(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
送信部と受信部との間で調歩同期方式によるシリアル通信を行ない、スタートビットとストップビットとの間に所定ビット数のデータを配したデータ列を送受信するデータ送受信装置において、
前記送信部は所定周期で発振する第1クロックを出力する第1クロック出力部を有し、前記受信部は所定周期で発振する第2クロックを出力する第2クロック出力部を有し、前記受信部が受信エラーを検知した場合に、
前記受信部が前記第1クロックと前記第2クロックとの周期のズレ量を検出するとともに補正し、前記第1クロックと前記第2クロックとを同期させて前記受信部から前記送信部へ前記受信エラーを検知したデータ列の再送信要求信号を送信し、前記送信部から前記受信部へ前記データ列の再送信を行うことを特徴とするデータ送受信装置。
送信部と受信部との間で調歩同期方式によるシリアル通信を行ない、スタートビットとストップビットとの間に所定ビット数のデータを配したデータ列を送受信するデータ送受信装置において、
前記送信部は所定周期で発振する第1クロックを出力する第1クロック出力部を有し、前記受信部は所定周期で発振する第2クロックを出力する第2クロック出力部を有し、前記受信部が受信エラーを検知した場合に、
前記受信部が前記第1クロックと前記第2クロックとの周期のズレ量を検出し、前記受信部から前記送信部へ前記受信エラーを検知したデータ列の再送信要求信号を送信し、前記再送信要求信号は前記ズレ量を含み、前記送信部が前記ズレ量に基づいて前記第1クロックと前記第2クロックとの周期のズレ量を補正し、前記送信部から前記受信部へ前記データ列の再送信を行うことを特徴とするデータ送受信装置。
送信部と受信部との間で調歩同期方式によるシリアル通信を行ない、スタートビットとストップビットとの間に所定ビット数のデータを配したデータ列を送受信するデータ送受信装置において、
前記送信部は所定周期で発振する第1クロックを出力する第1クロック出力部を有し、前記受信部は所定周期で発振する第2クロックを出力する第2クロック出力部を有し、前記受信部が受信エラーを検知した場合に、
前記受信部から前記送信部へ前記受信エラーを検知したデータ列の再送信要求信号を送信し、
前記再送信要求信号は前記第1クロックと前記第2クロックとの周期のズレ量を検出するための補正量測定信号を含み、
前記送信部が前記補正量測定信号に基づいて前記第1クロックと前記第2クロックとの周期のズレ量を検出するとともに補正し、前記第1クロックと前記第2クロックとを同期させて、前記送信部から前記受信部へ前記データ列の再送信を行うことを特徴とするデータ送受信装置。
前記データ列が前記ストップビットに連続するとともに前記ストップビットと同レベルの複数ビットから成る空白期間を有することを特徴とする請求項5に記載のデータ送受信装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は第1実施形態のデータ送受信装置を備えた冷蔵庫1を示す側面断面図である。冷蔵庫1は断熱箱体2の上方から順に冷蔵室3、冷凍室4、野菜室5が設けられる。
【0018】
冷蔵室3は貯蔵物を冷蔵保存し、冷凍室4は貯蔵物を冷凍保存する。野菜室5は冷蔵室3よりも高温に維持され、野菜等の貯蔵物を冷蔵保存する。断熱箱体2の背面下部には電装ボックス37が配される。
【0019】
冷蔵室3は一端を枢支される回動式の扉3aによって開閉される。扉3aの前面には操作パネル40(
図2参照)が配される。冷凍室4及び野菜室5はそれぞれ収納ケース(不図示)と一体に形成される引出式の扉4a、5aによって開閉される。
【0020】
冷凍室4及び冷蔵室3の背面にはダンパ35を介して連通する冷気通路7、8が設けられる。冷気通路7には冷却器31及び送風機32が配され、冷凍室4に臨む吐出口7aが開口する。冷気通路8には冷蔵室3に臨む吐出口8aが開口する。
【0021】
