(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、めっき層をより均一に黒色化するためには、めっき鋼板の黒色化すべき領域全体に水蒸気を十分に行き渡らせ、めっき層の表面に対して均一に水蒸気を接触させることが非常に重要となる。
【0006】
しかし、上記従来の方法で水蒸気処理を行って黒色めっき鋼板の製造を行っていたところ、時として、均一な外観の黒色めっき鋼板が得られなくなるという課題が発生した。種々の検討を行ったところ、水蒸気処理中に必要な量の水蒸気が、密閉容器中の黒色化すべきめっき鋼板に十分に行き渡っていないためと考えられた。
【0007】
そこで、本願発明では、めっき層を均一に黒色化してより見栄えの良い黒色めっき鋼板の製造装置および製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)基材鋼板の表面に溶融Al、Mg含有Znめっき層を有するめっき鋼板を配置可能な配置部を有する密閉容器と、前記密閉容器の内部の雰囲気ガスを加熱する加熱部と、前記密閉容器の内部の雰囲気ガスを排気して、当該密閉容器の内部の気体の圧力を大気圧未満にし得る排気部と、前記密閉容器の内部の雰囲気ガスを撹拌する攪拌部と、前記密閉容器の内部に水蒸気を導入する水蒸気導入部と、露点がめっき鋼板温度未満のガスを、前記密閉容器の内部に導入するガス導入部と、を備え、
前記密閉容器は、流体の流通経路を形成する複数の隔壁が設けられた天井部を有し、前記排気部は、前記密閉容器の内部から水蒸気を含む雰囲気ガスを排出することが可能に構成されていることを特徴とする黒色めっき鋼板の製造装置。
【0009】
上記(1)の構成によれば、溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板を密閉容器内で水蒸気と接触させて黒色化させる際、事前に密閉容器内の気体圧力を大気圧未満にすることで、効率的に必要な水蒸気量を密閉容器内に導入することができる。また、密閉容器の内部の雰囲気ガスを撹拌する攪拌部が設けられることにより、密閉容器内の水蒸気をめっき鋼板全体に行きわたらせることができるとともに、めっき鋼板の加熱や冷却を行う際には、めっき鋼板を均一に加熱したり冷却することが可能となる。
さらに、密閉容器に流体の流通経路を形成する複数の隔壁が設けられた天井部をさらに設けることにより、例えば、密閉容器内に配置されためっき鋼板の過熱をさらに促進することが可能となる。
【0012】
(
2)前記密閉容器の内部の圧力を開放することが可能なベント部を有する、前記(1
)に記載の黒色めっき鋼板の製造装置。
【0013】
上記(
2)の構成によれば、密閉容器の内部の圧力を開放することが可能なベント部をさらに密閉容器に設けることにより、水蒸気処理の後のめっき鋼板の冷却工程をスムーズに行うことが可能となる。
【0014】
(
3)前記密閉容器は、流体の流通経路を形成する複数の隔壁が設けられた縦壁部を、少なくとも前記配置部の周囲に有する、前記(1)
または前記(2)に記載の黒色めっき鋼板の製造装置。
【0015】
上記(
3)の構成によれば、密閉容器は、流体の流通経路を形成する複数の隔壁が設けられた縦壁部を、少なくとも配置部の周囲に有しているので、所定温度の流体を縦壁部の流通経路に流すことにより、密閉容器内のめっき鋼板の加熱や冷却を早期に行うことができる。
【0016】
(
4)前記(1)〜(
3)のいずれかに記載の黒色めっき鋼板の製造装置と、前記黒色めっき鋼板の製造装置の動作を制御し得る制御部と、を有し、前記制御部は、前記加熱部の動作を制御して、前記密閉容器の内部である前記配置部に配置された前記めっき鋼板を、露点がめっき鋼板温度未満である雰囲気ガスの存在下で加熱する手段と、
前記密閉容器の天井部に形成された流体の流通経路に、前記密閉容器の内部の雰囲気ガスの温度よりも高い温度の流体を流通させて前記密閉容器の内部の雰囲気ガスを加熱する手段と、前記排気部の動作を制御して、前記密閉容器の内部の加熱された前記雰囲気ガスを排気し、前記密閉容器の内部の気体の圧力を大気圧未満にする手段と、前記密閉容器の内部の雰囲気ガスを撹拌する攪拌部の動作を制御して、前記密閉容器の内部の雰囲気ガスを撹拌する手段と、前記水蒸気導入部の動作を制御して、前記密閉容器の内部に水蒸気を導入する手段と、前記水蒸気導入部と前記排気部とのうち少なくともいずれか一方の動作を制御しつつ加熱された前記めっき鋼板を水蒸気と接触させる手段と、前記排気部の動作を制御して、黒色化された前記黒色めっき鋼板が配置された密閉容器の内部の雰囲気ガスを排気して、前記密閉容器の内部の気体の圧力を大気圧未満にする手段と、前記ガス導入部の動作を制御して、前記密閉容器の内部に露点が常にめっき鋼板温度未満であるガスを導入して前記黒色めっき鋼板を冷却する手段と、を有する黒色めっき鋼板を製造するシステム。
