(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の押付け部材が、横断面が円形の突起形状に形成されているとともに、前記第2の押付け部材が、前記第1の押付け部材を囲う円環状の突起形状に形成されている、請求項4に記載の筋収縮検出センサ。
無負荷状態における前記第1の押付け部材の前記基板からの突出高さが、無負荷状態における前記第2の押付け部材の前記基板からの突出高さよりも高い、請求項1〜7の何れか1項に記載の筋収縮検出センサ。
前記第1の反力検出部が前記基板と前記第1の押付け部材との間に設けられ、前記第2の反力検出部が前記基板と前記第2の押付け部材との間に設けられている、請求項1〜8の何れか1項に記載の筋収縮検出センサ。
前記基板に、前記第1の反力検出部及び前記第2の反力検出部から入力される検出信号を増幅して出力する増幅回路が内蔵されている、請求項1〜9の何れか1項に記載の筋収縮検出センサ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に例示説明する。
【0020】
図1、
図2に示す本発明の一実施の形態である筋収縮検出センサ1は、人体の腕や脚、胴体などの部位に取り付けられて当該部位における筋肉の収縮を検出するものである。この筋収縮検出センサ1は、例えば、医療分野や福祉分野等において用いられるパワーアシストスーツや電動式パワーグローブ等の人体着用型の動作支援装置の入力用のマンマシンインターフェースとして、用いることができる。
【0021】
なお、筋収縮検出センサ1は、上記した動作支援装置のマンマシンインターフェースに限らず、筋肉の収縮を検出することを要する種々の用途に用いることもできる。
【0022】
筋収縮検出センサ1は基板2を有している。基板2は、検出対象となる筋肉に対向するように配置され、伸縮性ベルト等を用いて当該筋肉に向けて付勢された状態で人体に固定される。
【0023】
基板2は、筋収縮検出センサ1の検出対象となる筋肉の筋幅(伸縮方向に垂直な方向の幅)に対応した直径を有する円板状に形成されるのが好ましい。本実施の形態においては、基板2の直径は32mmとなっている。また、基板2は、例えばエンジニアリング・プラスチックなどの合成樹脂材料や真ちゅう(黄銅)等の金属材料により形成することができ、使用時に過度の変形が生じない程度の剛性を有するものとするのが好ましい。
【0024】
なお、基板2の直径は検出対象となる筋肉に応じて種々変更可能である。また、基板2の形状も、円板状に限らず、例えば矩形板状など種々変更可能である。
【0025】
基板2の
図1中上側となる上面には第1の押付け部材3と第2の押付け部材4とが配置されている。第1の押付け部材3と第2の押付け部材4は、それぞれ基板2の上面から突出しており、基板2が伸縮性ベルト等によって筋肉に向けて付勢された状態で人体に固定されると、それぞれ検出対象となる筋肉に向けて押し付けられるようになっている。つまり、筋収縮検出センサ1が人体に取り付けられると、第1の押付け部材3と第2の押付け部材4は、人体の当該筋肉がある部位における皮膚に直接または衣類等を介して押し付けられるようになっている。
【0026】
本実施の形態では、第1の押付け部材3と第2の押付け部材4は、基板2に着脱可能に装着されるカバー体5に形成されている。このカバー体5は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂材料により基板2よりも大径の円形に形成された薄い基材シート5aの表面に、同様に塩化ビニル樹脂等の合成樹脂材料により第1の押付け部材3及び第2の押付け部材4に対応した凸形状を有する薄い表面シート5bを熱溶着や接着等の手段を用いて貼り付けて構成されている。
【0027】
カバー体5は、基材シート5aが基板2の上面に重ねて配置され、このカバー体5の外周縁に設けられた折返し部5cが基板2の外周縁に被せられることにより基板2に装着される。また、折返し部5cを基板2の外周縁から外すことにより、
