(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する導電性複合体が水系分散媒中に含まれる水分散液にエポキシ基含有化合物を添加し、導電性複合体を析出させて析出物を得た後、該析出物を回収する析出回収工程と、
回収した析出物に第1有機溶剤及びイソシアネート基含有化合物を添加して第1調製液を得るイソシアネート基含有化合物添加工程と、
前記第1調製液にバインダ成分である付加硬化型シリコーン化合物を添加するバインダ成分添加工程と、を有する、導電性高分子分散液の製造方法。
前記析出回収工程と前記イソシアネート基含有化合物添加工程との間に、ヒドロキシ基を有さない有機溶剤を含む洗浄用有機溶剤で前記析出物を洗浄する洗浄工程をさらに有する、請求項8に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<導電性高分子分散液>
本発明の一態様の導電性高分子分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、有機溶剤とを含有する。
【0010】
(π共役系導電性高分子)
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、透明性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
【0011】
ポリチオフェン系導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)が挙げられる。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
上記π共役系導電性高分子のなかでも、導電性、透明性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
導電性複合体に含まれるπ共役系導電性高分子は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
【0012】
(ポリアニオン)
ポリアニオンとは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、またはカルボキシ基であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリメタクリルオキシベンゼンスルホン酸等のスルホン酸基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等のカルボン酸基を有する高分子が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、導電性をより高くできることから、スルホン酸基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下であることが好ましく、10万以上50万以下であることがより好ましい。
【0013】
ポリアニオンが、π共役系導電性高分子にドープすることによって導電性複合体を形成する。ただし、ポリアニオンにおいては、全てのアニオン基がπ共役系導電性高分子にドープせず、ドープに関与しない余剰のアニオン基を有している。この余剰のアニオン基は親水基であるため、後述するようにエポキシ基含有化合物と反応させる前の状態では、導電性複合体は水分散性が高く、有機溶剤分散性が低い。
【0014】
本態様で使用されるポリアニオンは、アニオン基と共に、一部のアニオン基とエポキシ基含有化合物との反応によって形成した置換基(A)にさらにイソシアネート基含有化合物を反応させて形成した置換基(B)を有する。
導電性複合体の詳細な分析は必ずしも容易ではないが、置換基(A)は下記化学式(A)で示される基、置換基(B)は下記化学式(B)で示される基であると推測される。すなわち、本態様では、ポリアニオンの一部のアニオン基におけるプロトンが置換基(B)に置き換わっていると推測される。
【0016】
化学式(A)及び化学式(B)におけるR
1,R
2は各々、任意の置換基である。化学式(A)におけるヒドロキシ基は、エポキシ基含有化合物のエポキシ基が開環したことにより形成した基であり、R
1は後述するエポキシ基含有化合物に由来する置換基である。化学式(B)におけるR
2は後述するイソシアネート基含有化合物に由来する置換基である。
置換基(A)及び置換基(B)は、各々、アニオン基の酸素原子に結合する。
【0017】
エポキシ基含有化合物は、1分子中にエポキシ基を1つ以上有する化合物である。凝集又はゲル化を防止する点では、エポキシ基含有化合物は、1分子中にエポキシ基を1つ有する化合物が好ましい。
エポキシ基含有化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
1分子中にエポキシ基を1つ有する単官能エポキシ基含有化合物としては、例えば、プロピレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、イソブチレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシテトラデカン、グリシジルメチルエーテル、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、エチルグリシジルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテル、tert−ブチルグリシジルエーテル、1,2−エポキシエイコサン、2−(クロロメチル)−1,2−エポキシプロパン、グリシドール、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、ブチルグリシジルエーテル、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシ−9−デカン、2−(クロロメチル)−1,2−エポキシブタン、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−1H,1H,2H,2H,3H,3H−トリフルオロブタン、アリルグリシジルエーテル、テトラシアノエチレンオキサイド、グリシジルブチレート、1,2−エポキシシクロオクタン、