【0017】
上記(
4)の構成によれば、溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板を密閉容器内で水蒸気と接触させて黒色化させる際、密閉容器内に導入口から水蒸気を導入しつつ、排出口からは密閉容器内の水蒸気を排出することにより、黒色化させる際に水蒸気と反応して発生する水素ガスを適切に排出することができ、密閉容器内に必要な水蒸気量を確保することができる。なお、密閉容器内の圧力は、密閉容器内に導入される水蒸気の流量と当該密閉容器内から排出される水蒸気の流量とのうち少なくともいずれか一方を可変制御することにより、所定の圧力に維持されうるように構成されている。また、
密閉容器に流体の流通経路を形成する複数の隔壁が設けられた天井部に流体を流すことにより、例えば、密閉容器内に配置されためっき鋼板の加熱をさらに促進することが可能となる。さらに、密閉容器の内部の雰囲気ガスを撹拌する攪拌部を制御することにより、密閉容器内の水蒸気をめっき鋼板全体に行きわたらせることができるとともに、めっき鋼板の加熱や冷却を行う際には、めっき鋼板を均一に加熱したり冷却することが可能となる。
【0018】
(
5)前記制御部は、前記密閉容器の縦壁部に形成された流体の流通経路に、前記密閉容器の内部の雰囲気ガスの温度よりも高い温度の流体を流通させて前記密閉容器の内部の雰囲気ガスを加熱する手段、および/または、前記密閉容器の縦壁部に形成された流体の流通経路に、前記密閉容器の内部の雰囲気ガスの温度よりも低い温度の流体を流通させて前記密閉容器の内部の雰囲気ガスを冷却する手段を有する、
前記(
4)に記載の黒色めっき鋼板を製造するシステム。
【0019】
上記(
5)の構成によれば、めっき鋼板を加熱する際、密閉容器の縦壁部に形成された流体の流通経路に、密閉容器の内部の雰囲気ガスの温度よりも高い温度の流体を流通させることで、密閉容器の内部に配置されためっき鋼板を早期に加熱することが可能となる。一方、めっき鋼板を冷却する際は、密閉容器の縦壁部に形成された流体の流通経路に、密閉容器の内部の雰囲気ガスの温度よりも低い温度の流体を流通させることで、密閉容器の内部に配置されためっき鋼板を早期に冷却することが可能となる。
【0022】
(
6)さらに、前記制御部は、ベント部の動作を制御して、前記密閉容器の圧力を開放する手段を有する、
前記(4)または前記(6)に記載の黒色めっき鋼板を製造するシステム。
【0023】
上記(
6)の構成によれば、密閉容器の内部の圧力を開放することが可能なベント部を開放制御することにより、水蒸気処理の後のめっき鋼板の冷却工程をスムーズに行うことが可能となる。
【0024】
(
7)前記溶融Al、Mg含有Znめっき層は、Alを0.1質量%以上60質量%以下の量で含有し、Mgを0.01質量%以上10質量%以下の量で含有する、
前記(
4)〜(
6)のいずれかに記載の黒色めっき鋼板を製造するシステム。
【0025】
上記(
7)の構成によれば、Alを0.1質量%以上60質量%以下の量で含有し、Mgを0.01質量%以上10質量%以下の量で含有する、溶融Al、Mg含有Znめっき層を有する黒色めっき鋼板を製造することができる。
【発明の効果】
【0026】
本願発明によれば、見栄えの良い良質な黒色めっき鋼板の製造装置および製造システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[黒色めっき鋼板を製造する方法]
黒色めっき鋼板の製造方法は、上記の黒色めっき鋼板製造装置を用いて、AlおよびMgを含有する溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板1を密閉容器10の内部で水蒸気に接触させて黒色めっき鋼板を製造する方法である。
【0029】
本実施形態の黒色めっき鋼板の製造方法では、
図1のフローチャートに示されているように、密閉容器10(
図2参照)の内部に配置した(積み込んだ)溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板1を加熱する第1工程(S110)と、密閉容器10の内部の雰囲気ガスを排気して、密閉容器10内部の気体圧力を70kPa以下にする第2工程(S120)と、密閉容器10の内部に水蒸気を導入して水蒸気処理を行う第3工程(S130)と、第3工程(S130)の後に密閉容器10の内部の圧力をいったん大気圧に戻した後に、密閉容器10内部の気体圧力を再び70kPa以下にする第4工程(S140)と、密閉容器10内部のめっき鋼板1を冷却する第5工程(S150)とを、この順番で行う。なお、以下の説明では、加熱装置24、縦壁部温度調整機構20、天井部温度調整機構21、撹拌部70、各弁32、36、42、52等は、
