(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[地山補強用鋼管]
本発明の地山補強用鋼管の実施形態を説明する。
【0012】
<第1実施形態>
地山補強用鋼管10は、
図1(A)に示すようにその周方向に沿う切断用の溝部2を有しており、溝部2にリング状部材3(以下、「リング3」という)が配置されている。
【0013】
溝部2の断面形状は、特に限定されないが、例えば
図1(B)に示すように、四角形である。溝部2の深さt1は、鋼管の肉厚Tに対して20%〜70%であることが好ましい。また、溝部2の幅は、リング3が配置可能な程度の大きさを有しており、1mm〜10mm程度である。溝部2の断面形状は四角形に限られず、例えば
図2(A)〜(B)に示すように、V字形、U字形を有していてもよい。また溝部2の断面形状は、上述した形状を組み合わせた形状を有していてもよく、例えば
図2(C)に示すように、四角形の溝の底部にV字形の溝が形成された形状であってもよい。
【0014】
リング3は溝部2の底部と少なくとも1点で接している。リング3の断面形状については、特段の制約はないが、溝部2の幅に合わせて、できるだけ大きくした方が打撃を受けた地山補強用鋼管10がより分離しやすくなるため好ましい。具体的には、リング3の断面形状は、溝部2と同様に四角形でもよいし、
図2(A)〜(C)に示すように、三角形、円形、楕円形、など種々の形状であってよい。
【0015】
図1(B)に示すように、リング3の幅は溝部2の幅よりわずかに狭く、溝部2の幅の70%以上であることが好ましい。リング3の溝部2の深さ方向の寸法t2は、溝部2の深さt1以下であることが好ましい。これにより、リング3は、鋼管10の外周端から突出しないように配置されるので、地山補強用鋼管10の周表面に凹凸がなく、リング3が溝部2に配置されている状態で地山補強用鋼管を地山に円滑に挿入することができる。
【0016】
リング3を構成する材料は、鋼鉄、ステンレス、高強度の樹脂などであるが、これらに限定されるものではない。リング3は、線材を地山補強用鋼管10の溝部2に巻きつけることにより溝部2内に配置してもよいし、
図1(C)に示すようにもともとリング状を有するものを、溝部2にはめてもよい。
【0017】
リング3の剛性は、地山補強用鋼管10の本体を構成する材料の剛性と同じかそれ以上である。これにより、地山補強用鋼管10の切断時に打撃が加わってもリング3自体の変形を防ぐことができるため、地山補強用鋼管10がより分離しやすくなる。
【0018】
リング3は、溝部2の全周に渡って配置されていなくてもよく、溝部2のうち、地山補強用鋼管10を切断する際に打撃Dが加わる部分に最も近い部分に対して鋼管の径方向の反対側に少なくとも配置されていればよい。具体的には、リング3は、溝部2の一周を360度とするとき、溝部2の200度以上360度以下の範囲に配置されていることが好ましい。
【0019】
地山補強用鋼管10に打撃Dを与えると、
図1(D)に示すように、打撃Dを受けた部分の反対側では溝部2が収縮して溝部2の側面とリング3とが接し、リング3と溝部2の側面に接する部分がテコの原理の支点となるため、矢印y1方向に力が加わって地山補強用鋼管10が分離する。
【0020】
このように本実施形態の地山補強用鋼管は、打撃を受けた箇所の反対側においてリングがテコの原理の支点として作用するため、容易に分離可能である。これにより、地山補強用鋼管の除去作業にかかる時間と負担を軽減することができる。また地山補強用鋼管が変形せずに分離されるため、分離した地山補強用鋼管を再利用することができる。
【0021】
以上、第1実施形態の地山補強用鋼管の基本的な構造を説明した。以下では、さらに具体的な構造を説明する。
【0022】
本実施形態の地山補強用鋼管10は、
