(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875809
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】対のコネクタから成るコネクタ装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/422 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
H01R13/422
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-177444(P2016-177444)
(22)【出願日】2016年9月12日
(65)【公開番号】特開2018-45766(P2018-45766A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】水口 智洋
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−166046(JP,A)
【文献】
特開2006−019187(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/032690(WO,A1)
【文献】
特開2006−236903(JP,A)
【文献】
特開2009−218188(JP,A)
【文献】
特開2012−212671(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0264119(US,A1)
【文献】
韓国登録特許第10−1636502(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40−13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一コネクタと第二コネクタの対から成るコネクタ装置であって、前記第一コネクタと前記第二コネクタの嵌合時に、前記第一コネクタのハウジングの少なくとも一部を、前記第二コネクタのハウジングの少なくとも一部に挿入するように構成されており、
前記第一コネクタのハウジングの少なくとも一部の外壁に、嵌合方向に沿って延在し且つ前記嵌合方向に対して直交する断面において前記外壁よりも外方に突出した凸条部及び/又は前記嵌合方向に沿って延在し且つ前記断面において前記外壁よりも内方に窪んだ凹条部が、これに対応して、前記第二コネクタのハウジングの少なくとも一部の内壁に、前記嵌合方向に沿って延在し且つ前記断面において前記内壁よりも外方に窪んだ凹条部及び/又は前記嵌合方向に沿って延在し且つ前記断面において前記内壁よりも内方に突出した凸条部が、それぞれ設けられており、
前記第一コネクタと前記第二コネクタの嵌合時に、前記第一コネクタのハウジングの少なくとも一部の外壁に設けた凸条部及び/又は凹条部と、前記第二コネクタのハウジングの少なくとも一部の内壁に設けた凹条部及び/又は凸条部とが互いに噛み合わされ、
前記第一コネクタ又は前記第二コネクタにおいて前記凸条部を形成している複数の面のうちの少なくとも一つの面は、相手コネクタとの嵌合側に向うにつれて、前記断面が縮小するように傾斜しており、これに対応して、前記第二コネクタ又は前記第一コネクタにおいて前記凹条部を形成している複数の面のうちの少なくとも一つの面は、相手コネクタとの嵌合側に向うにつれて、前記断面が拡大するように傾斜しており、
前記第一コネクタ又は前記第二コネクタにおいて前記凸条部を形成している前記少なくとも一つの面の、相手コネクタとの嵌合側における端部側部分と、前記第二コネクタ又は前記第一コネクタにおいて前記凹条部を形成している前記少なくとも一つの面の、相手コネクタとの嵌合側とは反対側における端部側部分とが圧接された状態で係止され、且つ、前記第一コネクタ又は前記第二コネクタにおいて前記凸条部を形成している前記少なくとも一つの面の、相手コネクタとの嵌合側とは反対側における端部側部分と、前記第二コネクタ又は前記第一コネクタにおいて前記凹条部を形成している前記少なくとも一つの面の、相手コネクタとの嵌合側における端部側部分とが圧接された状態で係止され得るようになっており、
前記凸条部における前記傾斜は、相手コネクタとの嵌合側とは反対側における端部側部分において、前記端部側部分よりも中心寄りの部分に比べて急勾配とされており、