図4に示されるように、制御部90からの制御信号によってそれぞれの動作が制御されるものとする。
【0030】
以下、各工程についてより詳しく説明する。
【0031】
(第1工程)
第1工程(S110)では、密閉容器10の内部に配置しためっき鋼板1を加熱する。
【0032】
めっき鋼板1は、基材鋼板と、基材鋼板の表面に形成された溶融Al、Mg含有Znめっき層とを有する。
【0033】
基材鋼板の種類は特に限定されないが、例えば、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼、および合金鋼などからなる鋼板を使用することができる。良好なプレス成形性が必要とされる場合は、低炭素Ti添加鋼および低炭素Nb添加鋼などの深絞り用鋼板が基材鋼板として好ましい。また、P、Si、Mnなどを添加した高強度鋼板を用いてもよい。
【0034】
溶融Al、Mg含有Znめっき層は、水蒸気との接触により黒色化する組成を有していればよい。例えば、Alが0.1質量%以上60質量%以下、Mgが0.01質量%以上10質量%以下、Znが残部の組成を有するめっき層は、水蒸気との接触によって好適に黒色化することができる。
【0035】
めっき鋼板1の形状は、黒色化すべき領域のめっき層が水蒸気と接触することができるのであれば、特に限定されない。例えば、めっき鋼板1の形状は、めっき層が平坦な形状(例えば、平板状)でもよいし、屈曲した形状(例えば、コイル状)であってもよい。
【0036】
また、第1工程(S110)において、めっき鋼板1は、露点が常にめっき鋼板温度未満であるガス(低水蒸気ガス)の存在下で加熱される。つまり、密閉容器10の内部に存在する雰囲気ガスは低水蒸気ガスである。めっき鋼板1の加熱作業を容易にする観点から、低水蒸気ガスは大気であってもよいが、めっき鋼板1の黒色化が可能な限りにおいて、窒素などの不活性ガスに置換してもよい。その他、大気よりも低露点の雰囲気に置換してもよい。なお、低水蒸気ガスは、密閉容器10に接続されたガス導入部50から密閉容器10内へ導入することができる。
【0037】
第1工程(S110)におけるめっき鋼板1の加熱は、めっき層の表面温度が水蒸気との接触によってめっき層が黒色化される温度(以下、「黒色処理温度」ともいう。)に達するまで行われる。例えば、密閉容器10内に設置しためっき鋼板1の表面温度を温度計測部60で測定しながら黒色処理温度を超えるまで加熱を行うようにするとよい。
【0038】
黒色処理温度は、めっき層の組成(例えば、めっき層中のAlおよびMgの含有量)もしくは厚み、または必要とする明度などに応じて任意に設定することができる。
【0039】
めっき鋼板1の加熱方法は、めっき層の表面を黒色処理温度にすることができればよく、特に限定されるものではない。例えば、密閉容器10内にシースヒータ等の加熱装置24を設けて、密閉容器10内の雰囲気ガスを加熱してめっき鋼板1を加熱してもよい。
【0040】
なお、密閉容器内の雰囲気ガスを加熱する際に、密閉容器10内に設けた循環ファン71などの撹拌部70で雰囲気ガスを撹拌すると、効率よく短時間でムラ無く、めっき鋼板1を加熱することが可能である。
【0041】
(第2工程)
第2工程(S120)では、密閉容器10内の雰囲気ガスを、排気配管31を通じて排気し、密閉容器10内の気体の圧力を70kPa以下にする。例えば、密閉容器10外に設置した排気ポンプ(図示しない。)で、密閉容器10の中の雰囲気ガスを排出することで、密閉容器10内の気体の圧力を上記範囲にすることができる。第2工程(S120)においては、雰囲気ガスの排気を1回のみ行ってもよいし、密閉容器10内に残存する水蒸気以外の気体成分の量をより少なくするため、雰囲気ガスの排気と、ガス導入配管51からの低水蒸気ガスの導入を繰り返し行ってもよい。
【0042】
第2工程(S120)で密閉容器10内の雰囲気ガスを排気して密閉容器10内の気体圧力を低くすることによって、後述する第3工程(S130)で導入される水蒸気を、めっき鋼板1の間の隙間にまで十分に行き渡らせることができる。これにより、黒色化すべきめっき層全体をより均一に水蒸気処理することができ、黒色化のムラを発生しにくくすることができる。このような観点から、第2工程(S120)では、密閉容器10内の気体圧力を70kPa以下にすることが好ましく、さらに50kPa以下にすることがより好ましい。
【0043】
(第3工程)
第3工程(S130)では、密閉容器10内に水蒸気を導入してめっき鋼板1のめっき層を黒色化する。すなわち、第3工程(S130)では、めっき鋼板1に対して、水蒸気処理を行う。
【0044】
