(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記敷設位置を決定する工程において、前記各種類の板材のうち、前記下地面の隅部の敷設位置を除く敷設位置に敷設される板材と、これに隣接する少なくとも1つの板材とが、異なる木目模様となるように、前記各板材の敷設位置を決定することを特徴とする請求項1に記載の板材の施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、施工パターン情報に、一定の色柄情報が設定されている。このため、板材を敷設する下地面に拘わらず、敷設された板材全体が一定の柄(同じ柄)に見えるため、例えば異なる部屋であっても、同じ部屋の如きイメージを与えてしまう。
【0007】
さらに、特許文献1の技術では、敷設される板材の敷設位置の情報を、各板材に対応付けつつ、板材の表面に模様を印刷するので、予め模様を印刷した板材をストックしておくことはできない。このため、板材の表面の印刷から板材の敷設まで長期間を要することがある。
【0008】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、敷設された板材全体の柄を好みに合わせて選定し、より短い期間で、選定した柄となるように板材を下地面に敷設することができる板材の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を鑑みて、発明者は、鋭意検討を重ねた結果、敷設した板材全体の柄を見たときのイメージは、異なる種類の木目模様が印刷された板材の各割合(比率)を決定することにより、大きく変わるとの新たな知見を得た。
【0010】
本発明は、発明者による新たな知見に基づくものであり、本発明に係る板材の施工方法は、木目模様が印刷された複数枚の板材を、板材同士が隣接するように、下地面に敷設する板材の施工方法であって、異なる種類の前記木目模様が印刷された複数種の板材に対して、前記下地面に敷設される各種類の板材の割合を決定する工程と、決定した前記割合に基づいて、前記下地面に敷設される前記各種類の板材の枚数を算出する工程と、前記各種類の板材が前記下地面に敷設される敷設位置を決定する工程と、決定した前記敷設位置に、前記各種類の板材を敷設する工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、異なる種類の木目模様が印刷された複数種の板材に対して、下地面に敷設される各種類の板材の割合を決定することにより、敷設後の板材全体の柄を、好みに合わせて設定することができる。そして、決定した割合に基づいて、各種類の板材の枚数を算出して、この枚数に応じた板材を準備すればよいので、予め板材の表面に木目模様を印刷してストックしておくこともできる。
【0012】
このような結果、敷設された板材全体の柄を好みに合わせて簡単に選定することができ、より短い期間で、板材全体が選定した柄となるように板材を下地面に敷設することができる。
【0013】
より好ましい態様としては、前記板材の割合を決定する工程において、前記複数種の板材に対して、予め設定された異なる複数の割合から、1つの割合を選択することにより、前記各種類の板材の割合を決定する。
【0014】
この態様によれば、予め設定された異なる複数の割合から、1つの割合を選択することにより、前記各種類の板材の割合を決定するので、板材全体の柄のイメージを、好みに合わせて簡単に選択することができる。
【0015】
さらに好ましい態様としては、前記敷設位置を決定する工程において、前記各種類の板材のうち、前記下地面の隅部の敷設位置を除く敷設位置に敷設される板材と、これに隣接する少なくとも1つの板材とが、異なる木目模様となるように、前記各板材の敷設位置を決定する。この態様によれば、隣接する板材同士がすべて同じ種類の板材になることを避け、同じ種類の板材が、下地面に偏って敷設されることを抑えることができる。
【0016】
さらに別の好ましい態様としては、前記敷設位置を決定する工程において、前記各板材に乱数に基づいた番号を割付ける工程と、前記下地面の各板材が敷設される敷設位置に、敷設される前記板材の枚数に応じて異なる番号を割付ける工程と、前記板材に割付けられた番号と、前記敷設位置に割付けられた番号とを、番号順に対応させて、前記各種類の板材が前記下地面に敷設される敷設位置を決定する。
【0017】
この態様によれば、乱数に基づいた番号が割付けられた板材を、異なる番号が割付けられた施工位置に、番号順に対応させて、配置することができるので、同じ種類の板材をランダムにばらつかせて配置することができる。
【0018】
