特許第6875982号(P6875982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 信越ポリマー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6875982-感圧静電スイッチ 図000002
  • 特許6875982-感圧静電スイッチ 図000003
  • 特許6875982-感圧静電スイッチ 図000004
  • 特許6875982-感圧静電スイッチ 図000005
  • 特許6875982-感圧静電スイッチ 図000006
  • 特許6875982-感圧静電スイッチ 図000007
  • 特許6875982-感圧静電スイッチ 図000008
  • 特許6875982-感圧静電スイッチ 図000009
  • 特許6875982-感圧静電スイッチ 図000010
  • 特許6875982-感圧静電スイッチ 図000011
  • 特許6875982-感圧静電スイッチ 図000012
  • 特許6875982-感圧静電スイッチ 図000013
  • 特許6875982-感圧静電スイッチ 図000014
  • 特許6875982-感圧静電スイッチ 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875982
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】感圧静電スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   H01H36/00 J
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-240925(P2017-240925)
(22)【出願日】2017年12月15日
(65)【公開番号】特開2019-109984(P2019-109984A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2020年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】小林 佑輔
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−100215(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/132736(WO,A1)
【文献】 特開2010−33382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 − 13/88
H01H 36/00 − 36/02
G06F 3/03
G06F 3/041− 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被押圧面に対する押圧を検知する感圧静電スイッチであって、
前記被押圧面側から順に、少なくとも、第一基板と、第一導電層と、弾性層と、第二導電層と、第二基板とが積層されており、さらに前記第一導電層と前記弾性層の間、及び前記弾性層と前記第二導電層の間のうち少なくとも一方に、樹脂層を備え、
前記弾性層は、第一部分と第二部分とを有し、前記第一部分と前記第二部分は、前記被押圧面の面方向に互いに離間して位置し、
前記積層の方向に見て、前記第一部分は前記第二部分よりも高く、
前記第一部分は、前記押圧の無い状態で前記第一基板と前記第二基板の離間距離を維持し、前記押圧によって前記離間距離が縮まる際に圧縮変形され、
前記離間距離の変化に応じて、前記第一導電層及び前記第二導電層のうち少なくとも一方の静電容量が変化し、
前記弾性層を平面視して、前記第二部分が前記弾性層の外縁に沿って、前記第一部分よりも外側に形成されている、感圧静電スイッチ。
【請求項2】
被押圧面に対する押圧を検知する感圧静電スイッチであって、
前記被押圧面側から順に、少なくとも、第一基板と、第一導電層と、弾性層と、第二導電層と、第二基板とが積層されており、さらに前記第一導電層と前記弾性層の間、及び前記弾性層と前記第二導電層の間のうち少なくとも一方に、樹脂層を備え、
前記弾性層は、第一部分と第二部分とを有し、前記第一部分と前記第二部分は、前記被押圧面の面方向に互いに離間して位置し、
前記積層の方向に見て、前記第一部分は前記第二部分よりも高く、
前記第一部分は、前記押圧の無い状態で前記第一基板と前記第二基板の離間距離を維持し、前記押圧によって前記離間距離が縮まる際に圧縮変形され、
前記離間距離の変化に応じて、前記第一導電層及び前記第二導電層のうち少なくとも一方の静電容量が変化し、
前記弾性層を平面視して、前記第一部分が前記弾性層の外縁に沿って、前記第二部分よりも外側に形成されている、感圧静電スイッチ。
【請求項3】
被押圧面に対する押圧を検知する感圧静電スイッチであって、
前記被押圧面側から順に、少なくとも、第一基板と、第一導電層と、弾性層と、第二導電層と、第二基板とが積層されており、さらに前記第一導電層と前記弾性層の間、及び前記弾性層と前記第二導電層の間のうち少なくとも一方に、樹脂層を備え、
前記弾性層は、第一部分と第二部分とを有し、前記第一部分と前記第二部分は、前記被押圧面の面方向に互いに離間して位置し、
前記積層の方向に見て、前記第一部分は前記第二部分よりも高く、
前記第一部分は、前記押圧の無い状態で前記第一基板と前記第二基板の離間距離を維持し、前記押圧によって前記離間距離が縮まる際に圧縮変形され、
前記離間距離の変化に応じて、前記第一導電層及び前記第二導電層のうち少なくとも一方の静電容量が変化し、
前記弾性層を平面視して、前記第二部分が格子状に形成されており、前記第一部分が前記格子状の第二部分の仕切り内に形成されている、感圧静電スイッチ。
【請求項4】
前記積層の方向に見て、前記第一部分の高さを100%としたとき、前記第二部分の高さが80%以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載の感圧静電スイッチ。
【請求項5】
前記第一部分の形状が柱状である、請求項1〜4の何れか一項に記載の感圧静電スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式の感圧静電スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
