特許第6875922号(P6875922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875922
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】飲料供給装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/07 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   B67D1/07
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-77901(P2017-77901)
(22)【出願日】2017年4月11日
(65)【公開番号】特開2018-177285(P2018-177285A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】外山 賢
(72)【発明者】
【氏名】守谷 和行
(72)【発明者】
【氏名】庄野 幸司
(72)【発明者】
【氏名】平野 健
(72)【発明者】
【氏名】田村 文一
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−275934(JP,A)
【文献】 特開2018−058610(JP,A)
【文献】 特開2012−007869(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0090690(US,A1)
【文献】 特開2014−201322(JP,A)
【文献】 特開2016−210467(JP,A)
【文献】 特開2017−154807(JP,A)
【文献】 特開2018−122909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00− 3/04
F25D 11/00−16/00;27/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料ボトルから取り入れた飲料を供給ノズルから供給する飲料供給装置において、
前記飲料ボトルから飲料が供給され、当該飲料を所定の温度に冷却して貯留する冷却タンクと、
流路を開閉する常温水用開閉弁を備え、前記冷却タンクに貯留される飲料の中で常温域の飲料を前記供給ノズルに導く常温水供給配管と、
前記供給ノズルに配設され、流路を開閉する給水用開閉弁と、
前記冷却タンクから中継配管を経由して飲料が供給され、当該飲料を所定の温度に加熱して貯留する加熱タンクと、
流路を開閉する温水用開閉弁を備え、前記加熱タンクに貯留される飲料を前記供給ノズルに導く温水供給配管と、を有し、
クリーニング指示がなされると、前記温水用開閉弁及び前記常温水用開閉弁が開かれる一方、前記給水用開閉弁が閉じられることを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
流路を開閉する冷水用開閉弁を備え、前記冷却タンクに貯留される飲料を前記供給ノズルに導く冷水供給配管をさらに有し、
クリーニング指示がなされると、前記冷水用開閉弁がさらに開かれることを特徴とする請求項に記載された飲料供給装置。
【請求項3】
飲料ボトルから取り入れた飲料を供給ノズルから供給する飲料供給装置において、
前記飲料ボトルから飲料が供給され、当該飲料を所定の温度に冷却して貯留する冷却タンクと、
流路を開閉する常温水用開閉弁を備え、前記冷却タンクに貯留される飲料の中で常温域の飲料を前記供給ノズルに導く常温水供給配管と、
前記冷却タンクから中継配管を経由して飲料が供給され、当該飲料を所定の温度に加熱して貯留する加熱タンクと、
流路を開閉する冷水用開閉弁を備え、前記冷却タンクに貯留される飲料を前記供給ノズルに導く冷水供給配管と、
前記冷水供給配管の前記冷水用開閉弁よりも上流側と、前記常温水供給配管の前記常温水用開閉弁よりも上流側とを接続するバイパス配管と、
流路を開閉する循環用開閉弁を備え、前記加熱タンクと前記冷却タンクとを接続する循環配管と、を有し、
クリーニング指示がなされると、前記冷水用開閉弁及び前記常温水用開閉弁が閉じられる一方、前記循環用開閉弁が開かれることを特徴とする飲料供給装置。
