(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両の前後方向に延在する一対のレール材を車両用シートと共用し、前記一対のレール材に沿って、前記車両用シートとは独立して前記車両の前後方向に移動可能なオットマンであって、
前記オットマンは、
前記一対のレール材に装着され、前記一対のレール材に対する摺動と固定を切換え自在な一対のスライド機構を有し、
前記スライド機構の少なくとも一方には、車幅方向に回動可能に軸支されるレバー部材が設けられ、
前記レバー部材の下端部には、前記レール材に摺動可能な折り曲げ部と、前記レール材に係脱可能な係止部と、が設けられ、
前記レバー部材の上端部には、前記レバー部材を回動させるための操作部が設けられ、
前記操作部が直接操作されることにより、前記レール材に対する前記折り曲げ部の摺動と前記係止部の係脱が自在になされる
ことを特徴とするオットマン。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明に係るオットマン及びオットマンを備える車両用シートシステムについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する図面中、矢印で示した前後、左右及び上下とは、いずれも車両用シートに着座した乗員(着座者)を基準とする方向を指す。
【0023】
[1.全体構成]
この実施形態に係るオットマン10を備える車両用シートシステム12は、
図1に示すように、自動車等の車両の前後方向に沿って車両のフロア14に延在する左右一対のレール16と、一対のレール16に装着されレール16に沿ってスライド(移動)可能に支持される車両用シート18と、一対のレール16を車両用シート18と共用し、一対のレール16に沿って車両用シート18とは独立してスライド(移動)可能なオットマン10と、から構成される。
【0024】
なお、
図1において、実線で描かれたオットマン10は、車両用シート18に着座した乗員20の下腿22が載置された状態(ふくらはぎマッサージ機としての使用状態)を表す。破線で描かれたオットマン10は、車両用シート18の下部に収納された状態(収納状態)を表す。
【0025】
[1−1:レール16]
レール16は、車両の前後方向に沿って車両のフロア14に延在する左右一対のロアレール(レール材、固定レール)24を有する。車両用シート18は、該ロアレール24に係合して、車両用シート18の下側に取り付けられる左右一対のアッパレール(可動レール)26を有する。
【0026】
ロアレール24には、図示しないローラ等を介してアッパレール26がスライド可能に組み付けられると共に、オットマン10のスライド機構60がスライド可能に組み付けられる。
【0027】
アッパレール26には、図示しないロック機構が設けられる。ロック機構が後述するロアレール24の係止孔28に係止することにより、アッパレール26は、ロアレール24上の所望の位置で固定される。
【0028】
図2に、ロアレール24の断面図を示す。
図2に示すように、ロアレール24は、略水平な底壁部30と、底壁部30の左右両側から上方に起立する側壁部32R、32Lと、側壁部32R、32Lの上端から車幅方向内側に延出する平壁部34R、34Lと、平壁部34R、34Lの車幅方向内側の端部から下方に延出する延出部36R、36Lと、を有する。
【0029】
左右の延出部36R、36Lの間は、前後方向に沿って延びる溝部38となる。延出部36R、36Lのうち、
図2の右側に示される延出部36Rには、前後方向に沿って所定のピッチで係止孔28が形成される。
【0030】
また、ロアレール24には、レールカバー40が設けられる。レールカバー40は、ロアレール24の平壁部34R、34Lを覆う左右のレールカバー本体42R、42Lと、レールカバー本体42R、42Lから車幅方向内側上方へ延びる撓み部44R、44Lと、レールカバー本体42R、42Lから下方に延びてロアレール24を挟持する抑え部46R、46Lと、からなる。
【0031】
撓み部44R、44Lは、可撓性に富む素材によって構成されている。左右の撓み部44R、44Lが撓むことにより、オットマン10はロアレール24に対して容易に着脱可能である。
【0032】
[1−2:車両用シート18]