野菜室5の後方には機械室6が設けられ、機械室6内には冷凍サイクルを運転する圧縮機30が設置される。圧縮機30には冷媒が流通する冷媒管(不図示)を介して凝縮器(不図示)、キャピラリチューブ(不図示)、冷却器31が順に接続され、圧縮機30に戻る。これにより、冷凍サイクルが運転され、冷却器31が冷気通路7を流通する空気と熱交換して冷気が生成される。
【0022】
送風機32を駆動すると冷気通路7に空気が流通する。この時、ダンパ35を開くと冷気通路8に冷気が流通する。冷気通路7、8を流通する冷気はそれぞれ吐出口7a、8aを介して冷凍室4及び冷蔵室3に吐出される。
【0023】
冷凍室4には冷気を冷気通路7に戻す戻り口(不図示)が設けられる。冷蔵室3には野菜室5に連通する連通路(不図示)が導出され、野菜室5には冷気を冷気通路7に戻す戻り口(不図示)が設けられる。
【0024】
図2は扉3aの前面に設けた操作パネル40の正面図を示している。操作パネル40は複数の操作キーを有する操作部41と、表示パネル43及び複数のインジケータ44を有した表示部42とを備えている。
【0025】
操作部41は冷蔵庫1の冷蔵室3や冷凍室4の温度設定等のユーザ設定条件を入力する。表示パネル43は液晶パネル等により形成され、設定温度等を表示する。インジケータ44は操作パネル40の背面に配したLEDの発光によって動作中の運転モード等を表示する。これにより、表示部42は冷蔵庫1の動作状態を表示により報知する。また、表示部42は操作部41による設定時に入力状態の表示を行う。
【0026】
図3は冷蔵庫1のデータ送受信装置60を示すブロック図である。データ送受信装置60は操作部41で入力された操作コマンド信号を電装ボックス37内に収納された制御基板20に送信する。データ送受信装置60は送信部61と受信部62とを有し、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter )によって調歩同期方式によるシリアル通信を行う。なお、送信部61と受信部62は共に送受信可能であり、半二重通信による双方向通信が可能である。送信部61が受信状態となるときは、受信部62が送信状態となる。
【0027】
送信部61は操作パネル40の背後に配される制御基板10を備えている。受信部62は電装ボックス37(
図1参照)内に配される制御基板20を備えている。制御基板10にはマイクロコンピュータ11が設けられ、制御基板20にはマイクロコンピュータ21が設けられる。
【0028】
マイクロコンピュータ11は各部を制御するCPU12を有し、CPU12には記憶部13、クロック出力部(第1クロック出力部)15、I/F14が接続される。マイクロコンピュータ11は操作部41の駆動を制御する。
【0029】
マイクロコンピュータ21は各部を制御するCPU22を有し、CPU22には記憶部23、クロック出力部(第2クロック出力部)25、I/F24が接続される。マイクロコンピュータ21は記憶部23に記憶された設定状態に基づいて圧縮機30、送風機32及びダンパ35の駆動を制御する。
【0030】
クロック出力部15、25はマイクロコンピュータ11、21の内部クロックであり、例えば、抵抗とコンデンサによる発振回路から成る。クロック出力部25は所定の周期T1で発振する第1クロックを出力し、クロック出力部25は所定の周期T2で発振する第2クロックを出力する。
【0031】
また、クロック出力部15、25はマイクロコンピュータ11、21からの制御によって第1クロック、第2クロックの周期T1、T2を変更可能である。例えば、クロック出力部15、25が発振回路の出力クロックを分周する分周回路を備えている場合に、分周比をマイクロコンピュータ11、21からの信号によって任意に設定することで第1クロック、第2クロックの周期T1、T2を変更することができる。
【0032】
記憶部13、23はROM及びRAMから成り、それぞれCPU12、22によって実行される制御プログラムや各種データを格納する。また、記憶部13、23はCPU12、22による演算の一時記憶を行う。I/F14、24は通信線18を介して互いにシリアル通信を行う。
【0033】
図4は送信部61と受信部62間で送受信されるデータ列を説明する図である。
図4(a)はデータ列のビット構造を示している。