【請求項4】
前記冷却タンクは、
前記飲料ボトルから取り入れた飲料がタンク上部から供給されるタンク本体と、
前記タンク本体の内部に配置され、当該タンク本体内に貯留される飲料を上下に仕切る仕切板と、
前記仕切板よりも下側に配置され、前記冷却タンク内の飲料を冷却する冷却手段と、を有し、
前記常温水供給配管は、前記仕切板よりも上側となる位置で前記タンク本体に接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された飲料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、飲料ボトルから取り入れた飲料(例えば水)を供給ノズルから供給する飲料供給装置が知られている。この飲料供給装置は、飲料ボトルを搭載可能又は内蔵可能なサーバー本体と、当該サーバー本体内に収容されて、飲料ボトルから取り入れた飲料を所定の温度に温調して貯留する貯留タンクとを備えている。貯留タンクに溜められた飲料は、利用者の操作に応じて供給ノズルから供給される。例えば特許文献1,2には、貯留タンクとして冷水タンクと温水タンクとを備える飲料供給装置が開示されている。
【0003】
なお、例えば特許文献3には、小型の飲料ボトルから常温水を供給する飲料供給装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−126189号公報
【特許文献2】特開2013−224163号公報
【特許文献3】実用新案登録第3169251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に開示された飲料供給装置によれば、加熱又は冷却といった温調された水を簡易に利用することができるという長所がある。しかしながら、冷却された水を利用する際に、周囲の外気温や利用する人の感覚によっては冷えすぎていると感じることがある。また、薬の服用にあっては、冷却された水では冷たすぎる場合がある。そのため、常温の水を得ようとする場合、冷水と温水とを交互に注ぎ、利用者自身で温度を調整する必要があり、手間がかかるという問題がある。また、冷水と温水とを自動で混合して常温水を生成する機能を搭載することも考えられるが、装置構成が複雑化するという問題がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、温調された飲料のみならず常温のままの飲料も供給することができる飲料供給装置を簡素な構成で実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、本発明は、飲料ボトルから取り入れた飲料を供給ノズルから供給する飲料供給装置を提供する。この飲料供給装置は、飲料ボトルから飲料が供給され、当該飲料を所定の温度に冷却して貯留する冷却タンクと、流路を開閉する常温水用開閉弁を備え、冷却タンクに貯留される飲料の中で常温域の飲料を供給ノズルに導く常温水供給配管と、供給ノズルに配設され、流路を開閉する給水用開閉弁と、冷却タンクから中継配管を経由して飲料が供給され、当該飲料を所定の温度に加熱して貯留する加熱タンクと、流路を開閉する温水用開閉弁を備え、加熱タンクに貯留される飲料を供給ノズルに導く温水供給配管と、を有し、クリーニング指示がなされると、温水用開閉弁及び常温水用開閉弁が開かれる一方、給水用開閉弁が閉じられる
この場合、飲料供給装置は、流路を開閉する冷水用開閉弁を備えて冷却タンクに貯留される飲料を供給ノズルに導く冷水供給配管をさらに有していてもよい。そして、クリーニング指示がなされると、冷水用開閉弁がさらに開かれることが望ましい。
また、本発明の他の飲料供給装置は、飲料ボトルから取り入れた飲料を供給ノズルから供給する飲料供給装置において、飲料ボトルから飲料が供給され、当該飲料を所定の温度に冷却して貯留する冷却タンクと、流路を開閉する常温水用開閉弁を備え、冷却タンクに貯留される飲料の中で常温域の飲料を供給ノズルに導く常温水供給配管と、冷却タンクから中継配管を経由して飲料が供給され、当該飲料を所定の温度に加熱して貯留する加熱タンクと、流路を開閉する冷水用開閉弁を備え、冷却タンクに貯留される飲料を供給ノズルに導く冷水供給配管と、冷水供給配管の冷水用開閉弁よりも上流側と、常温水供給配管の常温水用開閉弁よりも上流側とを接続するバイパス配管と、流路を開閉する循環用開閉弁を備え、加熱タンクと冷却タンクとを接続する循環配管と、をさらに有し、クリーニング指示がなされると、冷水用開閉弁及び常温水用開閉弁が閉じられる一方、循環用開閉弁が開かれることを特徴とする。