図1に示すように、車両用シート18は、左右一対のアッパレール26の上部にそれぞれ固定される左右一対のシートレッグ48と、シートレッグ48の上部に設けられるシートクッション50と、シートクッション50の後端にスイング可能に設けられたシートバック52と、シートバック52の上部に設けられたヘッドレスト54と、シートバック52の側面に取り付けられたアームレスト56と、からなる。
【0033】
シートレッグ48の下方には、アッパレール26が取り付けられる。車両用シート18は、アッパレール26を介してロアレール24上を前後方向にスライド(移動)可能に支持される。
【0034】
シートレッグ48は、シートクッション50に比べて前後方向の長さが短く形成されている。シートレッグ48の前後方向の長さは、車両用シート18に着座している乗員20が、シートクッション50の車幅方向(左右方向)から、シートレッグ48に妨げられることなくシートクッション50の下方に手を差し入れることが可能な長さに設定される。すなわち、乗員20がシートクッション50に座ったまま、シートクッション50の下方に収納されたオットマン10をスライド操作することが可能な長さに設定される。
【0035】
[1−3:オットマン10]
図3及び
図4に示すように、オットマン10は、左右の一対のロアレール24に対して着脱自在に装着可能な一対のスライド機構60と、車両の車幅方向に延在し、車幅方向両端の嵌合孔62に一対のスライド機構60を着脱自在に収容する基台64と、基台64の前端にヒンジ66を介して取り付けられる足載せ台68と、を有する。
【0036】
また、オットマン10は、足載せ台68の回動角度を一定に支持する略U字状の第1角度調整フレーム70と、第1角度調整フレーム70よりも小さな回動角度で足載せ台68を支持する偏平な四角環状の第2角度調整フレーム72と、足載せ台68の内部に収容される図示しないマッサージ機と、該マッサージ機に対して電力を供給する電源ワイヤ74と、を有する。
【0037】
[1−3−1:スライド機構60]
ここで、
図5及び
図6を参照しながらスライド機構60について詳しく説明する。
【0038】
図5に示すように、スライド機構60は、ハウジング76と、第1レバー(レバー部材)78と、第2レバー(レバー部材)80と、第1レバー78と第2レバー80を車幅方向外方(左右方向)へ付勢するスプリング82と、第1レバー78及び第2レバー80を軸支する軸84と、を含む。
【0039】
なお、
図5は、
図4に示す一対のスライド機構60のうち、左側(乗員20から見て左側)に配置されたスライド機構60の分解斜視図である。
図4の右側(乗員20から見て右側)に配置されたスライド機構60は、
図5に示すスライド機構60と同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0040】
ハウジング76は、例えば金属製の筐体であり、概ね角筒状を呈し、それぞれ上下方向に延びる4つの壁部から構成される。すなわち、ハウジング76は、軸84の取付孔86が形成された第1壁部88と、上部が略U字状に切り欠かれた第2壁部90と、軸84の取付孔92が形成され、第1壁部88と対向する第3壁部94と、上部が略U字状に第2壁部90よりも浅く切り欠かれ、第2壁部90と対向する第4壁部96と、から構成される。
【0041】
第1壁部88、第2壁部90、第3壁部94及び第4壁部96に囲まれたハウジング76の中央には、ハウジング76を上下方向に貫通する貫通孔
(開口部)98が形成される。貫通孔98は、平面視で矩形状に形成される。この貫通孔98には、第1レバー78と第2レバー80が回動自在に収容される。
【0042】
また、
図4乃至
図6に示すように、ハウジング76の第1壁部88及び第3壁部94には、上方から略中央部にかけて縦長の嵌合溝100、102が形成される。嵌合溝100、102には、後述する基台64の嵌合凸部104が着脱自在に嵌合する。
【0043】
第1レバー78は、例えば金属製の板部材から形成される。
図5に示すように、第1レバー78の上端部には、先端が上方へ向かって折り返された第1操作子(操作部)106が設けられる。
【0044】
第1レバー78の略中央部には、矩形状の開口部108が形成される。この開口部108には、第2レバー80の第2操作子(操作部)116が下方から挿入される。
