(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の具体的な実施例について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明に係るグラビアオフセット印刷装置の全体的な構成を示している図面である。
【0013】
本発明のグラビアオフセット印刷装置は外観が平面印刷形状を有し、一対の平行する直線レールに沿って回転しながら移動するブランケットロール100、インクをインク転写部に均一に塗布するインク供給部200、ブランケットロールの下端に接するように位置して印刷する印刷模様をブランケットロールにインクを転写する一つ以上のインク転写部300(
図2)、ブランケットロールの移動方向前方に位置してブランケットロールに転写したインク(印刷模様)が印刷される印刷物が位置する印刷部400を含み、追加的に印刷物に印刷されたインクを乾燥および冷却する乾燥部600をさらに含む。
【0014】
以下ブランケットロール100に対して詳細に説明する。
【0015】
ブランケットロール100(以下、記載の便宜上、ロールと称する)は円筒状または円筒形状(完全な円筒形ではなく、弾性を持ち、ほぼ円筒に近似できる形状、以下円筒形状という)を有し、本実施例では反時計回りに回転しながら
図1に図示された第1方向に水平移動する。このために、本図面には図示されていないが、ロールがロールの回転長と同一に水平移動できるようにロール100が回転によってガイドレール110に可能な限り沿って移動できるように構成されることが好ましい。すなわち、ブランケットロール100は回転速度と同一に第1方向に水平移動をする。
【0016】
ブランケットロール100の材質は例えば、テフロン、シリコーン、塩化ビニル、ウレタン、エポキシなど中の一つまたはその組合せを主成分とする、いわゆるゴムロールである。さらに他の実施例として、ロールの材質は前記主成分に無機物粒子を含有するなどの組合せもあり得る。これはインクおよび印刷物間の分子間力などに依存するものであって、単位体積あたりのインクと印刷物の材質それぞれの持つ、エンタルピーの差が、小さいという条件に密接に関連している。特に分子間力が強い場合は近似的にこれが必要条件になる。
【0017】
印刷物の材質は例えば、弾性重合体、プラスチックなどの有機物、ガラス、更に半導体または太陽電池などに用いられるシリコン基板、その他の金属、紙など、非常に多様なものであり得る。
【0018】
ブランケットロール100の硬度は常温(25度C)でJIS-A規格40度以下0度以上であり、特に立体印刷物の厚さに対して0.5〜40倍のロール厚さを有する。ブランケットロールの中心に金属軸芯がある場合、前記ロールの厚さは金属軸芯を除いた残り部分を意味する。
【0019】
転写時のロールの回転速度(および第1方向移動速度)は、転写部300の上で0.5〜12m/分、前記ロールの回転速度はグラビアオフセット印刷において、ブランケットロールへのインク転写時に重要なものであって、インクに対する流体運動方程式を満足するためのものである。このような特徴がパッド印刷・タンポ印刷(tampo print)またはスクリーン印刷方式との根本的な差と言える。
【0020】
すなわち、ブランケットロールは適切なニップ(Nip)長を有するため、特に分子間力の小さいロールは、必要に応じて(例えば、銀などの貴金属を含有する伝導性インクなどの場合)インクの上昇流体物理運動を担保するために、ロール印刷時のロールの第1方向速度は0.5〜12m/分が好ましい。
【0021】
さらに、ロールに転写したインクと印刷物の間の分子間力は、上記のエンタルピーなどを考慮したものを選択することが好ましい。これによって、印刷時のインクの移動を促進・最適化させることができる。
【0022】
加えて、当方式と、他形式の印刷法との大きな差異は、当方式のグラビアロール上に版のインクを正確に写し取る方式のため、精密な再現性を担保できるため、以下に述べる、複雑な重ね印刷が容易に高速に出来ることである。
【0023】
以下、
図2を参照してインク供給部200に対して詳細に説明する。
【0024】
インク(I)は1色のみを用いることもできるが、本発明は多色印刷を仮定して以下の複数の色(添付された図面と以下の実施例では4つの色をそれぞれ有するインク部分(I1、I2、I3、I4)用いる。以下、説明のために、
図2から見たとき、右側から一番目(I1)、2番目(I2)、3番目(I3)および4番目(I4)のインク部分と称する。好ましい実施例として、前記4つの色はCMYK(Cyan、Magenta、Yellow、Key plate/Black)色相表による4つの色であり、より好ましい実施例として、アルコールへの耐性を強化するために、UVニス(Varnish)等を最後のインクとして追加することもできる。
【0025】
それぞれの色別に、インクは所定の間隔(L+Δ)を有する複数のインクシリンジ210を通じて同時に滴下する。これと同時に前記複数のインクシリンジ210はリニアアクチュエータなどの水平移動手段を通じて第1方向(x方向)に必要なインクの幅(L)だけ動いてインク液を線形に滴下しながら移動する。また、本説明では多色インクと表現したが、これは発明の一実施例であって、インク以外の透明な有機物やワニス、更に同一色のインクであっても性質などが異なるインクを含む。
【0026】
スキージ 部230のブレードはブランケットロール100の移動方向(第1方向(x))とは直交する第2方向(y)にインク転写部の転写版310の上に接した状態で移動し、前記インクシリンジによって線形に供給されたインクを転写凹版溝・陰刻に充填する。
【0027】
