(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0019】
なお、各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されない。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示すものではない。
【0020】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された手術用ロボットは、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0021】
〔第1の実施形態〕
以下、第1の実施形態に係る手術ロボットについて、主に
図1から
図6を参照しながら説明する。本実施形態では、本開示にかかる手術ロボットが、内視鏡下外科手術に用いられる例に適用して以降の説明を行う。なお、以降の説明において、前後、左右、上下の方向は、特に断りのない限りそれぞれ図中に示す方向とする。
【0022】
<1.構成の説明>
手術ロボット1は、第1のロボットアーム2R、第2のロボットアーム2L、制御ユニット3、操作ユニット5、第1の術具7R、及び第2の術具7Lを主に備えている。第1の術具7Rは、第1のロボットアーム2Rが支持する術具であり、第2の術具7Lは、第1のロボットアーム2Rが支持する術具である。
【0023】
なお本実施形態では、第1のロボットアーム2Rと第2のロボットアーム2Lは同一の構成をしたものである例に適用して以降の説明を行う。また、第1の術具7Rと第2の術具7Lは、同一の構成をしたものである例に適用して以降の説明を行う。
【0024】
このため、以降の説明では、第1のロボットアーム2R、及び第1の術具7Rについて説明を行い、第2のロボットアーム2L、及び第2の術具7Lの説明、及びそれらの図の記載は省略する。また以降において、特に断りの無い限り、第1のロボットアーム2Rを「ロボットアーム2」と、第1の術具7Rを「術具7」とも記載する。
【0025】
<術具について>
はじめに術具7について説明を行う。術具7は、その先側の一部が、手術が行われる対象者(以降において「患者」とも記載する。)の腹部などに穿刺されたトロッカー8を介して患者の体内に挿入され、組織に対する処置を行う器具である。本実施形態では、術具7が、内視鏡下外科手術にて用いられる公知の鉗子である例に適用して以降の説明を行う。
【0026】
術具7は、把持部71、シャフト73、及びアダプタ75から主に構成されている。把持部71は、トロッカー8を介して患者の体内に挿入されて、組織などを把持するなどの処置を行う部分であり、シャフト73の一方の端側に設けられている。なお以降において、シャフト73の把持部71が設けられている側を、シャフト73の「先側」、あるいは術具7の「先側」とも記載する。
【0027】
シャフト73は、細長い筒状の形状をした部分で、その把持部71とは反対側にアダプタ75が設けられている。また、シャフト73の把持部71の近傍の部分には、所定の方向に折り曲げ、あるいは屈曲可能なリスト部74が設けられている。このリスト部74は、所定の向きに折り曲げ、あるいは屈曲されることで、把持部71の向きを変更する部分である。
【0028】
把持部71は、ジョー72aと、ジョー72aと対応するジョー72bと、図示されていないベース部72cから主に構成されている。ジョー72aとジョー72bは、相互に近接、離間ができるようにベース部72cに支持されている。
【0029】
把持部71は、ジョー72aとジョー72bが近接することで、その間に配置された組織などを把持する作動を行う。また、ジョー72aとジョー72bが離間して、把持していた組織などを離す作動を行う。以降においてジョー72aとジョー72bが近接することを、把持部71が「閉じる」、ジョー72aとジョー72bが離間することを把持部71が「開く」とも記載する。また、把持部71を開いたり閉じたりする作動を、「開閉動作」とも記載する。
【0030】
筒状のシャフト73の内側には、把持部71、及びリスト部74に所定の作動を行わせるための図示されていない複数のワイヤが設けられている。このワイヤに所定の張力が作用されると、把持部71、あるいはリスト部74の対応する部分が、張力に応じた作動を行う。なお、以降において、把持部71及びリスト部74など、所定の張力などが作用されて作動する術具7の部分を総称して、「術具7の作動部」あるいは「作動部70」とも記載する。
【0031】
<ロボットアームについて>
ロボットアーム2は、使用者による操作に応じて作動して、その操作に応じた姿勢、及び位置にて術具7を保持するアーム装置である。換言すれば、ロボットアーム2は、術具7の先側の部分(本実施形態に於いては把持部71)が、使用者の所望の位置、及び姿勢となるように術具7を保持するものである。
【0032】
即ち使用者が操作を行うと、術具7の先側の部分(把持部71)が操作に応じた方向に移動するように、ロボットアーム2が作動する。以降において、使用者の操作に伴って、術具7の先側の部分(把持部71)が移動する方向を、「術具7の移動方向」あるいは単に「移動方向」とも記載する。
