(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両用シートに締結されるシート側締結部と、そのシート側締結部と車両の前後方向に異なる位置に形成され、車床に締結される車床側締結部と、前記シート側締結部および前記車床側締結部を連結する連結部と、を備えるレッグブラケットにおいて、
前記車床側締結部は、前記車両の前後方向に突出する突出部を備え、
その突出部は、前記車床との対向面が前記車床の上面に当接され、前記車床側締結部の前記シート側締結部側の縁部に形成されると共に前記車床側締結部の車幅方向の両外側端部の2箇所に形成され、
前記連結部は、少なくとも一部が前記突出部の突出方向に向かって屈曲される屈曲部を車幅方向の両外側の縁部に一対備え、それら一対の屈曲部は、前記シート側締結部から前記車床側締結部に亘って延設され、それぞれが前記一対の突出部に連結されることを特徴とするレッグブラケット。
前記屈曲部は、前記車床側締結部との連結部分の断面が前記突出部の突出先端側の縁部に沿う形状に形成され、前記突出部の突出先端側の縁部の全域に亘って連結されることを特徴とする請求項1記載のレッグブラケット。
前記車床側締結部の車幅方向の両外側の縁部から鉛直上方に向かって立設され、前記一対の屈曲部に連結される前記一対の立設部と、それら一対の立設部および前記一対の屈曲部から車幅方向の両外側に向かって突設される一対のフランジ部と、を備えることを特徴とする請求項2記載のレッグブラケット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のレッグブラケットでは、車両側方からの負荷(例えば、他の車両が側方から衝突する力)により、車両用シートが車床の上面に沿って移動する方向の力が車両用シートに作用すると、車床との締結部分を中心にレッグブラケットが水平方向に回転される。この場合、レッグブラケットの車床側締結部とシート側締結部とが互いに水平方向に離れる方向に力が作用して、それら車床側締結部とシート側締結部とを連結する連結部が車床側に傾倒しやすいという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、車両側方からの負荷で連結部が傾倒することを抑制できるレッグブラケット及び車両用シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明のレッグブラケットは、車両用シートに締結されるシート側締結部と、そのシート側締結部と車両の前後方向に異なる位置に形成され、車床に締結される車床側締結部と、前記シート側締結部および前記車床側締結部を連結する連結部と、を備えるものであり、前記車床側締結部は、前記車両の前後方向に突出する突出部を備え、その突出部は、前記車床との対向面が前記車床の上面に当接され、前記車床側締結部の前記シート側締結部側の縁部に形成され
ると共に前記車床側締結部の車幅方向の両外側端部の2箇所に形成され、前記連結部は、少なくとも一部が前記突出部の突出方向に向かって屈曲される屈曲部を車幅方向の両外側の縁部に一対備え、それら一対の屈曲部は、前記シート側締結部から前記車床側締結部に亘って延設され、それぞれが前記一対の突出部に連結される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1のレッグブラケットによれば、車床側締結部は、車両の前後方向に突出する突出部を備え、その突出部は、車床との対向面が車床の上面に当接され、車床側締結部のシート側締結部側の縁部に形成されるので、車両側方からの負荷が車両に作用していない状態で連結部を介して車両用シートの荷重を車床側締結部の突出部側を下方に押し下げる方向に作用させやすくできる。これにより、車床から突出部に作用する垂直抗力を大きくできる。従って、車床側締結部と車床との摩擦抵抗を大きくすることができるので、車両側方からの負荷で車床に対してレッグブラケットが回転することを抑制できる。その結果、車両側方からの負荷でレッグブラケットの連結部が車床側に傾倒することを抑制できる効果がある。
【0009】
【0010】