図4(b)及び
図4(c)はそれぞれ第1クロック及び第2クロックを示している。
【0034】
データ列は送信部61と受信部62間で送受信される通信データに複数含まれており、データ列毎に順次送信される。データ列は複数ビットから成るデータD0〜D7を有する。また、データD0〜D7の前にスタートビットS1が付加され、データD0〜D7の後にパリティビットP及びストップビットS2が順に付加されている。また、データ列の最後尾にはストップビットS2に連続した複数ビットから成る空白期間Bが付加されている。
【0035】
スタートビットS1はローレベル「0」の信号であり1ビットから成る。受信部62はスタートビットS1を検知してデータD0〜D7の始まりを認識する。
【0036】
ストップビットS2はハイレベル「1」の信号であり1ビットから成る。受信部62はストップビットS2を検知してデータD0〜D7の終わりを認識する。なお、ストップビットS2を1.5ビットあるいは2ビットとしてもよい。
【0037】
データD0〜D7は夫々ローレベル「0」又はハイレベル「1」の信号を組み合わせて構成され、全部で8ビット(1バイト)から成る。
【0038】
パリティビットPはデータD0〜D7が正常に送られたか否かを検査するために付加されており、1ビットから成る。パリティビットPは偶数パリティ又は奇数パリティを選択することができる。
【0039】
空白期間Bは後述するクロックのズレ量検出の精度向上を目的としており、例えば、11ビットから成る。また、空白期間Bにおいて全てストップビットS2と同レベル、すなわちハイレベル「1」の信号が選択されている。これにより、受信部62はハイレベル「1」の信号を所定数連続して受信した際に空白期間Bであることを検知することができる。そして、空白期間Bの後にローレベル「0」の信号を検知したときに次のデータ列のスタートビットS1を受信したことを認識することができる。
【0040】
送信部61はクロック出力部15で出力される第1クロックの周期T1に基づいてデータ列を1ビットずつ送信する。
【0041】
一方、受信部62はクロック出力部25で出力される第2クロックの周期T2に基づいて送信部61から送信されたデータ列を1ビットずつ受信する。周期T1と周期T2とは一致する必要があり、両者のズレ量が所定量以上発生すると送信部61と受信部62との同期が外れてデータ列を正常に送信することができない。
【0042】
図5は第1、第2クロックの周期を説明する図である。クロック出力部15、25で出力される第1、第2クロックは同一の周期T’の基準クロックを出力するように設定されている。
【0043】
しかし、クロック出力部15、25はマイクロコンピュータ11、21の内部クロックであるため、個々の発振回路の素子ばらつきや冷蔵庫1の使用環境や使用年数により、第1、第2クロックの周期T1、T2が基準クロックの周期T’から夫々ずれる場合がある。周期T1と周期T2との間にズレ量が発生した場合に、以下の方法によりズレ量を補正する。
【0044】
図6はデータ列の送受信状態を説明する図である。送信部61は複数のデータ列を順次送信する。受信部62のCPU22は複数のデータ列のスタートビットS1の周期Tsを第2クロックのカウント数N2により測定する。データ列は送信部61から第1クロックに基づいて送信され、スタートビットS1の周期Ts間は第1クロックの所定のカウント数N1になっている。これにより、第1クロックに対する第2クロックのズレ量δはT2/T1=N1/N2で表わされる。
【0045】
CPU22はクロック出力部25が出力する第2クロックの周期T2に対してズレ量δを補正する。即ち、第2クロックのズレ量δを補正して周期をT2/δにする。これにより、第1クロックと第2クロックとを同期させることができる。
【0046】
なお、空白期間Bが長ければ送信部61から受信部62へのデータD0〜D7の送信速度は低下する。しかし、スタートビットS1の周期Tsが長くなるため、周期Tsの測定誤差を低減してズレ量δの検出精度を向上することができる。
【0047】