図3に示すように、カバー体5を基板2から取り外すことができる。このように、カバー体5は基板2に着脱自在に装着されるようになっている。
【0028】
このような構成により、カバー体5を、2枚のシートを貼り合わせて容易に製造可能な安価な構成のものとして、筋収縮検出センサ1のコストを低減することができる。また、カバー体5を安価で使い捨て可能な構成とすることができるので、第1の押付け部材3や第2の押付け部材4が破損した場合や汚れた場合などに、新たなカバー体5に付け替えることで、第1の押付け部材3や第2の押付け部材4を容易に新しいものに交換することができる。さらに、この筋収縮検出センサ1の構成を簡素化して、そのコストを低減することもできる。
【0029】
なお、折返し部5cをギャザー形状に形成したり、あるいは折返し部5cの内周縁にゴムバンドを装着したりするなどして、カバー体5を基板2から外れ難くしつつ取り外しが容易な構成とすることもできる。また、カバー体5の基板2への装着構造は、上記した折返し部5cによるものに限らず、種々の構成を採用することができる。
【0030】
図1に示すように、上記構成により、第1の押付け部材3は、基材シート5aと表面シート5bとの間に区画された内部空間3aに、流体(この例では空気)が封入された柔軟な袋状に形成されている。また、第1の押付け部材3は、上端(先端)が丸みを帯びるとともに横断面(基板2の上面に平行な断面)が円形となる突起形状となっており、その軸心を基板2の軸心に一致させて基板2上に配置され、当該上面から所定の突出高さで突出している。
【0031】
本実施の形態においては、第2の押付け部材4も、内部に流体を封入した柔軟な袋状に形成されている。より具体的には、第2の押付け部材4も、基材シート5aと表面シート5bとの間に区画された内部空間4aに、流体(この例では空気)が封入された柔軟な袋状に形成されている。また、本実施の形態においては、第2の押付け部材4は、第1の押付け部材3を囲う環状の突起形状に形成されている。より具体的には、第2の押付け部材4は、全体として環状であるとともに上面が湾曲する突起形状に形成されており、第1の押付け部材3の周囲を囲うように基板2に当該基板2と同軸に配置されている。本実施の形態においては、第2の押付け部材4は、全体として円環状に形成されている。また、本実施の形態においては、第2の押付け部材4は、第1の押付け部材3の周囲を全周に亘って隙間なく囲うように連続して形成されている。なお、第2の押付け部材4は、第1の押付け部材3の周囲を全周に亘って隙間なく囲うように連続する円環状の形状のものに限らず、例えば第1の押付け部材3の周りに周方向に沿って間欠状に並べて配置される複数の分離部分に分けて形成されたものや、1つの切欠き部分を有するC字形状に形成されたものなど、第1の押付け部材3の周囲を囲って配置されるものであれば、種々の形状とすることができる。また、第2の押付け部材4は、第1の押付け部材3の周囲を平面視で円形状に囲う円環状の形状に限らず、例えば、第1の押付け部材3を平面視で方形状や多角形状に囲う形状のものなど、種々の形状のものとすることもできる。
【0032】
なお、第1の押付け部材3の内部空間3a及び第2の押付け部材4の内部空間4aは、それぞれ流体として空気を封入するようにしているが、これに限らず、例えば、空気以外の圧縮性流体(気体)や水等の非圧縮性流体を封入した構成とすることもできる。但し、第1の押付け部材3の内部空間3a及び第2の押付け部材4の内部空間4aに、空気を封入した構成とすると、この筋収縮検出センサ1のコストを低減することができるので好ましい。
【0033】
無負荷状態つまり筋肉に向けて押し付けられていない自然状態においては、
図1から解るように、第1の押付け部材3の基板2の上面からの突出高さは、第2の押付け部材4の基板2の上面からの突出高さよりも高くなっている。なお、この場合、無負荷状態においては、第1の押付け部材3の内部空間3aの圧力と第2の押付け部材4の内部空間4aの圧力は同等となっている。
【0034】