【0033】
ロボットアーム2は、複数の関節部(ジョイント)22を有するリンク機構にて構成されている。即ち、複数のアーム21が、複数の関節部22にてそれぞれ所定の方向に回転可能に接続されて構成されている。
【0034】
ロボットアーム2には、術具7を取り付け、取り外し可能に接続する接続部25が設けられている。術具7は、この接続部25にそのアダプタ75が接続されて、ロボットアーム2に支持される。
【0035】
ロボットアーム2は、アーム21や関節部22に、使用者による操作に応じた作動を行わせるための複数の駆動部26aを備えている。なお
図2において、説明のために一つの駆動部26aを例示として記載し、他の駆動部26aの記載は省略している。この駆動部26aは、使用者による操作に応じて物理的な運動を行い、アーム21や関節部22に所定の駆動力を与える部分である。
【0036】
即ち、使用者が操作ユニット5にて所定の操作を行うと、その操作に対応した駆動部26aが作動して、対応するアーム21や関節部22に操作に対応した大きさの駆動力を作用させる。すると、対応するアーム21が、使用者による操作に応じた方向に、関節部22を中心に回転、あるいは移動する。アーム21や関節部22がそのように作動すると、ロボットアーム2が、使用者による操作に応じた作動を行う。なお、以降において駆動部26aからの駆動力によって作動するアーム21、及び関節部22を総称して、「ロボットアーム2の作動部」あるいは「作動部20」とも記載する。なお、
図2においては、説明のために、例示として記載した一つの駆動部26aに対応するアーム21、及び関節部22を作動部20として記載し、他のアーム21、及び関節部22の記載は省略している。
【0037】
ロボットアーム2は、術具7の把持部71やリスト部74などに所定の作動を行うのに必要な力を与える複数の駆動部26bも備えている。この駆動部26bは、使用者の操作に従って物理的な運動を行い、術具7のアダプタ75の所定の箇所に駆動力を作用させて、把持部71などに使用者の操作に応じた作動を行わせる部分である。なお、
図2において、説明のため、一つの駆動部26bを例示として記載し、他の駆動部26bの記載は省略している。
【0038】
本実施形態では、駆動部26a及び駆動部26bが、公知の空気圧式のアクチュエータを備えたものである例に適用して以降の説明を行う。即ち駆動部26a及び駆動部26bが、図示されていない空気圧シリンダー、空気圧シリンダーに圧縮空気を供給する圧力発生装置、制御用電磁弁、及び空気圧シリンダーの動きを所定の箇所に伝達する公知の構造の力伝達機構等から構成されている例に適用して以降の説明を行う。
【0039】
駆動部26a,26bには、それぞれ変化情報取得部27a、27bが設けられている。変化情報取得部27a,27bは、公知の気圧センサであり、空気圧式のアクチュエータである駆動部26a,26bが作動する際のそれぞれの圧縮空気の圧力を測定するものである。
図2においては、説明のために例示として記載した駆動部26a,26bにそれぞれ対応する変化情報取得部27a,27bを例示として記載し、他の変化情報取得部27a,27bは省略している。
【0040】
なお以降において、駆動部26a,26bを総称して「駆動部26」と、変化情報取得部27a,27bを総称して「変化情報取得部27」とも記載する。
【0041】
<制御ユニット>
制御ユニット3は、主にロボットアーム2、及び操作ユニット5の制御を行う部分である。制御ユニット3は、駆動制御部31、反力設定部32、変換率設定部33、入力/受付部34入力/受付部34、及び記憶部35を主に備えている。
【0042】
本実施形態において、制御ユニット3は、専用のソフトウェアがインストールされた公知のコンピュータシステムである例に適用して説明を行う。即ち、専用のソフトウェアとハードウェアが協働して、駆動制御部31や反力設定部32などの各部の機能を実現している例に適用して以降の説明を行う。なお、制御ユニット3の各部が、それぞれの機能を発揮するように構成された専用のハードウェアから構成されていてもよい。
【0043】
駆動制御部31は、使用者の操作に応じて出力される操作ユニット5からの操作信号に従って、駆動部26を制御する部分である。反力設定部32は、位置操作部51a、及び把持操作部51bが作用を受ける力である、反力の大きさを設定する部分である。なお、位置操作部51a、把持操作部51b、及び反力については、その詳細を後述する。
【0044】
変換率設定部33は、反力の設定に用いられる変換係数を設定する部分である。入力/受付部34は、使用者が、詳細は後述する入力デバイス56を用いて入力した情報を受け付ける部分であり、入力デバイス56とのインターフェースでもある。入力/受付部34は、主に使用者が入力した変換係数を設定するための情報などを受け付ける部分である。また、入力/受付部34は、使用者に関する情報の入力や、処置の内容、あるいは患者に関する情報など、手術ロボット1によって行われる手術の内容に関する情報などの、その他の情報も受け付ける。なお入力/受付部34が、入力部の一例である。
【0045】