また、突出部は、車床側締結部の車幅方向の両外側端部の2箇所に形成されるので、一対の突出部のうちの少なくともどちらかを車床側締結部と車床との締結位置から最大限離間する位置に形成できる。従って、車床側締結部が車床との締結位置を中心に回転する際に必要な力を大きくすることができ、車床に対してレッグブラケットが回転することを抑制しやすくできるという効果がある。
【0011】
更に、連結部は、少なくとも一部が突出部の突出方向に向かって屈曲される屈曲部を車幅方向の両外側の縁部に一対備え、それら一対の屈曲部は、シート側締結部から車床側締結部に亘って延設され、それぞれが一対の突出部に連結されるので、屈曲部により連結部の車幅方向両端の剛性を高くして、車両用シートの荷重を屈曲部を介して車床側締結部に伝達させやすくできる。屈曲部は、突出部に連結されるので、車両側方からの負荷が車両に作用していない状態で車両用シートの荷重で突出部を車床側に押し下げやすくできる。これにより、車床側締結部と車床との摩擦抵抗を大きくして、車床に対してレッグブラケットが回転することを抑制しやすくできるという効果がある。
【0012】
請求項
2記載のレッグブラケットによれば、請求項
1記載のレッグブラケットの奏する効果に加え、屈曲部は、車床側締結部との連結部分の断面が突出部の突出先端側の縁部に沿う形状に形成され、突出部の突出先端側の縁部の全域に亘って連結されるので、屈曲部が突出部の内側に連結される場合に比べて、車両側方からの負荷が車両に作用していない状態で屈曲部を介して突出部に伝達される車両用シートの荷重で突出部の突出先端側の縁部を下方に押し下げやすくできる。これにより、車床側締結部と車床との摩擦抵抗を大きくして、車床に対してレッグブラケットが回転することを抑制しやすくできるという効果がある。
【0013】
請求項
3記載のレッグブラケットによれば、請求項
2記載のレッグブラケットの奏する効果に加え、車床側締結部の車幅方向の両外側の縁部から鉛直上方に向かって立設され、一対の屈曲部に連結される一対の立設部と、それら一対の立設部および一対の屈曲部から車幅方向の両外側に向かって突設される一対のフランジ部と、を備えるので、フランジ部により車幅方向における連結部の剛性を確保することができる。これにより、車両側方からの負荷でレッグブラケットの連結部が車幅方向に傾倒することを抑制できるという効果がある。
【0014】
請求項
4記載のレッグブラケットによれば、請求項
3記載のレッグブラケットの奏する効果に加え、一対のフランジ部
の内の一方側のフランジ部
は、他方側のフランジ部に比べて
、連結部がシート側締結部および車床側締結部を連結する方向における長さが短く形成さ
れるので、
レッグブラケットをフランジ部の一方側に傾倒しやすくできる。
【0015】
請求項
5記載の車両用シートによれば、請求項1から
4のいずれかに記載のレッグブラケットを備えているので、車両側方からの負荷でレッグブラケットの連結部が車床側に傾倒して、車両用シートが車床に対して傾くことを抑制できるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1を参照して、本発明の第1実施形態における車両用シート1について説明する。
図1(a)は、本発明の第1実施形態における車両用シート1の斜視背面図であり、
図1(b)は、車両用シート1の背面図である。
【0018】
なお、以下の説明では、
図1(b)に示す状態の車両用シート1に対して、紙面奥側を前方側として、紙面手前側を後方側として、紙面上側を上方側として、紙面下側を下方側として、紙面右側を右方側として、紙面左側を左方側としてそれぞれ説明する。さらに、図中の矢印F−B,U−D,L−Rは、車両用シート1の前後方向,上下方向,左右方向をそれぞれ示している。
【0019】
また、
図1(b)では、車両用シート1が配設される自動車20の車床21と、自動車20の車幅方向(矢印L−R方向)における一方側の内側面22と、が2点鎖線で模式的に図示される。
【0020】
図1に示すように、車両用シート1は、自動車20に搭載されるシートである。車両用シート1は、着座者が着座するシートクッション2と、着座者の背もたれとなるシートバック3と、着座者の頭部を支えるヘッドレスト4と、シートクッション2の下方に配設される前方レッグブラケット5及び後方レッグブラケット10と、を備える。
