特許第6875796号(P6875796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6875796空調機能付き床下空間を備えた建物換気システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875796
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】空調機能付き床下空間を備えた建物換気システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/10 20060101AFI20210517BHJP
   F24D 11/00 20060101ALI20210517BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20210517BHJP
   F24F 3/00 20060101ALI20210517BHJP
   F28D 20/00 20060101ALI20210517BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   F24F7/10 A
   F24D11/00 A
   F24F5/00 K
   F24F5/00 102C
   F24F3/00 B
   F28D20/00 A
   E04B1/76 200C
   E04B1/76 200E
   F24D11/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-112824(P2016-112824)
(22)【出願日】2016年6月6日
(65)【公開番号】特開2017-219228(P2017-219228A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】305034203
【氏名又は名称】株式会社ジオパワーシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100094581
【弁理士】
【氏名又は名称】鯨田 雅信
(72)【発明者】
【氏名】橋本 東光
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真成
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−153351(JP,A)
【文献】 特開昭61−235622(JP,A)
【文献】 特開平10−062083(JP,A)
【文献】 特開2009−092364(JP,A)
【文献】 特開2005−127536(JP,A)
【文献】 特開2000−097586(JP,A)
【文献】 特開昭58−008937(JP,A)
【文献】 特開2015−193997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/10
E04B 1/76
F24D 11/00
F24F 3/00
F24F 5/00
F28D 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸外からの外気を床下空間内に導入する外気導入部と、
前記床下空間内を複数の各小空間に区画する複数の仕切り部であって、前記複数の各小空間を外気の流通方向に沿って形成するように配置されており、或る小空間から隣接する他の小空間へと外気を順次流通させるための各空気通過孔がそれぞれ形成されている複数の仕切り部であって、前記外気が後記蓄熱層の周囲(外周側)に沿って前記各小空間の中を順次流通してから後記蓄熱層内に流入するように、後記蓄熱層の周囲(外周側)を囲むように配置されている複数の各小空間を形成する複数の仕切り部と、
前記床下空間内の一部に又は前記複数の小空間中の一部の小空間内に配置された蓄熱層であって、多数のグリ石等の蓄熱材が集積、収容又は配置されて成り、前記各小空間を順次流通する過程で各小空間内の熱と熱交換され且つ地中に埋設された地中パイプ内を流通する過程で地中熱と熱交換された後の外気を、自ら(蓄熱層)の内部に受け入れ自らの内部で流通させてから室内に供給する蓄熱層であって、前記地中パイプは、前記各小空間中の前記蓄熱層が配置された小空間と隣接する小空間内から地中に埋設されている蓄熱層と、
外気を戸外から導入して、前記蓄熱層へ送られる前又は送られた後の外気を前記複数の各小空間の内部を順次流通させて前記床下空間内の物体と熱交換させるように作動する換気用ファンと、を備えており、
前記外気は各小空間の間を流通する方向において互いに小空間を介して対向する各空気通過孔は水平方向及び重力方向において互いにズレた位置で対向するように形成、配置されており、これにより、戸外から導入された外気は、まず前記蓄熱層の周囲(外周側)に沿って配置された前記各小空間の中を、それぞれ蛇行しながら、或る1つの小空間から隣接する他の小空間へと順次流通しながら前記各小空間内の物体と熱交換され、そのようにして各小空間内で熱交換された後に、前記蓄熱層が配置された小空間と隣接する小空間内の地中パイプ内に流入されて前記地中パイプ内を流通しながら地中熱と熱交換され、そのようにして地中熱と熱交換された後に、前記蓄熱層の内部に流入されて前記蓄熱層内で流通されながら熱交換され、そのようにして前記蓄熱層内で熱交換された後に、建物の室内に供給されるように構成されている、ことを特徴とする空調機能付き床下空間を備えた建物換気システム。
【請求項2】