前記凹条部における前記傾斜は、相手コネクタとの嵌合側とは反対側における端部側部分において、前記端部側部分よりも中心寄りの部分に比べて急勾配とされていることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
前記第一コネクタと前記第二コネクタのそれぞれにおいて、前記凸条部及び/又は前記凹条部は、前記第一コネクタ及び/又は前記第二コネクタの前記嵌合方向に対して直交する断面にて対向配置されている請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記第一コネクタは、前記第一コネクタのハウジングに配列された複数の端子を有し、
前記凸条部及び/又は前記凹条部は、前記複数の端子のピッチ方向に沿う第一基準面と実質的に同じ面において前記複数の端子を介して対向配置されており、
前記第二コネクタは、前記第二コネクタのハウジングに配列された複数の端子を有し、
前記凹条部及び/又は前記凸条部は、前記複数の端子のピッチ方向に沿う第二基準面と実質的に同じ面において前記複数の端子を介して対向配置されている、請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記第一コネクタは、前記第一基準面とは異なる面に、前記凸条部及び/又は前記凹条部を有し、
前記第二コネクタは、前記第二基準面とは異なる面に、前記凸条部及び/又は前記凹条部を有する、請求項3に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記第一基準面とは異なる面に設けた、前記凸条部及び/又は前記凹条部は、前記第一基準面を介して対向配置されており、
前記第二基準面とは異なる面に設けた、前記凸条部及び/又は前記凹条部は、前記第二基準面を介して対向配置されている、請求項4に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記第一コネクタのハウジングの熱膨張係数と、前記第二コネクタのハウジングの熱膨張係数が、実質的に等しい請求項1乃至5のいずれかに記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ装置、特に、対のコネクタから成るコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、二輪車等、振動や温度が問題となる環境下で好適に使用できるコネクタ装置が所望されている。特に、コネクタ同士を嵌合させるタイプのコネクタ装置では、振動や、コネクタ間の熱膨脹係数の差異等によって、コネクタ間にガタつきが生じ、結果、これらのコネクタを通じて接続すべき接続対象、即ち、端子や光ファイバの接続信頼性を低下させてしまう。
【0003】
従来、これらのガタつきは、特許文献1に開示されているように、一方のコネクタのハウジングにゴムパッキンなどの弾性体を装着することによって、また、特許文献2に開示されているように、コネクタ間の線(熱)膨脹係数をそれぞれ設定することによって、解決されてきた。しかしながら、これら従来の手法は、要求される接触信頼性を満足させるにはほど遠いものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−96878号公報
【特許文献2】特開2005−347094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、コネクタ同士を接続させるタイプのコネクタ装置では、一方のコネクタハウジングには、例えば、その外壁にリブを、他方のコネクタハウジングには、例えば、その内壁に凹嵌状の窪みを、嵌合方向に沿ってそれぞれ設け、これらをコネクタの嵌合時に互いに噛み合わせるようにして、コネクタ同士を位置決めし、また、コネクタを案内させるように構成されている。従来の装置では、これらのリブ及び窪みは、位置決めとガイドのためにのみ使用されてきた。
【0006】
