特許第6875935号(P6875935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875935
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】ガスマニホールド
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/00 20060101AFI20210517BHJP
   F23D 14/08 20060101ALI20210517BHJP
   F23Q 3/00 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   F23K5/00 301B
   F23D14/08 H
   F23Q3/00 102C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-115349(P2017-115349)
(22)【出願日】2017年6月12日
(65)【公開番号】特開2019-2594(P2019-2594A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】大稲 高裕
(72)【発明者】
【氏名】宇於崎 充
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−143588(JP,A)
【文献】 特開2004−197971(JP,A)
【文献】 特開2017−101895(JP,A)
【文献】 特開平11−118119(JP,A)
【文献】 特開平04−306405(JP,A)
【文献】 特開平11−006617(JP,A)
【文献】 特開平08−086416(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0369479(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/00
F23D 14/08
F23Q 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設された複数のガスバーナに燃料ガスを供給するガスマニホールドであって、ガスバーナの並設方向を横方向として、片面に、各ガスバーナの流入口に向けて燃料ガスを噴射するノズルが横方向の間隔を存して複数形成されると共に、ノズル形成面とは反対側の裏面に、これらノズルに燃料ガスを分配する空間となる凹部が形成されたマニホールド本体と、マニホールド本体の裏面に凹部を覆うように取付けられる蓋板とを備えるものにおいて、
点火電極からの火花放電で点火させる所定のガスバーナの流入口に向けて燃料ガスを噴射するノズルを点火用ノズルとして、
ノズルよりも燃料ガスの流れ方向上流側に位置する凹部の部分の少なくとも横方向片側の側面の一部に、点火用ノズルの横方向位置よりも当該側面から遠ざからない範囲で横方向内方に張出す張出し部が形成され、燃料ガスの流れ方向上流側を向く張出し部の辺は、横方向内方に向けて燃料ガスの流れ方向下流側に傾斜した斜辺に形成され
凹部に対向する蓋板の部分に、マニホールド本体から離隔する方向に窪む窪み部が形成され、この窪み部は、張出し部に対向する部分に亘って延在することを特徴とするガスマニホールド。
【請求項2】
並設された複数のガスバーナに燃料ガスを供給するガスマニホールドであって、ガスバーナの並設方向を横方向として、片面に、各ガスバーナの流入口に向けて燃料ガスを噴射するノズルが横方向の間隔を存して複数形成されると共に、ノズル形成面とは反対側の裏面に、これらノズルに燃料ガスを分配する空間となる凹部が形成されたマニホールド本体と、マニホールド本体の裏面に凹部を覆うように取付けられる蓋板とを備え、
点火電極からの火花放電で点火させる所定のガスバーナの流入口に向けて燃料ガスを噴射するノズルを点火用ノズルとして、
ノズルよりも燃料ガスの流れ方向上流側に位置する凹部の部分の少なくとも横方向片側の側面の一部に、点火用ノズルの横方向位置よりも当該側面から遠ざからない範囲で横方向内方に張出す張出し部が形成され、燃料ガスの流れ方向上流側を向く張出し部の辺は、横方向内方に向けて燃料ガスの流れ方向下流側に傾斜した斜辺に形成され、
ニホールド本体の裏面に、前記凹部として、点火用ノズルを含む横方向に並んだ複数のノズルから成る第1のノズル群に燃料ガスを分配する空間となる第1の凹部と、第1のノズル群の横方向に隣接する、横方向に並んだ複数のノズルから成る第2のノズル群に燃料ガスを分配する空間となる第2の凹部とが形成され、第1のノズル群のノズルよりも燃料ガスの流れ方向上流側に位置する第1の凹部の部分の少なくとも横方向片側の側面に前記張出し部たる第1の張出し部が形成されるものにおいて、