【0008】
ここで、本発明において、冷却タンクは、飲料ボトルから取り入れた飲料がタンク上部から供給されるタンク本体と、タンク本体の内部に配置され、当該タンク本体内に貯留される飲料を上下に仕切る仕切板と、仕切板よりも下側に配置され、冷却タンク内の飲料を冷却する冷却手段と、を有し、常温水供給配管は、仕切板よりも上側となる位置でタンク本体に接続されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、温調された飲料のみならず常温のままの飲料も供給することができる飲料供給装置を簡素な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る飲料供給装置の外観を示す斜視図
図2】本実施形態に係る飲料供給装置の内部構成を模式的に示す図
図3】本実施形態に係る飲料供給装置の配管構成を概略的に示す説明図
図4】本実施形態に係る飲料供給装置の要部を模式的に示す図
図5】本実施形態に係る飲料供給装置の要部を模式的に示す図
図6】本実施形態に係る飲料供給装置の変形例に関する配管構成を概略的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本実施形態に係る飲料供給装置1について説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る飲料供給装置1の外観を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る飲料供給装置1の内部構成を模式的に示す図である。図3は、本実施形態に係る飲料供給装置1の配管構成を概略的に示す説明図である。図4は、本実施形態に係る飲料供給装置1の要部を模式的に示す図である。図5は、本実施形態に係る飲料供給装置1の要部を模式的に示す図である。なお、図3に示す破線の矢印は、クリーニング時の水の流れを示す。
【0015】
本実施形態に係る飲料供給装置1は、飲料を所定の温度に加熱して又は冷却して、或いは、常温のまま供給する装置である。本実施形態では、飲料として水を例示するが、これ以外の飲料であってもよい。
【0016】
この飲料供給装置1は、装置本体である筐体2と、その内部に収容される冷却タンク3及び加熱タンク4と、操作パネル5とを主体に構成されている。
【0017】
筐体2の上端部には、ボトル載置部20が設けられており、当該ボトル載置部20には、飲料が充填された飲料ボトル6を載置することができる(図4及び図5において、飲料ボトル6は省略されている)。ボトル載置部20に載置された飲料ボトル6内の水は、周囲の温度に応じた常温となる。
【0018】
飲料ボトル6は、図2に示すように、当該飲料ボトル6の上端部から突き出した飲料取出口60を下方に向けた状態でボトル載置部20に載置される。この載置状態において、飲料取出口60は、ボトル載置部20の中央に設けられた挿入凹部21に挿入される。
【0019】
ボトル載置部20の下面(裏面)側には、ボトル載置部20に載置された飲料ボトル6から水を取り入れる飲料取入部22が設けられている。飲料取入部22は、底面側が閉塞された筒状部材からなる取入部本体22aと、この取入部本体22aの底面中央に設けられ、当該底面を貫通して上下方向に延在する円筒部22bとで構成されている。
【0020】
取入部本体22aの上端側の内周面は、挿入凹部21の下端側の外周面に対して嵌合する嵌合部をなしており、取入部本体22aは、ボトル載置部20の下面側から、挿入凹部21に対して嵌合固定される。
【0021】
円筒部22bは、取入部本体22aの上端より突出した高さに設定されており、その先端部は挿入凹部21の内方まで到達している。円筒部22bの先端部は、上方に向かって膨出するような半球形状に形成されており、当該先端部より若干下がった位置には、給水開口22cが形成されている。
【0022】