【0021】
前方レッグブラケット5及び後方レッグブラケット10は、車両用シート1を自動車20の車床21に固定するための部材であり、シートクッション2の前方(矢印F方向)の2箇所に前方レッグブラケット5が配設され、シートクッション2の後方(矢印B方向)の2箇所に後方レッグブラケット10が配設される。なお、前方レッグブラケット5及び後方レッグブラケット10は、金属材料から形成される。これら前方レッグブラケット5及び後方レッグブラケット10により、車両用シート1のシートクッション2が自動車20の車床21との間に隙間を空けた状態で配設される。
【0022】
また、上方に車両用シート1が配設される車床21の一部は、前方側(矢印F方向側)が後方側(矢印B方向側)よりも上方(矢印U方向)に位置する。さらに、前方レッグブラケット5は、後方レッグブラケット10より上下方向(矢印U―D方向)に小さく(短く)形成される。これにより、シートクッション2の下面を水平方向と平行に配設できる。
【0023】
次いで、
図2及び
図3を参照して、後方レッグブラケット10について説明する。
図2(a)は、後方レッグブラケット10の背面図であり、
図2(b)は、
図2(a)の矢印IIb方向視における後方レッグブラケット10の側面図であり、
図2(c)は、
図2(a)のIIc−IIc線における後方レッグブラケット10の断面図である。
図3(a)は、後方レッグブラケット10の上面図であり、
図3(b)は、後方レッグブラケット10の底面図であり、
図3(c)は、
図2(a)のIIIc―IIIc線における後方レッグブラケット10の断面図である。
【0024】
図2及び
図3に示すように、後方レッグブラケット10は、車両用シート1のシートクッション2に締結されるシート側締結部11と、そのシート側締結部11よりも後方側(矢印B方向側)に位置し、車床21に締結される車床側締結部12と、シート側締結部11及び車床側締結部12を連結する連結部13と、車床側締結部12及び連結部13から車幅方向(矢印L−R方向)の両外側に突設されるフランジ部14と、を備える。
【0025】
シート側締結部11は、上面が平坦面に形成される第1締結部11aと、その第1締結部11aの車幅方向(矢印L−R方向)の両端に連結される一対の第1屈曲部11bと、を主に備える。
【0026】
第1締結部11aは、シートクッション2の下面に締結される部分であり、シートクッション2の下面と対向する板状に形成される。また、第1締結部11aは、重力方向(矢印U−D方向)に貫通する貫通孔11a1を2箇所に備える。
【0027】
これにより、第1締結部11aの下方側(矢印D方向側)から上方側(矢印U方向側)に向かって貫通孔11a1を挿通したボルト(図示しない)をシートクッション2の下面(シートクッション2を構成するフレーム2a(
図1参照))に締結することで、第1締結部11aとシートクッション2とを締結できる。
【0028】
第1屈曲部11bは、断面略U字状に屈曲され断面略U字状の開放側を上方側(矢印U方向側)に向けた状態で断面略U字状の一端側が第1締結部11aの車幅方向(矢印L―R方向)の外側端部に連結される。従って、シート側締結部11の両端が第1屈曲部11bにより曲げられるので、シート側締結部11の剛性を向上できる。よって、自動車20の走行時にシート側締結部11に入力される負荷で第1締結部11aが撓むことを抑制できる。その結果、第1締結部11aが塑性変形してシート側締結部11(後方レッグブラケット10)に対してシートクッション2の配置がずれることを抑制できる。
【0029】
また、第1屈曲部11bは、断面略U字状の他端側の端部が第1締結部11a(一端側の端部)よりも上方(矢印U方向)に延設される。これにより、一対の第1屈曲部11bの他端側の対向間に空間を形成できる。
【0030】
なお、一対の第1屈曲部11bの他端側の対向間の間隔T1(
図2(b)参照)は、第1締結部11aの貫通孔11a1を挿通したボルト(図示しない)を締結するフレーム2a(
図1(b)参照)の車幅方向(矢印L−R方向)の幅T2(