第3工程(S130)では、水蒸気処理中の密閉容器10内の雰囲気温度が105℃以上であることが好ましい。雰囲気温度を105℃以上とすることで、黒色化をより短時間に行うことができる。なお、この明細書では、密閉容器の内部の雰囲気ガスの温度を「雰囲気温度」と称する場合がある。雰囲気温度は、密閉容器の内部に設けられたガス温度計測部62により計測することができる。
【0045】
第3工程(S130)では、めっき鋼板1の黒色化のムラを防ぐため、密閉容器10の内部に水蒸気を導入した後または導入中の黒色化処理中に、密閉容器10の内部の雰囲気ガスを撹拌部70によって撹拌してもよい。
【0046】
また、水蒸気処理の処理時間は、めっき層の組成(たとえば、めっき層中のAlおよびMgの含有量)もしくは厚み、ならびに必要とする明度などに応じて任意に設定することができるが、水蒸気処理は24時間程度行うのが好ましい。
【0047】
(第4工程)
第4工程(S140)では、密閉容器10の内部の圧力をいったん大気圧に戻した後に、密閉容器10の内部の雰囲気ガスを排気して、密閉容器10の内部の気体圧力を70kPa以下にする。例えば、密閉容器10の内部の圧力をいったん大気圧に戻すためには、密閉容器に設けた大気圧開放弁(図示せず。)を開くことで行うことができる。また、密閉容器10内の気体圧力を70kPa以下とするためには、密閉容器10外に設置した排気ポンプ(図示しない。)を使用し、密閉容器10内の雰囲気ガスを、排気配管31を通じて排出することで密閉容器10内の圧力を低くすることができる。
【0048】
(第5工程)
第5工程(S150)では、密閉容器10の内部に露点が常にめっき鋼板温度未満であるガス(低水蒸気ガス)をガス導入管51から導入してこの低水蒸気ガスをめっき鋼板1に接触させ、導入した低水蒸気ガスを密閉容器10から排出することにより、めっき鋼板1を冷却する。なお、第5工程(S150)で導入されるガスは、加熱されていないことが好ましいが、必要に応じて、密閉容器10内の雰囲気温度よりも低温に加熱されていてもよい。
【0049】
第5工程(S150)で導入される低水蒸気ガスは、例えば、大気、窒素ガス、または不活性ガスとすることができ、作業性を考慮すると、大気を導入することが好ましい。
【0050】
第5工程(S150)は、密閉容器10内に低水蒸気ガスを導入し、導入した低水蒸気ガスを密閉容器10内に閉じ込める低水蒸気ガス導入工程と、当該低水蒸気ガス導入工程の後に、密閉容器10内の気体圧力が大気圧未満となるように排気ポンプ(図示しない。)を用いて密閉容器10内の雰囲気ガス(導入した低水蒸気ガスを含む)を外部へ排出する雰囲気ガス排出工程と、を含む。なお、上記低水蒸気ガス導入工程と上記雰囲気ガス排出工程とは、冷却速度向上のために、交互に繰り返して行うことが好ましい。
【0051】
[黒色めっき鋼板を製造する装置]
(装置の構成)
本願発明に係る黒色めっき鋼板を製造する装置(以下、「本発明の装置」ともいう。)は、その一例を示す模式断面図である
図2に示されているように、めっき鋼板1を取り出し可能に配置できる配置部12を有する密閉容器10と、密閉容器10の内部を加熱(または冷却)する天井部温度調整機構21と、縦壁部温度調整機構20と、シースヒータ等の加熱装置24と、密閉容器10の内部の雰囲気ガスを排気する排気調整機構30と、密閉容器10の内部に水蒸気を導入する導入水蒸気調整機構40とを有する。本発明の装置は、さらに、密閉容器10の内部に大気を含むガスを導入するガス導入部50や、密閉容器10の内部の圧力を大気圧に戻すためのベント部である大気圧開放弁(図示せず。)を有していてもよい。本発明の装置は、さらに、めっき鋼板1の表面の温度を測定する温度計測部60や密閉容器10内の圧力を測定する圧力計測部61、雰囲気ガスの温度を計測するガス温度計測部62を有していてもよい。さらに、密閉容器10の内部の雰囲気ガスを撹拌する循環ファン71などの撹拌部70を有していてもよい。また、本発明の装置は、
図4に示されているように、縦壁部温度調整機構20、天井部温度調整機構21、シースヒータ等の加熱装置24、排気調整機構30、導入水蒸気調整機構40、ガス導入部50、撹拌部70の他、各弁装置の開閉動作を制御して、黒色めっき鋼板1を製造させる制御部90を有していてもよい。また、ドレン配管35およびドレン弁36を有しているとき、制御部90はドレン弁36の動作を制御して、装置内部から外部へ水を排出させてもよい。
【0052】
以下に、
図2を参照して、本発明の装置の例示的な態様について詳しく説明する。
【0053】