さらに、好ましい態様としては、異なる種類の木目模様が印刷された複数種の板材は、木目のみの模様が印刷された主板材と、節、割れ、やに、杢、入り皮、金筋、シュガー筋、偽芯、アテ、色ムラ、てりの模様、釘孔の跡の模様、およびノコギリの傷跡に応じた模様の群から選択された模様が木目のみの模様にさらに付与された少なくとも1種類以上の副板材と、を備え、前記板材の割合を決定する工程において、前記主板材の割合を、前記副板材の割合よりも大きくなるように決定する。
【0019】
この態様によれば、木目のみの模様が印刷された板材が、敷設された板材全体の主な部分を占め、その他の節等の模様が印刷された副板材が、敷設された板材全体に対して分散して配置される。これにより、敷設された板材全体として違和感のない自然な柄となるように、板材を敷設することができる。
【0020】
特に好ましい態様としては、前記敷設位置を決定する工程において、同じ種類の前記副板材同士が隣接した前記敷設位置に配置されないように、前記副板材の決定された敷設位置を変更する。
【0021】
この態様によれば、同じ種類の副板材同士が隣接した敷設位置に敷設されず、離れた位置に敷設されるので、敷設された板材全体に対して副板材の模様が局所的に集中せず、副板材の木目模様を目立ち難くすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、敷設された板材全体の柄を好みに合わせて簡単に選定することができ、より短い期間で、選定した柄となるように板材を下地面に敷設することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、
図1〜
図8を参照して、本発明に実施形態に係る板材の施工方法を説明する。
本実施形態に係る板材の施工方法では、木目模様が印刷された複数枚の板材を、板材同士が隣接するように、下地面に敷設する。具体的には、本実施形態では、後述する
図1に示す一連の工程を行う。なお、板材が敷設される下地面は、例えば、部屋、玄関、キッチンなどの床、壁、カップボード等の下地面であり、複数の板材を敷設することができるのであれば、特に下地面は限定されるものではない。まず、下地面に敷設される板材について説明する。
【0025】
1.板材について
下地面に敷設される板材は、基材の表面に木目模様が印刷された板材である。具体的には、木目模様が印刷される基材は、その表面に木目模様を印刷することができるのであれば、特に限定されるものではなく、その材料としては、例えば、合板、パーティクルボード(PB)、木質繊維板(MDF・インシュレーションボード・ハードボードなど)、配向性ストランドボード(OSB)、LVL、または、集成材を挙げることができる。また、この他にも、樹脂と木材を混合した複合型の基材であってもよく、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、またはポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンビニルアセテート、またはポリビニルアルコールなど)の樹脂製の基材であってもよい。本実施形態では、好ましい態様として、これらの基材の印刷される側の表面に突板または挽板などの天然の木材に由来する単板が貼着されている。
【0026】
単板の材料としては、例えば、ビーチ、オーク、メイプル、ケヤキ、ウォールナット、シナ、ナラ、ヤチダモ、キリ、ヒノキ、スギ、マホガニー、チーク、ローズウッド、トチ、クロガキ、シオジ、ニレ、カバ、シタン、またはコクタンなどを挙げることができる。突板の場合には、その厚さは、0.1〜1.0mmの範囲にあることが好ましく、挽板の場合には、その厚さは、1mm〜3mmの範囲にあることが好ましい。木目模様が印刷される基材が、このような単板のみで構成された無垢材であってもよい。
【0027】
ここで、単板の表面は、天然の木材からなり、天然の木目模様が形成されている。このため、これらの天然の木材の表面(木質表面)の凹凸形状を残すように、天然の木目模様とは異なる木目模様を、例えばインクジェット印刷で基材の表面に印刷することが好ましい。これにより、天然の木材の凹凸形状が形成され、かつ、インク粒子の付着により好みの木目模様が形成された、意匠性の高い板材を得ることができる。
【0028】
本実施形態では、インク(粒子)により形成される(印刷された)木目模様は、単板の表面とは異なる、1枚の板材の表面を画像として撮影し、撮影した画像に応じた模様(木材の表面模様)を、インクジェットプリンターで印刷することで得ることができる。
【0029】