本発明は、新たに部品を設けることなく、位置決めやガイドのためにのみ使用されてきた、これら従来の構成を利用して、又は、これら従来の構成とは別に新たな構成を用いることにより、コネクタ同士のガタつきを効果的に防止することができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様によるコネクタ装置は、第一コネクタと第二コネクタの対から成るコネクタ装置であって、前記第一コネクタと前記第二コネクタの嵌合時に、前記第一コネクタのハウジングの少なくとも一部を、前記第二コネクタのハウジングの少なくとも一部に挿入するように構成されており、前記第一コネクタのハウジングの少なくとも一部の外壁に嵌合方向に沿って凸条部及び/又は凹条部が、これに対応して、前記第二コネクタのハウジングの少なくとも一部の内壁に前記嵌合方向に沿って凹条部及び/又は凸条部が、それぞれ設けられており、前記第一コネクタと前記第二コネクタの嵌合時に、前記第一コネクタのハウジングの少なくとも一部の外壁に設けた凸条部及び/又は凹条部と、前記第二コネクタのハウジングの少なくとも一部の内壁に設けた凹条部及び/又は凸条部とが互いに噛み合わされ、前記第一コネクタ又は前記第二コネクタにおいて前記凸条部を形成している面の、相手コネクタとの嵌合側における端部側部分と、前記第二コネクタ又は前記第一コネクタにおいて前記凹条部を形成している面の、相手コネクタとの嵌合側とは反対側における端部側部分とが圧接された状態で係止され、且つ、前記第一コネクタ又は前記第二コネクタにおいて前記凸条部を形成している面の、相手コネクタとの嵌合側とは反対側における端部側部分と、前記第二コネクタ又は前記第一コネクタにおいて前記凹条部を形成している面の、相手コネクタとの嵌合側における端部側部分とが圧接された状態で係止され得ることを特徴として有する。
この態様のコネクタ装置によれば、第一コネクタと第二コネクタの嵌合時に凸条部と凹条部が互いに噛み合わされることから、凸条部と凹条部を嵌合のためのガイドとして用いることができる。また、ガイドとして利用されるこれら凸条部と凹条部を第一コネクタと第二コネクタの嵌合方向に沿う両端部側の2箇所で固定することができるため、第一コネクタと第二コネクタの嵌合後にそれらの間にガタが生じるおそれを減らすことができる。
【0008】
上記態様のコネクタ装置において、前記第一コネクタ又は前記第二コネクタにおいて、前記凸条部を形成している複数の面のうちの少なくとも一つの面は、相手コネクタとの嵌合側に向うにつれて、前記凸条部の前記嵌合方向に対して直交する断面が縮小するように傾斜しており、これに対応して、前記凹条部を形成している複数の面のうちの少なくとも一つの面は、相手コネクタとの嵌合側とは反対側に向うにつれて、前記凹条部の前記嵌合方向に対して直交する断面が拡大するように傾斜しているのが好ましい。
このような傾斜面を設けることにより、スムースに嵌合を行うことができる。また、金型を抜きやすくすることができる。
【0009】
上記態様のコネクタ装置において、前記凸条部における前記傾斜は、相手コネクタとの嵌合側とは反対側における端部側部分において、前記端部側部分よりも中心寄りの部分に比べて急勾配とされており、前記凹条部における前記傾斜は、相手コネクタとの嵌合側とは反対側における端部側部分において、前記端部側部分よりも中心寄りの部分に比べて急勾配とされているのが好ましい。
これら急勾配の傾斜面を設けたことにより、これらの部分を当接させて、固定を行うことができる。
【0010】
上記態様のコネクタ装置において、前記第一コネクタと前記第二コネクタのそれぞれにおいて、前記凸条部及び/又は前記凹条部は、前記第一コネクタ及び/又は前記第二コネクタの前記嵌合方向に対して直交する断面にて対向配置されているのが好ましい。
この態様のコネクタ装置によれば、より確実に固定を行うことができる。
【0011】
上記態様のコネクタ装置において、前記第一コネクタは、前記第一コネクタのハウジングに配列された複数の端子を有し、前記凸条部及び/又は前記凹条部は、前記複数の端子のピッチ方向に沿う第一基準面と実質的に同じ面において前記複数の端子を介して対向配置されており、前記第二コネクタは、前記第二コネクタのハウジングに配列された複数の端子を有し、前記凹条部及び/又は前記凸条部は、前記複数の端子のピッチ方向に沿う第二基準面と実質的に同じ面において前記複数の端子を介して対向配置されていてもよい。
【0012】
上記態様のコネクタ装置において、前記第一コネクタは、前記第一基準面とは異なる面に、前記凸条部及び/又は前記凹条部を有し、前記第二コネクタは、前記第二基準面とは異なる面に、前記凸条部及び/又は前記凹条部を有していてもよい。
【0013】
上記態様のコネクタ装置において、前記第一基準面とは異なる面に設けた、前記凸条部及び/又は前記凹条部は、前記第一基準面を介して対向配置されており、前記第二基準面とは異なる面に設けた、前記凸条部及び/又は前記凹条部は、前記第二基準面を介して対向配置されていてもよい。