上述のように、第2の押付け部材4を第1の押付け部材3を囲う環状の突起形状に形成したことにより、筋収縮検出センサ1を人体の所定部位に取り付けたときに、第2の押付け部材4によって基板2を人体の所定部位に安定的に支持させることができる。特に、第2の押付け部材4を、第1の押付け部材3の周囲を全周に亘って隙間なく囲うように連続する円環状に形成した場合には、第2の押付け部材4によって基板2を人体の所定部位により安定的に支持させることができる。したがって、基板2を、筋肉に対向する姿勢から大きく傾斜させることなく安定的に筋肉に向けて押し付けることができる。また、基板2の傾斜を抑制することにより、当該基板2が直接人体等に触れることを防止して、この筋収縮検出センサ1による筋肉の収縮の検出精度を高めることができる。
【0035】
また、第1の押付け部材3と第2の押付け部材4とを、それぞれ内部に流体を封入した柔軟な袋状に形成したことにより、これらの押付け部材3、4を筋肉に向けて人体に押し付けたときに、これら押付け部材3、4が柔軟に変形して皮膚が均一の圧力を受けるようにして、人体が受ける感触を良くすることができる。すなわち、長時間に亘ってこの筋収縮検出センサ1を人体に取り付けたときに人体が感じる痛みや違和感を低減させることができる。特に、第1の押付け部材3の内部空間3a及び第2の押付け部材4の内部空間4aに、空気等の圧縮性流体を封入した構成とした場合には、押付け部材3、4をより柔軟なものとして、当該押付け部材3、4を筋肉に向けて人体に押し付けたときに人体が受ける感触をより良くすることができる。これにより、筋収縮検出センサ1の、人体に取り付けたときの装用感ないし快適性を高めることができる。
【0036】
第1の押付け部材3を筋肉に向けて人体に押し付けたときに当該第1の押付け部材3が人体から受ける反力(圧力)を検出するために、基板2には第1の反力検出部6が設けられている。本実施の形態では、第1の反力検出部6は円板状の圧力センサで構成されており、基板2の上面の軸心位置に形成された第1の円形溝2aに嵌め込まれて基板2に装着され、その圧力検知面6aは基板2の上面に当該上面と面一となって露出している。つまり、第1の反力検出部6は、基板2と第1の押付け部材3との間に配置されている。
【0037】
また、第2の押付け部材4を筋肉に向けて押し付けたときに当該第2の押付け部材4が人体から受ける反力(圧力)を検出するために、基板2には第2の反力検出部7が設けられている。本実施の形態では、第2の反力検出部7も円板状の圧力センサで構成されており、基板2の上面の第2の押付け部材4の直下(径方向中心位置)に対応する位置に形成された第2の円形溝2bに嵌め込まれて基板2に装着されている。第2の反力検出部7の圧力検知面7aも基板2の上面に当該上面と面一となって露出している。これにより、第2の反力検出部7は、基板2と第2の押付け部材4との間に配置されている。この例では、第2の押付け部材4は内部空間4aに空気が封入された構成となっているので、第2の押付け部材4の一部のみが人体から反力を受けた場合であっても、当該反力を受けることにより高まる内部空間4aの圧力は空気を介して第2の押付け部材4の全体に伝達されるので、当該圧力の変化を1つの第2の反力検出部7によって正確に検出することができる。
【0038】
このように、この例では第2の押付け部材4を空気が封入された袋状に形成するようにしたので、この第2の押付け部材4を環状の突起形状に形成するようにしても、1つの第2の反力検出部7で第2の押付け部材4に加わる反力(圧力)を検出することができるようにして、この筋収縮検出センサ1のコストを低減することができる。なお、上記のように、第2の押付け部材4を、第1の押付け部材3の周りに周方向に沿って間欠状に並べて配置される複数の分離部分で形成される構成とした場合には、第2の押付け部材4のそれぞれの分離部分をチューブ等で接続して互いの内圧が同一となる構成とすることで、第2の押付け部材4が人体から受ける反力(圧力)を1つの第2の反力検出部7によって検出する構成とすることができる。なお、第2の押付け部材4を、第1の押付け部材3の周りに周方向に沿って間欠状に並べて配置される複数の分離部分で形成される構成とした場合には、第2の押し付け部材4の分離部分のそれぞれに対応した複数の第2の反力検出部7を設けることにより、第2の押付け部材4が人体から受ける反力(圧力)を第2の反力検出部7によって検出する構成とすることもできる。