この時、それぞれの色が互いに混合されないようにインクが供給される幅を調節しなければならない。本発明の実施例において、説明の単純化のために、インクが供給される幅および陰刻のパターン模様が形成されたインク転写版310の幅をすべてLと表示した。すなわち、インクはインク転写版310の幅(L)だけ線形に供給される。但し、目的に応じ、同じL幅であるとは限らない。
【0028】
図2に示されたように、インク転写版310は複数個を具備してもよく、この場合、インク転写版はインクが互いに混合されないように所定の間隔(Δ)を置いて転写版支持台330上に
図2の形式で配置され得る。インク転写版310は説明の便宜上長方形で図示されたが、必ずしも長方形である必要はなく、必要に応じて多様な形状を有することができる。
【0029】
以下、
図3および
図4を参照してブレードを通じてインクをインク転写版310上の陰刻パターンに充填するスキージ段階を説明する。
【0030】
図3はインク転写部300の版状の転写版支持台330上に配置される4つのインク転写版310を示している。
【0031】
インク転写版310は、好ましくは微細陰刻パターンを加工することができる金属製の版または樹脂フィルムなどであり得る。
【0032】
インク転写部300は陰刻パターン311内のインクをブランケットロール100の表面上に転写する構成であって、版状の支持台300上に一つ以上のインク転写版310が固定される。前記インク転写版310は今後ロール100にインクを転写するため、後述する多色印刷のために正確な位置に固定されていなければならない。
【0033】
インク転写版310を支持台上に固定する第1の固定方法として、図示されていない真空発生部を通じて発生する真空圧力を真空孔335を通じて発生させ、フィルム材質のインク転写版310を支持台330上に動かないように固定させることができる。第2の固定方法として、両面テープ336を用いてインク転写版310を支持台上に固定する。第3の固定方法として、留め金或いは回転固定ネジなどで固定させることもできる。
【0034】
図4はスキージ部230のブレード部がロール100が移動する第1方向と直交する第2方向に移動しながらインク転写版310上の陰刻パターン内にインクを充填することを示している。
【0035】
ただし、
図4では、スキージ 部230のブレードはブランケットロール100の移動方向(第1方向(x))が直交することを図示したが、直交ではなく、所定の角度(180度を除く角度(即ち、平行でない角度))を持ってもよい。
【0036】
インク転写版310は陰刻パターン311が形成されている。樹脂フィルム上に陰刻パターンを形成する方法は、すでに広く知られているインプリント方法などがあり、これは公知の技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
スキージ部230のブレードは一端が直線形であるドクターブレードのように、一端がインク転写版310に接した状態でインク(I)を第2方向に押しながらインクを微細陰刻パターン311の中に充填する役割をする。
図5はインク(I)が微細陰刻パターン311を充填する様子を示している図面である。このように微細陰刻パターン311内にのみインク(I)が充填され、その後、前記インクはロール100がこれと接した状態で第1方向に移動および回転しながら分子間力及び流体力学運動に基づく力によって引き上げられてロールの表面に転写する(
図6)。
【0038】
本発明の好ましい実施例において、前記ブレードはインクの間の混色を防止するために形成される支持台330の突出部または凹部331、332、333の形状に対応して、ブレードの一端中の一部の形状が変わることもありうる。
【0039】
図4において、インク転写版310は合計4つが備えられ、それぞれのインク転写版310は同じ幅(L)を有し、それぞれのインク転写版は互いに所定の間隔(Δ)を有する。前述の通り、インク(I)の供給幅もLであるため、ブレードがインクを押しながら第2方向に移動する時、インクが両側に流れて隣り合って位置するインク転写版に入ってインクが互いに混合される恐れがある。
【0040】
これを防止するために、転写版支持台330は前記間隔(Δ)に凹部331、333または突出部332を第2方向に伸長するように具備してインクが混合されることを防ぐことができる。
【0041】
この時、前記凹部または突出部の形状に対応してブレードの一端中の一部の形状が突出部または凹部231、232の形状を有することができる。もちろん、転写版支持台が凹部331、333の形状を有する場合、必ずしもブレードの一部が凸部231の形状を有する必要はないが、転写版支持台が突出部332の形状を有する場合、ブレード部の円滑な移動のためにブレード部の一端中の一部の形状は支持台の凸部332の形状に対応する凹部232を有することが望ましい。
【0042】
さらに他の好ましい実施例として、インクをブレード部を通じて微細陰刻パターンに充填した後、余分のインクを適切に拭き取るための補助ローラなどを設置することもできる。前記補助ローラは必要に応じて、前記ブレード部に付いたインクを自動的に拭き取るものであって、インクの粘度や使用量に応じて所定のスキージ回数ごとにブレード部のインクを拭き取るように設定することができる。
【0043】
本発明に係るスキージブレード部のさらに他の実施例を
図7および
図8を参照して説明する。
【0044】
インク供給部200のスキージブレード部は、