【0014】
上記態様のコネクタ装置において、前記第一コネクタのハウジングの熱膨張係数と、前記第二コネクタのハウジングの熱膨張係数が、実質的に等しいのが好ましい。
この態様のコネクタ装置によれば、高温等の環境下においても、熱膨張係数の差によってコネクタ間にガタつきが生じてしまうことを防止できる。
【0015】
本発明によれば、新たに部品を設けることなく、位置決めとガイドのためにのみ用いられていた従来から存在する構成を利用して、又は、これら従来の構成とは別に新たな構成を用いることにより、コネクタ同士のガタつきを効果的に防止することができるコネクタ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明によるコネクタ装置の使用態様の一例を示す斜視図である。
【
図6】雄コネクタと雌コネクタの嵌合前の状態を示す側面図である。
【
図8】
図7の一部部分拡大図を概念的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。以下においては、説明の便宜のため好適な実施形態のみを示すが、勿論、これによって本発明を限定しようとするものではない。
【0018】
図1に、本発明による好適なコネクタ装置の使用態様の一例を斜視図で示す。ここでは特に電気ケーブルコネクタ装置を例に挙げて説明するが、本コネクタ装置1は、第一コネクタ20と第二コネクタ70の対から成る様々なタイプのコネクタ装置に幅広く適用することができる。例えば、本コネクタ装置1を、電気ケーブルコネクタ装置ではなく、光ケーブルコネクタ装置に適用することもできるし、ケーブルを用いないコネクタ装置に適用することもできる。図示実施例では、第一コネクタ20として、例えば、雄コネクタを用い、第二コネクタ70として、例えば、雌コネクタを用いている。これら雄コネクタ20と雌コネクタ70は、共に左右対象形状を有していてもよい。以下、左右を区別する必要がある場合には、参照番号に符号「A」、「B」を付す。
【0019】
雄コネクタ20は、例えば、ハウジング21のフランジ28に設けたネジ穴28aにネジを通すようにしてパネル2に固定して使用することができる。一方、雌コネクタ70は、例えば、パネル等に固定せずに自由に引き回すことが可能な状態で使用することができる。勿論、これらの使用態様に限らず、例えば、雄コネクタ20をパネルに固定しない状態で、また、雌コネクタ70をパネルに固定した状態で使用することもできる。
【0020】
雄コネクタ20と雌コネクタ70の嵌合時には、雄コネクタ20のハウジング21の少なくとも一部、即ち、フランジ28の凹陥部28bから嵌合側に嵌合・抜去方向(図示矢印「α」方向)に沿って突出した筒状の前側ハウジング部23を、雌コネクタ70のハウジングの一部、即ち、本体ハウジング72に挿入する。これにより、雄コネクタ20に設けたケーブル3と、雌コネクタ70に設けたケーブル7を、端子4、8(後述する
図2、
図5参照)を通じて一対一対応で接続させることができる。
【0021】
この嵌合は、雄コネクタ20の前側ハウジング部23の外壁23aに設けたロック係止部31と、雌コネクタ70の本体ハウジング72に設けたロック片80を係止させることによりロックされる。このロック状態は、ロック片80の端部に設けたロック操作部81を操作することによって解除することができる。
【0022】
前側ハウジング部23の外壁23aは、ロック係止部31に加えて、更に、ロック係止部31を挟んで嵌合・抜去方向「α」に沿って延びる2本の外リブ22と、側方に設けた嵌合・抜去方向「α」に沿って延びる細長の凸条部46及び凹条部47、48を有する。凸条部46は、外壁23aにおいて外方に向って突出した状態で、一方、凹条部47、48は、外壁23aにおいて内方に向って窪んだ状態で、それぞれ設けられている。凹条部47、48は、全て同じ大きさに設定されていてもよい。これに対し、一方の側に設けた凸条部46Aは、他方の側に設けた凸条部46Bよりも、嵌合・抜去方向「α」に対して直交する断面、言い換えれば、嵌合・抜去方向「α」に対して直交する「β」方向及び「γ」方向で形成される面における断面(以下、「直交断面」という。)が大きくなるように形成されている。両者の断面の大きさを変更することにより、雄コネクタ20の向きを決定して、嵌合時の誤挿入を防止することができる。凸条部46Aや凸条部46Bの嵌合側には、雌コネクタ70との嵌合を容易にするテーパー46A’、46B’を設けるのが好ましい。