図1(b)参照)と略同一に設定される(T1=T2)。これにより、一対の第1屈曲部11bの他端側の端部の対向間にシートクッション2を構成するフレーム2aを挟持させることができる。
【0031】
その結果、自動車20の走行時にシート側締結部11に入力される負荷でシート側締結部11(後方レッグブラケット10)に対してシートクッション2の配置がずれることを抑制できる。さらに、後方レッグブラケット10をシートクッション2に締結する際の位置決めを簡易にすることができ、車両用シート1の組み立て作業の効率を向上できる。
【0032】
車床側締結部12は、下面が平坦面に形成される第2締結部12aと、その第2締結部12aの車幅方向(矢印L−R方向)の両端から立設される第1立設部12bと、後方側(矢印B方向側)の端部に立設される第2立設部12cと、を主に備える。
【0033】
第2締結部12aは、自動車20の車床21に締結される部分であり、車床21の上面と対向する板状に形成される。また、第2締結部12aは、重力方向に貫通する第2貫通孔12a1と、第1締結部11a側(前方側(矢印F方向側))の縁部から前方に向かって突出する突出部12a2と、を主に備える。
【0034】
第2締結部12aは、第2締結部12aの上方側(矢印U方向側)から下方側(矢印D側方向側)に向かうボルト(図示しない)を第2貫通孔12a1に挿通させて、そのボルトを車床21に締結することで車床21に締結される。なお、第2締結部12aは、突出部12a2を除いた車床21の上面との当接面が略矩形に形成される。
【0035】
突出部12a2は、第2締結部12aの第1締結部11a側(前方側)の縁部の車幅方向(矢印L−R方向)の両外側の2箇所に形成される。また、突出部12a2は、車床21との対向面が略三角形状に形成され、車床21との対向面が車床21の上面に当接される。
【0036】
第1立設部12b及び第2立設部12cは、鉛直上方(矢印U方向側)に向かって立設される。また、後述する連結部13は、下端が第2締結部12aの前方側(矢印F方向側)に連結される。よって、第2締結部12aは、第1立設部12b、第2立設部12c、及び、連結部13により上方側の周囲が囲われる。これにより、第2締結部12aの第2貫通孔12a1を挿通して車床21に締結されるボルト(図示しない)の頭部に自動車20に乗車した人が接触して怪我をすることを抑制できる。
【0037】
連結部13は、矩形の板状に形成される本体部13aと、その本体部13aの車幅方向(矢印L−R方向)の両端に屈曲形成される第2屈曲部13bと、を備える。
【0038】
本体部13aは、長手方向の一端側(上方側)がシート側締結部11の第1締結部11aの後方側(矢印B方向側)端部に連結され、長手方向の他端側(下方側)が車床側締結部12の第2締結部12aの前方側(矢印F方向側)端部に連結される。なお、本体部13aと、第1締結部11a又は第2締結部12aと、の連結部分は湾曲して連結される。
【0039】
また、本体部13aは、第2締結部12aの一対の突出部12a2の対向間における前方側端部(突出部12a2以外の第2締結部12aの前方側端部)に連結される。これにより、後述する第2屈曲部13bの下方側端部を第2締結部12aの突出部12a2に連結できる。
【0040】
第2屈曲部13bは、断面略U字状に屈曲され、断面略U字状の解放側を後方側(矢印B方向側)に向けた状態で断面略U字状の一端側が本体部13aの車幅方向(矢印L−R方向)の端部に連結される。
【0041】
また、第2屈曲部13bは、上方側(矢印U方向側)の端部がシート側締結部11の第1屈曲部11bの後方側(矢印B方向側)の端部に連結される。即ち、断面係数が大きくされる第2屈曲部13b及び第1屈曲部11bの略U字状の断面同士が連結されるので、シート側締結部11と連結部13との連結部分の剛性を高めることができる。その結果、連結部13が車両用シート1の荷重で車床21側に向かって傾倒して連結部13に対するシート側締結部11の配置がずれる(側面視における連結部13とシート側締結部11との連結角度が変わる)ことを抑制できる。
【0042】
