングアーム12の後部12bの前後方向中間の部分の車幅方向の幅の比率である車幅方向の拡大率については、内側パネル20の車幅方向の拡大率の方が、外側パネル30の拡大率よりも大きくなっている。つまり、トレーリングアーム12の車幅方向の幅は、基本的には、内側パネル20の車幅方向の幅が大きくなることによって、前側よりも後側の方が大きくなっている。
【0042】
内側パネル20と外側パネル30とは、トレーリングアーム12の断面形状が閉断面形状となるように、内側上壁部21と外側上壁部31とが溶接されるとともに、内側下壁部22と外側下壁部32とが溶接されることによって接合されている。具体的には、図5図7に示すように、内側上壁部21の右側端部(つまり、車幅方向外側の端部)が外側上壁部31の左側端部(つまり、車幅方向内側の端部)の上側に重ね合わされた状態で、内側上壁部21の右側端部と外側上壁部31の左側端部とが溶接によって接合されている一方、内側下壁部22の右側端部が外側下壁部32の左側端部の下側に重ね合わされた状態で、内側下壁部22の右側端部と外側下壁部32の左側端部とが溶接によって接合されている。これにより、内側及び外側上壁部21,31、内側及び外側下壁部22,32、並びに、内側及び外側側壁部23,33によって、トレーリングアーム12の閉断面形状が形成されている。また、上述のように内側パネル20と外側パネル30とが接合されることにより、内側パネル20及び外側パネル30が接合された状態において、内側パネル20の内側上壁部21における右側端部は、外側パネル30の外側上壁部における左側端部の上側に位置し、内側パネル20の内側下壁部22における右側端部は、外側パネル30の外側下壁部32における左側端部の下側に位置するようになる。尚、内側パネル20と外側パネル30とは、内側上壁部21の右側端部と外側上壁部31の左側端部、及び、内側下壁部22の右側端部と外側下壁部32の左側端部とが突き合わせ接合されることで、接合されていてもよい。
【0043】
次に、トレーリングアーム12に取り付けられる部材について説明する。
【0044】
上記トーションビーム13は、中空丸パイプの下側の部分における長手方向中間の部分を下側から上側に押圧することにより、横断面形状が、閉断面かつ異形断面形状をなすように成形されている。本実施形態では、トーションビーム13は、長手方向両側の端部が、それぞれ、中空丸パイプの元々の形状である断面円形となっており、長手方向中間の部分の異形断面形状が、図4に示すように開口が下側に位置するU字状をなしている。また、上記異形断面形状は、長手方向両側の端部から長手方向中央に向かうに連れてU字開口が大きくなるような形状をなしている。
【0045】
トーションビーム13の長手方向両側の端部は、トレーリングアーム12の前部12aにそれぞれ溶接されている。詳しくは、トーションビーム13の長手方向右側の端部は、右側のトレーリングアーム12の前部12aにおいて、右側のトレーリングアーム12の内側パネル20に溶接されており(図2及び図3参照)、トーションビーム13の長手方向左側の端部は、左側のトレーリングアーム12の前部12aにおいて、左側のトレーリングアーム12の内側パネル20に溶接されている(図1参照)。
【0046】
上記サスペンションブッシュ14は、上述したように、トレーリングアーム12の前側端部に固定されている。
【0047】
サスペンションブッシュ14は、図3及び図4に示すように、トレーリングアーム12の前側端部に固定される外筒14aと、該外筒14aの内側に該外筒14aと同軸に配置される内筒14bと、外筒14aと内筒14bとの間に配置される弾性部材40とを有している。
【0048】
図3及び図4に示すように、内側側壁部23の前側端部及び外側側壁部33の前側端部は、外筒14aの形状に対応するように、前側に向かって開放されたU字状に切り欠かれた切欠部12c(内側側壁部23の切欠部12cについては図4参照、外側側壁部33の切欠部12cについては図3参照)となっており、この切欠部12cに外筒14aが嵌め込まれて、外筒14aと内側及び外側側壁部23,33とがそれぞれ溶接されることで、サスペンションブッシュ14がトレーリングアーム12の前側端部に固定される。サスペンションブッシュ14は、図2に示すように、その筒軸(外筒14a及び内筒14bの筒軸)が車幅方向に対して前後方向に若干傾斜するように配設されている。詳しくは、サスペンションブッシュ14は、その筒軸が左側から右側に向かって若干後側に傾斜するように配設されている。