また、スタートビットS1、データD0〜D7、パリティビットP及びストップビットS2の合計のビット数よりも長いビット数により空白期間Bを形成すると、スタートビットS1を確実に検出できるためより望ましい。即ち、空白期間Bをデータ列のビット数の1/2以上のビット数に形成するとよい。
【0048】
なお、データが符号化によりハイレベル「1」の連続するビット数を所定数以下にできる場合は、空白期間Bを該所定数よりも長いビット数に形成してもよい。また、スタートビットS1の検出精度は低下するが、データ列から空白期間Bを省いてもよい。
【0049】
また、スタートビットの周期Tsからズレ量δを検出したが、空白期間Bの時間からズレ量δを導出してもよい。また、第1クロックの周期T1と第2クロックの周期T2との比をズレ量δとしているが、周期T1と周期T2との差Tx(
図5参照)をズレ量としてもよい。
【0050】
図7はデータ送受信装置60の動作を示す図である。例えば、操作部41から温度を下げる操作が入力されると、制御基板10から制御基板に20に操作コマンド信号を送信して圧縮機30等が制御される。
【0051】
ステップ#11で送信部61のCPU12はI/F14から通信線18を介して受信部62に対して複数のデータ列を含む操作コマンド信号(通信データ)を送信する。I/F14から送信された操作コマンド信号はI/F24で受信されてCPU22に転送される。
【0052】
ステップ#12でCPU22は操作コマンド信号を正常に受信できたか否かを判断する。正常に操作コマンド信号を受信できた場合、ステップ#14で送信部61に正常に操作コマンド信号が正常に受信できたことを知らせる正常受信信号を送信する。
【0053】
一方、第1クロックの周期T1と受信部62の第2クロックの周期T2とが同期しない場合、受信部62は操作コマンド信号を正常に受信できない。このため、ステップ#12でCPU22はパリティチェック等によって受信エラーと判定する。
【0054】
CPU22は受信エラーと判定すると、ステップ#21で続いて次に受信するデータ列のスタートビットS1の周期Tsを測定して周期T1と周期T2のズレ量δを検出する。ズレ量δは記憶部23に記憶される。
【0055】
次に、ステップ#23で受信部62はクロック出力部25が出力する第2クロックの周期T2に対してズレ量δを補正して周期をT2/δにする。そして、ステップ#25で受信部62はズレ量δを補正した第2クロックに基づいて送信部61に操作コマンド信号の再送信を要求する再送信要求信号を送信する。
【0056】
送信部61は第2クロックが第1クロックに一致するように補正されているため再送信要求信号を正常に受信することができる。これにより、ステップ#26で送信部61はI/F14から通信線18を介して受信部62に対して操作コマンド信号を再送信する。
【0057】
I/F14から送信された操作コマンド信号はI/F24で受信されてCPU22に転送される。CPU22はズレ量δを補正した第2クロックが第1クロックに一致するため正常に操作コマンド信号を受信することができる。そして、CPU22は受信した操作コマンド信号に従って、圧縮機30を制御運転する。
【0058】
本実施形態によると、受信部62が受信エラーを検知した場合に、受信部62により第1クロックと第2クロックとの周期のズレ量δを検出する。そして、受信部62によりズレ量δを補正し、第1クロックと第2クロックとを同期させて送信部61から受信部62へデータ列の再送信を行う。
【0059】
これにより、第1クロックと第2クロックとの周期のズレ量δを補正してデータ列を再送信するため、簡易な構成で第1クロックと第2クロックとを同期させて受信部62によりデータ列を確実に受信することができる。従って、受信エラーが発生してもデータ列の送受信を継続して行うことができる。
【0060】
また、スタートビットS1の周期Tsに基づいてズレ量δを検出する。これにより、周期Tsのビット数が大きいため周期Tsを精度よく検出でき、ズレ量δを正確に検出できる。従って、第1クロックと第2クロックとを確実に同期させることができる。
【0061】