密閉容器10は、下部容器8と、上部容器9とを有している。下部容器8は、めっき鋼板1が配置される配置部12を備えており、上部容器9は、天井部9Bがドーム状に形成されるとともに、当該天井部9Bの端部から略鉛直方向下方に沿って延設された縦壁部9Aから構成されていて、下部が開放される形状によって構成されている。また、密閉容器10は、下部容器8と上部容器9とが密閉されることにより構成されており、雰囲気ガスの排気による内部の気体の圧力の低下、水蒸気導入による内部圧力の上昇、加熱、冷却などに耐えうる強度を有している。
【0054】
また本実施例では、
図2に示されるように、密閉容器10の外壁に、流体を流すことによって密閉容器10内を加熱したり冷却したりすることができる天井部温度調整機構21と縦壁部温度調整機構20とが別々に設けられている。
【0055】
天井部温度調整機構21は、密閉容器10を加熱するための手段であり、第1工程(S110)においてめっき鋼板1加熱する際には、シースヒータ等の加熱装置24と共に使用され、例えば、
図2、3に図示されているように、加熱された流体が天井部温度調整機構21の内部を通過して天井部9Bを加熱することにより、密閉容器10の内部の雰囲気温度を上昇させることができる。
【0056】
また、
図3に示されているように、天井部温度調整機構21の内部空間には複数の隔壁25が設けられており、その隔壁25により形成された空間に、所定の温度を有する流体を流すことで、密閉容器10を加熱または冷却できるように構成されている。これによって、密閉容器10内の雰囲気ガスを冷却又は加熱することができる。なお、流体は、気体であっても液体であってもよい。
【0057】
また、
図2に示されているように、天井部温度調整機構21には導入口212と排出口214とが設けられている。
図3(B)に示されるように、導入口212から流入した流体は、上部容器9の天井部9Bの略全体にわたって天井部温度調整機構21の内部空間を流動し、排出口214から排出されるように構成されている。また、
図3(A)の模式図に示されているように、天井部温度調整機構21では、導入口212から導入された流体が左右に振り分けられ、導入口212と排出口214とを含む平面に対して略対称に形成された左経路26および右経路27にそれぞれ流体が流されるように構成されている。このように構成されることで、密閉容器10に対する熱分布の偏りが防がれて密閉容器10の熱ひずみが抑制され、さらに、効率よく短時間で密閉容器10内の温度調整を可能にしている。
【0058】
縦壁部温度調整機構20は、密閉容器10を加熱または冷却するための手段であり、第1工程(S110)においてめっき鋼板1加熱する際には、シースヒータ等の加熱装置24と共に使用され、例えば、
図2、3に図示されているように、加熱された流体が縦壁部温度調整機構20の内部を通過して縦壁部9Aを加熱することにより、密閉容器10の内部の温度を上昇させることができる。また、第5工程(S150)においてめっき鋼板1冷却する際には、冷却された流体が縦壁部温度調整機構20の内部を通過して縦壁部9Aを冷却することにより上部容器9を冷却し、密閉容器10内の雰囲気温度を低下させることができる。
【0059】
また、
図3に示されているように、縦壁部温度調整機構20の内部空間には複数の隔壁25が設けられており、その隔壁25により形成された空間に、所定の温度を有する流体を流すことで、密閉容器10を加熱または冷却できるように構成されている。これによって、密閉容器10内の雰囲気ガスを冷却又は加熱することができる。なお、流体は、気体であっても液体であってもよい。
【0060】
図2に示されているように、縦壁部温度調整機構20には導入口202と排出口204とが設けられている。
図3(B)に示されるように、導入口202から流入した流体は、上部容器9の縦壁部9Aの略全体にわたって縦壁部温度調整機構20の内部空間を上下に流動するとともに、排出口204から排出されるように構成されている。
【0061】
また、
図3(A)の模式図に示されているように、縦壁部温度調整機構20では、導入口202から導入された流体が左右に振り分けられ、導入口202と排出口204とを含む平面に対して略対称に形成された左経路22および右経路23にそれぞれ流体が流されるように構成されている。このように構成されることで、密閉容器10に対する熱分布の偏りが防がれて密閉容器10の熱ひずみが抑制され、さらに、効率よく短時間で密閉容器10内の温度調整を可能にしている。
【0062】
なお、密閉容器内を冷却する際、天井部温度調整機構21によって天井部9Bを冷却すると、天井部9Bに結露が発生し、その結露水が、めっき鋼板1上に落ちてめっき鋼板の外観を損ねる可能性があることから、密閉容器内を冷却する際は、天井部温度調整機構21による密閉容器10内の冷却は行わず、縦壁部温度調整機構20によって、密閉容器10内の冷却を行うようにしている。
【0063】