グリシジルメタクリレート、1,2−エポキシシクロドデカン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタデカン、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−1H,1H,2H,2H,3H,3H−ヘプタデカフルオロブタン、3,4−エポキシテトラヒドロフラン、グリシジルステアレート、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、エポキシコハク酸、グリシジルフェニルエーテル、イソホロンオキサイド、α−ピネンオキサイド、2,3−エポキシノルボルネン、ベンジルグリシジルエーテル、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−(3−グリシジルオキシプロピル)トリシロキサン、9,10−エポキシ−1,5−シクロドデカジエン、4−tert−ブチル安息香酸グリシジル、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、2−tert−ブチル−2−[2−(4−クロロフェニル)]エチルオキシラン、スチレンオキサイド、グリシジルトリチルエーテル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−フェニルプリピレンオキサイド、コレステロール−5α,6α−エポキシド、スチルベンオキサイド、p−トルエンスルホン酸グリシジル、3−メチル−3−フェニルグリシド酸エチル、N−プロピル−N−(2,3−エポキシプロピル)ペルフルオロ−n−オクチルスルホンアミド、(2S,3S)−1,2−エポキシ−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−フェニルブタン、3−ニトロベンゼンスルホン酸(R)−グリシジル、3−ニトロベンゼンスルホン酸−グリシジル、パルテノリド、N−グリシジルフタルイミド、エンドリン、デイルドリン、4−グリシジルオキシカルバゾール、7,7−ジメチルオクタン酸[オキシラニルメチル]、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、C12,C13混合高級アルコールグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0019】
1分子中にエポキシ基を2つ以上有する多官能エポキシ基含有化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,7−オクタジエンジエポキシド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2:3,4−ジエポキシブタン、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル、イソシアヌル酸トリグリシジルネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,2:3,4−ジエポキシブタン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトール系ポリグリシジルエーテル、エチレンオキシドラウリルアルコールグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート等が挙げられる。
【0020】
エポキシ基含有化合物は、有機溶剤への溶解性が高くなることから、分子量が50以上2,000以下であることが好ましく、低極性の有機溶剤への溶解性が高くなることから、炭素数が10以上のものが好ましい。
【0021】
イソシアネート基含有化合物は、1分子中にイソシアネート基を1つ有する単官能イソシアネート基含有化合物、1分子中にイソシアネートを2つ以上有する多官能イソシアネート基含有化合物のいずれであってもよい。
1分子中にイソシアネート基を1つ有する単官能イソシアネート基含有化合物としては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート等が挙げられる。
1分子中にイソシアネート基を2つ以上有する多官能イソシアネート基含有化合物としては、例えば、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
イソシアネート基含有化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
導電性複合体中の、ポリアニオンの含有割合は、π共役系導電性高分子100質量部に対して1質量部以上1000質量部以下の範囲であることが好ましく、10質量部以上700質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上500質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。ポリアニオンの含有割合が前記下限値以上であれば、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が強くなる傾向にあり、導電性がより高くなる。一方、ポリアニオンの含有量が前記上限値以下であれば、ドープに関与しないアニオン基の量が適度に抑えられ、アニオン基にエポキシ基含有化合物を反応させる際に疎水性に容易に変換できる。
【0023】
導電性高分子分散液の総質量に対する、前記導電性複合体の含有量は、例えば、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.5質量%以上10質量%以下がより好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下がさらに好ましい。
【0024】
(有機溶剤)
本態様で使用される有機溶剤としては、例えば、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、窒素原子含有化合物系溶剤等が挙げられる。有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