【0045】
第1レバー78は、開口部108から下方に向かって屈曲し、その下端部には、先端が車幅方向外方に向かって折り曲げられた第1折り曲げ部110が設けられる。第1折り曲げ部110は、
図9に示すように、スライド機構60がロアレール24に装着されたときに抜け止めとして機能すると共に、ロアレール24の延出部36Lの下端に沿って摺動可能である。
【0046】
第1レバー78の略中央部には、下方を指向して互いに対向する側板部112が延出している。側板部112の中央近傍には、軸84が挿通される挿通孔114が形成される。
【0047】
第2レバー80は、第1レバー78と同様に、例えば、金属製の板部材から形成される。第2レバー80の上端部には、先端が上方へ向かって折り返された第2操作子116が設けられる。
【0048】
第2レバー80の略中央部において第2レバー80は屈曲し、下端部には矩形状の孔部(開口)118が2つ形成される。この矩形状の孔部118の上側の縁部には、車幅方向外方に向かって突出する矩形状のロック爪120が設けられる(
図8乃至
図10参照)。このロック爪120は、スライド機構60がロアレール24に装着されたときに、ロアレール24の延出部36Rに設けられた係止孔28に係着する(
図8乃至
図10参照)。
【0049】
矩形状の孔部118とロック爪120のさらに下方、すなわち第2レバー80の最下端部には、先端が車幅方向外方に向かって折り曲げられた第2折り曲げ部122が設けられる。第2折り曲げ部122は、スライド機構60がロアレール24に装着されたときに抜け止めとして機能すると共に、ロアレール24の延出部36Rの下端に沿って摺動可能である。なお、ロック爪120と第2折り曲げ部122をまとめて、第2レバー80の係止部ということがある。
【0050】
第2レバー80の略中央近傍には、下方を指向して互いに対向する側板部124が延出している。側板部124の略中央部には、軸84が挿通される挿通孔126が形成される。
【0051】
スプリング82は、ねじりコイルばねであり、軸84に巻回される。スプリング82の両端は、第1レバー78の第1折り曲げ部110と第2レバー80のロック爪120及び第2折り曲げ部122を車幅方向外方(左右方向)にそれぞれ付勢する。
【0052】
図6は、スライド機構60のVI−VI線断面図である。
図6に示すように、軸84は、第3壁部94の取付孔92に挿通される。そして、軸84は、第1レバー78の側板部112に形成された挿通孔114と、第2レバー80の側板部124に形成された挿通孔126と、スプリング82とを介して、最終的にハウジング76の第1壁部88の取付孔86へ至る。軸84の先端部はナット130で締結される。これにより、第1レバー78と第2レバー80とスプリング82とが、ハウジング76に組み付けられる。
【0053】
なお、
図5及び
図6に示すように、軸84の頭部と第3壁部94との間には、ワッシャ132が介装される。同様に、第3壁部94と側板部112との間、該側板部112と側板部124との間、側板部112と第1壁部88との間、第1壁部88とナット130との間には、それぞれワッシャ132が介装される。
【0054】
[1−3−2:基台64]
次に、
図3及び
図4を参照して基台64について説明する。
【0055】
図3及び
図4に示すように、基台64は、車幅方向に延在する。基台64は、前方側の厚み(上下方向の長さ)が後方側よりも厚く(長く)、側面視(
図1参照)で断面略台形状に形成される。
【0056】
基台64は、車幅方向両端部に、略U字状に切り欠かれた一対の切欠部134を有する。また、基台64は、車幅方向両端部に、当該切欠部134に連通し、上下方向に貫通する一対の嵌合孔62を有する。
【0057】
嵌合孔62の内周壁のうち前後方向に向かい合う壁面には、略直方体状の嵌合凸部104がそれぞれ突出している(
図4には嵌合孔62の前方の内周壁から突出する嵌合凸部104のみを示す)。前後方向に向かい合う一対の嵌合凸部104、104は、スライド機構60のハウジング76に形成された嵌合溝100、102に上方から嵌合し、嵌合溝100、102に係止する。これにより、基台64はスライド機構60に取り付けられる。
【0058】