図7に図示されているように、ブレード部を互いに所定の角度(a + b)を持ち、ブレード回転部260を中心に斜めに配置される2つの第1ブレード230a、第2ブレード230bで構成できる(以下本実施例をダブルブレードという)。この場合、インクシリンジ210もブレード回転部260を中心に第1ブレード側に配置される第1インクシリンジ210a及び第2ブレード側に配置される第2インクシリンジ210bで構成される。これは、インク供給部200がインクを第2方向に移動した後、もとの位置に戻る時にも、インク供給及びスキージ作業を遂行することが可能である構成である。
【0045】
以下
図8を参照してダブルブレードの動作を説明する。
【0046】
図8aは、ロール100がまだ転写部に入る前に1回目のインク供給をする時に、
図7のインク供給部200のb - b'の端面である。第1インクシリンジ210aは、インクを転写部に供給し、第2ブレード230bの一端が転写版310に接したまま第2方向に移動する。この時第2インクシリンジ210bは、インクを供給しない。 ブレード回転部260は、第2ブレードの一端が転写版310に接するように回転し、第2ブレードは、ブレード回転部を中心に垂直軸に対して所定の角度(b)を持つ。この時、第1ブレード230aは、一端が転写部に接しないようにブレード回転部を中心に垂直軸に対して前記の第2ブレード230bの角度(b)より大きい角度(a)を持つ(a > b)。
【0047】
図8bは、1回目のインク供給が終わり、ロール100がすでに転写部を通過した後、元の位置にインク供給部200が戻りながら、インクの供給及びスキージ作業をすることを示す図面である。
図8aの場合とは、逆に、第2インクシリンジ210bが、インクを転写部に供給し、第1ブレード230aの一端が転写版310に接したまま第2方向の逆の方向に移動する。この時、第2ブレード230bは、一端が転写部に接しない反面、第1ブレード230aの一端は転写部に接するようにブレード回転部が回転する。
【0048】
図7及び
図8に図示されるダブルブレード構成によると、一回目のインク供給が終わってから元の位置に戻ることと同時に次のインク転写のためのさらなるインク供給が可能になるため、インク供給作業の効率性及び経済性が高くなる。
【0049】
特に、このことは被印刷物への印刷と、インク供給及びスキージ作業が独立にできることにより、印刷の作業性・短時間化に基づく経済性を著しく高める。
【0050】
加えて、ブレードは必要に応じて第2方向でロールの通り道の外側に配置したウエス(waste)やワイパーまたはキムワイプなどにより、被印刷物への印刷中に、ブレードを印刷時間のロスタイム無く独立に拭うことができ、美しい印刷を指向しやすい特徴を併せ持つ。
【0051】
また、インク供給部200の移動範囲として、インク供給始点から終了点までの転写版上に、線形に供給された開始インク線は、ロールの第1方向移動する時、ロール移動範囲に入らないようにする。すなわち、全体的に、第2方向に移動するインク供給部200は、インクを転写版上に供給し、その後第2方向に移動しながらブレードでスキージ作業を行う。
【0052】
また、ここで、スキージ作業の最後にブレードがインクから離れる時、ブレード転写版及びインクの分子が各々相互分子間力を持っているため、ブレードの裏側に残るインクの残滓が、前記の分子間力のため、転写版やブレードに分け合ってしまい、残余インク線になる。開始インク線と同じく、スキージの最後のブレードの位置(残余インク線の位置)は、ロールの第1方向への移動範囲に入ってはいけない。したがって、ブレードの第2方向への移動距離は、ロールの移動範囲に入らないように、ロールの第2方向長さを超えて移動させねばならない。
【0053】
その後、ロールは、第1方向移動範囲に、開始インク線及び残余インク線が入らないようにしながら、転写版からインクを転写しながら移動する。
【0054】
その後の動作で、ロールは、転写領域を離れ、印刷領域に入るため、スキージ部及びインク供給部は、各々独自的に動くことができるため、次の印刷のために、前述したように転写版にインクを供給する動作が可能になる。
【0055】
前記残余インク線を軽減するためには、前述したように、第2方向の逆方向に移動するブレード及びスキージ動作を追加的に行い、印刷の品質の維持及びロールの保護、インク供給の経済性を高めることができる。
【0056】
図9はロール100が第1方向に移動しながらインク転写版310からインクの転写を受ける全体的な形態を図示した図面である。
【0057】
図9において、インク転写部310上のインクはLだけの幅を有して間に間隔(Δ)を有する。前述の通り、インクとロール100の間の分子間力および流体力学(流体方程式)に基づいて上側方向の力によってインクが転写版310からロール100に転写する。
【0058】
これに基づいた時、
図9に図示されたロール100の半径(r)は、[N(L+Δ)+δ]/(2π)より大きいか同じである。本明細書の実施例において、説明の便宜上ロールの半径(r)は[N(L+Δ)+δ]/(2π)と同じであるとして以下で説明する。
【0059】
ここで、Nは印刷時に用いられる色の数、及び立体印刷物で単一色でも印刷形状が異なる(例えばθ方向に回転させ同じ色をもう一度重ね印刷する)場合、その色の数を意味する。または、Nは、転写版の個数とも言える。一例として、本発明の
図1ないし
図4の実施例でNは互いに異なる色のインク部分(I1、I2、I3、I4)=4)が使われるため、4である。もし、後述するようにθ方向に回転させ立体印刷物の場合は、同一な色をもう一回印刷するため、N=4×2=8になる。但し、ここでは説明の簡単化のため、θ回転をまずは省略してN=4として、一旦全体の骨子の説明を行う。
【0060】