第2のノズル群のノズルよりも燃料ガスの流れ方向上流側に位置する第2の凹部の部分の第1の凹部から遠い側の横方向側面に、当該側面から横方向内方に張出す第2の張出し部が形成され、燃料ガスの流れ方向上流側を向く第2の張出し部の辺は、横方向内方に向けて燃料ガスの流れ方向下流側に傾斜した斜辺に形成されることを特徴とするガスマニホールド。
【請求項3】
前記第1の凹部に対向する前記蓋板の部分に、前記マニホールド本体から離隔する方向に窪む第1の窪み部が形成されると共に、前記第2の凹部に対向する蓋板の部分に、マニホールド本体から離隔する方向に窪む第2の窪み部が形成され、第1の窪み部は、前記第1の張出し部に対向する部分に亘って延在し、第2の窪み部は、前記第2の張出し部に対向する部分に亘って延在することを特徴とする請求項記載のガスマニホールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並設された複数のガスバーナに燃料ガスを供給するガスマニホールドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のガスマニホールドとして、片面に、各ガスバーナの流入口に向けて燃料ガスを噴射するノズルがガスバーナの並設方向たる横方向の間隔を存して複数形成されると共に、ノズル形成面とは反対側の裏面に、これらノズルに燃料ガスを分配するガス室となる凹部が形成されたマニホールド本体と、マニホールド本体の裏面に凹部を覆うように取付けられる蓋板とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、点火電極からの火花放電で点火させる所定のガスバーナの流入口に向けて燃料ガスを噴射するノズルを点火用ノズルとして、点火性能を向上させるには、点火用ノズルに分配されるガス量を多くする必要がある。然し、従来のガスマニホールドでは、ノズルよりも燃料ガスの流れ方向上流側の凹部の部分の横幅を比較的広くして、全てのノズルに均等に燃焼ガスが分配されるようにしており、点火性能を向上させる上で問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−86416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、点火用ノズルに分配されるガス量を多くして、点火性能を向上できるようにしたガスマニホールドを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願第1発明は、並設された複数のガスバーナに燃料ガスを供給するガスマニホールドであって、ガスバーナの並設方向を横方向として、片面に、各ガスバーナの流入口に向けて燃料ガスを噴射するノズルが横方向の間隔を存して複数形成されると共に、ノズル形成面とは反対側の裏面に、これらノズルに燃料ガスを分配する空間となる凹部が形成されたマニホールド本体と、マニホールド本体の裏面に凹部を覆うように取付けられる蓋板とを備えるものにおいて、点火電極からの火花放電で点火させる所定のガスバーナの流入口に向けて燃料ガスを噴射するノズルを点火用ノズルとして、ノズルよりも燃料ガスの流れ方向上流側に位置する凹部の部分の少なくとも横方向片側の側面の一部に、点火用ノズルの横方向位置よりも当該側面から遠ざからない範囲で横方向内方に張出す張出し部が形成され、燃料ガスの流れ方向上流側を向く張出し部の辺は、横方向内方に向けて燃料ガスの流れ方向下流側に傾斜した斜辺に形成され、凹部に対向する蓋板の部分に、マニホールド本体から離隔する方向に窪む窪み部が形成され、この窪み部は、張出し部に対向する部分に亘って延在することを特徴とする。
【0007】
願第1発明によれば、燃料ガスの一部が張出し部の斜辺に案内されて点火用ノズル側に流れるようになる。そのため、点火用ノズルに分配されるガス量が多くなり、点火性能が向上する。
【0008】
また、本願第1発明によれば、張出し部に対向する窪み部の部分で燃料ガスが張出し部を乗り越えて上流側から下流側に流れるようになる。そのため、燃料ガスの流れ方向上流側から見て張出し部の後に隠れる部分に位置するノズルにも、張出し部を乗り越えて燃料ガスが流れ、当該ノズルに分配されるガス量が過少になることはない。
【0009】