【0039】
第1の反力検出部6及び第2の反力検出部7としては、例えばひずみゲージ式の圧力変換器を用いることができる。なお、第1の反力検出部6及び第2の反力検出部7として、上記したひずみゲージ式の圧力変換器に替えて、第1の押付け部材3や第2の押付け部材4が受ける反力を検出し、これを電気信号等として出力することができる他のタイプの圧力センサ等を用いることもできる。
【0040】
第1の反力検出部6及び第2の反力検出部7は、それぞれ配線6b、7bを介して判定部8に接続される。判定部8は、この筋収縮検出センサ1が適用される機器等の制御装置に組み込まれたものとすることができる。例えば、この筋収縮検出センサ1が、パワーアシストスーツや電動式パワーグローブ等の人体着用型の動作支援装置の入力用のマンマシンインターフェースとして用いられる場合には、判定部8は、当該動作支援装置の制御装置(不図示)にその1機能として組み込まれる。
【0041】
判定部8は、第1の反力検出部6から入力される検出信号つまり第1の押付け部材3が人体から受ける反力と、第2の反力検出部7から入力される検出信号つまり第2の押付け部材4が人体から受ける反力との差または比の変化に基づいて検出対象となる筋肉の収縮を検出する。なお、筋肉の収縮の検出方法の詳細は後述する。
【0042】
図4(a)は人体に装着されたときの上記した筋収縮検出センサ1の状態を示す断面図であり、
図4(b)は筋肉が収縮したときの上記した筋収縮検出センサ1の状態を示す断面図である。次に、
図4に基づいて、この筋収縮検出センサ1を用いて筋肉の収縮を検出する方法について説明する。
【0043】
図4(a)に示すように、筋収縮検出センサ1は、例えば伸縮性ベルト10を用いて人体の所定の部位に取り付けられる。すなわち、筋収縮検出センサ1は、基板2が検出対象となる筋肉(不図示)に対向するとともに第1の押付け部材3及び第2の押付け部材4が基板2に対して検出対象となる筋肉の側を向く姿勢とされ、人体に巻き付けられた伸縮性ベルト10と人体との間に挟み込まれることにより人体の所定部位に取り付けられる。筋収縮検出センサ1が人体の所定部位に取り付けられると、伸縮性ベルト10の弾性力によって第1の押付け部材3及び第2の押付け部材4が筋肉の側に向けて人体に押し付けられた状態となる。
【0044】
伸縮性ベルト10としては、基板2、第1の押付け部材3及び第2の押付け部材4が過度に変形を生じない程度に筋収縮検出センサ1を人体の所定部位に押し付けることができる張力を生じるものが用いられる。また、筋収縮検出センサ1は、伸縮性ベルト10に限らず、コルセットやサポーター等の他の部材により人体の所定部位に固定することもできる。
【0045】
また、筋収縮検出センサ1を人体の所定部位に取り付ける際には、第1の押付け部材3及び第2の押付け部材4を人体の皮膚SKに直接押し付けるようにすることができるが、第1の押付け部材3及び第2の押付け部材4と皮膚SKとの間に衣服やタオル等を挟むようにしてもよい。
図4、
図5においては、第1の押付け部材3及び第2の押付け部材4を人体の皮膚SKに直接押し付けた場合を示す。
【0046】
図4(a)に示すように、筋収縮検出センサ1が人体の所定の部位に取り付けられて第1の押付け部材3及び第2の押付け部材4が筋肉の側に向けて人体に押し付けられた押付け状態となると、第1の押付け部材3及び第2の押付け部材4はそれぞれ人体の皮膚SKから反力を受けて若干変形した状態となる。この状態においても、自然状態のときと同様に、第1の押付け部材3の基板2の上面からの突出高さは第2の押付け部材4の基板2の上面からの突出高さよりも高くなっている。
【0047】
このとき、皮膚SKが柔軟に撓んで第1の押付け部材3及び第2の押付け部材4の両方に当接するので、第1の押付け部材3に皮膚SKからの反力F
Bが加わるとともに、第2の押付け部材4に皮膚SKからの反力F