また、本実施態様では、加熱用の流体が、縦壁部温度調整機構20と天井部温度調整機構21との両方に流されているが、このような構成に限ることなく、縦壁部温度調整機構20と天井部温度調整機構21とのうち、いずれか一方に加熱用の流体を導入するように構成されていてもよい。
【0064】
下部容器8には、水蒸気供給源から水蒸気を導入する水蒸気供給配管41と、密閉容器10内の雰囲気ガスや水蒸気などを排出するための排気配管31、ガス導入配管51、ドレン配管35が接続されており、これらの配管に設けられた開閉弁を閉じることで、密閉容器10の内部を密閉状態にできる。
【0065】
下部容器8に設けられた配置部12には、めっき鋼板1が配置される。めっき鋼板1は、スペーサー2によって積層されてもよい。また、
図2に示されているように、配置部12は、めっき鋼板1の上部から、めっき鋼板1の下部に流れてきた雰囲気ガスを、循環ファン71の近辺に吹き出すための貫通孔12Aを有しており、このような構成によって、密閉容器10の内部の気体がめっき鋼板1の金属帯間の隙間を通って循環するため、より均一に雰囲気ガスをめっき鋼板1に接触させることができる。
【0066】
天井部温度調整機構21、縦壁部温度調整機構20およびシースヒータ等の加熱装置24は、密閉容器10を加熱するための手段である。例えば、
図2、3に図示されているように、加熱された流体が天井部温度調整機構21と縦壁部温度調整機構20の内部を通過して上部容器9を加熱することにより、密閉容器10の内部の温度を上昇させることができる。なお、密閉容器10の内部を加熱するための手段は天井部温度調整機構21および縦壁部温度調整機構20に限られず、これと併せて、シースヒータ等の加熱装置24によって、直接密閉容器10の内部の温度を上昇させることも可能である。
【0067】
排気調整機構30は、排気配管31、排気弁322、324、326(以下、これらの総称として「排気弁32」と称する)および排気ポンプ(図示しない。)を有している。排気配管31は、密閉容器10の内部と密閉容器10の外部とを連通するように下部容器8を貫通して設けられた配管である。例えば、密閉容器10の内部の雰囲気ガス(低水蒸気ガスなど)または水蒸気処理後の密閉容器内の雰囲気ガス(水蒸気ガスや発生した水素ガスなど)は、排気配管31を通って排気ポンプ(図示しない。)によって外部に排気される。なお、本願発明の実施例では、
図2に示されているとおり、水蒸気処理中の密閉容器内の水蒸気量を調整するために、呼び径がそれぞれ異なる配管332、配管334及び配管336が接続された排気管31を備えている。配管332、配管334及び配管336のそれぞれには、排気弁32が設けられている。ここで、例えば、配管332には呼び径20Aの配管を、配管334には呼び径25Aの配管を、配管336には呼び径80Aの配管を、それぞれ用いることにより、必要な密閉容器内の水蒸気量にもとづき、後述する制御部90によって排気弁32の開閉制御を行い、細かく正確な排気量調整が可能に構成されている。もちろん、本実施例に限定されるものではなく、排気管の呼び径や数は必要に応じて設定可能である。また、上述の第2工程および第4工程において、排気調整機構30は、雰囲気ガスを排気することによって密閉容器10内の気体の圧力を70kPa以下にできるように構成されている。
【0068】
ドレン配管35は、密閉容器10の内部と密閉容器10の外部とを連通するように下部容器8を貫通して設けられた配管である。密閉容器10の内部の液体(結露水など)は、ドレン配管35を通って外部に排出される。
【0069】
導入水蒸気調整機構40は、水蒸気供給配管41および水蒸気供給弁422、424、426(以下、これらの総称として「水蒸気供給弁42」と称する)を有しており、密閉容器10内に供給する水蒸気量を、水蒸気供給弁42で調整するものである。また、水蒸気の供給をしないときは、水蒸気供給弁42は閉じられて、水蒸気供給配管41を通じた密閉容器10内への水蒸気の供給は遮断される。なお、本願発明の実施例では、
図2に示されているとおり、水蒸気処理中の密閉容器10内への水蒸気量を調整するために、配管432、配管434、配管436の、それぞれ呼び径の異なる配管が接続された水蒸気供給配管41が備えられており、それぞれの配管には水蒸気供給弁42が設けられている。ここで、例えば、配管432には呼び径20Aの配管を、配管434には呼び径25Aの配管を、配管436には呼び径80Aの配管を、それぞれ用いることにより、必要な密閉容器内の水蒸気量にもとづき、水蒸気供給弁42の開閉制御を行い、細かく正確な導入水蒸気量の調整が可能に構成されている。もちろん、本実施例に限定されるものではなく、水蒸気供給配管41の呼び径や数は必要に応じて設定可能である。
【0070】