感圧式スイッチとして使用される静電容量式センサ装置として、例えば、特許文献1が開示されている。このセンサ装置は、相互に対向する第一の面及び第二の面と、前記第一の面と前記第二の面との間に部分的に配置され第一の高さを有する第一の構造体と、前記第一の面と前記第二の面との間に形成された空間部と、を有する支持層と、前記第一の面及び前記第二の面のいずれか一方に配置された第一の電極と、前記第一の電極に対向して配置された第二の電極とを有し、前記空間部を介して対向する前記第一の面と前記第二の面との間の距離の変化に応じて前記第一の電極と前記第二の電極との間の静電容量の変化が生じるように構成された容量素子とを具備する。
【0003】
特許文献1のセンサ装置では、その感圧面(被押圧面)に押圧力が加わると、空間部を支持する第一の構造体が圧縮変形し、第一基板の第一の面と、第二基板の第二の面の距離が縮まり、更には互いの面が接触するに至る。空間部に面する第一の面又は第二の面には電極が形成されており、前記接触が繰り返して起こると電極が破損する恐れがある。これを防ぐために、特許文献1では、電極を覆う第二の構造体が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/132736号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のセンサ装置では、第二の構造体が第一の面によって押圧されるので、第二の構造体に覆われた電極に押圧力が加わることが避けられず、むしろ押圧力が集中する場合もあり、依然として電極の破損の恐れがある。
【0006】
本発明は、電極に対する押圧力が低減され、耐久性に優れた感圧静電スイッチの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1] 被押圧面に対する押圧を検知する感圧静電スイッチであって、前記被押圧面側から順に、少なくとも、第一基板と、第一導電層と、弾性層と、第二導電層と、第二基板とが積層されており、さらに前記第一導電層と前記弾性層の間、及び前記弾性層と前記第二導電層の間のうち少なくとも一方に、樹脂層を備え、前記弾性層は、第一部分と第二部分とを有し、前記第一部分と前記第二部分は、前記被押圧面の面方向に互いに離間して位置し、前記積層の方向に見て、前記第一部分は前記第二部分よりも高く、前記第一部分は、前記押圧の無い状態で前記第一基板と前記第二基板の離間距離を維持し、前記押圧によって前記離間距離が縮まる際に圧縮変形され、前記離間距離の変化に応じて、前記第一導電層及び前記第二導電層のうち少なくとも一方の静電容量が変化する、感圧静電スイッチ。
[2] 前記積層の方向に見て、前記第一部分の高さを100%としたとき、前記第二部分の高さが80%以下である、[1]に記載の感圧静電スイッチ。
[3] 前記第一部分の形状が柱状である、[1]又は[2]に記載の感圧静電スイッチ。
[4] 前記弾性層を平面視して、前記第二部分が前記弾性層の外縁に沿って、前記第一部分よりも外側に形成されている、[1]〜[3]の何れか一項に記載の感圧静電スイッチ。
[5] 前記弾性層を平面視して、前記第一部分が前記弾性層の外縁に沿って、前記第二部分よりも外側に形成されている、[1]〜[3]の何れか一項に記載の感圧静電スイッチ。
[6] 前記弾性層を平面視して、前記第二部分が格子状に形成されており、前記第一部分が前記格子状の第二部分の仕切り内に形成されている、[1]〜[3]の何れか一項に記載の感圧静電スイッチ。
【発明の効果】
【0008】
本発明の感圧静電スイッチは、電極に対する押圧力が低減され、耐久性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態の高さ方向に沿う、非押圧時の断面図である。
図2】本発明の第一実施形態の部分分解斜視図である。
図3】本発明の第一実施形態の高さ方向に沿う、押圧時の断面図である。
図4図1のIV−IV線で弾性層30の第一部分31及び第二部分33をXY平面で切断した上面図である。
図5】本発明の第一実施形態の変形例における、弾性層30の第一部分31及び第二部分33をXY平面で切断した上面図である。
図6】本発明の第一実施形態の別の変形例における、弾性層30の第一部分31及び第二部分33をXY平面で切断した上面図である。
図7】本発明の第一実施形態の別の変形例における、弾性層30の第一部分31及び第二部分33をXY平面で切断した上面図である。
図8】本発明の第二実施形態の高さ方向に沿う、非押圧時の断面図である。
図9図8のIX−IX線で弾性層30の第一部分31及び第二部分33をXY平面で切断した上面図である。
図10】本発明の第二実施形態の変形例の高さ方向に沿う、非押圧時の断面図である。
図11】本発明の第三実施形態の弾性層30の第一部分31及び第二部分33をXY平面で切断した上面図である。
図12】本発明の感圧静電スイッチの使用例を示す部分分解斜視図である。
図13】本発明の感圧静電スイッチの別の使用例を示す上面図である。
図14】本発明の弾性層の第一部分の高さの違いによる圧縮特性の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、次の用語の意味は明細書全体にわたって適用される。
「被押圧面」は、操作者の直接又は間接の操作によって押圧される面を意味する。
「平面視」は、感圧静電スイッチの被押圧面を見下ろす方向で見ることを意味する。
「高さ」は、感圧静電スイッチの積層方向に沿う長さを意味する。
数値範囲を表す「〜」は、その下限値以上、上限値以下を意味する。
【0011】
本発明の第一態様は、被押圧面に対する押圧を検知する感圧静電スイッチであって、前記被押圧面側から順に、少なくとも、第一基板と、第一導電層と、弾性層と、第二導電層と、第二基板とが積層されており、さらに前記第一導電層と前記弾性層の間、及び前記弾性層と前記第二導電層の間のうち少なくとも一方に、樹脂層を備え、前記弾性層は、第一部分と第二部分とを有し、前記第一部分と前記第二部分は、前記被押圧面の面方向に互いに離間して位置し、前記積層の方向に見て、前記第一部分は前記第二部分よりも高く、前記第一部分は、前記押圧の無い状態で前記第一基板と前記第二基板の離間距離を維持し、前記押圧によって前記離間距離が縮まる際に圧縮変形され、前記離間距離の変化に応じて、前記第一導電層及び前記第二導電層のうち少なくとも一方の静電容量が変化する、感圧静電スイッチである。