Lは前述の通り、転写版上に塗布されたインクの幅で式の単純化のため、前述したようにθ方向に回転させ、異なる方向の印刷時も同じだと仮定して一定量とし、更にΔはインクの混色を防ぐための転写版(インク)の間の間隔である。この時、δは弾力性のあるローラが転写版及び印刷物にそれぞれ接して発生する半径の長さの変化(ニップ(Nip)を生む)に基づく、ロールの圧力などに依存する微小補正量を意味する。もし前記にニップが発生しない極限の(δ= 0)場合には、ロール100の外周の長さは、各々のインク転写版及び各々のインク転写版の間の所定の間隔の第1方向の長さを足した長さ、またはそれ以上の長さになる。
【0061】
前記のブランケットロール100の外周の長さを一般化すると、下記の数式となる。
【数1】
【0062】
ここで、 L
iは、第i番目の転写版の第1方向の長さを、Δ
jは、第j番目の転写版の後に続く第1方向の版の間隔の長さを意味する。
【0063】
図9において、それぞれのインク転写版310はその大きさが同一であるため、それぞれのインク転写版上の同一印刷位置地点(X1、X2、X3、X4)は第1方向(x)に互いにL+Δだけ離れている。これは後述する印刷段階で、印刷物上の同一地点に対して前記地点(X1、X2、X3、X4)から転写したそれぞれのインクが重なりながら印刷できるようにするためである。
【0064】
図9の下端に示された通り、ロール100が一周回転しながら第1方向に移動するにつれて転写版310上のインクがロール上に転写し、その後、印刷物に対する印刷作業が始まる。即ち、ロール100は1回転し、第1方向に移動すると同時に、一つ以上の転写版上のインクが前記ブランケットロールの表面に転写される。
【0065】
図10は印刷部400を図示したものであって、印刷物として厚さを有する立体印刷物410が図示されているが、これに限定されず、平面印刷物または円筒形印刷物にすべて適用することができる。
【0066】
印刷部400は転写部300を通じてインクを転写したロール100の移動方向(第1方向)の前面に、そして一対のガイドレールの間に位置する。
図10において、印刷部400は版状の印刷物支持台420を具備し、前記印刷物支持台上に立体印刷物410が固定されている。
【0067】
印刷物410の固定方法として、印刷物が平面である場合、前述した転写版のように真空圧力または両面テープ、留め金などの治具等を利用することができる。しかし、印刷物410が立体印刷物である場合、立体印刷物を支持台420上に固定させるために別途の固定部材430を具備することが好ましい。印刷物を大量に印刷するためには、印刷物を支持台上への着脱が容易であるとともに印刷中にその位置が強固に固定されている必要がある。好ましい実施例によれば、前記固定部材430は印刷物の内側面に対応する形状を有する3Dプリンタで製作されたプラスチックなど有機物の型である。3Dプリンタで固定部材を製作する場合、多様な形状の印刷物に最適化した固定部材を容易に生成することができるので好ましい。
【0068】
また、3Dプリンターで作った3次元立体自身へのカラー印刷・色づけが出来ることも、本機の大きな特色である。
【0069】
図11は印刷物支持台420が第1方向に対して上下に傾いた状態を示している図面である。
【0070】
印刷物支持台420の両側面または一側面に備えられる回転手段(例えば、モーターなど)460を通じて、印刷物支持台420は所定の角度(φ)を有して第1方向に対して上下に傾くことができる(以下、印刷物の垂直回転という)。このような構成は、特に印刷物が厚さを有する立体印刷物である場合、非常に効果的である(
図11および
図16参照)。すなわち、一般的に印刷物を水平状態で置く場合、印刷物の厚さ(高さ)のために印刷がよくできない部分410a、410bもこのように印刷物を傾けることによって効果的に印刷することができる。
【0071】
図16には、印刷物支持台420は第1方向に対して所定の角度(φ)を有して上下に傾き、ロール100は垂直移動なしに回転しながら第1方向に移動することが図示されている。このように、立体印刷物の場合、印刷物支持台420が傾く特徴を通じて印刷が難しい部分410a、410bに対しても印刷が可能である。
【0072】
ただし、印刷物の傾き程度によって印刷物とロールの接点が互いに異なるため、最適の印刷距離を維持しながら印刷物が傾かなければならない。
図16ではこのために、印刷部高低調節部450が印刷物の傾き程度に応じて上下に垂直移動をしながら最適の印刷距離を維持していることが分かる。
【0073】
印刷部は下端に印刷部高低調節部450を具備して印刷物支持台420の垂直高低を調節することができる。また、印刷部は前記ガイドレールとは別途に印刷物支持台420が第1方向に移動することができるように別途のガイドレールを具備する。前記印刷部支持台420は、印刷部高低調節部450を通じた垂直方向移動と前記ガイドレールを通じた水平方向の移動を互いに独立になすことができる。
【0074】
図12は印刷物支持台420上の印刷物410が第3方向(z軸)を中心に支持台420上で所定の角度(θ)を有して回転(以下、印刷物の水平回転という)していることを示している。これは後述するように、印刷物が立体印刷物である場合、第1方向にロール100が印刷することだけでは、うまく印刷されない印刷物の垂直近傍またはより鈍角にz軸方向に立ち上がっている側面の部分を印刷するためである。前記印刷物の水平回転のために印刷物支持台420に回転手段を具備することが好ましいが、別途の水平回転手段を具備せず手動で印刷物を回転させても良い。
【0075】
図13はロールが印刷物に一番目のインク(I1)を印刷する形態を示している図面である。
図13では、説明の便宜上平版印刷物を基準として説明するが、これは後述するように、円筒印刷物または立体印刷物に対しても同一に適用される。図面の簡略化のために印刷物支持台および印刷物支持台高さ調節部は
図13では省略した。
【0076】
図13で印刷方法を説明するために