図3に示すように、接続部を介して連結された複数の鋼管から構成されており、各鋼管に複数の溝部が形成され、各溝部にリングが配置されている。図示する例では、地山補強用鋼管10は、4本の鋼管101〜104が接続部4を介して接続されている。
【0023】
以下の説明では、地山に挿入する側を先頭の鋼管101とし、その反対側で、挿入後に掘削する際に最初に露出する側を端末の鋼管104とする。鋼管101〜104には、それぞれ4つの溝部2が所定の間隔で設けられており、各溝部2にはリング3が配置されている。溝部2およびリング3の構成は上述した構成と同様である。
【0024】
以下、接続部4の構成について、鋼管101〜104の構成が同じであるため、鋼管101を用いて説明する。
図3(B)に示すように、鋼管101の一端側の内周には雌ねじ部4Aが形成されており、他端側の外周には雄ねじ部4Bが形成されている。鋼管101の雄ねじ部4B側の径は他の部分よりも小さくなっており、雄ねじ部4Bが隣の鋼管102の雌ねじ部4A内で螺合することにより、鋼管101と鋼管102が接続する。
【0025】
この構成によれば、接続部4により、掘削の深さに応じて必要なだけ鋼管を接続することができる。また溝部とリングが地山補強用鋼管の全体に渡って配置されているため、掘削の進度に応じて鋼管をこまめに分離することができる。
【0026】
<変形例1>
図3の地山補強用鋼管10は、複数の地山補強用鋼管10の全部に溝部2とリング3を設けた構成としたが、地山補強用鋼管10が複数の鋼管から構成されている場合、溝部2およびリング3は、複数の鋼管のうちの少なくとも1本の、1箇所以上に設けられていればよい。例えば溝部2とリング3は、
図4(A)に示すように、地山補強用鋼管10の挿入後に地山を掘削した際に初めに露出する端末側の鋼管104にだけ配置されていてもよい。
【0027】
<変形例2>
図4(B)に示すように、各鋼管には、軸方向にのびるスリット5が設けられていてもよい。スリット5は鋼管の軸心を挟んで径方向に対向する位置に配置されており、鋼管の長手方向に隣り合うスリット5同士は、互いに90度ずれて重ならないように配置されていることが好ましい。またスリット5は少なくとも隣り合う溝部2をつなぐ長さとなっている。
【0028】
挿入後に地山を掘削した際に、露出した鋼管のスリット5に力を加えると、鋼管を軸方向に2分割することができる。そのため、鋼管内に固結剤が固着あるいは付着していても、固結剤と鋼管とを用意に分離することができる。固結剤から鋼管を分離することにより、分離した鋼管を再利用することができる。
【0029】
各スリット5は、その端部がわずかに溝部2を超えるような長さを有していると、鋼管を確実に2分離することができるため、より好ましい。スリットの数は、径方向の対向する位置に設けられた2つずつに限らず、鋼管を軸方向に分割することができれば、2以上配置されていてもよい。また鋼管のうち、固結剤を注入しない領域にはスリット5を配置しないようにしてもよい。
【0030】
スリット5を配置することにより、鋼管に注入された固結剤を地山に均等に流出させることができる。地山補強用鋼管10にスリット5を設ける代わりに、鋼管内の固結剤を地山に向けて流出させるために、鋼管の半径方向に貫通する吐出孔51(
図4(A)参照)を設けてもよい。
【0031】
<変形例3>
溝部2およびリング3は、
図4(C)に示すように、接続部4に設けられていてもよい。このとき、溝部2は隣り合う鋼管のうち、接続部4で外周側に配置される鋼管側に設けられている。
【0032】
鋼管101〜104の構成はそれぞれ異なっていてもよい。鋼管101の先端に雌ねじ部4Aは設けられていなくてもよいし、鋼管104の末端に雄ねじ部4Bは設けられていなくてもよい。また、隣り合う鋼管をつなぐ接続部4の構成は上述したような構成に限られず、隣り合う鋼管は溶接により接続されるなどであってもよい。
【0033】