【0012】
本発明の第一実施形態の感圧静電スイッチ1は、図1の断面図に示すように、被押圧面10aに対する押圧を第一導電層11と第二導電層21との間の静電容量の変化によって検知する。静電容量の変化は、互いに対向する第一導電層11と第二導電層21との間の距離の変化に応じて生じる。距離の変化は押圧の程度によって生じる。
【0013】
感圧静電スイッチ1は、第一導電層11が裏面に形成された第一基板10と、第二導電層21が表面(おもて面)に形成された第二基板20と、第一基板10と第二基板20の間に挟まれた弾性層30とを備えている。さらに第一基板10と弾性層30の間に第一樹脂層41及び第一接着層43を備え、第二基板20と弾性層30の間に第二樹脂層42及び第二接着層44を備えている。
【0014】
弾性層30は、被押圧面10aに対する押圧の無い状態で第一基板10と第二基板20の離間距離Lを維持し、前記押圧によって前記離間距離が縮まる際に圧縮変形される第一部分31を有する。また、前記押圧の無い状態では第一基板10と第二基板20の間に空隙32を形成し、前記押圧によって前記離間距離が所定に縮まった際に空隙32が無くなり、更に前記離間距離が前記所定を超えて縮まることを抑制する第二部分33を有する。
平面視で第一部分31と第二部分33は互いに重ならず、互いに離間して位置する。
【0015】
被押圧面10aの平面視の形状は特に限定されず、用途に応じて適宜設計され、例えば、正方形、矩形、円形、楕円形、その他の多角形等の形状が挙げられる。
被押圧面10aサイズは、特に限定されず、例えば、縦×横=1cm〜10cm×1cm〜10cmが挙げられる。
【0016】
図2は、図1のIV−IV線で切断した部分分解斜視図である。図2において、弾性体からなる弾性層30は4つの部分に分けて描かれているが、実際には、弾性層30の各部分は単一の弾性体によって一体化されている。4つの部分は、それぞれ、第一樹脂層41の第二基板20側の表面を覆う第一被覆層30aと、第二樹脂層42の第一基板10側の表面を覆う第二被覆層30bと、アレイ状に配列された複数の円柱状の第一部分31と、平面視で第二樹脂層42の外周を囲むように土手を形成している第二部分33とである。
【0017】
第一被覆層30aと第二被覆層30bの間で、第一部分31及び第二部分33以外の領域は空間になっている。その空間のうち、第二部分33とその真上の第一被覆層30aの間の空間を空隙32と呼ぶ。
【0018】
弾性層30の高さ方向、すなわち第一基板10から第二基板20の方向(Z軸に沿う方向)に見て、第二部分33の高さは第一部分31の高さよりも低い。第一部分31の高さと第二部分33の高さの差分が、第一基板10と第二基板20の離間距離Lに関する非押圧時と押圧時の変化量の許容値である。この差分(許容値)が前述の所定である。
【0019】
図3は、図1と同様に感圧静電スイッチ1のXZ面を切り出した断面図である。矢印が指す方向へ被押圧面10aに押圧力が加わると、第一部分31が圧縮変形し、第一基板10と第二基板20の離間距離Lが短くなる。通常の使用においては、押圧力の検知精度を高める観点から、第一被覆層30aと第二部分33の間の空隙32が無くならない範囲で、つまり第一被覆層30aが第二部分33の上面に接触しない範囲で使用されることが好ましい。しかし、図3に示すように、矢印が指す方向の押圧力が過度であり、空隙32が無くなると、土手形状の第二部分33が第一被覆層30aの更なる押し込みに対抗し、第一基板10と第二基板20の離間距離Lが更に縮まることを抑制する。この結果、第一部分31が極度に圧縮されて、第一部分31に圧縮永久歪が蓄積されることを低減することができる。
【0020】
感圧静電スイッチ1は、第一基板10の裏面に形成された第一導電層11と弾性層30の間に第一樹脂層41を備えている。この構成であると、第一樹脂層41と弾性層30の界面が平坦化されるので、第一基板10が弾性層30を押し込んで圧縮する力を前記界面で均一化することができる。この結果、弾性層30を均一に押し込むことが可能となり、弾性層30の外枠部分に位置する第二部分33の高さによって、押し込みの程度を容易に制御することができる。さらに、第一導電層11が弾性層30から受ける応力を第一樹脂層41が前記界面で均一化するので、第一導電層11が局所的に応力を受けて破損することを防止することができる。
【0021】
感圧静電スイッチ1は、第二基板20の表面に形成された第二導電層21と弾性層30の間に第二樹脂層42を備えている。したがって、上述の第一樹脂層41と同様に、第二基板20が第二樹脂層42を介して第一基板10及び弾性層30からの押し込みを均一に受け止めることが可能となり、第二部分33の高さによって、押し込みの程度を容易に制御することができる。さらに、第二導電層21が弾性層30から受ける応力を第二樹脂層42が均一化するので、第二導電層21が局所的に応力を受けて破損することを防止することができる。
【0022】
感圧静電スイッチ1は、押圧によるZ方向の入力のみを検知してもよいし、Z方向の入力に加えて、XY方向の位置で表される平面方向の入力を検知してもよい。
検知方式として、例えば、公知の自己容量方式、相互容量方式が挙げられる。具体例を次に挙げる。第一導電層11が検出電極を構成し、第二導電層21がグランド電極(GND)を構成することにより、Z方向の入力を検知する自己容量式の感圧静電スイッチとなる。第一導電層11が受信電極(Rx)を構成し、第二導電層21が送信電極(Tx)を構成することにより、Z方向の入力に加えてXY方向の入力を検知する相互容量式の感圧静電スイッチとなる。第一導電層11がRx及びTxの両方を構成し、第二導電層21がGNDを構成することにより、Z方向の入力に加えてXY方向の入力を検知する相互容量式の感圧静電スイッチとなる。ここで例示した第一導電層11と第二導電層21の電極種類の組み合わせは、逆であってもよい。各導電層の静電容量の変化は、図示しない集積回路によって入力信号として処理される。
【0023】
以下、各層の詳細について順に説明する。
[カバー層、加飾層]
感圧静電スイッチ1の被押圧面は第一基板10の表面である。第一基板10の表面にはカバー層や加飾層が設けられていてもよく、カバー層又は加飾層が被押圧面であってもよい。