基台64の上部には、第1角度調整フレーム70又は第2角度調整フレーム72のいずれか一方を着脱可能に保持する係止溝136が設けられる。
【0059】
基台64の後方側の側面には、電気的なコネクタ138が設けられる。コネクタ138には、例えば、車室内に設けられた任意のシガーソケットやアクセサリソケット等を介して、図示しない電源(車載用バッテリー)が接続される。
【0060】
コネクタ138は、電源ワイヤ74の一端側に接続されており、電源ワイヤ74の中間部は基台64の内部に配設される。電源ワイヤ74の他端部は、基台64上部の前方側に設けられた孔部から取り出され、最終的に、足載せ台68の内部に収容された図示しないマッサージ機に接続される。
【0061】
[1−3−3:足載せ台68]
次に、
図3及び
図4を参照しながら足載せ台68について説明する。
【0062】
足載せ台68は、ヒンジ66を介して基台64に連結されるマッサージ機用基台140と、マッサージ機用基台140に取り付けられる図示しないマッサージ機と、該マッサージ機を取り囲むように収容する図示しないクッション材と、マッサージ機とクッション材を覆う表皮材142と、を有する。
【0063】
図4に示すように、マッサージ機用基台140の底面には、ヒンジ66を介して第1角度調整フレーム70と第2角度調整フレーム72が取り付けられる。
【0064】
マッサージ機用基台140は、底面中央に、第1角度調整フレーム70と第2角度調整フレーム72の両方を収容可能な凹部144を有する。例えば、
図3は、第1角度調整フレーム70が回動して基台64上部の係止溝136に固定され、第2角度調整フレーム72が凹部144に収容された状態を示す。
【0065】
マッサージ機は、電源ワイヤ74を介して供給される電源により駆動し、力強いマッサージを行うもみ玉式マッサージ機である。マッサージ機は、ヒーター機能付きであることが好ましい。ただし、乗員20に振動や温熱等の刺激を与えるものであれば、これに限るものではなく、任意のマッサージ機を採用することができる。また、必ずしもマッサージ機を搭載しなくてもよい。
【0066】
表皮材142は、例えば、車両用シート18の表皮材として使用される織物であり、その種類は特に限定されない。
【0067】
なお、足載せ台68の上部中央付近において周縁部よりも盛り上がっている凸状部146は、足載せ台68の内部に収容された図示しないもみ玉式マッサージ機のもみ玉が、表皮材142に覆われている部分である。
【0068】
[2:オットマン10のロアレール24への取り付け]
この実施形態に係るオットマン10及びオットマン10を備える車両用シートシステム12は、基本的に以上のように構成されるものであり、次に、
図7乃至
図9を参照しながら、オットマン10のロアレール24に対する取り付けに係る動作について説明する。
【0069】
図7に示すように、オットマン10をロアレール24に取り付けるには、まず、左右一対のロアレール24に対して、それぞれスライド機構60のみを取り付ける。その後、ロアレール24に固定されたスライド機構60の上方から、足載せ台68が取り付けられている基台64をスライド機構60に覆い被せるように取り付ける、という順序で行う。
【0070】
[2−1:スライド機構60のロアレール24への取り付け]
スライド機構60をロアレール24へ取り付ける動作について説明する。スライド機構60をロアレール24へ取り付けようとする者は、
図7に示すように、まず、スライド機構60の軸84がロアレール24と平行になるように、且つ、第2レバー80の第2操作子116が車幅方向外方を指向するように、ロアレール24の上方にスライド機構60を配置する。
【0071】
具体的には、第1レバー78の第1操作子106に、例えば人差し指や中指等の親指以外の指先を引っ掛け、第2レバー80の第2操作子116に親指の指先を引っ掛けて、第1操作子106と第2操作子116を片手で挟持する(摘む)。第1操作子106と第2操作子116を片手で摘んだ状態で、スライド機構60をロアレール24の上方に配置する。
【0072】
次いで、人差し指等と親指の間の距離を縮めて、スプリング82の弾発力(第1レバー78と第2レバー80を拡開させようとする回転力)に抗して、第1操作子106と第2操作子116とを互いに近づける。
【0073】