以下、第1実施形態の地山補強用鋼管10が打撃を受けた際に容易に切断されることを確かめるために発明者らが行った、曲げ試験について説明する。
【0034】
[鋼管の用意]
実施例1〜3及び比較例1の地山補強用鋼管として、外径114.3mm、厚さ3.5mmの鋼管を用意した。各鋼管の溝部の断面形状は四角形とし、その幅は3.5mmとした。このような鋼管について、溝の深さの異なるものを複数用意した。実施例1〜3の鋼管の溝にはそれぞれ断面形状又はサイズの異なるリングを配置し、比較例1の鋼管には、リングを配置しなかった。実施例1の地山補強用鋼管には、断面形状が円形でその径が2.6mmのリングを配置した。実施例2の地山補強用鋼管には、断面形状が円形でその径が3.2mmのリングを配置した。実施例3の地山補強用鋼管には、3.4mm四方の四角形の断面を有するリングを配置した。
【0035】
[曲げ試験の試験方法]
実施例1〜3および比較例1の地山補強用鋼管について、アムスラー型万能試験機を用い、試験機テーブルに地山補強用鋼管の片端を固定し、他端を押し治具により押すことで荷重をかけ、破断時の荷重(kN)を測定した。さらに実施例1、2、比較例1の地山補強用鋼管については、それぞれ溝部の深さを変えて、破断時の荷重がどのように変わるかを測定した。
【0036】
[結果]
図5に示すグラフの横軸は、鋼管の厚さから溝部の深さを引いた残肉厚さ(mm)を示している。このグラフの縦軸は、押込みを受けて鋼管が切断された際の破断荷重(kN)を示している。このグラフ中の点線は、比較例1の地山補強用鋼管の各残肉厚さにおける破断荷重値の近似直線である。
【0037】
このグラフに示すように、残肉厚さが1.3mmのとき、実施例1、2の地山補強用鋼管は、比較例1の地山補強用鋼管と比べて小さな力で破断することがわかった。また、残肉厚さが1.17mmのとき、実施例3の地山補強用鋼管は、比較例1の地山補強用鋼管と比べて小さな力で鋼管が破断することがわかった。その他の残肉厚さにおいても、実施例1〜3の地山補強用鋼管は、比較例1の地山補強用鋼管と比べて小さな力で鋼管が破断することがわかった。この結果から、溝部にリングが配置されている第1実施形態の地山補強用鋼管は、溝部にリングが配置されていない地山補強用鋼管よりも、小さな力で切断可能であることがわかった。
【0038】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態の地山補強用鋼管10Bについて、第1実施形態の地山補強用鋼管10と異なる点を説明する。地山補強用鋼管10Bは、
図6に示すように、溝部2の底部に溝部2の深さ方向の切欠部6が形成されていることが特徴である。溝部2の形状及び深さは第1実施形態と同様である。
【0039】
切欠部6は、溝部2の底部の概ね中央部の、地山補強用鋼管10の軸方向に直交する方向(すなわち、溝部2に沿って)に形成される。切欠部6の深さt3は、限定されるものではないが、
図6(B)に示すように、溝部2の深さt1の1%〜20%の深さであることが好ましい。このように切欠部6は、溝部2の底部に地山補強用鋼管10の肉厚に影響を与えない程度に形成されるものであり、
図2(B)や
図2(C)に示したようなV字形の溝部とは異なっている。
【0040】
切欠部6は、溝部2の全周に渡って設けられていることが好ましいが、溝部2の少なくとも240度以上360度以下の範囲に設けられていればよい。切欠部6は、1つの溝部2に対して複数設けられていてもよいし、1つの溝部2内で不連続に切り欠かれていてもよい。
【0041】
地山補強用鋼管10Bに打撃Dを与えると、
図6(C)に示すように、切欠部6の打撃Dが加わった部分から最も近い部分に引張力が働き、矢印y2方向に力が加わって地山補強用鋼管10Bが分離する。
【0042】
このように第2実施形態の地山補強用鋼管は、打撃をうけると切欠部に引張力が働くため、容易に分離可能である。そのため、地山補強用鋼管の除去作業にかかる時間と負担を軽減することができる。また地山補強用鋼管が変形せずに分離されるため、分離した地山補強用鋼管を再利用することができる。