炭化水素系溶剤としては、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、アリルアルコール等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。
窒素原子含有化合物系溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0025】
上記有機溶剤のなかでも、プラスチックフィルム基材に対する導電性高分子分散液の濡れ性が高くなり、また、低極性のバインダ成分を容易に可溶化できる点では、炭化水素系溶剤が好ましい。また、炭化水素系溶剤のなかでも、汎用的であることから、ヘプタン及びトルエンの少なくとも一方が好ましく、ヘプタンがより好ましい。また、バインダ成分としてシリコーン化合物を用いた場合には、シリコーン溶解性に優れることから、ヘプタン及びトルエンの少なくとも一方が好ましい。
本態様で使用される有機溶剤が炭化水素系溶剤を含有する場合には、その含有量は、有機溶剤の総量を100質量%とした際の50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。有機溶剤の全てが炭化水素系溶剤であってもよい。炭化水素系溶剤以外の溶剤を含有する場合には、炭化水素系溶剤の含有量が90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることが好ましい。
本態様で使用される有機溶剤においては、導電性複合体の分散性がより高くなることから、メチルエチルケトンを含有することが好ましい。
有機溶剤としてヘプタンを使用した場合、ヘプタン以外の溶剤を併用してもよい。ヘプタンと併用する有機溶剤としては、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、キシレン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサンが好ましい。
有機溶剤がヘプタンとヘプタン以外の溶剤とを含む場合、ヘプタンの含有量は有機溶剤の総量を100質量%とした際の10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
【0026】
(バインダ成分)
本態様の導電性高分子分散液は、得られる導電層の製膜性を向上させるために、バインダ成分を含有してもよい。
本態様の導電性高分子分散液は、分散媒として有機溶剤を使用しているため、バインダ成分として、低極性であるシリコーン化合物を好適に使用できる。
【0027】
シリコーン化合物としては、硬化型シリコーンが挙げられる。バインダ成分が硬化型シリコーンである場合、硬化型シリコーンを硬化させることにより、導電層に離型性を発現させることができる。
硬化型シリコーンは、付加硬化型シリコーン、縮合硬化型シリコーンのいずれであってもよい。本態様では、付加硬化型シリコーンを使用しても硬化阻害が生じにくいため、好適である。
付加硬化型シリコーンとしては、シロキサン結合を有する直鎖状ポリマーであって、前記直鎖の両方の末端にビニル基を有するポリジメチルシロキサンと、ハイドロジェンシランとを有するものが挙げられる。このような付加硬化型シリコーンは、付加反応によって三次元架橋構造を形成して硬化する。硬化を促進させるために白金系硬化触媒を用いてもよい。
付加硬化型シリコーンの具体例としては、KS−3703T、KS−847T、KM−3951、X−52−151、X−52−6068、X−52−6069(信越化学工業社製)等が挙げられる。
付加硬化型シリコーンは有機溶剤に溶解又は分散しているものが好適に使用される。
【0028】
また、バインダ成分としては、シリコーン化合物以外の、熱可塑性樹脂(例えばポリエステル等)、熱硬化性化合物(例えば多官能エポキシ化合物等)、活性エネルギー線硬化性化合物(例えばアクリル化合物等)を使用してもよい。熱硬化性化合物を使用する場合には、熱重合開始剤をさらに含有することが好ましく、活性エネルギー線硬化性化合物を使用する場合には、光重合開始剤をさらに含有することが好ましい。
【0029】
バインダ成分の含有割合は、前記導電性複合体100質量部に対して1000質量部以上100000質量部以下であることが好ましく、3000質量部以上50000質量部以下であることがより好ましい。バインダ成分の含有割合が前記下限値以上であれば、得られる導電層の強度及び硬度を充分に向上させることができ、前記上限値以下であれば、充分な導電性を確保できる。
【0030】
(高導電化剤)
導電性高分子分散液は、導電性をより向上させるために、高導電化剤を含んでもよい。
ここで、前述したπ共役系導電性高分子、ポリアニオン、バインダ成分は、高導電化剤に分類されない。ただし、前記エポキシ基含有化合物、前記イソシアネート基含有化合物、前記有機溶剤がここで説明する高導電化剤に該当していても構わない。
高導電化剤は、糖類、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基および1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
導電性高分子分散液に含有される高導電化剤は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
高導電化剤の含有割合は導電性複合体の100質量部に対して、1質量部以上10000質量部以下であることが好ましく、10質量部以上5000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上2500質量部以下であることがさらに好ましい。
高導電化剤の含有割合が前記下限値以上であれば、高導電化剤添加による導電性向上効果が充分に発揮され、前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下を防止できる。
【0031】
(その他の添加剤)
導電性高分子分散液には、公知のその他の添加剤が含まれてもよい。
