(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記従来のプレス加工にあっては、2工程の絞り加工(プレス加工)を行うために、その工程毎に金型を用意しなければならなかったり、一次加工品31を第1の金型21から第2の金型22まで搬送しなければならなかったりと、面倒であった。
【0004】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、1つの金型で、2工程以上のプレス加工を容易に行うことができる、プレス加工用の金型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係るプレス加工用の金型は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係るプレス加工用の金型は、プレス機に取り付けられて、被加工材をプレス加工するための、金型である。この金型は、前記プレス機のベッドに取付け固定される下型本体と、前記プレス機のスライドに取付け固定される上型本体と
、前記被加工材に作用す
る補助体
としての、第1の補助体、第2の補助体および第3の補助体と、前記金型
の下型側に組み込まれて、前記下型本体
と前記第1の補助体との間に介在
するサーボ油圧シリンダと
、前記上型本体と前記第2の補助体との間に介在するスプリングとを備える。
そして、前記第1の補助体は、前記サーボ油圧シリンダによって、前記下型本体に対して上下にスライド移動する。前記第2の補助体は、前記スプリングが伸縮することにより、前記上型本体に対して上下にスライド移動する。前記第3の補助体は、前記ベッド内から上に延びるクッションピンによって、前記下型本体に対して上下にスライド移動する。また、前記下型本体は、中央部分から上方に突出して第1工程および第2工程用のパンチとなる突出部を備える。前記第3の補助体は、前記突出部の周面を囲むように形成されて、第1工程用のしわ押えとなり、また、前記突出部とともに第2工程用のパンチとなるものである。前記第1の補助体は、前記第3の補助体の外周面を囲むように形成されて、前記第3の補助体とともに第1工程用のしわ押えとなり、また、第2工程用のしわ押えとなるものである。前記上型本体は、中央部分に、下方に開口する穴を備えて、この上型本体は、第2工程用のダイとなるものであり、その穴は、前記突出部および前記第3の補助体に対向し、また、この上型本体は、その下面が前記第1の補助体に対向し、その下面によって、第1工程用のダイの一部ともなるものである。前記第2の補助体は、前記上型本体の内側に配され、中央部分に、下方に開口する穴を備えて、前記スプリングによって下方に押圧され、この第2の補助体は、前記上型本体とともに第1工程用のダイとなるものであり、この第2の補助体の前記穴は、前記突出部に対向し、この第2の補助体の下面は、前記第3の補助体に対向する。そこで、これら下型本体、上型本体、
第1の補助体、第2の補助体、第3の補助体、サーボ油圧シリンダ
、およびスプリングを備えた、1つの金型で、
第1工程と第2工程との2工
程のプレス加工が行われる。
【0006】
このプレス加工用の金型によると、金型は、下型本体と上型本体の他に、被加工材に作用する補助体
としての第1〜第3の補助体を備え
る。第1の補助体は、下型本
体とその第1の補助体との間に介在するサーボ油圧シリンダによって、その下型本
体に対してスライド移動する。こうして、サーボ油圧シリンダを金型内に組み込むことで、第1の補助体のスライド位置や、第1の補助体を介して被加工材に加えられる加圧力を簡単に制御することができ、これによって、1つの金型で、2工
程のプレス加工を容易に行うことができる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明に係るプレス加工用の金型は、
プレス機に取り付けられて、被加工材をプレス加工するための、金型である。この金型は、前記プレス機のベッドに取付け固定される下型本体と、前記プレス機のスライドに取付け固定される上型本体と、前記被加工材に作用する補助体としての、第1の補助体、第2の補助体および第3の補助体と、前記金型の下型側に組み込まれて、前記下型本体と前記第1の補助体との間に介在するサーボ油圧シリンダと、前記上型本体と前記第2の補助体との間に介在するスプリングとを備える。そして、前記第1の補助体は、前記サーボ油圧シリンダによって、前記下型本体に対して上下にスライド移動する。前記第2の補助体は、前記スプリングが伸縮することにより、前記上型本体に対して上下にスライド移動する。