前記床下空間又は仕切り部中の前記流通する外気が接触する部材の表面には、外気の一部がその周辺で微小な渦流を形成するように、微小な突起、凸部、凹部又は凹凸が形成され又は備えられている、請求項1に記載の空調機能付き床下空間を備えた建物換気システム。
【請求項3】
前記蓄熱層は、熱伝導性の高い材料により構成された容器又は外気が容器の内外を流通可能なメッシュ構造又は多数の通気孔を有する容器であって複数の蓄熱材をその内部に収納した容器が、複数個、並べられ又は積層されて構成されている、請求項1又は2に記載の空調機能付き床下空間を備えた建物換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば図8に示すように、建物の床下空間内に「グリ石などの地中熱を蓄熱する蓄熱材が集積・充填されて成る蓄熱層」を備え、戸外からの空気(外気)をこの蓄熱層で地中熱と熱交換すると共に、その前又は後において外気を地中パイプ中で地中熱と熱交換し、そのように熱交換された後の外気を室内に供給するようにした建物換気システムが提案又は実施されている(特許文献1参照)。
【0003】
なお、この図8に示す従来例では、前記地中パイプは、外管と内管との二重管構造に構成されている。そして、この従来例では、外気は、外管の上方に形成された通気口を介して外管と内管との間の隙間に導入されて前記隙間の中を下降し、その過程で地中熱と熱交換されながら、外管の底部に衝突し、その後に反転して内管内を上昇し、内管の上方から外部(室内など)に放出されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3030022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のような従来の建物換気システムに使用される床下空間内の蓄熱層は、外気を地中熱などと熱交換するために極めて有効なものであるが、広い床下空間内の全体に蓄熱材を充填することは建築コストの増大化に繋がるという問題がある。
【0006】
しかし、他方、床下空間内の一部だけに蓄熱材を集積させるようにしたときは、建築コストは低減化されるが、外気を地中熱などと十分に熱交換させることが難しいという問題がある。
【0007】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目して為されたものであって、外気を地中熱などと熱交換させるための蓄熱層を床下空間中の一部だけに構成するようにして建設コストを低減化させながら、床下空間内で外気を地中熱などと十分に熱交換させてから室内に供給することができる、空調機能付き床下空間を備えた建物換気システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような課題を解決するための本発明による空調機能付き床下空間を備えた建物換気システムは、戸外からの外気を床下空間内に導入する外気導入部と、前記床下空間内を複数の各小空間に区画する複数の仕切り部であって、前記複数の各小空間を外気の流通方向に沿って形成するように配置されており、或る小空間から隣接する他の小空間へと外気を順次流通させるための各空気通過孔がそれぞれ形成されている複数の仕切り部であって、前記外気が後記蓄熱層の周囲(外周側)に沿って前記各小空間の中を順次流通してから後記蓄熱層内に流入するように、後記蓄熱層の周囲(外周側)を囲むように配置されている複数の各小空間を形成する、複数の仕切り部と、前記床下空間内の一部に又は前記複数の小空間中の一部の小空間内に配置された蓄熱層であって、多数のグリ石等の蓄熱材が集積、収容又は配置されて成り、前記各小空間を順次流通する過程で各小空間内の熱と熱交換され且つ地中に埋設された地中パイプ内を流通する過程で地中熱と熱交換された後の外気を、自ら(蓄熱層)の内部に受け入れ自らの内部で流通させてから室内に供給する蓄熱層であって、前記地中パイプは、前記各小空間中の前記蓄熱層が配置された小空間と隣接する小空間内から地中に埋設されている蓄熱層と、外気を戸外から導入して、前記蓄熱層へ送られる前又は送られた後の外気を前記複数の各小空間の内部を順次流通させて前記床下空間内の物体と熱交換させるように作動する換気用ファンと、を備えており、前記外気は各小空間の間を流通する方向において互いに小空間を介して対向する各空気通過孔は水平方向及び重力方向において互いにズレた位置で対向するように形成、配置されており、これにより、戸外から導入された外気は、まず、前記蓄熱層の周囲(外周側)に沿って配置された前記各小空間の中を、それぞれ蛇行しながら、或る1つの小空間から他の小空間へと順次流通しながら前記各小空間の物体と熱交換され、そのようにして熱交換された後に、前記蓄熱層が配置された小空間と隣接する小空間内の地中パイプ内に導入されて前記地中パイプ内を流通しながら地中熱と熱交換され、そのようにして地中熱と熱交換された後に、前記蓄熱層の内部に導入されて前記蓄熱層の内部で流通されながら熱交換され、そのようにした前記蓄熱層の内部で熱交換された後に、建物の室内に供給されるように構成されている、ことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係る空調機能付き床下空間を備えた建物換気システムにおいては、前記の外気がそれらの中を順次流通させられる複数の各小空間は、前記外気が前記蓄熱層の周囲(外周側)に沿って前記各小空間の中を順次流通してから前記蓄熱層内に流入するように、前記蓄熱層の周囲(外周側)を囲むように配置されていてもよい。
【0010】
また、本発明に係る空調機能付き床下空間を備えた建物換気システムにおいては、前記複数の仕切り部中の少なくとも2つの各仕切り部であって外気の流通方向における後方及び前方にそれぞれ互いに対向するように配置された2つの各仕切り部同士は、その各空気通過部の位置が水平方向及び/又は重力方向において互いにズレた位置となるように構成されていてもよい。