Dが加わることになる。これらの反力F
B、F
Dは、それぞれ第1の反力検出部6及び第2の反力検出部7により検出され、判定部8に入力される。この押付け状態においては、第1の押付け部材3の基板2の上面からの突出高さが第2の押付け部材4の基板2の上面からの突出高さよりも高くなっていることに起因して、第1の押付け部材3が人体から受ける反力F
Bは、第2の押付け部材4が人体から受ける反力F
Dよりも大きくなっている。判定部8は入力された反力F
Bと反力F
Dとの差または比の変化に基づいて検出対象となる筋肉の収縮を検出する。
【0048】
本実施の形態においては、判定部8は、より正確に筋肉の収縮を検出するために、第1の押付け部材3が人体から受ける反力F
Bと第2の押付け部材4が人体から受ける反力F
Dとの和F
Tを算出し、反力F
Bを和F
Tで除した値を筋肉の収縮の度合いのパラメータ値Sとして筋肉の収縮を検出するようにしている。パラメータ値Sの算出式となる数式(1)を以下に示す。パラメータ値Sは0〜1の範囲で変化する無次元の変数である。
[数1]
S=F
B/(F
B+F
D)=F
B/F
T・・・数式(1)
【0049】
判定部8は、
図4(a)に示す状態におけるパラメータ値Sを算出し、これを基準としたパラメータ値Sの変化に基づき筋肉の収縮を検出する。ここで、パラメータ値Sは、第1の押付け部材3が受ける反力F
Bと第2の押付け部材4が受ける反力F
Dとの比の変化に基づいて変化する値であるので、パラメータ値Sの変化に基づいて筋肉の収縮を検出することは、第1の押付け部材3が受ける反力F
Bと第2の押付け部材4が受ける反力F
Dとの比の変化に基づいて筋肉の収縮を検出することと同じでことある。なお、判定部8は、第1の押付け部材3が受ける反力F
Bと第2の押付け部材4が受ける反力F
Dとの比の変化に基づいて筋肉の収縮を検出する構成に限らず、第1の押付け部材3が受ける反力F
Bと第2の押付け部材4が受ける反力F
Dとの差の変化に基づいて筋肉の収縮を検出する構成とすることもできる。
【0050】
図4(a)に示す状態から徐々に筋肉が収縮して筋肉が硬化していくと、皮膚SKは、より基板2からの突出高さが高い第1の押付け部材3に強く接してこれを弾性変形させるとともに、第2の押付け部材4からは徐々に離れることになる。そのため、筋肉の収縮に伴って和F
Tに対する反力F
Bの割合が徐々に高まり、反対に反力F
Dの割合が徐々に減少することになる。すなわち、筋肉の収縮に伴ってパラメータ値Sは基準とした値に徐々に増加することになる。そして、さらに筋肉が収縮した状態となると、
図4(b)に示すように、皮膚SKは第1の押付け部材3にこれを弾性変形させながら強く接し、第2の押付け部材4には弱く接した状態となってパラメータ値Sの値は1に近い値となり、さらに筋肉が収縮すると、皮膚SKが第1の押付け部材3にのみ接してパラメータ値Sの値は1となる。このように、パラメータ値Sは、基準値から1の間で当該筋肉の収縮に伴って増加することになる。したがって、判定部8はパラメータ値Sの増加から筋肉が収縮していることを検出することができるとともに、そのときのパラメータ値Sから筋肉の収縮の程度も検出することができる。
【0051】
反対に、
図4(b)に示す状態から筋肉が弛緩して収縮が解消されると、和F
Tに対する反力F
Bの割合が徐々に低下し、パラメータ値Sは1から基準値に向けて徐々に低下する。したがって、判定部8は、パラメータ値Sの減少から筋肉が弛緩していることを検出することができるとともに、そのときのパラメータ値Sから筋肉の収縮の程度も検出することができる。
【0052】
パラメータ値Sは、例えばS=F
D/(F
B+F
D)=F
D/F
Tに設定することもできる。この場合、筋肉の収縮に伴ってパラメータ値Sは徐々に減少することになるので、判定部8はパラメータ値Sの減少から筋肉が収縮していることを検出することができる。
【0053】
上記の通り、本発明の筋収縮検出センサ1は、第1の押付け部材3が受ける反力F
Bと第2の押付け部材4が受ける反力F