前記第3の補助体は、前記ベッド内から上に延びるクッションピンによって、前記下型本体に対して上下にスライド移動する。また、前記下型本体は、中央部分に、上方に開口する穴を備えて、この下型本体は、第2工程用のダイとなるものである。前記第1の補助体は、前記下型本体の内側に配されて、第1工程用のパンチとなるものである。前記第3の補助体は、前記第1の補助体の周面を囲むように形成されて、第1工程用のしわ押えとなるものである。前記上型本体は、中央部分から下方に突出する突出部を備え、その突出部は、中央部分に、下方に開口する穴を備えて、第1工程用のダイとなるものであり、その突出部の前記穴は、前記第1の補助体に対向し、前記突出部の下面は、前記第3の補助体に対向し、また、前記突出部は、第2工程用のパンチとなるものであり、その突出部は、前記下型本体の前記穴に対向する。前記第2の補助体は、前記上型本体における前記突出部の外側に配されて、前記スプリングによって下方に押圧され、この第2の補助体は、前記上型本体とともに第1工程用のダイとなるものであり、また、第2工程用のしわ押えとなるものであって、前記下型本体の上面に対向する。そこで、これら下型本体、上型本体、第1の補助体、第2の補助体、第3の補助体、サーボ油圧シリンダ、およびスプリングを備えた、1つの金型で、第1工程と第2工程との2工程のプレス加工が行われる。
このプレス加工用の金型によると、金型は、下型本体と上型本体の他に、被加工材に作用する補助体としての第1〜第3の補助体を備える。第1の補助体は、下型本体とその第1の補助体との間に介在するサーボ油圧シリンダによって、その下型本体に対してスライド移動する。こうして、サーボ油圧シリンダを金型内に組み込むことで、第1の補助体のスライド位置や、第1の補助体を介して被加工材に加えられる加圧力を簡単に制御することができ、これによって、1つの金型で、2工程のプレス加工を容易に行うことができる。
【0008】
また、請求項3に記載の発明に係るプレス加工用の金型は、請求項1または2に記載の金型において、
前記クッションピンに代えて、他のサーボ油圧シリンダが用いられて、前記第3の補助体が、他の第1の補助体となる。そして、前記他のサーボ油圧シリンダが、前記下型本体と前記他の第1の補助体との間に介在し、前記他の第1の補助体は、前記他のサーボ油圧シリンダによって、前記下型本体に対して上下にスライド移動する。そこで、前記他のサーボ油圧シリンダを加え備えた前記1つの金型で、第1工程と第2工程との2工程のプレス加工が行われる。
【0009】
また、請求項4に記載の発明に係るプレス加工用の金型は、請求項
3に記載の金型において、
前記スプリングに代えて、別のサーボ油圧シリンダが用いられて、前記第2の補助体が、別の第1の補助体となる。そして、前記別のサーボ油圧シリンダが、前記上型本体と前記別の第1の補助体との間に介在し、前記別の第1の補助体は、前記別のサーボ油圧シリンダによって、前記上型本体に対して上下にスライド移動する。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係るプレス加工用の金型によれば、サーボ油圧シリンダを金型内に組み込むことで、第1の補助体のスライド位置等を容易に制御することができ、これによって、1つの金型で、2工
程のプレス加工を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の第一の実施の形態の、全体を示す断面図である。
【
図2】同じく、サーボ油圧シリンダの制御構造を示す模式図である。
【
図3】同じく、金型に被加工材をセットした状態を示す断面図である。
【
図4】同じく、上型本体が下降して、被加工材に当たった状態を示す断面図である。
【
図5】同じく、上型本体がさらに下降し、第1工程の絞り加工が完了した状態を示す断面図である。
【
図6】同じく、上型本体がさらに下降し、第2工程の絞り加工が完了した状態を示す断面図である。
【
図8】この発明の第二の実施の形態の、金型に被加工材をセットした状態を示す断面図である。
【
図9】同じく、上型本体が下降して、被加工材に当たった状態を示す断面図である。
【
図10】同じく、上型本体がさらに下降し、第1工程の絞り加工が完了した状態を示す断面図である。
【
図11】同じく、上型本体がさらに下降し、第2工程の絞り加工が完了した状態を示す断面図である。
【
図13】この発明の変形例を示す、金型の断面図である。
【
図14】この発明の他の変形例を示す、金型の断面図である。
【