本実施形態では、インクジェット印刷を行うインクは、例えばイエロー、マゼンダ、シアン、およびブラックの4色で構成され、これらのインクを用いて、単板の表面にインク層を形成することで木目模様を印刷する。ここで、インクジェット印刷に用いられるインクは、水性インク、油性インク、または紫外線硬化型のインクのいずれのインクであってもよい。印刷用のインクに、紫外線硬化型のインクを用いれば、印刷したインクが、単板に殆ど含浸されず、鮮明な表面模様を得ることができる。
【0030】
より具体的には、本実施形態では、従来の技術とは異なり、微細な粒径の紫外線硬化型のインクを、単板(基材)の表面に吹き付ける。具体的には、インクの液滴は、1〜20plの範囲にあることが好ましく、より好ましくは、3〜14plの範囲にある。このようにして、未硬化のインク粒子が離間して付着し、インク粒子同士の間に、インク粒子から表面が露出する。その後、印刷面に、紫外線を照射することで、インク粒子を硬化させる。
【0031】
ここで、本実施形態でいう「異なる種類の木目模様が印刷された複数種の板材」とは、木目のみの模様が印刷された主板材と、節、割れ、やに、杢、入り皮、金筋、シュガー筋、偽芯、アテ、色ムラ、てりの模様、釘孔の跡の模様、およびノコギリの傷跡に応じた模様の群から選択された模様が木目のみの模様にさらに付与された少なくとも複数種の副板材からなる。
【0032】
より具体的には、本実施形態では、後述する
図2に示すように、複数種の副板材は、節、割れ、やに、杢、入り皮、または金筋の模様が木目のみの模様にさらに付与された5種類(B種〜F種)の副板材からなる。なお、主板材は、
図2では、A種の板材に相当する。
【0033】
なお、「木目のみの模様」とは、柾目または板目等の木目のみからなる模様である。したがって、主板材は、副板材に付与される節等の模様がない木目模様であり、通常良好とされる板材の木目模様である。また、各種類毎の板材の木目模様は、同じ形状及び色彩の木目模様であってもよいが、その木目模様の種類を特定することができ、各種類の板材に分類することができるのであれば、これらの木目模様が同じ形状及び色彩の模様でなくてもよい。
【0034】
本実施形態では、異なる種類の木目模様が印刷された複数種の板材を、予め印刷してストックされていてもよく、例えば、以下に示す
図1のステップS4の板材を敷設する工程までに、準備されていればよい。
【0035】
2.板材の施工方法について
以下に、本実施形態に係る板材の施工方法を説明する。
2−1.各種類の板材の割合を決定する工程
まず、本実施形態では、
図1のステップS1に示すように、各種類の板材の割合を決定する。具体的には、異なる種類(
図2に示すA種〜F種)の木目模様が印刷された複数種の板材に対して、下地面に敷設される各種類の板材の割合を決定する。
【0036】
より具体的には、本実施形態では、板材に、柾目または板目などの木目のみの模様が印刷されたA種である主板材と、節、割れ、やに、杢、入り皮、または金筋の模様が木目のみの模様にさらに付与された5種類(B種〜F種)の副板材との各種類の板材の割合を決定する。
【0037】
本実施形態では、割合を決定する副板材に、上述した5種類の副板材を用いたが、例えば、シュガー筋、偽芯、アテ、色ムラ、てりの模様、釘孔の跡の模様、またはノコギリの傷跡に応じた模様などのさらなる種類の副板材を用いてもよく、これらの模様を組み合わせた複数種類の板材を用いてもよい。
【0038】
さらに、A種〜E種の板材(主板材および副板材)のうち、同じ種類の一対の板材に印刷される各板材の木目模様を、線対称の木目模様にしてもよい。これにより、一対の板材のうち、一方の板材の木目模様と、他方の板材の木目模様は、線対称の木目模様となるので、これらの一対の板材を、下地面に敷設した際に、一対の板材が1つの木材から切り出されたかの如く見える。なお、この場合には、一対の板材同士を隣接して敷設してもよく、これにより、このような効果を一層期待することができる。
【0039】
また、A種の主板材と、B種〜F種の5種類の副板材と、の割合は、板材の施工に合わせて、その都度設定してもよいが、本実施形態では、
図2に示すように、A〜F種の5種の板材に対して、予め設定された異なる複数の割合から、1つの割合を選択することにより、各種類の板材の割合を決定する。
【0040】
例えば、パターンIでは、A種60%、B種〜E種10%、F種0%であり、パターンIIでは、A種40%、B種〜E種15%、F種0%であり、各種類の板材の割合は、板材を敷設したときの板材全体(板構造体)の表面の柄のイメージが異なるように、設定されている。したがって、予め設定された異なる複数の割合(パターン)から、1つの割合(パターン)を選択することにより各種類の板材の割合を決定するので、板材全体の柄のイメージを好みに合わせて簡単に選択することができる。
【0041】