【0011】
また、本発明に係る空調機能付き床下空間を備えた建物換気システムにおいて、前記床下空間又は仕切り部中の前記流通する外気が接触する部材又は物質の表面には、外気の一部がその周辺で微小な渦流を形成するように、微小な突起、凸部、凹部又は凹凸が形成され又は備えられていてもよい。
【0012】
また、本発明に係る空調機能付き床下空間を備えた建物換気システムにおいて、前記蓄熱層は、前記各小空間を順次流通する過程で各小空間内の熱と熱交換され且つ地中に埋設された地中パイプ内を流通する過程で地中熱と熱交換された後の外気を、自ら(蓄熱層)の内部に受け入れ自らの内部を流通させてから室内に供給するものであってもよい。
【0013】
また、本発明に係る空調機能付き床下空間を備えた建物換気システムにおいて、前記蓄熱層は、熱伝導性の高い材料により構成された容器又は外気が容器の内外を流通可能なメッシュ構造又は多数の通気孔を有する容器であって複数の蓄熱材をその内部に収納した容器が、複数個、並べられ又は積層されて構成されていてもよい。
【0014】
さらに、本発明に係る空調機能付き床下空間を備えた建物換気システムにおいて、前記地中パイプは、前記各小空間中の前記蓄熱層が配置された小空間と隣接する小空間内から地中に埋設されているものであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明による空調機能付き床下空間を備えた建物換気システムにおいては、前記換気用ファンにより、外気は、床下空間内に導入された後、(蓄熱層へ送られる前に又は送られた後に)前記複数の各小空間の内部を(或る1つの小空間から他の小空間へと)順次に流通、通過する過程で、床下空間内の基礎立ち上がり部等の物体が有する熱(前記床下空間内には予め蓄熱層の作用などにより地中熱などが伝導され蓄熱されている)と十分に熱交換される。よって、本発明によれば、外気を地中熱などと熱交換させるための蓄熱層を床下空間中の一部だけに構成することにより建設コストを低減化させながら、外気を床下空間全体でその内部の地中熱などと有効に熱交換させてから、外気を室内に供給することができるようになる。
【0016】
また、本発明において、前記の外気が順次流通される複数の各小空間を前記蓄熱層の周囲(外周側)を囲むように配置し、前記外気が前記蓄熱層の周囲(外周側)に沿って前記各小空間の中を順次流通した後に前記蓄熱層内に流入するように構成したときは、前記外気は、前記蓄熱層の周囲(外周側)に沿って前記各小空間の中を(前記複数の各小空間の長い距離を)順次流通する過程で床下空間内の地中熱などと十分に熱交換されてから、前記蓄熱層に流入するようになる。
【0017】
また、本発明において、前記複数の仕切り部(例えば基礎立ち上がり部により構成される仕切り部)中の少なくとも一部(例えば2つ)の仕切り部であって外気の流通方向における後方及び前方にそれぞれ位置する各仕切り部同士を、その中の各空気通過部の位置が水平方向及び/又は重力方向において互いにズレた位置となるように形成又は構成したときは、前記外気が前記蓄熱層の周囲(外周側)に沿って前記各小空間の中を順次流通するとき、前記外気は前記各小空間内を蛇行しながら流通・通過する(前記蛇行により前記各小空間内での外気の滞留時間が増大化する)ようになるので、前記外気の床下空間内での地中熱などとの熱交換が、より効果的に行われるようになる。
【0018】
また、本発明において、前記床下空間又は仕切り部中の前記流通する外気が接触する部材(物体)の表面を、外気の一部がその周辺で微小な渦流を形成するような微小な突起、凸部、凹部又は凹凸(例えば前記外気の流通を妨げる方向に延びる突起又は凸部など)を有するように形成又は構成したときは、前記外気の一部が前記部材(物体)の表面の近傍で微小な渦流となり、前記外気が前記部材(物体)の表面、すなわち前記の基礎立ち上がり部又は仕切り部(前記各仕切り部には予め前記蓄熱層の作用などにより地中熱などが伝導、蓄積されている)の表面と接触する時間及び面積が全体として増加するので、前記外気が前記蓄熱層の周囲(外周側)に沿って前記各小空間の中を順次流通する過程で為される前記外気の床下空間内の地中熱などとの熱交換が、より効果的に行われるようになる。
【0019】
また、本発明において、前記蓄熱層を、前記各小空間及び地中パイプ内を流通する過程で熱交換された後の外気を受け入れて室内に供給するものとして構成したときは、前記床下空間(各小空間)及び地中パイプ内で地中熱などと熱交換されその後さらに蓄熱層の内部で熱交換された快適な外気を、室内に供給できるようになる。
【0020】
また、本発明において、前記蓄熱層を、熱伝導性の高い材料により構成された容器又は外気が容器の内外を流通可能なメッシュ構造又は多数の通気孔を有する容器であって複数の蓄熱材をその内部に収納した容器を複数個並べて又は積層して構成したときは、前記蓄熱層の施工を極めて効率的に行えるようになる。
【0021】
さらに、本発明において、前記地中パイプを、前記床下空間内の各小空間中の前記蓄熱層が配置された小空間と隣接する小空間内から地中に埋設して構成するようにしたときは、前記地中パイプ内で熱交換された外気を前記蓄熱層に移送することが極めて円滑にできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態1に係る空調機能付き床下空間を備えた建物換気システムの一部を示す概略正断面図である。
図2】本実施形態1における建物の床下空間及び基礎立ち上がり部を上方から示す平断面図である。