カバー層は第一基板10の表面側を覆う部材である。カバー層は、光源からの光線を平面方向に導くライトガイド層を兼ねる層であってもよい。
加飾層は装飾、文字、図形、記号、絵柄、これらの組み合わせ、あるいはこれらと色彩との組み合わせによる任意の装飾が施された層である。加飾層は、例えば、カバー層に印刷を施すことにより形成できる。
【0024】
カバー層の材料としては、例えば、樹脂、ガラス板等が挙げられる。樹脂としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
カバー層の厚さは、例えば、0.01mm〜2mmが好ましく、0.1mm〜1mmがより好ましい。カバー層の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な剛性が得られやすい。カバー層の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、感圧静電スイッチ1が過度に厚くなることを抑制しやすく、良好な検知精度が得られやすい。
【0026】
[第一基板10、第二基板20]
第一基板10及び第二基板20としては、それぞれ独立に、例えば、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フィルム基板等が挙げられる。丈夫で高剛性とする観点ではプリント基板が好ましく、柔軟で高感度とする観点ではフレキシブルプリント基板、フィルム基板が好ましい。
【0027】
第一基板10及び第二基板20の厚さは、それぞれ独立に、例えば0.05mm〜5mmが好ましく、0.1mm〜2mmがより好ましい。基板の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な剛性が得られやすい。基板の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、感圧静電スイッチ1が過度に厚くなることを抑制しやすく、感度を高めやすい。
充分な剛性が得られやすい観点から、カバー層と第一基板10の厚さの合計が1mm以上であることが好ましい。
剛性を付与するために、第二基板20の第一基板10と反対側の面に別の支持部材を設けてもよい。
【0028】
第一基板10及び第二基板20の平面視形状は矩形状には限定されず、被押圧面10aの形状やサイズに応じて適宜設定すればよい。第一基板10と第二基板20の平面視形状は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0029】
[第一導電層11、第二導電層21]
第一導電層11、第二導電層21は被押圧面10aに対する入力を検知するセンサを構成する。第一導電層11及び第二導電層21は、それぞれ独立に、例えば、第一基板10の裏面、第二基板20の表面における、基板の周縁部を除く矩形状の領域に設けられる。第一導電層11及び第二導電層21の平面視形状は、それぞれ独立に、例えば、ベタ電極層であってもよいし、櫛歯型又はダイヤモンド型等のパターン電極層であってもよい。
各導電層の導電性材料としては、それぞれ独立に、例えば、銅、銀、金、酸化インジウムスズ(ITO)、導電性ポリマー、カーボンナノチューブ、カーボンペースト等が挙げられる。ITOは透明な導電層を形成するうえで有利である。また、金属の極細の配線(ナノワイヤ)からなる導電層も透明性が高い。
【0030】
[第一接着層43、第二接着層44]
第一接着層43は、第一導電層11が形成された第一基板10の裏面と第一樹脂層41とを密着させ、互いを固定する層である。第一接着層43は、第一基板10と第一樹脂層41の密着面の一部のみに設けられていてもよいし、密着面の全部(全面)に設けられていてもよい。第一基板10の押圧を弾性層30に対して均一に加える観点から、前記密着面の全体に第一接着層43が設けられていることが好ましい。
【0031】
第二接着層44は、第二導電層21が形成された第二基板20の表面と第二樹脂層42とを密着させ、互いを固定する層である。第二接着層44は、第二基板20と第二樹脂層42の密着面の一部のみに設けられていてもよいし、密着面の全部(全面)に設けられていてもよい。第一基板10及び弾性層30からの押圧を均一に受け止める観点から、前記密着面の全体に第二接着層44が設けられていることが好ましい。
【0032】
各接着層の材料として、それぞれ独立に、例えば、公知の硬化型接着剤(接着前は液状の接着剤)又は粘着剤(接着前はゲル状の感圧性接着剤)が挙げられる。また、各接着層は、基材層の両面に接着剤又は粘着剤が配置された基材型接着層であってもよい。基材型接着層としては、例えば公知の両面テープが挙げられる。
前記接着剤、粘着剤としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。前記硬化型接着剤は硬化時に揮発する溶剤を含む溶剤型であってもよいし、ホットメルト型であってもよい。
【0033】
第一接着層43及び第二接着層44の厚みとしては、それぞれ独立に、例えば1μm〜75μmが挙げられる。前記硬化型接着剤を用いた接着層の厚みは、1μm〜20μmが好ましい。前記粘着剤を用いた接着層の厚みは、10μm〜75μmが好ましい。
【0034】
[第一樹脂層41、第二樹脂層42]
第一樹脂層41及び第二樹脂層42は、それぞれ弾性層30の第一被覆層30aの表面と第二被覆層30bの裏面とに接着されている。これらは不図示の接着剤層によって接着されていてもよいし、公知の表面処理又は加熱処理によって直に接着されていてもよい。第一樹脂層41及び第二樹脂層42の表面(接着面)には、接着力を向上させる目的で、物理的又は化学的な公知の表面処理が施されていてもよい。
【0035】
第一樹脂層41及び第二樹脂層42は、被押圧面10aに加えられた押圧力が弾性層30に均一に伝達されるために、弾性層30に対する平滑な表面を有する。仮に、第一樹脂層41又は第二樹脂層42が存在しないと、第一基板10又は第二基板20の弾性層30に面する側に設けられた第一導電層11又は第二導電層21のパターンの凹凸が弾性層30に対する押圧を不均一にすることがある。本実施形態では第一樹脂層41及び第二樹脂層42が備えられているので、第一導電層11及び第二導電層21の凹凸が弾性層30の押圧の不均一さに影響することが防止されている。また、逆に、第一導電層11及び第二導電層21が、局所的に弾性層30の第一部分31からの応力を受けて損傷することが防止されている。