【0043】
以下、第2実施形態の地山補強用鋼管10Bが打撃を受けた際に容易に切断されることを確かめるために発明者らが行った、曲げ試験について説明する。
【0044】
[鋼管の用意]
実施例4の地山補強用鋼管として、第2実施形態の地山補強用鋼管を用意した。実施例4の地山補強用鋼管の外径は114.3mm、厚さは3.5mmとした。実施例4の地山補強用鋼管の溝部の形状は四角形とし、その幅は3.0mmとした。実施例4の鋼管の溝の底部には深さ0.2mmの切欠部を形成した。実施例4の鋼管の溝にはリングを配置しなかった。このような実施例4の地山補強用鋼管と、上述した比較例1の地山補強用鋼管について、溝部の深さを変えたものをそれぞれ複数用意した。
【0045】
[曲げ試験の試験方法]
実施例4および比較例1の地山補強用鋼管について、アムスラー型万能試験機を用い、試験機テーブルに地山補強用鋼管の片端を固定し、他端を押し治具により押すことで荷重をかけ、破断時の荷重(kN)を測定した。
【0046】
[結果]
図7に示すように、実施例4の地山補強用鋼管は、どの残肉厚さであっても、比較例1の地山補強用鋼管と比べて小さな力で鋼管が破断することがわかった。この結果により、溝部に切り欠きが設けられている第2実施形態の地山補強用鋼管は、溝部に切り欠きが設けられていない地山補強用鋼管よりも、小さな力で切断可能であることがわかった。
【0047】
<第3実施形態>
第3実施形態の地山補強用鋼管10Cは、
図8(A)に示すように、溝部2の底部に切欠部6が形成されていると共に、溝部2にリング3が配置されていることが特徴である。
【0048】
リング3の構成及び作用は第1実施形態で説明したリング3の構成及び作用と同じであり、切欠部6の構成及び作用は第2実施形態で説明した切欠部6の構成及び作用と同じである。
【0049】
地山補強用鋼管10Cには、溝部2に、リング3と切欠部6が両方とも設けられているため、
図8(B)に示すように、鋼管の打撃Dを受けた部分の反対側でリング3と溝部2の側面に接する部分がテコの原理の支点となって矢印y1方向に力が加わるとともに、切欠部6の打撃Dが加わった部分から最も近い部分に引張力が矢印y2方向に働く。これにより、地山補強用鋼管10Cはより容易に分離可能である。
【0050】
以下、第3実施形態の地山補強用鋼管10Cが打撃を受けた際に容易に切断されることを確かめるために発明者らが行った、曲げ試験について説明する。
【0051】
[鋼管の用意]
実施例5の地山補強用鋼管として、第3実施形態の地山補強用鋼管を用意した。実施例5の地山補強用鋼管の外径は114.3mmとし、厚さは3.5mmとした。実施例5の地山補強用鋼管の溝部の形状は四角形とし、その幅は3.0mmとした。実施例5の地山補強用鋼管の溝部の底部には、深さ0.2mmの切欠部を形成した。実施例5の地山補強用鋼管の溝には、断面が2.5mm四方の四角形のリングを配置した。このような実施例5の地山補強用鋼管と、比較例1の地山補強用鋼管について、溝部の深さを変えたものをそれぞれ複数用意した。
【0052】
[曲げ試験の試験方法]
実施例5および比較例1の地山補強用鋼管について、アムスラー型万能試験機を用い、試験機テーブルに地山補強用鋼管の片端を固定し、他端を押し治具により押すことで荷重をかけ、破断時の荷重(kN)を測定した。
【0053】
[結果]
図9に示すように、実施例5の地山補強用鋼管は、どの残肉厚さであっても、比較例1の地山補強用鋼管と比べて小さな力で鋼管が破断することがわかった。この結果により、溝部に切り欠きが設けられており、かつ、溝部にリングが設けられている第3実施形態の地山補強用鋼管は、溝部に切り欠きもリングも設けられていない地山補強用鋼管よりも、小さな力で切断可能であることがわかった。