さらに、第2屈曲部13bは、断面略U字状の他端側(本体部13aとの連結側と反対側)が車床側締結部12の第1立設部12bに連結される。即ち、断面係数が大きくされる車床側締結部12と連結部13との屈曲部分同士が連結されるので、車床側締結部12と連結部13との連結部分の剛性を高めることができる。その結果、連結部13が車両用シート1の荷重で車床21側に向かって傾倒して車床側締結部12に対する連結部13の配置がずれる(側面視における連結部13と車床側締結部12との連結角度が変わる)ことを抑制できる。
【0043】
一対のフランジ部14は、第2屈曲部13bの他端(本体部13aとの連結側と反対側の端部)及び第1立設部12bの立設先端から車幅方向(矢印L−R方向)外側に突出して形成される。これにより、連結部13及び車床側締結部12の連結部分の剛性を確保でき、連結部13が車床側締結部12に対して車幅方向に撓むことを抑制できる。その結果、車両側方からの負荷で連結部13が車床側締結部12に対して車幅方向に傾倒することを抑制できる。
【0044】
以上のように構成される後方レッグブラケット10によれば、突出部12a2は、第1締結部11a側(前方側)の縁部に形成されるので、連結部13を介して伝達される車両用シート1の荷重により突出部12a2が下方に押し付けられやすくされる。これにより、車床21から突出部12a2に作用する垂直抗力を大きくできる。従って、車床側締結部12と車床21との摩擦抵抗を大きくすることができ、車床21に対して後方レッグブラケット10が回転することを抑制できる。その結果、自動車20に車両側方からの負荷がかかる場合に、後方レッグブラケット10の連結部13が車床21側に傾倒することを抑制できる。
【0045】
また、突出部12a2は、第2締結部12aの車幅方向(矢印L−R方向)の両外側端部の2箇所に形成されるので、第2締結部12aの前方側(矢印F方向側)の縁部において一対の突出部12a2のうちの少なくともどちらかを第2締結部12aと車床21との締結位置(第2貫通孔12a1)から最大限離間する位置に形成できる。従って、車床側締結部12が車床21との締結位置を中心に回転する際に必要な力を大きくすることができ、車床21に対して後方レッグブラケット10が回転することを抑制できる。
【0046】
なお、自動車20の車床21は、上面に不織布が配設されており、金属で形成される後方レッグブラケット10が締結されることで不織布に後方レッグブラケット10が食い込みやすい。従って、車床21に第2締結部12aが締結され、車床21の上面が第2締結部12aに押圧されることで、車床21の第2締結部12aとの当接部分が下方に食い込む。よって、その分、第2締結部12aの側面に車床21の上面を当接させることができる。これにより、第2締結部12aが車床21に対して回転することを抑制しやすくできる。その結果、自動車20に車両側方からの負荷がかかる場合に、後方レッグブラケット10の連結部13が車床21側に傾倒することを抑制できる。
【0047】
また、上述したように、車床21に当接する第2締結部12aの突出部12a2が車床21との当接面上を締結部分から径方向に離れる位置に部分的に突出して形成されるので、第2締結部12aが車床21に対して回転する際に、第2締結部12aの側面に車床21の上面を当接させやすくして、第2締結部12aが車床21に対して回転する際の抵抗を大きくすることができる。これにより、第2締結部12aが車床21に対して回転することを抑制しやすくできる。その結果、自動車20に車両側方からの負荷がかかる場合に、後方レッグブラケット10の連結部13が車床21側に傾倒することを抑制できる。
【0048】
さらに、車床側締結部12は、第1立設部12b、第2立設部12c、及び、連結部13により第2締結部12aの剛性を確保できるので、連結部13を介して車両用シート1の荷重が第2締結部12aに入力された場合に、第2締結部12aのうち突出部12a2のみが下方に曲がることを抑制できる。これにより、車両用シート1の荷重を連結部13を介して第2締結部12aの車床21との当接面全体に作用させやすくでき、第2締結部12aの全体を車床21の上面に食い込ませやすくできる。従って、第2締結部12aが車床21に対して回転することを抑制しやすくできる。その結果、自動車20に車両側方からの負荷がかかる場合に、後方レッグブラケット10の連結部13が車床21側に傾倒することを抑制できる。