また、本願第2発明並設された複数のガスバーナに燃料ガスを供給するガスマニホールドであって、ガスバーナの並設方向を横方向として、片面に、各ガスバーナの流入口に向けて燃料ガスを噴射するノズルが横方向の間隔を存して複数形成されると共に、ノズル形成面とは反対側の裏面に、これらノズルに燃料ガスを分配する空間となる凹部が形成されたマニホールド本体と、マニホールド本体の裏面に凹部を覆うように取付けられる蓋板とを備え、点火電極からの火花放電で点火させる所定のガスバーナの流入口に向けて燃料ガスを噴射するノズルを点火用ノズルとして、ノズルよりも燃料ガスの流れ方向上流側に位置する凹部の部分の少なくとも横方向片側の側面の一部に、点火用ノズルの横方向位置よりも当該側面から遠ざからない範囲で横方向内方に張出す張出し部が形成され、燃料ガスの流れ方向上流側を向く張出し部の辺は、横方向内方に向けて燃料ガスの流れ方向下流側に傾斜した斜辺に形成され、マニホールド本体の裏面に、上記凹部として、点火用ノズルを含む横方向に並んだ複数のノズルから成る第1のノズル群に燃料ガスを分配する空間となる第1の凹部と、第1のノズル群の横方向に隣接する、横方向に並んだ複数のノズルから成る第2のノズル群に燃料ガスを分配する空間となる第2の凹部とを形成するものにおいて、第1のノズル群のノズルよりも燃料ガスの流れ方向上流側に位置する第1の凹部の部分の少なくとも横方向片側の側面に上記張出し部たる第1の張出し部を形成し、更に、第2のノズル群のノズルよりも燃料ガスの流れ方向上流側に位置する第2の凹部の部分の第1の凹部から遠い側の横方向側面に、当該側面から横方向内方に張出す第2の張出し部を形成し、燃料ガスの流れ方向上流側を向く第2の張出し部の辺を、横方向内方に向けて燃料ガスの流れ方向下流側に傾斜した斜辺に形成することを特徴とする。これによれば、第2の凹部内に供給された燃料ガスの一部が第2の張出し部の斜辺に案内されて第2のノズル群のノズルのうち第1の凹部に近い側に位置するノズルに向けて流れ、当該ノズルに分配されるガス量が多くなる。当該ノズルは、第1のノズル群により燃料ガスが供給されるガスバーナ群から火移りさせるべきガスバーナに対応するノズルであり、当該ノズルに分配されるガス量が多くなることで、火移り性能が向上する。
【0010】
また、この場合には、第1の凹部に対向する蓋板の部分に、マニホールド本体から離隔する方向に窪む第1の窪み部が形成されると共に、第2の凹部に対向する蓋板の部分に、マニホールド本体から離隔する方向に窪む第2の窪み部が形成され、第1の窪み部は、第1の張出し部に対向する部分に亘って延在し、第2の窪み部は、第2の張出し部に対向する部分に亘って延在することが望ましい。これによれば、第1と第2の各張出し部に対向する第1と第2の各窪み部の部分で燃料ガスが第1と第2の各張出し部を乗り越えて上流側から下流側に流れるようになる。そのため、燃料ガスの流れ方向上流側から見て第1と第2の各張出し部の後に隠れる部分に位置するノズルにも、第1と第2の各張出し部を乗り越えて燃料ガスが流れ、これらノズルに分配されるガス量が過少になることはない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態のガスマニホールドを具備する燃焼装置の斜視図。
図2図1のII−II線で切断した切断側面図。
図3図1の燃焼装置の平面図。
図4図1の燃焼装置に設けられるガスバーナの上部の拡大断面図。
図5】本発明の実施形態のガスマニホールドの斜め後方から見た斜視図。
図6】実施形態のガスマニホールドを構成するマニホールド本体の斜め前下方から見た斜視図。
図7】実施形態のガスマニホールドの前方から見た正面図。
図8図7のVIII−VIII線で切断した切断側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図3は、本発明の実施形態のガスマニホールド1を具備する燃焼装置を示している。この燃焼装置は、上面が開放された燃焼筐2を備えており、燃焼筐2の上に給湯用熱交換器等の被加熱物が設置される。燃焼筐2内には、燃焼筐2内の空間を燃焼室2aとその下側の給気室2bとに仕切る仕切板21が設けられている。そして、燃焼室2aに、前後方向に長手のガスバーナ3を横方向に複数(本実施形態では15本)並設している。また、燃焼筐2の前面上部の前板部22には、図3で右から数えて4番目のガスバーナ3の上方に臨む点火電極4と、右から数えて5番目と6番目のガスバーナ3の上方に臨むフレームロッド5と、覗き窓6とが設けられている。
【0013】
各ガスバーナ3は、上端に炎口として、図4に示す如く、理論空燃比よりも燃料濃度が希薄な淡混合気を噴出する淡炎口31と、淡炎口31の横方向両側に位置し、淡混合気よりも燃料濃度が濃い濃混合気を噴出する濃炎口32とを有し、下部前端に流入口として、図2に示す如く、淡炎口31用の淡流入口33と、その上方に位置する濃炎口32用の濃流入口34とを有する濃淡バーナで構成されている。尚、淡炎口31内には、複数の整流板31aが装着され、更に、淡炎口31の両側部には、濃炎口32との間に位置させて、混合気が噴出しない還流域31bが設けられている。