飲料ボトル6がボトル載置部20に載置され、飲料取出口60が挿入凹部21に挿入されると、円筒部22bが飲料取出口60から飲料ボトル6の内部に挿入される。この際、円筒部22bの給水開口22cも飲料ボトル6の内部に位置する。このため、飲料ボトル6に溜められている水は、給水開口22cから円筒部22bの内部へと流入し、飲料ボトル6内の水が、飲料供給装置1の内部へと取り入れられる。円筒部22bの下端には、後述する接続配管25が接続されており、円筒部22bに流入した水は、接続配管25を経由して冷却タンク3に供給される。
【0023】
冷却タンク3は、冷却(温調)された水を貯留する金属製の貯留タンクであり、筐体2内の上方に位置する空間部に配置されている。この冷却タンク3は、飲料取入部22よりも下方に配置されている。
【0024】
冷却タンク3は、底面側が閉塞された有底筒状のタンク本体30を備えている。タンク本体30の周側壁の下側領域には、タンク本体30内の水を冷却するための熱交換部70が設置されている。
【0025】
筐体2の底部には、冷却装置71が設けられており、この冷却装置71は、熱交換部70との間で冷媒を循環させる冷媒配管(図示せず)を備えている。冷媒配管を介して冷媒が循環し、熱交換部70に冷却された冷媒が供給されることで、冷却タンク3に溜まっている水(特に下側に貯留される水)が冷却される。
【0026】
また、タンク本体30は、保冷性を確保するために、その周囲が断熱材32により覆われている。断熱材32は、例えば発泡スチロール等により構成されている。
【0027】
冷却タンク3は、タンク本体30の上面を閉塞するタンク蓋35を備えている。このタンク蓋35は、例えば樹脂材料から形成されており、その上面には、後述する配管接続部36を除き、断熱材(図示せず)が配設されている。
【0028】
タンク蓋35の所要の位置には、冷却タンク3の内外を連通する貫通孔を備えた配管接続部36が設けられている。配管接続部36には、タンク蓋35の上面側から接続配管25が接続されており、接続配管25を流れた水はタンク蓋35を通過してタンク本体30に供給される。
【0029】
タンク蓋35の下面側(すなわち、冷却タンク3の内側)には、弁体37を備えるフロート38が設けられている。フロート38は、タンク蓋35に対して回動可能に取り付けらており、冷却タンク3内の液面の上下動に応じて回動する。弁体37は、フロート38の回動動作に応じて上下方向に移動することで、配管接続部36の下面側(接続配管25の出口端部)を開閉する。冷却タンク3内の水は、フロート38及び弁体37の動作により、所定の水位に維持される。
【0030】
具体的には、水の消費に応じて、冷却タンク3内の水位が低下すると、フロート38が、図4における反時計回り方向へと回動する。弁体37は、フロート38の回動に応じて配管接続部36の下面側から離間し、これにより、配管接続部36の下面側が開放される。その結果、飲料ボトル6から接続配管25を介して冷却タンク3へと水が供給され、冷却タンク3内の水位が上昇する。一方、フロート38は、水位の上昇に応じて図4における時計回り方向へと回動する。弁体37は、フロート38の回動に応じて配管接続部36の下面側を閉塞し、これにより、接続配管25からの水の流入が停止される。このように、冷却タンク3には、消費に応じた水が飲料ボトル6から供給される。
【0031】
冷却タンク3には、上下方向の中間位置に仕切板39が設置されている。冷却タンク3内の水は、仕切板39を境に、仕切板39よりも上側の水と、熱交換部70と位置的に対応する、仕切板39よりも下側の水とに仕切られる。この構成により、熱交換部70により冷却された下側の水と、未冷却の上側の水とが混合することが抑制され、冷却した水が温められてしまうという事態を抑制することができる。
【0032】
冷却タンク3の底面側には、冷水供給配管33が接続されており、冷水供給配管33には、冷水用電磁弁34が設けられている。冷水供給配管33の冷水用電磁弁34よりも下流側は、供給ノズル11に接続されている。供給ノズル11は、利用者が飲料の供給を受けるためのものであり、その先端側は筐体2の外部に延出している。供給ノズル11の先端部は、冷却タンク3に溜まる水の液面より下方となる位置に設定されており、この供給ノズル11には、給水用電磁弁10が設けられている。操作パネル5などの操作により冷水の給水指示がなされると、冷水用電磁弁34及び給水用電磁弁10が開かれ、冷却タンク3内の冷えた水が、冷水供給配管33を介して供給ノズル11から供給される。