【0023】
前側ハウジング部23の前側に、雄コネクタ20と雌コネクタ70を嵌合させたときに、雌コネクタ70の端子配列部84(後述する
図4、5)が挿入される収容空間33が設けられている。この収容空間33を形成している、前側ハウジング部23の内壁23bには、嵌合・抜去方向「α」に沿って延びる複数の内リブ32が設けられている。内リブ32を設けたことにより、振動や熱膨脹の影響を受けにくい構造となっている。内リブ32は、収容空間33の底面から嵌合口に向かって延びていて、嵌合・抜去方向「α」において長さの異なるものを設けることもできる(
図7参照)。
【0024】
図2及び
図3に、それぞれ、雄コネクタ20の斜視図及び正面図を示す。雄コネクタ20は、主に、ハウジング21と、ハウジング21に取り付けられた複数の端子4(
図3参照)を含む。端子4は、ハウジング21に、嵌合・抜去方向「α」に沿って等ピッチで上下二列に配列するように保持されている。ハウジング21は、フランジ28と、フランジ28から嵌合側(前側)に延びる前側ハウジング部23と、嵌合側とは反対側(後側)に延びる後側ハウジング部24を含む。後側ハウジング部24の径は、前側ハウジング部23の径より若干小さく設定されており、更に、後側ハウジング部24には、フランジ28に隣接した上下それぞれの面に帯状の陥没部24aが設けられている。これら陥没部24aを利用して、雄コネクタ20をパネル2に対して容易に位置決めできる。
【0025】
雄コネクタ20において、凸条部46や凹条部47、48は、雄コネクタ20の直交断面(β−γ)にて対向配置されているのが好ましい。例えば、図示例において、凸条部46Aと凸条部46Bは、雄コネクタ20のハウジング21に配列された複数の端子4のピッチ方向「β」に沿う基準面「k1」、「k2」と実質的に同じ面において、複数の端子4を介して対向配置されている。ここで「実質的に」とは、基準面から多少ずれていてもよいことを意味する。多少のずれは、固定にさほどの影響は与えないからである。また、図示例のように、端子が複数段(図示例では2段)に跨っている場合には、それら複数段の領域のいずれかの位置に配置されていれば足りる。更に、図示例において、凹条部47、48は、基準面「k1」、「k2」とは異なる面、例えば、基準面「k1」、「k2」とは異なるが基準面「k1」、「k2」と平行な面において、端子4の配列の両端に対向配置されている。更に、凹条部47Aと凹条部48A、或いは、凹条部47Aと凹条部48Aは、基準面「k1」、「k2」を介して対向配置されている。このように、凸条部や凹条部を、雄コネクタ20の直交断面(β−γ)にて対向配置することにより、固定をより安定させることができる。
【0026】
凸条部46A、46Bは、各々、略平らな3つの面で形成されている。これらの面には、側面46Aa、46Ba、上面46Ab、46Bb、及び下面46Ac、46Bcが含まれる。同様に、凹条部47A、47B、48A、48Bも、各々、略平らな3つの面で形成されている。これらの面には、斜面47Aa、47Ba、48Aa、48Ba、上斜面47Ab、47Bb、48Ab、48Bb、及び下斜面47Ac、47Bc、48Ac、48Bcが含まれる。
【0027】
図4及び
図5に、それぞれ、雌コネクタ70の斜視図及び正面図を示す。雌コネクタ70は、主に、ハウジングと、ハウジングに配列された複数の端子8(
図5参照)を含む。
【0028】
ハウジングは、本体ハウジング72と、本体ハウジング72の後側に取り付けられた後部ハウジング82の組み合わせから成る。本体ハウジング72には、その略中心に嵌合・抜去方向「α」に沿って嵌合側に突出した端子配列部84が設けられている。端子8は端子配列部84の端子挿入孔89に、嵌合・抜去方向「α」に沿って等ピッチで上下二列に配列するように保持されている。尚、本体ハウジング72の熱膨張係数は、雄コネクタ20のハウジング21の熱膨張係数と実質的に等しいのが好ましい。ここで「実質的に」とは、多少の相異があっても、ガタつきを有効に抑えることができる程度に等しければよいと言う意味である。これにより、高温等の環境下においても、熱膨張係数の差によってコネクタ間にガタつきが生じてしまうことを防止できる。但し、温度変動時に、雄コネクタ20のハウジング21が雌コネクタの本体ハウジング72の側に膨張するように熱膨張係数を設定してもよい。この場合にも、ガタツキを抑えることができる。本体ハウジング72及びハウジング21の材料としては、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂その他の耐熱性を有する樹脂を用いることができる。また、温度変動時における本体ハウジングまたはハウジングの膨張、収縮する方向は、これらを成形する際における樹脂の配向を調整することによって制御できる。具体的には、断面積が相対的に大きい部分や小さい部分を設けたり、金型に対する樹脂の投入口(ゲート)の位置を調整することなどで制御できる。