添加剤としては、本発明の効果が得られる限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、無機導電剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。ただし、添加剤は、前述したπ共役系導電性高分子、ポリアニオン、エポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、バインダ成分及び高導電化剤以外の化合物からなる。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。また、ポリビニルピロリドンなどのポリマー系界面活性剤を添加してもよい。
無機導電剤としては、金属イオン類、導電性カーボン等が挙げられる。なお、金属イオンは、金属塩を水に溶解させることにより生成させることができる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基又はアミノ基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
導電性高分子分散液が上記添加剤を含有する場合、その含有割合は、添加剤の種類に応じて適宜決められるが、例えば、導電性複合体の固形分100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下の範囲とすることができる。
【0032】
(導電性高分子分散液の製造方法)
〔第1の製造方法〕
上記導電性高分子分散液を得るための本態様の導電性高分子分散液の第1の製造方法は、析出回収工程とイソシアネート基含有化合物添加工程とを有する。
また、本態様の導電性高分子分散液の第1の製造方法は、析出回収工程とイソシアネート基含有化合物添加工程との間に洗浄工程をさらに有してもよい。また、イソシアネート基含有化合物添加工程後に、第2有機溶剤添加工程及びバインダ成分添加工程の少なくとも一方をさらに有してもよい。
【0033】
[析出回収工程]
析出回収工程は、導電性高分子水分散液にエポキシ基含有化合物を添加し、導電性複合体を析出させて析出物を得た後、該析出物を濾過により回収する工程である。
導電性高分子水分散液にエポキシ基含有化合物を添加すると、エポキシ基含有化合物のエポキシ基の少なくとも一部が、ポリアニオンの一部のアニオン基と反応する。これにより置換基(A)が形成されて導電性複合体が疎水性になるため、水系分散液中での安定的な分散が困難になり、析出して析出物となる。
エポキシ基含有化合物の添加量は、ポリアニオンに対する質量比で0.1以上1000以下にすることが好ましく、1.0以上100以下にすることがより好ましい。エポキシ基含有化合物の添加量を前記下限値以上にすれば、導電性複合体の疎水性が充分に高くなり、前記上限値以下にすれば、未反応のエポキシ基含有化合物による導電性低下を防止できる。
導電性高分子水分散液にエポキシ基含有化合物を添加する前、添加と同時又は添加した後には、有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤としては、水溶性有機溶剤が好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤が挙げられる。水溶性有機溶剤を含む場合、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
エポキシ基含有化合物が添加される前記導電性高分子水分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する導電性複合体が水系分散媒中に含まれる分散液である。ここで、水系分散媒は、水を含有し、水溶性有機溶剤を含んでもよい。水系分散媒における水の含有量は20質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。
導電性高分子水系分散液は、例えば、ポリアニオンの水溶液中で、π共役系導電性高分子を形成するモノマーを化学酸化重合することにより得られる。また、導電性高分子水系分散液は市販のものを使用しても構わない。
前記化学酸化重合には、公知の触媒を適用してもよい。例えば、触媒及び酸化剤を用いることができる。触媒としては、例えば、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩が挙げられる。酸化剤は、還元された触媒を元の酸化状態に戻すことができる。
【0035】
析出回収工程によって得られる析出物の水分量はできるだけ少ないことが好ましく、水分を全く含まないことが最も好ましいが、実用の観点からは、水分を10質量%以下の範囲で含んでも構わない。
水分量を少なくする方法としては、例えば、有機溶剤で析出物を洗い流す方法、析出物を乾燥する方法等が挙げられる。
【0036】
[洗浄工程]
析出回収工程とイソシアネート基含有化合物添加工程との間の洗浄工程は、洗浄用有機溶剤で前記析出物を洗浄する工程である。この洗浄工程によって、残留する水、未反応のエポキシ基含有化合物、及び、エポキシ基含有化合物の加水分解物を除去する。
前記洗浄用有機溶剤は、ヒドロキシ基を有さない有機溶剤を含む。ヒドロキシ基を有する有機溶剤は、エポキシ基含有化合物と反応して無用なエステルを生じることがある。また、ヒドロキシ基を有する有機溶剤が析出物中に残存した場合、次工程で使用するイソシアネート基含有化合物と反応してしまう可能性がある。そのため、該洗浄工程に使用する洗浄用有機溶剤は、ヒドロキシ基を有さず、エポキシ基含有化合物及びイソシアネート基含有化合物との反応性が低い有機溶剤を含む。なお、洗浄用有機溶剤は、ヒドロキシ基を有する有機溶剤を含んでも構わない。ヒドロキシ基を有する有機溶剤は水を除去するのに適している。洗浄用有機溶剤として、ヒドロキシ基を有する有機溶剤を使用した場合には、その残留物がイソシアネート基含有化合物と反応するおそれがあるため、ヒドロキシ基を有する有機溶剤で析出物を洗浄した後には、ヒドロキシ基を有さない有機溶剤で洗浄することが好ましい。
また、洗浄用有機溶剤は、析出物を溶解せずに洗浄可能なものが好適に使用される。したがって、洗浄用有機溶剤としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、窒素原子含有化合物系溶剤が好ましい。洗浄用有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