Dとの差または比の変化(パラメータ値Sの変化)に基づき筋肉の収縮、すなわち筋肉の収縮が生じているか否かを検出するようにしているので、当該反力F
B、F
Dの値自体を正確に検出する必要がなく、よって、この筋収縮検出センサ1を衣服やタオル等の上から人体に装着するようにしても筋肉の収縮を精度よく検出することができる。したがって、この筋収縮検出センサ1は、使用上の制約が少なく、検出対象となる筋肉のある人体の所定部位に伸縮性ベルト10等を用いて容易に取り付けることができるので、人体着用型の動作支援装置を日常的に使用する場合においても、その取付け作業は容易である。
【0054】
また、筋電位センサでは、電極の貼り付け位置によっては他の筋肉の収縮を誤検知する場合があるが、本発明の筋収縮検出センサ1は特定の筋肉の収縮による物理的な変化(筋肉の収縮に伴う筋肉の硬さの変化)を検出するので、当該筋肉の収縮(筋活動)を精度よく検出することができる。また、本発明の筋収縮検出センサ1によれば、筋電位センサに比べて、より軽微な筋収縮を検出することができる。
【0055】
さらに、本発明の筋収縮検出センサ1によれば、筋電位センサとは異なり、疲労の影響を受けることなく筋肉の収縮を精度よく検出することができるとともに、機能的電気刺激により筋肉を収縮させた場合における筋収縮をも精度よく検出することができる。
【0056】
さらに、本発明の筋収縮検出センサ1によれば、外力の影響を排除することができ、これにより外力に対して高いロバスト性を得ることができるので、筋肉の収縮をより高精度に検出することができる。
【0057】
さらに、本発明の筋収縮検出センサ1は、シンプルな構成であるので、低コストで量産することができる。
【0058】
図5(a)〜(c)は、それぞれ
図1に示す筋収縮検出センサ1の変形例の断面図である。なお、
図5においては前述した部材に対応する部材に同一の符号を付してある。
【0059】
図1に示す場合では、第1の押付け部材3を横断面が円形となる突起形状に形成し、第2の押付け部材4を第1の押付け部材3を囲う円環状に形成するとともに、第1の押付け部材3の基板2の上面からの突出高さを、第2の押付け部材4の基板2の上面からの突出高さよりも高くすることにより、この筋収縮検出センサ1を人体の所定部位に取り付けたときに、第1の押付け部材3が人体から受ける反力F
Bが、第2の押付け部材4が人体から受ける反力F
Dよりも大きくなるようにしているが、
図5(a)に示す変形例の筋収縮検出センサ1のように、第1の押付け部材3を横断面が円形となる突起形状に形成し、第2の押付け部材4を第1の押付け部材3を囲う円環状に形成するとともに、第1の押付け部材3の基板2の上面からの突出高さを、第2の押付け部材4の基板2の上面からの突出高さよりも低くすることにより、この筋収縮検出センサ1を人体の所定部位に取り付けたときに、第1の押付け部材3が人体から受ける反力F
Bが、第2の押付け部材4が人体から受ける反力F
Dよりも小さくなるようにすることもできる。このような構成により、第1の押付け部材3よりも高い突出高さを有する第2の押付け部材4によって基板2をさらに安定的に人体に対して支持させることができる。
【0060】
また、
図1に示す場合では、第1の押付け部材3と第2の押付け部材4とを、これらを一体に備えるカバー体5に形成するようにしているが、
図5(b)に示す変形例の筋収縮検出センサ1のように、第1の押付け部材3と第2の押付け部材4とを別々に形成し、これらを個別に基板2の上面に接着等の手段により固定した構成とすることもできる。このような構成により、第1の押付け部材3と第2の押付け部材4との間で、これらが受けた反力が互いに伝達されることをなくすことができるので、第1の押付け部材3及び第2の押付け部材4がより正確に人体から受ける反力を検出することができるようにし、これにより筋肉の収縮をより精度よく検出することができる。
【0061】
さらに、
図1に示す場合では、第1の押付け部材3と第2の押付け部材4の両方を空気が封入された袋状に形成するようにしているが、