【0014】
給気室2bの底面には図示省略した燃焼ファンがダクト23を介して接続されており、燃焼ファンから給気室2bに空気が供給される。仕切板21には、多数の分布孔21aが形成されており、給気室2bに供給された空気がこれら分布孔21aを介して燃焼室2aに二次空気として供給される。また、仕切板21の前端からガスバーナ3の下部前端に沿って立上る起立板24が設けられている。起立板24には、各ガスバーナ3の淡流入口33と濃流入口34に連通する開口が形成されている。起立板24の前方には、本発明の実施形態のガスマニホールド1が対向配置されている。そして、給気室2bに供給された空気の一部が起立板24とガスマニホールド1との間の空間を介して各ガスバーナ3の淡流入口33と濃流入口34とに一次空気として供給されるようにしている。
【0015】
図5乃至図8も参照して、ガスマニホールド1は、片面(後面)に、各ガスバーナ3の淡流入口33と濃流入口34とに向けて夫々燃料ガスを噴射する淡ノズル111と濃ノズル112とをガスバーナ3の並設方向たる横方向の間隔を存して複数形成したマニホールド本体11と、マニホールド本体11のノズル形成面とは反対側の裏面(前面)に取付けた蓋板12とで構成されている。
【0016】
マニホールド本体11の横方向一方の半部には、下方にのびる垂下部11aが設けられている。そして、垂下部11aの下端に、後面に開口する流入ポート113を形成すると共に、垂下部11aに、後方に窪ませて、流入ポート113に連通する流入室114を形成している。また、マニホールド本体11の裏面に、図6で右から数えて1番目乃至5番目の淡ノズル111及び濃ノズル112から成る第1のノズル群に燃料ガスを分配する空間となる第1の凹部115と、第1のノズル群の横方向に隣接する、図6で右から数えて6番目乃至15番目の淡ノズル111及び濃ノズル112から成る第2のノズル群に燃料ガスを分配する空間となる第2の凹部116を形成している。そして、これら第1と第2の凹部115,116を覆うように、マニホールド本体11の裏面にパッキン13を介して蓋板12を取付けている。第1の凹部115に対向する蓋板12の部分には、マニホールド本体11から離隔する方向(前方)に窪む第1の窪み部121が形成され、第2の凹部116に対向する蓋板12の部分には、マニホールド本体11から離隔する方向(前方)に窪む第2の窪み部122が形成されている。
【0017】
また、マニホールド本体11には、流入室114から第1の凹部115内に燃料ガスを供給する第1電磁弁14と、流入室114から第2の凹部116内に燃料ガスを供給する第2電磁弁15とが取付けられている。尚、マニホールド本体11には、流入室114に連通する第1と第2の各電磁弁14,15の流入口141,151と、第1と第2の各凹部115,116に連通する第1と第2の各電磁弁14,15の流出口142,152が形成されている。
【0018】
点火時は、第1電磁弁14を開弁させて、第1の凹部115内を介して第1のノズル群に燃料ガスを分配する。ここで、第1のノズル群には、点火電極4からの火花放電で点火させる図3で右から4番目のガスバーナ3の淡と濃の流入口33,34に向けて燃料ガスを噴射する図6で右から4番目の点火用ノズルたる淡と濃のノズル111A,112Aが含まれている。そのため、第1のノズル群に燃料ガスを分配すると共に点火電極4で火花放電させると、図3で右から4番目のガスバーナ3に点火され、その後、図3で右から3番目乃至1番目のガスバーナ3と右から5番目のガスバーナ3に火移りする。また、第2電磁弁15も開弁させると、第2の凹部116内を介して第2のノズル群に燃料ガスが分配されて、先ず、図3で右から5番目のガスバーナ3から6番目のガスバーナ3に火移りし、その後、図3で右から7番目乃至15番目のガスバーナ3に火移りする。
【0019】
ここで、点火性能を向上させるには、図6で右から4番目の点火用ノズルたる淡と濃のノズル111A,112Aに分配されるガス量を多くする必要がある。そこで、本実施形態では、第1のノズル群の淡と濃のノズル111,112よりも燃料ガスの流れ方向上流側(下方)に位置する第1の凹部115の部分の図6で右側の側面の一部に、点火用ノズルたる淡と濃のノズル111A,112Aの横方向位置よりも当該側面から遠ざからない範囲で横方向内方に張出す第1の張出し部117を形成している。そして、燃料ガスの流れ方向上流側を向く第1の張出し部117の辺(下辺)を、横方向内方に向けて燃料ガスの流れ方向下流側(上方)に傾斜した斜辺117aに形成している。
【0020】