図15】従来のプレス加工における、第1の金型を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明に係るプレス加工用の金型を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1〜
図7は、本発明の第一の実施の形態を示す。図中符号1は、被加工材を示す。2は、プレス機を示す。3は、金型を示し、この金型3は、前記プレス機2に取り付けられて、前記被加工材1をプレス加工するためのものである。
【0014】
金型3は、プレス機2のベッド2aに取付け固定される下型本体4と、プレス機2のスライド2bに取付け固定される上型本体5と、下型本体4または上型本体5に対してスライド移動し前記被加工材1に作用する1つまたは複数の補助体6とを、備える。さらに、金型3は、サーボ油圧シリンダ8を備え、このサーボ油圧シリンダ8は、下型本体4または上型本体5(図示実施の形態においては、下型本体4)と、前記補助体6としての第1の補助体7との間に介在し、その第1の補助体7をその下型本体4または上型本体5(図示実施の形態においては、下型本体4)に対してスライド移動(図示実施の形態においては、上下にスライド移動)させる。そこで、これら下型本体4、上型本体5、補助体6およびサーボ油圧シリンダ8を備えた、1つの金型で(詳細には、スライド2bの1サイクル(1ショット)で)、2工程以上のプレス加工が行われる(図示実施の形態においては、順に行われる)。
【0015】
詳細には、前記補助体6は、複数設けられる。そして、金型3は、下型本体4または上型本体5(図示実施の形態においては、上型本体5)と、前記補助体6としての第2の補助体9との間に介在する、スプリング10を備えており、その第2の補助体9は、スプリング10が伸縮することにより、その下型本体4または上型本体5(図示実施の形態においては、上型本体5)に対してスライド移動(詳しくは、上下にスライド移動)する。
【0016】
より詳細には、前記補助体6は、複数設けられ、前記補助体6としての第3の補助体11は、プレス機2のベッド2a内から上に伸びるクッションピン2cによって、ベッド2a、ひいては下型本体4に対して上下にスライド移動する。
【0017】
具体的には、プレス機2は、ベッド2aとスライド2bとを備える。そして、ベッド2aの上面にはボルスタ2dが固定され、スライド2bの下面には、スライドプレート2eが固定されている。そこで、下型本体4は、ボルスタ2dを介してベッド2aに取付け固定され、上型本体5は、スライドプレート2eを介してスライド2bに取付け固定される。また、ベッド2a内には、ダイクッションシリンダ2fとクッションパッド2gが収容されている。そこで、クッションパッド2gが、ダイクッションシリンダ2fのピストン2hによって支持される。そして、クッションパッド2gに固定されたクッションピン2c、2cが、ボルスタ2dにあけられた孔2i、2iを通って上に延びる。
【0018】
被加工材1は、平板状の板材(特に、金属板)からなり、図示実施の形態においては、その被加工材1(ブランク材)に対し、金型3を用いて、2工程のプレス加工(詳しくは、絞り加工)がなされる。
【0019】
金型3は、前述したように、下型本体4と、上型本体5と、第1の補助体7と、サーボ油圧シリンダ8と、第2の補助体9と、スプリング10と、第3の補助体11とを備える。そこで、図示実施の形態においては、下型本体4と、第1の補助体7と、サーボ油圧シリンダ8と、第3の補助体11とで、金型3の下型側が構成される。そして、上型本体5と、第2の補助体9と、スプリング10とで、金型3の上型側が構成される。
【0020】
下型本体4は、平板状のベース部4aと、そのベース部4aの中央部分から上方に突出する突出部4bとから構成され、図示実施の形態においては、それらベース部4aと突出部4bとは、一体に形成されるが、別体であってもよい。突出部4bは、第1工程および第2工程用のパンチとなるものであって、略円柱状に形成されている。また、この突出部4bには、その外周面の中間高さ位置に、上側に比して下側が径大となるように段部4cが設けられている。そして、ベース部4aには、孔4dがあけられ、前記クッションピン2cは、その孔4dを通って上方に延びる。
【0021】
第3の補助体11は、突出部4bの周面を囲むようにリング状に形成されて、前記クッションピン2c、2cによって支持される。この第3の補助体11は、第1工程用のしわ押えとなり、また、第2工程用のパンチとなるものである。
【0022】