記憶部35は、ハードディスクやメモリなどの公知の記憶媒体であり、制御ユニット3による処理に必要なプログラムや、手術ロボット1の操作に必要な設定に関する情報などを記憶する部分である。
【0046】
<操作ユニット>
操作ユニット5は、使用者が操作を行う部分であり、モニタ55、第1の操作装置50R、第2の操作装置50L、及び入力デバイス56を主に備えている。
【0047】
なお、第1の操作装置50Rと第2の操作装置50Lの構成、及びその操作方法や制御は同一であるため、以降において、主に第1の操作装置50Rの説明を行い、第2の操作装置50Lの詳細な説明、及びその図の記載を省略する。また特に断りの無い限り、第1の操作装置50Rを「操作装置50」とも記載する。
【0048】
モニタ55は、操作に必要な設定を行う設定画面、患者の内視鏡画像、あるいはロボットアーム2及び術具7の状態や、その操作に必要な表示が行われる公知のモニタ装置である。なお、内視鏡画像は、患者の腹部などに穿刺された図示されていない他のトロッカーから患者の体腔内に挿入された図示されていない内視鏡から取得された患者の体腔内の画像である。なお、この内視鏡は、図示されていない他のロボットアームや、他の公知の内視鏡ホルダ、あるいは内視鏡保持装置によって保持されている。
【0049】
入力デバイス56は、図示されていないキーボードやマウス、あるいはタッチパネルやフットスイッチなどの公知の入力デバイスである。
【0050】
第1の操作装置50Rは、使用者が、第1のロボットアーム2Rと、第1の術具7Rの操作を行う操作装置である。換言すれば、第1の操作装置50Rは、第1のロボットアーム2Rと第1の術具7Rに、使用者の操作に応じた作動を行わせるための操作信号を出力する部分である。
【0051】
第2の操作装置50Lは、使用者が、第2のロボットアーム2Lと、第2の術具7Lの操作を行う操作装置である。換言すれば、第2の操作装置50Lは、第2のロボットアーム2Lと第2の術具7Lに、使用者の操作に応じた作動を行わせるための操作信号を出力する部分である。
【0052】
操作装置50は、位置操作部51aと把持操作部51bを備えている。位置操作部51aは、使用者が、術具7の先側の位置、より具体的には把持部71の位置を変更する際に、操作される部分である。即ち、位置操作部51aが操作されると、把持部71が、使用者による操作に応じた方向に移動するように、ロボットアーム2が制御される。
【0053】
把持操作部51bは、使用者が、術具7の把持部71に開閉する作動を行わせる際に操作される部分である。即ち、把持操作部51bが操作されると、把持部71に、使用者による操作に応じた開閉動作を行わせるように、ロボットアーム2が制御される。なお、位置操作部51a、あるいは把持操作部51bは、フットスイッチなどの入力デバイス56による切替操作によって、術具7のリスト部74などの他の部分の操作を行う際に用いられてもよい。
【0054】
本実施形態において位置操作部51aは、グリップ53aと図示されていない支持部52aを備えた操作デバイスである例に適用して以降の説明を行う。グリップ53aは、使用者が操作の際に保持して、所望の方向に移動させる部分である。支持部52aは、グリップ53aを、上下、前後、左右の任意の方向、即ち任意の三次元の方向に移動可能に支持する部分である(
図3(a)参照。)。即ち使用者は、所定の範囲において、グリップ53aを任意の三次元の方向に移動させることができる。なお、以降においてグリップ53aが移動する上下方向をY(軸)方向、左右方向をX(軸)方向、前後方向をZ(軸)方向とも記載する。なお、
図3(a)及び
図3(b)に示されているグリップ53aの形状は例示であって、これに限定される訳ではない。
【0055】
本実施形態では支持部52aが、グリップ53aを任意の三次元の方向に移動可能に支持する、リンク機構からなる図示されていない公知の支持機構である例に適用して以降の説明を行う。なお位置操作部51aは、任意の方向に移動する部分を備えた、ロボットアーム2の操作に適したものであれば、その他の公知の構成の操作デバイスであってもよい。
【0056】
また、本実施形態において把持操作部51bは、把持体53bと、把持体53bを回転可能に支持する支持体52bを備えた操作デバイスである例に適用して以降の説明を行う。把持体53bは、支持体52bに設けられたジョイント部53cにて、支持体52bに対して回転可能に支持されている(
図4(a)参照。)。なお、
図4(a)及び
図4(b)に示されている把持操作部51bの形状は例示であって、これに限定される訳ではない。
【0057】
なお把持操作部51bは、把持体53bと支持体52bが、使用者の親指と人差し指などで挟むように保持され、把持体53bを支持体52bに近づけたり離したりする操作が行われる。なお、把持操作部51bは、所定の方向に移動する部分を備えた把持部71の操作に適したものであれば、他の公知の構成からなる操作デバイスであってもよい。
【0058】
なお本実施形態において、グリップ53aの支持部52a側の部分、即ち使用者がグリップ53aを保持した際に使用者の指が配置される部分に、把持操作部51bが設けられている例に適用して説明を行う。なお、使用者が把持操作部51bの操作を行うことができる箇所であれば、上記とは異なる箇所に把持操作部51bが設けられていてもよい。