【0049】
また、連結部13は、第2屈曲部13bにより車幅方向の両端が曲げられるので、連結部13の剛性を向上できる。これにより、自動車20の走行時に連結部13に入力される負荷で連結部13が撓むことを抑制できる。
【0050】
よって、連結部13を介して突出部12a2に伝達される車両用シート1の荷重が連結部13の一部を介して一部(一方)の突出部12a2に集中して作用することで、車床側締結部12の車床21との当接面が傾いて、第2締結部12aが車床21の上面に食い込む面積が小さくなることを抑制できる。その結果、自動車20に車両側方からの負荷がかかる場合に、後方レッグブラケット10の連結部13が車床21側に傾倒することを抑制できる。
【0051】
また、第2屈曲部13bは、下方側(矢印D方向側)の端部が車床側締結部12の突出部12a2に連結される。従って、第2屈曲部13bにより連結部13の剛性を高くした部分が車床側締結部12の突出部12a2に連結されるので、車両用シート1の荷重を剛性を高くした第2屈曲部13bを介して突出部12a2に伝達しやすくできる。これにより、車両用シート1の荷重で突出部12a2を車床21側に押し下げやすくできる。その結果、車床側締結部12と車床21との摩擦抵抗を大きくして、車床21に対して後方レッグブラケット10が回転することを抑制しやすくできる。
【0052】
さらに、第2屈曲部13bは、車床側締結部12との連結部分の断面が突出部12a2の先端の縁部に沿う形状に形成され、突出部12a2の突出先端側の縁部の全域に亘って連結される。よって、第2屈曲部13bが突出部12a2の内側に連結される場合に比べて、第2屈曲部13bを介して突出部12a2に伝達される車両用シート1の荷重で突出部12a2の突出先端側の縁部を下方に押し下げやすくできる。これにより、車床側締結部12と車床21との摩擦抵抗を大きくして、車床21に対して後方レッグブラケット10が回転することを抑制しやすくできる。
【0053】
一対のフランジ部14は、他方側(
図2(a)左側)のフランジ部14に比べて、一方側(
図2(a)右側)のフランジ部14が短く形成される。従って、一方側のフランジ部が短く形成される分、連結部13の剛性が低くなるため車両側方からの負荷で後方レッグブラケット10がフランジ部14の一方側(
図2(a)右側)に座屈(傾倒)しやすくなるところ、本実施形態では、車両用シート1のフランジ部14の一方側に隣合う位置に自動車20の一方側の内側面22が配置される(
図1(b)参照)。
【0054】
これにより、車両側方からの負荷で後方レッグブラケット10の連結部13が自動車20の一方側に座屈することを自動車20の内側面22に車両用シート1を当接させて規制できる。従って、連結部13の自動車20の一方側の変位に対する剛性を高める必要がなくなり、その分、後方レッグブラケット10を小型化して、後方レッグブラケット10の製造コストの低減と、後方レッグブラケット10の軽量化と、を達成できる。
【0055】
即ち、連結部13が車幅方向に座屈すると、その座屈により車両用シート1の荷重が連結部13をさらに座屈させる方向に作用しやすくなり、継続して連結部13が座屈する恐れがある。従って、連結部13の座屈を規制しない場合には、連結部13の剛性を高めて連結部13の座屈を抑制する必要がある。
【0056】
本実施形態では、車両用シート1が自動車20の一方側の内側面22と隣合う位置に配置される(
図1(b)に示す状態)場合に、自動車20の一方側の内側面22から離れる方向への連結部13の座屈を自動車20の内側面で抑制することが困難となるところ、内側面22から離れる方向の(他方側の)フランジ部14を内側面22に近接する方向の(一方側の)フランジ部14よりも長く形成して剛性を高めることで、連結部13が座屈することを抑制できる。
【0057】
一方、連結部13の車幅方向への座屈を内側面22により規制できる一方側のフランジ部14は短く形成して、後方レッグブラケット10の製造コストの低減と、後方レッグブラケット10の軽量化と、を達成できる。