【0049】
サスペンションブッシュ14の内筒14b内には、図2に示すように、軸部材41が挿通されている。この軸部材41は、右側の端部がサイドシル2から延びるサイドシル延設部6とホイールハウスパネル7とに取り付けられ、該軸部材41の左側の端部がサイドシル2に設けられたブラケット3と該ブラケット3に接合された補強部材5とに取り付けられている。詳しくは、ブラケット3の左側(つまり、車幅方向内側)の面には、ウェルドナット42が固定されており、軸部材41の先端(図2では左側の端部)と該ウェルドナット42とが締結されることで軸部材41が上記車両の車体と連結されている。これにより、トレーリングアーム12は、軸部材41を介して上記車両の車体と連結されて、その前側端部を支点にして上下方向に揺動可能になっている。
【0050】
上記スプリングシート16は、図2及び図3に示すように、平坦でかつ平面視略矩形状をなした底壁部16aと、底壁部16aの前側縁部から前側かつ右側に向かって、上側に傾斜するように広がる傾斜部16bと、底壁部16a及び傾斜部16bの左側縁、並びに、底壁部16aの後側縁に沿って形成された第1フランジ部16cと、傾斜部16bの前側縁に沿って形成された第2フランジ部16dと、底壁部16aの略中央に設けられ、コイルスプリング(図示省略)を取り付けられるスプリング取付部16eとを有している。
【0051】
スプリングシート16は、例えば鋼板をプレス成形することによって形成された一体成形品である。第1のフランジ部16cは、底壁部16a及び傾斜部16bの左側端部から上側に向かって立ち上がっているとともに、底壁部16aの後側端部から上側に向かって立ち上がっている。第2フランジ部16dは、傾斜部16bの前側端部から上側に向かって立ち上がっている。
【0052】
スプリングシート16の前側端部(つまり、第2フランジ部16d)は、図3に示すように、トーションビーム13の長手方向右側の端部における後側の部分と略同じ前後位置に位置している一方、スプリングシート16の後側端部(つまり、第1フランジ部16cにおける底壁部16aの後側端部に沿った部分)は、トレーリングアーム12の後部12bの前後方向中間位置と同じ前後位置に位置している。
【0053】
第2フランジ部16dは、図2及び図3に示すように、その車幅方向の略全体がトーションビーム13の長手方向右側の端部における後側の部分に当接しており、この第2フランジ部16dはトーションビーム13の当該部分に溶接されている。
【0054】
また、傾斜部16bの右側端部は、内側側壁部23における上記前部12aに相当する部分と当接しており、底壁部16aの右側端部は、内側側壁部23における上記後部12bに相当する部分と当接している。傾斜部16bの右側端部と底壁部16aの右側端部は、内側側壁部23にそれぞれ溶接されている。
【0055】
さらに、第1フランジ部16cにおける底壁部16aの後側端部に沿った部分の右側端部は、図2及び図3に示すように、内側側壁部23と当接しており、第1フランジ16cの右側端部は内側側壁部23に溶接されている。
【0056】
上記ダンパ80は、内側パネル20における、スプリングシート16の後側端よりも後側の部分に設けられたダンパブラケット70に取付支持されている。
【0057】
ダンパブラケット70は、図2及び図3に示すように、前後方向に延びかつ車幅方向内側(図2及び図3では左側)に位置する内側側面部70aと、該内側側面部70aと車幅方向外側(図2及び図3では右側)に離間して位置しかつ前後方向に延びる外側側面部70bと、内側側面部70aの前側端部と外側側面部70bの前側端部とを連結する前側面部70cと、内側側面部70aの後側端部及び外側側面部70cの後側端部から車幅方向外側に向かって延びる接合部70dとを有している。
【0058】