第1の補助体7は、第3の補助体11の外周面を囲むようにリング状に形成されている。この第1の補助体7は、下型本体4のベース部4aに固定された前記サーボ油圧シリンダ8のピストン8aによって支持される。そこで、サーボ油圧シリンダ8は、下型本体4におけるベース部4aと第1の補助体7との間に介在することとなる。そして、第1の補助体7は、第1工程用のしわ押えとなり、また、第2工程用のしわ押えとなるものである。
【0023】
上型本体5は、柱状に形成され、中央部分に、下方に開口する円形の穴5aを備え、また、その穴5aの奥に底壁5bを備える。そして、前記穴5aには、その内周の中間高さ位置に、下側に比して上側が径小となるように段部5cが設けられる。この上型本体5は、第2工程用のダイとなるものであり、穴5aは、下型本体4の突出部4bおよび第3の補助体11に対向し、上型本体5の下面5dは、第1の補助体7に対向する。また、この上型本体5は、その下面5dによって、第1工程用のダイの一部ともなる。
【0024】
第2の補助体9は、上型本体5の内側に配される。この第2の補助体9は、円盤状に形成され、中央部分に、下方に開口する円形の穴9aを備え、また、その穴9aの奥に底壁9bを備える。この第2の補助体9は、第1工程用のダイとなるものであり、穴9aは、下型本体4の突出部4bに対向し、第2の補助体9の下面9cは、第3の補助体11に対向する。上型本体5の底壁5bとこの第2の補助体9との間には、前記スプリング10が介在し、第2の補助体9は、スプリング10によって下方に押圧される。なお、図示を省略するが、第2の補助体9は、下方に飛び出ないように、上型本体5に係合している。
【0025】
ところで、サーボ油圧シリンダ8とは、
図2に示すように、サーボモータ12を用いた油圧ポンプ13からの油で作動する油圧シリンダであって、その油の供給量(ひいては、サーボ油圧シリンダ8のストローク、さらには第1の補助体7のスライド位置)とか油圧(ひいては、第1の補助体7、さらには、第1の補助体7による被加工材1への加圧力)を自在に制御することができるものである。図示実施の形態においては、サーボ油圧シリンダ8には、ストロークセンサー14と圧力センサー15が取り付けられ、それらのデータが、制御部16に送られ、その制御部16により、サーボモータ12が制御される。なお、図中符号17は、油タンクを示す。
【0026】
次に、この金型3を用いたプレス加工を、順を追って説明する。
図3は、プレス機2のスライド2bが上端に位置するときの金型3を示す。このとき、下型本体4の突出部4bの上面と、第3の補助体11の上面と、第1の補助体7の上面とが、面一となって、その上に被加工材1が載せられる。そして、上型本体5の下面5dと、第2の補助体9の下面9cとが、面一となっている。
【0027】
図4は、スライド2bの下降に伴って、上型本体5が第2の補助体9とともに下降し、上型本体5の下面5dと第2の補助体9の下面9cとが、被加工材1の上面に当接した状態を示す。
【0028】
図5は、さらにスライド2bが下降することで、上型本体5が第2の補助体9とともに下降し、第1工程の絞り加工(プレス加工)がなされた状態を示す。この第1工程の絞り加工により、被加工材1は、第1の絞り部1aが形成された一次加工品101となる。この第1工程の絞り加工においては、下型本体4(詳しくは、突出部4b)が、パンチとして機能し、第2の補助体9および上型本体5がダイとして機能し、第3の補助体11および第1の補助体7が、しわ押えとして機能する。なお、この
図5において、第3の補助体11は、下型本体4における段部4cに当接する。
【0029】
図6は、さらにスライド2bが下降することで、上型本体5が下降し、第2工程の絞り加工(プレス加工)がなされた状態を示す。この第2工程の絞り加工により、被加工材1(詳しくは、一次加工品101)は、第2の絞り部1bが形成された、二次加工品102となる。
図7は、この二次加工品102を示す斜視図である。この第2工程の絞り加工においては、下型本体4(詳しくは、突出部4b)および第3の補助体11が、パンチとして機能し、上型本体5が、ダイとして機能し、第1の補助体7が、しわ押えとして機能する。そして、第2の補助体9が、下型本体4の突出部4bおよび第3の補助体11に対向し、絞りの過程で、被加工材1における第2の絞り部1bよりも内側に形成される内側板部1cを押える。なお、
図6において、第2の補助体9は、上型本体5における段部5cに当接する。
【0030】