図9で説明したX1、X2、X3、X4を基準として以下で説明する。
図13は、後述するように
図14および
図15までの多色印刷方法の一連の開始段階である。説明の便宜上立体物410の第1方向の長さをL+Δと同一にしたが、要求される印刷領域によってL+Δより小さくても良い。
【0077】
図13aは、転写部300からロール100にインクが転写した後、平版印刷物410に一番目のインク部分(I1)が印刷される直前の状態を示している。ロール100は
図13で反時計回りに回転しながら第1方向に移動する。
図13において、TはX1、X2、X3およびX4がそれぞれ重なるように印刷される目標地点(Target Position)を意味する。
図13aでTはまだインクが全く印刷されていないのでT0と表示された。
図13aの下端の拡大図をみると、ロール100が回転しながら第1方向に移動することによって、被印刷物T0にロールX1上のインクが印刷される直前の図。
図13bはインク X1(I1)がT0の位置に印刷された直後を図示している。インクが印刷されたことを示すために、
図13a及び13bで丸印で囲んだインクが、ロールから被印刷物TX1に移動している。T0には、X1のインクが印刷された後、T0をTX1と表記した。
【0078】
2番目のインク部分(I2)を印刷するためには、ロール100は回転および第1方向移動を停止した状態で印刷物が
図13aに対応する位置と同一位置に移動しなければならない。以下、
図14は2番目のインク部分(I2)を印刷する前に印刷部(印刷物)が次の印刷位置に移動することを図示した図面である。
【0079】
図14aは一番目のインク部分(I1)が印刷物にすべて印刷された直後の状態を示している図面である。前記
図13に図示された通り、印刷目標地点(T)にはインク(X1)が印刷されたのでTX1と表示されている。本図面において、ロール100は1/4周回転し、2πr/4だけ第1方向に水平移動している。
【0080】
図14bは印刷物を下方に垂直移動させることを示している図面である。印刷物がすぐにリニアスラーダーなどで第1方向に水平移動するが、印刷と同じ高さzではロールに印刷物が擦ってしまうため、先に必要な最小距離下方に垂直移動させる。このために印刷部は印刷物支持台高低調節部450を具備する。前記高低調節部450はモーターなどの駆動部を通じて垂直方向に印刷部を上下することができるすべての公知構成を用いることができる。
【0081】
図14cは下方に垂直移動した印刷物を第1方向に水平移動させることを示している図面である。この時、2番目のインク部分(I2)が一番目のインク部分(I1)と同一位置に重なるように印刷されるように、水平移動する距離はロール100が回転して移動した距離と同一の2πr/4、すなわち、(L+Δ)+δ/4=L+Δ+ε(ε=δ/4)である。ここで、δは上記のように弾力性のあるローラが転写版または印刷物に接して発生する長さの微小変化に起因する変化量を意味する。εは4つのインク部分(I1、I2、I3、I4)がロール100直径の1/4に該当するため、前記δを4で割った値である。
【0082】
図14dは前記高低調節部450を通じて上方に印刷部が垂直移動して2番目のインク部分(I2)の印刷が行われる準備ができたことを図示している。
【0083】
図15は
図14で示した2番目の印刷準備プロセスの終了後、即ち垂直移動(
図14b、14d)および水平移動(
図14c)された印刷部に対し、2番目のインク部分(I2)を印刷することを示している図面である。
【0084】
図15の2番目のインク部分(I2)印刷方法において、
図13との差異は印刷部にすでに
図13で行われた1番目のインク部分(I1)が印刷されているという点である。
図13でインク(X1)が印刷された目標地点がTX1で図示され、ロール100が
図13に比べて90度反時計回りに回転していることが分かる。ただし、
図15では図示されていないが、ロール100は
図13の一番目のインク部分の印刷時に2πr/4、すなわち、(L+Δ)+δ/4=L+Δ+εだけ第1方向に水平移動された状態である。
【0085】
図14で印刷物はL+Δ+εだけ第1方向に水平移動したのでインク(I1)が印刷された目標地点(TX1)は、
図15aでロール100が回転しながら第1方向に移動するにつれて2番目のインク部分(I2)のインク(X2)が前記目標地点(TX1)に印刷されることになる。
図15bはこのような印刷が行われた後、目標地点に二つのインク(X1およびX2)が互いに重なるように印刷されたことを表示するためにTX1X2と表示された。
【0086】
その後、再び
図14でのように、印刷物がL+Δ+εだけ第1方向に水平移動して3番目のインク部分(I3)を印刷(TX1X2X3)し、最後にL+Δ+εだけ第1方向に再び水平移動して4番目のインク部分(I4)を印刷(TX1X2X3X4)する。
【0087】
前述の通り、4つのインク部分はCMYK色相表による色と仮定する時、4つのインク(I1、I2、I3、I4)を組み合わせることによって、いずれの色相(多色)でも所望のパターンに印刷物に印刷することができる効果を有する。何より、1印刷サイクル(ロール100の1回転)の間にこのような多色印刷が可能であるので印刷時間を節減でき、大量生産が可能となる効果を有する。
【0088】
図17を参照して本発明に係る印刷部400のさらに他の実施例として、印刷物が小型である場合、第1および第2方向に複数個が印刷物支持部に備えられることによって多量の印刷物を一度に印刷することが可能になる。
【0089】