【0036】
第一樹脂層41及び第二樹脂層42の樹脂材料は絶縁性であり、それぞれ独立に、例えば、PET、PBT、PEN、PC、PVC、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ウレタン等が挙げられる。これらの樹脂は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
【0037】
第一樹脂層41及び第二樹脂層42の厚みとしては、それぞれ独立に、例えば、10μm〜200μmが挙げられる。前述の樹脂材料を用いる場合、その厚みは、10μm〜200μmが好ましく、25μm〜150μmがより好ましく、25μm〜100μmがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、弾性層30に対する押圧力を面方向に均一化することが容易である。上記範囲の上限値以下であると、被押圧面10aに対する入力の検知精度を高めることができる。
【0038】
[弾性層30]
弾性層30は、例えば、第一被覆層30aを構成する弾性フィルムと、第一部分31、第二部分33及び第二被覆層30bを構成する弾性基材シートとによって形成されている。弾性フィルムは、第一部分31の天面に接着され、弾性基材シートと一体化される。
弾性フィルムの弾性材料と、弾性基材シートの弾性材料は、同じあってもよいし、異なっていてもよい。第一部分31と第二部分33の構成材料は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0039】
弾性層30のうち、弾性体からなる弾性材料によって構成されている必要があるのは、圧縮変形する第一部分31のみであり、第二部分33、第一被覆層30a及び第二被覆層30bは、弾性材料によって形成されていてもよいし、非弾性の硬質材料によって形成されていても構わない。硬質材料としては、例えば、エラストマー以外の樹脂、ガラス、金属、セラミックス、木材等が挙げられる。
【0040】
弾性層30がZ方向に押圧されると、第一部分31がZ方向に圧縮されて変形する。この圧縮変形の程度が適当であり、押し心地が良好である観点から、前記弾性材料としては、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム等の熱硬化性エラストマー;ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系又はフッ素系等の熱可塑性エラストマー;或いはそれらの複合物等が挙げられる。これらの中でも、繰り返しの押圧に対する寸法変化が小さい、即ち圧縮永久歪が小さい、シリコーンゴムが好ましい。前記弾性材料は、内部に気泡を含む発泡材料でもよいし、実質的な気泡を含まない非発泡材料でもよい。
【0041】
前記弾性材料の厚み(高さ)を1cmとして測定した際のショアA硬度は85以下であることが好ましい。上記ショアA硬度が85以下であれば、押圧された際に容易に弾性変形することができる。ただし、過度に軟らかいと、弾性変形後の回復が遅くなるため、上記のショアA硬度は10以上であることが好ましい。
【0042】
第一被覆層30aの厚さは、5μm〜100μmが好ましく、10μm〜50μmがより好ましい。第一被覆層30aの厚さが前記範囲の下限値以上であれば、第一部分31との接合強度を強くすることができる。第一被覆層30aの厚さが前記範囲の上限値以下であれば、被押圧面10aを押圧していない状態における第一導電層11と第二導電層21との距離を近づけやすく、押圧力の検知精度をより高くすることができる。
第二被覆層30bの厚さの好ましい範囲は、第一被覆層30aの厚さの好ましい範囲と同じである。第一被覆層30aの厚さと第二被覆層30bの厚さは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0043】
第一部分31の形状は、特に限定されず、例えば、円柱状、円錐台状、角柱状等の柱状が挙げられる。なかでも、耐久性に優れる点から、円柱状、円錐台状が好ましい。複数の第一部分31の形状は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0044】
単一の第一部分31のXY方向の断面積は特に限定されず、例えば、柱状の断面積として、0.005mm〜4mmが挙げられ、0.02mm〜0.8mmが好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、押圧力が加わった際に高さ方向に圧縮変形することが容易になり、第一部分31が圧縮せずに屈曲することを防止できる。上記範囲の上限値以下であると、指で押す程度の適度な押圧力で容易に圧縮変形させることができる。
ここで、柱状の断面積は、柱状の1/2の高さの位置で高さ方向に直交する断面をいう。柱状の断面積は、光学顕微鏡測定機等の公知の微細構造観察手段により測定できる。
【0045】
弾性層30が有する全ての第一部分31の合計の断面積は、弾性材料の物性と設定する押し心地に応じて適宜設定され、第一被覆層30a又は第二被覆層30bの面積を100%としたとき、前記合計の断面積は、例えば、0.1〜30%が好ましく、0.5〜20%がより好ましく、1〜10%がさらに好ましい。
上記範囲であると、指で押す程度の適度な押圧力で容易に圧縮変形させることができる。
具体的には、例えば、前記合計の断面積を1〜100mmとすることができる。
【0046】
第一部分31を形成する弾性体の圧縮特性は、図14に示すように、高さの圧縮される量である変位(単位:mm)を横軸にとり、圧縮に要する荷重(単位:N)を縦軸にとったグラフで表される。このグラフでは、第一部分31の非圧縮時の高さが50μm(実線)、200μm(1点鎖線)、又は500μm(2点鎖線)である場合の圧縮特性を示している。第一部分31の高さが高い程、荷重に対する変位量が線形である領域が広い。非圧縮時の高さが50μmの第一部分31の圧縮特性は、荷重0〜1Nの領域では概ね線形であるが、荷重が1Nを超えると急激に変位量が小さくなり、非線形となる。同様に、高さ200μmの第一部分31の圧縮特性は、荷重0〜2Nの領域では概ね線形であるが、荷重が2Nを超えると急激に変位量が小さくなり、非線形となる。高さ500μmの第一部分31の圧縮特性は、荷重0〜10Nの領域では概ね線形であるが、その後、図示しない領域で急激に変位量が小さくなり、非線形となる。