洗浄方法としては特に制限はなく、例えば、析出物の上から洗浄用有機溶剤をかけ流して析出物を洗浄してもよいし、洗浄用有機溶剤中で析出物を攪拌して析出物を洗浄してもよい。
【0037】
[イソシアネート基含有化合物添加工程]
イソシアネート基含有化合物添加工程は、前記析出物に第1有機溶剤及びイソシアネート基含有化合物を添加して第1調製液を得る工程である。
析出物には、第1有機溶剤とイソシアネート基含有化合物とを同時に添加してもよいし、第1有機溶剤を添加した後にイソシアネート基含有化合物を添加してもよい。
析出物にイソシアネート基含有化合物を添加することで、アニオン基とエポキシ基含有化合物との反応によって形成した置換基(A)に、イソシアネート基含有化合物を反応させることができる。置換基(A)にイソシアネート基含有化合物を反応させると、置換基(B)を形成し、導電性複合体の疎水性がより高くなる。
イソシアネート基含有化合物の添加量は、ポリアニオンに対する質量比で0.1以上100以下にすることが好ましく、1以上20以下にすることがより好ましい。イソシアネート基含有化合物の添加量を前記下限値以上にすれば、導電性複合体の疎水性が充分に高くなり、前記上限値以下にすれば、未反応のイソシアネート基含有化合物による導電性低下を防止できる。
イソシアネート基含有化合物添加工程においては、イソシアネート基含有化合物の反応性を促進するために、加熱することが好ましい。加熱温度は、40℃以上100℃以下とすることが好ましい。
【0038】
第1有機溶剤としては、上述した有機溶剤を使用できるが、後述する第2有機溶剤添加工程を有する場合には、第1有機溶剤として、メチルエチルケトンを使用することが好ましい。第1有機溶剤としてメチルエチルケトンを使用すると、第1調製液において析出物の分散性を高めることができ、第2有機溶剤を添加して得られる導電性高分子分散液において導電性複合体の分散性をより向上させることができる。
【0039】
析出物に第1有機溶剤及びイソシアネート基含有化合物を添加した後には第1調製液を攪拌して分散処理を施してもよい。特に、本製造方法が第2有機溶剤添加工程を有さない場合には、第1調製液に分散処理を施すことが好ましい。攪拌の方法は特に制限されず、スターラー等の剪断力が弱い攪拌であってもよいし、高剪断力の分散機(ホモジナイザ等)を用いて攪拌してもよい。
【0040】
本態様の導電性高分子分散液の第1の製造方法が第2有機溶剤添加工程を有さない場合には、イソシアネート基含有化合物添加工程において得られた第1調製液が導電性高分子分散液となる。
【0041】
[第2有機溶剤添加工程]
第2有機溶剤添加工程は、前記第1調製液に、前記第1有機溶剤とは異なる第2有機溶剤を添加して第2調製液を得る工程である。第1調製液に第2有機溶剤を添加した後には第2調製液を攪拌して分散処理を施すことが好ましい。攪拌の方法は特に制限されず、スターラー等の剪断力が弱い攪拌であってもよいし、高剪断力の分散機(ホモジナイザ等)を用いて攪拌してもよい。
第1有機溶剤として、メチルエチルケトンを使用した場合には、第2有機溶剤として、低極性溶媒である炭化水素系溶剤を使用することが好ましく、汎用性が高いことから、ヘプタン及びトルエンの少なくとも一方を使用することがより好ましい。
本態様の導電性高分子分散液の第1の製造方法が第2有機溶剤添加工程を有する場合には、第2有機溶剤添加工程において得られた第2調製液が導電性高分子分散液となる。
【0042】
[バインダ成分添加工程]
バインダ成分添加工程は、前記第1調製液又は前記第2調製液にバインダ成分を添加する工程である。第2有機溶剤添加工程を有さない場合には、第1調製液にバインダ成分を添加することが好ましく、第2有機溶剤添加工程を有する場合には、第2調製液にバインダ成分を添加することが好ましい。
第1調製液又は第2調製液にバインダ成分を添加した後には攪拌してバインダ成分の分散性を高めることが好ましい。
バインダ成分が付加硬化型シリコーンである場合には、バインダ成分の添加と同時若しくは添加後に白金系硬化触媒を添加することが好ましい。
【0043】
[高導電化剤、添加剤の添加]
高導電化剤、添加剤等を導電性高分子分散液に含有させる場合には、イソシアネート基含有化合物添加工程、第2有機溶剤添加工程及びバインダ成分添加工程のいずれか1つ以上の工程において、高導電化剤、添加剤等を添加すればよい。
【0044】
〔第2の製造方法〕
上記導電性高分子分散液を得るための本態様の導電性高分子分散液の第2の製造方法は、乾燥工程と第1調製液調製工程とを有する。
また、本態様の導電性高分子分散液の第2の製造方法は、乾燥工程と第1調製液調製工程との間に洗浄工程をさらに有してもよい。また、第1調製液調製工程後に、第2有機溶剤添加工程及びバインダ成分添加工程の少なくとも一方をさらに有してもよい。第2の製造方法における洗浄工程、第2有機溶剤添加工程及びバインダ成分添加工程は、第1の製造方法における洗浄工程、第2有機溶剤添加工程及びバインダ成分添加工程と同様である。
本製造方法において、高導電化剤、添加剤等を導電性高分子分散液に含有させる場合には、第1調製液調製工程、第2有機溶剤添加工程及びバインダ成分添加工程のいずれか1つ以上の工程において、高導電化剤、添加剤等を添加すればよい。
【0045】
[乾燥工程]
乾燥工程は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する導電性複合体が水系分散媒中に含まれる水分散液を乾燥して導電性複合体の乾燥物を得る工程である。
前記乾燥工程における乾燥方法としては、凍結乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、風乾、温風乾燥、加熱乾燥等の公知方法が適用できる。
凍結乾燥では、前記導電性高分子水分散液中の水分を凍結させ、真空乾燥する。
凍結乾燥の際の温度は、−60〜60℃とすることが好ましく、−40〜40℃とすることがより好ましい。凍結乾燥温度が前記下限値以上であれば、温度調整しやすく、前記上限値以下であれば、導電性高分子水分散液を容易に凍結乾燥できる。
真空乾燥の際には、水系分散媒を充分に揮発させるために、前記凍結乾燥温度にした後に、例えば40℃以上に加熱してもよい。
噴霧乾燥では、前記導電性高分子水分散液を真空容器中に噴霧することにより水分を蒸発させて乾燥する。