また、データ列がストップビットS2に連続したハイレベルの複数ビットから成る空白期間Bを有する。これにより、スタートビットS1を正確に検知することができ、周期Ts及びズレ量δをより正確に検出できる。
【0062】
また、空白期間Bがデータ列のビット数の1/2以上のビット数から成るので、スタートビットS1をより正確に検知することができる。
【0063】
<第2実施形態>
図8は第2実施形態に係るデータ送受信装置60の動作を示す図である。なお、第1実施形態と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。本実施形態は送信部61側でズレ量δを補正する点が第1実施形態と異なる。
【0064】
ステップ#12で受信部62のCPU22が受信エラーと判定すると、ステップ#21で受信部62は第1実施形態と同様に周期T1と周期T2のズレ量δを検出する。
【0065】
次に、ステップ#22で受信部62はズレ量δのデータを送信部61に送信する。この時、受信部62はボーレートを所定値に下げて送信する。また、送信部61は受信部62から正常受信を知らせる信号を所定期間受信しないタイムアウト発生時に、ボーレートを所定値に下げて待機する。これにより、送信部61がズレ量δのデータを受信することができる。
【0066】
ステップ#23では送信部61のCPU12は受信したズレ量δに基づいてクロック出力部15が出力する第1クロックのズレ量δを補正して周期をT1・δにする。そして、ステップ#26で送信部61はズレ量δを補正した第1クロックに基づいて操作コマンド信号を再送信する。
【0067】
I/F14から送信された操作コマンド信号はI/F24で受信されてCPU22に転送される。CPU22はズレ量δを補正した第1クロックが第2クロックに一致するため正常に操作コマンド信号を受信することができる。
【0068】
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、ズレ量δの検出を受信部62で行い、ズレ量δの補正を送信部61で行う。このため、各マイクロコンピュータ11、21の処理を分散して負担を軽減することができる。また、受信部62のマイクロコンピュータ21の性能が低い場合でも送信部61のマイクロコンピュータ11によりズレ量δを補正してデータ列の送受信を行うことができる。
【0069】
本実施形態において、ステップ#22でボーレートを下げずに第1実施形態と同様に受信部62により第2クロックに対してズレ量δを補正して送信してもよい(T2/δ)。この時、ステップ#26以降では送信部61により第1クロックに対してズレ量δを補正して送信を行う。これにより、マイクロコンピュータ11、21の処理を分散できる。
【0070】
また、ステップ#22でデータ列のデータのビット数を下げて(例えば、4ビット)ズレ量δのデータを送信してもよい。これにより、データ長が短くなるため受信エラーの発生を回避し、送信部61がズレ量δのデータを受信することができる。
【0071】
<第3実施形態>
図9は第3実施形態に係るデータ送受信装置60の動作を示す図である。なお、第1実施形態と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。本実施形態は送信部61側でズレ量δを検出して補正する点が第1実施形態と異なる。
【0072】
ステップ#12で受信部62のCPU22が受信エラーと判定すると、ステップ#13で受信部62は送信部61に補正量測定用信号を送信する。補正量測定用信号は第1実施形態で上述したような第1クロックと第2クロックとの周期のズレ量δを検出することができるデータ列を用いる。
【0073】
送信部61は第1クロックと第2クロックが同期していないため受信部62から送信された補正量測定用信号の受信エラーとなる。このため、ステップ#21で送信部61のCPU12は順次受信するデータ列のスタートビットS1の周期Tsを測定し、ズレ量δを検出して記憶部13に記憶する。
【0074】
ステップ#23では送信部61のCPU12は受信したズレ量δに基づいてクロック出力部15が出力する第1クロックのズレ量δを補正して周期をT1・δにする。そして、ステップ#26で送信部61はズレ量δを補正した第1クロックに基づいて操作コマンド信号を再送信する。