【0033】
加熱タンク4は、加熱(温調)された水を貯留する貯留タンクであり、筐体2内の中間に位置する空間部に配置されている。加熱タンク4は、冷却タンク3よりも下方、冷却装置71よりも上方に配置されている。加熱タンク4にはヒータ(図示せず)が設置されており、当該ヒータにより加熱タンク4内の水が加熱される。
【0034】
加熱タンク4の上面側には、中継配管40が接続されており、この中継配管40の他端は、冷却タンク3に接続されている。具体的には、冷却タンク3内の仕切板39の中央部には貫通孔が穿孔されている。また、冷却タンク3の内部には、上下方向に沿って延在する中空のパイプ部41が配置されている。パイプ部41の上端は仕切板39に接続され、当該パイプ部41の中空部が仕切板39の貫通孔と連通されている。中継配管40の他端側は、冷却タンク3の底面を貫通した状態でパイプ部41の中空部に配設されており、その先端が仕切板39まで到達している。
【0035】
冷却タンク3内の仕切板39よりも上側の水は中継配管40に流入すると、当該中継配管40を経て加熱タンク4へ供給される。このように、加熱タンク4への水の供給は、飲料ボトル6から直接行われるのではなく、冷却タンク3から行われる。
【0036】
加熱タンク4の上部には、温水供給配管42が接続されており、当該温水供給配管42には、温水用電磁弁43が設けられている。温水供給配管42の温水用電磁弁43よりも下流側は、冷水供給配管33と同様、供給ノズル11に接続されている。操作パネル5などの操作により温水の給水指示がなされると、温水用電磁弁43及び給水用電磁弁10が開かれ、加熱タンク4内の加熱された水が、温水供給配管42を介して供給ノズル11から供給される。
【0037】
なお、加熱タンク4から水が供給されると、供給された分の水が冷却タンク3から加熱タンク4へと供給される。同様に、加熱タンク4への供給分の水が飲料ボトル6から冷却タンク3へと供給される。
【0038】
図1に示すように、筐体2の正面(前面)2aの中央部には、所要の大きさを備える筐体開口24が設けられており、当該筐体開口24には化粧パネル50が配設されている。
【0039】
化粧パネル50の上部には、正面側へと張り出した膨出部51が設けられている。膨出部51は、上側から下側にかけて正面側に突き出すように傾斜する傾斜形状とされており、当該膨出部51の表面には操作パネル5が配設されている。操作パネル5には、利用者からの操作を受け付けるための操作手段が配置されている。操作手段としては、タッチパネルやダイヤル、スイッチ等を用いることができるが、これ以外の操作手法を用いるものであってもよい。利用者は、この操作パネル5への操作を通じて、温水、冷水又は常温水に対する給水指示や、飲料供給装置1が備える各種機能に対する実行指示を行うことができる。
【0040】
また、膨出部51よりも下側の化粧パネル50には、上側から下側にかけて筐体2の内側に入り込むように傾斜する傾斜壁部52と、当該傾斜壁部52の下側に連設されて、鉛直方向に起立する縦壁部53とが設けられている。この傾斜壁部52と、縦壁部53と、筐体2をなす左右の側面2b,2cとにより、供給ノズル11から供給される水を受けるための給水空間Sが形成される。
【0041】
傾斜壁部52にはノズル開口52aが設けられており、当該ノズル開口52aには、上述した供給ノズル11の先端部が下向きに突き出すように配置されている。ノズル開口52aから突き出した供給ノズル11の先端部は、ノズルカバー54により覆われている。
【0042】
給水空間Sの下端には、コップ等の容器を載置したり、容器から溢れた水を受け止めたりするためのドリップトレイ55が配置されている。飲料供給装置1の使用時には、ドリップトレイ55上の所定位置に容器を置き、操作パネル5に対して所定の給水操作を行うことで、供給ノズル11から供給される水を容器で受けることができる。
【0043】
本実施形態の特徴の一つとして、飲料供給装置1は、冷水を給水する機能及び温水を給水する機能を備えるのみならず、常温水を供給する機能も備えている。