パターンI〜パターンIIIでは、A種の主板材の割合が、B種〜F種の副板材の割合よりも大きくなるように設定されている。これにより、木目のみの模様が印刷されたA種の主板材が、敷設された板材全体の主な部分を占め、その他の節等の模様が印刷されたB種〜F種の副板を、敷設された板材全体に対して分散して配置することができる。これにより、敷設された板材全体(板構造体)として、意匠的に違和感のない自然な柄となるように、各板材を敷設することができる。
【0042】
なお、パターンIVのように、敷設する各板材のうち、A種の主板材の割合を0%とし主板材を含めず、他のC種〜E種の副板材のみでその割合を決定してもよく、パターンVのように、A種〜E種の板材を同じ割合に決定してもよい。
【0043】
2−2.各種類の板材の枚数を算出する工程
次に、
図1のステップS2に進み、決定した割合に基づいて、下地面に敷設される各種類の板材の枚数を算出する。ここで、本実施形態では、その一例として、
図2に示すパターンIを選択した場合の各種類の板材の枚数の算出方法を以下に説明する。
【0044】
本実施形態では、18行×4列に区分された下地面に、敷設枚数72枚の板材を敷設する(例えば、
図5参照)。ここで、板材の割合として、パターンIを選択した場合には、A種60%、B種〜E種10%、F種0%である。まず、敷設枚数に各種類の板材の割合を乗算する。
【0045】
具体的には、A種の主板材は、72枚×60%で43.2枚となり、B種〜E種の副板材は、72枚×10%で7.2枚となる。ここで算出された枚数の値は、整数ではない。したがって、本実施形態では、B〜E種の算出された枚数の値の小数点第1位の値を切り捨てて、各板材の合計の枚数が、敷設枚数(72枚)となるように、A種の主板材の枚数の値を増加させる(調整する)。
【0046】
これにより、B種〜E種の板材の枚数は7枚となり、A種の板材は44枚となる。本実施形態では、A種の主板材は、木目のみの模様が印刷された板材であるので、A種の主板材の枚数が増加しても、敷設した板材全体の柄に違和感が生じることはない。
【0047】
2−3.敷設位置を決定する工程
次に、
図1のステップS3に進み、各種類の板材が下地面に敷設される敷設位置を決定する。まず、A種〜E種の各板材に乱数に基づいた番号を割付ける。具体的には、
図4に示すように、A種の主板材44枚、B種〜E種の各副板材7枚を、番号1〜72の順に並べ、乱数表等を用いて、これらのA種〜E種の板材に対して、乱数に基づいた番号を割付ける。
【0048】
乱数表を用いる場合には、例えばこの工程を行う日時等に基づいて、乱数表の行と列を決定し、決定した行と列に相当する乱数表の数値から、それ以降に配列された乱数を順に読み出す。例えば、本実施形態では、乱数表で決定された行と列から読み出した割付開始の数値は、「70」であり、そこから順に乱数表の数値を読み出して(具体的には数値69,25,11,76,…)、A種〜E種の各板材に乱数に基づいた番号を割付ける。
【0049】
次に、下地面のA〜E種の合計72枚の各板材が敷設される敷設位置に、敷設される板材の枚数に応じて異なる番号を割付ける。具体的には、
図5に示すように、下地面の各板材が敷設される敷設位置に、左上から順に、1〜72までの通し番号を割付番号として、割付ける。
【0050】
次に、板材に割付けられた乱数の番号と、敷設位置に割付けられた割付番号とを、番号順に対応させて、各種類の板材が下地面に敷設される敷設位置を決定する。具体的には、
図4で示した、A種〜E種の各板材に割付けられた乱数を、
図6に示すように小さい順に並べ替える。
【0051】
本実施形態では、乱数は、数の小さい順に「0」、「2」、「3」、「4」…となり、この乱数が割付けられた板材は、「A種」、「A種」、「A種」、「C種」…であり、この順に、板材の種類に対応させて、乱数を並べ替える。
【0052】
次に、並べ替えた板材に割付けられた乱数の番号に、敷設位置の割付番号(通し番号)を小さい順に対応させる。これにより、
図7(a)に示すように、A〜E種の72枚の各板材の床下地面に敷設される敷設位置が決定される。このようにして、乱数に基づいて、各種類の板材をランダムに配置することができる。
【0053】
ここで、
図7(a)に示すように、(1)割付番号「15」「16」のB種の副板材、(2)割付番号「26」「45」のD種の副板材、(3)割付番号「30」「47」のD種の副板材、(4)割付番号「43」「61」のC種の副板材、(5)割付番号「63」「64」のE種の副板材は、それぞれ隣接して配置される。
【0054】
そこで、本実施形態では、同じ種類の副板材同士が隣接した敷設位置に配置されないように、副板材の決定された敷設位置を変更する。具体的には、