【0059】
以降の説明において、位置操作部51a、及び把持操作部51bを総称して、「操作部51」とも記載する。また、使用者の操作によってグリップ53aが移動する方向、あるいは把持体53bが移動する方向を、「操作部51の操作方向」、あるいは単に「操作方向」とも記載する。また、グリップ53aと把持体53bを総称して「可動部53」とも記載する。
【0060】
位置操作部51aには、グリップ53aの位置を検出するためのエンコーダなどの図示されていない複数のセンサが設けられている。即ち位置操作部51aは、使用者による操作によってグリップ53aが移動されると、そのグリップ53aの移動方向、及び移動距離に対応した操作信号を、駆動制御部31に出力する。
【0061】
また把持操作部51bは、支持体52bと把持体53bがなす角度や、その間の距離などを検出するエンコーダなどの公知のセンサが備えられている。このため、使用者が把持操作部51bを操作して、把持体53bの位置を変更すると、把持操作部51bは、把持体53bの移動に対応した操作信号を駆動制御部31に出力する。
【0062】
更に操作装置50は、グリップ53a、及び把持体53bの動きを制御する操作制御部54a,54bをそれぞれ備えている。操作制御部54a,54bは、反力設定部32が設定した反力を、位置操作部51a及び把持操作部51bにそれぞれ作用させ、グリップ53aや把持体53bの移動に必要となる力を制御する部分である。
【0063】
具体的には、操作制御部54aは、反力設定部32からの信号に基づく大きさの力を出力するアクチュエータと、そのアクチュエータの出力した力を、位置操作部51aの操作方向とは反対の向きにグリップ53aに作用させる公知の構造からなる力伝達機構から構成されている。同様に、操作制御部54bは、反力設定部32からの信号に基づく大きさの力を出力するアクチュエータと、そのアクチュエータの出力した力を、把持操作部51bの操作方向とは反対の向きに把持体53bに作用させる公知の構造からなる力伝達機構から構成されている。
【0064】
本実施形態では、操作制御部54a,54bは、空気圧式のアクチュエータと、リンクやワイヤ、プーリなどから構成された公知の力伝達機構から構成されている例に適用して説明を行う。なお、電動式のアクチュエータ(電動モータ)や他の公知のアクチュエータが用いられてもよい。また、リンク機構などの他の公知の構成からなる他の公知の力伝達機構が用いられたものであってもよい。なお、操作制御部54a,54bが、反力付与部の一例である。
【0065】
<反力について>
続いて、この操作制御部54a,54bが、位置操作部51a及び把持操作部51bに作用させる力である反力について説明を行う。
【0066】
手術ロボット1用いた手術では、使用者の操作に従って、手術ロボット1が作動し、所定の処置が行われる。この操作は、使用者が、可動部53を、所望の方向、及び所望の距離だけ移動させることによって行われる。そして、この操作に従って、ロボットアーム1や術具7が、その可動部53の移動方向や移動距離に対応した方向、及び距離だけ移動する。
【0067】
ここで、使用者がその操作のために可動部53に作用させるために必要となる力を「操作力」とすると、使用者が可動部53に作用させる力が操作力よりも大きな場合には、可動部53は操作方向に移動し、ロボットアーム2及び術具7は、可動部53の操作方向に応じた作動を行う。また、使用者が可動部53に作用させる力が、操作力未満の場合には、可動部53は移動せず、ロボットアーム2及び術具7は作動しない。
【0068】
ここで、術具等が患者の組織等に接触していない状態において、使用者が可動部を移動させるのに必要となる操作力を「移動時操作力」とすると、使用者が移動時操作力よりも僅かに大きな力を、可動部53に作用させている限り、ロボットアーム2や術具7が、その操作方向に対応した方向に作動する。換言すれば、例えば術具7が、すでに患者の組織に接触している状態であったとしても、使用者が、その操作を止めない限り、ロボットアーム2や術具7は、操作に応じた作動を継続する。ロボットアーム2や術具7などがそのような作動を行うと、術具7などが、その接触している患者の組織に対して力を作用させることになる。
【0069】
この作用させる力の大きさによっては、患者の組織に損傷を与えてしまり、患者に対して好ましくない影響を与えてしまったりする可能性がある。このため、本実施形態に係る手術ロボット1では、術具7の先側の部分などが、患者の組織等に力を作用させている場合には、その作用させている力の大きさを使用者に知覚させる機能を有している。即ち、操作制御部54a,54bが、術具7等が患者の組織等に作用させている力と対応した大きさの力を、操作部51の可動部53に、その操作方向とは逆向きの方向に作用させるように作動する。本実施形態では、操作制御部54a,54bが、可動部53に作用させる、この術具7等が患者の組織等に作用させている力と対応した大きさの力を「反力」とも記載する。換言すれば、駆動部26が出力する駆動力の増加に従って、操作制御部54a,54bが、可動部53に作用させる可動部53の操作方向とは逆向きの力を「反力」とも記載する。