【0054】
上述した実施形態および変形例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせ可能であり、本発明に含まれる。
【0055】
[地山補強方法]
次に、本発明の地山補強用鋼管を用いてトンネルを掘削する際の地山補強方法について説明する。ここでは、溝部にリングが配置されている第1実施形態の地山補強用鋼管を用いた場合について例示する。
【0056】
(工程1)
地山Gに地山補強用鋼管10を
図10(A)に示すように、矢印Y方向に挿入して、地山補強用鋼管10内に固結剤を注入する。地山Gに地山補強用鋼管10を挿入する方法には、公知の方法を用いることができる。地山補強用鋼管10に固結剤流出用の吐出孔51が設けられている場合、注入された固結剤は鋼管の半径方向に貫通する吐出孔51から地山に流出する。あるいは、スリット5(
図4(B))が地山補強用鋼管10に設けられている場合、固結剤はスリット5から地山に流出する。このように注入された固結剤は、地山補強用鋼管10の内外で固化し、地山が補強される。
【0057】
(工程2)
地山Gを
図10(B)に示すように、掘削機Eを用いて掘削する。掘削時には鋼管の周囲の土を除去することで端末側の鋼管104から露出していく。
【0058】
(工程3)
掘削により溝部2が露出したら、
図10(C)に示すように、露出した溝部2よりも端末側にブレーカなどで打撃Dを与えると、溝部2の部分で地山補強用鋼管10が切断される。具体的には、溝部2にリング3が配置されているため、打撃Dを受けた部分の反対側で溝部2が収縮して溝部2の側面とリング3とが接し、リング3と溝部2の側面に接する部分がテコの原理の支点となり、矢印y1方向に力が加わって地山補強用鋼管10が分離する。
【0059】
このように、本地山補強方法では、打撃を受けた箇所の反対側においてリングがテコの原理の支点として作用するため、地山補強用鋼管が容易に分離可能である。これにより、地山補強用鋼管の除去作業にかかる時間と負担を軽減することができる。また地山補強用鋼管が変形せずに分離されるため、分離した地山補強用鋼管を再利用することができる。
【0060】
地山補強用鋼管10に、
図4(B)に示すようにスリット5が設けられている場合、工程3で打撃Dを与えて地山補強用鋼管10を分離した後、スリット5を押し開くように地山補強用鋼管10を押圧すると、地山補強用鋼管10が軸方向に分割される。これにより、固結剤と地山補強用鋼管10が分離するため、地山補強用鋼管10を再利用することができる。
【0061】
なお、地山挿入時にはリング3が溝部2に配置されていない地山補強用鋼管を用いてもよい。この場合、溝部2にリング3を配置する工程が、固結剤を注入し地山を掘削した後に行われ、リング3は、地山の外側に位置する切断用の溝部2に対して配置される。地山に地山補強用鋼管を挿入した後にリング3を配置する場合であっても、地山に地山補強用鋼管を挿入する前にリング3を配置する場合と同様に、打撃を受けた箇所の反対側においてリングがテコの原理の支点として作用するため、地山補強用鋼管が容易に分離可能である。
【0062】
なお、溝部2にリング3を配置する場合の地山の補強方法を説明したが、溝部2に切欠部6が設けられている場合、リング3の装着は任意である。溝部2に切欠部6が設けられている場合、打撃Dを地山補強用鋼管に加えると、切欠部6の打撃Dが加わった部分から最も近い部分に引張力が働き、地山補強用鋼管10が分離する。また、溝部2にリング3と切欠部6が両方設けられている場合、打撃Dを地山補強用鋼管に加えると、リング3によるテコの力と、切欠部6による引張力がともに作用し、地山補強用鋼管10が分離する。
【0063】
以上のように地山補強用鋼管10は、本発明の地山補強方法により、打撃を受けた際のリング3によるテコの作用又は切欠部6による引張力の作用のために、容易に分離可能である。