ガス導入部50は、ガス導入配管51およびガス導入弁52を有している。ガス導入配管51は、密閉容器10の内部と、密閉容器10の外部または不図示のガス供給源とを連通するように、下部容器8を貫通して設けられた配管である。
【0071】
温度計測部60は、めっき鋼板1の表面のうちそれぞれ異なる領域に当接して設置された複数の温度センサであり、例えば、熱電対を用いてめっき鋼板1の表面温度を測定する。なお、めっき鋼板1をコイル状にした場合、コイルの板間に熱電対を挿入してもよい。
【0072】
圧力計測部61は、密閉容器10内の圧力を測定するものであり、密閉容器10内での水蒸気処理の開始タイミングの指標となる圧力の測定や、密閉容器10内に導入する水蒸気量を適切に管理するために必要となるものである。また、ガス温度計測部62は、密閉容器10内の雰囲気温度を測定するものであり、密閉容器10内の雰囲気ガスを加熱及び冷却する際や、めっき鋼板1の各処理工程において、適切に密閉容器10内の雰囲気温度を制御するために必要となるものである。
【0073】
撹拌部70は、下部容器8に配置された循環ファン71と、循環ファン71を回転駆動する駆動モーター72とを有している。駆動モーター72が循環ファン71を回転させると、水蒸気処理中の密閉容器10の内部の雰囲気ガスは、
図2において矢印にて示すように、配置部12の側部から密閉容器10の内壁面との間の空隙に流入し、めっき鋼板1の外周面を通過して、めっき鋼板1の上部から金属帯間の隙間に流入する。そして、めっき鋼板1の下部から配置部12の内部に流出して、再び配置部12の側部から密閉容器10の内壁面との間の空隙に流入して密閉容器10の内部を循環する。このようにして、水蒸気処理中の密閉容器10の内部の雰囲気ガスは撹拌される。もちろん、撹拌部70は水蒸気処理中だけ使用されるものではなく、めっき鋼板の加熱工程や冷却工程において使用してもよい。
【0074】
[黒色めっき鋼板を製造するシステム]
以下に、本願発明の実施例である
図2および
図4を参照して、本願発明の黒色めっき鋼板を製造する装置の例示的な動作と、その制御システムについて詳しく説明する。
【0075】
配置部12にめっき鋼板1が配置され、密閉容器10が密閉された後に、制御部90は、以下のように、縦壁部温度調節機構20、天井部温度調整機構21、シースヒータ等の加熱装置24、排気調整機構30、導入水蒸気調整機構40、ガス導入部50および撹拌部70の動作を制御する。
【0076】
めっき鋼板1を加熱する第1工程(S110)において、制御部90は、縦壁部温度調節機構20および/または天井部温度調整機構21と、シースヒータ等の加熱装置24とを使用して、低水蒸気ガスの存在下で密閉容器10の内部を加熱し、めっき鋼板1を加熱する。このとき制御部90は、温度計測部60が測定しためっき層の温度が黒色処理温度になるまで上記各加熱手段を作動させる。なお、本願発明の実施例においては黒色処理温度の目標温度を105℃としている。また、必要に応じて循環ファン71を回転させて、密閉容器内部の雰囲気ガスを循環させながら加熱するように制御してもよい。
【0077】
第1工程(S110)が終了すると、第2工程(S120)に入り、制御部90は、不図示のベント部である大気圧開放弁を開放して、いったん密閉容器10内の圧力を大気圧に戻す。その後、排気調整機構30の排気弁32(322、324、326)を開閉制御し、排気ポンプ(図示しない。)を作動させて、密閉容器10内の気体圧力が70kPa以下になるまで密閉容器10内の雰囲気ガスを排気配管31を通じて排出する。密閉容器10内の気体圧力が70kPa以下となったところで、排気弁32(322、324、326)を閉じる。
【0078】
密閉容器10内の気体の圧力が上記圧力となった後、第3工程(S130)に入り、制御部90は、導入水蒸気調整機構40の水蒸気供給弁42(422、424、426)を開閉制御して、不図示の水蒸気供給源から密閉容器10内に水蒸気を供給する。これにより、水蒸気供給源からの水蒸気が水蒸気供給配管41を通じて密閉容器10内に導入される。導入水蒸気調整機構40では、複数の温度計測部60が測定した温度のうち、最も低い温度と最も高い温度との差が前述の所定の範囲内となったことを制御部90が認識したことにもとづいて、水蒸気供給弁42(422、424、426)が開放され得る。このとき、導入される水蒸気を必要に応じて水蒸気ヒーター(図示せず。)で加熱してもよい。
【0079】
また、制御部90は、必要に応じて撹拌部70の駆動モーター72を駆動して循環ファン71を回転させ、密閉容器10内の水蒸気を含む雰囲気ガスを撹拌して循環させてもよい。
【0080】