【0029】
端子配列部84と本体ハウジング72の内壁72bとの間の隙間によって、雄コネクタ20の前側ハウジング部23が挿入される挿入口74が形成されている。挿入口74には、雄コネクタ20と雌コネクタ70の嵌合時に、雄コネクタ20の前側ハウジング部23が挿入される。また、このとき、挿入口74から上方に膨出した収容部78に、雄コネクタ20の前側ハウジング部23に設けた外リブ22とロック係止部31(
図2等参照)が挿入される。この結果、収容部78において、雄コネクタ20のロック係止部31と、雌コネクタ70のロック係止部80aが係止され、雄コネクタ20と雌コネクタ70の嵌合がロックされる。
【0030】
本体ハウジング82の外壁72a、例えばその底部に、補強用のリブ83を設けてもよい。また、本体ハウジング82の内壁72bには、雄コネクタ20の凸条部46及び凹条部47、48(
図3等参照)に対応して、嵌合・抜去方向「α」に沿って延びる細長の凹条部86及び凸条部87、88が設けられている。凹条部86は、内壁72bにおいて外方に向って窪んだ状態で設けられており、一方、凸条部86は、内壁72bにおいて内方に向って突出した状態で設けられている。雄コネクタ20の凸条部46A、46Bに対応して、凹条部86Aは、凹条部86Bよりも直交断面(β−γ)が大きくなるように形成されている。また、雄コネクタ20の凹条部47、48に対応して、凸条部87、88は、全て同じ大きさに設定されている。
【0031】
雄コネクタ20と同様に、雌コネクタ70において、凹状部86及び凸条部87、88は、雌コネクタ70の直交断面(β−γ)にて対向配置されているのが好ましい。例えば、図示例において、凹条部86Aと凹条部86Bは、雌コネクタ70の端子配列部84に配列された複数の端子8のピッチ方向「β」に沿う基準面「g1」、「g2」と実質的に同じ面において、複数の端子8を介して対向配置されている。ここで「実質的に」とは、基準面から多少ずれていてもよいことを意味する。多少のずれは、固定にさほどの影響は与えないからである。また、図示例のように、端子が複数段(図示の例では2段)に跨っている場合には、それら複数段の領域のいずれかの位置に配置されていれば足りる。更に、図示例において、凸条部87Aと凸条部87Bは、基準面「g1」、「g2」とは異なる面、例えば、基準面「g1」、「g2」とは異なるが基準面「g1」、「g2」と平行な面において、端子8の配列の両端に対向配置されている。更に、凸条部87Aと凸条部88A、或いは、凸条部87Aと凸条部88Aは、基準面「g1」、「g2」を介して対向配置されている。このように、凸条部や凹条部を、雌コネクタ70の直交断面(β−γ)にて対向配置することにより、固定をより安定させることができる。
【0032】
凹条部86A、86Bは、各々、略平らな3つの面で形成されている。これらの面には、側面86Aa、86Ba、上面86Ab、86Bb、及び下面86Ac、86Bcが含まれる。同様に、凸条部87A、87B、88A、88Bも、各々、略平らな3つの面で形成されている。これらの面には、斜面87Aa、87Ba、88Aa、88Ba、上斜面87Ab、87Bb、88Ab、88Bb、及び下斜面87Ac、87Bc、88Ac、88Bcが含まれる。
【0033】
雄コネクタ20と雌コネクタ70の嵌合時には、雄コネクタ20の前側ハウジング部23の外壁23aに設けた凸条部46及び凹条部47、48と、雌コネクタ20の本体ハウジング72の内壁72bに設けた凹条部86及び凸条部87、88とが、互いに噛み合わされ、従来の装置と同様に、これら凸条部と凹条部を嵌合のためのガイドとして用いることができる。本構成によれば、更に、これら凸条部と凹条部は、雄コネクタ20と雌コネクタ70のガタつきを防止する機能を持つ。
【0034】
図6乃至
図8を参照して、ガタつき防止のためのメカニズムを説明する。
図6は、雄コネクタ20と雌コネクタ70の嵌合前の状態を示す側面図、
図7は、