すると、軸84を支点として第1レバー78と第2レバー80の最下端に設けられた第1折り曲げ部110と第2折り曲げ部122が、互いに近づく方向に回動する(
図8参照)。この結果、第1折り曲げ部110と第2折り曲げ部122の先端同士の車幅方向の距離は、ロアレール24の溝部38の車幅方向の幅の長さよりも短くなる。
【0074】
この状態で、第1折り曲げ部110と第2折り曲げ部122をロアレール24の溝部38の内側に挿入する。第1折り曲げ部110と第2折り曲げ部122は、レールカバー40の撓み部44R、44Lを撓ませながら溝部38の内側へ進入する。
【0075】
図8に示すように、スライド機構60のハウジング76がレールカバー40に当接し、第1折り曲げ部110と第2折り曲げ部122は、ロアレール24の延出部36R、36Lよりも下方に至る。このとき、第1レバー78の第1操作子106と、第2レバー80の第2操作子116とから手を離す。
【0076】
すると、スプリング82の弾発力により、第1レバー78の第1折り曲げ部110と第2レバー80の第2折り曲げ部122とが車幅方向外側に向かって拡開する。この結果、
図9に示すように、第2レバー80のロック爪120がロアレール24の係止孔28に係止して、スライド機構60がロアレール24に対して確実に固定される。以上により、スライド機構60のロアレール24に対する取付け(装着)は完了する。このとき、第1折り曲げ部110と第2折り曲げ部122は、延出部36R、36Lの下端(底部)に当接し、抜け止めとして機能する。
【0077】
なお、
図8及び
図9には、左右一対のスライド機構60のうち、
図4及び
図7における左側のスライド機構60の断面図のみを示したが、右側のスライド機構60も同様の動作でロアレール24に取り付けることができるので、その説明は省略する。
【0078】
[2−2:基台64のスライド機構60への取り付け]
足載せ台68がヒンジ66を介して取りつけられた基台64を、既にロアレール24に装着されている一対のスライド機構60へ取り付けるための動作について説明する。
【0079】
図4に示すように、基台64をスライド機構60へ取り付けるには、基台64の嵌合凸部104、104を、既にロアレール24に装着されているスライド機構60の嵌合溝100、102に上方から嵌合する。嵌合凸部104、104が嵌合溝100、102に係止することにより、基台64と、ヒンジ66を介して基台64に連結された足載せ台68とが、スライド機構60に確実に取り付けられる。以上により、オットマン10のロアレール24への取付け(装着)が完了する。
【0080】
[3:オットマン10の移動]
オットマン10をロアレール24に取り付けた後、オットマン10をロアレール24に沿って前後方向の所望の位置に移動させるには、スライド機構60の第2レバー80の第2操作子116にのみ指を掛けて、第2レバー80をスプリング82の弾発力に抗して回動させればよい。
【0081】
図10に示すように、第2レバー80の回動に伴って、第2レバー80の下端に設けられたロック爪120とロアレール24の係止孔28との係合が解除される。この状態で、第2操作子116に指を掛けたままスライド機構60をロアレール24に沿って前後方向に変位させることで、オットマン10全体をスライドさせることができる。
【0082】
このとき、第1レバー78の下端に設けられた第1折り曲げ部110は、ロアレール24の延出部36Lと摺動する。これにより、オットマン10はロアレール24に沿って確実に案内される。
【0083】
オットマン10を所望の位置まで移動させたあと、第2レバー80の第2操作子116から手を離すと、スプリング82の弾発力により、第2レバー80のロック爪120が車幅方向内側に向かって拡開する。この結果、
図9に示すように、第2レバー80のロック爪120がロアレール24の係止孔28に係止し、スライド機構60はロアレール24に対して再び固定される。以上により、オットマン10のスライド(移動)は完了する。
【0084】
なお、オットマン10を所望の位置に固定した後、車両用シート18に着座した乗員20は、足載せ台68を好みの角度に回動させる。第1角度調整フレーム70又は第2角度調整フレーム72を用いて足載せ台68の角度を固定し、図示しないマッサージ機を駆動させてオットマン10を使用する(