噴霧乾燥の際の温度は、−20〜40℃とすることが好ましく、0〜30℃とすることがより好ましい。噴霧乾燥温度が前記下限値以上であれば、導電性高分子水分散液を容易に乾燥でき、前記上限値以下であれば、導電性複合体の熱劣化を防止できる。
乾燥工程によって得られる乾燥物の水分量はできるだけ少ないことが好ましく、水分を全く含まないことが最も好ましいが、実用の観点からは、水分を10質量%以下の範囲で含んでも構わない。
水分量を少なくするためには、例えば、乾燥時間を長く、乾燥温度を高く、真空度を高くすればよい。
【0046】
[第1調製液調製工程]
第1調製液調製工程は、前記乾燥物にエポキシ基含有化合物及び第1有機溶剤を添加し、さらにイソシアネート基含有化合物を添加して第1調製液を得る工程である。
第1有機溶剤としては、上述した有機溶剤を特に制限なく使用できる。特に、本製造方法では、乾燥物に水分が殆ど含まれないから、第1有機溶剤として炭化水素系溶剤等の低極性溶剤を使用でき、ヘプタン及びトルエンの少なくとも一方を好適に使用できる。
イソシアネート基含有化合物の添加は、エポキシ基含有化合物に反応させやすくなることから、エポキシ基含有化合物及び第1有機溶剤を添加した後が好ましい。
該工程では、乾燥物にエポキシ基含有化合物を添加することで、ポリアニオンのアニオン基とエポキシ基含有化合物とを反応させて置換基(A)を形成することができる。また、その後、イソシアネート基含有化合物を添加することで、置換基(A)とイソシアネート基含有化合物とを反応させて置換基(B)を形成することができる。エポキシ基含有化合物及びイソシアネート基含有化合物の添加の際には反応促進のために加熱してよい。加熱温度は、40℃以上100℃以下とすることが好ましい。
第2の製造方法においても、第1調製液を導電性高分子分散液としてもよいし、第2有機溶剤添加工程において得られた第2調製液を導電性高分子分散液としてもよい。
【0047】
(作用効果)
特許文献2に記載されているような、ポリアニオンのアニオン基にエポキシ基含有化合物を反応させて形成した置換基(A)はヒドロキシ基を有すると推測されるため、アニオン基に比べれば親水性が低くなっているが、充分に低くはなっていない。そのため、ヘプタン等の低極性有機溶剤に対しては導電性複合体の分散性が不充分であった。本態様では、置換基(A)にイソシアネート基含有化合物を反応させて置換基(B)を形成するため、親水性がより低くなり、親油性(疎水性)をより向上させることができる。その理由は明らかではないが、置換基(A)にイソシアネート基含有化合物を反応させた際には、置換基(A)のヒドロキシ基にイソシアネート基含有化合物のイソシアネート基が反応し、ウレタン結合が生じて置換基(B)を形成すると推測される。形成した置換基(B)は、置換基(A)が有していた親水基であるヒドロキシ基がなくなっていると共に鎖長が長くなっているため、親油性が向上したと推測される。
したがって、本態様の導電性高分子分散液によれば、有機溶剤に対する導電性複合体の分散性、特に、ヘプタン等の低極性有機溶剤に対する導電性複合体の分散性を向上させることができる。このような導電性高分子分散液から形成される導電層においては、導電性複合体の分散性が高くなるため、分散媒として有機溶剤を使用するにもかかわらず、導電性を充分に向上させることができる。特に、ヘプタン等の低極性有機溶剤を使用しても、導電性を充分に向上させることができる。
また、本態様の導電性高分子分散液は親油性が高く、フィルム基材に対する濡れ性が高いため、導電性高分子分散液から形成される導電層の密着性を向上させることができる。
また、本態様の導電性高分子分散液は、バインダ成分、特にシリコーン化合物等の低極性有機溶剤を容易に溶解又は分散させることができ、バインダ成分の分散性を向上させることができる。導電層に離型性を発現させるためにバインダ成分としてシリコーン化合物を用いた場合には、導電性高分子分散液から形成される導電層中のシリコーン分散性が高くなるため、離型性を向上させることができる。
【0048】
<導電性フィルムの製造方法>
本態様の導電性フィルムの製造方法は、フィルム基材の少なくとも一方の面に、上記導電性高分子分散液を塗工する塗工工程と、塗工した導電性高分子分散液からなる塗膜(導電層)を乾燥させる乾燥工程とを有する方法である。
【0049】
(導電性フィルム)
本態様の製造方法により得られる導電性フィルムは、フィルム基材と、前記フィルム基材の少なくとも一方の面に形成された導電層とを備える。導電層は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体を含有する。導電層に含まれるポリアニオンの一部のアニオン基の水素原子は前記置換基(B)に置換されている。
導電性高分子分散液がバインダ成分を含む場合には、導電層にバインダ成分又はバインダ成分が硬化した硬化物が含まれる。
前記導電層の平均厚さとしては、10nm以上20000nm以下であることが好ましく、20nm以上10000nm以下であることがより好ましく、30nm以上5000nm以下であることがさらに好ましい。導電層の平均厚さが前記下限値以上であれば、充分に高い導電性を発揮でき、前記上限値以下であれば、導電層を容易に形成できる。
【0050】
本態様の製造方法において使用するフィルム基材としては、例えば、プラスチックフィルム、紙が挙げられる。
プラスチックフィルムを構成するフィルム基材用樹脂としては、例えば、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。これらのフィルム基材用樹脂のなかでも、安価で機械的強度に優れる点から、ポリエチレンテレフタレート、セルローストリアセテートが好ましい。
前記フィルム基材用樹脂は、非晶性でもよいし、結晶性でもよい。
また、フィルム基材は、未延伸のものでもよいし、延伸されたものでもよい。
また、フィルム基材には、導電性高分子分散液から形成される導電層の密着性をさらに向上させるために、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の表面処理が施されてもよい。
【0051】
前記フィルム基材の平均厚みとしては、10μm以上500μm以下であることが好ましく、20μm以上200μm以下であることがより好ましい。フィルム基材の平均厚みが前記下限値以上であれば、破断しにくくなり、前記上限値以下であれば、フィルムとして充分な可撓性を確保できる。