次に、以上の構成からなるプレス加工用の金型3の作用効果について説明する。このプレス加工用の金型3によると、金型3は、下型本体4と上型本体5の他に、被加工材1に作用する補助体6を備え、その補助体6としての第1の補助体7は、下型本体4または上型本体5(図示実施の形態においては、下型本体4)とその第1の補助体7との間に介在するサーボ油圧シリンダ8によって、その下型本体4または上型本体5(図示実施の形態においては、下型本体4)に対してスライド移動する。こうして、サーボ油圧シリンダ8を金型内に組み込むことで、第1の補助体7のスライド位置や、第1の補助体7を介して被加工材1に加えられる加圧力を簡単に制御することができ、これによって、複雑な動作を再現することが可能となり、1つの金型で、2工程以上のプレス加工を容易に行うことができる。また、こうして、1つの金型で、2工程以上のプレス加工を行うことで、製造時間の短縮や、工具費用の削減を実現することができる。
【0031】
図8〜
図12は、本発明の第二の実施の形態を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態とは、第2工程の絞りの方向が逆になる点が異なる。以下に、第一の実施の形態と同様の機能を有する部分には同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0032】
この金型3は、下型本体4と、上型本体5と、第1の補助体7と、サーボ油圧シリンダ8と、第2の補助体9と、スプリング10と、第3の補助体11とを備える。そこで、下型本体4と、第1の補助体7と、サーボ油圧シリンダ8と、第3の補助体11とで、金型3の下型側が構成される。そして、上型本体5と、第2の補助体9と、スプリング10とで、金型3の上型側が構成される。
【0033】
下型本体4は、柱状に形成され、中央部分に、上方に開口する円形の穴4sを備え、また、その穴4sの奥に底壁4tを備える。この下型本体4は、第2工程用のダイとなるものである。そして、底壁4tには、孔4uがあけられ、クッションピン2cは、その孔4uを通って上方に延びる。
【0034】
第1の補助体7は、下型本体4の内側に配される。この第1の補助体7は、略円盤状に形成され、第1工程用のパンチとなるものである。この第1の補助体7は、下型本体4の底壁4tに固定されたサーボ油圧シリンダ8のピストン8aによって支持される。そこで、サーボ油圧シリンダ8は、下型本体4における底壁4tと第1の補助体7との間に介在することとなる。
【0035】
第3の補助体11は、第1の補助体7の周面を囲むようにリング状に形成されて、下型本体4の内側を挿通する前記クッションピン2c、2cによって支持される。この第3の補助体11は、第1工程用のしわ押えとなるものである。
【0036】
上型本体5は、平板状のベース部5sと、そのベース部5sの中央部分から下方に突出する突出部5tとから構成され、図示実施の形態においては、それらベース部5sと突出部5tとは、一体に形成されるが、別体であってもよい。突出部5tは、略円柱状に形成され、その中央部分には、下方に開口する円形の穴5uを備える。そして、突出部5tには、その外周面の中間高さ位置に、下側に比して上側が径大となるように段部5v部が設けられる。この突出部5tは、第1工程用のダイとなるものであり、穴5uは、第1の補助体7に対向し、突出部5tの下面5wは、第3の補助体11に対向する。また、この突出部5tは、第2工程用のパンチとなるものでもあり、突出部5tは、下型本体4の穴4sに対向する。
【0037】
第2の補助体9は、上型本体5における突出部5tの外側に配される。この第2の補助体9は、第1工程用のダイの一部となるものであり、また、第2工程用のしわ押えとなるものであって、下型本体4の上面4vに対向する。そして、上型本体5のベース部5sとこの第2の補助体9との間には、スプリング10が介在し、第2の補助体9は、スプリング10によって下方に押圧される。なお、図示を省略するが、第2の補助体9は、下方に飛び出ないように、上型本体5に係合している。
【0038】
次に、この金型3を用いたプレス加工を、順を追って説明する。
図8は、プレス機2のスライド2bが上端に位置するときの金型3を示す。このとき、第1の補助体7の上面と第3の補助体11の上面とが、面一となって、その上に被加工材1が載せられる。そして、上型本体5における突出部5tの下面5wと、第2の補助体9の下面とが、面一となっている。
【0039】
図9は、スライド2bの下降に伴って、上型本体5が第2の補助体9とともに下降し、上型本体5における突出部5tの下面5wと第2の補助体9の下面とが、被加工材1の上面に当接した状態を示す。
【0040】