例えば、印刷物410の第2方向への長さが短い場合、ロール100の運動方向(第1方向)に対して直交する第2方向に印刷物を複数個並列配置することができる。または印刷物410の第1方向への長さが短い場合(L以下)、または印刷パターンが全インク領域において同一の場合には第1方向に複数個印刷物を配置しても良い。ただし、いずれの場合であっても第1方向へのすべての印刷物の長さの合計がL以下でなければならない。もちろん、印刷物自体の大きさが前記一つのインク部分に比べて非常に小さい場合、第1方向および第2方向の両方に並列配置して1回の印刷サイクル当たりの生産性をより高めることができる。
【0090】
ただし、以上では印刷方法の説明を、比較的簡単に、先に行ったが、各色の印刷が終わった後で、 短時間のUV光照射を行うことが好ましい。これは他のインクがロールの他の色の上に移らない様にすることと、UV光の固化は、多くはπ
*反結合性分子軌道に、元々の低いエネルギー軌道上にある電子が、光子エネルギーを選択的に与えられ、電子遷移を行い、これにより電子雲の重なる確率が増加し、反応が起きて固まる方法であるため、UV光の周波数が合致する有機物を持つインクがありさえすれば、極めて短時間に固化できるためである。
【0091】
図18は印刷物に印刷されたインクを乾燥する乾燥部600を図示している。
【0092】
上述のように、本発明の場合、1印刷サイクル内で同じ印刷物に対しての多色または多種のインクが重なって印刷されるため、重ねて印刷する前のインクを1色印刷ごとに乾燥させる必要がある。もちろん、インクの種類や印刷物の特徴によっては、すべてのインクの印刷過程が完了した後で一括して乾燥させることも可能である場合がある。このことは例えば一旦印刷して、同じ色でθ回転を行って再度印刷をするという場合には、勿論その間にUV照射は必要無い。
【0093】
まず、乾燥部の構成はインクの性質によって変わるが、本発明の場合、UVインクを使用することを仮定して説明する。UVインクは紫外線をインクに照射するだけで上記の原理でインクを迅速に乾燥させることが可能であるため、印刷速度を上げて大量生産を目標とする本発明に好ましい。
【0094】
図1に示された通り、乾燥部600はロール100の移動方向、すなわち第1方向の延長線上に位置する。しかし、これに限定されず、以下の実施例によれば、ロール100を基準として第1方向の反対方向に配置されていることもある。好ましい実施例として、前記乾燥部600は以下で述べるように、一定の位置に固定される固定型と印刷部400の移動によって移動する移動式がある。
【0095】
乾燥部600はUV光を照射するUV照射部610およびUV光が印刷物の他に他の位置に照射されないように、特にロール100に照射されないようにUV照射部610とロール100の間でUV光を遮断するUV遮断部620を含む。選択的に、乾燥部600はUV光によって発生する熱による印刷物の劣化、変形、変色を防ぐために冷却部630を含むことができる。
【0096】
図19は固定型乾燥部を例示した図面である。
【0097】
図19aおよび
図19bは
図14aおよび
図14bでロール100の第1方向の延長線側に乾燥部600が配置されたことを示している。
図14のように、印刷部400は印刷部支持台高低調節部450を通じて一番目のインク部分(I1)が印刷された印刷物を下方に垂直移動させる。その後、
図14ではすぐに2番目のインク部分(I2)の印刷のための位置(第1方向にL+Δ+εだけ水平移動、
図14c参照)に移動するが、
図19cでは乾燥のために乾燥部が位置する第1方向位置まで水平移動する。その後、乾燥部600はUV照射部610でUVを印刷物に照射し、選択的に冷却のために冷却部630で冷却作業を遂行する。UV照射時にまだ印刷物に印刷されていないロール100上のインク(I2、I3、I4、特にI2およびI3)にUVが照射されないようにUV遮断部610がUV照射部610とロール100の間に配置される。その後、短時間に乾燥が完了した印刷部は
図14cと同一位置(一番目のインク部分が印刷された位置から第1方向にL+Δ+εだけ)に水平移動する(
図19d、
図19e)。
【0098】
このように、色の数に対応した回数の短時間UV照射を行えば、連続印刷を繰り返すことがロール1回転のうちに完了する。
【0099】
ただし、
図19でのように、固定型乾燥部を用いる場合、それぞれのインクの印刷ごとに印刷部が水平移動する距離が長くなるため、結果的に印刷時間が最大4πr/V程度長くなる点がある(Vは移動平均速度、rはロールの半径)。
【0100】
図20はロール100と共に第1方向に移動する移動型乾燥部を図示した図面である。
【0101】
図20で乾燥部600は
図19の固定型乾燥部とは異なり、ロール100を基準として第1方向の反対方向に配置される。ただし、転写部300からロールにインク転写がなされた後、一番目のインク部分(I1)が印刷される時にロール100の移動を邪魔してはいけないので、ロールの直径(2r)より高く垂直方向(z方向)に上下移動可能であることが好ましい。しかし、これに限定されず、ロール100の転写部上で転写が行われる時もロール100についてロール100の後で一緒に移動するように構成しても良い。ただし、いずれの場合であっても一番目のインク部分(I1)の印刷が完了した後はロール100の後からロール100と共に第1方向に移動する。
【0102】
図20に図示された移動型乾燥部600の場合、ロール100と共に第1方向に移動して印刷が完了した印刷物が別途の水平移動することなく、印刷後すぐに乾燥作業を遂行することができるので
図19の固定型乾燥部より印刷速度が速い長所がある。
【0103】
また、移動型乾燥部600においても、ロール100に対するUV照射を防ぐためのUV遮断部620がUV照射部610とロール100の間に配置される。
【0104】