【0047】
感圧静電スイッチ1の使用において、非押圧時の待機中に加わる荷重は0Nでもよいし、任意の荷重(例えば0.5〜1.5N程度)を定常的に加えたプリロード状態を待機状態として設定してもよい。感圧静電スイッチ1を任意の筐体に嵌め込んで使用する際、プリロード状態で設置することにより、被押圧面10aのぐらつきを抑制することができる。ここで図14のグラフから理解されるように、1Nの荷重をプリロード状態として設置する場合、押した力に比例して圧縮される線形領域を利用するためには、第一部分31の高さは高いほど好ましい。一方、第一部分31の高さが高くなるほど、第一導電層11と第二導電層21の離間距離は広がるので、静電容量の変化を検知する精度が低下する傾向がある。
【0048】
つまり、第一部分31の圧縮特性が良好な線形領域の利用と、感圧静電スイッチ1の検知精度とは互いにトレードオフの関係にある。このバランスを勘案して、第一部分31の好適な高さとしては、例えば、1μm〜3000μmが好ましく、50μm〜2000μmがより好ましく、200μm〜1000μmがより好ましく、300μm〜1000μmがさらに好ましい。第一部分31の高さが前記範囲の下限値以上であれば、押圧力の検知範囲を広くとることができる。第一部分31の高さが前記範囲の上限値以下であれば、被押圧面10aを押圧していない状態における第一導電層11と第二導電層21との距離を近づけやすく、押圧力の検知精度をより高くすることができる。また、被押圧面10aを押圧した際に被押圧面がへこむ感覚が抑制されやすく、通常のタッチパネルのように硬い面に触れているのと同じ感覚で操作しやすくなる。
ここで、第一部分31の高さには、第一被覆層30aの厚さ及び第二被覆層30bの厚さは含まれない。第一部分31の高さは、光学顕微鏡測定機等の公知の微細構造観察手段により測定できる。
【0049】
第一部分31は第一被覆層30aと第二被覆層30bに接続し、弾性層30の厚み(Z方向の長さ)を支える部材である。弾性層30の厚みが部位によらず同じであれば、複数の第一部分31の高さは実質的に同じである。
【0050】
複数の第一部分31の配置パターンは、特に限定されず、第一被覆層30a及び第二被覆層30bのX方向及びY方向に整列したパターン、千鳥状に配列したパターン等が挙げられる。図4に、図1のIV−IV線で感圧静電スイッチ1を切断した平面図を示す。本実施形態では、X方向に4個、Y方向に5個、合計20個の第一部分31が整列している。
【0051】
弾性層30が有する第一部分の個数は、複数でもよいし、1個でもよい。本実施形態の変形例として、図5に示すように、平面視で第二被覆層30bの中央領域に形成された平面視矩形の第一部分31を1個のみ備えた形態が挙げられる。この形態の場合、第一部分31の弾性材料は内部に気泡を含む発泡材料であることが好ましい。
【0052】
第一部分31の個数は、例えば、1〜1000個が好ましく、3〜100個がより好ましく、4〜50個がさらに好ましい。前記個数が前記範囲の下限値以上であれば、被押圧面10aを指で押す程度の適度な押圧力で弾性層30を圧縮変形させることができる。前記個数が前記範囲の上限値以下であれば、指で押す程度の押圧力の検出精度を向上させることができる。
【0053】
隣接する第一部分31同士のピッチは、特に限定されず、0.1mm〜5mmが好ましく、0.5mm〜3mmがより好ましい。前記ピッチが前記範囲の下限値以上であれば、被押圧面10aを指で押す程度の適度な押圧力で弾性層30を圧縮変形させることができる。前記ピッチが前記範囲の上限値以下であれば、指で押す程度の押圧力の検出精度を向上させることができる。
【0054】
弾性層30が有する第二部分の個数は特に限定されず、1個であってもよいし、2個以上であってもよい。
【0055】
図4図5で例示した第二部分33の形状は、平面視で第二被覆層30bの外周を囲む土手形状である。第二部分33の形状は、第二被覆層30bから突出し、第一部分31の高さよりも低く、平面視で第一部分31と離間しており、上述のように過度な押圧に対抗できる形状であれば、土手形状以外の任意の形状を採用することができる。例えば、図6に示すように平面視で第二被覆層30bの外周に複数のブロック状の第二部分33が点在する形態であってもよい。ブロック状の第二部分33の平面視の形状は、図6に示すように矩形であってもよいし、図7に示すように円形であってもよく、その他の任意の形状も採用できる。
【0056】
第二部分33の高さは、第一部分31の高さに応じて相対的に薄くなるように設定される。第一部分31の高さを100%として、第二部分33の高さは、80%以下が好ましい。被押圧面10aの押し込みの程度を大きく設定する場合には、例えば、50%以下でもよく、30%以下でもよい。
第一部分31の圧縮永久歪を低減する観点から、第二部分33の高さは、前記100%に対して10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましく、50%以上が特に好ましい。第一部分31の圧縮に関する性質(圧縮特性)の線形性が良好な圧縮初期の領域を利用する観点から、第二部分33の高さは、前記100%に対して30%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。第二部分33の高さが高い程、第一部分31の圧縮初期の領域を利用して前記の離間距離Lを制御することができる。
第二部分33の高さは、前記100%に対して、例えば10〜80%の範囲、20〜70%の範囲、30〜60%の範囲、10〜50%の範囲、20〜50%の範囲、30〜50%の範囲等に設定することができる。
具体例として、第一部分31の高さが200μm超である場合、比較的高い場合に該当するので、第二部分33の高さは第一部分31の高さ(100%)に対して、例えば80%であれば、押し込みの可動範囲(許容範囲)は40μm超になる。40μm超の可動範囲があれば充分に押し込みが可能である。
ここで、第二部分33の高さには、第二被覆層30bの厚さは含まれない。第二部分33の高さは、光学顕微鏡測定機等の公知の微細構造観察手段により測定できる。
【0057】