【0070】
より具体的に説明を行うと、術具7が、他の部分と接触していない状態において、術具7を移動させたり、把持部71の開閉動作を行わせたりする場合には、駆動部26の一定の駆動力の出力によって、所定の作動が行われる(以降においてこの駆動力を「移動時駆動力」とも記載する。)。
【0071】
一方、術具7が患者と接触したり、あるいは把持部71を閉じて組織を把持する作動を行わせたりする場合には、駆動部26は、作動部20や作動部70にその作動を行わせるために、移動駆動力よりも大きな力を出力する必要がある(以降に於いて、この駆動力を「処置時駆動力」とも記載する。)。
【0072】
本実施形態に係る手術ロボット1では、駆動部26が処置時駆動力を出力している場合には、術具7が患者の組織等と接触している状態であるとみなし、反力を対応する可動部53に作用させる。具体的には、反力設定部32が、この駆動力の変化量と、変換率設定部33が設定した変換係数に基づいて反力の大きさを設定する。そして設定された大きさの力を、操作制御部54a,54bが、可動部53に作用させる。ここで変換係数は、反力の設定に用いられる係数であって、術具7等が患者の組織等に作用させている力と、反力の比に関する係数である。
【0073】
即ち使用者は、駆動部26が処置時駆動力を出力している場合には、その操作のために可動部53を移動させる際に、少なくとも移動時操作力よりも大きな力を可動部53に作用させなければならなくなる。このことによって使用者は、術具7が患者と接触していたり、あるいは把持部71が対象組織と接触して把持したりしていることを、操作部51の操作を行いながら知覚することができる。また、その術具7等が患者の組織等に作用させている力の大きさを知覚することができる。
【0074】
<2.制御の詳細>
続いて、手術ロボット1にて行われる制御について、主に
図5〜6を参照し、その操作方法に従って説明を行う。
【0075】
手術ロボット1に電源が入力され、所定の操作が行われると手術ロボット1が起動する。この際、入力/受付部34は、モニタ55に表示された所定の画面に従って使用者が入力した、使用者に関する情報(使用者情報)や、患者に関する情報、及び処置が行われる部位に関する情報などの情報の入力を受け付ける。
【0076】
更に使用者が所定の操作を行うと、モニタ55に設定画面60が表示される(
図5参照。)。この設定画面60は、第1の操作装置50Rに関する設定を行う第1の設定部61Rと、第2の操作装置50Lに関する設定を行う第2の設定部61Lが設けられている。
【0077】
この第1の設定部61R,及び第2の設定部61Lには、それぞれ位置操作部51a(グリップ53a)に付与される反力に関する移動変換係数を設定する移動変換係数設定部62R,62Lと、把持操作部51b(把持体53b)に付与される反力に関する把持変換係数を設定する把持変換係数設定部63R,63Lが設けられている。
【0078】
使用者が、入力デバイス56を操作して、移動変換係数設定部62R,62L、及び把持変換係数設定部63R,63Lに所望の変換係数を入力すると、入力/受付部34がその情報を受け付ける。そして、変換率設定部33が、入力/受付部34が受け付けた情報に基づいて、それぞれの変換係数を設定する(S10)。
【0079】
使用者が、操作装置50を操作すると、ロボットアーム2、術具7が操作に応じた作動を行う。使用者が、第1の操作装置50Rの操作を行う例に適用して説明を行うと、使用者が位置操作部51aを操作すると、位置操作部51aは、グリップ53aの移動方向、及び移動距離に対応した操作信号を駆動制御部31に出力する。
【0080】
そして、駆動制御部31は、操作信号に基づいて、対応する駆動部26aに、操作信号に従って把持部71を移動させるのに必要な移動駆動力を出力させる信号を出力する(S30)。即ち空気圧式のアクチュエータである駆動部26aの圧力を増加させて、所定の大きさの移動駆動力を出力させる信号を出力する。第1のロボットアーム2Rは、術具7や把持部71などの部分が、対象組織やその他の部分に接触するまでは、この移動駆動力を受けて操作に従った作動を行う。
【0081】
また、使用者が把持操作部51bを操作すると、把持操作部51bは、把持体53bの移動方向に応じた操作信号を駆動制御部31に出力する(S20)。そして、駆動制御部31は、対応する駆動部26bに操作信号に基づいて把持部71を作動させるのに必要な駆動力を出力させる信号を出力する(S30)。
【0082】
即ち空気圧式のアクチュエータである駆動部26bの圧力を増加させて、所定の大きさの移動時駆動力を出力させる信号を出力する。把持部71は、ジョー72a、及びジョー72bが対象組織と接触するまでは、駆動制御部31が出力する移動駆動力によって作動する。
【0083】
把持部71が移動して、対象組織と接触すると、ロボットアーム2を作動させるために、移動駆動力よりも大きな駆動力が必要となる。即ち駆動部26aは、ロボットアーム2に操作信号に基づいた作動を行わせるために、移動駆動力よりも大きな駆動力を出力する。即ち、図示されていない圧力発生装置から追加の圧縮空気が供給され、駆動部26aの圧力が増加する。