図3】本実施形態1における建物の床下空間及び基礎を側方から示す側断面図である。
図4】本実施形態1における建物の床下空間及び基礎を側方から示す側断面図である。
図5】本実施形態1において床下空間内で外気が接触する部材又は物体に微小な突起又は凸部が形成されていることを説明するための概略図である。
図6】本実施形態1において蓄熱層内に配置された各容器を説明するための概略斜視図である。
図7】本発明の実施形態2に係る空調機能付き床下空間を備えた建物換気システムにおける建物の床下空間及び基礎立ち上がり部を上方から示す平断面図である。
図8】従来の床下空間を備えた建物換気システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る空調機能付き床下空間を備えた建物換気システムの一部を示す概略正断面図、図2は本実施形態1における建物の床下空間及び基礎立ち上がり部を上方から示す平断面図、図3及び図4は本実施形態1における建物の床下空間及び基礎を側方から示す側断面図である。
【0024】
図1において、1は建物の外周に沿って配置される外壁、1aは外壁1の下方に配置される土台、2は外壁1及び土台1aの下方の地中に配置される基礎(建物の外周に沿って配置される基礎)、3は間仕切壁、3aは間仕切壁3の下方に配置される土台、4は間仕切壁3及び土台3aの下方の地中に配置される基礎、2aは前記外壁1及び土台1aを支持するための基礎2の立ち上がり部、4’は前記間仕切壁3及び土台3aを支持するための基礎4の立ち上がり部、5は前記各土台1a,3aなどに支持される床、6は前記各基礎立ち上がり部2a,4’の間の地盤面上に施工された土間コンクリート、10は室内である。
【0025】
また、図1において、5aは前記床5内に形成された外気流通層、1bは前記外壁1の室内10側に形成された外気流通層であって前記床5内の外気流通層5aと連通する外気流通層、3bは前記間仕切壁3の室内10側に形成された外気流通層であって前記床5内の外気流通層5aと連通する外気流通層である。前記の外壁1側の外気流通層1b中に流入された外気は、室内10側の内壁面1c中に形成された通気口1dから室内10に供給される。また、前記の間仕切壁3側の外気流通層3b中に流入された外気は、室内10側の内壁面3c中に形成された通気口3dから室内10に供給される。
【0026】
本実施形態1においては、図1に示すように、外壁1の下方の基礎立ち上がり部2aにより床下空間7が形成されている。また、各間仕切壁3の下方の基礎立ち上がり部4’から成る仕切り部(図2の符号4a〜4kなど参照)により、前記床下空間7内が、複数の小空間(図2の符号8a〜8hなど参照)に区画・分割されている。
【0027】
前記外壁1の下方の基礎立ち上がり部2aの一部には、外気(戸外からの空気)を床下空間7内に導入するための床下換気口2b(図1,2参照)が形成されている。また、前記各仕切り部(図2の符号4a〜4kなど参照。間仕切壁3の下方の基礎立ち上がり部4’により構成される各仕切り部)中の計7個の仕切り部4a〜4gには、蓄熱層21の周囲に配置された計8個の各小空間8a〜8h(図2参照)の相互間での外気の流通を可能にするための通気口(図2〜4の符号9a〜9g参照)がそれぞれ形成されている。
【0028】
このように、本実施形態1における床下空間7内では、図2の図示中央の小空間(蓄熱層21を構成する部分)の周囲に計8個の各小空間8a〜8h(図2参照)が配置されている。そして、前記床下空間7内の図示中央の小空間(前記計8個の各小空間8a〜8hに囲まれた小空間)の内部には、多数のグリ石が集積され配置されることにより蓄熱層21が形成されている(詳細は後述する)。
【0029】
また本実施形態1では、図1図2などに示すように、図示中央の小空間を囲むように配置された他の小空間(図2の符号8a〜8h)の中の1つの小空間8h内において、地中パイプ11が、小空間8h内の地中の例えば約1〜10mの深さ(より望ましくは約4〜6mの深さ)に、埋設されている。この地中パイプ11は、例えば前記特許文献1に開示された地中パイプと同じように、外管12の中に内管13が挿入された二重管構造のパイプである。図4に示すように、外気は、前記地中パイプ11を構成する外管12の上方部分の通気口から、外管12と内管13との間の隙間11a(図2参照)内に導入されてその隙間11a内を下降し、その過程で地中熱と熱交換される。前記隙間11a内を下降した外気は、外管12の底部に衝突して反転して内管13内を上昇し、その後、横管14を通って、蓄熱層21内に供給される。
【0030】
また、図2,4に示すように、前記内管13の上方部分には、その先端部が前記中央の小空間内の蓄熱層21の内部に延びる横管14が、接続されている。この横管14の内部には換気用ファン15が配置されている。前記横管14の蓄熱層21内に配置された部分14aは、前記換気用ファン15によりその内部の外気が蓄熱層21内に供給されるように、多数の開口部を有するメッシュ状に形成されている(なお前記横管14内の外気が前記蓄熱層21内に供給されるように、前記横管14の前記部分14aをメッシュ状に構成することに代えて、前記横管14の前記部分14aに多数の通気孔を形成するようにしてもよい)。
【0031】
また、本実施形態1においては、図2〜4に示すように、前記各仕切り部4a〜4g(本実施形態1では、各仕切り部は、間仕切壁3の下方の基礎立ち上がり部4’により構成されている)には、各小空間の相互間での外気の流通を可能にするための通気口9a〜9gがそれぞれ形成されている。そして、前記の互いに隣り合う又は対向する各仕切り部にそれぞれ形成された各通気口は、図2及び図3に示すように、互いに水平方向及び重力方向にズレた状態で隣り合う又は対向するような位置に、それぞれ形成されている。