これによれば、第1の凹部115内に供給された燃料ガスの一部が第1の張出し部117の斜辺117aに案内されて、図6に矢印aで示す如く点火用ノズルたる淡と濃のノズル111A,112A側に流れる。そのため、点火用ノズルたる淡と濃のノズル111A,112Aに分配されるガス量が多くなり、点火性能が向上する。
【0021】
また、本実施形態では、第2のノズル群の淡と濃のノズル111,112よりも燃料ガスの流れ方向上流側に位置する第2の凹部116の部分の第1の凹部115から遠い側の横方向側面、即ち、図6で左側の側面に、当該側面から横方向内方に張出す第2の張出し部118を形成している。そして、燃料ガスの流れ方向上流側を向く第2の張出し部118の辺を、横方向内方に向けて燃料ガスの流れ方向下流側に傾斜した斜辺118aに形成している。
【0022】
これによれば、第2の凹部116内に供給された燃料ガスの一部が第2の張出し部118の斜辺118aに案内されて、第2のノズル群のうち第1の凹部115に近い側に位置する淡と濃のノズル111,112に向けて流れ、当該ノズル111,112に分配されるガス量が多くなる。第2のノズル群のうち第1の凹部115に近い側に位置する淡と濃のノズル111,112は、第1のノズル群により燃料ガスが供給されるガスバーナ群から火移りさせるべきガスバーナ3に対応するノズルであり、当該ノズルに分配されるガス量が多くなることで、火移り性能が向上する。
【0023】
また、本実施形態では、蓋板12に形成する第1の窪み部121を第1の張出し部117に対向する部分に亘って延在させると共に、第2の窪み部122を第2の張出し部118に対向する部分に亘って延在させている。これによれば、第1と第2の各張出し部117,118に対向する第1と第2の各窪み部121,122の部分において、燃料ガスが第1と第2の各張出し部117,118を乗り越えて上流側から下流側に流れるようになる。そのため、燃料ガスの流れ方向上流側から見て第1と第2の各張出し部117,118の後に隠れる部分に位置する淡と濃のノズル111,112にも、第1と第2の各張出し部117,118を乗り越えて燃料ガスが流れ、これらノズル111,112に分配されるガス量が過少になることはない。
【0024】
尚、本実施形態では、第1のノズル群の淡と濃のノズル111,112よりも燃料ガスの流れ方向上流側に位置する第1の凹部115の部分の図6で左側の側面の一部に、蓋板12を締結するためのボス部119が横方向内方に張出すように形成されている。このボス部119によっても多少は燃料ガスが点火用ノズルたる淡と濃のノズル111A,112Aに導かれる。但し、ボス部119に蓋板12を締結する上で、第1の窪み部121をボス部119に対向する部分に亘って延在させることはできない。そのため、燃料ガスの流れ方向上流側から見てボス部119の後ろに隠れる部分に位置する図6で右から5番目の淡と濃のノズル111,112にボス部119を乗り越えて燃料ガスを流すことは不可能になる。図6で右から5番目の淡と濃のノズル111,112に分配されるガス量が過少にならないようにするには、このノズル111,112にボス部119の周囲を迂回して燃料ガスが流れるよう、ボス部119を円形に形成する必要があり、ボス部119によって燃料ガスを効率よく点火用ノズルたる淡と濃のノズル111A,112Aに導くことはできない。点火用ノズルたる淡と濃のノズル111A,112Aに分配されるガス量を十分に増量するには、第1の張出し部117が必要不可欠になる。
【0025】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、第1の凹部115の図6で右側の側面のみに第1の張出し部117を形成しているが、第1の凹部115の図6で左側の側面にボス部119を形成しないのであれば、当該側面にも第1の張出し部117と同様の張出し部を形成してもよい。また、上記実施形態では、マニホールド本体11の裏面に第1と第2の2つの凹部115,116を形成しているが、マニホールド本体11の裏面に単一の凹部を形成するガスマニホールドにも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0026】
1…ガスマニホールド、11…マニホールド本体、111,112…ノズル、111A,112A…点火用ノズル、115…第1の凹部、116…第2の凹部、117…第1の張出し部、117a…斜辺、118…第2の張出し部、118a…斜辺、12…蓋板、121…第1の窪み部、122…第2の窪み部、3…ガスバーナ、33,34…流入口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8