内側側面部70aに設けられた接合部70dの車幅方向外側の端部は、内側パネル20の内側側壁部23に溶接されており、外側側面部70bに設けられた接合部70dの下側端部は、内側パネルの内側上壁部21に溶接されている。これにより、ダンパブラケット70が内側パネル20に固定される。
【0059】
ダンパブラケット70の前側面部70cは、スプリングシート16の第1フランジ部16cの後側の部分と略同じ前後位置に位置しており、上記前側面部70cの下側端部は第1フランジ部70cに溶接されている。つまり、ダンパブラケット70は、内側パネル20だけでなく、スプリングシート16にも接合されており、これにより、ダンパ80に対する支持剛性を向上させている。
【0060】
ダンパブラケット70の内側側面部70aには、図3に示すように、ダンパ80をダンパブラケット70に取り付けるための軸部材88が挿通される孔70eが設けられている。一方で、ダンパブラケット70の外側側面部70bの右側の部分には、図3に示すように、ウェルドナット73が固定されている。ウェルドナット73は、そのねじ孔73aが、ダンパブラケット70の内側側面部70aに設けられた孔70eと同軸となるような位置に固定されている。
【0061】
ダンパ80の下側端部には、車幅方向に延びる軸部材88(図4参照)が挿通されるブラケット取付部が設けられている。ダンパ80をダンパブラケット70に取り付ける際には、ダンパ80の上記ブラケット取付部を、該ブラケット取付部の孔が、ダンパブラケット70の内側側面部70aの孔70e及びウェルドナット73のねじ孔73aと一直線に並ぶように、内側側面部70aと外側側面部70bとの間に配置して、その後、ダンパブラケット71の内側側面部70aの孔70e、上記ブラケット取付部の孔及びウェルドナット73のねじ孔73aに軸部材88を挿通させて、軸部材88の先端部(図7では右側の端部)をウェルドナット73と締結させる。これにより、ダンパ80がダンパブラケット70に取付支持されるようになる。
【0062】
上記アクスルユニット51は、トレーリングアーム12の後部12bにおいて、外側パネル30に取り付けられたアクスルブラケット15を介してトレーリングアーム12に支持されている。
【0063】
アクスルブラケット15は、例えば、金属板を平面視略U字状になるように折り曲げたものであり、図3に示すように、外側下壁部32と同等の高さ位置から外側上壁部31よりも高い位置まで上下方向に延びる前側面部15aと、該前側面部15aから後側に離間しかつ該前側面部15aと同程度の上下範囲で延びる後側面部15bと、前側面部15の右側端部と後側面部15bの右側端部とを連結する外側側面部15cとを有している。アクスルブラケット15の前側面部15b及び後側面部15bにおける外側パネル30と同じ高さ範囲の部分には、図3に示すように、外側パネル30の外側上壁部31及び外側側壁部33に沿うように、L字状に切り欠かれた切欠部15fが形成されている。アクスルブラケット15は、該切欠部15fを外側上壁部31及び外側側壁部33に沿うように配置した後、前側面部15a及び後側面部15bを外側上壁部31及び外側側壁部33にそれぞれ溶接することによって、外側パネル30に固定される。尚、アクスルブラケット15の前側面部15b及び後側面部15bの切欠部15fは、外側パネル30の外側上壁部31、外側側壁部33及び外側下壁部32に沿うようなU字状の切り欠きであってもよい。切欠部15fがU字状である場合、前側面部15a及び後側面部15bの上記下側部分は、外側上壁部31、外側側壁部33及び外側下壁部32にそれぞれ溶接される。
【0064】
また、図2及び図3に示すように、アクスルブラケット15の前側面部15a、後側面部15b、外側側面部15c及び外側パネル30の外側側壁部33によって囲まれた部分には、アクスルブラケット15が前後方向の荷重によって変形してしまうのを防止するための第1補助部材15dが設けられている。第1補助部材15dは、その周縁部がアクスルブラケット15の前側面部15a、後側面部15b及び外側側面部15cにそれぞれ溶接されている。
【0065】