以下、本発明に係る多色グラビアオフセット印刷装置において、三つの印刷物の種類についてそれぞれ具体的な実施例を説明する。
【0105】
まず、第1実施例として、印刷物が平面印刷物である場合を説明する。
【0106】
転写部300に設置された転写版310内に4つの色を塗布し、ロール100は第1方向に回転および水平移動しながらインクをロールに転写する。ロールは前記実施例でのように、それぞれのインク部分(I1、I2、I3、I4)の長さがLであり、互いにΔの間隔を有する。その後、ロール100は第1方向に回転しながら印刷部400に水平移動する。以下、印刷物は太陽電池のような平面印刷物を仮定して説明する。ここで平面とは、平面の持つ高さの変化の全くない平面ではなく、印刷物の高さ変化が印刷に影響を与えない程度(約1mm以下を想定)であり、平面全体にわたり高さの変化が殆どない平面に近い形状をいう。紙や、太陽電池を含む半導体面などがその例である。
【0107】
ロール100はリニアアクチュエータなどを用いて第1ガイドレールのスライダーに置かれた状態で印刷物支持版に固定された印刷物400に近付く。この時、平版印刷物の場合、前述した転写版の固定方法のように両面テープまたは真空或いは留め金または固定器具などの治具を通じて固定され得る。その後、ロールが前面に位置した印刷物にロールの下方が接した状態で回転しながら第1方向水平移動することによって印刷がなされる。
【0108】
その後、一番目の印刷部分(I1)の所定の位置(X1)が印刷物に印刷され、一番目の印刷部分(I1)の印刷が完了(TX1)すると、ロール100の回転および水平移動を停止させた状態で印刷物は印刷物支持台高低調節部450を通じて下方に移動した後、L+Δ+εだけ第1方向に水平移動(および再び上方に移動)する。仮に、平面印刷物上及びインク版上でロール100のニップ(Nip)が発生しない弱い圧力の場合、εは0になる。その後、引き続きロール100が回転および水平移動して2番目の印刷部分(I2)の印刷がなされる。この時、印刷物は第1方向にL+Δ+εだけ移動した状態であるので2番目の印刷部分(I2)の所定の位置(X2)が前記インク(X1)の上に重なるように印刷(TX1X2)される。このような方法で、4つの印刷部分(I1、I2、I3、I4)が4層に重なるので、多色印刷が可能である。
【0109】
第2実施例として、印刷物が円筒形印刷物である場合を
図21を参照して説明する。ただし、ロール100が転写版からインクを転写する部分までは前記第1実施例と同一であるため説明を省略する。例えば化粧瓶等のボトル、或いは表面が変形した円柱面もこれに含まれる。
【0110】
第1実施例と相異する点は円筒形の印刷物を横方向に高くし、その両終端のうちいずれか一つまたは両終端の両方に回転手段460を具備して円筒形の印刷物が第2方向(円筒形の長手方向)を軸に360度回転できるという点である。この時、印刷物の回転方向はロール100の回転方向と反対方向である。すなわち、ロール100が前記実施例で反時計回りに回転するとすれば、円筒形印刷物は時計回り方向に回転(逆回転)する。この時、円筒形印刷物の回転はロール100の回転に同期して円筒形印刷物がロールと接する部分が滑らないように等速に制御しなければならない。また、円筒形の両終端に設置された回転手段は印刷物が滑らないように固定具を具備する。
【0111】
その後、一番目のインク部分(I1)の印刷方法は印刷物が円筒形でロールと共に回転する点を除いては第1実施例と同一である。すなわち、第2実施例で印刷物の長さは円筒の周長を意味する。
【0112】
その後、第1実施例と同じように、ロール100は停止した状態で円筒印刷物を下方に垂直移動した後、2番目のインク部分(I2)の印刷位置まで水平移動および垂直移動して2番目のインク部分の印刷準備を終える。その後、ロール100が再び回転および水平移動をしながら一番目のインクが印刷された位置(TX1)と同一位置に戻し、印刷物の回転角φの位相を揃えて2番目のインクが印刷される(TX1X2)。
【0113】
以下、
図22を参照して円筒形印刷物のさらに他の実施例を説明する。
【0114】
前記説明した第2実施例の場合、2番目の印刷部分を印刷するために円筒形印刷物が下側に移動した後、L+Δ+εだけ水平移動して再び上側に移動しなければならないので印刷物が移動するのにかかる時間だけ印刷時間が最大4πr/V程度長くなる問題点がある(Vは移動平均速度、rはロールの半径)。また、乾燥のために乾燥部600が位置する地点まで再び来て帰るだけ印刷時間が長くかかる。
【0115】
しかし、円筒形印刷物の場合、第1実施例の平面印刷物や第3実施例の立体印刷物とは異なってロール100と共に接した状態でロール100の移動と共に移動しながら円筒印刷物が回転することだけでも多色印刷を行うことができる。すなわち、他の実施例の場合、印刷物が印刷される間に水平に移動しないが、円筒印刷物の場合、印刷が行われながらロール100の水平移動と同じ速度で第1方向に移動することによって、上記のような、乾燥目的を含め(後述)、印刷物の水平移動が不要となる特長は、印刷乾燥をも含む効率的印刷法として特筆できる。
【0116】
図22aは、円筒印刷物410がインクの転写されたロール100の真下に接した状態で一番目のインク部分(I1)の印刷の様子を示している。平面印刷物同様、ロール100は回転しながら第1方向に移動し、これに同期して円筒印刷物はロール100と反対方向に回転しながら同時にロール100の第1方向移動速度と同じ速度で水平移動しながら円筒形印刷物に一番目の印刷部分(I1)が印刷される(
図22b)。なお、ここで言う速度は平面の接する面の相対速度であり、ロールとボトルの角速度ではない。
図22で円筒形印刷物の周長はロール100の周長の1/4であるので、ロール100が1/4周回転すると円筒形印刷物は一周回転して