【0084】
あるいは、ジョー72a、及びジョー72bが対象組織と接触すると、把持動作を行うために、駆動部26bは、移動駆動力よりも大きな駆動力を出力する。即ち、図示されていない圧力発生装置から追加の圧縮空気が供給され、駆動部26bの圧力が増加する。
【0085】
反力設定部32は、変化情報取得部27a,27bからの情報に基づいて、駆動部26a、及び駆動部26bの圧力の変化を検出する(S40)。具体的に反力設定部32は、駆動部26a,26bの圧力が、移動駆動力を出力している際の駆動部26a、及び駆動部26bのそれぞれの圧力から増加する圧力の変化量を検出する。なお、この変化情報取得部27a,27bが検出する駆動部26a,26bの圧力の変化に関する情報が、変化情報の一例である。
【0086】
反力設定部32は、駆動部26a,26bの変化(増加)を検出すると、反力の設定処理を行う(S50)。具体的には、反力設定部32は、変化情報取得部27a,27bからの信号に基づいて、駆動部26a,26bの圧力の変化量を算出する。そして、この算出した変化量に変換率設定部33が設定した変換係数を乗じた値を反力として設定する。
【0087】
ここで、駆動部26a,26bの圧力の変化量の変化量としてΔPa、ΔPbがそれぞれ取得され、移動変換係数としてk1、把持変換係数としてk2が設定されている例に適用して具体的に説明を行う。この場合に反力設定部32は、位置操作部51a(グリップ53a)に作用させる反力(「F
1」とも記載する。)として、ΔPaにk1を乗じた値を設定する。また、反力設定部32は、把持操作部51b(把持体53b)に作用させる反力(「F
2」とも記載する。)として、ΔPbにk2を乗じた値を設定する。
【0088】
反力設定部32は、対応する操作制御部54a,54bに設定した大きさの反力を出力させる信号を出力する(S60)。操作制御部54a,54bは、反力設定部32からの信号を受信すると、設定された大きさの反力を、それぞれの操作方向とは反対の方向に、グリップ53a、及び把持体53bに作用させる。
【0089】
具体的に説明を行うと、操作制御部54aが、グリップ53aに、設定された反力(F
1)をその操作方向とは逆向きの方向に作用させる(
図3(b)参照。)。また、操作制御部54bが、把持体53bに、設定された反力(F
2)をその操作方向とは逆向きの方向に作用させる。(
図4(b)参照。)。
【0090】
使用者によって、把持部71と対象組織との接触が離れる方向に把持部71を移動する操作が行われると、駆動制御部31は、対応する駆動部26aに対して、出力していた駆動力を停止させる制御を行う。即ち、駆動部26aの圧力を低下させる制御を行う。
【0091】
あるいは、使用者によって、把持部71を開き、把持していた対象組織を離す操作が行われると、駆動制御部31は、対応する駆動部26bに対して、出力していた駆動力を停止させる制御を行う。即ち、駆動部26bの圧力を低下させる制御を行う。そして操作制御部54a,54bは、操作反力の出力を停止する。
【0092】
上記の操作が繰り返されて、処置が終了すると、使用者による所定の操作に従って処理が終了する。
【0093】
上記の実施形態に係る手術ロボット1によれば、使用者による位置操作部51aの操作に従って、駆動部26aから供給された駆動力の増加量(駆動部26aの圧力の増加量)に対応した大きさの反力が、グリップ53aに作用される。また、使用者による把持操作部51bの操作に従って、把持部71に、駆動部26bから供給された駆動力の増加量(駆動部の圧力の増加量)に対応した大きさの反力が、把持体53bに作用される。
【0094】
このため、使用者は、その操作によって対象部位の組織等が受ける力の大きさを、手術ロボットの操作を行いながら的確に知ることができる。換言すれば、対象部位の組織等が受ける力の大きさを、操作を行う自身の手を介して知覚することができる。このため、術部7等が患者の組織等に作用させている力の大きさを考慮した操作を行うことができ、処置を行う対象組織の部位や、その組織の状態に応じた処置を適切に行うことができる。
【0095】
また、空気圧式のアクチュエータの空気圧の変化量(増加量)に基づいて反力の大きさを設定しているため、より正確な反力を設定することができる。このため使用者は、操作によって対象部位の組織等が受ける力の大きさを、より正確に知ることができる。換言すれば、対象部位の組織等が受ける力の大きさを、操作を行う自身の手を介してより正確に知覚することができる。また駆動部に空気圧式のアクチュエータが用いられていることから、より柔軟性のある作動を行う手術ロボットとすることができる。
【0096】