【0044】
具体的には、飲料供給装置1は、常温水供給配管26を備えている。上述したとおり、冷却タンク3に貯留される水は、仕切板39を境に、上側にある常温域の水と、下側にある冷却された水とに分けられている。そのため、常温水供給配管26は、タンク本体30の周側壁において仕切板39よりも上側となる位置に接続されている。これにより、冷却タンク3に貯留される飲料のうち常温域の飲料を供給ノズル11に導くことができる。
【0045】
常温水供給配管26には、流路を開閉する常温水用電磁弁27が設けられている。常温水供給配管26の常温水用電磁弁27よりも下流側は、上述した冷水供給配管33及び温水供給配管42と同様、供給ノズル11に接続されている。操作パネル5などの操作により常温水の給水指示がなされると、常温水用電磁弁27及び給水用電磁弁10が開かれ、冷却タンク3内の常温域の水(常温水)が常温水供給配管26を介して供給ノズル11から供給される。
【0046】
このような構成の飲料供給装置1にあっては、操作パネル5などの操作によりクリーニング指示がなされると、冷水用電磁弁34、温水用電磁弁43及び常温水用電磁弁27が開かれる一方、給水用電磁弁10が閉じられる。この場合、加熱タンク4内の加熱された水が、中継配管40を介して冷却タンク3に送られる。また、加熱タンク4内の加熱された水は、冷却タンク3へと送られると、常温水供給配管26及び冷水供給配管33を通過した後、温水供給配管42を経由して加熱タンク4へ循環する。これにより、冷却タンク3内が加熱された水で満たされ、冷却タンク3内の熱殺菌(クリーニング)を実施することができる。加えて、常温水供給配管26及び冷水供給配管33にも加熱された水が循環されるので、常温水供給配管26及び冷水供給配管33についても熱殺菌(クリーニング)を実施することができる。
【0047】
このように本実施形態において、飲料供給装置1は、飲料ボトル6から取り入れた水を供給ノズル11から供給するものである。この飲料供給装置1は、飲料ボトル6から取り入れた水が供給され、当該水を所定の温度に冷却して貯留する冷却タンク3と、流路を開閉する常温水用電磁弁27を備え、冷却タンク3に貯留される水の中で常温域の水を供給ノズル11に導く常温水供給配管26と、を有している。
【0048】
この構成によれば、常温水供給配管26を冷却タンク3に設けたことで、当該冷却タンク3に貯留される常温域の水を供給ノズル11へと導くことができる。これにより、利用者が常温水を簡易に利用することができる。したがって、常温水を得るために、冷水と温水とを交互に注ぎ、利用者自身で温度を調整するといった手間を省くことができる。また、冷水と温水とを自動で混合して常温水を生成するといった機能を搭載する必要もないので、簡素な装置構成で常温水を利用することができる。
【0049】
また、本実施形態において、冷却タンク3は、飲料ボトル6から取り入れた水がタンク上部から供給されるタンク本体30と、タンク本体30の内部に配置され、当該タンク本体30内に貯留される水を上下に仕切る仕切板39と、仕切板39よりも下側領域に配置され、冷却タンク3内の水を冷却する冷却手段である熱交換器70と、を有している。この場合、常温水供給配管26は、仕切板39よりも上側となる位置でタンク本体30に接続されている。
【0050】
冷却タンク3に貯留される水は、仕切板39を境に、上側に常温域の水と、下側に冷却された水とに分かれている。このため、仕切板39よりも上側となる位置で常温水供給配管26が接続されることで、冷却タンク3の中から常温域の水を選択的に取り出すことができる。
【0051】
また、本実施形態において、飲料供給装置1は、供給ノズル11に配設され、流路を開閉する給水用電磁弁10と、冷却タンク3から中継配管40を経由して水が供給され、当該水を所定の温度に加熱して貯留する加熱タンク4と、流路を開閉する温水用電磁弁43を備え、加熱タンク4に貯留される飲料を供給ノズル11に導く温水供給配管42と、を有している。そして、クリーニング指示がなされると、温水用電磁弁43及び常温水用電磁弁27が開かれる一方、給水用電磁弁10が閉じられる。
【0052】
