【実施例】
【0035】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、特にことわりがない限り、「部」及び「%」はそれぞれ重量基準である。
【0036】
原料として以下のものを使用した。
1.ポリカーボネート樹脂(A):
ビスフェノールAと塩化カルボニルとから合成されたポリカーボネート樹脂
(住化ポリカーボネート(株)製 SDポリカ 200−3、粘度平均分子量:28300(以下、「PC」と略記))
【0037】
2.ジカルボン酸系重縮合成分とグリコール系重縮合成分とを重縮合させて得られるポリエステル樹脂(B):テレフタル酸系重縮合成分と、1、4−シクロヘキサンジメタノールを40モル%以上含有するグリコール系重縮合成分とを重縮合させて得るポリエステル樹脂:ポリサイクロヘキシレンジメチレンテレフタレート−グリコールコポリエステル
(SKケミカル社製 SKY GREEN JN200(以下、「PCTG」と略記)
【0038】
3.酸化防止剤(C):
3−1.以下の式で表される、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカ
【0039】
【化2】
アデカスタブPEP−36(商品名、ADEKA社製、以下「C1」と略記)
【0040】
3−2.フェノール系酸化防止剤
オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
(アデカ社製 アデカスタブ AO−50(以下「AO2」と略記)
【0041】
4.紫外線吸収剤(D):ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
2,2’−Methylenbis[6−(2H−benzotriazol−2−yl)4−(1,1,3,3−tetramethylbutyl)phenol]
(BASF社製 TINUVIN329(以下「UVA」と略記))
【0042】
前述の各種原料を表1〜2に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(東芝機械製TEM−37SS)を用いて、溶融温度290℃にて混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットから、射出成形機(日本製鋼所製J100E2P)を用いて各種試験片を加工し、下記方法により各種データを採取した。それぞれの評価結果を表1〜2に示した。
【0043】
(成形品の全光線透明性、ヘーズの評価)
得られた各種ペレットを120℃×4時間の条件にて乾燥を行った後に、射出成形機(日本製鋼所製J100E2P)を用いてシリンダー設定温度290℃にて耐候性評価用試験片(縦80mm、横50mm、厚み2mm)を作成した。得られた試験片を用いてJISK7136に準じ、村上色彩研究所社製HR−100により試験片厚み2mmの全光線透過率とヘーズを測定した。
【0044】
(成形品のYIの評価)
得られた各種ペレットを120℃×4時間の条件にて乾燥を行った後に、射出成形機(日本製鋼所製J100E2P)を用いてシリンダー設定温度290℃にて黄色度評価用試験片(縦80mm、横50mm、厚み2mm)を作成した。得られた試験片を用いてJIS7361に準じ、村上色彩研究所社製CMS−35SPにより試験片厚み2mmのYIを測定した。YIが小さい程、成形品の着色が少なく、良好な外観が得られる。YIの評価の基準としては、YIの値が2未満であるものを良好(○)、2以上であるものを不良(×)とした。
【0045】
(2)熱安定性
得られた各種ペレットを、それぞれ二軸押出機(東芝機械製TEM−37SS)を用いて溶融温度290℃にて繰り返し3回混練した。3回繰り返し混練りを行ったペレットを120℃×4時間の条件にて乾燥を行った後、射出成形機(日本製鋼所製J100E2P)を用いて、シリンダー設定温度290℃の条件にて平板試験片(縦80mm、横50mm、厚み2mm)を作成した。得られた試験片を用いてJIS7361に準じ、村上色彩研究所社製CMS−35SPにより、YIの変化(△YI)を測定した。△YIとは、再混練り前後の黄味の程度の差を表し、△YIが小さい程、変色は小さく熱安定性に優れている。△YIの評価の基準としては、△YIの値が2未満であるものを良好(○)、2以上であるものを不良(×)とした。
【0046】
(3)耐候性
得られた各種ペレットを120℃×4時間の条件にて乾燥を行った後に、射出成形機(日本製鋼所製J100E2P)を用いてシリンダー設定温度290℃にて耐候性評価用試験片(縦80mm、横50mm、厚み2mm)を作成した。得られた試験片を、キセノンウェザーメーター(スガ試験機社製スーパーキセノンウェザーメーターSX75)に装着し、放射照度50W/m
2、湿度50%RH、ブラックパネル温度50℃の設定で100時間照射試験を行い、村上色彩研究所社製CMS−35SPにより、YIの変化(△YI)を測定した。△YIとは、照射試験前後の黄味の程度の差を表し、△YIが小さい程、変色は小さく耐候性に優れている。△YIの評価の基準としては、△YIの値が2未満であるものを良好(○)、2以上であるものを不良(×)とした。
【0047】
(成形品の耐薬品性の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度290℃にて試験片(縦127mm、横13mm、厚み3.2mm)を作成した。得られた試験片を片持ち梁の耐薬品性・耐溶剤試験治具(下式参照)を用いて任意の歪みをかけて、試験片の中央部に下記薬剤をそれぞれ塗布した。
評価用薬剤
花王社製 住宅用強力洗剤 マジックリン
上記の薬品塗布後の試験片を23℃の雰囲気下で48時間放置し、試験片上の割れやヒビの位置から臨界歪み(%)を次式により求めた。
【0048】
(式)
【0049】
上記式にて求めた臨界歪みから、耐薬品性を下記基準にて判定し、臨界歪みが0.7%以上「(○)を合格とした。
耐薬品性・耐溶剤性の判定:
○:臨界歪みが0.7%以上
△:臨界歪みが0.5%以上〜0.7%未満
×:臨界歪みが0.5%未満
【0050】
(成形品のノッチ付きシャルピー衝撃強度および荷重たわみ温度の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度290℃にてISO試験法に準じた試験片を作成し、得られた試験片を用いてISO 179−2、ISO 75−2に準じノッチ付きシャルピー衝撃強さ及び荷重たわみ温度を測定し、ノッチ付きシャルピー衝撃強度が7KJ/m
2以上、および、荷重たわみ温度が95℃以上(表中「○」)を合格とした。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
表1のとおり、ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成要件を全て満足する場合(実施例1〜3)にあっては、全ての評価項目にわたり良好な結果を示した。
【0054】
一方、表2で示したとおり、ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成要件を満足しない場合においては、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例1は、PCの配合量が規定量より多い場合で、耐薬品性に劣っていた。
比較例2は、UVAの配合量が規定量より少ない場合で、耐候性に劣っていた。
比較例3は、AOがフェノール系酸化防止剤である場合で、黄変度、及び熱安定性に劣っていた。
比較例4は、AOの配合量が規定量より少ない場合で、黄変度、及び熱安定性に劣っていた。
比較例5は、PCTGの配合量が規定量より多い場合で、ノッチ付きシャルピー強度、
及び耐熱性に劣っていた。
【0055】
以上のように、本発明における技術の例示として、実施の形態を説明した。
そのために、詳細な説明を提供した。
【0056】
したがって、詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0057】
又、上述の実施の形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。