図22aと同じ状態(ただし、水平にはL+Δ+εだけ移動する)に置かれる(
図22c参照)。
図22cで第1実施例と同じように目標印刷地点(T)は一番目の印刷部分(I1)が印刷されてTX1と図示された。その後、一番目の印刷部分の印刷と同一に2番目の印刷部分(I2)がロール100の回転および水平移動と共に印刷されると円筒形印刷物410も逆回転および水平移動をしながら2番目の印刷部分が印刷される。この結果、一番目の印刷部分が印刷された位置と同一に2番目の印刷部分が印刷されるので目標地点(TX1)にインク(X2)が重なるように印刷されてTX1TX2となった。
【0117】
図23を参照すれば、この場合、乾燥部600は円筒形印刷物の下端または第1方向の前面の対角線上に位置し、ロール100および円筒形印刷物の水平移動と共に第1方向に移動する。この時、第1実施例と同じようにUV遮断部はUV照射部とロール100の間に位置してUVがロールに転写したインクに照射されないように遮断・遮蔽する。
【0118】
このように、円筒印刷物と乾燥部がロールと共に第1方向に移動すると、第1実施例と同じように円筒印刷物が水平方向に移動するなどの不要な動作を減らすことができ、別途の乾燥部への移動も不要となり、多色印刷をするとともに乾燥まで迅速に進行することができる効果を有する。
【0119】
加えて重要なことは、特に
図23の右斜めから照射する場合には、印刷中にUVインクを乾燥させるため、印刷効率は著しく高まり、印刷時間の縮減に寄与し経済性を高める。
【0120】
第3実施例として、印刷物がz軸に厚さを多様に有する立体印刷物である場合を説明する。ただし、基本的には第1および第2実施例と同一であるので同じ内容は省略する。
【0121】
第3実施例において、立体印刷物は
図10〜
図12に図示された印刷物410である。
図10を参照する時、印刷物410の形状のうちz方向、すなわち紙面から垂直に近い面を図面で印刷困難なほぼz方向に垂直に立ち上がる面410a、410b、410c、410dと表示した。前述の通り、このような部分はロール100の弾性が大きいとしても平面上にそのまま印刷物が置かれた場合、印刷が容易ではない。すなわち、ロール100がJIS-A硬度が0に近いほどある程度の厚さ(高さ)をカバーすることができるが、硬度が低すぎると、こうした面のために印刷時にロールに鉛直圧力に対してロールの弾性に基づく斜めの水平方向の分力が発生して、ロールが局所的に広がったり、結果として印刷が潰れたり、ローラの寿命を短縮させる問題が生ずる。
【0122】
したがって、
図11および
図16ではこのような印刷困難面中、最初の印刷物が置かれた方向を基準として第1方向にある面410a、410bに対する印刷を効果的に遂行するために、回転手段を通じて印刷物を第1方向に対して所定の角度(φ)を有するように回転させることを説明した。
【0123】
しかし、
図11および
図16に図示された方法でも第1方向に進行するローラが印刷困難面410cおよび410dに印刷をすることは難しいこともあり得る。したがって、この場合、
図12に示した通り、印刷物それぞれをz軸を中心に所定の角度(θ)だけ回転させる必要がある。本実施例において、前記所定の角度(θ)は90度であるが、必要に応じて他の角度を用いてもよい。
【0124】
以下、このような過程を含んで立体印刷物に対する印刷過程を説明する。
【0125】
まず、基本的に転写部300からロール100にインクが転写することは同一であるが、従来の実施例とは違って印刷物がz軸を中心に所定の角度(θ、90度)で回転するため、同じインクを二度使用する必要がある。すなわち、4つの色を印刷物に使用するために本第3実施例では8つの転写版に対して1つのインクの種類(I)当たり2つずつ(I、I')塗布しなければならない。その後、8つの転写版に対してロール100で転写がなされる。或いは4つの転写版にして2つの模様を刻印しておいても良い。以下では説明を簡単にするため、8つの転写版として述べる。
【0126】
印刷物にロールが接近して一番目のインク部分の一番目の印刷(I1)がなされる。その後の過程は
図14と同一に、印刷版支持台高低調節部450によって垂直に下降した後、印刷物は第1方向にL+Δ+εだけ水平移動し、再び垂直移動して次の印刷を準備する。この時、印刷物はz軸を中心に所定の角度(θ、90度)だけ回転する。その後、一番目のインク部分の2番目の印刷(I1')がなされる。
【0127】
このような過程を通じて1種類のインクを印刷物に印刷した後、同じインクを印刷物を90度水平回転させて再度印刷することによって、前述した印刷困難面410c、410dに対する印刷を容易に行うことができる。
【0128】
ここで重要なことは、同じ色の印刷のため、この同じ色の印刷が終わるまで、UV光などを当てる乾燥過程が必要がないことである。
【0129】
その後、二番目のインクの印刷には、印刷物を第1方向にL+Δ+εだけ移動してz軸を中心に所定の角度(θ、90度)だけ回転させるか、或いは版の模様を1色目の順番とは逆にして、今の角度θのままで二番目のインクの印刷を始め、二番目のインク部分の一番目の印刷(I2)を遂行し印刷時間を節減する。その後前記一番目のインク部分と同じように印刷物は第1方向にL+Δ+εだけ移動してz軸を中心に所定の角度(θ、90度)だけ回転した後、二番目のインク部分の2番目の印刷(I2')を遂行する。以下同様にして、多色印刷を立体物全面に施すと共に乾燥過程をロール1回転のみの中で実施する。
【0130】
本印刷法は、ロールの回転1回でできるため、リニアスライダーのロール移動方向との平行度や、制御ソフトウエアー等に不具合がなければ、高精度で高再現性のもとに、本印刷が可能となる。