図7(b)に示すように、(1)割付番号「15」のB種の副板材と割付番号「10」のA種の主板材とを入れ替える。同様に、(2)割付番号「45」のD種の副板材と、割付番号「68」のC種の主板材とを入れ替え、(3)割付番号「47」のD種の副板材と、割付番号「17」のA種の主板材とを入れ替える。さらに、(4)割付番号「61」のC種の副板材と、割付番号「37」のB種の副板材とを入れ替え、(5)割付番号「63」のD種の副板材と、割付番号「9」のA種の副板材とを入れ替える。
【0055】
このようにして、同じ種類の副板材同士が隣接した敷設位置に配置されず、離れた位置に敷設されるので、敷設された板材全体に対して副板材の模様が局所的に集中せず、副板材の木目模様を目立ち難くすることができる。
【0056】
本実施形態では、上述したように、乱数表を用いて、各種類の板材の敷設位置を決定した。しかしながら、例えば、A種からE種の種類の板材のうち、下地面の隅部の敷設位置(
図5の「1」、「18」、「55」、「72」)を除く敷設位置に敷設される板材と、これに隣接する少なくとも1つの板材とが、異なる木目模様となるように、各板材の敷設位置を決定してもよい。これにより、隣接する板材同士がすべて同じ種類の板材になることを避け、同じ種類の板材が偏って敷設されることを抑えることができる。
【0057】
2−4.板材を敷設する工程
次に、
図1のステップS4に進み、決定した敷設位置に、各種類の板材を敷設する。具体的には、
図7(b)に示す変更後の敷設位置に、72枚のA種〜E種の板材を敷設する。これにより、同じ種類の副板材同士が隣接した敷設位置に配置されず、離れた位置に敷設された板構造体を得ることができる。
【0058】
このようにして、本実施形態では、異なる種類(A種〜E種)の木目模様が印刷された複数種の板材に対して、下地面に敷設される各種類の板材の割合を決定することにより、敷設後の板材全体の柄を、好みに合わせて選定することができる。
【0059】
また、決定した割合に基づいて、各種類の板材の枚数を算出して、この枚数に応じた板材を準備すればよいので、予め板材の表面に木目模様を印刷してストックしておくこともできる。
【0060】
また、本実施形態では、インクジェット印刷により、基材の表面に木目模様を印刷した板材を製造するので、多品種小ロット生産が可能であり、多種多様の木目模様を作製することができる。したがって、板材全体(板構造体)の表面を、オンデマンドで好みに合わせた柄に施工することができる。
【0061】
ここで、上述したステップS1〜S3の工程を、
図8に示す施工システム1を用いて行ってもよい。施工システム1は、入力装置11、CPUなどの演算装置12、RAM等の記憶装置13、および表示装置14を備えている。
【0062】
本実施形態では、入力装置11は、ステップS1で示した板材の種類および各種類の板材の割合、ステップS2およびステップS3で示した下地面に敷設される板材の枚数(行および列)等の入力情報を演算装置12に入力可能なように、演算装置12に接続されている。
【0063】
演算装置12は、入力装置11からの入力情報に基づいて、ステップS2で示した各種類の板材の枚数を算出するとともに、ステップS3で示した各板材の敷設位置を決定する。ここで、記憶装置13には、ステップS1で示した各種類の板材の割合に相当するパターン(
図2参照)、ステップS3で示した乱数表、および各種類の板材に印刷された木目模様の画像等の情報が記憶されている。このようにして、演算装置12は、入力装置11からの入力情報に基づいて、記憶装置13からこれらの情報を読み出すことにより、各種類の板材の枚数を算出するとともに、上述した一連の作業を演算により行って、各板材の敷設位置を決定する。
【0064】
表示装置14は、記憶装置13から演算装置12を介して出力された、各種類の板材の割合に相当するパターン(
図2参照)を表示し、入力装置11からの入力情報に基づいて演算装置12で決定された敷設位置に各種類の板材を敷設した状態(
図7(a),(b)参照)を表示する。
【0065】
この施工システム1によれば、入力装置11から入力した情報に基づいて、演算装置12で各種類の板材の敷設位置を決定し、演算装置12で決定された敷設位置に各板材を敷設した状態を、表示装置14で表示することができる。
【0066】
これにより、板材を施工する前に、予め敷設された板材全体(板構造体)の柄を確認することができ、さらには、板材全体(板構造体)が好みの柄となるまで、各種類の板材の割合を変更し、これを確認することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0068】
本実施形態では、施工する板材は、矩形状の板材であったが、例えば雁行タイプの板材であってもよく、板材同士を隣接するように、下地面に敷設することができるのであれば、その形状は特に限定されるものではない。