【0058】
また、本実施形態では、連結部13の本体部13aの長手方向が車幅方向(矢印L−R方向)に傾斜して形成されており、本体部13aの長手方向が上方側の端部から下方側の端部に向かうにつれて自動車20の他方側(
図2(a)左側)に傾斜する。これにより、車両側方からの負荷で後方レッグブラケット10の連結部13が自動車20の他方側に向かって傾倒することを抑制しやすくできる。なお、連結部13の自動車20の一方側への傾倒は、上述したように車両用シート1を内側面22に当接させることで規制できる。
【0059】
さらに、本体部13aが上方側(矢印U方向側)の端部から下方側(矢印D方向側)の端部に向かうにつれて自動車20の他方側(
図2(a)左側)に傾斜することで、車床側締結部12を自動車20の一方側の内側面22から離間させることができる。その結果、車床側締結部12と車床21とをボルト(図示しない)で締結する際の作業空間を広くすることができ、車床側締結部12と車床21とのボルトの締結作業を容易にできる。
【0060】
以上のように構成される後方レッグブラケット10は、平板状の金属プレートを所定の金型でプレスすることにより形成される。なお、第2屈曲部13bは、上述したように、車床側締結部12との連結部分の断面が突出部12a2の先端の縁部に沿う形状に形成されるので、連結部13の第2屈曲部13bをプレス加工する過程で一対の突出部12a2を形成できる。従って、一対の突出部12a2を形成するための工程(例えば、後方レッグブラケット10の全体形状をプレス加工で形成する前に一対の突出部12a2のみを形成する工程)を新たに追加する必要が無いので製造コストが増加することを抑制できる。
【0061】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0062】
上記第1実施形態では、後方レッグブラケット10をボルトによりシートクッション2及び車床21に締結する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、後方レッグブラケット10をシートクッション2及び車床21に固定(締結)するものであればよい。例えば、後方レッグブラケット10をリベットや溶接でシートクッション2及び車床21に固定するものであってもよく、別の手段であってもよい。
【0063】
上記第1実施形態では、シートクッション2の後方側に配設される後方レッグブラケット10を一例として説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、シートクッション2の前方側(矢印F側方向側)に配設される前側の前方レッグブラケット5を上記した後方レッグブラケット10の連結部13の上下方向(矢印U−D方向)の寸法を短くして前後方向を反転させた後方レッグブラケット10に置き換えてもよい。
【0064】
上記第1実施形態では、自動車20の車幅方向(矢印L−R方向)の一方側に配設される車両用シート1について説明したが、車両用シート1は、自動車20の車幅方向の他方側に配設されるものであってもよい。なお、この場合、後方レッグブラケット10は、上記した後方レッグブラケット10を左右対象の形状に形成することが好ましい。
【0065】
上記第1実施形態では、車両用シート1を前方側(矢印F方向側)に向けて配置(シートバック3をシートクッション2の後方側(矢印B方向側)に配置)する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、車両用シート1を車幅方向(矢印L−R方向)に向けて配置(シートバック3をシートクッション2の車幅方向に隣り合う位置に配置)してもよい。この場合、自動車20の前方または後方からの負荷により後方レッグブラケット10が回転することを抑制しやすくできる。
【0066】
上記第1実施形態では、車両用シート1が自動車20に搭載される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものでなく、車両用シート1は、鉄道車両や航空機等に搭載されるものであってもよい。