【0032】
また本実施形態1では、前記床下空間7内で外気が前記各小空間8a〜8g内を流通するときに前記外気が接触する部材又は物体、例えば前記外壁1の下方に位置する基礎立ち上がり部2aの内壁面、及び前記各小空間8a〜8fの側壁面となる仕切り部(基礎立ち上がり部4’により構成される部分)4i,4j,及び4k(図2参照)の内壁面には、図5に示すような微小な突起又は凸部、例えば外気の流通を妨げるような方向に突出する微小な突起又は凸部25が形成されている。この微小な突起又は凸部25により、前記各小空間8a〜8g内を流通する外気の一部は、前記微小な突起又は凸部25の周辺で微小な渦流となる(図5のKを参照)。
【0033】
よって、本実施形態1では、前述のような微小な突起又は凸部25の各周辺で前記微小な渦流が生じるようになる結果、外気の一部が前記微小な突起又は凸部25の周辺で滞留し、外気の前記各小空間8a〜8g内での滞留時間が全体として増大化するので、前記各小空間8a〜8g内での外気の熱交換が、より効果的に行われるようになる。なお、本発明においては、前記内壁面に突起又は凸部25を形成することに代えて、前記内壁面に凹部(外気の流通方向と交差する方向に窪む凹部)又は凹凸を形成するようにしてもよい。
【0034】
また本実施形態1では、前記蓄熱層21を構成する多数のグリ石などの蓄熱材は、複数個が容器に入れられた状態で、前記蓄熱層21内に配置されている。図6はこのような容器の一例を示す図である。図6において、31は多数のグリ石30を収容する例えば金属製(木製、プラスチック製やセラミック製でもよい)の網により形成された容器、32a,32bは前記容器31を開いたときの各端部、33は前記各端部32a,32bを互いに近接又は当接させた状態で固定する公知の構造の固定金具、34は前記容器31の上面側の各端部32a,32bの近傍に取り付けられた取っ手である。なお、前記容器31の外形寸法は、例えば縦300mm、横500mm、高さ400mmである。
【0035】
本実施形態1では、例えば前記容器31の上面側の各端部32a,32bを互いに離反させて開き、その開いた部分から多数のグリ石30を入れた後に前記各端部32a,32bを前記固定金具33により互いに固定する。そして、このようにして内部に多数のグリ石30を収容した容器31を多数個、前記床下空間7の中央の小空間(図2参照)の中に配置し敷き詰めることにより蓄熱層21を形成する。このように、本実施形態1では、前述のような複数のグリ石30を収容した容器31を多数個、小空間内に配置し敷き詰めることにより蓄熱層21を形成するようにしたので、蓄熱層21の施工をより効率的に行えるようになる。なお、前記容器31は、網を使用しないで、多数の通気孔が形成されたシートなどを使用して製造するようにしてもよい。
【0036】
次に本実施形態1の全体の動作を説明する。図2に示すように、戸外からの外気は、前記換気用ファン15の作用により、基礎立ち上がり部2aの床下換気口2bから小空間8a内に順次流入する。すると、この流入した外気は、前記小空間8a内を、次の小空間8bとの仕切り部4a中の通気口9aに向かって流通する。ここで、前記仕切り部4aの通気口9aは、前記基礎立ち上がり部2a中の前記仕切り部4aと対向する部分における床下換気口2bの位置に対して水平方向(図示左右方向)において図示右方向にズレた位置に形成されている。また、図示省略しているが、前記仕切り部4a中の通気口9aは、前記基礎立ち上がり部2a中の床下換気口2bに対して、重力方向(図2において紙面と直交する方向)においてもズレた位置に形成されている。よって、前記外気は、前記小空間8a内において、矢印α1のように水平方向及び重力方向に蛇行しながら流通する。
【0037】
このようにして、前記小空間8a内を蛇行しつつ流通した外気は、仕切り部4aの通気口9aを通過して次の小空間8b内に流入し、この小空間8b内を、次の小空間8cとの仕切り部4b中の通気口9bに向かって流通する。ここで、図2に示すように、前記仕切り部4b中の通気口9bは、前記仕切り部4a中における通気口9aの位置(図2において図示右寄りの位置)に対して水平方向において図示左方向にズレた位置に形成されている。また、図示省略しているが、前記仕切り部4b中の通気口9bは、前記仕切り部4a中の通気口9aに対して、重力方向(図示上下方向)においてもズレた位置に形成されている。よって、前記外気は、前記小空間8b内において、矢印α2のように水平方向及び重力方向に蛇行しながら流通する。
【0038】
次に、このようにして、前記小空間8b内を蛇行しつつ流通した外気は、仕切り部4b中の通気口9bを通過して次の小空間8c内に流入し、この小空間8c内を、次の小空間8dとの仕切り部4c中の通気口9cに向かって流通する。ここで、図2に示すように、前記仕切り部4c中の通気口9cは、前記仕切り部4b中における通気口9bの位置(図2において図示左寄りの位置)に対して水平方向において右方向(=図示上方向)にズレた位置に形成されている。また、図3に示すように、前記仕切り部4c中の通気口9cは、前記仕切り部4b中の通気口9bの位置(重力方向において下方の位置)に対して、重力方向においてもズレた位置(重力方向において上方の位置)に形成されている。よって、前記外気は、図2及び図3に示すように、前記小空間8c内において、矢印α3のように水平方向及び重力方向に蛇行しながら流通する。
【0039】