また、この反力の設定に用いられる変換係数は、使用者によって任意に設定することができる。このため使用者は、例えば処置の内容や、処置が行われる部位などに応じて、反力の大きさ、即ち、対象部位の組織が受ける力の知覚のしやすさを、任意に設定することができる。例えば、僅かな力が作用するだけで損傷を受けてしまうおそれのあるような組織のある部分の処置を行う場合には、使用者は、変換係数を大きな値に設定して、より反力を知覚しやすい設定とすることができる。あるいは、作用させる力によって影響を受ける組織のない部分の処置を行う場合や、グリップ53aや把持体53bに反力が作用されると操作が行いにくくなる場合には、使用者は、変換係数を小さな値に設定して、小さな大きさの反力に設定にすることもできる。即ち、処置の内容に応じて適した感度で反力を設定することができる。このため、処置を行う対象組織の部位や、その組織の状態に適した処置を行うことができ、更には処置の内容に応じた作業が行い易い手術ロボットとすることができる。
【0097】
更にこの変換係数は、第1の操作装置50R、及び第2の操作装置50Lごと、更にはそれぞれの位置操作部51a、及び把持操作部51bごとに独立して設定することができる。このため、処置を行う対象組織の部位や、その組織の状態、及び処置の内容に従って、柔軟にその設定を行うことができる。また、例えば使用者が、右手で第1の操作装置50Rの操作を行い、左手で第2の操作装置50Lで操作を行う場合などに、右手の反力が大きくなるように設定し、左の反力が小さくなるように設定したり、あるいはその逆に設定したりすることができる。このため、例えば使用者の利き手の反力を大きくしたりするなど、使用者の好みやその使用感、あるいはその使用状況に応じた設定を行うことができる。
【0098】
あるいは、例えば第2のロボットアーム2Lにて対象組織を把持し、第1のロボットアーム2Rにて縫合針を把持して縫合の処置などを行う場合に、使用者は、組織を把持する側の術具7を操作する把持操作部51bからは、その把持部71が作用している力をより正確に知覚する必要がある。一方、使用者は、縫合針を保持する把持部71の操作を把持操作部51bからは、反力を知覚する必要性がない可能性がある。このような場合に、例えば第2の操作装置50Lの把持操作部51bの変換係数の値を大きくし、第1の操作装置50Rの把持操作部51bの変換係数の値を小さくするといった設定を行うこともできる。即ち、処置の目的やその内容、あるいは使用者の使用感などに応じた設定をおこなうことができる。
【0099】
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態について主に
図7から
図8を参照しながら説明する。
本実施形態に係る手術ロボット1Aの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、反力の大きさを、外力検知部28からの信号も考慮して設定する点が相違する。
【0100】
よって、本実施形態においては、
図7及び
図8を用いて主に相違点について説明をおこない、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0101】
本実施形態に係る手術ロボット1Aのロボットアーム2Aは、術具7のシャフト73に外部から加えられる外力を検知する外力検知部28を備えている(
図7、
図8参照)。ここで外力とは、術具7の一部が、術具7以外の部分と接触することによりシャフト73に及ぼされる力をいう。なお本実施形態では、外力検知部28が、接続部25とアダプタ75の間の領域に配置されている例に適用して説明を行うが、他の部分に配置されていてもよい。
【0102】
即ち外力は、例えばシャフト73がトロッカー8などと接触したり、あるいはシャフト73の先側の部分などが、患者の組織などと接触したりすることでシャフト73が受ける力のことをいう。あるいは術具7のその他の部分が、トロッカー8や患者の組織やその他の部分と接触することでシャフト73が受ける力のことをいう。
【0103】
外力検知部28は、加えられている力の大きさ、及びその向きを検知可能な公知の力覚センサである。外力検知部28としては、力とトルクの大きさを検出するフォーストルクセンサなどが利用可能であるが、シャフト73に加えられている外力を検出可能なセンサであれば、他の公知のセンサが用いられてもよい。
【0104】
本実施形態に係る反力設定部32Aは、変化情報取得部27a,27bからの情報と、変換率設定部33が設定した変換係数、更に外力検知部28からの検知信号に基づいて、反力を設定する機能を有している。即ち、反力設定部32Aは、変化情報取得部27a,27bから取得される駆動部26a,26bの圧力の変化量に関する情報と、外力検知部28からの外力に関する情報に基づいて反力を設定する。
【0105】
具体的には、反力設定部32Aは、駆動部26a,26bの圧力の変化量に関する情報に基づいて取得される力の大きさ(F
3)と、外力検知部28から取得された外力に関する情報から求められる外力の操作方向に対応した向きの力の大きさ(F
4)を取得する。そして、取得された二つ力を加えた値(F
3+F
4)に、変換係数を乗じた値を反力として設定する。なお、反力設定部32Aは、それぞれの力(F
3及びF
4)に対してそれぞれ異なる変換係数を乗じた値を反力として設定してもよい。あるいは、駆動部26a,26bの圧力の変化量に関する情報、外力検知部28からの外力に関する情報、及び変換係数に基づいた、その他の公知の方法によって反力を設定してもよい。
【0106】