この構成によれば、加熱タンク4と冷却タンク3との間で水を循環させる経路に、常温水供給配管26が含まれる。これにより、冷却タンク3のみならず、常温水供給配管26についても熱殺菌を行うことができる。
【0053】
また、本実施形態において、飲料供給装置1は、流路を開閉する冷水用電磁弁34を備えて冷却タンク3に貯留される飲料を供給ノズル11に導く冷水供給配管33をさらに有している。そして、クリーニング指示がなされると、冷水用電磁弁34がさらに開かれる。
【0054】
この構成によれば、加熱タンク4と冷却タンク3との間で水を循環させる経路に、冷水供給配管33が含まれる。これにより、冷却タンク3のみならず、冷水供給配管33についても熱殺菌を行うことができる。
【0055】
なお、本実施形態では、供給ノズル11に給水用電磁弁10を設けることで、冷却タンク3と加熱タンク4との循環経路を形成したが、当該循環経路の形態は、これに限定されるものではなく、給水用電磁弁10を用いずに循環経路を形成することも可能である。ここで、図6は、本実施形態に係る飲料供給装置1の変形例に関する配管構成を概略的に示す説明図である。なお、図6に示す破線の矢印は、クリーニング時の水の流れを示す。
【0056】
具体的には、加熱タンク4の上部には、循環配管44が接続されており、当該循環配管44には、流路を開閉する循環用電磁弁45が設けられている。循環配管44の他端は、冷却タンク3の下面側に接続されており、循環配管44を介して加熱タンク4と冷却タンク3とが相互に接続されている。
【0057】
また、飲料供給装置1は、冷水供給配管33の冷水用電磁弁34よりも上流側と、常温水供給配管26の常温水用電磁弁27よりも上流側とを接続するバイパス配管46を備えている。
【0058】
操作パネル5などの操作によりクリーニング指示がなされると、通常は閉じた状態の循環用電磁弁45が開かれる。これにより、加熱タンク4内の加熱された水が、中継配管40を介して冷却タンク3に送られ、冷却タンク3内が加熱された水で満たされるので、冷却タンク3内の熱殺菌(クリーニング)を実施することができる。冷却タンク3と加熱タンク4との間に循環配管44を追加することで、冷却タンク3内の水が加熱タンク4へと戻り、水を適切に循環させることができる。
【0059】
また、クリーニング指示がなされると、冷水用電磁弁34、温水用電磁弁43及び常温水用電磁弁27も閉じられる。加熱タンク4内の加熱された水は、冷却タンク3へと送られた後、常温水供給配管26、バイパス配管46、冷水供給配管33を経由して、冷水タンク3へと戻る。これにより、常温水供給配管26及び冷水供給配管33にも加熱された水が循環されるので、常温水供給配管26及び冷水供給配管33についても熱殺菌(クリーニング)を実施することができる。
【0060】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0061】
例えば、上述した実施形態では、冷水供給配管、温水供給配管、常温水供給配管及び供給ノズルに配設した弁を電磁弁で構成したが、これらの電磁弁のいずれかを機械式弁に置き換えてもよく、種々の開閉弁を利用することができる。また、本実施形態では、冷水供給配管、温水供給配管及び常温水供給配管を供給ノズルの上流で合流させ、単一の供給ノズルに接続しているが、供給ノズルを供給配管毎に設ける構成であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 飲料供給装置
10 給水用電磁弁
11 供給ノズル
2 筐体
20 ボトル載置部
21 挿入凹部
22 飲料取入部
22a 取入部本体
22b 円筒部
22c 給水開口
24 筐体開口
25 接続配管
26 常温水供給配管
27 常温水用電磁弁
3 冷却タンク
30 タンク本体
32 断熱材
33 冷水供給配管
34 冷水用電磁弁
35 タンク蓋
36 配管接続部
37 弁体
38 フロート
39 仕切板
4 加熱タンク
40 中継配管
42 温水供給配管
43 温水用電磁弁
44 循環配管
45 循環用電磁弁
46 バイパス配管
5 操作パネル
50 化粧パネル
6 飲料ボトル
60 飲料取出口
S 給水空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6