図1、
図11参照)。
【0085】
[4:オットマン10のロアレール24からの取り外し]
オットマン10をロアレール24から取り外すには、足載せ台68が取り付けられている基台64を上方へ持ち上げて、基台64の嵌合凸部104をスライド機構60の嵌合溝100、102から引き抜けばよい。
【0086】
このとき、基台64の略U字状の切欠部134の下端が、スライド機構60の第2レバー80の上端と干渉するが、第2レバー80の第2操作子116を車幅方向内側に若干回動させることにより、第2レバー80との干渉は回避される。これにより、基台64はスライド機構60から取り外される。
【0087】
次いで、ロアレール24に装着されたままのスライド機構60について、第1レバー78の第1操作子106と第2レバー80の第2操作子116とを手で摘み、互いに近づける方向に変位させる。第1操作子106と第2操作子116とを摘んだまま上方へ引き上げると、第1折り曲げ部110と第2折り曲げ部122はロアレール24の溝部38から引抜かれる。これにより、スライド機構60がロアレール24から取り外され、オットマン10のロアレール24に対する取り外しは完了する。
【0088】
[5:オットマン10のロアレール24に対する別途の着脱方法]
なお、この実施形態において、基台64の車幅方向両端には、略U字状の切欠部134と、切欠部134に連通した一対の嵌合孔62とが設けられている。
図3に示すように、足載せ台68をヒンジ66を介して基台64に対して回動させ、第1角度調整フレーム70又は第2角度調整フレーム72を用いて足載せ台68の基台64に対する角度を固定すれば、基台64がスライド機構60に取り付けられた状態であっても、車幅方向両端の嵌合孔62に対して上方から手を差し入れることが可能である。
【0089】
このため、基台64がスライド機構60に取り付けられた状態であっても、足載せ台68を基台64に対して開く(回動させる)ことにより、嵌合孔62に収容されたスライド機構60の第1レバー78の第1操作子106と、第2レバー80の第2操作子116とを操作することができる。すなわち、基台64とスライド機構60が一体化された状態であっても、オットマン10のロアレール24に対する取り付けと取り外しを行うことができる。
【0090】
[6:実施形態のまとめ]
本発明の実施形態に係るオットマン10及びオットマン10を備える車両用シートシステム12は、車両の前後方向に延在する一対のロアレール(レール材)24を車両用シート18と共用し、一対のロアレール24に沿って、車両用シート18とは独立して車両の前後方向に移動可能なオットマン10及び該オットマン10を備える車両用シートシステム12であって、オットマン10は、一対のロアレール24に装着され、一対のロアレール24に対する摺動と固定を切換え自在な一対のスライド機構60と、車両の車幅方向に延在し、一対のスライド機構60を収容する基台64と、基台64の上部に設けられる足載せ台68と、を有し、スライド機構60には、車幅方向に回動可能に軸支される第2レバー80(レバー部材)が設けられることを特徴とする。
【0091】
上記構成によれば、スライド機構60の少なくとも一方に、車幅方向に回動可能に軸支される第2レバー80が設けられる。第2レバー80を車幅方向に回動させることで、第2レバー80の端部に設けられたロック爪120(係止部)や第2折り曲げ部122(摺動部)のロアレール24に対する位置を、ロアレール24に対する着脱、移動(スライド)又は固定が可能な位置に、容易に切り換えることができる。
【0092】
このため、第2レバー80を車幅方向に回動可能に軸支するという簡単な構成で、オットマン10を車両用シート18のロアレール24に沿って移動させ、所望の位置でロアレール24に固定させることを可能としつつ、ロアレール24に対して容易に装着することが可能となる。この結果、新車の納車時や購入後であっても、ロアレール24に対して、オットマン10を容易且つ迅速に後付けで装着することができる。
【0093】
また、オットマン10は、第2レバー80を車幅方向に回動自在に軸支する軸84を有し、第2レバー80は、一端側に第2操作子(操作部)116を有し、他端側に係止部(ロック爪120及び第2折り曲げ部122)を有する。第2レバー80の係止部(ロック爪120及び第2折り曲げ部122)は、軸84に巻回されたスプリング82によって、車幅方向外方に向かって付勢されることが好ましい。