弾性層30が有する全ての第二部分33の天面(第一基板10側に露出する表面)の合計の面積は、第一部分31の過度な押し込みを抑制できるように適宜調整される。第一被覆層30a又は第二被覆層30bの面積を100%としたとき、前記合計の面積は、例えば、1〜70%が好ましく、6〜60%がより好ましく、8〜50%がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、被押圧面10aが過度に押し込まれた場合に、第一被覆層30aに接触した第二部分33の天面が、押圧力に対して対抗し、それ以上の押し込みを容易に抑制することができる。
上記範囲の上限値以下であると、弾性層30の弾性力を決定する主体である第一部分31の設置領域を充分に確保することができる。さらに、上記範囲の上限値以下であると、第一被覆層30aと第二部分33の接触面積が過度に大きくなり、その接触面において第一被覆層30aと第二部分33とが互いに吸着することを防止できる。第一被覆層30a及び第二部分33を構成する材料がタック性を呈する場合、上記の吸着を防止することは、押圧の繰り返し操作を円滑に行う観点から重要である。
具体的には、例えば、前記合計の断面積を0.1〜10mmとすることができる。
【0058】
弾性層30において、全ての第一部分31の前記断面の合計面積S1に対する、全ての第二部分33の天面の合計面積S2の比(S2/S1)は、0.1以上が好ましく、1以上がより好ましい。S2/S1の比の上限値の目安は、例えば、50程度が挙げられる。
上記範囲の下限値以上であると、被押圧面10aが過度に押し込まれた場合に、第一被覆層30aに接触した第二部分33の天面が、押圧力に対して充分に対抗し、それ以上の押し込みを容易に抑制することができる。
上記範囲の上限値以下であると、弾性層30の弾性力を決定する主体である第一部分31の設置領域を充分に確保することができる。
弾性層30において、前記合計面積S2>前記合計面積S1の関係であることが好ましい。この関係であると、過度な押し込みに対して充分に対抗することができ、第一部分31の圧縮永久歪を低減することがより容易になる。
【0059】
本実施形態では、第二部分33が第二被覆層30bの第一基板10側の面に形成されている場合を説明した。本発明の感圧静電スイッチが有する第二部分33は第一被覆層30aの第二基板20側の面に形成されていてもよい。
【0060】
本実施形態では、第一被覆層30a及び第二被覆層30bの両方がある場合を説明した。感圧静電スイッチ1の弾性層30において、第一被覆層30a及び第二被覆層30bの両方が無くても構わない。しかし、第一部分31及び第二部分33を一体的に構成して、これらの相対的な位置関係を保持することが容易である観点から、第一被覆層30a及び第二被覆層30bの何れか一方があることが好ましく、両方が有ることがより好ましい。
例えば、第一被覆層30aが無い場合、第二被覆層30bに一体化された第一部分31の天面が第一樹脂層41の裏面に接着されていてもよい。また、第二被覆層30bが無い場合、第一被覆層30aに一体化された第一部分31の底面が第二樹脂層42の表面に接着され、第二部分33は第一被覆層30aに一体化されていてもよい。また、第一被覆層30a及び第二被覆層30bの両方が無い場合、第一部分31の天面及び底面はそれぞれ第一樹脂層41の裏面及び第二樹脂層42の表面に接着され、第二部分33の底面は第一樹脂層41の裏面又は第二樹脂層42の表面に接着されていてもよい。
【0061】
以上で説明した第一実施形態では、弾性層30の平面視において、第一部分31は第二部分33の内側にあり、第一部分31は第二部分33に囲まれている。第二部分33の設置領域は、図4図7に示すように平面視で第二被覆層30bの外縁に沿い、第二被覆層30bの外周領域である。本発明における第二部分は図面で例示した以外の箇所にも設置可能であり、例えば、図7における第二部分33の設置領域は、平面視で第二被覆層30bの外縁に沿った第二被覆層30bの外周領域でなくてもよく、第一部分31と同様に中央領域に設置されてもよい。
以下に、弾性層30の平面視において、第一部分31が第二部分33の外側にあり、第一部分31が第二部分33を囲む第二実施形態と、第一部分31と第二部分33とが混在する第三実施形態を説明する。
【0062】
<第二実施形態>
図8は感圧静電スイッチ2のXZ平面に沿う断面図であり、図9は、図8のIX−IX線で弾性層30の第一部分31及び第二部分33をXY平面で切断した上面図である。感圧静電スイッチ2の弾性層30以外の構成は、第一実施形態と同じであり、共通する部材には同じ符号を付けてその説明を省略する。
【0063】
感圧静電スイッチ2では、弾性層30の平面視において、複数の円形状の第一部分31は第二部分33の外側にあり、単一の正方形状の第二部分33は複数の第一部分31に囲まれている。第二部分33の設置領域は、図示するように平面視で第二被覆層30bの中央領域である。複数の円柱状の第一部分31は、第二被覆層30bの外縁に沿って、第二被覆層30bの外周領域でほぼ等間隔に配置されている。
【0064】
本実施形態のように、平面視で弾性層30の中央領域に、第一部分31よりも高さの低い第二部分33が配置されていることによって、中央領域における積層方向(厚み方向)への光の透過性が優れる。したがって、図10に示すように、第二基板20側の光源から第一基板10へ向けて光を照射すると、感圧静電スイッチ2の中央領域を光が容易に透過して、被押圧面10aの中央領域を内部から均一に照らすことができる。
【0065】
図10に示す感圧静電スイッチ2では、第一基板10の被押圧面10aに加飾層50が設けられており、第二基板20の裏面に第二基板20を支持する支持板51が設けられ、支持板51の第二基板20の反対側に光源52とその基材53が設置されている。光源52は例えばLEDであり、基材53は例えば光源52に電流を供給する電源基板であり、支持板51は例えば透明なアクリル基板であり、加飾層50は例えば照光用に文字抜きされた樹脂フィルムである。図10に示す感圧静電スイッチ2の各層は透明材料によって構成されているので、光源52から出射された光は、各層の中央領域を透過して、加飾層50の表面から出射することができる。
【0066】
本発明の感圧静電スイッチには、第二実施形態で説明したように、第二基板を支持する支持板、光源、光源用の基材等の任意の部材が備えられていてもよい。
【0067】
<第三実施形態>