さらに、アクスルブラケット15の前側面部15aには、アクスルブラケット15のトレーリングアーム12に対する取付剛性を向上させるための第2補助部材15eが接合されている。第2補助部材15eは、内側上壁部21と外側上壁部31とに跨がるように車幅方向に延びており、内側上壁部21、外側上壁部31及びアクスルブラケット15の前側面部15aにそれぞれ溶接されている。
【0066】
アクスルユニット51は、図2図3及び図6に示すように、後輪50のホイール50a(図2参照)が取り付けられるハブ52と、該ハブ52の軸部52bを収容するハウジング53とを有している。図6に示すように、バブ52の軸部52bとハウジング53とボール54とによりボールベアリング55が形成されており、これにより、バブ52は回転可能となっている。ハウジング53の左側の部分にはフランジ部53aが設けられており、該フランジ部53aは、アクスルブラケット15の外側側面部15cにおける外側パネル30よりも上側の部分に、締結部材100(図1図4参照)によって取り付けられている。これにより、アクスルユニット51が、アクスルブラケット15に取り付けられる。アクスルユニット51がアクスルブラケット15に取り付けられた状態で、アクスルユニット51は右側に向かって突出するとともに、アクスルユニット51のハブ52の軸心が車幅方向と一致するようになっている。
【0067】
ハブ52の右側の部分は、図2図3及び図6に示すように、ハブ52の径方向外側に向かって広がるハブフランジ52aが形成されており、後輪50のホイール50aは、ハブ52のハブフランジ52aに締結部材101(特に図2参照)によって締結される。これにより、後輪50が、アクスルユニット51及びアクスルブラケット15を介して、外側パネル30の後部に支持される。
【0068】
本実施形態において、右側のトレーリングアーム12及び右側のトレーリングアーム12に取り付けられる部品は、上述のように構成されている。左側のトレーリングアーム12及び左側のトレーリングアーム12に取り付けられる部品は、上述した、右側のトレーリングアーム12等の構成と左右対称になるように構成されている。
【0069】
ここで、本実施形態に係るサスペンション10のように、トレーリングアーム12の後部12bに後輪50が支持される場合、トレーリングアーム12の周面部のうち車幅方向外側の面部(つまり、外側パネル30の部分)における後輪50に対する支持剛性を出来る限り高くする必要がある。一方で、後輪50に対する支持剛性を向上させる際に、車両後部の重量増加してしまうことについては防止することが望ましい。
【0070】
本実施形態によると、トレーリングアーム12の周面部のうち車幅方向外側の面部を構成しかつ後輪50が支持される外側パネル30の厚みが、内側パネル20の厚みよりも大きくされているため、外側パネル30の後輪50に対する支持剛性を高くすることができる。
【0071】
また、内側パネル20及び外側パネル30のうち、後輪50が支持される部分である外側パネル30のみが厚くされるため、車両後部の重量増加については抑えることができる。
【0072】
したがって、本実施形態では、車両後部の重量増加を抑えつつ、トレーリングアーム12の後輪50に対する支持剛性を出来る限り高くすることができる。
【0073】
また、本実施形態に係るトレーリングアーム12は、後輪50が支持される部分である後部12bの車幅方向の幅が、前部12aの車幅方向の幅よりも大きくなるように構成されているため、トレーリングアーム12全体としても後輪50に対する支持剛性を向上させることができる。
【0074】
さらに、前部12aは、車幅方向の幅が出来る限り短くされるとともに、後輪50を避けるように、詳しくは、前部12aの前後方向中間の部分が、前部12aの前側端及び前部12aの後側端よりも車幅方向内側に位置するように湾曲されているため、後輪50をトレーリングアーム12に出来る限り近い位置でアクスルユニット51に支持させることができる。これにより、トレーリングアーム12の後輪50に対する支持剛性を一層向上させることができる。
【0075】