図5(c)に示す変形例の筋収縮検出センサ1のように、第2の押付け部材4は袋状のままとしつつ、第1の押付け部材3を、シリコン等の軟材質によって、先端が半球状であるとともに横断面が円形となる突起形状に形成した構成とすることもできる。この場合、第1の押付け部材3と第1の反力検出部6との間にゴムシート11を配置するのが好ましい。このような構成によれば、筋肉が収縮したときに、第1の押付け部材3と第2の押付け部材4との間に高さの差を生じ易くして、より正確に筋肉の収縮を検出することができる。また、第1の押付け部材3を、シリコン等の軟材質で形成することにより、当該効果を得つつ、第1の押付け部材3を筋肉に向けて人体に押し付けたときに人体が受ける感触を良くすることができる。
【0062】
また、
図5(c)に示す構成において、シリコン等の軟材質によって突起形状に形成された第1の押付け部材3を、第2の押付け部材4と一体に形成されるとともに流体(空気)が封入された柔軟な袋状の部材で覆う構成とすることもできる。このような構成によれば、第1の押付け部材3を筋肉に向けて人体に押し付けたときに、柔軟な袋状の部材が人体に当たるようにして、人体が受ける感触をより良くすることができる。
【0063】
図6は、
図1に示す筋収縮検出センサ1の変形例の断面図である。なお、
図6においては前述した部材に対応する部材に同一の符号を付してある。
【0064】
図1に示す場合では、第1の反力検出部6の配線6bと第2の反力検出部7の配線7bとを、それぞれ基板2から引き出して直接、判定部8に接続するようにしているが、
図6に示すように、基板2に、第1の反力検出部6及び第2の反力検出部7から入力される検出信号を増幅して判定部8に向けて出力する増幅回路20を内蔵し、第1の反力検出部6の検出信号及び第2の反力検出部7の検出信号を、増幅回路20を介して判定部8に入力する構成とすることもできる。この場合、基板2を、表側の板材と裏側の板材との間にスペーサを備えることで内部に空間を有する構成とし、この空間内に増幅回路20を配置した構成とすることができる。このような構成とすることにより、第1の反力検出部6及び第2の反力検出部7が出力する検出信号が微弱な場合であっても、当該検出信号を増幅回路20によって基板2の内部で増幅することで、検出信号がノイズから受ける影響を抑制することができる。なお、増幅回路20は、検出信号を増幅する機能に加えて、検出信号に含まれるノイズ成分を低減させる機能を含んだ回路に構成としてもよい。また、増幅回路20とは別に構成されるとともに、第1の反力検出部6及び第2の反力検出部7と判定部8との間に接続されるノイズ低減回路(不図示)を、増幅回路20と同様に基板2に内蔵させ、または基板2の外に配置した構成とすることもできる。
【0065】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0066】
例えば、前記実施の形態では、無負荷状態における第1の押付け部材3の基板2からの突出高さを、無負荷状態における第2の押付け部材4の基板2からの突出高さよりも高くするようにしているが、これに限らず、例えば第1の押付け部材3を第2の押付け部材4よりも高い弾力ないし反発力を有する構成等とすることにより、無負荷状態における突出高さに拘わらず、筋肉に向けて押し付けられた押付け状態において第1の押付け部材3が人体から受ける反力が第2の押付け部材4が人体から受ける反力よりも大きくなるように構成されていれば、無負荷状態における第1の押付け部材3の基板2からの突出高さを、無負荷状態における第2の押付け部材4の基板2からの突出高さと同一とし、または、無負荷状態における第2の押付け部材4の基板2からの突出高さよりも低く構成することもできる。
【0067】
また、前記実施の形態では、基板2を円板状に形成するようにしているが、これに限らず、検出対象となる筋肉のある人体の部位に応じて種々の形状に形成することができる。
【0068】
さらに、前記実施の形態では、第2の反力検出部7を1つのみ設けるようにしているが、これに限らず、より精度よく第2の押付け部材4に加わる反力を検出可能とするために、第2の反力検出部7を周方向に等間隔に複数個設けるようにしてもよい。