次に、このようにして、前記小空間8c内を蛇行しつつ流通した外気は、仕切り部4c中の通気口9cを通過して次の小空間8d内に流入し、この小空間8d内を、次の小空間8eとの仕切り部4d中の通気口9dに向かって流通する。ここで、前記仕切り部4d中の通気口9dは、前記仕切り部4c中における通気口9cの位置(図2において図示上方の位置)に対して水平方向(図示上下方向)において図示下方向にズレた位置に形成されている。また、図3に示すように、前記仕切り部4d中の通気口9dは、前記仕切り部4c中の通気口9cの位置(重力方向において上方の位置)に対して、重力方向においてもズレた位置(重力方向において下方の位置)に形成されている。よって、前記外気は、図2及び図3に示すように、前記小空間8d内において、矢印α4のように水平方向及び重力方向において蛇行しながら流通する。
【0040】
次に、このようにして、前記小空間8d内を蛇行しつつ流通した外気は、仕切り部4dの通気口9dを通過して次の小空間8e内に流入し、この小空間8e内を、次の小空間8fとの仕切り部4e中の通気口9eに向かって流通する。ここで、図2に示すように、前記仕切り部4e中の通気口9eは、前記仕切り部4d中の水平方向における通気口9dの位置(図2において図示下方の位置)に対して、水平方向においてはズレていない位置(図2において図示右方の位置)に形成されている。しかし、図3に示すように、前記仕切り部4e中の通気口9eは、前記仕切り部4d中における通気口9dの位置(重力方向において下方の位置)と重力方向においてズレた位置(重力方向において上方の位置)に形成されている。よって、前記外気は、図3に示すように、前記小空間8e内において、矢印α5のように重力方向において蛇行(図3参照)しながら流通する。
【0041】
次に、このようにして、前記小空間8e内を重力方向において蛇行(図3参照)しつつ流通した外気は、仕切り部4eの通気口9eを通過して次の小空間8f内に流入し、この小空間8f内を、次の小空間8gとの仕切り部4f中の通気口9fに向かって流通する。ここで、前記仕切り部4f中の通気口9fは、前記仕切り部4e中における通気口9eの位置(図2において図示右寄りの位置)に対して水平方向においてズレた位置(図2において図示左寄りの位置)に形成されている。また、図示省略しているが、前記仕切り部4f中の通気口9fは、前記仕切り部4e中の通気口9eの重力方向における位置に対して、重力方向においてもズレた位置に形成されている。よって、前記外気は、前記小空間8f内において、矢印α6のように水平方向及び重力方向において蛇行しながら流通する。
【0042】
次に、このようにして、前記小空間8f内を蛇行しつつ流通した外気は、仕切り部4fの通気口9fを通過して次の小空間8g内に流入し、この小空間8g内を、次の小空間8hとの仕切り部4g中の通気口9gに向かって流通する。ここで、前記仕切り部4g中の通気口9gは、前記仕切り部4f中における通気口9fの位置(図2において図示左側の位置)に対して水平方向においてズレた位置(図2において図示上側の位置)に形成されている。また、図示省略しているが、前記仕切り部4g中の通気口9gは、前記仕切り部4f中の通気口9fの重力方向における位置に対して、重力方向においてもズレた位置に形成されている。よって、前記外気は、前記小空間8g内において、矢印α7のように水平方向及び重力方向において蛇行しながら流通する。
【0043】
次に、このようにして、前記小空間8g内を蛇行しつつ流通した外気は、仕切り部4gの通気口9gを通過して次の小空間8h内に流入する。この小空間8h内には、外管12と内管13とから成る二重構造の地中パイプ11が、その上方部分だけが地盤面上に露出された状態で地中に埋設されている。前記小空間8h内に流入した外気は、前記換気用ファン15の作用により、地中パイプ11を構成する外管12と内管13との間の隙間11a中に流入し(図2の矢印α8参照)、前記隙間11a内を下降する(図1の矢印A参照)。この過程で、前記外気は地中熱と熱交換される。その後、前記隙間11a内を下降した外気は、図1図4に示すように、外管12の底部に衝突した後、内管13の内部に入り、その中を上昇する(図1の矢印Bを参照)。
【0044】
前記内管13中を上昇した外気は、図4に示すように、内管13の上方部分と接続された横管14内に流入する。図2に示すように、横管14は、小空間8hとそれと隣り合う蓄熱層21が配置された小空間(図2において床下空間7内の中央に位置する小空間)との間を区画する仕切り部4h中の開口部を介して、小空間8hから次の小空間内の蓄熱層21内に延びるように配置されている。前述のようにして横管14内に流入した外気は、換気用ファン15の作用により、横管14の前記蓄熱層21内の先端近傍部分14aの方に移動し、横管14内部から、その先端近傍部分14a(外周部分が金網などのメッシュ構造により構成されることなどにより、外周部分に多数の通気孔が形成されている部分)を介して、外部(蓄熱層21)に排出される(図2の矢印α9参照。また図1の矢印Cも参照)。
【0045】
前記横管14の先端近傍部分14aから排出された外気は、多数の蓄熱材(本実施形態1ではグリ石)が集積された蓄熱層21内に流入される(図1の矢印Cを参照)。前記地中パイプ11から蓄熱層21内に流入した外気は、前記各蓄熱材(グリ石)30の間の隙間を流通・通過する過程で、前記各蓄熱材(グリ石)30と熱交換され、その後、床5内の外気流通層5a内に流入する(図1の矢印D参照)。その後、前記外気は、間仕切壁3の室内側の外気流通層3b及び外壁1の室内側の外気流通層1b内に流入され(図1の矢印E参照)た後、内壁面3c,1c中に形成された通気口3d,1dからそれぞれ各室内10に供給される(図1の矢印F参照)。
【0046】