本明細書における部材の厚さは、任意の10箇所について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
【0052】
(塗工工程)
前記塗工工程において導電性高分子分散液を塗工する方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等のコーターを用いた塗工方法、エアスプレー、エアレススプレー、ローターダンプニング等の噴霧器を用いた噴霧方法、ディップ等の浸漬方法等を適用することができる。
上記のうち、簡便に塗工できることから、バーコーターを用いることがある。バーコーターにおいては、種類によって塗工厚が異なり、市販のバーコーターでは、種類ごとに番号が付されており、その番号が大きい程、厚く塗工できるものとなっている。
前記導電性高分子分散液のフィルム基材への塗工量は特に制限されないが、固形分として、0.1g/m
2以上10.0g/m
2以下の範囲であることが好ましい。
【0053】
(乾燥工程)
前記乾燥工程において乾燥する方法としては、例えば、加熱乾燥、真空乾燥等が挙げられる。加熱乾燥としては、例えば、熱風加熱や、赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。加熱乾燥を適用する場合、加熱温度は、使用する分散媒に応じて適宜設定され、例えば、50℃以上150℃以下に設定できる。ここで、加熱温度は、乾燥装置の設定温度である。
前記導電性高分子分散液が活性エネルギー線硬化性のバインダ成分を含有する場合には、前記乾燥工程後に、乾燥した導電性高分子の塗膜に活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射工程をさらに有してもよい。活性エネルギー線照射工程を有すると、導電層の形成速度を速くでき、導電性フィルムの生産性が向上する。
活性エネルギー線照射工程を有する場合、使用される活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、可視光線等が挙げられる。紫外線の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプなどの光源を用いることができる。
紫外線照射における照度は100mW/cm
2以上が好ましい。照度が100mW/cm
2未満であると、活性エネルギー線硬化性のバインダ成分が充分に硬化しないことがある。また、積算光量は50mJ/cm
2以上が好ましい。積算光量が50mJ/cm
2未満であると、充分に架橋しないことがある。なお、本明細書における照度、積算光量は、トプコン社製UVR−T1(工業用UVチェッカー、受光器;UD−T36、測定波長範囲;300nm以上390nm以下、ピーク感度波長;約355nm)を用いて測定した値である。
【0054】
(作用効果)
本態様の導電性フィルムの製造方法では、親油性が高い上記態様の導電性高分子分散液をフィルム基材に塗工するため、導電性高分子分散液から形成される導電層はフィルム基材に対する密着性が高い。
また、上記態様の導電性高分子分散液は、有機溶剤中で導電性複合体が高分散に分散しているから、導電性高分子分散液から形成される導電層中においても導電性複合体を高分散に含有させることができる。そのため、導電層の導電性を充分に高くできる。
また、導電性高分子分散液がシリコーン化合物を含む場合、導電性高分子分散液中でシリコーン化合物が高分散に分散しているから、導電性高分子分散液から形成される導電層中のシリコーン化合物分散性を高くできる。そのため、シリコーン化合物によって発現する導電層の離型性を充分に高くできる。
【実施例】
【0055】
(製造例1)
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法によりポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。さらに、得られたポリスチレンスルホン酸溶液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
【0056】
(製造例2)
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合させた。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、1.2%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS水分散液)溶液を得た。なお、PEDOT−PSS固形分に対するPSSの含有量は75質量%である。
【0057】
(製造例3)
製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液100gに、メタノール300gとエポキシ基含有化合物(共栄社化学株式会社製、エポライトM−1230、C12,C13混合高級アルコールグリシジルエーテル)25gを添加し、60℃で4時間加熱攪拌した。これにより、π共役系導電性高分子とポリアニオンとエポキシ基含有化合物とから形成された導電性複合体の析出物を得た。その析出物をろ取し、メタノール100g、続いて酢酸エチル100gをかけ流して洗浄し、1.6gの導電性複合体を得た。
【0058】
(製造例4)
製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液100gに、メタノール300gと1,2−エポキシデカン25gを添加し、60℃で4時間加熱攪拌した。これにより、π共役系導電性高分子とポリアニオンとエポキシ基含有化合物とから形成された導電性複合体の析出物を得た。その析出物をろ取し、メタノール100g、続いて酢酸エチル100gをかけ流して洗浄し、1.5gの導電性複合体を得た。
【0059】
(製造例5)
付加硬化型シリコーン(信越化学工業株式会社製、KS−3703T、固形分濃度30質量%、トルエン溶液)1.5gとトルエン25.5gとメチルエチルケトン58.5gと白金触媒(信越化学工業株式会社製、CAT−PL−50T)0.03gを混合して、シリコーン溶液(固形分濃度0.53質量%)を得た。