【0075】
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、受信部62のマイクロコンピュータ21の性能が低い場合でも送信部61のマイクロコンピュータ11によりズレ量δを補正してデータ列の送受信を行うことができる。
【0076】
<第4実施形態>
次に第4実施形態を説明する。本実施形態は第3実施形態に対してズレ量測定信号の構成が異なっている。その他の部分は第3実施形態と同様である。
【0077】
図9のステップ#12で受信部62のCPU22が受信エラーと判定すると、ステップ#13で受信部62は送信部61に所定のパルス幅のパルス信号から成る補正量測定用信号を送信する。補正量測定用信号のパルス幅は予め決められたカウント数N20の第2クロックにより生成される。
【0078】
ステップ#21で送信部61のCPU12は受信した補正量測定用信号のパルス幅からズレ量δを検出する。即ち、補正量測定用信号のパルス幅は第1クロックのカウント数N10により検出される。第1クロックの周期T1及び第2クロックの周期T2からT1・N10=T2・N20が成立する。これにより、ズレ量δはT2/T1=N10/N20で表わされる。
【0079】
ステップ#23では送信部61のCPU12は受信したズレ量δに基づいてクロック出力部15が出力する第1クロックのズレ量δを補正して周期をT1・δする。そして、ステップ#26で送信部61はズレ量δを補正した第1クロックに基づいて操作コマンド信号を再送信する。
【0080】
本実施形態によると、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態において、補正量測定用信号を13ビット以上のビット数にしてUART以外の通信によって送信すると望ましく、16ビットにするとより望ましい。これにより、補正量測定用信号のパルス幅の検出精度を向上することができる。
【0081】
<第5実施形態>
図10は第5実施形態に係るデータ送受信装置60の動作を示す図である。なお、第1実施形態と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。本実施形態は受信部62が正常に操作コマンド信号を受信するまで送信部62の記憶部13に予め記憶された複数のズレ予想量δhに基づいて第1クロックを補正する点が第1実施形態と異なる。
【0082】
図10のステップ#12で受信部62のCPU22が受信エラーと判定すると、ステップ#21で受信部62は送信部61に操作コマンド信号の再送信を要求する再送信要求信号を送信する。この時、受信部62はボーレートを所定値に下げて送信する。また、送信部61は受信部62から正常受信を知らせる信号を所定期間受信しないタイムアウト発生時に、ボーレートを所定値に下げて待機する。これにより、送信部61が受信部62からの再送信要求信号を受信することができる。
【0083】
また、タイムアウト発生時に、送信部61は受信部62からの再送信要求信号の受信を待たずに、ステップ#22に移行してもよい。
【0084】
ステップ#22では再送信が必要と判断した送信部61のCPU12が予め記憶されたズレ予想量δhに基づいてクロック出力部15が出力する第1クロックを補正して周期をT1・δhにする。そして、ステップ#11に戻り、送信部61は補正した第1クロックに基づいて操作コマンド信号を再送信する。
【0085】
ステップ#12でCPU22が操作コマンド信号を正常に受信できたと判断するまで、受信部62及び送信部61はステップ♯11〜ステップ♯22を繰り返して第1クロックを補正する。
【0086】
ステップ#12で受信部62のCPU22が正常に受信したと判定すると、ステップ#14で受信部62は送信部61に操作コマンド信号を正常に受信したことを知らせる信号を送信する。受信部62からの正常受信信号を受信した送信部61は、設定されているズレ予想量δhを記憶し、以後はこのズレ予想量δhによって第1クロックを補正する。
【0087】