【0094】
上記構成によれば、第2操作子116をスプリング82の弾発力に抗して回動させることにより、ロアレール24に対する係止部(ロック爪120及び第2折り曲げ部122)の位置を、着脱、摺動又は固定可能な位置に容易に切り換えることができる。
【0095】
さらに、レバー部材は、2本のレバーから構成され、少なくとも一方の第2レバー80の係止部は、ロアレール24と摺動可能な第2折り曲げ部122とロアレール24に形成された係止孔(孔部)28に挿入可能なロック爪(ロック爪部)120を有する。第2レバー80は、ロック爪120の係脱により、ロアレール24での摺動と固定が自在になされることが好ましい。
【0096】
上記構成によれば、ロアレール24の係止孔28を活用して、オットマン10の摺動と固定を行うことができる。
【0097】
また、スライド機構60と基台64とは、着脱自在であることが好ましい。
【0098】
上記構成によれば、スライド機構60をロアレール24に取り付けた後に、基台64をスライド機構60に取り付けることができるので、オットマン10をロアレール24に対してさらに容易に取り付けることができる。
【0099】
さらに、車両用シート18のシートレッグ48は、シートクッション50に比べて前後方向の長さが短く設けられていることが好ましい。
【0100】
上記構成によれば、乗員20が、シートクッション50の車幅方向(左右方向)から、シートレッグ48に妨げられることなくシートクッション50の下方に手を差し入れることができる。すなわち、乗員20がシートクッション50に座ったまま、シートクッション50の下方に収納されたオットマン10を操作することができ好適である。
【0101】
さらにまた、この実施形態の係るオットマン10は、マッサージ機が収容された足載せ台68を有する。そして、車両の前後方向に延在する一対のロアレール24を車両用シート18と共用し、一対のロアレール24に沿って、車両用シート18とは独立して車両の前後方向に移動可能としている。
【0102】
足もみ機能を有するオットマン10は、乗員20の体格やマッサージの対象部位(ふくらはぎや足裏等)に応じて前後方向の所望の位置に移動可能であることが望まれる。上記構成によれば、車両用シート18のロアレール24を共用(兼用)することにより、低コストで、前後方向の所望の位置に移動可能なオットマン10を提供することができる。
【0103】
さらに、基台64の車幅方向両端には、略U字状の切欠部134が設けられている。このため、オットマン10が車両用シート18の下に収納された状態であっても、第2レバー80の第2操作子116を、容易に操作することができる。
【0104】
[7:変形例]
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、
図11に示すように、足載せ台68を開く(回動させる)ことなく、閉じた状態の足載せ台68に足の裏を載せて、マッサージ機が内蔵されたフットレストとして利用することもできる。
【0105】
また、
図12に示す変形例のように、スライド機構160は、第1レバー78を備えておらず、ロック爪120と第2折り曲げ部122を有する第2レバー80のみを備えるようにしてもよい。車幅方向に回動可能に軸支された第2レバー80を備えることにより、上述の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0106】
さらに、左右一対のロアレール24のうち一方のロアレール24に対してのみ、着脱、固定及び移動可能な上述のスライド機構60を装着するようにしてもよい。この場合、他方のロアレール24に対しては、スライド機構60を装着せず、他方のロアレール24の溝部38に挿入可能な薄板状の案内片を設ける等の方法により、オットマン10を前後方向に移動(スライド)可能にすればよい。
【0107】
また、この発明に係るオットマン及びオットマンを備える車両用シートシステムが設置される車両は、自動車に限定されるものではない。例えば、大型バスや鉄道用車両等、レール材に沿って車両用シートを移動させる車両用シートシステムを有する車両であれば適用可能である。