【0060】
(実施例1)
製造例3で得た導電性複合体1.6gにメチルエチルケトン100gとオクタデシルイソシアネート2.0gを混合し、80℃で4時間、冷却管を用いて還流させつつ反応させた。その後、200gのへプタンを添加し、1時間攪拌した後、常温に戻し、16時間攪拌した。これにより得られた調製液を、高圧ホモジナイザーを用いて分散処理して導電性高分子分散液を得た。
得られた導電性高分子分散液を、No.12のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT60)に塗布し、100℃、1分間乾燥させ、非離型性導電層を形成して、導電性フィルムを得た。
また、得られた導電性高分子分散液2.95gに製造例5で得たシリコーン溶液14.3gを混合して、シリコーン含有導電性高分子分散液を得た。
得られたシリコーン含有導電性高分子分散液を、No.14のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT60)に塗布し、150℃、1分間乾燥させ、離型性導電層を形成して、導電性離型フィルムを得た。
【0061】
(実施例2)
オクタデシルイソシアネートをブチルイソシアネートに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルム及び導電性離型フィルムを得た。
【0062】
(実施例3)
オクタデシルイソシアネートをジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートに変更したこと以外は同様にして、導電性フィルム及び導電性離型フィルムを得た。
【0063】
(実施例4)
製造例3で得た導電性複合体1.6gを製造例4で得た導電性複合体1.5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルム及び導電性離型フィルムを得た。
【0064】
(実施例5)
製造例3で得た導電性複合体1.6gにメチルエチルケトン100gとオクタデシルイソシアネート10.0gを混合し、80℃で4時間、冷却管を用いて還流させつつ反応させた。その後、200gのへプタンを添加し、1時間攪拌した後、常温に戻し、16時間攪拌した。これにより得られた調製液をろ過して導電性複合体を分取し、メタノール100g、続いて酢酸エチル100gをかけ流して洗浄して、2.0gの導電性複合体を得た。この2.0gの導電性複合体にメチルエチルケトン100gと200gのへプタンを添加し、高圧ホモジナイザーを用いて分散処理して導電性高分子溶液を得た。その導電性高分子分散液を使用したこと以外は実施例1と同様にして導電性フィルム及び導電性離型フィルムを得た。
【0065】
(比較例1)
製造例3で得た導電性複合体1.6gにメチルエチルケトン100gと200gのへプタンを添加し、高圧ホモジナイザーを用いて分散処理して導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用したこと以外は実施例1と同様にして導電性フィルム及び導電性離型フィルムを得た。
【0066】
(比較例2)
製造例4で得た導電性複合体1.5gにメチルエチルケトン100gと200gのへプタンを添加し、高圧ホモジナイザーを用いて分散処理して導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用したこと以外は実施例1と同様にして導電性フィルム及び導電性離型フィルムを得た。
【0067】
<評価>
[表面抵抗値の測定]
各例の導電性フィルム及び導電性離型フィルムについて、導電層の表面抵抗値を、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリティック製ハイレスタ)を用い、印加電圧10Vの条件で測定した。測定結果を表1に示す。なお、表中、「OVER」は、表面抵抗値の測定可能上限(1.0×10
12Ω/□)を超えたことを意味する。
[剥離力の測定]
各例の導電性離型フィルムの導電層における下記の方法により剥離力を測定して離型性を評価した。
各例の導電性離型フィルムの導電層の表面に幅25mmポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製、No.31B)を載せ、その粘着テープの上に1976Paの荷重を載せて25℃で20時間加圧処理した。次に、JIS Z0237に従い、引張試験機を用いて、上記導電層に貼った上記粘着テープを180゜の角度で剥離(剥離速度0.3m/分)して、剥離力(単位:N)を測定した。測定結果を表1に示す。剥離力が小さい程、導電層の離型性が高いことを意味する。
【0068】
【表1】
【0069】
各実施例の導電性フィルム及び導電性離型フィルムは表面抵抗値が小さく、高い導電性を有していた。また、各実施例の導電性離型フィルムは剥離力が小さく、高い離型性を有していた。
各比較例の導電性フィルム及び導電性離型フィルムは表面抵抗値が大きく、導電性が低かった。また、各比較例の導電性離型フィルムは剥離力が大きく、離型性が低かった。
実施例では、導電性複合体のポリアニオンにエポキシ基含有化合物を反応させ、さらにイソシアネート基含有化合物を反応させたことにより、導電性複合体の疎水性が向上して有機溶剤中での導電性複合体の分散性が高くなったと推測される。有機溶剤中での導電性複合体の分散性が高くなったことにより、導電層中の導電性複合体の分散性が高くなり、導電性が高くなったと推測される。また、実施例の導電性高分子分散液中では低極性の付加硬化型シリコーンの分散性も高くできるため、導電層の離型性が高くなったと推測される。
これに対し、比較例では、導電性複合体のポリアニオンにエポキシ基含有化合物を反応させた後にイソシアネート基含有化合物を反応させなかったため、導電性複合体の疎水性が不充分となり有機溶剤中での導電性複合体の分散性が充分に高くならなかったと推測される。有機溶剤中での導電性複合体の分散性が低い導電性高分子分散液から形成した比較例の導電層では、層中での導電性複合体の分散性が低く、導電性が低くなったと推測される。また、比較例の導電性高分子分散液中では付加硬化型シリコーンの分散性も低かったため、導電層の離型性が低くなったと推測される。