図11は感圧静電スイッチ3の弾性層30の第一部分31及び第二部分33を、図9と同様にXY平面で切断した上面図である。感圧静電スイッチ3の弾性層30以外の構成は、第一実施形態と同じであり、共通する部材には同じ符号を付けてその説明を省略する。
【0068】
第三実施形態の感圧静電スイッチ3では、弾性層30の平面視において、複数の円形状の第一部分31は一定のピッチでX方向及びY方向に整列しており、第二部分33は第一部分31の間を縫うようにXY方向の格子状に配置されている。個々の第一部分31は、第二部分33が形成する仕切り(格子の個々の部屋)内に1つずつ配置されている。
【0069】
本実施形態のように、平面視で弾性層30の全領域の分散された位置に、第一部分31及び第二部分33が設置されていることによって、第一基板10の被押圧面10aの中心と弾性層30の中心との位置合わせをする必要が無いので、感圧静電スイッチ3を容易に製造することができる。つまり、大面積の前記弾性基材シートを予め準備しておき、感圧静電スイッチ3の組み立て時に必要なサイズで前記弾性基材シートの任意の部分を切り出して弾性層30を形成することができる。この際、前記大面積の弾性基材シートには中心が存在しないので、製造する感圧静電スイッチ3の平面視の面積に合わせて任意のサイズで容易に切り出すことができる。
【0070】
<感圧静電スイッチの製造方法>
本発明の感圧静電スイッチの製造方法は、従来の静電容量式の感圧スイッチやタッチセンサの製造方法と同様でよい。
第一導電層11の形成方法としては、例えば、第一基板10となる基板等に対して、導電性ペーストを印刷した後に加熱して硬化させる方法、金属粒子を含むインクを印刷する方法、金属箔又は金属蒸着膜を形成する方法が挙げられる。第一導電層11には、エッチング等の公知方法によってパターンや配線を形成することができる。
第二導電層21も第一導電層11と同様に形成することができる。
【0071】
弾性層30は、例えば次の方法で製造することができる。まず、第二樹脂層42の表面に金型を用いたプレス成形により第一部分31及び第二部分33を有する第二被覆層30bを一体的に形成する。又は、第二樹脂層42の表面に第二被覆層30bを形成した後、第二被覆層30bの表面に別途形成した第一部分31及び第二部分33を配置して、接着剤や表面処理等の公知方法により接着する。
また、第一樹脂層41の裏面に第一被覆層30aを形成する。
次いで、第一被覆層30aと第二被覆層30bとを向い合せて、第一被覆層30aの向かい合う面と、第二被覆層30b上の第一部分31の天面とを密着させ、公知方法により接着する。これにより第一樹脂層41及び第二樹脂層42に挟持された弾性層30を形成することができる。
或いは、第一樹脂層41の表面に第一部分31及び第二部分33をそれぞれ所望の位置で接着し、第二樹脂層42を第一樹脂層41に向い合せ、第一部分31を挟んで接着する方法によって、第一被覆層30a及び第二被覆層30bを有しない弾性層30を形成することができる。
【0072】
カバー層と第一基板10の接着、第一基板10と第一樹脂層41の接着、及び第二樹脂層42と第二基板20の接着は、例えば、接着剤や両面テープ等により行うことができる。
以上のように各層を積層することによって本発明の感圧静電スイッチを製造することができる。
【0073】
以上説明したように、本発明の感圧静電スイッチにおいては、弾性層の第二部分によって第一部分の過度の圧縮変形が抑制されている。これにより、第一部分の圧縮永久歪を低減できるので、感圧静電スイッチの耐久性が優れる。また、第一樹脂層及び第二樹脂層の少なくとも一方が弾性層に接する平坦面を有するので、弾性層が平面方向で均一に圧縮されやすく、第一部分の過度の圧縮変形を第二部分によって容易に抑制することができる。さらに、被押圧面の押圧によって生じる弾性層からの応力(反発力)が第一導電層、第二導電層に、直に、局所的に加わることを防止できるので、第一導電層、第二導電層の破損を防止することができる。
【0074】
<感圧静電スイッチの使用例>
本発明の感圧静電スイッチは、単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
単一の感圧静電スイッチ1を単独で使用する方法としては、例えば、図12に示すように、第一実施形態の感圧静電スイッチ1の第一基板10の表面10aに更にカバー層60を積層した構成が挙げられる。操作者は指などでカバー層60の表面60aを押圧することができる。ここで図示した例によれば、単一の感圧静電スイッチ1を単一のスイッチとして機能させることができる。
【0075】
複数の感圧静電スイッチ1を組み合わせて使用する方法としては、例えば、図13に示すように、複数の感圧静電スイッチ1が単一のカバー層60を共有する構成が挙げられる。ここで図示した例では、カバー層60の4角に1つずつ感圧静電スイッチ1が備えられている。各感圧静電スイッチ1の第一基板10の表面10aがカバー層60の裏面に接着されている。この構成であると、例えば、カバー層60の表面60aの中央付近を押すと、4つの感圧静電スイッチ1が一斉に押圧され、カバー層60の表面60aの4角のうち何れかを押すと、押圧した箇所の直下の単一の感圧静電スイッチ1のみが押圧され、カバー層60の表面60aの4角のうち任意の2角を結ぶ辺の近傍を押すと、その2角直下の2つの感圧静電スイッチ1が同時に押圧される、等の押し方ができる。各押し方に個別のスイッチ機能を付与することができる。
カバー層60の中央付近の裏面側には、押圧箇所のXY座標を検知する公知の二次元又は三次元のタッチセンサ65等を更に設置してもよい。また、タッチセンサ65の裏面側に本発明の感圧静電スイッチを配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の感圧静電スイッチは、乗り物や家電等の操作パネル、ノートパソコンのタッチパッド等のスイッチ分野、センサ分野に広く利用される。
【符号の説明】
【0077】
1,2,3…感圧静電スイッチ、10…第一基板、10a…被押圧面、11…第一導電層、20…第二基板、21…第二導電層、30…弾性層、30a…第一被覆層、30b…第二被覆層、31…第一部分、32…空隙、33…第二部分、41…第一樹脂層、42…第二樹脂層、43…第一接着層、44…第二接着層、50…加飾層、51…支持板、52…光源、53…基材、60…カバー層、65…タッチセンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14