なお、本実施形態1では、前記地中パイプ11から蓄熱層21内に流入した外気は、前記各蓄熱材(グリ石)30の間の隙間を流通・通過する過程で、前記各蓄熱材(グリ石)30と熱交換されるだけでなく、前記各蓄熱材(グリ石)30の表面に付着している水分(又は前記各蓄熱材(グリ石)30の水分が付着しないで乾燥している表面)との間で外気が含む湿気が調湿される(乾燥した外気に蓄熱材表面に水分が供給されたり、それとは逆に、外気に多く含まれている湿気が蓄熱材の表面に付着して外気の湿気が減少させられることなどによる、前記各蓄熱材による外気調湿作用)と共に、外気が含む粉塵が前記各蓄熱材(グリ石)30の表面(特に水分が付着した表面)に付着されて外気が清浄化され(前記各蓄熱材による外気清浄化作用)、そのような地中熱と熱交換され、調湿され、及び清浄化された外気が、室内10に供給される。
【0047】
以上のように、本実施形態1においては、外気は、前記換気用ファン15により、床下空間7内に導入された後、前記蓄熱層21へ送られる前に、前記複数の各小空間8a〜8gの内部を順次に流通、通過する過程で、床下空間7内の基礎立ち上がり部2a等の物体が有する熱(前記床下空間7内には予め前記蓄熱層21の作用などにより地中熱などが伝導され蓄熱されている)と熱交換されるようになる。よって、本実施形態1によれば、外気を地中熱などと熱交換させるための蓄熱層21を床下空間7中の一部だけに構成することにより建設コストを低減化させながら、外気を床下空間7全体でその内部の地中熱などと有効に熱交換させてから、外気を室内10に供給することができるようになる。
【0048】
また、本実施形態1では、前記複数の各小空間8a〜8gを前記蓄熱層21(床下空間7内の略中央に位置する小空間内の蓄熱層21)の周囲(外周側)を囲むように配置し、前記外気が、前記蓄熱層21の周囲(外周側)に沿って前記各小空間8a〜8gの中を順次流通した後に前記小空間8h内の地中パイプ11を介して前記蓄熱層21内に流入するように、構成されている。よって、本実施形態1によれば、前記外気は、前記蓄熱層21の周囲(外周側)に沿って前記各小空間8a〜8gの中を順次流通する過程で床下空間7内の地中熱などと十分に熱交換されてから、前記蓄熱層21に流入するようになる。
【0049】
また、本実施形態1において、前記複数の仕切り部(例えば基礎立ち上がり部4’により構成される仕切り部)は、外気の流通方向における後方及び前方にそれぞれ位置する各仕切り部同士の各通気口の各位置が水平方向及び/又は重力方向において互いにズレた位置となるように形成又は構成されている。すなわち、本実施形態1では、図2に示すように、外気の流通方向における後方及び前方にそれぞれ位置する基礎立ち上がり部2aの床下換気口2bと仕切り部4aの通気口9a、同各仕切り部4aと4bの各通気口9aと9b、同各仕切り部4bと4cの各通気口9bと9c、同各仕切り部4cと4dの各通気口9cと9d、同各仕切り部4dと4eの各通気口9dと9e、同各仕切り部4eと4fの各通気口9eと9f、及び、同各仕切り部4fと4gの各通気口9fと9gの各位置が、水平方向及び/又は重力方向において互いにズレた位置となるように形成又は構成されている。よって、本実施形態1によれば、前記外気が前記蓄熱層21の周囲(外周側)に沿って前記各小空間8a〜8gの中を順次流通するとき、前記外気は前記各小空間8a〜8g内を水平方向及び/又は重力方向に蛇行しながら流通・通過する(前記蛇行により前記各小空間8a〜8g内での外気の滞留時間が増大化する)ようになる。よって、本実施形態1によれば、前記外気の床下空間7内での地中熱などとの熱交換が、より効果的に行われるようになる。
【0050】
また、本実施形態1では、前記各小空間8a〜8g内を流通する過程で前記外気が接触する部材又は物体の表面(例えば、基礎2の立ち上がり部2aの内壁面、基礎4の立ち上がり部4’により構成される各仕切り部4i,4j.4kの内壁面など)を、図5に示すように、外気の一部がその周辺で微小な渦流を形成するような微小な突起又は凸部(外気の流通を妨げる方向に延びる突起又は凸部)25を有するように、形成した。よって、本実施形態1によれば、外気の一部が前記表面の近傍で微小な渦流となる結果、外気が前記表面と接触する時間及び面積が全体として増加するので、前記外気が前記蓄熱層21の周囲(外周側)に沿って前記各小空間8a〜8gの中を順次流通する過程における前記外気の床下空間7内の地中熱などとの熱交換が、より効果的に行われるようになる。
【0051】
また、本実施形態1では、前記蓄熱層21は、前記各小空間8a〜8g及び地中パイプ11内を流通する過程で熱交換された後の外気を受け入れて室内10に供給するようにしている。よって、本実施形態1によれば、前記床下空間7(各小空間8a〜8g)及び地中パイプ11内で地中熱などと熱交換されその後さらに蓄熱層21の内部で熱交換された快適な外気を、室内10に供給できるようになる。
【0052】
また、本実施形態1では、前記蓄熱層21を、金属などの熱伝導性の高い材料により構成された容器又は外気が容器の内外を流通可能なメッシュ構造又は多数の通気孔を有する容器31であって複数の蓄熱材30をその内部に収納した容器31を多数個並べ積層することにより構成するようにしたので、前記蓄熱層21の施工を極めて効率的に行えるようになる。
【0053】
さらに、本実施形態1では、前記地中パイプ11を、前記床下空間7内の各小空間中の前記蓄熱層21が配置された小空間と隣接する小空間8h内から地中に埋設して構成するようにしたので、前記地中パイプ11内で熱交換された外気を前記蓄熱層21に移送することが極めて円滑にできるようになる。
【0054】
〔第2の実施形態〕