ここで、ズレ予想量δhは第1クロックと第2クロックの最大ズレ量に基づいて決定され、最大ズレ量は第1クロック、第2クロックの仕様により予め定められた周波数の範囲から導出される。例えば、第1クロックの周波数の範囲が1.2kHzの周波数に対して−4%より大きく+4%より小さい範囲にあり、第2クロックの周波数の範囲が1.2kHzの周波数に対して−6%より大きく+6%より小さい範囲にある場合に、最大ズレ量は10.6%=(1.2×1.04)/(1.2×0.94)と導出される。
【0088】
また、補正後の第1クロックは第2クロックに一致させなくてもズレ量δが誤差の範囲内(許容ズレ量の範囲内)に有れば受信部62は正常に操作コマンドを受信することができる。
【0089】
例えば、
図4(a)のデータ列では、スタートビットS1からストップビットS2まで
図4(b)の第1クロックで11クロック分の長さがある。このとき、
図4(a)のデータ列のスタートビットS1の始まり(立ち下がり)に
図4(c)の第2クロックの立ち上がりを同期させ、
図4(c)の第2クロックの1クロック目の立ち下がりによりスタートビットS1の中央(50%)でビット認識を開始する。また、第2クロックの11クロック目の立ち下がりによりストップビットS2の中央(50%)でビット認識を行っている。
【0090】
すなわち、
図4(c)の第2クロックの同期開始から、ストップビットS2のビット認識までは、10.5クロックの長さとなる。そして、ストップビットS2を正常にビット認識するためには、ストップビットS2の中央に対して、クロック周期の±50%未満である必要がある。
【0091】
従って、クロック1周期当たりの許容ズレ量は、±50%÷10.5=±4.7%となる。換言すれば、ズレ量δが−4.7%より大きく+4.7%より小さい範囲内であればズレ量δは誤差の範囲内にある。
【0092】
つまり、ステップ#22において送信部61が補正するズレ予想量δhは最大ズレ量の範囲内であるとともに、補正後の第1クロックと第2クロックのズレ量δが誤差の範囲内にあれば受信部62は正常に操作コマンド信号を受信することができる。
【0093】
従って、ズレ予想量δhを上記許容ズレ量以下(例えば、4%)毎に刻みながら最大ズレ量の範囲内で第1クロックを補正することにより、補正後の第1クロックと第2クロックとのズレ量δを確実に誤差の範囲に補正することができる。
【0094】
具体的には、ステップ#22で送信部61が補正するズレ予想量δhを0%、+4%、−4%、+8%、−8%、+12%、−12%のいずれかの値に設定することで、受信部62は正常に操作コマンド信号を受信することができる。ズレ予想量δhの設定順序は任意であるが、0%から順に上記の並びのように徐々に大きくしてもよい。また、前回正常受信した時のズレ予想量δhを初期値としてもよい。
【0095】
本実施形態によると、ズレ予想量δhを誤差として許容できる許容ズレ量以下の値毎に刻みながら、最大ズレ量の範囲内で第1クロックの補正を繰り返す。これにより、第2〜4の実施形態と同様に第1クロックと第2クロックとの周期のズレ量δを補正して確実にデータ列の送受信を行うことができる。また、ズレ量δ検出のための信号や処理を用意しなくても、第1クロックと第2クロックとのズレ量δを補正することができる。
【0096】
また、その他の実施形態において、CPU12、22を冷蔵庫1のAC電源に含まれるACクロックに接続し、ACクロックから共通の第1、第2クロックを生成してもよい。この場合、第1、第2クロックは周期のズレが発生しないため、送信部61と受信部62とを確実に同期させることができる。また、制御基板上にタイマを設けて第1、第2クロックを生成してもよい。
【0097】
また、送信部61と受信部62とが同一の制御基板上に設けられていてもよい。この時、基準クロックの周期T’に対する第1クロック及び第2クロックの周期T1、T2のズレ量を予め測定して記憶し、通信時に第1クロック及び第2クロックをそれぞれ補正してもよい。
【0098】
また、データ送受信装置60が冷蔵庫1に設けられるが、電子レンジ、洗濯機等の他の電気機器に設けられていてもよい。