図6のA−A線断面図、
図8は、
図7の一部部分拡大図に相当する図である。但し、理解を容易にするため、
図7については、特徴部分が誇張して示されている。従って、
図8は、形状や寸法に関して、
図6、
図7とは完全には対応していない。尚、これら
図6乃至
図8は、凹状部及び凸条部のうち、凸条部46Bと凹条部86Bとの関係、更に詳細には、凸条部46Bの側面46Baと、凹条部86Bの側面86Baとの関係だけを示すものであるが、他の凸条部や凹条部については、これと同様と考えてよい。
【0035】
図8の一部部分拡大図によく示されるように、凸条部46Bの側面46Baは、相手コネクタとの嵌合側、即ち、図示矢印「α2」方向に向うにつれて、凸条部46Bの直交断面(β−γ)が縮小するよう、例えば雄コネクタ20の中央に向って傾斜している。これに対応して、凹条部86Bの側面86Baは、相手コネクタとの嵌合側、即ち、図示矢印「α1」方向に向うにつれて、凹条部46Bの直交断面(β−γ)が拡大するよう、例えば雌コネクタ700の中央に向って傾斜している。これらの傾斜面を設けることにより、雄コネクタ20と雌コネクタ70をスムースに嵌合させることができるとともに、コネクタの製造時に金型を抜きやすくすることができる。
【0036】
ここで、凸条部46の側面46Baにおける傾斜は、相手コネクタとの嵌合側とは反対側の端部側部分52において、この端部側部分52よりも中心寄りの部分に比べて急勾配とされている。この結果、
図8の(b)によく示されるように、雄コネクタ20と雌コネクタ70を嵌合させたときに、凸条部46の端部側部分52と、凹条部86の相手コネクタとの嵌合側における端部側部分92とが圧接され、互いに押しつぶされた状態で係止されることになる。
【0037】
また、凹条部86の側面86Baにおける傾斜は、相手コネクタとの嵌合側とは反対側の端部側部分91において、この端部側部分91よりも中心寄りの部分に比べて急勾配とされている。この結果、
図8の(b)によく示されるように、雄コネクタ20と雌コネクタ70を嵌合させたときに、凹条部86の端部側部分91と、凸条部46の相手コネクタとの嵌合側における端部側部分51とが圧接され、互いに押しつぶされた状態で係止されることになる。
【0038】
明らかなように、この構成によれば、ガイドとして利用される凸条部46と凹条部86を、雄コネクタ20と雌コネクタ70の嵌合方向に沿う両端部の2箇所で固定することができ、それらを確実に固定することができる。従って、雄コネクタ20と雌コネクタ70が嵌合後にそれらの間にガタが生じるおそれを減らすことができる。
【0039】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
例えば、雄コネクタ20や雌コネクタ70において、凸条部と凹条部を逆にしてもよい。更に言えば、雄コネクタ20の凸条部46を凹条部に、また、凹条部47、48を凸条部にし、これに対応して、雌コネクタ70の凹条部86を凸条部に、また、凸条部87、88を凹条部にしてもよい。
また、傾斜面は、凸条部や凹条部を形成している面の全てに設ける必要はなく、それらのうちの一部にのみ設けてもよい。
更に、急勾配は、凸条部や凹条部を形成している複数の面のうちの一部にのみ設けてもよいし、それらの全てに設けてもよい。
また、上の例では、圧接される部分を傾斜面によって構成しているが、必ずしも傾斜面とする必要はなく、単なる突出部としてもよい。但し、傾斜面とした場合には、嵌合をよりスムースに行うことができる。
【0040】
本発明の更に別の態様、特徴及び効果は、本発明を実施するよう意図された最良の態様を含めて、多数の特定の実施形態及び実施例を示すだけで、以下の詳細な説明から容易に明らかとなろう。又、本発明は、他の及び異なる実施形態で構成することもでき、そしてその多数の細部は、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、種々の明らかな観点において変更することができる。従って、図面及び説明は、例示に過ぎず、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0041】
20 雄コネクタ(第一コネクタ)
21 ハウジング
23a 外壁
46 凸条部
47 凹条部
48 凹条部
52 端部側部分
70 雌コネクタ(第二コネクタ)
72 本体ハウジング
72b 内壁
86 凹条部
87 凸条部
88 凸条部
92 端部側部分