また、本実施形態に係るトレーリングアーム12は、後部12bにおける内側パネル20の車幅方向の幅(内側上壁部21の車幅方向の幅と内側下壁部22の車幅方向の幅との平均値)を、前部12aにおける内側パネル20の車幅方向の幅よりも大きくすることによりトレーリングアーム12全体の車幅方向の幅を大きくしている。さらに、本実施形態に係るトレーリングアーム12は、該トレーリングアーム12の後部12bにおいて、内側パネル20の車幅方向の幅を、外側パネル30の車幅方向の幅(外側上壁部31の車幅方向の幅と外側下壁部32の車幅方向の幅との平均値)に対して大きくしている。これらの結果、トレーリングアーム12全体における内側パネル20の占める割合を出来る限り大きくすることができ、トレーリングアーム12の後輪50に対する支持剛性を向上させる際の車両後部の重量増加を一層抑えることができる。
【0076】
さらに、本実施形態では、内側パネル20及び外側パネル30が接合された状態において、内側パネル20の内側上壁部21における車幅方向外側の端部は、外側パネル30の外側上壁部31における車幅方向内側の端部の上側に位置し、内側パネル20の内側下壁部22における車幅方向外側の端部は、外側パネル30の外側下壁部32における車幅方向内側の端部の下側に位置している。これにより、外側パネル30の外側上壁部31及び外側下面部32の車幅方向内側の端部が、内側パネル20の上下方向内側に嵌め込まれたような状態になる。これにより、内側パネル20及び外側パネル30の一方に上下方向の荷重が入力されたとしても、内側パネル20と外側パネル30との接合が解除されにくくなる。また、内側パネル20の上下方向の幅が、外側パネル30の上下方向の幅よりも大きくなるため、車両後部の重量増加をより抑えることができる。
【0077】
したがって、本実施形態では、前後方向に延びかつ左右の後輪50をそれぞれ支持する左右一対のトレーリングアーム12と、車幅方向に延びかつ両トレーリングアーム12を連結するトーションビーム13とを備え、各トレーリングアーム12は、断面U字状をなしかつ該トレーリングアーム12の断面形状が閉断面形状をなすようにU字開口が車幅方向に互いに対向した状態で接合された内側パネル20及び外側パネル30を有し、各後輪50は、外側パネル30の後部に支持されていて、外側パネル30の厚みは、内側パネル20の厚みより大きくされているため、車両後部の重量増加を抑えつつ、トレーリングアーム12の後輪50に対する支持剛性を出来る限り高くすることができる。
【0078】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0079】
例えば、上記実施形態では、ダンパブラケット70は、内側及び外側パネル20,30のうち内側パネル20にのみ取り付けられていたが、これに限らず、ダンパブラケット70が、内側及び外側パネル20,30に跨がって取り付けられていてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、上記車両はFF式の車両であったが、上記車両が4輪駆動式の車両であってもよい。
【0081】
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、車両前後方向に延びかつ左右の後輪をそれぞれ支持する左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に延びかつ上記両トレーリングアームを連結するトーションビームとを有するトーションビーム式サスペンションを備えた、自動車の後部サスペンション構造として有用である。
【符号の説明】
【0083】
10 トーションビーム式サスペンション
12 トレーリングアーム
12a 前部(トレーリングアームの前部)
12b 後部(トレーリングアームの前部)
13 トーションビーム
20 内側パネル
21 内側パネルの上壁部(内側パネルの上部)
22 内側パネルの下壁部(内側パネルの下部)
30 外側パネル
31 外側パネルの上壁部(外側パネルの上部)
32 外側パネルの下壁部(外側パネルの下部)
50 後輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7