図10は、さらにスライド2bが下降することで、上型本体5が第2の補助体9とともに下降し、第1工程の絞り加工(プレス加工)がなされた状態を示す。この第1工程の絞り加工により、被加工材1は、第1の絞り部1aが形成された一次加工品101となる。この第1工程の絞り加工においては、第1の補助体7が、パンチとして機能し、上型本体5(詳しくは、突出部5t)および第2の補助体9がダイとして機能し、第3の補助体11が、しわ押えとして機能する。
【0041】
図11は、さらにスライド2bが下降することで、上型本体5が下降し、第2工程の絞り加工(プレス加工)がなされた状態を示す。この第2工程の絞り加工により、被加工材1(詳しくは、一次加工品101)は、第2の絞り部1bが形成された、二次加工品102となる。
図12は、この二次加工品102を示す斜視図である。この第2工程の絞り加工においては、下型本体4が、ダイとして機能し、上型本体5(詳しくは、突出部5t)が、パンチとして機能し、第2の補助体9が、しわ押えとして機能する。そして、第1の補助体7および第3の補助体11が、上型本体5の突出部5tに対向し、絞りの過程で、被加工材1における第2の絞り部1bよりも内側に形成される内側板部1cを押える。なお、
図11において、第2の補助体9は、上型本体5における段部5vに当接する。もっとも、この第2の補助体9は、段部5vに当接しなくてもよく、また、段部5vは、設けられなくてもよい。
【0042】
そこで、この第二の実施の形態における金型3においても、サーボ油圧シリンダ8を金型内に組み込むことで、第一の実施の形態における金型3と同様の作用効果を奏する。
【0043】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、第1の補助体7およびサーボ油圧シリンダ8は、金型3の下型側を構成するものでなくても、金型3の上型側を構成するものであってもよい。すなわち、サーボ油圧シリンダ8が上型本体5と第1の補助体7との間に介在することで、第1の補助体7が上型本体5に対してスライド移動してもよい。同様に、第2の補助体9およびスプリング10は、金型3の上型側を構成するものでなくても、金型3の下型側を構成するものであってもよい。すなわち、スプリング10が下型本体4と第2の補助体9との間に介在することで、第2の補助体9が下型本体4に対してスライド移動してもよい。
【0044】
また、第一の実施の形態に示す金型3において、
図13に示すように、第3の補助体11およびクッションピン2cに代えて、第1の補助体701およびサーボ油圧シリンダ801を用いてもよい。さらには、
図14に示すように、第2の補助体9およびスプリング10に代えて、第1の補助体702およびサーボ油圧シリンダ802を用いてもよい。すなわち、第1の補助体およびサーボ油圧シリンダは、1組に限らず、2組あるいは3組用いられてもよい。このことは、第二の実施の形態に示す金型3においても同様である。また、金型3は、2工程のプレス加工を行うものでなくても、3工程以上のプレス加工を行うものでもよく、第1の補助体とサーボ油圧シリンダとの組数も、1組以上あれば、前記の組数に限定されるものでもない。
【0045】
また、第1の補助体7、701、702は、下型本体4または上型本体5に対してスライド移動するが、そのスライド移動の方向は、上下方向に限るものではなく、斜め方向とか横方向であってもよい。
【0046】
また、複数ある補助体6のうちの一の補助体が、サーボ油圧シリンダ8とかスプリング10とかクッションピン2cとかとは異なる手段によって、上下あるいはその他の方向にスライド移動してもよい。
【0047】
また、下型本体4とか上型本体5は、パンチやダイ等となって、被加工材1に作用するが、被加工材1に作用することなく、サーボ油圧シリンダ8とかスプリング10等を受けるためだけのものであってもよい。
【0048】
また、金型3によって成形される、一次加工品101とか二次加工品102とかは、丸物に限るものではなく、角物、その他の異形物であってもよい。このため、第1の補助体7や第2の補助体9や第3の補助体11の形状、あるいは下型本体4や上型本体5の形状は、リング状とか円盤状とか円柱状とかの円形に限られるものでなく、また、それらに適宜形成される穴形状も円形に限られるものではなく、いずれの補助体7、9、11や下型本体4や上型本体5も、特定の形状に限定されるものではない。
【0049】
また、金型3によるプレス加工は、絞り加工に限るものではなく、例えば、曲げ加工とかせん断加工等であってもよい。
【0050】
また、この金型3による加工の対象である被加工材1は、ブランク材に限らず、予備成形されたものでもよい。