反力設定部32Aは、設定した反力を操作制御部54a,54bに出力させる信号を出力し、操作制御部54a,54bが、グリップ53a、及び把持体53bに対応する反力をそれぞれ作用させる。
【0107】
上記の構成からなる手術ロボット1Aによれば、反力設定部32Aが、外力検知部28からの情報も加味して、反力を設定する。このため使用者は、その操作によって対象部位の組織が受ける力、換言すれば術具7等が患者の組織等に作用させている力の大きさをより正確に知ることができる。
【0108】
また、操作を行う際に、例えば術具7のシャフト73などが、トロッカー8などの部分と接触するなどして、意図せずに患者に力を作用させてしまっている場合も、使用者はその状態を、操作を行いながら知覚することができる。あるいは術具7のその他の部分が、患者の部分と接触して、意図せずに患者に力を作用させている場合や、シャフト73に、駆動部26a,26bの圧力の変化量のから算出することができないその他の力が作用されている場合も、使用者は操作を行いながらその状態を知覚することができる。
【0109】
即ち使用者は、シャフト73に作用されている力をより正確に知覚することができるため、対象組織や患者が受けている力の大きさをより正確に知覚することができる。このため、処置を行う対象組織の部位や、その組織の状態に応じた適切な処置を行うことが可能な手術ロボットとすることができる。また、意図せずに術具7の先側の部分以外の部分などが患者と接触してしまった際に、そのような不要な接触を迅速に知覚して、回避する操作を行うことも可能となる。
【0110】
なお、本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記の実施の形態においては、駆動部26が、空気圧式のアクチュエータから構成される例に適用して説明を行ったが、電動式のアクチュエータ(電動モータ)が用いられた構成としてもよい。そして、変化情報取得部27a,27bとして、電動モータに供給される電力(電流)を検出する電力センサ(電流計等)が用いられてもよい。そして反力設定部32が、駆動部26が出力した駆動力の変化量(増加量)を、駆動部26に供給された電力の変化量(増加量)から算出し、その値から反力を設定する構成としてもよい。
【0111】
また外力検知部28が、術具7のシャフト73以外の部分に作用される力を検出するように配置された構成としてもよい。あるいは、ロボットアーム2の所定の箇所に作用される力を検出するように外力検知部28を更に設けた構成としてもよい。このようにすれば、例えばロボットアーム2や術具7のその他の部分が患者などと接触して、患者などに不要な力を作用させている場合において、使用者がその状態を知ることができる。
【0112】
上記実施形態では、術具7が鉗子である例に適用して説明を行ったがこれに限定される訳ではない。術具7は、例えば電気メスやステープラ、あるいはその他の内視鏡下外科手術に用いられる器具が、シャフト73の先側に設けられたものであってもよい。
【0113】
上記実施形態では、手術ロボット1が、内視鏡下外科手術に使用される例に適用して説明を行ったが、これに限定される訳ではない。例えば、手術ロボット1が脳神経外科手術や循環器系の手術など、その他の領域の外科手術、あるいは患者の治療に用いられてもよい。
【0114】
また、例えば手術ロボット1が使用される手術の分野やその部位ごとに、対応する変換係数を予め設定しておき、記憶部35に、それらの組み合わせを記憶させておいてもよい。そして変換率設定部33が、入力/受付部34が受け付けた手術の分野やその部位に関する情報に基づいて記憶部35を参照し、対応する変換係数を取得して反力の設定に用いられる変換係数として設定する様にしてもよい。そのようにすれば、例えば手術が行われる部位や手術の分野を選択するだけで、部位や手術の分野に適した変換係数を設定することができるため、変換係数の設定が容易な手術ロボットとすることができる。
【0115】
あるいは使用者ごとに変換係数を設定しておき、使用者に関する情報(使用者情報)と予め設定された変換係数の組み合わせを記憶部35に記憶させておいてもよい。そして、そして変換率設定部33が、入力/受付部34が受け付けた使用者情報に基づいて記憶部35を参照し、対応する変換係数を取得して反力の設定に用いられる変換係数として設定する様にしてもよい。このようにすれば、使用者が自身の情報を入力するだけで、使用者に適した変換係数が設定されるため、変換係数の設定が容易な手術ロボットとすることができる。
【0116】
例えば、上記の実施形態に適用したものに限られることなく、これらの実施形態を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定するものではない。
【解決手段】操作ユニット5と、操作に応じた作動を行う作動部20と、駆動力を供給する駆動部と、使用者による操作部の操作方向と反対の向きの力である反力の大きさを設定する反力設定部と、反力設定部が設定した大きさの反力を、操作部に与える反力付与部を備え、反力設定部は、作動部が使用者による操作に応じた作動を行う際に、駆動部が供給した駆動力の変化に関する変化情報と、予め設定された変換係数とに基づいて反力を設定する手術ロボット1。