次に本発明の実施形態2に係る空調機能付き床下空間を備えた建物換気システムを、図7の概略正断面図を参照して説明する。本実施形態2は前記実施形態1と基本的構成が同一であるので、以下では異なる部分についてのみ説明する。
【0055】
本実施形態2では、図7に示すとおり、前記実施形態1と同様に、床下空間7内の複数の各小空間8a〜8gを、蓄熱層21(床下空間7内の略中央に位置する小空間内の蓄熱層21)の周囲(外周側)を、ほぼ一週分、囲むように配置し、床下換気口2bからの外気が、前記蓄熱層21の周囲(外周側)に沿って前記各小空間8a〜8gの中を順次流通した後に前記小空間8h内の地中パイプ11を介して前記蓄熱層21内に流入するように、構成されている。よって、本実施形態2においても、前記実施形態1と同様に、前記外気は、前記蓄熱層21の周囲(外周側)に沿って前記各小空間8a〜8gの中を順次流通する過程で床下空間7内の地中熱などと十分に熱交換されてから、前記蓄熱層21に流入するようになっている。
【0056】
しかし、本実施形態2では、前記実施形態1と異なって、床下空間7内を複数の各小空間8a〜8gに区分する各仕切り部4a〜4gの各通気口9a’〜9g’の位置について、前記実施形態1のように外気の流通方向における後方及び前方にそれぞれ位置する各仕切り部同士の各通気口の位置が水平方向及び/又は重力方向において互いにズレた位置となるように形成又するのではなく、前記各通気口9a’〜9g’の各位置が水平方向及び重力方向において互いにズレないような位置に形成するようにしている。よって、本実施形態2においては、前記実施形態1と異なって、外気が前記蓄熱層21の周囲(外周側)に沿って前記各小空間8a〜8gの中を順次流通するとき、前記外気は前記各小空間8a〜8g内を水平方向及び/又は重力方向において蛇行しながら流通・通過する(前記蛇行により前記各小空間8a〜8g内での外気の滞留時間が増大化する)という作用効果は生じない。
【0057】
しかしながら、上記の構成以外は本実施形態2の構成は前記実施形態1と同様である。よって、本実施形態2によっても、上記の「前記外気は前記各小空間8a〜8g内を水平方向及び/又は重力方向において蛇行しながら流通・通過する(前記蛇行により前記各小空間8a〜8g内での外気の滞留時間が増大化する)という作用効果」を除き、前記実施形態1と同様の作用効果を、奏することができる。
【0058】
以上、本発明の各実施形態1,2について説明したが、本発明は前記の各実施形態1,2として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施形態1,2では、(a)戸外からの外気を床下空間7中の各小空間8a〜8g内8a〜8g内において順次流通させて熱交換させた後に地中パイプ11内で流通させて熱交換させその後に蓄熱層21内で流通させて熱交換させる(その後に室内10に供給する)ようにしたが、本発明ではこれらに限られるものではなく、例えば、(b)戸外からの外気を床下空間7中の各小空間8a〜8g内において順次流通させて熱交換させた後に蓄熱層21内で流通させて熱交換させその後に地中パイプ11内で流通させて熱交換させる(その後に室内10に供給する)、(c)戸外からの外気を床下空間7中の蓄熱層21内で流通させて熱交換させその後に地中パイプ11内で流通させて熱交換させその後に床下空間7中の各小空間8a〜8g内において順次流通させて熱交換させる(その後に室内10に供給する)、(d)戸外からの外気を床下空間7中の蓄熱層21内で流通させて熱交換させその後に床下空間7中の各小空間8a〜8g内において順次流通させて熱交換させその後に地中パイプ11内で流通させて熱交換させる(その後に室内10に供給する)、(e)戸外からの外気を地中パイプ(例えば建物外の敷地中に埋設した地中パイプ)内で流通させて熱交換させその後に床下空間7中の各小空間8a〜8g内において順次流通させて熱交換させその後に床下空間7中の蓄熱層21内内で流通させて熱交換させる(その後に室内10に供給する)、又は(f)戸外からの外気を地中パイプ(例えば建物外の敷地中に埋設した地中パイプ)内で流通させて熱交換させその後に床下空間7中の蓄熱層21内で流通させて熱交換させその後に床下空間7中の各小空間8a〜8g内において順次流通させて熱交換させる(その後に室内10に供給する)、などの様々な方法が可能である。
【0059】
また、前記実施形態1においては、前記外気の流通方向における後方及び前方に位置する各仕切り部同士を、その各通気口の位置が水平方向及び重力方向において互いにズレた位置となるように形成するようにしたが、本発明ではこれに限られるものではなく、例えばその各通気口の位置が水平方向及び重力方向のいずれか一方の方向においてのみ互いにズレた位置となるように形成するようにしてもよい。
【0060】
さらに、前記実施形態1又は2においては、外気を床下空間7中の各小空間8a〜8g内において順次流通させるために形成される各仕切り部4a〜4g中の通気口9a〜9g又は9a’〜9g’を、各仕切り部4a〜4g中の孔として形成したが、本発明では各仕切り部4a〜4g中の端部の切欠きとして形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 外壁
1a,3a 土台
1b,3b,5a 外気流通層
1c,3c 内壁面
1d,3d,9a〜9g 通気口
2,4 基礎
2a,4’ 基礎立ち上がり部
2b 床下換気口
3 間仕切壁
4a〜4k 仕切り部
5 床
6 土間コンクリート
7 床下空間
8a〜8h 小空間
25 凸部
30 蓄熱材(グリ石)
31 容器
32a,32b 容器の各端部
33 固定金具
34 取っ手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8