なお、本願発明の実施例において、制御部90は、密閉容器10内に導入する水蒸気量を調整する導入水蒸気調整機構40と、密閉容器10内の雰囲気ガスの排気量を調整する排気調整機構30とを制御して、常にめっき層の黒色化に必要な密閉容器内の水蒸気量を調整して、適切な相対湿度(目標値は100%である。)が維持されるようにしている。つまり、制御部90が、上記各調整機構30、40の異なる呼び径の管ごとに設けられた排気弁32(322、324、326)および導入弁42(422、424、426)を開閉制御することにより、導入する水蒸気量および雰囲気ガスの排気量の調整が行われる。
【0081】
密閉容器10内の水蒸気量を調整する際は、密閉容器10内に載置されているめっき鋼板1の表面積に応じて必要な水蒸気量が決まっているので、当該必要な水蒸気量を密閉容器10内で確保できるように排気調整機構30の排気弁32(322、324、326)の開度が所定の開度に固定制御され、導入水蒸気調整機構40の導入弁42(422、424、426)の開度が可変制御される。なお、導入水蒸気調整機構40の導入弁42(422、424、426)の開度が所定の開度に固定制御され、排気調整機構30の排気弁32(322、324、326)の開度が可変制御されるようにしてもよいし、排気調整機構30の排気弁32(322、324、326)の開度と導入水蒸気調整機構40の導入弁42(422、424、426)の開度との両方が適時調整制御されるようにしてもよい。
【0082】
密閉容器10内への水蒸気の導入と、密閉容器10内の雰囲気ガス(水蒸気および反応によって発生する水素ガスなど)の排出とを制御する際、制御部90は、圧力計測部61等の計測データを常に監視し、密閉容器10内において必要な圧力が維持されるように制御する。これによって、水蒸気処理に必要な水蒸気量を密閉容器10内に確保することができる。なお、本願発明の実施例においては、水蒸気処理中の密閉容器10内の設定圧力として、密閉容器内10内の温度105℃に対応した飽和水蒸気圧121kPaが制御部90に設定される。また、密閉容器10内の圧力制御の方法としては、圧力計測部61の計測データの上限値および下限値に所定の閾値を設定し、当該閾値を計測したときに、導入する水蒸気量や排出する水蒸気量を制御するようにしてもよいし、常に所定の圧力の一定値を維持するように、導入する水蒸気量や排出する水蒸気量を適時制御するようにしてもよい。
【0083】
水蒸気の導入後、黒色化処理のための時間が経過したら、制御部90は、導入水蒸気調整機構40の水蒸気供給弁42(422、424、426)を閉じて、水蒸気供給配管41を通じた密閉容器10の内部と外部との間のガスの流通を遮断する。その後、排気調整機構30の排気弁32(322、324、326)を開放し、排気ポンプ(図示しない。)を稼動して密閉容器10内の雰囲気ガスを排出させる。これにより、密閉容器10内の気体圧力は70kPa以下にされる。密閉容器10内部の気体圧力が70kPa以下となったら、制御部90は、排気調整機構30の排気弁32(322、324、326)を閉じて、排気配管31を通じた密閉容器10の内部と外部との間のガスの流通を遮断する。
【0084】
密閉容器10内の気体の圧力が上記圧力となった後、第5工程(S150)に入り、制御部90は、ガス導入部50のガス導入弁52を開放する。これにより、ガス導入配管51を通じて密閉容器10内に露点が常にめっき鋼板温度未満であるガスが導入される。なお、本願発明の実施例では、密閉容器10内の気体の圧力が101kPa(大気圧と同程度)となるまで大気を導入している。こうして導入されたガス(本実施例では大気。)によって、めっき鋼板1は冷却される。
【0085】
その後、制御部90は、図示しない吸気口から外気を取り入れ、取り入れた外気を縦壁部温度調整機構20の導入口202に導入する。これにより、密閉容器10内の雰囲気温度が低下し、めっき鋼板1が促進して冷却される。そして、制御部90は、縦壁部温度調整機構20を通過して吸熱した外気を、図示しない排気口から大気に放出している。なお、めっき鋼板1の冷却時、制御部90は、天井部9Bへの結露防止の観点から、天井部温度調整機構21に外気を導入させないようにしている。
【0086】
めっき鋼板1の冷却時を含め、制御部90は、任意の時点でドレン弁36を開放制御して、密閉容器10内の結露水等を、密閉容器10の外部へ排出させてもよい。ドレン弁36の動作の制御は、上記本願発明の装置の動作中、1回のみ行っても、また複数回行ってもよいし、めっき層が所望の程度に黒色化される限りにおいて、装置の動作中を通じてドレン弁36は閉じられたままであってもよい。
【0087】
(効果)
上記本願発明の方法によれば、製造工程における水蒸気処理の管理を複雑化させることなくめっき鋼板の水蒸気処理中に発生する水素ガスを効率よく確実に排出することができ、十分な水蒸気をめっき鋼板全体に行き渡らせてめっき層を均一に黒色化し、より見栄えの良い黒色めっき鋼板を提供することができる。